勇者(武闘家ちゃんと子作りしたいなあ……) 武闘家「?」(108)

武闘家「あの、勇者様?」

勇者「ああごめん、ちょっと考え事してた。まあ入りなよ」

武闘家「はい、お邪魔します。勇者様のおうちにお呼ばれするのは久しぶりですねえ」

勇者「そうだな。まあ、自分の家だと思ってくつろいでくれ」

武闘家「はい、ありがとうございます。じゃあわたし、お金に困ったらこの家を売ることにしますね」

勇者「いや自分の家だと思いすぎだろ。所有権まで譲る気はねえよ」

武闘家「えへへ、冗談ですよー」ニコニコ

勇者(ああもう、可愛いなぁ……今すぐ押し倒したい)

武闘家「譲る気があったとしても持ち主は勇者様のお父様ですしねえ。今日は、ご家族の方は?」

勇者「今日は全員出かけてて俺と武闘家ちゃんの2人きりだから、遠慮は無用だよ。やりたい放題できるよ」ムラムラ

武闘家「あ、お留守なんですか。でもはしゃぎすぎてまわりの物を壊したりしては迷惑ですから、おとなしくしておきますね」

勇者「どんな激しいプレイをすればまわりの物が壊れたりするんだ」

武闘家「プレイ?」

勇者「ああいや、なんでもない。お茶淹れてくるからちょっと待ってて」

武闘家「ところで、さっきの考え事って、何だったんですか? 何か心配事でも?」

勇者「ああ、さっきのはあれだ、ちょっと俺の、勇者としての義務について考えてた」

武闘家「義務ですか。勇者様の義務といえば……やっぱり、魔王と戦うことでしょうか」

勇者「うん、そうだな。勇者が戦う相手っつったらやっぱ魔王だよな」

武闘家「あれ、でも魔王って、先週、勇者様のお父様が倒しちゃいましたよね?」

勇者「倒しちゃったなあ」

武闘家「じゃあもう勇者様が果たすべき義務は無くなっちゃったんじゃないですか?」

勇者「それに関してはな。でも勇者の義務ってもうひとつあるから」

武闘家「もうひとつですか。うーん……何でしょう?」

勇者「さっき言ったのとは対になることだな。つまり生命を奪う行為じゃなくて、生命を生み出し繋げていく行為だ」

武闘家「えっとつまり……どういうことですか?」

勇者「いやだからほら、未来に備えて、勇者の血筋を受け継ぐ子孫を残さなきゃならんの」

武闘家「はあ。子孫ですか。いつかまた別の魔王とかが現れたら、勇者様の子孫がその時代の勇者として戦うってことですか?」

勇者「そうそう、よくわかってるじゃん。というわけで武闘家ちゃん、俺が勇者としての義務を果たすのに協力してくれ」

武闘家「あ、はい。わたしは何をすればいいですか?」

勇者「特に何もしなくていいよ。裸になって股開いててくれればあとはこっちでやるから」

武闘家「えっ、それってつまり、わたしと……えっ、わたしが勇者様の子供を産むってことですか?」

勇者「そうだよ。嫌か?」

武闘家「嫌というか……わたしはまだ14歳ですから、そういうのはちょっと早すぎますよ」

勇者「そうか? もう子供を産める体にはなってるだろ?」

武闘家「産めるか産めないかで言えば産めると思いますけど……でもこの歳でお母さんになるなんて」

勇者「そっか、武闘家ちゃんはまだ子持ちにはなりたくないのか。なんで?」

武闘家「他にやりたいこともありますし、それに、そういう行為に及ぶまでには準備期間とかも要るんじゃないでしょうか」

勇者「何だ準備期間って」

武闘家「普通、まずお友達としてのおつきあいから始めて、徐々に恋愛に発展させていったりとかするものなんじゃないですか?」

勇者「なるほど。でも俺たちは元々わりと近所に住んでて、知らない仲でもないしな。1からのスタートではないよな」

武闘家「そうですね。勇者様とは何年も前から親しくさせていただいてますから」

勇者「だよな。でももっと親しくならなきゃいけないのかなあ。武闘家ちゃんの俺への好感度、今はどれくらいなんだろ」

武闘家「好感度、ですか……?」

勇者「そう、好感度。武闘家ちゃんが俺のことをどれくらい好きなのか、1から100までの数字で言うと?」

武闘家「うーん……97くらい、でしょうか」

勇者「高っ!?」

武闘家「高いですか」

勇者「もうほとんど100に近いじゃん」

武闘家「そうですね。わたし、勇者様大好きですよ」ニコニコ

勇者「そっか……なんだこれ、魔王は父さんが倒しちゃうし好きな女の子とは既に相思相愛だし、俺の人生イージーモードじゃん」

武闘家「でも子作りとかはちょっと……わたしはまだ、そういうえっちなことをするのは恥ずかしいです」

勇者「確かにまだちょっと子供っぽいところがあるからな武闘家ちゃんって。で、いつまで待てば恥ずかしくなくなるんだ?」

武闘家「よくわかりませんけど、16歳くらいになったら大丈夫なんじゃないでしょうか」

勇者「2年後か」

武闘家「その頃にはわたしももっと成長して、勇者様を手玉にとるような魔性の女になってるかもです」

勇者「2年の間に何があったんだよ。変わりすぎだろ」

武闘家「先のことはわかりませんけど、わたしがもう少し大人になるまで待っててください」

勇者「そっか、わかったよ。それまではおっぱい揉むだけで我慢しとく」

武闘家「それもだめです」

勇者「そういや、おっぱい揉むで思い出したけど、さっき武闘家ちゃん、やりたいことがあるとか言ってたな」

武闘家「なんでそれで思い出すのかわかりませんけど、言いましたね」

勇者「武闘家ちゃんのやりたいことって、何だ?」

武闘家「強くなりたいです」

勇者「もう既に強いだろ? 武闘家なんだから」

武闘家「もっと強くなりたいです」

勇者「でも武闘家ちゃんの家って拳法の道場やってるから、小さい頃からずっと訓練してるだろ。それでもまだ物足りないのか?」

武闘家「それですよ」

勇者「どれ?」

武闘家「今の道場での鍛錬だけでは強くなるにも限度があると思うんです。ですから町の外に出て、武者修行の旅をしたいです」

勇者「旅に出て、魔物を相手に実戦で鍛えたいってことか。いや、それはやめといた方がいいんじゃないかな」

武闘家「なんでですか?」

勇者「俺が武闘家ちゃんと会えなくなるから」

武闘家「勇者様もついてきていいですよ」

勇者「俺も行くの? なんかめんどくさいな。この町で一緒に楽しく暮らそうよ」

武闘家「旅は嫌いですか?」

勇者「特に好きでも嫌いでもないけど、魔王がいなくなったことで俺には旅に出る理由も無くなっちゃったしなあ」

武闘家「そうですか……実はわたし、元々、勇者様にも同行をお願いしようと思ってたんですけど……」

勇者「ああ、最初から俺と2人で行くつもりだったのか」

武闘家「はい、修行のためとはいえ、1人で遠出するのは危険なので、勇者様に付き添っていただこうと思いまして。だめですか?」

勇者「んー、そうか。他ならぬ武闘家ちゃんの頼みとあれば、断るわけにもいかないのかなあ。めんどくさいけど」

武闘家「もちろん旅費はすべてわたしが出しますし、何なら報酬も出してもいいです」

勇者「報酬ねえ。武闘家ちゃんってそんなに金持ちなの?」

武闘家「お金持ちですよ。旅の資金にしようと思って貯めてたお金が1000Gくらいあります」

勇者「1000か……まあ、14歳の少女にしてはかなり持ってる方なのかな」

武闘家「旅費が必要ですから全部はだめですけど、半分くらいなら勇者様にあげてもいいです。どうですか……?」

勇者「コツコツと貯めてたお金の半分か。それはちょっと受け取りづらいな……つーか俺、別に金に困ってるわけじゃないしなあ」

武闘家「だめですか……」

勇者「いやだめとかじゃなくて、金や品物以外にも報酬になるものってあるじゃん? ほらあれとか」

武闘家「あれですか。あれとはどんなあれでしょうか?」

勇者「あれと言ったらあれだよ」

武闘家「えっちなことですか?」

勇者「なぜわかった」

武闘家「勇者様の言うことですから、たぶんそれかなって」

勇者「俺のことよくわかってるじゃん。さすが将来の妻だな」

武闘家「うーん……えっちなことはちょっと……でもわたしのわがままにつきあわせて、お礼をしないわけには……」

勇者「無理ならいいけどね。俺と武闘家ちゃんの仲だし、感謝というのは気持ちの問題であって、謝礼とかは別に無くても」

武闘家「…………いえ、親しき仲にも礼儀ありです。じゃあ、旅が上手くいったら、成功報酬としてわたしの裸を見せてあげます」

勇者「えっマジで?」ガタッ

武闘家「マジです」

勇者「それってつまりあれか? 俺の目の前で全裸でM字開脚してくれるってことか?」

武闘家「あ、いえ、全裸はちょっと……上半身だけでもいいですか……?」

勇者「上半身か。背中とかじゃなくて? 前?」

武闘家「前です」

勇者「おっぱい見れるってこと?」

武闘家「見れます」

勇者「それなら……いや待てよ、武闘家ちゃんの体型だったら背中を見せられて『これが胸です』と言われても区別が……」

武闘家「そこまで小さくないですっ」

勇者「ん、そうか。まあ乳首の有無でも区別はつくしな。よし乗った。じゃあ報酬は前払いということで、さっそくおっぱいを」

武闘家「いや、だめですよ。さっきわたし、成功報酬って言ったじゃないですか」

勇者「えー、でもなあ。その時になってから『やっぱり恥ずかしいから嫌です』とか言って見せてくれないかもしれないし」

武闘家「先に見せたら勇者様が『やっぱりめんどくさいからやだ』とか言ってついてきてくれないかもしれないじゃないですか」

勇者「よしわかった、じゃあこうしよう。まず前払いとして右乳を見せてもらって、左乳は後払いということで」

武闘家「ええー……それじゃわたし、2回も恥ずかしい思いをしちゃうじゃないですか」

勇者「片乳なら恥ずかしさも半分だろ?」

武闘家「そんなわけないです。片方でも両方でも同じです」

勇者「そうか……じゃあ妥協しよう。おっぱいは後払いでいいから、前払いでおしり見せてくれ」

武闘家「なんでそうなるんですか……」

勇者「おしりならそんなに恥ずかしくないだろ?」

武闘家「恥ずかしいですよ」

勇者「おっぱいよりもか?」

武闘家「いえ……おしり自体がどうこうより、下を脱ぐことに抵抗があります」

勇者「なるほど、パンツ脱いだら他にもいろいろ露出しちゃうからな」

武闘家「というか、おしりってそんなに見たいですか……?」

勇者「すっげえ見たい。今すぐ見たい。毎日でも見たい。毎日欠かさず常に武闘家ちゃんのおしりを眺めながら生活したい」

武闘家「はぁ……わかりました。じゃあ、今すぐはちょっとあれですけど、旅の初日におしり見せます。一瞬だけ」

勇者「一瞬というと、パンツをサッと下ろしてすぐにまたサッと上げる感じか。まあそれでいいや」

武闘家「交渉成立ですか?」

勇者「うん。なんかごめんな、欲張っていろいろ要求しちゃって。好感度下がっただろ」

武闘家「好感度ですか。えっと、今は97くらいでしょうか」

