モバP「そろそろ動きたいんですけど…」楓「…ん、ダメです」(15)

p「お仕事できないんですが」

楓「今日くらい、後でいいじゃないですか。もう少しこのままで……」

p「(いやいや、この体勢。色々困るんだけどなあ)」

楓「……ふふっ♪」

ーー数十分前

p「…雪美」

雪美「p……どうしたの?」

p「そろそろ、膝の上から降りてくれると嬉しいんだけど」

雪美「pは…私がいない方が…いいの?」

p「そんなわけないだろう。とはいえ、脚が痺れてきたし……」

雪美「……」

p「そんな顔するなよ。それに、そろそろ楓さんが帰ってくるだろ?
ーーちょっとそこまで迎えに行かないか」

雪美「楓……ここのところ、ずっと温泉ロケだったもんね」

p「いつもなら、俺も付き合ってやれるんだけど、今回は日程が合わなかったからなぁ。
まあ、この手の仕事はだいぶ慣れてきたから、楓さんだけに任せたけど」

雪美「おかげで……pを独り占め…今は事務所に…二人きり」

ちひろ「(私はいないもの扱いですか)」

p「ーーっと、噂をすれば影……この音は…帰ってきたかな?」

楓「(久々の…事務所)」

楓「(各地の秘湯とお酒巡りロケ……楽しかったと言えば楽しかったけど、
やっぱりプロデューサーがいないと物足りなかったわね)」

楓「(うちの事務所には今、雪美ちゃんに和久井さんがいるから、きっと独り占めなんて無理でしょうけど……
それでも……次はやっぱりあの人と一緒に行きたいな)」

楓「ただいま……高垣楓、お迎えで……ふふっーー」ガチャリ

楓「!」

p「あ、楓さ~ん、お帰りなさい」

雪美「お帰り……楓……温泉、どうたった?」

楓「(雪美ちゃん……pさんの膝に乗っている……)」

p「? どうかされました?」

雪美「……」

楓「……」

雪美「……」スッ

p「!(ん、雪美が自分から降りた……)」

p「ーーって、うわっ!」

ちひろ「!!」

楓「……」

p「(雪美が降りたと思ったら、今度は楓さんが膝の上に飛び乗ってきた……だと…!?)」

ちひろ「あわわわわ……」

p「(しかもこの姿勢は対面z」

楓「ーーん、プロデューサー…変なコト考えてません? ……めっ、ですよ」

p「(無茶苦茶言わんといておくれやす)」

p「い……一体、どうしたんですか? 急にこんな……抱きついてくるだなんて」

楓「……」

p「(顔が近い近い……って楓さん、今朝も温泉に入ってきたのだろうか……
ほのかに温泉や石鹸……あと、ちょっとだけお酒の匂いがする)」

楓「むっ……」ギュウウウウ

p「あだだだだ!!! 痛い、痛い……何故に」

楓「また失礼なこと考えているのでは……なんて」

p「(うぐっ、勘が良いというか、鋭いというか……)」

楓「……女性にそういうコト言うのも……思うのも失礼ですよ?」

p「……気を付けます」

p「(そんなわけで、現在に至る)」

楓「……♪」

ちひろ「……」

p「ちひろさん、その生暖かい眼差しはやめてくれませんかね」

ちひろ「いやいやそんな」

p「出来ればちひろさんからも楓さんに、退くよう頼んでほしいんですけど」

ちひろ「もープロデューサーさんったら、全然わかって無いじゃないですかー」

p「いや、分かってますよ?! こんなん食らったら誰だって分かりますよ……でも、その……」

楓「プロデューサー……?」

ちひろ「……?」

p「と……とっても……恥ずかしいと言いますか……」

楓「……ふふっ♪」

ちひろ「(あからさまに恥じらうプロデューサー可愛い)」

p「そ、そうだ楓さん、土産、お土産はどうしたんですか?」

楓「ああ、それならーー」

雪美「……これね」スッ

p「ちょ、雪美こっちに持ってきたら降りてもらうチャンスがモガッ」

楓「……残念でした。召し上がれ」

雪美「楓……楽しそうね」モグモグ

ちひろ「おいしいですね、温泉饅頭」

p「楓さん、そろそろ椅子役も疲れたんですけど
(こんなに密着して、色々堪えられないですし)」

楓「プロデューサーが椅子……? この椅子、ナイス……ふふ」

p「ああぁ……相変わらずマイペースなこの25歳児はもう……」

楓「プロデューサーは……pさんは、迷惑ですか」ギュッ

p「!」

楓「プロデューサー……最初は今回のロケ、ちゃんと着いてきてくれる、って言っていましたよね? なのに……」

p「すいません、雪美や和久井さんのこともあって、時間的にどうしても楓さんに付きっきりというわけにはいかなくて……」

楓「……」

p「それとその……楓さんも、始めた頃に比べて、随分とアイドルの仕事が板についたな……と思いまして、
ここは一つ、自分抜きでも出来るだろうか? という意味も込めて、
今回の話をーーウェッ?!」

楓「……」

p「ーーすいませんでした、ちょっと突き放すようなコトして。だから、泣くのだけは……」ギュッ

楓「ん……もっと強く抱きしめて下さい……不安だったんですからね」

p「…はいはい」

雪美「…」

ちひろ「(ちょっと妬けるかも。いいなあ楓さん……)」

ガチャリ

留美「ただいま戻りましたーーって……あら」

ちひろ「あ、和久井さんお帰りなさい」

雪美「お帰り……留美」

p「あ……和久井さん、その……お帰りなさい」
楓「留美さん、ワークからお帰るみ……ふふっ♪」ギュー

留美「(なんなのコレ)」

留美「高垣さん、久々で寂しかったのは分かるけど、ちょっとくっつきすぎよ。p君が迷惑していないかしら?」

楓「そんなことありませんよ……ねぇ、pさん?」

p「(さっきのさっきだものなぁ。もう、ノーと言えない)ま、まあ、やぶさかではないというか……」

留美「……」

ちひろ「(修羅場、重い空気が……)」

雪美「うらやましい……」

楓「雪美ちゃん。さっきはありがとうね。ーーそろそろ、こっちに来ない?」

雪美「! ……いい……の?」

楓「ええ、いいわよ」

雪美「……えいっ」

p「(そう言って雪美は俺と楓さんの間に割って入ってきました。何この天g……いや奇っ怪なサンドイッチは)」

雪美「~♪」

楓「一緒だと、暖かいわね」

留美「……」

留美「ーーずるい」

p「えっ」

留美「だったら、私はーー」ギュッ

p「(和久井さんのーーこの、後ろから腕を首に回してくるこのホールドは……あすなろ抱きっ!!)」

留美「ふふっ、この距離からは逃げられないわね?」ギュウッ

楓「急遽決まった単独ロケのせいで……私のハートはボロボロだったんですよ、プロデューサー?」ギュッ

雪美「p……そのお饅頭の残り……食べてもいい?」ギュー

p「ちょ、ちょ……和久井さんも楓さんも雪美も近い、近いよ……」

ちひろ「……」ジー

p「ち…ちひろさん…千川さん!!」

ちひろ「…」ジー

p「何故見ているんです?!」


<終劇>

ーー前川さんと漬物を忘れないでねーー

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