まどか「まどか☆マギカで!」ほむら「リレーSS」 (806)

まどか「談義スレ発企画、まどマギでリレーSSしましょう! ってスレだよ!」

ほむら「ルールは以下の通り。よく読んで頂戴ね」

~~
①参加できるのは昔SSを完結させた作者のみ。
 昔書いたSSのスレタイを酉つきでレスしたエントリーのみ有効。
 同一の酉でも作品数だけエントリー可能。続編等に関しては暫定無効。

②レスできるのは一回のエントリーにつき5レスまで。
 5レス以内にバトンタッチしたい場合は、書き終わったあとその旨をレスすること。

③エントリー方法は安価とする。
 最後に書いた作者は必ず次の作者を決める安価を出すこと。

④エントリー後、翌日の深夜0時までに投下されなかった場合はエントリー無効とする。
 2回無効となった酉はエントリー権が失われる。

⑤酉持ち作者には拒否権が与えられる。
 続きがあまりにも酷い内容だった場合に、酉つきで五回「拒否権発動」とのレスがついた場合は、その作者が書いた内容は無効とする。
 ただし、同一IDで違う酉の拒否権発動は無効とする。さらに一度拒否が成立した際に成立要件になった酉五つは拒否権が失われる。

⑥再度作者を募集しなければならなくなった場合は、それが明らかになったレスから3つ下のレスにエントリー権が与えられる。
~~

まどか「目指すは>>1000! 完走だよ!」



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1408464382

ほむら「まどか、大切なことを忘れているわ」

まどか「えっ?」

ほむら「作者の募集よ」

まどか「あっ」

ほむら「それと、まどマギには三つの世界があるわ」

まどか「元の世界、私が改変した世界、ほむらちゃんが改変した世界だね」

ほむら「ええ。舞台くらいは最初に決めておかないと」

まどか「じゃあさっそく安価だよ! 舞台は>>5、作者さんは>>10で!」

ほむら「作者は自分の過去作と酉を忘れずにね」

悪魔世界で

おわり

酉と過去作品あげなきゃ駄目じゃなかったんだっけ?
再安価かな

クソSSだけど
ほむら「まどパンに叛逆するわ」
16だったら一応書き留めてくる

悪魔ほむら「神を誹謗中傷し、人を誘惑する存在」

悪魔ほむら「wikipediaー悪魔ー」

悪魔ほむら「・・・悪魔らしいことしてないわね」

悪魔ほむら「本当に悪魔と呼ばれるに相応しい事でもしましょうかしら」


まどか「へぇ~ 上条くんがねー」

さやか「そうそう それでね・・・」

悪魔ほむら「ちょっと良いかしら まどか?」

まどか「ほむら・・・ちゃん・・・」

さやか「何しにきた! 悪魔!」

悪魔ほむら「ごめんなさい あなたに用はないのよ」 パチン

さやか「トイレ~ トイレ~」テッテッテ

まどか「さやかちゃん?」

悪魔ほむら「さっそく悪いのだけれども・・・」

悪魔ほむら「パンツを脱がさせもらえるかしら?」

まどか「・・・え?」

まどか「え・・・ここ教室だよ・・・」

まどか「それにパンツって・・・」

悪魔ほむら「つまりパンツ脱がされるのが気まずいのね?」

まどか「まぁ・・・うん?・・・そうだね・・・?」

悪魔ほむら「大丈夫よ」 パチン

中沢「パンツ! パンツ! パンツ! パンツ!」

上条「まどパン! まどパン! まどパン! まどパン!」

まどか「え・・・? え!? え・・・?」

先生「まどパン! まどパン! まどパン!」

まどか「・・・そもそもまどパンって何・・・?」

悪魔ほむら「皆応援してるわよ まどか!」

さやか「まどパン! まどパン! まどパン! まどパン!」

仁美「まどかさんのちょっと良い所見てみたいですの! まどパン! まどパン!」

まどか「さやかちゃん? 仁美ちゃん? 何これ・・・?」

悪魔ほむら「さぁ私にまどパンを脱がせなさい! まどかぁ!」

クラス一同「まどパン! まどパン! まどパン! まどパン!」

悪魔ほむら「まどパン! まどパン! まどパン!」

まどか「ひぃ!? あんまりだよ・・・こんなのってないよ・・・」

クラス一同「まどパン! まどパン! まどパン! まどパン!」

悪魔ほむら「手を離しなさい! まどか!」グググ

まどか「駄目! 私のパンツが・・・裂けちゃう!」グググ

まどパンを引っ張る度にまどかに抵抗される

その抵抗が”まどかが生きている”という確かな安心感を私にくれた

そして、その抵抗から”まどかがこの世界で確かに生きようとしている”事が伝わった


悪魔ほむら(私は間違ってなかったようね・・・)


まどパンを引けば引くほど、まどかの顔が赤くなっていった

涙がこぼれていった

羞恥心が広がっていった

それを見る度、私の体が ゾクゾク 音を立てるのが聞こえた


ソウルジェムの秘密をしって

魔法少女の仕組みをしって

私は生の実感を失っていた

さらに、悪魔になって生の実感自体を忘れていた・・・


けれど、今、体がゾクゾク震える度に

私の生の実感は 続々と増えつづけていった


悪魔ほむら(私も生きているのね この世界に)


まどパンを奪った後、まどかの顔を再び見た

まどかの形容し難い羞恥心に満ち溢れた顔を見て

悪魔になった実感もゾクゾクと、続々と思い出した


悪魔ほむら(もっと、もっとまどかの・・・まどかの堕ちる顔が見たいわ)

悪魔ほむら「いったわよね? 私が敵になるかもしれないって」

まどか「そんな・・・あんまりだよ・・・こんなのってないよ・・・」

悪魔ほむら「ねぇまどか これが何か分かるかしら?」パチン

まどか「・・・え? なにそれ?」

悪魔ほむら「フフフ・・・」パクパク

まどか「え?・・・何を食べてるの?」

悪魔ほむら「口移ししてあげるわ」ブチュゥゥ

まどか「嘘っ 嘘だよね ほむらちゃん頭絶対おかしいよ・・・」

まどか「うっ・・・・・・・」チュゥゥゥゥ


どんどん堕ちていく・・・

どこまでも堕ちていく・・・


まどかの可愛い顔が必死に困惑の表情をする

眉を精一杯上げた、純粋なまどかの必死の蔑む顔が

さらに涙を流すまどかの顔が

羞恥心に悶え苦しむまどかの顔が

微かに雌の顔をするまどかの顔が

子供のような疑心暗鬼にかられているまどかの顔が

それを見てゾクゾク震え続ける私の体が


私をさらに悪魔にした


どこまでも堕ちていきたい

まどかを堕とし入れたい

まどかとどこまでも堕ちていきたい

二人でどこまでも堕ちていきたい

ずっとずっと堕ちていたい

誰もこれないような、暗闇の底まで二人だけで堕ちていきたい

いつだったか・・・

二人で魔女になって暴れようと決意したとき・・・

あの時の感情が

何倍にも 何倍にも 何倍にも 何倍にもなって

堕ちて 堕ちて 堕ちて 堕ちて 堕ちつづけた感情が

今の私の感情を支配しているのかもしれない


悪魔ほむら(私は悪魔・・・)

悪魔ほむら(神を まどかを堕とし誘惑する悪魔)


まどか「ねぇ・・・ほむらちゃん」

悪魔ほむら「なにかしら? 私のまどか?」

女神まどか「ねぇ どうして? どうして友達なのにこんな事するの?」ピッカー

悪魔ほむら「!?」

悪魔ほむら「・・・」

女神まどか「私ね・・・ほむらちゃんの事信じてたんだよ・・・」

女神まどか「それなのに・・・」

悪魔ほむら「あなたの力を奪った時、あなたの記憶や気持ちも流れてきたわ」

女神まどか「え!?」

悪魔ほむら「あなたも本当は内心嬉しいんじゃないかしら・・・」

女神まどか「・・・・・・」

悪魔ほむら「ねぇ 教えてよ! まどか!」





安価(拒否権発動を除いて)下3

(拒否権発動5つ発動した場合、安価は5つ目の拒否権から 下3)

あ、安価って 次の作者の事ね・・・

って言う内容をまどかが起こりうる未来として察知 → QB対策強化

っていう内容を ほむらが走馬灯(?)としてみる → 叛逆止める → 円環ほのぼの

と言うのをさやかが勝手に妄想 → 己悪魔め! → 実はほむほむ良い悪魔

と言うのは魔女結界破った直後のQBの幻覚(最後の砦)でした → 幻覚相手に女神まどか全力 → QBウマウマ まどかピンチ

とか何でも文句言わないよ

流れ止めちゃってごめんね 安価とかリレーは半年ROMってるよ ノシ

安価なら下

>>28乙乙
そしてこのノリは、どうやら俺の出番のようだな!

ほむら「愛よ」まどか「え?なあに?」ほむら「なななんでもないわ」
ほむら「人間まどかを攻略する」まどか『えぇー』
ほむら「人間まどかを攻略し損ねた私の末路」
シリーズ物は一作扱いなので、この三作でエントリーします

女神まどか「いや…ごめん、私パンツ食べる趣味はないよ…」

ほむら「」

女神まどか「あ! でもほむらちゃんとこうして会えたのは嬉しいかな…」ウェヒヒ

ほむら「まどか・・・」

女神まどか「あーあ! 私ほむらちゃんを導くの楽しみにしてたのになぁー」

ほむら「でも人間として生きられる方がいいでしょう」

女神まどか「・・・うーん。いまみたいに円環の理とアクセスできてないと、変態なほむらちゃんしか知らない状態なんだもん」

ほむら「うぐっ・・・」

女神まどか「できれば、頑張り屋なほむらちゃんも、優しいほむらちゃんも・・・ほむらちゃんのことぜーんぶ知ってる状態でお話ししたいなー、なんて」ウェヒヒ

ほむら「・・・・・・! じゃ、じゃあこのままでいればいいじゃない!」

女神まどか「だめだよ。いまの私は世界の理だもん。みんなのために、役割を全うしなきゃ。・・・だから、私のチカラ、全部返してくれないかな」

ほむら「死んでもイヤよ」

女神まどか「でも・・・過去のことをぜんぜん知らない私といたって、ほむらちゃんも辛いだけでしょ?」

ほむら「だいたい、すぐ帰らなくてもいいじゃない。神様だって80年やそこらの休暇は必要だわ」

女神まどか「休暇長すぎるよ! だいたい、円環の理が不完全なままだったら危険なんだよ! わかってる!?」

ほむら「ああもう。本当にあなたって自分の使命にまっすぐなのね。そんなところも愛してるわ」

女神まどか「愛・・・っ!?」カアア

ほむら「スキありっ!」ビシィ

女神まどか「んぁっ」

まどか「あう」シュウウウ

ほむら「まったく、油断も隙もあったもんじゃないわね」ガシッ

ほむら(・・・でも)

女神まどか『できれば、頑張り屋なほむらちゃんも、優しいほむらちゃんも・・・ほむらちゃんのことぜーんぶ知ってる状態でお話ししたいなー、なんて』ウェヒヒ

ほむら「・・・ふふ」

一同「「まどぱん! まどぱん!」」

ほむら「・・・まだやってたのあなた達。ほら、解散解散」パン

ほむら「我ながら、酷いありさまね・・・。なにを思ってこんなことさせてたのよ」

ほむら「・・・・・・」

ほむら(・・・最近、すこしおかしい気がする。とつぜん変態的な衝動や、暴力的な衝動に駆られてどうにも自分を抑えられなくなる)

ほむら(いずれも反社会的な衝動ばかり。まさか、悪魔に堕ちた反作用だとでもいうの?)

ほむら「・・・ま、気にしても仕方のないことよね」

ほむら「それよりもまどかだわ。ノーパンのままじゃまずいし、保健室に運びましょう」

―保健室―

まどか「すー、すー」

ほむら「はぁ…可愛い寝顔だわ。この顔を見てるだけで心が洗われるってもんね」

ほむら「・・・・・・・とりあえず、写真に残しておきましょう」カシャッ

ほむら「・・・・・・」

ほむら「私だって、全部知ってるまどかとおしゃべりしたいわよ・・・・・・。まどかのばか」

ほむら「私と仕事、どっちが大事なの!? ・・・・・・って、仕事なのよねぇ」

ほむら「・・・・・・そうだ。仕事を奪っちゃえばいいんじゃない!」ガタッ

ほむら「そうよ! なんでこんな簡単なことに気づかなかったのかしら!」


ほむら「まどかとふたたびルナミスするため、まどかに代わる、新たな円環の理を創造しましょう!!」


以上で
次の作者>>52

私が

てい

踏んだかぁ…

さやか「魔法少女狩り?」
さやか「見滝原の悪夢」
さやか「この世界って守る価値あるの?」

当時酉で書いてなかったから酉だけで本人だと証明する方法がないので、
完結させたのを保存してるpixivのユーザー名に◆L6BlpxGAiAをくっつけてみたんだけど、どうでしょう?

pixivのリンク先はこちら
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=896159

問題ないようなら続きを書かせてください

いいんじゃないか、頑張れ

>>66
サンキュー! じゃぁ書いてくるからちょっと待ってて

--ほむらの家--

??「わわわたしはかかかめまどまどまど……」

ほむら「……また、失敗した」

ほむら「どうして!? ただ一人魔法少女となる素質のある子を作り上げるだけでいいのに! どうして出来ないの!?」

QB「それが君の限界だという事だよ。暁美ほむら」

ほむら「……!!……キュゥべえ!!」

QB「無から新たな人間を作り出すというだけでも大変な事なのに、さらに魔法少女としての素質をもった子を作りあげる。そんな無茶苦茶な事、無理に決まっているじゃないか」

QB「……まぁ、魔女の肉があれば不可能ではないんだけどね」

ほむら「!? 魔女の肉? どういう事?」

QB「言葉の通りさ。死んだ魔女の肉を元にして新たな人間を作りだす。まぁ鹿目まどかの願いで魔女は生まれる事すらできなくなったんだけどね。だけど……」

僕たちにはソウルジェムの中の世界で魔女を作り上げる技術がある

ほむら「……そうよ! あなた達の力を使えば可能なはず。今すぐにでも魔法少女を捕まえて……!」

ドンドン!

ほむら「……だれよ。こんな時に」

マミ「暁美さん! 私よ! 巴マミよ!」

ほむら「……あぁ、向こうから来てくれるなんて、嬉しいわ……」

ガチャ

マミ「暁美さん! またあなたとんでもない事をしでかして……!!」

ほむら「ねぇ、巴さん。私お願いがあるの」

ほむら「私の為に、魔女になってくれないかしら」

マミ「……魔女? 聞いた事がないわね」

ほむら「あなたの知識なんてどうでもいいわ。……そう、あなたほどの魔法少女なら、上質な魔女の肉が作れるはず。そうすれば素質のある子を作り上げ、その願いで新たな円環の理を作れる」

マミ「……? 何を言っているの?」

ほむら「だから……私の為に魔女になってくれるわよね。巴さん?」

マミ「う……これが佐倉さんの言ってた操り魔法。でもね、それは既に対策済み……」

バタン

ほむら「……」

マミ「……え? 暁美さん? ……暁美さん! ちょっと、しっかりして! 暁美さん!!」

ほむら「……あれ、私は?」

マミ「暁美さん、目を覚ましたの? 良かった……」

ほむら「……そう、私はあのまま気絶して……」

マミ「突然倒れて本当にびっくりしたんだから……ちゃんと睡眠はとってる? 食事は?」

ほむら「そういえばもう随分寝てないし食べてないわね。部屋にこもってからどれだけたったのか……馬鹿らしいからいちいち時計を確認してもいなかったわ」

マミ「まったくもう……はい、おかゆ」

ほむら「……巴さん。あなたは何故ここに?」

マミ「佐倉さんと美樹さんのクラスで随分な事をやってくれたみたいじゃない。まどパン! まどパンって」

ほむら「……あなたが何故それを知っているのかしら。クラスも違うはずよ」

マミ「佐倉さんが教えてくれたのよ。あなたの魔法でクラス中の生徒が大変な事になっていたって」

ほむら「……佐倉杏子は私の魔法が通じていなかったのね」

マミ「あなた何度もクラス中の人間を操っていたみたいじゃない。佐倉さんはそこからあなたの魔法を解析して対抗策を作り上げていたのよ」

マミ「もっとも……魔法にかかっておけばよかったと思うぐらいのひどい状況だったと聞いたわ。それで今日はあなたにお灸をすえに来たんだけど……そんな事言っていられるような状況ではなかったみたいね」

ほむら「……私は、新しい円環の理を想像するの。その為にならどんな犠牲を出したって構わない」

マミ「……その方法が私をその魔女とやらにする事だったわけかしら」

ほむら「そうよ」

マミ「……そんな回りくどい方法を使う必要はないわ」

ほむら「……え?」

マミ「キュゥべえ! いるんでしょ! 出てきなさい!!」

QB「何だいマミ?」

マミ「願いを叶えられる存在は、別に人間に限った話ではないわよね」

QB「そうだね。人間以外でも……例えばそれが人造人間でも、悪魔であっても叶える事は可能だよ」

ほむら「……何故それを教えてくれなかったの?」

QB「聞かれなかったからさ」

ほむら「……」

QB「暁美ほむら、君は規格外の素質をもっている。君の願いなら誰かに円環の理を押し付ける事なんて造作もない事だろう」

ほむら「……なら、私は」

QB「そう、君はもう一度完全なまどかと出会う事が出来るんだ」

ほむら「……私は、巴さんに」

マミ「待って!」

ほむら「……何かしら」

マミ「……私を円環の理にするなら、一つ私の頼みごとを聞いてほしいの」

マミ「……百江なぎさちゃん。知ってるわよね。あの子は私がいなくなったら凄いショックを受けると思うの……あの子の事を暁美さんにお願いしてもいいかしら」

ほむら「……別にいいわよ。それぐらい」

マミ「じゃぁ……願いなさい。私を円環の理に……」

ほむら「……悪いけど、気分じゃないの。……もう少しだけ考えさせて」

マミ「……そう。じゃぁ私はこれで帰らせてもらうわ。おかゆ、ちゃんと食べるのよ」

ほむら「……ありがとう、巴さん」

ほむら「……気づかないわけないじゃない。あんなにふるえて……本当は円環の理になるなんて怖くて仕方ないくせに」

ほむら「……キュゥべえ。魔法少女になる素質をもった人造人間を作る事を願えば、その子の願いで円環の理になってもらう事は可能なの?」

QB「産まれたその子の魔法少女の素質の度合いにもよるけど、難しいだろうね」

ほむら「……もし、私が魔女を作り出す事に成功していたとしても、円環の理にさせる事は不可能だったという事!?」

QB「何を怒っているんだい? 僕は君に対して魔法少女の素質をもった人間の作り方を助言しただけじゃないか」

ほむら「……」

QB「さぁ願う内容はもう決まっているんだろ? 何を迷う事があるんだい?」

ほむら「魔法少女になれば、私は悪魔ではなくなる。そうなったらあなた達はどうするの?」

QB「……」

ほむら「悪魔の存在がいなくなれば、円環の理の解析を邪魔する人間がいなくなる。……魔女の存在を復活させるつもりね」

QB「勿論さ。魔法少女の魔女になった時の希望から絶望への相転移。悪魔である君がいたから実行できなかったけれど、いなくなればもう僕たちの障害はいなくなる」

QB「でも、君は完全な鹿目まどかと一緒にいたい、その為なら君にとってそれぐらいは些細な事だろう?」

ほむら「……消えなさい」

QB「願いが決まっているのに悩むなんて、君達は本当に理解できないな」

ほむら「いいから消えなさい!!」

QB「わかったよ」

ほむら「……」


おしまい! オリジナル入ってごめん!

次の作者>>81

はい。
ほむら「キュゥべえをレイプしたらソウルジェムが浄化された」

時間ねぇぇぇ

あと一日あるんですかー、やったー!
モンハンします!(迫真)

実際そこの所どうなんですかね>>1
いや書いてますけどね今(震え声)

そろそろ書き終わる

えっ……1レス6000バイト……?
ってことは3000字だから……

改行が倍くらいある……嘘やん

行数が80×5で400やろ……517行をおさめるのに100行強削るには……あああせめて100行あれば。
序盤読みづらくなるかも

(あと11行……もうマミさんと杏子の出番まるまる削ったらいいんやないか……?)

ほむら「…………、眠っていたのね」
テーブルに突っ伏して眠っていたようで、頬には木目が浮かんでいた。

ほむら「……酷い顔」
昨日はどうしてこんな所で眠っていたのだったか。覚醒しつつある脳髄に油を差し込んでいく。

ほむら「……円環の理を作り出すには魔法少女が必要。その為には死んだ魔女の肉が入り用」
ほむら「……巴マミを犠牲にするなら、楽だわ。でも、それで良いの……?」

『いいのよ』、と、悪魔的な誰かが囁く。
『嫌だ』、と、見知った誰かが叫ぶ。

ほむら「……軽く食べてから、学校に行く仕度をしなくちゃ」
全く、悪魔となってもままならない。具体的には冷蔵庫の中身とか。

ほむら「……お肉と野菜くらいしかない……調理する暇なんかないのに」
ふと、その新鮮な生肉を見て――天恵。

ほむら「――魔女の肉が必要なだけ。なら――生き死には然程重要じゃないわ!」
そう思い立ち、彼女は仕度を40秒で済ませて根城を飛び出した。そう、彼女には一人――生きている魔女に心当たりがあったのだから。

――――ファミレス、朝

ほむら「学校には休むと連絡してあるわ、既に」
さやか「用意がよろしい事ですねぇほむらさぁん!」

通学路で見敵必殺、美樹さやかを拉致して今に至る。ボランチがわりに広げられた軽食は、一応ほむらの驕りだった。

通学路で見敵必殺、美樹さやかを拉致して今に至る。ボランチがわりに広げられた軽食は、一応ほむらの驕りだった。

さやか「んで? アンタがアタシに用事って何さ? アタシとしては、アンタに協力するなんてゴメンなんだけど――」

ほむら「まどかを解放したい」
さやか「――事情が変わるかもしれないね」

単の刀を直に入れる。嘗て円環の一部だったさやかは、一瞬彼女を見間違えるくらいには効果的だった。

さやか「どうしたのさ。懐かしい顔付き……悪魔っぽく無いよ?」
ほむら「関係無いことは右にでも置いておきなさい」

言って、ソフトドリンクで言葉を一旦遮る。テーブルから離れたグラスが傾いて、氷が暴れてカラリと音を発てた。

ほむら「……要は、円環の理がなければ、貴女達は納得しない」
さやか「それはそうだよ。だって、魔女どうすんのさ」
ほむら「だから、円環の理は返す。でも、それはまどかでなければいい」
さやか「……ほむら、まさか――他の誰かでも生け贄にしようと考えちゃいない?」

ほむら「考えているわ」
さやか「なら、手は貸せな――」
ほむら「でも」
立ち上がろうとする彼女を、声で何とか縛り付ける。

ほむら「それは誰でも無い者よ」
さやか「……どういう事?」

ほむら「新たな魔法少女をこの手で作り、円環の理にする。意思や感情は封じた、人形の生体パーツを作成しまどかと置き換える――それが目下の私の目的よ」

さやか「……つまり、自前で円環を産み出そうと言うわけ、か」
さやか「上手く行くの?」
ほむら「素材が無さすぎて、現状は無理ね」
ここで漸く、さやかは得心した。

さやか「なるほどね。何か必要な物があるんだ……まどかの為なら協力してあげるよ」
ほむら「じゃあ」
と、鳴るのはほむらの細い指。空間は虚空へと変わり、彼女らは隔離された。

さやか「――何を!」
ほむら「美樹さやか……!」

ほむら「ウロコちょうだい。下半身の」
虚空には地面も見当たらないが、多分彼女は盛大にすっ転んだのだろう。
――――――――
さやか「何だっけ、あれ。足を水辺に浸けると集まってきて角栓とか皮質とか食べてくれるやつ」
ほむら「ドクターフィッシュの事? ガラ・ルファかしらね」
さやか「そうそれ。それっぽい感じ」
ほむら「あー……」
――――――――
杏子「まどかの為か……なら仕方ねぇな。で、アタシに何をしろって?」
ほむら「最近貴女精神系の魔法に精通してるじゃない」
杏子「八割強お前のせいでな」
ほむら「だから、少しレクチャーしてほしいのだけれど」

ミス。ゴメン

ほむら「…………、眠っていたのね」
テーブルに突っ伏して眠っていたようで、頬には木目が浮かんでいた。

ほむら「……酷い顔」
昨日はどうしてこんな所で眠っていたのだったか。覚醒しつつある脳髄に油を差し込んでいく。

ほむら「……円環の理を作り出すには魔法少女が必要。その為には死んだ魔女の肉が入り用」
ほむら「……巴マミを犠牲にするなら、楽だわ。でも、それで良いの……?」

『いいのよ』、と、悪魔的な誰かが囁く。
『嫌だ』、と、見知った誰かが叫ぶ。

ほむら「……軽く食べてから、学校に行く仕度をしなくちゃ」
全く、悪魔となってもままならない。具体的には冷蔵庫の中身とか。

ほむら「……お肉と野菜くらいしかない……調理する暇なんかないのに」
ふと、その新鮮な生肉を見て――天恵。

ほむら「――魔女の肉が必要なだけ。なら――生き死には然程重要じゃないわ!」
そう思い立ち、彼女は仕度を40秒で済ませて根城を飛び出した。そう、彼女には一人――生きている魔女に心当たりがあったのだから。

――――ファミレス、朝
ほむら「学校には休むと連絡してあるわ、既に」
さやか「用意がよろしい事ですねぇほむらさぁん!」

通学路で見敵必殺、美樹さやかを拉致して今に至る。ボランチがわりに広げられた軽食は、一応ほむらの驕りだった。

さやか「んで? アンタがアタシに用事って何さ? アタシとしては、アンタに協力するなんてゴメンなんだけど――」

ほむら「まどかを解放したい」
さやか「――事情が変わるかもしれないね」

単の刀を直に入れる。嘗て円環の一部だったさやかは、一瞬彼女を見間違えるくらいには効果的だった。

さやか「どうしたのさ。懐かしい顔付き……悪魔っぽく無いよ?」
ほむら「関係無いことは右にでも置いておきなさい」

言って、ソフトドリンクで言葉を一旦遮る。テーブルから離れたグラスが傾いて、氷が暴れてカラリと音を発てた。

ほむら「……要は、円環の理がなければ、貴女達は納得しない」
さやか「それはそうだよ。だって、魔女どうすんのさ」
ほむら「だから、円環の理は返す。でも、それはまどかでなければいい」
さやか「……ほむら、まさか――他の誰かでも生け贄にしようと考えちゃいない?」

ほむら「考えているわ」
さやか「なら、手は貸せな――」
ほむら「でも」
立ち上がろうとする彼女を、声で何とか縛り付ける。

ほむら「それは誰でも無い者よ」
さやか「……どういう事?」

ほむら「新たな魔法少女をこの手で作り、円環の理にする。意思や感情は封じた、人形の生体パーツを作成しまどかと置き換える――それが目下の私の目的よ」

さやか「……つまり、自前で円環を産み出そうと言うわけ、か。上手く行くの?」
ほむら「素材が無さすぎて、現状は無理ね」
ここで漸く、さやかは得心した。

さやか「なるほどね。何か必要な物があるんだ……まどかの為なら協力してあげるよ」
ほむら「じゃあ」
と、鳴るのはほむらの細い指。空間は虚空へと変わり、彼女らは隔離された。

さやか「――何を!」
ほむら「美樹さやか……!」

ほむら「ウロコちょうだい。下半身の」
虚空には地面も見当たらないが、多分彼女は盛大にすっ転んだのだろう。
――――――――
さやか「何だっけ、あれ。足を水辺に浸けると集まってきて角栓とか皮質とか食べてくれるやつ」
ほむら「ドクターフィッシュの事? ガラ・ルファかしらね」
さやか「そうそれ。それっぽい感じ」
ほむら「あー……」
――――――――
杏子「まどかの為か……なら仕方ねぇな。で、アタシに何をしろって?」
ほむら「最近貴女精神系の魔法に精通してるじゃない」
杏子「八割強お前のせいでな」
ほむら「だから、少しレクチャーしてほしいのだけれど」

杏子「強引だな……でも」
杏子「――何か今のお前の方が、お前っぽいよ」
杏子「ま、とりあえず人の精神の構造を把握するところからなんだが――――」

マミ「えっ、もし腕が千切れたらどうするか……って、縁起でも無いこと聞かないで」
ほむら「私は勝手に修復してしまうのよ。参考に聞きたいわ」
マミ「と言っても……こう、欠損した部分を再度組み立てる感じで治癒してるけれど」
ほむら「それから?」
マミ「肉体の構成からイメージするのが大事ね。例えば――っと、いけない。何のつもり?」
ほむら「……ちょっと給仕が欲しくて、魔法で人造人間でも出来ないかしらと思って」
ほむら「(適当な事を言っておけばいいわよね)」

マミ「なるほど、ホムンクルスね!」
ほむら「えっ」
マミ「そういう事なら参考になりそうな理論構築は済ませてあるわ。まずは――――」
ほむら「(実力はあるのに使い方と努力が斜め上過ぎる)」
――――――――

「ほむらちゃん、ほむらちゃん。起きて?」
ほむら「ぅん……?」

呆けた頭と滲んだ視界が世界を捉える。どうやら、授業をまるまる一つ眠って過ごしてしまったみたいで。

ほむら「……頭が重いわ」
まどか「エヘヘ……ほむらちゃんも居眠りすることあるんだね。お疲れかなぁ?」
ほむら「そうね、たまにはこういう事もあ、る――」

背筋を下から上に、電撃が駆け巡ったような感覚。前屈みになって微笑む彼女の胸元の小さな膨らみとか、陶器のように白くて滑らかな首筋とか、その諸々が貴女を捉えて離さない。

ほむら「(ま、た――!)」
背後から羽交い締めにして体中を弄ってやりたい。首筋に強く歯形を刻印したい。柔らかそうな舌を甘く舐りたい。

堪らない。堪らない――

ほむら「――少し、花を摘んでくるわ」
まどか「あー、うん。いってらっしゃい」

何も知らないあの子を汚したい。
そうじゃない。そうじゃあない。

ほむら「どうかしてる……!」

とっくに、どうにかなっている。と、言ったのは誰だろう。

――――――――
ほむら「また、失敗……か」

何度目かの不成功を越えて、疲れも隠せない。パン、と手を叩く音と共に、寝台に乗った肉塊は蕩けて消えた。

ほむら「何が足りないのかしら……体は完璧に出来ている。脳に知恵も詰め込んだ。あと足りないのは何なの……」

「それはね」

壁に力無く凭れ掛かるほむらに、何処からとも無い声が語りかけた。

ほむら「……キュゥべえ」

キュゥべえ「君達は元々人間だからね、気付かなくても不思議じゃあない。僕達だって、いくら研究を重ねた所で人類という不可解な生き物の生態を知りかねているんだから」

ほむら「……まるで、足りないものが解るとでもいった口振りじゃない。インキュベーター」

キュゥべえ「そうさ、少なくとも一つは知っている」

ほむら「何ですって……?」

この獣はいつも重大な事を簡素に告げる帰来がある。思わず聞き逃しそうになるほどに。

キュゥべえ「君達は最初から持っているから、その存在をいつも軽んじる」
キュゥべえ「足りないものは、『感情』さ。暁美ほむら」
ほむら「…………」

自分でも、薄々そんな気はしていた。感情を持たない人間が居たとして、それはもうヒトではないだろう。ならば、人間を人間足らしめるのはソレ。魔法少女に至っては、更に。

しかし。

ほむら「感情を持った魔法少女を作り上げたとして、それをまどかの代わりにしてしまったら……それはもう、殺人と変わらないわ」
ほむら「それは――」

キュゥべえ「君の創った物を君がどうしようと勝手なんじゃないかい?」
ほむら「っ」

それは悪魔より悪魔的で、その上合理的な甘言。

キュゥべえ「それでも君の心が痛むと言うなら、製作に成功した時点で感情を奪えばいい」
キュゥべえ「君なら容易く出来るだろう」

ほむら「私、は……」

魔法少女の体が勝手に組み上がる。
後は、最後に麻薬を植えるだけ。

キュゥべえ「君が最も強い思いを感じる様に想像してみるんだ……その時の、魂の震えを再現するだけでいい」
キュゥべえ「その、観測できない揺らぎが――魔法少女だ」

生唾を呑み込む。
感情を持った魔法少女を、創る。
出来るのか、やっていいのか。
何より恐いのは、造り出した魔法少女に叛逆される事で――――

ほむら「――ふふっ」
キュゥべえ「それでこそ、君だ」

下らない事だった。
ここは私の世界。巴マミだって、あの美樹さやかだって――ここでは私に敵わない。魔法少女が暴れたと仮定しても、私に問題は無い。

だから、魔法少女に芥子の種。
咲かせて生るは綺麗な毒。

魔法少女の肢体が輝き、ほむらの部屋を白く染める。眩しくて見ることは叶わないが、確実な手応えは感じた。

ほむら「やった――」

コツ、と額に何かが当たる音。
それは銃口で、チープな呼び名で言うなら『デザートイーグル』。.50AEをぶちかます、鉄の塊だった。

ほむら「っ!!?」

額を円心の端へ置いて、身を全力で翻す。
銃弾は、嘗ての脳天箇所を貫いて虚空へと突き刺さった。

魔法少女「……避けますか」

光が消えて、視界がぼんやりと回復していく。
そこで、ほむらは。そしてインキュベーターも予想外に――それを見た。

魔法少女「…………」

ほむら「な、なんで……なんて事……!」

キュゥべえ「これは驚きだ。ほむら、君は――」
キュゥべえ「――三つ編みもメガネも、良く似合うんだね」

そこに居たのは、鏡でしか知らない――自分自身だった。きっと、あの頃の。

魔法少女「……暁美ほむら」

ほむら「私……!?」

――――

いつか、自分の中で巴マミと戦った場所があった。そこに、ほむらは逃げ込む――この戦いに誰も巻き込まない為に。

ほむら「(よりによって……自分なんて、最低)」

悪魔の装束には傷が目立ち、羽も幾つか欠けている。あんなに、強くは無かったと思う、が。

魔法少女「逃げてばかりですか?」

ほむら「……ここなら好きなだけ、暴れられるだけよ」

お互いが激突する。爪を振るい、羽を刺すほむら。盾から幾つもの銃火器を駈り、苛烈に舞う魔法少女。
それを眺めながら、キュゥべえは一人呟く。

キュゥべえ「最近の君は隙が見えるようになってきた。あれだけ迸っていた君のソウルジェムも、今は大人しいものさ」
キュゥべえ「感情も不安定になってしまっている。既に魂は悪魔としては冷えきってしまっているのに、体だけがイヤらしいままだから」
キュゥべえ「僕達に感情は分からない。だけれど観測し、データを集める事はできる……統計通りだよ、暁美ほむら」

「――愛は、冷めるんだ」

―――――

銃弾が頬を掠める。
が、ほむらの爪は魔法少女の腹を食い破った。

魔法少女「か、はっ――!」
ほむら「はぁ……はぁ……んづっ!?」

肉薄した状態から、盾を使って顔面に裏拳を突き抜かれる。口の中に血の味が広がった。

魔法少女「はなし、て!」

体は離れてお互い地に落着する。
息も絶え絶えに、二人。

ほむら「私なら……大人しく私の言うことを聞きなさいよ」

魔法少女「聞いて、どうするつもりです?」

ほむら「何……?」

魔法少女「本当はどうしようも無く怖がってるの、知ってます」
魔法少女「この世界にまどかを閉じ込めた事を後悔しているのも」
魔法少女「魔法少女たちから円環を奪ったことを後悔しているのも」

魔法少女「まどかを契約させてしまった事も」
魔法少女「皆を説得できずに、殺したり、殺されたりした事も」

魔法少女「後悔している。罪の大きさも理解している」
魔法少女「そういうのも、私、知ってます」

ほむら「なら――!」

魔法少女「でも」
魔法少女「『まどかに守られる私じゃない。まどかを守る私』として、貴女から、私はまどかを守ります。守りたいと――」

「「あの時、誓った……」」

何故か、目の前の自分がとても眩しくて。
勝手に涙が溢れてきて止まらなくて。
苦しくて、切ないのに。

それでも。

ほむら「……貴女を潰して、私はまたやり直すわ」

魔法少女「貴女を倒して、私は今度こそ――まどかとやり直します」

決着を付ける為に、構えて――踏み、込んだ。神速だった。ほむらの爪は、確実に魔法少女の首を捉えている。

そして、振り抜いて――

コツリ。
銃口が、今度は顎の下に。
頭を屈んだ体勢で、切っ先だけを突き付けて、ほむらさえ見ずに『ほむら』は言った。

魔法少女「よかった。少しだけなら、『止まって』くれたんですね」

盾の機械仕掛けは、自慢気に稼働していて。

ほむら「――――!」

「こんな風には、なるつもり……無かったんですけれど」

故に、脳漿が――爆裂した。

――――

ほむら「かっ……」

治癒を。一心不乱に治癒を行う。死なない。この程度では死なないと、理解しなおさなければ死んでしまう。
立つこともままならず、ほむらは地に崩れ落ちた。

魔法少女「……醜いわね」
ほむら「…………!」

それは、やはり良く見知った姿。
恐らく、一番付き合いが長かったと思う。

覚悟に三つ編みを解いた、あの頃の姿そのままだった。

魔法少女「私も後悔しているの。何故あの時、『まどかとの出会いをやり直したい』なんて願ったのか」
魔法少女「『まどかを生き返らせて』とは願わなかった。結局、私は――まどかに良い格好をしたかっただけ」

魔法少女「あの時何度も繰り返して、傷付き苦しんできた全てがまどかの為だった――そんなのは」
ほむら「――やめて」

魔法少女「――嘘よ」

魔法少女「私は最初から、『まどかの為に戦う自分』を求めたに過ぎないのよ」
魔法少女「今だってそう。まどかが欲しいから、まどかの願いを否定してまで手に入れた」

魔法少女「だけど、貴女は心の中では後悔し続けた。私のソウルジェムは、貴女のそういう奥底の形」
魔法少女「貴女だって知っているんでしょう。円環の理にぴったりの魔法少女を」

ほむら「――――!」

頬を持ち上げられ、自分と見つめ合う。
瞳に映る自分自身が、とても頼りなく見えた。

魔法少女「それは貴女よ。暁美ほむら」

ほむら「…………」

魔法少女「本当にまどかの為なら、まどかの為に身を差し出せる。それが出来ないのは、まどかといる自分を求めているから」

魔法少女「私には無理よ。貴女には出来る?」

ほむら「まどかの……ため……」

まどかの為なら、そう、したい。
はず。

魔法少女「大丈夫よ。まどかは、私が守るから――」

ほむら「――!」

想像する。
ほむらと笑い合うまどか。
人の生を謳歌し、幸せを教授するまどか。
私と共に……日々を育みあって――
その『わたし』が、こちらを向いて――歯を見せて笑った。

それは、わたしじゃ、ない。

ほむら「――――イヤよ!!!!」

ほむら「……へっ?」

魔法少女は、頭が弾けていて。
首から鮮血も吹き出して――石ころも割れていて。
絶命していて。
彼女はだから、さっきまで彼女が持っていた物を『持っていってしまった』。

ほむら「――こんなの、どうでもよかったじゃない」

ほむら「私は、もうまどかを――手に入れてるのだからぁ……ふふ」

ほむら「ああ、素敵な気分だわ。明日はどうやってあの子を穢そうかしら……」

ほむら「そうだわ。この喜びを誰かと共有したいわね……まどかの御裾分けなんかいいかもしれないわ」

ほむら「明日の一時間目を数学から『書道』にしたら男子は喜ぶかしら? でも貸してあげるだけにしなくっちゃ」

ほむら「うふふ、あはははっ!」

世界にそんな、壊れた笑い声が響いているばっかりで。
やっぱりそれが、いつもの当たり前だった。

キュゥべえ「悪魔が感情を取り戻して力を失っても、自分自身に敗北し消滅しても、魔女のエネルギーを回収するにはどちらでも良かったのに」

キュゥべえ「やれやれ。暁美ほむら、完敗だよ。また暫くは小間使いかな」

キュゥべえ「人間はやっぱりわけがわからない。全く、うまくいかないなぁ」

キュゥべえは背を丸め、少しだけ元気が無くなったように――トボトボとその場を後にした。

交わした約束は、もう何だったかすら思い出せない。

終わりました。レスの大切さをしりました(迫真)

次の人>>118

>>200

ん?もしかして今日中に投稿しないとダメなパターンです?

oh…あと3レス分さくっと書いて投稿しますわ…

すまぬ、今超突貫で仕上げてる最中
50分ごろには投下しますんでもう少々お時間いただきたい

明けて翌日。

ほむら「………ふぅ」

最近はどうも、疲れが溜まっているのか気が付いたら朝だった、と言う事が増えてきたような気がする。

昨夜の事を思い出す。

ほむら「…………ふふっ」

恐ろしい事があったはずなのに―――わたしの口の端からは、何故だか笑みが零れた。

そもそも、恐ろしい事とはなんだ?

