八幡「やはり俺の世にも奇妙な物語は間違っている」 (881)


キーンコーンカーンコーン

いつも通り学校が終わり、義務を終えた生徒達はそれぞれ帰り支度を始めたり、部活動へと向かったりする。

八幡「さて、部室に向かうとするか」

八幡「ん……あれは……」

リア充女「ちょっと○○く~ん。こんなとこでくっつかないでよ~」

リア充男「いいだろ~? どうせ誰も見てないんだし~」

リア充女「でも~」

ちょっと? 俺ここにいるんですけど? ステルスヒッキー効果高すぎだろ。

八幡「けっ……」

八幡「リア充、爆発しろ」

リア充男「あれ? なんか踏んだような……」

リア充女「カチカチ言うんだけど~?」

ドカーンッッ!!!

八幡「!?!?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1408285329

あ…ありのまま今、起こった事を話すぜ!

俺は今目の前のリア充に対して爆発しろと思った!

そしたら爆発した!

な…何を言っているのかわからねーと思うが 

未来予知だとか超能力だとか

そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ

もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…

……おっと、現実逃避をしていた。

何が起こったかを整理しよう。

部室へ向かう途中、イチャイチャしているリア充を見つけた。

俺はそいつらに対して爆発しろと、呟いた。

爆発した。

なんだこれ、わけがわからん

八幡「こういう時はどうすんだっけ……!? 110番? 119?」アタフタ

ポチッ

八幡「ん、今変な音が……」

チッチッチッチッ……ゴビョウマエ

八幡「」

ドカーンッッ!!!

テッテッテレレーテレレーテレレー

テッテッテレレーテーンテレーン

タモリ「人を呪わば穴二つ、という言葉があります」

タモリ「他人への呪いは必ず自分に返ってくるという意味で有名ですが」

タモリ「誰かへの呪いの言葉が飛び回る現代は、呪いが呪いを生むループに陥っているのかもしれません」

タモリ「おや、ここにいくつか穴がありますねぇ……」

タモリ「今宵、奇妙な世界に迷い込む少年は、何の呪いが返ってきたのでしょうか……?」

テレレッテッテレレーテッテッ

テレテッテッテッテッテレレレレーレー

テッテッテレレーテレレーテレレ

テーンテレレレレレン

イマキヨさんで地雷踏みまくる相模

現実でファンタスティックな事は起こらない。

異次元の世界から美少女がやって来て世界を救って欲しいと言われる事なんてないし

偶然作り出してしまったタイムマシンで、タイムリープを繰り返すなんて事もない。

突然特集能力に目覚めたりはしないし

名前を書けば人が死ぬノートは落ちて来ない

俺はそんなどこまでも現実的な世界に生きているが、それを嘆いちゃいない。

むしろ大歓迎。

この平穏なボッチ生活こそが最高なのだ。

万一、何か漫画で起きるような大事件があったって、俺はどうせ名前すら貰えないモブキャラあたりだろう。

いや、そもそも登場するのかどうかすら怪しい……やだ、俺の存在感薄すぎ……!

雪乃「そろそろ時間ね」

八幡「おう、じゃあ俺は帰るな」

雪乃「ええ、私は鍵を平塚先生に返しに行ってくるわ」

結衣「ゆきのん! 私は下駄箱で待ってるね!」

雪乃「えっ、由比ヶ浜さん、別に先に帰っててもいいのよ?」

結衣「いいの! 今日はゆきのんと一緒に帰りたいんだー!」

いつも通り仲の良いことで。お邪魔虫はそそくさ退散するとしますか。

八幡「じゃあな」

結衣「うん、ヒッキーまた明日ね!」

八幡「おう」

ガララーピシャッ

八幡「さてと」コツコツ

…マーン

なんか聞こえたような……いや気のせいだな。

…チマーン

うん、気のせい。幻聴だ。

ハチマーン

幻聴……だと思いたかった。

「はぁぁちぃぃぃまあああああああああああああんんん!!!」

八幡「うっせーよ、材木座」

材木座「ようやく我に気づいたか! 八幡!!」

八幡「気づきたくなかったけどな。で、なに?」

ワロタwwww
そしてトラウマBGMが脳内再生される…

期待

材木座「ふふふ……ついに我の新作の…」

八幡「あっそいや用事あるんだ、帰らねーと」

材木座「待って! せめて最後まで聞いてっ!」

八幡「お前キャラブレすぎだろ」

材木座「ゴラムゴラム。これこそが我の真の姿……剣豪将軍!! 材木座義輝っ!!!」

八幡「あーそういうのいいから」

今一瞬後ろから光が見えたが気のせいだなきっと。

材木座「八幡! 今回は設定集などではない! ちゃんと本編を書いてきたのだ!!」

八幡「わーったよ。読めばいいんだろ、読めば」

材木座「うむ! 早く感想を聞かせるがいいっ!!」

とりあえず書き留めがここまでなので、ここから投稿が遅くなります。
ごめんなさい。

今回の材木座の小説は今までのようなファンタジーものではなく、作風を変えてホラーだった。

しかもなかなか怖い。本当にこいつが書いたのか? コピペかなんかじゃねーの? オボカタなの? STAP細胞はあります。

八幡「いろいろつっこみたいところはあるが……」

材木座「うむ、何でも言うがいい」

八幡「……何で主人公俺なの?」

材木座「たまにはリアルなのもいいと思ってな。どうだ! 八幡!」

八幡「リアルなのとリアルの人物を使うのは違うって事をお前には教えなきゃいけないようだな」

材木座「まあそこはお遊びだ。八幡に見せるために書いたからな! あとで直しておくとも」

八幡「あっそ。まあそこ以外はなかなかいいんじゃないか?」

材木座「ほっ本当か!? 八幡!」

八幡「で、あれなんのパクり?」

材木座「ぐほぉっ!!」

空には綺麗な赤いアーチがかかりました。

八幡「あいつなんだかんだ書く毎に成長してるよな……」

初めこそ誤字脱字があったり、文法の基礎から崩壊していたが、最近はそれを反省してかまともな文章を書けるようになっている。

八幡「俺はちょくちょく読んでたからあれだけど、雪ノ下が今の材木座の読んだら驚くだろうな。あいつは最初のあれ以降読んでないし」

八幡「本当、今日のは俺も驚いた。最後のページなんか鳥肌たったし」

本人に言うとめんどくさいから言わないが。今回もあくまで批評で、褒めるのはなるだけ控えた。あいつも欲しいのはそういう意見のはずだし、褒めすぎるのもよくない。

所謂飴と鞭ってやつだ。……鞭が多すぎな気もするが。

八幡「おっそういや教室に教科書忘れてたっけ。明日小テストあるから取りに行かねーと」

放課後の教室はリア充のたまり場だ。彼らしかいない時にその中に入るのには勇気がいる。ドアとか閉まってる時だと最悪。開ける時に全員一斉にこっち見るのは本当やめて欲しい。ボッチは視線に敏感なの。

八幡「なんだ、誰もいないのか」

陽が落ちかけているこの時間帯にも関わらず教室から光は漏れていない。つまり中には誰もいないという事だろう。

八幡「助かった……」

目的のブツを手に入れ、すぐに教室を出る。なんか泥棒みたいでやだね!

教室を出た瞬間、俺は強い違和感を感じた。

八幡「静かすぎ……じゃないか……?」

この階には教室が七つある。そのどこからも電気の光が漏れていないのだ。

俺はよく部活のあとにこの教室の前を通る。そしていつもいくつかの教室の光がついているのだ。なのに、どこも光っていない。

どこからも声が聞こえない。

他の階から少しくらい声が聞こえてもいいはずなのに、それもない。

八幡「!」

俺は校庭が見える窓に走った。そこには……

八幡「なんで……誰もいないんだよ……!?」

この時間はまだ外の運動部は活動をしているはずだ。なのに誰もいない。

八幡「どうなってんだ……?」

しかし気になっていても仕方がない。早く家に帰ってマイプリティーシスターの小町に会いたいしな。

階段を降りて、下駄箱へ向かう。

八幡「!?」

しかし、下駄箱へ向かう道が、机で出来たバリケードのようなもので通れなくなっていた。

八幡「なんだよ……これ……!」

しかもいくつも重なって出来ているせいで、ちょっとやそっとじゃ動きそうもない。少なくとも一人では不可能だ。

八幡「職員室……! 平塚先生に聞けば何かわか……」

「比企谷くん……」

八幡「!?」

雪乃「どうしたのかしら……? まるで幽霊でも見ているかのようよ……?」

八幡「あっああ……雪ノ下か……。なんだ、驚かせやがって……」

雪乃「驚き方が尋常じゃなかったわよ、ビビり谷くん……」

八幡「うっせーな、てかこんなの見ていたら驚くに決まって……」

……おかしい。なぜ雪ノ下が今ここにいる?

俺は材木座の小説を読んでいたせいで、かなりの時間を廊下で過ごしていた。

ならば今は雪ノ下は既に由比ヶ浜と帰っているはず……。

八幡「おい、雪ノ下。由比ヶ浜は? 待たせてるんじゃないのか?」

雪乃「由比ヶ浜さん……? 何の事かしら……?」

八幡「はっ? さっき一緒に帰るって言ってたろ?」

雪乃「そんな事……言ってたかしら……? いえ、言ってないわ……」

八幡「おいおいからかうのもいい加減にしろよ」

雪乃「ふふふ……比企谷くんはおかしいわね……。その頭の中――」



雪乃「ミテミタイ」

雪ノ下はそう言うと、後ろに隠していた右手を俺に見せる。

その手には、包丁が握られていた。

八幡「雪ノ下……何を……?」

雪乃「わからないの? 本当にあなたは低脳ね。その頭の中に脳みそ入っているのかしら?」

雪乃「……それを確認するのよ」

雪ノ下はニヤァっと笑うと、包丁を向けて俺に突進し始めた。

八幡「くっ……!」

小学校のドッジボールで鍛えた反射能力で間一髪躱す。

雪乃「どうして、避けるの……?」

雪ノ下のその目は、イカれていた。

雪乃「ねぇ、どうして……どうして……」

八幡「う、うわあああああああ!!!」

俺は恐怖で逃げ出した。あいつは雪ノ下じゃない。ついさっきまで部室で話していたいつもの雪ノ下じゃない!

八幡「とりあえず職員室に……!」

しかし職員室へ行くための道も、さっきと同じように机のバリケードで塞がれている。

八幡「くそっ! マジかよ!」

ここで何かが思い当たる。

俺は似たようなものを見なかったか?

八幡「もしも……」

もしもここで生徒会室へ向かう道以外全て塞がれていたなら、俺の仮説は正しいという事になる。

八幡「やっぱりか……」

予想通り、他の道は全て塞がれている。

そうだ……これは……。

八幡「材木座の小説と、全く同じじゃないか……」

少し前の話

八幡「材木座、俺が出てるのは置いといて、なんで雪ノ下たちまで出てくるんだ?」

材木座「その方が怖いであろう! 気を許せる相手が狂うなど、恐怖であろうが!!」

八幡「まあそこは認めるが……。俺は良くても、あいつらには風評被害以外の何物でもないぞ」

材木座「だからあやつらには見せぬ!!」

八幡「失礼だという自覚はあるのか」

八幡「あり得ねえ……こんなのあり得ねえぞ……」

結衣「ヒッキー……」

すると、生徒会室の中から、カッターナイフを持った由比ヶ浜が現れた。

八幡「嘘だろ……ここまで同じなのかよぉっ!!」

ひたすら走って逃げる。同じだ、全く同じだ。

雪ノ下の次に由比ヶ浜が出てくる。持っている凶器はカッターナイフ……同じじゃないか!

八幡「思い出せ……八幡……次は、何だった……?」

確か主人公は職員室に逃げ込もうとして、そこで平塚先生が出てくるんだ。凶器はなし。だが、鍛え抜かれたその肉体は下手な凶器より強力って設定だったな。材木座よ。なんでここだけ微妙にギャグなんだ?

八幡「バリケードが……なくなってる……」

階段まで戻るとさっきまであったはずの職員室への道にあったバリケードが消えていた。

八幡「机が一つもない……」

あんなにあった机をこの短時間で運び出すのは実質不可能だ。ボブサップが五人くらいいる。

平塚「比企谷ぁ……」

職員室の扉が開き、平塚先生が出てくる。今までの二人と同じように、その目はおかしい。

八幡「平塚先生……」

ギュイイイイイイン

八幡「!?」

平塚「比企谷ぁ……いつもいつも私の事をバカにしやがって……」

八幡「えっいや、そういうわけじゃ……」

平塚「いけない生徒には……特別指導が必要だな……」ギュイイイイイイイインッッ!!

平塚先生は、なぜかチェーンソーを構えていた。

おもしろい。久しぶりにきたがまさかこんなSSがあるとは思わなかった

八幡「なんで……ここまで全部同じだったのに……」

八幡「! まさか……!」

俺はさっき材木座に平塚先生の凶器なしの部分を指摘した。

八幡「あいつ……書き替えやがった……!?」

平塚「ひぃぃぃぃきぃぃぃぃぃがぁぁぁぁぁやぁぁぁああああああああああ!!!」

八幡「ひぃっ!!!」

チェーンソーを振り回す平塚先生から俺は逃げる。何であの人あんな重いもの振り回せんの?

>>25
お褒めの言葉ありがとうございます!
眠いから落ちようかと思いましたが、もう少し続けようと思います。

八幡「あの話のラストって確か……」

八幡「屋上で追い詰められて、落とされて死ぬんだっけ……」

八幡「多分このままだと俺も同じ運命辿るよな……」

普段から漫画とか読んどいてよかった。こういう事態にもすぐ対応できた。まさかこんな風に役に立つとは思わなかったが。

八幡「しかし平塚先生の行動は変わった。恐らく俺のアドバイスで書き替えたんだ」

八幡「なら、今からラストを変えてもらえば……?」

すぐに携帯電話を取り出し、発信履歴を確認。二番目に材木座の文字。日付があの文化祭の日であるが、気にしない。もちろん一番目は小町だ。

見てるぞがんばれ

トゥルルルルルルルル

『我だ』

八幡「もしもし、材木座か? 俺の話を――」

『我は今電話に出れぬ。ピーという音の後に……』

八幡「ややこしいんだよちくしょう!!!」

思わず携帯電話を投げ出したくなる衝動を抑え付ける。今ここでこれが壊れてしまえば俺は確実に死ぬ。

あいつの事だ。きっとすぐに電話はかかってくる。

雪乃「比企谷くん……」

振り向くと包丁を振り上げた雪ノ下の姿があった。

八幡「そいや、平塚先生の次は雪ノ下だっけ!」

振り下ろされた包丁を避けると、包丁はそのまま廊下の床に当たって火花が散った。

……なんで包丁と廊下で火花が散るんですかね?

材木座が書き替えていなければあと残るのは屋上のみ。恐らくそれ以外の道はさっきと同じように通れないだろう。しかし雪ノ下が追ってくるからもう時間稼ぎもできない。

八幡「早くしろ……材木座……!」

ポケットに入れた携帯電話に祈る。早くそのバイブよ、鳴れ。

ブーーン

八幡「! 来たか!?」

『Sub:ユカリです☆良かったらお友達に』

八幡「ならねぇよ!!!」

何でこのタイミングで迷惑メールなんだよ!! いつも送られてこないのに、何でこういう時に限って来るんだよ! ボッチは基本メール来ないから普段はこういうのでも嬉しいんだぞ! 何で今なんだよ!!

雪乃「比企谷くん、そこにいるの……?」

くっ……つっこんだせいで見つかった!

結衣「ヒッキー……逃げちゃ……いやだよ……?」

ガハマさん……目が、怖いです……。

平塚「ひきがギュイイイイイイイインッ!!」

平塚先生、チェーンソーのせいで何言ってるのかわかりません。

八幡「早く……材木座……!」

俺は階段を一段飛ばしで駆け上る。後ろから三人も追って来る。その目はさっきよりもさらに狂っていた。

平塚先生、だからなんでチェーンソー持ってそのスピードで階段で走れるんですか? バーサーカーですか?

屋上への扉に思いっきり体当たりすると、壊れた鍵は吹っ飛んで扉は開いた。悪いな、女子たちよ。これじゃあ屋上の鍵直されて、入れなくなっちまうわ。

八幡「はぁっ……はぁっ……」

陽は既に沈んでいて、外は真っ暗だった。ぱっと見誰もいない。材木座の小説でも誰かいたりはしなかったはずだ。

とりあえず物陰に隠れる。広くないここではあまり意味がないが、今は一秒でも多く時間を稼がなければならない。

雪乃「みーつけた」

雪ノ下の包丁が脇腹を狙う。

八幡「!?」

反射的に避けたが、完全には避けきれずかすってしまった。血で白いシャツが赤く染まる。

八幡「っ……! いってぇ……っ!!」

よく大怪我しても漫画とかではピンピン動くシーンあるけど、あれが嘘だってようやくわかったわ。掠っただけでこの痛みだろ? もろに食らったら動けねぇよ。

結衣「ヒッキー……もう観念しなよ……」

いつの間にか三人に包囲されて、俺は崖っぷちに立っていた。あと一歩下がれば、落ちる。

ブーーンブーーン

八幡「!!!」

八幡「材木座!!」

材木座『我だが、どうしたのだ? 時間を置いたおかげで、我の才能に気づいたか?』

八幡「いいから! 早くさっき書いたやつを消せ! 印刷したやつは破いて、PCとスマホにあるあの小説のデータを消せ!」

材木座『八幡? 何があったのだ? そんな藪からスティックに』

八幡「早くしろっ!!! 俺の命がかかってんだっ!!!」

材木座『わっわかった。消すから消すから』

八幡「ああ! 紙の方は最後の方から破いてくれ!」

材木座『了解!!』

八幡「ありがとな! 愛してるぜ材木座!」

材木座『おう、我もだ!』

八幡「うるせぇきめぇ!」

雪乃「何を茶番を」

ドンっと雪ノ下は俺の体を強く押す。痛みで力の出ない俺は重力に従い、そのまま落ちていく。

八幡「ああ、間に合わなかったか……」

隕九※繧九h

文字化けた。
見てるよ。

見てる人いるんですね、すごい嬉しいです!
頑張ります!

しかしここでまだ諦めるわけにはいかない。ここで諦めるような男だったら、俺は今、ボッチ道を極めていない。

諦めない心、それが今の俺を生んだのだ。

八幡「だから……俺は……最後まで……諦めねぇ……!」

屋上の端を片手で掴む。それから携帯電話をポケットにいれて、もう一方の手を使う。これで数秒は持つ。

結衣「ヒッキーしぶといね……」

由比ヶ浜はそう言うと、足で俺の手を踏みつけた。靴のザラザラが俺の手の皮膚を確実に傷つける。

八幡「くっああああああっ……!!!」

痛みが着実に俺の精神を削る。

どうして頑張っているのだろう? こんなに苦しいなら手を離せばいい。それだけでこの手の痛みからも脇腹の痛みからも解放される。

八幡「もう、いいよな……」

がんばれ八幡

そう呟くと手から自然に力が抜けていった。あ、もう限界なんだ……。

八幡「小町、ごめん。兄ちゃん頑張ったけど、ダメだったわ……」

手が離れた瞬間、脳内にいろんな映像が流れ込んで来る。これが走馬灯ってやつか。

生まれた頃の俺。そして小町が生まれて、俺の暗黒歴史がよぎる。今思えばあの人生も悪くなかったのかもしれない。

戸塚の顔が思い浮かぶ。そう言えばずっと天使天使言ってたっけ……。戸塚が本物の天使なら、死ぬのも悪くないかもな……。

しかしその映像は急に途切れた。目の前には誰かの手。その手が俺には何よりも力強く見えた。

「比企谷っ! 大丈夫か!?」

「ヒッキー!? 何でこんな事に……?」

「由比ヶ浜さん、それは比企谷くんを引き上げてからにしましょう」

これは、幻か……?

いつもの声が聞こえる。

ここは、天国なのか……?

八幡「いやー、死ぬかと思ったわ」

平塚「驚いたぞ、比企谷。気づいたら目の前に落ちかけているお前がいたんだからな」

八幡「流石ですよ、先生は。そこから反応して俺を引き上げるなんて」

きっと材木座の処理が間に合ったのだ。もう三人ともさっきのような狂気を感じられない。ついでに言うと、凶器も消えていた。狂気が消えたからだろうか?

八幡「馬鹿力と言いますか……」

平塚「比企谷ぁ?」

八幡「何でもありません」

結衣「でもどうしてヒッキーそんなにボロボロなの? どうして落ちかけてたの?」

八幡「あーそりゃー俺もわからん。気づいたら落ちてたんだわ」

彼女たちにこの記憶はないようだ。なら、俺も話を合わせておこう。その方が彼女たちも傷つかず、俺も説明をせずに済む。

雪乃「本当に?」

八幡「ああ」

こうして俺は死なずに済んだのであった。

次の日 コケコッコー

八幡「材木座ぁ……!」

材木座「ひぃっ! はっ八幡! なぜ我を睨む!?」

八幡「お前のせいで俺は昨日死にかけたんだぞ」

材木座「はぁっ!? それってどういう」

八幡「お前の書いた小説の内容が現実でも起こったんだ」

材木座「八幡……お主も目覚めたか?」

八幡「うっせぇ! お前みたいな中二病じゃねぇよ!!」

まだ見てるよ。寝てないよ。

八幡「ったく……。マジだ。マジの事なんだ。証拠と言うならあれだが」

俺は昨日の傷跡を見せる。

八幡「昨日雪ノ下にやられた。お前の小説通りにな」

材木座「ふむぅ……俄かには信じられ難いが、しかし場所も我の書いたのと一致している……」

八幡「だからな、お前は少し……」

ブーーブーー

八幡「おっ電話だ。珍しいなって小町か」

材木座「む? むむっ!?」

>>45
ありがと
もうそろそろ終わるよ

起きてるよこのままがんばれ

>>47
《材木座編 》が終わるだけだよね?

小町『お兄ちゃん』

八幡「おー小町か。どうした?」

小町『あのね、お兄ちゃん、これまでいっぱい傷ついたよね』

八幡「傷ついた?」

小町『文化祭だったり、奉仕部の活動のせいでお兄ちゃんいっぱい心に傷、負ったよね』

八幡「バッカ、そんなの対したことねーよ」

材木座「は……八幡……」

八幡「うるせーな、今俺は小町と話してんだよ。で、何だよ、小町?」

小町『お兄ちゃんはいつだってそうやって平気なふりをするよね』

八幡「まどろっこしいな。何なんだよ?」

材木座「八幡……我、我……」

小町『だから私がお兄ちゃんを救ってあげる』

八幡「はっ? それってどういう」

小町『お兄ちゃん、上を見て』

八幡「おっおう」

上を見ると



目の前に小町の顔があった。

ひぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ

どうして上に小町がいるのだろう?

俺の上にあるのは空だけ……いや、あれは屋上か。

そうか、小町は屋上から落ちてきたんだ。

これはどうやっても小町が俺に当たる。

そして頭と頭がぶつかって二人とも頭が砕けるんだ。

材木座……お前、このエンドはないd……

小町『お兄ちゃん、小町が一緒に死んであげる』

おしまいです。

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました!

実は世にも奇妙な物語のある話をちょっとパクってます(笑)

いやー疲れた。
まさか一日で終わらせることになるとは思わなかった。

>>55
乙!


こえーよwww(´・ω・`)


このシリーズらしい安定のオチ。そして材木座ェ…

面白かったです

>>56
え?
世にも奇妙って1セット5話ぐらいだよね?
ってことは1スレに最低5話は必要じゃね?




乙。続きはよ。

おまけ


テッテッテレレーテレレーテレレー

テッテッテレレーテーンテレーン

タモリ「言霊、それは言葉に宿る力の事」

タモリ「よく、口にした事は本当になるといいますが」

タモリ「それは言霊の力なのかもしれません」

タモリ「今宵巻き込まれた少年の友人の力は」

タモリ「一体どれほどのものたったのでしょうかねぇ……?」

テレレッテッテレレーテッテッ

テレテッテッテッテッテレレレレーレー

テッテッテレレーテレレーテレレ

テーンテレレレレレン

>>57
ありがとうございます!
夏のちょっとした冷やし(癒しではない)になったなら光栄です!

>>58
面白いと思ってくださったなら、作者としてこんなに嬉しい事はありません!
拙い文章でしたが、最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました!


壁の小説か
あれ怖かったよな

>>59
あなたのところどころでの応援のおかげで挫けずに書けました!
ありがとうございました!

世にも奇妙な物語は、もちろん一話だけではダメですよね……(ニヤリ)

>>63
あーあれも参考にしてないと言ったら嘘になるけど、ちょっと違う……
でもあれ怖いよね
自分は漫画で読んだけど、怖かった

とりあえず一番書きたかった話は書けたので、今日はおしまい
またいつかここに二話を書きますので、その時にまた会いましょう

次回予告

ハヤハチ




舞ってる

ついでに酉ってやつつけてみる

おっつけれた。
じゃあまた来たら読んでやってください。
それまでこのスレは残して置いてくれると嬉しいです。
それではみなさんおやすみなさい。
今日は本当にありがとうございました。

だいたいいつものパターンだと、ガチホラー→サイコホラー→星バーーーローー系不思議話→ギャグ→ちょっといい話
の順で進むよね。

>>66
海老名「」ガタッ




すごく面白かったぞ
舞ってる

サンマがやってた奴が元ネタかな?

面白かった。乙!
続き期待

こんばんは
作者です
褒められて嬉しかったので、今日も書きます
23時くらいには始められるように頑張ります
※予告なしに早まったり、中止になるかもです

待ってる

>>73
正解!
やっぱりわかる人いるかー

頑張れ~

こんばんは
作者です

約束の時間破ってしまって申し訳ありません

どうにもイーモバイルのルーターを使っているせいなのか連投ができないみたいです
なので、1レス毎に支援でも一文字でも何でもいいので投稿していただけると、助かります


本当に申し訳ありませんでした


では二話です


テッテッテレレーテレレーテレレー

テッテッテレレーテーンテレーン

タモリ「この世界で自分と全く同じ行動をとる人はいるのか?」

タモリ「そんな事を考えた事があると思います」

タモリ「例えば同じ瞬間に同じ曲を聞いたり」

タモリ「例えば同じ瞬間に同じものを食べたり」

タモリ「それを偶然という事もできますが」

タモリ「案外それが、奇妙な世界への入り口なのかもしれません」

テレレッテッテレレーテッテッ

テレテッテッテッテッテレレレレーレー

テッテッテレレーテレレーテレレ

テーンテレレレレレン

きたー

キタ━━━(゚∀゚)━━ !!!!!