勇者「変わってないのかよ」

武闘家「じゃあそういうことで、勇者様、今後ともよろしくお願いします」ペコリ

旅立ちの日

武闘家「出発前にちょっとそこの本屋さんに寄らせてもらってもいいですか?」

勇者「いいよ。何か買うの? エロ本?」

武闘家「地図です。地図はなるべく新しい物を使う方が良さそうですから、改訂版が出てたら買っておこうと思いまして」

勇者「ああ地図ね。うん、旅といえば地図だよな。是非買うべきだ。よし行ってこい」

武闘家「すぐに済みますからちょっと待っててくださいね」トコトコ

勇者「俺も適当にその辺の本を眺めとくから、ゆっくりでいいよ」

勇者「さて、なんかエロい本ないかな」ブラブラ

勇者「おっ、『覆面ライダー』の絵本あるじゃん。これまだ続いてたのか。懐かしいな」パラパラ

勇者「ふーん、俺がガキんちょだった頃に読んでたのとはちょっと違うな。最近の覆面ライダーはこんなんなのか」

武闘家「お待たせしましたー」トコトコ

勇者「おう、早かったな」

武闘家「あ、それ、覆面ライダーの絵本ですね」

勇者「あれ、武闘家ちゃんもこれ知ってんの? 男の子向けの絵本なのに」

武闘家「はい、知ってますよ。お兄ちゃんがいますから。馬に乗って現れて、正義のために戦うヒーローのお話ですよね」

勇者「うん。俺、ガキの頃はこれ、夢中になって読んでたんだよなあ。主人公が赤、青、緑、紫の4種類の姿に変身できてさ」

武闘家「それぞれで能力や戦い方、武器とかが違うんですよね。赤は万能型で素手での格闘、青は敏捷型で棒術、とか」

勇者「そうそう、よく知ってるじゃん。まあ、これは新しいやつだから昔のとはちょっと違うんだけどな」

武闘家「はあ、そうなんですか。あ、ここで立ち話をしてるのも何ですから、もう行きましょうか。それ、買うんですか?」

勇者「ああいや、懐かしかったからちょっと手にとって立ち読みしてただけだよ。ごめんな時間とらせて。さあ、行こうぜ」スタスタ

武闘家「いえ、気にしないでください。わたしも絵本を読むのは大好きでしたから、勇者様の気持ちはよくわかります」トコトコ

勇者「そっか。男の気持ちをわかってくれる女の子っていいなあ。武闘家ちゃんは理想の嫁だな」

武闘家「お嫁さんになるのはまだ早いですよ。わたしはまだ半分、子供みたいなものですから」

勇者「14歳はまだ半分子供か……ちなみに全部子供だった頃、武闘家ちゃんはどんな絵本が好きだったの?」

武闘家「覆面ライダー以外だと、わたしは『プリプア』とか『すごタマ!』とかをよく読んでましたね」

勇者「ああ、プリプアはうちの妹も読んでたな。貧乏な王女様の話だろ?」

武闘家「そうです。魔法王女プリンセスプアが変身して戦う話です。変身すると元の姿より更にチープな感じになるのが見所です」

勇者「すごタマってのは知らないな。すごく大きいキンタマの話?」

武闘家「いや、そんなわけないじゃないですか。少女向けの絵本に何を描いてるんですかその作者は」

勇者「あれ、違ったか」

武闘家「すごタマは、すごいタマゴの略です。主人公の少女がタマゴを産んで……」

勇者「えっ、ちょっと待って、その少女って人間?」

武闘家「人間ですよ」

勇者「人間の少女がタマゴを? えっ、排卵ってこと?」

武闘家「ちがいます」

勇者「産卵?」

武闘家「産卵です」

勇者「えっ、なんかすごくエロいんだけど、少女向けの絵本にそんなん描いて大丈夫なのか……?」

武闘家「何を想像してるのかわかりませんけど、別にそんなえっちな場面は無いですよ」

勇者「なんだエロは無いのか」

武闘家「あ、でも変身シーンはちょっとえっちな感じかもです」

勇者「えっ、そうなの? まだその絵本、家にある? 俺にもちょっと貸してくれよ」

武闘家「まだありますから、旅が終わったら貸してもいいですけど……勇者様が期待するほどのものでは無いと思いますよ……」

勇者「そっか、まあ子供向けだしな。でも一応見てみたいから貸してくれ」

武闘家「勇者様はえっちなのが好きですねえ」

勇者「うん、もうエロエロだよ。そういやおしりはいつ見せてくれるんだ? もう待ちきれないんだけど」

武闘家「それは……町を出て、周りに人がいなくなってからにしてください」

勇者「そうだな。じゃあ早く行こうぜ。楽しみだなあ武闘家ちゃんの産卵シーン」

武闘家「産卵はしないです……」

勇者「ああごめん、さっきの話と混ざっちまった。産卵じゃなくて変身だったか」

武闘家「変身もしないです。まだ混ざってます」

勇者「さて、と。もうそろそろ見せてくれてもいいんじゃないか? もう充分、町から離れただろ」

武闘家「う……そうですね……あっ、勇者様、あれを見てください。魔物がいます」

勇者「どこ? ……ああ、あれか」

武闘家「あれは、スライムですね。ちょっと戦ってきます」

勇者「でもあれ普通のスライムだろ? ほっといていいんじゃねえの」

武闘家「なんでですか。魔物ですよ」

勇者「いや、女の子がスライムと戦うならあんな普通のやつじゃなくて、もっとこう、服を溶かす系のスライムとかさあ」

武闘家「嫌ですよそんなの。わたしは普通のスライムでいいです」

勇者「そっか、まあいいや。じゃあ行ってきなよ。武闘家ちゃんならあんな雑魚、楽勝だろ」

武闘家「でもスライムにわたしの攻撃、通用するんでしょうか? なんかグニャグニャしてて殴っても効かなそうなんですけど」

勇者「いや効くよ。殴ってもいいし、剣で斬っても倒せる」

武闘家「そうなんですか。斬ってもすぐくっついちゃったりしないんですか?」

勇者「しないしない。あれほんと雑魚だからさっさと倒しちゃいなよ」

武闘家「はいっ、じゃ、行きますっ」

勇者「がんばれよー」

武闘家「ほぉおおお……あたぁ! あたたぁ! あぁたたたたたたた」ドドドドドド

勇者「おー、すごい連打だな」

武闘家「あたたたたたたたたたっ! 北東百連拳!」ドチャァアア

勇者「やっぱり武闘家ちゃんは強いなあ」

武闘家「勇者様、勝ちましたっ」

勇者「おう、お疲れ」

武闘家「さっきのはちょっと弱い敵でしたけど、こうして戦闘を繰り返していけば、強くなれますよね?」

勇者「なれるんじゃないの、そのうちもっと強い敵と戦う機会もあるだろうし」

武闘家「そうですねっ。でも強すぎる敵と戦ってわたしが死にそうになったら勇者様が助けてくださいね」

勇者「そりゃもちろん。強くて可愛い武闘家ちゃんは、俺が優秀な子孫を残すためにも大事な存在だからな」

武闘家「そうですか。勇者様に同行をお願いしてよかったです。というわけで、旅を続けましょうっ」

勇者「いやちょっと待って、何か忘れてないか?」

武闘家「やっぱりおぼえてましたか」

勇者「忘れるわけないだろ。早く見せてくれよ」

武闘家「うう……じゃ、じゃあ、見せます」

勇者「うん、見せて見せて」ワクワク

武闘家「一瞬ですよ?」

勇者「うん、それでいいから早く」

武闘家「い、いきます。……えいっ」ササッ!

勇者「おおっ!! 武闘家ちゃんのおしり!!」

武闘家「あのっ、今わたし、全力で素早くやったつもりなんですけど、見えました……?」

勇者「うん、はっきり見えた。そりゃ、パンツ下げて上げる動きなんてどんだけ素早くやってもおしりは見えちゃうよ」

武闘家「うっ……素早さには自信あったんですけど……はっきり見えちゃいましたか……」

勇者「いやいや、勇者の動体視力を舐めちゃいかんよ。あぁ、武闘家ちゃんのおしり、可愛かったなぁ……」

武闘家「ううっ、恥ずかしいですっ」

勇者「まあまあ、こうして徐々に慣らしていけばちょっとずつ羞恥心が薄れていくってもんだよ」

武闘家「わたしがもっと大人になるためにも役立つってことですか……」

勇者「そうそう、将来の子作りのためにもなるし、武闘家としての精神力を鍛えるのにもいいかもしれん。一挙両得だな」

武闘家「はぁ……」

勇者「素早さを鍛えるためにこれを毎日やるのもいいかもしれないな。俺の目にもとまらないスピードで出来たら合格、みたいな」

武闘家「パンツの上げ下げで素早さの訓練をする武闘家とか聞いたことないです」

勇者「斬新な訓練法だよな」

武闘家「そんなのやらないですよ、わたし」

勇者「そっか、残念」

武闘家「さあ、約束も果たしたことですし、先に進みましょう」

勇者「おう」


勇者(いやー、いいもん見れた。武闘家ちゃんのおしり、びっくりするくらい可愛かったな)

勇者(でも約束通りならこの後はもう成功報酬のおっぱいまでエロイベントは無しってことになるのか?)

勇者(それはちょっとつまらんなあ。旅の途中にもエロいことしたい)

勇者(よし、頑張ってその機会を作ろう)


勇者「武闘家ちゃん、この先も頑張ろうな」

武闘家「はい、がんばりますから見ててくださいねっ」

勇者「ああそうだ、好感度どうなった? 恥ずかしい思いさせちゃったからさすがに下がったかな」

武闘家「好感度ですか。うーん……今は98、でしょうか」

勇者「上がってんじゃねーか」

武闘家「上がっちゃってますね」

勇者「おしり見られると好感度が上がるのか」

武闘家「ちがいますっ。でも、勇者様がえっちな人なのは元からわかってますし、そのことで嫌いにはならないですよ」

勇者「あ、そうなのか。それで下がらなかったのはいいとして、上がったのはなんで?」

武闘家「勇者様にわたしの戦いを見守ってもらえて、励ましたり労ったり褒めたりしてもらえるのが嬉しいからです」

勇者「そっか。喜んでくれてるのなら旅に同行した甲斐があったよ」

武闘家「あっ勇者様、また魔物です。スライムです」

勇者「またか……おっ? あのスライム、あれじゃん! 服を溶かすやつじゃん!」

武闘家「えっ」

勇者「よしいけ武闘家ちゃん!」ワクワク

武闘家「あ、いえ、あれはちょっと……」

勇者「修行のためだ! 頑張って戦え!」

武闘家「えっと……やめときます。わたしはスルーします。倒すなら勇者様、お願いします」

勇者「なんでだよ!」

武闘家「服を溶かされちゃったら嫌だからに決まってるじゃないですか」

勇者「ええー……」

武闘家「そんな悲しそうな顔しないでください……。裸になっちゃうのも嫌ですし、服が無くなるのも困ります」

勇者「服なんか俺が後で買ってやるからさぁ……」

武闘家「駄目です。お金がもったいないです。勇者様が倒してください」

勇者「俺が裸になってどうすんだよ。どこにそんな需要があるんだよ」

武闘家「いやそうじゃなくて、勇者様なら接近戦をしなくても、離れたところから魔法で倒せるじゃないですか」

勇者「ああそういうことか。武闘家ちゃんも俺の裸を見たいのかと思った」

武闘家「ちがいます。さあ、魔法でばーんってやっちゃってください」

勇者「はぁ……まぁ、いいけどさ……。『炎撃』」ボソッ

ゴオオオオオオッ!!

