道具屋「薬草10G、毒消し草は15G」 (66)



それがこの店の全商品だ。それ以外はおおよそ必要ない (あとは適当な雑貨が並ぶこともあるが、たまにである)


何てったって王都からも魔界からも遠く離れた小さな町

後ろにそびえる山脈以外は特筆することのない町、正直に村といってもさしつかえないトコの一軒の道具屋だ


道具屋「へいいらっしゃ~い…」


何て言わなくても客はくるときはくるし、来ないときは来ない


日がな一日、のんびりと店番をして
知り合いの農家まで馬車を走らせる時以外は暇なものだ。


ただ、

道具屋「退屈だなぁ…平和が一番、なんだけどさ」


あまりに動かずにいると体がなまってしまうので、昼飯どきは決まって店を離れてどこかへ食べにいく

これが日課だった。

飯時くらい店を空けても、どうせウチの店に飯を食いに来るやつなんぞいないからな



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「おい聞いたか?このごろ西の森でやたら毒サソリの魔物が出たって」


「ああ、何人か見たらしいな、まったく困ったもんだよ」


道具屋「………」


散歩していると、何人かの冒険者らしき男達がそんなことを話していた。

なるほど、朝方やってきたお客さん達が、やけに毒消し草を大量に買っていったのはそのせいだったのか

おかげでまだ昼時だというのに毒消し草は売り切れた。ありがたい話である。


道具屋「まあ臨時収入だわな、今日は久しぶりにいい酒でも飲めそうだ、うん」


少し分厚い財布を持って、酒場への道を歩く


「…あ、こんにちは、道具屋さん」


その途中、広場にさしかかったときに偶然にも知り合いに遭遇した。


道具屋「あ、ああ、こんにちは…僧侶さん」


僧侶「道具屋さんは、今からお昼ご飯ですか?」


道具屋「まあ、はい」


彼女はこの近くの小さな教会で働いている僧侶さん、美人で気立てのよい娘さんだ。


僧侶「そうなんですか、お食事はあちらの酒場で?」


道具屋「ええまあ、もう教会のお世話にならない程度には稼げるようになったので」


僧侶「ふふ、それは何よりです」


道具屋「もう随分前ですか…」


僧侶「ええ、もうすぐ2年になります」


道具屋「本当、そのことを思い出すとあなたには頭が上がりません」


僧侶「そんな、私は教会のものとして、当然のことをしたまでです」


道具屋「……そうですか」


ひとえに、今こうして商いで生活出来ているのは彼女のおかげである。

彼女の親切があったから、

と同時に、もう彼女の世話になるまいと思ったからまた商売を再開できたといっていい


僧侶「…はい、えへへ」


道具屋「………」


そこに下心がなかったかと聞かれれば、俺はうつむくしかないが


僧侶「あ、それで…道具屋さんにお話があったんですけど」


道具屋「は、はいっ、何でしょうか」


僧侶「?」


そんな期待するような話をするわけはないのに、
思わず情けない声を出してしまった。


道具屋「いえなんでもありません、それで話とは?」


僧侶「はい、あの…すみませんが、毒消し草をいくつかお譲りしていただけないかなと…思いまして」


申し訳なさそうに、僧侶さんがそう言った。


道具屋「毒消し草、ですか?」


僧侶「はい、実はその…もうすぐ教会で儀式を行うので、その供物として毒消し草が必要になって」


道具屋「ああ、なるほど」


僧侶「でも、今回に限ってはなんだかどこへいっても毒消し草だけ見つからなくて、道具屋さんのところも無いと…噂では聞いていたのですが」


道具屋「………」


僧侶「あの、不躾で申し訳ないんですが、道具屋さんの備蓄にもないのでしょうか」


みると、彼女の顔にはうっすらと疲労の色が滲んでいたことにようやく気づいた。



教会にとって、儀式を執り行うことはとても大事なことだ。

それが出来なければ、教会は神の恩恵を失うかもしれない


道具屋「……不躾だなんて、そんな…」


さて困った、なぜなら午前中でココこそ商機と思い、備えの毒消し草まで放出してしまったからだ。

商品は飛ぶように売れ、売り切れの看板をだしてもまだ客が来るものだから

もっと仕入れておけばと後悔したほどだ


僧侶「……………」


道具屋「………」


そして俺は今、さらに後悔を重ねていた。

いっそ売れ残るくらい仕入れていればよかったと


僧侶「…あの」


道具屋「すみません、うちも……その」


僧侶「い、いえっいいんです、道具屋さんも商売なんですから、仕方ありません…」


道具屋「ぐっ…」


さすがは神様の徒だ、こちらの本心を平然と突いてくる。

悪気は微塵もないのであろうが、その純真さが今は堪えた。


僧侶「えと、それでさっき酒場の方へ行ってきたんですけど…」


道具屋「…ああ、掲示板ですか?」


僧侶「はい、酒場の掲示板に依頼として、もし何か事情が変わったときには道具屋さんもお願いします」


道具屋「はい、ぜひにも」


ギルド、というほど大したものでもないが

酒場には掲示板が設置されていて、なにか入り用がある人はそこへ依頼を出すことが、ここでは多い

道具屋としてもよく利用しているところだ。


僧侶「それでは、失礼します」


道具屋「はい、僧侶さん」



僧侶さんと別れたあと、酒と飯の匂いに誘われるかのように酒場へ足を運んだ。

中は飯時ということもあって、羨ましいほどにまずまずの客入りだった。


店主「あら?いらっしゃ~い、道具屋ちゃん」


道具屋「どうも、店主」


店主「もう、他人行儀ねぇ、ちゃん付けて呼んでくれてもいいのに」


道具屋「あ、あはは」


ここの店主は、気風がよく、世話焼きで人望も厚い人で、客の評判は上々である。

酒の揃いも悪くないし、何より店主の作る料理の味に惚れこんで足繁く通う客も多い。


店主「んもぅ、つれないのねぇホント…ウフフ、それで?今日は何にするの?」


道具屋「……ええ、じゃあホットサンドを」

店主「は~いっ」


これで店主が女ならなあ、と嘆くのはここでは定番の冗談であった。

浅黒い肌にスキンヘッド、口ひげをたくわえて、筋骨隆々

そんな店主がエプロンを着て厨房で調理している。ホント、まるっきり冗談である


「最近は女も子供も、身の丈ほどの大剣を振り回してるのにな」

「んだんだ」


道具屋「…………」


そんな店主を横目に、カウンター脇の掲示板を見てみる。


道具屋「あった、これか」


確かに掲示板の隅に、控えめな感じで貼り付けられていた紙に丁寧な文字で要件が書かれていた。

"毒消し草が 3つほど必要です。報酬は 50G

教会より"


