千夜「ココアちゃんを弄って遊びましょう」ココア「え???」 (131)

千夜「最近、シャロちゃんをイジるのもちょっと飽きてきたわね……」

シャロ「…………」

シャロ「普通、それを本人の前で言う?」シラー

千夜「あれだわ、美味しい食べ物でも、毎日食べると段々飽きてくるのと同じね」

シャロ「……何の話よ」

シャロ「ていうか、やっぱり私をからかってる自覚あったのね!」ムキー

千夜「なんのことかしら」

シャロ「今更誤摩化したって無駄よ……」アキレ

千夜「そうねえ……次はココアちゃんでもからかってみようかしら」

シャロ「なんでココア?」

千夜「リゼちゃんはほら、軍人さんだから、怒った時の反撃が怖いでしょ」

シャロ「リゼ先輩は軍人じゃないわよ……」

ショロ「けど、先輩が怒ると確かに怖そうね……(ちょっと見てみたい気もするけど)」ボソッ

千夜「甘兎庵に核ミサイルでも撃ち込まれたら困るわ」

シャロ「先輩はそんなことしないわよ!!」

千夜「チノちゃんのほうは、からかうと罪悪感がありそうでしょ?」

千夜「あんないい子を弄って遊ぶなんてこと、とてもじゃないけど、私には出来そうもないわ」

シャロ「…………」

シャロ「ココアはいいわけ?」

千夜「不思議なことに、ココアちゃんには何をしても心が痛まない自信があるの」キラキラ

シャロ「…………アンタかなり酷いこと言ってる自覚ある?」

シャロ「ココアは大事な友達なんじゃないの?」

千夜「とても大切な私の親友よ」

シャロ「だったら」

千夜「だからよ」

千夜「ほら、よく言うじゃない。好きな子ほど虐めたくなるって」

シャロ「なんか間違ってる気がする……」

シャロ「まあ私から標的が移るのはいいことではあるけど」

シャロ「ココアが少し可哀想ね……」

千夜「善は急げよ」

千夜「早速ラビットハウスに遊びに行ってくるわ」

シャロ「…………」

シャロ「私も行く」

千夜「あらあら」

千夜(普段からかわれる側だから、からかう側に回ってみたいのかしら)

シャロ「……」ワクワク

千夜(楽しそうね)フフッ

……


……

ラビットハウス

千夜「こんにちわ~」

ココア「あ、千夜ちゃん! シャロちゃん!」

ココア「遊びに来てくれたの!?」

シャロ「まあそんなところよ」

千夜「ココアちゃんは今日も可愛いわね」

千夜「ラビットハウスの制服がよく似合ってるわ」

ココア「えへへ~、ありがとー」ニヘラー

ココア「千夜ちゃんとシャロちゃんも可愛いよ~」

千夜「特にココアちゃんは、両生類っぽいところが可愛いわよね」

ココア「両生類!? 私って両生類っぽいの!?」

千夜「ええ、子供の頃に皮膚呼吸してそうな顔してて可愛いわよー」

ココア「子供の頃に皮膚呼吸してそうな顔ってどんな顔!? 私そんな顔してる!?」

ココア「私だって口と鼻でしか呼吸できないよ!」

千夜「あらーそうなのー」マアー

千夜「ココアちゃんならいけそうだと思ったんだけど……残念」

ココア「私も一応、ホモサピエンスなんだけど……」

千夜「ネアンデルタール人?」

ココア「なんで旧人類!? 千夜ちゃんと同じ種族の生き物だよ!」

千夜「あら、そうだったの」マアマア

ココア「なんだか今日の千夜ちゃんは……」ハアハア

ココア「なんていうか…………いつも以上にお茶目さんだね」

千夜「そうかしら? うふふ」

シャロ(ココアをいきなり消耗させるなんて、さすが千夜ね)

リゼ「お、二人とも来てたのか」

シャロ「リゼしぇんぱい!!」

……


ココア「」トテトテー

ココア「わあっ!」コテッ

シャロ(あ、ココアが何もないところで転んだ)

シャロ(さっきの千夜の精神攻撃を受けて、動揺してたのかしら?)