ありがとうございます!
更新されてるの見たら一文字でも書いてください
よろしくお願いします


八幡「そんな訳でテスト前である」

結衣「そうだねー、あっそうだ! これからみんなでどっかで勉強しようよ!」

八幡「断る。するメリットがない」

結衣「えー、いいじゃんー」

八幡「いいか、学生の本分は勉学だ。どうせ集まって勉強したって、雑談に走るのがオチだろ。そして俺は誰かと一緒に勉強したところで意味はない」

大体自分でわかるしな。わからないところもググればほぼ確実に解決する。グーグル先生本当素晴らしい。でも数学に関してだと大学以上の範囲を普通に出してくるグーグル先生恐ろしい。

八幡「だから俺は行かない」

結衣「ヒッキーのケチー」ブー

八幡「何とでも言え」

更新

八幡「さて、うるさい奴も説得できたし……家に帰るとするか」

八幡「だが俺には勉強するのに必要なものがある……!」ゴゴゴ…

八幡「勉強のお供にどうぞ! 脳が疲れた時の糖分補給用飲料! その名も! MAXコーヒー!」

八幡「やっぱあれがないとなー」ヤッパコレダネー

八幡「さて、赤い自販赤い自販……」キョロキョロ

八幡「おっ見っけ……なんだこれ、マッ缶ねぇじゃねぇか。使えない自販だな」

八幡「仕方ない。他の探すか……」トボトボ

更新

支援

隕九※繧九h

時同じ頃

戸部「隼人くん今日一緒にマックで勉強しねー?」

葉山「んー、今日はちょっと用事もあるし、パスするよ」

戸部「マジかー隼人くんダメかー」

三浦「戸部っち、隼人の邪魔するのはあーしが許さないからね?」

戸部「わかってるって!」

葉山「じゃあお先に」

紫煙

葉山「やっぱり戸部に悪かったかな……」テクテク

葉山「用事なんて本当はないのに」

葉山「でも流石にそろそろちゃんと勉強始めないと、成績にも影響が出るし」

葉山「おっ、自動販売機だ。何か買って行こうかな」

葉山「いつもコーラだし、たまには違うのを買ってみるのもいいかもしれないな」

葉山「……とは言え迷うな」

支援

昨日同様文字化けた。
見てるよ。

八幡「おっ、この自販にはあるな。やはり千葉県民ならMAXコーヒーだろ」

葉山「運に任せるのも悪くないな」

八幡「この黄色いフォルム……最早芸術と呼んでも良い」

葉山「そうだ、目をつむって押してみよう」

八幡・葉山 ポチットナ

選ばれたのはMAXコーヒーでした

支援

皆様の支援に感謝



パッキイイイイイイイイイン



八幡「何だ……今の……?」

八幡「……さっきと微妙に雰囲気がちが……ってえっ?」

八幡「ここ、どこ……?」



葉山「今、すごい光と眩暈が……って何だろう、体が重いな」

葉山「心なしか視界が淀んで見える」

葉山「あれ? おかしいな、自動販売機にヒキタニくんが写ってるような……」

一分後

八幡「俺の身体が葉山になってるよな、これ」

葉山「なんで俺がヒキタニくんになってるんだ?」

八幡・葉山「「まさか……」」

八幡・葉山「「入れ替わったっっ!?!?」」

期待期待期待
続きはよ

八幡 in 葉山's body(以下八幡)

葉山 in 八幡's body(以下葉山)

八幡「どうなってんだよこれ……。なんでMAXコーヒー買おうとしたら、身体が葉山になってんの? 何これドッキリ?」

八幡「いや、ドッキリでも無理だな、これは」

八幡「しかしやばいな、これ早く何とかしないと……」

八幡「おっポケットに携帯入ってるな、悪いが使わせてもらうぜ」

トゥルルルルル

ゴーインゴーインアロンウェーイオレノーミーチーヲーイクーゼー

葉山「!」

葉山「俺の番号……!」

支援

八幡「……葉山か?」

葉山「やっぱりヒキタニくんか」

八幡「どうなってんだよ、これ」

葉山「正直俺にもさっぱりだよ」

八幡「……お前もMAXコーヒー好きなのか?」

葉山「えっ何の……あっそっか。さっきの適当に選んだときの……」

八幡「適当に選んだだと!?」

葉山「!?!?」

これすき

はやく続きぃーーーーーーーーーーーー
昨日みたいな時間まで投下してくれるとありがたいな

八幡「……なんて怒るところじゃないな。今はそれどころじゃない」コブシプルプル

葉山「…………(ちょっと焦った。ヒキタニくんあんな声出せるんだ)」

葉山(あっ今は俺の身体だからか)

八幡「で、今葉山が買ったのがMAXコーヒー……、俺が買おうとしたのもMAXコーヒー……」

八幡「まさかMAXコーヒーで俺ら入れ替わったのか!?」

葉山「そんな……あり得ないよ……」

八幡「でもそれしか考えられねーだろ……」

邯壹¢

八幡(MAXコーヒーで入れ替わる……。そんなの現実的に考えればあり得ない)

八幡(でもそれ以外に原因は考えられない)

八幡(MAXコーヒーすごすぎだろ……甘いだけじゃなかったのか……)

葉山「これから、どうする?」

八幡「この状態で誰かに接触したくはないな」

葉山「でも今日はテスト前だし、もう校内にあまり人はいないと思う。学校で集合っていうのはどうだい?」

八幡「…………」

化けた?

八幡(由比ヶ浜と雪ノ下はどこかで、少なくとも校外で一緒に勉強しているはず)

八幡(戸塚も部活がないからいる理由がない)

八幡(他には……平塚先生にだけ気をつければ……)

八幡(ザイモクザ? 誰それ?)

八幡「そうだな、そうしよう」

葉山「よし、じゃあクラスの教室の前に集合にしよう」

八幡「わかった」

支援

八幡「さてと、着いたな」

八幡「本当に人の気配がしねーな。学校開いてんの?」

三浦「あれー? 隼人じゃん」

八幡「!?」

三浦「用事あるんじゃなかったの?」

八幡「み、三浦……」

三浦「はぁ? 隼人あーしのことそんな風に呼んでたっけ?」

八幡(やべぇっ! しまった! 焦ってミスった!)

八幡「ゆ……優美子……」

三浦「そ、そんな呼び方すんなし!///」

八幡(か、かわいい……)

支援

八幡「い、いや……ちょっと忘れ物しちまっ……じゃなくて、したから取りに戻ってたんだ」

三浦「ああ、そーなの」

八幡「おう、じゃあな」

三浦「隼人」

八幡「…………」

三浦「隼人!」

八幡「……あっ俺か」

三浦「無視すんなし……」

八幡「す、すまん……。で、なんだ?」

三浦「隼人の目、ヒキオみたいに少し腐ってるけど、何かあったの?」

八幡「…………」

八幡(これ身体的特徴じゃなかったのか……)

待ってる

八幡「わ、わからん! と、とりあえず用事があるみたいだからまたな!」タッタッタッ

三浦「あっ……」



八幡「危なかった……バレてねぇよな……?」

八幡「バレてないと祈ろう……」

葉山「……なんか、変な気分だな。自分の姿が目の前にあると」

八幡「葉山か。やべ、本当に俺が目の前にいる。気持ち悪いな……」

葉山「……とりあえず状況を整理しよう」

カクカクシカジカ

八幡「……原因やっぱりMAXコーヒーか?」

葉山「ここまで来るとそうとしか思えないな」

見てるよ。寝てないよ。

今日は昨日より早めに落ちると思います
この話も終わらないかも……



海老名「あれ、隼人くんにヒキタニくん。こんな時間にこんなところで何してるの?」

八幡・葉山「「!?!?」」

八幡(しまったああああああああああああこの場で一番出くわしちゃいけないやつ出てきたあああああああああああ!!!)

葉山(ヒキタニくんすごい汗かいてるな……)

海老名「まさか! 秘密の会談!? 二人でコソコソ何をしてたの!? ねぇっ! 教えてっ!!」

葉山(そういえばこんなキャラだったっけ)

はよ

八幡「い、いえ、何でもないですよ、海老名さん……」

海老名「海老名……さん……?」

八幡(くそ! またやっちまった!)

八幡「じゃなくて、何でもないよ、……姫菜」プイッ

海老名「」ポクポクポク

海老名「/////」チーン

葉山「…………」

支援

八幡(うおおおおおおお恥ずかし恥ずかし恥ずかしいいいいいいいい!!!)

八幡(リア充はこんなのいとも簡単にやってのけるのかあああああ!!!)

八幡(うわあああああああああああああああああああああっっ!!!)

八幡(……ふぅ、賢者タイムなう)

八幡「と、とりあえず! 何でもな……」

海老名「隼人くんが……デレた……隼人くんが……照れた……隼人くんが……」ユラーリユラーリ

葉山「」

八幡「」

はよ

八幡「葉山、場所を移そう。ここじゃもう無理だ」

葉山「えっ、でも姫菜は……」

八幡「大丈夫だ(多分)」

葉山(いや、そっちじゃなくて。姫菜の中での俺のイメージが大変な事になってるような……)

八幡「いいから行くぞ!」テヲギュッ

葉山「!?」

海老名「ハヤハチ(海老名から見て)!! キマシタワーーーーーーーーー!!!」ブォウワアアアアアアアアアア

八幡「うおおっ!? 鼻血でここら一体が真っ赤になってんぞ!?」

葉山「このままじゃ姫菜が出血多量で死ぬ!」ダッ

八幡「くっ……仕方ねぇ……!」ダッ

見てるよ。ずっと更新待ってるよ。

逧?庄諢帙>縺ェ縺『

>>123
なにこれ怖い

八幡「ふぅ……ヤバかったな……」

葉山「軽い貧血で済んだみたいだね」

八幡「あの出血量で、貧血程度って……海老名さん何者なんだ?」

葉山「よくやってるから、耐性がついたのかもね。ただ……」チラッ

葉山「まだ廊下は酷いけど……」

八幡「ん、どれどれ……げっ……何だこれ、ここで誰か殺されたのか?ってレベルだな……」

葉山「掃除しとかないと、固まったら落ちなくなる」

八幡「何でこんな事に……」

起きてるよ

結局俺らはまたさっきの自販機に戻ってくることになった。

本当、さっきの移動は何だったんだよ……。

八幡「よし、かけるか」

トゥルルルルル

葉山『もしもし』

八幡「こちら比企谷。自販機の前に着いた」

葉山『そうか。俺もそろそろ着くよ……あっあれだ』

チャリン、チャリン

八幡「……押すぞ。携帯の電話だと時間差が生まれるから、さっき言ったとおりの時間ぴったりにな」

葉山『ああ』

カチッカチッポチットナ

選ばれたのはMAXコーヒーでした。

ほほう

ガタッガタッドカンッ
マックスコーヒーダヨー

八幡「……何も起こらねぇな。体も戻ってない」

葉山『……あっ』

八幡「? 何だよ?」

葉山『今、君はさっき君がMAXコーヒーを買った場所に行った』

八幡「そうだな」

葉山『つまり、最初の状態と今の状態、身体が逆なんだ』

八幡「あっ……」


場所         A      B
最初      八幡in八幡body 葉山in葉山body
入れ替わり後  葉山in八幡body 八幡in葉山body
現在      八幡in葉山body 葉山in八幡body

まだ起きてるよ

俺らは今度は場所を交換した

しかし

ガタッガタッドカンッ
マックスコーヒーダヨー

八幡「結局戻らねーじゃねーか!!」

葉山『……すまない』

八幡「あ、いや……お前が謝るような事じゃない。こっちこそすまなかった」

葉山(ヒキタニくん……)ドキッ

ピーンッ

海老名「今っ何かを感じた!」ガバッ

三浦「ほら、姫菜。動かないの」

起きてる

八幡「万策尽きたな……」

葉山「もうどうしようもないね……」

八幡「…………」ボー

葉山「…………」ボー

八幡「自然に戻るのを待つか」

葉山「……戻るのか?」

八幡「漫画とかではな」

葉山「そうか」

八幡「…………」ボー

葉山「…………」ボー

まさか………まさかな

八幡「そういや、今週末テストだっけな」

葉山「そうだ……な!?」バッ

八幡「ん、どーした?」

葉山「ヒキタニくん。このままだったら、テストは誰が受けるんだ!?」

八幡「そりゃーお前の分を俺が受けて、俺の分をお前が受けるんだろ?」

葉山「そうだ、大問題だ!」

八幡「?」

葉山「ヒキタニくん……俺は、指定校推薦、狙ってるんだ」

八幡「そうか、頑張れよ」

葉山「だから! 一度でもテストで失敗すると、それを取るのは難しくなる!」

八幡「……おい、お前……まさか」

支援

まだまだ起きてるよ

葉山「ヒキタニくん」ガッ

八幡「!?」ゾワゾワ

葉山「これからテストまで勉強会をしよう」

八幡「!?!?」

ピーン

海老名「キ! マ! シ! タ! ワ!ーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!」ブワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

三浦「姫菜!?」



今日はここまで。
また明日、二話の後編を書きに来ます。
多分明日も連投できないと思いますので、また支援レスよろしくお願いします。
今日は本当にご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
支援してくれた皆様に多大な感謝を。
それでは、おやすみなさい。

P.S.
自分は俺ガイルで八幡が一番好きですが、二番目は材木座です。

お気に入りに登録

乙乙
また後で

これは期待

葉山…理数系絶望的な八幡の時点で詰んでるわww
多分雪乃と同じ大学だろうから理系だろうし終わったな

高校のテストくらいなら点数高くするだけなら出来るだろ
模擬以外はな

魂が葉山、体が八幡の葉山は名前を葉山って書いて
魂が八幡、体が葉山の八幡も名前を八幡って書く

これでおk

こんばんは
作者です

今日も投稿しようと思います

恐らくまた連投規制のせいで連投できないと思いますので、1レス毎に支援でも一文字でも投稿してください

よろしくお願いします

では23時らへんに来ますね

※予告なしに早まったり、遅れたり、来れなくなったりするかもしれません

なんかあれだな・・・
あのコピペの下位互換?

SS速報に連投規制とかあるのか?

で、無視……と。

このスレで連載する必要はもうなさそうですね。
以後はmixiとサイトだけでやっていきます。

なんだべ?

短時間連投規制じゃねえの1分間隔に投下とかできないのかな

>>147
ネットをEmobileでしているので、スレ立てと連投できないみたいです。
なぜ一昨日はできたのかが謎……

そろそろ始めたいと思います



八幡「で、なんでサイゼなんだ」

葉山「二人とも昼食まだだったしね。ここなら勉強もできて、丁度いい」

八幡「……お前あれマジか?」

葉山「うん。ヒキタニくんに悪い点数取られたらこっちが困るからね。もちろん俺も頑張るから、お互いに悪い話じゃないだろう?」

八幡「まあ、そうだが……」

葉山「じゃあ、始めよう。善は急げと言うし」

八幡「くっ……あの時マッ缶買わなきゃ数学は赤点ギリギリでもよかったのに……!」

八幡「生まれて初めて、MAXコーヒーを恨むぜ……」

葉山「ははは……。でもヒキタニくん、総武高入れるくらいだから、全くできないわけじゃないんだろう? なら今回の範囲は難しくないし、まだ数日ある。いけるよ。」

デネーユキノンー

八幡・葉山「「!?」」

八幡「何であいつらここにいるんだよ!」ヒソヒソ

葉山「予想外だったね。せっかく少し遠目のサイゼにしたのに」ヒソヒソ

八幡「まあ、この距離なら見つからないよな。こっちの方にトイレとかドリンクバーないから、来る事もないだろうし」ヒソヒソ

葉山「本当、不幸中の幸いってやつだね」ヒソヒソ

アーヒッキーダー

八幡「あいつどこかの原住民なの? ここ結構距離あるぞ?」

葉山「実は超能力とかあるのかもしれないな」

葉山「どうする?」

八幡「どうするも何も、見つかっちまったら無視できねーだろ」

葉山「そうだな……。あー結衣たちも来てたんだー」テヲフル

八幡「おいバカ……!」

結衣「ゆ……結衣!? てかヒッキーが気持ち悪いくらい爽やかな笑顔でこっちに手を振ってる!?」

雪乃「比企谷くん、いくら由比ヶ浜さんが優しくてもやっていい事と悪い事があるのよ?」

葉山「」

八幡「あー、雪ノ下……さんたちも来てたんだ」

八幡(よし、今度は完璧だ。マジ俺順応性高すぎ。これなら死んだ世界戦線でもやってけるな。無理か。無理だな)

雪乃「どうして葉山くんと、比企谷くんが一緒にいるのかしら?」

八幡「あーそれはー」

葉山「葉山のやろーが一緒に勉強しようってしつこくてな。それにサイゼで奢るって言ってくれたし」

八幡(こいつ……! 俺の口調をほぼ完璧にコピーしてやがる!)

結衣「それでも珍しいねー。ヒッキー奢るって言われても隼人くんにはついて行かなそうなのにー」

八幡(俺だってこの状況じゃなかったら、ついてかねえよ!)

書き込んでくれるみんなに心から感謝します



葉山「まーそーいうわけだ。これから俺ら勉強するから、あっち行ってくれ。ゆい……がはま……」

八幡(流石に呼び方を急に変えるのはむずいわな)

八幡(ん? 待てよ? 当分俺ら戻れないかもしれないんだよな……?)

八幡(じゃあ俺、由比ヶ浜の事を結衣って呼ばなきゃいけなくなるのか!?)

八幡(そんなの無理だぞ!)

結衣「そっかー、勉強の邪魔しちゃ悪いもんね」

葉山「ああ、お前も頑張れよ」

結衣「うん! またね、ヒッキー!」

葉山「よし、じゃあ始めるぞ、葉山」

八幡「うん、そうだね」シャベリヅレー



結衣「……私の時は、断ったくせに」ボソッ

八幡「……ふぅ、行ったな」

葉山「ヒヤヒヤしたね」

八幡「お前すごいな。よくもまああそこまで言い方を真似られるもんだ」

葉山「君の方こそ」

八幡「まあしゃべくってる時間はねーしな。さっさと始めるぞ」

葉山「うん。じゃあヒキタニくん。方程式はわかる?」

八幡「お前は俺をバカにしてるのか……?」

うん。

あへぇ

十分後

八幡「なるほどな。ベクトルってのはそういうことだったのか。ずっとただの矢印かと思ってたぜ」

葉山「実際、テストで点数取るんだったら、このくらいわかれば基礎は十分なんじゃないかな。それにしてもヒキタニくん、すごいね。ものの十分でここまでわかるようになるなんて」

八幡「いや、これはお前の教え方のおかげだ。数学アレルギーの俺にここまでわかりやすく教えられるなんて、お前、教師に向いてんじゃねーの?」

葉山「あはは、そこまででもないよ……。ヒキタニくん、実は数学食べず嫌いなんじゃないかな?」

八幡「……もしかしたらそうなのかもな」

八幡「……お前に対しても」ボソリ

葉山「ん、何か言った?」

八幡「いや、何でもない」

海老名「」ガタッ

海老名

八幡「む……葉山、これはどう解くんだ?」

葉山「ん、えーっとね……ここを、こうして……」

八幡「あーなるほどな。この内積で角度を出すのか」

葉山「そういうこと」

カリカリカリ…

葉山「ヒキタニくん」

八幡「なんだ?」

葉山「れんごくってどんな字だっけ?」

八幡「…………」サラサラ

『煉獄』

葉山「あっこんな字なんだ。すごいね、ヒキタニくん」

八幡「ん、大したことねーよ」

八幡(ただの中二病時代の忘れ形見だ)

葉山、国語力低いな。比企谷より学年上位ではなかったのか。>>174

一位ゆきのん
2位葉山
3位ヒッキー

>>175
作者理系なので、文系のことよくわからんのです。
煉獄ってそんな簡単な方なのか……



カリカリカリカリ…

葉山「…………」カリカリカリカリ…

八幡「…………」ボー

八幡(こいつ本当にいいやつだよな……)

八幡(ボッチの俺に話しかけてくれたり)

八幡(こんな風に勉強教えてくれたり)

八幡(もしもあんな事がなかったら、こんなのなかったんだろうけど)

八幡(もしかしたら、俺とこいつは友達に……)

八幡(いやいやそれはない。キングオブボッチとキングオブリア充がそんなのになれるわけがない)

『喧嘩商売』読んでりゃ楽勝で書ける、はず。>煉獄

>>178
キモいな
やっぱSSLは糞だわ

なんで喧嘩商売?

葉山「……ん、どうかしたかい?」チラッ

八幡「あっいや、何でもねぇ」

葉山「そうか」カリカリカリ…

八幡(こいつの中の俺は、ただのボッチのかわいそうな子だろう)

八幡(そう、きっとそうだ。だから勘違いなどしてはいけない)

八幡(あの日々を思い出せ、俺は何度あの苦しみを味わった?)

八幡(こいつは根本的に誰にだって優しいだけだ)

八幡(葉山の優しさにすがってはいけない。葉山の親切心に甘えてはならない)

八幡(感情の処理は適切に)

八幡(彼我の距離は適当に)



八幡(――だから、もう一歩くらいは、踏み込んでも、いいのだろうか)

はやはち

>>179
なぜここまでSSLが叩かれる理由を知らないのに使わないほうがいい

葉山「んんんーっと」カラダノビー

八幡「お疲れ」

葉山「そっちもね。ドリンクバー行ってくるけど、ヒキタニくんおかわりいる?」

八幡(何だこれ、友達みたいだな)

八幡「あ、ああ……。じゃあコーヒーと、ミルク一つ、それとガムシロ十個頼む」

葉山「ああ、わかっ……えっ、十個?」

>>183
正論だけどSSLが言うセリフじゃない

>>183
日本語くらいちゃんと使おうぜ

>>183
SSLのやつが言っても意味ないだろ
自分擁護したい気持ちはわかるが>>179が逆上してきてスレが荒れるかもしれないから一生ROMっててね^^

煽るなよ香しいな

カリカリカリ…

八幡「葉山」

葉山「なんだい?」

八幡「本当にこれやるだけでいいのか?」

葉山「ああ、確かに不安になるよね。でもうちの先生は、その問題集とほとんど同じ問題しか出さないから、その範囲の問題解けるようになれば、それだけで九割越えるよ」

八幡「えっ、そんな甘いのか。うちの数学」

葉山「気づいてる人は少ないけどね」

八幡「…………」

八幡(やっぱこいつすげぇな)

>>183が叩かれまくっててワロタ

八幡「ふぅ、とりあえずこの辺は大体解けるようになったな」

葉山「ヒキタニくん、実は理系の方が向いてるんじゃ……?」

八幡「いや、そんなわけねーだろ」

葉山「でも……君が最後に解いてたの、国立大の入試問題だよ……?」

八幡「えっマジで? ……マジだ」ジー

葉山「まさか一日でこんなにできるようになるなんて……」

八幡「さっきも言ったけど、お前が教えてくれたからだ。すごいわかりやすかったし、そのおかげでアレルギーも克服できたしな」

葉山「そう……なのかな……? 毎日戸部に教えてたのがよかったのかな……?」

八幡(でもそんなに成績が良くないんだよな……あいつ……。テスト返却の度にウェイウェイ言ってるし。……それはいつもの事だな)

八幡「今日一日で少し数学も好きになったし、もしかしたら来年国公立目指す事になるかもしれん」

八幡「だからもしそうなったら……」

八幡「……その時はまた、教えてくれないか?」

おびゅ

葉山「……ああ、もちろん!」サワヤカスマイル

八幡「そうか、ありがとな」プイッ

葉山「別にそのくらいいいよ。えーと……もう十時過ぎか……結構勉強してたね」

八幡「うぉっ!? 外真っ暗じゃねぇか」

葉山「じゃあもう帰ろう。えっと、俺が食べた分を俺の体に入ってるヒキタニくんが出して……」

八幡「ややこしいな、これ」

しえんた

支援ありがとうです



八幡「…………」テクテク

葉山「…………」テクテク

葉山「ヒキタニくん」

八幡「なんだ?」

葉山「MAXコーヒーっておいしいのか?」

八幡「俺にとっては最高の飲み物だな。最早神からの贈り物と言ってもいい」

葉山「君が欲しいと言うから全部あげたけど、やっぱり一本貰えないか?」

八幡「……まあ六本もあるから一本くらいやるよ」ポイッ

葉山「おっと」キャッチ

支援

妖精MAXコーヒーたん の悪戯だったとさ。

カチャッ

葉山「試しに一口」ゴクゴク

葉山「……甘い。すごく甘い」

八幡「そりゃそうだ。MAXコーヒーなんだからな」

葉山「産まれて初めて飲んだ」

八幡「はぁっ!? 千葉県民でその歳でMAXコーヒー飲んだ事ないやつっていたのか!?」

葉山「見た事はあったけど、飲んだ事はなかったんだ」

八幡「ったく、不味いんなら俺にくれ。そう思われるくらいなら俺が飲んだ方がマッ缶も喜ぶ」

葉山「いや……悪くない。これからもたまに買おうかな」

八幡「…………」スッ

葉山「?」

八幡「もう一本、やる。やっぱ自分の好きなものを、他の誰かが好きになってくれると、何か嬉しいし」

葉山「ああ、ありがたく頂くよ」

私怨

八幡(そんなこんなでテスト当日になっても、俺らの体は元に戻らなかった)

八幡(この数日間で特に変わった事もなかった。せいぜい、俺と葉山が話す事が多くなって、海老名さんがずっとうるさいくらいだった)

八幡(俺も葉山もお互いを装うのが上手くなって、誰かに気づかれたりするなんてハプニングも起きなかった)

八幡(……それでも俺はまだ由比ヶ浜を結衣とは呼べないが)

はよ

教師「テスト開始」

ペラッカリッコッコッコッハヤハチサイコー

八幡(本当に葉山の言った通りだ。見た事ある問題ばかりだ)

八幡(これ、問題集で解いた問題だ! ……普通だな)

葉山(ヒキタニくん、ちゃんと解けてるかな……? 大丈夫だよな……?)

葉山(この問題ならヒキタニくんは大丈夫なはず)

八幡(解ける! 解けるぞ!)

葉山(もう信じるしかない)

同居してる家族、特に小町が気づかないのはまちがっている。

>>203
そこは御都合主義ってことで。



八幡(手が止まらない。数学でこんな感覚は初めてだ)

八幡(今の俺なら何でも解けそうな気がする……!)

八幡(見ろ! ベクトルがゴミのようじゃないか! ……あっこれは内積0になって直角なんすね)

葉山(ふぅ……解き終わった。ヒキタニ君の手も順調に動いてるし、もう心配はいらないだろう)

葉山(しかし疲れたな……。この数日間、いろいろ大変だったし)カラダノビー

ガンッ!

葉山(あっ、カバン蹴っちゃった)

八幡(あと十分! これなら全問解ける!)カリカリカリカリ…

カリカリカサカサ

八幡(しまった、芯が切れた! 早く交換しないと!)アセアセ

ガンッ!

