男「妹が好きすぎて一線越えそう」(36)

男「ふとした瞬間に自分を見失いそうで怖いんだ。どう思う?」

男友「朝の挨拶よりも先に深刻なカミングアウトをしてきたお前が怖い」

男「だよな。やっぱり怖いよな……、はぁ」

男友「お前の気持ちじゃなくてお前その物が怖い」

男「あからさまに落ち込んでるんだから友人なら友人らしく元気出せよ、とか声かける場面だろ」

男友「そんな友人は青春ドラマにしか存在しないし、第一に俺のキャラじゃない。諦めろ」

男「薄情だな、お前って奴は」

男友「わーったよ。心底興味ないお前の悩み事に探りを入れてやるよ。どうしたシスコン?」

男「ありがとう。実はな」

男友「おう、なんだ」

男「事実婚だけじゃ満足できな」

男友「よし、今まで親友でいてくれてありがとう! 俺はお前のことをこれからずっと忘れる!」

男「ちょっと待ってくれよ! こんなんで崩れ去るような細い友情じゃないだろ! もっと貪欲に踏み込んで来いよ!」

男友「嫌だよ! お前との関わりを断とうとしてんのに何でガサ入れ要求をされなきゃいけないんだよ!!」

男「お前がなんでも相談に乗るって言うからそれを信じて打ち明けたんだろ!」

男友「厄介事の臭いしかしないんだから逃げて当然だろ! どんな状況でも友情で乗り越えられるとか思ってんじゃねえぞ! そして俺はそんな優しさを見せた覚えはない!!」

男「あーぁ、ったく。まあいい。とりあえず聞けよ」

男友「お前が主導権を握れてると勘違いしてるあたり心底腹立たしい。聞くだけだからな。意見求めんなよ」

男「俺の妹。ぶっちゃけどうよ」

男友「解散」

男「ごめん。謝るからもう1回チャンス頂戴」

男友「お前の一言一言が俺の爽やかなモーニングを蝕んでいることを忘れるな」

男「分かった。手短に済ませる」

男友「おら、話せ」

男「俺の妹は身内の贔屓を抜きにして可愛いと思う。思うか?」

男友「それは思う」

男「だよな」

男友「正直な話をすれば男と妹さんが兄妹であることに同情するくらいに外見はハイレベルだと思ってる」

男「はぁ……、なんで兄妹で暮らしてんだよ俺……」

男友「お前の家に両親いないんだっけか」

男「ああ、今はな」

男友「元気出せよ。妹さんに負けないくらい……、は高望みだけど負けず劣らずの子を捕まえるしかないな」

男「だよなぁ……その前に妹に玉砕覚悟で告ってみようかなぁ……」

男友「それで嫌われたら家で呼吸する度に首を括りたくならないか?」

男「女神の後姿が拝めれば嫌われていても俺は……っ!」

男友「もう好きにしろよ。そこまで心奪われてんならアドバイスのしようがないだろ」

男「そうだよな。朝っぱらから変な話に付きあわせて申し訳なかった」

男友「おう、まったくだ。俺が失った貴重な2分をお前は生涯をかけて穴埋めする責任がある」

男「自給なら24円くらいか。色付けて25円でいいか?」

男友「俺が守銭奴みたいじゃねえか。冗談で聞き流せよ」

男「そうだよな。冗談だよな。はぁ……」

男友「どんだけ心労抱えてんだよ。今からそのテンションだったら昼休みに窓から身投げしそうだな」

男「ありえるかもしれない。そのときは男友」

男友「おう。後ろからしっかり」

男「一緒に飛び降りてくれ」

男友「死んでも御免だ」

女「その返しはどうかと思う」

男友「うおっ?!」

女「あによ? なにその反応。大げさすぎでしょ」

男友「人の背後で会話に参加する奴が悪いだろ。もっとナチュラルに登場しろよ」

女「あんたらが私の席の真横でくっちゃべってたんでしょ。文句が言えるは私の方でしょ」

