霊「私って死んでるんですか?」男「うん」 (47)

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            ヽ:∨〈 7 ̄ T   l  r'
              リ   ト'⌒ーァ≠r-' ̄!
               |ニニ/  lニニi!
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霊「でもお腹空くんですけど」モキュモキュ

男「霊って言っても色々あるからね」

霊「色々ですか?」ゴックン

男「うん」

霊「じゃあ私は一体」スッ モキュモキュ

男「とりあえず僕のたこ焼きを食べるのやめてください」


男「そもそも霊っていうのは基本的に残留思念なんだよね」

霊「残尿尿瓶?」

男「・・・」グリグリグリ

霊「痛い!痛いです!何で霊に触れるんですか!?痛いです!」

男「はぁ」

霊「DVとは酷いです・・・」


男「まぁ話を戻すと、霊っていうのは死んだ時の想いがその場に残った物なんだよ」

霊「魂が幽体離脱したとかじゃないんですか?」

男「じゃあ聞くけど、魂は人間のどこにあると思う?」

霊「えっ、えっと、やっぱこう身体全体とか心臓とか頭とか・・・」スッ

男「まぁある意味脳がそれに近いのかもしれないけどね、でもそこじゃないんだ」

霊「なふほほほー」モキュモキュ


男「そもそも万物全てに魂があるんだとしたら、人間というか生き物なんて色々な生き物の集合体だからね」

霊「ゴックン あー!知ってます!寄生虫とかウィルスとか凄まじくうぞうぞしてるんですよね!」

男「まぁその認識でもいいけど、魂が霊だとするなら、この世の中は霊だらけになってしまうからね」

霊「ハッ・・・そうか、男性の精液が日々消化されるとしたら、その魂や霊が、燃えるゴミとして京を超える酷い怨念を生み出したり!」

男「どこでそんな知識を得たんだよ」

霊「モキュモキュ」


霊「つまり生き物の思考や思念が残った物を色々端折って霊もしくは幽霊って言うわけですね」

男「正しく言えば、その時その場所で残ってしまった強い思念だね」

霊「強い思念・・・」

男「その場で思った強い想いが残留思念を、霊を生み出すんだ」

霊「ということは自殺とか事故とかの、突然死ぬ事が、霊を生み出しやすいんですね?」

男「うん」


男「そして、死の概念というのは、基本的に人間しか持っていない」

霊「そうなんですか?よく猫が飼い主に死ぬ姿は見せないって言いませんか?」

男「それは場合にもよるけど、まともに動けなくなったと判断して、動かずとも迎え撃つ事が出来る場所に移動して、そのまま死んじゃうだけなんだ」

霊「何か現実的ですね・・・」

男「反対に犬は信頼出来る人や仲間の近くで休もうとするんだ。まぁこれもそのまま死んでしまうんだけどね」

※稀にですが、死ぬような病気や怪我じゃなくても、入院させたら突然衰弱して死んでしまう犬がいるそうです。環境の変化もありますが、飼い主の元を離れる心細さがそうさせてしまうとか。


霊「ちょっと待って下さい」

男「うん」

霊「じゃあ私は何なんですか?」

男「この場の残留思念、所謂、霊だよ」

霊「でも物だって食べられますし、あなたと話す事だって出来ます」

男「・・・」


男「じゃあちょっと場所変えようか」

霊「え・・・」

男「ここ暑いしね」

霊「いや・・・」

男(まぁ移動出来る霊も多いんだけどね)

霊「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぃ」









「嫌あああああああああああああああああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァッァァァァァァァ!!!!!」


