男「幼女が来た」(51)

女「あれを見て!

男「どうした」

女「きっと迷子よ」

男「二人いるな」

女「前に見たことのない子だわ」

男「迷子か・・・確かにそうかも知れない」

女「ずっとこっちを見てるわ」

男「腹でも減ってるのかな」

女「何か残り物があったかしら」

男「棚の食パンの期限が切れそうだったな」

女「それでいいわ」

つ□ コト

少女「・・・・・・」

幼女「・・・・・・」

少女「待ってて」

つ◇ ソ~

幼女「お姉ちゃん・・・」

少女「だめ、あっち行ってて」

少女「・・・」タッタッ

幼女「お姉ちゃん」

少女「幼女、半分こね」

幼女「うん」

男「お、食ってる」

少女「!!!」

幼女「?」

少女「早く!逃げないと!」

女「・・・あの子達、相当警戒してるわね」

男「俺らと目があった瞬間に逃げていったぞ」

女「どこから来たのかしら」

男「分からないな。ここは町からは遠いクソ田舎だからな」

女「それに思ったんだけど、あの二人は迷子と言うよりはストチルにも見えたわ」

男「ストリート・チルドレン?」

女「ええ、まるで家の中に入ったことがないような、そんな感じね」

男「お前の言うとおりだと思うよ」

女「それならきっと、もう彼女達と会うことは二度とないわね」

男「そうだな」

~数日後~

女「またいるわ」

少女「・・・・・・」ジー

幼女「・・・・・・」ジー

男「どうやら俺らは見込まれたようだな」

女「あれから毎日ここに来てるわよね」

男「まだ食べ物はあるのか?」

女「シリアルがあるわ。安かったのよ」

男「家計が切りつめてるのか」

つ□

女「あら、おかしいわね」

男「何かあったか」

女「大きい方の子がいないのよ」

男「いつもは二人で行動してるのにな」

幼女「・・・・・・」つ◇

幼女「・・・」タタタッ

男「後を追うか」

女「そうね」

男「よし、俺はこっちを探す」

女「私はこっちを探してみるわ」

男「おーい」

友「男じゃないか!」

男「ん?ああ、お前か」

友「何か捜し物?」

男「このぐらいの幼女を見かけなかったか?」

友「それなら全速力で丘を降りて行ったよ」

男「捕まえておけよ!」

友「ひょっとして、あいつを引き受けたのか?」

男「そうなんだが、食べ物をやっても家に入ってこようとしないんだ」

友「だろうね」

男「何だと?」

友「奴は絶対そんな事はしねえよ。俺は昔からこの辺の幼女事情を知ってるんだ。
  あの種族の幼女で家の中に入った奴は見たことねえな。奴らは野生なんだ」

男「ああ。なるほどね。ありがとう。これでいろいろ説明がつくよ。ありがとう」

友「そんじゃ、これで」



男「つまり、そういう事なんだ」

女「どういう事よ」

男「あいつらはいつも外で暮らしている訳だが、少なくとも彼らの住処を改良する
  くらいのことはしてやれるだろう」

女「住処?」

男「そこの古い小屋を改修してやるんだ」

女「ああ・・・もうしばらくは鍵を開けてないわね」

男「鍵が開いて無くたって、隙間だらけで、風雨が絶えず吹き込んでるけど」

女「で、その小屋をどう改修するのよ?」

男「今、ベニヤ板を買ってくる」

女「釘は買わなくていいの?」

男「釘も買ってくるよ」

女「ノコギリは?」

男「んー、高いからな。どっかで借りるよ」

誰だよwwwそいつ
続き書くぞ!


男「よーし、改修完了だ。これで大分居心地が良くなっただろう」

女「初めてにしては上出来じゃない」

男「壁の穴を塞いで、中には布団を敷いておいた」

女「さあ、これでもうあの子は野宿をする必要はないわ。このすてきな小屋
  の中で暖かく心地よく眠れることでしょう」

男「すばらしい」

女「これでもう悪天候でも幼女の心配をしなくてすむわね」

~翌朝~

男「来た、来た」

幼女「・・・」ジー

幼女「罠?」

男「やあ」

幼女「!」ゴロン

幼女「嫌ぁ~っ!」ズキュゥゥン

男「逃げた・・・」

女「ばかな子ね。あんなにいい物はないのに」ガチャ

女「屋根を直さなかったの?布団が湿ってて重いわ」ズシ

男「・・・幼女、それがお前の望みのやり方なんだな」

男「それはそうと、お前について俺はもっと他のことも知りたいな」

バチンッ!

