提督「俺ゲイなんだけど」 (68)

提督「頑張って憧れの海軍入ってさあ……毎日魅力的な連中と生活できるじゃん?」

提督「何か月も海の上で過ごすこともあってさあ……時には一度限りの火遊びもあるかもしれないじゃん?」

提督「尊敬される上官になろうとしてさあ……必死に努力して気づいたらそれなりに出世できたじゃん?」

提督「いい感じになってた仲間とも泣く泣くわかれてさあ……ようやく吹っ切れて陸に帰ってきたじゃん?」

提督「慣れない職場で手探りながらもひたすら頑張りましたよ……ええ……」

提督「そしたらさあ……どうしてくれんのこれ?」

電「……」

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提督「そりゃあね、俺もマイノリティだから同じマイノリティの女性軍人みたいなものってことでやさしくしたよ?」

提督「それでも、そういう対象には見れないわけよ」

提督「なにこのケッコンカッコカリって」

提督「話が違うんだけど?」

提督「本来の人生設計とかどうしてくれんの?」

電「で……でもほら、カッコカリだから戸籍に残ったりしませんし……」

提督「軍事機密だし、そうなるだろうね」

電「それなら……!」

提督「でもさあ……この件で艦隊が浮き足立ってるんだよ」

提督「ゼクシイが購買に当たり前に置いてあるしさあ……」

提督「発売日の数日後には完売してるしさあ……」

提督「まじ納得いかない」

電「つまり……司令官さんもドレスを着たいってことですか?」

提督「いや俺はそっち系じゃないから」

提督「でも最近誰と結婚するの?っていう期待?を帯びた視線をめっちゃ感じるわけ」

提督「俺、何も悪いことしてないのになんで監視されないといけないの?」

提督「おちおち購買でTarzanも買えないじゃん」

提督「しかもさ本営からのご褒美らしいけど」

提督「ケッコンした艦娘とは私室共有することになるらしいじゃん」

提督「信頼できる艦娘との絆の強化とかいう建前で」

提督「事実上の上官の手出し許可じゃん」

提督「俺が船に乗ってた時にはこんなことなかったのに」

提督「おかしくない?」

電「……」

提督「深海側との戦争も終わりが見えないし終わるまでずっとでしょ?」

提督「確実に発狂する」

電「そもそも司令官さんが同性愛者ってきいたのついさっきが初めてなのです……」

電「いっそのことカミングアウトして説得したら」

電「皆さん納得してくれますよ、たぶん」

電「今は多様性を認める時代なのです!」

提督「カミングアウト?」

提督「親にもしてないのに?」

提督「さすがに無理でしょ……世間の目はまだ厳しいし」

電「でも電には教えてくれたのです」

提督「なんかポロリしちゃったわ」

提督「漏らしたら解体するから」

提督「そっちの人だって気づいてるのも何人かいそうだし」

提督「まあ柔軟に頼むわ」

電「はいなのです……」

電(下手に口に出したら艦隊が崩壊しかねないのです……)

提督「大丈夫だって冗談だから」

提督「そんな本気で背負い込まなくてもいいよ」

提督「それで話変わるんだけどさ」

提督「さっき購買言ってきたらさ」

提督「今月のゼクシイがもうなかったのよ」

提督「発売昨日なのに」

提督「最初は恐る恐るって感じで完売に1週間はかかったのに加速してるよね」

提督「入荷増やして即完売っていよいよあれだよね」

電(第六駆逐隊で1冊購入したのは言えないのです……)

提督「完売の掲示があってその横に何があったと思う?」

電「わからないのです……」

提督「たまごクラブ」

電「」

提督「もうやだ……世の中が俺の知らないところで進みすぎてる……」

提督「マタニティグッズの特設コーナーできてたしさ」

提督「そのうえ医務室にはつわりの症状訴える子がちらほら来るんですって」

提督「想像妊娠とかもうね」

提督「ケッコンカッコカリもしてない時点でこれってもうね」

提督「もうね……」

電「」

電「ま……まだ望みはあるのです」

電「司令官さんが女性を愛することができるようになれば……」

電「そういった人でも家庭を持てた先例はあるのです」

提督「ああ……うん……」

提督「努力はしてる」

提督「人口増やさないと国が傾きかねないし」

提督「でもなかなかなあ……」

提督「そういうわけでだれか偽装結婚してくれる人紹介してくれない?」

電「」

提督「死活問題なんだよ」

提督「本部はわざと独身を提督にして艦娘とくっつけて軍にしばりつけようとしてたみたいでさ」

提督「この任務こなさないと資源回復止めるとかっていううわさがあるんだよ」

提督「ほんと笑えるよね」

電「」

提督「ずっとのらりくらりかわしてきたけどさ限界だわ」

提督「催促の文面が過激になってきたもん」

電(モラルもロマンスも何もないのです……)

電「あっ、でもこの間提督仲間の結婚式に参加してましたよね?」

電「聞いた話だと民間人の方と結婚なさったそうですね?」

電「結婚済みのひとはケッコンカッコカリしなくてもいいとか……」

提督「ああ、それだわ」

提督「希望見えたわ」

提督「一般の人と偽装結婚すればいいんじゃん!」

提督「既婚者は鎮守府内に住まないで外部に家を持つのも許可される場合があるみたいだし……!」

提督「でも、いままで民間の女性とかかわりもったことないしなあ」

??「はなしはきかせてもらいました」

提督「えっ」

加賀「一部始終全部聞きました」

提督「マジで?」

加賀「ゲイなのは秘密にしておきます」

提督「ほんとに?よかった」

加賀「ですが一部そのプランには問題があります」

電(絶対ろくでもないことなのです)

加賀「提督が民間の方と結婚なさった場合……」

加賀「多くの艦娘が他国に亡命します」

提督「ファッ!?」

電「ファッ!?」

加賀「依存に近い信頼を置いている子も多々おりますから」

加賀「提督が外に出るとなると間違いなく軋轢は避けられないでしょう」

加賀「裏切られたと思う艦娘がたくさんいるでしょうね」

加賀「想像妊娠すらしている子がいるんですよ?」

加賀「良くて亡命、悪くて自殺、最悪無理心中といったところでしょうか」

提督「」

電「」

加賀「この艦隊の多くは国ではなく提督に忠誠を誓ってます」

加賀「提督が自分のものにならないなら……と考える子がいても……」

加賀「さらには国の定めたシステムに不満を抱いてもおかしくありません」

加賀「むしろ最初からケッコンさせなかった国への責任を問う子のほうが多いでしょう」

提督「うわあ……」

電(うわあ……)

提督「兵器じゃなくて個人に力を持たせてる国が悪いんじゃね?」

提督「亡命で軍事バランス傾くとか何事よ」

加賀「そうしないと国が滅びますからね」

提督「俺、良かれと思ってやさしく接してたのに……」

提督「女性軍人の世間からのマイノリティさに同情して平等に尊敬をもって扱っていたのに……」

加賀「平等に扱ってたのがいけなかったんじゃないですか?」

提督「」

加賀「事実先ほどの民間人と結婚した提督ですが」

加賀「そこの艦隊では特に問題は起こってないそうです」

加賀「むしろ結婚を祝福すらしているとか」

加賀「仮にあなたが民間人と結婚したら艦娘流出で国賊扱いされるかもしれませんね」

提督「俺、国のために頑張ってきたのに……」

電「ま……まだわからないのです!」

電「事情を知ってる艦隊内部の子とケッコンすれば」

加賀「それでも一部の子は裏切られたと思って暴れるでしょう」

提督「」

電(お先真っ暗なのです)

提督「うわあ……うわあ……」

電「ハ、ハーレムをつくればいいのです!」

電「それならみんなを幸せにできるのです!」

加賀「たしかにそれが一番不満が少ないかもしれません」

加賀「しかしハーレムには賛成派と反対派がいるのです」

加賀「下手にそのようなことをしたらハーレム反対過激派が提督をさらって監禁なんてことも考えられます」

加賀「そのようなことになったら今度は本土で内戦さながらです」

提督「」

提督「もうどうすればいいのさ……」

加賀「こういう時に備えて私が裏で手をまわしてあります」

提督「えっ?」

加賀「まずは私とケッコンカッコカリしてくださいそうすればこの事態を解決して見せます」

提督「えっ?」

電(微笑んでるのに目がわらってないのです……)

提督「いや、ほら具体的にどうやるとかさ」

加賀「信用してください」

提督「ああ……うん……ちょっと考えさせて……」

加賀「お待ちしております……うっ」

電「大丈夫ですか?」

加賀「ええ、ちょっと吐き気が」

提督(想像つわりだ……)

電(想像つわりだ……)

加賀「……それでは失礼します」バタン

提督「もう行ったな?」

電「そうみたいなのです……」

提督「どうしよう……」

電「詰んでるのです」

提督「じゃあ電とケッコンカッコ……」

電「死にたくないのです」

提督「その気持ちわかるわ」

電「それでどうするのです?」

電「このままじゃ司令官さんがゲイっていう弱みをちらつかせてもっと迫ってきますよ?たぶん」

提督「だよなあ」

提督「ああ……いっそのことこういうのはどうだろう?」

提督「いったん俺が――」

次の日

電「と、いうわけで司令官さんはアメリカに亡命したのです」

電「『当分結婚するつもりはない、結婚するなら大和撫子と結婚したい』という日記をのこして」

電「我々が太平洋を開放して日本人として司令官さんを迎えに行くしかないのです!」

電「出撃です!」

この日以降日本の戦局は大きく動くことになった

そしてアメリカ西海岸には遥か先の日本を見つめる一人の男がいたという

先延ばしにすれば解決するのではという望みと

裏切ったという罪悪感が男の胸にはあった

戦争終結を望むに望みきれない男の目は濁り切っていたという


おしまい

僕はゲイではありません。これだけははっきりと真実を伝えたかった。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年08月22日 (金) 22:46:12   ID: IVSs4cj0

なんだこれは・・・たまげたなあ
なんカスは逝って、どうぞ(おまけ)

2 :  SS好きの774さん   2014年08月22日 (金) 23:03:58   ID: T32e0VBa

ホモは嘘つき

3 :  SS好きの774さん   2014年08月23日 (土) 00:47:08   ID: LYgZeR24

かけあい(意味深)はおもしろかった(小並感

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