武闘家「わっ、すごい炎ですっ。スライムが一瞬で灰になっちゃいましたっ」

勇者「ああ、もったいない。せっかくのエロイベントが」

勇者「はぁ……なんつーか、武闘家ちゃんにはがっかりだよ」

武闘家「わたし、そんなに勇者様が落胆するようなこと、しました……?」

勇者「いや、俺はいいよ? 将来的には武闘家ちゃんと好きなだけ子作りしまくれるんだから」

武闘家「じゃあなんでわたし、怒られてるんですか?」

勇者「俺が許しても世間が許さないだろうが! エロイベントスルーとか!」

武闘家「何ですか世間って」

勇者「まあ、済んだことだしもういいよ。次からはしっかりやってくれ」

武闘家「はあ……よくわかりませんけど、がんばります」

勇者「あー、次は触手系の魔物でも出てきてくれないかなあ」

武闘家「あっ勇者様、また魔物がいます!」

勇者「触手系?」

武闘家「巨大サソリです!」

勇者「チッ」

武闘家「戦います!」

勇者「毒にやられないように気をつけてな。毒消し草があるから死にはしないと思うけど」

武闘家「あーったたたたたたたたたぁ!」ドドドドドドドドドッ

勇者「よくあんな虫っぽい魔物を素手で殴れるなあ。俺、剣使っても嫌だわ」



武闘家「また魔物です! 骸骨っぽいやつです!」

勇者「ほい、行っといで。小骨が刺さらないように気をつけてな」

武闘家「あたたたたたたたたたっ、おあたぁ!」ドガガガガガガガガガッ ドガシャーン

勇者「あれ疲れないのかなあ」



武闘家「ふぅ……けっこう魔物がよく出ますね」

勇者「魔王は父さんが倒したとはいえ、野生化した魔物がいっぱいいるからな」

武闘家「そうですね……でも、こうして魔物に出会うたびに戦って倒していれば、少しずつでも数を減らしていけますねっ」

勇者「まあな。ところで話は変わるんだけどさ」

武闘家「またえっちな話ですか?」

勇者「いや、俺だって別にそんな、エロい話ばかりするわけじゃないよ」

武闘家「えっちな話じゃないのなら、何の話ですか?」

勇者「今更訊くのも何だけど、俺たちどこに向かって旅してんの?」

武闘家「ほんとに今更ですね……えっと、まずは北東の町を目指そうと思ってます」

勇者「北東の町か。何があるんだっけな」

武闘家「北東の町は北東神拳の発祥の地ですから、本家の道場がありますね」

勇者「あの、あたたたたーってやつか」

武闘家「はい、そうです。あれは北東神拳の技のひとつ、北東百連拳です」

勇者「あれ見てるとなんかすごく疲れそうなんだけど、他の技は使わねーの?」

武闘家「一撃必殺系の技とかもあるんですけど、細かい連打を素早く繰り返す技の方が隙が少なくて使い勝手がいいんですよ」

勇者「なるほど。武闘家ちゃんも一応考えてはいるんだな」

武闘家「何も考えてないと思ってたんですか……?」

勇者「正直、ちょっとアホなのかなと思ってた」

武闘家「失礼です。好感度が下がりました。97です」

勇者「ふむ、馬鹿にされると下がるのか。次からは気をつけよう」

武闘家「この地図によると、もうすぐ北東の町に着きますねえ」

勇者「ここまでは順調な旅だったな」

武闘家「順調なのはいいですけど、もっと強い敵とも戦いたいです」

勇者「武闘家ちゃんってほんとに戦うのが好きなんだな」

武闘家「好きというか、先祖代々武闘家の家系ですから……」

勇者「そういう環境で育つとこうなるのか。俺が勇者として育てられてこうなったのと同じようなもんか」

武闘家「勇者様の家系って、みんなえっちな人なんですか?」

勇者「子孫を残すことが重視されてるからな……ああそうだ、育った環境といえば、読んでた絵本の話でもそうだよな」

武闘家「プリプアとかすごタマですか? たしかに、主人公が変身して戦うような話を小さい頃から読んでましたねえ」

勇者「覆面ライダーもそうだな。そういう絵本を子供に買い与えるのも武闘家としての教育の一環だったのかも」

武闘家「覆面ライダーはお兄ちゃんのお下がりでしたけど、あれも大好きでした。あと『戦士隊シリーズ』とかも読んでましたね」

勇者「性格的にもちょっと男の子っぽいのかもしれないな。俺が下ネタ言っても引かれたりキモがられたりはしないし。……ん?」

武闘家「? なんですか?」

勇者「ちょっと待ってくれ。武闘家ちゃんって、本当に女の子なのか?」

武闘家「いきなり何を言い出すんですか。女の子です」

勇者「そうか……そういうことだったのか……謎は全て解けた!」

武闘家「何がですか……?」

勇者「好戦的な性格……正義のヒーロー、ヒロインが戦う話が好き……エロに寛容……胸と背中の区別がつかない体型……」

武闘家「いや、失礼なこと言わないでください。ちゃんと区別つきます」

勇者「子作りを要求してもまだ早いとか言って回避し、上半身裸はよくても下を脱ぐのには抵抗があると言ってた……」

武闘家「上半身だって別に見せたくはないですよ」

勇者「そして……おしりは見せてくれたけど、前はまだ見せてない!」

武闘家「いや、おしりだって見せたくなかったですよ。恥ずかしいですから」

勇者「いや違うな。むしろおしりは見せたがってるような節があった。現に見せた後に好感度が上がっている」

武闘家「見せたがってないですっ」

勇者「つまり武闘家ちゃんは見た目通りの美少女なんかじゃなくて……美少女と見紛うような美少年だったんだよ!」

武闘家「な、なんだってーってそんなわけないじゃないですか」

勇者「いや、もう隠しても無駄だ。武闘家ちゃんは男の子だ。しかもちょっとホモっ気のある美少年。間違いない」

武闘家「ちがいますっ」

勇者「違うと言うなら証拠を見せろ」

武闘家「証拠と言われても……」

勇者「具体的に言うと、まんこ見せろ」

武闘家「嫌ですよそんなの」

勇者「まんこを見せない限りこの疑いは晴れないんだが?」

武闘家「じゃあもう男の子でいいですよ」

勇者「ええー」

武闘家「いや、だからなんでそんな悲しそうな顔するんですか」

勇者「見せろよー」

武闘家「嫌です」

勇者「まんこ見せるのが嫌ならおしりの穴でもいいよ」

武闘家「何の証拠にもならないじゃないですか!」

勇者「あ、そうか」

武闘家「証拠を見せろとか言って……ただ単にえっちなものを見たいだけなんじゃないですか……」

勇者「ばれたか。勢いでごまかせると思ったんだが」

武闘家「ばれますよそんなの……わたし、そこまで馬鹿じゃないです」

勇者「ごめんごめん。ちょっとしたお茶目な悪戯だよ」

武闘家「っていうか、下ネタもそこまで行くとちょっと引いちゃいますよ、わたしでも」

勇者「好感度下がった?」

武闘家「97のままですね」

勇者「なんで下がってないんだよ」

武闘家「勇者様が探偵っぽい感じになっててちょっと面白かったからです」

勇者「ふむ……なかなか下がらんなあ」

武闘家「下げたいんですか……?」

勇者「いや、どこまでが許容範囲なのか探ってんの」

武闘家「いいですよそんなの探らなくても。勇者様がわたしをちゃんと大事に思ってくれてたらそう簡単には下がりません」

勇者「ふむ、そういうものなのか。恋愛経験が無いもんでそういうのはよくわからないんだよな、俺」

武闘家「普通にしててもらえればそれでいいですよ。普通の勇者様がいちばん好きです」

勇者「普通でいいのか。じゃあおっぱい触らせてくれ」

武闘家「なんでそうなるんですか」

勇者「普通の俺ってこんなんだし……」

武闘家「とか言ってる間に北東の町に着きましたね」

勇者「着いたな。北東流だかなんかの道場に行くんだっけ?」

武闘家「今日はもう日が暮れそうですから、道場に行くのは明日にしましょう」

勇者「じゃあ宿屋に行こうか。…………宿屋でなんかエロいことがあるといいなー」ボソッ

武闘家「はい? 何か言いました?」

勇者「ひとりごとだから気にしなくていいよ。…………証拠を見せろ作戦は失敗しちゃったから次の手を考えないとなあ」ボソッ

武闘家「何か言いました?」

勇者「いや別に何も」

武闘家「宿屋ですけど、あまりお金の無駄遣いはしたくないですし、わたしと同室でもいいですか?」

勇者「俺はその方が嬉しいけど、武闘家ちゃんはいいのか?」

武闘家「いいですよ。いくら勇者様がえっちな人だからといっても、わたしの寝込みを襲うことまではしないでしょう?」

勇者「さすがにそこまではしないなあ。したとしてもちょっとおっぱいに触るくらいか」

武闘家「それもだめです。っていうか背中と区別がつかないようなものに触ってもつまらないんじゃないですか?」

勇者「それは冗談だから気にしないでくれ」

武闘家「冗談でも女の子にそんなこと言っちゃだめですよ」

武闘家「なかなかいい部屋ですねえ。お風呂もついてます」

勇者「お風呂か、よし一緒に入ろう」

武闘家「何言ってるんですか。だめですよ」

勇者「そっか、残念」

武闘家「わたしが入ってるときに覗くのもだめですよ」

勇者「ちんこついてるのがばれちゃうから?」

武闘家「その話はもう終わりましたっ」

勇者「あーそうだ、風呂に入る前にやっておきたいことがあるんだけど」

武闘家「何でしょう?」

勇者「おっぱい見せてくれ」

武闘家「話の流れがまったくわかりません」

勇者「いや、風呂に入ってる間、俺は武闘家ちゃんと離れて1人になるだろ? 1人になったらすることがあるじゃん?」

武闘家「1人ですること、ですか」

勇者「わかるだろ? あれだよほらあれ」

武闘家「……まあ、なんとなくわかります」

勇者「あ、わかるんだ」

武闘家「ええ、まあ……」

勇者「あれする時にはあれが要るじゃん? ほらおかず的なあれ。で、前におっぱい見せてくれるって約束したじゃん?」

武闘家「でもあれは成功報酬で……」

勇者「ここまで来たら、武闘家ちゃんをほっぽらかして俺だけ1人で帰っちゃうわけないだろ。ちゃんと最後までつきあうよ」

武闘家「それはそうかもしれないですけど……」

勇者「どうせ1回は見せることになるんだからそれが今でも同じだろ?」

武闘家「うーん……そうですね……」

勇者「見せてくれるの? やった」ワクワク

武闘家「また一瞬でいいですか?」

勇者「いいけどできれば長めで」

武闘家「はあ……じゃあ、わたしの羞恥心の限界までってことで」

勇者「よし限界まで頑張れ。俺も応援してるぞ」

武闘家「じゃ、じゃあ、いきますっ」

勇者「あ、ちょっと待って。まずは後ろを向いた状態で脱いでくれ。ちょっと焦らされた方が興奮する」

武闘家「はあ……わかりました……なんか普通に見せるよりわたしの恥ずかしさは増しそうですけど」クルッ スルスル

勇者「おお……武闘家ちゃんが脱いでる……上半身裸になってる……」ハァハァ

武闘家「……脱ぎました」パサッ

勇者「うん。俺には背中しか見えてないけど、これ、向こう側から見たらおっぱいまるだしなんだよな……興奮するなあ」

武闘家「次はどうすれば……このまま振り向くんですか……?」

勇者「まずは手で隠しながらね。右手で右乳、左手で左乳を隠して振り向いてくれ」

武闘家「右で右、左で左……こうですか」クル

勇者「そうそう。ああ、いいなあ……手ブラっていいなあ……あの手をどかしたら武闘家ちゃんのおっぱいが……」

武闘家「楽しそうですね……」

勇者「うん、めっちゃ楽しい。じゃあ次は、くるっと1回転して後ろを向いてる間だけ胸から手を離してみようか」

武闘家「くるっと回って……」クルッ

チラッ

勇者「おおっ! 今一瞬乳首見えた! 武闘家ちゃんの乳首!」

武闘家「えっ、見えちゃいました……? あのっ、勇者様、あまり興奮しないでください。余計に恥ずかしくなっちゃいます」

勇者「これに興奮しないで何に興奮するんだよ。武闘家ちゃんの乳首、ちっちゃくて可愛かったなあ……色も凄く綺麗だった」

武闘家「はあ……お褒めにあずかって光栄です。もう服着ていいですか?」

勇者「いやまだまだ。次は、そうだな、ちょっと力比べでもしてみようか」

武闘家「力比べ、ですか?」

勇者「手で隠した状態から、俺が武闘家ちゃんの腕を掴んで引っ張る。武闘家ちゃんは腕に力を込めてそれに抵抗する」

武闘家「それで負けたら胸を見られちゃうわけですか……」

勇者「うん、完全に手が離れたら、さっきみたいにちらっと一瞬じゃなくて、ぽろりんってなっちゃうな」

武闘家「ぽろりんってなっちゃいますか……」

勇者「どうだ? 武闘家らしい趣向だろ。力で俺と勝負だ」

武闘家「うーん……いえ、勇者様、それはだめです」

勇者「なんで?」

武闘家「なんていうか、そのときの絵面がなんか、危険な雰囲気です。ちょっと想像してみてください」

勇者『くっくっくっ……さあ、この手を引き剥がしてやるぜ。えいっ』グッ

武闘家『ううっ……くっ……ふぅっ……』グググ

勇者『それそれ、もっと力を込めて引っ張ってやろうか? ふんっ!』グイグイ

武闘家『うくっ……んうぅっ……あっ……はぁっ……も、もう……だめっ……』ガクガク

勇者『おらっ、これでどうだっ!』グイーッ

ポヨン

武闘家『ああっ、いやああぁっ……!』

勇者『おおおっ……見えたっ! 武闘家ちゃんのおっぱい! はぁはぁ……』



武闘家「どう見てもわたし、勇者様に襲われてます」

勇者「確かにこれ、犯罪臭がぱねえな」

勇者「じゃあもういいや、自分で手をどかして、おっぱいをまるだしにしちゃってくれ」

武闘家「まるだしですか……」

勇者「うん。チラッと見えちゃうのもいいけど、まる見えの状態でじっくりと鑑賞するのもいいよね!」

武闘家「はあ……わかりました。約束ですから、見せます」

勇者「うん、見せて見せて」ワクワク

武闘家「う…………えいっ」パッ

勇者「おおおおっ! 慎ましやかな双丘が完全に露わに……! 美しくもあり可愛らしくもあり……なんて素晴らしい……」

武闘家「うう……恥ずかしいです……もういいですか……?」

勇者「もうちょっと、もうちょっとだけ……ああ……ちっちゃいけど柔らかそうだなあ……なあ、ちょっとだけ触ってもいいか?」

武闘家「だ、だめですっ」

勇者「触るのはだめか。でも将来的には俺、これを好きなだけ揉みまくれるのか……」ゴクリ

武闘家「も、もういいですよね? もう終わりですっ。はい終わりっ」サッ

勇者「あ、終わっちゃった。でも充分楽しませてもらったよ。ありがとうな武闘家ちゃん」

武闘家「ふぅ、恥ずかしかった……でもこれで勇者様との約束は果たしましたから、ほっとしました」

勇者「うん、もうこれで武闘家ちゃんは用済みだな。もうあっち行っていいよ」

武闘家「ひどっ!?」

勇者「いや冗談だって。でもまああれだよ。今はちょっと1人になりたいっつーか、武闘家ちゃんは風呂にでも入ってきなよ」

武闘家「あ、はい。わかります」

勇者「わかるんだ……」

武闘家「じゃあわたしはお風呂に入ってきますから、覗いたりしないでくださいね」

勇者「ああ。もう覗く必要もあんまり無いしな。心配しなくていいよ」



勇者「はぁ……羞恥に頬を染めながら、自ら裸身を晒し続ける武闘家ちゃんの姿……素晴らしいものを見せてもらったな」

勇者「微かに震えるささやかなふくらみ……そこにちょこん、ちょこんと慎ましげに添えられた、薄紅色の未熟な果実……」

勇者「……さて、新鮮なおかずが入荷したことだし、エロの神様に感謝しつつ、今日のおつとめを果たすとするか」

武闘家「ふぅ……お待たせしました。やっぱりちょっと心配で、ずっと警戒してたんですけど、覗きに来ませんでしたね」トコトコ

勇者「ははは、そんな馬鹿な。この私が女性に対してそんな、不埒な行いをするわけがないじゃないですか」スッキリ

武闘家「誰……? あ、勇者様ですか。見た目は変わってないのに雰囲気が変わっちゃってて一瞬誰だかわかりませんでした」

勇者「いやまあ、ちょっとな。あーでもあれだな、もうしばらくエロはいいや。こっからはもうちょっとあれだ、真面目にいくか」

武闘家「あ、そうなんですか。もう満足しちゃいました?」

勇者「うん、満足した。なんで俺、あんなにエロいことに執着してたんだろうな」

武闘家「はあ……何はともあれ、これからはわたしの武者修行に集中できそうですねえ」

勇者「そうだな。俺もそれを暖かい目で見守ることにするよ」

武闘家「改めてよろしくお願いします」ペコリ

勇者「おう。俺もうエロとか全然興味ないからそっち方面で邪魔することもないし、安心していいぞ」

武闘家「……ちょっとえっちな勇者様も、わたしは嫌いじゃないですけどね……」ポツリ

勇者「え? なんだって?」

武闘家「なんでもないです」

勇者「ふむ。ちょっとえっちな俺も武闘家ちゃんは好きか」

武闘家「聞こえてるんじゃないですか」

勇者「ここが北東流本家の道場か」

武闘家「はい、そうですね。ちょっと見学させていただきましょう」

勇者「こういうのって、見学とかさせてくれるもんなの?」

武闘家「わたしは一応コネがあるというか……ここの師範がうちの道場を訪れたことがあって、その時にお会いしてるんですよ」

勇者「ああ、顔見知りなのか。じゃあ部外者の俺は?」

武闘家「どうなんでしょう。それはちょっと、訊いてみないとわかんないです」



アタァ! アタァ! アタタタタ!