八幡(あっ、俺のカバンが!)

フワッ

二人のカバンから飛び出たのは、MAXコーヒーでした。

>>203 >>179






八幡・葉山「「すいません。MAXコーヒー落としました」」





パッキイイイイイイイイイン




八幡(この感覚……どっかで……)

八幡(あれ、テストが解き終わってる)

八幡(まさか……戻ったのか!?)

八幡(よく見るとシャーペンも違うし、俺の場所も変わってる)

八幡(てかさっき俺が座ってた場所に葉山が座ってる)

八幡(戻ったん……だよな……?)

葉山(戻った……みたいだ)

葉山(ヒキタニくんが、頑張ったおかげでテストもほとんど俺のと同じ、あとは最後の証明の数行を書き足すだけだ)

葉山(はぁ……よかった……)

八幡(てか戻る原因もやっぱりMAXコーヒーかよ)

比企谷・葉山の入れ代りものだと、これもあったな。

「比企谷八幡の「秘密」」 http://www.pixiv.net/series.php?id=413275

>>209
なに宣伝してんの?初心者か?
流石SSLはやることが違うなwwwwwww

テスト後

八幡「葉山……だよな?」

葉山「そういう君は……ヒキタニ君で合ってるかい?」

八幡「……戻ったな」

葉山「ああ。よかったよ、本当に」

八幡「数学……あれで問題なかったろ?」

葉山「ああ、ばっちりだったよ。もしかしたら君の方がいいかもしれないな」

八幡「おいおい、やめろよ謙遜は。お前の方が良いに決まってんだろ」

葉山「わからないよ。師を越える弟子の話ってよくあるし」

八幡「……お前、俺の漫画読んだな?」

葉山「あっバレたか」

八幡「バレるわ」

戻っても仲いいな

葉山「……じゃあ」クルッ

八幡「あっ……」

葉山 テクテク

八幡(これで終わっていいのだろうか?)

八幡(この一件で俺は葉山についていろんな事を知った)

八幡(それでわかったのだ)

八幡(葉山は俺の思うような完璧な人間ではないと)

八幡(彼もまた長所も短所もある一人の人間であるのだと)

八幡(そしてこの数日間で俺はこう思ったのだ)

>>209
渋貼るとか[ピーーー]よ

SSLってなんで叩かれてるのか誰か教えてくれ

>>210 >>214
俺も思った

八幡「葉山!」

葉山「ん?」クルッ

八幡(もう一歩)

八幡「俺と……」

八幡(踏み込んでみよう)





八幡「俺と、友達になってくれ!」

由比ヶ浜マジビッチ

告白

葉山「…………」ポカーン

八幡「…………」

八幡(小学校の頃を嫌な記憶が脳裏を回りまくるが、それを今は見て見ぬ振りだ。八幡、今はそんな事を思い出さないでくれ)

葉山「…………」グッ

八幡(葉山は何かを言おうとして口を開いては閉じるを繰り返している。……やはりダメなのだろうか)

葉山「……千葉村」

八幡「はっ?」

葉山「千葉村でのキャンプのこと、覚えているか?」

グローバル

八幡(千葉村? ああ、ルミルミ可愛かったよな)

八幡「千葉村がどうかしたのか?」

葉山「俺は答える前に一つ、比企谷に言わなければならない事があるんだ」

八幡「何だよそれ……」

八幡(あれか? 断る前の前置きか? どうせ断るならサッと断って欲しいものだ)

八幡(あれ、今、比企谷って……)

葉山「俺はあの時、君にこう言った」

『なぁ、もし、ヒキタニくんが俺と同じ小学校だったらどうなってたかな』

『決まってんだろ。お前の学校にぼっちが一人増えるだけだよ』

『そうかな』

『そうだろ』

『俺はいろんなことが違う結末になったと思うよ。ただ、それでも……』

『比企谷君とは仲よくできなかったろうな』

支援

八幡「…………」

葉山「でも、この数日間、君と関わるうちに、俺の君への印象は変わっていった」

葉山「だから、身勝手ではあるけど、言わせて欲しい」

葉山「あの時の言葉を、取り消すって」

八幡「…………」

八幡「……はっ」

葉山「?」

八幡「ったく、俺もお前もめんどくせーな、本当に」

八幡「そもそも俺はあんなの気にしちゃいねーよ」

八幡「ただ、お前がそうしなきゃ気が済まないなら、そうすればいい」

葉山「比企谷……」

八幡「これが俺の答えだ」

八幡「だから……お前の答えを、教えて欲しい」

葉山「……もちろん、イエスだ」



こうして俺は、うまれて初めて、友達が出来たのだった。


キマシタワー

ガララー

八幡「うーす」

結衣「あっヒッキーだ」

八幡「なんだ、由比ヶ浜。先に来てたのか」

雪乃「私は無視かしら」

八幡「お前はいつも先にいるだろ」

結衣「……ヒッキー何かあった?」

八幡「えっなんで?」

結衣「ずっとニヤニヤしてる」

雪乃「比企谷くん、校内への侵入は不法侵入で捕まるわよ」

八幡「勝手に俺を不審者にするな」

雪乃「あら、そう言えば仮にもここの生徒だったわね。ごめんなさい、不審谷くん」

八幡「なんでも『ガヤ』つければいいと思ってんじゃねーぞ」

友達が増えるよ! やったねヒッキー!

八幡「さてと、テストも終わったことだし、マッ缶買いに行ってくるかな」

結衣「あれ? ヒッキーテスト中に持ってたじゃん?」

八幡「ああ、あれは何と言うか……賞味期限切れてて飲めないんだわ」

八幡(それはもちろん嘘だ。俺はマッ缶を無駄には絶対しない)

八幡(ただ、俺と葉山を救ってくれたあのマッ缶を飲んでしまいたくはなかったのだ)

雪乃「あら、そうなの。じゃあ私の分も買ってきてくれないかしら?」

八幡「人をさりげなくパシるな」

そろそろオチがきそうやな

時同じ頃

三浦「あれ、隼人そんなの飲んでたっけ?」

葉山「あぁ、比企谷に勧められて最近ハマったんだ」

海老名「比企谷……? ヒキタニじゃなくて……?」

ピカーン

海老名「隼人くん! 一体何があったの!? ねぇ! まさかのハチハヤ!? ねぇ!! ハチハヤなの!?!?」ガッ

葉山「あはは……」

三浦「姫菜擬態しろし」

三浦「……ふーん、戸部っち」

戸部「んー?」



八幡「で、何買ってくればいいの?」

雪乃「じゃあ」



雪乃・三浦「「MAXコーヒー買ってきて」」



パッキイイイイイイイイイン


MAXコーヒー……一体何者なんだ……。




雪乃「あれ、ヒキオ……なんで……」

八幡「」



三浦「葉山……くん……?」

葉山「」



おいついた

十分後



八幡「……やはりそっちもそうか」

葉山「みたいだね。今度は」

八幡・葉山「「雪ノ下(さん)と三浦(優美子)が入れ替わった」」

葉山「……どうする?」

八幡「うーん、スルーだな。当分変なのには関わり合いたくない」

葉山「人間的にどうかとも思うけど、正直俺も同じだ」

八幡「まああの二人ならどうにかなるだろーよ」

葉山「俺らみたいにあの二人も仲良くなるといいなぁ……」

八幡「ブフォアッ!?」ブシャー

葉山「だ、大丈夫か!?」

八幡「あ、ああ……。いきなり変な事言うんじゃねぇよ……」

葉山「?」

八幡(あ、こいつ素だ)

宿題が終わらない

葉山「あ、MAXコーヒー持ってるんだね」

八幡「ああ、さっき落としたやつな」

葉山「奇遇だね。俺もそれ持ってるんだ」サッ

八幡「じゃあ」カチャッ

葉山「そうだな」カチャッ

八幡「俺ら、この数日間頑張ったよな」

葉山「ああ!」

セーノ

八幡・葉山「乾杯!」

カンッと缶同士がぶつかり、綺麗な音がなった。

誰かと飲むMAXコーヒーも、なかなか悪くない。

起きてる見てる

雪乃「なんであーしがあんたと入れ替わんだし! 意味がわかんないし!!」

三浦「私だってあなたみたいな、キャンキャンうるさい犬のような人と入れ替わりたくなかったわ」

雪乃「あーしが犬!?」

三浦「ええ、そうよ。耳が悪くて聞こえづらかったのなら、もう一度言うけど?」

雪乃「雪ノ下雪乃……あんた、絶対許さない!!」

三浦「ええ、何とでも言うがいいわ」



世にも
奇妙
な物語

はい、宿題は終わっておりません
頑張って下さい、面白いです

テッテッテレレーテレレーテレレー

テッテッテレレーテーンテレーン

タモリ「思わぬ偶然から、一生の仲になる」

タモリ「そんな話を聞く事があります」

タモリ「そう言う意味では、奇妙な世界に迷い込むのも」

タモリ「実は悪くないのかもしれませんねぇ」 ニヤリ

テレレッテッテレレーテッテッ

テレテッテッテッテッテレレレレーレー

テッテッテレレーテレレーテレレ

テーンテレレレレレン

https://www.youtube.com/watch?v=ccMfyDn7RHI

おしまいです。
ここまで読んでくださったみなさん、そして連投規制になってる私のために支援レスをしてくれたみなさん、本当にありがとうございました!
よかったら、感想などを書いてくれると嬉しいです!

楽しませていただきました。
また、お待ちしておりますよ。
宿題は終わっておりませんが

乙。
互いを否定し合うゆきのんとあーしさんじゃ、
死ぬまで元には戻れんだろうな。

3話は大雑把な話は決まっていますが、細かい設定に時間がかかりそうなので、もう少し先になると思います。
書けたら、その時は多分ここに上げますので、また読んでください。

次回予告いる?

宿題しながら見ておりますので、支援はしておきます

ずっと時計見てなくて、今気づいたんですが、もう三時すぎてるんですね。
明日も早いので落ちます。

おやすみなさい。
この三日間本当にありがとうございました!
また会いましょう!

次回予告いる

乙でした



テンポよくて読みやすかったし面白かったよ
プロット主導な感じが世にも奇妙な物語っぽかったのもまたよかった

もし何か付け足すとするならば、二次創作であることを考慮して、もう少しだけキャラが前に出てきても面白いのかもしれないけど、今のままでも良いバランスかとも思う

続き楽しみです、頑張って下さい
長文失礼

面白い
頑張ってくれ

これは巧妙なはやはちスレ
キマシタワー

いやーおもろい
海老名さん大歓喜だわ

悔しいけどハヤハチが仲良くなるとニヤニヤしてしまう

こんばんは。
作者です。

今夜は(と言うか当分)更新できそうにありません、ごめんなさい。
でも予告編は出来ましたので、そちらを投下したいと思います。
また、
>>79
の通り連投規制があるので、支援レス(一文字とかでも)書き込んでくださると、助かります。

それでは次のレスからです。

支援

それは、『比企谷八幡』になれなかった、比企谷八幡の物語。



俺は知っている。

俺を取り巻く環境が偽物である事を。

俺は比企谷八幡であって、『比企谷八幡』ではない。

だから俺はすがってはいけなかったのだ。『比企谷八幡』に。

それなのに、俺はすがってしまった。

あの世界を、望んでしまった。

これは、そんな俺への、罰なのかもしれない。

※時系列的には9巻のラストあたりからですが、正直あまり関係ありません。



「だって、ヒッキー絶対予定ないし……。あ、だからパーティー! あたし、ゆきのんのケーキ食べたいなぁ」

ようやく平穏を取り戻した奉仕部の部室。そこで由比ヶ浜がいつものように俺に話しかける。

その言葉が俺に向けられたものではない事を、俺はまだ忘れている。

それ以降も続く二人の会話を俺はただ横目で見ている。二人の間に俺が入る隙間はない。

「……そうね、それなら考えなくもないわ」

雪ノ下がそう告げると突然、世界が暗闇に満ちた空間となり、どこからか音楽が流れ始めた。

そして下から白い文字が流れ始める。これには見覚えがあるな。そうだ、これは、映画やゲームでよく見る、エンディングだ。

俺はその状況をまだ最初は理解できないが、時間が流れるにつれて、現状を理解する。そう、いつも通りに。

しえ

平塚先生に奉仕部に入れさせられ、雪ノ下や由比ヶ浜と知り合い、いろんな問題を乗り越えた数ヶ月間。

その日々は俺にとってかけがえのないものだった。

しかしいつだって現実とは残酷で、だから俺はまたこの夢に逃げ込んでしまうのだ。

エンディングが終わると、身体が急に重くなったように感じる。そしてそれまで見えていた視界が一度ブラックアウトし、数秒経つと俺が本当に生きるべき世界の風景が映し出される。俺の周りは機械の回路だらけで、何がどうなっているのかわからない。

『やはり俺の青春ラブコメは間違っている。ボリューム9は以上です。お気をつけてお帰りください。お帰りの際、忘れ物はなさいませんよう……』

いつもと同じように流れる無機質な機械音声。

これが、俺の現実だ。

あれ? ID被ってる
時間すげえ

俺のいる現実に、雪ノ下はいない。由比ヶ浜もいない。戸塚もいないし、平塚先生だっていない。それはそうだ。みんな全て空想のお話の登場人物なのだから。

始まりはほんの些細な出来心だった。たまたま学校から帰る途中で、怪しい店を見つけて、その中に入ってしまった。

その店は、自分の発明品を売って生計を立てているという、今時の子ども用アニメにも出てこないような怪しいおっさんが経営していた。

彼が作った発明品の中でも最高傑作(自称)。それは、俺の心を引くのには十分すぎるものだった。

彼が俺に勧めたのは『仮想現実体験装置』
デジタルで構成された別の世界へ行く事ができる装置だ。

もちろん俺はそんなのをバカ正直に信じられるほど純真無垢ではない。しかし彼は俺に初回だからと一回五千円のところを五百円にしてくれた。九割引きという響きに圧倒された俺は、マッ缶を四回我慢すればいいだけだと思い、その男に一枚の硬貨を渡してしまったのだ。

それからはお察しの通り。仮想現実の中の『俺ガイル』の世界にどっぷりハマってしまった俺は、いつしかそこだけが俺の生きがいになってしまっていた。

はよ

樋口さん一人を男に渡し、俺は店を出た。目に映るこの世界はモノクロに見える。夕陽で赤くなっているはずの空も、俺の腐った目には白と黒のグラデーションにしか感じられない。

「……帰るか」

そして俺は歩き出す。またいつもの日常を。

――瞬間、見覚えのある顔が俺とすれ違った。

「……えっ、今のは」

思わず振り返る。今すれ違ったのは、誰だ?

「……あっ、あの!」

今思えばあの時の俺はイカれてたとしか思えない。もし仮に彼女が現実にいたとしても、俺と彼女とは接点がないのだから。

――それでも、求めずにはいられなかった。

この世界で唯一見えた色。

それを逃したくなかった、

「……何でしょうか?」

振り返ったのは、夢で何度も見た黒髪の美少女――

――雪ノ下雪乃だった。


やはり俺の世にも奇妙な物語は間違っている。
最終話
『そして比企谷八幡は夢から覚める』

Coming Soon!!



以上です。

書いてみてわかったけど、やっぱり小説形式は難しいのとダラダラ長くなるから、本編は前回までと同じく、脚本形式で書くかもです。

乙、楽しみに待ってる

saoの世界みたいだな

こいつは現実世界の八幡からすれば地獄だな

面白そう

「ヴァーチャル・メモリー」を思い出した

こんばんは。
作者です。

もう少し練ってから書こうと思いましたが、書かないとやる気が出ない事が判明したので、書き始める事にします。

時間としては23時頃に始めようとおもいます。

※予告なしに早まったり、遅れたり、中止になったりするかもです。

また、毎度の事ですが
>>79
の通り、連投ができないので、1レス毎に支援レス、一文字レスをしてくださると助かります。

ほぉ~

ピピピピ

八幡「うーん……朝か……」

八幡「ふぁーあ……今日は……まだか。目的の日まではまだ先だな」

昨日は休日でフリーダムな一日だったが、今日は学校あるんだったな。サザエさんやってたのに、すっかり忘れてたわ。

八幡「……起きねぇと」

冬の朝の寒さ対策に室内用の上着を羽織る。うん、あったかい。

床の冷たさに耐えながらリビングへと向かう。

そこにいるのは、俺の両親。母親は朝ごはんの準備をしていて、父親は新聞を読んでいる。

そして、この家に、比企谷小町はいない。

ほぉ~

朝ごはんを食べ、いつもの時間に家を出ると、マイチャリは今日も変わらず、同じ場所で俺を待っていた。

高校入学の時に買ってもらって、それからずっと愛用しているチャリだ。

サドルをまたぎ、イヤホンを耳につけ、ペダルを踏む。違法だとかそんなの知ったこっちゃない。……まあ捕まったらアウトだが。

見慣れた風景がそれなりのスピードで過ぎ去る。街を歩く誰もが自分の人生を生きていて、それ以外を望まない。

俺以外は。



あの日、俺は事故に遭わなかった。

 

俺に友達がいないのは言わずもがなであるが、それ以上に俺、比企谷八幡が『比企谷八幡』と圧倒的に異なる点、それは――

俺が真のボッチである事だ。

俺に近づく人間はいないし、誰かに話しかけられる事はほぼ皆無と言っていい。

『比企谷八幡』にはボッチとは言え、それでもその周りに人がいた。

奉仕部のやつらや、戸塚や、材木座や……あいつ実はリア充じゃね? 実はボッチじゃなくて、自称ボッチなんじゃね?

しかし当の俺は休み時間はほぼ確実に寝てるか、スマホを弄ぶか、読んでいない本を読むかのどれかだ。校内で口を開く事はない。

そして最後に、絶望的な事実を告げよう。

俺の通う高校は、総武高校ではなく――海浜総合高校だ。

ホモォ

>>279
残念ながら今回のはホモォはないです。
ごめんなさい。



八幡「はぁ……最新話の更新まであと二日か……長いな」

八幡「まあ、ちょうどその日クリスマスだし、自分へのクリスマスプレゼントとしていいかもな」

家のベッドに寝転んで、スマホを弄る。メールが来るのは親と、メルマガと、たまに来る女の子からのメールだけだ。

ゴーインゴーインアロンウェーイオレノーミーチーヲーイクーゼー

八幡「おっメールだ。この時間に来るとなると……」

ボッチはメルマガの届く時間を把握している。このメルマガは朝に、このメルマガは夜に、という風にだ。……やっぱりそういうのわかると、機械がやってるってわかっちゃうよね。

しかしこの時間にメルマガが届く事はまずない。つまりそれは……

『Sub:ユカリです☆良かったらお友達に』

八幡「なってくれ」

そして一番違うのは、俺がこの孤独を寂しく感じていることだ。

俺は『比企谷八幡』のように、強くなかった。

八幡「ふふふ……ようやく来たな……この時が……」

八幡「『俺ガイル』ボリューム9 長い間これを待ち焦がれたぜ……」

八幡「8での終わり方があまりにもなぁ……。もう一日千秋とはこの事だと思ったわ」

八幡「さて、入るか」

博士「いらっしゃい。ああ、あんたか」

八幡「9は……?」

博士「悪いが、ちょっと先客がいてな。まああと三十分もせずに終わるから、外でブラブラしててくれ」

たまに俺の他にこの仮想現実体験装置を使っている人間がいる。それが誰なのかはわからない。この怪しいおっさん曰く、「顧客情報は極秘」らしい。

八幡「わかったっす。じゃあまた三十分後に」

そう言って店を出る。俺以外の仮想現実体験装置を使っている人間が誰であるが気にならないと言えば嘘になるが、かと言って意地でも知りたいかと言えばそういうわけでもない。

八幡「うーむ、何をしようか」

八幡「やっぱゲーセンか?」

四円

近場のゲーセンの格ゲーで時間を潰し、店に戻ると装置内は空っぽになっていた。前の人は終わって帰ったらしい。

博士「兄ちゃん、若いのによくそんな金あるね。まだ高校生だろう?」

『俺ガイル』は一回五千円。9までやったから、これで四万五千円の出費だ。高校生に痛くないわけがない。

八幡「……他に使い道がないんすよ」

あとはあれだ。MAXコーヒー。俺の小遣いは大体この二つで消える。何それ悲しい。

博士「『俺ガイル』のボリューム9で間違いないな?」

八幡「大丈夫です」

博士「んじゃ、行って来な」

装置を頭につけて、真っ黒な箱の中に入る。中は狭いが、始まれば気にならない。

……本当に別の世界に行くのだから。

紫煙

<●><●>   支援

八幡「……ここは、奉仕部の部室?」

八幡「なのに俺以外誰もいないな」

八幡「よく見るといつも三つある椅子も一つしかない」

八幡「とりあえず外に……!?」ガッガッ

八幡「開かない……?」

お?

バグか?

八幡「…………」ポロポロ

博士「……大丈夫かい、兄ちゃん?」

八幡「はい……っ、だいじょぶ……でず……」

あんな終わり方になるなんて思わなかった。くそ、泣かせんじゃねーよ。8まであれだから、絶対バッドだと思ってたじゃねーか。

博士「まあ、満足してもらえたならいいや。兄ちゃん、代金」

八幡「はい……っひぐっ」バイバイヒグチ

博士「うむ、確かに頂いた。じゃあまた来てくれよ」

ふむ

ホモォ

『俺ガイル』をやってる時はいい。

ただ、終わると、ひどく死にたくなる。

俺は一体何をしているのだろう、と。

名前や顔が設定できるからとは言え、俺と同じ名前の人間があんな青春を送っているのに――まあ多少間違っているが。

そんな自分を嫌悪する事はある。

しかしそれでも、俺はやめられないのだ。あれにしか人生に楽しみを感じられない。

俺は生きがいを感じられない。唯一の生きがいが『俺ガイル』だ。金を払って生きがいができるのなら、いくらだって使ってやる。

しかし、いつからだろう。

八幡「こんなにも生きるのがつまらなくなったのは……」

皆様の支援に感謝。
④で支援って読むんすね、つい先日気づきました。



八幡「…………」コツコツ

??「…………」テクテク

スッ

八幡「……えっ、今のは?」

その後ろ姿に、俺は見覚えがある。

八幡「……あっ、あの!」

しかしなぜ、彼女がここにいるのか。それが俺にはわからなかった。

??「……何でしょうか?」

八幡「雪ノ下……!」

ところどころに伏線っぼいものが

④で支援知らんかったのかww

ってか単に奉仕部メンバーと出会わないだけならともかく、小町まで居ないのはかなり辛そうな世界だね。

雪乃「……どうして私の名前を?」

八幡「えっ? あっ、えーとそれは……」

八幡「いや、そうじゃなくて、何でお前がここにいるんだ?」

雪乃「私が質問しているのだけれど? 質問を質問で返すなんて今時小学生でもしないわよ?」

八幡「…………」

まさか現実で雪ノ下の罵倒を受ける日が来るとは思わなかった。てかなんだこれ、夢? ほっぺたつねってみよう、……痛い。これ夢じゃねぇな。夢だけど、夢じゃなかった!

雪乃「ちなみに私は今学校から帰ろうとしていたところなのだけれど、私、あなたに会った事があったかしら?」

八幡「あー、会ったことはあると言うかなんと言うか……」

流石にゲームの中で会ったなんて言えない。

雪乃「はっきりしない人ね……」

SSLくっさ

気が動転して話しかけてしまったが、そもそもどうするつもりだったんだ俺は。いきなり見ず知らずの女子に話しかけるなんて不審者もいいところだな。千葉県警のお世話にはなりたくない。

八幡「あーなんかどっかで会ったような気がして……」

雪乃「……まあいいわ。それでも、なぜ名前を?」

八幡「ぐっ……!」

雪乃「あなた……まさか私のストーカー?」

八幡「違う違う違う違う。本当に違う。俺もお前と会ったのは初めてだし」

雪乃「えっ?」

八幡「えっ?」

あれ、俺、いま墓穴掘ったんじゃね?

  

雪乃「ちょっと待ってなさい」

雪ノ下は携帯を取り出した。ヤバい、タイーホフラグだ。

思いつくんだ、八幡! この場をおさめる方法を!

八幡「待ってくれ雪ノ下! 新聞! 新聞で見たんだ! お前の記事を!」

雪ノ下は番号を押す指を止めた。よかった、多分正解だ。

雪乃「……新聞?」

八幡「ああそうだ! 地方欄に載ってたやつだけどな!」

これは賭けだ。まず確実性はゼロ。そんなの見た記憶はないし、完全に出まかせだ。

しかし雪ノ下は反応した。つまり雪ノ下は新聞に載ったことがあるということだ。

ならばそれは何だ? 雪ノ下が新聞に載る理由は?

いくつもの可能性を浮かべては吟味する。この間わずか二秒。ボッチの思考スキルなめるな。

 

やっぱりあれが一番可能性が高いな。

八幡「雪ノ下雪乃。俺らが小六の時の県の読書感想文コンクールで賞をかっさらった、天才少女」

八幡「確かそうだろ?」

俺がそう言うと、雪ノ下は携帯をしまった。すげぇ、一発で抜けれた。

雪ノ下「……そう、あれを見たのね」

八幡「あっああ、俺もあの時出したからな。よく覚えてるんだ」

ちなみに俺はあれ出した事がない。よくこんなにポンポン嘘出てくるなー。普段、人と話さないのに。

 

前のレスの一つだけ雪ノ下になってる……。作者のミスです。



雪乃「なるほどね。でもなぜ私に話しかけてきたのかしら?」

八幡「えーとな、んーと、あれだ、新聞に載るようなすごい人間とすれ違ったから、つい反射的に……」

八幡(なんじゃそりゃああああああああああああ!?)

素晴らしく怪しい理由だが、今の俺にこれ以上の説明はできない。もっと頭が冴えていれば、マシな言い訳もできたかもしれないが。

雪乃「……筋は通っているわね」

ですよねー。やっぱり疑いますよねー。でも携帯を出さないところを見ると、通報する気はないらしい。助かった。

八幡「じゃ、じゃあ、俺はこれで」

無理だ、これ以上こいつと話していられる気がしない。いずれ本当の事を話させられて、警察行きだ。だから千葉県警にお世話にはなりたくないんだって。親に迷惑かけたくねーし。

雪乃「待ちなさい」

八幡「ぐぅ……!?」

 

雪乃「あなたには聞きたい事がまだたくさんあるわ。勝手に逃げないでくれるかしら?」

八幡「でも……妹が……」

現実にいねぇだろ、俺。

雪乃「あら、そうなの。でもそんなので私が諦めると思うの? 一応私、あなたの事をストーカーだとまだ疑っているのよ?」

八幡「だがしかし……」

メリークリースマーストクベーツナーパーティーヲーキーミトスーゴシーターイー

八幡「?」

雪乃「あら、私の携帯ね。少し待ってくれるかしら」

八幡「お、おう……」

どうする……ここで逃げるか……?