千夜「ココアちゃん大丈夫?」ササッ

ココア「うん、なんとか……ありがとう、千夜ちゃん」アイタタタ

ココア「ちょっとバランス崩しちゃった、何も持ってなくてよかったよ~」エヘヘ

千夜「(シャロちゃん今よ、オペレーティングコード『お兄様』発動よ)」アイコンタクトー

シャロ「(はいはい、しょうがないわねー)」

千夜「でもさすがね、ココアちゃん」

ココア「え?」

千夜「いきなり転ぶなんて、逆に才能よ! すごいわ!」

シャロ「何もないところで転ぶなんて中々できることじゃないわ」ウンウン

千夜「それに、何も持っていない時を選んで転ぶなんて誰にでも出来ることじゃないわよ」

ココア「~~~~~」

リゼ「大丈夫かー、ココア?」

リゼ「なんだか顔が赤いぞ?」

チノ「ココアさん、顔が真っ赤です……」

千夜「どうしたのココアちゃん? もしかして熱でもあるの?」

ココア「違うよ~~恥ずかしいだけだよぉ~~!!」ジタバタ

リゼ「なんだ、転んだことが恥ずかしかったのか」

リゼ「ココアがドジなのはいつものことじゃないか」

リゼ「それに何もない所で転ぶなんて誰にでも…………誰にでも……ないか、ぷぷっ」

ココア「あ~~~、リゼちゃん、今笑った!!」プンスカ

リゼ「笑ってない……笑ってないぞ、ぷぷっ」フルフル

ココア「笑ってるよ~」モー

シャロ(ココアを傷つけないように、一生懸命笑いをこらえてプルプルしてるリゼしぇんぱぁい素敵です)

リゼ(いかん、笑っていけないと思うとなんだか急に面白さが込み上げてきた……耐えろ、私!)

チノ「そうです、失敗は誰にでも……誰にでもありますから」クスッ

ココア「あ~~、チノちゃんまで~!!」

チノ「違いますこれは……リゼさんの笑いが伝染しただけで決してココアさんのことを笑っているわけではありません」プルプル

リゼ「私か? 私が悪いのかコレ?」プークスクス

ココア「っ~~~~~~」バタバタ


……

ココア「もーーーーーみんな酷いよー」

千夜「ごめんね」

千夜「珍しく恥ずかしがってるココアちゃんが可愛くて、つい」

リゼ「あんなに恥ずかしがるココアって珍しいな」アハハ

チノ「ココアさんは多少の失敗では、動じたりしませんから」

ココア「その言い方だと、私がいつも能天気みたいだよ~」

千夜「あら、違ったの?」

ココア「千夜ちゃん~~」モー

千夜「冗談よ」ウフフ

シャロ「(ちょっと千夜)」

シャロ「(少しは手加減してあげないさいよ)」ヒソヒソ

千夜「(もしかしてココアちゃんの心配してるの?)」

シャロ「(一応ね……)」ゴニョゴニョ

千夜「(シャロちゃんはやさしいわね)」ウフフ

シャロ「(別にそんなんじゃないわよ)」

千夜「(大丈夫よ、ココアちゃんはあれくらいじゃ凹んだりしないわ)」

千夜「(むしろ全然ぬるいくらいよ)」

千夜「(ココアちゃん、さっき『恥ずかしい』って言ってたわよね?)」

シャロ「(それが?)」

千夜「(人ってね、本当に恥ずかしい時は、『恥ずかしい』ってことすら言えないものよ)」

千夜「(それに『恥ずかしい』って言葉にすることで、少しだけ恥ずかしさが薄れるの)」

千夜「(私はね、ココアちゃんが『恥ずかしい』って言葉も言えないくらい羞恥で悶えるところが見たいの)」ウフフ

シャロ(うわっ……私の幼馴染、怖すぎ……)

