【ごちうさ】チノ「お母さんみたいな人」 (35)

チノ「ココアさんが帰省してしまいました」

チノ「リゼさんも旅行中で、お店も今日明日はお休みです」

チノ「せっかくですし一日ボトルシップを……」

チノ「……なんとなくそれを寂しいと思うのは、ココアさんの影響でしょうか」

チノ「父は昨日も遅くまで仕事でしたし、まだ寝てますよね」

チノ「どこかへ遊びに行きましょう」

ティッピー(チノも活動的になって……ちょっと感激じゃ)

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千夜「あっ、チノちゃん。いらっしゃーい」

チノ「こんにちは、千夜さん」

千夜「今日は一人なの?」

チノ「ココアさんは帰省してしまいまして」

チノ「リゼさんとマヤさんは旅行、メグさんは実家へと、みんなどこかへ行ってしまいました…」

千夜「あら、シャロちゃんもご両親に久しぶりに会いに行っていていないのよ」

千夜「まあ、お盆のこの時期なら仕方ないわよね」

千夜「そういうことならゆっくりしていって。今日はお客さんも少ないから」

青山「過ごしやすいですー」ノホホン

千夜「それで、ご注文は何にする?」

チノ「ではこのエターナルフォースブリザードを」

千夜「はーい。すぐにお持ちするわね」

千夜「お待たせしました。エターナルフォースブリザードよ。ゆっくり食べないと頭が死ぬから気をつけて」

チノ「これは……ものすごいカキ氷です! カラフルな氷の上にアイスとさくらんぼが乗っています…」フオォ…

チノ「いただきます」モクモク

千夜「あ、そんなに勢い良く食べると……」

チノ「……!  ――――!!」キーン

千夜「あらあら。大丈夫、チノちゃん?」ナデナデ

チノ「ん……大丈夫です。収まってきました。ありがとうございます」

千夜「いえいえ」

チノ(……なんだか撫でられた時、心が安らぐような感じが…)

千夜「そういえば、チノちゃんはどこか旅行に行ったりしないの? 実家に帰ったり」

チノ「……父方の祖父母は、どちらももう…(祖父は兎になりましたが)」

チノ「母方のほうは、そもそも会った記憶が私にはありません。不仲なのかはよく知りませんが」

千夜「そう……ごめんなさい、こんなこと聞いて」

チノ「いえ、良いんです。遠くまで行きたいとも思いませんし、……あまり父に迷惑も、かけたくありませんから」

チノ「母がいなくなってから、一人(と一匹)で私を育ててくれたんです。わがままは言えません」

千夜「チノちゃん……!」

千夜「ねえチノちゃん。チノちゃんのお店も今は休みなの?」

チノ「はい。夜はやっていますが、昼は明日までお休みです」

千夜「じゃあ、家に泊まりに来てみない?」

チノ「そ、そんな……ご迷惑じゃ」

千夜「大丈夫よ。ココアちゃんもいないのに、お父さんはお仕事があるんでしょう?」

千夜「一人家で寂しそうにしているチノちゃんを想像したら私、いてもたってもいられないわ!」

チノ「いえ、ココアさんが来る前はいつものことでしたし、別に寂しくなんて」

千夜「でも今日は、寂しいからうちに来てくれたんじゃないの?」

千夜「ココアちゃんよく言ってるわよ。お休みになるとチノちゃんは家にこもりたがるって」

チノ「んぅ……でも……」

青山「遠慮はしなくても良いんじゃないでしょうか」

チノ「青山さん」

青山「千夜さん、今日はちょっと元気が無いんですよ」

青山「きっと、シャロさんがご両親の元を訪れていて、寂しいのだと思います」

青山「なのでそれはお互いのためになるのではないかと」

青山「それに、友達の家にお泊り、というのも、案外良い経験になると思いますよ」

青山「私もしてみたかったー」ボソッ

チノ「千夜さん、そうなんですか」

千夜「んー……ちょっと恥ずかしいけど、そんなところかしら」

チノ「では、父に行って良いか聞いてきます。……今日はその、よ、宜しくお願いします」

千夜「こちらこそー。四時くらいには上がれるから、その頃に来てね」


青山「トモ、ダチ……アァ……」ビクンビクン

チノ「お父さん、千夜さんの家にお泊りしたいんですが、良いでしょうか」

タカヒロ「ああ、向こうの方に失礼のないようにね」

チノ「わかりました。明日の夕方には帰ってきます」

タカヒロ「……チノ、すまないな。せっかく休みをあげたのに、急な予約が入って…」

タカヒロ「今度、ちゃんと休暇をとって、ココアくんも連れてどこかへ出かけようか」

チノ「いえ、大丈夫です。あまり遠くへ行きたいとも思いませんから…」

チノ「ちょっと準備してきます」


タカヒロ「……チノは、良い子になりすぎてしまったかな」

ティッピー「もう少し、わがままを言っても良い年頃なのにのう。お陰で安心して送り出せるが」

タカヒロ「でも、お泊りか……チノがそんなこと言うのは初めてだ」

ティッピー「ココアの影響じゃろう。…前より、年相応の顔つきになったわい」

チノ「すいません」

千夜「あらチノちゃん。来てくれたのね。ちょっと待ってて、そろそろ上がるから」

チノ(今日はここに泊まるんだ……ちゃんとできるかな……)ドキドキ

千夜「お待たせー。…どうしたのチノちゃん、緊張してるの?」

チノ「そ、そんなことは」

千夜「大丈夫よ。チノちゃん良い子だから、緊張する必要なんか何もないわ」ヨシヨシ

チノ「んぅ……」

チノ(なんでしょうこの気持ち……ココアさん相手なら子ども扱いしないでくださいって、拒絶できるのに)

チノ(胸のあたりがふわふわします)

千夜「これからどうしましょう……まだお風呂や晩御飯には早いし」

チノ「……」キョロキョロ

千夜「何か面白いものはあったかしら」

チノ「いえ、千夜さんの部屋、和風でとても良いと思います」

チノ「あ、この本……アルバム? す、すいません勝手に」

千夜「良いの良いの。前、ココアちゃんが来た時もそれに気づいて手に取っていたわ」

チノ「これ……シャロさんと千夜さんの昔の写真ですか」

千夜「ええ。シャロちゃんとは中学までずっと同じだったから、一緒に写ってる写真も多いでしょう」

チノ「…………」

チノ(小学校の卒業式の時点で、既に私より胸があるなんて……!)

チノ「千夜さん、胸ってどうしたら大きくなるんでしょう」

千夜「胸? そうね……健康な生活をしてれば、自然と大きくなるんじゃないかしら」

チノ「私は大きくなる気がしません。健康に生活しているつもりなのに」

千夜「うーん……シャロちゃんといたずらで触りあっても、大きくなったのは私だけだったし」

千夜「そもそも、小さくても可愛くて良いと私は思うけど」

チノ「そうでしょうか……背も胸も、大きいほうが良い気がします」

千夜「男の人なんかはそうかもしれないわねー」

チノ「千夜さんは、恋人とかできたことあるんですか」

千夜「私? ないわ」

チノ「意外です。千夜さんは人気がありそうなのに」

千夜「告白されたことはあるけれど……みんな断っちゃった」

千夜「あんまり、そういう関係になる気も無かったし」

チノ「な、なんか大人っぽいです……」

千夜「そんなことないわ。私だってまだ高校生だもの。色々足りなくて、失敗も多いの」

チノ「やっぱり大人っぽいです……憧れます」

千夜「チノちゃんの憧れはシャロちゃんじゃ無かったの?」

チノ「シャロさんもそうですが、千夜さんの大人っぽさと、シャロさんのお嬢様っぽさが合わさればきっと凄いことになります」ゴゴゴゴゴ

千夜「ふふ、頑張ってね、チノちゃん」ヨシヨシ

チノ「あっ……」

千夜「? 嫌だったかしら」

チノ「い、いえ。むしろ……暖かい気持ちになります」

チノ(なんでしょう、このふわふわする気持ちは)

千夜「……ココアちゃんがお姉ちゃんぶるのもなんとなくわかるわ。ほほえまー」

千夜「もうこんな時間。晩御飯作るわ。チノちゃん、何食べたい?」

チノ「私も手伝います」

千夜「いいのいいの。チノちゃんはお客様なんだから、座って待ってて」

チノ「私が手伝いたいんです……ダメですか?」

千夜「んー……じゃあ、手伝ってもらおうかな」

チノ(千夜さんの横で、千夜さんを観察します)

千夜(なんかすごい見られてるわ…)

チノ「ごちそうさまでした」

千夜「お粗末さまでした」

チノ「和食もすごく美味しかったです……うちでもたまに作りたいです」

千夜「今度作り方教えてあげるわね。ココアちゃんもきっと喜んでくれるわよ」

チノ「別にココアさんのためじゃないです」

千夜「あら、素直なほうが大人っぽいと思うけど?」

チノ「!!」

千夜「今のだって『ええ、そうですね』って笑って返せるくらいの…………」

チノ「……?」

千夜「……ダメよ! そんな余裕たっぷりのチノちゃんなんてなんか寂しいわ!!」

チノ「ち、千夜さん! 大丈夫です、私にそんな返しマネできませんから」

チノ(とはいえ、確かに余裕のあるのは大人っぽい気がします)

千夜「うぅ……チノちゃん、食器片付けたら一緒にお風呂入りましょうか」

チノ「はい、千夜さん」

ピチャン…

チノ「あの、千夜さん」

千夜「どうしたの、チノちゃん?」

チノ「……さ、触らせてもらっても、いいですか」

千夜「やっぱり胸が気になるの? 良いわ、好きにして…///」

チノ「何か色っぽい響きを感じた気がします…では」

フニュン

チノ「や、柔らかいです!!」フニャン、フニュン

千夜「くすぐったいわ……」

チノ「おおぉ……」フニュフニュツニュムニュ

千夜「ん…チノちゃん、先は敏感なの……さすがにちょっと」

チノ「す、すいません!」バチャンッ

千夜「仕返しよー!」フニッ

チノ「ひゃんっ!」

千夜「揉んであげたらちゃんと大きくなるかしら♪」ムニムニ

チノ「千夜さん、なんかくすぐったいです……///」

千夜「…………」

チノ「……千夜さん?」


千夜「シャロちゃんよりある…!」

チノ「えっ」

ドライヤー「ゴオォォ」

千夜「チノちゃん、さっきも言ったけど、チノちゃんはもっと素直になって良いと思うの」サラサラ

チノ「? 素直に、ですか」

千夜「旅行に興味は無いとか、ココアちゃんのためじゃないとか。本心なら勿論それで良いんだけど」

千夜「でもね、もう少し色んなことに正直になって、わがまま言っても良いと私は思うなー」

チノ「わがまま、ですか……」

千夜「チノちゃんって良い子だから。お仕事のこととか、お父さんに無理をさせるなんて思って気持ちを言い出さないでしょう? 自分がどう思っていても」

千夜「でもそうじゃなくて、自分の気持ちをちゃんとぶつけたほうが、チノちゃんのお父さんは嬉しいんじゃないかな」

チノ「そう、でしょうか……。しかし、やはり私のせいで、父に負担をかけてしまうのは」

ドライヤー「オオォン……」

千夜「チノちゃんはそうやって色んなところで頑張ってるんだから、たまには頼って、自分の気持ちを伝えなきゃ」ナデナデ

千夜「こんな可愛い娘に頼りにされない、なんて、むしろ辛いと思うから」ギュッ

チノ「ふぁ……」キュッ

チノ「千夜さんの体……暖かいです」

千夜「そう?」

チノ「なんだか、お母さんに抱っこされてるみたいで……落ち着きます。心がふわふわします」

千夜「……ちょっと複雑だけれど、チノちゃんがそうしたいなら、甘えて良いのよ。今日は特別♪」

チノ「甘える……ですか……」

チノ「…………」

チノ「……ぉ、おかあ、さん…」ギュッ

千夜「よしよし……」

チノ「お母さん、お母さん……」ポロポロ

千夜「……」ナデナデ

チノ「おかあさん……」グスッ

チノ(匂いも違います。私を撫でてくれる手つきも違います……)

チノ(目の前の人は母じゃありません。そんなのわかってます)

チノ(でも、何年ぶりでしょう……誰かに、こんなに甘えたのは)

チノ(心がふんわりと軽くなって、でも、涙が止まりません……)

チノ「お母さん、私、今までたくさん頑張ってきました」

チノ「お母さんがいなくて、寂しいこともあったけれど、仕方ないことなんだって」

チノ「私、掃除も洗濯も、みんなできるようになったよ」

チノ「友達もたくさんできた…」

チノ「けど、やっぱり、誰にも言えないけれど、寂しいときは寂しいです……」

チノ「お母さん……」


千夜「……」ナデナデ

千夜(チノちゃん、想像以上に色々溜め込んでいたのね……)

千夜(本当に、手間のかからない、って意味では良い子なんでしょうけれど)

千夜(……これで、チノちゃんが少しでも楽になれば、良いわね…)

