電「司令官さん!」犬提督「ワン!」(94)

なぜ、あなたは私を救ったのですか。

――君が死にたがっていたからだ。

なぜ私を殺してくれなかったんですか。

――死ぬのには惜しいと感じたんだ。

私は死にたかったんです。たとえあのような姿になっても

――だけど、な『電』。

――僕はつらい思いをした『人間』を死んだままにするのは目覚めが悪いんだよ。

私は『艦娘』です。

――意外と強情だな。ならこうしよう。

――僕のところに来い


犬提督と艦娘たち



※オリ設定・解釈注意。
※オリキャラ(しかもどっかでみたことある)注意
※一部艦娘にキッツイ設定付
※ほのぼのギャグシリアスもしかしたらエロ

「はうっ!……あの時のことを夢で見てしまったのです」


私は駆逐艦『電』。
本名は……まぁこのさい言わなくていいのです。
私は人間が突然変異で艦娘になったいわゆる『後天型』なのです。
本当の親はわかりません。実の姉1人しか家族のいない、
幼いころに深海棲艦によって親を亡くした『深海孤児』なのです。
……本当に実の姉かどうか疑わしいかもしれないのです。(髪の色からして)

孤児院にいたころに急に艦娘としてのチカラに目覚めました。
お姉ちゃんもそうなのです。
孤児院の先生は反対していたけど私とお姉ちゃんは軍によって軍の訓練施設に入れられました。
孤児で艦娘のチカラに目覚めた子は訓練をうけたのちに鎮守府に入れられるのです。
そこの訓練施設での生活は私の人生の中で一番いい時間でした。
お友達もできたし、同じ艦種の二人と出会えたし(すっかり義兄弟の契りのようなものをちぎったのです)。

そして○○歳になったころにとある鎮守府に配属されて……

配属されて……


電「うぷっ……うぐっ」

向かいのおばあちゃん「おやおや、乗り物酔いかい?だいじょうぶかい?」

がたんごとんと少し揺れがあるとはいえ電車で乗り物酔いとは奇妙なのです。
私はおばあちゃんに大丈夫だよと一言告げるとおばあちゃんは籠からなにかをとりだし渡してくれました。
おみかんでした。

電「あ、あの……」

おばあちゃん「いいからいいから、これからやっていくにはしっかりとしなきゃ」

おばあちゃん「あんた、これからできたばかりの『松島鎮守府』に行くんだろう?」

電「ええっ、おばあちゃんなんでそんなことがわかるのです?」

おばあちゃん「アタシも昔は提督やっていてねぇ。艦娘かどうかははっきりとわかるんだよ」

電「そ、そうなのですか」

前の鎮守府の事件の後、療養を終えた私はできたばかりの鎮守府『松島鎮守府』に配属されることになりました。
なんでもこの鎮守府は『特警にいた隊長が上を説得して作った』というこれまた奇妙な鎮守府だというのです。

なんでよりによって松島なんかに作ったんでしょう……?あそこの海は平和なはずなのに。
もしかして左遷されたんでしょうか?


あの人は『私を助けて』左遷されたんでしょうか

おばあちゃん「大丈夫、あそこの提督は面白い子だから。自分の人生を面白おかしくするんです!って真面目な顔で言う子だから」

電「は、はぁ あれ?おばあちゃん引退したのに何で知って」

おばあちゃん「そりゃぁあたしゃ農家兼教官だもの」

電「なんとぉ」

おばあちゃん「あの子はいい子だったよ。うちの酒ばかりのむ孫にも見習わせたいよ、ほんと。」

電「た、たいへんなのですね…… あっ、海が見えてきた」



日本三景と言われる松島。
松尾芭蕉がその美しさを言葉にできなかった理由がわかります。
ぽつぽつと点在する小島に松の木がたくましく育っていて、島の側面は切り崩したかのような形をしていました。
観光客もいっぱいなのです……ほんとうに鎮守府があるんでしょうか?


おばあちゃん「あたしは鎮守府の近くで酒屋もやってるからぜひ遊びに来ておくれよ。ああ、旦那が酒屋なんだよ」

電「ありがとうございますなのです」

松島駅についた私はお迎えの車が来るということで待っていました。

何分かして一台の軽トラックが駅の手前で止まったのです。

???「うっひゃー……観光客が多いよ!もー、どうしようかなぁ やっぱり艦娘レーダーとか作るべきだよ、うん!」
トラックから優しそうな、それでいてなんというか面白そうな人がでてきました。

電「あのう……すいません」

???「えっ?あっ!きみ!もしかしてっ」

『男の人』が近くまで来ました。
大丈夫、大丈夫、大丈夫なのです。

???「君が電ちゃんかい?」

電「は、はい。そうなのです」

???「いやぁー!ようこそ!松島へ!!歓迎するよ!」

男の人は右手を差し出してきました。

右手を出すべきなのに出ない、出そうと思ってもでない。
こわい。

???「あっ!ご、ごめん 自己紹介がまだだったね」

電「あ、いえ」

イデ「僕の名前は井出正也!イデさんって呼んでね!こう見えても鎮守府のいろんなことを担当しているんだ!」

電「そ、そうなのですか」

よくよくみると昭和テイストなお顔をしているのです。
でも悪い人ではないのです。


イデ「とりあえず君が鎮守府の艦娘第一号ってことになるね!ほかの子はあとから来るみたいだから迎えに来たんだ」

電「ありがとうございます」

イデ「それじゃあ乗って。見た目とは裏腹にこの軽トラックは乗り心地快適!乗り物酔いするどころか座った瞬間眠れそうだよ」

電「う、運転手さんもねちゃうんじゃ?」

イデ「あ!! だ、大丈夫さ!うん!」

電「くすっ」

イデ「よおーし、じゃあ行こう!」


イデ「その前にちょっとトイレ!!」

電「お、おうなのです……」

鎮守府は松島の郊外にありました。
意外と小さな鎮守府でどちらかというと分屯地なのです。

イデ「さぁ、ここが松島鎮守府だよ。とりあえずまずはせんぱ……提督にあいさつに行こう」

電「はいなのです」

テニーシタカプーセルピーカリト

イデ「はい!こちらイデ! え!?先輩!上からの命令やっちゃうんですか!?いやぁそれはちょっと」

電「?」

イデ「ごめん、ちょっと席外すね!そこで待ってて!」

電「は、はい」


イデさんはあわてて鎮守府の奥に入っていきました。
あ、転んだ。

電「……新しい鎮守府か……」


本当は死ぬはずだったこの命。
ここの提督……元特警の隊長さんのおかげ……いやせいで救われたのです。
顔まで包帯まかれていたからどんな人なのかは見たことがないけど。
声だけ聴くと優しい人でした。

電「でもわたしなんかが生きてて……」

?「ワン!!」

電「ひゃい!?」


ふりかえるとそこには……

で、でけぇ~
おすわりしているのにでけぇーのです
体長170㎝はあるんでしょうか?
白くてふさふさした犬がいたのです。
首には看板が掛けられていてそこには

①お手というとお手をします
②お手をしてからおかわりというとお手をします。
③ちんちん!というとそのばで立ちます。(ただし立たないかもしれませんのであきらめずにやりましょう)
以上すべてをこなさないとモフれません。

電「お、おうなのです……それにしても変わったワンちゃんなのです……でも」

なんというモフモフ。これは抱きしめてみたい。
というか乗りたい。乗ってみたい。

私は

電「お、お手 なのです」

犬「ワン!」

ぽふっ

電「おおぅ……」

あったかいのです。なかなかのもふり具合。

電「お、おかわり なのです」

犬「ONE!」

ぽふっ

電「おおおぅ……」

こ、これくらいやったら触っても

スオオ……

電「!?」

触ろうとした瞬間、ワンちゃんは横スライドしました。
え?横スライド?!

電「なんという……」

ワンちゃんは③の部分を手でたたきました。
……こころなしか顔が不機嫌にみえる?