千夜「(何か失礼なこと考えてない?)」

シャロ「(考えてない考えてない)」

千夜「(どうせ、『私の幼なじみがこんな鬼畜なわけない』とか考えてたんでしょ?)」

ココア「そういえば、この前マヤちゃんとメグちゃんに会ったんだけど」エヘヘー

ココア「みんなでプールに行きたいって言ってたよ」

リゼ「そうか、この前行った時はココア達いなかったもんな」

ココア「ねえ、行こうよプール」

ココア「いいでしょいいでしょ」ネエネエ

リゼ「駄々っ子か」

チノ「でもココアさんにしては悪くない提案です」

リゼ「私も賛成だな」

シャロ「リゼ先輩が行くなら……」

千夜「私も行きたいわ」

ココア「なら決まりだね!」

千夜「それならココアちゃん抜きで行きましょう」

ココア「ん?」

ココア「んん??」

ココア「んんん???」

シャロ「いいわね、それ」

ココア「シャロちゃんっ!?」

リゼ(なるほど、ここは乗っかる場面なのか)

リゼ「ならココアには黙っていよう」

チノ「そうですね」

ココア「チノちゃんまで!!」

千夜「ならココアちゃんには内緒にしておくってことで決まりね」

リゼ「そうだな」

ココア「いるよ! 目の前に私いるんだけど!!」


千夜「あら、ココアちゃんいたの?」アラアラ

ココア「なんで『あーバレちゃった』みたいな顔してるの!?」

リゼ「いたのかココア」

チノ「まったく気づきませんでした」

シャロ(ごめんね……ココア)

ココア「最初からいたよ!!」

ココア「さっきまで普通にお喋りしてたよね!?」

ココア「というかこの話題出したの私なんだけど!!」

リゼ「なんだ、さっきまで話してたのはココアだったのか」ナルホドナルホド

ココア「みんな誰と話してると思ってたの!?」

千夜「ココアちゃんに似て非なる得体のしれない何かよ」

ココア「なにそれ凄く怖いんだけど!!」

チノ「ドッペルゲンガーってやつでしょうか?」

リゼ「出会ったら3秒以内に死ぬというあれか」

千夜「よかったわねココアちゃん、死なずにすんだわよ」

ココア「全然よくないよ!!」

ココア「私の目の前で、私をハブにする計画が立てられるところだったよ!!」

シャロ「残念ね……」

千夜「でもちょっと待って!!」

千夜「このココアちゃんは、本当に本物?」

チノ&リゼ&シャロ「!!!!????」

ココア「え?」

ココア「いやいやみんな何を言っているの?」

リゼ「確かに、言われてみると、いつものココアより胸が小さいような……」

ココア「リゼちゃんと比べたら、大体の人が貧乳だよ!」

シャロ「普段のココアの顔は、もっと知性に溢れていたような気がする……」

ココア「残念だけど元からこんな顔だよ!」

千夜「いつもより斜めってるわね」

ココア「斜めってるって何!?」

チノ「今日のココアさんは、水辺に棲んでいそうな顔をしています」

ココア「私ってそんなに両生類っぽい顔してる!?」

チノ「本物のココアさんだと主張するなら、何かココアさんっぽいことをしてください」

ココア「私っぽいこと!!!?」

シャロ(なかなかの無茶振りね……)

千夜(チノちゃん……可愛い顔して恐ろしい子)

リゼ(なんというキラーパス)

ココア「そんなこと急に言われても……」

シャロ「やっぱり出来ないのね」

リゼ「偽物めっ、本物のココアをどこへやった?」

千夜「私怖いわ……さっきまでココアちゃんだと思って仲良くお喋りをしていたのに偽物だったなんて」

ココア「さっきと言ってることが違うんだけど! 存在に気付いてなかったよね!」

チノ「ココアさん……偽物だったんですか」シュン

ココア「!?」

ココア(チノちゃんが残念がってる……)

ココア(どうすれば……)

ココア(チノちゃんが思う私っぽいこと…………つまり頼れる姉として、知性と品格を見せれば……)

ココア(なら、私に出来ることは……)

ココア(これだ!)