道具屋「…………」


店主「はいおまちど~、あら?何か都合の合いそうな依頼でもあったの?」


道具屋「へ?…ええあぁ、まあ」


なるほど、3本で50Gなら悪くない話である。

もし在庫があったなら迷いなく応えただろうにと

余計に惜しいことをしたと後悔ばかりつのった。


道具屋「ハァ、まあいいや、今日はいつもよりいい酒飲むかな」


店主「あら、昼間っから太っ腹ねえ、何かいいことでもあったの?」


道具屋「まあなぁ、うん」


儲けなのは違いない、最後にとびきりの大物を逃した形になってしまったが

しかし教会も決して余裕があるはずもないだろうに、大変な話だ



ちょっとだけ酒を飲んで気も晴れた。

酒場を後にして自分の小さな店に戻ると"Close"と書かれた板をひっくり返して"Open"にする。


道具屋「はぁあ…っと」


とはいえ、開店しておいてももはや薬草くらいしか売るものもないのだが

もう少し商売に余裕ができてきたら別の品にも手を出してみようとは思うが


以前それで失敗した経験もあったので、いやでも慎重になる


道具屋「……ふむ」


戦士「…お、薬草屋さんやってる?」

魔法使い「店長、こんにちは」


道具屋「ん?…ああ、いらっしゃい、薬草屋さんいうな」


一息ついて腰を落ち着けた頃に、顔なじみの客がきた。

男と女、うらやましい2人旅をしている知り合いの冒険者だ



道具屋「どうだった?東の洞窟探索は」


戦士「まあね、実入りのいい冒険だったよ、素材も結構手に入って武器も新調できたし」


道具屋「そりゃよかった、んで?うちには何の、用、で…」



お客とのささやかな雑談に花を咲かせようと思ったさなか、

視線が、鎧を着た男の傍らのローブ姿の彼女へと吸い込まれた。


魔法使い「?」


女は、やけに大事そうに3本の花を抱えていた。

脇目に見てもわかる、それは間違いなく花をつけた毒消し草であった。

商売道具であるから見間違えようがなかった。


戦士「薬草が切れたんでそろそろ補充にと、あれ?店長?」


道具屋「あ、ああ…なるほど、ところでその大事そうに抱えている花はどうしたんだ?」


魔法使い「これのこと?あ~…これはね」


戦士「あ、っと」


魔法使い「こっちの連れがさ、よその冒険者に色目使ったから、私不機嫌になっててね、それで」

戦士「……ん"っ、ん"!」


彼の下手な咳払いを無視するに、ようは男のご機嫌取りの賜物らしい


草むらに咲いた花を摘んで

戦士『どうかこの花に免じて許してくださいっ』


魔法使い『…もうっ』


といった具合だろう、うらやましい話だ



魔法使い「勘違いしないでよ、まだ私の機嫌がなおったわけじゃないんだから」


戦士「え、えぇ~だから悪かったっていってるのに…」


道具屋「………」


さて、この痴情のもつれはどうでもいいとして、
何となく、ここは一つ考え所のような気がした。


道具屋「なるほど、そういうことなら…ものは相談なんだが」


戦士「ん、何か?」


道具屋「その毒消し草、ぜひ買い取らせてもらいたいんだが」


魔法使い「え?これを…?」


道具屋「まあ…こっちも入用でな、うん」


戦士「……へぇ」


急に商談をふっかけて、当然ながら相手は訝しんできた。

というよりは、何かこっちに思惑ありと踏んでいる顔をしている。


戦士「それはまた、道具屋が毒消しを切らすなんてお笑いだね店長」


道具屋「そこはほっとけ、んで?売ってくれるのか、どうなんだ」


戦士「だってさ、どうする?その」


魔法使い「じー…」


戦士「な、なに?顔に何かついてた?」


魔法使い「…………別に」


戦士「…?」



女にしてみれば、たとえ野草の花でも折角の男からのプレゼントなのだから

普通の価格を提示してもいい顔をしてくれないだろう


道具屋「どうだろう、通常の買い取りなら15Gの半値以下、7Gのところを10Gというのは」


戦士「ふぅん、悪くない話だな、それは…」


魔法使い「…………」


道具屋「ただし、その持っている3本をまとめて売ってもらいたい、それが条件だ」


戦士「……ふむ」


道具屋「…………」

魔法使い「………」


戦士「3本全部かぁ……2本では?」


道具屋「ダメだ、3本でだ」


戦士「……う~む」



戦士「……なら1本あたり20Gでは?」


道具屋「それは冗談が過ぎる」