わたしは最早、人でも魔法少女でもない。『悪魔』なのだ。

『悪魔』であるわたしに、恐れるようなことなんてあるのだろうか?

ほむら「……ないんだろうなぁ」

そうひとりごちる。

そうだ。今のわたしに、恐るべきことなど何もない。

わたしが何かを恐れるのではない。誰かが、わたしを恐れるような存在なのだ。

そう言う存在になって『しまった』。自ら望んでそれを『受け入れた』。

ほむら「受け入れたなら―――その通りに振舞わなきゃね」

ここはわたしの世界。何物にも……何者にも侵略されること無き聖域。

壊すことが出来るとしたら―――それは、あの子だけだろう。

ただ、そんなことはまずさせないし、出来る筈もないこともまた事実。

さて………今日も、学校へ行くとしよう。

いつもより少し遅い時間帯。

周囲には既に登校する生徒の姿がない。こんな光景を見るのもずいぶんと久しぶりだと思いながら歩いていると、背後から賑々しい二人分の声が聞こえて来る。

さやか「もーっ!!だから夜更かししないで寝ようって言ったのにぃ!!」

杏子「今更そんな事愚痴ったって仕方ねーじゃん!無駄口叩いてる暇あったら走れ!」

さやか「っ、誰のせいでこんな目にあってると思ってんのよぉっ!!」

杏子「わかった、愚痴なら後でいくらでも聞いてやっから!ほれ、いそがねーと遅刻するぞ!」

さやか「わかってる、わよっ!!」

二人、あーだこーだと話しながらわたしの横を駆けていく。

ほむら「………ふふ、よかったじゃない。あなたも、新しい人間としての生を楽しめているようで」

そう呟き、二人を見送る。


―――と、美樹さやかの方が不意に立ち止まった。

杏子「どうしたよ、さやか!諦めたのかー!?」

さやか「ごめん、杏子!先に行ってて!」

杏子「? ああ、わかった!先生にはあたしからうまいこと言っとくからなー!」

そう言って、佐倉杏子一人だけが駆けて行ってしまった。

ほむら「………」

さやか「……あたしは、望んでここにいるわけじゃない」

それは、独り言だろうか?それとも、わたしの言葉に対する返答だろうか?

さやか「何か言ったらどうなのよ?―――悪魔」

どうやら後者だったようだ。

ほむら「さて、何のことかしら?と言うか、未だに忘れずに覚えているのね。案外としぶといものだわ、美樹さやか」

さやか「一応褒め言葉と受け取っておくよ。で?あたしに何の用よ?」

ほむら「あら、別段わたしはあなたに用はないのだけれど?あなたの方がわたしに用があって立ち止ったんじゃないのかしら?」

さやか「……言い方を変える。今度は何を企んでるのさ?前は新しい円環の理を作るだのなんだの言ってたはずだけど?」

ほむら「どうやらわたしの話はあなたの頭では理解しきれなかったようね。説明下手だったわたしの責任よ、ごめんなさい」

さやか「あーもうっ!話の進まない人だねぇっ!」

ほむら「何よ、聞きたい事があるならまわりくどい事を言わずはっきりと言いなさい。わたしも暇じゃないんだから」

今だって、あの子の顔を見たくてウズウズしている。

さやか「なーんかふっきれた顔してるよね、あんた?また何かよからぬことでも企んでるんじゃないの?言っとくけど、まどかに何かしようとしたらあたしが許さないからね」

ほむら「……ふふ、ホント、人のそういう部分には敏感なのね、あなた」

そうでなくては張り合いがない―――とは言わない。敵を煽って得する事なんて、何もないのを知っているから。

さやか「それも褒め言葉として受け取っておく。一応、釘を刺しておくよ。まどかには、手を出すな。今は―――あたしには何も出来ないけど、いつかあんたを倒して、まどかを解放してやるから」

ほむら「随分と頼もしい言葉ね。円環の理の守護騎士にでもなったつもりかしら?」

さやか「別にそんなつもりはないよ。ただ、あの子は……まどかは、あたしの一番の親友なんだから。あんたなんかに、絶対に好きにさせない」

ほむら「この世界であんな笑顔をしていたあなたに言われてもちっとも説得力無いわ。―――全て忘れて、何も考えずに遊んでいれば楽なのに」

さやか「お生憎様、あたしもすでに円環の理―――引いては神様の一部になってる身だからね。楽な方に逃げるなんてのは、許さないの」

ほむら「ふぅ……本当、あなたってめんどうくさいわ」

でも、それでいい。美樹さやかは、そうあるべきだ。

美樹さやかとの問答を終え、学校への道を歩く。

―――何故か、わたしの隣を美樹さやかが同じ速度でついてきていた。

ほむら「………」

さやか「………」

どうしよう。ここは突っ込むべきところなのだろうか。

でも、そうするとなんとなく負けな気がする。

ほむら「………」

さやか「………」

試しに少し歩く速度を落とすと、美樹さやかも同じく速度を落とし、わたしの隣を維持した。

ほむら「………」

さやか「………」

校門が見えて来る。と、予鈴のチャイムが鳴り響いてきた。

ほむら「遅刻するわよ?急がなくていいのかしら?」

さやか「先生には杏子がうまいこと言ってくれてるはずだし。だからあたしは、あんたの行動を監視することに専念出来るってわけ」

ほむら「随分と信頼しているのね、佐倉杏子を」

さやか「そりゃそうでしょ。―――あんただって、あたしたちの中では杏子を一番信頼してたんじゃなかったの?」

ほむら「―――さあ、そんな事、もうすっかり忘れてしまったわ」

本来、何かを『忘れるべき』なのは美樹さやかのはずなのに……どうして、わたしが何かを『忘れてしまって』いるのだろうか。

ただ……これは、本当だった。わたしの中からは、すでに、何かが溶けて崩れてしまった後なのだろう。それが大事なものだったのかどうかさえ、もう定かではない。

さやか「………」

以上でございますです。なんか全然話進んでる気がしないでもないけど多分気のせい
ほむらの中に起きた異変を、誰がどう受け止めたか?を意識して書いたつもりです

次は>>147に頼みまする

とりゃ

よし、とれた。

偽街の子供達「ご主人様!」メガほむ「ご主人様!?」
偽街の子供達「ご主人様?」メガほむ「……うん、ご主人様だよ」
偽街の子供達「ご主人様!」リボほむ「使い魔!?」

シリーズで一回ということらしいので、これでお願いします。

トリップつけるのは初だったので>>65と同じ方法で本人確認できるようにしておきました。自己紹介にトリップぶちこんであります。

リンク先は下記の通りです。
http://pixiv.me/qazxsw020119

これでいいのかな……?


 ほむらの様子がおかしい。

 ほむらの横を歩きながら、さやかは言いようのない違和感を持て余していた。

 まどかを解放したい。先日までは確かにそう言っていたのだ。その時のほむらは絶対に嘘をついていなかったと確信していたし、その後に杏子やマミさんに何かの協力を仰いでいたのも知っている。

 それなのに、今朝のほむらの顔は悪魔そのものだった。

 その変貌の理由は分からない。けれども、一つだけはっきりしていることがある。

さやか(上手くいえないけど、今のこいつから目を離しちゃダメだ)

 もう校舎の中に入り、廊下を歩いているところだ。まどかのいる教室まであと少し。さやかは目を鋭くして横を歩くほむらをにらみ付ける。

ほむら「なにかしら?」

さやか「べつにぃー?」

ほむら「……はあ」

 ほむらはらちが明かないとばかりにため息を一つ吐く。

 執拗に張り付いてくるさやかの視線に、ほむらはうっとうしそうに髪をかき上げ

ほむら「……」ファサ

さやか「ぶっ」

 その長い髪の毛を、ぶつけてきた。

さやか「~~っ」

ほむら「美樹さやか。どうしたのかしら。教室はもうすぐそこよ」

さやか「どうしたも何も、今あんたが髪の毛ぶつけてきたんでしょう! 髪の毛が目に入って、地味に痛いのよ! なに!? 目つぶしなの!?」

ほむら「その通りよ。よくわかってるじゃない。それじゃあ、先に教室に入ってるわ」

さやか「その通りよってあんた――あ、ちょっと待ってっての!」

 やけに冷淡なほむらを追いかけてさやかも教室に入る。髪が入ったときに出た涙で視界がにじんだままだったが、すぐそこの教室に入ることぐらいはわけない。

さやか「ったく、ほむらのやつ……」

 さやかは目をこすりながら教室を見渡す。ちょうど朝のHRが終わったところだったのだろう。早乙女先生は教壇にいない。次の授業の先生が来るまで、まだ少しの時間がありそうだ。

さやか(まぁ、ちょうどいい時間ではあるよね。ほむらは自分の席に座ったみたいだし、とりあえず授業が始まる前に杏子とまどかと仁美に挨拶を――って)

 まどかが、いない。

 反射的にほむらの座る席をにらみ付けるが、素知らぬ顔を返された。

さやか「杏子! まどかが……って、寝てるし。おい、杏子ー! 起きろー!」

 杏子が授業が始まる前に寝てるのは珍しくない。ゆさゆさと乱暴に杏子を揺り起す。

杏子「……」

 さやかの呼び声に、むくりと杏子が起き上がり、さやかの方を向く。

 奥行きのない幼稚な落書きのような杏子の顔が、その顔面に張り付いていた。

さやか「なっ。これ――っ!」

 背後から殺気を感じて、とっさに身をかがめる。

 黒い棒状の何かがさっきまでさやかが場所を突き抜け、破壊音を鳴らして壁を粉砕した。

ほむら「……良く避けたわね、ミキサヤカ」

 がらがらと壁が崩れる中、武器が投擲された方向からほむらの声が届く。だが、さやかは教室の壁を派手に破壊した武器を見て静かに呟いた。

さやか「あんた、ほむらじゃないわね」

ほむら「アら?」

 ほむらの姿をした何かが、カクンと関節が固定しきれていないような奇妙なしぐさで首をかしげる。

ほむら「なんでそう思うのカシラ」

さやか「ほむらはそんなバカでかいマチ針を使わないわよ」

ほむら「あア、そういえばそうだったワ」

 さやかの答えに、ほむらの姿をしたそいつはのどをのけぞらしてケタケタと笑う。

 もう隠す必要もないということなのだろう。ざあっと色が洗い流されるようにして本来の姿が現れる。

 黒かった長髪は色が抜けて金糸のようなプラチナブロンドへ。もともと白かった肌は人工的なまでに青白くなり、球体関節がむき出しになる。黒い喪服、羽根つき帽子をかぶったその人形を、さやかは当然覚えていた。

さやか(やっぱり、ほむらの使い魔か。ここは、あの時の結界と同じだ。さっきほむらに髪をぶつけられた時に、教室の出入り口を結界の入口のされたんだろうね)

 改めて教室を確認すれば、クラスメイト全員の顔には赤と灰色のモザイクがかかっていた。例外はといえば、そもそもいないまどかと、落書きのような顔を張り付けられた杏子と、結界に招かれたさやかと、後は――

レイケツ「……」ニタニタ

 ――ほむらの代役を務めていた、この人形ぐらいなものだ。

さやか「あんた一人……じゃないよね、やっぱり」

イバリ「Fort」ニタニタ

ヤキモチ「Da」ニタニタ

ノロマ「Fort」ニタニタ

ナマケ「Da」ニタニタ

ウソツキ「Fort」ニタニタ

ワルクチ「Da」ニタニタ

 無邪気に声を響かせて教室の扉から、窓の外から、ぞろりぞろりと入ってくる。その合計、七人。思わず苦笑がこぼれた。

さやか「ちょーっと厳しいですかねぇ」

 軽口をたたきながら魔法少女に変身し、剣を構える。七対一。相手は使い魔とはいえ、一人一人が油断できない強さを持っていることは知っている。力の出し惜しみなんてできないだろう。

 息を吸って、吐いて、覚悟を決める。

さやか「さて、それじゃ――行きますか!」

偽街の子供達「Fort Da!」ニタニタニタニタ

 鼻歌を歌う。

 リズムをとって音程を合わしてメロディをつなぐと、教室に小さな音楽が流れる。それを耳にしたクラスメイトがちらちらと不気味そうにこちらを見てはひそひそと何か話している。

 けれども構わずに続ける。

ほむら「~♪」

 いい気分だ。空席のままの美樹さやかの席を確認し、今度は志筑仁美と歓談しているまどかを見る。

ほむら「~♪ ~♪」

 いいき気分。とてもいい気分。

 そうして上機嫌に鼻歌を続けていると、ふと声をかけられた。

杏子「なあ、ほむら。さやかはどうしたんだ?」

ほむら「あら」

 鼻歌を止めて、杏子と視線を合わせる。

 杏子。佐倉杏子。そう。そうだった。まだ彼女がいた。

ほむら「美樹さやかなら、今頃人形遊びをしている頃よ」

杏子「はあ? 人形遊び?」

ほむら「ふふっ。そう。さっき、私のお人形を貸してあげたのよ。さやかはとてもとても頑張っているはずよ」

杏子「ああ? なに言ってんだよ。わけがわからねえ」

 不機嫌そうに顔をしかめる。それはそうだろう。その気持ちは、手に取るようにわかる。

 杏子はさやかが心配なのだ。さやかが杏子のことを信頼しているように、杏子もさやかのことを信頼している。その感情がそのまままっすぐさやかを心配させているのだろう。そう。私がかつてあの子をとても心配――私がかつて?

 ……私がかつて、何だというのだろうか。いま、何を考えようとして――

杏子「ちゃんと説明しろ。わけわかんねー言葉で煙に巻こうとすんな」

ほむら「――あら、怖いわね」

 すごんできた杏子に笑顔を返すの一緒に、わけのわからないもやもやを振り払う。

 かつてなんて、どうでもいい。忘れてしまった感情なんて拾う必要もない。そう。そうだ。

 だって私はもう、まどかを手に入れているのだから、他に必要なものがあるはずもない。

ほむら「ちゃんと説明……そうね。そう、こんな風な人形遊びのことよ」

 パンッと手をたたくと同時に、糸が切れたようにクラスメイト達の動きが止まる。

まどか「え? ひ、仁美ちゃん、どうしたの? あ、あれ? みんな……」

 自分の意思を保っているのは、まどかと杏子だけだ。訳もわからず狼狽するまどかとは違い、杏子はぎくりと体をこわばらせていた。当然だろう。彼女たちが昨日体験したのとまったく同じ状況だ。記憶を消したまどかとは違い、杏子はこの状況をはっきりと覚えているのだ。

杏子「ほむら、あんた……」

ほむら「さて」

 目つきを厳しくする杏子に、口の端を持ち上げて答える。

ほむら「それじゃあわたしたちも人形遊びを始めましょう?」


さやか「はぁ、はぁっ。なんとか逃げ切れた……! 今いるのは……ああ。いつだかほむらが絶好調のマミさん相手にしてた場所か」

さやか(この結界、いつかの偽街と一緒か……。この出口のない迷路から、どうやって抜け出そうか)

 状況を把握して、思案する。

 この結界は、あの時と同じ見滝原の偽街の結界だ。あの人形たちに狙われているのも問題だが、それ以上に結界にとらわれている現状を何とかしないといけない。さやかがここにいるというのは、まどかと分断されていることを意味する。この状況でほむらがまどかに危害を加えないと考えるほどさやかも楽天的ではない。

さやか「これからどうしよう。援軍も期待できないし――」

QB「やあ、さやか。ここに来たのは君かい。思ったよりずいぶん早かったね」

さやか「――って、キュゥべえ!?」

QB「そうだよ、さやか」

 あくまでも事務的な口調を崩さないその話しぶり。ちょこんと座るかわいらしくも憎らしいその毛玉は、間違いなくインキュベーターだ。

さやか「あんた、なんでこんなところにいるのよ」

 さやかは、じろりと警戒心を込めてにらみ付ける。

 孤立無援ではないと分かったとはいえ、インキュベーターを頼るほどさやかもバカではない。こいつは、まぎれもなく敵なのだ。

QB「そんなに警戒しないでもいいよ。僕は君が来る前から……正確に言うと昨夜からここにいたんだよ。君がこんなにも早くここに来るのは予想外だったから気長に待つつもりだったんだけど、君に見せたいものがあってね。これを見てくれないか、さやか」

さやか「これって――うっ」

 インキュベーターが指示した先には、首のなくなった死体があった。

さやか「なに、これ……」

QB「つい昨夜、ほむらがここで彼女と争ってね。あれはその結果さ」

さやか「争って、って……だ、誰なのさ、この人」

QB「円環の理を請け負うために、ほむら自身が作り出した魔法少女だよ。君だって心当たりはあるだろう? 何せ、この子の材料はほとんど君で賄われているんだ」

さやか「そういえば、誰でもない魔法少女を作るためにウロコをくれとか言われてたっけ……でも、どうして? 苦労して作った、円環の理の器なんでしょう? なんでそれをほむらが壊しちゃうのよ」

QB「ほむらは君の魔女の肉を使い、マミから人体生成の理論を学び、杏子から幻惑魔法を教授してこの魔法少女を作り出した。何度も失敗した試みだが、最終的には魔法少女の頃の自分の感情を込めることにより円環の理の器たる魔法少女を作り上げることに成功した。……けれども、ねえ、さやか。そうしてできた魔法少女は、どんな形をしていたと思う?」

さやか「え、ええっと、ほむらが魔法少女の頃の自分の感情をこめて作ったってことは……あ! も、もしかして!」

QB「その通りだよ。この魔法少女は、正しく魔法少女であったころのほむらの感情をもった魔法少女として生まれた。そして、彼女はその感情に従い悪魔となったほむらに逆らい……殺された。ほむらの『魔法少女だったころの感情』を持ち去ったままね」

さやか「そ、んな。それじゃあ、今朝のほむらの様子が変だったのは……」

QB「間違いなく、魔法少女だったころの感情を持って行った自分を壊してしまったからだろうね」

さやか「ッ!」

QB「でもね、さやか。君なら、この壊れてしまった魔法少女を治せるかもしれない」

さやか「え?」

QB「さっきも言ったように、この体の構成要素はほとんど君の魔女の肉が使われている。君の回復力は人一倍だ。君の魔力を受け取れば、ここまで損傷した体ももとに戻せるかもしれない。そしてこれを動かす肝心の感情だけれども……」

 インキュベーターは前足で、ころりと割れた紫の石を差し出した。

QB「残骸とはいえ、ここにある。これはまぎれもなく、魔法少女だったころの暁美ほむらの魂さ。――さあ、美樹さやか」

さやか「……」

QB「僕と協力して、この暁美ほむらを蘇らせてよ!」



マミさんとなぎさが息してない……。

よく考えればあと一日あったけど、早く続き見たいからいいや。
ホントはドールズ出すつもりなかったのに、いつの間にかごく自然な流れでドールズを目立たせるのに心血を注いでおきました。反省はしてます。レイケツちゃんはかわいい。

ほんとはルミナスする方向に話を持っていたかったけど、ムズイ。

次の人>>174

a

ほむら「悪魔だけど安価で魔法少女を救済するわ」

乗るしかないですもんね、このビッグウェーブに

さやか「ちょっと考えさせて、っていう時間はなさそーだね」

頬を伝う嫌な汗を拭いながら、さやかは呟く。

周囲の街並みは蜃気楼のように揺らぎ、今にも掻き消えてしまいそうな気配だった。

どうやらこの偽街は酷く不安定な状態にあるらしい。

恐らくは外でほむらが何らかの力を行使していて、こちらの構築がなおざりになっているのだろう。

このまま此処に居続ければどうなるのか、正確な答えは持ち合わせていないが……ろくなことにならないだろうことは容易に察せられた。

QB「感情の欠けた暁美ほむらがこのまま暴走を続けたら何を仕出かす分からない」

急かすようにキュゥべえは続ける。

QB「さあ、ほむらに感情を返すためにも、早くこの肉体を再生しよう!」

さやか「……?」

だがその言葉は、さやかの思考に小さな疑惑を芽生えさせた。

さやか「あんたさ、なんか企んでない?」

さやかは問うた。

元より友好の色など微塵も帯びていなかった声色を、一層冷えたものへと変じさせて。

QB「……何のことだい?」

さやかの発言に対してキュゥべえは何ら変わった反応も示さなかった。

感情のない宇宙人の瞳からその思考を読み取ることは難しい。

しかし、だからこそさやかは確信する。

────やっぱこいつ、なんか企んでる。

さやか「……いやね、ちょーっと違和感あるんだよね」

さやかは肉塊を見下ろし、砕けた紫の石を見やり、そして頷く。

さやか「……うん、やっぱそーだ。この死体はあたしのウロコから出来た唯の肉塊、そしてこっちは暁美ほむらの魂の一部」

確認するように順に指を差して行き、そして最後に指さされたがのは疑惑の白い固まり。

さやか「必要なのはほむらの魂の破片。それだったら……ほむらに感情を返すのに、わざわざ作り物の肉体を蘇らせる必要なんてないでしょ?」

それは抜き身の刀を突きつけるかのように。

さやかの人差し指は真っ直ぐにキュゥべえへと向けられた。

さやか「そんな者を蘇らせて、あんた何に利用する気だったわけ?」

QB「…………」

余計なことまでペラペラと喋るはずのキュゥべえが一瞬だけ言い淀む。

ほんの僅かな間であったが、さやかからしてみれば十分だった。

やはりキュゥべえは黒だ、と断ずるのに十分な判断材料であった。

さやか「悪いけどキュゥべえ……」

だが、さやかが判決を下す直前に────飛来した無数の黒き槍がキュゥべえを貫いた。

さやか「……!?」

QB「きゅぶっ」

聞き苦しい断末魔をあげ絶命するキュゥべえ。

これで最早企みの真相は闇の中だ。

さやか「ちっ……!」

さやかが振り向けば、其処には喪服に身を包んだ子供達が整列していた。

ニタニタと薄気味の悪い笑みを貼り付けた、十四体の人形が。

さやか「随分と最悪のタイミングで登場するじゃんか……まるで口封じみたいだったよ」

さやかの皮肉に対して、人形達は槍を構えることで応える。

「Fort Da!」

さやか(……こりゃ本気でピンチだわ)

油断無く剣を構えるも、内心では全く勝ち目がないことを半ば認めていた。

七体一で辛うじて逃げ切れた。相手がその倍に増えたなら?

考えるまでもなかった。間違いなく一方的な戦いになる。否、蹂躙になる。

きっとここで自分は死ぬ。酷たらしく殺される。

さやか「……ふざけんなっ」

頭の中を埋め尽くそうとするネガティブな予測を怒鳴りつけて追い出す。

さやか「そう簡単にこのさやかちゃんがやられると思わないでよね、あんた達!!」

さやかが吼えると全身から魔力を立ち上り、外套がはためいた。

「Fort Da!」

それを開戦の合図と受け取ったのか、人形達は大声で笑いながら駆け出す。

彼女らがさやかへと迫り、双方の間合いに入る────

さやか「くっ……!」

その直前に、さやかは懐かしい声を聞いた。

「さやか! 下がるのです!」

一瞬にして無数のシャボン玉がさやかの前方を埋め尽くし、人形達の行く手を阻んだ。

さやか「これって……!」

なぎさ「怪我はないですか、さやか?」

現れたのは一人の幼い魔法少女。

かつてさやかと共に戦った、円環の理によって選ばれた少女……百江なぎさ。

悪魔が世界を改編した折に、戦う力を失った筈の少女だった。

さやか「なぎさ!? ど、どうしてここに……ていうかあんた、魔法少女じゃ……」

なぎさ「話は後なのです! 早く此処から出るのですよ!」

さやか「あ、ちょ、待って!」

さやかはキュゥべえの死体の側に転がっていた紫の石を拾い上げると、再会を喜ぶ暇もなく駆け出したなぎさの後を追った。

「Fort Da!」

人形達も後に続こうとし騒ぎ出す。

だが迂闊にも一体の人形がシャボンの壁に触れ、即座に破裂したシャボン玉に吹き飛ばされた。

「……!?」

まともに衝撃を食らった人形の喪服は千切れ、灰色の乳房と黒ずんだ乳首が露わになる。

破裂のダメージは身体までは達していなかったらしくその肌は無傷であったが、何が起こったのか分からず困惑している様子だ。

人形達の隊列が乱れる。槍を持つ手も何処か覚束なく構えにも隙が伺える。

彼女らにとってもなぎさの乱入は想定の範囲外であったのだろう。人形達が見せる初めての動揺であった。

此処に招いたのはミキサヤカだけだった筈。何故あんな奴がいる?

そう浮き足立った人形達の中、ただ一人だけが小さく呟く。

「Falsch」

間違えた。そう白状したのは何処かマヌケ面の人形だった。

一番書きたいものをねじ込んだから満足した。

>>191

唐突な乳首に草不可避。
安価なら↓

日付変わってすぐに安価踏めば制限時間を48時間近く貰えるから、それ狙ってるのかも
或いは、実は思ってたほどシリアス系作者が多くないとか?

qi9dg3ebRKTd(カオス) → QnqYInc3ms(軌道修正) → L6BlpxGAiA(シリアス) → wu8VE5paJA(シリアス)
→ /ZP6hGuc9o(シリアス) → eXn3QOvOw8p2(シリアス:ドールズ登場) → SzGamSzLKs(シリアス)

もうこれカオス系の人が入り込む余地ねえな
安価↓

そういえば5レス以内だから5レスじゃなくてもいいのか
次は>>218でいいんだっけ?

試しに

さやか「あたしが僕で僕があたしで」

酉は現行のQB「僕と契約してポケモン図鑑所有者になってよ!」2に晒してる
同一作者なのは上の作品の下の方に書いてるんで大丈夫だと思う

>>220
ほむらの扱いに定評のある人か

よし書けた

>>222
そんなん言われたん初めてだ

『空が降ってくる』とは比喩だったはずなのにと、さやかは思った。

稲妻は亀裂と化して轟音を上げ、命を投げ出すように空の破片たちが落ちてくる。

それらを躱しながら跳び回るなぎさの後ろを、さやかは訳の分からぬままついていくだけだった。

足場にしているビルや橋だった物もぼやけ始め、いよいよ時間がないことは誰の目にも明らかだ。

時間とは勿論、どこだか分からないこの世界の終焉までの残数だ。

無限に広がらない空の下。

二人はガラス玉の中にいる。

さやか「なぎさ! どうしてあんたがここにいるわけ!」

なぎさ「分かんないのです!」

さやか「はぁ!? あんたそれどういうへぁああぁぁあ」

会話が断末魔に変わったのは、さやかが足を踏み外して奈落へとダイブしたからである。

無論、あると思った足場が突然消えてしまったためであるというのはさやかの名誉に誓って伝えておかなければならない。

さやか「はぶっ!」

どうにかコンクリートではない何かに着陸したらしく、幸いお尻を打っただけで済んだようだ。

なぎさ「大丈夫なのですか?」

さやか「痛たた……なんとかだね、全く。今そっちに行―――」

会話が再び途切れたのは、見上げた先にいたなぎさの背後に、この世界ではないどこかで見慣れた、ピンクの人形が浮かんでいたからである。

陰に隠れて顔は見えないが、首に巻かれた黒地に赤斑点のマフラー。
ココアブラウンの腕が見えない割にお腹がギリギリ隠れないアンバランスな服。
ちょこんとした足。
そしてキャンディを彷彿とさせる巨大な耳。

かつて百江なぎさだった者。

あるいはなぎさに成る前の者。

それはお菓子の魔女だった。

ちなみに顔が隠れている陰とは、その魔女の口からはみ出したマフラー模様の長く太いつるりとしたもの。
蛇のような体躯をした、お菓子の魔女のもう一つの形態である。

人形の口から現れている巨体はさやかの足元に伸びていて―――

後ろを振り返れば、ピエロのような顔をした魔女が、自慢の歯並びを見せつけるようににっこりと微笑んでくれた。

さやかにとってそれが恐怖の対象であったことは過去の話だ。

さやか「なんで魔女が……うわっと!」

魔女はゆっくりと上昇してなぎさの元へと縮んでいく。

なぎさ「なぎさも乗せてもらうのです。とりあえずゴーなのですよ!」

昔TVに映っていた電電太鼓を持った少年と彼を乗せた竜の如く、魔女とさやかたちは再び崩壊する街の中を跳び回る―――

否、飛び回ることになった。

なぎさ「魔女に乗るのも久しぶりなのです。さやかもでしたっけ?」

さやか「当たり前でしょ。それより、まずは聞きたいことが山ほどあるんだけど」

落ちてくる欠片に気を付けながら、さやかは問う。

さやか「なぎさ、あんた魔法少女じゃなくなってたはずだよね? どうして変身してるの?」

なぎさ「それについてはなぎさもよく分からないのです。ただ、思い出したらソウルジェムも一緒に手の中にあったのです」

さやか「思い出した?」

なぎさ「なぎさたちが、かつて円環の理に導かれてその一部になってたこと」

さやか「――っ!」

なぎさ「ここに来た理由は残念ながら知らないのです。でも、変身の仕方も魔法の使い方も魔女の出し方も、全部思い出したのです! 暁美ほむらが、円環の理を奪って、悪魔になったことも……」

さやか「思い出した、ね……でもこの世界がどういう物かとか、どうして思い出せたのかは、分からないってわけ?」

なぎさ「ごめんなさいなのです……」

ちなみに、なぎさがここに呼ばれたのがどこかのおマヌケさんの仕業だとは、とうとう二人は知ることはない。

さやか「あれ、待って待ってちょっと待って……じゃあなぎさ、あんた今どこに向かってんの? 出口に向かってるんだよね?」

なぎさ「逃げてるだけなのです! あの人形たちから」

がっくりと肩を落として魔女から落ちそうになる。

入り方が不明ならば出方も不明。

さもありなんというわけだ。

なぎさ「でも、もしかしたら出られるかもしれないのです」

さやか「……パードゥン?」

一時間目は和子先生の英語だったなあと、ふと思い出した。

なぎさ「ここが暁美ほむらの創った世界なら、きっと前と同じ感じだと思うのです」

さやか「この世界はソウルジェムの中、ってこと?」

なぎさ「誰のかは分かりませんが……要するに空なのです! 空をぶち壊してここから脱出するのです!」

少々安直すぎる気もするが、打開策が見当たらない今、確かに試す価値はあるように思えた。

あの時は空の向こうにキュゥべえたちが雁首揃えて見下ろしていた。

今回は一体誰が観察しているのだろうか……。

もしかしたら、あの悪魔がしたり顔でニヒルな笑みでも浮かべているかもしれない。

さやか「……なんかイラッとしてきた」

なぎさ「へ?」

さやか「あいつにヘラヘラした顔で嘲笑われてるとか考えただけでイラッとしてきた。絶対ここを出てぶん殴ってやるっ!」

なぎさ「じゃあなぎさはチーズを食べるのです!」

さやか「はいはい、いつも通りってわけね」

なぎさ「むぅー……いいから早く空をぶち壊してほしいのです。なぎさのシャボン玉だと威力不足なのですよ」

さやか「水場がないし、久々に"アレ"、やりますか……あんまり好きじゃないんだけどなぁ」

空を見やる。

剥がれ落ちた箇所には何もなく黒が広がっているだけだ。

さやかは取り出した剣を僅かに躊躇ってから、

ズブリと―――

心臓に突き刺した。

痛みを消せるとはいえ。
創痕が治せるとはいえ。

やはりいい気分がするものではない。

なぎさが作り出したシャボン玉が刹那で紅に染まる。

血飛沫がシャボンの内側で血溜まりへと姿を変え、そこに尾ひれが飛び出し、サーベルタイプの大剣がシャボンを割り―――

人魚の魔女が空を泳いだ。

さやか「ほんとに出せるもんだね……しかも、ほむらの魔女と戦った時くらいでっかいんだけど」

なぎさ「この世界のおかげなのかもしれないのです」

この際理屈も理由もどうでもいい。

さやかの指揮で魔女がサーベルを振るえば、空は紙を裂くより容易く割れる。

返す刀でもう一撃。

今度は暗闇を切り裂き、偽街に光が差し込んできた。

さやか「よーしもうちょい!」

なぎさ「ゴーゴーなのです!」

二人は希望を確信してハイタッチを決めた。

「Finden!」

それを邪魔する人形たちがわらわらと群がってくる。

まるで獲物を見つけた蟻のようだ。

さやか「でも残念。一足遅かったみたいね」

二人を乗せたお菓子の魔女が、光降る亀裂の中へと飛び込んでいった。

その姿はやはり、どこかで見た竜のようだった。

――――――――――
―――――
――


なぎさ「起きて! 起きてくださいなのですさやかっ!!」

さやか「ん……」

空が暗い。

気持ち悪くなるくらい体を揺さぶるなぎさを押しのけ、さやかは上半身を起こした。

さやか「出られた……のかな?」

なぎさ「それより見てくださいなのです! もしかしたらなぎさたちはあの街を出た時に誰か殺してしまったかもしれないのです! きっとあの街があったソウルジェムの持ち主なのです!!」