勇者「あっさりと見学を許可されたな。勇者の肩書きがものを言ったか」

武闘家「元々わりとオープンな感じなのかもしれないですねえ」

勇者「門下生もいっぱいいるしな」

武闘家「みんな気合が入ってますねえ。さすがは本家の道場です」

師範代「勇者殿。どうですかな、我が北東神拳の道場は」

勇者「あ、はい。えーと、ぶっちゃけよくわからないです。門外漢なもんで」

師範代「ふむ、そうですか。ではどうでしょう、この機会に勇者殿も体験していかれては?」

勇者「いいんですかね、素人が気軽にホイホイと手を出しちゃって」

師範代「勇者殿なら充分素質があるでしょう。気が進まないのであれば無理強いはしませんが」

勇者「いや、せっかくだからやってみますよ。どうやるんすか?」

師範代「では、基本的な正拳突きから……」

武闘家「勇者様、がんばってくださいねっ」

勇者「おう」



師範代「あたぁ!」ビュッ

勇者「あたー!」ビュッ

師範代「そう、その感じです。しかし、素人とは思えませんな。あちらの娘さんから何か手ほどきを受けた経験が?」

勇者「いえ、全然。戦ってるところを近くで見てたくらいですかね」

師範代「なるほど……剣術の経験が生かされている部分もあるにせよ、やはり天性の素質も感じます。では、続けますよ」

勇者「あー、ちょっと、質問いいっすか?」

師範代「どうぞ」

勇者「『あたー!』っていうの、言わなきゃだめなんですかね。なんかちょっと恥ずかしいんですけど」

武闘家「勇者様」

勇者「ん、なんだ武闘家ちゃん」

武闘家「失礼です」

勇者「ごめんなさい」

師範代「いえ……そうですね、勇者殿は剣を振るとき、声を出しませんか?」

勇者「出しますね。『はっ!』とか『ふっ!』とか『とりゃあ!』とか」

師範代「それと同じです。掛け声が『あたぁ!』なのは、我が流派が長年かけて編み出した最も効果的な発声法がそれだからです」

勇者「なるほど、そういうことですか。ただ単にブ○○ス・○ーの真似してるだけなのかなとか思ってました」

武闘家「勇者様」

勇者「ん、なんだ武闘家ちゃん」

武闘家「そういうミもフタもないことを言っちゃだめです」

勇者「ごめんなさい」

師範代「……では続けますよ。あたぁ!」ビュッ

勇者「あたー!」ビュッ

師範代「あたぁ!」ビュッ

勇者「ちょっといいっすか?」

師範代「何でしょう」

勇者「ちょっと楽しくなってきました」

師範代「そうですか。それは何より」



勇者「けっこう面白かったな、道場見学」

武闘家「そうですね。わたしも門下生の方々と手合わせをさせてもらえて、いい勉強になりました」

勇者「武闘家ちゃんがそれやってる間に俺、あそこの師範と話してたんだけど、武闘家ちゃんのこと天才って言ってたぜ」

武闘家「そうなんですか? 嬉しいです」

勇者「なんでこんなに強いんだろうな。見た目は小柄で華奢な少女なのに」

武闘家「なんででしょう。わたしもわかんないです」

勇者「不思議だな。ちょっと武闘家ちゃんの腕の筋肉とか肩の筋肉とか胸の脂肪とか触ってみてもいいか?」

武闘家「胸は無しでお願いします。腕とかならいいですよ」

勇者「ふむ……腕の筋肉とかはわりと普通なんだよなあ。鍛えられて引き締まってはいるけど」モミモミ

武闘家「そうですねえ」

勇者「やっぱりこの辺りに秘密が……」スッ

武闘家「えいっ」バシッ

勇者「いてっ」

武闘家「胸はさわっちゃだめです」

勇者「はいはい」

武闘家「えっちなことに興味が無くなったんじゃなかったんですか?」

勇者「賢者タイムならもうとっくに終わったよ」

武闘家「はぁ……そんなことだろうとは思ってました」

勇者「武闘家ちゃんの強さの秘密……考えられるとしたら、魔力かなあ」

武闘家「魔力、ですか? わたしは魔法は使えないですけど」

勇者「魔法を使えないのは、魔力を身体能力の強化に使っちゃってるから、とか」

武闘家「そんなことした覚えは無いですけど……」

勇者「自覚は無くても無意識にやってるのかもな」

武闘家「そういえば、北東神拳の奥義には、魔力を拳に込めて殴る技があるそうです」

勇者「ほう」

武闘家「魔法を使えないわたしには無縁の技だと思ってましたけど……」

勇者「じゃあ、武闘家ちゃんの場合はデフォでその奥義を使っちゃってるのかもしれないな」

武闘家「はあ。仮説でしかないですけど、一応筋は通ってるような気がします」

勇者「無意識にそういうことが出来ちゃう辺りが天才の所以なんじゃないかなあ」

武闘家「そうかもしれませんね。なんかわたし、かっこいいです」

勇者「さすがだな、武闘家ちゃん。奥義を無自覚に使いこなすなんて、なかなか出来ることじゃないよ」

武闘家「えへへー」ニコニコ

勇者「さて、と。それはともかく、これからどうすんだ? 目的地には到達したし、もう帰る?」

武闘家「まだですよ。もっといっぱい修行をしないとだめです」

勇者「じゃあ次はどこ行くの?」

武闘家「次は南東聖拳発祥の地、南東の町を目指してみましょうか」

勇者「他の流派か? 道場破りでもすんの?」

武闘家「あ、いえ、言ってませんでしたっけ? うちの道場では北東神拳の他に、南東聖拳も教えてるんですよ」

勇者「あ、そうなんだ。じゃあ武闘家ちゃんもそれ、使えんの?」

武闘家「はい、使えますよ」

勇者「ふーん。そっちも見てみたいな」

武闘家「じゃあ次の戦いの時には、南東聖拳の技で戦ってみますね」



武闘家「ひょおぉおお……」グッ

勇者「おっ、掛け声が変わった。南東流はこんなんなのか」

武闘家「しゃおっ! しゃおぉーっ!」ズバッ! ズバッ!

勇者「すげえな、手刀で魔物を斬り裂いてる」

武闘家「ふぅ……これが南東聖拳の技です。極めると剣と同じような斬撃を手刀でできるようになります」

勇者「素手で剣と同じか。凄いなあ」

武闘家「わたしは主に北東神拳を修得してましたから、南東聖拳はそこまで極めてるわけじゃないですけどね」

勇者「あれ、でも、剣で斬るのと変わらないのなら、苦労して修行とかしなくても、剣を買えば済むことなんじゃないの?」

武闘家「えっ? あっ、えーと……そうですね……?」

勇者「なんだ、南東聖拳意味ねーなー」

武闘家「いやでも、常に武装したままでいる必要が無くて、いつでもどこでも敵をズバッと斬れちゃうって、すごくないですか?」

勇者「ああそうか、例えば入浴中に痴漢とか変質者とか俺とかに襲われてもズバッと斬り落としちゃえるのか。南東聖拳すごい」

武闘家「剣よりリーチが短いという欠点もありますけど、重いものを持ってない分、速さで勝ることができますし」

勇者「装備が軽ければ長旅でも体力の消耗を抑えられるし、金もかからないな。いろいろと利点もあるわけだ」

武闘家「そうなんです。利点があるんです。というわけで、南東の町を目指して突き進みましょー」

勇者「おー」

武闘家「えーと、この地図によりますと、この森に沿って南下していけば南東の町に辿り着けますね」

勇者「結構距離があるな。途中にあるこの村で一泊する必要がありそうだ。……ん? この森って確か……」

武闘家「何か気になることでも?」

勇者「ああいや、なんでもない。楽しみだな、早く行こうぜ」

武闘家「あ、はい、行きましょう」

勇者「まだかな、まだかなー」ソワソワ

武闘家「何をそんなにそわそわしてるんですか?」

勇者「いや別に何も。敵がいつ現れるかと警戒してるだけだよ」

武闘家「はあ、そうですか。あっ」

勇者「来たか!?」バッ

武闘家「はい、魔物です! あれは何でしょうか、触手がいっぱい生えてて、うにょうにょと……」

勇者「よっしゃあ噂通り! 触手系来た! いけ武闘家ちゃん!」

武闘家「何を喜んでるんですか……?」

勇者「いや別に喜んでないよ? 武闘家ちゃんが触手に絡みつかれたり、あわよくば衣服を剥ぎ取られたりとか期待してないよ?」

武闘家「やっぱり……」

勇者「しまったつい本音が」

武闘家「勇者様は、わたしが魔物にえっちなことをされるのが見たいんですか?」

勇者「いや、どっちかというと見るだけより自分でえっちなことをしたい派だけどさ」

武闘家「はぁ……わかりましたよ。戦ってきます。負けちゃって、勇者様より先に魔物にえっちなことをされちゃうかもですけど」

勇者「うっ……」

武闘家「じゃあ、行ってきます。はぁ……わたしのはじめての相手は、気持ち悪い触手の魔物ですか……」トボトボ

勇者「あ、いや、別に俺は、武闘家ちゃんが犯されちゃうとこまで期待してたわけじゃなくてな。適度なとこで助けに入ろうと」

武闘家「でもわたし、絡みつかれて衣服を剥ぎ取られちゃうんですよね?」

勇者「あー……わかったよ。あれは俺がやる。確かに言われてみれば、俺以外の奴には武闘家ちゃんの体に触れさせたくないな」

武闘家「そうですか。勇者様に守ってもらえて嬉しいです」ニコニコ

勇者「はぁ……これで俺も世間を敵に回しちまうな……」

武闘家「世間って何なんでしょうか……?」

勇者「だがしかし……たとえ世界中の全てを敵に回そうとも、俺は武闘家ちゃんを守る!」

武闘家「勇者様、なんだかかっこいいことを言ってる間に魔物がすぐ近くまで迫ってきてますけど」

勇者「ん、そうか。じゃあ戦うかって近っ!? このっ!」スラリ ブンッ ザシュッ!

武闘家「勇者様、わたしも戦いますっ」

勇者「ん、そうか。じゃあ2人でやるか。触手にヤられないように気をつけろよっ」ザシュッ! ザシュッ! ザシュッ!

武闘家「はいっ。ひょおぉーっ、しゃお! しゃおっ! しゃおっ!」ズバッ! ズバッ! ズバッ!

勇者「よしいいぞ、動きが鈍くなってきた。ちょっと下がってろ、とどめの1発、でかいのいくぞ! 『爆炎』!!」ドゴオオオ!!