雪乃「もしもし、由比ヶ浜さん?」

八幡「!?」

雪乃「ちょっと私はいま忙しいのよ。ストーカーが私を……えっ? 連れて来て? 何を言って……あっ」

八幡「……帰らせて」

雪乃「予定が変わったわ。あなた、名前は知らないけどとりあえずついて来てくれるかしら?」

八幡「……嫌だと言ったら」

雪乃「…………」ケイタイサッ

八幡「喜んでついて行かせてもらいます」

 

雪乃「ところで、あなた、名前は?」

八幡「比企谷八幡」

雪乃「随分と変わった名前ね」

八幡「うまれて初めて言われたよ」

雪乃「そう、意外ね」

八幡「だろ?」

だってそういう事話す相手いなかったし。

雪乃「比企谷……八幡」

雪乃「いい名前ね」

八幡「そうか?」

雪乃「ええ、名前はその人を表すというけれど、あなたにぴったりじゃない」

八幡「遠回しに貶してんじゃねぇか。うちの親に謝れ」

雪乃「ストーカーの親に謝る気はないわ」

八幡「だから俺はそんなんじゃないっつーの」

 

こんな会話、『俺ガイル』の世界でもあったなと思う。一体どうなっているのだろう? あのゲームは現実世界とリンクしているのだろうか?

八幡「てか俺に対してそんなんでいいのか?」

雪乃「?」

八幡「だから、お前は俺をストーカーだと疑ってるんだろう? なのに、こんな風に話してるのは普通じゃなくないか?」

雪乃「普通の女子ならよくないでしょうけどね。でも、私ならあなた程度の体格の男ならいざ襲って来ても、余裕で勝てるから」

雪ノ下……恐ろしい子……!

雪乃「……着いたわね。さて、比企谷くん」

おっこの呼ばれ方を現実でされるのは、なかなか新鮮だな。

てかなんだここ、ただのサイゼじゃないか。

雪乃「これからあなたに会わせるのは私の親友よ。下手に手を出したら、あなたを社会的に抹殺するわ」

八幡「はい、わかりました。出しません」

両手を上げて降参のポーズをする。目が怖い。雪ノ下さん、凄く目が怖いです。



眠いので、そろそろ落ちます。
支援してくれた皆様、ありがとうございました。
多分明日にも投稿しにくると思います。
おやすみなさい。

おつ!
おやすみ~

おつおつ

なんやこのSSL…
邪魔すぎるわ

145 名前: ◆.6GznXWe75C2[sage] 投稿日:2014/08/19(火) 21:57:43.76 ID:xPRss165o
こんばんは
作者です

今日も投稿しようと思います

恐らくまた連投規制のせいで連投できないと思いますので、1レス毎に支援でも一文字でも投稿してください

よろしくお願いします

では23時らへんに来ますね

※予告なしに早まったり、遅れたり、来れなくなったりするかもしれません

>>299 >>317
1が更新できるようにしてただけなのに、SSLというだけで邪魔者扱いされても困るのですが……。

そういうところが臭いんだよ

>>319
自分は支援とても嬉しかったです
まことに勝手ですが、これからも支援してください。よろしくお願いします。
もちろん、嫌なら無理強いはできませんが……

>>319
SSLやもしもしってだけでくさいって言うやつは中学生だからあんま気にしなくていいよ

ガハマさんかわいいSSこれからもよろしくお願いしまするでござる

>>320
sslの愚行は目に余ることが多々見られるが馬鹿の一つ覚えみたいなお前のほうが臭い

こんばんは。
作者です。

今日も23時頃に始めたいと思います。
毎度の事ですが
>>79
の通り連投ができないので、一文字毎に支援レス(または一文字、空白レス)をしてくださると、助かります。

※予告なしに早まったり、遅れたり、中止になるかもです。

>>321
ありがと。懲りずに今日も応援してるよ!

>>322
おい正体バラすなやwwwwww

以降お触り禁止

うーん…

他人のスレでの馴れ合いはいかん

なんかすまんかった。黙るわ。

こんばんは。投下します。
支援レスよろしくお願いしますです。



結衣「ゆきのんやっと来たねー。えっ、ゆきのん誰それ……?」

予想通りそこにいたのは、『俺ガイル』の中と同じ、由比ヶ浜結衣だった。現実でもこの二人は友達らしい。世界を違えどもこの二人の友情は不変なんですね。これもう、ゆるゆりどころがガチゆりなんじゃねぇの?

雪乃「さっきも言ったでしょう? 私に対してのストーカーよ」

いや、だから違いますからね? まあそう思われても何も言い返せないが。

結衣「……目が」

八幡「腐ってんのは自覚ありだ」

結衣「!」ビクッ

由比ヶ浜は体を強張らせる。そうか、俺にとっては長い時を共にした知り合いではあるが、今の由比ヶ浜にとって、俺はただの雪ノ下のストーカーだもんな。それが初印象ってハードル高すぎじゃね?

はい

雪乃「比企谷くん? 手を出したらってさっき……」

八幡「手は出してない。口は出したが」

雪乃「屁理屈はいいわ」ケイタイサッ

八幡「ストップだ、ストップ。じゃあもうゆ……この人には話しかけない」

危なかった。思わず名前を出してしまうところだった。いくら電話で名前を聞いたからって、いきなりそれで呼ぶのはアウトだ。

雪乃「……ならいいのだけれど」スッ

支援


結衣「……で、比企谷くん、だっけ?」

八幡「…………」コクン

俺は頷く。話しかけないと言ったから、それだけで肯定の意を示す。

結衣「ゆきのんのストーカーって本当?」

八幡「…………」フリフリ

雪乃「由比ヶ浜さん、そんな事を聞いても認めるわけないでしょう? どこにその質問に対して「はい、私がストーカーです」と認めるストーカーがいるのかしら?」

結衣「あっそうか」

由比ヶ浜のバカさ加減はあまり変わらないらしい。

結衣「今、すごくバカにされたような……」

……てかこいつやっぱり超能力とかあるんじゃねぇの?

支援

期待

突然の大量の支援に驚いてます。
あとすごく嬉しいです!



結衣「あと比企谷くん……? 別に喋ってもいいからね?」

八幡「…………」チラッ

雪乃「本人がそう言うなら、私は止めないわ」

結衣「ゆきのんもこう言ってるし。正直喋ってくれないと私も話しづらいよ」

八幡「……そうか」

結衣「うん!」

雪乃「比企谷くん」

八幡「わかってる。由比ヶ浜、さっきのはすまなかったな」

結衣「え? あー……。でも私が失礼な事言っちゃったのが先だから、お互い様と言うか……」

やっぱりこいつ現実でも良いやつだな。中学の頃の俺だったら速攻で告白して振られているところだよ。え、振られちゃうのかよ。

支援

結衣「で、比企谷くんはゆきのんのストーカーなの?」

八幡「だから違うっつーの。ただ、見た事のある顔だったからつい話しかけちまったんだよ」

結衣「……ゆきのん、会ったことあるの?」

雪乃「いえ、ないわ」

結衣「じゃあなんで?」

カクカクシカジカ

結衣「へー、ゆきのん新聞に載ったことあるんだー! すごいねー!」

驚くとこそこかよ。まあ由比ヶ浜らしいと言えば由比ヶ浜らしいな。

本当に連投出来ないの?
60秒規制とかではなくて?

25秒か

SS製作者総合スレより

■e-mobileの方へ
「e-mobile」ではスレ立て不可、連投もできません。
SSでスレを立てるならスレ立て代行をしてもらい、一レスごとに誰かに書き込んでもらう必要があります。
規制の理由は以下、e-mobileの人はこのスレで代行と支援を頼めば誰かやってくれるはず。

219 名前:lain. ★[sage] 投稿日:2010/11/09(火) 23:13:16.37 ID:???
e-mobileの荒らしがいたので現在規制を行っております。
再犯のため、プロバイダへの通報で対処致しますのでしばらくお待ちください。



これによると2010年からずっとできないみたいなんです。皆さんには本当にご迷惑をおかけします。



↓本編



雪乃「え、ええ。銀賞しか取れなかったけれど」

結衣「それでもすごいよ! へー、私はいつも夏休みの最後の方で、冷や汗かきながら書いてたなー」

ああ、すごい想像できる。こいつそういうの苦手そうだもんなー。

雪乃「由比ヶ浜さん、そんな話は今はどうでもいいのだけれど」

結衣「あ、そうだった。で、比企谷くん……なんか呼びづらいね、呼び方変えてもいいかな?」

八幡「ん? あ、ああ」

すごく、先の展開が予想できる。何なの、あの機械? まさか現実世界の未来を見せちゃうやつなの? 俺はあの間違った青春ラブコメを現実で体験できちゃうの? それなら大歓迎だが。

結衣「じゃあ、比企谷くんだからヒッキーって呼ばせてもらうね! ……いいよね?」

八幡「あ、ああ」

さっきから同じ事しか言ってないな、俺。まさかロボットなの? ……SFって怖いよね。

支援

マジか

2010年からとか規制とく気なさすぎて草
何で一話の頃は連投出来てたんだろうか

>>348
その時はスレ立てもできたんですよね……。本当に謎です。
二日目に来るのが遅れた理由は、この規制を知らずに書き込んでずっと書き込めなかったからだったりします(言い訳)。



結衣「じゃあヒッキーは、ゆきのんの事を新聞で見て知ってて、それでたまたますれ違った時に話しかけたって事?」

八幡「……まあ、そういうわけだな」

結衣「それは……ストーカーって言うか微妙だね……」

雪乃「由比ヶ浜さん、この男の言う事を全部信じる気?」

結衣「うん?」

雪乃「それは今考えたその男の嘘かもしれないのよ? 新聞で見たのは本当なのかもしれないけれど、そこからずっと私をストーキングしていた可能性もあるのだし」

流石雪ノ下さん、一筋縄ではうまくいかない。……まあ俺の言い訳がザルなだけなのだが。

さて……ここからどうする?

ホモォ

今の持ち駒でこの場を打開する方法が思いつかない。

ならば方法は一つだ。

この現状を信じてくれそうな誰かの力を借りる。……それに該当するのは誰だ……?

……あの人しかいない。

もしもあの人が現実にいて、なおかつ総武高にいるのなら、雪ノ下たちと知り合っていてもおかしくはない。

八幡「あー、ちょっとトイレ行ってきてもいいか?」

話し合っている二人に許可を取る。本当は外に出たいが、雪ノ下が許さないだろう。

雪乃「ええ、構わないわ。逃げたりしなければね」

八幡「逃げねぇよ」

逃げても通報されてバッドエンドだ。そんな事くらいわかる。

ちくわ大明神

ぱおーん

八幡「……今度は『俺ガイル』の知識に助けられるかもな」

あの中で『比企谷八幡』は何度もその人物からの着信を受けていた。だから、その番号を覚えていたのだ。

あの人なら……もしかしたら信じてくれるかもしれない。

何度も何度も確かめながらゆっくりと番号を押す。

そして受話器のボタンを押す。

トゥルルルルルル

八幡「よし、コールが鳴った!」

つまり、この番号を持っている携帯が存在しているという事だ。緊張で心臓の鼓動が早まる、

トゥルルプツッ

??『もしもし、平塚ですが』

北加賀屋

ビンゴ!! トイレの個室内で思いっきりガッツポーズを決める。こりゃ、Gacktさんも顔負けだな。ガッツポーズ世界選手権とかあったら、余裕で一位取れるレベル。

平塚『何でしょうか? いたずら電話なら切りますよ?』

雪ノ下たちと話している時にも思ったが、さっきまでゲームの中でしか聞けなかった声が現実で聞こえると、少し変な感じがする。

八幡「いえ、いたずら電話とかではありません」

平塚『男……』

八幡「えっ?」

平塚『い、いえっ! 何でもありません!』

……これは、多分本物だよな。

八幡「総武高で勤務している平塚先生で間違いないでしょうか?」

平塚『ひゃっ、はい、そうです!』

何この平塚先生、すごく可愛い。ひらつかわいい、しずかわいい。

しえん

しずかわいい

はよ

平塚『えっと……そちらは……?』

八幡「比企谷八幡といいます。平塚先生、これから俺の言う話を信じてください」

平塚『えっ、あっ、はい』

そこから俺は話した。俺自身の事や、『俺ガイル』の事を。

平塚『……俄かには信じられない話だな』

こっちが年下とわかると、平塚先生はいつものような話し方になった。……あの平塚先生可愛かったのに。

八幡「でも、本当なんです。信じてください」

平塚『いや、比企谷とか言ったか? 信じるも何も、私は信じざるを得ないのだよ』

八幡「えっ?」

すみませんsage間違えたsegaってなんだよo....rz

しえん

これあれか上司を殺したOLのやつ

平塚『君の話は、私たちの身に起きた出来事とあまりに一致しすぎている。……まるで、本当にその場にいたかのように』

平塚『もちろん、君がいたわけではなかったから、解決方法は違ったが』

やはり、あの卑屈な方法を使う人間はいないか。まあそうだよな、『比企谷八幡』もあくまで解決ではなく、問題の解消しかしてなかったし。

平塚『例え、君がずっと私たちを見張っていたとしても、そこまで細かい説明はできないだろう』

平塚『だから信じる信じないの話じゃないんだ。信じざるを、得ない』

八幡「ありがとうございます。先生なら信じてくれると思いました」

平塚『だが、勘違いするな。私が信じたのはあくまでも、『君が言った事』のみだ。君自体を全面的に信じたわけじゃない』

八幡「それでも構いません」

今は協力者を得た、ということだけで十分だ。

はよ

平塚『……で、君は私にどうして欲しいんだ?』

八幡「今、俺は雪ノ下たちに捕まっているんです」

平塚『……それは、どういう状況だ?』

八幡「あっ、いや、別に犯罪的な意味ではなくてですね。さっきの話からもわかる通り、俺の中で雪ノ下たちは現実にいない人物だと思っていたので、道端で出くわして興奮してつい話しかけたら……」

平塚『ああ……もうわかった』

受話器の向こうから、はぁ……という溜息が聞こえる。

八幡「なので、俺が雪ノ下たちを知っていた理由の証人になってください」

平塚『つまり……嘘をつけと?』

 

はよ

八幡「察しが早くて助かります」

平塚『君がさっき私に話したみたいに、彼女たちにも真実を言えばいいじゃないか』

八幡「……雪ノ下たちが俺の言う事を信じてくれると思います?」

平塚『…………』

八幡「漫画とかそういうのを読む先生だから、話せたんです。そうじゃなかったら話せませんよ」

平塚『ま、待て、比企谷! 私はそのゲームの中でも私が見ていたアニメとかの話をしていたのか……?』

八幡「はぁ……まぁ……」

平塚『つまり君は私が話していた話がわかっていたんだな!?』

八幡「そうっすね」

平塚『そうか……!』

平塚先生は受話器の向こうで嬉しそうな声を出している。だからこの平塚先生可愛すぎるだろ。何で結婚できないんだよ。

はよはよ

八幡「とりあえずこの場をやり過ごすために、先生の力が必要なんです」

平塚『……状況は理解した。ただし一つ条件がある』

八幡「……なんですか?」

何故だろうか、すごく嫌な予感がする。

ハリーハリーハリー




八幡「……どうしてこうなった」

雪乃「比企谷くん、それはこっちのセリフよ?」

雪乃「どうしてあなたがここにいるの?」

俺が今いるのは、見慣れた部屋。

奉仕部の部室だった。

八幡「……平塚先生に頼まれてな」

はやくはやく

眠いな

以下、回想

平塚『なら比企谷。奉仕部に入らないか?』

八幡「はっ? いや、それおかしくないすか?」

平塚『君が話しているのが本当なら、そのゲームの中で君は奉仕部に入っていたわけだろう? なら君としても実は願ったりなんじゃないか?』

八幡「…………」

俺はそれを否定できなかった。なぜあんなにも金を湯水のように使っていたのか、それはあの世界を望んでいたからじゃないのか?

八幡「でも、いきなり俺のようなやつが入って来ても、雪ノ下たちに迷惑がかかるんじゃ……」

平塚『そうかも知れないがな、ただ、今のままでも、よくないんだ……』

八幡「……?」

平塚『とりあえず、君が奉仕部に入るのなら、私は君と口裏を合わすが、どうする?』

俺の答えは、想像の通りだ。

以上、回想、終ワリ

ホモォ

 

雪乃「平塚先生が入れろと言うから入部させたけれど……」

八幡「他校の人間が校内にいるから、いろんなやつにジロジロ見られたわ」

雪乃「ええ、そうね。……それ以上にその目が原因と思われるけれど」

八幡「…………」ジーン

雪乃「!?」

まさか現実でこうなる日が来るなんて思わなかった……! 思わず感極まって泣きそう。

雪乃「……ごめんなさい」

八幡「!?」

>>378
没ネタ

何で雪ノ下が俺に謝ってんだ!? 雪ノ下こんなに優しかったっけ!? まだあっちからしたら会ったばかりだから、もっと酷い事を言われると思ってたんだけど!?

雪乃「あなたがそんなに傷つくと思ってなくて……」

あ、なるほど。俺が感極まって泣きそうになってたのを、雪ノ下は自分の言葉のせいだと勘違いしたのか。俺の事をよく知らないからこそ、この事態が起こったんだな。何これ、自分がタイムトラベルものの主人公になった気分。

八幡「あー、いや、大丈夫だから。そんなんで俺は傷つかん。今のはちょっとあくびで目がうるんだだけだ」

雪乃「そ、そうなの?」

少し遠慮がちに話してくる雪ノ下が可愛過ぎて生きるのが辛い。こんなの『俺ガイル』でもなかった気がするぞ。

八幡「あ、ああ」

小町は?ねぇ、小町は?

ガララ

結衣「やっはろー!」

結衣「ってヒッキー何でいるの!?」

八幡「平塚先生に入れと頼まれたんだ」

正確にはほぼ命令に近いがな。

結衣「へぇー、先生が……」

八幡「そんなわけでよろしくな、由比ヶ浜」

結衣「あっうん! よろしくね! ヒッキー!」

八幡「ああ」

こうして、俺は現実世界でも奉仕部に入る事になった。俺はこの世界に、人生に意味を持てないでいたが、小さな偶然、勇気のおかげでそれを得る事ができた。

人生何が起こるかわからないものである。ゲームの話が現実で起こるなんて事も、本当ならば世にも奇妙な物語に出て来そうなものだが、俺はそれを否定したりしない。これは、俺が望んだ事なのだから。

だから――

やはり俺の世にも奇妙な物語は間違っている。



世にも
奇妙
な物語

縺翫▽

だが、小町はいない…

えっ?

乙です
よかったです

CM明けBパートはよ




世にも
奇妙
な物語



世にも    I   ピュー
奇妙 <ワッナンダ I==
な物語    I



もI<ウワー
 I==
語I





それで終わればよかったと、今は思う。






支援

うーん…微妙
なんか丸く収まりすぎだな

ここで終わると思ったか?
残念、むしろここからが本番だ。



八幡「さて……と」

あれから数日が過ぎ、特にやる事もなく奉仕部は、そのまま冬休み前最後の日になった。

八幡「特にやる事はなかったな」

せいぜいこの数日もここで本を読むか、由比ヶ浜と少し喋るかのどちらかだった。まだ向こうからしたら、出会って数日だから話し方はぎこちない。

雪乃「ええ、そうね。……比企谷くん」

八幡「ん、なんだ?」

雪乃「あなた……この場の溶け込み方、異常じゃないかしら?」

八幡「と言いますと?」

雪乃「まるで、ずっと前からここにいたみたいに感じるわ」

八幡「……っ!? そっそうか……っ?」

雪乃「ええ、……まあ、そんなのあり得ないのだけれど」

八幡「…………」

雪ノ下の勘が鋭くてたまに焦る。しかし俺がゲームでここを体験していたとは思わないだろう。トンデモな話って予想されないから助かるわ。

結衣「ヒッキー」

八幡「ん?」

結衣「今日、この後空いてる?」

八幡「ああ、暇だな」

むしろボッチだから24時間暇なまである。24の音楽ってカッコいいよな。

結衣「じゃあカラオケ行こうよ! 新入部員歓迎会って事で!」

八幡「まあ……別にいいが」

結衣「やったぁ! ゆきのんも来るよね?」

雪乃「……由比ヶ浜さんの場合、断ってもあまり意味はない……」

結衣「よし、決定ぃー!」

わお、こんな関係になってたのか、この二人。雪ノ下さん、とことん由比ヶ浜さんに弱くなっていますね。

はやく

雪ノ下「じゃあ、部室の鍵を返してくるから、由比ヶ浜さんたちは下駄箱で待っててくれるかしら?」

結衣「うん! じゃあヒッキーと待ってるね!」

由比ヶ浜さん、その言い方はこっちが勘違いしちゃうんですけど?

八幡「……じゃ、俺先に行ってるわ」クルッ

結衣「あっ、待ってよ! ヒッキー!」タッタッタッ



雪乃「…………」

雪乃「……今が……」

雪乃「……ハッ!」フルフル

雪乃「…………」

雪乃「はぁ……」

八幡「…………」トボトボ

結衣「…………」テクテク

八幡「…………」トボトボ

結衣「…………」テクテク

結衣「あっあのね、ヒッキー」

八幡「お、おう」

結衣「……ゆきのんはね、あんな風にキツい事を言うけど、本当は優しい子なんだ。だからそこら辺、わかってて欲しいな~なんて」

エヘヘと由比ヶ浜は笑う。そんなのは俺だってわかり切っているが、そう答えるのは許されない。

八幡「そうか。心に留めとくよ」

結衣「うん……。だから、嫌わないでね」

八幡「……ああ」

はやく

焦らしスギィ

AAもどきを作るのに時間くって、書き溜めのストックが切れたので、投下遅くなります。ごめんなさい。



八幡「…………」トボトボ

結衣「…………」テクテク

??「…………」トボトボ

八幡「!?!?」

結衣「? ヒッキー、どうかした……、あー! さがみんだー!」

相模「あ……ゆいちゃんか……」

結衣「どうしたのー、さがみんこんな時間に?」

相模「別に、ゆいちゃんには、関係ないでしょ……?」

結衣「あ……そっか……そうだね……」

はやくはやく


起きてからまとめて読むわ

>>407
おやすみなさい。
支援レスありがとうございました。



八幡「…………」

相模「……! …………」プイッ

あれ、相模さん、俺を見てすぐに目をそらしたんですけど。何なの俺の目はそんなに怖い?

などと、ネタをぶっこむような状況ではない。

相模が現実世界にいる。それは何ら不思議な事ではない。

しかし、ここにいる相模は異様だ。

あまりにも、『俺ガイル』の世界の相模と違いすぎる。

相模の目が――

――俺のと同じように腐っていた。

支援

はよはよ

少し経って

八幡「……由比ヶ浜」

結衣「ん? なに?」

八幡「あの女子に……何かあったのか……?」

結衣「えっ……なんで……そう思うのかな……?」

八幡「いや、何となくだ。あまりにも暗いから何かあったのか……ってな」

結衣「……うーんとね。さがみんは、総武高の文化祭の委員長だったの」

うむ、ここまでは『俺ガイル』と同じだな。

4

結衣「でも……さがみんは……あんまし仕事しなかったんだよね。それで、副委員長だったゆきのんがそれを代わりにやったの」

あっ読めた。

結衣「ゆきのんはちゃんとやったよ、委員長としての仕事を。もう完璧すぎるくらいにね。ただ、そのせいで委員会内でのさがみんに対する不満が増えてっちゃって……」

八幡「…………」

結衣「しかも当日本番には突然いなくなっちゃったりして、皆からすごい責められたんだ……」

俺がいなかったら、こんな風になってたのか。俺がもしも総武高に入っていたら、こんな事にはならなかったのだろうか……?

4

相模に、あんな傷を負わせるような事にはならなかったのだろうか。

そんなもしもの事を考えたって意味がないのはわかっている。

それでも、考えずにはいられない。

結衣「それからかな……さがみんがあんな風になっちゃったのは」

八幡「そうか……。いろいろあったんだな、お前らにも」

結衣「……うん」

その頃、俺は何やってたっけ? あっちょうど『俺ガイル』にハマった頃だわ。由比ヶ浜たちが、いろいろ頑張っている時、俺はゲームやってたのか。何それ悲しい。

由比ヶ浜たちが向かったのは、いつも何かパーティー事があると、使われるいつものカラオケだった。『俺ガイル』本当に何なんだよ、あれ。再現度高すぎじゃね?

結衣「えーっと、ヒッキーこと、比企谷八幡くんの入部歓迎会を始めます!」

八幡「もう、何日か経ってるけどな」

雪乃「入ったのが二十五日で、今日が二十八日だから、もう四日ね」

何日か明言しなかった俺に、ふふん、と雪ノ下が俺に自慢気な表情をする。甘いな、そこには穴があるのだよ、穴が! そういやアナ雪ってすごいよな。見てないけど。

八幡「六から二日間は土日だったから、正確には二日間しか部室行ってないんだけどな」

雪乃「屁理屈ね」

八幡「何とでも言え」

結衣「二人とも!! そんなのいいの! 何日か経ってても別にいいでしょ!」

八幡「まあ、それもそうだな」

雪乃「そうね、こんな男がいつ入ったかなんて、正直私には関係ないのだし」

雪ノ下さんはいつも通りですね、本当に。

はやく

そんなこんなで新入部員歓迎会は終わりを迎えた。

結衣「うーん、歌った歌ったぁー」

雪乃「由比ヶ浜さん、後半はほとんどずっと歌っていたけれど、喉は大丈夫なの?」

結衣「あーーー、うん! ちょっと枯れるけど大丈夫だよ!」

雪乃「それでも枯れるのね……はい」サッ

結衣「わぁ! のど飴だ! ゆきのんありがとうー!」

雪乃「いえ、別にいいわよ」

雪ノ下と由比ヶ浜がゆるゆりしてるのを見ながら、俺は二人の後ろを歩いている。うん、こういうのを後ろから見てるのも悪くない。

雪乃「比企谷くんも」

八幡「?」

ん? 俺今何で呼ばれたんですかね? あれですか、二人を見る目が気持ち悪かったんですか? それなら否定はできないが。

雪乃「……余ってるから、あげるわ」スッ

八幡「あ……サンキュな」

どうしよう、可愛い。惚れてまうやろー。

雪乃「比企谷くんでも、人にお礼は言えるのね」

八幡「お前は俺を何だと思っている?」

前言撤回。

やっぱりこいつ可愛くねぇ。

しえん

雪ノ下たちと別れ、家に着いた。

八幡「ただいま」

八幡母「おかえりー」

八幡「んー、親父は?」

八幡母「まだ帰って来てないわね」

八幡「そうか」

小町がいないこの家を寂しく思わないと言えば、きっとそれは嘘になる。しかし、これで小町も欲しいと言うのは、流石に神様のバチがあたるだろう。奉仕部の二人と平塚先生と出会えただけで、俺は十分に満足している。

でも、たまに小町に会うために『俺ガイル』をやるのは、いいかもしれないな。



その夜、俺はなかなか眠りに就けなかった。

相模のあの目が頭にこべりついていたからだ。

俺は、あの目を知っている。

――人生に、絶望している目だ。



それは何の気なしに行った行動だった。

本当に、何も理由はなかったのだ。学校が終わって、総武高に向かう途中に、何となくあの博士の店の事が気になっただけだった。

一時期、狂ったようにチャリで走っていた道を通り、その場所に辿り着く。

かつて博士の店があった場所には――



――何もなかった。




すみません、眠いのでそろそろ落ちます。
支援レスありがとうございました。
多分明日も来ると思いますが、正直断言はできません。
今日は本当にありがとうございました。
おやすみなさい。

お疲れちゃん

>>1乙、>>426も乙

面白すぎ

週刊ストーリーランド思い出したわ

相模がメインヒロインかな?