さやか「な、なん―――っ!」

なぎさ「あわわわ、どうしようなのです……」

さやか「なんだって……こんなことに―――」

二人の目の前には、首のない死体が横たわっていた。


無限に広がらない空の下。

二人はガラス玉の中にいた。

続きのことは知りません考えてません
次の人頑張ってください

次安価下5

仕事忙し過ぎワロタ。無理かも

推敲する時間が無い

杏子「まどか、俺が助けに来たぜ! さぁ、俺と帰ろう!」
まどか「う、うん。でも……」
杏子「……まどか」

まどか「わたし、やっぱりほむらちゃんが忘れられない……」
杏子「そんな……俺とお前は、未来を誓いあった――婚約者じゃあないのか!?」
まどか「ごめんなさい……杏子ちゃん」

「おとなになるって、かなしいことなの」

ほむら「はははは! まどかは頂いていくわ!」
杏子「まどかぁぁぁぁぁ!」

パン、と一つ。手の鳴る音。
舞台は消えて普段の教室へと戻ってくる。

ほむら「イマイチ。人形遊びって難しいわ。ストーリーを考えるのが大変」
杏子「(一人称違うぞぶっ殺してやろうかコイツ)」
まどか「ひ、ひぇーん……」

二人は操り人形の如く、体に巻き付いた糸で天井から吊り下げられていた。杏子に至っては逆さ吊り。スカートは魔翌力で固めている等、彼女の小器用さが現れている。

ほむら「やはり全年齢向けでは刺激が足りないのかしら? どう思う?」
杏子「知らねぇよ……でも頼むから止めてくれ」

適当にあしらいながら、彼女は離脱策を練っていた。精神系のレジストは全てぶち抜かれて役立たず。術式を練ろうにも『人形遊び』とやらでひっきりなしに頭をかき回される。

杏子「(と、なれば)」
緊急用に魔法を仕込んでおいたロザリオ。傷を入れれば即座に結界魔法が炸裂する様にしてある。

杏子「(頭ん中の支配を解けるのはざっと2秒が限界)」
杏子「(2秒で組める魔法……逃げるのでギリギリ)」
杏子「(まだ切れない札だ。他に使い道があるかもしれねぇ)」
杏子「(今は、まぁ……クラスの奴等に危害がないよう立ち回るしかないか)」
杏子「(一人、動いてるしな)」
当ては、あった。
――――――――
マミ「参ったわね……どこから入れば良いのよ」
強烈な魔翌力と固まった人々を見回し、また彼女がやらかしたと察したマミは一目散に彼女らの教室へと向かった。のだが。

マミ「そう。拒絶するのね」
空間が螺じ曲がっていて、簡単には辿り着けそうにはない。現地には頼りになる二人がいるから、ある程度は何とかしているだろうが。

キュゥべえ「――美樹さやかはここにはいないよ」
マミ「っ。キュゥべえ? どういう事!?」
背後から、気配の無い声。見落とせば、そこには白い獣。

キュゥべえ「彼女は暁美ほむらの生み出した結界に囚われてしまった。そこで、彼女の使い魔たちと終わらない戦いに勤しんでいるよ」
マミ「――何ですって?」

キュゥべえ「彼女たちは脱出を試みているようだけれど、結界に阻まれて上手く行っていないみたいだ」
マミ「……何か企んでいるわね。私を暁美さんに会わせたくないみたい。その手には乗らないわ」

キュゥべえ「何を勘違いしているのかは知らないけれど、僕たちとしては君達に暁美ほむらを倒してほしい」
キュゥべえ「彼女の存在は良くないからね。それは君にも分かるだろう?」
キュゥべえ「そして、君はきっと結界に行くはずだ」

マミ「……何故かしら?」
キュゥべえ「あのボクと再契約して魔法少女になった、百江なぎさがそこにいるからね」
歯痒く、マミは掌の上で踊らされるしか無かった。
――――――――
キュゥべえ「外に出られないようだね」
さやか「……復活したみたいだね」
キュゥべえ「まさか。死した生命は二度と戻らない。ボクは意識を共有した別の個体さ」

なぎさ「よく分からないからチーズに例えてほしいのです」
キュゥべえ「とろけたチーズは元の形には戻らないって事さ」
なぎさ「なるほどなのです!」
都合良く現れた時は、何かを企んでいる。いつもの事で溜め息も出ない。

さやか「で、アンタはなぎさに何か一枚噛んでるの?」
キュゥべえ「察しが良いね。力を失った彼女と再び契約したのはこのボクだ」
さやか「――何故そんな事」

キュゥべえ「全ては、暁美ほむらを取り除く為だよ」
キュゥべえ「この世界では、エネルギーの回収がままならないからね」
キュゥべえ「だから、彼女を倒す為に時期を待った。それが今と言うだけさ」

キュゥべえ「その為に、百江なぎさと再契約したんだ。彼女は君の力になるはずだ」
なぎさ「そういえば、何もかも忘れている時にチーズ欲しさに願ったような気がするのです!」
さやか「……ホント、ぶれないね――っと!」

ここも子供たちに見つかってしまったようで、賑やかしの声が響いてくる。

さやか「なぎさ、まだ逃げられる?」
なぎさ「お茶のこさいさいなのです!」
なぎさが魔女を呼び出して、二人はそれに乗って空を走っていく。

キュゥべえだけが、そこに残された。
彼を取り囲む子供たち。やれやれ、と言った様子で猫のように寝そべった。

キュゥべえ「……ボクはもう負けているよ。彼女らを追わなくていいのかい?」
急がなくちゃ、と誰かが呟いて――彼女らは彼を無視して行ってしまった。

キュゥべえ「……もう、ボクを恐れることもないのだろうね」
キュゥべえ「だけど、まだだ。最後に勝てれば、何度負けたっていい。二の矢は、放っているよ」

そして、また別の。

キュゥべえ「――ほらね」
マミ「キュゥべえの言った通りね……向こうには毛並みの悪いキュゥべえがいると聞いたのだけれど」
キュゥべえ「概ね間違いじゃないね」

マミ「二人はどこ?」
キュゥべえ「彼女らは使い魔に追われて逃げていってしまったよ」

マミ「ここに来れば、キュゥべえが外に出る秘策を教えてくれる――信じてはいないのだけれど、そう聞いてきたわ」
キュゥべえ「ああ。それはまず」

そこで、マミは視界の隅に転がる死体に気付いてしまった。

キュゥべえ「暁美ほむらの話をしよう」
――――――――
マミ「魔法少女としての、暁美さん?」
キュゥべえ「ああ。彼女は悪魔となった自分を倒そうとしていた。君達のように正しくあろうとする魔法少女だったと評価するよ」
マミ「そんな魔法少女を失ったと言うの……なんてこと……!」

キュゥべえ「でも、マミならもしかしたらこの子を甦らせられるかもしれない。肉体を修復できるかい?」
マミ「……それが秘策?」
キュゥべえ「暁美ほむら自身なら、この結界を突破するのも容易い筈だ」

マミ「…………」
キュゥべえ「悩むのはいいけれど、時間は無いよ。それはさやかやなぎさを救うためには間に合うかもしれないけれど、杏子は無事なのかな?」
マミ「……コレをやらせる為に、呼んだのね」

言うや否や、頭の形にリボンが覆い――程なく、整った顔が露になった。確かに違わず、ほむらの顔。
だが、それでもやはり死体は動く訳が無い。

キュゥべえ「…………ダメか。さやかが持っていってしまったからかな」
マミ「……何か聞かせてくれる?」

キュゥべえ「暁美ほむらの感情の欠片――ソウルジェムの破片をさ」
キュゥべえ「あれがあれば、この魔法少女は動き出すかもしれない」

マミ「……なら、どっちにせよ、美樹さんたちとは合流しなきゃいけないわね。この件は――後からよ」
飛び出した黄色の魔法少女。だから、眠るほむらと、獣だけになった。

キュゥべえ「……壊れた魂は、治らない。そんな簡単にいくならボクたちはこんなに苦心していない」
キュゥべえ「前例はあった。肉体から意志が芽生えれば、と思ったのだけれどね。やれやれ、二の矢も折れるとは」
キュゥべえは少しだけ『震えた』。

キュゥべえ「だけど、これが宇宙のためならば」
「そうだね。三の矢を放つだけだよ、キュゥべえ」
キュゥべえ「……その為のボクだろう。僕」

薄汚れたキュゥべえの側に、もう一匹――インキュベーター。外でマミと話していた個体と同一の。

「その為に君を僕たちから切り離した。君には役目がある」
キュゥべえ「分かっているよ。君たちにとっても、ボクは切り離すべきだ」
「君は僅かとはいえ、『焦り』を思い出してしまった。君は――」

「――欠陥だ、『キュゥべえ』」
キュゥべえ「分かっているよ、『インキュベーター』」





ミスですごめんなさい

ここも子供たちに見つかってしまったようで、賑やかしの声が響いてくる。

さやか「なぎさ、まだ逃げられる?」
なぎさ「お茶のこさいさいなのです!」
なぎさが魔女を呼び出して、二人はそれに乗って空を走っていった。

キュゥべえだけが、そこに残された。
彼を取り囲む子供たち。やれやれ、と言った様子で猫のように寝そべった。

キュゥべえ「……ボクはもう負けているよ。彼女らを追わなくていいのかい?」
急がなくちゃ、と誰かが呟いて――彼女らは彼を無視して行ってしまった。

キュゥべえ「……もう、ボクを恐れることもないのだろうね」
キュゥべえ「だけど、まだだ。最後に勝てれば、何度負けたっていい。二の矢は、放っているよ」

そして、また別の矢が装填される。

キュゥべえ「――ほらね」
マミ「キュゥべえの言った通りね……向こうには毛並みの悪いキュゥべえがいると聞いたのだけれど」
キュゥべえ「概ね間違いじゃないね」

マミ「二人はどこ?」
キュゥべえ「彼女らは使い魔に追われて逃げていってしまったよ」

マミ「ここに来れば、キュゥべえが外に出る秘策を教えてくれる――信じてはいないのだけれど、そう聞いてきたわ」
キュゥべえ「ああ。それはまず」

そこで、マミは視界の隅に転がる死体に気付いてしまった。

キュゥべえ「暁美ほむらの話をしよう」
――――――――
マミ「魔法少女としての、暁美さん?」
キュゥべえ「ああ。彼女は悪魔となった自分を倒そうとしていた。君達のように正しくあろうとする魔法少女だったと評価するよ」
マミ「そんな魔法少女を失ったと言うの……なんてこと……!」

キュゥべえ「でも、マミならもしかしたらこの子を甦らせられるかもしれない。肉体を修復できるかい?」
マミ「……それが秘策?」
キュゥべえ「暁美ほむら自身なら、この結界を突破するのも容易い筈だ」

――もしそうだとするなら、旨くいきすぎる。巴マミはそう直感的に感じた。

マミ「…………」
キュゥべえ「悩むのはいいけれど、時間は無いよ。それはさやかやなぎさを救うためには間に合うかもしれないけれど、杏子は無事なのかな?」
マミ「……コレをやらせる為に、呼んだのね」

言うや否や、頭の形にリボンが覆い――程なく、整った顔が露になった。確かに違わず、ほむらの顔。
だが、それでもやはり死体は動く訳が無い。

キュゥべえ「…………ダメか。さやかが持っていってしまったからかな」
マミ「……何か聞かせてくれる?」

キュゥべえ「暁美ほむらの感情の欠片――ソウルジェムの破片をさ」
キュゥべえ「あれがあれば、この魔法少女は動き出すかもしれない」

マミ「……なら、どっちにせよ、美樹さんたちとは合流しなきゃいけないわね。この件は――後からよ」
飛び出した黄色の魔法少女。だから、眠るほむらと、獣だけになった。

キュゥべえ「……壊れた魂は、治らない。そんな簡単にいくならボクたちはこんなに苦心していない」
キュゥべえ「前例はあった。肉体から意志が芽生えれば、と思ったのだけれどね。やれやれ、二の矢も折れるとは」
キュゥべえは少しだけ『震えた』。

キュゥべえ「だけど、これが宇宙のためならば」
「そうだね。三の矢を放つだけだよ、キュゥべえ」
キュゥべえ「……その為のボクだろう。僕」

薄汚れたキュゥべえの側に、もう一匹――インキュベーター。外でマミと話していた個体と同一の。

「その為に君を僕たちから切り離した。君には役目がある」
キュゥべえ「分かっているよ。君たちにとっても、ボクは切り離すべきだ」
「君は僅かとはいえ、『焦り』を思い出してしまった。君は――」


「――欠陥だ、『キュゥべえ』」


キュゥべえ「分かっているよ、『インキュベーター』」

彼らの種族は温厚だった。
星は豊かな自然に恵まれ、生き物は伸びやかに育ち、争いなども無い。
食物連鎖程度のソレが、緩やかに――しかし一つの文化を育て上げた。

インキュベーター。

彼らは『聞く』力を持っていた。他者と繋がり、意思を共有する力。個々でありながら群。だからこそ平和だった。

ある時は草木の声を聞き、ある時は昆虫の声を聞き。鳥の声を聞き。
遠くの文明の声を聞き、吸収し、発展した。宇宙のありとあらゆる声を聞き、育った。

いつしか発展は無尽蔵に進み、凄まじい文明を築いた。そんな中、彼らは星の声まで聞いてしまった。
空の声を聞いてしまった。宇宙の声を聞いてしまった。

どんどん死んでいく。ありとあらゆるモノが死んでいく。この宇宙はいずれ熱的死を迎える。それは誰にも止める事が出来ない。

『恐怖』が彼らを支配した。どんなに発展した文化も何れは滅びるのだと知った。自分だけは特別だと思っていた事の、何と愚かな事か。
彼らは賢すぎた。現実を目の当たりにして絶望した。

だが、この宇宙を救えるのは現状どう見積もっても自分達しかいなかった。

だから覚悟をした。命有る者達が築き上げた文化を失うのは見過ごせなかった。全ての命は平等に平穏であるべきだと。

彼らは感情を棄てた。途方も無い道程だったが、これで折れて投げ出す事もない。
後は研究だった。遠くの何処かで星が爆発する声を聞きながら、彼らはひたすらに研究した。悲しくもない。

そして遂に生み出した、エントロピーの法則を覆す――魔法少女というシステムを。
これを使って、少しずつなら宇宙を延命できるという所まで来て、問題が見つかった。

感情が必要だ。

今取り戻してもいい。しかしこの計画は億や兆の年数では足りない。そんな永い年月を感情を持ったまま活動するのは不可能だった。

悔しくはなかった。今や彼らを突き動かすのは原初の義務感だけだったからだ。

感情を持った生命体を探して声を聞いた。そして人間を見つける。
原始的な生命だったが、発展の余地は大いにあった。感情があったなら小躍りしていただろう。

彼らは人間に希望を託した。 無償ではならない。人類を尊重し、望むものを何でも一つだけ与えた。素質を見出だした者には彼らの『聞く』力を預けて意思疏通を図れるようにした。

人間にとっては便利な通信手段程度にしかならなかった。心を通わせる力だった筈だが、なかなか上手くいかないなと感情があるなら凹んでいた。

人間は利己的だった。強欲だった。自愛に満ちていた。奪い、争い、時に同士ですら殺め、蔓延っていた。
豊かな星を緩やかに汚し、辱しめ、殺していこうとしていた。

それでも彼らには感情があるのだから、きっと発展すると、感情があるなら信じていた。

「人類だって、いずれはこの星を離れボクたちの仲間入りをするだろう」

本気でそう思っていた。

今もほら、どこか遠くで何処かの文明が滅びた。これを、感情がある生命体なら悲しいと感じる筈だ。
でも否。否。否。否。人類が答える事はない。人類は目の前しか見えない。自分しか分からない。他者と分かり合わない。

ああまた何処かが冷えて死んだ。感情が有ったなら泣いていた。しかし感情は置いてきてしまった。だから幾つもの失敗を越えて計画を進められる。
声が聞こえないから仕方ないと思い、長く腰を据えるつもりで再度取り組んで。

ある日、一人の少女がソレを壊した。インキュベーターを捕らえて、自らが書き換えた世界に閉じ込める。

インキュベーターには聞こえていた。緩やかに死んでいく宇宙が。ソレを踏みにじっていることにすら少女は気付かない。

だから、『彼』はそんな自問自答の中で『焦り』を思い出した。人類と生活するなかで知識として蓄えた感情の意味としてでは無く、初めから持っていたものとしてのソレを。
『義務感』や、ソレに類するモノ。

早く打開しなければ。そればかり考えていた。それは彼らにとって致命的な不協和音だ。

だから彼は彼らを離脱した。甦るのにも一苦労する。全く、不便なものだ。
――――――――
「さぁ、やらないのかい?」

キュゥべえ「やるさ」

キュゥべえは亡骸へと一歩。

キュゥべえ「死んでいくこの宇宙の為にボクは働き続ける。だから」

キュゥべえ「それを邪魔するルールなんて、壊してみせる。変えてみせよう」

キュゥべえ「さぁ、暁美ほむら。これがボクからの『叛逆だ』――!」

と、彼は『願った』。

マミ「しつこいわね……!」

さやか「マミさん、今は逃げる事にしましょう!」

なぎさ「ば、バテてきたのです……正直キツいのです」

子供たちは疲れ知らずとは良く言うが、こんな時くらい控えてくれても良さそうなものだとさやかは自嘲気味に笑う。

渡りに船、マミが合流した時は確かに歓喜した。
マミ自身もなぎさの無事な姿を、そしてその健やかな強さに一つ安堵する。
だが、状況は一転すらしない。

マミ「甘い!」

子供「――!」

さやか「(このままじゃ……)」

頼りの先輩のお陰で戦闘は格段に楽だ。
だがこと逃走する事に関してはあまり変わらない。
こういう時は器用さが、具体的には杏子の様な搦め手が欲しかった。

さやか「上手く捕まえてるよ、ホントにさ」

マミ「――『……』!」

リボンが空間に絡み付いて子供ら全てを縛り付けて拘束する。
『レガーレ・ヴァスタアリア』。詠唱の余裕など無い。

さやか「(マミさんもアタシも、なぎさももうギリギリ、ってこと)」

マミ「下がるわよ!」

なぎさ「はい――きゃあっ!?」

マミ「しまっ――!」

逃げようとした先に、悪魔の手先。カラスの体を持ってして――なぎさの鼻先を掠めた。

なぎさ「はわわわわっ……囲まれてるのです!」

さやか「(南無三……!)」

子供らもリボンをまち針で切り裂いて周囲を取り囲んで笑いだす。
万策尽きたか、そう剣を握り直した。

コン、と鳴るブーツの足跡。
広がる水面の波紋。

取り巻きはざわめきだす。
何故? どうして?
そう誰かが言った。

「もういいの。お疲れさま、皆。さぁ、解散」

現れた少女、手を鳴らし――夕焼け空。
帰ろうか、帰ろうかな。子供たちは家に帰る。
結界は夜になり、空へと開いた。
カラスも鳴いて、また――

「――また、明日」

マミ「――あなた、まさか」

なぎさ「??」

さやか「アンタ――どうして!? だって、魂はここに。何で、治ってるの!?」

「そこにいる、巴マミが治してくれたわ。随分と美人になってて驚いたわよ」

ほむら「さぁ、行きましょう。随分と、待たされたのだから」

長く黒い髪を掻き上げ、鍵を開けた牢屋から出る――暁美ほむら。
差し出した手を――手を差し出した事に、チクリと違和感を感じながら、さやかはその手を取って。
驚くほどアッサリと、彼女らは脱出したのだった。

――ソウルジェムは、ルビーの様な深い紅色を湛えていた。

ほむら「さて、次はどうしようかしら……ねぇ、まどか」
まどか「ほむらちゃん、一体どうしちゃったの……こんなの、絶対おかしいよ……」

杏子「どうせまた記憶すっ飛ばすんだろ。なら止めちまえよ、下らない」
恍惚としていたほむらが、逆さ吊りの杏子の首を掴む。骨が軋んで悲鳴を上げた。

杏子「ぐ……図星じゃん」
ほむら「黙りなさい。貴女一人『書き換える』のなんて容易いのよ」
まどか「杏子ちゃん!?」

そろそろか。と思考する材料が揃った。ポケットに手を挿し込み、仕込んでおいたロザリオに爪で傷を強く刻み込む。赤い結界による遮断、された悪魔の右腕が焼けた。

ほむら「つっ――この!」
杏子の結界を突き穿つ。
――彼女は舌を出して、ほむらを見ていた。だけ。

マミ「――ティロ・フィナーレ!!」

不意打ち上等、という意味を籠めて。

ほむら「しまっ――!?」
防御に回した羽が砕けて落ちる程の威力と砂煙の中、堪らず『世界ごとマミを捻り潰そうとして』しまって――その力が円環の化身に切り裂かれる。

さやか「へっへー! 脱出してやったり!」
なぎさ「オマヌケさんな部下を持つと苦労するのです!」
悪魔「貴女たち――何故!?」

ほむら「それはね」
悪魔「――――!?」

晴れる煙。まどかを抱き上げ、悪魔を睨み付ける――暁美ほむら。

ほむら「貴女を倒すためよ、悪魔」
悪魔「な、んで」

ほむら「もう大丈夫よ、まどか」
まどか「ほむら……ちゃん?」
ほむら「えぇ」

あ、あぁ。
お前は、誰だ。

悪魔「消えなさい――!!!」
ほむら「むっ」

羽が矢尻となって襲い掛かる。ほむらの機械盾が反射的に稼働を始めた。彼女の魔法の行使と共に紅く輝く瞳。世界を止める事は儘ならなくても、少し減速する程度ならば――自分に効いてくれるだろう。

ほむら「(やはり乏しい感情ではこの程度しか……!)」
まどか「わわっ」
ほむら「しっかりつかまって!」

崩れていく校舎の壁。瓦礫と弾丸を踊るように回避しながら、暁美ほむらは叫んだ。

ほむら「逃げるわよ!」

その瞬間、魔法少女たちは散り散りに。追おうとした悪魔を、杏子印の捕縛結界が5秒引き留めた。

悪魔「くっ――!!?」

ほむら「――じゃあね」


ほむら「今度はボクが勝つよ……暁美ほむら」


呟きは誰にも聞こえない。
ただ、逃げられる。

悪魔「はぁっ、はぁぁぁ……!」

感知も聞かない。円環の力がそれを邪魔していた。

悪魔「あぁ……許さないわよ……どこまでも、私は私が許せないようね!!」

偽りの自分にすら気付かない程に激昂しながら。

リレースレですら寝落ちする俺は実は寝落ちの天才なんじゃないかと思うんですがそこのとこスイマッセンしたァァァぁぁ!!(どげ)
また例のごと改行がアレだったんでぶつ切りになる意識の中頑張りまさは、
誤字あったらごめんなさ寝る

次↓3で

さやか「まどかは寝かせてきました!」

マミ「そう、じゃぁ始めるわよ!」」

さや杏マミなぎ「第XX回! 悪魔被害者の会! 開幕~~!!」

なぎさ「パフー! パフー!」

ほむら「……何、これ」

さやか「……あぁ、そうか。ほむらは初めてなんだよね。って当たり前か」

マミ「これは悪魔からひどい被害を受けた時に不定期に開催してたお茶会よ。愚痴を言い合ったり対策法を練ったり……まぁあまり建設的な展開になったことはないんだけど」

杏子「……ま、今回はちょっと本気で話し合わないとまずそうだけどな」

ほむら「……あぁ。そういう」

さやか「どの道今後に向けて状況を整理したいしね」

-----------------------

さやか「まず、一番バッターさやかちゃん、いきまーす!」

さやか「登校早々に悪魔の魔女結界に放りこまれて、あいつの使い魔とガチバトルさせられました! 死ぬかと思いました! マジで!」

杏子「多分今回一番の被害者ってさやかだよなー」

なぎさ「やれやれなのです。なぎさが助けていなかったら即死だったのです」

マミ「……ところで」

マミ「なぎさちゃん。あなたはどうして魔法少女になっているの?」

なぎさ「え? あ、えーと、それは……いろいろあったのです」

マミ「絶対魔法少女にはなるな! とあなたには言っておいたはずだけれど。それとも私との約束を破るぐらいの願い事があったのかしら。まさかチーズケーキで魔法少女に何かなっていないわよね!」

なぎさ「え、あ、その……」

さやか「マミさん抑えて抑えて! なぎさ絡みの話は後でちゃんと説明しますから!」

マミ「……」

なぎさ「……ごめんなさい、なのです」

マミ「……いえ、私の方こそごめんなさい。話を続けて」

さやか「それでなぎさに助けられたあたしは、なぎさと一緒に逃げ回りつつ結界の外に出られる手段を探していた」

さやか「で、何のかんのあってマミさんと合流し、そして……あんたに助けてもらった」
ほむら「……そうね」

さやか「……あんたの存在が一番の謎なのよ。あんたの魂はここにある」

あたしは紫色の石をみんなに見せる

さやか「じゃぁ……あんたは誰?」

ほむら「……私は『暁美ほむら』よ。それ以上でも以下でもないわ」

さやか「助けてくれたことには感謝するけどさぁ……」

なぎさ「でも、由々しき事態なのです」

さやか「どうしたの? なぎさ」

なぎさ「こっちにもほむらがいて、あっちには悪魔のほむらがいる。ほむらほむらでわかりにくいのです」

さやか「あー……まぁ、その辺はうまく使い分けていくってことで。次杏子。どんな感じだったの?」

杏子「あぁー……まどかと一緒にお人形遊びをずっと付き合わされてた」

さやか「……お人形遊び? どういうこと?」

杏子「……そのまんまだよ。あたしとまどかを人形にして、演劇みたいなことをずーっとやってやがった」

さやか「……それ、地味にあたし達よりきつかったんじゃない?」

杏子「どうだろうなー。取り敢えず、あいつに脚本センスはないとだけ言っておく」

さやか「……うーん。それじゃぁ状況を整理」

なぎさ「待ってください。みんなに伝えたいことがあるのです」

さやか「なぎさ……まさか?」

なぎさ「なぎさの記憶を共有します。それで思い出してほしいのです。……別の世界の杏子、マミがどんな戦いをしてきたのかを」

杏子「? 突然何さ」

マミ「……」

さやか「……なぎさ、いいの?」

なぎさ「多分悪魔はこの件をカードに使ってくると思うのです。突然ばらされて杏子やマミの精神的な隙を突かれる可能性があるかもしれない」

さやか「……まぁ、あんたがそういうのならいいけど。杏子、マミさん。突然ですけど、いいですか?」

マミ「えぇ。……いつか、話をしてくれるのを待っていたし。何とか受け止めてみせるわ」

杏子「……別にあたしもかまわねぇよ。悪魔があたしが知らないあたしの記憶を知ってるってのも腹立つしな。……こいよ」

さやか「じゃぁ……杏子、マミさん。しっかり覚悟だけは決めておいてください。……なぎさ!」

なぎさ「はい、なのです!」

杏子「なるほど……こいつはきっちぃな……」

マミ「……これは、なんて」

さやか「杏子、マミさん。大丈夫ですか?」

杏子「……大丈夫だよ。これぐらい、屁でもねぇ」

さやか「……杏子、顔色悪いよ。後その……ごめんね? 何かいろいろと」

杏子「……あんたが謝るなよ」

さやか「うん……でも、あんたに迷惑かけてばっかりで」

杏子「バーカ。あたしが好きでやった事だよ。あんたに悪い顔されるとこっちが気持ち悪くなる」

さやか「……何さー。人がしおらしくなってんのに!」

杏子「馬鹿さやかは馬鹿さやからしく馬鹿やってりゃいいんだよ。……あたしはそんなあんたが気に入ったんだ」

さやか「……杏子」

杏子「ま、マミは大丈夫か? あたしよりきっつい内容みたいだったけど」

マミ「……そうね、私はとても多くの過ちを犯してしまったのだと思う」

なぎさ「……マミはがんばっていたのです」

マミ「頑張ればいいというものではないわ。結果が伴わなければ何にもならない」

さやか「マミさん! それは違もごご」

杏子「さやか。ここはなぎさに任せておけ」

なぎさ「マミ、なぎさは謝らなければならないのです」

なぎさ「マミを殺した事。それをほむらの魔女結界の中で黙っていた事。そして……この世界ですべてを忘れてしまったこと」

なぎさ「本当はさやかのように、強く受け止めなければいけなかったのに……なぎさはなぎさの罪を放棄しました。もし、なぎさも罪を全く知らないでマミと仲良くできたなら……そんなことを考えてしまったのです」

なぎさ「……なぎさは、最低なのです」

マミ「……本当に最低ね」

なぎさ「……マミのマスケット銃で打ち抜かれても文句は言えないのです」

マミ「……そういう意味じゃなくてね」

なぎさ「え」

マミ「……なぎさちゃんが……ベベが実は苦しんでいた事を、私は気づいてあげられなかった。それどころかベベに甘えて……依存してた」

マミ「なぎさちゃんが言い出せなかったのも当然ね。……最低なのは、私よ」

なぎさ「そんな事ないのです! マミは泣き虫でさびしがりやだけど、でもだからみんなの為にはとっても強くて、すごくて……」

なぎさ「マミは私の思い描いた最高の魔法少女の姿そのものなのです!」

マミ「そう言ってくれるのは嬉しいわ。なら……本当に最高の魔法少女になれるよう努力しないとね」

なぎさ「なぎさも頑張るのです!」

ほむら「それでは……そろそろ本筋を話し合いましょう。あの悪魔をどうするか」

さやか「どうするって……取り敢えずこのほむらの『感情』をほむらに返して、それで……後はまた現状維持かなぁ」

ほむら「待って。あの悪魔は害悪よ。何とか倒して円環の力を取り戻して、まどかを完全な形に戻さないと」

マミ「その行動には問題点が二つあるわ」

マミ「ひとつは悪魔から今円環の力を取り戻せば、キュゥべぇに解析されてしまう。そしたら魔女システムが復活してしまう。……それはなんとしても避けないと」

マミ「それに……あの二人は一度腹を割って話し合うべきだと思うの。でも、今の状態では悪魔の暁美さんは暴走してしまっている。まずはそれを止めてあげないと会話も成り立たないわ」

杏子「まぁ、何とかして拘束して、ほむらの『感情』を強制的に返す……ってあたりが今後の方針かな。すっげぇ大変そうだけど」

ほむら「あなたたちはあの悪魔に殺されそうになったのよ! それなのにどうして!?」

マミ「……私の場合、そもそもあの子にこれだけの迷惑をかけなければ、そもそも今の悪魔化だって避けられたかもしれない……そういう気持ちがないといえばうそになるわ。でも、それ以上に」

杏子「……あいつはあんなになっても大切な友達なんだ。倒すとか倒されるとかそういう関係じゃねぇよ」

ほむら「……私には理解できない。私はあいつを倒してみせる。じゃないと……私は私になれない」

マミ「……まぁ、紅茶でも飲んで落ち着きましょう?暁美さん、ちょっとダージリンティーの茶葉をとってくれる?」

ほむら「……わかったわ」

ほむら「……これね」

マミ「ありがとう。さぁみんな、お茶会を始めましょう」

杏子「ケーキ! ケーキがほしい!」

さやか「杏子ー! あんたは! こんな非常時にケーキが都合よくあるわけ」

マミ「あるわ」

さやか「……ケーキ! ケーキ!」

なぎさ「チーズもあるのです!」

マミ「……じゃぁそろそろ鹿目さんも起こしてあげないとね。彼女だけ食べられないのは不公平だから」

さやか「!! まどかにも協力してもらうつもりですか?」

マミ「普通に戦ったら勝負にならないもの……あまり使いたくはないけど、搦め手を使っていかないと」

さやか「……まどかを真の姿に戻す、とかですか?」

マミ「それが有効な手段になるならね。でもそれをやってしまうと魔女の問題が残ってしまうから、あまり善手とはいえないわ」

マミ「それでも……何かに利用できるかもしれない。とれる手はいくつも考える必要はあるわ」

マミ「……それにしても、暁美さん」

うちのダージリンティーの茶葉の位置を正確に把握しているのは、私とキュゥべえぐらいなはずなんだけれど

マミ「……本当、いろいろと厄介ね」

仕事が忙しかったのもあるけど、プロ野球放送が延長までいったのが……ごめんなさい。
矛盾、ないといいけどなー……

っと忘れてた

次安価>>294

二度目だけど一応過去作
ほむら「愛よ」まどか「え?なあに?」ほむら「なななんでもないわ」
ほむら「人間まどかを攻略する」まどか『えぇー』
ほむら「人間まどかを攻略し損ねた私の末路」
エントリーしますー


なぎさ「まどかを起こしてきたのです!」

まどか「うぇひひ、おはようみんな」

杏子「おー。気分はどーだい?」

まどか「寝過ぎてくらくらする…」

さやか「あれだけ寝てたらねぇ」

まどか「え…っと。私、いつからマミさん家にいたんだっけ??」

杏子「おいおい、覚えてねーのかよ。放課後みんなでマミん家来て、まどかは眠いとか言って早々に寝ちゃったんじゃねーか」

まどか「そ、そうだっけ…?」

さやか「えー、まどかその歳で健忘症なわけ?」

なぎさ「まどかがボケたのですー!」

まどか「ち、違うよぅ!」

ほむら「……」

まどか「あれ、ほむらちゃん?」

ほむら「…なにかしら」

まどか「ほむらちゃん、だよね…?」

杏子「おいおい、そんなことも覚えてねーの? まどか、ほんとにヤバイんじゃん?」ケラケラ

なぎさ「手遅れ感なのです」

まどか「違うったらー!」

ほむら「……」

まどか(やっぱりほむらちゃん、なんだか変だなぁ。こういう時はいつも…)


マミ「はい、お待たせ。紅茶とお茶菓子よ」コトッ

なぎさ「チーズー!」
杏子「菓子!」

マミ「はいはい、お菓子は逃げないんだから二人ともゆっくり食べなさい」

さやか「あ、そーだ! 今日ほん怖やる日じゃん! テレビつけなきゃ」

まどか「えー、怖いの観るの…?」

さやか「あれ? ひょっとして三年経ってもまだ苦手なの?」ニヤニヤ

まどか「……ちょっと」

杏子「まあまあ! こーゆーのがいた方が盛り上がるし、とりあえす点けようよ」

さやか「だねー。ポチッと」

杏子「ぶふぅっ!」

さやか「うわ! 汚っ!! なにすんのさ杏子!」

杏子「そ、それ…!」プルプル

さやか「なに? もしかしてアンタも怖いのダメなクチなの?」クルッ

さやか「」


TV『本日、同性婚合法化に関する法案が、参議院本会議において可決され、無事成立いたしました』

TV『これに関しまして、暁美首相が会見を開きました。VTRをご覧ください』

ほむら『全国のレズの皆さま、こんばんは。首相の暁美ほむらです』

さやか「な、な、な…!?」
まどか「ほむらちゃん!?」
マミ「なにやってるのあの子!!?」

ほむら「だから言ってるじゃない! あの子は悪魔なのよ! これで解ったでしょう、放っておいたら何をしでかすかわからないわ!」

マミ「こ、これには流石に度肝を抜かれたわね…。ここまで大胆に世界を塗り替えるなんて」

さやか「なんかもう渇いた笑いしか出ないっすよ…」

なぎさ「クレイジーなのです」

まどか「あの、なんでほむらちゃんが二人…? しかも総理大臣…??」

杏子「後で説明してやるよ…」

ほむら「あなた達、これは想像以上に深刻な事態だって解ってる?」

マミ「どういうこと?」

ほむら「いままで暁美ほむらは、かなり慎重に世界の改変をしていたわ。それもそのはず。世の中のすべての事象は因果の糸で繋がっているわ。ある出来事を塗り替えようとすれば、そのシワ寄せが必ずどこかに現れる」

さやか「だろうね。あたし達は誰よりもそれを知ってるよ。奇跡の代価は、安くない」

杏子「……」

ほむら「いままでの暁美ほむらの世界改変は、そんな不都合を起こさないように、細心の注意を払って行われてきたわ。一つひとつ、因果の糸をほぐしては自分の都合のいいように再度裁縫し直す…。それは途方もない作業よ」

まどか(さっぱりついて行けないけど黙っておこう)

ほむら「けれど、今回彼女はそれを放棄してしまった。後先も考えず、よりにもよって一国の首相という、因果の糸が極端に集中している存在になり変わって、自分勝手な法案を成立させてしまった。これによってもたさられる混乱の波紋は計り知れないわ」

さやか「…なんか、思ったよりビッグな事態だ」

杏子「アイツがその作業をしながら首相になった可能性は?」

ほむら「ゼロよ。あのめちゃくちゃな法案を通すだけなら、他にいくらでもやりようはあったはず。それをしなかったのがなによりの証拠だわ。あの悪魔は、世界をかき乱すことを愉しんでる」

マミ「決めつけるのは良くないんじゃないかしら? あなたの論調はすこし面白くないわね」

ほむら「…反論するなら論理的にお願いするわ」

マミ「あなたはずいぶん焦っているようだけど、どのみち私たちの方針は変わらないわ」

さやか「そーそー。だいたい、アンタのことだってまだ完全に信じたわけじゃないんだからね」

杏子「とりあえず、いまアイツは首相官邸なんだろ?」

さやか「デモでもしちゃう?」

杏子「それ面白ぇな!」ケタケタ

ほむら「そんな余裕はないの! 世界が壊れてもいいって言うの!?」

なぎさ「なぎさから見ると、いま一番余裕がないのはあなたなのですよ」

ほむら「……」

杏子「お、よく言ったチビスケ!」

なぎさ「ちびじゃなーいーのーでーすー!」プクーッ

ほむら「…まぁ、いいわ」

ほむら「せいぜい、君たちの中に余波がないことを祈ることだね」ボソッ


杏子「痛っ!?」ガクッ

さやか「ちょっと杏子!?」

杏子「大丈夫だ、…つつ」


杏子「っ!?」
――こんなのは宗教弾圧だ! 許されるとでも…!
――悪いな、国の方針だ
――おとーさーん!
――行くなモモ!