武闘家「ひゃっはー! 勝ちました! 勇者様の魔法、すごいですね!」

勇者「テンション高えな。俺に守ってもらえたのがそんなに嬉しかったのか」

武闘家「あ、すみません、ちょっと興奮しちゃいました。2人で力を合わせて戦うのもいいものですねえ」

勇者「まあな。武闘家ちゃんの純潔を守るためみたいな理由があると、俺もけっこうやる気が出るしな」

武闘家「じゃあもう戦闘中にえっちなこととか、期待しないでください」

勇者「戦闘中がだめなら、いつ期待すればいいんだ?」

武闘家「いつというか……強いて言えば、村に着いて、宿に泊まった時とか……?」

勇者「よしじゃあ武闘家ちゃんの希望を尊重してそれでいこう。さあ、急いで村に向かうぞっ」スタタタ

武闘家「あ、いえ、今のは一般論的なことで、別にわたしの望みというわけではっ」



勇者「よし村に着いたぞっ」

武闘家「は、はやいです……」ハァハァ

勇者「さて早速宿に入って武闘家ちゃんとエロエロなことを……と言いたいところだけど、なんか気になるんだよなあ」

武闘家「この村に何かおかしいところでも?」

勇者「いやこの村に限ったことじゃなくて……まあこの村も妙に閑散としてる感じではあるんだけど」

武闘家「そうですか? 勇者様が何を気にしてるのか、わたしにはわからないです」

勇者「例えばさ……さっきの森に触手系の魔物が出るという噂は、前から聞いたことがあったんだよ」

武闘家「はあ、そうなんですか。それが何か?」

勇者「でも森の中ならともかく、森沿いにある道であんなに都合良く、いや都合良くはないけどあんなに簡単に出会えたのはなあ」

武闘家「1匹だけなら偶然じゃないですか?」

勇者「偶然にしてもさ、魔物の数が多ければ遭遇する確率は上がるわけだよ」

武闘家「つまりあの森にはあの魔物がいっぱいいる可能性があると」

勇者「あの森に限らず、ここに来るまでの間、妙に魔物の数が多かったような気がしないか?」

武闘家「それは勇者様のお父様が魔王を倒してからまだあまり経ってないから、野生化した魔物が数多くいるってことですよね?」

勇者「それにしても多すぎるような……なんか嫌な予感がするんだよなあ……俺の杞憂だったらいいんだけど」

武闘家「この村で情報収集でもしてみましょうか」

勇者「いや、こんな小さい村じゃたいした情報も出てこないだろ。せいぜい魔物による被害が多く出てるとか、そんなもんだよ」

武闘家「じゃあ、どうします?」

勇者「宿屋に泊まってエロいことしようぜ」

武闘家「結局それですか……」

勇者「さあ、部屋もとったし、今から何しようか。武闘家ちゃんはどんなエロいことしたい?」

武闘家「わたしは別に、そういうことは……」

勇者「そう? でもさあ、あと2年くらい経ったら子作りするわけだろ? 今のうちから慣らしておいた方がいいんじゃないか?」

武闘家「それって決定事項なんですか?」

勇者「武闘家ちゃんが16歳になったら子作りすることが?」

武闘家「そうです。わたし、それを承諾したような、まだ承諾してないような、曖昧な気持ちなんですけど……」

勇者「そういえば俺も武闘家ちゃんから、はっきりとした返事は聞いたこと無いような気がする」

武闘家「なんかわたし、勇者様と恋人同士になったような気もしてないですし……」

勇者「言われてみると俺もあんまりそんな感じはしないな」

武闘家「わたしと勇者様って、おつきあいしてるんでしょうか?」

勇者「どうだろ。してないかも。じゃあ改めて結婚を前提とした交際の申し込みでもしようか」

武闘家「交際の申し込みですか。なんだかどきどきします」

勇者「ああそういえばしばらく聞くの忘れてたけど、今の好感度ってどうなってるんだ?」

武闘家「好感度ですか。えーと、今は……99、でしょうか」

勇者「おお、上がってる。でもまだ100じゃないんだな。じゃあまだ交際を申し込んだりしちゃだめなのかな?」

武闘家「よくわかりませんけど、交際しつつ好感度を上げて、100になったらプロポーズでいいんじゃないでしょうか」

勇者「なるほど、それでいこう。じゃあ言うぞ。えーと、俺と結婚を前提とした交際をしてください。お願いします」

武闘家「あ、はい、喜んで。こちらこそよろしくお願いします」ペコリ

勇者「ありがとう、嬉しいよ」

武闘家「はい、わたしも嬉しいです」ニコニコ

勇者「元々相思相愛だったわけだけど、これで俺たちは正式に恋人同士になったってことだよな?」

武闘家「たぶんそうです」

勇者「でも恋人同士になったら、何をすればいいんだろうな。恋愛経験が無いからよくわからん」

武闘家「わたしもよくわかんないです」

勇者「うーん、何だろ。セックスかな」

武闘家「なんですぐそっちの方に行くんですか……それはまだ早いですよ」

勇者「じゃあ何だよ」

武闘家「デートとか、でしょうか」

勇者「いろんなとこに行って遊んだり飯食ったり、お喋りしたりとかか」

武闘家「そんな感じですね。いつもやってることとあまり変わらないような気もしますけど」

勇者「だよな。じゃあこのままでいいのか」

武闘家「あとは、えっと……いちゃいちゃしたりとか……」

勇者「いちゃいちゃか。手を繋いだり寄り添ったり見つめあったりキスしたり、でいいのかな?」

武闘家「そんな感じだと思います」

勇者「よしやろう。まず手を繋いで」ギュッ

武闘家「寄り添って……」ピトッ

勇者「見つめあって」ジッ

武闘家「キスを……」

チュッ

武闘家「////」

勇者「ああ、なんかいいな、こういうの。何て言うんだろう……ああ、だめだ、上手く言葉に出来ない」

武闘家「はい……なんか、あったかくて……幸せな気持ちです///」

勇者「武闘家ちゃん、顔真っ赤だな。おっぱい見せた時より赤いぞ」

武闘家「う……っていうかなんでわたし、はじめてのキスよりも前に、おしりとか胸とか見せちゃってたんでしょうか」

勇者「言われてみるとなんか、順番がめちゃくちゃのような気がしてきたな」

武闘家「そうですね……でもいいですよ、もう。済んだことですから」

勇者「そうだな。もう1回やろうか」

武闘家「あ、はい、いちゃいちゃですね。やりましょう」

勇者「手を繋いで……」ギュッ

武闘家「寄り添って……」ピト

勇者「見つめあって……」ジッ

武闘家「キス……」チュッ

勇者「そしておもむろに挿入」カチャカチャ

武闘家「いや、なんでですか。おかしいですそれは」

勇者「いやもちろん冗談だよ。なんか照れくさくなっちゃって」

武闘家「わかりますけど、せっかくの雰囲気が台無しです」

勇者「でも、こういう雰囲気もいいけど、ちょっとくらいはエロも欲しいなあ」

武闘家「うーん……ほんのちょっとだけなら、いいですよ」

勇者「えっ、いいの?」

武闘家「はい、えっと、わたしの胸、触りたいですか?」

勇者「触りたい!」

武闘家「直接じゃなくて、服の上からなら触ってもいいです」

勇者「やった! よし、じゃあ、触るぞ」ワクワク

武闘家「はい」

勇者「……」サワサワ

武闘家「……」ピクッ

勇者「本に書いてあったんだけど、女の子の胸って、強く揉みすぎたら痛いんだよな?」サワサワ

武闘家「あ、はい、優しくお願いします」

勇者「服の上からでも柔らかいな……これくらいなら大丈夫?」フニフニ

武闘家「んっ……はい、それくらいなら」

勇者(ああ、嬉しいなあ……今、俺、武闘家ちゃんのおっぱいに触ってる……)

武闘家「勇者様、もうそれくらいで」

勇者「ん? ああ、終わりか。名残り惜しいけど、今日はこれくらいにしといてやるか」パッ

武闘家「勇者様ってえっちですけど、そういう時の引き際は鮮やかですねえ」

勇者「武闘家ちゃんが嫌がるようなことはあまりしたくないからな」

武闘家「あ、勇者様、好感度、100になったかもです」

勇者「おっぱい揉まれると上がるのか」

武闘家「ちがいますっ」

勇者「じゃあもうプロポーズか? 武闘家ちゃん、俺と結婚してくれる?」

武闘家「今は婚約だけで、結婚は16歳になってからでもいいですか?」

勇者「いいよ」

武闘家「でしたら、お受けします」

勇者「やった。これで俺が将来、勇者としての義務を果たせるのは、ほぼ確実と言ってよさそうだな」

武闘家「わたしにはまだ全然実感が無いですけど……次の世代の勇者のお母さんになるんですね……」

勇者「ああ、そうだな。でもこれでひと安心ってわけにもいかないような、何かがありそうな気がするんだよな……」

武闘家「何があるのかわかりませんけど、勇者様が何かするのなら、わたしもお手伝いしますよっ」

武闘家「では今日も、南東の町を目指して突き進みましょー」

勇者「おー。武闘家ちゃんは南東にもコネがあるんだっけ?」

武闘家「そうですね。元々うちの道場って、北東と南東、それぞれの分家の出身者が共同で始めたものですから」

勇者「武闘家ちゃんのお爺さんとお婆さんのこと?」

武闘家「はい、そうですよ」

勇者「ふーん。じゃあまた見学させてもらえそうだな」

武闘家「そうですねっ」

勇者「2つの流派か……それぞれの長所を上手く生かした戦い方ができるようになれば、武闘家ちゃんはもっと強くなれそうだな」

武闘家「なるほど、たしかにその通りです。既存のものを取り入れ、組み合わせることで新たな戦法を生み出すってことですね」

勇者「子作りと同じようなもんだな」

武闘家「またすぐそういうことを……」

勇者「いやだって、同じじゃん。俺の血筋と武闘家ちゃんの血筋が合わさることで次の世代の勇者が生まれるんだから」

武闘家「そうですけど……」

勇者「まあすぐに話をエロ方向に持ってこうとする俺もアレだけど、武闘家ちゃんだって別にエロが嫌いなわけじゃないんだろ?」

武闘家「ええまあ、誤解を恐れずに言うなら、わたしもえっちなことに興味はありますし、好きか嫌いかで言えば好きかもです」

勇者「つまり武闘家ちゃんは淫乱ド変態雌豚クソビッチってことか」

武闘家「誤解しすぎです」

勇者「冗談はさておき、要するに武闘家ちゃんは羞恥心が強すぎて……っと、また敵だ」

武闘家「はいっ、行ってきますっ」

勇者「がんばれよー」

武闘家「ほおおおあったぁ! あたたたたたっ! しゃおーっ!」ドドドドドドッ ズバッ!