電「……ち、ちんちん」

たちません。

電「よ、ようしこうなったら……」


電「ちんちぃいいいいん!!」

すると


犬「ええい!!もういいでしょう!!これくらいで!!」

電「ワッザ!?」

ワンちゃんがキレました。というかしゃべった。
というかどこかで聞いたことのある声なのです。


犬「すいませんね、こういうふうに音声を録音して送ってくれたら資源をただでよこすってあのオッサンが言うんですよ」

電「えと、あの、え?」

犬「久しぶりですね電。面食らうのも無理はないでしょう。あなたは僕のことを目で見たことがないのだから」

電「も、もしかして……」

どこか落ち着いててそれでいて優しげなというか神経質っぽいような声。
この声は間違いなくあの人の声。

電「特警の隊長さん!?」

犬「今じゃこの鎮守府の提督ですけどね」


電「えええええええええ!?」


拝啓、お姉ちゃん。
私の人生。おかしな再スタートを始めたみたいなのです。


イデ「ゲェー!せんぱ……提督!いつのまに!!」

犬「さぁ鎮守府を案内しますよ」

電「は、はいなのです」


犬提督

犬。犬種はサモエドッぽいようなきがする。
でかい。体長170はありそう。そしてもっふもふ。
帽子と制服はちゃんと着ている。なお、弐足歩行可能。




駆逐艦『電』のチカラをもつ『後天型』の艦娘。
前に属していた鎮守府でとある理由で男性不信がち。
それ以降少女漫画の類は一切読まない。
非処女。


イデくん

松島鎮守府の兵器開発などを妖精さんと協力して作ってる。
実はものすごい科学者らしいが、コメディな部分が強いのでそう見えない。

彼は『チリトリに入れようとしても結局最後の最後まで入らないほこりが入るチリトリ』を開発して特許ももっている。


週1ペースで行けたらいいなぁと思うのです。

にほんだて


鎮守府の案内を司令官さん直々にしてもらうという奇妙な状態なのです。
後ろからイデさんがあわててるのです。

イデ「いやー、ごめんね電ちゃん。せんぱ……提督ー、いきなりでてきたらびっくりしますって急に電話かけてきたと思ったらきっちゃうんだもん」

提督「あのクソオッサンがメールで『はよ!はよ!』と催促してきてうざかったのでつい。すまないな電」

電「え、えっと……クソオッサンって?」

提督「僕の上司の一応階級の高いオッサンがいまして。昔から世話になったり世話してやったりと云々」

電「は、はぁ」

イデ「悪い人ではないんだけどね。新しい艦娘の生声を聞いて喜ぶ人だけど。」

提督「あれで既婚者というのがなぁ」

なんというか苦労しているみたいなのです。
それにしてもなんで特警隊長の座を降りてまで提督になったんでしょうか?

電「あの……」

提督「ここが工廟。艦娘の兵器や新たな艦娘を……といってもわかるか」

電「あ、はい大丈夫なのです」

イデ「ほかとちがって僕と妖精さんが共同で作ってたりするけどね」

電「そうなのですか?」

提督「イデくんの作る兵器はどういう発想でそうなったなものもあるが強いからな」

イデ「ありがとうございます!ではー、今月の給料は」

明石「なーに言ってるんですか、軍の資材で作ってるのに」

イデ「ありゃ、こりゃまた耳が痛い」

明石「初めまして、工作艦明石よ。といっても艤装が完成してないから前線には出られないけどね」

電「よ、よろしくお願いします」

よかった。女の人もいるんだ。

提督「謎のルートから資材を持ってくるすごい子だ」(遠い目)

イデ「うんうん。すごいですよね」(遠い目)

どこから調達するんでしょうか……

提督「ここがドック。なんかイデくんが艦娘にも効果は抜群な温泉でできてるらしい。実質風呂。」

電「そうなんですか?」

イデ「おっ、よく聞いてくれました。そもそもこの」

提督「露天ドックもあるという謎仕様」

電「(本職なんなんだろう)」

ふと横を見ると南京錠のかかった扉がありました。
よくよくみると南京錠だけじゃなくてパスワード入力のための機械も付いてるのです。

電「あれはいったい」

イデ「えっ……あ、あああそこにはね……えっと。」

提督「言っちゃえよイデくん。あそこはVIP用だって」

イデ「あー、そ、そうそうあそこはVIP用なんだ」

電「は、はぁ……」

提督「それじゃあ次にいこう」

VIP用にしては厳重というか……
関係者以外立ち入り禁止な扉でした。
私が扉をじっと見ていると司令官さんが小さく「あまり見るもんじゃない」
とつぶやいてイデさんについていきました。