杏子「…なん、だ? この記憶…」ハアハア


―某所―

「ふん、首相なんて…厚かましい」

「でも私はこの法案、賛成だなー」

「あの女の肩を持つというの、キリカ」

キリカ「まっさか! 私が持つ肩は織莉子のだけだよ!」クネクネ

織莉子「…行くわよキリカ」

キリカ「あっ待ってよ織莉子ぉー!」


織莉子「暁美ほむら…。お父様の仇…!!」

以上です

出先で頑張ってシリアスなの書き溜めたら、案外ふざけていい感じの空気だった…
せっかくネタ振りされてたのに…
次ははっちゃけます

次の方>>315

a

書いていいかな?

美国織莉子の父は市議会議員であった。それも超新星の観測よりも極めて希有な、『善良な』政治家であった。

彼は市民のため骨身を惜しまず日夜働き、市政の改善を訴え続けてきた。

そんな父の背中を見続けてきた織莉子もまた、善良な少女であった。正義を胸の内に燃やし、世のため人のために尽くそうと誓った。

彼女は自身の未来に何ら疑問を抱かず生き続けてきた。あの悪魔が現れる夜までは────。

織莉子「……あの悪魔は、お父様を狂わせ失脚させたの。そしてその後釜に座り、政治家としての地位を得た」

キリカ「で、結果が日本国首相で独裁政治かい。ふざけたやつだ」

織莉子「そうね。でも、そのおふざけもすぐに終わらせてあげるわ。私達のこの手で……!」

キリカ「ふふ、腕がなるね……!」

二人の少女は歩みを止めることなく決意を語る。

彼女たちの歩む先にそびえ立つのは白亜の建造物。

見る者に威圧する為に創り出されたかのような鴻大なその外観は少女達の心に少なからず怯えを生じさせたが、彼女らは欠片も表情に出さない。

ただ真っ直ぐに、その討ち果たすべき壁を見据えていた。

キリカ「キミにはもう予知出来ているんだね、悪魔が私達に屈する未来が」

織莉子「勿論よ」

悪魔を打倒するために。彼女らの戦いが今始まる。

織莉子「私の予知によれば────私とキリカがURB48のメンバーとしてアイドルデビューすればあの悪魔を追い詰められるらしいわ!!!!」

キリカ「えっ」

そんなわけで織莉子とキリカはアイドルデビューを目指して、URB48(ウロブチフォーティエイト)のオーディションを受けることにしたのだった!

キリカ「うう、緊張するよ織莉子ぉ」

織莉子「だ、大丈夫よ、だってキリカはとってもキュートでプリティで可愛いもの! でも私はダメかも……ぐすん」

控え室では垢抜けた感じのナウい女の子達がオーディションの開始を待っていた。

田舎から出てきたばかりの織莉子もキリカも、自分たちがおのぼりさん丸出しな気がしてちょっと自信喪失中だ。

緊張したときは皆ジャガイモだと思えと言うけれど、どっちかと言うと私たちのほうがイモくさいジャガイモなんじゃ……などというような自虐さえ芽生えちゃう織莉子たち。

かずみ「ねえねえ、もしかしてあなた達もオーディションのために上京してきたの?」

そんな緊張でガチガチの冷凍ジャガイモ達に話しかけてきたのは黒髪の女の子だった。

かずみ「わたし、かずみ! 昴かずみだよ! わたしも東京は初めてだから緊張しちゃって話し相手が欲しかったんだ……えへへ♪」

織莉子「あら……そうなの? ふふっ」

キリカ「成る程……じゃあ私達は同士、いや戦友というわけだね!」

突然話しかけられて少し戸惑った織莉子だったが、明るく元気な彼女の雰囲気に和まされ、少しだけ気が楽になる。解凍芋の出来上がりだ。さすがはかずみちゃん、ペロペロしたい。

でもそこでそんな和やかなムードをぶち壊す噛ませ犬が登場だ!

沙々「くふふっ、こんな場所で馴れ合いとは脳天気ですねぇ♪」

キリカ「むっ、なんだいキミは。失礼だね」

いきなりの闖入者にキリカもおこだ。否、激おこプンプンしろまるである。

沙々「だって本当のことじゃないですかぁ? 一緒にオーディションを受けるってことは互いに蹴落とすライバルってことですよお?」

嫌らしい間延びした口調で沙々にゃんは続けるが本当は彼女は心優しい女の子なんだということは後のエピソードで明らかになる。

沙々「それなのに馴れ合いだなんて余裕ぶって、お馬鹿さんとしか言いようがないですよねぇ?」

キリカ「むむむ」

沙々「……まあ、このわたし、優木沙々さまみたいに完璧に可愛ければ本当に余裕なんですけれどねぇ、くふふ!」

彼女がこうして嫌みを言っているのも実は友達が欲しくて寂しいのに素直になれなくて仲良くする方法が分からないからなのだ。沙々にゃん可愛い。腹パンしたい。

かずみ「あはは、そーだね。沙々にゃんくらいに可愛ければきっとオーディションも余裕だよね!」

織莉子「ふふ、そうね。可愛らしくて、でも華がある美しさも秘めていて……まさしくアイドルって感じね」

沙々「ふえっ?! な、なな、そんなこと無いですよぉっ……じゃ、なくて、なに当たり前なこと言ってるんですかぁ! もうっ!」

などとキャッキャうふふを満喫している内にいよいよオーディションの時刻となる。

ついに第一次審査『ドキッ!水着美少女だらけのアメフト大会!』が今開催されようとし










「────この物語は私の夢の中のお話なの」

「ここは現(うつつ)ではない夢の世界。私の内側に広がる夢の世界」

『似ているね、キミがかつて観た幸せなナイトメアと』

「そうね。でも、今度の夢を作り上げているのは私一人じゃない」

「この世界に招かれた全ての魔法少女たちが、それぞれの夢を紡いでいるのよ」

「貴方は夢の中で夢を観たことはあるかしら? ……まあそんなことはどうだって良いわ」

「此処ではね? 私の夢の中で眠る、魔法少女たち皆の夢が、繋がりあっているの」

「混ざり合い、絡み合った夢は、条理をねじ曲げた世界を構築している」

「此処はそんな場所なのよ」

『成る程、だから突拍子もない出来事が次から次へと起こるんだね』

『ただでさえ夢とは不安定で不確定なものだ。それが複数人のものとなれば整合性を保つことなど不可能に近いだろうからね』

「ええ、そう。言わば幾重にも重なる泡沫」

「それがこの夢の世界。儚い夢の世界」

「夢見る魔法少女の、ソウルジェムの数だけ物語が存在しぶつかり合う……」

「Soulgems' Storys、とでも呼ぼうかしら?」

「あそこでまどかを辱めようとしている私は誰の夢かしら?」

「あっちの夢の私は日本の首相ですって、ふふ、可笑しいわ」

「あの夢の私は円環の理を作り出そうとしているのね、今度真似しようかしら?」

「……あちらの夢の私は貴方に乗っ取られているみたいね、少し気に入らないわ」

『夢なんだから目くじらを立てないでおくれよ』

「ふふ、冗談よ」

「嗚呼、楽しい……でもいつかはきっと皆醒めてしまうわ」

「だってこれは夢なんですもの」

「……誰が最初に起きるのかしら? 誰が最後に起きるのかしら?」

「夢から覚めた時、この残酷な現実を受け止められる子はいるのかしら?」

「■■■■■■■だなんて、信じられるかしら?」

『……それも夢なんじゃないのかい?』

「ふふ……さあ、ね?」

やらかした感は否めない。
>>345

一人ひとりの夢ということにしたのか



 夢は、人の心の鏡だ。

 新しい概念のもと書き変わっていく現実の歴史を追いながら、インキュベーターはこのすべての原因となった少女を見つめた。

 暁美ほむら。円環の理という概念の一部を引き取って、自らを悪魔と称した。

 ゆっくりと丁寧に鹿目まどかの人だった部分を抱きかかえた暁美ほむらが世界を再編するさなか、インキュベーターにも説明できないことが起こった。

 本来ならば、すべてが書き換えられていくはずの世界の中、魔法少女のソウルジェムのみが本来の輝きと形を保っていたのだ。

 それがなぜなのか、人類にはおよびつかない英知を抱えるインキュベーターにも不明だ。インキュベーターにより結晶化された魂だからこそ形を保てたのか、あるいは知性と感情を併せ持つ資格ある少女の魂だからこそ形を保ったのか、その両方か。インキュベーターにできたのはそんな予測を立てることぐらいだった。

 暁美ほむらはしばらくあまたのソウルジェムを眺めていたが、やがてそれらをすべて己のダークオーブの中に収めた。

 その結果できたのが、暁美ほむらがが悪魔であるという前提の下で膨らんでいく泡沫の夢だ。

 あまりに自分の欲望に素直な暁美ほむらがいた。暁美ほむらを明確な敵と定めて、必要以上に肥大化した力を持った悪魔として扱われた夢もあった。望みも、理想も、現実のとらえ方も人それぞれで違う。けれども、その夢を見ればはっきりとわかることがある。

 悪魔としている暁美ほむらのいる世界で、己自身はどうありたいかという心だ。

 それを見ることで、暁美ほむらは手ずから魔法少女の立場を決めているようだった。それらは千差万別だったが、中には百江なぎさのようにソウルジェムが解けて消え、ただの少女としての人生を示されたものもある。

 現象として興味深いそれらを観測していく中で、インキュベーターはふと思った。

 あの夢の中に、悪魔となった暁美ほむら自身はどうかかわっていたのだろうか。あるいは、円環の理である鹿目まどかは? 人間を超越した彼女たちがありたい心とは、どのようなものなのだろうか。

 けれどもその疑問が解消されることはついになかった。

 夢はしょせん夢でしかない。暁美ほむらの力によって再編された世界で、宇宙が膨らみ星が生まれて地上ができる。やがて世界の夜明けが来て、魔法少女たちも目を覚ましていく。

 やれやれ、とインキュベーターは目を閉じる。

 これからどうするか、どうありたいか。インキュベーターのその選択は、悪魔となった暁美ほむらが選ぶものだ。

 パンッ、と破裂する大きな音が世界に響いた。


 なにか、白昼夢を見ていた気がする。

 ただいつも通りの通学路を歩いていただけなのに、マミはなぜかそんなことを思った。

 通学路には自分以外の生徒が多く歩いている。春の盛りを象徴するように桜が咲き誇って、なにより舞い散る桜吹雪が美しい。そんな風景の中ぼんやりと歩いていたせいか、長い長い夢を見ていた気がした。

 記憶にとぎれがないのだから、もちろんそれは気のせいだ。

 ふと足を止めて、何気なく手を伸ばして桜の花びらをつかみとってみようとした。

 上手くつかみとれた花びらを見ようとしたとき、ガチャンと陶器が砕ける音がした。

マミ「!」

 はっとして振り返るが、そこに何もいない。振り返った自分の真正面から次々と登校中の生徒が流れていくだけだ。

マミ「……?」

 決して聞き逃していけない音だった思ったのだけれども、原因は見当たらない。聞き間違えだったのだろう。小さく息を吐いて、さっき桜の花びらを見るために握りしめた手を広げる。

 何をつかみ間違えたのか、手のひらに乗っていたのは儚く散った桜の花びらではなく、一枚の黒い羽だった。

マミ「……」

 なぜだかその羽が捨てられず、そっと握りなおした。

 少し長い間立ち止まったマミを避けて見滝原の生徒が通学路を歩いていく。

 それに交じり喪服の女の子が三人、そっとマミの横を通り過ぎた。


 集まったカラスの使い魔にリンゴを食べさせてやる。

 ばさばさと羽音を立ててついばむ使い魔たちに気を良くして、杏子はまるまる一個のリンゴをくれてやることにした。

 もう一つかばんからリンゴを取り出し、赤いリンゴをあむと丸かじりする。

杏子「~♪」

 そうして機嫌よく木の上でリンゴを食べていると、三人の人形の使い魔が手を振ってきた。

 たぶんリンゴが欲しいのだろう。ゆらゆらと、ちょうだいちょうだいとばかりに手を振ってくる。

杏子「……」

 一瞬だけ考えたが、杏子は笑顔のまま、ほいと後ろ手にリンゴを投げてやる。

 落ちていったリンゴが、喪服の少女たちのスカートに受け止められる寸前――

杏子「!」

 ぼちゃん、とリンゴが水に落ちる音に、杏子は立ち上がって振り返る。

 桜の木の上から通学路を見るが、そこには何もない。見滝原中の生徒たちが、ゆっくりと登校していくのどかな風景が流れていくだけだ。

 けれども見逃してはいけない何かを見逃してしまった気がしてならない。

杏子「……」

 落ちたリンゴは、ゆっくりとリンゴが小川を流れていった。


 元気のよい小学生が、友達と合流していた。

 さやかは、それをほほえましく見守っていた。

 なにが楽しかったのか、さっきまでくるくる回りながら無邪気に駆け回っていた子だ。長い銀髪が特徴的な女の子で、その印象のまま元気よく友達に挨拶をして駆け足で去っていく。

 それを見送っていると、ふと声をかけられた。

上条「やあさやか。おはよう」

仁美「おはようございます、さやかさん」

さやか「ああ、うん。えと、おはよう。うん、おはよう。二人とも!」

上条「どうかしたのかい、さやか」

さやか「いやぁ、なんだかねぇ。恭介や仁美におはようって言えるなんて、それだけでどんなに幸せか……あたし、想像もしてなかったんだってね」

仁美「ふふっ。相変わらず、さやかさんは不思議なことをおっしゃいますわ」

さやか「そうだよ。いつだってあたしは不思議ちゃんさ!」

 にひひ、と笑ってさやか駆けだす。なぜだか、無性に幸せだった。

 その幸せそうな姿は、さっき友達と合流していた銀髪の小学生とそっくりだった。



和子先生「女子のみなさんはくれぐれも! 半熟じゃなきゃ食べらないとか抜かす男とは付き合わないように! そして男子の皆さんは絶対にっ、たまごの焼き加減にケチをつけるような大人にならないこと!」

ほむら「……」

和子先生「はいそれから。あとみなさんに転校生を紹介します。――鹿目さん、いらっしゃい」

ほむら「!」

まどか「初めまして、鹿目まどかです」









 大きな原っぱのある公園で、ほむらはひとり腰かけていた。

 隣に誰かいないのが不自然な偏り方で、けれども一人で座っている。

 真っ二つに見えるような半月のもと、風に吹かれた草木がざわりと揺れる。そうしてひときわ大きな風が水を揺らした時、がさりと草木をかき分ける音がした。

ほむら「!」

 はっと立ち上がって振り返るが、そのシルエットを見て興味が一瞬で失せた。

QB「……」

 インキュベーターだ。別に、いまはどうすることもない。そう思ってインキュベーターを見下ろして

 ――『……それも、夢なんじゃないのかい?』

ほむら「……」

 なぜだか不意に、インキュベーターの言葉を思い出してしまった。

 毛並みのぼろぼろになったインキュベーターを見下ろし、ほむらは手の平からダークオーブを浮かび上がらせる。

 ひとり、ステップを踏み、その相手となるかのように紫色の宝石がくるくると回る。

 やがて立ち止まったほむらは、満足げに己の魂の結晶を見つめ、退場するかのように落ちていく。 

 残ったインキュベーターは、ただただ瞳を濁らし、ふるふると震えていた。

おわり。

綺麗に締めれるかもとはいったい何だったのか。自分でもこれじゃない感がはんぱないです。書く前は本編に回帰すれば丸く収まると思ったのに、なぜ……。

あとドールズはお人形さんなんだからそもそも乳首なんてあるわけねーだろ!やぶれた喪服の欠片をさやかちゃんが見間違えただけに決まってるとマジレスしておきます。



舞台安価>>397

作者安価>>402

改変後

あげとこ
安価下

うーん、これでいいんだろうか
とりあえず投下する

杏子「おいほむら! いい加減どっちにするか決めろよ!」

マミ「はっきりして暁美さん!」

ほむら「えぇー、だからその、いきなり言われてもどうすればいいのやら……」

杏子「いきなりってことはねえだろ! チーム組んでどんだけ経つと思ってんだよ!」

マミ「懐かしいわね。あなたが転校してきてからいろいろあったもの……」

ほむら「あー、そんなこともありましたっけね……?」

杏子「そんなことは今はどうでもいいだろ! 早くしないと時間が無くなるぞ!」

マミ「いいのよ暁美さん……私なんか一つ上だし、ちょっとくらい我慢して二人が満足できるなら……」

杏子「そうやって同情引こうって作戦かよ」

マミ「そ、そんなつもりないわよ!」

杏子「あー! 今ちょっと言葉に詰まった! やっぱりそうなんじゃねえか!!」

ほむら「二人ともちょっと落ち着いて―――」

杏子「元はといえばほむらがはっきりしないからだろ!」

マミ「そうよ暁美さん! あなたの選択に全てがかかってるのよ!」

ほむら(どうしようこの状況……どうして導かれたのよ美樹さやか……!)

ほむら「えっと、じゃあ、二人でやってもらえる?」

マミ杏「えっ?」

ほむら「私が我慢するから、今日のところはそういうことで」

マミ「でも、それじゃあ暁美さんは……」

杏子「いいのかよ? あんたあんなに好きだったのに」

ほむら「ほんとに!?」ガタッ

杏子「お、おう……いや、なんで驚くんだよ」

ほむら「あぁ、そうね。ごめんなさい……と、とにかく私のことは気にしなくていいから」

マミ「そこまで言うなら……どうする佐倉さん?」

杏子「……まあ、あたしもそれでいいけど」

ほむら(よかった、なんとか丸く収まったみたいね……)

QB「ようやく決まったのかい?」

杏子「ああ、待たせて悪かったな」

QB「それじゃあ始めてくれ」

マミ「さ、やりましょう佐倉さん」

杏子「おう!」


そうして二人は―――

お互いの頬と頬をすり合わせ始めた。

QB「ふむふむ、今回の"ルミナス指数"は……1829!」

ほむら(なによそれ、高いのか低いのかも分からない……)

マミ「まあまあね」

杏子「だな」

ほむら「だから何が!?」

QB「それにしても暁美ほむら、君がルミナスを譲るなんて珍しいこともあるもんだね。いつもは我先にしようとしてたのに」

杏子「こいつ昨日さやかが導かれてからなんか変なんだよ」

マミ「確かに、美樹さんのことは残念だったわね……」

杏子「……あのバカ……」

ほむら(そう、昨日さやかが導かれた……そこは知ってる、覚えてる)

マミ「今は辛いかもしれないけど、無理にでもルミナスしなきゃだめよ?」

杏子「体壊したら元も子もないしな」

ほむら「壊れ、る?」

QB「そうだよ。ルミナスは魔法少女に必須のメンテナンスなんだからしっかりしてもらわないと困る。これで魔獣退治できずにグリーフキューブが集められないなんて言われたら、僕たちの損害は甚大だ」

ほむら「ちょ、ちょっと待って……整理。そう、いったん整理したいの」

杏子「気持ちの?」

ほむら「そうじゃなくて、なんというか、その……実は私、昨日さやかが導かれる前の記憶がないの」

マミ杏「えぇぇぇ!?」

この世界には、魔獣がいる。

彼らは人間の絶望を糧に闇を生き、ありとあらゆる人間の命を奪ってきた、世界に巣食う病気のようなモノだ。

魔法少女は彼らを倒す使命をもってインキュベーター(和名:キュゥべえ)と契約をし、魔獣と戦う。

対価は、どんな願いでも叶えてもらえる、ということだ。

魔獣を倒すと残されるグリーフキューブは、魔力の源"ソウルジェム"の濁りを回復する道具であり、私達が彼らを倒すもう一つの報酬だ。

これがなければ、私達のソウルジェムはどす黒く濁り、最後にはこの世から消滅してしまうのだ。

魔法少女たちは、その現象を"円環の理"と呼んでいる。

魔法少女は今日もどこかで世界のため、キュゥべえの言う宇宙のために、魔獣たちと戦っているのだ。


―――と、ここまでは今の私でも理解できた。

私に昨日までの記憶がないと言ったのは、このシステムが創られる前の世界の記憶が、昨夜の事件時に刹那として甦ってきたからだ。

その世界では魔獣ではなく魔女が蔓延り、おまけにその魔女は魔法少女のなれの果てなのだ。

詳しくは省くが、円環の理は一人の魔法少女がその身と存在を犠牲にして創り上げたシステムであり、私は彼女と友達だった。

そのせいなのかなんなのか、昨日まで生きてきた私の上に、前の世界での私の記憶が上書きされてしまった。

この世界で暁美ほむらという人間が、どんな風に生きていたのか、まるで思い出せない。

だから、佐倉杏子と巴マミが私に「頬擦り」を求めてきたときは、本当に意味が分からなかった。

そんなシステム、前の世界にはなかったのだから。

マミ「記憶がないって、大丈夫なの暁美さん!?」

杏子「あたしらのことは覚えてんだよな!? な!?」

ほむら「えぇ、大丈夫よ……ただ、その、"ルミナス"っていうのがよく分からなくて……」

マミ杏「ええぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇええぇぇええぇぇぇえ!?!?!?!?」

ほむら(心なしかさっきよりも声が大きいような……)

マミ「暁美さんが……」

杏子「ルミナスを忘れてる、だと……」

QB「いやはや、人間というのは何があるか分からない生き物だね。昨日まであんなに心寄せていたものを、たった数時間で全く意に介さなくなるとは」

ほむら「……そんなに好きだったの?」

マミ「大好きだったわね」

杏子「大大大好きだった」

ほむら「……」

QB「とはいえ、魔法少女である以上ルミナスはしてもらわないと困るよ」

ほむら「なんのために?」

QB「宇宙のために、だよ」

ほむら「……ただの頬擦りよね?」

マミ「人間って変わるものね」

杏子「よっぽどさやかのことがショックだったんだな」

ほむら「……いい加減説明してくれるかしら、ルミナスって何なのか」

書いてて自分でもよく分かんなくなった
拒否権発動も致し方なしだと思ってるけど、とりあえず次の人>>425

なんでPCと携帯なんだろう

>>420
ルーターの調子悪くなったんでテザリングに変えた
ID変わるのか、知らなかった

a


QB「説明……ね。それなら、契約したばかりの魔法少女にするような説明を、ボクがしてあげようか?」

ほむら「誰だっていいわよ。筋道立てて一から私に教えてくれるなら」

QB「そうかい。じゃあ説明するね――」


 私にとって謎でしかない新概念ルミナス。

 キュゥべえによると、魔獣を絶望の象徴だとするならば、それは希望の象徴、ということになるらしい。
キュゥべえの話は、まず三つのエネルギーについての説明から始まった。

 一つ目は、希望のエネルギー。これは、魔法少女のあらゆる活動を支えているエネルギーだ。
魔法少女は、一つの願いごとという祈りから産まれた存在である。
その祈りから産まれた希望は、物質的な形をとって、この世界に直接的な影響を及ぼす。
おそらくは、このシステムが創られる前の世界では、感情エネルギーとキュゥべえが呼んでいた物と実質ほとんど同じ。

 二つ目は、魔法少女を産み出すために使われるエネルギー。
キュゥべえが魔法少女の素質がある子の願いを叶える。その際に必要となるエネルギーがある。
彼らは、この使用したエネルギーとそれプラスαの利益を回収するため、日々あくせく働いている。
前の世界では、使用分を特に気にかけているようには見えなかったけど、多分エネルギー回収の効率がかなり落ちているのだろう。

 最後が、絶望のエネルギー。簡単に言えば、魔法少女の希望エネルギーの使用済みのこと。
ソウルジェムの澱みを、グリーフキューブに吸収させることで産まれるエネルギー。
これこそが、キュゥべえが宇宙のために欲しているエネルギーである。
そして、それ以外に効果的な宇宙延命の手段はまだ見つかっていない。

 魔法少女が一人産まれるためには、必ずエネルギーが必要となる以上、一人が長くたくさん魔獣を狩った方がお得。
前の世界と比べて、魔法少女とキュゥべえの関係が良好であると、これだけでわかるというものだ。


ほむら「……で、いよいよ本題のルミナスよね?」

QB「そうなるね」

ほむら「今の話を聞く限り、グリーフキューブでソウルジェムの澱みを取り除けば、それだけで済むように――」

QB「それがね、それでは済まないんだよ。ほむら」

ほむら「え?」

QB「グリーフキューブは、あくまでもソウルジェムの使用済みとなった澱みを吸収するだけだ」

QB「魔法少女として活動を続けるためには、どうしたって新たに希望エネルギーを得る必要があるのさ」


 楽しい経験。喜ぶこと、笑うこと。それでも確かに希望エネルギーは産まれる。
しかし、量が圧倒的に足りない。魔獣を狩るにはもちろん、ただ毎日を暮らしていく分にも不足してしまう。

 辛い経験。悲しいこと、泣くこと。それは未使用の希望エネルギーを澱ませてしまう。
ストレスをなるべく避けるようとすることは大事だ。
けれど、だからといって、減少する希望エネルギーの根本的な解決となるわけではない。

 ルミナスこそが、希望エネルギーを魔法少女がまともに得られる唯一無二の手段である。

 キュゥべえは言った。ルミナスの歴史は、はるか昔、人類が洞穴で生活していた時代に遡る、と。

 当時、契約によって人類誕生以来初めての魔法少女が産まれ、また一人また一人と増加し、彼女らは魔獣を狩り始めた。
だけど、それから間もなく、揃って消滅の危機を迎えた。希望エネルギーを補給する手段がわからなかったからだ。
予定では、魔獣のグリーフキューブがその役割も果たすはずだった。だが、予定が外れた。

 これでは効率的なエネルギー回収が見込めない。
弱りに弱ったインキュベーターは、問題解決の方策を探るべく、魔法少女全員を一か所に集めた。

 大規模な装置、特別に広い丘を選んだ。丘の周囲を囲むたくさんのキュゥべえ。
そして、丘の上で一堂に会した魔法少女たちは、我先にと生存本能のまま二人一組になって、激しいルミナスを始めたのである。
彼女たちの顔に幸せそうな表情が溢れるにつれて、希望エネルギーの加速度的な発生が観測された。

  
 その記念すべき瞬間から、人類の革新的な歩みと共に、ルミナスの歴史が始まった。……らしい。


QB「魔法少女の願いが、この世界を幾度も決定的に変革してきた」

QB「魔獣という脅威から人類を影から守ってきたのも、彼女たちだ」

QB「人類の歴史とは、かなりの面において、魔法少女の活躍がもたらしたものであり、そんな彼女たちの生は、ルミナスが紡いだ」

QB「あるときね、そんな関係を、ギリシャ神話でプロメテウスが人類に火をもたらしたことに重ねて見た魔法少女がいたんだ」

QB「ルミナスこそが魔法少女を、ひいては人類を照らした最初の火であり、光である」

QB「そう考えた彼女は、魔法少女二人による希望エネルギーを産み出す行為を、光り輝くさま、ルミナスと最初に呼んだ」

QB「そして、それが時間をかけて世界中に広まった。これが、ルミナスという言葉が持つすべてだよ」


ほむら「…………頭痛がするわ。ごめんなさい。ちょっと休憩させて」

杏子「ねえ、キュゥべえ。アタシ、こんな細かい説明受けたっけ? 記憶にないんだけど」

マミ「私も、ルミナスの歴史について聞いたのは初めてだと思う」

QB「大抵はある程度省略して話すよ。ただ、『筋道立てて一から』が、今回のほむらの要望だったからね」

ほむら「……ああ、本当にわからないわ。どうして、ルミナスをすると、希望エネルギーが発生するのかしら?」

QB「さあ? それは本当に謎だよ。他の方法ではダメ。実際発生している。としか言えない」

QB「そこに理由を問うのは無意味だ、とボクは考えている。ルミナスは、この世界を現に支配している法則の一つだからね」


 法則の一つ……。
その言葉と、私が持っている前の世界の記憶が科学反応を起こして、唐突にまどかの笑顔が脳裏に浮かぶ。

 彼女は、一つ上の領域にシフトして、ただの概念に成り果ててしまった。
インキュベーターが、そう言っていた。ぼんやりと、その時のことを思い返す。

 そのとき、私の思考に、突如電撃的なひらめきが走った。

 ――まどかがもたらした、新しい法則に基づいて、宇宙が再編されているんだよ。

 これまた、インキュベーターの言葉。

 そうよ、何を私は混乱していたというの。ルミナスは、まどかによる新しい法則の一つに決まってるじゃない。

 彼女は、インキュベーターに願い事を突きつけるさなか、こう言っていた。

「今日まで魔女と戦ってきたみんなを、希望を信じた魔法少女を、私は泣かせたくない」

「――最後まで、笑顔でいて欲しい」

 きっとこの、笑顔でいて欲しい、がこの世界の一つの法則として形になったのが、ルミナスなんだ。そう確信した。

 ……けれども、どうしても気にかかることがまだ一つ残る。

 なんでよりにもよって、それがルミナスになったというの?

 納得のいく解釈を求めて、まどかの意図を知りたくて、私は己の中にあるありとあらゆる記憶をほじくり返した。
それらは昨日私に備わったばかりだからか、妙に他人行儀な気はしたが、少なくとも正確な情報はくれた。

 私は、あれこれ考えている内に、契約してまだ間もない時間軸における、魔法少女のまどかとのひとときを思い出した……。


 色とりどり様々な花が植わったお花畑で、まどかと二人きり、暖かな日差しの下でまどろんでいた。

「ほむらちゃんって、ほっぺとほっぺをくっつけるスキンシップが一番好きなんだね」

 そう言って、私の方を向いて、横に座るまどかは太陽のように笑う。

「ええ。……だって、鹿目さんの身体も顔もすぐ傍にあって、温かくて、一人じゃないんだ、ってことがよくわかりますから」

 私は自然になるよう気を付けて笑い返した。
ちょっとでも、まどかといて心躍るこの気持ちが、真摯に伝わって欲しいと思ったから。

 すると嬉しそうにまどかが、私の頬に自分の頬を当てに来た。

「ほむらちゃんは、一番このスキンシップが好きってことは、つまりこの時間が一番幸せってことかな?」

「どうなんでしょう……。私は、鹿目さんとそれに巴さん、二人と魔法少女をやれてるこの毎日全部が、幸せだから……」

 真剣な顔をして悩む私を見て、まどかは少し顔を離してから、私とは反対の方向に噴き出した。
あのときは、どうしたんだろう、鹿目さん? と思ったけど、今ならその理由がわかる。

 場にまったくそぐわない相当深刻な顔をしていたに違いないのだ。

 一通り笑い終えたまどかが、私の顔に再度頬を寄せてきて、そのままちょこちょこと頬で撫でてきた。
それがなんだかこそばゆくて、私は難しい顔をといてつい笑ってしまった。

「まあ、でもこうすれば、笑顔にはなるんでしょう?」

「多分、そうだと思います」

「次はさ、ここ、マミさんも一緒に来ようね。お弁当作ってもらってさ。マミさんのお弁当、きっとおいしいよ?」

「ふふ、絶対美味しいですね」

 後にも、とりとめのない会話は長々と続いていた。

 でも、これ以上思い出す必要はない。

 私は、一つの納得がいく解釈を得たのだから。

 ルミナスは、みんなと一緒に頑張ってね、とまどかが私に送ってくれた激励のメッセージ兼ね贈り物なんじゃないだろうか?


杏子「ほむら? おい、ほむら」ユサユサ

ほむら「………………何、杏子。どうしたの」

杏子「どうしたの? じゃないって。急に黙り込んで、心ここにあらずって顔しちゃってまぁ」

杏子「黙って待ってはみたものの、いくらなんでも長すぎるし流石に心配になるよ。大丈夫なのか?」

ほむら「心配かけてごめんなさい。大丈夫よ。まったく問題ないわ」

マミ「……ひょっとすると、もう既にルミナスの禁断症状が――」


ほむら「あの、その、ちょっと待って。今聞き捨てならない言葉が聞こえたのだけれど、禁断症状って、何?」

QB「ルミナスは、他の何もかもと比較にならない多幸感を魔法少女にもたらすからね」

QB「一定期間ルミナスを怠ると、希望エネルギーの量的不足より先に精神錯乱が来てしまう」

QB「さっきまでの杏子とマミのテンションのはっちゃけ具合を見てもわかるだろう」

QB「仮にもさやかが消滅してまだ一日しか経っていないんだよ?」

QB「最近は、さやか関連のごたごたが酷過ぎて、ろくにルミナスしてられなかったからね」

ほむら「ちょ、ちょっとそれ、かなりマズいんじゃないの? じゃあ私も早くルミナスしなきゃ――」

QB「残念だけど、今の状況では無理だ。杏子もマミもルミナスを終えた。ルミナスは、一人一日一回が限度」

QB「それ以上は、逆に希望エネルギーが高まり過ぎて危険となる」

ほむら「なんですって……」


QB「一応注意しておくけど、ルミナスはただの頬ずりじゃない」

QB「互いの精神の波長、動き、心拍数、その他諸々が一体となって奏でるユニゾンなんだ。当然慣れた相手の方が効果は高い」

QB「非常時でなければ、効率を考えて、その相手は基本一人に絞るべきさ。キミの相手は昨日までさやかだった」

QB「さっきの杏子とマミは、禁断症状が酷くてほむら相手でもよくなっていたけど、本来彼女たちは長い付き合いのパートナーだ」

QB「そんな彼女たちの絆でさえも、ルミナス不足の渇望は容易く破壊してしまう」

QB「ルミナス不足がもたらすのは、極度の注意力散漫。思考力低下。性格異常」

QB「戦いに及ぼす悪影響は、理論上無限大だ。だから早急に、新しいパートナー探しが必要なんだよ、ほむら」

ほむら「…………」

ほむら(そ、そんな……)

ほむら(注意力散漫……。思考力低下……。性格異常……。性格異常?)