男「女か……、もしかして今の話し聞いてた?」

女「何も。男友が男君と昼休みに身投げする約束を結んだところだけしか聞こえてないよ」

男友「その会話が脳内で成立してたら何も聞いてないわ」

男「そっか……男友以外に聞かれたくなかったからよかった……、はぁ……」

女「男友。ちょっと」

男友「なんだよ」

女「ちょっと来なさいよ」

男友「ちょっ! 引っ張んなよ! 伸びんだろ!」

女「なら素直に来なさい」

男「男友ー」

男友「ちょっ! 力づくはっ! お、おう! なんだ?」

男「言うなよ?」

男友「言わねーよ」

男「ん」

女「ここなら聞こえないわよね」

男友「なんだよ。詮索されても口は割らないぞ」

女「なんであんなに男が落ち込んでるの? 先週まで血色良好で四六時中笑顔だったのに」

男友「知らねーよ。知ってるけど言わねーよ。本人から聞き出せ」

女「私は口が固いわ」

男友「根も葉もない噂の発信源は常にお前だろ。ゴシップ好き女子の代表格が何言ってんの?」

女「教えてよ」

男友「嫌だよ」

女「教えてって」

男友「嫌だつってんだろ」

女「あんたが男の妹と恋仲だって噂流すわよ」

男友「その噂がちゃんと広がると思ってんの?」

女「……コンマ秒で消滅するわね。あんたじゃ吊りあわないわ」

男友「もっとまともな嘘が吐けるようになろうな。じゃ」

女「あっ……、もう! なんなのよ使えないわね!」



男友「昼休みになったわけだ」

男「……ァ……カハァ……」

男友「飛び降りるどころか席から立ち上がるだけの気力も残ってなさそうだな」

男「……ィ……ガバゥ……」

男友「昼休みが終わるまでに校庭から数輪の花を持ってきてやるか。供えの意味で」

女「色々抜けてそうね」

男友「抜けきったが正しいな。真っ白だわコイツ」

男「ヮ……ギュ……」

男友「おーい、男ー、飯にすっぞー」

女「絶対に聞こえないって。男君を高いところから落とせば元に戻るよね?」

男友「えげつない発想するんだな」

男「ベ……ウ……レタ……」

男友「ん? もう1回言ってくれ。見事に聞き流した」

男「ベント……ワスレ……タ」

男友「哀れの一言に尽きる」

女「可哀相くらいの言葉でいいでしょ」

男友「とりあえず机寄せるぞ。弁当食わなきゃ俺が午後を乗り切れないからな」

女「私もいい?」

男友「お前とうとう女子グループからハブられて……」

女「引き千切るわよ?」

男友「何を?!」

男「……カファッ」

男友「オラ。麦茶くれてやるから現世に戻ってこい」

男「ごくごく……、ぷふぁっ」

男友「生き返ったか?」

男「ありがとう。3限に現国教師がヅラを被ってる悪夢を見た」

男友「あいつは自分を飾る人間じゃないから安心しろ。潔さがウリなんだ」

女「おかえり。ご飯どうするの? 購買で買うなら付き合ってあげてもいいわよ」

男「いや、いいよ。昼飯を抜いたくらいじゃ人間は死なない」

女「そう……、変な無理はしないでね。私でよければ相談くらいいくらでも乗ってあげるから」

男「ありがとう。そのうちな」

男友「捏造したいからって弱みに付け込むなよハイエナ」

女「あんたが弱ったら戯れでグランドに頭だけ埋めてあげるわ」

男友「それ完全に悪戯の域を脱してるぞ」

男「ああー、朝飯もあまり食えなかったから妹に心配されてんだろうなぁ……お腹空いたなぁ……」

男友「ラマダン宣言した矢先にそれかよ。俺のミニハンバーグくれてやるから帰宅まで命を繋ぎ留めろよ」

女「私のおかず半分あげるから死なないでね」

男「ありがとう。催促したみたいですまない」

