女「 グラスホッパー って、日本語で……?」 男「バッタとか、キリギリ スとか」 (29)


―どう考えてもバッドエンドにしかならない【トガビト】たちと、産声を上げる魔王―



はじめに


・副題は『モダンタイムス』

・二次創作というかオマージュというかパクリというか……
 要素要素をごちゃまぜにしてます

・人によってはキツイ描写もあり。閲覧は注意

・コンセプトは“いのちをだいじに”

・物語が始まるのは、ずっと先かも




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【2月14日 診察室】


男「……ほんとう、ですか?」

女「……マジ、で?」

医師「はい、本当です」



医師「それでは、今後について説明したいのですが……」

医師「……あらやだ」


ナース「ふ、2人とも白目を剥いて気絶してますぅ~」



男「」

女「」



医師「ときどきいるのよね~。こういう人たち」


医師「うふふふふふふ~」


医師「とりあえず、車イス持ってきてくれるかしら」

ナース「は、はひぃ~」



―――――――――

――――――

―――


【同年1月3日 街中にて】


男(まいったな)


テクテク


男(財布には、夢も希望も入っていない。小銭程度しか残っていない)


男(年末は、出費がかさむなぁ)


男(銀行に行ってお金を下してこなきゃ)



男(あ、四つ角の小神社で女の人がお参りしてる)

男(綺麗な人だな)


女「……」



女「……」



男(ずいぶん熱心に、何をお祈りしてるんだろう?)


男(…………)

男(おっと、こうしてる場合じゃない)

男(銀行に行かなきゃ)



テクテク



女(うぅ……)


女(気づけば、自分もアラサーの領域……)


女(あぁ、神さま神さま)


女(どうか、どうか今年こそは、いい彼氏に巡り合えますようにぃ……)


女(生れてこれまで10人の彼氏ができたけど、すぐにフラれちゃうのはもーしんどいです!)


女(いい人は、必ず近くにいるはず……だと信じたい。何故だか会えてないだけで!)


女(マジで、マジでいい出会いををををを…………!!!)


女(ほんともう、“ぜんぜん普通”の人でいいんで!)




女(顔とか年収とかどうでもいいです!)


女(飲む、打つ、買うとかは程々の、)


女(真面目な人を、誠実な人を…………!)


女(それから自分の、無駄に良い外見にホイホイ釣られない人とお付き合いがしたいです!)


女(ほんとに、マジでお願いしまっす!!!)



パンパン!


女「よーし、こんなもんでいいだろ」


女「あとはおみくじ引いて帰るとすっかな~!」


女「えっと、このおみくじ自販機に……」ガサゴソ


女「ひゃーくーえんだま~(←ドラ●もん風)を、2枚入れて、ポチッとなっと!」


ウィーン カシャッ


女「さて、何が出たかな~♪」


女「……」




女「うわぁぁ……【凶】だぁぁ」


女「うぅ……しかも肝心の恋愛のトコが、“待ち人来ず”て!」


女「……」


女「もっかい、もっかい引き直そう!」


ウィーン カシャッ


女「どれどれ……?」




女「うぉあああああああ、【大凶】かよぅ……」


女「ノーカン! ノーカン!!」


女「もっかい! もっかい!!」


【10分後】


男(さて、無事お金も引き落とせたし、今日はどうしよう)


男(普段さっぱり休みがないと、久しぶりの休日をどう過ごせばいいか分からない)


男(あれ。さっきの小神社に女の人がまだ居るや)


男(しかも、泣いている)


女「うわぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁぁぁあぁぁん!!!!」




女「……何コレ…………おかしくない………………?!」




女「うぅぅ……」

男(……)


女「どうまかり間違えば、【凶】やら【大凶】が10回連続で出てくんだよ」グスッ


男(あぁ、それはヒドイ)


女「しかも恋愛の所は全部“待ち人来ず”って……」


男(……逆にスゴイのかも)


女「10人にフラれ続け、半年も彼氏いない自分に対する当て付けかっ?! 恨むよ神さま……」グスッ


男(お気の毒に)


女「ええぃ、こうなれば、大吉が出るまで引き続けてやるぁ!」


男(がんばれ)


女「小銭はもうないから、この千円札をりょうy



ピュゥ~



女「ぬおっ、風でお札がっ!」


ヒラヒラ~


男「よっと」

パシッ!


男「あの、大丈夫ですか」

女(うほっ、いいイケメン!)