それでは3本合計して60Gになる、それじゃあ意味がない


魔法使い「うわ、がめつい…」


戦士「じ、冗談だって、それなら…14Gは?」


道具屋「出せても12Gだな、それくらいでないと利益が出ん」


戦士「……うーむ」


魔法使い「………」


道具屋「………どうだ?」

戦士「……うぅむむむ…」




魔法使い「……13」


戦士「え?」

道具屋「ん?」


魔法使い「13Gなら、売ってもいい…かな」


道具屋「……ええ、それならば」


魔法使い「これ本当なら私のだし、いいよね?」

戦士「お、おう、そうだよな」


話し合いの最後は、彼女の一言で決着した。


買取金額は3本でしめて39Gとなったのであった。



毒消し草を魔法使いの彼女から受け取り、お金を渡す。

つもりだったが、相手は薬草が必要だったというので、金額分の薬草を代わりに譲ることにした。


薬草を4つ、1G分はオマケにしておいた。


魔法使い「店長さん、何に要るのか知らないけど頑張ってね」


道具屋「ええどうも、ありがとうございました」


戦士「まあ多分うまい儲け話があっただろうけど、商人でもないのに首突っ込まないほうがいいのかな」


道具屋「かもな、この後はどうするんだ?」


戦士「ああ、一旦酒場へ寄ろうかなと」

魔法使い「明日は西の森を抜けて隣町で仕事だもんね、その前にいろいろと挨拶しておきたいし」


道具屋「……そうか」


これでこの後、この2人があの掲示を見たら果たして悔しがるだろうか

俺の思惑を察して酒の肴の笑い話にでもするのか

まあそれはどっちでもいいことだが。若干悪いことをしたかもしれない


戦士「じゃあの」

魔法使い「またね」


2人が店を出たあと、しばらく時間をおいてから俺も店を閉めて出かけることにした。




ほんのり日が傾いた頃、俺は教会のものものしい扉の前に立っていた。


道具屋「……すぅ、はぁ」


深呼吸してからノッカーに手をかけて、コンコンと戸を叩いた。


神父「…はい、おや?あなたは」


道具屋「ご無沙汰してます。神父様」


応対してくれたのはこの教会の神父様だった。

教会に身を寄せていた頃に世話になった方で、僧侶さんと親交があることを知っている人だった。


神父「ええ、息災でなによりなにより、あぁ…ちょっと待っていなさいな」


だからなのか、その人は奥へ引っ込むと誰か呼んでくるようだった。


道具屋「…………」


変に気をまわしたわけでも無いはずだろうに、俺はにわかに手に汗をかきはじめた。



そうしてすぐに、パタパタとこちらに早歩きしてくる足音が聞こえてきた。


僧侶「はい、お待たせしました、道具屋さん」



道具屋「どうも僧侶さん…あの」


僧侶「はい……あっ、その毒消し草は」


道具屋「はい、まあ、えと…事情が変わって、これだけ用意出来たので一応持ってきたんですが…」


僧侶「わぁ、ありがとうございます道具屋さん、これで今年もなんとかなりそうです。助かりました」


道具屋「いいえ、どういたしまして」


僧侶「さすがは道具屋さんですね、そういえば…掲示板は見ましたか?」


道具屋「はい、あぁいえ…」


僧侶「じゃあ依頼の報酬を用意していますので、今とってきますね」


道具屋「………」



道具屋「…あの」


僧侶「はい?どうかしましたか?」


道具屋「この品はその、そういうんじゃありません」


僧侶「え?」


道具屋「いやその、よく考えてみたら最近教会への寄付をしていなかったなと思って……代わりと、言ってはなんなんですけど」


僧侶「あっ、いえ悪いですよ、もう掲示に出してしまったことをそんな」


道具屋「いいんです、どのみちこの毒消しも神の御恵みみたいなもので、それを教会に返すだけなんですから」


ある種、店の儲けだってそんなようなものなのだろう
多分こうして、損失とトントンにしておくのが1番なんだと

そんな気がした。


道具屋「だから、どうぞ納めてください…僧侶さん」


僧侶「……そこまで、いうのでしたら」


道具屋「はい」




道具屋「それでは、これで」


なんだか、らしくないことをしたなと思い始めたので、恥ずかしくなる前にさっさと立ち去ることにした。


僧侶「……あの」


そこへ、背後から声をかけられたので振り返る。


道具屋「な、なんでしょう」


僧侶「その、報酬がいらないとのことですけれど、何か……ありませんか?」