男「俺が仕掛けた”本物の”罠にかかったようだ」

幼女「出せー!」

男「ふんふん、なるほどね」ジロジロ

男「よく見るとかわいい顔してるじゃん」

幼女「うっさいバカ!」

男「ほら、開けたぞ」

幼女「この変態ジジイ!」ガリッ

男「爪切れよ!」

女「うまくやったわね。これからはあの子を幼女(名前)と呼びましょう」

男「なぜだ?」

女「彼女は幼女と呼びたい顔をしてるし、私、その名前が好きなの」

男「ああ、そう」

女「ええ、そうなの」

~3日後~

女「男!」

男「何だ何だ、騒々しいな」

女「今幼女が来たんだけど、様子がおかしいのよ」

男「どんな風に?」

女「死にかけているみたいなの!きっと重い病気にかかっているんだわ!」

男「ぬゎんだってゅえぇーーっ!?!?」

幼女「うぅ・・・」ブルブル

男「風邪をひいてるんだ」

幼女「くしゅん!」ガチャ

女「入って来たわ」

幼女「頭痛い・・・」

女「これを見て!信じられないわ!」

男「女、とにかくドアを閉めてくれ」

幼女「!」ビク

男「よいしょっと」ヒョイッ

幼女「あう・・・」

女「抵抗しないわね」

男「かなり弱ってるみたいだ」

幼女「ぶぇっくしゅん!」

男「風邪薬飲ませとくか」

幼女「くっ薬!?やだ!」ジタバタ

女「鼻をつまめば口を開いてくれるわよ」

男「そうか」グイ

幼女「んぐぐ・・・ぷはあっ・・・」

男「よし」ザララ

幼女「苦い!」

男「水飲め」

幼女「ぶっ!」ゴクン

男「ティッシュティッシュ・・・」

女「はい」

男「鼻水拭くぞ」ゴシゴシ

女「はい、塗り薬」

男「ああ」

男「よし終わりだ。・・・そうだ、もういっぺんやってみよう。女、ドアを閉めて
  くれないか」

女「分かったわ」キィ

幼女「あ!」

女「キャッ!」ドタン

幼女「ハァハァ・・・」タタタ

男「全く考えられない事だな。あんなに病気が重いのに、閉じこめられる事に耐え
  られないんだから」

女「でも、外で大丈夫なの?暖かくしておかないといけないんじゃないの。それに
  今度はここにいてくれるのかしら。それともまたどこかへ行ってしまうの?」

男「俺にはわからないな。しかし、あの子は自然の環境の中にいるんだって事を理
  解しなければいけない。あの子はタフな小動物なんだ」

~2日後~

幼女「・・・・・・」ジー

女「お待たせ!」

幼女「♪」ムシャムシャ

女「もう症状は良くなったみたいね」ナデナデ

男「幼女、こっちにおいで」

幼女「!」ザザッ

男「え?俺は嫌なの・・・」

幼女「・・・」コク

女「男!幼女は素晴らしく元気そうね。新鮮な空気による治療はたいした物だって
  ことの証拠ね」

男「全くその通りだ」

男「けど、これはまたお抱えの”獣医師”がいるってことの証拠でもないか」


                          第一章 完

第二章

幼女「生ハムうまーい」

女「牛乳飲む?」

幼女「うん」ゴクゴク

女「ねえ、幼女」

幼女「何ー?」

女「髪の毛伸びたね」

幼女「そうかな」

女「後で切ってもらおうか」

幼女「・・・!」

男「俺が?任せとけ」シャキ

幼女「! ! ! ! ! !」シュン

女「あの子、刃物を見ると逃げちゃうのよ。ナイフとか、ナタとかね」

男「だけど切らない訳にもいかないだろ」

女「私も昨日切ろうとしたんだけど・・・」

男「暴れるなら、切る間だけ眠らせておくのはどうだ」

女「眠らせる?睡眠薬でも飲ませるの?」

男「ああ、幼女の食べ物に混ぜ込むんだ」

~翌日~

幼女「・・・・・・」ジー

幼女「・・・・・・・・・」スンスン

幼女「・・・・・・・・・・・・」ギュル・・・

男「ドキドキドキドキドキドキ;」

幼女「変なにおいがするけど、いいや!食べちゃえ!お腹すいた!」

男(うまくいったぜ・・・さて、幼女が食事を終えたら捕まえられるチャンスを
  窺うとしよう・・・)