勇者「おお、早速両方の流派を組み合わせて使ってるな。ああいう素直なところが武闘家ちゃんのいいところなんだろうな」

武闘家「ふぅ……もうすぐ南東の町に辿り着きますね。またいっぱい戦いましたから、かなり鍛えられたような気がします」

勇者「こっちの方が魔王の城に近い地域だから、敵の強さも上がってきてるな」

武闘家「わたしにとっては好都合ですけど、この辺に住んでる人にとっては迷惑な話ですねえ」

勇者「まったく魔王ってやつは、死んだ後も人に迷惑をかけやがんのな。勃つ鳥跡を濁さずという諺を知らんのか」

武闘家「それですけど、魔物って、魔王が生み出したものなんですか?」

勇者「確かそうだったと思うよ。純粋な魔物だけじゃなくて、元々いた生物との生殖行動で雑種が生み出されることもあるけど」

武闘家「ということは、魔王の城に近づくにつれ、純粋種の魔物の割合が増えていくわけですか」

勇者「そういうことだろうな」

武闘家「魔王の城って、南東の町から西の方に行ったところにありますよね」

勇者「そうだな。南東の町を出た後はそっちにも行ってみるつもりか?」

武闘家「より強い敵を求めるなら、そういうことになりますね……強すぎて無理っぽかったらやめときますけど」

勇者「そうだな。敵の強さを見極めながら、慎重に進んでみるか。気になることもあるから俺もそっちに行ってみたいし」

武闘家「気になること、ですか……」

勇者「まあそれはともかく、もう町は目の前だ。さっさと入ろうぜ。またいちゃいちゃもしたいし……あっ!!」

武闘家「どうしました?」

勇者「やばい、大変なことに気づいちまった」

武闘家「なんですか、大変なことって……」

勇者「ああくそっ、迂闊だった。なんでこんな簡単なことに今まで気づかなかったんだ。俺は馬鹿なのか!?」

武闘家「勇者様、落ち着いてください。何に気づいたんですか?」

勇者「武闘家ちゃん、誕生日はいつだ?」

武闘家「はい?」

勇者「誕生日だよ!」

武闘家「何かと思ったらそんなことですか。いえ、ご心配なく。わたしの誕生日はまだですし、近づいてきたらそれとなく要望を」

勇者「いや誕生日プレゼント渡さなきゃとかそういう話じゃなくてさ」

武闘家「ちがうんですか?」

勇者「俺の記憶が間違ってなければ、武闘家ちゃんの誕生日は今から3ヶ月後くらいの筈だ」

武闘家「あ、はい、そうです。ちゃんとおぼえててくれたんですね」

勇者「今14歳で子作りは16歳からって言ってたから、じゃあ2年後かぁなんて思ってたけど、2年後じゃなくて1年3ヶ月後じゃん!」

武闘家「はい……そうですね……?」

勇者「もうあまり期間が残ってないぞ。16歳でちゃんと子作りが上手くできるように、練習しておかないと!」

武闘家「えっ?」

勇者「こうしちゃいられねぇ、急いで宿屋に行くぞ!」ダッ

武闘家「あっ、えっ、勇者様っ!?」



勇者「部屋の扉に鍵はかけたな? よし、さっそく練習を開始するぞ!」

武闘家「練習って、何をするんですか……?」

勇者「ちんこ入れる練習に決まってんだろうが!」

武闘家「ち、えっ、無理ですっ。そんなのまだ早いですっ。急すぎますっ」

勇者「そんなこと言ってる場合か! 時間が無いんだぞ! 過程なんかすっ飛ばせ!」

武闘家「そんな……勇者様、どうしたんですか? 落ち着いてください」

勇者「落ち着いてる場合か!」

武闘家「いえどんな場合かよくわかりませんけど、わたしまだ、心の準備が……とにかく落ち着いてください……」

勇者「ん、そうか。よし、落ち着いたぞ。まああれだ、宿に着いたばかりだし、ちょっとのんびりしようか」

武闘家「切り替え早いですね……」

勇者「まあ、あまり強引に事を運びすぎて武闘家ちゃんに嫌われちゃったら元も子もないからな」

武闘家「はあ、そうですね。強引すぎるのは、ちょっと」

勇者「ここはちょっと落ち着いて、今後のための練習について考えてみようか」

武闘家「あのっ、勇者様、そもそも子供を作るのに練習って要るものなんですか……?」

勇者「そりゃ要るだろ。武闘家ちゃんは最初からそんなに強かったのか? 強くなるための鍛錬をしたことは無いのか?」

武闘家「いえ、血の滲むような努力をしました」

勇者「そうだろ。子作りだって同じだ。実際、最初は血が滲んだりもするしね?」

武闘家「なに上手いこと言ってやったみたいな顔してるんですか。下品です」

勇者「下品かな?」

武闘家「下品ですよ。そういう直接的な表現は避けてください」

勇者「直接的かなあ。わりとコンドームに包んだ表現をしたつもりなんだけど」

武闘家「包むならオブラート使ってくださいよ。えっ、練習ってそういう、下ネタ大会みたいなことなんですか?」

勇者「いや違うけど」

武闘家「あ、ちがうんですか。わたしも下ネタ言わなきゃいけないのかと思いました」

勇者「そういや武闘家ちゃんってあんまり下ネタやエロいこととか言わんよな」

武闘家「そうですね。勇者様がよくえっちな話をしますから、それに対する受け答えくらいはしますけど」

勇者「恥ずかしいのはわかるけど子作りをするにはエロいことしなきゃいけないんだから、ちょっとずつでも慣らしていかないと」

武闘家「そうですね……」

勇者「俺は別にいきなりセックスしちゃってもいいんだけどさ。武闘家ちゃんはちょっと奥手なところがあるからな」

武闘家「はい……お気遣いありがとうございます。お手柔らかにお願いします」ペコリ

勇者「じゃあちょっと、円満な性生活のために必要な情報を得ておこうかな。武闘家ちゃんの処女膜って、今はどんな状態なの?」

武闘家「いきなりそんな話からですか……どんな状態、とは? わたし、男の人とえっちなことをした経験は無いですけど……」

勇者「でも武闘家だから、股を大きく開いて蹴ったりとか、激しい動きをするじゃん? もう既に裂けてる可能性もあるだろ」

武闘家「確かめたことないですからわかりませんけど……裂けちゃってたらまずいですか?」

勇者「いやむしろ初めての時が楽かもしれないからまずくはないな。で、どうだ? 訓練中に股に痛みが走ったこととか無いか?」

武闘家「無かったと思いますけど……」

勇者「そうか……まだ裂けてないとしたら、最初はすごく痛いかもしれないな……」

武闘家「でもわたし武闘家ですから、痛みには強い方だと思いますし、大丈夫なんじゃないでしょうか」

勇者「かもな。ちょっと確かめてみようか」

武闘家「確かめる……?」

勇者「まんこ……いや、直接的な表現はだめなんだっけ。えーと、まんこのことは何て言えばいいんだ?」

武闘家「何でしょう。股間にあるえっちな穴、とかでしょうか」

勇者「それ、かえって生々しくなってないか?」

武闘家「うっ……そうかもです」

勇者「まあいいや、えーと、オナ……いや、自分でする時とか、穴に指を入れたことはある?」

武闘家「無いです」

勇者「じゃあ試しにちょっと、指入れてみなよ」

武闘家「えっ、ここでやるんですか? 嫌ですよ」

勇者「俺の目の前でやるのは恥ずかしいか。そりゃそうだろうな。だったら、1人で風呂の中でやればいいよ」

武闘家「はぁ、お風呂ですか。それなら、まあ……」

勇者「ああそうだ、最初は指を1本だけ入れてみて、大丈夫そうなら2本入れてみるのもいいかもな」

武闘家「それをすると、どうなりますか?」

勇者「穴が広がるのに慣れることで、初体験の時の痛みが少なくなるかもね」

武闘家「なるほど……わかりました、やってみます」

勇者「うん。頑張れよ。でもあれだな、武闘家ちゃんはほんとに素直でいい子だな」

武闘家「はい、ありがとうございます。じゃあ、行ってきます」トコトコ

勇者「ああそうそう、ちゃんと濡らしてからやれよ。どうすれば濡れるかくらいは知ってるよな? 知らないなら教えるけど」

武闘家「それは、はい、大丈夫です///」

勇者「それは知ってるんだ……」



勇者「そっか、武闘家ちゃんもオナニーはしたことあるんだな。穴派じゃなくてクリ派ってことか」

勇者「今頃武闘家ちゃんは風呂の中で、自分で股間をいじって、濡れてきたところで指を入れて……」ムラムラ

勇者「ふっ、今夜は俺の自主トレも捗りそうだぜ……」



武闘家「ふぅ……お待たせしました。勇者様もお風呂、どうぞ」

勇者「おう、お疲れ。どうだった?」

武闘家「あ、はい。入れましたよ///」

勇者「痛かった?」

武闘家「いえ、1本なら大丈夫です」

勇者「そっか、2本は?」

武闘家「それは……ちょっと怖かったので、今日のところは1本だけでいいかなって……」

勇者「2本は試してないのか」

武闘家「はい。すみません」

勇者「そっか、まあいいよ、無理はしなくても」

武闘家「はい、ありがとうございます」

勇者「ちょっと手を見せて」

武闘家「はい」スッ

勇者「この指が入ってたのか……」ゴクリ

武闘家「勇者様……?」

勇者「ちょっと指、舐めてもいい?」

武闘家「だっだめですっ」サッ

勇者「ケチ」

武闘家「えっちなのはいいですけど下品なのはだめですっ」

勇者「えっちと下品の線引きがよくわからんなあ」

門番「今、道場の者は魔物の駆除のために出払ってまして……」

勇者「あー、じゃ、見学は無理っすか」

門番「ええ、残念ながら。遠い所からわざわざ来てくださったのに、すいませんね」

武闘家「いえ、気にしないでください。次の機会がありましたら、その時はよろしくお願いします」



勇者「見学できなくて残念だったな」

武闘家「はい……この辺りは、思った以上に魔物による被害が深刻みたいですね。道場の人がみんな出払っちゃうなんて」

勇者「ま、しょうがないよな。やること無くなったし、また宿に戻ってまんこに指でも突っ込んでればいいよ」

武闘家「下品です」

勇者「ごめんなさい」

武闘家「朝からそんなことしててどうするんですか……」

勇者「夜ならいいの?」

武闘家「……夜ならいいです」

勇者「あ、いいんだ。じゃあ今夜は武闘家ちゃんの指じゃなくて俺の指でやってみようか。楽しみだなあ」

武闘家「ええっ!? ちょっ、勇者様、それはちょっとっ」

勇者「…………行ってみるか、西に」

武闘家「西に行くだなんて、そんなえっちなこと……はい? 西ですか?」

勇者「魔王城の方角に行ってみようかって言ってんの」

武闘家「あ、はい。行きましょう」

勇者「なんつーか、もう何が起こってるかわかったような気がするわ」

武闘家「そうなんですか?」

勇者「ああ。そんなことだろうと思ってたわー、俺けっこう前からわかってたわーって感じ」

武闘家「はあ。わたしにはよくわかりませんけど、とにかく西に向かって突き進めばいいんですね」

勇者「うん。ああそれと、こっからは俺もちょくちょく戦うようにするから。ちょっと鈍り気味だから、体を動かしとかないとな」

武闘家「運動不足の解消ですか?」

勇者「まあそんな感じ」

武闘家「では、出発しましょー」

勇者「おー」

武闘家「ひょおおーっ、しゃおっ! あーったたたたた」ズバッ! ドドドドド

勇者「とりゃあ!」ザシュッ!

武闘家「はっ!」バッ!

勇者「『雷撃』!!」ドゴオオオン!!


武闘家「ふぅ……やっぱりこの辺りの敵は手ごわいです……」

勇者「大丈夫か? 武闘家ちゃん」パァアア

武闘家「あ、はい。回復、ありがとうございます」

勇者「無理しなくていいからな。危ないと思ったら俺を盾にしていいから」

武闘家「はい……やっぱり勇者様は、さすがですね。すごく強くて、かっこいいです」

勇者「もっと褒めてくれていいぞ。……でもまあ、父さんには及ばないけどな」

武闘家「勇者様のお父様ですか。すごく強いんでしょうねえ」

勇者「うん、強いよ。凄く強い。俺よりもずっと」

武闘家「勇者様の血筋ってすごいんですねえ。わたしがいくらがんばっても追いつけそうな気がしません」

勇者「基本スペックが違うからな。まあ俺や父さんとかは別格として、それ以外の中での最強を目指せばいいと思うよ」

武闘家「勇者様の家系以外での最強、ですか……」

勇者「まあそのうち武闘家ちゃんも俺の妻になって家系の一部に組み込まれるわけだが」

武闘家「わたしなんかの血が混ざっちゃっていいんでしょうか。なんだか自信が無くなってきました」

勇者「いや全然大丈夫。武闘家ちゃんも充分規格外だから。素質はたぶん俺の母さんより上だし」

武闘家「そうですか、ちょっと安心しました。でも勇者様ってすごく強いですけど、そのわりにはなんだか……ふふっ」

勇者「ん? 何だよ」

武闘家「たまにちょっと、抜けてるとこもあるような……なんて、失礼ですね。すみません」

勇者「いや……それもうちの家系の伝統だよ。その分、しっかりした嫁さんもらわないとな……」

武闘家「じゃあわたしがしっかりしないと……あっ、勇者様、あれは……」

勇者「ああ、魔王の城だな」

武闘家「突き進んでるうちにここまで来ちゃったんですねえ」

勇者「まあ、ここに来ようと思って進んでたんだけどな」

武闘家「ということは、城の中にも入るんですか?」

勇者「うん、入るよ。勇者としての義務を果たさないとな」

武闘家「義務って、まさか……」

勇者「そう、そのまさかだ」

武闘家「この中でわたしと子作りを……?」

勇者「そのまさかじゃねえよ」

武闘家「なわけないですよね。……魔王ですか」

勇者「武闘家ちゃんもそういう冗談言うんだな」

武闘家「勇者様と行動を共にしてるうちに似てきちゃったかもです」

勇者「ま、そんだけ余裕があるなら大丈夫かな。突入するぞ」

武闘家「はいっ」ゴクリ



武闘家「ほおおあっちゃあーっしゃおっ!」ズバッ!

勇者「よし、仕留めた。城内の魔物にも充分通用するな、武闘家ちゃんの力は。つーかめっちゃ強くなってるな。修行の成果か」

武闘家「はい……でも強敵揃いです」

勇者「魔王はもっと強いんだろうな。なんかめんどくさくなってきた。やっぱり帰っちゃおうか」

武闘家「いや、何言ってるんですか。だめですよ。……でも勇者様はなんでここに魔王がいると思うんですか?」

勇者「雑種の雑魚魔物の数が全然減らないのに加えて、ここに近づくにつれて純粋種の魔物とも遭遇しまくっただろ」

武闘家「新たな魔物が生み出され続けてるってことですか……」

勇者「普通に考えたら、魔王が健在ってことだよな」

武闘家「でも、魔王は勇者様のお父様が倒したはずなのに、なんでまだいるんでしょう」

勇者「そんなことは知らん」

武闘家「はあ。知らんですか」

勇者「知らんけど、うちの父さんもちょっと抜けてるとこがあるからなあ」

武闘家「とどめを刺し損ねたってことでしょうか……」

勇者「たぶんそうなんじゃないかなあ」

武闘家「あ、あの扉でしょうか、魔王の間は」

勇者「そんな感じだな。よし、じゃあ行ってくるから武闘家ちゃんはここで待ってろ」

武闘家「ええっ? いや、なんでですか。わたしも行きますよ」

勇者「いや、俺の役目だし……」

武闘家「だめですっ。わたしも行きますっ」

勇者「うーん……じゃあついて来てもいいけど、やばいと思ったらちゃんと逃げろよ」

武闘家「はい、わかりました」コクリ

勇者「じゃ、行くぞ」

ガチャッ ギィイイイイ


魔王「……」ギロッ

勇者「おっ、いたいた」

武闘家「すごい威圧感です……あれが、魔王……」ゴクリ

魔王「帰れ」

武闘家「えっ」

魔王「雑魚には用は無い。帰れ」

勇者「いやいや魔王さんよ、その雑魚にここまで侵入されちまって、ただで帰しちゃっていいのかい?」

魔王「……今の余は勇者との戦いで負った傷を癒しておる。小僧どもの相手をするのは面倒だ。帰れ」

勇者「俺だってめんどくせえよこんなの」ボソッ

魔王「どうした、帰らんのか。自殺志願なら他でやれ。余の手を煩わせるな」

勇者「ふん……ボロボロの満身創痍って感じだな。ひとつ聞かせてくれ。勇者との戦いをどうやって生き延びた?」

魔王「確かに余は勇者との戦いによって傷つき、倒れた。だが……」

勇者「……」

魔王「そのまま勇者が帰るまでずっと死んだふりをしていたのだ」

勇者「かっこ悪くないかそれ!?」

魔王「かっこ悪かろうが生き延びたもん勝ちだ」

勇者「あ、そう……」

魔王「そもそも余は1対1の戦いなら勇者ごときに負けはせん。だがやつらは集団で寄ってたかって……」

勇者「……まあ、パーティ組んで戦うわな、普通は」

魔王「そう、まるで戦士隊シリーズの絵本のように……」

勇者「魔王がヒーローものの絵本とか読んでんじゃねえよ!!」

魔王「大人が読んでもけっこう面白いのだ」

勇者「そういう問題じゃねえよ」

武闘家「あのっ、勇者様」ヒソヒソ

勇者「なんだ武闘家ちゃん」ボソボソ

武闘家「なんだか、わたしでも勝てそうな気がしてきました。わたしにやらせてください」

勇者「だからこれは俺の仕事だってば」

武闘家「うう……でもわたし、修行の成果を試したいです。弱体化した魔王程度になら勝てるくらい強くなれたのか……」

勇者「どんだけ戦闘マニアなんだ武闘家ちゃんは。だめだめ。俺がやるよ。あいつも俺と1対1で戦って敗れるのなら本望だろ」

武闘家「でも……ううう……ごっ」

勇者「ご?」

武闘家「ごめんなさいっ」ダッ

勇者「あっ、待てっ」

武闘家「おおおあああああっ!」バッ

魔王「そこまでして死にたいか」

武闘家「ああああーったたたたたたた」ドドドドドドド

魔王「ふん」パパパパパパパ

武闘家「しゃおぉーっしゃおっ!」ヒュンッ シュバッ

魔王「踏み込みが甘い」パシッ パシ

武闘家「くっ……」

魔王「ふんっ!」ドゴォッ!

武闘家「がっ……!」

ヒューン ドシャアア

勇者「武闘家ちゃん!」ダッ

武闘家「あ……が……い、痛い……痛いぃ……」ビクッ ビクッ

勇者「アホかっ、拳法の達人なんだから相手の実力くらい見極めろ!」パァアアアア

武闘家「す、すみません……」ヨロッ

勇者「ふぅ……即死じゃなくて良かったぁ……っつーか、ほっとしたら腹立ってきたな。おいお前、俺の女に何してくれてんだよ」

魔王「勝手なことを言うな。帰れと言っておるのに飛びかかって来たのはその小娘だろうが」

勇者「まったくその通りだ! 返す言葉がねえ!」

魔王「わかったらもう帰れ……」

勇者「いや、そういうわけにはいかねぇな。すごい勝手な言い分だけど俺はお前にむかついてるし、お前を倒す理由もある」

魔王「理由だと……?」

勇者「しかしあれだな。腐っても魔王ってとこか。お前、すげー強いな。俺でも勝てないかも」

魔王「無論だ。未熟な若造ごときに敗れる余ではない。どうしても戦うというならもっと強くなって出直して来い」

勇者「いやその間にお前の傷も癒えちゃうじゃん。町とかにも魔物の被害が出続けるじゃん。今倒さないとな」

魔王「無駄なことだ。どうあがこうと余には勝てん」


勇者(確かに今の俺の実力ではこの状態の魔王とでも、勝てる確率はあまり高くないかもしれん……)

勇者(でも俺にはこの旅で得た経験と知識がある……それを生かして戦えば勝てる筈……!)

勇者(思い出せ……俺はこの旅で何を学んだ?)

勇者(俺は、武闘家ちゃんの戦いをずっと見てきた。道場では僅かな体験程度だが北東神拳を学んだ)

勇者(北東神拳と南東聖拳……2つの流派を組み合わせた新たな戦法……)

勇者(他には……何したっけな……武闘家ちゃんのおしりやおっぱい見たり……いやそれは今関係ねえ)

勇者(あと何だろう、プリプアやすごタマの話とかしたな……産卵……いや、タマゴ産んでどうすんだよ。そもそも産めねえし)

勇者(それから……ああっ、ほとんどエロいことしたりエロい話をしてた記憶しかねえ!!)