ココア「円周率を言うよ!」

ココア「 3.14159265358979323846264338327950288419716939937510582097494459230781640628620899862803482534211706798214808651……」

ココア「続きまして、√2」

ココア「1.41421356237309504880168872420969807856967187537694807317667973799073247846210703885038753432764157……」

ココア(どう? これで賢いおねーちゃんっぷりをアピール出来たはず)

チノ「……偽物です」

千夜「偽物ね」

リゼ「ああ、偽物だな」

ココア「なんでぇ~~!?」

千夜「100歩譲って、円周率を暗記していたとしても、√2まで暗記してるなんて怪し過ぎるわ」

シャロ「ココア記憶力悪そうだしね……」

ココア「円周率は覚えてたけど、√2は今計算して出したんだよ」エヘヘ

チノ&千夜&シャロ「…………」

リゼ「そっちのほうがキモイな……」ボソッ

ココア「今リゼちゃんキモイって言ったキモイって言ったしかも割と素だった!!」

リゼ「まあそんなことより」コホン

千夜(誤魔化したわね)

リゼ「もう一度チャンスをやろう」

ココア「チャンス?」

リゼ「今度ココアっぽい言動ができたら、本物だと認めてやる」

ココア「ホント!?」

ココア「よーし、頑張るよ!」

ココア(でもさっきのがダメなら、私っぽい言動ってどうすればいいんだろ?)

ココア(いつもの私を思い出して…………)

ココア(なんか自分のモノマネをするみたいで、ちょっと恥ずかしいかも……)

ココア(うううん)

ココア(落ち着いて、自然体自然体)

ココア(思ったことを言って、やりたいことをやればいいんだよ)

ココア「」ジッー

チノ「?」

ココア「チノちゃん」

ココア「ティッピーもふもふさせて」ニコッ

チノ「……」

千夜&シャロ「……」

リゼ(これは……)

リゼ(普通のココアっぽすぎて、コメントしずらい……)

千夜(予想以上にココアちゃんココアちゃんしてたわね)

千夜(テンパったココアちゃんが『あなたにはわからないでしょうねヒィエエエエエエエエ』みたいな言動を期待してたのにつまらないわ……)

チノ(ただのココアさんでした)

シャロ(ココア以外の何者でもないわね)

リゼ「チノ、判定を!」

チノ「……73点」

ココア「これはいい点数なのかな……?」

千夜「一応、ギリギリ合格よ」

ココア「やったー!!」ワーイ

ココア「じゃあこれで、私を本物だと認めてくれるんだね?」

千夜「でもこの点数では、まだ偽物という疑いを拭いきれないわね」

ココア「そこは素直に信じようよ!」

千夜「なのであなたは今日からココアちゃん(仮)よ」

ココア「(仮)!?」

チノ「『もう、ちゃんと仕事してくださいココアさん(仮)』……ちょっと言いにくいですけど我慢します」

ココア「私が仕事サボる前提なの!?」ガーン

リゼ「『ココア(仮)!! 節分の豆まきで、柿ピーの、ピーを使うのはやめろ!!』……確かにちょっと言いにくいな」

ココア「私そんなことしないよ~!」

千夜「あらためてよろしくね、ココアちゃん(仮)」

ココア「よろしくしないでよ~」

シャロ「(仮)がとれるといいわね」

……


ココア「……」イジイジ

チノ「ココアさんが、いじけてしまいました……」

チノ「お店の隅で、体育座りをしています」

リゼ「すまないココア、少し悪ノリしすぎた」

チノ「私も調子に乗りすぎました、すみません」

シャロ「その……悪かったわ」

千夜「ごめんなさいね、周りに流されてついココアちゃんをからかいすぎたわ」

シャロ(あんたは違うでしょ)

チノ「ココアさん、機嫌なおしてください」

千夜「そうよ、ココアちゃんが笑っていないと、私たちまで気分が落ち込んでしまうわ」

シャロ(だからあんたのせいでしょ)

チノ「ティッピーを好きなだけもふもふしていいですから」

ティッピー「なぬ!?」

ココア「もふもふ……」ムクリ

ココア「ハッ! しまった」ユラー

シャロ(もふもふに釣られたわね)

リゼ(いじけた態度、もう少し続けたかったのか)

ココア「……」

チノ「」ジッー

チノ「ココアさん、元気出してください」

ココア「もー、しょうがないなー」

ココア「大事な妹に頼まれたら断れないねー」ガシッ

ティッピー「ぎゃあーーーーーー」バタバタ

チノ「妹じゃないです」

シャロ「そこは否定するんだ……」

千夜「じゃあココアちゃん、私たちを許してくれるの?」

ココア「うん、もちろん!」ニコニコ

ココア「というか最初から怒ってなかったよ、ちょっと凹んでただけで」

千夜「まあ!」

千夜「さすがねココアちゃん!」

シャロ「少しくらい怒ったとしても、誰も文句を言わないのに」

シャロ「当たり前のように笑顔で許すなんてなかなかできないわよ」

千夜「そうよ、誰にでも出来ることじゃないわ」

リゼ(こいつら……本当に許してもらう気があるんだろうか……)