面白い
頑張ってくれ

こんばんは。
作者です。

今日も23時くらいに始めたいと思います。
>>345
の通り、連投ができないので、支援レス(一文字、空白レスでも)してくれると助かります。

※予告なしに遅れたり、早まったり、中止になったりするかもです。

23譎ゅ°繧画垓繧後k縺懊>

なんで文字化けすんだよ
暴れるぞ糞が

こんばんは。
投下始めます。
支援レスよろしくお願いしますです。



八幡「なん……だと……?」

建物が並ぶこの通りからその部分だけすっぽり何もなくなっていた。残っているのは土のみ。ここだけいきなり取り壊されてしまったようだ。

八幡「……閉まるなんて話は聞いてなかったよな。また来いなんて言ってたから、そもそも閉める気ないだろうし」

八幡「……ただ、あんまし心配にならないんだよな、あの人だから」

キタ━━━(゚∀゚)━━ !!!!!

以下、回想



八幡「うっす」

博士「おや、あんたか。またアレをやりに来たのかい?」

八幡「…………」コクン

博士「おーけー。じゃあ少し待っててくれ。この実験が終わったらすぐに準備するから」

八幡「……何やってんすか?」

博士「よくぞ聞いてくれた。比企谷くん、これは世界をも変える代物だよ」

そう言って装置を見せるが、文系の俺には何なのかわからない。

博士「これは、物を小さくできるんだ。同じ割合で全くズレのなしにね」

博士「例えばこの15センチ定規を50%の倍率で小さくすれば、7.5センチになるわけさ」

支援

更新遅いと思ったら連投できないんだったな

博士「しかしこの定規も完璧ではない。わずかに誤差がある。だがしかし! この装置があればそれも縮小できてしまうのだよ! 0.1ミリの誤差は10%に縮小すれば0.01ミリだ。科学者にとってこんな素晴らしい発明品はない!」

この人テンション上がるとちょっと中二っぽくなるんだよな。材木座ほどじゃないが。

八幡「へー、すごいっすね。でも何でそんなの作るんすか?」

博士「個人的には今言った通りだが、そうだな……君の身近な例えで言えば、同じ要領で大きくする装置が出来れば、物を簡単に運ぶ事ができるようになるだろう? 一度小さくして、着いた時に大きくすればいい。それだけでも十分すごい事じゃないか!」

八幡「そうっすかね。で、今からそれの実験を?」

博士「その通り! さぁ、この定規をセットだ」

博士は装置に繋げているパソコンを弄ると、装置が音を立てながら光り始めた。その光は次第に強くなり、俺たち二人は目を開ける事ができなくなった。

音が収まる頃には光も消えていた。目を開くと、そこには――

八幡「……8?」

8という大きな文字。その周りには黒い線がいくつも引かれている。

八幡「……これって」

博士「やっぱりあそこの回線は逆にするべきだったか」

八幡「ものの見事に失敗してんじゃねぇか」

博士「何を言っている。私たちの予想とは逆に大きくなったんだ。これはある意味成功と言ってもいいだろう?」

八幡「しかも倍率とか酷いし」

50%どころか何十倍にも大きくなった定規は、博士の店を真横に貫いていた。

博士「まだまだ改善の余地があるな。何が悪かったんだろうか……」ゴソゴソ

八幡「おいこら、客をこれ以上待たせんな」



以上、回想、終ワリ

わしじゃよ

いいやわたしだ

>>444
お前だったのか

八幡「どうせあの人の事だ、今度はワープ装置でも作って店ごとどっかに飛んでったんだろう」

今頃北極とかにいるんじゃねぇの? まあ心配は無用だろう。

??「…………」

それにしても、さっきからあの曲がり角から誰かが見ている気がする。

八幡「…………」チラッ

??「!」タタタッ

今、確かに誰かがいた。それが誰なのかまではわからなかったが。

八幡「……まぁいいか」

この目のせいで人からジロジロ見られるのには慣れてるし。今のもそれだろ。

八幡「そういや昨日が今年最後の奉仕部だったんだよな。なら総武高行く意味ねーじゃん」

家に帰るか。『俺ガイル』やったせいで金あんまないし。

八幡「~♪」チャリンチャリン

 

八幡「はぁ……」ドサッ

夕食を食べ終わった俺は、自分の部屋でそのままベッドに倒れた。食べてすぐ寝ると牛になる? んなもん知らん。

八幡「あー疲れたー。ここ最近いろいろありすぎて疲れた」

ちょっと前までゲーム中毒だった俺の現実世界に、そのゲームのキャラが現れるとかそれなんてエロゲだよ。使い古された設定だな。

八幡「……本当に、一週間前の俺だったら信じねぇよな、こんなの……」



八幡「……怖えよ」

こんなの、あり得ない。俺が享受していいような幸せじゃないように感じる。

ホモォ

あまりにも今が幸せすぎると、恐怖を感じるという話があるが、それはきっと「うまく行きすぎている」と懐疑と、その幸せが失われる事への恐怖のせいなのだと思う。

まさに今の俺だ。雪ノ下や由比ヶ浜や平塚先生に現実で出会えて、俺は幸せだと感じている。それは事実だ。否定する気はない。

だからこそ……これが仮初めの幸福なのではないかと疑ってしまう。

八幡「……結局何も変わってねぇのかな、俺は」

支援

年が明けて少し経ち、なぜか俺は神社にいた。

八幡「何で俺はここにいるんだ……?」

結衣「なんだかんだ文句言いながらも来てくれるんだね、ヒッキーは」

八幡「まあ……どうせやる事なかったしいいけどよ……」

結衣「ゆきのんは何をお願いするの?」

雪乃「そうね……家内安全……とかかしら?」

結衣「あー、ゆきのんっぽいー! じゃあヒッキーは?」

八幡「願い事ってのは人に聞かせる物じゃねぇんだよ。聞かれた時点で叶わなくなっちまう」

結衣「うわ……ヒッキー空気読まないね……」

読めなくて結構。それに、この二人には聞かれたくない。

ぽこちん

結衣「ゆきのん百円出すの?」

雪乃「ええ、もう17になるのだし、これくらいは出そうかと」

結衣「ヒッキーは?」

八幡「…………」サッ ゴヒャクエンダマピカー

結衣「おおっ!? 五百円玉だ!? ヒッキーなのに!!」

八幡「いや、別にそれは関係ないだろ」

結衣「あるよ! ヒッキー神様とか信じてなさそうだもん!」

八幡「それこういうところで言うセリフじゃねぇからな……」

ホモォ?

雪乃「…………」サッ

チャリーン

結衣「入れ!」ファッ

チャリーン

八幡「……よっと」スッ

バッキーーーン

八幡「!?!?」

結衣「ヒッキーの五百円玉だけ横に飛んで行った!?」

雪乃「流石比企谷くんね、神様にまで拒否されるなんて」

おいやめろ。俺もその思考にたどり着いたんだからよ。


ペコリペコリ

パンッパンッ

ペコリ



八幡(もし願いが叶うならば――)




八幡(――この時が、何の支障もなく続きますように)



ホモォ?

結衣「うーん……初詣ってそんなに楽しくないね」

八幡「そもそも楽しむ物でもないしな」

結衣「……それでも何か忘れてるような……あっ! おみくじ!」

絶対言うと思った。俺、未来予知とかできんじゃねぇの?

結衣「みんなでおみくじ引こうよ!」

雪乃「別にいいけれど……そこの誰かさんは引かない方がいいんじゃないかしら?」

八幡「ああ、俺もそう思うわ」

結衣「えぇー? もしかしたらヒッキーいいの引くかもしれないじゃん!」

ホモォ?

やっはろー

>>462
没ネタ

くっ……どうして今日はこんなにも眠いんだ……!?
今日はすごく早めに落ちるかもです。



八幡「そもそもおみくじを引く意味がわかんねぇんだよな」

結衣「?」

八幡「よく考えてみろ。凶を引いたらそれはそれで気分悪いし、大吉引いたら逆にそこで運を使って、損をした気がしないか?」

結衣「んー、まあそうだけど……」

八幡「だから俺は引かん。百円玉が無駄になるだけだしな。その金でマッ缶買う方がよっぽど有意義だ」

結衣「お賽銭には五百円玉だったのにねー」

八幡「うっせ」

もうここみたいに賽銭拒否する神社にはこねぇよ、二度と賽銭なんかしてやるもんか!

ホモォ?

八幡「……とか言っても結局引く事になるんだよな」

結局世界線はそういう風に収束するのだろうか。やっぱり俺、タイムトラベラーなんじゃね。あのゲームだったらタイムリーパーか。

雪乃「……小吉ね。なかなかいいんじゃないかしら」

結衣「ゆきのん小吉かー。私は……吉だ! やった! ゆきのんに勝った!」

雪乃「由比ヶ浜さん」

結衣「ん?」メキラキラ

雪乃「……っ! いえ、何でもないわ……」

言えないよなー。あんな風に嬉しそうにしてたら流石の雪ノ下さんも、「実は吉よりも小吉の方が上」だなんて言えないよなー。それにしても本当に雪ノ下さんは、ガハマさんにデレすぎじゃないですかね?

八幡「さてと、俺のは……」

八幡「…………」スーッ

八幡「……げっ!」

結衣「やっぱヒッキー悪いのだったんだ……」

八幡「いや、そうじゃなくて……」

結衣「えっ!? じゃあ大吉!?」

八幡「それでもなくてよ……」



『平』



結衣「えっ、何これ。初めて見た」

八幡「俺もだ」

雪乃「……このおみくじ、平があるのね」

八幡「雪ノ下知ってんのか、これ」

雪乃「ええ、ちなみに運勢的には凶の一つ上で、特に良くも悪くもないという意味だったと思うわ」

何でそんな反応に困る運勢作っちゃったんだよ……。

平塚先生と結婚しろってことだな

結衣「ゆきのん、明日は空いてる?」

雪乃「え、ええ。でもどうして?」

結衣「明日はゆきのん誕生日でしょ? だからパーティーしようよ!」

八幡「またパーティーかよ」

結衣「うっ……! ……っ! いいの、それでも! ヒッキーが何て言っても、明日はゆきのんの誕生パーティーをするの! いいね!」

八幡「はいはい……」

年が変わっても、この関係は続くようだ。



……それがやっばり、すごく嬉しくて、すごく、恐い。

見てる






そしていつだって、嫌な予感とは当たってしまうものだ。





しえん

はやく

ゴーインゴーインアロンウェーイ

雪ノ下の誕生会から数日が経ち、冬休み最後の日を満喫していると、突然、携帯が鳴りはじめた。普段着信を受け取らない俺には、その音が酷く不自然に聞こえる。

着信の相手は由比ヶ浜結衣だった。

こんな時になんだろうか?

八幡「もしもし」

結衣『もしもしヒッキー!? 聞いて!! 大変なの!!』

由比ヶ浜の息が切れているのが受話器ごしに伝わる。

八幡「どうした!? 由比ヶ浜!」

そしてその声だけで今が緊急事態なんだと察した。

結衣『さがみんが……』

八幡「相模がどうした?」

結衣『さがみんが……っここ数日家に帰っていなくて、行方不明みたいなんだって……!』

八幡「……えっ?」



今日は眠いのでここまでです。
さっきから誤字が増えてきたのでもう書けないです……。
おやすみなさい。
明日は頑張ります。

縺翫▽

>>468
吉の方が上じゃなかったか?

>>479
末吉と勘違いしてないか?
小吉は吉より上だよ

大吉
中吉
小吉

末吉

大吉
中吉
小吉

半吉
末吉
末小吉

小凶
半凶
末凶
大凶

調べてるうちに吉がゲシュタルト崩壊してきた
結論としては順番は神社による、だけど小吉>吉は結構メジャーみたいだな

中凶は無いんだな

相模んメインヒロインくるぅぅぅぅぅぅぅ

>>405
相模メインはマゾだけでいい

こんばんは。
作者です。

今日も23時くらいに始められるように頑張ります。
>>345
の通り、連投ができないので、支援レス(一文字、空白レスでも)してくれると助かります。

※予告なしに遅れたり、早まったり、中止になったりするかもです。

>>486
そんなことはないさ

任せろ

23:00なう

投下します。



八幡「どういう事だよ……それ……?」

結衣『わかんない……。さかみんは大晦日の31日の夜に家を出てから今まで、家に帰ってきてないみたい……』

大晦日と31日って同じ意味だからな。まあ状況が状況だから言わないが。

結衣『それで何日も帰って来ないから、さがみんの親が警察に通報して、それを平塚先生が聞いて私たちにも知らせたってわけ』

八幡「でも、俺らにできる事なんてないだろ……」

結衣『それでも……何もしないなんて私にはできないよ……』

八幡「…………」チラッ

今の時間は19時。季節的にも時間的にも、とっくに陽は沈んでいる。こんな時間に由比ヶ浜を外に出すわけにはいかない。

八幡「わかった、俺が探しに出てくる」

結衣『じゃ、じゃあ……! 私も……!』

八幡「いや、お前は家にいてくれ。近頃物騒だし、こんな夜に女子一人で出歩かせたりなんかできない」

結衣『……わかった』

物分りが早くてよろしい。

 

ちくぱ

八幡「さて……と」

こんな事『俺ガイル』でもあったな。確かあれは文化祭の時のだから6か。

八幡「しかし……」

俺に思い当たる場所は二つある。時間的にはどちらかにしか行けなさそうだ。

八幡「……やっぱあそこか?」

いつも通り俺を待っているチャリをこぎ始める。冬の夜風が冷たい。やっぱマフラーとかしてくればよかった。

 

八幡「……あっ」

その前に由比ヶ浜に聞かなければならないのを忘れていた。この現実世界の文化祭の時に、何が起こったのか。

着信履歴から由比ヶ浜の名前を探す。すごい、俺の携帯の中に家族以外の名前がある。やったね、八幡! 着信履歴が増えるよ! ……何か悲しいな。

トゥルルルルルル

結衣『もしもし、どうしたの、ヒッキー?』

八幡「聞き忘れた事があった。文化祭の時に相模が消えたって言ってたな」

結衣『う……うん』

八幡「その時は誰かが見つけたりしたのか?」

結衣『……ううん、あの時は誰にも見つけられなかったかな……。結局最後までさがみん出て来なくて、ちゃんとエンディングセレモニー終わらせられなかったの』

結衣『だからかな……あんなに責められたのは……』

八幡「そうか、それだけ気になってな。ありがとよ」

 

由比ヶ浜の返答は俺の予想通りだった。

相模は文化祭の時に見つからなかった。だから『今度こそ』見つかろうと思った。

なぜこのタイミングを選んだのかはわからない。だがしかし、それしか現実的に考えてあり得ない。

……いや、逆に今だからなのか?

三が日が過ぎたとはいえ、冬休み中だから基本校内に人はいない。いたとしても校外で部活をする連中くらいだ。その絶妙なバランスの状況下で、自分を見つけてくれる人を求めている。

それに自分が行方不明になれば、職員会議が行われて校内に入り込むのは簡単になるだろう。だから今日ではなく数日前から家には帰らなかったのだ。恐らく一日二日いなくなった程度で、通報するような親だと相模自身思っていなかった。

しかしもうこの時間だ。誰かが見つけに来る事もない。このままで放って置いても相模は家に帰るだろう。

 

 

――だが、それではダメだ。

脳裏に相模の目が思い浮かぶ。あの目は、自分の現状を呪っている人間にしかできない。ソースは俺。

きっとこのまま放って置いては、相模南はずっと救われないままだろう。時が解決する問題かもしれないが、数ヶ月後には相模も受験生になる。

総武高に通うくらいだから、進学志望だろう。そんな人生を左右するような時期を、このままで迎えてはいけない。迎えさせては、いけない。

もしも、全ての出来事に意味があるのなら――

――俺が『俺ガイル』を経験したのは、総武高で起こってしまった事件を解決するためなのかもしれない。

俺がすべきなのは、きっと『比企谷八幡』が行ったような問題の解消ではない。俺、比企谷八幡がすべきなのは、問題の解決だ。

 

八幡「もしもし、比企谷です」

平塚『なんだ? 相模は見つかったのか?』

八幡「いえ、まだです。ただ、心当たりがありまして」

平塚『……なるほど、私の協力がまた必要だと』

八幡「先生察し早すぎじゃないすか?」

何なのこの人、実はエスパーなの?

平塚『まあとりあえず校門に来い。他の職員には私から言っておく』

八幡「わかりました」

 

平塚先生と合流した――のはいいが。

八幡「何でお前たちまでいるんだ?」

結衣「やっぱりいても立ってもいられなくて、一人じゃ危ないから、ゆきのんと平塚先生も一緒なら大丈夫かなって」

まあ平塚先生がいるなら心配いらないな。多分痴漢とかに襲われても、相手が病院送りになるレベル。

雪乃「それにあなた一人に任せられるわけないでしょう?」

八幡「どんだけ信用ねぇんだよ俺……」

まあ出会ってまだ一週間も経ってないから当たり前か。

平塚「で、心当たりというのは?」

八幡「あ、ええっとですね……」

ヤバいどうする? 平塚先生しかいないと思ってたから、何も考えてなかった。

 

平塚「あ、雪ノ下に由比ヶ浜。私職員室に携帯置いてきてしまったから、それを取りに行ってきてくれないか?」

雪乃「どうして、私たちが……? 自分に取りに行けばいいのでは?」

平塚「まあそう言うな、歳上の人間に貸しを作っておくのも悪くないぞ?」

雪乃「先生の場合、その貸しの事を忘れてしまいそうですが」

平塚「いいから、行って来い、二人とも。教師命令だ」

雪乃「理不尽ですね……」テクテク

 

はやく

平塚「……すまなかったな。君のここの知識がゲームに基づいている事をすっかり忘れていた」

八幡「いえ、平塚先生の機転のおかげで助かりました」

平塚「まあ礼はあとでいい。それで、どこなんだ?」

八幡「屋上です」

平塚「えっ?」

八幡「あそこの鍵は壊れていて出入りが自由なんです。確か女子の間では有名な話だったような……」

平塚「……比企谷」

八幡「はい?」

平塚「確かに、屋上の鍵は壊れていた。それは事実だ。だがな――」



平塚「――去年の十一月に修理して、今は入れなくなっている」



 

八幡「……えっ?」

『俺ガイル』と、ズレている。あの世界では屋上の鍵が修理されたなんて話を聞かなかった。きっとされてもいなかっただろう。

相模たちの運命が変わったのは、俺がいなかったからだろうが、屋上の鍵の話はそれに結びつかない。

俺がいなかった事と、屋上の鍵の事は何の関係もないはずだ。

ここまでほぼ一致していたのに、なぜ?

八幡「……あっ」

八幡「バタフライ……エフェクト……?」

 

バタフライエフェクト。

バタフライ効果とも言う。

小さな差が大きな差となる事を表す言葉で、有名な例えに蝶の羽ばたきが遠く離れた場所の天候に大きな影響を及ぼす、というのがある。

ちなみに風が吹けば桶屋が儲かるとは違うみたいだから気をつけろよ。

つまり、俺がいなかったという小さな差が、この学校の屋上の鍵が直されるかどうかの違いになったというわけか。俺の存在で変わるのそれだけかよ。

てかそんなのとうでもいいな。正直ちょっと某中二病の何とか院さんに憧れただけだし。エル・プサイ・コングルゥ。

 

八幡「マジかよ……」

平塚「君の見てきた世界では屋上の鍵は直されていなかったのか?」

八幡「……はい。まさかこっちでは直されているなんて。俺が関わってないところでは、変化はないと思ってたんで、正直驚きました」

平塚「まさに風が吹けば桶屋が儲かる、というやつだな」

八幡「……先生」

平塚「ん、なんだ?」

八幡「それ、使い方間違ってます」

平塚「えっ?」

この人、本当に国語教師なのかよ。

 

雪乃「で、結局心当たりは間違ってたと」

八幡「……そういう事になりますね」

結衣「その心当たりって何だったのー?」

八幡「……っ! えっとそれは……」

平塚「それよりもだ。まだ相模は見つかってない。明日から学校も始まるというのに、こんな問題を抱えたままではあまりよくない」

平塚「三人とも、他に心当たりはないのか?」

先生GJ。こんなに心配りできるのになんで結婚できないんだ?

結衣「うーん……最近はあんまりさがみんと話さないしなー」

雪乃「私も文化祭以来、接点はないわね」

 

八幡「…………」

もう一度最初から考え直そう。

まず、現状の確認。

相模南は大晦日の夜から今日の今まで行方不明。短いな。

八幡「……誘拐、とかは?」

平塚「一応その線で今、警察は捜索している。ただこの歳で行方不明だと、家出の場合が多いからな。家に電話したところ、行き先は告げずに出て行ったらしいから、私は家出だと思っている」

八幡「そうすか」

誘拐ではないとして考えよう。誘拐だったらそれこそ、俺たちにはお手上げだ。

 

書き溜めが切れましたので、投下が遅くなります。ごめんなさい。



八幡「……やっぱあれなのか?」ボソッ

雪乃「何か言ったかしら?」

八幡「いや、ただの独り言だ」

それはほとんど確率はゼロと言ってもいいような可能性。

そして何より、俺が認めたくない可能性の話だ。

これを真実と認めたら、他の俺の中での仮説が一気に確実性の高いものになる。

本当はその可能性の確認になど行きたくない。

しかしもしそれが真実であるのならば、俺は今、その確認をしなくてはいけない。

それは相模南のためではなく、俺のために。

 

八幡「すまん、今日はもう帰るわ」

雪乃「どうしたの? 急に」

八幡「ちょっとな。あんまり人には話したくない。じゃあな」クルッ

俺は逃げるようにその場を離れた。

雪乃「……そうやって」ボソッ

雪ノ下が何かを呟いたが、俺は振り返らずに歩を進めた。

 

チャリを走らせ数十分。

予想通り、相模南はそこにいた。

ああ、やっぱりここにいたか。

なんでいるんだよ。

ここにだけはいないで欲しかった。

八幡「……よう」

俺は話しかけた。もう、後戻りはできない。



そこは、あの博士のいた店の前だった。



相模「あんた……ゆいちゃんと一緒にいた……」

八幡「もう知らんふりしなくてもいいんだぜ? お前なんだろ? あの時そこで、俺を見ていたのは」

あの時の曲がり角を指差す。店がなくなって呆然としていた時の事だ。

相模「…………」

八幡「そして、お前なんだよな? この店に通っていたもう一人の客は」

 

相模「……何の事よ」

あくまでも相模は何も知らないふりを続けるつもりだ。

八幡「……仮想現実体験装置」

相模「!?」ビクッ

八幡「もう言い逃れはできないな」

相模「…………」

 

 

多分、最初に廊下で相模に会った時に、心のどこかで俺は気づいていた。

こいつは、俺と同じだと。

俺と同じように、あの装置に手を出してしまったのだと。

ただ自分の人生を絶望するとは言っても、そこには限度がある。

――自分の人生しか知らないのであればの話だ。

しかし俺たちは仮想現実体験装置というものによって、他人の人生を体験、いや最早経験してしまった。

そしてその人生はあまりにも輝かしすぎて、だからこそ自分の人生があまりにも退屈で平凡で、腐っているように思ってしまった。

それは俺も同じだ。いや、今は『だった』と言う方が正しいだろう。

 

 

八幡「この数日間、ずっとこの店を探してたのか?」

相模「……っ! そ、そうよ! いろんなところ回ったわ……!」

八幡「家にも帰らずにか。ずいぶんとご立派な事で」

相模「バカにしないで! あんたと違ってウチにはあの世界しかないの! あの世界でしか、ウチの存在価値はないのよ! だから邪魔しないでよ!」

この状況は、あの文化祭の時に似ているな、と思った。しかしあの時とは違う。葉山はこの場には現れないし、もし現れたとしても本当に何もできないだろう。今この世界で、彼女を説得できるのは、同じ経験をした俺しかいない。

 

八幡「俺も、あの装置を使った」

相模「……わかるわよ。あんたの口ぶり聞いてれば」

八幡「……俺もお前と同じだったんだ」

相模「……?」

八幡「俺も、お前と同じようにこの世界に絶望した。お前と違って俺はうまれてからずっとボッチだったからな。あの世界にいる自分に死ぬほど嫉妬した」

 

 

バカには見えないレス

相模「…………」

八幡「考えてもみろよ。ずっとボッチだった奴があの装置の中で初めて人と接する事ができたんだ。それは依存するし、その中の自分に嫉妬するだろう?」

相模「それは……そうかもしれないけど……」

八幡「お前はどうなのかわからんが、俺はそんな自分が嫌いになったよ」

相模「…………」

八幡「だから俺は変えようとした。この世界をだ」

それは奇しくも『俺ガイル』の最初で雪ノ下が言った事と一致していた。

八幡「確かにこの現実で何かするなんてすごい勇気いるよな? それでも俺は振り絞った」

あの時、雪ノ下に話しかけなくたってよかったのだ。その方がずっと楽だったし。

八幡「……そして雪ノ下たちと知り合えた」

相手が雪ノ下であるという時点で少しズルをしている気がするが、今は相模を説得するためにスルーしよう。

 

いいね

 

八幡「……もしも、雪ノ下たちに会えていなかったら、俺もお前と同じようになってたかもしれない」

八幡「だから……お前の事が放っておけないんだ。まるで自分を見ているみたいだからな……」

相模「…………」

さっきから相模は何も言えずにただうつむくばかりだ。

八幡「一つ聞くが、お前は今の自分が好きか?」

相模「っ……」

八幡「今の、機械に頼って依存して、挙げ句の果てに周りの人にまで迷惑をかけてしまう自分を好きになれるのか?」

今の質問は少しズルいな。こんなのにイエスと答えられるなんて、去年の十一月の俺くらいじゃねぇの? やだ、俺、ひねくれすぎ。

 

相模「そんなの……ズルいよ……っ」

相模の目に涙が溜まり始めた。それを見て心が痛むが、まだ優しくするような時間じゃない。まだあわわわわわわのコラを見て吹いたのは俺だけか?