霊「・・・」

男「落ち着いた?」

霊「・・・はい、すみまぜん・・・」

男「お気になさらず」

霊「・・・・・そっかぁ」

男「・・・」







「私、・・・死んだんだぁ・・・」


男「じゃあ今度こそ場所変えよっか」

霊「えっ、えっと、その」

男「あぁもちろんそのまま移動するわけじゃないよ」スッ

霊「え?あ、手すべすべですね」ニギニギ

男「・・・差し出しておいてあれだけど、躊躇いなく握ったね」

霊「?」


霊「お、おお、おおお・・・移動出来ます!」テクテク

男「手を離したらさっきみたいな恐怖感に襲われるから気をつけてね」

霊「は、離さないでくださいね!!」ブンブン

男「そう思うなら激しく動かさないでね」

霊「って、この状態だとたこ焼きが食べられません!」

男「歩きながらは行儀悪いから駄目。っていうかまだ食べる気だったんだ」


男「この辺なら涼しくていいかな」

霊「ではたこ焼き! あっ!・・・あれ? 手を離しても平気みたいなんですけど・・・」

男「あー多分だけど、僕に取り憑いたんだろうね」

霊「言われてみるとあなたから離れるの怖いです」モキュモキュ

男「食べながら言われると感動もあったもんじゃないね」

霊「ゴックン・・・って大変です!けっこう近くじゃないと怖いです!」


男「まぁその辺は大丈夫じゃないかな」

霊「・・・?あれ?身体が・・・」

男「死んだことを自覚したから、自分が霊であることを自覚したから、現実とのつながりが薄くなり始めてるね」

霊「そうみたい、ですね」

男「怖い?」

霊「いえ、どっちかというと心地良い感じです」


霊「でもあれですね。不思議です」

男「不思議?」

霊「どうして私はこの世にいるんでしょう?死んではいますけど」

男「時期的な問題じゃないかな」

霊「時期・・・・・・・あ、お盆!!」

男「まぁ微妙に過ぎてるんだけどね」


霊「なんか、今なら成仏出来る気がします!」

男「たこ焼き食べて満足したみたいな感じだね」

霊「美味しかったです!」

男「お、おう」

霊「では」

男「じゃあね」


妹「遅い」

男「色々事情があったんだよ」

妹「お前の事情なんか知らない・・・って!たこ焼きは!?買って来いって言ったでしょ!!」

男「食べられちゃったよ、君のお姉さんにね」

妹「はぁ!?まったく使えない犬ねって」

妹「・・・・・・・・・・・・・今、・・・・・・・・・・・何て?」





「食べられちゃったよ、君のお姉さんにね」


妹「お前ふざけんなよ!」グイッ

男「近い近い」

妹「言い訳にしても冗談にしても質が悪すぎる!!!!」

男(あー、普通に忘れたって嘘つくべきだったなぁ)

妹「財布、出しなさいよ。あのお店!レシートあるでしょ!!あんた男の癖にレシート残しておくの知ってるんだからね!!」

男(ってどの道これでバレるか)


男(我ながらレシートを財布に残しておくのは男としてあれかなぁ)

妹「・・・・・・・・・・・・・・・どういうこと?」

男「言葉の通りだけど」

妹「じゃあ、何、お姉ちゃんは、幽霊か何かで残っててアンタに会って、私のたこ焼きを奪ったっていうの!?」

男「うん。まぁついさっき成仏したんだけど」

妹「・・・」※妹は霊の妹 男と妹は他人


妹「お姉ちゃん、どんなだった?」

男「たこ焼きを奪われるとは思わなかった」

妹「・・・」クンクン

男「近い近い」

妹「アンタは食べなかったのね」

男「普通に昼ごはん食べたし、このあと夕ごはんだし」


妹「そうじゃない!!お姉ちゃんはどんな様子だったの!?」

男「死んだ事に気づいてなくて、死んだ事に気づいたらそのまま成仏」

妹「・・・・・・・・・・・それだけ?」

男「うん。信じようが信じまいが自由だけど」

妹「信じられない。けどアンタが嘘つけないのはもっと信じられない」

男「信頼されていることで」


妹「ねぇ」

男「何?」

妹「お姉ちゃんもアンタもあたしの事恨んでないの?」

男「どうして?」

妹「だってアンタはあたし助けたせいで、野球がもう出来なくなったんでしょ!!!」

妹「お姉ちゃんは、あたしを庇って死んじゃって!!!」


妹「お姉ちゃんは、あたしと違って頭良くて、良い高校や大学行けそうだったのに!!!」

妹「アンタだってあたし助けなきゃ、強いとこでエースになれたんでしょ!!!」

妹「バカ!バカバカバカバカバカ!!!バカばっか!!!!」

妹「あたしみたいなのなんか見捨てろよ!!!」

妹「あたしなんか放っとけよ!!!」

妹「うううううううううううううううううううううううぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!」ギュッ