ココア「それじゃあ、私も一緒にプールに行っていいんだよね?」

千夜「…………」

ココア「なんでそこで黙るのっ!!?」

……


シャロ「今日のは、やり過ぎだったんじゃないの?」

千夜「そうかしら?」

千夜「私はそう思わないけど、もしそうだとしたら私のココアちゃん愛が暴走してしまったのね」

シャロ「あんたの愛情は絶対歪んでるわ」

千夜「そうでもないわよ。ほら、よく言うでしょ、『好きな子ほど虐めたくなる』って」

シャロ「それは前も聞いたわよ」

千夜「じゃあ『好きな子ほど精神的に追い詰めたくなる』ものね」

シャロ「なんか物騒!!」

千夜「でもシャロちゃんだってココアちゃんをからかって、なんだかんだで楽しんでたでしょ?」

シャロ「うっ、それは否定できない……」

千夜「後半あたりはノリノリだったものねえ」

シャロ「今になって罪悪感がひしひしと……」

千夜「やっぱりシャロちゃんはやさしいのね」

千夜「でも大丈夫よ、その痛みはそのうち慣れるわ」

シャロ「慣れたら人としてダメな気がする……」

……

ココア「チーノちゃん」ダキッ

チノ「こ、ココアさん」

チノ「急に抱きつかないでください」

ココア「え~、いいじゃん~」ギュッ

チノ「全然よくありません」

ココア「でもチノちゃんもふもふだよ~?」モフモフ

チノ「『でも』の意味がわかりません」

チノ「ちょっと離れてください」

リゼ(相変わらずこの二人仲良いな)

ココア「ねえ、チノちゃん」

ココア「私ってそんなにウーパルーパーに似てるかな?」

チノ「急にどうしたんですか?」

ココア「千夜ちゃんにも似たようなこと言われちゃったよ……」

リゼ(地味に気にしてたのか……)

チノ「いいじゃないですか、ウーパールーパー」

チノ「可愛いと思いますよ」

ココア「かわいい……」

ココア「えへへ、そうかなあ」ニヘラァ

リゼ(すごく嬉しそうだな……)