道具屋「はい?何か、とは…」


僧侶「何か、金銭以外で…私にできることはありませんか?…例えば、その」



道具屋「………」


僧侶「あっ、迷惑でしたらそれでいいんですけれど、もしも…なら…」



道具屋「……なんというか」


僧侶「……はい」





昔、行商をしていた頃

いまよりも未熟だった俺は、下手な商売に手を出して、

ロクでもない連中に追い回された挙句、野垂れ死寸前まで追い詰められていた。


空腹と渇きにもうろうとして、地面に倒れ伏し

あとは魔物か野犬の餌かというところで、彼女に出会った。


僧侶『あ、あの…だいじょうぶ、ですか?』


あの頃の彼女は、まだ幼かったというのに、物怖じしながらも小汚い格好の男に水と少しのパンを持ってきてくれた。


『…………』


馬鹿で浅はかで、目先の欲すら抑えられなかった俺にだ




そうした縁があって、俺はこの見知らぬ町の教会に身を寄せるようになって

今に至るのだった。



道具屋「……変わりませんね、僧侶さんは」


僧侶「……いいえ…人は変わります、誰でも」


道具屋「そうなんですか」


そういうものだろうか

しかし、そう言われれば最近、若白髪が気になりはじめたな、なんて、そういう意味じゃあないか


道具屋「…そうだ、それなら」


僧侶「はい?」


道具屋「一緒に、お祈りをしてくれませんか?友人のために」


理由はどうあれ、この草を彼らから騙し取ってしまったのだ

旅の安全を祈願するくらいはしなければだろう


まあ、そうそうやられるような彼らではないと知ってはいるが


僧侶「は、はいっ!それならば、私の本分ですのでお役に立てるかと」


道具屋「ええ、お願いします」



僧侶「ではこちらへ、それで…そのご友人の方というのは」


道具屋「戦士と、魔法使いの2人組の冒険者なんですが…」


ーーーー
ーー



その後、持ってきた毒消し草は他の供物とともに

めでたく無事に神様へと献上されたのであった。


ついでに、神様から「もう少し、教会へと足を運んだほうがいいですよ」

とのお告げがあったことを、神父様から教えてもらった。



「ではまた、いつでもいらっしゃってくださいね、道具屋さん」


「ええ、近いうちにまた」


なるほど、しかしこんな不純な動機で訪れて
果たして罰が当たらないのだろうか、甚だ疑問である。


~西の森~


魔法使い「ええい!この!」

ボフンッ

毒サソリ「ギ、ギギギッ!……」バタリッ


戦士「うぐぉ、ど、毒が……苦しい」


魔法使い「ち、ちょっと大丈夫?!もう!調子に乗って、毒消しもないのに~!」


戦士「ぐ、ぐぐぐ、腹が…いてぇぇ」


魔法使い「も~!店長のバカー!」

パァァアアッ

戦士「ぐぐ、う?」


魔法使い「ふえっ?!な、なんか杖から」


戦士「な?治った、のか??」


魔法使い「ウソ!?なんでこんな、突然」


>魔法使い は、治療魔法を覚えた。


戦士「これは!……どういうこと?」


魔法使い「わ、わかんない…なんか怖いんだけど、自分のことながら」



終わり

キリのいいところで一旦切
書いといてなんだか登場人物全員に裏がありそうなふうに読めてしまう
特に女僧侶が




俺が店を構えるこの小さな町には、季節がくれば時々に祭事を行うの習慣があるらしく

その時期になると、町中でも少しばかし活気づいてくるのだった。


店主「ありがとね~道具屋ちゃん、ホント助かっちゃったわ~」


道具屋「ははは、いえどういたしまして」


店主「悪かったわねぇ隣町まで乗せてもらっちゃって、必要な調味料切らしちゃったの忘れるなんて、ほんとドジよねぇ」


道具屋「まあこっちの用事がてら通り道でしたんで、ついでですよ」


それよりも自分のお尻の方が心配で仕方なかった、とは言えないよなと
心の中でひとりごちる。


店主「じゃ!アナタも仕事ばっかりしてないで、たまのお祭りなんだし、店にばっかり閉じこもらないようにね~」


道具屋「ええ、まあこんなときに店に来る輩もいないので、適当には」



内股気味の酒場の店主と別れると、馬車を戻して荷物を整理した。

そしてその内の一つ、安っぽい小さな麻袋に入った、十字架の首飾りを覗き込んでみる。


道具屋「…………」



立ち寄った他所の町の出店にて、お土産に買ったものだった。誰にとは言わないが