八幡「質問に答えろよ」

相模「好きに……なれるわけ……っ! ないでしょ……!!」

ようやく相模は涙を流した。それは文化祭の時に流したような軽い涙ではない。真剣に悩みに悩んで、泥の中を這いずり回るような思いをしてようやく流せた、涙だ。

八幡「なら、変われよ。変えようとしろよ」ガッ

感情が高ぶりすぎたせいか、つい相模の両肩を掴んでしまった。相模の目が大きく見開く。

 




八幡「今の自分の現状が嫌だって思うなら……それを変えようとしろよ……!」

『比企谷八幡』は変わる事を否定した。それは彼が自分自身を肯定できてしまうような超人だったからだ。ベクトルは違えどもきっと、雪ノ下雪乃という人間と同じように。

だが、俺たちは彼らのような超人ではない。

今までの自分を肯定できないし、今の自分自身も肯定できないような、弱い人間ばかりなのだ。この世界にいるのは。

それに、『比企谷八幡』だって、時を経るにつれて変わっていった。それは変化の肯定なのではないだろうか? なら、今俺が相模にこう言うのは、間違っていない……はずだ。

相模「……でも、ウチ、やっぱり怖い……」

八幡「それでも、今のままでいるのはよくない……と俺は思う」

相模「……君、名前、なんて言うの?」

八幡「比企谷八幡」

相模「……変な名前」クスッ

八幡「よく言われる」

まだ二回目だけどな。

しえん

相模「じゃあ、比企谷くん……」

八幡「なんだ?」

相模「…………」モジモジ

八幡「…………」

相模「……ウチと」

八幡「…………」

先を続けさせたい衝動に襲われるが、我慢する。ここは相模自身の力で言わせなければならない。じゃなければ、これまでの時間が無駄になってしまう。

相模「ウチ……と……っ……! と……っ……友達になってください!!」

それは相模が変わろうとした事、そして変わり始めた事の現れであった。

支援

八幡「ああ、いいぞ」

相模「本当に!?」

八幡「ああ」

相模「はぁ……よかったぁ……」ドサッ

相模は全身の力が抜けたのか、地面に尻餅をついた。

相模「ありがとね、比企谷くん」

八幡「別に……これくらい大した事じゃねぇし……」

 

私怨

すいません、ちょっと休憩してました。
今日中に終わりそうです。



こうして相模の説得に成功し、さらに初めての友達を得て、俺は帰宅した。ふぇぇ、疲れたよぉ。

自分の部屋に入り、とりあえずそのままベッドにぶっ倒れる。

ボスッと気持ちいい音がする。柔らかい。もう今日は寝たいが、やらなきゃならない事がまだ残っている。

ゴーインゴーインアロンウェーイ

おや、電話か。一日に二回も着信とかもう大地震が起こるレベルだろ、これ。

ピッ

八幡「もしもし」

結衣『あっヒッキー? あのね、さがみん無事見つかったって!』

八幡「おーそうか、よかったな」

結衣『うわーヒッキーすごい他人事みたいに』

八幡「実際他人だしな」

結衣『うー……。まあそういう事だから、もう心配しなくても大丈夫だよ!』

八幡「おう、連絡どうも」

結衣『じゃあまたね!』

ピッ

 

八幡「……あんな事言っちまった以上、俺もこれ以上逃げてるわけにはいかねーよな」ゴロゴロ

八幡「よっと……!」スッ



カタッカタカタ

八幡「…………」カチッカチッ

八幡「……やっぱ……そうか」

紫煙

学校での始業式が終わり、その後のSHRが終わるとすぐに俺は総武高に向かった。

見慣れた扉を開くと、そこには初めて出会った時と同じように雪ノ下雪乃が、部室の中にいた。

雪乃「あら、来たのね。別にわざわざ校外から来なくてもよかったのだけれど」

八幡「悪かったな。来ちまったよ」

とりあえず雪ノ下の席から一番遠い椅子に座った。

雪乃「……相模さん、家に帰ってきたみたいね」

八幡「そうだな」

雪乃「何をしたの?」

八幡「……別に、何もしてねぇよ」

雪乃「私の目を誤魔化せると思っているの?」

そう言われて彼女の目を見る。……こえぇよ。あと、怖い。

 

八幡「本当に何もしてねぇって。何でそんなにしつこいんだよ。俺は相模とまだ二度しか会ってねぇし」

雪乃「二度……?」

あ、やべ。また墓穴掘った。

雪乃「やはり昨日会ったんじゃないの。それで、比企谷くんはまた変な事を言ったのね。自首しなさい。今ならまだ間に合うわよ」

八幡「自首してる時点でもう手遅れだと思うんですが」

雪乃「そうかしら?」

八幡「そうだろ」

しえん

ああ、また話を引き伸ばしている。本当はもう話し始めなければならないのに。いつまで逃げているつもりなんだろうか。

八幡「……由比ヶ浜は?」

雪乃「少し遅れるそうよ。そうメールが来たから」

はいはい、仲良いアピールですか。もう慣れましたよ、そんなのには。

雪乃「で、相模さんには何て言ったの?」

八幡「……まあ頑張れとかそんな感じだ」

嘘はついてない、嘘は。判定はグレーだが。

むい

雪乃「……そう」

あれ? これだけで納得しちゃうの? この十数時間の間に何があったの?

などと言う冗談は置いといて。

八幡「雪ノ下、大事な話がある」

俺はそう切り込んだ。すると、雪ノ下はそれまで読んでいた本を閉じて、真っ直ぐ俺を見た。

流石、校内一の美少女と言われるだけある。その透き通った瞳は吸いこまれてしまいそうだと錯覚してしまう程に、美しかった。

しえん

八幡「すぅーーーはぁーーーー」

一度、深呼吸。

それでも早まる一方の心臓の鼓動。

おかしいな、運動なんかしてないのに。

まあいいか。

八幡「雪ノ下」

雪乃「何かしら?」

八幡「俺はこれから真面目な質問をする。だから真面目に答えてくれ」

雪乃「……わかったわ」

もう一度、深呼吸。

そしてもう一度吸って、俺は声を振り絞るように出した。















八幡「この世界は、俺の夢なのか?」



















世界が止まった。



音が消えた。



色も、何もかも、感覚というものが全てなくなってしまった。



ああ、なにも見えない。なにも聞こえない。



なにもかもが、真っ白だ。




しえ

雪乃「…………」

言い終わると、雪ノ下は目を見開き、口を少し開いてただ俺を見つめていた。

八幡「…………」

俺も何も言わない。いや、何も言えないのだ。あまりの緊張で喉が乾きすぎて、声がうまく出せない。

お互い何も言えないまま、ただ時間だけが過ぎていった。

そして、その無言の時間のせいでわかってしまった。

俺の言った事は、本当なのだと。

雪乃「……いつから、気づいていたの?」

雪ノ下が声を出したのが、俺が聞いてからどれくらい経った時なのか、わからなかった。

実は三十秒くらいしか経ってなかったのがしれないし、もしかしたら、二十分以上黙ったままだったのかもしれない。

そんな事、わからないし、どうでもいい。

八幡「……結構最初の方から疑ってはいた。所々おかしいところはあったしな」

雪乃「……例えば?」

しえん

八幡「今思えば、最初からおかしかった。最初に話しかけた時、俺はあまりにも怪しかった。もしお前が本当に初対面であったなら、あんな風に会話なんてしなかったろう。すぐに通報されるかボコボコにされるかのどっちかだったと思う」

雪乃「…………」

八幡「由比ヶ浜に関してもだ。初めて会って数度会話してそれでもうあだ名をつけようなんて、早すぎる。これが普通の男であるならまだ納得できただろう」

八幡「しかしお前が由比ヶ浜に俺を紹介した時、何て言ったか覚えているか? ストーカーって言ったんだぞ? 親友のストーカーかもしれない人間にあだ名をつけようなんて、いくら由比ヶ浜でもしないと思っていた」

八幡「なぁ……」

八幡「お前たちも、本当は全部覚えてるんだろ……?」

雪乃「…………」

しえ

雪乃「……ええ、覚えているわ。少なくとも、あのクリスマス会のところまでは」

八幡「ならなんで……? そもそも何なんだよ、これは!?」

雪乃「質問は一つずつにしなさい、比企谷くん。……なら後者の方から答えようかしら」

雪ノ下髪を一度整えてから、話し始めた。

雪乃「……あなたは、現実世界で『俺ガイル』にハマった。そして十二月二十四日に、ボリューム9をした。ここまでは合ってるわね?」

八幡「あ、ああ……」

やはり……全部知っていたのか……。

雪乃「でもね、ボリューム9が終わった時に予想外の事が起こったの」

雪乃「……脳にいくら信号を送っても、あなたは、目覚めなかった」

支援

雪乃「あなたは、『俺ガイル』内の世界を望み、そして現実を拒否しすぎて、現実で目覚めなくなってしまった」

雪乃「いえ、目覚めるのを拒絶した、と言うのが正しいのかしらね」

八幡「…………」

雪乃「だから、あなたを目覚めさせるためのプログラムが作動した」

八幡「それが……この世界ってわけか……」

雪乃「そうよ」

しえ

八幡「だから……この世界には、俺と同じ状態の、相模がいたのか」

雪乃「ええ、そして彼女を説得するには、まずあなた自身が現実を肯定できるように、そして『嘘』を否定できるようにならなくてはならない」

八幡「…………」

雪乃「この世界はあなたのためだけに存在しているの」

雪乃「あなたの心が……現実を認められるくらい、強くなるために」


雪乃「私からも一つ質問、いいかしら?」

八幡「あ、ああ。なんだ?」

雪乃「どうして、ここが夢だと気づいたの? さっきの理由だけでは不十分なように感じられるのだけれど」

八幡「ああ……それは、日付けだ」

雪乃「日付け?」

八幡「明確な狂いは日付けだった。まず、俺が現実にいた時、つまり『俺ガイル』の9をやる前、12月22日は月曜日だったんだ」

八幡「つまり、12月24日は『水曜日』になるはずだろう? でも、ここでは12月24日は『木曜日』になっていたんだ」



参照

>>274
>>280
>>417

しえ

雪乃「……なるほどね。確かに一日の差とは言え、そんなズレは現実では絶対にあり得ないものね」

八幡「あの時の俺は『俺ガイル』の最新話を死ぬほど待ってたからな。日にちも全くズレなしで覚えてた。まあ一番の理由はそれだな」

雪乃「……そう。……由比ヶ浜さん、もう入って来ていいわよ」

ガララ

結衣「や……やっはろー……なんて……」

えへへと気まずそうに笑う。

八幡「由比ヶ浜……お前が嘘をつけるなんてな」

結衣「バ……バカにすんなし!」

八幡「いや、由比ヶ浜にしてはうまかったと思うぞ?」

結衣「それ喜んでいいのか微妙だね……」

支援

Oh……

八幡「……俺は、目覚めなきゃいけないんだよな?」

雪乃「そうよ、じゃなければこれまでしてきた事の意味がなくなるでしょう?」

八幡「……また、会えるよな?」

雪乃「…………」

結衣「…………」

二人とも申し訳なさそうに目をそらした。由比ヶ浜に至っては既に涙ぐんでいた

八幡「な……何でだよ……? また続きが出たらやればいいじゃないか!」

結衣「……ダメなんだ、ヒッキー」

八幡「なんで……?」

雪乃「一度、目覚めなくなると、次の時も目覚めなくなる可能性が爆発的に上がるの。しかも今回は心に問題があるからまだどうこうできるけど、二回目に原因はない。何も原因がないまま目覚めなくなってしまうらしいの……」

八幡「な……何なんだよ……それ……!」

雪乃「それはわかってないわ。だから一度目覚めなくなった人間は、もう仮想現実体験装置は使えない」

八幡「それって……つまり……」

八幡「もう二度と、雪ノ下や、由比ヶ浜に会えないという事か……?」

雪ノ下は小さく頷く。

八幡「そんなのって……ねぇよ……!」

悲しいなあ

雪乃「でも、ここでずっと生きていけるわけ、ないでしょう? あなたの身体は現実にあるのだから、栄養を補給しなければいつかは死んでしまう」

八幡「でも……でも……!」

結衣「ヒッキー、さがみんに聞いたんでしょ?」

八幡「!」



八幡『お前は今の自分自身が好きか?』



結衣「今、現実から逃げたって、ヒッキーが自分の事を好きになれるわけ……ないじゃん……」

あー

八幡「くっ……そ……っ!」

何なんだよ、何なんだよこれは! 二度と雪ノ下や由比ヶ浜に会えない? そんなの、認められるか!?

結衣「ほら、ヒッキー。泣かないで。男の子でしょ?」

八幡「泣いて……ねぇよ……」

八幡「何なんだよ! こんなの突然言われて、納得できるわけ、ねぇだろっ!!」

結衣「……私たちが、納得しているように見える?」

八幡「……えっ?」

支援

結衣「納得できるわけないよっ!!!」

結衣「何でなの!? 何でヒッキーと一緒にいられないの!? 私もゆきのんも最初から知ってた!! 私は何度も何度も考えて、泣いて、それでもヒッキーの為だと思って、納得しようとしたよ!!!」

結衣「でも……認められるわけ……ないじゃん……!!」グスッ

由比ヶ浜は、もう感情を止めることはできなかった。

八幡「由比ヶ浜……」

結衣「なんで……好きな人と一緒にいたいって願いも……叶えてくれないの……? 酷いよ……酷すぎるよ……」

仮想

支援

雪乃「由比ヶ浜さん。落ち着いて」

雪ノ下が泣き続ける由比ヶ浜の背中をさする。

結衣「うぅ……っ、ごめんね……ヒッキー……。最後まっ……で……笑っていようと……思ったのに……っ」

八幡「……悪かった。お前たちの気持ちも考えてやれなくて」

雪乃「……私もね、あなたといるの、楽しかったわ」

雪乃「いつも私の暴言にあなたがツッコミを入れたり、由比ヶ浜さんがいつものように少しマヌケな事をしでかしたり……」

雪乃「そんな、この空間が、この部屋が……私は、好きだった」

八幡「…………」

雪乃「比企谷くん」クルリ

雪ノ下が俺に向き直った。その目が少し潤んでいるように見えるのは、きっと気のせいではないだろう。

雪乃「由比ヶ浜さんも言ってたけれど、私も言わせてもらうわ」

雪乃「比企谷くん。私は、あなたの事が、好きでした」

八幡「……お、おう」

雪乃「はぁ……あなたは最後まで相変わらずね」

八幡「うっせーな。告られたの初めてだから、どう反応すればいいのかわかんねぇんだよ」

雪乃「うふふ……」

八幡「何だよ?」

雪乃「いえ……最後に、こんな会話をできてよかったと思っただけよ」

八幡「そうか……」

仮想現実

八幡「……俺は」

八幡「こんなの、男らしくないかもしれないが……」

八幡「雪ノ下に、由比ヶ浜、二人とも好きだった」

八幡「どっちの方が好きとかはなくて、本当に、二人とも、好きだったんだ」

結衣「……ヒッキー、らしいね」

雪乃「ええ、最後まで比企谷くんは、比企谷くんだったわ」

八幡「おいコラ、それはどういう意味だ」

雪乃「そのままの意味よ」

結衣「あははははは!!」

こうして、最後の時が、過ぎていく。

はよ

八幡「……じゃあ」

結衣「うん……」

雪乃「あなたがその扉を開けば、この夢は覚めるわ」

八幡「そうか……」

その前に一つだけ、気になる事を。

八幡「お前たちは、これからどうなるんだ?」

雪乃「大体は、記憶を消されてまた最初のに戻されるのだろうけれど……」

雪乃「……もしかしたらそうじゃないのかもしれないわね。記憶を残したまま、次の誰かの『俺ガイル』の中に出てくるかもしれないわ」

結衣「うん……、そうだったら、いいな……」

八幡「それは、俺が現実に戻ったあとにでも、博士に言っとくよ」

結衣「本当に!?」

八幡「ああ。俺は約束を破ったことはない」

バイトをばっくれたことはあるがな。

はよ

結衣「ヒッキー、元気でね……」

八幡「ああ、お前も元気でな……。甘いもの食い過ぎんなよ、虫歯になるからな」

結衣「むー! ヒッキー最後までそうやって!」プクー

八幡「まあ、元気でやるさ」

雪乃「比企谷くん、今までありがとう」

八幡「……俺も感謝しきれない程、お前には世話になったな。ありがとな。本当にいろいろ助けられた」

雪乃「ええ……」

結衣「ヒッキー! 私もね、ヒッキーにたくさん感謝してる。だからね……今まで、ありがとう……!」

八幡「ああ、由比ヶ浜も、今までありがとな……」

雪乃「……さよなら」

結衣「バイバイ、ヒッキー……」

八幡「ああ……さよなら……」

俺は二人に背を向け、そして、ゆっくりと扉を開けた。

……暗い。

どこだろう、ここは。

機械の甲高い音が俺の鼓膜神経を刺激する。

意識がはっきりしていくにつれて、身体が重力で地面に押し付けられている感覚が強くなった。

すると、突然、目の前から光が差し込んだ。

八幡「まぶし……っ!」

開いたその前に広がっているのは、博士の店の風景だった。

博士「ようやく起きたか?」

博士は俺に手を差し伸べる。その手は細長くて、少し力を入れれば折れてしまいそうだった。

はよ

八幡「……今日は」

博士「12月24日。クリスマスイブだ」

八幡「…………」

博士「……すまなかったな。君には辛い思いをさせてしまった」

八幡「…………」

博士「だが夢の中で言ったとおり、もう君に仮想現実体験装置を使わせる事はできない。いくら金を積まれてもね」

八幡「いえ、それはもういいんです。ただ……」

博士「ただ?」

八幡「……雪ノ下たちの記憶を、消さないでやって欲しいんです」

リアル

店から外へ出ると、どこからかジングルベルが聞こえてくる。

心にぽっかりと穴が空いてしまったような気分だ。当分何もする気は起きないだろう。

空を見上げながら俺はゆっくりと歩き始める。

もう、二度と会えない二人の友人たち。

彼女たちの事を思うと、今にも涙がこぼれてきそうだ。

いくら泣いたっていい。いくら胸の痛みに耐えかねて叫んだっていい

だが、それでも俺はこの現実で懸命に生きていこう。

彼女たちと、そう約束したのだから。



EDテーマ

Song for friends

https://www.youtube.com/watch?v=4Xtxym_NS58

ヴァーチャルリアリティみたいなBADエンドにはならなかっただけマシなのか…

おしまいです。
空が……空が……明るい……(絶望)。

こんな時間まで支援レスありがとうございました(土下座)。

よかったら感想など書いていってください。
質問も答えられる範囲で受け付けます。

なので、このスレはもう少しだけ残して置いてください。

では、おやすみなさい。

これで終わりか 
夜遅くまで乙かれー

まだスレは残ってるから一休みしてから
もう少し続けてくれてもいいのよ?

ところで、今までの話はどれも「世にも奇妙な物語」が元ネタなの?

最終話?にふさわしい壮大で感動できなヨニキミョでしたな

乙!すごい面白かった!

あとほんの少しでいいから……現実の八幡に救いを……!

乙、どの話もおもしろかったわ

まだ続きありますよね(懇願)

乙です
最後まで楽しめました
次も期待してます

おはようございますです。
酷評されてる夢を見たせいで、意外にも面白いという感想が多くて作者困惑中です。
……ここ現実か?

>>629
三本中二本がそうですね。
一本目はさんまの偶然やろという話が主な元ネタで、壁の小説とかも少し参考にしたりしてます。
二本目は、入れ替わりものってありすぎて、何を参考にしたかとかもうねって感じです。
三本目は、ヴァーチャルメモリー(OLのやつ)が元ネタだと思っている人が多いみたいですが、どちらか言うと堺雅人のフラッシュバックの方が元ネタだったりします。
渡邊浩弐さんはマジでスゴい。

>>632
この一、二週間くらいこのSSの事ばかり考えて生活していたので、リアルが大変な事に……!
というわけで、当分は無理そうです。
でもいつか、必ず書きますので、その時はまた読んであげてください。


今度こそ現実に雪乃が……!オチを期待してたけどこのオチが綺麗だね

完全にハッピーエンドじゃない辺り実に世にも奇妙なっぽい
素直に面白かった
最後のタモさん締めがまだだし続くよね?

リロードして無かったせいで>>1のレス後に醜態を……
次スレを気長に待つよ、乙!

>>635
正直ちょっとだけ迷いまひた。このままだと寂しすぎるから、最後に少しだけ出てきたりしてもいいかなーって思ったけど、結局出さなかったなぁ……。
多分この終わり方が自分の中ではベストっす。

>>637
タモさんはちょっと迷ってます。
個人的にあまりにもエンドが綺麗すぎるから、書かない方がいいかなーって思うけど、スレタイの趣旨的には書いた方が締まるんですよね。
うーん、保留です。

近所のコンビニより書き込み
これなら連投規制など関係ない!



タモリ「少年が落ちてしまった三つの穴」

タモリ「その底に何があるのか、ここからではわかりません」

タモリ「そもそも底があるのかどうかも怪しいものです」

タモリ「おや、よく見ると、他にもたくさんありますねぇ」

タモリ「意外と、あなたのすぐそばにもあるのかもしれませんよ」

タモリ「くれぐれも足元をすくわれないよう、お気をつけて」



https://www.youtube.com/watch?v=jsta3tEY43s


ストーリーテラー

タモリ



『恐怖小説』


比企谷八幡


材木座義輝


雪ノ下雪乃


由比ヶ浜結衣


平塚静




比企谷小町


脚本 作者




『マッ缶と俺とリア充』


比企谷八幡


葉山隼人


雪ノ下雪乃


由比ヶ浜結衣


三浦優美子


戸部翔




海老名姫菜


脚本 作者

スペシャルサンクス

MAXコーヒー

『そして比企谷八幡は夢から覚める』


比企谷八幡


雪ノ下雪乃


由比ヶ浜結衣


平塚静


相模南




博士


脚本 作者


最終話エンディング

「Song for friends」


スペシャルサンクス


ここまで読んでくださった皆様


連投のできない作者のために支援レスをしてくれた皆様


総監督 作者


終わり

乙でした
続編期待してます

乙おもしろかった

乙!
最後の真っ暗な画面の右下に世にも奇妙な物語が表示されるのまで脳内再生余裕でした
次期待してます

乙だったんだよ!

やっぱこれがないと終われないな!
お疲れ様!!

思ってた以上に世にも奇妙で驚いた
是非とも次作を見てみたいもんだ


支援レスはほとんどできなかったけど楽しませてもらった
出来れば次作もよろしく

乙。マジで乙。楽しませていただきました

こんばんは。
作者です。

皆様の感想を見て、思わず視界が滲みました。
今までも物語を書いていましたが、こんな風に公開するのは初めてだったので、絶対ボロクソに言われると思っていました。
まさか、こんなにたくさんの方に読んでもらえて、そして、面白いと思ってもらえるなんて思ってもいなかったので、本当に嬉しかったです。

そして支援レスをしてくださった皆様、特に最終日に至っては午前五時まで、支援レスをしていただき、本当にありがとうございました。
あなた方のどれか一つの支援レスなしには、このSSを終わらせる事はできなかったと思います。

本当に、ありがとうございました。

でも正直当分お話は書きたくない(笑)

ですが、近いうちとは言えませんが、そう遠くないうちに、特別編でも書こうかと思います。

その時はまた、支援レスをお願いします。

以上、作者でした。

乙! 自分の俺ガイルSS史上稀にみる名作でした!
特別編たのしみにしてる。最終話の余韻がはんぱねえ、心震える。

うわぁ・・・

うわぁ・・・

これがSSLよ

こんにちは。
作者です。

特別編のネタが出来ましたので、投下したいと思います。
22時か、23時くらいに始めると思いますので、その時は支援レス(一文字や空白レスでもしてくださると、助かります。

※予告なしに遅れたり、早まったり、中止になったりするかもです。

あと、一言だけ。

マッ缶を超えるレベルのバカ話なので、あんまし期待しないでください(笑)

期待

紫煙

テッテッテレレーテレレーテレレー

テッテッテレレーテーンテレーン

タモリ「ドッペルゲンガーという単語をご存知でしょうか?」

タモリ「自分と全く同じ姿の人物が現れる現象の事ですが」

タモリ「その姿を本人が見てしまうと、その本人は死んでしまうと言われています」

タモリ「同じ人物が同じ世界に存在するなどあり得ないと思われがちですが」

タモリ「私たちはこの広大な世界の全てを知っているわけではありません」

タモリ「もしかしたら、実はどこかにいたりするのかもしれませんよ」

テレレッテッテレレーテッテッ

テレテッテッテッテッテレレレレーレー

テッテッテレレーテレレーテレレ

テーンテレレレレレン

材木座「八幡!」

八幡「何だよ、休み時間に騒がしい」

材木座「何だよではない! 今日新作を持ってくると言ったであろう!」

八幡「それ俺は承諾してねーし」

材木座「まあ読むがいい! 今回のは傑作であるぞ!」ドサッ

それはちょっとやそっとで読める量ではない。また俺の夜を犠牲にすんのかよ。

八幡「うぇ……」

はい

八幡「……材木座」

材木座「む?」

八幡「とりあえず一ページにあらすじみたいのまとめてくんねーか? さすがにこの量はキツい」

しかもめっちゃ読みづらいしな。ルビ多すぎなんだよ、こいつの小説。何で『輝超魂』で『ウルトラソウル』なんだ。『ハイッ!』ってかけ声出せばいいのか?

材木座「ぎょ……御意……」

八幡「あとわざわざ教室に来んな。放課後にでも奉仕部の部室にでも来ればいいだろ」

材木座「何を言っているのだ? 我の教室はここであるぞ?」

八幡「はっ?」

人いないのな

何言ってんだ、こいつ。

確かにクラスに話せるやつがいないと、知り合いのいるクラスに来たくなるよな。気持ちはわかるぞ。俺にそんな相手がいた事はないが。

だからと言って、現実から目をそらしちゃいけないんだぜ?

八幡「お前のクラスはCだろ。さっさと巣に帰れ」

材木座「八幡……。お主こそ何を言っておるのだ?」

八幡「だから――」

戸塚「はちまーん」

八幡「おっマイエンジェル」

戸塚「えっ?」

八幡「いや、何でもない。ちょっと本音が出てしまった」

八幡「戸塚に会うために生きてる気がする」

戸塚「僕も八幡に会えて嬉しいよ!」

八幡「……っ!?」

何だよこれ、マジ天使。戸塚マジ天使。俺もう死んでもいい。屋上から突き落とされたくはないが。

材木座「はちま……」

無視だ無視。こいつとの会話で戸塚とのお楽しみの時間を減らしたくない。お楽しみの時間とか何考えてんの、俺。

戸塚「材木座くんも、やっはろー」

八幡「おお、いたのか材木座」

材木座「さっきまで会話してたよね?」

素が出てんぞ、素が。

八幡「とりあえずお前は自分の教室に帰れ」

材木座「だから、我の教室はここであると……」

八幡「はいはい、わかったから。とっととC組に帰れ」

戸塚「ダメだよ、八幡。材木座くんにそんな意地悪したら」

八幡「えっ?」

戸塚「材木座くんもここのクラスでしょ?」

八幡「!?」

すごく眠いので、今日はもう寝ます。
続きはまた今度でお願いします。



八幡「ちょ、ちょっと待ってくれ。今、何て言った?」

戸塚「材木座くんも、ここのクラスだって……」

八幡「何を言って……」

急いで教卓に走る。そこにはここのクラスの名簿があるはず――あった、これだ。

『材木座義輝』

八幡「バカ……な……?」

目の前の現実を飲み込めずに教室を飛び出した。向かう先は、C組だ。

前の扉から教室を覗く。

そこに材木座義輝の姿がある事を信じて。

そして、幸か不幸か、それは叶ってしまった。

そこにも、材木座義輝の姿があった。

支援

乙 おやすみ

期待

こんばんは。作者です。
23時くらいに始められるように頑張ります。
※予告なしに遅れたり、早まったり、中止になったりするかもです。

うい

期待

ちょっと遅れましたが、投下していきます。
今日も早めに落ちると思います。



八幡「材木座!」

材木座「な、なんだ、八幡? 突然我がクラスルームに走り込んできて」

八幡「お前は、C組だよな?」

材木座「そ……そうだが……?」

八幡「だよな、俺の記憶は間違って――」

――待てよ。

じゃああれは誰だ?

ふき

八幡「すまん」

そう一言だけ言って、教室を後にする。

戻る先は自分の教室。

そこにも、材木座義輝はいた。

八幡「どうなってんだよこれは……!」

それからC組とF組を三往復したが、何度確かめても材木座はどちらにもいた。

八幡「これどう考えても、材木座が二人いる……よな……?」

わけがわからない。だがしかし、他の誰かが変装しているとは考えられない。

材木座「幻紅刃閃(ブラッディナイトメアスラッシャー)ーーーー!!!」グワアアアアアアアアアア

……こんなめんどくさいやつがこの学校に二人もいてたまるか。

材木座「何なのだ、八幡。さっきからここをチラチラ見おって。まさか貴様、機関の差し金か!?」シュパッ

八幡「くだらん話は後だ。お前は材木座義輝。二年C組で、自らを剣豪将軍と名乗る痛い中二病。間違いないな?」

材木座「ゴラムゴラム。我は中二病などではなく、真の――」

八幡「ふざけんのも後にしてくれ。こっちは真剣なんだ」

少し語気を強めると、材木座はシュンと肩を落とした。

まあいい、こんな話し方をするやつは材木座しかいない。

八幡「……うちのクラスにもう一人お前がいるんだよ」

材木座「む、それがどうかしたのか?」

八幡「……は?」

材木座「確かにもう一人の我は八幡と同じクラスであるが、それはいつもの事であろう?」

八幡「だから、ふざけんのも大概にしろと――」

戸塚「あー、八幡、こんなとこにいたー」

八幡「と……戸塚?」

戸塚「もうそろそろ昼休み終わるから戻って来ないとダメだよー? あ、材木座くん、やっはろー」

材木座「うむ、やっはろー!!」

いや、だからちょっと待て。

八幡「……戸塚、こいつ、F組にいたよな」

戸塚「うん、そうだね」

八幡「何でここにいるんだ?」

戸塚「だって材木座くんは二人いるじゃない」

八幡「はぁっ!?」

戸塚「!!」ビクッ

八幡「どういう事だよ!? こいつに双子の兄弟がいるなんて聞いたことねーぞ!?」

戸塚「べ……別に、双子なんかじゃなくて……」

戸塚「材木座くんは、最初から……二人いるでしょ……?」

支援

戸塚は嘘をついたりするような人間じゃない。それに、その目は明らかにドン引きしていた。まるで、1+1が1だと言い張る高校生を見ているかのように。

八幡「何が……どうなって……」

材木座「はちまーん。もう休み時間終わるぞ?」

八幡「なっ!?」

ここはC組である。そして、そのC組に、もう一人材木座が入ってきた。

材木座・材木座「「早く教室に戻らねば、授業に遅れるぞ?」」

二人の材木座が並んで、全く同じポーズで、全く同じセリフを、全く同じタイミングで言い放った。

八幡「う、うわあああああああああああああああっっ!!!」

恐怖、恐怖、恐怖、恐怖。

ただそれだけが脳内を支配して、俺は逃げ出した。

そこからどうやって家に帰ったのかは覚えていない。

気づいたら自分の部屋のベットで横になっていた。

八幡「……何だよ、あれ」

確かに、確かに材木座があの場に二人いた。

忘れようと思ってもあの光景は忘れられない。

八幡「……明日になったら、元に戻ってねーかな」

もしくはこれが夢であって欲しい。

しかし何度ほおをつねっても、痛いし目が覚める気配はない。

ただ、明日にはまた平凡な日々が戻ってくることを願うばかりだ。

あまりにも不快なものを見せられて、疲れが溜まっていたせいか、目が覚めたのは遅刻するかどうかのギリギリの時間だった。

八幡「……気のせいだよな。あれは」

八幡「うん、きっと見間違いだ」

あんなの、あり得るわけがない。そう、現実的に考えて突飛すぎるのだ。ならば、昨日のあれはここ最近寝不足が続いていた俺が見た幻なのだ。どうせなら戸塚が増えてるのが見たかったよ。天使が二人なら回復力も二倍になったりしねーのかな、しねーか。

ガララ

時間はギリギリ。とりあえず遅刻ではない。

扉を開くと、そこにはいつもと同じ光景が広がっているはず。

そこに材木座がいるなんて――



材木座・材木座「「八幡、遅刻の臨界点を彷徨うとは、まだまだだな」」



――うちの教室に、材木座が二人いた。



皆様の支援に感謝です!



八幡「……戸塚」

戸塚「どうしたの、八幡? また顔色悪いよ? 昨日のまだ治ってないの?」

八幡「ああ、そうみたいだ。ちょっと保健室行ってくる。その前に一つだけいいか?」

戸塚「なに?」

八幡「何で、うちの教室に材木座が二人いるんだ?」

戸塚「……? 材木座くんは、最初からF組に二人いたよ?」

八幡「……そうか。ちょっと休んでくる」

もう驚かねーわ。頭が現状に追いついてないだけなのかもしれないが。

保健室へ向かう途中に、C組を覗く。そこにもやはり、材木座の姿があった。

八幡「……材木座が、こっちは一人か」

何だ、何なんだ、これは。

クールだ、クールになれ、比企谷八幡。

まず、昨日はC組に一人、F組に一人、材木座がいた。

そして今日は、C組に一人、F組に二人、材木座がいた。

つまり、結論を言ってしまうと――

八幡「一日毎に材木座が増えていくのか……?」

何それウザい。

嬉しくないな ……

次の日には、予想通り材木座が三人に増えていた。

その次の日には四人。

正直言って最早恐怖とかは感じなかった。それ以上に、ウザい。

材木座・材木座・材木座・材木座「「「「八幡っっ!!! 我の新作のプロットを!!!」」」」

一人だけでも十分うるさいのに、それが四人にもなればウザさ百倍だ。何それ、アンパンマン?

八幡「そういや、人が増えてんのに、教室狭く感じねーな」

八幡「…………」キョロキョロ

よく見ると、机の数も変わっていない。

変わっていない?

擧淤

八幡「……あれ?」

ここ数日、童貞風見鶏の大岡の姿を見ていない気がする。葉山グループの中にその姿がない。

八幡「……気のせいであってくれ」

また、教卓に置いてあるクラスの名簿を見ると、そこに大岡の文字はなかった。

そしてさらに驚くことに、材木座の名前は四つも並んでいた。

八幡「…………」

八幡「戸塚」

戸塚「なに?」

八幡「大岡って、このクラスにいたか?」

戸塚「おお……おか……?」

八幡「知らないか」

戸塚「うん……いないと、思うよ。その名簿にも載ってないみたいだし」

八幡「……そうか」

材木座が一人増える度に、クラスの誰かが、消える。

そして、誰もそれに気づかない。

誰も、消えた人のことを覚えていない。

誰も、材木座が増えた事を不思議に思わない。

八幡「……俺以外は」

雪乃「何を腐った目でブツブツ言っているのかしら?」

八幡「…………」ボー

雪乃「なっ何よ?」

八幡「今、うちの教室に材木座が四人いるんだよ」

雪乃「それがどうかしたのかしら?」

やっぱり、こいつもそうか。由比ヶ浜にも二日目に聞いたが、答えは同じだった。


次の日も、その次の日も、材木座は増え続けた。

クラスの半分が材木座で埋まってしまった。

この教室だけを見ると、コートが校則違反なのかわからない。

本当に、気持ち悪い。

材木座・材木座・材木座・・・・「「「「「「八幡!!!!!」」」」」」

八幡「あーーーーーー!!! うるせぇーーーーーー!!!!!」

支援

さらに日が過ぎ、三分の二が材木座になった。

大岡だけでなく葉山や三浦、相模まで材木座になってしまった。

そして誰も、それに言及しない。

八幡「……由比ヶ浜」

結衣「なに、ヒッキー?」

八幡「何でこの教室に材木座が何十人もいるんだろうな」

結衣「別に普通じゃん?」

八幡「……三浦って覚えてるか?」

結衣「……? 誰それ?」

由比ヶ浜はもうかつての友人の事を忘れていた。

いつまで続くのだろうか。

このまま二年F組が材木座で埋まるまでなのだろうか。

それは勘弁願いたい。

八幡「戸塚が材木座になったら生きてける気がしねーよ……」

戸塚だけでも守りたい、しかしそれは無理な話だ。

この状況下でどうすればいいのか、皆目見当がつかない。

八幡「誰に何を聞いても、材木座が増えてる事に気づかないし、それにおかしいと思わないんだよな」

俺だけが、おかしいと思っている。俺以外は皆、これが普通だと言う。

ならば、本当に狂っているのは、どっちなのだろうか。

人いねぇな

>>701
平日だからですかね?



ついに恐れていた事が起きた。

八幡「……戸塚?」

いつものように俺を呼ぶ声が、今日は聞こえない。

八幡「戸塚ぁ……どこだよ……」

結衣「ヒッキー、どうしたの?」

八幡「なぁ……戸塚は……戸塚は……どこだよ……?」

結衣「とつ……か……?」

八幡「戸塚だよ、戸塚! テニス部で女の子よりも可愛くて、俺の事を「八幡」と呼んでくれる俺の天使だよ!!」

結衣「ごめん……ヒッキー……。何を言ってるのか……ちょっとよくわかんない……」

由比ヶ浜は目を逸らす。それが申し訳なさからなのか、俺への拒絶反応なのかは、わからない。

八幡「戸塚ぁ……! 戸塚ぁ……っ!!」

いくら泣いても、あの声が、俺の名を呼ぶ事はなかった。

材木座×26「「「「「「「どうしたのだ、八幡」」」」」」」

戸塚がいた時の俺ならきっとこいつに殴りかかっていただろう。しかし今の俺にはもう、何も考えられなかった。

それから、戸部や海老名さん、そして今日の朝には由比ヶ浜までもが消えて、残るは俺一人になった。

八幡「最後は……俺か」

材木座×35「「「「「「「「「「八幡、元気がないではないか」」」」」」」」」」

この人数になると、もう一人増えようが減ろうが、関係ない。ただ生理的悪寒だけが、全身に鳥肌を立たせる。

八幡「……誰のせいで、こうなってるんだよ」

八幡「なんでお前は、何十人もいるんだよ……」

材木座×35「「「「「「「「「「はて、何を言っているのかわからんな」」」」」」」」」」

八幡「俺も何を言ってんのかわからなくなってきた」

どうか、夢であってくれ。

こんな狂った世界から、俺を解放してくれ。

チクショウ
寝られねえ

朝、目が覚めた。

俺は、この世に存在している。鏡を見てもいつものままだ。

自分が消えてしまわなかった事に安堵するが、それ以上に今の教室の中が気になる。みんな元に戻ったのだろうか。

しかし教室に着き、その希望は打ち砕かれる。

状況は昨日と何も変わっていなかった。

相変わらず材木座は35人いて、いつも通りに授業は進む。

ただ一つおかしいのは、材木座が今日は増えなかった事だ。

材木座×35「「「「「「「「「「八幡!! 今日こそは我がプロットをだな……!」」」」」」」」」」

八幡「…………」スタスタ

教室中の材木座が俺を呼び止めるが無視して奉仕部に向かう。材木座は雪ノ下が苦手だから奉仕部の部室内には入って来ない。だから部室にさえ行けば、材木座に会わなくて済む。家以外で唯一安らげる場所だった。

八幡「うーす」ガララ

材木座「うむ、遅いぞ、八幡!」

八幡「」

4

八幡「……なんで、お前がここに?」

材木座「なんでも何も、奉仕部は我と我と八幡の三人であろう!」

八幡「」

ガララ

材木座B「八幡! 話も聞かずに帰るとは酷いではないか!!」

この部室に二人目の材木座が現れた。

ああ、なるほど。雪ノ下も由比ヶ浜も材木座になっちまったのか。だからここに二人いるのか。

八幡「…………」フラフラ

材木座・材木座B「「八幡、足元がアースクエイクしているが、大丈夫なのか?」」

八幡「…………」ガララ

気味悪くハモる声を無視して、俺は部室を後にした。

八幡「何だよ、これ……。もう知り合いのほとんどが材木座になっちまったじゃねぇか……」

八幡「もう、俺に残されてんの小町だけじゃねぇの……?」

八幡「……ただいまー」

材木座「おかえりだ!! 八幡!!!」

八幡「」

何か……もう、何なんだ、これは。

八幡「……なぜ、お前がここに」

材木座「血を分けた兄弟を忘れるとはこれ如何に! 八幡はそこまで堕ちたか!?」

小町も、消えた。



八幡「ああ……ああ……あああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

怖すぎワロエナイ

材木座A「うむ、新作の小説の設定が出来たな。これは傑作の予感であるぞ」

材木座B「幻紅刃閃(ブラッディナイトメアスラッシャー)ーーーー!!!」グワアアアアアアアアアア

材木座C「くっ……我が右腕が……疼く……!」

材木座「我は剣豪将軍!!! 材木座義輝也!!!!!」

あれから一月が過ぎた。現在、日本は、いや、世界は材木座で埋め尽くされていた。世界中の誰もが、材木座になっている。

材木座×72億「「「「「「「「「「「「「八幡っっっ!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」



――俺以外は。



『世界は、材木座で出来ている』



世にも
奇妙
な物語



平塚先生はどうなったんだ?

これは…怖いな

テッテッテレレーテレレーテレレー

テッテッテレレーテーンテレーン

タモリ「常識とは時代や場所によって大きく異なるものです」

タモリ「例えどれだけ自らが普通だと思っていても、その社会の多数派でなければ異端となってしまいます」

タモリ「世間で言われる常識や正義など」

タモリ「そんな脆く、崩れやすいものなのです」

タモリ「例えば明日、世界が一変していたら」

タモリ「あなたは、どうしますか?」

テレレッテッテレレーテッテッ

テレテッテッテッテッテレレレレーレー

テッテッテレレーテレレーテレレ

テーンテレレレレレン

怖すぎる…

あと、人がいないんじゃなくて、投稿中はあまり邪魔しないようにしてるだけだと思われ
連投援護の支援レスも空白レス一つで十分だし

おしまいです。
支援レスをしてくださった皆様、ありがとうございました。

おかしいな、もっとギャグになるはずだったのに……。
正直、『そして比企谷八幡は夢から覚める』で頑張りすぎたせいで、あれを超えられるレベルの話が書ける気がしませんでした(笑)。

あと少しだけ個人的な話を。
最終話が終わったら、いろんなところにまとめられたりして、すごく嬉しかったです。
自分の書いた話がまとめられるのはちょっと夢だったりもしたので。
よくSS読むのに使うサイトにまとめられた時には嬉しくて、変な声が出てしまったり(笑)
何だかんだ、たくさんの人に読んでもらえて、こんなに嬉しい事はありません。

もうネタ切れ感もあるので、次が最後かな……。
ネタ思いつくのにも時間がかかるので、次の話もまた先になると思います。

本当に深夜までありがとうございました。
おやすみなさい。

>>713
材木座になりました。

今回も楽しませてもらったよ
ありがとう

「そして比企谷八幡は夢から覚める」みたいな作風の作品ってどんなのがあるのかな
すごいツボだった

怖くなったのは元いた人が消えて材木座になったからじゃないか?
まぁ二倍に増えても困るが
乙、次も期待

こんばんは。作者です。
ちょっと安価的なのやってみたいので、やってみます。
安価で決めるのは、次のメインキャラクターとジャンルです。
既にメインをやったキャラ(雪ノ下、由比ヶ浜、平塚、材木座、葉山)といろはす以外の俺ガイルのキャラでお願いします。
>>724
でキャラ
>>728
でジャンルを決めます。

とは言え、あくまでも世にも奇妙な物語なのでジャンルはそれに即した物だと嬉しいです(だが禁止はしていない)
ジャンルはもしかしたら、ちょっと安価無視しちゃうかもです(もちろん最大限努力はする)

ルミルミ

サキサキ

川崎

ホラー

ギャグ系

絵本

怪談

わずか二分……だと……?
てかサキサキ人気だな……

川なんとかさんで、怪談ですね。
了解です。
なるべく早めに投下できるように頑張ります。
ご協力ありがとうございました。

川なんとかさんで怪談とか、川越さん大丈夫か…

リトバスが好きなのかな?

こんばんは。
作者です。

アイデアはまだまとまっていませんが、とりあえず投下を始めようと思います。
始まれば、頭が回転し始めるはず……(背水の陣)
とは言えあまり書き溜めてないので、ゆっくりとした進行になると思いますが、よろしくお願いします。
それと
>>345
の通り連投ができないので、支援レスよろしくです。

支援

テッテッテレレーテレレーテレレー

テッテッテレレーテーンテレーン

タモリ「人はいつも何かに恐怖します」

タモリ「それは現実的な物に対してかもしれませんし、非現実的な物に対してかもしれませんが」

タモリ「いずれにせよ、人は恐怖を抱かずに生きる事はできません」

タモリ「それは人間が人間として生まれた宿命なのでしょうか」

タモリ「しかし、中にはわざわざ求める人も、いるんですよねぇ」

タモリ「それが奇妙な世界への入り口とも知らずに」ニヤァ

テレレッテッテレレーテッテッ

テレテッテッテッテッテレレレレーレー

テッテッテレレーテレレーテレレ

テーンテレレレレレン

 

人はいつだって何かに怯えている。

お化けや幽霊なんてものを信じていなくても、恐怖の対象は存在している。

例えば、人の視線。

いや本当に何なの、あれ。ぼっち極めすぎて、見えなくてもわかっちゃうから困る。

葉山あたりなら、それが憧れの対象としての視線だったりとプラスの視線が多いのだろうが、俺にそんな視線が送られるわけがない。むしろマイナスになりすぎて、地球にある電子数超えるレベル。それどんだけマイナスなんだよ。

何が言いたいかと言うと、とりあえず生きている限り恐怖からは逃げられないという事だ。

そしてさっきも言ったが、幽霊などよりも生きている人間の方がよっぽど怖い。

幽霊は攻撃できるのか知らんが、少なくとも生きている人間は攻撃をしてくる。肉体的にも、精神的にもだ。

例えば何人かのグループに入っていたとしよう。

何か少しでも隙や汚点が見つかれば、すぐに叩かれる。

逆もまた然り。突出して何かに長けていたら、それも叩かれる理由になり得る。出る杭は打たれるとはうまい事を言ったものだ。

人と関われば関わるほどに、攻撃の対象となる可能性は高くなる。つまり多くの人間と関わるリア充どもは、日々それに怯え、避けながら生きているのだ。

結論を言おう。

人との関わりゼロのぼっちこそが最高なのであり、そしてそのぼっちを極めた俺こそが最強なのだ。


結衣「それでねー」ワイワイ

教室における俺の位置づけはいつもと変わらない。端っこで本を読むか、寝るかのどちらかだ。しかし本当によくもまあリア充はあんなにどうでもいい事で盛り上がれるものだ。

結衣「そう言えばさー、うちの学校の七不思議知ってるー?」

三浦「二つくらいは聞いた事あるかな」

で、出たー。学生あるある第三位!(当社調べ)自分の学校の七不思議ネタ!

なぜ、怖い話を好き好んでするのか、リア充の考えはわからん。

結衣「そうなんだ、私は六つ知ってるんだけど――」

すげぇな、コンプリート目前じゃん。で、最後の七つ目を知ったと思ったら幻の八つ目が現れるんですね。何それ、初代ポケモンみたい。ミュウって何だよ、ミュウって。バグ技使わないとゲットできないとか、それゲームとしてどうなんだよ。

 

総武高七不思議(by由比ヶ浜)

一、夜中の校内に白い服を着た女性が歩き回っている。

二、夜、教室の前を歩くと、窓や扉から何かが飛び出してくる。

三、誰もいないはずの体育館から何故か物音がする。

四、夜、渡り廊下が長くなる。

五、夜の二階のトイレの鏡に見知らぬ誰かが映る事がある。

……なんかよく聞くようなやつのオンパレードじゃね、これ?

しかも夜限定ばっかだし、確かめられないやつしかねぇ。まあそこがいいのかもしれないが。

あい

結衣「それで六つ目がね……」

結衣「七つ目を知ると、よくない事が起きるらしいの!」

そのテンションで台無しだぞ、もう少し怖そうにしゃべれよ。稲川さんレベルは求めないからよ。

三浦「えー怖いー!」

三浦は棒読みでそのまま葉山の腕に抱きついた。絶対怖がってないですよね、それ。

葉山「あはは……」

そして抱きつかれた本人は苦笑いである。

結衣「だから、私ちょっと危ないんだよね……」

聞かされた人も今この瞬間に全く同じ状況になったんですが、気づいていますか?

 

時間は少し飛んで午後十一時半。

八幡「SSでも見て寝るかな」

八幡「おっ、らき☆すたとクロスしてるやつ更新されてるじゃん。ラッキー」

らき☆すただけに? つまらんな。

八幡「やっぱかがみんは可愛いなー」

ゴーインゴーインアロンウェーイ

八幡「むっ」

ピッ

八幡「もしもし」

??「……ちょっと付き合って欲しいんだけど」

ほち

やっはろー

何がどうなってこうなった。

混乱しているな、言い直そう。

どうしてこうなった。

時刻は午前零時。

そんな真夜中に俺は、総武高の校門にいた。なんで?

??「悪いね、私のために」

校門の中には、制服姿の川崎紗希の姿があった。

 

紗希じゃなくて沙希な

川なんとかさんのキャラがつかめない……難しい。
>>753
指摘サンクスです。初っ端からミスるとは……。



八幡「ああ、本当にな。こんな真夜中に人を呼ぶなんてまともなやつがする事じゃない」

川崎「それでも取りに行かないといけないから、あのプリント」

八幡「なんの話だ?」

川崎「わかんないの? あの数学のプリントだよ」

八幡「あーそんなのあったな」

何か絶対出さないと進級に関わるとか言ってたな。一枚のプリントにそこまでかけるか、普通?

川崎「今さっき気づいてね、誰か一緒に行く相手を探してたんだ」

八幡「それで、俺が選ばれたと」

川崎「あんたどうせ暇でしょ?」

八幡「……否定はできないな」

 

川崎「それに、あんたなら呼んでも申し訳ないとか思わないし」

八幡「酷いな、借りがなかったら帰ってるところだ」

文化祭の時と、生徒会選挙の時。川崎には二度も世話になっている。だから、こんな非常識な頼みも断れなかった。

八幡「てか、お前の弟に頼めばよかったんじゃないか?」

何だっけ、名前。川崎大臣? 絶対投票しねぇ。

川崎「大志は受験生だから。今の時期に迷惑かけらんないし」

八幡「このブラコンめ」

川崎「うるさい、シスコン」

八幡「……不毛だな、とりあえずさっさと取るもん取って帰ろうぜ」

川崎「う、うん」

 

八幡「何で一人で来なかったんだ?」

川崎「えっ? えーっと、それは……」

八幡「……怖い、とか?」

川崎「何でそうなるの? 違うし。あんたがいればいざという時に囮にできるでしょ?」

八幡「俺を何だと思ってるの?」

川崎「……えさ?」

八幡「お前はジャングルに行くつもりなのか? 多分夜の学校にライオンはいないぞ?」

川崎「そんなのわかってるよ」

あんたバカなの? と言いたげな目で俺を見る。いやいや、お前の発言がアレだからつっこんだのに。

5

八幡「で、どうやって入るの、入れないの? じゃあ帰るよ?」

川崎「帰ろうとしないで。入る方法はあるから」

ほう、お手並み拝見といこうじゃないか。

ガララ

八幡「!?」

何で窓開いたの!? まさか川崎はメンタリスト!? それ関係ないな。心読んでどうすんだよ。

川崎「よかった……開いてた……」

ふぅ、と川崎は胸を撫で下ろした。彼女にも確証はなかったらしい。

八幡「何で開いてんだよ、ここ。防犯的に問題ありじゃないか?」

川崎「ここの部活、よく鍵閉め忘れるから……」

何でそんな情報知ってんだ。お前ぼっちじゃなかったのかよ。

八幡「……暗いな」

廊下はやはり暗い。月明かりと非常口の緑色の光だけしかなく、それでようやく道が見えるくらいだ。

川崎「…………」プルプル

川崎は足を震わせながらゆっくり歩く。俺が先行するが、いつも通りに歩くと置いて行ってしまうので、歩調は落とす。

八幡「……大丈夫か?」

川崎「べっ別に……怖いわけじゃなくて、寒いだけだから……」

まあ確かに寒いですよね。じゃあ何で俺の上着の裾をつまんでるんですかね?

てか今、俺の怖いかどうかなんて聞いてなかったような……。

八幡「そうか。じゃあさっさと行くぞ」

 

川崎「っ!?」

突然、川崎が俺の上着を引っ張った。何だよ、破けちゃうだろ!