大淀「軽巡大淀です。よろしくお願いします……といっても艤装がないので情報等を担当しています。」

電「よ、よろしくお願いしますなのです」

提督「大淀は本営からの連絡とか任務を管理したり……」

提督「要はオペ子」

電「オペ子?」

大淀「ほら……ロボットアニメとかで敵を発見した時に報告したり、スイッチをガラスごと壊して押したりする」

電「ああぁーなるほど」

イデ「後者はなんとなくちが……くはないけどなんか……うーん」


ある程度鎮守府内を案内され、最後に執務室に案内されました。
執務室の中は段ボールでいっぱいでした。
本当にできたばかりなんだなぁ。

提督「さて……それじゃあこの鎮守府の記念すべき艦娘1号として申告を頼む」

電「はいなのです!」



電「駆逐艦 電 本日ヒトマルマルマルをもって 松島鎮守府にて勤務を命ぜられました!」

バッ

提督「よろしく頼む」

電「はい!」

一度なくしたこの命。
もう一度使う意味があるのか。
司令官さんはその答えを出してくれるのでしょうか。

提督「あせらなくてもいい、僕も提督をやるのは初めてだ。よろしく頼む」

イデ「おっ、そろそろ次の艦娘が来る時間なんで迎えに行ってきますね」

提督「そうだ、電も一緒に行くといい」

電「わ、わたしもですか?」

提督「いや、そのほうがいい。 きっといい出会いだ」

電「?」

こころなしか司令官さんが笑ったような。
そんな気がしたのです。


イデ「いい人でしょう。先輩」

電「先輩?」

イデ「あっ、いや。うんとにかくいい人でしょ」

電「ま、まぁ人じゃないけど優しい人のような気はするのです」

イデ「けっこう変わった人だけど艦娘のことをちゃんとした『人間』としてみてくれるからね」



電「みんながみんなそういう人だといいんですけどね」

イデ「……」

少し言いすぎたかもしれないのです……。

イデ「それにしても暑いね……こう暑いとアイス食べたくなるね」

電「そ、そうですね」

イデ「よし、おごってあげるから食べよう!」

電「ええっ、そんな悪いのです」

イデ「いいっていいって。それに新しく来る子も今頃暑い中まってるだろうし」

松島駅前まで来ると……

見知った顔が立っていました。


夕立「あついっぽい……アメリカよりあっついあっついぽい」

電「夕立さん!!」

夕立「んお?あっ!電っぽい!!」

イデ「先輩が気を効かせて編入してくれたらしいんだよね」

夕立さんは私と違って『先天型』の艦娘で、
前の鎮守府で出会いました。
とっても明るくて優しくて、あの鎮守府でも頑張っていました。

元気そうで本当に良かった……。


夕立「久しぶりっぽい!日本なんて1年ぶりだからちょっと不安だったっぽい」

電「1年ぶり?」

夕立「あの鎮守府が『隊長』さんの手で解体された後、隊長さんの手引きでちょーっとアメリカの鎮守府にいたっぽい」

電「なのです!?」

夕立「おかげで強くなったっぽい。頼りになる『姉御』と『電みたいな小っちゃい子』もいたし」

電「私みたいな子?」

夕立「レディレディ言ってたっぽい」

電「暁ちゃんなのです!」

夕立「知り合い?」

電「義兄弟的存在なのです」

夕立「マジかー ケータイ番号知ってるから後で教えるっぽい」

イデ「あのー……」

夕立「何?」

夕立さんの顔には警戒の色が見えたのです。
……

イデ「えっと、僕はかくかくしかじかで」

夕立「ぽいぽい、なるほど。それならそうと早くいってほしいっぽい!」

イデ「ごめんっぽい!あらうつった」

夕立「あっはっは!おもしろいっぽい!」

イデ「それじゃあ、アイス買って帰ろうか」

電「なのです」

夕立「バケツでいーよ!」

イデ「な、ないよバケツアイス」

夕立「えっマジで」



結局アイス3本夕立さんはたべたっぽい……なのです。

そして

提督「王!(ワン!)」

電「(あっ、やるんだ)」

夕立「おぉー、犬っぽい」

夕立さんは触ろうとして手を伸ばしたのです。
しかし司令官さんは横スライドを……

むぎゅっ

夕立「お久しぶりっぽい!隊長さん!」

提督「強くなったみたいだな、夕立」

夕立「うん!」

電「ゆ、夕立さんは司令官さんのこと知ってたんですか?」

夕立「知ってたも何もあの事件はそもそも隊長さんが夕立に相談してきたことから解決したっぽい」

電「そうなんですか……」


なおさら司令官さんと夕立さんに感謝なのです。

イデ「すごいなぁ先輩のスピードについてきただって!?」

提督「いや本気出してないし本気出してないし」

夕立「意地になるのがかわいいっぽい」

むぎゅー

提督「苦しいんだが」

夕立「あててるっぽい」

むにっ

電「はわわ……」

なにげに積極的になってるぽいなのです
これがアメリカ効果なのでしょうか。

提督「うへぇやらかい」



夕立「隊長さんのためなら命も捨てていいっぽい」

提督「何か言ったか?」

夕立「なんでもなーい」

そのあと10分くらい司令官さんにしがみついていたのをなんとか引きはがして無事着任しました。
知り合いがいるというだけで安心できるのはおおきいのです。
ありがとうございます司令官さん。



???「あー……すげえきれいだな」

???「松島やああ松島や松島や ですもの~」

???「なんだそれ?」

???「芭蕉の句よー あまりの美しさにこれしか言えなかったんですって」

???「手抜きじゃねーか俺の方がうまく作れる」

???「どういうのー?」

???「あん?えっとー  まつがすげえ 海がきれい めしうまそう」

???「芭蕉の勝ち」

???「はぁ!?」


実は、私たちは遅れてやってくる人たちのことにこのとき気づいていなかったのです。

明石

何気に艤装つけたらエロい格好になる。
あの袴部分に突っ込みたい

大淀

明石と違って特殊な船ではないんだなぁ。
なにげに縞パン


夕立

電と同じ鎮守府にいた『先天型』の艦娘。
前の鎮守府の事件のせいで人間不信になっていたが、
犬提督のおかげもあってか希望を取り戻した、
その後、犬提督のコネでアメリカの鎮守府で頑張ったっぽい。

日本のコンタクトレンズの技術に改めて驚きつつ、
ここらへんにいいコンタクトレンズが売ってないか探している。

非処女。

イジョーウ

電「ふう……とりあえずひととおり片付いたのです」


部屋の整理整頓を終えて一息ついた私は今日会ったことを振り返りました。
病院から出て、ひとりで電車に乗ったこと。
イデさんという少なくともいい人な人に会ったこと。
夕立さんとの再会。そして

電「うーん……でもまさか隊長さんが司令官さんでしかも犬だなんて……」

というかあの人(?)は普通の犬じゃないと思うのです。
妙に大きいし、もふもふだし。
実は隊長さんは海軍の秘密兵器的な可能性が微レ存……?

そしてこの鎮守府、なんで松島に立てたんでしょう。
東北の海域は比較的平和らしいし、ましてや松島の海は観光地であるし。
あ、観光地だからあえて……?

電「でも各鎮守府に必ず一つある『大旗艦』を置けるようなスペースがあるんでしょうか?」

大旗艦というのは戦艦ではなく本物の戦艦で、主な仕事は艦娘のサポートや、
大本営に行くのに提督が乗り込むための船なのです。
このご時世わざわざ船を使わせるのは、マスメディア等に対しての影響を考慮しているらしいのです。
たしかに提督と艦娘は『使い捨て』が容易にできるように志願者を募集しているけど。
あざといのです。

コンコン

夕立「いーなーずーまー、入ってイイっぽい?」

電「あ、どうぞー」


ガチャ

夕立「ヒューッ、片付いている……。私はまだ終わっていないのに」

電「一人一部屋らしいから置くスペースには困らないはずでは?」

夕立「自慢じゃないけど片付けが苦手っぽい!」

電「お、おうなのです」

夕立さんは実は着やせしてるんじゃないかって胸をのけぞらせながらえっへんと言ったのです。

夕立さんはあの鎮守府で建造された古株らしいのです。
あの地獄を体験しながらほかの人にも気を配れるたくましい人なのです。
それに比べて私は……

夕立「うっほほーいベットふかふかっぽーい!」

びよーん

電「と、トランポリンじゃないのです!!」


コンコン

イデ「あのぉー……はいってもよろしいでしょうかー」

電「?イデさんなのです」

夕立「どうぞー」

がちゃ

イデ「うわぁ、僕女の子の部屋初めて入るから緊張するよ」

夕立「挙動不審すぎるっぽい。なにかあったのー?」

イデ「うん、重要なことがね」

キリッとイデさんは真面目な顔をしたのです。


電「重要なこと?」

夕立「深海棲艦でもきたの!?」

イデ「じつは……」

イデ「ヒトキュウマルマルから『鎮守府居酒屋 鳳翔』で歓迎会をしまーす!」




電「イベントだった!?」

夕立「そ、そいつぁ重要っぽい」



イデ「今が1700だから今のうちに言っておこうかと思ってね。二人はお酒飲める?」

電「あ、あまり……」

夕立「ぽい?電はウィスキーストレートいけたはずっぽ」

電「ゆ、夕立さん!」

夕立「大丈夫大丈夫、艦娘は見た目が未成年でも成人扱いだし。ちなみに私は泡盛のみたいっぽい」

イデ「いいねー、泡盛。でもあんまり飲みすぎると明日に響くから注意ね!」

夕立「イデさんもね」

イデ「アチャー」

電「くすくす」

犬提督「イデくーん、まだ酒を飲んでいないだろう?」

イデ「あっ、はい先輩 あっ、提督!」

犬提督「定時は過ぎたから提督呼びしなくてもいいよ。酒を追加で買ってきてほしいんだ」

イデ「あっ、わかりました!どこで買えばいいですかね?」

電「先輩後輩…?」ボソボソ

夕立「イデさんはどう見ても軍人じゃないしそもそも隊長さんは犬っぽい……」

犬提督「夕立ー、一応ていとくなんだから提督か司令官と呼んでくれ」

夕立「わかったぽい!てーとくさん!」


犬提督「とりあえず酒はやまやあたりで買ってきてくれ。あとそうそうイデくん」

イデ「はい!」






犬提督「あともう二人艦娘がくるっぽかったんだけど……」

イデ「あ  うわぁあああああああああ!!すいません!!」

犬提督「まぁその二人も連絡よこしてないからいいかなーってな!!そいつらに一発芸させようかなと思うけどな!!」

ふんす!と司令官さんは二足歩行で立って腕を組んだのです。
スゴイ安定しているのです。

犬提督「とりあえず今連絡したら『瑞巌寺』にいるって」

イデ「あー……海岸駅の方に降りたんだろうなぁ……わかりました!むかえにいってきます」

夕立「おもしろそうっぽい!ついて行っていい?」

イデ「いいのかい?」

夕立「先輩風をふかせたいっぽい!」

電「あの…先輩というより同期なんじゃ」

夕立「ついでに電もくるっぽい」

電「はわわ!?」

犬提督「よし、僕も行こう」

夕立「てーとくさんも?」

犬提督「なあに、鳳翔さんにはこうなるだろうと事情は説明してきたしイデくんの発明でこの鎮守府の警備は万全だし」

イデ「ありがとうございます!」

夕立「どんな警備があるっぽい?」

イデ「ヒ・ミ・ツ」

夕立「おっさんのヒミツの言い方はきもいっぽい」

イデ「僕まだ20代だからね!」

電「なの……です?」


というわけで3人+1匹?で車に乗るために駐車場に来たのです。


夕立「でもこのままだとその二人を乗せたらトラックの荷台にのせなきゃいけないっぽい?」

犬提督「心配無用、イデくん」

イデ「はいはーい!ぽちっとな」

うぃーん ガシャッ

イデさんが手元のスイッチを押すとウィーンと軽トラックが地下に収納され始めたのです!
そして今度は側面に『松島鎮守府と書かれたワゴンカーが出てきたのです!