たまの遠出ということもあり、何と無く買ってみたものの


道具屋「……さて、どうしたものか」


素直に渡してしまえばいいものを、何と無く遠回りするように

人通りの多い町の中をブラブラと歩いてしまうのだった。



聞くところによると今回のは厄除けのお祭りらしく、

思い思い魔除けの仮装をする人や、軒先をおどろおどろしく飾りつけする家もあったりと

いつもより町の風景が派手になっている。


かくいうウチの店も、一応は顔の形に穴をくり抜いたカボチャを飾ってはいるのだが、他の家ほど気合の入った装飾はできなかった。

そういう創造性を問われるようなことは苦手なのだ。


道具屋「………ややっ」


とかなんとか、まごまごしている間に何となく足が教会の前にまで向いてしまっていた。

無意識とはかくも恐ろしいものである。



道具屋『やあ僧侶ちゃん、こんにちわ』


僧侶『こんにちは道具屋さん、今日はお祭りですね』


道具屋『そうだね、ところでそのお祭りなんだけど、ぜひ一緒に見て回らないかい?』


キラーン、っていいながら懐からコレを出して


僧侶『まあ、素敵な十字架ですね……道具屋さん』


道具屋『僧侶ちゃん……』



道具屋「…………」

なんて風にコトが運べるなら、こんなところに立ち尽くしてはないんだろうけど


チラリと教会の裏手を覗いてみると、そこで何やらローブ姿の人たちが忙しなくしていて


僧侶「…うんせ、うんせ」

その中で、彼女も働いていたのだった。


道具屋「…あぁ、なるほどそうか」


どうやら、祭りで配るお菓子を作っているらしく、焼き菓子の匂いがここまで届いてきた。


とてもじゃないが、浮ついたことを語る暇もなさそうである。


道具屋「……帰るか」


その様を見て、早々と馬鹿な考えはやめようと自分の家へ帰るのだった。



通り過ぎる人々の格好はやはりというか奇妙キテレツ、見慣れないものばかりであった。


全身に包帯を巻いたり、黒のマントを羽織っていたり、海賊の格好やこのあたりじゃ不似合いのデカデカとした甲冑姿などなど

これで悪霊退散となるのだろうか、流れ者にはよく分からない文化だ。



道具屋「はぁ…っと」


やはり店のカウンターに座っているのが、いまの自分にとっては落ち着くらしい

どうせ客も来ないだろうと思って店は閉店にしておいた。



道具屋「……そういえば、どうするかな、これ」


帰ったはいいものの、ではこの無用の品となってしまった首飾りをどうするか


よくよく考えてみたら、教会勤めに十字架を送るなど

農家に鍬、釣り人に釣竿、騎士に鎧

下手に素人が安物を送って、笑われてしまうのがオチというものだ。



道具屋「というわけで…ほい」


適当に店先に置いておこう、値段は元値に5Gくらい上乗せしておけばいいか

売れなくても、魔除けくらいにはなるかも知らん


道具屋「はぁぁ……」


まあ、身の程知らずナントヤラというものか


遠くに聞こえる喧騒を窓越しにぼんやりと眺めて、今日はもうそのまま過ごしてしまおう



戦士「あらら?なんだ開いてるのか……店長いる?」


道具屋「はいよ、なんだどうした?」


とか考えていたら、間髪入れずに来客であった。

ひどく慌てた様子の戦士が一人、珍しく女の姿はどこにもなさそうだった。


戦士「いや、ちょっとトラブっちゃって、匿ってくんないかな?」


道具屋「……連れは、まあいないだろうな」


ひどく慌てた様子で汗をかいていたが、事情というのは、まあ聞かずとも想像に難くないことだろう。


戦士「流石に…察しがいいなぁ、年の功ってやつかい?」


道具屋「そこまで年寄りじゃあない、どうせ他の女の尻か胸でも見ていたんだろ?」


戦士「ご名答、ちょっと売り子のお姉ちゃんにね……そしたらもう烈火のごとくで…」


そうやって方々に手を伸ばせるところだけは素直に羨ましいというか尊敬すら覚える。

そこだけはな


道具屋「そりゃまた、悪霊もびっくりだろうな」


戦士「かもね、あれはホントに悪魔かそれか…」



戦士「……ん?」


そんな奴だったが、疲れているだろうに、カウンターの上に飾っておいた首飾りには目ざとく気付いたらしい


戦士「どしたの?店長、これ」


道具屋「ん?ああ、まあ……旅先でちょっとな、ほんの気の迷いだ」


戦士「へえ、もしかして、行きずりのアバンチュールとか?って、んなわけないか」


道具屋「ほっとけ」