幼女「ふぅーお腹いっぱい」ガチャ

幼女「うー・・・何か眠いよー・・・」

男「ニヤニヤ」

幼女「・・・・・・」コクリコクリ

幼女「はっ!」パチリ

男「ニタニタ」

幼女「うぅ・・・にゅぅ・・・」ゴシゴシ ゴシゴシ

男「ムフムフ」

幼女「・・・・・・」フラ~

男「髪の毛切ろうねー」ヒョイ

幼女「あぁ・・・やぁ・・・」

男「ほらこれ見て」つ◎  プランプラン

幼女「みっ見ないもん・・・zzz・・・」

女「眠ったわね」

男「最初、前髪」ショキショキ

女「頭押さえとくわね」

男「サンキュー」

幼女「・・・ん・・・?」

女「おはよう」

幼女「おはよ・・・あれ?髪の毛ない!」

男「切ったよ」ドッサリ

幼女「ム!」

男「すまない、幼女」

幼女「ムムーッ!もう帰る!」バタン

女「また嫌われたわね」

男「マジかよ・・・」

男「ああ、冗談じゃない、またこんな目に遭うなんて!信じられない!幼女の背信
  行為にはキリがないのか?」

男「おまえは自分がどんなに可愛い子なのか知らないんだな。今度はおまえの毛を
  きちんと切ってやるよ。そうすればどの女の子よりも可愛くなって、気分もよ
  くなるだろう」

男「女、幼女の件は俺の神経に応えはじめているようだ。なんとかできる方策はな
  いか?」

女「おるわよ、男。幼女を本当によく知るようになりさえすればいいのよ。そうす
  れば彼女のほうでもあなたのことを知るようになるわ。考えてみて。私たちが
  あの子の世話を始めてからもう何日か経つけど、その間ずっと彼女は緊急の時
  以外は男の姿をろくに見ていないんじゃないかしら。私は餌やりおばさんで、
  毎日話しかけ、可愛がって来たから、私のことを知っていて、信頼してるのよ」

男「その通りだ。しかし俺には時間が無かったんだ」

女「もちろんよ。男の生活はいつもいつも大忙しですからね。家に帰ってきたと思え
  ば、すぐにまた出て行くんですもの」

男「おそらくもう手遅れだろうな。俺に出来ることがなにかあると思う?」

女「・・・食べ物を与えることから始めるのよ。なんとか餌をやる時間を見つける
  ことね。ほんの少しでも時間があったら、肉やらパンやらを持って外に出て行
  ってみることね」

男「つまりこれは欲得ずくの愛情の問題にすぎないとお前は考えてる訳?↑」

女「それは絶対に違うわ。私が幼女といるところを男も暑中見てるでしょう。彼女
  は誰かがたっぷり時間をかけて可愛がってやるまでは、餌に見向きもしないの
  よ。彼女が最も欲しいものは親しみと思いやりなの」

男「だが俺には希望がない・・・」

女「幼女はいつもビクビクしてるわよね。今でも私があまり早く手を動かすと、逃
  げていくわ。でも、まだ希望は持てると思うわね。彼女にはとても懐の深いひ
  となつこさがあるの」

~翌日~

幼女「お腹すいたー・・・」

男「肉と牛乳をくれ。今から始めよう」

男「おーい幼女ー」ガチャ

幼女「 ! ! ! !」

男「・・・・・・」コト

幼女「・・・・・・」

女「・・・・・・」

幼女「・・・」つ◇

男「おっ、食った」

幼女「・・・・・・」チラチラ

幼女「んっ、んっ・・・」ゴクゴク

幼女「ゲップ・・・」タタタ

幼女「・・・」チラッ

幼女「・・・」ダッ

男「行ったか」

女「ねえ、男。私、あの子の寝場所を突き止めたの」

男「本当か?」

女「見て、あの子が通った場所だけ草が踏み倒されてるのよ」

女「この”獣道”の先にあったわ」

男「そうか・・・ん?あいつは誰だ」

少女「・・・・・・」ヒュゥゥゥ

女「あなたは、あの時の・・・」

男「どうしたんだ、急に戻ってきて」

少女「幼女は・・・」

男「へ?」

少女「幼女はどこ・・・」

女「あの子なら、この先の竹藪にいると思うわ」

少女「・・・」タッタッタッ




ガサガサ

少女「!幼女・・・」

幼女「くー・・・くー・・・」

少女「髪型が変わってる・・・」

幼女「んん・・・」シャァァ

少女「あっ・・・おねしょ・・・」

幼女「ふぅ・・・」スヤスヤ

少女「起きて、幼女」ユサユサ

幼女「んー?あれ・・・お姉ちゃん・・・」オッキ

少女「大丈夫?ちゃんとごはん食べてた?」

幼女「うん、お肉食べた。あと牛乳も飲んだよ」

少女「あの人たちに虐められなかった?」

幼女「・・・ちょっとだけね。でもだいじょぶ」

少女「どこかケガしてない?」

幼女「全然平気!」

少女「よかった」

少女(・・・ここを住処にするのも悪くないかも・・・)