妹「・・・どうしてあたしの事助けたの?」

男「成り行きというか、助けられそうならとりあえず助けると思うけど」

妹「自分の選手生命を犠牲にしてまで?」

男「まぁ僕自身がしばらく意識取り戻せなかったのは大失敗だったけど」

妹「どういう意味?」

男「もし僕が行動出来たなら君を守れたからさ」


妹「・・・・・・・・・・・・」

妹「前にお姉ちゃんがね」

男「うん」

妹「無理矢理にでも一緒に住んでれば、もしくはパパとママを無理矢理でも別れさせなければ一緒にいられたのにねって・・・」

男「うん」

妹「そしたら、あたしを守れたのにって・・・」


妹「本当に霊が見えたのに誰も信じてくれなかった」

妹「友達だと思ってた子も離れて行った」

妹「そもそも霊はほとんど禍々しくて怖くて」

妹「命を頂戴 生きててズルい お前も来い」

妹「死ね 死ね 死ね 死ね 死ね 死ね」

妹「誰も信じてくれなかった 誰も守ってくれなかった だから言われたように死のうと思った でもアンタに助けられた」


妹「頭のおかしい子が将来有望な子の将来を潰した」

妹「ママからも 近所からも 学校からも 知らない人からも そして周りの霊達からも」

妹「お前が殺した お前が死ねば良かった オマエハナンデマダイキテイルンダ」

男「何とか、間に、合ったかぁ・・・」

姉「えへへ、間に合って良かっ・・・」

妹「・・・何であたしは生きてるの?」


男「今はどう?」

妹「・・・死にたい、でも死にたくない」

男「うん」

妹「もしアンタやお姉ちゃんがあたしのことを恨んでるならすぐにでも死んでる」

男「残念ながら僕もお姉さんも恨んでないなぁ」

妹「お姉ちゃんはもう死んじゃったからまだわかるけど、何であんたは恨まないの? パシリにサンドバッグに命令ばっかしてるのに」


男「確かに小遣いが減るのは困るし、痛い思いや恥ずかしいやら辛いやらはもちろんあるけどさ」

妹「まさかドMとか言うんじゃないよな?」

男「一つ答えるとしたら」

妹「何よ」

男「ここのドアってけっこう中の音が漏れるんだよね」

妹「中の音って・・・・・・・・・・・・・・」





           「ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい 恨んでよぉ 睨んでよぉ 何で優しくしてくれるの・・・・」