魔王「どうした……? この期に及んで怖気づき、逃げ帰る口実でも探しておるのか」

勇者「くっ……くくく……はーっはっはっは!!」

魔王「何を笑っておる」

勇者「くくっ……なんでお前、そんなに上から目線なんだよ! この俺様に勝てるとでも思ってんの!?」

魔王「なに?」

武闘家(勇者様のあの自信は何なんでしょう……はったりでしょうか……?)

勇者「さっきからどうも会話が噛み合わないと思ってたんだよ。お前、俺が誰だかまだ気づいてねーだろ」

魔王「何だと……?」

武闘家(あ……わたしが『勇者様』って呼んだのは小声でヒソヒソと1回だけだったから……)

魔王「ならば聞いてやろう。貴様はいったい、何者だというのだ」


勇者「通りすがりの覆面ライダーだ。覚えておけ!!」


武闘家「は?」

勇者「変身!!」シュイーン!

武闘家「ええっ!?」

魔王「姿が変わった……あの姿は……?」

武闘家「あれは、覆面ライダー! えっ、ええっ!?」

勇者「ん、なんだ、魔王お前、覆面ライダーは知らないのか。それはそれで好都合。いくぞ!」バッ

武闘家(なんで!? なんで勇者様が覆面ライダーに変身を!?)

魔王「姿を変えたところで……」バッ

勇者「はぁああーっ、とりゃあ! あーったたたたたたたっ!」ドドドドドドド

魔王「くっ……」パパパパパパパ

武闘家「勇、覆面ライダーが北東神拳を……」

魔王「ふんっ!」ドガッ

勇者「ぐっ……あたぁ!」ドンッ

魔王「がっ……」ヨロッ

武闘家「1発入ったっ……!」

勇者「もういっちょ! しゃおーっ!」シュパッ

魔王「むっ……この斬撃……あの小娘も似た技を使っておったが……」タラー

勇者「どうだ、すげえだろ。南東聖拳の手刀は、剣みたいに敵を斬り裂けるんだ」

武闘家「すごい……わたしの今までの戦いを見てただけで、南東聖拳の技を使いこなすなんて……」

魔王「確かになかなかのものだが……剣と同じことをするなら剣を使った方が楽ではないのか」

勇者「俺と同じようなこと言ってるな。でもこういうのも出来た方が出来ないよりは便利だろ、いつも剣を持ってるとは限らんし」

魔王「ふ……ならば次は、我が魔剣の斬れ味を貴様の体で試してやろう……」スゥッ

武闘家「虚空から禍々しい姿の漆黒の剣が現れて、魔王の手に……」

勇者「そんなこと出来るのか、便利だな! でもちょっと待て、斬れ味を試すって、その剣を戦闘で使うのは初めてなのか?」

魔王「前回の戦いでも使ったが、この剣での攻撃は1発もヒットしなかったのだ」

勇者「…………まあいいや。剣には剣だ。超変身!!」シュイーン!

武闘家「あっ、あの丈夫そうな鎧と剣で武装した姿は、覆面ライダーのダイタンフォーム!」

勇者「説明しよう。ダイタンフォームとは、高い防御力を生かしてすごく大胆な戦い方ができる、覆面ライダーの特殊形態だ!」

魔王「その鎧ごと切り裂いてくれるわ!」ブンッ

勇者「ダイタンソード! とりゃあ!」ガキーン!

武闘家「剣と剣の激突は全くの互角……いや、勇……覆面ライダーの方が僅かに押しているっ……!」

勇者「へへっ、悪いな。俺は素手で戦うより武器を使った方が強いんだ」

魔王「いや大抵、誰でもそうだろう」

勇者「ん? ああ違うか。俺は武器を使った戦いの方が得意なんだ。素手での格闘は慣れてないから」

魔王「それならわかる」

勇者「さあ、いくぞ魔王! 覚悟しろ!」

魔王「ふっ……変身できるのが自分だけだとでも思ったか……?」

勇者「なにっ!」

魔王「見よ、我が真の姿を!」ズモモモモモモ

武闘家「あっ、魔王が竜の姿に!」

勇者「なんの、俺だってまだ他の姿に変身できる」

武闘家「竜には竜……覆面ライダー、ドラゴニックフォームですねっ!」

勇者「と思ったけど、もうなんかめんどくさくなってきたからこのままいくっ!」

武闘家「ええー……」

勇者「ただし手抜きはしても手加減はしないぜ!」バチッ バチバチッ

武闘家「あれは……ダイタンフォームの強化形態、ライトニングダイタン……」

魔王「グオオオオオオッ!!」

勇者「これで……終わりだ!!」

武闘家「そしてあの剣の構え方は、ライトニングダイタンの必殺技、ライトニングカタストロフィダイタン……」

ピカッ!

魔王「グオッ……!?」

ドッゴオオオオオオオン!!!



武闘家「終わった……んですか……?」

勇者「ああ」

武闘家「勇者様……いえ、覆面ライダー……」

勇者「ん? ああ、まだ変身したままだったか」シュンッ

武闘家「魔王は……」

勇者「死んだはずだけど、念のためにバラバラに斬り刻んで燃やして灰にしとこう。また死んだふりしてたら嫌だし」

武闘家「あの魔王と戦って1発くらっただけで済むなんて、すごい強さですね……」

勇者「まあその1発がけっこう痛かったし、圧勝というほどでもなかったよ。魔法で攻撃されなかったのはついてたな」

武闘家「魔王はなぜ魔法を使わなかったんでしょうか?」

勇者「さあな。上手くこっちのペースに引き込めたからか、あるいは父さんとの戦いで受けたダメージのせいで使えなかったのか」

武闘家「でも驚きました、勇者様が覆面ライダーだったなんて。覆面ライダーってほんとにいたんですね……」

勇者「いや、違うけど」

武闘家「はい?」

勇者「変身の魔法で覆面ライダーの姿を真似してただけだよ」

武闘家「えっとそれは、ちょっとミもフタも無い言い方になっちゃいますけど、いわゆるモシャス的な?」

勇者「いや、能力とかは俺のままで、姿を変えただけ」

武闘家「じゃあ、勇者様の素の力だけで魔王に勝ったってことですか?」

勇者「まあな。あの状態の魔王でも1対1で戦ったら負けるかもなーとか思ってたけど、やってみたらそうでもなかったわ」

武闘家「はあ……じゃあ、なんで変身をする必要が……?」

勇者「理由はふたつあるっつーか、一石二鳥みたいな感じだったんだけど。それは町への帰り道で歩きながら話そうか」

武闘家「あ、はい、帰りましょう」

勇者「まずひとつは、魔王を油断させるためだな。あいつ、俺が勇者の息子だってことに気づいてなかっただろ」

武闘家「あ、はい、それにはわたしも気づきました」

勇者「魔王にとっては、絵本の中のヒーローなんかより、自分を倒した勇者の血を引く者の方が警戒すべき相手だろ」

武闘家「なるほど、そのことに気づかれる前に偽りの名乗りを……あ、じゃあ、最初のうちは北東神拳や南東聖拳で戦ってたのも」

勇者「うん。顔や剣技を見てるうちに『あれ? もしかしてこいつ、あいつの息子とかなんじゃね?』とか思われないようにな」

武闘家「はあ、そういうことですか」

勇者「途中から成り行きで剣を使ったけど、元々最終的には俺の最も得意な戦い方をするつもりだったから、概ね予定通り」

武闘家「あ……最後の方でドラゴニックフォームに変身しなかった理由がわかりました……武器が違うからですか」

勇者「そうそう。覆面ライダーが剣を使うのはダイタンの時だけだからな。あの必殺技の構え方、ガキの頃によく真似したなあ」

武闘家「そういえば勇者様、能力が変わってないのなら、なんであの必殺技を使えたんですか?」

勇者「あれも俺の、勇者の力だよ。雷撃の魔法を剣に纏わせただけ。前に武闘家ちゃんと話したことがヒントになったな」

武闘家「魔法を剣に……あ、あれですか。わたしの強さの秘密とか」

勇者「そう、あれ。魔力を拳に込める、北東神拳の奥義とやらをヒントに、ちょっとアレンジしてやってみた」

武闘家「魔法の攻撃力を剣の攻撃力に上乗せして……それであんなにすごい威力を出せたんですね……」

勇者「もうひとつの理由は、俺のモチベーションだな。覆面ライダーになりきることで、恐怖心を忘れて闘争心を奮い立たせたの」

武闘家「なるほど、小さい頃から憧れのヒーローの姿として刷り込まれてますからね」

勇者「ああ、メンタルコントロールには最適だった」

武闘家「だからあんなに余裕を持った態度でいられたんですね」

勇者「うん、あと罪悪感を紛らわす意味でもな」

武闘家「罪悪感、ですか……?」

勇者「たとえ相手が悪の魔王で、戦うことに大義名分があったとしても、殺すとなるとなんか、暗い気持ちになっちゃうじゃん」

武闘家「勇者様は優しいですねえ。でも、魔王を殺すのも、他の魔物とかを退治するのと同じことなのでは?」

勇者「同じことなんだけど、わりと人間に近い姿で、言葉も話すような相手だと、殺すという行為を強く意識しちゃうんだよな」

武闘家「それで、そういうことを意識しすぎないように、気分を高揚させて、戦いに没頭できるようにしたんですか」

勇者「まあ少々悪ノリが過ぎたような気もするけど、ちょっとふざけたノリでやるくらいの方がいいんだよ、俺の気持ち的には」

武闘家「生命に関わるようなことなら尚更、ふざけたりしないで真摯に向き合うべきという考え方もありそうですけど……」

勇者「考え方は人それぞれだろ。中には『もっと強くなりたい』なんて理由で平然と殺戮を繰り返す戦闘マニアの人もいるし」

武闘家「うっ……そう言われると、なんか……わたしって、極悪非道な人なんでしょうか」

勇者「さあ、どうだかな。動機はちょっとアレかもしれんけど、魔物の数を減らすのは人間にとってはいいことだからな」

武闘家「うーん……動機や目的が何であれ、結果が良ければ手段が正当化される……みたいに思っちゃっていいんでしょうか」

勇者「そもそも闘争心とか強さへの欲求は、生存競争のために必要な本能だしな。まあいいんじゃないの」

武闘家「はあ……なんか、難しくてよくわかんないです」

勇者「単純に言えば、人間にとって都合のいいことならやって良し、人間にとって迷惑なことはやっちゃ駄目ってことだろうな」

武闘家「人間には、人間のための正義があるってことですか。勇者様に課せられた義務もそうですね」

勇者「そうだな。魔王を倒して人間を守ること。そして、魔王を倒せる人間を生むこと」

武闘家「わたし、それの片方では全然勇者様のお役に立てませんでしたから、もう片方だけでもがんばらなきゃですね……」

勇者「いや元々俺が武闘家ちゃんに期待してる役割は子作りの方だからそっちだけでいいよ。俺も戦いよりそっちの方が好きだし」

武闘家「勇者様、なんか、わたしと勇者様の性格って、逆の方が良かったような気、しません……?」

勇者「武闘家ちゃんは闘争心旺盛、俺は生命を育む方が好き……うん、確かにこれ、逆にした方がいいような気がするな……」

武闘家「はぁ……」トボトボ

勇者「なんか武闘家ちゃん、元気ないな。疲れたか? ほら、部屋に着いたぞ。ゆっくり休め」ガチャ

武闘家「はあ……疲れたというのもあるんですけど……なんかわたし、自信をなくしちゃいました」

勇者「弱体化した魔王にあっさりやられちまったことを気にしてんのか」

武闘家「はい……勇者様との格の違いも見せつけられましたし……」

勇者「いや、武闘家ちゃん、自分がまだ14歳の少女だってこと忘れてないか? いくら天才少女だっつってもさあ」

武闘家「それはわかってますけど……」

勇者「魔王だの勇者だの、並みの人間とは桁違いの強さを持ってる相手と張り合おうなんて100年早えよ」

武闘家「100年経ったらわたし死んでます。生きててもおばあちゃんです」

勇者「それはちょっとあれだ、言葉の綾だけど。でもこれから頑張ればもっと強くなれるだろうしさ」

武闘家「そうですね……もう少しくらいなら……」

勇者「剣も魔法も使える俺と比べたらあれだけどさ、近接格闘に限定すれば俺と同等くらいまでいける可能性はあるかもしれん」

武闘家「そうでしょうか……」

勇者「それでもまだ不満なら、頑張って強い子を産んで、その子を立派な勇者に育て上げればいいさ」

武闘家「ともあれ、これでわたしたちの旅の最大の山場は終わった感じですね……」

勇者「子供向けの絵本なら、ラスボス倒してめでたしめでたしで終了だな。でも大人はもうちょっとほら、あれがあるから」

武闘家「大人のあれというと、やっぱりあれのことでしょうか。でもわたし、まだ14歳の少女ですし」

勇者「14歳ならもう充分大人だろ」

武闘家「さっきと言ってることが違うような……」

勇者「そうだっけ? まあでも今日はもうそんな元気残ってないだろうし、今夜に限ってはエロは無しでゆっくり休んでいいよ」

武闘家「勇者様がそんなことを言うなんて、珍しいですね……お気遣い、ありがとうございます」



勇者「さて、そろそろ寝るか。武闘家ちゃんも俺のベッドで一緒に寝るか?」

武闘家「はい、いっしょに寝ましょう」

勇者「えっ、いいの? なんだ、もうラブラブだな俺たち。そうかあ、武闘家ちゃんは俺と一緒に寝たいかあ。嬉しいなあ」

武闘家「……えっと……わたしちょっと先のことが不安になってますから、勇者様に優しく慰めてもらいたいです」

勇者「……そっか。いいよ、こっちに来な。今夜はずっと抱きしめててやるから」

武闘家「はい、ありがとうございます」

勇者「ほら、もっとこっちに寄って」

武闘家「はい……勇者様の腕は、たくましいですねえ」

勇者「武闘家ちゃんの体、ちっちゃいな……」

武闘家「はい……こんな体で、わたし、強くなれるでしょう……か……」カクン スー スー

勇者(あれ、もう寝ちゃった。そんなに疲れてたのか……ちょっと無理させちゃったかな)