夕立「ぽい!?」

電「はいてくなのです!!」

イデ「これぞ登録している車両を別の車両に変えるシステム!」

犬提督「そんじゃのりますかね」

夕立「でもこのシステムなんのためにあるっぽい?」

イデ「津波が来ても地下に格納できるようにするためだよ」

夕立「あぁー……」

電「で、でもここまで来るのでしょうか?」




イデ「あの『震災』が来る前だったらそんなことも言えただろうけどね」

電「あ……」


犬提督「とにかく乗った乗った。イデくん、ご機嫌なBGMを頼む」

イデ「ラジャー!」

夕立「おおぉ、すわりごこちがいいっぽい」

電「なのです!」

イデ「ぽちっとな」


『カイ!ピリーニャ!キューバ!リブレ!シャンペーン!マティーニ!』

犬提督「イデくん、それ僕の持ち歌だけどやめなさい。べつのにしなさい」

イデ「は、はい!」

電「oh……あの曲なのです」

夕立「なんで知ってるっぽい!?」



瑞巌寺


???「フフフ、伊達政宗さんよぉ。俺の名は天龍。フフ、こわいか?」

伊達政宗の位牌「……」

今私たちは時間稼ぎついでに観光をしているの~。
天龍ちゃんも『なにかこうシンパシーを感じるぜ』と言いながら伊達政宗の記録とかを真面目にみているわ~。
ちなみに天龍ちゃんのやんちゃも伊達政宗に比べたら普通すぎるのよー?

龍田「天龍ちゃんたら最初は『寺なんて興味ねー』とか言ってたのにすっかりはまっちゃって」

天龍「うっせ!!しかしなんだなぁ、俺たちもこんなところに飛ばされるたぁな。」

龍田「天龍ちゃんが前の提督の顎をくだいたからよ~。」

天龍「あいつは駆逐艦たちに無理をさせまくったからな。特警につれてかれたけどな」

龍田「あの特警の子、顔は隠していたけど艦娘よ~。すごい眼光だったわね~」

天龍「みてねーからわかんねーよ」

あの時、天龍ちゃんがあのクズの顎を砕いたかと思ったその矢先にいきなりやってきて徒手格闘でクズを
複雑骨折させるんだもの~。なにものなのかしら~。

そう思っていると寺の奥からジーンズにYシャツで眼帯つけているというフランクなファッションの男の人が出てきたわ。

男「HEY、オマエラ。もう閉店時間すぎてんぞ」
天龍「ん?ああ、すまねーな。あんたももう夕方だから帰ったらどうだ?」

男「それもそうだな、実家はすぐそこだけどな。HA!」

天龍「あんたも片目怪我してんなら暗くなる前にかえれよー」

男「オーライ、お前らもお迎えくるといいな それじゃな」

龍田「……」

龍田「今の人……なーんで、私たちが人を待っているってわかったのかしらねー?」

天龍「ん?まぁ、きにすんなって。田舎特有の勘のよさか何かだろ?」

ブロロロー……

天龍「お?きたか?まったく。またせやがって舐められてるな」

龍田「連絡をし忘れていた天龍ちゃんもいけないのよー さて、どんな人たちが迎えに来るのかしらー?」



でかでかと松島鎮守府と書かれたワゴンからなんか昭和風な男と中学~高校生くらいのやつが降りてきた。
……あと、すげえなあの犬でっけー!!
おっとっと、ここは舐められないようにしねえとな。


天龍「へへ、俺たちを待たせるなんてずいぶんな仕打ちじゃねえか?」

イデ「いやー、そのいろいろありまして……」

夕立「イデさん!こういう不良は目の前でジャンプすればよろこぶっぽい!」

イデ「えぇ!やっぱりそうなの!?」

天龍「不良ゆーな!あとカツアゲなんてしねえよ!」

電「はわわ……」


天龍「とにかくまぁなにかしらのワビでもくれやおっさん」

イデ「ぼくはまだ24だよ!」

天龍「なん……だと……」

龍田「あら~」

天龍「ま、まあいいやお前ら二人は艦娘みてーだな」

さしあたって駆逐艦ってところだな……

天龍「おいおい、大丈夫か?お前ら戦えんのか?」

電「えっと……」

夕立「なめないでほしいっぽい!そっちこそそのおっぱいが飾りじゃないか聞きたいっぽい!」わきわき

天龍「手をわきわきさせんな!」

夕立「ふふふ、なめないでほしいわ」

天龍「っつってもお前駆逐艦じゃねーか。しかもお嬢様的な」

夕立「え? あ、ああーそっかうんうんなるほど」

龍田「あら……(この子……)」

夕立「まぁ、これから歓迎パーティがあるから実力のほどは明日みてやるっぽい」

天龍「おいおい、ずいぶんと自信家だな」

ゴゴゴゴゴゴ……

夕立「ここでやるっぽい?」コキコキ

おいおい……こいつ本当に駆逐艦か?
なんつーか危険なにおいがするっていうか……へへ、面白い

電「ちょ、ちょっと待ってほしいのですこんなところで喧嘩したらだめなのです!」

龍田「そうよー、天龍ちゃん。それにー」



龍田「そのわんちゃん。天龍ちゃんのふとももに油性マジックをつきつけているわ」


……は?

犬提督「威勢がいいのはいいんだけどな、ここで喧嘩したらお前の太ももに正の字を書くぞ」

ふと気配に気づき、下を向くとさっきのでかい犬が俺の太ももに何か書こうとしていた。
いつの間に!!てかしゃべってる!!

天龍「な、なんだてめぇは!!」ブンッ!!

あ、やべっ 刀ふりまわしちまった……


ところが


ガキィン!