戦士「ふぅん……あ、そうだ店長、いらないんならさ、こっちで有効活用してもいいかな?」


言うと思った、少しだけ。そう口には出さないが

機嫌取りのため女に貢ごうという彼の気持ちが分からないわけはない


道具屋「別にいいぞ、金さえ出してもらえればな」


戦士「あっ、金か…いや実はさ」



そう言ったとたん、こいつの顔色が曇った。まさか


道具屋「財布、彼女の方が持っているのか?」


戦士「いやまぁ……あはは」


道具屋「今のうちから女房に家計を任せているのか、お前んトコは…」


戦士「違う違う!そうじゃないって!アイツがさっき血走った目で真っ先に」


魔法使い『ほら、先に財布だけ渡しなさい……燃やすと、色々もったいないから』


戦士「…って」


道具屋「…………」


やはりアホくさい話だった。

しかしせっかく売っぱらってしまえると思ったのに、とんだぬか喜びだ。



道具屋「なら売れんな」


戦士「お願い!それがあれば仲直りできそうなんだよ、そしたら代金だって」


道具屋「しかしなぁ…」


戦士「なんだよ、僕らと店長の仲じゃないか」


道具屋「生憎、人の甘言には乗らない主義でな」


戦士「くっ…」

道具屋「…………」


しまった、言い過ぎたか、まあこの2人なら少しくらい信用で商売してもよかったかな


…などと少しばかり同情じみたことを考えていたら


戦士「こないだの、酒場の掲示板…」


道具屋「あ」


戦士「このタヌキ店長め、まんまと乗せられちゃったなあれには、ホント」


道具屋「…………バレタカ」


戦士「ばれっバレだよ!まったくもう、あれのおかげでひどい目にあったんだよコッチは!」


道具屋「それは悪かった、お前達なら毒サソリの一匹や二匹軽いものかと」


戦士「いや…楽勝だったけどさ、こっちはちょっと裏切られた気分だよ…ほんと、ちょっとだけね」


道具屋「………そうか、それは」



戦士「……まさか店長でも女に走ることがあるんだね~って、2人で話したよ、あの後」


こいつ、譲って欲しいのかいらないのか、どっちなんだ!ったく



道具屋「はぁ…分かった、ならこうしよう、何か手持ちの道具はないのか?それと交換なら」


戦士「なるほど、昔ながらの物々交換ってやつ」


道具屋「ああ、よほど値段の釣り合わない物ならひとまずの担保でもいいんだが」


戦士「オーケーOK、まあそれくらいならなんとか…」


そういうと彼はゴソゴソと手持ちの袋から物品を並べ出した。

これで手打ちに、と思ったのだが


道具屋「…………」


まあ見ればみるほど、ろくな物を持っていなかった。

扱えない鉱石やら、使い古しのピッケルなどなど


戦士「どうよ」


有り体にいえば、燃やしても問題なさそうなものばかりだった。


道具屋「自信満々なとこ悪いんだがな、ダメだ」


戦士「そんな!」



道具屋「はぁ、他に何かないのか?」


戦士「……も、もうこうなったら、僕の下着くらいしか」


道具屋「いらんやめろ放りだすぞ!」


そう言って男が腰に手をまわした途端、


戦士「あ」


何かに気づいたのか、またゴソゴソと腰のあたりをまさぐって、今度はなにやら短い剣を取り出してきた。


戦士「これならどうかな」


道具屋「……ほう」


革製の鞘に収まった、やや短い曲刀だ。古びてはいるが刀身に錆はなく、安物の首飾りの対価には十分なようにも思えた。


戦士「どう?」


道具屋「なるほどな、まあいいだろう、これなら別に担保として預かるだけでも」


戦士「いやー別にいいかな、それ死体が持ってたやつだし、あげるよ」


道具屋「……………そうか」


曰く付きだった。
まあ幽霊は信じない方だから、別段構うことないのだが



戦士「それじゃ、ありがとね~店長」


道具屋「はいよ、仲直りできるといいな」


それだけ言い残して、戦士の男は出て行った。

願わくばその行き先に幸あらん、と祈らなくても彼なら適当に上手くやるだろう


道具屋「はぁあ…っと」


残ったのは一本の剣だけだが

しかし考えてみれば、こんな店で古びれた剣が売れるのか


道具屋「…………ふむ」


まあ、護身用に何かしら持っていた方がいいのかもしれん、いわくつきだが。


そう思って、剣をカウンターから下げようとしたとき


「たのもーっ!」


勢いよく、店のドアが開かれた。

そういえば、鍵を閉めておくのを忘れていた。