チノ「それに美味しいらしいですよ」

リゼ「えっ?」

ココア「うん?」

リゼ「ウーパールーパーって食べられたのか!?」

チノ「唐揚げや天ぷらにすると美味しいらしいです」

チノ「私は食べたことありませんが」

リゼ「ぅぅ……ウーパールーパーの唐揚げ……」

リゼ「ちょっと気持ち悪いな……」

ココア「あ、リゼちゃん! 今ウーパールーパーのこと気持ち悪いって言った!!」

リゼ「ちがうぞっ!」

リゼ「そういう意味じゃなくてだな……えっとその……」

リゼ「ほら、ティッピーの唐揚げとかあったらココアも嫌だろ?」

ティッピー「ぬう!?」

ココア「それはちょっと……」

チノ「ティッピーは食用じゃないです!」

チノ「それに食べても毛ばっかりできっと美味しくないです」

リゼ「食べたりしないから安心しろ」

ココア「でもウーパールーパーって食べられちゃうんだ……」

ココア「私はてっきり天然記念物的な生き物なのかと思ってたよー」

リゼ「確かに顔は天然っぽいな」

チノ「きっと中身も天然ですよ」

リゼ「ココアもそのうち捕獲されて唐揚げにされてしまうかもな」アハハ

ココア「私食べてもおいしくないよ!!」

ココア「でもチノちゃんになら、食べられてもいいかな……なんて」エヘッ

リゼ「どこかのアンパン型のヒーローを連想する倒錯的な愛だな」

チノ「私はココアさんの唐揚げなんて食べたくないです」

ココア「私の愛が拒否されたっ!?」

リゼ「私もちょっと嫌だな」

ココア「リゼちゃんまで~!」

ココア「そんなー、誰か私を食べてよ~!」

ティッピー「やれやれ……」

……


……

数日後

ココア「あ、シャロちゃんも今帰り?」

シャロ「うん」

ココア「じゃあ一緒に帰ろー」

シャロ「そうね」

シャロ「今日は千夜は一緒じゃないんだ」

ココア「千夜ちゃんは、数学の補習があって」

シャロ「まったく、何やってんだか……」

ココア「私も文系科目がダメダメだったよ」アハハ

シャロ「……」ジーッ

シャロ「なんか今日のココア、元気ないわね」

ココア「え? そんなことないよー」

シャロ「ならいいんだけど」

シャロ「何か悩みがあるなら誰かに相談しなさいよ」

ココア「うん……」

シャロ「私も……話くらいなら聞くから」

ココア「シャロちゃん……」ウルウル

ココア「シャロちゃ~ん!」ダキッ

シャロ「きゃっ」

シャロ「ひょっと、急に抱きつかないでよ」アタフタ

ココア「シャロちゃんはホントにやさしいね~」

シャロ「や、やさしくなんてないわよ」


……

ココア「実はね、最近千夜ちゃんが変なの……」

シャロ「千夜はいつだって変だと思うけど」

ココア「そうじゃなくて……」

ココア「なんだか私に冷たいというか……」

シャロ「冷たい?」

ココア「あれ……冷たいはちょっと違うかも」

ココア「むしろ前よりいっぱい話しかけてくれるし、一緒にいる時間も増えたけど……」

シャロ「ココアに対して手厳しい?」

ココア「そう、そんな感じ!」

ココア「なんか、頻繁に変なこと言ってくるようになったの」

シャロ(ココアが『変』と称するほどって、よっぽど意味不明なこと言ってるのね、千夜のやつ)

ココア「わからない……私、千夜ちゃんのことがわからなくなっちゃった」ガバッ

シャロ「あんた達は倦怠期のカップルかっ!?」

ココア「私……千夜ちゃんに嫌われちゃったのかな?」

シャロ「そんなことないわよ」

ココア「でも……」シュン

シャロ(あちゃー、珍しく本気で凹んじゃってるみたいね)

シャロ(もう……そんな寂しそうな顔されたらほっとけないじゃない)

シャロ「大丈夫よ」ナデナデ

ココア「シャ、シャロちゃん!?」

シャロ(しまった……なんか勢いで、頭撫でちゃった……)

シャロ「ココアは千夜のこと嫌い?」ナデナデ

ココア「そんなわけないよ!」

シャロ「じゃあ好き?」ナデナデ

ココア「うん、千夜ちゃんは大切な友達だから……」

シャロ「なら、きっと千夜も同じ気持ちよ」

ココア「だといいんだけど……」

シャロ(ああ、もう……なんで今日はとことんネガティブなのよ)

シャロ「これはあんまり言いたくなかったんだけど、千夜は私といる時は、いっつもココアの話ばかりしてるわよ」

ココア「私が皮膚呼吸しそう、とか?」

シャロ「どんだけマイナス思考なの!?」

シャロ「要約して話すと『ココアちゃんが好き過ぎてついからかっちゃうわ』ってこと」

ココア「ホント?」パァー

シャロ「ホントよホント」

ココア「よかった、私、千夜ちゃんに嫌われたわけじゃなかったんだね」ニコニコ

シャロ「凹んだり笑顔になったり、忙しいわね」ハァ

シャロ「千夜はあんな面倒な子だけど、これからも仲良くしてあげてね」

ココア「うん、もちろん!」

ココア「ありがとう、シャロちゃんのおかげで元気でてきた」

シャロ「私は別に何もしてないわよ」

ココア「うううん、シャロちゃんに頭撫でてもらった時、すごく安心したよ」

ココア「なんかおねーちゃんを思い出しちゃった……」

シャロ「そう……」

ココア「チノちゃんも言ってたけど、シャロちゃんってお姉ちゃんの才能があるのかもね」

シャロ「どんな才能よそれ……」ハア

ココア「でも負けないよ、チノちゃんは私の妹なんだから」キリッ

シャロ「なんで勝負になってるのっ?」

シャロ(まあなんにせよ、ココアの元気が出てよかったわ)