男友「完全に同情を狙った要求だったぞ。ほら、ミニハン。手皿で受けとれ」

男「ゴチ。ケチャップたっぷりの部分貰ってすまんな」

男友「近々消えれるかもしれない友情だ。ありがたく受け取っておけ」

女「タコさんウィンナー、はい。あーんして」

男友「え?」

女「な、何よ。弱ってるんだから看病と一緒でしょ。変な視線向けるんじゃないわよ。甲斐甲斐しいだけよ」

男友「いや、裏が見えすぎて図々しいなと」

女「削ぎ落すわよ」

男友「何を?!」

男「さすがに食べさせてもらうのは……クラスメイトの前だし、な?」

女「そ、そう? やりすぎだった? ごめんね」

男「気持ちだけ受け取っておくさ。おかずはまた今度な」

女「男がいいならそれで……ちぇっ」

男友「残念だったな。可哀相だから鶏からをくれてやる」

女「あんたのカロリーでしょ。自分で処理しなさいよ」

男友「この揚げ物一色の弁当箱を見れば同情の念とか湧くだろ? コロッケ、から揚げ、海老フライ、ミートボール……」

男「ははは、それだけ手の込んだ料理なんだから感謝して残さず食えよ」

男友「耐えろ俺の肝臓……っ!」

男「次の授業は数学だっけ? 予習くらいしておくか」

男友「勉強熱心だな。それだけ勉学に前向きなら学年上位なのは頷けるわ」

男「おいていかれそうになったら教えてやるよ。けっこうケツの方だろ?」

事実婚だけじゃ我慢出来ないって…

既に一線越えてんじゃん

男友「まだ頑張れる。遊び時間を削ればまだ……たぶん」

女「私はちょっと自信ないから男君に教えてもらいたいなあなんて――」


『あ、あの! お弁当を忘れたお兄ちゃんはいますか?!』


男「マイスウィート!!」

男友「ぶふっ?!」

女「え? 今なんて?」

男友「あ、朝に大好きなデザートが弁当箱に入ってたのにって嘆いててな。あいつ大の甘党だからさ」

女「そうなんだ。甘いのが好きなんだ……」

男友「ば、馬鹿じゃないのかあいつ……」

妹「あ、お兄ちゃん! お弁当忘れちゃ駄目だよ。せっかく私が作ったのに」

男「ごめんな。いつもは確認するんだけど、朝の集会があるの忘れてて気付かなかったんだ」

妹「また鞄に入れておいてあげようか? お兄ちゃんが忘れたら私も悲しくなるんだからね」

男「ごめんよ。今度から3時間早く起きるようにするからさ、ね?」

妹「約束だよ? もう忘れたら嫌だからね」

男「一生を賭けて誓う。もう妹に寂しい想いはさせないと」

妹「え、えへへ。そこまでお兄ちゃんに言ってもらうつもりはなかったんだけどな。はい、ちゃんと渡したからね」

男「おう、ありがとうな」

妹「今日も図書館で待ってるからね」

男「放課後にな」

妹「ばいばーい」

男「ばいばーい」

『いい妹さんだよな』

『俺もあんなできた妹が欲しかった』

『家に救う愚弟と交換してほしいくらいだ』

『来世でお弁当を届けてくれる可愛い妹さんが俺と付き合ってくれるなら手首切ろうかな』

男友「俺には何も聞こえてない」

女「……すごい人気だよね。妹ちゃん」

男友「兄妹の会話を見せられただけでこの反応だもんな。確かにアニメみたいにあまりないシチュエーションだったけどさ」

女「あーあ、諦めよっかなぁ……」

男友「おう、諦めとけ。お前じゃ男に絡む下世話な噂は生み出せない」

女「そうじゃないわよ」

男友「違うのか?」

女「教えてくれなかったあんたには言わない」

男友「なんだよこいつら」

>>11
事実婚ってのは現在進行じゃなくて未来の話だ
勘違いさせる書き方だったらすまん

今日はこんなもん

とりあえず期待

女は男が好きなのか・・・?