犬提督「条件反射で武器使うのはいいけど周りをかんがえてほしいな」

天龍「(小太刀で受け止めただと……犬なのににぎってやがる!)」

龍田「うふふふふ……あなたが松島鎮守府の提督ですね~?特警にいた眼光のすごい子から聞いたわ~」

犬提督「ご名答」

天龍「はぁ!?このシャベル犬が!?」

犬提督「わたしは 喋る犬の 八房」

龍田「それは馬じゃないかしらー?」

犬提督「おっ、そうだな」(同意)

くそ、なんだこいつ。
力が入らねえっ、この俺が押し負けるだと?
しかもこいつ……マジかよ…こいつは


男「FUCCCCCCCCCCCCCCK!!」

全員「ビクッ!」

男「オイテメーら!!うるせえぞ!!ここは寺だし見学時間過ぎたぞ!!GO BACK HOME!!」

さっきの眼帯男がすっげぇキレた。
つーかどうみても部屋着だし、なんだあのTシャツ。
『欧州筆頭』って書いてある。あ、ちょっとほしい。



犬提督「すいませんすぐにかえりますんで、伊達巻は生だからロールケーキこんどお供えするので」

男「おう、いいから帰りな!」


そんなわけでわけのわからんうちに車に乗せられて松島鎮守府に行くことになったのだった。
それにしてもなぁ、この犬……オスなんだろうけどなんつうか。



こいつも『艦娘』じゃねえか、なんの船かまったくわかんねーけどこの雰囲気はそうだ。
おとこの艦娘もいるってのはうわさでは聞いたけど犬もいるんだな……
てか喋るんだな……


天龍

我らがフフ怖。
軽巡洋艦 天龍の『後天型』。
なんか不良やってたらいつのまにか艦娘になってた。
自分のことをクレイジーな奴だと自負するが、面倒見がいいいい子と龍田の談。
男性経験?もちろんないです。


龍田

我らがサイコレズ。
軽巡洋艦 龍田の『後天型』
天龍のフォローをしつつ、天龍よりやりすぎる双子の妹。
言葉の端々に狂気を感じさせるのは仕様なんですかね……
男性経験?もちろんないです。


欧州筆頭Tシャツの男

謎の男。
嫁さんとは13の時に結婚した。
飯作りが得意なDQN。
6本の刀?さがしなぁ!東北全土に一本ずつ置いてきた!とのこと。

イジョウー

居酒屋 鳳翔

犬提督「それでは全員そろったところであいさつとさせていただきましょうかね」

鎮守府の中にある居酒屋さんのお座敷で、イデさん、明石さん、大淀さんも入れて歓迎会が始まろうとしているっぽい。
着流しを(犬なのに)着た提督さんが右手にウィスキーの入ったグラスを持ってあいさつするために立ち上がったの。

犬提督「まずは全員よく来てくれた。左遷同然でこの鎮守府に配属された僕です」

天龍「どんなことすりゃ特警から提督になるんだよ……」

夕立「天龍さんみたいに顎パンチ程度ではすまないことをやったっぽい?」

龍田「軍事裁判モノかしら~?」

夕立「……(アレが原因かな)」

ニタァ

夕立「(楽しかったなぁ アレ は。 提督さんのおかげっぽい)」

龍田「……夕立ちゃん」

夕立「……ぽっ、ぽい!?」

龍田「提督がこっちをみているわ~」

えっ、提督さんがこっちを!?
やだ、恥ずかしいどうしよう!

犬提督「夕立~ 今僕が話のオチを言おうとしたのにお前がすごい顔していたから言いづらくなったじゃないか」

夕立「お、オチ?」

イデ「先輩!赤い洗面器を被った人はなんて言ったんですか?!先輩!」

いや、そもそも何のお話をしていたの!?

電「えっと、今司令官さんは赤い洗面器の」

夕立「赤い洗面器のなに!?」

スーッ

鳳翔「お料理をお持ち……あらあら、提督。そろそろ乾杯をしたほうがよろしいのでは?」

居酒屋の主の鳳翔さんが料理を持ってきたっぽい。
おっ、このにおいは焼き鳥!塩焼きっぽい!
あれ?なんの話をしていたんだっけ?

犬提督「おっ、そうですね。そんじゃあ乾杯と行くか。イデくん、乾杯の音頭を」

イデ「待ってました!ひゃー!皆様グラスをお手に!」

そしてみんなグラスを掲げ

イデ「かん」

犬提督「ヒャア!我慢できねえ!乾杯だ!」

みんな「かんぱーい!」

イデ「んもう~!」ダバダバ


それからはもうどんちゃん騒ぎっぽい!
天龍さんは武勇伝を語ったりしてたの。
ろれつ回ってなかったけど。

天龍「おりぇはまりゃよっへなひ。ひょんなのあのケンカにくらへりゃ」

電「だ、大丈夫なんですか?」

龍田「天龍ちゃんお酒弱いから~。電ちゃんは何を飲んでいるのかしら~?」

電「ジムビームなのです」

龍田「そ、そう(渋い……)」

電「酔いなんて覚めなきゃいいのです」ドヨン

龍田「(酔っぱらうと暗くなるのね~)」

夕立「スカートの横が空いてるのはそこから隠し腕が……?」

明石「隠し腕……その手が」

大淀「やめましょうね。」

よくよく見たら提督さんと鳳翔さんがなにか話し込んでたり


犬提督「あと二人ほど欲しいもんです」

鳳翔「そうですね、ってあらやだ。定時過ぎたのについ敬語だを」

犬提督「できればもうちょっとだけ敬語でお願いしますね」

鳳翔「はいはい、それじゃあ『卯月』か『島風ちゃん』が来たら解禁で」

犬提督「あー、か……鳳翔さんがそういうと来そう……」

鳳翔「うふふ……」

オトナな関係?には見えないけどなかがいいみたい。
長年の付き合いみたいな

イデ「夕立ちゃんグラスが空いてるけどなにかのむかい?」

くっそwwwww
割烹着似合うなこのひとwwww
なぜ着てるのwwwwww

夕立「ビールで!イデさんはいいの?」

イデ「見たらわかるでしょ~」

真っ赤っぽい
しかたないね

イデ「ここはいいとこでしょ~」

夕立「来たばかりだからなんとも言えないけど悪くはないね」

イデ「景色はいい、食べ物美味しい最高だね」

夕立「でも軍艦はいれるようなところじゃないのになんで鎮守府が?」



イデ「入れないからこそ、なんとかしなきゃいけないところがあるんだ」

夕立「え?」

犬提督「あとでわかるさ」

夕立「提督さん?」


……こころなしか二人ともシリアスっぽい?
その空気を察したのかみんな静かになったの


天龍「あー……頭いてえ。で、提督さんよ?そろそろ教えてくれよ、この鎮守府の役割をよ」

酔い覚めるの早いっぽい!
すげえ

龍田「聞いた限りだと他の鎮守府の支援がメインとは聞いたわ~。東北の海は深海悽艦がほぼいないって聞くし」

龍田「そんなに大きなことはしないとは聞いていたからてっきり左遷かと思ったけど……」


天龍「それにしては妙なんだよなぁ。なんとなくだけどな」

電「司令官さん?」

提督さんは黙り混むとピンっと指をならしたの
どうやってならしたんだろう……

すると隅に置いてあったカラオケのテレビに映像が映って……



天龍「な、なんだこりゃ!?」

龍田「まぁ……」

電「ひぃ!?」

夕立「これって……」

そこに映っていたのは
海底の大きな岩から上半身だけ出している深海悽艦だったの。
身動きひとつせず、まるで眠っているかのようにすら見えたわ。



犬提督「こいつは数年前東北を襲った震災の際に発見された海底洞窟で見つかったんだ。海底洞窟ができたと言うことは公式で発表されていないがな。」

イデ「真下に深海悽艦がいるなんてバレたらパニックになるしね」

犬提督「松島に海底洞窟はないはずだったが、あの地震で入り口が開いたのかもしれない。こいつは元々いたのかそれとも忍び込んだか……」

犬提督「僕たちの任務はこいつの監視、及び東北にせまりつつある深海悽艦の攻略だ」

電「東北に迫っている?!」

犬提督「イデくんの調べで東北沖を偵察する深海悽艦が徐々に増えているらしい」

イデ「質もね、駆逐艦だけじゃなくなってきたし」



犬提督「とりあえず明日は作戦指令部を案内しつつ我鎮守府の旗艦を紹介しよう。」

みんなしんと静まり返ったわ。
私は頭をとんかちで叩かれたかのような衝撃をかんじつつ







素敵なパーティの予感を感じた。

昨日の宴会で犬提督のヤローに爆弾発言されたあと、
みんなそれぞれ部屋に戻っていった。
俺はというと残ったビール瓶かっぱらって部屋で飲んでた。
とはいえ、この鎮守府は酔っぱらっても覚めてもおかしな鎮守府みたいだ。