ココア「今日は本当にありがとう」

ココア「シャロちゃんが困ってるときはいつでも言ってね」

ココア「今度は私が力になるから!!」

シャロ「はいはい」

……


……

千夜「ココアちゃんが落ち込んでた?」

シャロ「そうよ」

千夜「それは私の望むところではないわね」

千夜「私がいないところで落ち込まれても、私はココアちゃんの落ち込んだ顔見れないでしょ」

シャロ「そこ!? 気にするのそこなの!?」

千夜「私も見たかったわ、ココアちゃんの落ち込んだ顔」

シャロ「あんた、ほんとにココアの友達?」

千夜「失礼ね」

千夜「私ほど、ココアちゃん愛に溢れている人はいないわ」

シャロ「……」

千夜「あなたにはわからないでしょうね」

シャロ「はあ?」

千夜「あら知らないの?」

千夜「今ナウでヤングな若者の間で流行っている言葉よ」

シャロ「色々間違ってる気がする……」

シャロ「ココア、あんたに嫌われたかもって落ち込んでたんだから……」

千夜「うふふ、私がココアちゃんを嫌うなんてことあるはずないのに」

シャロ「一応フォローしといたけど、これからはもう少しやさしく接してあげなさいよ」

千夜「そうね」

千夜「鞭だけじゃなく、たまには飴もあげないといけないものね」

シャロ「うん、もうカンゼンに友達に対する接し方じゃないんだけど」

千夜「そうと決まればさっそくココアちゃんに会いに行くわ」

シャロ「千夜だけじゃ心配だから私も一緒に行くわよ……」

……


……

ラビットハウス

千夜&シャロ「こんにちは~」

ココア「あ、千夜ちゃんシャロちゃん、遊びに来てくれたんだ」

千夜「(あら、思ったより元気そうね)」ヒソヒソ

シャロ「(さっきはすごく落ち込んでたんだから)」ヒソヒソ

ココア「???」

千夜「ココアちゃん」

千夜「愛してるわ」ニコッ

ココア「えっ!!!!?」

チノ「!!!?」

リゼ「ぶっ!!」

シャロ「(ちょっと! いきなり何言ってんの!!)」

千夜「(うん?)」

千夜「(だってシャロちゃんの話だと、ココアちゃん、私に嫌われたかもって落ち込んでたんでしょ?)」

千夜「(だからそれを否定するのには、こう言うのが一番だと思って)」

シャロ「(だからっていきなりあんなこと言われたら誰だってびっくりするわよ!)」

ココア「あはは…………ありがと……」

ココア「私も……千夜ちゃんのこと大好きだよ……」エヘヘ

千夜「まあ嬉しいわ」

千夜「私、ココアちゃんに嫌われちゃったのかと思ったから」シオシオ

ココア「え~! 私が千夜ちゃんを嫌いになるなんてことありえないよっ!!」

千夜「シャロちゃんが、私のせいでココアちゃんが落ち込んでるって言ってたから……」

シャロ「えっ!? 私のせい!?」

千夜「ごめんね、私の無神経な発言で、ココアちゃんを傷つけちゃったみたいで」

ココア「うううん、そんなことないよ」

千夜「私ね、好きな子にはつい意地悪を言っちゃうタイプなの」

千夜「はあ……こんな私ココアちゃんに嫌われても当然よね……」

シャロ(あれ……急にネガティブになった)

ココア「安心して! どんな千夜ちゃんでも嫌いになったりしないよ!」

ココア「千夜ちゃんは私の大切な友達だよ!」ニコッ

千夜「ココアちゃん……」パアァ

千夜「こんな私でも受け入れてくれるの?」

千夜「これからも変なこと言ってココアちゃんを困らせたりするかもしれないけど、それでもいいの?」

ココア「もちろん!」

千夜「ココアちゃん……」

シャロ(まさかこれを狙って……なんてことは、ないわよね)

千夜「ココアちゃん、愛してるわ」

ココア「あはは、私も千夜ちゃんのこと大好きだよ~」

ココア(愛してるって言葉、言われると少しドキっとしちゃうね……)