男「さすがに廊下中に漏れてるわけじゃないけどドアの近くにいるとそれなりにね」

妹「・・・」

男「これからもし自殺するなら僕は止めない まぁ止めて欲しそうなら止めるけど 止めて欲しく無さそうなら止めない」

妹「・・・」

男「もう何度も自殺しようとして、その気力が無いけど、生きるのを辞めたいなら、僕が君を殺してもいい」

妹「・・・!」


男「ここ眺め良いよね」

妹「うん、凄く綺麗」

男「失礼ながら自殺未遂常習犯に与えるには危ないなって」

妹「ここしかまだ霊から守れて、霊を見ないで外を見られる部屋がないんだって」

男「いつ以来だっけ?霊がいない景色を眺めるの」

妹「5年ぶりくらい」


妹「・・・・・二人の将来を奪っておきながら、久し振りに綺麗な景色見ただけで死にたくないなんて」

男「あと霊の声や悪夢もでしょ?」

妹「・・・うん」

男「まぁ周りに理解者いなかったらそうなると思うよ。小さい頃僕も苦労したし」

妹「あの変人は今どこにいんの?」

男「確かこの前来たメールだと・・・」


『ハボローネに到着したわっ!!』

妹「どこ・・・?」

男「気になって調べたらアフリカ南部にあるボツアナ共和国の首都らしいよ」

妹「何でそんなとこに・・・」

男「聞いてみてもいいけど、多分理解出来ないと思うよ?」

妹「・・・知ってる」


男「そろそろ面会時間終わりだから帰るね」

妹「・・・明日は来られる?」

男「たこ焼き屋定休日だから買っていけないけどね」

妹「全部食べても虚しいだけだから」

男「お姉さんによく食べられてた?」

妹「うん、まぁ昔のあたしは全部食べきれないから別に良かったんだけど」


女「くっはー!!ちょっと面会時間過ぎたっていいじゃないのよぉ!!」

男「・・・」

女「あっダァリィーン!!」

男「誰がダーリンだ」

女「釣れないなぁ、そう思わない?」

霊「全くです。彼女こんなに美人なのに」


男「・・・あれ・・・何でいるの?」

女「そりゃあ結界の確認に決まってるでしょっ!私はダーリンがいたから乗り切れたけど、対抗手段を持たないで正気で入られるほど生易しいものじゃないのっ!!」

霊「私は死んでるからそこまで悪意向けられないですけど、なかなか禍々しいオーラを放ってますからね」

女「まぁあの子は怖がってまだ外に出られないみたいだけど、出たくなるまでにどうにかしないとねっ!」

霊「はい、お願いします!」

男「・・・」


霊「ところでどうやって乗り切ったんですか!」

女「私が拒否してもずっと側にいてくれたのよっ!それもトイレやお風呂までっ!」

霊「そ、それは恥ずかしくなかったんですか?」

女「確かに恥ずかしかったけど、ほら、お風呂とかトイレって背中が凄く怖いじゃないっ?でも側にいてくれたからこう安心して・・・ねっ?」

霊「な、なるほどっ!」

女「でも最近は一緒に入ってくれないのよねっ。まぁ確かに怖くはなくなったから問題は無いんだけど、洗いっことかしたいじゃないっ!」


男「君もだけど、そっちの幽霊さん、さっき成仏したんだけど」

霊「あ、私ですか!どうも妹が外を自由に歩けないみたいなので彼女さんに」男「彼女違う」霊「協力頼まれまして」

女「ふっふーん、天才美少女霊媒師たる私にかかれば、成仏した霊に協力を頼むなんて朝飯前なのよっ!」

男「・・・さいですか」

女「よし、ダーリン、ラブホ行っ」男「行かない」女「いけずぅ!」

霊「まっ、まさか妹に手っ」男「出してない」


妹「で、何で霊安室に連れて来られたわけ?」

女「人海戦術よっ!あれ?全員死んでるから霊海戦術っ?」妹「そこじゃない」

霊「この辺りは比較的未練ないけどなんとなく留まってる方が多いですからね」

妹「まさかとは思うけど、霊に常に守ってもらうとか言い出さない?」

女・霊「「えっ」」

妹(次に彼が来たら少しは労ろう。多分この二人を相手にツッコミ疲れてるだろうし)

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  ::/ニニニ /ニニニニニ__/   l /ィ斧心 ムイ   /  /l l  lニニl
 :.'ニニニ//ニニニニニニニ/' 7   l Vしクハ}   }  /  ムl- ミ  lニニl
 ' ニニ/ {ニニニニニl {/.′  lヽ{乂r_ノ  }∠斗匕  l l  lニニl

  二/   マニニニニニV .l    l            ィ心 リ /  ム二ト、
  /     ヽニニニニニ/ l     :l',        んクハ}ムイ   ムニノニム
.          `マニニ/  l     :l ',  __   ′乂rノ/   イニイニニl            おしまい
       >-‐‐‐-- {  l     :l } {  `ヽ>     ∠斗匕 ', ヽlニニニl
      /ニニニニニヽ ',   ノ ノ  ー ´    イ  .:l    ',  Yニニニl
     斗 ‐- ミニニニニ>r‐‐‐ < ヽ   _.. r</l  :l    l  l:::マニム
    人     ヽニニニ〈======〉 「 爪レ l /ニl  :l    l  l:::::マニム
      >、    マニニニ7--- r  { 77lニムイ二人  :l   ノ ノ::::::::マニム
     /ニニム    lニニニ/ .  ト、  .//´マニニニニニ>r ---<::::::::::::::マニム
    」ニ/ノ     ヘニニ〈  ′ lヽ X <  マニニニニ〈======〉::::::::::::::マニム
   ./ニ/       マニニム l:  lチュュヽ\ュュマニニニニニ7‐‐‐‐〈:::::::::::::::::::マニム
.  Yニ/        l マニ} l:   l=======ヽニニニ{  ′  V::::::::::::::::::マニム
  lニム           ヽ. `ヽ l:  リ -、 : : マ: : : : : :マニニl l:   V:::::::::::::::::::マニム
   マニヘ    ヽ         ヽl:/  ム : : i: : : : : : :lニニニl l:.    マ:::::::::::::::::::マニム_
   ヽニl.    }   __     ′ イ: : : : : i: : : : : : ムニニ八 ヽ     マ::::::::::::::::::マニム}
    /ニ}    、l`ヘ   `ヽ ` ̄`´ ̄ ̄`Yリ : : : : イニニl  ヽ \   マ、:::::::::::::::マ/
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 ニニニ/     爪ニニ=- 、   ∨ / : i : 〈八〉: : : :lニニニl     \. :.  マ
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