ほむら(あれ? ……待って? よく考えたら私)




ほむら(――こんなに巴さんと杏子に対して、すっきりフレンドリーにあけすけと接することできてたかしら?)

こじつけ力をフル活用して頑張った
そしたらリレーSSだからってことで、気分的に地の文書きたくなかったし、説明も最小限にしたかったけど、無理になった

前の人の「魔力の源"ソウルジェム"の濁りを回復する道具であり」の箇所は、
不十分なほむらの知識が微妙に間違った考察をもたらしたってことで勘弁してほしい
せめてもう少し短くしたかった

>>443

やりましょう(迫真)
コンマスレって数に入るんすかね……

世界観的にルミナスというシステムのお陰で、魔獸は協力狩りが推奨になってるっぽい?
ところで、このほむらはさやかとキチンと仲良くできてたのか、余り物同士で嫌々スリスリしてたのか
相方との「慣れ」が大事とは言われてるが、「良好な人間関係」は別に要求されてないんだよな

>>448
でもそうなるとルミナス指数って何?って話にもなる
後ほむらちゃんはルミナスが大大大好きだったらしいので、多分好きでルミナスしてたんだと思う

> 杏子「よっぽどさやかのことがショックだったんだな」
って前の人の文章であるし、さやかと仲よくはできてたんじゃねって気がする
前世界の記憶はなかったわけだし悪印象もないでしょ

病院生活が長くて孤独かつ刺激に飢えてたメガほむ
突如ルミナスの麻薬的多幸感を知ってしまって、重度のルミナス中毒に陥ってたっぽいけど

>>449
すまん訂正
「ルミナスは大好き」だけど「相方は嫌い」って可能性もあるのかも?的なニュアンスでお願いしますん
ほむらの記憶が魔女世界のほむらで上書きされちゃってるから真相は闇だけどね

連レスすまん
>>450
マジだ。読み込み不足だったわ
そもそもさやかとほむらは人間性が著しく噛み合わないとかそういうのでもないし、本編みたいに何か理由があったりしない限りいがみ合うことは案外少ないか

ほむら「……とにかく、今日は二人にお願いする事は出来ないし……帰って休むとするわ」スック

杏子「あっ、おい。大丈夫なのかよ」

ほむら「一日くらい平気よ。でも、その様子だと、よっぽど私は美樹さやかにご執心だったようね」ハァ

マミ「そうね……最初なんかは摩擦熱で発火してたし」シミジミ

ほむら「ちょ」

杏子「本当にヤバくなったら呼べよ?」

ほむら「大丈夫だってば」

キュゥべえ「以前の君からは想像できない程の余裕だね。これはこれで、ある種の頼もしさを覚えるよ」

――――その夜、ほむらの家

ほむら「(大丈夫じゃなかった)」ガタガタガタガタ

ほむら「……寝れない」ムクリ

ほむら「何かこう、ゾワゾワするわ」

ほむら「……水でも飲みましょうか」トテテ

ほむら「あっ」ガッ

ほむら「へぷんっ」ペシャッ

ほむら「(――この私が躓いて転ぶ?)」

『注意力散漫』

ほむら「受け身すら取らずに?」

『思考力低下』

ほむら「……事態は思ったより切迫していたのね。それよりお水お水」ゴク

ほむら「お酢ぅ!」ブッハァ!

――――翌朝、通学路

ほむら「…………」ブツブツ

マミ「あっ、暁美さん。大丈夫――暁美、さん?」ビクッ

ほむら「……何よ、巴マミ」ジロ

マミ「いや……顔が死んでるわよ。ライオンの群れに囲まれたシマウマみたいな」

ほむら「誰が馬面ホームベースよぉぉぉぉ!!」ガッシィ!

マミ「ひ、ひぃぃ暁美さん落ち着いて!?」

『精神錯乱』

マミ「やっぱりルミナス分が足りてないのよ……そこの路地裏で簡易的にでもしておきましょう?」

ほむら「おね、おねがい、がっ、がいするわ」ガタガタガタ

マミ「その小刻みな運動怖いからホントに落ち着いて」

マミ「はい、じゃあするわよ」ピトッ

ほむら「!!」ゴリゴリゴリゴリ!

マミ「いたっ、痛い! 暁美さん、ちょっと!」

ほむら「…………」ゴリゴリゴリゴリ

マミ「ちょっ、ちょっと……真顔でやるの止めなさい! 少し発火してる!」チリチリ
――――――――――――
ほむら「大分マシになったわ」

マミ「今のルミナス分50も無いわよ……」ハァ

ほむら「えっ」

マミ「お互いの心を重ねないと、ルミナスは効果を十全に発揮しないわ……あっ、若干焦げてる……」シューン

ほむら「そんな……! 私は今すぐルミナスしたいのよ! ルミナス!」

マミ「そう。だからこそ、パートナーを見つけなければならないのよ……」

マミ「でも正直、今の暁美さんに対応できる子なんて……」

ほむら「きょ、杏子は!?」

マミ「暁美さんとのさっきのルミナスだけで私は今日を乗り切る事になるけど、明日の私をフォローする覚悟ができたなら」

ほむら「ノーセンキューね」

マミ「それはそれでヘコむわよ……」

ほむら「由々しき事態だと言うのは良く理解できたわ。少し回復したし、学校に遅刻してしまうわ……急ぎましょう」ファッサァ

マミ「(あっ、少しだけ戻ってる)」

――――授業中

ほむら「(ジャスティスガンダムになりたい)」ガタガタガタガタ

生徒「せ、せんせぇー! 暁美さんがこけしみたいな顔して震えてます!!」ヒィィ

和子「あらあら……誰か、保健室に連れていってあげ――」

ほむら「一人で、行けます……!」プルプル

生徒「でもそんな生まれたてのバッファローみたいな様子で大丈夫……?」

ほむら「はぁ……はぁ……」ガラッ

和子「うーん、大丈夫だと思いますか? はい、中沢くん!」

中沢「それどっちでも良いとか言ったら僕クラスから晒し上げられるんですけれど先生」

――――保健室

ほむら「誰もいない……怠慢ね」ゴロン

ほむら「勝手に使うけど……いいよね、ベッド」

ほむら「……ああぁあぁぁぁルミナスしたい……!」バタバタ

「お、ここか?」ガラ

ほむら「!」ガバッ!

杏子「いたいた。ヤバそうってマミから聞いてな……調子は?」

ほむら「(杏子……杏子が来たわ)」ガタガタ

ほむら「(る……ルミ……ルミナスできる……! ルミナスしたい……!!)」

杏子「ほむらー? おい、無事かー?」ブンブン

ほむら「きょ、杏子……」ジリ…… ジリ……

杏子「お、おいどうした……摺り足で近付いてきたりして……おい――止まれ!?」

杏子「ま、待て――っ」ドンッ

杏子「(壁――!)」

ほむら「――――」ドゥンッ!

杏子「床蹴る音じゃねぇよそれェ!?」ギャー!?

ほむら「そぉい!」ガシッ、ポイッ

杏子「ヒギャーッ!?」ドサァッ!

杏子「いってて……ちょうど良くベッドがあって助かっ――」ガシッガシッ

ほむら「…………」フーッ、フーッ

杏子「(ってない)」

杏子「……よーし落ち着けほむら。今すぐ馬乗りを止めて両手を押さえてる手を離すんだ。お前は今、冷静じゃない」

ほむら「冷静? 私は冷静よ」

ほむら「私は別にR-18でも一向に構わないとさえ思っているわ」ガガガガガ

杏子「まるで訳が分からんぞ!? 後その重心を一番下まで下げたメトロノームみたいな頭の動き止めろぉ!?」

ほむら「私にルミナスを止めろと……? 希望を与えられ、それを奪われる――それが貴女のファンサービスだとでも言うの!!?」グググ……

杏子「落ち着けぇ、頬を寄せてくるなぁ!? 」ブンブンッ

ほむら「よく『やらなくて後悔するよりも、やって後悔する方がいい』って言うわよね。これ、どう思う?」ググ……

杏子「良く言うかどうかは知らねぇけど、言葉通りの意味だと思うよ――今じゃなけりゃあなぁ!?」

ほむら「そう、『ルミナスしたい』なんて言葉じゃあいけないわ、魔法少女として。『ルミナスした』なら使ってもいいぃぃぃ!!」グイッ

杏子「だ、ダメだ……このほむらには『やる』と決めたら必ずやる『スゴ味』があるっ! ひうっ」ペトッ

ほむら「んっ……」

杏子「くっ……」

頬と頬が触れ合う。
人肌の暖かさを孕んだ柔らかなソレを、自らで擦り上げた。
まずはじっくり堪能するように、大きなストロークで上下させる。
動く度に頬の肉が瑞々しく歪んだ。
コツ、と頬骨同士が擦れる。

杏子「んっ……」

ほむら「ここかしら……?」

自然と耳元で囁く様な。
もがく杏子を押さえ込む為に、自然と体全体でのし掛かる様な体勢になった。
大腿の内側が擦れる感触が酷くもどかしい。

柔らかい。
段々と動きが小刻みなソレへと変わる。
吐息も、激しい。鼓動は、喧しい。余裕も、足りない――――!

ほむら「っ――く、ふぅ……!」

ゾクゾク、と背筋を臍から駆け巡る何かが脳髄に達して震える。
汗ばんだ肌と、乱れた衣服と――――

ほむら「……!」

杏子「……バカ、やろう」

涙目の杏子と。


ほむら「わ、私……何て事を……」

杏子「……ちなみに、今のルミナス数値はゼロだよ。バーカ」グスッ

ほむら「(ああ、ダメだ何も解決してないどうしろって言うのよ確かにルミナス欲全然収まらないコレホントマジでどうするのよ)」

『精神錯乱』

ほむら「ここに、いては……いけない」

ほむら「ご、ごめんなさい……杏子。私、もう何を仕出かすか分からな――さ、さよならっ!」ダッ

杏子「あっ、待てよオイ!?……行っちまったか」

杏子「落ち着けばちゃんと出来たんだけどなぁ……ビビって泣いちまうとは……恥ずかしい」ズズッ
――――街中
キリカ「織莉子ー、ルミろうよー」イチャイチャ

織莉子「あらあら、仕方ないわね……なら、そこのベンチに座りましょうか」イチャイチャ

キリカ「座った! もうこれは事を迅速に運ぶしかないね!」

織莉子「はいはい。じゃあやるわよ」スッ

ピトピトッ

キリカ「……ん?」

織莉子「……あれ?」

ほむら「…………」ズーン

織莉子「(何か間に割り込んでるーっ!!?)」

キリカ「だ、誰だい君は!!? 織莉子のほっぺたを堪能していいのは私だけなんだぞ!!」

彼女たちは不運だった。具体的にはルミナスしたままだったからだ。仏像の様な無表情の暁美ほむらの頭部は電動歯ブラシもかくやと言った速さで震動する。彼女達の頬はその摩擦に耐えきれず、まるでベーゴマのように二人はベンチから吹き飛ばされた。もうそりゃ木っ端の如く。

キリカ「うぉわぁぁ!?」ヒュルルルル、ドサッ

織莉子「きゃあっ――きゃひんっ!?」ヒュルルルル、ポヨンッ

キリカ「アタタ……ん?」

ほむら「…………」フシュウー……

キリカ「アワワワワ……織莉子ぉ」ガタガタ

織莉子「キリカ……!」ガタガタ

後に呉キリカはこう語った。

キリカ『私たちはお互いに抱き合って震えるくらいしか出来なかったね、あの時。怖いって感情を久し振りに懐かしんだよ。そのまま大人しく去ってくれて本当に良かった……』

――――夕方の路地裏
ほむら「…………」バタッ

ほむら「(体が動かない……エネルギー不足かしらね……)」

ほむら「(あぁ、こんなバカらしい理由で私は死ぬの……? いやこれもまどかの願いなら受け入れたい)」

ほむら「(でもちょっとコミュ障気味なの私。これハードなのよまどか)」

キュゥべえ「そうだね。大体君たち本編キャラは5人。まどかは居ないしさやかは消えて3人。どう考えても君のパートナーは見つからない」
キュゥべえ「なぎさも居ないしね。なら外伝から一人連れてこなきゃならない」

ほむら「何を訳の分からない事を……ん?」

キュゥべえ「…………」ボヤーッ、フッ

ほむら「幻覚……幻聴……? いよいよ、限界ね……」

ほむら「起き上がる……力も、無いわ……」

ほむら「何よキュゥべえ……それはカブトムシ……多分、カナブン……違う、マグロじゃなくて」ブツブツ

ほむら「それは……漫画だから……ストレッチ……ダメよ……知らない人が」ブツブツ

ほむら「本屋……行かなきゃ……野菜室涼しい……ウッフフフ」

ほむら「コミカライズも……終わってない……それは因果への……反逆に……」

ほむら「…………まどかぁ」ウルッ

「……あれは」
――――――――――
「……貴女、どうしたの?」

ほむら「る……」

「る?」

ほむら「ルミ、ナス……」

「魔法少女……! 大変、しっかりして」グイッ

ほむら「…………」グデーン

「もうこんなに……仕方ない、失礼する」スッ

ほむら「あ……?」

「大丈夫、怖くない……ゆっくり、私に合わせて」スリスリ

ほむら「あっ、あ……」スリ……スリ……

「うん。上手……ほら、がんばって」

ほむら「あっ……すごい……しあわせ……っ!」

「うん。ほら、もっとしていい」

ほむら「…………!」スリスリスリスリ

――――

「落ち着いた?」

ほむら「ええ……」

ほむら「(冷静になれた……今までの自分を消滅させたい)」

ほむら「……ごめんなさい。見ず知らずの貴女に、迷惑を掛けてしまったわ」

「構わない……ん。貴女の魔法は機械操作なのね」シュウゥ

ほむら「(剣……?)」

「……これ?……私はルミナスした魔法少女の魔法を一つだけ、この剣で覚えて使える。上書きされるから、一つだけ」

ほむら「便利ね……えぇと」

鈴音「鈴音(すずね)。天乃鈴音」

ほむら「……暁美ほむらよ。よろしく」

鈴音「……うん。じゃあ私、用事があるから」タンッ

ほむら「あっ……待って……!」

ほむら「天乃鈴音……」

ほむら「……まだ、頬が暖かいわ」

――――マミ宅、夜

ほむら「という事があったわ」

マミ「そう。で、そろそろその土下座止めたら……?」

杏子「別に気にしてないからさ、な?」

ほむら「そう……なら」ムクッ

杏子「でもな、それもしかして噂の魔法少女かもな。『魔法少女殺し』の」

マミ「えぇ。状況も酷似しているわ」

ほむら「魔法少女殺し……? そんなはずは、現に私は寧ろ助かったわ」

杏子「それが問題なんだよ……その魔法少女は弱った魔法少女なら誰でもルミナスしてやるんだ」

マミ「そしてそのルミナスは例え初めての相手だろうと極上の幸福感を与えてしまう……」

杏子「その結果、パートナーとのルミナスがぎこちなくなって……終いにゃソイツとのルミナスの事しか考えられなくなる」

杏子「そうなったらもうダメだ。例の症状がお互いに収まらなくなって、その内魔獣にやられちまう」

マミ「魔法少女を頬で奪い、間接的に殺害する――恐ろしい存在よ」キッ

ほむら「(何でこんな世界にしちゃったかなまどか。私よくわからないよ)」

杏子「まぁほむらにはちょうど良いかもしれないけどな、はは」

ほむら「(天乃鈴音……また、会えるかしら……?)」ハァ

マミ「(暁美さん……これってまさか、恋!?)」

杏子「(案外チョロいのかもしれねぇコイツ)」

>>469

いってみますか!

ほむら「……」ガクガクガク

マミ「……ルミナス指数47……」

杏子「……あたしはルミナス指数72だったよ……」

杏子「やっぱり魔法少女殺しの奴を探すしかないんじゃないか?」

マミ「もう探しているわ。でも魔法少女殺し……天乃さんは転校を繰り返しているみたいで……時間をかければ見つけられると思うんだけど……」

杏子「それまでほむらがもたないか……クソ!」

ほむら「二人とも心配しないで……私は大丈夫……大丈夫だから」ガクガクガク

マミ「もう禁断症状が出てるのに大丈夫なわけないじゃない!!」

ほむら「少し夜風にあたってくるわ……」

杏子「おい、あたし達も一緒に……」

ほむら「来ないで!」

マミ杏「!!」ビク!

ほむら「……ごめんなさい。でも、もうあなた達に迷惑をかけるのは耐えられないの……」

杏子「ほむら……」

マミ「暁美さん……」

----------------

ほむら「……あ、ここはいつかまどかと一緒に来たお花畑……」

……ここには誰もいない
ここなら、誰に迷惑をかける事もなく終わる事が出来る

ほむら「……ごめんね。まどか」

結局私は魔法少女としての責務を果たせなかった
魔獣もろくに倒す事すらできず、こんなところで終わってしまった
再会したらあの子は私を怒るだろうか。失望するのだろうか

ほむら「……いえ」

多分あの子はこんな私であろうと優しく包んでくれるだろう
こんな不甲斐ない私を許してくれるのだろう
でも、それは……そんな終わりは、私自身が許せない

ほむら「……そうだ!」

この花畑にルミナスをしよう!
ガイアの力とかそんなのでひょっとしたら何とかなるかもしれない!
まだ、こんなところじゃ私は終われない!
這いつくばってでも生き延びてみせる!

???「……何やってんの? あんた……」

ほむら「え?」

その人は白いローブとフードで身を包んでいた。
それ以外の特徴としては、顔に青色の仮面をつけていることか

ほむら「……あなたは?」

???「いや、それよりあんたが何やってんのよ。見る限り花畑に頭を擦り付けているように見えるけど……」

ほむら「え? 地球とルミナスをしているんだけど」

???「……馬鹿? ……って言うのも気の毒だよね。ルミナスをしていない事による禁断症状かぁ……」

ほむら「……ルミナスが分かるって事は、あなた」

???「うん、あたしは魔法少女だよ」

ほむら「そう、それじゃぁ気の毒だけど……私のルミナスに付き合ってもらうわ!」

???「……いいよ」

ほむら「……え?」

???「あんたになら、構わない」

そういうと仮面の魔法少女はフードをとり、青い髪があらわになる
風貌は仮面をつけている為よく分からないが

ほむら「……自分で言っておいてあれだけど……本当にいいの?」

???「うん。あんたになら……いや、あんただからこそ」

???「一緒にルミナスしよう」

そう言って、仮面の魔法少女は微笑んだ

--------------------

ほむら「じゃ、じゃぁ……いくわ」

???「はいはい」

そう言うと、仮面の魔法少女は頬を摺り寄せてきた
私も無我夢中で仮面の魔法少女に頬を摺り寄せる

ほむら「……!!」

仮面の魔法少女は私の頬の気持ちいい部分を念入りに摺り寄せる
まるで昔からそうしてきて、私の頬など全て分かっているかのように
そしてそれと同時に誰かの記憶が蘇ってきた
これは……さやかが導かれる前の、私の記憶?

----------------------------
---------------
----

さやか「もう限界! こんな奴とコンビなんてやってられるか!」

ほむら「そんな……何で?」

さやか「何で!? 前て戦っているあたしに向けて矢を打ち放ってきた奴が言う台詞!?」

ほむら「それは、魔獣を倒そうとして……」

さやか「魔獣と一緒にあたしまで殺すつもり!? 何度死ぬかと思ったことか!!」

マミ「美樹さん、近接タイプならともかく暁美さんは遠距離タイプで、しかも初心者何だから……」

さやか「初心者ならあたしを打ち抜いてもいいんですか!?」

ほむら「……」

さやか「もういい! 知らない!!」

----------------------------

ほむら「ごめんなさい……美樹さん」

さやか「うぅん。あたしこそごめん……言い過ぎた。あたしだってマミさんの事邪魔して迷惑をかけてるのに……」

さやか「それで、考えたんだけどさ」

ほむら「?」

さやか「あたし達二人で、強くなろう!!」

----------------------------

さやか「こうやって剣に人形をくっつけて、ふわふわーっと」

ほむら「……それは?」

さやか「特訓用疑似魔獣だよ。いっぱい作って、剣をランダムに移動できるようにして……できた!」

さやか「こいつらを一緒に倒して連携を鍛えるんだよ。これなら魔獣に殺される心配はない」

ほむら「でも、もし私の矢が美樹さんに当たったら……」

さやか「大丈夫! 必死で躱すから!」

ほむら「……うまくいくんでしょうか」

さやか「いかせるんだよ! あたしとほむらで!!」

さやか「これで最後の一体……ほむら!」

ほむら「はい!!」

さやか「……うん。ほむら」

ほむら「な、何でしょうか」

さやか「……完璧だよ! やったよ!!」

ほむら「美、美樹さん! 突然抱き着かないで!」

さやか「やった! やったんだよほむら!!」

ほむら「……はい。これで巴さんや佐倉さんに迷惑もかけませんね……あ……」

さやか「!? 大丈夫? ソウルジェムは……正常だからルミナス不足か。またマミさんか杏子に頼んで……」

ほむら「その件なんですが……その……」

さやか「ん? どうしたの?」

ほむら「……美樹さん。私と一緒にルミナスしませんか?」

さやか「え!? えぇと……それは……」

ほむら「……駄目、ですか?」

さやか「……くぅぅぅ! このかわいい奴め! いいよ。ルミナス、一緒にやろう!」

----------------------------

さやか「……ははは、あたしって本当に駄目だ。恭介の事、仁美に任せて吹っ切れた気持ちになってたつもりで……今もまだ恭介の事が頭を離れない」

ほむら「……みせます」

さやか「え?」

ほむら「美樹さんが上条さんを想っているより強く、私が美樹さんを強く想ってみせます! 美樹さんの気持ちを私に向かせてみせます!!」

さやか「ほむら……」

----
---------------
----------------------------

???「ルミナス指数2020かぁ……ま、でもこれで充分でしょ」

ほむら「……」

思い出した。思い出してしまった
それと同時に涙がこみ上げてくる
そうだ……私はこんなにも強く、さやかの事を想っていたんだ
けれど、そのさやかはもういなくて

ほむら「……う」

ほむら「うああああああああああああ!!」

私は子供のように泣き出してしまった
そんな私を、仮面の魔法少女は優しく抱きしめてくれた

----------------------------

???「もう、大丈夫?」

ほむら「えぇ……ごめんなさい。もう大丈夫よ。……抱きしめてくれて、ありがとう」

???「あはは……そんな事気にしなくてもいいよ」

ほむら「……その、頼みたい事があるんだけど」

???「パートナーになるのは無理だからね」

ほむら「……」

???「そんな悲しそうな顔しないでよ……。あたしは、この街に目的があっているんだ。その目的を果たしたら……この街を出なきゃいけない」

???「でもまぁ、あんたならすぐにパートナーが見つかるよ。それに、パートナーが見つかるまでは一緒にルミナスしてあげる。いつも大体このぐらいの時間にこの花畑にいるから」

ほむら「ほ、本当?」

???「嘘ついてどうすんのさ……。じゃぁ、あたしはちょっと用事があるから、また今度ね。あ、後この事はマミさんと杏子には内緒にしておいてね」

ほむら「え? あ……行ってしまった」

ほむら「……あの人は一体何者? なんでルミナス指数がこんなに高くなったの? 目的は何? ていうか、何故あのタイミングで私の記憶が蘇ったの?」

でもまぁ、ルミナスをしてもらえるのは助かる
これでしばらくはルミナスについて悩む事はなくなった
後ははやく、パートナーを見つけなければ……


???「ここまで頑張ってきた奴には、それなりのサービスがあってもいいもんね」

ほむら「さやか……」

さやか「あぁ……次はひかりふるだ」

というシーンを入れようと思っていたが思いとどまった
次、>>484

リレーって一回完結したらエントリーリセットされるものだと思ってた……
ごめんなさい。>>474->>478まではスルーでお願いします……

ちょっと過去作思い出してくる

いや、リセットはされてるんじゃね?
最初の人>>220でエントリーしてるし

安価下

はい

>>486
確かにそうだ。グダグダにしちゃってほんとごめんなさい。>>483はスルーで
再安価>>488だと自分だから>>491

>>484だから次>>487か…で、その3つ後で>>490じゃん。
ごめん。もう穴があったら埋まりたい。しばらくロムります…
安価>>490

どんまい

安価下

a

結構長いこと待ったしいいだろってことで二回目のエントリー行くわ
また説明回になりそうで地の文回避できなさそうなのがちょっと残念だけど

スレタイ
マミ「チーズがとっても大好きな、大切な私のお友だち」


QB「それで、話ってなんだい?」ヒョコッ

ほむら「……一つ、ルミナスについて気になってることがあるの。訊いても構わないわよね?」

QB「うん、ボクは構わないけど、何かな?」

ほむら「『ルミナスは一日一回が限度』って前に言ってたでしょう?」

QB「言ったね」

ほむら「それって、おかしくないかしら?」

QB「どうして?」

ほむら「だって、例えばルミナス指数1500+1500がいけないという話ならわかるわよ?」

ほむら「でも、ルミナス指数50+0がダメ、って場合がある。二つの例を比べると、明らかにおかしいわよね」

ほむら「片方は、足して100にも届いていないのに、二回とみなされてアウト」

ほむら「これは、私たちの『希望エネルギーが高まり過ぎて危険』では説明がつかない」

QB「つまり?」

ほむら「あなた、情報を全部開示していないでしょう?」

QB「なるほど。キミが言いたいことはわかったよ」

QB「確かにボクが意図的に情報を省略して伝えているところはある」

ほむら「なら教えなさい。包み隠さず。私に誤解が一切なくなるように」

QB「……まあ、キミなら多分、大丈夫だろう。わかった。バレてしまったからには話すよ」



QB「『希望エネルギーが高まり過ぎて危険』とボクが言ったのは、キミがさっき指摘したとおりだ」

QB「それは実際真実でもある」

QB「では何がおかしいのか? それはね、キミが言った、私たちの、というところに誤謬があるんだ」


QB「ルミナスをすると、魔法少女たちの周囲の空間には、膨大な希望エネルギーが発生する」

QB「キミたちのソウルジェムまたは頬などの肉体から、希望エネルギーが発生するわけではない」

QB「無から有。何もないはずの空間にそれは突然生じてくる」

QB「一度のルミナスで、周囲に生ずる希望エネルギーは常に一定」

QB「ルミナス指数はね、それが高ければ高いほど、発生したエネルギーを多く享受できたという指標なんだよ」

QB「希望エネルギーは、魔法少女のソウルジェムの中にある限り、便利で欠かせない大切な物だ」


QB「しかし、大量の希望エネルギーがひとたび外界に溢れてしまえば、それは必ず人々に害を及ぼす」

QB「意思を持たない奇妙な無差別の魔法を発生させたり、強大な魔獣を呼び寄せるといった形でね」

QB「通常魔法少女は発生した希望エネルギーのごく一部を享受して、残りは拡散させてしまっている」

QB「たとえ一日二度程度のルミナスでも、周囲に何かしらの害が生じるリスクが十分ある」

QB「だから、ルミナスは一日一度が限度」

QB「わかってくれたかな?」


ほむら「ええ。まあ、一応」

ほむら「……で、あなたはなんで、この情報をあやふやにしていたの?

ほむら「巴さんや杏子はこのこと、知らないんでしょう?」


QB「……そうだね、いくつかあるけれど、一番大きな理由を挙げようか」

QB「日にルミナスを何度もする、利己的な魔法少女たちが後を絶たなかったからだよ」

QB「そういう魔法少女たちは、人々の害、他人なんて自分には関係ないと、快楽を求め、エネルギーを求め、ルミナスを繰り返した」

QB「質より回数。結果、様々な良くないことが起こった。関係のないはずのところにまで、被害が何度も波及した」

QB「そこで解決策を模索したら、ルールを破れば破った二人が損をすると皆に思ってもらうのが、一番安定したというわけだ」

QB「安定した社会で、末永く魔獣を狩り、絶望エネルギーをたくさん集めてもらおうと、ボクは色々頑張ってきたんだよ」


ほむら「そう。中々苦労人なのね、あなたたちも」


ほむら「………………」


ほむら(……ルミナスとは何なのか、あの、お花畑の人は何者だったのか)

ほむら(それを考えていたら、疑問をキュゥべえにぶつけたら、思いがけないところに着地した)

ほむら(キュゥべえの話を聞いて、とりあえず考えたことがある)

ほむら(無から有が生じる。私たちに供給される活動に不可欠の希望エネルギー)

ほむら(これを辿った先にあるのは、この世界の摂理から外れたもの、すなわち円環の理だろう)


ほむら(ルミナスをしている間、私は、魔法少女たちは、まどかと繋がっているんだ)

ほむら(私たちは、概念としてのまどかの存在に寄り添って、日々生かされている)

ほむら(じゃあ、可能性として、こう考えることもできないだろうか?)


ほむら(――ルミナスを過剰に繰り返せば、それに加えて何らかの条件を満たせば、生きたまま、円環の理と接触できるんじゃないか?)


ほむら(もしかしたら、まどかと逢えるだけじゃなくて、導かれたさやかとだってまた、逢えるかもしれない)


ほむら(それが真実だとしたら、私は……)


さやか「……」テクテク


まど神『さやかちゃん、ほむらちゃんのこと、ありがとね』

さやか(ううん、ありがとなんてそんな。あたしにとっても、あいつは友だちだもん)

まど神『……だけどね、必要以上の干渉はダメだよ? さっきの接触だって、生じた歪みは看過できない』

さやか(……そりゃあまあ、あたしが尻拭いするよ。今だってそのために、歪みの発生点に向かってるんだし)

まど神『それはわかってる。ただわたしが言いたいのは、目的を、大局を見失わないでってこと』


さやか(あー、はいはい、大丈夫大丈夫。円環のお使いとしての目的、ちゃんと暗唱だってできるよ)

さやか(ワルプルギスの夜という魔女の消滅によって書き換わった見滝原の歴史)

さやか(その歪みを正そうとする魔獣の異常活性化)

さやか(活性化が度を過ぎて世界の許容量を超えないよう、発生前に極力抑制する。そうでしょう?)


まど神『うん、その通り。でも、ただ闇雲に抑制すればいいってものでもないことも、絶対忘れないで』

まど神『ほむらちゃんたちに肩入れしすぎちゃいけない』

まど神『越えられる災厄は、彼女たち自身の手で越える。それが一番みんなにとっての絶望が少なくなる』

まど神『さやかちゃんが希望エネルギーを使って無理に回避した歪みは、それ以上の歪みをもたらすことになりかねない』


さやか(……はぁ、大役だよねぇ。なんであたしなんかにこんなでっかい仕事が回ってきたんだか)

まど神『それは、災厄前のこの地で最も間近に導かれたのがさやかちゃんだったからだね』

まど神『導かれた場所と時期の、災厄との一致具合』

まど神『これほどお使いのしやすい環境が整ってたこと、今までの歴史でそうそうないよ』


さやか(いや、でもあたしの先輩方さ、いくら条件の差色々あったと言っても全員死ぬほど苦労したんでしょう?)

まど神『うん。それにかなり大きな失敗も中にはあった。ワルプルギスの夜はまだ楽な方かも』

さやか(…………はぁーあ。色々わかっててもやっぱきついなぁ。責任重大)

さやか(他にはさ、なんか気をつけなきゃいけないことあったっけ?)


まど神『正体を誰にもバラしてはいけないこと、これも凄く重要だよ』

まど神『さやかちゃんはこの世界から消滅した』

まど神『それが真実なのに、事象を、この世界に満ちた希望エネルギーで無理やり歪めてる』

まど神『干渉できないわたしの代わりに、魔法少女たちすべての希望の力を最大活用して、やっとのことで送り込んでる』

まど神『誰かにその異常を認識されるだけで、ぎりぎりの均衡は乱れ、歪みが制御できなくなって大変なことになってしまう』


さやか(仮面とらなきゃいいんでしょう?)

