【R-18】梓「こんな私を、どう思いますか?」唯「救いたいと思うよ」【グロ】 (56)

けいおんSS。キャラ崩壊有。
地の文章が半分以上を占めてます。

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なんか、おまたがじんじんする。
微睡から意識だけが朧気に覚醒し、初めて感じたのがそれだった。
うん、良い。これ、良い。
自分でする[田島「チ○コ破裂するっ!」]よりも……気持ちいい。

「先輩、気持ち良いですか?」

あ、あずにゃんの声だ。
うん、いいよ。とっても気持ちいいよ。

「散々自分の身体で研究したので、舌技には少し自信があるんです」

私、実は身体すごく柔らかいんですよ。そんな言葉を聞きながら、私は甘い快楽の波に溺れていた。
夢だもん、楽しまなくちゃ。
あずにゃんが私を気持ちよくしてくれてるなんて、少し恥ずかしいけど、素敵な夢……。

「うん、そろそろいいかな」

ええ、もう終わっちゃうの?
もうちょっと続けてほしいのに。

「じゃあ一気に行きますからね」

その言葉の直後、下半身に致命的とも思える激痛が走り……私は完全に目が覚めた。

すみません、この板の仕様をわすれていました。
再投稿します。

なんか、おまたがじんじんする。
微睡から意識だけが朧気に覚醒し、初めて感じたのがそれだった。
うん、良い。これ、良い。
自分でするオナニーよりも……気持ちいい。

「先輩、気持ち良いですか?」

あ、あずにゃんの声だ。
うん、いいよ。とっても気持ちいいよ。

「散々自分の身体で研究したので、舌技には少し自信があるんです」

私、実は身体すごく柔らかいんですよ。そんな言葉を聞きながら、私は甘い快楽の波に溺れていた。
夢だもん、楽しまなくちゃ。
あずにゃんが私を気持ちよくしてくれてるなんて、少し恥ずかしいけど、素敵な夢……。

「うん、そろそろいいかな」

ええ、もう終わっちゃうの?
もうちょっと続けてほしいのに。

「じゃあ一気に行きますからね」

その言葉の直後、下半身に致命的とも思える激痛が走り……私は完全に目が覚めた。

「っ……っ……っ!」

あまりの痛みに声すら出ない。
息を詰まらせて、必死に痛みに耐える。
が、それも数秒で限界に達した。
このままでは死んでしまう。本能でそう理解した私の身体は、この痛みを少しでも外へ吐き出す為に、叫び声を上げさせようともがく。
しかし、果たしてそれが声になることはなかった。

「!?」

口にべったりと何かが貼られている。
……ガムテープ?
なんで、ガムテープなんか、どうして、一体何が。
怖い。痛い。

「まだきついかぁ。あ、でも破瓜したおかげで良い具合にはなりそうですね」

またあずにゃんの声。
何……?あずにゃん私に何をしてるの……?
気絶しそうな程の激痛に霞む視界。その中で私は、それでも声の方へと視線を向ける。
―――そこには、私のあそこに、右手がすっぽりと入れているあずにゃんの姿があった。

「よいしょっ」

ぶちぶち、ごりごり、ずりゅう。不吉な音と激しい痛みが、全身の神経を無茶苦茶に引き裂いていく。

「―――!!!!!!」

やめてあずにゃん。おねがい、わたししんじゃうよ。
そんな思いも、一切が言葉にならないのだから、どうしようもない。
許しを請うこともできない。
……許し?
私、何か悪い事したのかな……?
私は、今日とも昨日ともつかない曖昧な記憶を辿る。
確か、部活動が終わった後、あずにゃんに引き止められて、それで、人生相談を受けて……。
そこからの記憶がない。
そういえば、ここはどこなんだろう。
私の部屋かとも思ったけど、どうやら違うみたい……。

「少し余裕が出てきましたね唯先輩。はい、ここ、私の部屋です」

私の視線を追って悟ったのか、あずにゃんが私の疑問に答えてくれる。

「だいぶほぐれてきたし、これぐらいかな」

ぐぽ、そんな音を立てて、あずにゃんの右手が抜けた。
一際大きい痛みが押し寄せる。

「……」

痛いし怖いし、訳わかんないよ。
私はいつの間にか涙していた。

「泣きたい気持ち、よくわかります。でも我慢してください。全部、唯先輩の為なんです」

ますますわからない。
あずにゃんがどうしてこんなことをするのか。
どうして私がこんな目に遇わなきゃいけないのか。

「落ち着きましたか?」

私はイヤイヤと首を振る。
こんなので落ち着けるわけないよ。
もう許して……。私が悪いことしたなら、謝るから。

「そうですか……わかりました」

悲しそうに目を伏せるあずにゃん。
すると、懐から二本の縄跳びを取り出し、

「今からこれで、先輩の腕をベッドに縛りつけます」

とんでもない事を言い放った。
え、どうしてそんなこと。
混乱する私の腕を掴み、右手首をベッドに括り付けるあずにゃん。
やめさせないと!そう思って抵抗するものの、すでに左手もあずにゃんの手に捕まっている。
いやだよ!離して!
振り払おうと力の限り腕を動かすと、観念したのか、あずにゃんの手が私の腕から離れた。
あずにゃんは、少し考えるように沈黙し、

「……あんまり、こういう手段を何度も使うのは気が引けますが……」

その瞬間、下腹部に尋常でない衝撃が走り―――私は気を失った。

唯先輩の両腕をベッドにきつく固定した後、私は大きなため息をつきました。
やっぱり簡単にはいかないものです。
お母さんがお風呂に入っている隙を狙って、先輩をここまで連れてこれたのはいいものの……。
肝心の唯先輩が頑なで困ります。
もっと素直にしてくれれば、スタンガンなんて使わずにすんだのに。
そもそも、最初はこんな監禁みたいな事やるはずじゃなかったのです。
なんというか、その場の流れというか、あの時、ああしないと、私の決意が根本から揺らいでしまいそうだったというか……。
とにかく、やっちゃったことはもう仕方がありません、これからが重要なんだ、頑張らなきゃ!
自分の頬を叩いて気合いを入れ、私はリビングに向かいます。
本当はこれから色々やる予定だったけど、当の唯先輩が寝込んでちゃそうもいきませんからね。
リビングにはお母さんが一人、テレビを見てくつろいでいました。

