マルセイユ「世界のてっぺんにいるんだ!」 (24)

ストライクウィッチーズの現代パロディです

短いのですぐに完結出来ると思いますが
茶々を入れてもらえると励みになります

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-学校-

ハルトマン「トゥルーデ、かえろーよー」

バルクホルン「委員会の集まりがあるから遅くなるぞ。先に帰ってろ」

ハルトマン「じゃあ待ってる」

バルクホルン「……はぁ、仕方ない奴だ。分かった、なるべく早く終わらせるようにする」

ハルトマン「うん。頑張ってね」

バルクホルン「ああ。後でな」

マルセイユ「……」

ハルトマン「お、ハンナ。じゃあね、また明日」

マルセイユ「あ、ああ」

ハルトマン「はー……トゥルーデが来るまで暇だなぁ」

マルセイユ「……は、ハルトマン」

ハルトマン「うん?」

マルセイユ「良かったら……その……一緒に帰らないか? バルクホルンの奴は遅くなりそうだし……」

ハルトマン「え? うーん」

マルセイユ「そ、そうだ。この間学校の近くに出来たケーキ屋には行ったか? まだならちょっと見に行かないか。なんだったら奢るぞ!」

ハルトマン「ケーキ屋? いいねー」

マルセイユ(やった!)

ハルトマン「でも、今日は無理かな」

マルセイユ「なっ」

ハルトマン「私から『待ってる』って約束しといて、約束破って先に帰っちゃったらさすがにトゥルーデがかわいそうだし……」

ハルトマン「ケーキ屋はまた今度案内してよ。ごめんね、ハンナ」

マルセイユ「……そうか…」

ハルトマン「トゥルーデが暇な時にさ、三人で行こう。そんで、トゥルーデにおごってもらおうよ。にしし」

マルセイユ「……じゃあ、な」

ハルトマン「うん。ばいばーい」

―マルセイユの自室―

マルセイユ「……」

マルセイユ「……」

マルセイユ「はぁぁ……」

マルセイユ「今日もダメだった。あいつを振り向かせされなかった」

マルセイユ「どうしてあいつは……バルクホルンの何がハルトマンを惹き付けるんだ?」

マルセイユ「くそっ、もっと早く私とハルトマンが出会っていたら、少しは変わったかもしれないのに!」

マルセイユ「……いや、過去を悔いても仕方ない。今は、これ――」

マルセイユ「近所の他校で開催される学園祭にハルトマンを誘うんだ。もちろん、私と二人きりでな」

マルセイユ「どうすればあいつだけを呼べるんだ?」

マルセイユ「あいつに『バルクホルンは来なくていい!』なんて言えば……」

H『どうしてそんなこと言うの? ひどいよハンナ』

H『じゃあ、私もハンナとは行かないから。二人で行こう、トゥルーデ』

マルセイユ「……となるのは目に見えているし。かといってバルクホルンの目の前で『私とハルトマン、二人きりで楽しみたいんだ』とか言ってしまうと」

B『え、なにそれは(ドン引き)』

B『二人がそんな関係だったとは知らなかった。わ……私はお邪魔のようだな? で、では二人とも、さらばだ!』

H『待ってよトゥルーデ! ハンナ、根も葉もない適当な事言うなよ! ばか!』

マルセイユ「こうなるに決まってる……」

マルセイユ「どうする……手紙でも書いて渡すか? 重すぎて引かれるか……」

マルセイユ「なにかいいアイディアは無いか……そうだ、スマホでググってみよう」

マルセイユ「『女友達 二人きり 誘い方』っと」

マルセイユ「あれ?」

マルセイユ「これ……普通に電話かければいいじゃないか! これなら周りにバレて恥ずかしい思いをすることも無いし! いけるぞ!」

マルセイユ「ああ、こんな簡単なことにも気付かなかったなんて……」

マルセイユ「……でも、そういえばハルトマン、携帯電話を持って無かったな。『誰かに付け回されてるみたいで嫌だ』とか言って……あいつらしいが」

マルセイユ「仕方ない、家のほうの電話にかけよう。そろそろ家に着いた頃だろうし」

マルセイユ「さて……『今度の土曜日、たまには二人で遊びに行かないか』よし、これでいいな。か、かけるぞ……」

とぅるるるるん
とぅるるるるん

がちゃっ……

『もしもし』

マルセイユ「は、ハルトマン……さんのお宅ですか?」

『はい』

マルセイユ「あの、ハルトマンさんにお話があって電話したんですけど、いらっしゃいますか?」

『私がハルトマンですけど。どちら様ですか?』

マルセイユ「あっ、すみません。あの、エーリカさんと同じクラスの、マルセイユです」

『ああ、マルセイユさん。姉様がお世話になってます』

マルセイユ「姉様……なんだ、ウルスラか」

ウルスラ『なんだ、って……』

マルセイユ「それで、姉さんはいないのか?」

ウルスラ『さっき帰ってきたみたいですけど、鞄を放り投げてどこかに行ってしまいました』

マルセイユ「なに? どこに行ったんだ?」

ウルスラ『そこまでは』

マルセイユ「そうか……」

ウルスラ『帰ってきたらお電話差し上げましょうか?』

マルセイユ「……いや、いい。これが運命だったのかもな」

ウルスラ『?』

マルセイユ「邪魔したな。失礼する」

ぷつっ

マルセイユ「たぶん、バルクホルンのところだな」

マルセイユ「……つくづく私は嫌われているようだ。ここらが潮時か」

マルセイユ「私ではバルクホルンにかなわないということだな! よし、もうハルトマンを追うのはやめだ!」

マルセイユ「私に言い寄ってくるやつらなんて掃いて捨てるほどいるんだ。こだわらなければすぐに相手が……」

マルセイユ「……」