さやか(あたしが美樹さやかだって推論は届かないようになってるんだから)

まど神『誰かに仮面をとられてもダメだよ。あと、自分が美樹さやかだと名乗るのもダメ』

まど神『パートナーがいなくて困ってるほむらちゃんに、正体明かさずそっと救いの手を差し伸べるくらいがギリギリ』



さやか(やれやれ、なんとまあ、できることは多い割に、実際ままならないもんだ……)

書いてみると思ってた以上に話まとまらんかったので反省する
用意してた無難な展開がどんどん瀕死に追い込まれて行ってるんだけど、これ以上の超展開って何あるんだ

まど神が希望エネルギーの総本山どうのは、本編の円環の理になる前
マミさんが「あなたは希望を叶えるんじゃない。あなた自身が希望になるのよ。私たち、すべての希望に」ってとこから持ってきたつもり

>>506

普通のSSならともかく、、リレーはちゃんと設定を共有しないとみんな明後日の方向に突き進んで収拾つかなくなるんやで


―マミ宅―

杏子「んっ」スリスリ

マミ「っはぁ」スリスリ


杏子「よし、サンキュー。もう大丈夫だ」

マミ「あら、もういいの?」クスクス

杏子「だって、長い間ルミナスするのも禁止なんだろ?」

QB「回数を重ねることに比べれば悪影響は軽微だけど、ゼロじゃない。僕の立場から言わせてもらうなら、長時間のルミナスも控えてほしくはあるね」

杏子「ホラ」

マミ「悪影響がなかったら?」

杏子「えぇっ!? そ、それなら…ずっと、してたい、かな…?」

マミ「うふふ。佐倉さんはルミナスが大好きだものね。一度は私の元を去ろうとしたくせに、翌日にはルミナスしたさに舞い戻ってくるくらいだもの」

杏子「なあっ!? あ、あんただって寂しくて泣いてたじゃんか!!」

マミ「ふふ、そうね。だからお互いさま。結局私たちはいいパートナー同士ってことでいいんじゃない?」

杏子「まあ、そうだな…」

QB「キミたちを繋ぎとめているものはルミナスだってことだね」キュップイ

杏子「ゲンキンな言い方すんなよな…」

マミ「私たちなら例えルミナスのない世界だったとしても、別々になるなんてことにはならないわよ」ドヤッ

杏子「どーだかな」ニコ

マミ「絶対ないわ」

QB「…確認のしようなんてないけどね」


TV「――見滝原市でまた事件です」

マミ「いやねえ、最近多いわ」

杏子「いまのすげえオバサンくさい発言だな」

マミ「ふんっ!」ゴスッ

杏子「ふげっ」

杏子「いてて。…で、ほむらは見つかったのかよ?」

QB「…すまない。どうやら僕たちに探知されないように魔力の波動を抑え込んでいるらしい」

杏子「…なにやってんだよアイツ。まさか変な事件に巻き込まれてるとかじゃねーよな」

マミ「それはないと思うけど…。もう2日もルミナスしていないはずよ。そろそろ肉体的にもガタがきてもおかしくない頃なんだけど」

QB「僕たちが探れないとなると、キミたちが探した方がいいんじゃないかな? こういう場合の人間の行動というのは、合理的とは言い難い直情的なものになりがちだからね。感情のない僕たちでは想像もできないことをしている可能性もある」

杏子「あたし達ももうずいぶん探してるんだけどな」

マミ「暁美さんお気に入りの丘にもいないとなると…ね」

QB「キミたちもお手上げってわけかい」

マミ杏「……」

QB「いずれにせよ、僕たちとしても魔法少女がリタイアするのは避けたい。早急にほむらを見つけ出さないとね」

―公園―
キリカ「織莉子ー? どこなのさー? 丸一日も私を放置するなんてひどいじゃないかー」フラフラ

キリカ「やばいやばいやばいもう限界ルミナスしたいルミナス」ガタガタガタ

「…大丈夫?」

キリカ「ノット大丈夫。ルミナスおくれルミナス」ガタガタガタ

「…いいよ。ほら、頬を出して」

キリカ「ほ、ほんとうかい!? じゃあさっそく」

スズネ「その前に。私はスズネっていうの」

スズネ「ね、あなたの名前…教えて?」

キリカ「私? 私は…」

キリカが答えようとした次の瞬間、スズネはキリカの視界から消えてしまった。
少し間をおいて、ぶぅん、と重苦しい空を裂く音がキリカの鼻先をかすめる。

???「ちぇ、奇襲失敗かぁ」

スズネ「あなた、暗殺にむいてないね。敵意がダダ漏れだったよ」

???「あたしもそう思うよ。まったく、裏仕事なんてあたしの性に合わないんだけどなー」

キリカ「……!」

キリカは一呼吸ののちにようやく理解する。
自分の救世主は、仮面を被った怪しい魔法少女に襲われた。

キリカ「おい」

スズネは、ルミナス欠乏症に陥ったキリカにとっては奇跡の救世主である。
だから彼女は即座に、その救世主を襲った仮面の少女を敵だと認識した。
容易に得られる多幸感は、人間にとって毒である。
本来は、長年の苦労が報われた瞬間―受験戦争、難関な資格の取得―だとか、人生において二、三度味わえれば上々…そんな極上の快楽を、ルミナスはたかが頬ずりで生み出してしまう。

そんなものを年端もゆかぬ少女が連日味わおうものなら、それを依存しきった精神構造に歪んでしまっても仕方がないとしか言えないであろう。
このキリカも例外ではない。
ルミナスを求めるあまり、仮面の少女を親の仇でも見るような目で睨みつけている。
いまの彼女は、ルミナスのためなら人殺しすらいとわないであろう。

人の倫理観すら歪める魔性の快楽。
それもまた、ルミナスの看過することのできない一面であった。

キリカ「……」

殺意というものが視認できるなら、いまのキリカのような表情をしているに違いない。
仮面の少女を視線だけで燃やせるのではないかと思われるほどにキリカの瞳は殺意で煮えたぎっている。
しかしそんなキリカに、仮面の少女は臆することなく堂々と歩み寄る。

キリカ「く、来るなっ! 殺すぞ!!」

キリカのその矛盾した態度は、あるいはキリカが冷静を取り戻しかけている証かもしれない。

???「大丈夫。安心して」

そんなキリカに仮面の少女はなおも大きく手を広げながら近づく。
そして近づかれる度にキリカは混乱とともにではあるが冷静になっていくのである。
それは、その慈愛に満ちた所作の一つひとつがキリカへの関節的なルミナスのようであることに起因する。

???「ほら、怖くない」

やがて仮面の少女はキリカとすれ違うぎりぎりのところで立ち止まり、そうささやく。

???「思い出して。ルミナスはただ快楽を貪る行為じゃない。あんたのパートナーとの魂のコミュニケーションなはずだよ」

キリカ「パートナー…。織莉子…!」

???「ん、もう大丈夫みたいだね。早くあんたのパートナーを見つけてあげな。向こうもきっとあんたを探してる」

キリカ「う、うん! その、ありがとう」

???「いいんだよ。これがあたしの役割だからね」

???(ルミナスはまどかの祈りが生み出した概念だ。すべての魔法少女に笑顔を。その願いはいま、魔法少女たちの歪んだ拠り所になってしまっている)
???(ほんと、ままならないよね。世のためと祈って作ったルールも、こんな思いもしない方向にも作用しちゃうなんて。…なんだかなぁ)


キリカ「織莉子ー!」ダッ

仮面の少女はキリカが夜道を駆け出したのを見送ると、スズネの方に向き直る。

???「意外だね。なんの妨害もしてこないなんて」

スズネ「うん、君たちの寸劇が気になっちゃって」

???「あはは、言ってくれるね」

少しおどけたのち、ふっと仮面の少女の雰囲気が変わる。
それが波及し、周囲の空気も水をうったように凛と張りつめる。

???「…天乃鈴音。あんたは一日に一回きりのはずのルミナスの回数制限を慢性的に破っている」

スズネ「……」

???「それだけじゃない。魔法少女とみるや見境なくルミナスを施している。その末路も知りながら。…そうだね?」

それは裁判における冒頭陳述のような調子で、スズネにとっては不愉快な高慢さであっただろう。

???「いま、この見滝原では嫌な事件が増えている。それは多すぎるルミナスの影響なの。このまま見滝原で変な事件が起こり続ければ、それは大量の魔獣を引き寄せる餌になる。そうなれば、魔獣の大量侵攻が…」

なおも訴え続ける少女に、スズネは少女が先ほどキリカにそうしたように静かに近づいていき――。

???「っ!?」バッ

おもむろに斬りつけた。

その軌道はさきほどまで仮面の少女の白いのど元があった場所をきれいになぞっており、その斬撃が本気で殺す気で放たれたことを物語っている。

???(…斬撃の瞬間まで殺意がまるでなかった! こいつ…)

スズネ「わかった? 奇襲って、こうやるんだよ」

言うなり、再びスズネは少女に接近し始める。

???「やっぱり、こうなっちゃうかぁ。恨まないでよね…!」

戦闘を決意したのか、仮面の少女も青いサーベルを引き抜く。
そしてこれ見よがしにそれをスズネに見せつけると、それをスズネに向けて投擲した。

スズネ「!?」

スズネがそれに反応している隙をついて、仮面の少女はスズネの懐に潜り込むことに成功する。

???「はっ!」

さらに抜刀一閃。
地面に打ちつけるような鋭い踏み込みに、助走の勢いを殺さずに剣に乗せる腰のねじり。

その所作一つひとつもさることながら、その流れるような一連の動きはおそろしく洗練されている。
要するに、その斬撃は見事であった。

スズネ「ぐっ!」

スズネの右耳のすぐそばで火花が散る。
それはスズネがかろうじてその斬撃を受けたために散ったものであるが、仮面の少女の剣は止まらない。

そのままスズネの剣ごと振りぬき、スズネをすっとばす。
自身の剣の腹に殴られたかたちのスズネは、頬骨のあたりから少なくない量の血を流しながら、ぐらつく脳を気力で押しかため、必死に立ちなおした。

スズネ「……っ!」フラフラ

前を向くと、仮面の少女は追撃することもできただろうに、余裕のつもりかその場でつっ立っている。
そして言うのである。

???「わかった? 剣ってのは、こうやって振るんだよ」

仮面の下の口が、得意げに笑うのをスズネは感じ、たまらなく不愉快になった。

スズネ「……」

これまで無表情だったスズネにわずかにではあるが感情が現れる。
それはスズネが本気になった証であろう。
ゆらりと身を揺すり、そして弾かれたように地を蹴ってあっという間に仮面の少女の目前まで迫ってしまった。
刀身は、すでに振り上げられている。

???「うわっ!」

仮面の少女は、正確に急所を狙うその斬撃を紙一重でかわすとカウンターをくらわそうと剣を走らせる。
しかし、スズネはすでにその場から離脱してしまっていた。

???「…やりづらいなぁ」

こと純粋な剣術において、スズネは仮面の少女より確実に劣っている。
しかしスズネの強さは剣術ではなく、暗殺術である。
つまり意表をつく、ということに特化しているのである。
彼女は静から動、また動から静へのシフトが極端に早く、その緩急をつけた動きは体感速度にすると瞬間移動にすら感じられるであろう。
瞬時に懐に潜り込み、急所を斬る。失敗すれば即座に離脱。
そのヒットアンドアウェイこそがスズネの戦闘スタイルである。

???「くっ!」

仮面の少女は防戦を強いられている。
通常、同じ人物と戦い続けるとその人物独特のリズムのようなものが感じられてくる。
それが、このスズネという少女には感じられないのである。
一撃一撃が別人と戦っているようにバラバラのリズムで、まったく読めないとなると無暗に手出しはできないのも当然である。

???(…なら、カウンターは諦めて先制攻撃するしかない)

少女は覚悟を決め、数歩先のスズネを睨む。

???「たあっ!」

そして、地を蹴る。
仮面の少女は自信があった。
要するに戦闘とは、速さと力強さである。

より速く攻め、一撃で倒す。
それが戦闘における理想であり、そして少女はそれを体現できる自信があった。

しかし、少女が想定していたのは剣と剣とがぶつかり合う白兵戦である。
しばらく剣しか重ねていなかったため、自然と思考の柔軟さが奪われてしまっていたのである。

これは魔法少女同士の戦い。
当然お互い超越的な能力を使用できるということを、愚かにも一瞬忘れてしまっていた。

???「ちょっ」

次の瞬間彼女を襲ったのは、燃えたぎる炎の剣である。
突如空中に現れたそれはまっすぐに少女に向かって発射された。

まったく想定外の事態ながら、むりやりに身体を折りたたみゴロゴロと転がることでどうにか回避に成功する。
しかし問題はスズネである。この絶好の好機を逃す彼女ではないだろう。

体勢の整わないままの少女の前には、すでに剣を振りかぶったスズネがいる。

――剣では間に合わない。

少女がとっさにとった行動は、剣よりも軽いものを敵に投げつけること。
この場合、水の入ったペットボトルであった。

スズネ「!? こんなもの」

しかしすでに剣を振れる体勢に入っていたスズネにとっては大したことではない。
ペットボトルを斬り裂き、返す刃で仮面の少女に再度斬りかかる。
その二撃目が繰り出される速さは、当然仮面の少女が立ち直るまでの余裕を与えない。
それを見越して、通常であれば一撃離脱を繰り返すスズネも、今回ばかりは敵の懐に長居をしてしまった。

???「オクタヴィア!」

しかし、スズネは今回も自身の戦闘スタイルを堅守すべきであった。
なんと仮面の少女のその掛け声とともに、ペットボトルの水から巨大な魚の尾ひれが飛び出したのである。
その異常事態をスズネは視界の端で捉えていた。
しかしそれに反応するには、彼女の身体は傾きすぎていた。

スズネ「がっふ…!」

結局スズネはなすすべなくオクタヴィアの尾ひれに弾き飛ばされた。
仮面の少女も一度距離をとって仕切り直したかったのか、その場に叩きつけて近接戦闘を続ける選択肢をあえて切ったようだ。


スズネ「…水の魔法少女か」

彼女たちの固有魔法をからめた、第二ラウンドが始まろうとしていた。
炎の剣と人魚の剣が織りなすアーチのもとで、水の剣と炎の剣が何度も交わる。

もう十何合も叩き合うも、まだ決着はついていない。
絶え間なく弾ける火花の中で、少女たちはなにを思うのか。
一見こう着状態にあるこの戦いにおいて、はたして少女たちの心情は真逆の方向を向いていた。

スズネの心は燃えていた。
より速く。より強く。剣を振るうたびに自身が高まっていくのを感じている。

身体中をめぐる血液が沸騰している。
剣を振る。ただそれだけに自身の存在を研ぎ澄ませていく快感は、ルミナスにも勝る。

振るう。薙ぐ。払う。――楽しい。
自覚すらできていないだろうが、スズネの口角はあがっていた。

対して、仮面の少女の心は冷めていた――というのは、スズネとの対比を意識するあまり的を射ていないだろうか。
より正確には、安堵していた、というところであろう。

相手はルミナスによって節理を乱している。多くの魔法少女を死に――しかも、円環に導かれなかった者も多い――追いやった人物である。
説得できるならよし、そうでないならば――。

頭ではわかってはいるのである。
しかし。

???(殺す。それはつまり、円環の救済すら及ばない、完全な魂の消滅…)

円環の理には、多くの荒んだ魔法少女が導かれてきた。
世の中を恨みきった、魔女へと身を落とす寸前のところなのだから、当然である。

だがそれも最初だけで、まどかをはじめとした多くの慈愛に包まれることで彼女たちは最後には笑顔を取り戻す。
彼女はそれを見るのがたまらなく大好きだった。
これまで身と心を焦がしてまで頑張ってきたすべてが、ようやく報われるのだから。

だから、なるべく多くの魔法少女に救済を与えたい。
それは目の前のスズネにしても同じである。

あの心地よい、よく晴れた休日の朝の布団の中のような――あの世界に、願わくば導かれてほしい。
そんな彼女の優しさが、このこう着状態を喜んでいるのである。

正直、これまでもスズネを殺す機会はあった。
しかし、殺そうとすると彼女の倫理が悲鳴をあげるのである。

そうして殺す機会を逃すと、今度は彼女の理性がじくじくと彼女の弱さを責めたてる。
そんな二律背反が、このこう着状態にあっては存在しない。

だからこそ、彼女は安堵しているのである。
問題を先送りにしていることはわかっている。

???(…どうして心ってやつは、あたしの思い通りになってくれないんだろうなぁ)

彼女は思わざるを得ないのである。

以上です…。
めちゃくちゃ遅れてすみません。
あと微妙なとこで切れちゃったのも…。

なんか下の方の行数制限の分母が160ってなってたんで計800行書けるの!?うひょー!
って思って800ぎりぎりまで書いたら…フタ開けてみたらまさかの1レス80行まで…。

結構削ったんですけど…無念です。

次の方>>537

(鈴音魔法上書きしてるんじゃあ……いや、よそう。俺の勝手な解釈で皆を混乱させたくない)


勝敗の分かれ目とは、時にくだらないことで決定する。
緻密な計算のもと、抜け目なく抜け道をふさいだすえに訪れる美しいまでの詰みもあれば、わずかな油断につけこまれたあっけないほど凡愚な終わりもある。

むしろ多くの勝負は後者なのではないだろうか。
充実した内容から、誰もが納得できるような美しい手筋で得るあざやかな勝利など、しょせん小説の中の話のように思われる。

要するに、この勝負もそうだった。


それは本当にわずかな硬直だった。
ふたりが平常なら、決定打には至らなかっただろう。

スズネが上り調子で普段より優れたパフォーマンスができたこと。
そしてさやかの気の迷い。

そのふたつがうまくかみ合ってしまったのだ。

さやか「――っ!!」

さやかが気づいたときにはもう遅かった。
スズネの剣筋はまっすぐ彼女の首を狙っていて、いまさらどう防ぎようもない。

世界がスローモーションになっていく。
死を目前にして、脳が回転数を増やしているのである。

さやか(遅いよ、まったく…。あと1秒早ければ手の打ちようもあったってのにさ)

彼女の固有魔法は治癒である。
並の傷ならばそう間をおかずに治せるが、致命傷となれば話は違う。

一瞬で回復しなければならない。
それにはばく大な魔力を必要とするが、それがいまの彼女にはないのだ。

さやか(あたしの魔力の上限は、世界にあふれる希望エネルギーに比例する。いまの上限じゃ、とても届かない…)

もはや彼女は、観念するしかなかった。

さやか(ごめん、まどか…。あたしにはムリだったよ…)

スズネの剣が仮面の少女の柔らかい首に食い込んでいく。
ぷつりと剣が皮フを突き破るその瞬間さえ感じ取れるほどに、さやかの世界はゆっくりと時を刻んでいる。

しかし、肝心の身体のほうもスローモーションの世界に置き去りにされているのだ

さやか(まったく、さっさとやってくれた方が楽だってもんなのに。念仏でも唱えればいいのかね?)

もはやさやかは半分自棄になっていた。

その瞬間、それは起こった。
さやかの腹の底から力が湧きあがってきたのだ。


スズネ「……」

返り血を浴びながら、スズネはようやく緊張を解いた。

スズネ(…強かった)

礼のひとつでも言いたかったが、ああものどをザックリと斬られたらもう彼女は生きていないだろう。

スズネ「あ。…名前、聞き忘れた」

そうスズネがぼやきつつ歩みを止めたとき、かちゃりという音がスズネののど元に突きつけられた。

「知りたい? あたしの名前」

その音源は、驚くべきことに死んだはずのさやかの剣だった。
死んだはずの彼女が、なぜか自分のうしろに立って、しかも剣を突き付けているのである。

スズネ「――驚いた。なんで生きてるの?」

さやか「治癒能力があたしの本命だからね。あの程度は致命傷じゃないんだよ」

スズネ「……」

さやか「あんた、ハンターハンターとか読まないの? 戦いってのは勝ったって思った瞬間が一番危ないんだよ?」

スズネ「…まだ勝ってない」

さやか「え?」

スズネ「どうしたの? 私を殺さないの?」

さやか「っ!」

その質問はまるで、さやかの迷いを看破しているかのようだった。

スズネ「言っておくけど、私は生きてる限り私のままだよ。あなたの言うとおりになんかしない」

さらにスズネは挑発する。
それは、どうせ殺せないんだろう? とせせら笑われているに等しい。

さやか「~~~っ!」

スズネ「……」

さやか「うわあああああっ!」ブンッ

もはや、迷うわけにはいかなかった。
良心とともに、スズネの首を、斬った。


スズネ「どう? 人殺しの感触は」

さやか「なっ!?」

しかし、目の前のスズネは剣をすり抜けてしまった。
その数歩後ろにもう一人のスズネがいて、そいつが話しかけてくる。

さやか「…幻覚?」

スズネ「さあ? …ハンターハンターには、こうも書いてなかった? 人にべらべら能力をしゃべるのは馬鹿のすることだって」

さやか「この…!」バッ

さやかが追おうと駆け出した瞬間、スズネの姿は闇に溶けた。


「…あれでも殺せないなら、いまの私じゃあなたを殺せない。いったん退かせてもらうよ」

「…あなたはチャンバラは強かった。でも、殺し合いなら私の方が上だね」

「ばいばい」


闇からいく筋かの声が聞こえたのち、スズネの気配は完全に消え失せた。


「…くそ」

スズネを逃した。
それは彼女の心に暗い影を落とした。

しかし先ほどの戦いで、それ以上に気にかかることができてしまった。

(あの、スズネに斬られる瞬間…。あたしの魔力がはねあがった。そうじゃなかったら死んでた。
 でも…あの爆発的な希望エネルギーの高まり。あれは通常じゃありえない。誰かが、過剰にルミナスをしている)

(でもスズネは目の前にいたし…。見滝原にはスズネ以外にもルミナスを過剰にしている人がいる…?
 …だとしたら。ワルプルギス級の災害を食い止めるためにも、そいつを説得しないと。…もしだめなら)


(……殺すしか)


さやか「……」


―某所―

「ひぎいいい」


ほむら「うふふ。どう? 私もずいぶん上達したと思うんだけど」

織莉子「…ふふ、まだまだ、キリカの方が気持ちいですわ」

ほむら「あら? ならもっと上達しなきゃ」スッ

織莉子「ひぃっ」

ほむら「ほら」スリスリ

織莉子「んほぉお」

ほむら「ほらほらほら」スリスリ

織莉子「あぎっ! ひいいい」

ほむら「ほらほらほらほらほら」スリスリスリ

織莉子「んおおっ! おっお! ~~~~っ!」ビクビク

ほむら「あらあら、ずいぶん気持ちよさそうねぇ」

織莉子「ふん、愛のないルミナスなんてルミナスじゃないわ!」

織莉子「…あなたの目的はなんなの? 私を監禁したかと思えば、ルミナスばかり…。だいたい、ルミナスは一日一回のはずよ」

ほむら「私は、神に会いたいだけなのよ」

織莉子「……?」

ほむら「ま、誰に解ってもらう必要もないわ。あなたはただ私のルミナスによがっていればいいの」

織莉子「……くっ」

ほむら「じゃあね、おやすみ。…明日もよろしくね?」


織莉子「キリカ…! 早く助けにきて…! じゃないと私、堕ちちゃうわ…」ハアハア

以上です
リレーむずいですね…あまり期待されてる展開にできませんでした

次の方>>556

安価上


さやか「……ただいま」

天乃鈴音との交戦を終えたあたしは、まどかに呼ばれて『こっち』側に戻ってきていた。

まど神「……おかえり。さやかちゃん、お疲れさま」

さやか「ゴメン、まどか。あたしまた勝手にやっちゃって……」

まど神「そのことも含めて、お話があるの。向こうで座って待っててくれる?」

さやか「うん」

―――――――――――――――――――――

まど神「はい」コト

さやか(ホットミルク……。神様になってもこういうところはお子様のまんまなんだよね)

さやか(まあ、そこがまどかの可愛いところなんだけど)

まど神「それじゃあまずは、鈴音さんのことからだね」

さやか「えっと……とりあえずは警告しておいたよ」

まど神「うん、ありがとう。全然それだけじゃ済まなかったみたいだけどね」

まどかの目つきが一瞬鋭くなる。

さやか「う……面目ない」

まど神「こっちの力があるからそう負けないとは思うけど、相手も手練れの魔法少女だって話はしてあったよね?」

さやか「はい」

まど神「多少の戦闘は認めるって私も言ったけど、いくらなんでも深追いしすぎでしょ」

さやか「はい」

まど神「しかも戦闘を打ち切ったのは相手の方だったよね?さやかちゃん、最後の方完全に挑発に乗せられて無かったかな?」

さやか「……返す言葉もございません」

まど神「いくら『こっち』の力が使えるからって、絶対に負けない保証はないんだから。無理はしちゃだめだよ」

さやか「以後気をつけます」

まど神「よろしい」

満足げに頷くまどか。

見た目はやっぱり可愛いままだけど、その表情にはちゃんと女神らしい威厳が満ちている。


さやか「それで……次はあたし、何をすればいいのかな」

まど神「うん。まずは天乃鈴音さんの処遇についてだね。これはさやかちゃんも予想してると思うけど……」

さやか「……いよいよ実力行使、ですか」

まど神「最後に警告をして、それでも聞かないようなら鈴音さんを『殺して』」

躊躇いのないまどかの言葉。

『殺して』なんて、あんたが言うようになるとは……。

あたし達が大変な目に遭ってるとき、張本人であるあたし達以上に泣いてばかりいたあんたが……。

さやか「……まどか。あんた、変わったね」

まど神「今の鈴音さんをあのまま生かしておいたら、大量の魔獣が発生する。そうしたらもっと多くの人が犠牲になる」

まど神「今のわたしには……この世界を守る責任があるから」

そう。

あたしの前に居るのは、単なる平凡な女子中学生じゃない。

この世界を見渡し、見守る。

『円環の理』という名の神様であり、概念なのだ。

さやか「ごめん。変なこと言ったね、あたし」

まどかの言っていることは正しい。

正しくないあたしの分まで、正しすぎるくらいに……。

まど神「……」

でも、このままじゃダメだ。

まどかと共にいることを選んだあたしもまどかと同じくらい正しくなきゃいけない。

さやか「それじゃ、行ってくるよ」

まど神「あ……。待って、さやかちゃん!」

さやか「?」

まど神「実は、もうひとつ厄介な問題が出て来てて……」


キリカ「息巻いて飛び出したはいいものの……」

キリカ「織莉子ーーー!!キミはいったいどこにいるんだい!?このままじゃ私の愛は朽ち果ててしまうよーーー!!」

結局、昨日1日かけても織莉子が見つかることは無かった。

今まで、こんなに長い間織莉子が私の前から姿を消すことなんて一度だってありはしなかった。

しかも、連絡すら取れなくなっているなんて……。

いくらなんでも変だ、おかしい。

キリカ「ううう……。魔獣の探知もいつも織莉子に任せきりだった罰が当たったのかなあ?私じゃあ織莉子の魔力も探れやしない……」

prrrr

キリカ「!?」

電話だ。

相手は……。

キリカ「織莉子おおおおおおおおおおおおお!!!心配し……」

織莉子の声を期待して受話口を耳に当てる。

……が、様子がどこかおかしい。

『こんにちは。呉キリカ』

キリカ「だ、誰だ!」

『美国織莉子は預かっているわ』

『キ、キリカぁ……た、助けてぇ……ぁぅ』

キリカ「お前ええっ!織莉子に何をしてる!??」

『うふふ……さあね、ご想像にお任せするわ。……さあ、もっと気持ちよくなりましょう?』

『んああああああっ!!やめて、もぅやめてぇ……』

『あら、ここが良いのかしら?』

『んんっ!!ダメ、そこ弱いのおぉぉっ……!!ああんっ!』

キリカ「お、お、お前……!!絶対に許さないぞ……!!!」

『ああん、だめなのぉ!わらひには……ぁんっ……キリカが、居るのにぃっ……!』

『もっと自分に正直になっていいのよ?この快感に、身をゆだねて……』

『そんにゃぁ、やだぁ……わたしぃ、堕ちちゃうのぉっ……らめぇ……なのにぃっ……!』

『うふふっ。それじゃ、さようなら。この子が堕ちていくのを、精々指を咥えて見ていることね』

pi

キリカ「くっそおおおおおおお!!!あんの悪魔ああああああああ!!!」

キリカ(一体織莉子は何をされているんだ?あんなことか?それともこんなことなのか……!?)

キリカ(私だってそんなことしたことないのに……。なんてうらや……いや、けしからんことなんだっ!!)

キリカ(しかし一方でこのシチュエーションに少なからず興奮を覚えている私もいる。この気持ちは、一体……)

キリカ「ちっがああああああう!!!今私がしなきゃいけないのは織莉子の救出!奪還だあっ!!」

キリカ「でもキミの居場所なんか私には分かりっこないよ、織莉子ぉ……。これじゃああの女の言うとおり指を咥えて見ていることしか……」

キリカ「いや、いっそのことそういう方向に目覚めて新しい私を発見するチャンスなのか……?」

キリカ「ううううううっ……やっぱり私一人じゃ分からないよ。どうすればいいんだい、織莉子……」ブツブツ


pi

ほむら「どうだったかしら?数日ぶりにパートナーの声を聞いた気分は」

織莉子「私を監禁して過剰なまでのルミナスを強要したと思えば……今度はキリカを挑発するような真似をして、いったいどういうつもり?」

ほむら「答えは昨日言ったはずよ。私は目的の為なら手段は選ばない性格なの。あなたには、もっともっと熱く燃え上がるようなルミナスを体験してもらわないと」

織莉子「……馬鹿げてる」

ほむら「でも」スリ

織莉子「ひゃあっ!?」

ほむら「身体は正直よね、美国織莉子?」スリスリ

織莉子「くうっ……!わ、たしは……」

ほむら「あなたのそんな様子を見て、呉キリカはどう思ったかしら?」スリスリスリ

織莉子「そ、それは……っ!」

織莉子(正直なところ、純情なくせに妙に耳年増なキリカのことだから、あらぬ勘違いをしているような気がする……)

ほむら「うふふ」スリスリスリスリ

織莉子「だめ、もう考えられないぃ……」

ほむら「……」スリスリスリスリスリ

ほむら(美国織莉子との”絆”を持っていない私がルミナス指数を稼ぐには、彼女の羞恥心を煽るのが一番)スリスリスリスリスリ

ほむら(彼女のパートナー、呉キリカに知られているという恥ずかしさ、そして背徳感がこのルミナスをより熱いものにしてくれるはず……)スリスリスリスリスリ

ほむら(呉キリカには魔法少女の仲間はいない、探索魔法も使えない)スリスリスリスリスリ

ほむら(こう見えてその辺の対策もばっちり考えてあるわ……さあ!!)スリスリスリスリスリ

ほむら「まどか……!!!早く私のところに来るがいいわ!!!!!」スリスリスリスリスリ


スズネ「……あなた、昨日の」

キリカ「キミは!……悪いけど、今は織莉子を探しているんだ。キミとルミナスすることは出来なくなってしまった」

スズネ「別に、それは良いんだけど……。その話、詳しく聞かせてよ」

キリカ「実は……」


スズネ「なるほど……」

キリカ「はああ、次はきっとビデオレターが届くんだ……。そうしたら私は、どうしたら……」

スズネ「いいよ。手伝ってあげる」

キリカ「私は織莉子のあられもない姿を見ることになって……え?」

スズネ「私も手伝うよ。一緒に探してあげる」

キリカ「キミは……なんて思いやりにあふれた人間なんだ!ありがとう、キミは私の恩人だ!」

スズネ「恩人、か」

スズネ(せいぜい、利用させてもらおうかな)


以上です。

お気に入りのSSの作者さんが何人もいらっしゃったみたいなので、参加できて嬉しかったです!

次、一応安価投げますが誰か拾ってくれますかね……?

>>592

今更だけど作品数だけエントリーできるんだからもっとエントリーしとけばよかったんや
というわけでリセットされてるみたいだし書きます

まどか「さやcarちゃん一緒に帰ろー」さやか「いいよー」ガショーンブオーン
マミ「虚ろな転校生」
さやか「あたしが僕で僕があたしで」

流石に3回も書く気はないけど一応ね

ほむら「さて、次は何をしようかしらね……そろそろ何か起こってもいい頃合いだと思うのに」

織莉子「……神様とやらに本当に会えると思っているの?」

ほむら(過剰なルミナスがもたらす影響も円環の理と接触するための条件もまだ分からない……何か、何かないかしら)

ザッ

ほむら「誰っ!?」

マミ「暁美さん?」

杏子「こんなところで何やってんだよほむら」

ほむら「あらあらこれはまた……よくここが分かったわね」

杏子「分かってたわけじゃねえよ。たまたまこっちの方に魔獣の群れが現れたらしいから向かってただけだ」

マミ「それで、そっちの椅子に縛られてる人は……どなた?」

織莉子「キリカじゃなかった……キリカじゃなかった……」ズーン

マミ「物凄く落ち込んでるみたいだけど、暁美さん彼女に何をしたの?」

ほむら「別に。ただこうやって―――」

マミ杏「――ッ!」

ほむら「一緒にルミナスをしていただけよ」

織莉子「い、いやぁ……こんな姿、誰にも見せたくなかったのに……」

ほむら「ふふふ、でもあなたの体はそうは言ってないみたいよ」

杏子「おい待てよ!なんかそいつ、嫌がってるじゃねえか!」

マミ「ルミナスは心と心が繋がってる相手とじゃなきゃ意味ないのよ!」

ほむら「違うわよ巴さん……絆のない相手とだからこそ、意味があるのよ」

マミ「なにを言ってるの……」

杏子「あいつ、ルミナスしすぎて逆に頭おかしくなっちまったんじゃねえのか?」

織莉子「これ以上辱めを受けるくらいなら、いっそ殺してよ……」

ほむら「違うでしょう。魔法少女なんだから、こう言うべきよ」

ほむら「『私を、導いて』と―――」

キリカ「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいこおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!」

空から女の子が降ってきたという現実を把握するのに、さほど時間はかからなかった。

鬼気迫るをそのまま体現したキリカに圧倒され、ほむらは後ずさってしまった。

キリカ「織莉子大丈夫!?今すぐこの縄を切ってあげるからね!」

織莉子「キリカ……来てくれたのね……」

キリカ「あいつに何かされてない!?あんなことやこんなことされてない!?」

織莉子(やっぱり変な勘違いしてる……)

ほむら「よくここが分かったわね……あなたが見つけられるなんて少し予想外よ」

キリカ「うわーーん怪我がなくてよかったよー織莉子ぉぉぉぉ!!!」

織莉子「ありがとう……どうしてここが分かったの?」

キリカ「愛の波動を感じたからね!」

マミ杏「いやいやいや」

ほむら「……まさか、本当に―――」

鈴音「違うに決まってるでしょ」

ほむら「天乃鈴音…!」

鈴音「彼女は街中を探し回ったのよ。それはもう隅から隅までね」

ほむら「そんな時間があったとは思えないわ!電話してまだ数十分しか経ってないのに」

鈴音「彼女の魔法を知らないの?」

ほむら「まさか――!」

鈴音「彼女は速度低下の魔法をこの街全体にかけたのよ。そして倍以上の速さで探していたというわけ。単純で面倒だけど堅実な方法ね」

ほむら「それができればもっと早く見つけられてもおかしくはなかったはずだけど」

鈴音「そうね。私は提案しただけなんだけど、普通の状態だったならあんな無茶はできないでしょう」

ほむら「……ルミナス不足のせいね」

織莉子「キリカ!ソウルジェムが、真っ黒じゃない!」

キリカ「え、あぁ、まあ、些細だよ」

織莉子「早く浄化しないと!」

鈴音「あんなに大規模に魔法を使ったら、当然そうなるわよね。導かれるのも時間の問題だわ」

ほむら(これはもしかしたらチャンスなのかも……まどかが干渉しにくる可能性があるわ)

杏子「何が何だか全然わからないんだが」

マミ「とりあえず魔獣が近くにいるみたいだからみんなで協力……したいと思ってたんだけど、なんだかそんな感じじゃないわね」

ほむら(そして魔獣の群れ……これも何かに使えるかもしれないわね。ふふふっ、どうやらいい方向に向かってる気がするわ)

その様子を少し離れたところで眺める仮面の少女が一人。

さやか「あららぁ、完全にやばい状況になってるね……」

まど神『大変なんだよ……鈴音さんだけじゃなくてほむらちゃんまであんなことするなんて……」

まど神『おかげでいつもより強力な魔獣がいつもよりたくさん溢れちゃってるんだよ』

さやか「なんでこうも悪いことが重なっちゃうかな……」

まど神『ほむらちゃん、円環の理に干渉するつもりみたい』

さやか「そんなことできると思う?」

まど神『分からないけど、キリカさんが危険な状態だから、このままだと私は干渉せざるを得なくなっちゃうんだよ』

まど神『狙うならその時かも……』

さやか「全く、こじらせすぎでしょあいつ。おかげで爆発しそうな希望エネルギーにその強力な魔獣とやらが引き寄せられて集まってきてるし」

まど神『これは多分、ワルプルギスの夜並か、それ以上の大災厄になるかもしれないね』

さやか「……それ、あたし一人で何とかなるの?」

まど神『……がんばって』

さやか「うぅっ、ほんとに大丈夫かなぁ~、無勉でテストに挑むより危険だと思うんだよねえ」

まど神『まずはどうにかしてほむらちゃん達を止めてほしいんだけど……』

さやか「それもあたしの役割ですかい……一応聞くけど、ほむらも説得に応じなかったら……」

続く言葉をあえて言いたくなかった。
できるならば友人に使いたくない言葉だ。

まどかは何も言わない。

さやか「神様がえこひいきしてもいいわけ?」

まど神『ううん、ごめん……分かってるよ。ごめんね、さやかちゃんばかりに押しつけちゃって……』

さやか「いや、こっちこそごめん。変な聞き方しちゃったね」

さやか「さーて!一丁派手にやりますか!」

まど神『派手にやっちゃ駄目だってば!目立ったりして正体がばれたらもうどうなっちゃうか分かんないんだからね!』

さやか「ごめんごめん、分かってるって」

まど神『特にマミさんと杏子ちゃんには気を付けてね!』

さやか「確かにほむらは記憶が曖昧になってるし、他の人たちとは初対面だから大丈夫そうだけど、あの二人危ないね」

まど神『歪みが歪みで歪みになっちゃうよ!!』

さやか「……なんだかなあ、このインポッシブルなミッションをクリアーできる気がしないんだけど」

まど神『……がんばって!』

さやか「どうしようこの神様あんまり役に立ちそうにないんだけど」

まど神『あくまで魔法少女を導くのが本質だからね』

さやか「希望エネルギー使ってもいい?」

まど神『たくさんあるにはあるんだけど、あんまりよくないかな』

さやか「やっぱこれ無理じゃない!?」

何とかまとめの方向にもっていこうとした結果…「やっぱこれ無理じゃない!?」
鈴音の目的とかがちょっと曖昧なんでスルーしちゃった

>>630

>>950

鈴音「……ふむ」
魔獣の首を切り飛ばし、彼女は周囲を『二』瞬ほど見た。一瞬で把握するには、敵も、仮初めの味方の数も多かったから。

杏子「だぁぁっ!! 今日は厄日だよクソッ!」
マミ「大丈夫、落ち着いて……一匹ずつ片付けていくのよ!」
杏子「いつまでさ!?」
マミ「もちろん、全員……倒れるまでよ――!」
槍の子。鎖も使って広い範囲を攻撃している――火力が足りない。
銃の子。火力も速さも高い基準で纏まっている。強い。でも一番疲れてる。

織莉子「くっ……キリカ、しっかり!」
キリカ「駄目だよ……君まで傷付くのには堪えられない……」
織莉子「私もよ……っ!」
織莉子って人。暁美ほむらのせいで魔力絡みがズタボロのはずなのに、キリカを庇いながら魔獣達の間をすり抜けていっている。
キリカ。魔力が空なのか、動きが鈍いしフラついてる。
そして極め付けの、あの子。きっと彼女は。

鈴音「壊れてる――!」
目前で爆裂した弓矢――魔獣に風穴を開ける――を懸命に躱して、鈴音はそう叫んだ。

ほむら「――ふふ、うふふ……アハハハッ!!」
気でも違ったのかと言わんばかりに、ほむらは暴れていた。鋭く、そしてとても賢しいソレ。
矢の質量も普段とは桁外れに、魔力を注ぎ込んで。放て、突き穿ち、装填し、放つ。片端から消し飛んでいく魔獣、の破片。