天龍「あ~にしても頭いてえ……今何時だ?」

龍田「7時よ~天龍ちゃん。ねぼすけさん。」

天龍「ぬわっ!?龍田!?いつの間に!?てかなんでベッドのしたにいんだよ!?」

龍田「ふふふ~」

天龍「こえーな……ところで今日はこの鎮守府の旗艦を見せるとか言ってたけどよ……」

天龍「旗艦っつーとあれだろ?PUKAPUKA丸みたいなやつだろ?」

龍田「そうねー。提督が本営にいくときに使ったり、艦娘の支援のために使う船よね」

天龍「なんか説明口調なのはいいとして、ここらへんにでかい船は港に止まってなくねーか?」

龍田「遊覧船はあるけど……近くの違う港にあるとか?」

天龍「まさか……潜水艦とかじゃないだろーな」

龍田「旗艦サイズの潜水艦だったりして」

天龍「まさかねーよな……」


飯を食うため食堂に来てみると鳳翔さんが飯を作ってた。

……なぜか犬提督も手伝ってた。


犬提督「おはよう朝御飯」

鳳翔「おはようございます。天龍ちゃん、龍田ちゃん」

天龍「お、おう(割烹着……)」

龍田「(しかも怪我入らないようにしてるのか手袋とかまで)」

天龍「(龍田、直接脳内に!?)」

犬提督「夕立や電はもう食べてしまったから……というかお前ら遅すぎィ!」

天龍「あー…わりぃ、寝ちまってた」

龍田「天龍ちゃん、寝言でアルバコアになんかにまけねーって言ってたから心配だったわ」

天龍「え、まじで?」

龍田「(ウィンク)」

天龍「(フォローか、サンキュ)」

犬提督「ならしかたないな、後天も先天も船の夢を見るしなぁ」

船の夢はその艦が戦時中に経験したことをフラッシュバックすることなんだ。
俺の場合、にっくきアルバコアに沈められる夢が悪夢だった。

犬提督「僕の同期にアホなアルバコアの男の艦娘がいるからそいつを今度呼んできて殴るといい」

天龍「アルバコアで男のかんむすいたのかよ……」

龍田「それはお礼参りしなきゃぁ」ニッコリ

犬提督「さあ、この朝食セットを食って9時には鎮守府前に集合するんだ」

天龍「ああ、わかった」

龍田「あら~おいしそうね」

鳳翔「今日はバターロール、オムレツ、野菜スープにヨーグルトにしてみました」

犬提督「パンは僕が作った」

天龍「あ、うめぇ」

鳳翔「昔からパン作りが得意で……あっ、あらあら朝市が始まってしまうわ。私はこれで。」

犬提督「洗い物は僕が洗っとくからな」



龍田「(昔から……?)」


そうこうしてるうちに9時近くになったので外に出た


夕立「天龍さーん」ブンブン

電「はわわ……」


夕立が手を振ってる
ってか声でけーよ!


天龍「ちょ、声でけーよ!」

これには野菜を運んできたであろうおっさんもニコニコ

配達のおじさん「元気がいいね~」

龍田「どーもー」

天龍「くそっなんかはずい……」

そしたら俺の背後かも騒がしい声がしてきた。


イデ「うわー、ゆっくりしてたらもう9時だ!急がなきゃー!」

配達のおじさん「あわててるねえ野菜は裏においとくよ」

イデ「ありがとう!あいてっ!足首捻った!」

大丈夫か……?こんなノリで


やがて犬提督がなんかリストバンドらしきものを全員分持ってやってきた。

犬提督「それをつけたら空いてる駐車場のスペースに一人一人配置につけ」

天龍「お、おう?」

電「わかりましたのです」

夕立「ぽい!」

みんな言われた通りに配置につく。
何が始まるんだ?

龍田「ひょっとしたらこのスペースが滑り台みたいになって地下に行くとか~?」

天龍「えっ、なにそれかっけぇ」

夕立「まさか~」

電「そしたらヒーローものみたいなのです!」




犬提督「そうだよ?」

みんな「え?」


犬提督「抜錨!とさけぶん」

ガコン!

みんな「ええっ!?」

犬提督がそう言うと駐車スペースが地面に傾き、
吸い込まれるように落ちていった

……ま、まじかよ?

夕立「うおー!こりゃすごい!抜錨!」

ガコン!

夕立「ぽーーい!」

電「はわわっ!?夕立さんが!ば、抜錨!」

ガコン!

電「ひにゃー!?」

龍田「うふふふっ、面白くなってきたわね~ 抜錨!」

ガコン!

龍田「先に行ってるねー」

天龍「た、龍田ぁー!」


おいおいまじかよまじやべーぞこれ、
かっけー!ど、どうするよ俺!
と、とりあえずポーズだな!
よっしゃあ!

天龍「はぁ!」

シャキーン

天龍「天龍!水雷戦隊!出撃するぜぇ!ばつ」

イデ「かっこいー!」


…………

いたのかよ


いたのかよおおお!

天龍「あとでぶっとばす!抜錨!」

ガコン!

イデ「そんなー!?ば、抜錨!」

ガコン!

天龍「うおおお!」

すげえスピードで地下へ向けて滑っていく、
ある程度滑り落ちると光っている床の地点を通過した。
そのとき、いつのまにか艤装が俺の体に装着されたんだ!
すっげ!なんだこれ!

整備妖精「イデ君と私たちが作り出した仕掛けだよー」

天龍「そ、そうか」(いつの間に…… )

整備妖精「メダ○ットみたいにパーツがワープして装着するんだー」

天龍「な、なるほど…」

整備妖精「ほら、そろそろ出口だよー」

天龍「おっしゃあ!」

終点の穴から勢いよく飛び降りた俺はとりあえずかっこよく着地した!

天龍「天龍さまの登場だぁ!」

龍田「やっほ~天龍ちゃん」

電「10点満点なのです!」

夕立「かっこいいっぽい!」アカメシロマフラー

犬提督「おっそうだな。」

天龍「ちょっと待て夕立お前どうしたその見た目ー!?」

雰囲気的にここが作戦司令部なのはまあわかる。
みんなそれぞれ椅子に座っている。
なんか夕立が、かっこいい

ナンデダ!?

夕立「あっ……えっとさっきの話の続きなんだけど」

犬提督「なんで改二になったのを隠していたかだったな?」

夕立「うん…」

い、いきなり話がとんだなおい……

龍田「艤装をつけた瞬間、夕立ちゃんの見た目があんな風になったの」

天龍「そ、そうなのか」

夕立「まさか戦闘モードなるときに余計な装備とかは回収されるとは思わなくて……」

電「改修された艦娘は姿形まで変わるとは聞いたのですが……」

天龍「変わりまくりだな……」

夕立「っ……みてのとおり赤い目でさ、なんだか目付きも怖くなって、てーとくさんをビックリさせたくなくて……」

犬提督「夕立……その白いマフラーまだ持ってたんだな」

夕立「う、うん!アメリカいたとき苦しいときも貰ったこれを見ててーとくさんの下に行って役に立てるよう頑張ったの!」

犬提督「僕の冬毛だからあっついのにな……」

夕立「でも戦闘用の装備として認識されたっぽい……?」

犬提督「夕立、二つ言っておく」

夕立「な、なに?」


犬提督「姿形が変わろうと夕立は夕立だ気にするな。」

夕立「!」


犬提督「あと、その、うん。ありがとう」プイッ

夕立「てーとくさんっ……ありがとう!」

なんだよ……
俺、俺よぉ……こういう話よえーんだよ!