八幡「……どうし――」

川崎を見た瞬間、言葉が詰まった。川崎の表情は嘘をついている人間のものではない。だから、本当に恐ろしい何かに気づいてしまったのだと、俺はわかってしまった。

川崎「……足音が」

八幡「えっ?」

 

コツーンコツーン。

どこからだろうか。確かに、俺たち以外の誰かの足音が聞こえる。

コツーンコツーン。

その音は段々大きくなる。

川崎「比企谷……」

川崎はつまんでいた上着を離して、そのまま俺の腕にしがみつく。……あの、当たってるんですが……。

 

コツーンコツーン。

こんな時間に、校内に誰かがいるわけ、ないのに。

コツーンコツーン。

それなのに、その音は鳴り続ける。



一、夜中の校内に白い服を着た女性が歩き回っている。



八幡「嘘だろ……?」



コツーンコツーン



今日はここまでです。
支援レスありがとうございました。



サキサキ可愛いよサキサキ

乙!

>一、夜中の校内に白い服を着た女性が歩き回っている。
まさか・・・ね



らき☆すたクロスって見たら八幡「こっちは平和だな・・・」思い出した

こんばんは。
作者です。
今日も23時頃に投下を始められるよう頑張ります。
>>345の通り連投ができないので、支援レスよろしくです。

>>774
それのことです(笑)
面白くて好き

あと、これが最後の話と言ったな。あれは嘘だ。
この話の後にもう一話だけ書かせてください。

期待

川崎「ど……どうする……?」

八幡「……隠れよう。もしもこんな時間に俺たちの他に誰かがいたとしたら、不審者の可能性が高い」

冷静に考えれば、そうだ。少し恐怖で頭がどうかしていた。

川崎「でも……七不思議が……」

あ、お前も知ってたのね、あれ。

八幡「あんなもん信じてんの?」

川崎「べ、別に信じてなんかいないけど……!」

八幡「だろ? 俺も信じてないし、幽霊とかよりも本物の人間の方がよっぽど怖い」

もしも変質者の類いだったら川崎が危ない。今は身を隠して、音の正体を突き止めるべきだろう。

 

コツーンコツーン。

八幡「もうそこまで来てる。とりあえずそこに入るぞ」ヒソヒソ

川崎「えっちょ、比企谷ムグゥ」

声を出させないために口を塞ぎ、そのまま近くの教室に入った。

八幡「……ふぅ」

川崎「……ぷはぁっ。いきなり何を……」

八幡「シッ」

口に人差し指を当て静かにしろと合図する。いや、俺の口にだよ? こいつの口にじゃないよ?

コツーンコツーン。

 

コツーンコツーン。

足音はどんどん大きくなる。心臓の鼓動の早さがそれに比例するように上がる。さっきのところにいたら、きっと音の主に見つかっていただろう。

コツーンコツーン。

足音は教室の前まで来た。壁の向こうには、この音の主がいる。怖い。

??「……い」

八幡・川崎「?」

??「なんで……こんな夜中に校内の見回りなどしなければいけないんだ……。本当に若手は辛いな……若手だからな……」

八幡・川崎「…………」

??「まあどうせ家にいても一人だし、変わらないかな……」

??「はぁ……結婚したい……」

コツーンコツーン。

足音は遠のいていった。

 

川崎「比企谷、今のって……」

八幡「よせ、みなまで言うな。いいか、俺たちは何も聞かなかった。行き遅れのアラサーの愚痴なんて聞かなかったんだ。いいな?」

川崎「あんたが全部言っちゃったじゃん……」

八幡「いや、俺は何も言っていない。何も言っていないんだ。……くぅっ!」

何だろう、胸が痛む。

本当にもう、早く誰か貰ってやれよ……! 可哀想すぎるだろ……!

 

ワロタ④wwww

八幡「……行ったな」

もう足音は聞こえない。方向的にももう出て問題ないはずだ。

ガララ

八幡「さてと、あの人がいて直接行く道は使えないから、遠回りするぞ」

川崎「そうだね。今あの人に見つかりたくないし……」

俺は直で見たら泣いちゃう自信がある。

テクテク

八幡「…………」

川崎「…………」

ガララ

八幡「!?」

 

俺と川崎のすぐ横の教室の扉が突然開いた。

川崎「……比企谷、あたしを驚かして楽しい?」

八幡「いや、今の俺じゃねーし」

川崎「なら、何で……」

次の瞬間、教室の中から何かが飛び出した。

カランカララン

川崎「ひぃ!」

廊下に響く金属音。しかしその音はどこか鈍い。

そしてまた俺の腕に川崎がしがみつく。だから当たってるんだってばよ。

八幡「……何だこれ?」

 

二、夜、教室の前を歩くと、窓や扉から何かが飛び出してくる。



八幡「これは……!」

この暗闇でもわかる細長い黒と茶色の芸術的フォルム!

八幡「マッ缶じゃねぇか!!」

しかもこの寒い季節にホット! 八幡的にポイント高い!!

八幡「でもなんでマッ缶なんか飛び出してきたんだ?」

川崎「ひ……ひきが……っ!」

八幡「どうした、川崎……」

そこには想像を絶する光景が広がっていた。

ありとあらゆるところから何十本もの手が生えてきて、川崎の身体を教室内に押し込もうとしていた。

 

川崎の表情は恐怖と不快感で歪んでいる。

川崎「……っ! たすけ……」

八幡「川崎!!」

俺は川崎の腕を掴んでいる腕を引き離そうと、その手首を握った。その腕はあまりにも冷たく、人の手の形はしているが、生気が感じられない。

ガシッ!

それに動揺していると、今度はどこから現れたのか、別の手が俺の右足を掴んだ。

 

八幡「くっ……!」

布越しに伝わる冷たい感触が気持ち悪く、背筋がぞわぞわする。このままだと二人とも教室に押し込まれる。

八幡「誰の腕だか知らんが……」

掴まれていない方の足で思いっきり足元の手を踏む。その瞬間、掴んでいる力が弱まり足から手は離れた。

同時に川崎を襲っていた手の力も弱まる。今だ。

八幡「川崎!!!」

俺はそう叫んで川崎の手を握り走り出した。

 

八幡「はぁ……はぁ……」

川崎「ふぅ……」

逃げている最中は他の教室からも手が飛び出してきた。それから避けるために、俺たちは教室のない渡り廊下まで逃げた。

八幡「なんだよ……あれ……!」

川崎「七不思議の二つ目……?」

八幡「嘘だろ……ただの見間違いの類いじゃなかったのか……?」

俺は非科学的な物は信じない。幽霊なんているわけがないし、妖怪が助けてなんてくれない。

しかし俺は確かに見た。確かに触れた。

人間ではあり得ない程冷たくなった腕を。

 

川崎「……ところでさ」

八幡「あ?」

川崎「その……」

川崎はモジモジしながら俺に目を合わせようとしない。どうかしたのだろうか。

川崎「……手」

八幡「えっ?」

逃げた時から俺と川崎の手はつなぎっぱなしだった。

 

八幡「あっ!」

思わずその手を離す。何やっちゃってんだよ、俺。

川崎「あ……」

川崎は少し残念そうな表情を浮かべる。えっ、どういう事ですか? これはそういう事ですか? 違いますか、違いますね。

八幡「すま――」

川崎「……ありがと」

八幡「ふぇ?」

むしろ今は俺が謝らなきゃいけないところだよな。非常事態だったとは言え、勝手に女子の手を握っちゃったんだし。

川崎「助けて……くれて……」

そこまで言い切ると、川崎はすぐにそっぽを向いた。

しかし一瞬月明かりのせいで見えてしまった。

真っ赤に染まった、川崎の顔を。

 

思わずこっちまで気恥ずかしくなってしまい、俺も横を向いた。何だよこれ、川崎可愛すぎんだろ。中学の俺だったら告白して振られてたわ。

八幡「……もう、帰ろうぜ」

川崎「そうだ……ね。こんなんじゃ取りに行けないし」

八幡「ああ」

プリントなんてあとからどうだってできる。朝一で来てやったっていいし、最悪他の誰かのをコピペすればいい。オボカタ? 何の事かさっぱりだ。

昇降口へ降りるために、階段のある方へ向かう。もう早く帰って今日あった事忘れたい。あんな気持ち悪い光景には二度と出くわしたくない。

 

川崎「……ごめん」

八幡「何でお前が謝るんだよ」

川崎「だって、あたしのせいであんな……それに結局プリント取れなかったし……」

八幡「いーんだよ、俺にはいくら迷惑かけたっていいんだ。時間の浪費には慣れているからな」

川崎「それは……どうなの……?」

八幡「それに俺は二度もお前に世話になってるしな。その借りは返さねぇと」

川崎「別に、あんなのは……」

支援

……おかしい。

ここで違和感に気づく。

いつまで俺たちはここを、『渡り廊下』を歩いているんだ?

いくら歩いても、周りの風景は変わらない。歩いている感覚は、あるのに。

八幡「……あっ」



四、夜、渡り廊下が長くなる。



……長くなりすぎだろ。



すみません、今日はもう眠いので寝ます。
なるだけ早めに続きを投下できるよう頑張ります。
おやすみなさい。
支援レスありがとうございました。



サキサキ可愛すぎんだろ

乙です
川崎可愛すぎんだろ

>八幡「ふぇ?」
可愛すぎワロタ

こんばんは。作者です。
今日は早めに投下します。
ただ、間が一時間とか空く可能性もありますので、ごめんなさい。
あと、支援レスよろしくです。



いくら歩いても、渡り廊下の端までの距離は変わらない。まるで動く歩道を逆走している気分だ。しかし横を見ると確かに進んではいるのだ。確かに進んでいるのに、進まない。

八幡「……なんだこりゃ」

川崎「…………」ギュ

気づけばまた川崎は俺の上着を握っていた。確かに脅かしてくるようなお化けなどはいない。しかし異様な状況というのは、下手すればそれ以上に人の精神を蝕む。

俺だってまだ平気なふりをしているが、内心は相当焦っているしな。いや、本当に。このままずっと渡り廊下で一生を終える事になったらどうしよう。

川崎「比企谷ぁ……」

彼女は涙目になりながら俺の名を呼ぶ。他の誰かにすがらないと、やってられないのだ。

八幡「もう少し、歩けばいけんだろ」

そしてそれは俺もだ。常日頃ぼっち至上主義をとっているが、流石にこんな状況に一人で耐えられるほど、俺のメンタルは強くない。

だから今のは川崎を安心させるためではない。今は一人ではないと自分に言い聞かせるために言葉を発したにすぎない。

そういう意味では、川崎がいてくれて、助かったと思う。

まぁ、川崎がいなかったら、こんな時間に学校に来る事もなかったのだが。

 

結局十分ほど同じ方向に歩き続けたが、向こう側までの目測での距離は変わらなかった。

川崎「このまま……出られなかったら……」

ぼそりと呟く。その声は半分泣き声になっていた。上着を掴む手は相当な力なようで、その部分がクシャクシャになっている。これはアイロンかけねぇと着れねぇな。ねぇねぇうるさいな、パヒュームなの?

八幡「……まぁ、七不思議では夜って条件付きだったから、朝になればどうにかなるんじゃねぇの?」

川崎「……なら、いいんだけど」

確証はない。ただ、俺自身が現実から逃避したいだけだ。だからこれも、川崎のためではない。

 

八幡「よし、戻るか」

川崎「えっ?」

八幡「押してダメなら引いてみろって言うだろ?」

川崎「でも……それじゃあ今まで歩いたのを……」

否定する事になる。それはわかっている。

ただ、今俺たちに必要なのは継続ではない。自らが間違っているという判断をする勇気だ。

このまま歩いていても向こう側に辿り着けるとは、到底思えない。

ならば、方法を変えるのがベストだ。

八幡「ずっと同じ考えに固執していても、埒が明かないしな」

そうして反対側に歩いていったわけだが……。

八幡「……逆は普通に戻れたな」

こちらの距離は変わっていなかった。この道は通れない、という事なのだろうか。

その時、ふと、何かに似ていると感じた。

八幡「あ、ゲームだ。ゲームとかでよくある」

大体まだレベルが足りなかったりとか、その先のデータがなかったりとかで強制的に進めなくなるやつ。あれに似ている。ドラクエで何回か戻されたのを思い出す。

八幡「……つまり、こっちは通ってはいけないと」

川崎「何一人でブツブツ言ってんの?」

八幡「ああ、いや、何でもない」

この渡り廊下は使えない、つまり反対側へと向かわなければならないという事だ。また教室の前通らなきゃならんのかよ……

ドンッドンッ

その時、遠くの方から音がした。微かに聞こえる音は、少し耳をすまさなければ聞こえない程だ。

川崎「……何の音?」

八幡「あれだな、多分体育館だ」

川崎「体育館? なんでそん……」



三、誰もいないはずの体育館から何故か物音がする。



川崎「……あ」

支援

八幡「まあこれは実害なさそうだし、放っておこうぜ。……不気味ではあるが」

川崎「……そうだね。気になりはするけど、見に行きたくはない」

八幡「おう。じゃあ、またここを走って通り過ぎるか」

川崎「……うん」ブルブル

そう言いながらも川崎の足は震えている。確かに走れば捕まらないとわかっていても、あの光景を見たくないというのは、人間として普通だ。俺だって壁や扉から何十本もの手が飛び出してくる様なんて見たくない。

ただ、俺は、これでも男で、川崎は、女だ。

なら、彼女を助けるのは、男としての義務だろう。

 

八幡「おい」スッ

川崎「えっ?」

八幡「お前は目をつぶってただ走れ。手、つないどけば、それでも走れるだろ?」

うわああああああああ恥ずかし恥ずかし恥ずかしいいいああああ!!! 何でこうも俺は黒歴史を増やしてしまうんだあああああああああ!!!

川崎「…………」ソー

川崎はゆっくりと手を伸ばす。確かに俺みたいなのと手を繋ぐなんて、あまり気が進まないに違いない。あ、なんかキャンプファイヤー思い出しちまった。どうしよう、泣きたい。

川崎「……ありがと」プイッ

彼女は俺の手を掴むと同時に顔を逸らした。そんなに俺の事が嫌ですか、そうですか。

……顔が真っ赤になってたのは、気のせいだよな。

 

その頃、体育館にて。

シュッ

パスッ

??「もうオレには、リングしか見えねえ……」

シュッ

パスッ

??「静かにしろい。この音が……オレを甦らせる……」

??「何度でもよ……!」

シュッ

パスッ

??「……まあ一人だから静かなんだけどな」

??「しずかだけに? フフフ……」

??「はぁ……結婚したい……」

 

怪談なのかギャグなのかどっちだよww

>>829
一粒で二度美味しいんだよ。
※実際は、ギャグやろうとするとホラーになって、ホラーやろうとするとギャグになるみたいです。



八幡「行くぞ、川崎」

川崎「う、うん」

八幡「せーの!」ダッ

タタタタタタタタタタタタ

八幡「……あれ?」

川崎「……? どうしたの?」

八幡「目、開けていいぞ。何だか知らんが出てこない」

川崎「本当に……?」

八幡「ああ。何か拍子抜けって感じだな」

川崎「そ、そう……」

八幡「走る必要もないし歩いて行こうぜ」

川崎「う、うん……」

川崎(あんた、気づいてないのかな……)

川崎(手……繋ぎっぱなしって事に……)

川崎(……まぁ、今度は言わないけど)

サキサキかわいい支援

八幡「あっそうだ」

もしかしたら、今なら教室に入れるかもしれない。もしそうなら、川崎のプリントを取りに行ける。

ガララ

八幡「……何も出てこないな」

中に入っても何も起こらない。真っ暗なのは不気味だが、何かいるような気配はない。

八幡「中に入っても大丈夫そうだぞ」

川崎「本当に……? 何も出てこない……?」

川崎は教室の外から顔だけこちらに出して俺に問う。やめろ、ちょっと可愛いだろ。ときめいちゃうだろ。

しえん!

八幡「入るの嫌なら、俺が取ってくるけど」

川崎「……でも」

八幡「別に迷惑とかじゃねーしな。お前の席はわかるし」

川崎「えっ」

戸塚の後ろだからな。最早目をつぶっててもわかるレベル。

八幡「えーと、確か」テクテク

川崎「待って!」タタタ

ギュッ

八幡「!?」

突然川崎が俺の腰に抱きついてきた。あまりにも唐突すぎて状況の把握ができない。

八幡「あの……川崎さん……?」

川崎「……えっ? あっ!」パッ

川崎「いや、これは……!」ワタワタ

川崎「は……離れられると……困るから……」カァッ

八幡「」

何これ、深夜テンションってやつ? 今日の川崎さん可愛すぎだろ。戸塚が世界一可愛いと思ってたけど、これはいい勝負行くんじゃね? 川崎ルート直行するんじゃねぇの?

川崎「……ダメ、かな」

八幡「別にダメじゃねぇよ……。ほら、さっさとプリント取って来い」プイッ

ダメだ、まともに顔見れん。

 

ガララ

八幡「……とりあえず、目的を果たせてよかったな。もう一回二年やる事にはならなそうだ」

川崎「あんたのおかげだよ。今日だけで何回も言ってるけど、ありがとね」

八幡「別に大した事はしてねーよ。ほら、帰るぞ」

川崎「あ……その……」

八幡「ん?」

川崎「その……ね……」モジモジ

八幡「何だよ?」

川崎「…………」スッ

無言で俺の後ろを指差す。そこはトイレだった。ああ、なるほど。トイレに行きたかったのか。確かにそれは言えんわな。

4円

ひらつかわいい④

八幡「わかった。ここで待ってる」

川崎「……勝手に帰らないでよね?」

八幡「安心しろ。そんな事しねーから」

まぁやられた事はあるんですけどね。修学旅行の班別行動の時、みんなでトイレ休憩って事で用を足して、外に出たら誰もいなかったっけな。一瞬俺だけ異次元に飛ばされたのかと思ったわ。

川崎「絶対だよ?」

八幡「わかったから」

川崎「…………」タッタッタッ

支援

あれ?

俺何か大事な事忘れてない?

忘れちゃいけない何か……。プリキュアの予約はしたよな……。玄関の鍵もちゃんとかけたし……。

いや、そんなんじゃない。

八幡「……あっそういや、ここ二階じゃん」

川崎「きゃあっ!?」



五、夜の二階のトイレの鏡に見知らぬ誰かが映る事がある。



支援

川崎「……っ!」

女子トイレから一人の女子が無言でダッシュしてくる。誰なのか知らなかったら怖いだろうな。いや、正直誰か知ってても怖いっす。川崎大臣っす。落選しろ。

川崎「……っっ!! ……!」

涙目で何かを訴えかけてくるが、それは最早声になっておらず、ただ手をブンブン振り回している川崎沙希の姿が、そこにはあった。

八幡「とりあえず落ち着け」

川崎「…………」

あっすぐに静かになった。

支援

八幡「すまん、七不思議のやつ忘れてたわ」

川崎「突然、見覚えのない女の人が鏡に出てきた……」ガクガク

八幡「まぁ、男じゃなくてよかったんじゃねぇの?」

川崎「そういう問題なの?」

八幡「幽霊だってトイレにくらい行きたくなるんだろうよ。むしろ変態じゃなくてよかったじゃないか」

川崎「ゆう……れい……」ガクガクガクガク

しまった、逆効果だったか。

八幡「それか見間違いだろ。怖いって思ってると、本来見えない物も見えるらしいし」

川崎「でも……七不思議で……」

八幡「そいつも見間違えたんだろ」

とりあえずそれで納得させるしかない。

4

ビクッ

八幡「!」パッ

悪寒がして振り返る。そこには誰も見えないが、俺のぼっちセンサー(対視線用)は反応した。

今、後ろに、誰かがいた。

そしてその誰かが、こっちを見ていた。

川崎「どうした?」

……気のせい、だろうか。

八幡「……いや、何でもない」

反対側の渡り廊下は普通に通る事ができた。後は階段を降りて外に出るだけだ。

八幡「……結局、七不思議のうち五個も体験しちまったな」テクテク

川崎「そうだね」テクテク

これはなかなか貴重な経験なのではないだろうか。こんな超常現象なんて滅多にお目にかかれない。

八幡「怖かったけどさ、何だかんだ楽しかったよ」

川崎「……あたしも……かな」

嘘つけ。泣くほど怖がってたじゃないか。

八幡「早く帰って寝たいわ」

そこを曲がれば下駄箱が見える。ようやく帰れると思うと、ほっとする。

八幡「……!?」

それを見て思わず俺は言葉を失った。

最後の最後で、何だ、これは。

下駄箱へ向かう道が、机で出来たバリケードのような物で塞がれていた。しかも軽く五十個はあって、強く固定してある。ちょっとやそっとじゃ、動かない。

八幡「これじゃ……、帰れねぇじゃねぇか……!」

八幡「川崎……どうす――」

川崎「比企谷」

八幡「!?」

その声は、確かに川崎沙希のものだ。

しかし、なぜだろうか。それは違う誰かの声に聞こえた。

川崎「あたしね、あんたの事が好きなんだ」

八幡「……はぁっ!?」

川崎「だからね、あんたと、ずっと一緒にいたいんだ」

八幡「いきなり何を言ってんだ? あれか、罰ゲームか? 三浦あたりにでも命令されたのか?」

川崎「罰ゲームでも何でもないよ。今のは、あたしの本心」

八幡「だからって、いきなりなんだよ!?」

川崎「……うちの学校の、七不思議。七つ目を知ってる?」

八幡「……知らねぇよ」

まさか……。

ぼっちの優れている点は、危機察知能力にある。味方がいないからこそ、自分でそれを判断しなければならないからだ。

俺は、今までこれほどまでに危険だと感じた事はない。

ぼっちセンサー(対危険用)の針は振り切った。

それを感じるやいなや、俺は走り出した。

川崎「ふふふ、逃がさないよ」ニヤッ

しかしそれが通用するのは、あくまでも現実的な状況においてのみである。

超常現象の前で、ぼっちは、無力だ。

次の瞬間、あらゆる壁という壁から、白い手が飛び出した。

 

白、白、白、白、白、白。

視界が全て『白』で覆われた。全身の圧迫感のせいで、呼吸がしづらい。

八幡「なん……だ……これ……」

視界の『白』が消えてようやく周りを見渡すと、何十本もの手が俺の体を机のバリケードに押し付けていた。

川崎「比企谷、あたしがね、七つ目なんだ」

八幡「なに……言って……」

川崎「七不思議の最後はね」





川崎「いないはずの人間が、校内にいる」





川崎「それもずっと、ね」



4

八幡「だから……ふざけてんじゃねぇって……」グッ

川崎「あたしね、ここに何十年もいたけど、告白なんて初めてだった」

川崎「だからね、あんたの事が好きになっちゃったんだ」

八幡「……!」



八幡『愛してるぜ川崎!』



だから川崎は今日、こんな時間に俺を――。

八幡「ぐ……っ、あ……っ!」

全身を締め付ける力が次第に強くなり、もう呼吸も、できない。

川崎「だから、あたしと――」







ズットイッショニイヨウ?







六、七つ全てを知ってはいけない。







Anotherかな?

『……次のニュースです。先日未明から行方がわからなくなっている……』

平塚「…………」ガクガク

平塚「比企谷が……比企谷が……っ」

私は、あの時見てしまった。あの子が、川崎沙希が、比企谷を……。

ブーブー

平塚「!!」

突然携帯が鳴る。メールのようだ。

その送り主は――



『From:比企谷八幡』



こえーwwwwww④

ガチャッ

そこは学校の屋上。比企谷はここに来るようにメールをしてきた。どうにも戻れない理由があるらしい。

しかし、そこには誰もいない。

――刹那、全身に悪寒が走る。

「先生も――」





ナナツスベテ





声が聞こえた瞬間、世界は、『白』になった。



『白』



世にも
奇妙
な物語

乙です。面白かった!

テッテッテレレーテレレーテレレー

テッテッテレレーテーンテレーン

タモリ「『白』という色には、多くの意味があります」

タモリ「『純粋』、『善』、『純潔』、『無実』」

タモリ「このように、プラスの意味ばかりだと思われがちですが」

タモリ「逆に『無』、『消滅』」

タモリ「『白々しい』など、マイナスの意味も持っています」

タモリ「どんなものにも、表と裏があるものですねぇ」

テレレッテッテレレーテッテッ

テレテッテッテッテッテレレレレーレー

テッテッテレレーテレレーテレレ

テーンテレレレレレン

先生とばっちりやんけw

乙!

つーか先生あーた七不思議のいくつか担当してはりましたよねww

終わりです。
川なんとかさんは本当に最後までキャラ掴めなかった……。
怪談と言われ、ホラーと何が違うのかいろいろ調べてみましたが、結局よくわかりませんでした。正直ギャグ書こうとした方が怖いんじゃないかと思います。材木座のはどっちもギャグやろうと思った結果なので(笑)

スレの残りが少なくてちょっと不安なので、次の話(今度こそラストにしたい)は別のスレでやりたいのですが、いいでしょうか?

>>862
自分も書いてからそれ思いました(笑)



川崎さん可愛い、けど怖い!

それともう一言だけ。
支援レスしてくださった皆様、本当にありがとうございました。
とりあえず、今日はもう寝ます。
おやすみなさい。

乙です
次スレでいいんじゃないかな



作者さんパネェっすわ

先生は本物の七不思議に仲間入りしちゃったのか

こんばんは。作者です。
次スレ建てようと思ったら、例のごとく規制で建てられなかったので、誰か代わりに建てて下さると嬉しいです。
でも重複すると他の人にも迷惑がかかっちゃいますので、建てて下さる方はこのレスの下にレスして、それから建てて下さい。お願いします。

スレタイは

八幡「やはり俺の世にも奇妙な物語はまちがっている」いろは「特別編ですよ、先輩!」

これが長くて無理なら

八幡「やはり俺の世にも奇妙な物語はまちがっている」いろは「特別編!」

それでも無理なら

八幡「やはり俺の世にも奇妙な物語はまちがっている」特別編

で、お願いします。

あと本文は、なしでいいです。

建ててきます

八幡「やはり俺の世にも奇妙な物語はまちがっている」いろは「特別編ですよ、先輩!」
八幡「やはり俺の世にも奇妙な物語はまちがっている」いろは「特別編ですよ、先輩!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1410267660/)

たておつ

続きは次スレにて書きますので、こちらはHTML化依頼に出そうと思います。
ありがとうございました。
次スレでもよろしくです!

一から読んだけど面白い
どの話もゾクッとして好きだわ
次でラストと言わず思いつく限り続けてほしい

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年08月30日 (土) 12:25:53   ID: gHw4CV3_

最高のできでワロタw……ワロタ……この人また俺ガイルSS書いてくれねえかなぁ

2 :  SS好きの774さん   2014年09月21日 (日) 03:42:44   ID: dguNlorn

これは面白いね

3 :  SS好きの774さん   2015年04月19日 (日) 21:08:16   ID: qIow5wiG

これの続編もかなり面白い!

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