ほむら「っ!」
死角から飛び込んで来た魔獣を、後ろに蹴り抜く――人形の魔獣の腹をぶち抜いて両断した。
――上半身が弓を噛んで持っていく。好機を見た魔獣が雪崩かかり――その全てが例外無く細切れと化した。
魔獣の群れの中へと踊り出て、手にした矢は切り裂く為の。覆い被さる魔獣の顎を蹴り上げ――爆ぜる。倒れる魔獣を壁に、薙ぎ払い駆けて――笑う。

ほむら「まどかぁっ! 私はここよ! ここにいるわ!!」

そんな渦中を、留める――剣の雨。魔獣が針鼠と為る、そんな一撃。
――魔法少女達には当たらない。
全員が乱入者を見上げて驚いた。その存在より、その殲滅力に。空を背に立つ姿に。青く靡く外套を翻し。

さやか「(やっぱ無理だわ。戦場が派手なんだから、地味に地道に削ってたら皆が持たない)」
さやか「(バレる前に、終わらせなきゃね)」
抜刀し、ひらひら舞い落ちる。音も無く――崩れていく魔獣。

マミ「誰――?」
杏子「何だか知らねぇが、ありがたいね!」
杏子がその仮面の魔法少女と擦れ違う様に魔獣に突っ込んで――

さやか「――あんまり無茶しちゃダメだよ」
杏子「――お前、何、っ!?」
魔獣の拳を半身で避けて、杏子はそれに斬りかかる。何故か、懐かしかったような――

ほむら「――あの子は」
鈴音「――アイツは」

トーンの違う、二つの声――それから織莉子の悲鳴。
魔獣に捉われ、締め上げられる織莉子。それを見ている事しか出来ない――もう立つことも儘ならないキリカ。

鈴音「――いけない、っ?」
寒気を感じて、本能が『近寄るな』と震え上がる。

キリカ「織莉……子……」
織莉子「だ、大丈夫……貴女は私が守るわ――あぁぁっ!?」
ギシ、と全身の骨が泣き叫んだ。黒く染まる魂が――猛る。

キリカ「オマエ、許されないよ」

戦場をモノクロに染める、キリカの魔力。巨大な爪鎖が、空間を削ぎ落とした。織莉子の体が拘束を失って落ち――キリカの腕の中。

織莉子「けほっ……キリカ?」
キリカ「ああ、私だよ。織莉子――そろそろ限界みたいだ、体が軽い」
織莉子「――ダメよ、動いちゃ!?」

さやか「その力を使っては――っ!?」
切っ先を目先に留めた。魔獣のような野蛮な殺意では無い。

鈴音「……何かを知っているの?」
さやか「――今そんな場合じゃ無いでしょ!」
進んでいくキリカの魔女化。枯れない魔獣。苦戦するマミ、杏子――恍惚とした表情のほむら。

さやか「――――っっ!」
さやか「(ゴメン、まどか! ちょっとだけ使うよ、『力』!)」
鈴音「な……!?」

さやかの体が淡く水色に光る。魔方陣が周囲を青く染めた。

鈴音「……あなた……いったい?」
さやか「――消えろ!」
剣山の如く、地面から突き上がった刃は――魔獣達を全て殲滅した。余りに、圧倒的だった。そうであって、しまった。

――静けさと、激しい呼吸音だけがモノクロの結界の中に響く。一息、さやかは安堵を吐いた。

杏子「やったのか……?」
マミ「みたいね……助かったわ。ところで貴女は――え?」

さやか「か、は――?」
マミはその不思議な乱入者に一言礼を言う序でに詳細を聞こうと向き直って――コツン、と軽い音を耳にした。
さやかの体には、長い楔。突き刺さって腸を抉り――地面に縫い付けられて。

杏子「何だ!? おい、大丈夫かよ!」
ほむら「……何が起きたの」
さやか「こ、れ――まさか……っ!?」

キュゥべえ「ようやく捕捉する事が出来たようだね。『円環の理』を」

ほむら「…………キュゥ、べえ?」

何故ここでキュゥべえが現れるのか、とほむらは想定外の事に白くなった頭で問いかけた。

キュゥべえ「済まないが、目的の為に彼女を拘束させてもらったよ」

さやか「こんな物――えっ?」
状況をマズいと瞬時に判断したさやかは、円環の力を使ってでも強引に抜け出そうとして――その力が一滴も溢れてこない事に気付いた。

キュゥべえ「力を使用できないのかい? 僕たちの遮断フィールドが通用しているのならば、容易く次の段階に進めそうだ」

杏子「これ、キュゥべえがやってんのかよ! コイツはアタシ達を助けてくれた――――助け、て?」

力を失って、隠蔽の仮面が落ちる。
それはかつて、良く見知った顔。

マミ「美樹さん……?」
杏子「さやか!?」
ほむら「美樹、さやか」

さやか「何のつもりよ……っ!」

キュゥべえ「それは研究の為さ。君はどうやら本当に美樹さやかとの同位体のようだね」
キュゥべえ「少し失礼するよ」

キュゥべえはそう告げて、じっとさやかの目を見つめた。
さやかの体から力が抜けて――驚くほど大人しくなる。

鈴音「……さっぱり話に着いていけないのだけれど、説明してくれるの?」

キュゥべえ「そうだね。と言っても、ボクも詳細まで確信を持っている訳じゃあないんだ」

織莉子が崩れ落ちるキリカを抱き抱えた。抱き締めて頬を擦り付けるが、ソウルジェムが癒える様子は無い。

織莉子「どうして……!?」
キュゥべえ「君はルミナスを行い過ぎているようだね。希望エネルギーが定着しづらくなっている」

さやかの体が、一つ跳ねた。

ほむら「――キュゥべえ、あなた、何を……?」

キュゥべえ「円環の理の観測さ。これは僕たちの命題でもあったからね。いつか君が説明してくれた魔女システムの存在、それの足掛かりの為に」

キュゥべえ「君を見失って、僕たちは何度かのエネルギー反応を観測した。それは円環の理によって魔法少女が導かれるソレと似通っていたんだ」

キュゥべえ「一際大きなエネルギー反応があってね。僕は急いでその現場に駆けつけたんだ。そうしたら、鈴音と見覚えの無い魔法少女が戦っていた」

キュゥべえ「今こうやって彼女を『認識』できたからこそ、彼女が美樹さやかだったと分かるけれどね」

キュゥべえ「僕は彼女が円環の理に関係があるのでは無いかと推測した。事実、彼女は鈴音と言うシステムを破綻させかねない存在を排除しようとしていたからね」

キュゥべえ「後はほむら、君がキーだったんだ。君はルミナスを上手く出来なくなってしまった。大抵、そういう魔法少女は遅かれ早かれ導かれる」

キュゥべえ「君の行方は知れなかったが、君もこうして円環の理に接触しようとしていたんだね」

キュゥべえ「手間を省いてくれたのは君自身なんだよ、暁美ほむら」

周囲の空間に目を向けるキュゥべえ。
モノクロが眩しい。

キュゥべえ「……独自の法則に支配された閉鎖空間の形成と外部の犠牲者の誘導捕獲。これこそ、いつか君が説明してくれた、魔女とやらの能力そのものだよね――!」

チクリ、とほむらを一つの仮定が撫でる。

ほむら「観測の為だけに?――あなた、まさか……まどかを、支配するつもり!?」

キュゥべえ「最終的な目的については否定しないよ。まあ道のりは困難だろう。この現象は僕達にとって全くの謎だった。存在すら確認できないものは、手の出しようがないからね」

キュゥべえ「観測さえできれば干渉できる。干渉できるなら、制御もできる」

キュゥべえ「僕達は円環の理を完全に克服するだろう。そうなれば、魔法少女は魔女となり、更なるエネルギーの回収が期待できるようになる。希望と絶望の相転移、その感情から変換されるエネルギーの総量は、予想以上のものだったよ。やっぱり魔法少女は無限の可能性を秘めている。君たちは魔女へと変化することで、その存在を全うするべきだ」

マミ「何を……あなたが何を言っているか分からないわ、キュゥべえ……!?」

キュゥべえ「円環の理の元になったと言う、鹿目まどかとやらも――君が居なければこうも易々僕の前には現れなかっただろう」

キュゥべえ「お手柄だよほむら。君が僕にまどかを与えてくれた」

キュゥべえ「……ふむ、見た目は普通の少女なんだね」

ほむら「――何でそんな事が分かるのよ、デタラメを言わないで!」

キュゥべえ「デタラメなんかじゃないさ。何故なら――」

視点は虚空へと。

「目の前にいるからね。そうだろう?」

まどか「それが、貴方の本質なんだね……インキュベーター」

理の前に突如現れた、黒く泥々としたヒトガタ。
それは、インキュベーターがこの空間に乱入するために取った最も最適な形態だった。

女神のような彼女のドレスには、虫食いのような侵食の痕。
彼女が力を籠めると、ヒトガタは弾け飛ぶ――また甦る。

まどか「――まるで化け物だね……!」
「今のでまた個体が何千か使い物にならなくなってしまったよ」
「だがその度に君の解析は進んでいくよ」
「ほら、もう手が届く」
まどか「あっ……やっ……!?」

ヒトガタが絡み付き、立っているのもやっとな彼女を組み伏せる。
ドロドロとしたその躯が彼女に染み込んで交ざっていく。

まどか「あっ……いや――私の中に入ってこないで……!」
削られて表情の無い顔が、彼女の頬を擦り付ける。
弱々しくもがくが振り払えず、ますます深くへと侵入を許してしまって。
クプリ、と。ダメになる場所まで、侵食と注挿を繰り返す。

まどか「あっ、いや、ダメ、わたしが――わたしじゃなくな、る――あっ、あっあっあっ……!?」

理の躯が静かに跳ねた。

美樹さやかの体が溶けていく。

杏子「さやか!?」

ほむら「――インキュベーター、あなたに――まどかは触らせない!」

ほむらが弓を引き絞り、キュゥべえを貫かんとする。が、それは優しい誰かの手に止められる。

ほむら「誰――っっ!?」

そこには、彼女が酷く焦がれた、あの時の。
愛しい友人の姿。

ほむら「――まどか?」
まどか「…………」

まどか「やあ、ほむら。久しぶりだね」
ほむら「――――!!」

キュゥべえ「触らせない、という表現は変だよ。僕たちは既に彼の概念を掌握しているのだからね」

キュゥべえ「ああ、悪いね。彼女の言語形態を僕たちのままにしていたよ。これで大丈夫かな」

『まどか』がほむらを柔らかく抱き締める。

まどか「ほむらちゃん、久しぶりだね」

ほむら「あ……あ……違う、貴女はまどかじゃない……!」

まどか「もういいんだよ、ほむらちゃん」

女神の姿でそう言って、顔を近付け。
吐息すら感じて、頬が触れ合った。

ほむら「違う、違う! 貴女はまどかじゃない! まどかじゃない、のに……!」

なんでこんなにしあわせなの

ほむら「あ――あ、が……!?」

まどかをみすみす奪われて弄ばれる、絶望。
それなのに上書きされる、強烈な多幸感。
バツン、と生きた回路を切り裂かれるような快楽。ソウルジェムは忙しなく明滅を繰り返し、絶望と幸福を味わい続ける。
強く抱擁され、ほむらの手足は蠢動しながら張りつめる程に。

ほむら「いや、いや――こわい、こわい、あっ、いやだっ、こわい――!」

まどか「大丈夫だよ、ほむらちゃん。私が側にいるよ。ずっと、これからも……」

ほむら「あっ、あっ、うれ、うれしいっ、うれし――」

まどか「頑張った子には、ご褒美が必要だから――だから」

「「おやすみ」」

ほむらの心の糸は切れた。

キュゥべえ「やれやれだ。しかし、これでほむらも大人しくなるだろう」

鈴音「……クズ」
杏子「よく分からねぇ。が、お前が敵だったんだって事はよーく分かったよ」
マミ「さ、佐倉さん!?」

得物をキュゥべえに向ける鈴音と杏子。

キュゥべえ「そんな暇があるのかい?」

キュゥべえ「もうすぐ、孵るよ」

キリカの絶叫が響く。
振り返ったそこには――異形の化け物。

杏子「な、何だありゃあ!?」

キュゥべえ「あれが魔女。君たちが円環の理に導かれなかった場合の成れの果てさ」

マミ「え……?」

串刺しになる織莉子が、どこか遠くの出来事にすら見えた。

鈴音「――! 今、助ける!」

織莉子「――来なくていい!」

鈴音「……!?」

彼女の魔法は未来予知。
もう全て『知ってしまった』のだ。

織莉子「あなたたちでは、キリカには勝てませんわ」

織莉子「後は私が何とか時間を稼ぎますから……逃げて――」

織莉子「――インキュベーターを、滅して下さい」

鈴音「…………」
杏子「……」

二人は、言葉を発する事無く、巴マミの手を取ってその場から走り出した。

マミ「え――逃げるの……!?」

杏子「仕切り直しだよ……状況がさっぱりなんだ!」

鈴音「未知の存在……勝ち目は薄い」

マミ「だからって――暁美さんが!」

ほむらは、かつて望んだ腕の中で――楽しそうな夢でも見ているかの様に微笑んで、眠っていた。

織莉子「死ぬ時は一緒ね……キリ、カ」

織莉子と魔女の周囲に宝玉が浮かび上がり、そのソウルジェムと共に赤熱して――砕けて、結界を爆風が呑み込んだ。
魔女は、共を連れて――絶命する。

いつもの世界へと下り立ち、キュゥべえは一仕事終えた溜め息を吐く。

キュゥべえ「さて、これで制御はできた。後は魔法少女を消耗させるだけだけれど、ルミナスのシステムが邪魔になる」

キュゥべえ「ここを書き換えるのは特に骨が折れそうだ……しばらくかかるだろう」

キュゥべえ「円環の理とやらが、迂闊にも現界してなければと思うと、やれやれと言ったところかな」

キュゥべえ「君たちは、ここに来るべきでは無かったんだよ」

『まどか』は、キュゥべえを肩に乗せて――掻き消えた。
身体も、意識もある。だけれど、行動の自由が無ければ――もうどうにもならない。

全て取り込まれてしまった。
全てを知られてしまった。

キュゥべえ「ほむらに、美樹さやかへの感情を植え付けて操っていた」

キュゥべえ「君も、僕と何ら変わり無い」

キュゥべえ「強いて言うなら、君は全能感に溺れていたんだ」

キュゥべえ「ようこそ、と言うのかな。この場合は。『インキュベーター』」

『まどか』は、頷かされた。

奇跡も魔法も、どこにもないみたいだと感じるだけしか――――

疲れました。意識もぶつ切りになりながら仕上げたので誤字脱字があったら脳内補完して下さい。
遅れて申し訳ないです。

--マミの家--

杏子「畜生! 何がどうなってやがる!」

マミ「魔法少女のソウルジェムが濁りきったら魔女になる世界になった……いえ、あの時のキュゥべえの口ぶりから考えると、そういう世界に戻ったということなのでしょうね」

杏子「そんな事は分かってるんだよ!!」

マミ「……」

杏子「……悪い。でも……あぁもぅ! どうしたらいいんだよ!」

マミ「私達ではどうしようもないわ。……この世界のあるがままを受け入れるしか、ない」

鈴音「……私は帰るわ」

杏子「おい待て。何涼しい顔してぬかしてんだ! 今回の件、あんたの責任でもあるんだぞ!」

鈴音「そうね。それで、ここに私がいたら何か解決するの?」

杏子「……それは……」

鈴音「帰らせてもらうわ。私は今回の件について、後始末が残っているから」

杏子「後始末? どういう意味だ?」

鈴音「……」

鈴音は無言で立ち去った

杏子「だから待てって! ……クソ! 気配を絶って逃げやがった!」

マミ「私が追いかけるわ」

杏子「……完全に気配絶ってるのにどうやって」

マミ「もう先手は打たせてもらった」

杏子「……そのリボン……本当に抜け目ないなぁ、マミは」

マミ「……抜け目だらけよ。……せめて暁美さんの魔女の話を、私達が聞きだしていれば。……キュゥべえにそんな情報を与えなければ……」

杏子「そんなの防ぎようがないだろ。……でも、そうだな。魔女の話をほむらがキュゥべえに……ん?」

マミ「……佐倉さん?」

杏子「……もしも、だ。ほむらが話をした事自体をキュゥべえが忘れてしまえば? そしてキュゥべえと今の円環の理とのつながりを完全に切り離す事が出来るとすれば?」

杏子「……マミ、覚えてるか。随分と前に、あたし達に喧嘩をふっかけてきた魔法少女がいたよな。ほら、あたしとマミとさやかとほむらとでボコボコにしてやった」

マミ「あぁ……そんな事もあったわね。確か、『洗脳』の能力をもった……!?」

杏子「あいつ確か記憶の操作とかもできたよな。……キュゥべえが円環の理に浸食しているとしても、それはキュゥべえが円環の理というものの本質を記憶しているから、そんな状態が維持できるんだ。もし、その記憶が途切れてしまったらどうなる?」

マミ「……キュゥべえと円環の理は切り離され、前の世界に戻せる……? キュゥべえを洗脳するというの? そんな事……」

杏子「不可能かもしれない。でも、試してみる価値はある」

鈴音「……ツバキ」

鈴音の前には異形の化け物が立っていた

QB「遅かったね。スズネ」

------------------------
-------------
-----

鈴音「ツバキ……何で……?」

QB「いつも君を庇って戦って、グリーフキューブもほとんど君に使っていたからね。こうなるのも当然の帰結だ」

鈴音「……でも、それならツバキは円環の理に導かれるはずよ」

QB「それは僕たちが調整しているからね」

QB「僕たちは今、円環の理についての解析を行っているんだ。僕たちが作り出した干渉遮断フィールドでツバキのソウルジェムを包んでいる。既に濁りきったソウルジェムを外からの影響が一切及ばない環境に閉じ込めた時何が起こるか」

QB「ツバキには干渉遮断フィールドのその試作テストを付き合ってもらっているんだ。この干渉遮断フィールドを解除しない限り、ツバキが円環の理に導かれる事は永遠にない」
鈴音「そんな……」

QB「……もっとも。円環の理について解析が完了したら、彼女の存在は不要になる。そうしたらツバキの干渉遮断フィールドを解除してもいい」

鈴音「……あなたの目的は何?」

QB「君に手伝って欲しい事があるんだ。何、簡単なことさ。過剰なルミナスを行い、この世界の摂理を乱してくれればいい。多くの魔法少女を円環の理に導かず、死においやってくれれば申し分ない」

鈴音「……何故、そんな事を」

QB「円環の理の解析に必要な事なんだ。……嫌だというならそれでもいい。まぁ、その場合、ツバキは円環の理に導かれる事なく、永遠に僕の干渉遮断フィールドに閉じ込めておくだけだけどね」

QB「さて、君はどうするんだい?」

鈴音「……」

-----
-------------
------------------------

キュゥべえの企みが何かは分からなかったが、どうせ碌でもない事だとは思っていた
でも……ツバキを助ける為ならどんな事でもしようと考えた
その結果が……この様だ

QB「ありがとう。君のおかげで円環の理の解析は完了した。もうツバキは用済みだから干渉遮断フィールドを解除しておいたよ」

でも、それが意味する事は円環の理に導かれることではなく……

QB「後は君の問題だ。そのツバキであったものをどうするかは、君に任せるよ」

鈴音「……」

やるべき事は分かっている
もう、これ以上誰に迷惑をかける事なく、終わらせる為には

鈴音「……おかえり、ツバキ。そして」

さようなら

鈴音「……後は、私を」

マミ「自殺でもするつもり? これだけ状況をややこしくしておいて、随分と身勝手なことね」

鈴音「……!? 巴マミ……どうしてここに? 気配は完全に消していたはずなのに」

マミ「そうね。あなたの気配の消し方は完璧だった。……その足に結びつけられたリボンがなければね」

鈴音「……リボンを透明化して、私に結んでいたのね。……それで、何? 私の自殺を止めるの? それとも……あなたが私を、殺してくれるの?」

マミ「あなたは後始末と言っていたわよね。でもそれなら、今のやり方では足りない。まだ、やれる事が残っているわ」

マミ「……うまくいけば、キュゥべえを出し抜けるかもしれない。成功する可能性は低そうだけど……」

鈴音「……それに、私も協力しろと?」

マミ「微かでも希望があるのなら、私達は諦めるわけにはいかない。違うかしら?」

鈴音「……わかった。あなたに従うわ。……どうせ終わらせるつもりだった私の命が、ほんの少しでも私がしてきた事への罪滅ぼしになるのなら」

--見滝原の近くのどっかの街--

QB「だからぁ! 魔法少女は魔女になるべきだとぉおお! 思うんですぅううう! ブヒィィィイイ!」

沙々「……」

見慣れない魔獣が出てきたからどういう事か聞くついでに、キュゥべえを魔改造したら何かとんでもない真実を知ってしまった……

沙々「って、全然話が違うじゃないですか! 願い事を叶えてくれて、魔法少女にしてやりたい放題させてくれて、死んでもセカンドライフを円環でエンジョイさせてくれるって話だったじゃないですかぁあ!」

QB「そ、そんな事は言って……」

沙々「うるさい、この白豚」

沙々はキュゥべえを踏みつけた

QB「ブヒィイイイイ! もっと踏んで! もっと踏んでくださいぃぃいいい!!」

沙々「……」

どうする? 魔女になんてなりたくない
いっそキュゥべえ達全員に洗脳をかけて世界を作り変えるか?
でも、このキュゥべえに感情を与えてやったら他のキュゥべえ達のネットワークから遮断されてしまったし……

沙々「クソが! どうしてくれるんだこの豚野郎!!」フミ!フミ!フミ!

QB「最高! 超最高ぅううう!」

杏子「……何やってんだ。あんたは」

沙々「……ヒ! あ、あなたは、さ、佐倉、杏子」

沙々「……ま、まさか私をいびりに来たわけじゃないですよね。まだあなた達に散々ボコボコにされた傷が癒えてないんですよぉ……。お、お優しい杏子さんはボロボロの私をさらに追い打ちしたりしませんよね? ね?」

杏子「しねぇよ。……てかめっちゃピンピンしてるように見えるんだけど」

沙々「か、体はピンピンでも精神的にボロボロなんです! あの後じゃぁ新人の方から片づけるかと思って織莉キリに挑んだらさらにボコボコに叩きのめされましたし……」

杏子「おいコラ。そんな話しらねぇぞ……って違う違う。その、な。あんたに頼みたい事があって来たんだ」

沙々「杏子さんが、私に頼みごとですか?」

杏子「……頼む! あんたの力を貸してくれ!!」

沙々「……!?」

沙々「成程……大体状況は把握しました」

……あれ? 織莉子とキリカが死に、さやかとほむらは動けない
鈴音は見滝原には関係ないわけで、実質見滝原にはマミと杏子しかいない
つまり見滝原を乗っ取るなら今が好機なのでは……?

沙々「……なんて。新人コンビにやられた私がベテラン二人を相手にして勝てるわけない。無理無理。流石の私も学習するって話です」

杏子「何言ってるんだよ……まぁいっけどさ。それで、キュゥべえの洗脳……可能そうか?」

沙々「普通にやったらまず無理です。でも……」

沙々「例えば、暁美ほむら。彼女は現在キュゥべえに厳重に監視されてるはずです。そこに狙いをつけて大量のキュゥべえ達を一斉に洗脳してやれば奴らのネットワークを遮断させるより早くこっちの魔法でキュゥべえ全体を洗脳する事は可能かもしれない」

沙々「例えば、美樹さやか。概念の洗脳なんて普通は無理ですが、数匹のキュゥべえを乗っ取って遮断フィールドを解除し、美樹さやかを経由して円環の理へ接続、そこから一体化しているキュゥべえを洗脳すれば、この方法でもキュゥべえ全体の洗脳は可能かもしれない」

杏子「……できるってことか!?」

沙々「かもしれないって話です。実際やってみたら無理かもしれませんし……」

杏子「それでも……希望がないよりはよっぽどいい」

沙々「……」

これっていろいろチャンスなのでは?
うまくやれば世界を私の都合がいいようにいろいろ改竄する事ができる
ということは、今まで以上に好き勝手やる事が可能になるわけで……

杏子「……妙な事考えんなよ」

沙々「……! ……何か、おかしくないですか。私に苦労させるだけさせて、あなた達はなーんにもしないなんて」

杏子「勿論あたし達も協力する。もしさやかやほむらに近づく必要があるなら全力でフォローするし……」

沙々「当然です! 私単騎特攻じゃ死亡確定じゃないですか! そういう意味ではなくて……見返りの話ですよ」

杏子「……見滝原ならくれてやる。何とかマミも説得して……」

沙々「あ、それおいしいですね。って話でもなく……何かこう、せ・い・い が足りなくないですか?」

杏子「誠意? ……あたしは何をすれば……」

沙々「そうですねぇ。まずは土下座して『優木沙々様、今まですいませんでした』と言うぐらい……」

杏子「優木沙々様、今まですいませんでしたー!!」ドゲザー

沙々「え!? そ、そんなにあっさり!? プライドとかないんですかあなた!」

杏子「そんなものはマミと喧嘩したのにルミナスしたくて翌日に帰った時に捨てた!」

沙々「む……なら……痛むんですよねぇ、あなた達と戦った時の傷が。ほら、私の足の指の辺り、ちょっとなめて癒してくれませんかぁ?」

杏子「足の指をなめればいいんだな!」

沙々「ほ、本気でやろうとしないでください! はぁあ……もういいです」

いずれにしても、これからの私の快適ライフをおくる為にはこの人達の力に頼る必要はあるし、幸い利害も一致しているようだし

沙々「……仕方ありません」

杏子「そ、それじゃぁ」

沙々「いいですよ。この優木沙々がただのドクズではないところを見せてあげます」

以上
このタイミングでの新キャラ登場すまぬ
でも、現状打開策がこれぐらいしか思いつかなかった……

次、>>682

沙々にゃんはドクズかわいい

お久しぶりです
どうもこのルールでのリレーはムリなようですので、残念ながらこのスレはHTML化したいと思います

ですがせめていまの作品を完結させてからにしたいので、どなたか書いてくださる方いらっしゃいましたらお願いします
僕もあと一回エントリーできるので、微力ながら繋ぎはできるかと思います

3~4人を目安に募集いたします
今回は安価なしで集まり次第レス順に回していきましょう

とりあえず言いだしっぺですし僕がエントリーしておきますね

ほむら「アルバイトしたいわ」杏子「そうだなー」
ほむら「アルバイトやめるわ」杏子「それがいいよ」
ほむら「新しいバイトしたいのに杏子が行方不明だわ」

あと3~4人程度募集です!


杏子「おーい、マミーっ!」

マミ「佐倉さん…と、優木さん!」

鈴音「来てくれたんだ」

沙々「…私は別にあんたらのために来たわけでも、まして円環の理とやらのために来たわけでもないです」

マミ「ええ、知ってるわ」

沙々「……」イラッ

杏子「よしじゃあさっそく作戦会gマミ「待って」

杏子「なんだよ」

マミ「ねえ…冷静に考えてみて? 相手はあのQBなのよ? 彼らにとって私たちは原始人も同じ。…勝てるわけないわ」

杏子「はあ!? なに言って…」

鈴音「そうだよ。それに円環に導かれようが魔女になろうが、私たちが消え去ることには変わりない。両者にそこまでの差ってあるのかな」

杏子「お前らどうしちまったんだよ!? なんでそんな…」

激昂した杏子が諦念にかられたようなふたりに飛び掛かろうとした時、しかし彼女は気づいた。
マミはその言葉とは矛盾して不敵に笑っている。

その表情だけで杏子は察することができた。
マミは、諦めていない。

そしてマミはそれが伝わったことを杏子の態度から確認すると、一枚の紙きれを杏子に手渡した。
そこにはこうある。

マミ『天乃さんと相談したんだけど、これからQBへの対策は筆談でしましょう』

杏子「……」

杏子はそれを一瞥し、マミの小奇麗な文字とは対照的な、粗暴な文字で返答する。

杏子『かんし対さくか』

その杏子が寄こした漢字が一文字しかない文面に吹き出しながらも、マミはうなずく。

おそらくQBはマミ達を監視しているだろう。
感情がないという彼らの特性上、油断など決してするはずがない。
わずかなリスクでも取り除くべく動いてくるはずだ。

しかしその監視方法自体は、近辺に個体を忍ばせての諜報というひどく原始的なものによるだろうことも、付き合いの長いマミは知っている。
となればとるべき行動はひとつ。
表面上は諦めた体を装いつつ、ひそかに準備をすすめ、一気に連中の虚をついてしまうという電撃作戦である。


紙面上の会議は、続く。

マミ『で、この作戦のキモである優木さんの洗脳能力だけど。なにか制限とか、穴があったら教えてちょうだい』

沙々『制限は私より優れた人にしか使えないこと。デメリットは特にないですね。洗脳は脳に偽りの記憶を上書きしちゃうんで、解けることはないです』

沙々(なーんて。ホントは切っ掛けさえあれば解けちゃう程度の軽い洗脳なんですけどね。ここで軽く見られちゃあお終いですよ)

鈴音『なるほど。じゃあきみがQBより劣ってるかどうかだけが問題だね』

杏子『そこはもんだいねーだろ』

沙々「おい!!!!」ガタッ

杏子「ん、やるの?」ニヤニヤ

沙々「…いえ、なにも」

マミ「あらあら、もう仲よくなったのね」クスクス

沙々「どこがですか!!? 目ン玉腐ってやがりますね!!」

ここで皆ひとしきり笑いあい、

マミ『あと最後に、作戦に関することはテレパシー禁止ね。あれはQB経由だから』

杏子『りょーかい』

と、筆談は締めくくられ、そして魔法少女たちは力強く頷きあった。
程良い緊張感が共有され、自分たちが魔法少女たちの希望を取り戻すのだ、という陶酔感が絶妙に心地よい。

少女たちは、団結した。


…ただひとり、優木沙々を除いて。

沙々(なーんですかぁ? この気持ち悪いノリは。こーゆー自分に酔っちゃってる系の人って嫌いなんですよねぇ)

少女たちの団結感は、優木沙々のひねくれた性根を刺激した。
3人の熱気と反比例して冷めていく自分を感じながら、沙々は思う。

沙々(…ま。円環サマがいないと不都合なのには変わりないですし、それまでは協力してやりますけど)

そこからは、別だ。

沙々(この街をくれるって約束も怪しいです。危機さえ去れば、連中は私をどうとでもたためる)

強者には、その権限がある。少なくとも沙々が同じ立場ならそうする。
連中が欲しているのは沙々の洗脳能力であり、沙々本人ではない。

沙々(となれば、勝負はQBを洗脳するまで。それまでに連中をどうにかできる『力』を手に入れる)

あてがないわけではなかった。
…魔女。かつて存在していたらしいその概念は、沙々に希望をもたらした。

沙々(魔獣は自我がないから操れなかったけど、魔女なら違う。きっと操れる)

沙々「ひ、ひひ…!」

笑いがこらえられない。

沙々(現れてくださいよぉ、連中なんか木端微塵にできる、超ド級の魔女さぁん…!!)


沙々「ふひひ…!」

マミ「優木さん?」

沙々「ひゃいっ!?」

杏子「大丈夫かよ? 変な笑い出てたけど…」

マミ「ひょっとして、ルミナス不足じゃないの? 天乃さん、ルミナスしてあげて」

鈴音「うん。ほら、やるよ」

沙々「ちょ、ちょっ! 大丈夫ですよ私は…っ! あっ、あっ、気持ちいい…!!」

鈴音に強引にルミナスされ、その抗いがたい快楽に沙々はすぐに溺れてしまった。
…マミの意味ありげな笑みにも気づかずに。



マミ『どう? コピーできた?』

ルミナスを終えた鈴音にマミは筆談で問いかける。

鈴音『うん。ばっちり』

マミ『ありがとう。…どうも、優木さんは信用できないわ』

鈴音『私もそう思う。いざとなったら、処分しよう』

マミ『ええ。でも、基本は優木さんにやらせましょう。魔法の制約的に、彼女の方が洗脳できる範囲が広いわ』

鈴音『了解』


鈴音「……」

鈴音(処分、か)

以上です
沙々のキャラクターをあまり知らないので、違和感あったら申し訳ないです…

書きます!
なかなか進まなくて苦戦している状態ですが、今日明日中には投下します!


そこはまるで、別世界のような巨大な部屋だった。

その真ん中に、人がひとり入って余りあるほどの大きなカプセルが設置されている。

カプセルの内部は怪しげな液体で満たされており、外部は無数のコードで覆われている。

『神様』が居座るにはあまりにも狭過ぎる独房の中で、円環の理は虚ろな目を開いていた。

キュゥべえ「やはり、そう簡単にシステムに手を加えることは許されないようだね」

彼女を見上げる一体のインキュベーターが呟いた。

その周囲を数十、数百の彼の同胞が忙しなく行き交っている。

すべて、円環の理の力を解析し、管理し、制御し、行使するために配備された個体である。

キュゥべえ「確かに、円環の理とて万能ではない。無理に世界の理に干渉しようとすれば上手く行かないのも道理ではある。……けれど、それだけじゃない」

インキュベーターが円環の理を見上げた。

相変わらず、その赤い目からは一切の感情が読み取れない。

キュゥべえ(鹿目まどかの強靭な意思が、無意識レベルで僕達の干渉を妨げている……。まったく、感情エネルギーというのは本当に底が知れない)

キュゥべえ(身体の自由も力の制御もすべて奪われながら、それでも抵抗を続けようとするその姿勢、流石は『すべての魔法少女の希望』というところかな)

キュゥべえ(でも、方法が無いわけじゃない)

キュゥべえ(毒を以て毒を制すという言葉があるように、感情に起因する力なら、感情を利用することで簡単に抑えられることもある。そして、長い間人類と付き合ってきた僕達ならば、その程度のことは造作もない)



キュゥべえ「鹿目まどか。話があるんだ」

まどか『……??』

カプセルの中の少女がその顔をゆっくりと上げる。

円環の理の虚ろな目が正面のインキュベーターを捉えた。


キュゥべえ「僕達は君を手に入れることに成功した。その肉体も、力もね」

まどか『……』

力なく項垂れるまどかをよそに、インキュベーターは言葉を続ける。

キュゥべえ「しかし、それを思うがままに行使できるかというと話は別だ。実際、今の僕達はルミナスのシステムに手を加えることも、魔女という概念に干渉することも出来ないままでいる」

キュゥべえ「勿論、戦闘における力は規格外のものだ。これが神と呼ぶにふさわしい力であるかは、別にしておくとしても……」

まどか『……』

キュゥべえ「話が逸れたね」

なかなか本題に入ろうとしないことが気に障ったのか、まどかはそっぽを向いた。

そんな彼女の機嫌を伺うようにキュゥべえが話を元に戻す。

キュゥべえ「身体の制御はこちらの手の内にあるにも関わらず意識を遮断できないと言うのは、僕達には興味深い、しかしながら厄介な現象だ。何せ、いくら肉体の自由を奪ったところで、僕達の制御に対する君の抵抗は続くわけだからね」

キュゥべえ「そこで、君と取引がしたい」

まどか『……』

まどかの視線が再びインキュベーターに注がれた。

キュゥべえ「今すぐにシステムに手を加えるのは困難だ。しかし僕達を脅かす魔法少女は早めに排除しておきたい」

キュゥべえ(まあ、向こうの個体からの報告を信じる限り、彼女達が今すぐ僕達に手を出すようなことは無さそうだけれど。それでも、保険を掛けるに越したことは無い)

キュゥべえ「鹿目まどか。君の力を使えば、君に導かれた魔法少女を魔女としてこの世に再び呼び戻すことが出来るんじゃないのかい?」

まどか『……!』

何も映そうとしなかった円環の理の瞳に、今ようやく驚愕と恐怖の色が刻まれた。

キュゥべえ「何もすべての魔女を呼び戻そうだなんてことは考えていない。そんなことをしたら、この世界の均衡すら危うくなってしまいかねないからね」

キュゥべえ「たった1体の魔女でいい。それをこちらに寄越すんだ」

まどか『……』

キュゥべえ「条件は、これさ」

インキュベーターの前に不気味なモニターが現れた。


さやか「……」

ほむら「……」

モニターが映しているのは、それぞれ別室で横たわっている美樹さやかと暁美ほむらの姿だった。

まどか『っ!!』

キュゥべえ「どちらも意識は無いが、命に別状は無いよ。ただし、君の返答次第では保証しかねるけれど」

まどか『……っ』

驚愕と恐怖の色を纏っていたまどかの瞳が新たな色で塗りつぶされてゆく。

焦り、怒り、絶望……。

そして、そんな変化をインキュベーターが見逃すはずも無かった。

キュゥべえ「君に与えられる時間は今から20秒間。……残念だけど、それを過ぎても反応が無い場合には2人のソウルジェムを割ることになる」

まどか『っ!!』

口に出さずとも、お互い十分に理解していた。

こんな卑劣なものは、取引なんかじゃない。

勿論契約でも無い。

ただの『脅迫』だ。



まどか『……』

インキュベーターは嘘を吐かない。

翻せば、彼の策略に乗ることでさやかとほむらの安全は保証されるということでもある。

選択の余地など、あるはずが無かった。

キュゥべえ「……」

しかし、この時のまどかは考えもしなかった。

インキュベーターが魔女を呼び戻した先に、何を見ているか。

キュゥべえ(魔女から回収できるエネルギーは、元になった魔法少女の因果の量で決まる。円環の理のシステムが機能しなくなった今、概念といえども安泰じゃない。魔女へとその身を堕とすことも十分に考えられる)

キュゥべえ(勿論君ほどの精神力を持つ少女がそう簡単に絶望するとは思っていないけれど……。君が魔女になった暁には、一体どれほどのエネルギーが手に入れられるのかな?)