ドアの先に立っていたのは、珍しくも金髪で長い耳をもったエルフの少女だった。

頭にドクロ模様のバンダナをかぶって、海賊の手下のような格好をしている。


エルフ「…………」


道具屋「……あー、お客さん、今日は一応店じまいしてまして」


エルフ「なんだこの店は、しけてるなあ、私の家の方がよほど物で溢れているぞ」


道具屋「……ぐ」


いきなり失礼なことを言うお子さんだ。
いや、エルフは長寿というから、見かけよりは歳はとっているんだろうけれど


道具屋「…いや、あのですね、いきなりそういうことを」


「このばかっ」

エルフ「あ痛っ?!」


こっちが文句を言うよりも先に、少女の後ろから拳骨が飛んできてその脳天にぶち当たった。


エルフ「いだ~いぃ、何をする!この!」


そこに立っていたのは、どうやらエルフの連れらしい背の高い男だった。

こっちはまるで海賊の頭のような格好をしていて、右足には本物の義足をつけているなど中々に本格的だった。



男「まったく、礼儀というものを知らんのかお前は」


エルフ「うっ、くそぅ…わるかったよ、悪うございましたぁ…ごめんなさい」

男「反省してないだろ、こいつめ」


賊の格好もさることながら、男があまりの剣幕で少女を叱りつけたものだから、

こちらも何となく強張って、さっきの剣をしまわずにいた。


道具屋「……あ、あの」


男「ん?ああ、どうもすいません、こいつも何ぶん世間知らずで」

エルフ「怖いもの知らずと言って欲しいな、お前さんよ」


男「偉そうにすなっ」


道具屋「あ、ははは……は」



しかしどうやら、見た目より悪い人ではないらしい、

どのみち早々にお引き取り願いたいところだ。どうせロクな品も置いてないのだし。


エルフ「いてて、この……ん?それは」


道具屋「…え?」


そう思っていたのに、このエルフの少女がコチラへと近づいてきた。

その目は、持っていたこの剣を見つめていたのだった。


エルフ「……その剣は」


道具屋「はい?」


エルフ「……ほう、なるほどなるほど」

男「おい、何をやっているんだお前は」


連れの言うことも聞かず、剣の刀身を見つめてなにやらフンフン頷いている。

そしてなにを思ったのか


エルフ「よしっ、そいつを譲ってくれ!」

と言ってきたのだった。


道具屋「え?これ、この古びた剣をですか?」


エルフ「ああそうだ、そいつが欲しい」


男「あ?あのなお前、無駄遣いだろうそんなの」


といっているものの、当の財布を握っている方は渋い顔をしていた。



エルフ「でもなあお前さんよ…お前さんは真っ直ぐな剣しか持っていないだろう?」


男「ああ、それがどうした?」


エルフ「せっかく海賊のコスプレをしたのにだ、直剣なんぞ持っていたら締まらんだろう?なあ」


男「言いたいことは分かるが、しかしなぁ」


聞いてみればくだらない理由だったが、少女の方は断固として譲らない調子だった。

少しばかり面倒な空気である。

別に用事もないので構うことはないのだが


道具屋「…はぁ、あの」


エルフ「!…なんだ?売ってくれるのか?」

男「お前な」


道具屋「まあいいでしょう、お譲りしますよ、どうせ死人の持ち物だったそうなので」


エルフ「曰く付きとはますます具合がいいな!……それでは対価を聞こうか」


男「またお前は、そうやって勝手に話を進める…」


エルフ「ふふーん、そこが私のいいところだろう?お前さんよ」


男「知らん」


なるほど、眺めてみればこの2人、なにやら浅からぬ関係らしい、またまた羨ましい話だ。




道具屋「そうですね……実をいうとコレは物々交換で手に入れた品なので、値段はまだハッキリしていないんです。そちらも何かしら譲っていただける物があれば応じようかと」


エルフ「なるほど…古臭いやり方だな、だが嫌いではないぞ」


そう言って少女は懐をまさぐって、めぼしい物はないかと探しはじめた。

そうして


エルフ「では、これでどうだ」


取り出してきたのは、なにやら瓶に詰められ蝋で封をされた、赤くてドロリとした何かだった。


男「おま、それは…」


道具屋「なんです?それ」


エルフ「ふっふっふ、私が丹精込めてつくったエルフ族特製"野イチゴのジャム"だ、パンにつけてよし、焼き菓子に乗せてよしの逸品だぞ!」


道具屋「はあ、なるほど…」