天龍「へへっ、しめっぽくなっちまったな」

電「はわわ!鼻水が出てるのです!」

犬提督「キタネー 水雷戦隊!キタネー」

天龍「みてたのかてめえええ!」

龍田「うふふ♪」


犬提督「さて、気を取り直してようこそ作戦司令部へ」

イデ「グスグス チーン ビックリした?これはねー、あるゲームを参考にしたんだぁ」

い、イデさんももらい泣きなのです……
あるゲーム?サ○ラ大戦でしょうか……

夕立「すごいシステムだけどなんで地下にあるっぽい?」

犬提督「まず情報漏洩を防ぐため、海底のアイツ関連とかは特にな。」

イデ「おおっぴらにできないから地下の関係者以外来れない場所に配置したんだ」

徹底した秘密主義はさすが元特警なのです!
ただ滑り台でちょっとおしりを擦りむいたのです……


犬提督「そして旗艦を配置してるのがここなんだ」

電「ええっ!?」

天龍「マジかよ!?やっぱり潜水艦か!?」

龍田「あまり好きじゃないのよねー」

夕立「秘密兵器っぽい!?」

犬提督「松島の景観を壊さないためにとヤツが目覚めたら対抗するためとイデくんと僕の趣味のためにできた」

最後ー!?
最後なんか余計なのです!

犬提督「それがこの!」

司令官さんの頭上のモニターに映像が映りだしたのです!
こ、これは!

犬提督「潜水戦艦! 大白鯨だ!」



天龍「いやいやいやいや!?ちょっとまて!」

夕立「せ、戦艦がそのまんま海底にあるっぽい!?」

龍田「よく見たら戦艦にバリアーみたいなものが張られてるわ……」

イデ「ふっふっふ、この鎮守府が、建てられると同時に僕と妖精さんたちが頑張って作ったのさ!」

犬提督「なんか本営からはじめは軽巡並のでかさのヤツもらってあとは好きにしろと言われたからこうした。」

イデ「本営はここにあまり装備を渡したがらないですしね……」

犬提督「まったくだ。そしてイデくんの説得にのった妖精さんたちがノリノリでがんばった」

整備妖精「だってさ!あんな設計図見せられたらどぅばどぅばだよよだれ!」

天龍「お、おう……」

整備妖精「あと名前の通り鯨みたいに変形できる」

電「なんで!?」

イデ「空母みたいに戦闘機を着陸させるスペースを作るために鯨みたいに背の部分が平らにできるのさ!」

電「はわわ……」

犬提督「やるならこれくらいしなきゃ!」

そう語る司令官さんは子供のような目をしていてほほえましかったのです。
元特警とは思えないくらいユーモアにあふれていたのです。

天龍「かーっ!燃えてきたぜ!なぁ犬提督さんよ!早速こいつに乗らせてくれよ!」

犬提督「それは待て」

天龍「なん……だと……」

犬提督「今回は顔合わせみたいなものだからな。まずは訓練や演習をして経験を積まないことには無駄死にだ」

天龍「えー……」

犬提督「戦いたいのはわかるが真っ先に沈みたくないだろ?ポーズを決めて」

天龍「ポーズはもういいだろ!?」

龍田「まぁまぁ」

ギャーギャーと騒ぐお二人をなだめる龍田さん、
そしてこっそり隅っこで嬉しそうにマフラーをいじる夕立さん。
みんなイキイキしてるのです。
……できればこの松島に深海悽艦が来なければいいのになぁ……





松島からかなり離れた沖

漁師A 「今日も大量だなやー」

漁師B 「んだなー。しかし海の化けもんがほんとにここら辺出るのか?」

漁師A「海軍とこのにいちゃんがくれたレーダーにもかからんべよ」

漁師B「やっぱいないんじゃねか?まぁ、数年前の大震災みたく、船の娘っ子がいたら救助とかしてくれるから無駄じゃねーしな」

漁師A「だなー。」

ビー!ビー!

漁師A「レーダーに反応!?」

漁師B「んだと!?おだづなよ!?(※大体ふざけんなよという意味)」

???「キシャアアアア!」

漁師A「にげっぞー!」

漁師B「おう!」

ゆっくりとゆっくりと
怪物たちは近づいてくるのであった

夕立

バレバレだが実は改二。
アメリカにいたとき戦艦の人に"鍛えて(パワーアップ)"もらったらしい。
マフラーは犬提督製の餞別。

天龍

テンションマックス。
敵と遭遇したらどんな名乗りあげるか模索中

イデくん

彼いわく。
ドリルもほしかった。
やっぱサク○大戦は花組でしょとのこと

犬提督

パンも作れる犬提督。
二足歩行で。


イジョー

鎮守府旗艦大白鯨の見学が終わったあと、
各人で模擬戦を行うために鎮守府敷地内の訓練場に来ていた。

俺はアメリカでめっちゃ鍛えたっていう夕立と、龍田は電と一対一で戦うことになった。

犬提督「えー、まず君らに一言。艦娘の利点は人型だということ難点もそうだがな。」

犬提督「逆に深海棲艦もほぼ同じと言える。つーか艤装以外生身の生物。」

犬提督「だから天龍のなまくらそーど……」

天龍「おいおい、俺のこの武器は黒龍丸といって」

犬提督「材質が鋼の剣にその名前はもったいないぞ」

天龍「うっせ!」

犬提督「ダマスカス鋼のやつほしいならイデくんに頼めばいいよ」

天龍「だ、ダスコダガマ?」

龍田「ダマスカスよ~。錆びにくすぎる鋼なの~でも製法は失われたはず……」

犬提督の隣のイデさんがすごいニコニコしてる……
マジかよこの人。

イデ「いやぁー、妖精さんのお陰ですよー」

犬提督「唯一地球上に残ったダマスカスの柱を研究させたらコレだよ!」

イデ「製法はいずれ公開するつもりさ!」

電「ネジとかに応用できたらすごいのです……」

夕立「それはいいとして早くドンパチやりたいっぽい!」

天龍「ドンパチ……」


犬提督「まあ、とりあえずさっきのくじで決めたもの同士で戦うことになるが……電!」

電「はひぃ!?」

犬提督「お前は僕と二人で一人分だ。」

電「え、ええっ!?司令官さんもですか!?」

犬提督「復帰したばかりで戦いかたも忘れかけてるだろうし僕も手伝おう。いいか?龍田。」

龍田「あら~合法で提督を毛狩りできるわ~」

犬提督「えっ、なにそれは……」(ドン引き)

電「でも司令官さんはただの?犬さんじゃ……」

犬提督「フフフフ……デットエンドシュート もとい。フフフフ」




犬提督「実は僕は珍しい男の艦娘なんだよ」




やっぱりかー。
てかデットエンドシュートってなんだ?
かっけー!

龍田「あらあら、やっぱり」

電「ええええ!?」

夕立「な、なんだってー!」

天龍「なあ夕立……お前俺より練度あるっぽいのに気づかなかったのかよ……」



夕立「頭のなかはていとくさんLOVEとそれ以外のクソ提督皆殺しと友達と遊ぶことで一杯で」

龍田「…………」

天龍「お、おう……」

犬提督「夕立ーとりあえず髪の毛を緑に染めて、白のワンピ着て緑川ボイスの男と交流したくなかったら落ち着け」

夕立「髪型しかあってないっぽい!?」

イデ「あのぴょこんとした髪ね。あれ?先輩そっぽむいてどうし……あ!まさか照れて」

犬提督「抜錨!……抜錨!」

イデ「あっ、はいはい今取り付けますね」

トテテテとイデさんが犬提督の体に艤装を着けていく。

そしてその姿は……

犬提督「ドーモ、ミナ=サン。テイ=トクです」

全身を黒装束で包む、ニホン特有のアサシンスタイル。
ニンジャ……俺たちの脳裏にその言葉が浮かぶ。

前両足には研ぎ澄まされたナイフが光り、背には……
おお……ゴウランガ!
背には 61cm五連装(酸素)魚雷がミニサイズなれどその威風堂々とした姿をみせつけ、
砲塔には丸に『イデ』の二文字!
ブッダよ!寝ているのですか!
こんな魔改造ができる怪物をあなたは見過ごしたのですか!