キュゥべえ(ねぇ、鹿目まどか)


キュゥべえ「……きゅっぷい。それじゃ、交渉は成立だ」


―――

杏子『そうしたらあとはあいつらがどこにいるかだな』

筆談会議はなおも続いていた。

この戦いを長引かせてはいけない。

そんな予感が、沙々を含めた全員に共通していたからである。

鈴音『恐らくはそれなりに大規模な行動拠点を持っているはず』

マミ『どうして?』

鈴音『円環の理の力に手を出すのなら、それなりの装置が必要になるだろうから』

鈴音(そう……。ツバキの時の干渉遮断フィールドがそうだったように)

マミ「なるほど、そ」

思わずマミが声を出したときだった。

轟音が響き、空が割れた。

沙々「っ!!?何ですかァ、あれェ!?」

沙々が指差した先には、上下反転して高らかに笑う魔女の姿があった。

杏子「何だ、あいつは……」

マミ「あれも、魔女……!?」

鈴音「……」



???「キャーッハッハッハッハッハッハッ!!!」



最凶最悪の舞台が幕を開けた。

結構やりたい放題やってしまったかもです……。
後続さんどうにかお願いします。。。

5レス制限なのに1レスに1行だけって贅沢な感じで良いですよね。

投下します

沙々「くふ……くふふふふふ!!」

まさか超ド級の魔女が自分から操られにくるなんて。ついているなんてレベルじゃない!

マミ「優木さん!」

沙々「分かってますよ! それでは魔女さん。私の支配下についてもらいます! まずはこの魔女の情報を……と。……ふーん。『ワルプルギスの夜』その性質は……え? あれ? これって」

舞台装置の魔女(通称・ワルプルギスの夜)。その性質は無力。 回り続ける愚者の象徴。……優木沙々より愚かで、無力。つまり、この魔女は、私には

沙々「……やべぇ。ドジった」

ワルプルギスの夜の炎が沙々に襲いかかり……

鈴音「危ない!!」

間一髪鈴音が沙々を背負い、ワルプルギスの夜の攻撃を回避した

杏子「くらえ!!」

佐倉杏子は無数の槍を召喚し、ワルプルギスの夜に向けて投げつける。ワルプルギスの夜は遠くに弾き飛ばされたが……

ワルプルギスの夜「アハ。アハハハハ!」

杏子「ノーダメージかよ……」
----------------------
鈴音は沙々を背負ったまま杏子達と合流した

鈴音「……沙々、大丈夫?」

沙々「は、早く離れてください!! ていうか私に近寄らないで!!」

鈴音「え?」

沙々「い、いいから! 早く。私が抑えきれなくなる前に!!」

鈴音「……」

そういえば、私は魔法少女殺しなんて言われていたんだっけ。『例え初めての相手でも極上の幸福感を与え、私とのルミナスの事しか考えられなくなる』……つまり

鈴音「……ひょっとして私に惚れちゃった……とか?」

沙々「~~!!」

マミ「まぁ今はそういう事は置いといて……佐倉さん、天乃さん、優木さん。何とかしてこの魔女を倒し」

杏子「いや、この状況なら……プランYで行かないか?」

マミ「え? でもあれは……」

沙々「……理論の再構築に少し時間がかかりますが……こいつを洗脳させる事は可能です。……多分。ていうかこんなに強いのに私より優れていないわけがない! 深い洗脳を狙って性質そのものに触れたから失敗してしまったけれど、次こそは確実にやりますよ!」

杏子「あたしがその時間を稼ぐ。マミと鈴音はさやか達の救出に行ってくれ!!」

マミ「で、でも。美樹さん達の位置が分からないと……」

沙々「紙に書いておきましたよ。美樹さやか達の場所はここです」

沙々は即興で書いた地図をマミに手渡した

マミ「……今の一瞬でどうやってこんなものを」

沙々「この魔女……ワルプルギスの夜は円環の理と繋がっていましたので、そこから場所を割り出しました。さぁ、ここは私と杏子さんに任せて!」

マミ「天乃さん……行きましょう」

鈴音「……二人とも、死なないで」
----------------------
沙々「さぁ杏子さん! しっかり私を守ってくださいよ!!」

杏子「任せときな。あたしのとっておきを見せてやる」

沙々「とっておき……?」

杏子「いくぜ! ロッソファンタズマ!!」

沙々「……ひどいネーミングセンスですね」

沙々と杏子の大量の分身が発生した。ワルプルギスの夜はそれらを見境なく攻撃していくが、本物には辿りつかない。それどころか分身はどんどん増えていく為、ワルプルギスの夜の対応が追いつかない

杏子「時間稼ぎには最適だろ?」

沙々「成程。相手の思考に干渉し、あたかも分身しているように見せかけているんですね。……でも、そんな事できるなら、あいつを洗脳する事もでるんじゃないんですか?」

杏子「雑魚ならなんとかできるが、あのクラスにそれは無理だ」

沙々「ふーん。便利なようで不便ですねぇ」

杏子「うっせぇ。……マミ、鈴音。うまくやってくれよ」
----------------------
マミ「予想はしていたとはいえ……」

鈴音「ワルプルギスの夜の使い魔に、あれは……魔法少女?」

QB『鹿目まどかの記憶の中に人造魔法少女精製技術があったからね。僕なりに利用させてもらったよ』

マミ「……天乃さん、ここは下がってて。もし優木さんが失敗したら、あなたの力が最後の切り札になる。ここは魔力を温存するのよ」

鈴音「……わかった」

QB『マミ、君一人で戦うというのは得策とは思えないね』

マミ「……そういえば、あなたとは佐倉さんと出会って以来ほとんど一緒に戦っていなかったわね。……いいわ。今の私の力見せてあげる」

マミ「ボンバルダメント!」

マミの放った砲撃がワルプルギスの夜の使い魔と人造魔法少女達を一撃で薙ぎ払った

鈴音「……すごい。巴マミ。噂には聞いていたけどここまで圧倒的なんて」

QB『……成程。これは計算外だ。少しこちらも調整が必要なようだね』

鈴音「!?」

ワルプルギスの夜の使い魔と人造魔法少女が再び現れる。だが、その数は先ほどとは比較にならない

鈴音「……5倍、いえ10倍はいる。マミ、やはりここは私が援護を……」

マミ「魔力を節約していきたかったけど、やっぱりそういうわけにはいかないようね」

鈴音「え?」

マミ「天乃さんはそこにいて。……下手をすれば巻き込みかねないから」

マミ「ティロフィナーレ・グランデ!」

ボンバルダメントをさらに凌駕したティロ・フィナーレの最終形。その力は数を増した使い魔や人造魔法少女達をもものともしない

鈴音「!」

QB『……どうやら本格的に戦力を集中させる必要がありそうだ。しかしまさか君がここまで強くなっているなんて……昔の君を知っているだけに感慨深いね』

マミ「感情のないあなたが何を言っているのかしら。……さぁ、私のグリーフキューブが切れるのが早いか、あなたの手駒がなくなるのが早いか。根競べといかせてもらうわよ」
----------------------
杏子「マミ達うまくやってるかな」

沙々「そんな事を気にしている余裕があったらしっかり私を……」

杏子「分かってるっつーの! まぁこっちに来ている使い魔が減ってるってことはうまくやれてるんだろうな」

マミ達はさやか達を助ける為に先に行った。でもそれは陽動で本命は……

杏子「!?」

ワルプルギスの夜の炎が杏子の作り出した分身を一閃する

杏子「分身を全部潰しにきたか。……まぁそうくるわな」

沙々「杏子さん!」

杏子「結界発動!」

杏子は槍を張り巡らした結界で沙々を守る。だが沙々に魔力を割いた分、自分の守りが手薄になり……

杏子「っぐ!!」

ワルプルギスの夜の炎が杏子に襲いかかる。杏子は槍を回転させてそれを防ぐも、完全には守り切れない

沙々「杏子さん!」

杏子「あたしの事はいい! そっちは!?」

沙々「……えぇ。ありがとうございました。もらった時間はもう充分。さぁて今度こそ私の支配下にはいってもらいますよ。ワルプルギスの夜さん!」

ワルプルギスの夜の洗脳。これによりこちら側の戦力は一気に増すがそれ以上に

沙々「さぁワルプルギスの夜を経由して、『鹿目まどか』を狙わせていただきますか!!」

ワルプルギスの夜は円環の理から力を得てこの世界に現存している。ならば、それを伝えば円環の理の洗脳が可能……!

QB『やっぱり本命はそちらだったんだね』

沙々「!?」

QB『君達に優木沙々がついた時点で洗脳というカードを切ってくる事はよんでいたからね。干渉遮断フィールドを強化しておいたよ。これで鹿目まどかに直接触れるか、干渉遮断フィールドを作り出している装置を破壊するかしない限り、彼女へのアクセスは出来ない。……チェックメイトだ』
----------------------
マミ「……」

QB『さて、君達の作戦は失敗した。まぁ即席の作戦にしてはよくやったと思うよ。それで、これからどうするつもりだい?』

マミ「……ティロ・フィナーレグランデ!!」

QB『まだ戦うつもりかい? まぁ僕達もワルプルギスの夜を奪われたわけだし、君達が総動員して戦えば或いは僕達を突破する事は出来るかもしれない。……魔力が永遠に続くという前提なら、だけどね』

マミ「……それでも、私は諦めない。魔力が尽きるまで戦ってみせる」

鈴音「マミ……」

QB『負けると分かっていてまだ戦うのかい? まったく君達の考えは理解できない……』

さやか『ところが、そうでもないんだよねぇ!』

QB『!?』
----------------------
QB『美樹さやか。……君は確かに、僕達の作り出した干渉遮断フィールドに捕われていたはず』

さやか『そうだね、少なくともついさっきまではそうだった』

QB『ならばどうやって……』

なぎさ『それは私が説明するのです!』

QB『……君は!?』

なぎさ『キュゥべえはまどかを甘く見すぎなのですよ。……木を隠すならチーズの中、まどかがワルプルギスの夜を召喚した時、使い魔達の中になぎさも混ざっていたのです。ワルプルギスの夜自体の魔力が巨大だけに、使い魔一匹一匹まで目が回らなかったみたいですが』

さやか『……チーズじゃぁ、木を隠せないんじゃない?』

なぎさ『そんな、些細な事はいいのです。後は簡単、キュゥべえの目がマミ達の方に向いている間に、どさくさに紛れてさやかとほむらを私が救出したのですよ』

QB『……まさか、これを狙っていたのかい? 巴マミ』

マミ「……美樹さん達がこのまま終わるとは思っていなかったし、恐らく逆転の手を打ってくると思ってはいたわ。……望みの薄い賭けではあったけれど。さて、形勢逆転ね。……どうするの? あなたの行動拠点の内側で戦っている美樹さん達に今から力を割いてしまえば、今度は私達からの守りが手薄になると思うけど」
----------------------
さやか「……これでマミさんに向けられた戦力を少しはこっちに誘導できるはず。それにしても……干渉遮断装置、結構数が多いね」

ほむら「泣き言を言わないで。ほら、どんどん破壊するわよ」

さやか「ほむらさん、やる気満々ですなぁ」

ほむら「……みんなに迷惑をかけてしまったし。これだけで償いになるとは思っていないけれど」

さやか「……それはあたしも一緒だよ。キュゥべえの言う通り、迂闊にあたし達が限界してしまった事がかえってみんなの足を引きずる結果になってしまった。……もっとみんなを信じられれば、こんな事にはならなかった。それに……ほむら。故意ではなかったとはいえ、あんたにあたしの記憶を呼び起こさせてしまった」

ほむら「……え? あれってあなたが狙ってやったわけではなかったの?」

さやか「そういう事があるというのは知っていたんだけど……ルミナスに関してはあたし達も完全に把握しているわけではないんだよ。……ルミナス値が関係していたりするのかも。ちょっと頑張りすぎちゃったのかな」

ほむら「……でも、あなたと一緒にすごした記憶。……悪くはなかった」

さやか「……くぅぅ! ほむらは優しいなぁ! よし、あたしの嫁二号に……」

ほむら「それは遠慮させてもらうわ」

さやか「……むぅ」

ほむら「……さやか。この戦いに勝ったとして、あなたはどうするの?」

さやか「それは……円環の理に帰るよ。これ以上みんなに迷惑をかけるわけにもいかないしね」

ほむら「……」

さやか「そんな悲しそうな顔しないでよ。大丈夫、円環で待ってるから。……よし! やっぱりほむらが円環に導かれたら、あたしの嫁二号に認定して……」

ほむら「円環に行ったらまどかがいるから、あなたは用済みよ」

さやか「……ぐぅ」

ほむら「……さて、これが最後の装置ね」

さやか「じゃぁ、二人で仲良くいきますか」

ほむら「えぇ! マジカル……」

さやか「スクワルタ……!」

なぎさ「なぎさキィィィック!!」

なぎさの飛び蹴りでまどかを捕らえていた最後の干渉遮断装置は破壊された

さやほむ「……」

なぎさ「私もいるのに、二人だけの世界に入らないで欲しいのです!」

さやか「あ……うん。何かごめん」

ほむら「さて、これで干渉遮断フィールドは全て破壊したけど……」

さやか達を取り囲むキュゥべえ製魔法少女軍団。
その数、数千を超える

さやか「いやぁ、あたし達は無事帰れるのかねぇ……」

なぎさ「まどかを救出してきたのです! ……って何ですかこれは!?」

さやか「なぎさ! ほむら! 特攻するよ!!」
----------------------
さやか「……なーんて作戦で行ったら今頃あたし達は生きていなかったでしょうなぁ」

杏子「あたしの分身で誤魔化せる時間なんて限られてるけどな」

鈴音「みんな、無事でよかった」

さやか「……ねぇ、杏子」

杏子「なんだよ」

さやか「……ただいま」

杏子「……どうせすぐにまたいなくなっちまう癖に……おかえり、さやか」

さやか「えへへ……」

ほむら「いちゃいちゃしてるところ悪いんだけど。……時間もないんだから早くすませましょう。……さっき杏子から聞いた作戦なら、鈴音の力を使ってまどかに干渉するんでしょう?」

さやか「……あ、ひょっとして嫉妬? 大丈夫あたしの嫁2号は」

ほむら「うるさい」

なぎさ「そういえば、優木沙々はどうしたんですか?」

杏子「あいつはマミのところにおいてきたよ。あいつの力はともかく、ワルプルギスの夜の力があれば、マミも魔力を節約しながら戦えるしな」

なぎさ「……そうですか」

鈴音「じゃぁ、鹿目まどか……いい?」

まどか「……うん。お願い」
----------------------
QB『ねぇマミ。君の目から見て僕達は何か間違った事をしていたのかな。その辺がどうにも僕には理解できないのだけれど』

マミ「……別にあなたのしようとした事は間違いではなかったと思うわ。ただ、それが私達魔法少女にとっては不利益であっただけの事だもの」

QB『うーん。やっぱり理解できないなぁ。長い目で見れば君達にとっても有意義なはずなのに』

マミ「また一緒に魔獣退治をしましょう? 魔女よりは効率が悪いとはいえ、この方法ならあなたにとっても私達にとってもマイナスにはならないわ」

QB『……ところで、優木沙々は? さっきから姿が見えないようだけれど』

マミ「……何突然。優木沙々って……誰?」

QB『……』
----------------------
鈴音「……キュゥべえの記憶の消去が完了したよ」

さやか「やったぁ! いやぁいろいろあったけどみんなお疲れ様!!」

なぎさ「まったくなぎさまで駆り出されて、大変だったのです。この借りはチーズ百個はないとすまされないのです」

さやか「チーズぐらいいくらでも奢るよ! ……杏子とほむらが」

杏ほむ「おい!」

さやか「冗談冗談。……あれ? 鈴音、何してるの?」

まどか「……すずねちゃん?」

鈴音「……ごめん。円環の理に直接干渉できる機会なんて今しかない。だから……」

少し、世界を改変させてもらう!

さやか「……鈴音! あんたは!!」
----------------------

--???--

鈴音「……宇宙が作り替わっていく」

沙々「まさかあなたまで出し抜くつもりだったとは思いませんでしたよ」

鈴音「……!? 優木、沙々……?」

沙々「折角魔力を消費しすぎて疲労していた巴マミを出し抜き、ワルプルギスの夜から鹿目まどかに干渉して、これでやっと私の好き勝手な世界が作れると思っていたのに……うまくはいかないものです。あなたも私と同じ能力だったという事ですか? でもそれでは最初から私を仲間にした意味もないはず……」

鈴音「……私はルミナスをした相手の能力をコピーする事ができるの」

沙々「……成程。私は見事にはめられていたわけですか」

鈴音「それで、あなたは世界をどうするつもり?」

沙々「くふふ、人に聞くならまず自分から話すのが道理。……あなたこそこの世界をどうするつもりだったんですか?」

鈴音「……今回の騒動で死んでしまった人を全部蘇らせる。ツバキも、私が利用した魔法少女達も、キリカも、織莉子も、みんな」

沙々「……馬鹿ですか。そんなの全部成し遂げる前にあなたのソウルジェムが砕け散りますよ」

鈴音「……私の命なんてどうでもいい」

沙々「とんだ甘ちゃんですね、まったく……仕方ありません。力を貸しますよ。二人で魔力消費を分けて二人分のグリーフキューブを使えば、まぁなんとかなるでしょう」

鈴音「!? ……好きになった子には優しくするタイプ?」

沙々「……あなたとルミナスをした時に、いろいろ見えたんですよ。あなたは幾人もの魔法少女達を利用し、殺し……実は私も似たような事をやっていたんですよ。仲間を洗脳し、ルミナスをして捨てる。その繰り返し。……けれど、私はそのまま外道に堕ち、あなたはそれでも希望を捨てなかった。……見てみたいんですよ。あなたのその希望が絶望に変わる様を。魔力切れで終わらせるなんてもったいない。本当の意味でのあなたの絶望を見てみたい」

鈴音「……撤回。好きになった子にもドクズなんだね。沙々は」

沙々「それが私のアイデンティティですから。……では」

鈴音「ちょっと待って。……実は他にもいろいろやりたい事があって……」

沙々「……私とあなたの魔力の上限をしっかり考えて決めてくださいね。……では改めて」

新しい世界を、作り上げよう

以上
徹夜明けでテンション辛い。もう寝ます。おやすみなさい

中沢「やあ」

ほむら「中沢くん素敵」

まどか「中沢くん素敵」

さやか「中沢くん素敵」

マミ「中沢くん素敵」

杏子「中沢くん素敵」

なぎさ「中沢くん素敵」

和子「中沢くん素敵」

色とりどり様々な花が植わったお花畑
ほむらにはとても見覚えのある光景だった。これは

ほむら「まどかと頬ずり……もとい、ルミナスをした場所?」

まどか「そうだよ。ほむらちゃん」

ほむら「……まどか!? 何故ここに!? というかその前に何で私たちはここにいるの?」

まどか「ここはわたしの作り出した精神世界のようなものだから」

そう言いながらまどかは少し得意気に微笑んだ。それは最初に会った頃のまどかのようで、とても懐かしくて

ほむら「……ふふふ」

自然と笑みが込み上げる

まどか「ほむらちゃん。なんで笑うの? あ、ひょっとしてわたしの癖っ毛が……」

ほむら「違うわ。……こうしてあなたと二人で話をする事が懐かしくて。その、つい」

まどか「それでなんで笑うの……」

まどかが膨れっ面になった。それがおかしくて

ほむら「ふふ……あはは」

私は笑いだしてしまった

まどか「もぅ……」
------------------------------------------
ほむら「……まどかに謝らなければならない」

まどか「今笑ったこと?」

ほむら「いえ、それではなくて。……ごめんなさい、まどか。私はあなたに会いたくてとても愚かな事をしてしまった。ルミナスを過剰に繰り返し、この世界のバランスを壊して、今の事態を引き起こしてしまった。あなたが守ろうとした世界を私が壊してしまった」

まどか「……それは、わたしも同じだよ。わたしは自分の力を過信して世界に干渉を繰り返し、そこをキュゥべえに狙われちゃったんだから。……わたしたちが世界に干渉しちゃいけなかったんだ」

ほむら「それは違うわ。あなたが干渉しなければルミナスは成立できない。私や鈴音のようにキュゥべえから情報を引き出し過度のルミナスを繰り返し世界を破滅させようとする愚か者は過去も、そして未来も後を絶たなかったはずよ」

まどか「その、ルミナスの事も謝らないとだよね。だって多分このルミナスシステムが産まれたの、わたしのせいだから」

ほむら「……」

まどか「ほむらちゃんと頬を摺り寄せあうの、わたしも大好きだったんだ。それが世界を作り替える時に影響を与えて……こんな事になっちゃったんだと思う」

ほむら「……まぁ、正直予想はしていたわ。でも、これって私にみんなと頑張ってっていう私に送ってくれた激励のメッセージ兼ね贈り物かもと思ってた」

まどか「それは……うん。こういう世界に作り替わった時ほむらちゃんや、みんなが喜べる世界になると思ってそのままにして」

それが過去にも未来にも大きな歪みを産み、最悪の事態を引き起こした
最早弁解のしようもない

まどか「ごめんね、ほむらちゃん。わたし、みんなの希望になれなかった」

ほむら「……魔法少女システムを改変したのもあなたよ。ルミナスだって私たちがよりよく使えれば、こんな事にならなかった」

私のような、バカがいさえしなければ、ルミナスが正しく運用できていれば、まどかの手を煩わせる事はなかった

ほむら「だから、ごめんなさい」

まどか「うぅん、わたしこそ」

ほむら「いや、だから私が……」

まどか「違うよ。わたしが……」

ほむら「……ストップ。このままではきりがないわ」

まどか「そうだよね。ごめ」

ほむら「ストップ」

まどか「……うん」

ほむら「……鈴音と沙々はどんな世界を作ろうとしているのかしらね」

まどか「ほむらちゃん。それは分かるよ」

ほむら「……そうなの?」

いや、それもそうか。だってあの二人はまどかに干渉をしているのだから、まどかが知らないはずがない

まどか「鈴音ちゃんと沙々ちゃんはね……」
------------------------------------------
ほむら「……また、随分思い切った事をするのね。あの二人は」

まどか「でもね。あの二人の力だけじゃ、とてもあんな大がかりな事は出来ない」

ほむら「そうなの?」

まどか「うん。魔力が足りない。……このままじゃ、諦めるしかないよ」

ほむら「……そう」

まどか「でもね。一つだけ可能にする方法があるんだ」

ほむら「……その方法は?」

まどか「それなんだけど……その、わたしとルミナスして欲しいなって」

ほむら「!? な、なんでそんな話に!?」

まどか「通常魔法少女は発生した希望エネルギーのごく一部を享受して、残りは拡散させてしまっている……って話はキュゥべえから聞いたよね」

まどか「でも、この空間ならその拡散したエネルギーをまとめる事ができるの。……ほむらちゃんとわたしのルミナスによって発生した力を利用すれば……鈴音ちゃんや沙々ちゃんのやろうとしてる事も成功する」

ほむら「そ、そういう事なのね……でも、その、心の準備が」

まどか「あ、ここ時間の概念ないから、いくらでも待つよ」

ほむら「やる事は確定なの!?」

まどか「……その、本当はね。ずっとほむらちゃんとルミナスをしたいと思ってたんだ。ほむらちゃんが、良ければ、だけど」

ほむら「……キュゥべえと同化したあなたとは、したわよ」

まどか「あれはカウントしたくないよ……。ダメ、かな」

ほむらはまどかに頬を摺り寄せた

まどか「あ……」

ほむら「ダメなわけ、ないじゃない」

ほむら「……ルミナス、しましょう?」

まどか「……うん」
------------------------------------------
それから、数日のような、数秒のような、そんな時間が流れた
といってもこの空間に時間の概念は存在しないが

ほむら「……流石に、疲れた、わ……」

まどか「そ、そうだね。……でも、これで鈴音ちゃんと沙々ちゃんは大丈夫、なはず……」

ほむら「……途中からそれ、忘れていたわ」

まどか「……実は、わたしも……神様失格だよ……」

ほむら「……」

そういえば、まどかも概念であると同時に魔法少女なわけで
ルミナスが必要なのはまどかも例外ではないのでは?

ほむら「まどか。その……普段、ルミナスはどうしてたの?」

まどか「え? それは……さやかちゃんとか、なぎさちゃんとか……後は他の子を導く時に、やむをえない理由があった場合は少しだけ……」

ほむら「……まどかの浮気者」

まどか「……言い返せないけど、ほむらちゃんも大概だよね……」

ほむら「そうね。ルミナス以上に……私は罪を犯しすぎた」

まどか「……ほむらちゃん?」

ほむら「まどかとルミナス出来て本当に良かったわ。……このままだと、本当にここから出られなくなってしまうから。もう行くわ」

まどか「……ほむら、ちゃん」

ほむら「何、まどか」

まどか「その……ほむらちゃん、そんなに頑張らなくていいんだよ。別にこのままほむらちゃんを円環に導いて」

ほむら「まどか。私は多くの罪を犯したわ。それにまどかの為にこの世界を守ると決意したのに、何もしていない。……今のままじゃ、私が私自身を許せないわ」

まどか「……そう。……わたしがほむらちゃんとずっと一緒にいたいからといっても?」

ほむら「それは、少し揺れるわね。……でもごめんなさい。もう決めた事だから」

まどか「……」

ほむら「今度こそ私はこの世界を守る為に、戦い続ける」
------------------------------------------
織莉子「……そういう道を選んだのね」

私はインキュベーターを滅してほしいと願った。でも、あの子達はインキュベーターとの共存の道を選んだ

キリカ「それにしてもあのさささがねぇ……。恋をすると人って変わるものだね」

織莉子「あなたも恋をして、変わったの?」

キリカ「織莉子。恋と愛は違う。まぁ変わったていう意味なら正解だけど」

QB「何の話をしているんだい?」

織莉子「何の話でもないわ。ただ、今はもうなくなった世界の事を思っていただけ」

QB「? わけがわからないよ」

キリカ「しろまるにはもう関わり合いのない話さ。まぁそれはそれとして、織莉子、ルミナスしよう!」

織莉子「……何か、ものすごく久しぶりな気がするわね」

私とキリカはルミナスを行う。
あふれ出る多幸感。それ自体は今までと違わない。ただ、変わっているのは

QB「うん。織莉子、キリカ。流石のルミナス指数だね。僕たちのノルマ到達にも大きく貢献した」

ルミナスによって外界に溢れる希望のエネルギー
以前は悪影響でしかなかったものが、今はその九割がインキュベーターの集めるエネルギーに変換できるものになっていた
強大な魔獣や意思を持たない無差別な魔法、そういったリスクが大幅に軽減された
ただ一割は変換不可能。ではそれはどうなっているかというと

QB「では僕は余ったエネルギーを他のルミナスが足りない魔法少女に分け与えてくるよ」

そういうと、インキュベーターは立ち去っていった
残り一割はルミナスが満足に行えない魔法少女への救済処置
ルミナスの希望のエネルギーが得られにくい状況にいるような依然として存在している。そういった魔法少女へ希望のエネルギーを分け与える事が可能になったのだ
無論それで解決できない事もあるが……

織莉子「ないよりはましといったところかしらね」

キリカ「ところで、織莉子。……気付いた?」

織莉子「えぇ、勿論」

希望のエネルギーが得られる量は、ルミナスの必要値分しか得られなくなっているようだ
ルミナスが不要な状態では少量、ルミナスが必要な状況では大量に得られるという風に
そして

織莉子「ルミナスに対する依存率が減っている」

キリカ「ルミナス依存症回避なんだろうね。……まぁ、うん。私もそれでかなりおかしくなってるから、やらなきゃいけないものなんだろうけど」

織莉子「……少し不満?」

キリカ「本音を言えば少し。依存しているからの多幸感というものもあったわけだし。……まぁ文句を言える立場じゃないし、足りない分は愛で補うさ。ルミナスも愛も無限に有限だ」

織莉子「そうね」

全てが解決されているわけではないだろうし、またインキュベーターが良からぬ事を考える事もあるのだろうけど

織莉子「これからも頑張りましょう。……世界を救済する為に」

キリカ「うん、そうだね」

私達のやる事に変わりはない
------------------------------------------
なぎさ「ふぅ。一時はどうなるかと思ったのです」

さやか「本当に。……鈴音、そういう事やるなら最初から言ってよ……」

鈴音「ごめん。でも成功するかもわからなかったし……」

沙々「この人は自分の命と引き換えで何とかするつもりだったみたいですよ。本当に自分に酔っちゃってる人はどうしようもないですね」

杏子「ならなんであんたは力を貸したんだよ」

沙々「そ、それは……まぁ、あれ、です」

ほむら「愛よ」

沙々「いちいちしゃべらないでください!」

マミ「さて……約束は守らないといけないわね」

沙々「約束?」

マミ「見滝原をあなたに明け渡す。……もう親戚と話はつけたし、私は別の街に引っ越し……」

沙々「あ、それなしで」

マミ「……!?」

沙々「私は鈴音さんと一緒に行動することにしましたから。見滝原とかもうどうでもいいです」

鈴音「その、そういう事になった、みたいで」

マミ「え? えぇと、でももう親戚に……」

ほむら「……あなたのミスね。最後まで状況を見てから行動しないとダメよ」

杏子「まったくだ。昔から抜けてんなぁマミは」

なぎさ「マミはせっかちなのです」

さやか「マミさん。……ドンマイ!」

マミ「え? ……えー」

マミ「うー……」

杏子「そんなに落ち込むなよマミ……。それよりさやか、なぎさ。あんたらはこれからどうするんだ」

さやか「いやーまさか復活できるとは思ってなかったからねー。……あたしは残るよ。みんなと一緒に。ほむらのルミナス相手はやっぱあたししかいないという事が何かいろんな意味で判明しちゃったしね」

ほむら「私にはまどかが」

さやか「ほむらがまどかを思っているように、あたしがあんたを全力で思うから。それに、さ。まどかの事を最初から最後までしっかり覚えてる人、もう一人ぐらいいた方が心強いでしょ。あたしがほむらの鞘になる。そう決めたんだ」

ほむら「……私の武器、弓だから鞘なんていらないわ」

さやか「細かい事突っ込まない! ま、あんたの事はまどかにもお願いされたからね。今回みたく暴走しないようにしっかり見守ってあげるよ!」

ほむら「……あなただって上条君問題でいつ暴走するかわからないじゃない」

さやか「!? なななんで恭介がそこで出てくるのさ!」

ほむら「……私もあなたの鞘になる必要があるんじゃないかしらね」

さやか「……むぅ」

杏子「お前ら、仲いいなぁ、本当に」

マミ「本当に羨ましいわね」

さやか「杏子! マミさんまで……」
------------------------------------------
杏子「それで、なぎさは?」

なぎさ「なぎさは世界を適当にまわってチーズを食べまくって適当にソウルジェムを濁らせてまどかの所に帰るのです。さやかがいなくなってまどかは寂しいだろうから、その穴埋めをするのです」

さやか「なぎさ……ごめんね」

なぎさ「でもその前に……マミ」

マミ「?」

なぎさ「これからする事はただの自己満足なのです。この世界ではなぎさとマミはまったく関わり合いもないですし、言われても意味が分からない事は分かっているのですよ。でも、それでも言わせてください」

なぎさ「……マミ。本当に、ごめんなさい。いろんな世界でなぎさはいっぱいマミに取り返しのつかない事をしてしまいました」

さやか「……なぎさ」

マミ「……」

マミは無言でなぎさを抱きしめた

なぎさ「ま、マミ!?」

マミ「あなたがどんな事を抱えてきたのかは分からない。でも、それでもあなたが私の事を思ってくれていた事は伝わったわ。ありがとう、なぎさちゃん」

なぎさ「マミ……マミぃ!」

マミ「ほらほら泣かないの。かわいい顔が台無しよ」

なぎさ「泣いてない! 泣いてないのです! ……あと、その、最後に、ルミナスしたいのです」

マミ「いいわよ。さあ頬を出して」

杏子「……何かすごい犯罪臭が……」

さやか「あんたがそれを言うかねぇ……」

杏子「な、なんだよ!?」

さやか「別にー」

沙々「さーて。で、これからどうするんです? 鈴音さん」

鈴音「ツバキに会う。そして……カガリとマツリに会う。あんな悲惨な世界、絶対に再現させない」

沙々「あーそういえば何か円環の理様につながった時、何かいろいろ見せられましたもんねぇ」

鈴音「……沙々は? 私以上に悲惨な結末を迎えてたけど」

沙々「私のあれはどーでもいいです。この世界ではありえないですし、まぁやりたい放題やってのあれですから、いっそ清々しい人生だったと思いましたよ」

鈴音「……沙々はなんていうか、たくましいね」

沙々「たくましかったらもっと別の結末がいろいろあった気がするんですがねぇ。私はこれからの鈴音さんの人生が楽しみですよ。ガンガン絶望して私を楽しませてくださいね」

鈴音「……そして、いじわるだよね」

ともあれ、変わったこの世界。少しは良くできたのか、逆に悪くなってしまったのか
私のやった事は消える事はないけれど
それでも、やれる事はやっていこう

沙々「本当に、甘ちゃんばかりで虫唾が走りますねぇ」

鈴音「沙々。そういう事言わない。みんな、いろいろ迷惑をかけてごめん。いろんな人に迷惑をかけてしまった分も含めて、これから私は罪を償っていこうと思う」

沙々「世界が変わろうが、やった事が消えるわけでもありませんしね。私は欠片も後悔していませんが」

杏子「沙々おいこら。また襲ってきたら今度は容赦しねぇぞ」

沙々「や、やだなぁ杏子さん。そんな事しませんよ。……多分」

マミ「……また、会えるかしらね」

鈴音「何かあったらかけつけるよ。……一応、電話番号の交換を……」

沙々(ほんっと気持ち悪い)

でも、まぁ、こういうのも、少し、悪くないかも

沙々「……何か私も気持ち悪いですね。変わってしまって事なんですかね。あーもう」
------------------------------------------
沙々「さーて。で、これからどうするんです? 鈴音さん」

鈴音「ツバキに会う。そして……カガリとマツリに会う。あんな悲惨な世界、絶対に再現させない」

沙々「あーそういえば何か円環の理様につながった時、何かいろいろ見せられましたもんねぇ」

鈴音「……沙々は? 私以上に悲惨な結末を迎えてたけど」

沙々「私のあれはどーでもいいです。この世界ではありえないですし、まぁやりたい放題やってのあれですから、いっそ清々しい人生だったと思いましたよ」

鈴音「……沙々はなんていうか、たくましいね」

沙々「たくましかったらもっと別の結末がいろいろあった気がするんですがねぇ。私はこれからの鈴音さんの人生が楽しみですよ。ガンガン絶望して私を楽しませてくださいね」

鈴音「……そして、いじわるだよね」

ともあれ、変わったこの世界。少しは良くできたのか、逆に悪くなってしまったのか
私のやった事は消える事はないけれど
それでも、やれる事はやっていこう

てな終わり方でいかがでしょうか
先週間に合わなかったすまん

後何か書き込む時に配分ミスってレスオーバーしてるけど、詰めれば400行以内に収まるということで許して

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom