男「やめてよね。本気出したら、本気出してないって言い訳ができなくなるだろ」 (25)


女「どーいうこと?」

男「そのままの意味よ」

男「俺は今まで、ありとあらゆることに本気を出してない」

男「つまり、そのおかげで本気を出してないって言い訳ができるのよ」

女「意味あるの、それ」

男「あるとも」


女「よくわかんないなあ」

女「なにごとも全力でやったほうが気持ちいいじゃん」

女「それに。まわりの人も、そういう全力出す人のほうを好むと思う」

男「いいんだよ」

男「本気を出してないってことで、俺はまだ本気を出してない」

男「だから本気を出したら、もっとうまくやれるんだからって思えるから」

女「はあ」


女「まあでも、そーいう人っているよね」

男「いくらでもいるでしょ」

男「本気を出したのに結果が出なかったらミジメだしね」

女「……もういっこ質問いい?」

男「なあに?」

女「なんでいつも立派な講釈たれんのに、なにもしないの?」

男「いい質問ねえ」


女「あなたって語る理屈は立派なのに、なにもしないよね?」

男「よく言われるよ、それは」

女「えらそうに人様を批判するなら、自分でもなにかすればいいのに」

男「ムリムリ」

男「僕らの口がムダに達者なのは、自分じゃなんにもできないからよ」

女「クズじゃん」


女「批判しかできない人生って退屈そうだね」

男「僕レベルまでいくと、好きなものまで徹底的にこき下ろすからね」

男「でも、今の時代は本当にいいよ。僕みたいなクズには」

男「2ちゃんもそーだけど、特にTwitterとかね」

女「ついったー?」


男「ツイッターでは、とりあえずそれっぽい優秀なツイートをリツイートして」

男「さも、自分の意見のように語って虚栄心を満たしてくれる」

男「実は僕らみたいな口先だけ人間には、Twitterはすばらしいツールなんだ」

女「へえ、またまたくだらないね」

男「僕らは批判しかできなくて、なにも生み出せない」

女「ああ、つまりウンコ製造機だね」

男「そんなとこかも」


女「なにもできないくせに、口先だけ一丁前ってむなしいなあ」

女「ていうかむなしいでしょ?」

男「それがね、そーでもないわけよ」

女「またまたー、正直死んだほうがいいとか思ってるでしょ?」

男「そんなことはないよ」

男「なにせ僕たちは、自分への言い訳がとてもうまいからね」

男「最初に言った本気を出さない云々もそうだけど、
  自分を正当化するための生き方や理屈をこころえてる」


男「たとえばさ、他人やなんらかの意見を批判したりするよね?」

女「わたしはあまりしないけど?」

男「僕らはするんだよ、感情にまかせてね」

女「屁理屈バカのくせに、感情まかせなの?」

男「……実は科学的にも証明されてるけど、
  批判をする人の中には、まず理屈ではなく批判せずにはいられないから批判する」

男「そういう人間が必ず、ある一定の数だけ存在するんだよ」

男「そしてそういう人間は、批判をするために理屈を持ち出すんだ」

女「バカだねえ、そいつら」

男「仕方ないよ、それしかできないんだもの」


女「やっぱりあなたみたいなクズは、今後も生まれるの?」

男「むしろ増えてく一方でしょ」

男「手じゃなく、悪口ばかりが動く愚か者は」

女「変わりたいとは思わないの?」

男「思うよ、とても思う」

男「とくに、努力もせずに変われたら最高だとおもう」


女「すくいようがないね」

男「救う気もないでしょ」

女「んー、まあ」

女「でも中にはさ、自分のことを必死に悔やんで人、いるじゃん「

男「言っても僕らの仲間で、そういう奴らはなにもしないよ」

男「後悔したことに満足して、はいおしまい、ってわけ」

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