男「さ、家に戻るか」

女「男、幼女は逃げるときに一瞬振り向いたわよね」

男「そういえば、そうだな」

女「その時の幼女、まるで男じゃない、別の人間を見るような目をしていたの」

男「そう見えたか?」

女「ええ。これは大きな進歩よ。私がしているように男もあの子を撫でさすれるよ
  うになるのはもう時間の問題よ」

男「まだ、大分ビビってるようだったけど」

女「これから仲良くなれるわ」

少女「ハァ、ハァ・・・わっ・・・」ドテ

男「今度は何だ」

少女「早く!来て!幼女が!」

女「幼女がどうかしたの」

男「まあ落ち着けよ」

少女「だって幼女が!」

女「とにかく行ってみましょう」

男「俺は鍵閉めてから行くわ」

幼女「・・・」

女「この子に何があったの?」

男「どうやら・・・・・・どうやら幼女は死んでしまったようだ。薬中毒みたいな
  感じがする」

幼女「・・・」ピクリ

少女「ちょっと待って!幼女はまだ生きてる!」

男「・・・だが虫の息だ」

幼女「う・・・あ・・・」ガクガク

男「・・・これは中毒ではないな。卒中かもしれない」

少女「これからどうするの?」

男「幼女は・・・もう手遅れだ」

~幼女はその夜のうちに死んだ~

男「この辺に埋めるか」ザクザク

少女「・・・んっ・・・・・・っ」ズズッ

女「これ、幼女の食べ物を入れてた皿よ。一緒に埋めたら」

男「そうだな」ザッザッ

少女「・・・っ」ヒック

女「ねえあなた、この花を手向けてもらえるかしら」ポン

男「埋まったぞ」

少女「ひっ・・・ひっ・・・きゅぅぅ~~・・・!」ガクッ

女「泣いちゃったわ」

男「幼女のこと好きだったのか」

少女「ふぇ・・・ふぇっ・・・」コクコク

女「だったら、ずっと二人でいれば良かったじゃない」

男「なあ、もう夜遅いし、うちで夕飯でも食ってくか?」

少女「・・・ぃゃ」フルフル

男「じゃあこれから、一人で生きていけるんだな?」

少女「う、や、やっぱ無理ぃ・・・」

女「大丈夫よ、虐めたりしないから」ギュッ

~男の家~

少女「・・・もういらない」

女「もういいの?」

少女「あとは幼女にあげる」ガチャ

男「ほんとに幼女が好きだったんだな。幼女の墓に供えてやがる」

女「話を聞いたんだけど、あの子は幼女のために安全な住処を探していた
  みたいよ」

男「見捨てた訳じゃなかったのか・・・」

<ガチャ

女「お帰り」

少女「眠い・・・」

女「そう、じゃあ一緒に寝る?」

少女「うん」

男「風呂入ってなくね?」

女「そうだったわね。少女・・・」

少女「えっ・・・やだ、お風呂嫌い!濡れるのやだ!」

男「犬か」

女「しょうがないわね・・・男、ウェットシートを持ってきて」

男「クイックルワイパーのやつか?」

少女「?」

男「はいよ」つ□

女「ちょっとあっち行ってて」

男「はいよ」((( 大

少女「・・・何するの?」

女「脱いで!」スポンスポン

少女「あっ!」

女「ちょっと冷たいけど我慢して」ゴシゴシ

少女「たっ助けてー!!」

女「終わったわよ」

少女「服・・・」

女「あれ汚いから、一回洗っておくわね」

少女「え・・・うん。破かないように洗ってよ」

女「わかったわ」

少女「破いたら泣くからね」

女「わかったから、早くこれに着替えなさい」

少女「うん」

女(これは洗濯機で洗わないようにしないと・・・)

~翌日~

女「少女、そろそろご飯にするわよ」ガチャ

少女「あっ!服は?」

女「乾くまでもう少し待ってて」

少女「うん!」



女「少女はもうここを終の住処に決めたみたいだわ」

男「おまえに知ってもらいたいんだ。これは俺の最大の勝利のひとつだってことを
  ね(計画どおりだ)」

                                第2章 完

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