食品か、そういうものは信用ない相手と取引したくはないのだが

しかしながらこのジャム、脇から見ていても何やら涎が出てきそうな気のする品ではある。


道具屋「……ふむ」


男「もったいない、いいのか?そんなものと代えて」


エルフ「いやぁ調子にのって作り過ぎてしまったからな、どうせ食いきれんよ、多分な」


男「そうか……なら」


道具屋「いいんですか?」


最終確認に、男の方の顔色をうかがうと
渋い顔をしてはいるが、最後にはウンと頷いたのだった。


道具屋「そうですか、では商談成立ということで、どうぞ」


エルフ「わーい!よっしゃ!」


男「安直な奴だ、まったく…」


エルフ「へっへっへ、御頭ァ…さっそくこの店の有り金いただいちまいましょうぜ」


男「調子にのるなっ」


道具屋「ははは、満足いただけたようで何よりです」



少女はその後、ゲンコツをいただきながらも嬉しそうに店を後にしていった。

残ったのは瓶に入った野イチゴのジャム、とのことだったが


道具屋「ふぅ…っと」



下手に売り物にもできそうもなく、加えて小腹も空いてきたので余りのパンにつけて食べてみることにする。


パンの切れ端に、開けたジャムを匙で一すくい乗せて口に運ぶ


道具屋「むぐ、んっ!?」


食べてびっくり、まろやか爽やかという味だった。

流石はエルフ伝統の技術なのか、野イチゴ一個一個の処理が丁寧で、不快な渋みや歯触りがまったくない


道具屋「なるほど、思わず唸るこの味わいだな…」


しかしながら、そう多くないとはいえジャム一瓶を空けるのは苦労しそうな気がした。

出来がいいとはいえ甘い物は苦手だし、何より歯を悪くするだろう。


道具屋「………ふむ」


さてどうする、か

まあそう迷うことでもなく、当たりは簡単につけられるというものであった。


まだやっているといいのだが





僧侶「ふぅ……あれ?道具屋さん、ですか?」


道具屋「どうも、こんばんは」


僧侶「こんばんは、何かご用ですか?と、いっても…すみません、いまちょっと手がはなせなくて」


道具屋「いや大した用事じゃなくて、その、これなんですが」


僧侶「…それって、もしかしてジャムですか?」


道具屋「ええ、貰い物なんですが男一人じゃ手に余りそうで、こちらの方で使えないかと思いまして」


僧侶「…そんな、いいんですか?このような、貴重な物なのでは?」


道具屋「どうぞどうぞ、もちろん変なものは入ってませんから、そこは安心してください」


僧侶「あ、ありがとうございます…道具屋さん」


道具屋「いいえ、これも一つご恩返しですから」



試しにと彼女が、一すくいジャムを焼き菓子にチョコンと乗せて食べたところ


「んーっんんーっ!」


あんまり美味しかったのか、彼女は目を輝かせて手をジタバタさせたのだった。


「ここ、これ、ものすごく美味しいです!あ…い、いけません……禁欲、禁欲…」


「それは良かった、何よりですよ」


ジャムの方はそう量があるわけでもないので、菓子にして百枚ちょっとくらいにしか用意できなかったけれど

それでも評判は上々であった。


「申しわけありません神様……二枚目は、二枚目を欲してはいけないというのに…ぅぅ」


(……さっきのエルフの子に、また分けてもらえるよう頼めばよかったかな)




~よその町の一軒家~


男「さて、たまには家の掃除を…っと……ん?」


エルフ「ふふんふふーん…ん?」



男「おいお前…こないだ買った短剣が外に放ってあったんだが…」


エルフ「はぇ?ああそれなぁ、ジャマだったから捨てた」


男「……捨てた?へえ…なるほどなぁ、ふぅん」


エルフ「お祭りで買った物ってさー、家に帰ってからだとけっこうな確率でゴミ箱行きだよね~」


男「そうだなぁ……」


エルフ「うんうん~」


男「…………」


エルフ「…………」



男「こいつッ!」

エルフ「ひえっ!?ま、待てお前さんよ!話せば分かる!」


男「問答無用だ!物を大事にしろっ!」




おわり

知り合いから食いかけのジャムを貰ったら普通は遠慮するでしょうけど、まあこれはそういう世界観ということで

特にこれ以上話を膨らませることも出来なさそうなのでこれにて依頼を出します。

あとお察しの通り、ホロは大正義

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