なぜ俺には妹がいない

男「ただいま」

妹「おかえりー。ただいまあ」

男「おかえり」

妹「ただいま。えへへ」

男「今日はありがとうな」

妹「図書館で待つのはいつものことだもん。静かだから案外勉強も捗って嫌いじゃないよ」

男「それもそうだけど。弁当届けてくれてさ」

妹「それはお兄ちゃんの為だもん。何回もお昼休み前に持っていこうかなって考えたんだけど、渡すときはお兄ちゃんとゆっくりお喋りしたくて」

男「そのなこと気にしなくていいんだぞ。妹が望なら授業だってかまわないんだから」

妹「それはダメだよ。お兄ちゃんの成績が落ちちゃうもん」

男「そっか……、それはよくないな」

妹「そうだよ。私は真面目なお兄ちゃんが大好きなんだもん」

男「ぐふっ」

妹「おっお兄ちゃん?! どうしたの急に?!」

男「だ、大丈夫だよ。ちょっと吐血しただけさ」

妹「吐血自体が大変なことだよ?!」

男「そっか。妹は真面目な俺が好きだったのか」

妹「クラスのみんながね、お兄ちゃんの噂をするの」

男「噂?」

妹「勉強もできて運動神経も抜群だからモテないはずがないって」

男「そ、そんな風に思われてるんだ」

妹「お兄ちゃん、今日のお昼も女さんと一緒にいたよね?」

男「まあ、いたね」

妹「妹友くんがね。お兄ちゃんは女さんと付き合ってるんだって言うの」

男「っ?!」

妹「お兄ちゃんは女さんと付き合ってるの?」

男「そんなわけないだろ! そんなの妹友くんのでっち上げだ!」

妹「そっか……、そうだよね。お兄ちゃんはまだ誰ともお付き合いしてないんだよね」

男「そうだぞ。じゃなかったら妹といつも一緒に帰ってないだろ」

妹「でも、一昨日は」

男「あれはお互いに委員会の予定が急に変わったせいで……予測不能の事故みたいなもんだろ?」

妹「委員会がなくなったならお兄ちゃんがメールで教えてくれればよかったのに」

男「ごめんよ。あの日は男友と帰ってるから、男友に訊ねればちゃんと証言してくれるよ」

妹「本当に? 女さんや他の女の人と帰ってない?」

男「神に誓っても。言葉だけじゃ妹が信用してくれないなら髪の毛を全部剃ってもいい」

妹「そ、そこまでしなくていいよ! 分かった。私、お兄ちゃんの言う事信じる」

男「今度から用事が入ったら必ず連絡入れる。絶対に」

妹「約束だよ」

男「おう。約束だ」

妹「はい、指切り」

男「ははは、懐かしいな」

妹「約束だもん」

男「そうだな。約束だもんな。ほい、ゆーびきーりげんまーん」

妹「うっそついたーらはりせんぼんのーます」


『ゆーびきった!』


妹「これで約束したからね」

男「約束したな」

妹「えへへ、えい」

男「おっと、急に飛びついてきてなんだよ」

妹「小指の真似」

男「小指の真似ね。そうかそうか」

妹「うん!」

男「小指の真似か……かふっ」

妹「お兄ちゃん?! 大丈夫?! お兄ちゃん!!」

男「と、いう微笑ましいやり取りが昨日あった」

男友「さて、日誌でも取りに行くかな」

男「待てよ。聞き流すなよ」

男友「なっ?! あなたは誰ですか?! いきなり僕に何の用事ですか?!」

男「ふざけんな」

男友「ごふっ?! 鳩尾はやめろ、鳩尾は!」

男「やっぱり妹が好きで好きで仕方ないんだよ。……俺、絶対におかしいよな?」

男友「普通か異常かの2択なら物狂いだと思う。だけども兄あってのあの妹としか表現のしようがないわ。どっちもどっちじゃん」

男「妹にこんな感情を抱くなんて社会的にも人間的にも間違っているとは知っててもさ……あぁー……」

男友「告白すればいいじゃん。模試でもトップクラスの男だぞ? 部活の勧誘なのに顧問が契約金の話を持ち出す男だぞ?」

男「それはそれ、これはこれだろ。関係の無い話題を持ち出すな」

男友「もっと自信持てよ。俺がここまで推してんだから成功するって。妹さんも間違いなく男に惚れこんでるからさ」

男「男友に妹の気持ちの何が分かるってんだよ。男友に妹の何が分かるってんだよ!」

男友「ばっ?! 大声出すなよ!」

男「はぁはぁ……っ!」

『なんだ? 男友がまた男に変なこと言ったのか?』

『妹ちゃんから見た男友の印象でも聞き出そうとしたんだろ』

『埴輪とひょっとこを足して割ったような面してるくせに高望みか』

『あいつと同じ国籍なのが腹立たしい』

男友「この固く握った拳をどこにぶつけるか」

男「声を張り上げてすまなかった」

男友「これだけでその取り乱しようはそうとうキテるな。麦茶くれてやるから一息ついて頭も冷やせ」

男「助かるわ……ふぅ」

男友「落ち着いたか?」

男「おう、なんとか」

男友「巻き込むなとは言わないからもうちょっと俺を丁寧に扱ってくれよ。俺だって人間なんだからさ」

男「そうだよな。変なことに巻き込んで申し訳ない」

男友「腐れ縁じゃなかったらもうとっくに切ってるからな」

男「おう。配慮する」

女「おっはよー」

男「女か。おはよう」

女「悪意を感じるリアクションね。男君、おはよう」

男友「なんで会話にすっと混じってこれないんだよ。いちいち寿命縮ませやがって」