チュン、チュン

チノ「」ムクリ

チノ「…………?」キョロキョロ

チノ「ああ、そうでした。昨日は千夜さんの家に」

千夜「スー……スー……」

チノ「……千夜さんがすぐ隣に寝ています」

チノ「昨日は確か…………」

チノ「はっ! ……/////」

チノ「千夜さんすいません、昨日はあんなことを…」

千夜「あら、いいのよ。チノちゃん、気持ちは楽になった?」

チノ「……はい。千夜さんは本当に、その、お母さんみたいな人です」

千夜「嬉しいけれど、やっぱりこの歳でそう言われるとちょっと複雑ね…」

千夜「でも、チノちゃんが楽になったなら、良かったわ」

チノ「私、もう少し素直になってみようと思います…すぐに変わるのは、きっと難しいですが」

千夜「それで良いと思うわ。ゆっくりでいいの。焦る必要なんてないわ」

チノ「あと……昨日のことは、他言無用でお願いします///」

千夜「勿論。私とチノちゃん、二人だけの秘密、ね♪」

チノ「朝ごはんも食べました……今日は何をしましょうか」

千夜「私もお休みだし、外に遊びに行きましょう」


千夜「見てチノちゃん、この服、チノちゃんに似合いそうじゃない?」

チノ「わぁ……すごく可愛いです」

千夜「着て見せて~」


チノ「ど、どうでしょう…」

千夜「す、凄い似合ってるわ! チノちゃん可愛い!!」

千夜「じゃあ、これは私が買ってあげる」

チノ「えっ、そ、そんな悪いです」

千夜「良いの。私が、チノちゃんのためにしたいことなのよ」

千夜「チノちゃんが喜んでくれる顔が見たいの」

チノ「///……ありがとう、ございます」

チノ「千夜さんには、このネックレスとか似合いそうです」

千夜「そう? じゃあ、ちょっと着けてみようかしら」

チノ「やっぱり似合ってます」

千夜「そう? ありがとう、チノちゃん」

チノ「い、いえ…」

チノ「あっ、あれ見てくださいお母さん……あっ」

千夜「…………ふふっ」

チノ「……///  い、今のは気のせいです、気のせいなんです!」

千夜「手、つなぐ?」

チノ「う……はい」ギュッ

千夜「はい、チノちゃん。舌先蕩ける氷雪の霊峰よ」

チノ「ソフトクリームですよね……? いただきます」ペロペロ

千夜「チノちゃんって、見守っていたくなる小動物的なところあるわよね」

チノ「小動物ですか」ペロペロ

千夜「ええ。可愛がって、お世話焼きたくなるのよね……ほんと、ココアちゃんの気持ちがわかるわ」

チノ「子供じゃないです…」

千夜「チノちゃんのことが好きだから、色々したくなっちゃうのよ。……それは、私も、ココアちゃんも、チノちゃんのお父さんもきっと同じ」

千夜「ねえ、チノちゃん。ココアちゃんにモフモフされるのは嫌?」

チノ「別に、嫌じゃありません……むしろ、暖かくて、気持ち良いです///」

千夜「なら、こういうのはどうかしら」

夕方

チノ「ただいま帰りました」

ココア「おかえりチノちゃーん!!」モフモフ

チノ「ココアさん……ただいま」モフモフ

ココア「!? チノちゃんが嫌がらない…! どころかモフモフで返して…」

ココア「チノちゃ~ん!!」スリスリ 

チノ「んぅ…」

チノ(やっぱりちょっと恥ずかしいです)

タカヒロ「チノ、今日はバーの方も休みにしたんだ…夕ご飯は一緒に食べようか」

チノ「はい、お父さん」

ティッピー(チノの目つきが変わっておる……また少し成長したかのう)

ココア「チノちゃん、千夜ちゃん家に泊まったんだよね、どうだった?」

チノ「千夜さんは大人っぽくて、色っぽくて、優しくて、……素敵な方だと改めて思いました」

ココア「おお、ベタ褒めだぁ!」

チノ「ココアさんよりお姉さんっぽかったです」クスッ

ココア「がーん…」

ココア「うう……チノちゃんがちょっと千夜ちゃんっぽくなった気がするよ…」

タカヒロ「楽しかったようで良かった」

チノ「あ……あの、お父さん」

タカヒロ「?」


チノ「今度お父さんとティッピーとココアさん、それにできることならリゼさんやシャロさん、千夜さんと、マヤさんメグさん、みんなで」

チノ「旅行に行ってみたいです!」


おしまい

青山さん「」
みんな「ってなんで青山さんが!? 改めまして、ありがとうございました!」

青山さん「」ハラハラ  グスッ

……ごめん。

青山さんファンの方には申し訳ないです…思いついたら即実行でした。

そのうち、思いついたら青山さんメインのSSを書こうかと。

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