「あら、おかえり。あんまり遅いからごはん先に食べちゃった、ごめんね梓」

ううん、こっちこそ遅くなってごめんなさい。
そう言って、食卓に座ります。
テーブルの上にはラップがけされたいくつかのお皿が並んでいました。
それをレンジにかけながら、私はお母さんに尋ねます。

「そういえば、お父さんはいつ帰ってくるの?」

「そうねぇ、今回の出張は長いって言ってたから、一か月ぐらい帰らないかも」

良かった。
お母さん一人を誤魔化すだけなら、なんとかなりそうです。

「そういえばお母さん、今朝の話だけど……」

その言葉を聞いて、お母さんの表情が少し緊張したものに変わりました。

「色々考えたんだけどね、私、今日からちゃんと勉強しようと思うんだ。期末テストまでそんなに日にちもないし……」

「夢中になってるって言ってたことは、もういいの?」

「うん、やっぱり、学生の本分は勉強だと思うし、お母さんに心配かけたくないし、ね」

そう言って、お母さんに笑顔を向けます。

「そう」

お母さんは、それで満足したように、明るい笑顔を返してくれました。

「それでちょっとお願いがあるんだけど……」

ここからが本題です。
歯が浮くような言葉を並べた後で言うのもなんですが、私はおべんちゃらが大嫌いです。
こんな、唯先輩とオナニー以外何の取り柄もない世の中で、綺麗事を言って、なんになるんです?
……言いながら辟易していたところだったので、言葉にも熱が入ります。

「私の部屋、勉強に集中するために開けないでほしいんだ。どうしても用事があるときは、ノックしてほしい。あと……」

「梓がいない時にも、部屋には入らないでほしい、かな?」

ドキリとしました。
もしかしたらお母さんは、唯先輩のことを知ってて……。
全身の血の気が引いてくのがわかります。

「もう、何焦ってるのよ」

くすくすと笑うお母さん。
対する私は、それどころじゃありません。
もし知られていたら、どうしよう。
いや、そもそもまだ縄跳びでしばりつけているだけだからいくらでも言い訳がつく。
あ、だめだ。唯先輩裸だし、何よりおまんこから血を流してる……。
どうしようどうすれば。

「梓も成長したってことね、わかったわ。梓の部屋を勝手に覗くことはしない。その代り、片づけと掃除はちゃんとするのよ?」

一方的に言い放って、テレビに向き直るお母さん。
私はと言えば、話の展開について行けず。
お母さんの意図を理解するまで、しばらくの時間を要するのでした……。

食事を終えた私は、自分の部屋まで戻り、唯先輩におむつをしてあげます。
スカトロオナニーをする為に買ったおむつの残り。
これを買うときは、流石にちょっと恥ずかしかったな……。
遠い思い出に耽る私をよそに、安らかな寝息を立てる唯先輩を見て、決意を新たにします。
安心してくださいね、唯先輩。
このくだらない世界から、私が必ず、助け出しますから。
唯先輩の頬に、お休みなさいのキスをして、私はカーペットに転がります。
ベッドは唯先輩が使ってるんだから当然。
これぐらい我慢しなきゃです。
不思議なもので、どんなに寝る場所が悪くても、睡魔はやってきます。
今日は特につかれたからなぁ。
唯先輩にカミングアウトして、唯先輩を昏倒させて、学校から家まで唯先輩をおんぶして……。
今日あった出来事をうつらうつらと振り返っていると、だんだん意識も遠くなっていきます。
明日も、唯先輩の為に頑張ろう……。
そう心の内で呟き、私は眠りにつきました。

ある時ふと、疑問が浮かびました。
オナニーの後は、どうしてこんなにも虚しくなるのか。
この空虚感(自己嫌悪と言い換えられるかもしれません)は一体どこからやってくるんでしょうか。
いくら考えてもよくわかりません。
わからないから、そんな憂鬱な気分をなくすためにオナニーをします。
オカズは唯先輩です。
妄想の中の先輩はすごく淫乱で、女の子が、特に私が大好きで、べた惚れです。
お昼休みになると、唯先輩は私のクラスまで来て、私をトイレに誘います。
一緒にトイレの個室に入ると、和式便器にまたがってしゃがみ、見せつけるようにうんちとおしっこをします。
そうして便器の底に山盛りになったうんちを手で掴み、見て、いっぱい出たよと私に微笑みます。
私は、それをまじまじと見つめながらオナニーします。
手に掴まれたうんちは、そのまま口へと運ばれます。
唯先輩が蕩けた顔で、おいしいと呟きました。
私もほしいですと言うと、これは私のなんだから、いくらあずにゃんでもだーめ、と断られます。
しょんぼりしている私を尻目に、唯先輩はどんどんヒートアップします。
空いた手で、ペニスの形をした大型のバイブを、自身のおまんこに容赦なく突き入れます。
ぐぇぶ、うぇ!という下品な声が上がります。
彼女の口から唾液交じりのうんちがまき散らされました。
とても苦しそう。
でも、唯先輩にとってはそれが”いい”んです。

あ、もったいない!
そう言って、散らかったうんちをひとつひとつ拾い上げ、口に含みます。
唯先輩は、恍惚の表情を浮かべながら、感嘆します。
うんちを食べながら、おまんこをぶっ壊されるのが大好き。
ドMで、豚以下の糞女。
それが、私が愛してやまない唯先輩の本当の姿。
ところで、私はオナニーを愛しています。
愛するオナニーのオカズである唯先輩も、同じぐらい愛しているということは、さっき言った通りです。
愛するものに囲まれて、私は今幸せです。
気持ちいい。
私は、小さく声を洩らしながら、おまんこに、中指と薬指を出し入れします。
第一関節と第二関節の中間ぐらいまで中に入れて、お腹のほうに指を曲げると、ざらざらした感触に当たります。
それをごしごししながら、すでに皮が捲れ上がっているクリトリスを、ぎゅうぎゅうと指で潰します。
喉が勝手に、あひ、あひ、と声を鳴らします。
涎が数本垂れ、顎の辺りに違和感がありますが、気にせずオナニーします。
私は二本の指を一度引き抜き、今度は五本の指全てを窄める形で、おまんこに突き刺しました。
おまんこの中の肉が捲れ上がります。
私はそのまま最奥まで手を入れ、子宮口をこじ開け、指をすべり込ませます。
きもちいいきもちいいきもちいいきもちいいあっきもちい。
身体の芯がガクガクと揺れ、脳味噌を貫く絶頂が私を蹂躙していきます。
それは思考を砕き、全身を踏みにじり、私の大切な部分を壊していきます。
その感覚がとても甘美で、病みつきになるのです。
……ああ、いい。今日も、よかった。
だらしなくへらへらと笑いながら、私はベッドへと倒れこみました。

翌朝、クリトリスの朝勃ちを気にしながら、私はリビングに向かいます。

「ねえ、梓」

丁度朝ごはんを食卓に並べていたお母さんが、私を見るなり話しかけてきました。

「最近、学校で何か嫌なことでもあった……?」

とても心配そうな表情。
私は、興味なしといった風に、適当にそれを否定します。
そんなことより、早く朝ごはんを食べてこの勃起をすっきりさせたいんです。
しかし納得のいかないお母さんは続けます。

「学校の先生からうちに電話があったの。少し前から、小テストの成績が異常なぐらい落ちてるって」

……なんだ、そんなことか。
私があからさまに白けた態度を取ると、それを見たお母さんは慌てて話を進めます。

「最近はギターも全然触らなくなったし……。梓、私あなたが心配なの。本当に、学校で何もないの?苛められたりしてない?」

大丈夫だ、と言っても、信じてくれそうもない雰囲気でした。
なので、私はこう言います。

「私ね、心から夢中になれる事を見つけたの。そのせいで、ちょっと勉強は疎かになってるけど、期末テストまでにはちゃんと間に合わすから」

勿論、今更勉強するつもりなんてありません。
そんな時間があるならオナニーしないともったいないですし。
私の心の内を知ってか知らずか、お母さんはしばらく沈黙した後、そう、と呟いて瞑目しました。

登校中、私は昨夜の思案を繰り返していました。
即ち、オナニー後訪れる虚無感の正体とは。
あれを感じなくなったとき、私は本当の意味でオナニーを自分のものにできるんじゃないかという予感。
それが焦燥感となって、私の脳裏に押し寄せ……。
その時、私は閃いてしまったのです。

―――誰かと一緒にオナニーすればいいのでは?

それは、自身の思考がもたらした晴天の霹靂でした。
誰かと一緒にオナニー。なんて素敵な発想でしょうか。
私は、目から鱗が落ちる思いで、更に思考を広げます。
一緒にやるなら、絶対唯先輩がいい。
ああ、きっとそれは、虚無感や自己嫌悪とは無縁世界。
でも、と私は頭の中で首を振ります。
唯先輩は、私の妄想みたいに、うんちを食べながらオナニーなんてしてくれない。
そんなの、普通に考えて絶対ありえない。
悲しいけれど、それが現実。

―――本当にそうなの?

私に声によく似たそれが頭の中に残響を残します。

―――もしかしたら、隠れてうんち食べてるかもしれないよ。

それは、あくまで希望的観測です
実際はそんなこと……。

―――そんなことないって証拠はある?唯先輩に一度でも、うんち食べながらオナニーしたことないですか、って聞いたことあるの?

私の声が、さっきより口調を強めてそう言います。
確かに、証拠なんてないですが……。

―――そうね。じゃあ仮に、唯先輩がオナニーとうんち食べるの大好きな豚のよう女じゃなったとしても、まだ目覚めていないだけかもしれない。そうでしょう?

目覚め?

―――普通の人を幸せにするためには、一度その価値観を壊さなきゃいけない。それが目覚めるということ。

壊して、目覚めさせる……。

―――梓もそうだったでしょ?最初は怖かった。だけど、その価値観が崩れた時、あなたはどう思った?

……とても幸せでした。
世界はこんなに素晴らしいんだと、心から実感できました。

―――そうだよね。

はい。
この世界を味わえない普通の人は、本当に可哀想だと思います……。

―――じゃあ、唯先輩が目覚めてないなら、梓が導いてあげなきゃかわいそうだよね。

……それは、確かに。
私は静かに、頷きました。
と同時に、私は軽い絶頂を迎えました。
全身がびくんと震えた後、ポケットから小さなリモコンを取り出し、スイッチをOFFにします。
それまで激しく揺れていたおまんこが、ぴたりと止まりました。
そうだ、私は唯先輩とオナニーがしたい。
唯先輩に、自ら捻り出したうんちを食べてもらいたい。
それが嘘偽りのない私の気持ち。
この気持ちを、先輩にもわかってほしいのです。
私が知ってる気持ち良いこと全部、唯先輩と共有したいんです。
でも、これは私の勝手な押し付け。
この想いをぶつければ、唯先輩はきっと傷つくでしょう。
それでも、私のそういった行為が、唯先輩を目覚めに導く事に繋がるのなら。
このどうしようもない世界から救い出すことができるなら……。

やることは一つだ。

私は、確かな決意を胸に、学校へと向かいました。

時刻は夕方。
軽音部独特の、かったるくてぬるいお茶会と練習(オナニーにはまってからは、以前のような軽音部に対する情熱はなくなりました)を義務的に済ませ、さあ帰ろうというときに、私は唯先輩を呼び止めました。

「まだ下校時刻まで結構あるし、もう少し練習したいんですが……、一緒に合わせてくれませんか?」

「しょーがないなー!梓がそこまで言うなら私たちも残るよ、なっ、澪もムギも残るだろ?」

強引に話を持っていく律先輩に、唯先輩と二人がいいです!と言い返します。
律先輩は少し驚いた後、

「あついねヒューヒュー、邪魔物は退散退散~」

というお決まりのセリフを吐き、澪先輩を連れて部室から出ていきました。

「じゃあ私も、退散退散~」

何がそんなに面白いのか、ムギ先輩がにこにこしながら、ルンルンと部屋から退出していきます。
ちょっと変な感じなっちゃったな、と一瞬反省したけど、今はそれどころじゃありません。

「唯先輩!」

声に力が入ります。

「あずにゃんなにー?」

ほわほわとした口調に、思わず言葉が詰まってしまいました。
くらくらするとほど眩しい笑顔と、純粋さがにじみ出ているその瞳。
あなたはうんち食べておなにーしますか?なんてとても言えない。
……ううん、負けちゃだめです。
これを確かめないと、話が先に進まないのです。

「先輩は、うんt……えっと、オナニーしますか?」

うんちという言葉を寸前で飲み込みます。
とりあえず、当たり障りのない話題から。
焦らずゆっくりいこう。
大丈夫、時間はまだまだあります。
唯先輩が首を傾げて、おなにー?と聞き返しました。
時間差で先輩の頬がだんだんと紅潮していくのがわかります。

「お、おなにーってその、あのオナニー……だよね?」

言い終わった頃には、先輩の顔は破裂しそうなほど真っ赤になっていました。
この反応は……やっぱりまだ目覚めてないんですね。
胸の内から少しだけ湧いた寂しさを、そのために私がいるんじゃないかと無理やり抑えつけます。
私は唯先輩に微笑みを返し、先の質問に答えます。

「はい。女性器、私はいつもおまんこと呼んでますが……、そのおまんこの中に指を入れたり、クリトリスを刺激したりするアレです」

火照った顔のまま、クリトリス?と疑問を口にする唯先輩。

「クリトリスというのは、おしっこの穴の上についてる、ぽっちりしたやつの事です」

あれって、クリトリスっていうんだ、と素直に感心した様子で唯先輩が呟きました。

「そ、それで……あずにゃんはその……オナニーのことで悩んでるとか、そういうことなのかな……?」

反射的に否定の言葉を口にしようとしましたが、思い直します。
この勘違いは……使えますね。
私の心の中で舌を出します。
それを失礼だなんて思いはしません。
だって、最終的には全て唯先輩の為になるんですから。

「そうなんです。私、最近オナニーに嵌っちゃってて、酷いときは勉強も手につかないくらいで……。最初は、こんな事じゃいけない、オナニーをやめようって思って我慢してたんですけど、それも続かなくって」

頬を赤らめながらも、私の話を真剣に聞いてくれている唯先輩。

「でも、こんな事誰にも相談できないし、私不安で……。今日も、お母さんに言われたんです。最近成績が落ちてるみたいだけど、どうなってるんだって」

笑顔がかわいくってちょっと天然で、でも誰よりも優しい、私の自慢の先輩。
そんな唯先輩を、私は、完膚なきまでにぶち壊し、そこが天国だと思う程に徹底的な地獄を味わってもらう。
それが、唯先輩が本来の姿を取り戻す為の一番の近道。
唯先輩と視線を合わせながら、私は改めて確信にいたりました。
この顔が快楽に歪み、うんちをおいしそうに頬張る姿を想像して、私の心は跳ねます。

「自分でも怖いんです。部屋で普通に過ごしているだけで、勝手に手がおまんこに伸びて……!」

思ってもいない言葉を並べながら、私の両目からは涙が零れていました。

「わ、わたしどうしたらいいか……!うぅっ……唯、せんぱい……」

それは、私がやろうとしている事への罪悪感がそうさせたのでしょうか。
いえ、きっと違います。
唯先輩を本来の道へ導けるという代え難い幸福が、涙という形で流れ出ているにすぎない。
そう考える方がよほど自然でしょう。

「……うん、あずにゃんの気持ちはわかった」

話してくれてありがとうね。
そう言って、唯先輩は私の頭に手を置き、赤ちゃんをあやすように優しく手を動かします。

「あずにゃんはずっと辛かったんだね」

私は、しゃくり上げながら唯先輩の胸に体重を預けます。
唯先輩の空いていた方の手が、私の背中に回りました。
オナニーとは違った気持ちよさが私を包み込みます。

「でも、大丈夫だよ。私にも、今すぐ解決する方法なんてわかんないけど、二人で一緒に探そう?諦めなければきっと」

泣いている私を、別の私が見下ろします。

―――なんて安い芝居。おべんちゃらも飽きてきた。ねえ、そうでしょう?

私はポケットに手を入れ、リモコンのスイッチをONにしました。
激しい揺れが、おまんこに甘い快感を届けてくれます。

「……オナニー」

「え?」

聞き返す唯先輩に、私は答えます。

「唯先輩と、オナニーしたいです」

それは、それまでの関係性を容易に壊す、爆弾のような言葉。
それでも唯先輩は、その言葉を聞いて、笑顔で、こう言いました。

「うん、いいよ」

―――危険だ。

私の脳裏にレッドアラートが鳴り響きました。

―――唯先輩を壊すという、崇高な使命。その意図の悉くを、きっとこの女の存在が邪魔をする。

根拠のない予感。
矛盾に満ちた不安。
二つがぐちゃぐちゃに混ざり、私の脳を焼きます。

―――この女を今すぐ黙らせろ。

この声は誰がしゃべっているのでしょう。
私の声に限りなく似ているので、やっぱり私の声なのかもしれません。
じゃあ、この殺意すら込められた感情も、私のものなんでしょうか。

バチンという手ごたえと共に、唯先輩が悲鳴を上げました。
先輩の眼がグルリと白目を剥き、そのまま後方へ倒れて……。
慌てて抱きかかえます。
その瞬間、私は大きな絶頂を迎えました。
身体がビクンビクンと跳ねます。
言葉にならない言葉を発し、膝が砕け、座り込みます。
気付けば……私の手には、いつの間にかスタンガンが握られていました。
感電オナニーの為に買った、いつかのスタンガン。

―――気持ちよかったね、梓

うん、とても気持ちよかった。
私は息を整えながら、絶頂の名残を噛みしめます。

―――唯先輩を壊すのは気持ち良いね。

ローターの助けもあったけどね。
私がえへへ、と笑うと、私の声も、あはは、と笑います。
本当によかった。これで、思う存分、唯先輩を救えるんだ。

バタバタとベッド揺らす音で、私は目を覚ましました。
時刻は朝7時。
見ると、拘束されていない両足を使って、乱暴にベッドを叩きつけています。

「唯先輩、おはようございます」

笑顔で言った私の言葉に、一瞬頬の力が緩んだのも束の間、唯先輩は抗議するように足をバタつかせます。

「やめてください。お母さんに気付かれてしまいます」

それを聞いた唯先輩は、唯一の道を見つけたとばかりに、身体全体で無茶苦茶な衝撃をベッドに与えていきます。

「やめてくれないと、またこれを使わないといけなくなります」

私は、充電してあったスタンガンを手に取り、電源スイッチを入れます。
バチバチと青い火花が散り、それを見た唯先輩の動きが止まります。
その顔見ると、耐え難い恐怖に、表情筋がガチガチと強張っているのがわかります。

「それでは、私はご飯を食べて学校に行ってきます。唯先輩は……お留守番ですね」

「―――っ!?!?」

唯先輩が何かを訴えるように目を見開いています。

「あ、大丈夫ですよ。トイレには行けませんが、ちゃんとおむつをしているので、うんちとおしっこの心配はいりません」

「―――!!  ―――!!!!!!」

なおも不満げな唯先輩を見て、私はあることに思い至ります。

「そうだ、ちゃんと両足も縛っとかないと……」

ビクリと身体を震わせる唯先輩。

「昨日の先輩素直じゃなかったから、こんな事しないといけなくなったんですよ……っと、あったあった」

私は押入れの中から、小学校低学年の頃使っていた短めの縄跳びを取り出しました。
あ、ちなみに、腕をしばっているのは中学生の時のものです。

「いまから足を縛りますが、”暴れないで”くださいね?」

私の言葉を聞いて、スタンガンの恐怖が蘇ったのか、唯先輩はコクリと頷きました。
やっと素直になってくれた。
今は恐怖による支配でしかないけど、それでも一歩前進だ。
両足を縛りながら、私は嬉しさでいっぱいになり、自然と笑顔になってしまいます。
ものの五分程度で両足を縛り終えた私は、唯先輩の頬に行ってきますのキスをして、部屋を出ました。



あずにゃんが部屋を出てから五時間。
いつもなら、学校でお弁当を食べている頃だ。
……お腹減ったな。
お菓子ぐらい置いていってくれればいいのに。
そう思っても、お腹が満たされることはない。
そもそも、私は今両手が使えないじゃないか。
無駄な思考はやめて、他の事を考えてみる。
学校のみんな、心配してるだろうな。
何の連絡もないまま休んじゃったんだもん、さわちゃんにも迷惑かけちゃった……。
結局、丸一日家に帰れなかった。
いつ帰れるかもわかない。
憂、泣いてるかもしれないな……ごめんね、憂。
そしてあずにゃん。
本当に、どうしてこんなことになっちゃったの?
私にこんなことをして、一体どうしたいの……?
わからないよ……あずにゃん……。

更に五時間が経った頃。
私は、強烈な便意と戦っていた。
嫌だ、出したくない!
おむつの中になんて絶対いやだ……。
とはいうもの、押し迫る生理現象に、いつまでも抗うことはできない。
現に、おしっこはもう漏らしてしまっていた。
でもやっぱり、うんちだけは……お願い、あずにゃんが帰ってくるまで、なんとかもって……!
丁度その時、部屋の扉が開き、あずにゃんがひょっこり顔を出した。

「唯先輩、ただいまです」

良かった!帰ってきてくれた!!
私は全身で便意を表現する。
お願い、あずにゃんわかって!
私をトイレに行かせて!!

「んん?」

あずにゃんが私の反応を見て、思案する。

「ちょっとわかりませんね。何を伝えたいんですか?」

わからないならガムテープを取ってよ!!
そう叫びたいが、今はそれすらも叶わない。
私は下半身をぐねぐねもじもじさせて、大げさに震えてみせる。
もう必死だった。なりふり構っていられない。

「ああ、うんちですね!」

私は思わず目を輝かせた。
そう!そうだよあずにゃん!
だからトイレに行かせて!

「わかりました、ちょっと待っててくださいね」

あずにゃんが部屋を出ていく。
私の事はおばさんに内緒みたいだし、おばさんの様子を見に行ってるんだろうか。
そうこうしているうちにも、便意は確実に迫っている。
肛門付近の強烈な異物感が鈍痛となって下腹部に響く。
もう何秒もつかわからない。
額にじっとりと脂汗が浮かぶ。
もうだめかもしれない。
早く、あずにゃんはやくしておねがいだから……。

「お待たせしました!」

相当急いでくれたんだろう、あずにゃんは息を切らせて部屋に戻ってくるなりこう言った。

「今外しますから、もうちょっと我慢してくださいね!」

それを聞いて、私は心底安堵した。
ああ、良かった。
ずっと我慢してたのは無駄じゃなかった。

「じゃあ唯先輩、ちょっと腰を浮かせてくれませんか?」

私は言われた通りに腰を浮かした。
あずにゃんはその空間に、分厚いクッションを差し込む。
いいよ、なんだってする。
トイレにさえ行かせてくれればなんだって……。

「今度は足を開いて立てください」

言われるまま両膝を曲げ、足を立てた。
クッションによって浮いた腰も相まって、分娩台に寝かされているような気分になる。
あずにゃんが、外しますよーと良いながら、おむつを外していく。
もう何も考えられない。
出そう、もう、出ちゃう。

「さあどうぞ!思う存分出しちゃってください!」

え、いいの?
出してもいいの?
やった!もう我慢しなくていいんだ!
嬉しい……!

―――ぶぼぼぼばばばばばばぶりぃぃいぃ

そんな下品な音を立てて、私の肛門は決壊した。

「すごい!まだまだ出ますよ唯先輩!」

あずにゃんのはしゃいだ声が、今の私には福音のように感じる。
あずにゃん、助けてくれてありがとう。
そんな微睡んだ思考は、当のあずにゃんの一言で現実に引き戻された。

「良かったですね、唯先輩。これで今日のごはんができた」

え、ごはん?
見ると、透明なタッパーに、私のうんちがこんもりと入っていた。
異常な光景にを目にし、だんだん思考力が戻っていく。
あれ、私、トイレに行くはずだったのに、なんで。
縄跳びを外してくれるんじゃなかったの……?
いやそれよりも、あずにゃんの前でうんちしちゃうなんて……。
今更ながら、死ぬほど恥ずかしい。
顔がカァと熱くなる。

「もう大丈夫ですよね、ガムテープ、取りますね」

あずにゃんはそう言うと、私の口を塞いでいたガムテープを剥がしてくれた。

「唯先輩?」

あずにゃんが私の顔を上目遣いで覗き込む。

「……は、はずかしいよ」

そう言うと、緩んでいたあずにゃんの表情が、途端に真剣なものになった。
何かを考えたあと、あずにゃんが口を開く。

「この状況、もっと他に言うことがありませんか?」

え、もっと他に言う事?
ああそうだった。

「えっと……縄跳び外してほしいかな~……なんて」

私はいつもの調子でおどけて見せる。
それを見たあずにゃんは、激昂した。

「私は唯先輩を監禁しているんですよ!?昨日なんて無理やり処女まで奪った!!
ええ、学校のみんな、憂は特に心配してましたが、ちゃんと知らない振りをしておきましたよ!!どうです?何か言いたいことはありませんかっ!?!?」

いきなりのあずにゃんの変化に私は目を丸くする。
勢いに気圧され、心臓が縮まる思いだ。
だけど、怒気の中にも、まっすぐな真剣さを感じたから……逃げずに考えてみようと思う。
私は、昨日からの出来事を頭の中で振り返った。
あずにゃんに、オナニーの相談をされたこと。
気が付いたらあずにゃんの部屋で、思い出すのも嫌なぐらい、私は酷い事をされた。
お腹すいてるのにおやつすらくれなかったし、トイレにも結局行かせてもらえなかった。
……言いたいことは色々あった。
けど、もう過ぎたことだから。
それに、私ここで寝ている間一生懸命考えてみたんだ。
あずにゃんはきっと、私をこうしなくちゃいけない理由があったんだよね?
それが何かは流石にわからないけど……あずにゃんは、なんの意味もなくこんな酷い事する子じゃないもん。

だから、それはいいんだよ。
そんなことより私ね、あずにゃんのそんな顔を見るのは、やっぱり辛いよ。
だから……。

「あずにゃん、泣かないで」

拘束されているのがもどかしい。
本当なら、昨日のように頭を撫でてあげたかったのに。
私は代わりに、できるだけ優しい笑顔を、あずにゃんに向けた。

「―――っ! やめてくださいよ!!!」

ピシャリと、あずにゃんが叫ぶ。

―――梓、何かあったー?

遠くから声(おばさんかな?)が聞こえる。
あずにゃんが血相を変えて扉を開き、大声で言った。

「虫が出たからびっくりしただけだよ、気にしないでー!」

すぐに扉を閉め、私の方へと向き直るあずにゃん。

「唯先輩、一つ……いえ、いくつか質問があります」

泣きはらした目を拭いながら言うあずにゃんに、私は無言で頷く。

「ではまず、唯先輩はオナニーがどれくらい好きですか?」

オナニーがどれくらい好きか。
普段なら絶対答えられない恥ずかしい質問だけど、これ以上ないってくらい恥ずかしい体験をしちゃったんだし、いいよねこれくらい。

「好きか嫌いかで言うと、やっぱり好きかな。うーん……家族と、友達と、軽音部の次ぐらいに」

あ、さわちゃんもね。
そう付け加えておいた。
しばらくの間を空けて、あずにゃんが言葉を紡ぐ。

「……次の質問です。私は、今先輩が言ったほとんどよりも、オナニーが好きです。自分でも、病気かなって思うぐらい好きなんです」

私は、黙ってあずにゃんの話を聞き、次の言葉を待った。

「いつもオカズは唯先輩です。大好きなオナニーのオカズを大好きな唯先輩に設定すると、とても気持ちよくなれて、幸せなんです。
もう他はどうでもよくなるくらいに。でもそのせいで、日常生活がどんどん崩れて行って、成績も落ちて……。こんな私を、唯先輩はどう思いますか……?」

「救いたいと思うよ」

間髪入れず、真面目に、私はそう答えた。
だって、幸せを語るあずにゃんの顔はとても悲しそうだったから。
そんな歪んだ幸せ、きっと間違ってる。

「私に何ができるかは、わかんないけどね」

そう言った私は、苦笑交じりにペロリと舌を出した。
でも、あずにゃんを救いたいという気持ちに嘘なんてなかった。
それだけは信じてほしい。
そう願って視線を戻すと、あずにゃんは暗い面持ちで一言、こう言った。

「なんですか、それ……」


「すごい!まだ出てますよ、唯先輩!」

私は、目の前で行われる痴態に、集中していました。
少しでも、記憶に焼き付けられるように。
これが……夢にまでみた唯先輩のうんち。
強烈な音とにおいが部屋中にあふれ、手にはずっしりと唯先輩の重みを感じます。
これを頬ばることができたら、どんなにいいだろう。
どんなに……幸せなことだろうか!
ああ、でも、だめです。
これは唯先輩のうんち。
ちゃんと唯先輩に食べてもらわないと。

「良かったですね、唯先輩。これで今日のごはんができた」

精一杯のやせ我慢で、そう言いました。
本当は食べたかったけど、なんとかその衝動を抑えます。
あ、そうだ、食べてもらうには口を自由にしないと。
見ると、唯先輩はしおらしく身体を震わせています。
この感じだときっと大声も出さないでしょう。

「もう大丈夫ですよね、ガムテープ、取りますね」

私は唯先輩の口元のガムテープに手をかけます。
手をかけた瞬間、それまでの興奮が一気に醒めていくのを感じました。

―――これを外せば、唯先輩は。

昨日の部室での記憶が蘇ります。

―――だめだ。絶対に外すな。

私の声が必至に私を止めようと唸りを上げます。

―――その女の言葉は危険だと言ってるんだ!やめろ!

そうですね、危険です。
私は唯先輩にたくさんの酷い事をしました。
だから、唯先輩の言葉はきっと私を傷付けるでしょう。
でもそれを恐れていたら、前に進むことなんてできません。

―――壊せるのか、この女を!?

当たり前です!
私は、このくだらない世界から唯先輩を壊すことで救い、導く事を決意した。
全ては唯先輩の為に、必要な過程。
だったら、何も怖くなんかない!
ベリッと、ガムテープを一気剥がしました。
唯先輩の、可愛らしい唇が露わになります。

「唯先輩?」

私は、生唾を飲み込み、先輩の言葉を待ちます。
何を考え、何を言おうと、それは唯先輩の自由。
だから、私はそれを真っ向から受け止めなきゃいけない。
乗り越えて、前に進まなきゃいけないんです。
唯先輩の口が開きました。
私の心の底と同じく、ゆっくりと、震えながら……。

「……は、はずかしいよ」

……私は耳を疑いました。
監禁され、めちゃくちゃに痛めつけられ、辱められ……その第一声が、それですか。
失礼ながら、唯先輩の正気を疑わざるを得ません。

―――やめさせろ!口をふさげぇぇ!!

私は、私の声を無視し、極力冷静に努め、こう聞き返します。

「この状況、もっと他に言うことがありませんか?」

何故か鼓動が早くなってきました。
どうしたらいいんですか、これは。
唯先輩は何を考えている?
本当に頭がおかしくなったのでしょうか?
色んな疑問が矢継早に脳裏を通り過ぎ、その度に言い知れぬ不安を覚えます。
今更ながら、やっぱり私の声の方が正しかったんじゃないかと思えてなりません。

「えっと……縄跳び外してほしいかな~……なんて」

ですが、私ももう引っ込みがつかないのです。
膨れ上がった不安を無理やり怒りに変え、私は吠えました。

「私は唯先輩を監禁しているんですよ!?昨日なんて無理やり処女まで奪った!!
ええ、学校のみんな、憂は特に心配してましたが、ちゃんと知らない振りをしておきましたよ!!どうです?何か言いたいことはありませんかっ!?!?」

縄跳びは外してほしい!?それはそうでしょう!けど、もっと、他に……!!

「あずにゃん、泣かないで」

そう言って先輩は、にっこりと微笑みました。
そこで私は、自分が泣いていることに初めて気づいたのです。

「―――っ! やめてくださいよ!!!」

もう訳がわかりませんでした。
この感情はなんなんでしょうか。
止めどなく涙が溢れてきます。
泣きたいなんて、これっぽっちも思っていないのに。
その時でした。

―――梓、何かあったー?

リビングから、お母さんの声がします。
きっと、私が大声で叫んでしまったので心配させてしまったんでしょう。
私は慌ててドアを少し開き、少し声を張って、なんでもない事を伝え、またドアを閉じました。

―――危なかった。
今ので心配したお母さんが部屋に押し入り、全部がバレていたらと考えると、血の気が引く思いです。
もっと冷静にならないと。
それに、唯先輩の事をもっと知らなければと思いました。
思えば私は、唯先輩に自分の考えを押し付けてばかりでした。
ガムテープで口を塞いでいたのだから、当然と言えば当然ですが……。
でも、それが悪いとは思いません。
何度も言いますが、それが唯先輩にとっての救いであり、導きとなります。
ですが、少し急ぎすぎていたのではないでしょうか?
もっとゆっくりでいいじゃないですか。
時間は、いくらでもあるんですから。
冷静さを取り戻した私は、唯先輩に質問を投げかけました。

「唯先輩はオナニーがどれくらい好きですか?」

これは、最初から聞きたかった事でした。
昨日の学校でのやり取りがである程度予想はつくけど……。
純粋に興味があったのです。

「好きか嫌いかで言うと、やっぱり好きかな。うーん……家族と、友達と、軽音部の次ぐらいに。あ、さわちゃんもね」

えへへ、と笑う唯先輩。
やっぱり、こんなところでしょうね。
私は心を切り替えて、話を進めます

「……次の質問です。私は、今先輩が言ったどれよりも、オナニーが好きです。自分でも、病気かなって思うぐらい好きなんです」

言いながら、私は胸中は混乱にかき乱されていました。

―――待て梓、お前は何を喋ろうとしている?

私にもわかりません。
私の以外の誰かが、勝手に口を動かしているような、奇妙な感覚。
次第に、恐怖や絶望にも似た感情が、私の中に渦を巻いていきます。

「いつもオカズは唯先輩です。大好きなオナニーのオカズを大好きな唯先輩に設定すると、とても気持ちよくなれて、幸せなんです。他の事がどうでもよくなるくらいに」

―――やめろ、梓、お前まで邪魔をするつもりか!

違う!でも止まらないんです!

「でもそのせいで、日常生活がどんどん崩れて行って、成績も落ちて……」

日常生活、成績。
そんなものどうでも良かったはずなのに!
私はこの身勝手な口を呪わずにいられませんでした。
悔しくて、またも泣きそうになってしまいます。

「こんな私を、唯先輩はどう思いますか……?」。

「救いたいと思うよ」

半ば以上錯乱していた私の問いに、唯先輩は真剣な眼差しでそう答えました。
奇しくもそれは、私が唯先輩に対して募らせていた想いと同じ。
鼓動がどんどん早くなり、早鐘を打つようになるまで時間はかかりませんでした。

―――救いたいって、私をですか?

息が詰まります。
何故か唇が痺れてきました。

―――救われて、導かれなきゃいけないのは唯先輩の方なのに。

頭がクラクラしてきました。
多分、軽い酸欠を起こしているのでしょう。
息が苦しい。
もう耐えられそうもありません。

「私に何ができるかは、わかんないけどね」

その瞬間、ブツリと、私の中の何かが弾け飛びました。
さっきまでの前後不覚が嘘のように、思考がクリアになっていきます。
息が正常に戻り、喧しかった心臓も静かになっていきました。
私は、静寂に包まれた頭の中で、一番大切な事は何かを、今一度考えました。
その答えは、思ったより簡単に浮かびました。
唯先輩が、うんち食べながらおまんこをぶっ壊すのが大好きな、豚以下の糞女になる事。
なんだ、簡単な話じゃないですか。
私は、ずっと前からそうなれば良いと思っていましたよ。
さて、私は先程の唯先輩の言葉を振り返ると同時に、言い知れぬ不快感に支配されました。

「なんですか、それ……」

そのせいでしょうか、思わず軽蔑の言葉が口をついてでました。
救いたいと思うよ。
とはどういう意味でしょうか。
私は唯先輩に救われたいなんて思っていません。
私も最早、唯先輩を救いたいとか導きたいとは思いません。
私は唯先輩をぶっ壊したいだけなんです。
そして次。
私に何ができるかは、わかんないけどね。
との発言から察するに、何かしたいようですけれども、残念ながら唯先輩は何もできません。
できることを強いて言うなら、オナニーとうんちを食べる事ぐらいです。
私が必ず、そういう風にぶっ壊してあげます。
私は、手に持っていたタッパーを、唯先輩の顔のすぐ横に置きました。

「唯先輩、昨日のお茶会から何も食べてないし、お腹へってますよね?それ、今日のごはんです」

そう言って私は縄跳びを解き、右腕だけ解放してあげます。
ゆっくり食べてくださいね。
私は、振り返りもせずに部屋を出ました。

お姉ちゃんが消息を絶ってから、今日で一週間が過ぎた。
捜索願も出しはしたが、警察からは何の音沙汰もない。
私は今、絶望の真っ只中にいる。
そんな私の胸中を慮って、友人たちは明るく振る舞ってくれる。
私には、それが耐え難い苦痛だった。
気遣ってほしくなんてない。
そんな無理に気を遣うぐらいなら、いっそ私の事なんて放っておいてほしい。
……最近私はいつも、梓ちゃんと休み時間をすごす。
梓ちゃんだけは、前と変わらずに接してくれる。
私が憂鬱な表情をして、ロクに返事をしなくても、それがどうしたといわんばかりにいつもの調子。
そのおかげで、少し気が紛れる。
一週間前に比べると、笑顔を浮かべる回数も増えた。
我ながら、まだぎこちないけどね……。
ともかく、私は梓ちゃんにある程度の感謝の念を抱いていた。

ある買い物帰りの夕方、いつもの道が工事で通行不可になっており、仕方なく遠回りをして帰ることにした。
遠回りしたその道には、梓ちゃんの家があった。
その事を思い出した私は、遊びに行くわけでもないのに、少しだけ心が踊った。
……今、どうして私は心が躍ったんだろう?
お姉ちゃんがいなくなってできた穴を、梓ちゃんで埋めてしまおう。
もしかすると、そういった安易でずるい考えが、私にはあったのかもしれない。
そんな事を思いながら、梓ちゃんの家を通り過ぎようとした時、私は聞いてしまったのだ。
探し求めていた、お姉ちゃんの声を。
ばっと梓ちゃんの部屋の窓に視線を合わせる。
カーテンの隙間から部屋の明かりが漏れてはいるものの、中の様子を伺う事はできない。
目を閉じて、耳を澄ます。
さっきの声も、くぐもっていて、かなり小さかった。
私の耳に届いたのも、単なる偶然だろう。
しかし、確かに聞いたのだ。
こと、お姉ちゃんの事において、私が間違うはずない。
あれは絶対お姉ちゃんの声。
それからしばらく瞑目したまま立っていたが、更なる声を拾うことはできなかった。
勘違い、だったんだろうか。
―――幻聴。
認めたくはないが、今の私の精神状態だと否定はできなかった。
丁度不謹慎な事を考えていたところだったし、私の良心がそれに対して警鐘を鳴らしたのかもしれない。

「帰ろう」

いつまでもここにいても仕方がない。
それに、家の前にずっと突っ立ってるなんて、不審者もいいところだ。
そこまで考えた私は踵を返し、帰路についた。



さらに一週間ほど過ぎた夜。
インターホンが鳴った。
こんな時間に誰かくるなんて珍しいな。
お待ちくださーい、と言葉だけ返し、ある程度の用心をもって、扉を開けた。
……私の頭はおかしくなってしまったんだろうか。
幻聴に留まらず、幻覚まで見えているのだろうか!?
そこにはなんと(ああ信じられない)、お姉ちゃんの姿があった。

「えへへぇ、うい~、ただいまあ」

その声に引き寄せられるように、お姉ちゃんを抱き締めた。
第一に思ったのが、幻覚じゃなくてよかった。
その次に感じたのは、ひどく痩せ細った身体。
よく見ると、肌は荒れ、髪の毛も若干少なくなっているように見える。

「お姉ちゃんどうしたの!?どこかで……誰かに何かされたの!?!?」

二週間、お姉ちゃんがどこか劣悪な環境で、ずっとひどい事をされていたのだとしたら……。
そんな焦燥をよそに、お姉ちゃんは涎を垂らしながら笑い、股間をまさぐっている。
ガツンと、頭に金槌を打ち付けられた気がした。
私はその時、理解してしまったのだ。

「そんなことよりねえ~、えへぇ、わたし、ういのうんちたべたいの、うふふ、いいでしょ、うい~」

もう、あの頃お姉ちゃんは、戻ってこないのかもしれない、と。


終わり

マジキチもの、というかSSを書いた事がそもそも初めてなので、ご指導等あればよろしくお願いします。

あれはすんませんでした(;´Д`)

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