マルセイユ「……なんてな」

マルセイユ「私が欲しいのはハルトマンだけなんだ……世界中の誰だって比べ物にならない、どんなに数を揃えてもハルトマンがいなきゃ意味が無いんだ」

マルセイユ「ハルトマン……一度でいいから私の方を振り向いてくれ。他の誰でもない、私だけを見てくれ……」

マルセイユ「それも、今となっては叶わない夢か……」

マルセイユ「……ううっ、ハルトマン……お前に私の気持ちの一欠片でも伝えたかった。お前がバルクホルンに向ける愛情の一分でも、私に与えて欲しかった」

マルセイユ「でも、もう私の入る余地はないんだな。いつかはハルトマンを手に入れられると思ってたけど……どうやら諦めることになりそうだ」

マルセイユ「はぁ、こんなことで泣くなんて情けない。気晴らしにコーヒーでも淹れよう」

コンコンコン

マルセイユ「ん……来客か?」

マルセイユ「誰だかしらんが、こんな顔見せられたもんじゃないな。居留守を使わせてもらおう」

コンコンコン

マルセイユ「すまんな」

コンコンコン

マルセイユ「……行ったか?」

コンコンコンピーンポーンピーンポーン

マルセイユ「し、しつこいな。出直してほしいところだが……」

ドンドンドン 『ハンナー、いないのー?』

マルセイユ「くそ。いい加減に……って、今の声、まさか……!」

バタバタバタバタ

ガチャッ

ハルトマン「お、やっぱりいるじゃん」

マルセイユ「ハルトマン……!」

ハルトマン「何してたんだよ? もう帰ろうかと思ったよ」

マルセイユ「な、なんだお前、いきなり訪ねて来て! さっき電話したのに家に居なかっただろう!(錯乱)」

ハルトマン「だって急ぎの用なんだもん。それでさハンナさぁ、今度の土曜日、暇かな?」

マルセイユ「土曜日? まあ、一応空いているが」

マルセイユ(ハルトマンと出掛けるつもりだったからな)

ハルトマン「よかったぁ! それじゃ、一緒に遊びに行かない? 近くの高校の学園祭なんだけど」

マルセイユ「!!」

マルセイユ「ば、バルクホルンがいるだろうが。私が行っても……」

ハルトマン「いやー、トゥルーデったらこういう時に限って予定びっしりなんだよね。だからさ、代わりみたいで悪いんだけど、一緒に行ってくれない?」

マルセイユ「……!」

ハルトマン「お願いだよぅ。一人ぼっちはさすがにつまんないし……ね?」

マルセイユ「わ、私でよければ……まあ、行ってやってもいいぞ!」

ハルトマン「ホントに? やった! ありがとーハンナ!」

ハルトマン「じゃあ、また明日学校でね。お休み」

マルセイユ「ま、待て」

ハルトマン「うん?」

マルセイユ「どうしてわざわざ家に来たんだ? 電話でいいだろうに」

ハルトマン「……あ、そっかぁ。普段あんまり使わないから、頭から抜けてたよ」

マルセイユ「お前なぁ……」

ハルトマン「でも、来てみてよかった」

マルセイユ「何故?」

ハルトマン「今日ハンナが下校するとき、いつもみたいな元気が無かったから、ちょっと心配だったんだ」

ハルトマン「でも今のハンナ、いつもよりも元気みたいで安心した! やっぱりハンナは学校のアイドル的存在だし、輝いてないとね」

マルセイユ「ハルトマン……」

ハルトマン「明日は一緒に帰ろうね。トゥルーデと三人で」

マルセイユ「……ああ」

ハルトマン「お休み、ハンナ!」

マルセイユ「お休み、ハルトマン」

バタン

マルセイユ「……電話だ」

とぅるるるるん

ピッ

バルクホルン『もしもし? バルクホルンだが。ハルトマンがお前のとこに行かなかったか?』

バルクホルン『あいつ、私が学園祭に行くのを断ったら、お前を誘うとか言っていたんだ』

バルクホルン『それで、悪いんだが、私の代わりにハルトマンの面倒を見てやってくれないか。一日だけでいい』

バルクホルン『……おい、聞いているのか?』

マルセイユ「ふふふ……ああ、いいだろう。それよりも、バルクホルン」

バルクホルン『なんだ?』

マルセイユ「……いつまでも、ハルトマンをお前のものにはさせないからな!」

バルクホルン『な、何の事だ?』

マルセイユ「いつかきっと、ハルトマンを私の方に引き寄せてみせる。いいな!」

バルクホルン『よ、よく分からんが、当日はよろしく頼むぞ。じゃあ……』

ピッ

マルセイユ「……ふふ」ニヤニヤ

マルセイユ「やはりまだまだ諦めるには早い。鈍感なバルクホルンが相手なら、私にも勝ち目はある」

マルセイユ「さしあたっては次のデートに向けて、念入りに用意をしておかないとな!」

マルセイユ「……きっと、今の私は世界の誰よりも幸福だ。こんなに上手く事が運んだんだからな」

マルセイユ「こんなに浮かれて、地に足が着かないくらい舞い上がって。間違いない。私は今、世界のてっぺんにいるんだ!」

マルセイユ「ハルトマン。いつかお前にも、こんな気分を味わわせてやる。そのときは、私がそばにいるからな!」



おわり

お疲れさまでした
元ネタはDean Martinの『I'm Sitting On Top Of The World』でした
お前らもよーく見とけよ
http://youtu.be/APnzhb3evSc

ストパンには実はマルセイユってキャラがもう一人いる

>>19
知らなかった
アフリカのマルセイユです

(*^◯^*)「世界のてっぺんにいるんだ!」

>>22
お前はまだセ界の下の方だろいい加減にしろ!

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