女「や、ありがとうございます!」

男「いえいえ、どういたしまし……」


男「……え」

女「あ!」


女「もしかしてアナタ、中学のとき同級生だった……○○くん?!」

男「あぁ。そういう君は、△△△さん、だよね」

女「うわー! そーだよぉ~! めっちゃ久しぶりジャン!」

男「あはは、ほんとにね」

女「あれから10年……いや、もちょっと経つのに自分のこと覚えててくれたんだぁ!」

男「うん。まぁ」




男(好きだった人だから、忘れられないよ)

男(それに、いろいろと、目立つ人だったし)


女「そーかー。覚えててくれたか~。うれしーなーぁ♪」

男「君こそ、あんまり話したことなかったのに、僕なんかをよく覚えてたね」

女「まーねー。自分は、一度あった人の顔は、絶対に忘れない特技があんだよ!」

男「へー」


ピュゥ~


女「うおっ! さぶっ」

男「今日は雪が降るらしいよ」

女「低血圧で冷え性の自分には堪えるわ~……」



女「ねぇ?」

男「どうしたの」


女「これからお茶しない?」

男「え」


女「ほら、久しぶりに会えたのに立ち話もアレじゃん!」

男「まぁ、だね」

女「あ、それともこれから予定ある?」

男「いや、今 日 は 何 も な い よ 」

女「うっしゃ! そりゃ好都合。この近くに雑誌で紹介されてたお洒落なカフェがあんだよね~」

男「そうなの」


女「前から行ってみたかったんだよねぃ~……とゆーわけで!」

ギュッ

男(ちょ! 手ぇ繋がれた?!)

女「一緒に行こっか♪」

男「あ、うん///」

女「ふふっ、たーのしみだな~♪」

男(手つながれた手つながれた///)ドキドキ


女(……)

女(自分の、オンナのカンが言っている!)

女(この人を落とすのはチョロイと♪)

女(彼氏を作るためなら、こんな偶然の出会いも、のがさねーぜ!)


男(……///)ドキドキ


【カフェ】

店員「いらっしゃいませ。こちらの席へどうぞ」

女「ありがとー」

店員「ご注文は?」

女「ケーキセットで!」

男「あ、僕も」

店員「かしこまりました」


女「や、しかしホント久しぶりだよねぃ~」

男「う、うん///」

女「んん? ナンか顔赤くない? だいじょーぶ?」

男「あ、うん。平気だよ。お店の暖房のせいかな。あはは///」

女「ふーん……」



女(あり? この反応、もう既に半分以上は攻略してね?)

女(手を握っただけで? なんというシャイボーイ……なんというチョロイン!)

女(よーし、このままグイグイ行ったろ!!)



男(困ったな///)

男(生れてこれまで、女性とこんな店で会話するなんてなかったから、)

男(どんな風に振る舞えばいいか、わからない……)


男「……」

女「~♪」

男(えっと、男性の僕から話題を切り出さなきゃ)


男「あの、さ」

女「なに?」


男「君って今どこに住んでるの? ここら辺……地元じゃないよね」

女「うん。S市のほうで1人暮らし。正月休みだから戻ってきたんよ」

男「あぁ、そうだったんだ」


女「ちなみにあなたは?」

男「僕は実家住みだよ。勤め先も近くにあるし」

女「へー」


女「どんな会社で、どんな仕事してんの?」

男「製造業なんだけど、小さい会社だから、設計開発から現場仕事、営業まで何でもやってる」

女「ほへー。忙しそうだぁ」

男「まぁ、やりがいはあるから」


男「君も何かお仕事してるの?」

女「うん。システムエンジニアしてる」

男「おお、SE。 かっこいいなぁ、OLさんなんだ」

女「や、そんないーもんじゃねーよ。突貫仕事に間に合わせるための、底辺土方要員だよ」

男「……よ、よく分からないけど」

女「聞いてよ、この前なんかさ……」


ピリリリリリ!


女「おっとゴメンね。上司からの電話だ~」

男「あぁ、気にしないで。どうぞどうぞ」

女「ありがと」



女「はい、△△△です」

女「……」

女「はい、部長。お疲れ様です」

女「……」

女「申し訳ございません。わたくし帰省しておりまして、すぐには……」

女「……」

女「ですので、K学園システム化の件は、わたくしではなく担当者に……」

女「……」

女「ええ……ええ………」


男「……」


女「はい、それでは失礼いたします」


ピッ


女「ふぇぇ……」

男「大丈夫?」

女「あー、まーた残業続きの日々が続くよぅ」グスッ

男「……」

女「ここんとこ土曜日も隔週出勤だし、平日は毎日夜8時まで仕事だぜ」

男「8時に帰れるのは、早いよね」

女「えっ?」

男「あっ、いや。遅いよね」

女「だよねだよね~」

男「……」


男(……)

男(僕は、“毎日朝7時から夜12時まで働いてる” なんて言ったら、ドン引きされるよなぁ)

男(……)


女「自分、社畜だよ。働いてばっかしだよ。どうしてこうなった?」

男「あはは」

女「こうなったら、遊べるうちに遊んじゃおう。今日はトコトン楽しもう!」

男「うん。メリハリは大事だね」

女「よーし」

女「すいませーん。ケーキもう一個お願いできます~?」


店員「ありがとう、ございました~」





女「やー、ケーキおいしかったー」

男「僕も。近所にこんなお店があるなんて知らなかった」

女「追加のケーキ分、奢ってくれてアリガト~♪」

男「いいよいいよ、これくらい」


女「さて、どーしよっか?」

男「あ、あのさ///」

女「んん?」


男「今日、まだ時間あるよね」

女「あるよ~。一緒に遊ぶ?」

男「う、うん///」パァァァ!

女(かわいいww prprしたいv)

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