龍田「天龍ちゃんしっかり!おかしな地の文になってるわ」

天龍「あ、ああ……」

夕立「アイエエエっぽい!」

犬提督「見た目の通り『潜水艦だ』よろしく」

龍田「まあ!それはやりやすいわ~」

龍田は潜水艦嫌いだからな…
顔ひきつってる……

犬提督「それじゃ訓練用プールにいくぞー」

犬提督「よドン!」

シュタタタタタ

天龍「よーいどんじゃなくて!?つかはええ!」

訓練用プールは学校のグラウンド位はある広さだった。
俺に対峙する夕立はおいっちにと準備体操をしている。

電と犬提督は何やら相談している。
電はえーっとこえをあげていた。


天龍「へへへ、アメリカ帰りの力見せてもらおうか」

夕立「そのおっぱいをもみたい そのおっぱいをもみたい!」

天龍「二回いうな!」

イデ「それではスタートまであと5!」

犬提督「手はず通りに」

電「が、がんばります!」

イデ「4」

龍田「(艤装が魚雷一つ……怪しいわ。本当にただの潜水艦?)」

イデ「3」

天龍「天龍様の実力見せてやるぜ!」

イデ「2」

電「わたしだって……戦えるのです!」

イデ「1」


夕立「さあ、素敵なパーティしましょう!」


イデ「スタート!」


はじまっ


夕立「ぽいぽいぽい!」

天龍「なっ!?」

俺の両サイドめがけて魚雷を打ってきやがった……
いや、ちがう!ばらまいてきやがった!
着水した魚雷は水を得たさかなのごとく動き出す!

正面に行ってさっそく艦娘の利点をつかわせてもらうぜ!

天龍「うおお!」

両サイドには目もくれず、夕立の懐に切りかかる!
それがいけなかった。

夕立「向かってきたね!」

夕立が懐から顔がペイントされた魚雷を取り出す、
かまうか、発射する前に斬りかかる!

夕立「天龍さんがまえにくるなら」

夕立「夕立も前に出る!」

ギュイイィン!

天龍「なっ、ぶつかんぞ!」

しかも片手には魚雷!
ぶつかったら爆発する!

天龍「わっ!バカっ!」

夕立「やあ!」

ガキィィィン!


刀が魚雷に当たって……爆発しない!?


夕立「信管ないんだこれ」

しまった!

夕立「脇腹ぁ!」

ヒュッ!ゴッ!


天龍「うげぶっ……!かはっ……」

夕立の重い鋭い膝蹴りが俺の腹にめり込む。
反撃に出ようと体勢を整えたとき、奴は俺の横をかけぬけていった。

夕立「ヒットアンドアウェイ!深追いはしないよ!」

キュインッと俺の方に向き直り今度は俺めがけて魚雷を撃ちながら後退している。
はじめの一撃で動きを鈍くさせてから魚雷で攻める。なるほどやりやがる


天龍「面白くなってきやがった!ははは!」

電「え、えい!えい!」

ドォン!ドォン!


龍田「あらあら~ちょっとめざわりかしらぁ?」

ガイィン!

自分めがけ飛んでくる弾をはじいていく。
足元や頭などなるほど狙われたら萎縮してしまうところね~

電「ご、ごめんなさい!」

龍田「いいのよ~敵にそう思わせるということは効果があるということだもの~」

そう言いつつ電ちゃんに砲撃と魚雷で同時に攻撃する。
察した電ちゃんは砲撃を避けたけど魚雷に気がついていない。
まずいわ、あれじゃもろに


ドドーン!

電「ひにゃあああ!?」

食らうまえに彼女の目前で爆発をしたわ。

ふう、ギリギリだわ~。
さっきから潜っている提督が自分の魚雷で撃ち落としたのね……

龍田「しかしどうやって襲ってくるのかしら……さっきから魚雷並のスピードで私のまわりをぐるぐる回っているわ……」

艦娘特有のソナー(第六感ともいうかしら?)
で索的するもさっきから本当にぐるぐる回るばかり……
あら?撃ってきたわ!

龍田「でもざ~んねん当たってあげないわ~」

ドドーン! ドドーン!

当たるすれすれで魚雷を避ける。上手く緩急をつけて相手は撃ってきているけどまだまだいけるわ。

電「あのリズム……今なのです!」

ガチャ バシュバシュバシュ!


龍田「魚雷を一斉に撃ってきたわね~ 」

カットイン射撃ともいうべき魚雷の一斉攻撃が私めがけて繰り出されたわ。
私が提督の攻撃に気を取られてる隙にというやつかしら?
なかなかいいアイデアだけど

龍田「まだまだね?」

電「ああっ!?」

これも当たるすれすれで避ける。
私のすぐ背後で魚雷の爆発による水柱が上がる。

龍田「ようし、反撃するわ……」


ソナーに異常かしら?
上空に反応?しかもこれは……

龍田「提督」

バッと上空を見上げると刃を構え、
魚雷の砲塔をこちらに向け、両前足を降り下ろそうとする提督が落ちてきていた。

あの一斉攻撃の際に生じた水柱に隠れて飛び上がったというの?
こわいわ~

犬提督「せいやぁぁぁぁぁ!」

バキィ!

龍田「くっ……艤装が……」

提督は私の艤装に一撃を食らわせたあと、落ちる勢いを殺さず潜っていった。
うふふふ……天龍ちゃんじゃないけどやられっぱなしは性に合わないの。
私は辛うじてまだ動く魚雷の照準を潜っていく提督にあわせ

ガチャ

龍田「あ、あら?」

電「す、すいません龍田さん。私たちの勝ちなのです」

龍田「あらあら……2対1なのを忘れてたわ~」

背中にごりっと砲塔の感触を感じ、私は両手を上にあげた。


ドック

夕立「いやー、天龍さんいいおっぱ……パンチしてたっぽい」

天龍「お前俺がのびてたときなにしてやがった……」

龍田「セクハラはダメよ~」

夕立「許してほしいっぽい!」ガタガタ

訓練が終わってみんなでお風呂なのです!
久々に戦ったけど司令官さんのおかげでうまくいったのです!
それにしても夕立さんがすごく強かったのです……


電「それにしてもさすがに四人だと広すぎるのです」

天龍「だよなー。四人だけだしなー」

夕立「てーとくさんも入ればいいのに」

龍田「オスだからだめよ~ ところでどこにいったのかしら~擦り傷くらいはしたからドックにいるかなと思ったのに~」

ふとVIPが使うというドックを思い出しました。
あそこを密かに使ってるとか?


夕立「あー、戦艦辺り来ないかなーそしたら…ふふふ」わきわき

天龍「めがこえーよ淫獣かよお前は!」

夕立さんがおっぱいマスターに目覚めているのです……




犬提督「やっばり久々に戦うときもちがいいな」

チャプ……

犬提督「ふう……」


メキメキメキ

犬提督「おーいいお湯……」


犬提督「さすがに彼女らと入るわけにはいかないしな」

ギチギチ メキッ

犬提督「生き返る~……」

つづく

次回からまたキャラ増やすかな…

コネタ

オーバーテクノロジー・イデ

天龍「しっかしこの大白鯨、大砲が見当たらねえな。まあ潜水するからしかたねえか」

イデ「ほんとは取りつけられるけど、海中から砲撃する技術があるなんて知られたら他の軍にも知られちゃうからね」

天龍「え」

イデ「あまりにもオーバーな技術は最終的に破滅を生むからね。しかたないよ」

イデ「そのかわりに艦自体には理論上原爆に耐えられるバリヤーが張られるし」

イデ「バリヤーを利用して体当たりとかもできるよ!」

イデ「あとはドリルなんだよなぁ」

天龍「な、なあ。さすがにバリヤーは妖精が考案したんだよな」

イデ「いやいや、ぼくだよ」

天龍「アンタいつか拉致られんぞ」

イデ「に、にかいほど……」

天龍「マジかよ……」

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