女「あによ。私にいちゃもんつけようっての? 後頭部に目がないあんたの過失でしょ」

男友「不条理だな! それで怒られるのは不条理以外の何ものでもないな!!」

『なんだよあいつ。妹ちゃん一本かと思わせておいて女さんとの二股狙いかよ』

『同性であることを恥じるわ』

『あーあー、1秒でも早く息絶えてくれねーかなー』

男友「……」

女「自業自得よ」

男友「ここにいると突発的に屋上に用事ができそうで怖い……」

女「お、男君はもう元気戻ったの? 昨日よりは幾分顔色よくなってるけど」

男「お陰様でな。まだ何も解決してないけど、言葉に出来ない安心感が生まれて」

女「そっか……、私いらずか……」

男「どうした? 女がしょげるなんて珍しいな」

女「なんでもないよ。男君が元気になったらそれでいいの」

男友「ふーん。性に合わないラッピングの小袋を後ろに隠しながらの台詞がそれかー」

女「っ?! な、何言ってんのよ! これはべつにそんなんじゃ!」

男「ん? 面白そうなの持ってんの?」

女「え?! や?! その、これは違くて……ね? ほら……」

男友「ガラ空きだぞっと」

女「なっ?! 盗るな馬鹿!」

男友「色気付いたことしてんなー」

男「なにこれ?」

女「ここここれはその、おおおお男君が少しでも笑顔になってくれればなぁって!」

男友「あの手この手で買収か。女の執念にはたまげるわ」

女「変なこと言わないでよ! あんたのせいで全部ぶち壊しよ!! ああもう最悪! 馬鹿! 削げろ!」

男友「俺は玉ねぎか何かかよ」

男「これ、俺のために?」

女「あ、うーえぁー……」

男友「名目上は元気付けたくて作ったそうだぞ。受け取っておけば?」

男「うーん……、そうするか。貰っておくよ」

女「えっ?! 本当に?! いいの?!」

男「せっかくの親切を無下にするのは失礼だし。ありがとう」

女「う、うん! 男君もありがとうね!」

男「ははは、女さんのありがとうはおかしいよ」

女「そ、そうかな? そう?」

男友「俺に振るな。受け取ってもらって嬉しいならおかしくないだろ」

女「そうだよね。あは、ははは」

男友「はぁ……なんか貧乏くじばっか引いてる気がする」

『あいつ女さんに話振ってもらってたぞ』

『不出来なくせして男とも仲良いし。よく醜態を晒せるよな。逆に尊敬するわ』

『まともな知性を持ってれば自害したくなってるはずだから、つまりあいつの脳みそはその程度なんだろ』

男友「……空……眺めて来るか」

今日はここまで
書き溜め尽きたらどうしようか

the童貞の妄想って感じだな

童貞がナニいってんだ?

乙、期待してます

友が不遇すぎる

コテ付けとく

男「お待たせ」

妹「お兄ちゃん! 全然待ってないよ。今来たところ」

男「それはさすがに嘘だろ」

妹「えへへ、バレちゃった」

男「今日はなんの勉強してたんだ? 5科目?」

妹「あのね、今日はお勉強お休みしてたの。それで違う本読んでたんだ」

男「どんなの?」

妹「お兄ちゃんが喜んでくれそうなお菓子の本。クッキーがいいかなって」

男「クッキー作ってくれるの?」

妹「私も負けてられないからね! 絶対に私の方が上だって教えてあげないと」

男「誰かと競ってるの?」

妹「それは秘密だよ。でも負けられないんだ」

男「そういえば、今日は家庭科の授業があったんだっけ。妹友くんとお菓子作り対決でもした?」

妹「ううん。今日はお昼ご飯を作るだけだから。それに見てる私がハラハラするようなキャベツの切り方をする妹友くんにはお料理で負けないよ」

男「そうだよな。妹の作る料理は全部美味しいもんな」

妹「先生や妹友くんにも褒めてもらっちゃった」

男「妹は人気者だよな。とても羨ましいよ」

妹「そんなことないよ。お兄ちゃんみたいに頭良くないから勉強もできないし、運動も苦手だし」

男「それこそそんなことはないよ。もっと胸張っていいんだぞ。妹のことはお兄ちゃんが誰よりも知ってるんだから」

妹「こんなところでそんなこと言わないでよ……恥ずかしいよ……」

男「赤くなって可愛いなぁ」

妹「からかわないでよぉ。この本借りてくるから待っててね」

男「おう。いっておいで」

妹「うん」

『あのー』

『お、妹ちゃんか。毎日通ってくれて俺も嬉しいよ』

『本が好きですから』

男「本が好き……か……」

『これだね。はい、図書カード。日付と本のタイトル記入して。それと本の裏の貸出し確認票にもね』

『はい』

男「……」

『貸出し期限は1週間だから、遅れないようにね』

『はい。ありがとうございました』

男「……はぁ」

妹「お待たせ。……元気なくなってるけど大丈夫?」

男「ちょっと悩み事をな」

妹「何でも相談してくれていいからね? 協力できることならなんでもするから」

男「どうしても我慢ができなくなったら、そのときに話すよ」

妹「うん」

男「じゃあ、帰ろうか」

妹「帰ろう! えへへへ」

妹可愛いな

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