勇者(今日は危く死なせちゃいそうにもなったからなあ……もっとしっかり武闘家ちゃんのことを見といてあげないと……)

勇者(俺自身も、もっと強くならなきゃいけないな……魔王みたいな強敵がまた現れないとも限らないし)

勇者(武闘家ちゃんを守りきれなかったり、武闘家ちゃんを未亡人にしちゃわないように。万全な状態の魔王にも勝てるくらいに)

勇者「ふあぁ……今夜はもういいや、俺も疲れた……もう何も考えないで眠ろう……」

武闘家「勇者様、朝です!」

勇者「朝だな」

武闘家「今日はどうしましょう。わたし、もう少しの間、この町に滞在して、魔物退治をやりたいんですけどっ」

勇者「……なんか元気だな」

武闘家「はい、もう立ち直りました」

勇者「あ、そう……切り替え早いな」

武闘家「勇者様に似てきたのかもしれないですねっ。それで、どうします? 今後のわたしたちの行動は」

勇者「魔王はもう倒したし、元々この旅は武闘家ちゃんのためのものだから、好きにしてくれていいよ」

武闘家「じゃあ、昨日の疲れもまだ少し残ってますし、今日はお休みの日にして、明日からまた魔物退治をしましょう」

勇者「ん、じゃあそれで」

武闘家「で、休日の過ごし方ですけど、どうしましょう?」

勇者「それも好きにしてくれていいけど、俺の希望も聞いてもらえるのなら……」

武闘家「えっちなことですか?」

勇者「えっちなことだな」

武闘家「いいですよ。えっちなことをしましょう」

勇者「えっ、いいの? こんな朝っぱらから?」

武闘家「いいですけど……何をするんですか? 前の続きくらいならわたし、大丈夫だと思いますけど」

勇者「前回は指を1本入れるところまでだったな」

武闘家「次は2本ですか……頑張ってやってみます。いきなり奥までは無理かもしれませんけど、少しずつなら……」

勇者「おおう、これはまた、エロい発言だな……なんでそんなにエロ方面に張り切ってんの?」

武闘家「今日、目が覚めてからいろいろ考えてたんですけど、そろそろ将来のことを真剣に考えるべきだと思いまして」

勇者「もうすぐ俺の妻になるという自覚が出てきたということか。いいことだ」

武闘家「というわけで、お風呂に行ってきます」

勇者「いや、行かなくていいよ。そこのベッドに寝転んでくれ」

武闘家「えっ? ちょっと待ってください、それはまだ早いです」

勇者「別にいきなり子作りしようとか言わないから心配しなくていいよ」

武闘家「あ、そうなんですか」コロン

勇者「……」チュッ

武闘家「えっ……///」

勇者「可愛いな、本当に。武闘家ちゃんは」ナデナデ

武闘家「あ……はい、ありがとうございます……」

勇者「優しくしてやるから心配しないで、楽にしててくれ」

武闘家「え……子作りはまだしないんですよね……?」

勇者「しないしない。俺を信じろ。嘘はつかないから」

武闘家「はい……わたしはこうして寝てるだけでいいんですか? 今から何をするんでしょうか」

勇者「まず下を脱がします」スルリンッ

武闘家「えっ!?」

勇者「ほい、パンツも」スポーン

武闘家「わっ、やっ、勇者様っ!?」

勇者「大丈夫大丈夫、ほら、手で隠さないで」

武闘家「下半身裸にして、何するつもりなんですかっ!?」

勇者「前に言っただろ? 今度は俺の指でしてやるって」

武闘家「うっ、嘘ですよねっ!?」

勇者「怖がらなくていいよ。本当に優しくする。約束するよ」

武闘家「で、でも、恥ずかしいですっ」

勇者「1年3ヶ月後には俺の妻になるんだろ?」

武闘家「そのつもりですけど……」

勇者「じゃあ、いい妻になれるように努力しようよ。俺もいい夫になれるように頑張るから」

武闘家「わ……わかりました……」

勇者「じゃあ、手をどかして」

武闘家「はい……」

勇者「足、開いて」

武闘家「う……それは……」

勇者「大丈夫、夫婦になったらみんなやってることだから。誰でもだ。武闘家ちゃんもできるよな」

武闘家「はい、でっ、できますっ」

勇者「よし、じゃ、足開こう」グイッ

武闘家「ううっ……勇者様にわたしの……見られちゃう……」

勇者(ついに待ち焦がれた瞬間が……武闘家ちゃんのえっちな穴が、俺の目前に晒される時が来た……)ドキドキ

カパ

勇者(おおおおおおおっ、すげええ……武闘家ちゃんの一番恥ずかしいところが、まる見えになってる……!)ハァハァハァハァ

武闘家「勇者様ぁ……恥ずかしいです……あと、ちょっと怖いです。勇者様が」

勇者「大丈夫だ、ほら、俺の目を見ろ。これが欲望にまみれた野獣の目に見えるか? 愛と慈しみに溢れた優しい目だろう?」

武闘家「えっと……ちょっと血走ってるように見えます」

勇者「いや全然そんなことないから。それ目の錯覚だから。こんな紳士的な目の男ってなかなかいないからね?」

武闘家「そうなんでしょうか……」

勇者「そうそう。さあ、続けるぞ」

武闘家「はい……」

勇者「痛かったら言ってくれ。ちゃんと加減するから」

武闘家「はい……」

勇者「まずはよく濡らしてあげないとな。女の子はここの突起の周囲を優しく触ってあげれば気持ちよくなる筈……あれっ?」

武闘家「どうしました……?」

勇者「なんか、愛撫する前からもう既に濡れてるんだけど」

武闘家「///」

勇者「見られて興奮しちゃったかあ。武闘家ちゃんは可愛いなあ」

武闘家「////」

勇者「じゃ、指入れるぞ。なるべく力抜いて楽にして。間違ってもパニクって南東聖拳でズバッとやっちゃったりしないでね」

武闘家「はい……」

勇者「俺もこんなの初めてだから緊張するな……これが女の子のえっちな穴か……凄いな……凄くぬるぬるしてる」

武闘家「んっ……」

勇者「思った以上に狭いな……少しずつ、ゆっくり…………よし、入った……どうだ、痛いか?」

武闘家「いえ……わたしの指より太いですけど、大丈夫です」

勇者「そっか、よかった。次はちょっと、指を動かしてみるから」

武闘家「はい……」

勇者「えーと、まずはゆっくりと前進後退を繰り返す感じで……痛い?」

武闘家「ちょっとだけ……でも大丈夫です」

勇者「じゃあ次は、穴を広げる方向への動きも加えて……」

武闘家「うっ……!」

勇者「あっごめん、痛かったか?」

武闘家「いえ、痛みはあんまり無いですけど……」

勇者「じゃあなんで……気持ちよくて声が出ちゃったってこと?」

武闘家「いえ、そうじゃなくて……なんかちょっと……」

勇者「なんかちょっと?」

武闘家「なんか、ちょっと……出ちゃいそうになりました」

勇者「出そうって、何が?」

武闘家「……おしっこが」

勇者「……ああ、こっち側って膀胱とか尿道がある方だから」

武闘家「そうです。そこを押されると、ちょっと」

勇者「なるほど、ここは押しちゃだめなのか」

武闘家「はい……」

勇者「えい」グイッ

武闘家「はうっ!?」ピュッ

勇者「あ、ほんとに出た」

武闘家「なんで押すんですか!?」

勇者「ごめん、ほんとに出るのかなと思って。もうしないから許して」

武闘家「やめてくださいよ……ほんとに恥ずかしいんですから……」

勇者「ごめんごめん、ちょっと、好奇心に負けちまった。まあ今日はもう、ここまでにしておこうか」

武闘家「ふぅ……やっと終わりですか……」

勇者「……」

武闘家「……勇者様? 終わったのなら指を……」

勇者「なあ、これ、反対側を押したらうんこが出るのかな?」

武闘家「やめてくださいね!?」

勇者「ああいや、やらないやらない。つーかやってもたぶん出ないと思うけど。じゃ、今回はこれで終わりな」

武闘家「はあぁ……恥ずかしかった……」

勇者「でも、旅を始めた頃はおしり見せるだけでもあんなに恥ずかしがってたのにな。ここまでできるようになったか」

武闘家「いえ……さっきのはちょっと、羞恥心の限界を超えちゃってましたよ……」

勇者「そっか……実は俺の方も我慢の限界を超える寸前だったわ。いやもう超えつつある。今すぐ抜きまくりたい」

武闘家「あ、はい。じゃあ、わたしはお風呂に入ってきますね」

勇者「覗きに行こうかな」

武闘家「だめですっ。さっきわたしのいちばん恥ずかしいところを見たばかりじゃないですか……」

勇者「ふぅ……」スッキリ

武闘家「お待たせしましたー」トコトコ

勇者「おかえり。気持ちよかった? お風呂」

武闘家「え、はい、気持ちよかったですよ///」

勇者「ふーん……」

武闘家「……何ですか」

勇者「いや別に何も。武闘家ちゃんと一緒に風呂に入ったりもしてみたいなあって思っただけ」

武闘家「それって、つまり、わたしも勇者様も、全裸になって……それはまだ、早いんじゃないでしょうか」

勇者「でもさあ、もう武闘家ちゃんの体はひと通り全部見せてもらったし、今更恥ずかしがるほどのことでもないんじゃない?」

武闘家「一度見せたからって羞恥心が消えるわけじゃないです。それより、あとで勇者様の方の練習もしましょう」

勇者「俺? 自主トレならさっき済ませたけど? えっなに、武闘家ちゃんの手でしてくれんの?」

武闘家「それじゃなくて、いちゃいちゃの練習です。勇者様はえっちなことばかりで、らぶらぶな感じが足りないです」

勇者「ああ……そういや今日は時間もたっぷりあるんだし、先にそっちをやった方がよかったか。また順番がおかしかったな」

武闘家「そんなことで大丈夫なんでしょうか。勇者様がいい夫になれるかどうか、心配です」

勇者「……努力しますので、よろしくお願いします」

武闘家「はい、こちらこそよろしくお願いします」ニコニコ

勇者「あと戦闘に関してもな。俺ももっと強くなれるように頑張ってみるわ」

武闘家「勇者様は今でも充分強いんじゃないですか?」

勇者「もっと強くなりたいです」

武闘家「わたしみたいなこと言ってますねえ。どういう心境の変化でしょうか」

勇者「なんつーか、俺は俺でいろいろと思うところがあるわけだよ」

武闘家「はあ、そうなんですか。行動を共にしてるうちにわたしに似てきちゃったんでしょうか?」

勇者「さあ、どうなんだかな。いずれにしても、夫婦で互いの価値観や嗜好が似てくるのは、悪いことじゃないと思うよ」

武闘家「あ、じゃあ、また戦闘の時にあれやってくださいよ。覆面ライダーに変身。あれすごくかっこよかったです」

勇者「いや……精神面も鍛えてかなきゃいけないから、ああいうのに頼るのももうやめないと」

武闘家「えー、でもまだオールマイティフォームとダイタンフォームしか見せてもらってないですし……」

勇者「他のも見たいの?」

武闘家「はい、ドラゴニックフォームとサジタリウスフォームも。あとあと、それぞれのライトニング形態とかっ……」

勇者「武闘家ちゃん、覆面ライダー好きすぎだろ。ほんと男の子みたいな嗜好だなあ」

武闘家「あ、はい、なんか、すみません、女の子らしくなくて。でもかっこいいんですよね変身ヒーローって……」

勇者「俺がどんだけフォームチェンジしても能力は全部一緒だけどな。まあそんなに見たいなら1回くらい見せてやってもいいか」

武闘家「はい、見たいです。ありがとうございます」

勇者「俺はどっちかというと、武闘家ちゃんがプリプアみたいに変身するところを見てみたいけどな」

武闘家「あっ、それもいいですねっ。でもあの魔法って、他人にもかけられるんですか?」

勇者「どうだろ、やったことないからわかんないな。失敗して変身シーンの途中で止まっちゃったりするかも」

武闘家「それじゃわたし、裸のままじゃないですか……」

勇者「変身は成功するけど時間制限があって、3分経ったら全裸になっちゃったりとか」

武闘家「嫌ですよそんなの……」

勇者「ああそうだ、攻撃を受けるたびにその部分の服が消えてなくなるとかもいいな。夢が広がりんぐだな」

武闘家「勇者様、それ、わざとやろうとか思ってません……?」

勇者「いやまあ冗談はさておき、俺たちはまだ若いんだし、何事も経験、物は試しってことで、いろいろとやってみるか」

武闘家「あ、はい。いろいろとやってみましょう」

勇者「いろいろとな。変身してみたり、魔物と戦ったり、えっちなことしたり、いちゃいちゃしたり、えろえろしたり」

武闘家「それ以外にもたくさんの経験をしながら、わたしたちは成長して、大人になっていくわけですねっ」

勇者「ああ。これからもふたりで、未来を目指して歩いていこう。手と手をとりあって、心と心を通わせながら」

武闘家「心と心を……あっ、わかりました、あれですねっ」

勇者「あれ?」

武闘家「せーのっ、『ブレイクザシェル! こころのタマゴ、フルオープン!』」

勇者「えっ何? すごタマ? いや俺、それは知らないから。帰ったら絵本貸してね」



おわり

というわけで、まだまだお子様な武闘家ちゃんでしたとさ

めでたし、めでたし



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