千夜「私たち、両想いね」

ココア「そうだね~」

千夜「つまり、私たち恋人同士ってことよねー」

ココア「そう……え???」

チノ「!!!??」

リゼ「ゴホッゴホッ!」

シャロ「はあ?」

千夜「ココアちゃんは私の彼女ってことでいいのよね?」

ココア「えっと……千夜ちゃん……」アセアセ

シャロ「千夜っ!!」

千夜「うふふ、冗談よ」

シャロ「は!?」

ココア「なんだ冗談か~、びっくりしたよ~」ホッ

千夜「私は別に本当にココアちゃんと恋人同士でも全然いいわよ」ウフフ

ココア「もう~、千夜ちゃんからかわないでよ~」

千夜「私は本気よ」ニコッ

ココア「あはは……」

ココア「でも私たち、女の子同士だよ?」

千夜「愛があれば性別も種族の壁も超えられるものよ」ウフフ

ココア「種族の壁って私千夜ちゃんと同じ人間だからね!」

ココア「前から言ってるけど両生類じゃないよ!」

千夜「私の卵生んでくれないの?」

ココア「生めないよ! 私ほ乳類だよ!」

ココア「もう~」プクー

シャロ「真面目に千夜の相手すると疲れるわよ」ハア

……

リゼ「結局千夜たちは何をしに来たんだ?」

チノ「さあ」

リゼ「ほんと騒がしいやつらだ」

リゼ(なんかチノ、不機嫌だな)

ココア「チーノちゃん!」ギュッ

チノ「暑苦しいですココアさんくっつかないでください」

ココア「あれ? なんかチノちゃん機嫌悪い?」

チノ「別に機嫌悪くないです」

ココア「なら今日寝る前に千夜ちゃんから借りた『へんな生き物』DVDを一緒に見ようよ」

チノ「嫌です一人で見てください」

チノ「それか千夜さんと見ればいいじゃないですか」

ココア「え~なんで怒ってるのー?」

チノ「怒ってません」

ココア「そうかなあ~」

リゼ(もしかしてチノのやつ……)

リゼ(あの日……なのか?)

リゼ「ちょっとチノ」

チノ「リゼさん?」

リゼ「チノはその……あれなのか?」ヒソヒソ

チノ「あれとは?」

リゼ「だからその……」ヒソヒソ

リゼ「女の子の日ってやつだよ」ゴニョゴニョ

チノ「はい?」

リゼ(会話が噛み合っていない……)

リゼ(チノは、私が言っていることを理解していない?)

リゼ(まさか……初めてなのか!?)

チノ「リゼさんが何を考えているのかわかりませんが、酷い勘違いをしている気がします……」

ココア「二人だけで内緒話してないで私も仲間に入れてよぉ~~」

ティッピー「やれやれ」


……

マヤ「プールプール!!」

メグ「楽しみだね~」

チノ「ココアさんが何度も日時と集合場所を確認してきて、ちょっと鬱陶しかったです」

ココア「だってぇ~、私だけ別の日時と場所を教えられてないか不安で」

チノ「そんなことするわけないです」ハア

リゼ「子供じゃあるまいしなあ」

千夜「そうよココアちゃん、私たちがそんなことするわけないでしょう」

シャロ「……」ジトー

ココア「あはは、そうだよね」

ココア「少し神経質になってたよ」

千夜「でも、この前みんなで行ったネズミの国は楽しかったわね」

ココア「え?」

リゼ「あー、あれは楽しかったなー」

チノ「私としたことが少し羽目を外しすぎました」

リゼ「チノはつけ耳がよく似合ってたな~」

千夜「シャロちゃんは一人だけ100均の卓球のラケットを頭につけてたわよね」

シャロ「そんなものつけるわけないでしょ!!」ウガー

ココア「うう~~~~私そんな話聞いてないよぉ~~」ガーン

ココア「私もチノちゃんのつけ耳見たかったぁ~~!!」

シャロ「一番ショック受けるとこそこなのっ!?」

千夜「冗談よ」ウフフ

千夜「本当はネズミの国になんて行ってないわ」

ココア「良かった」ホッ

ココア「私だけ仲間外れにされちゃったのかと」

千夜「ココアちゃん抜きで行くわけないじゃない」

リゼ「ああ、行ってない行ってない」

千夜「名前を呼んではいけないあのネズミ様と握手なんてしてもらってないわ」

チノ「みんなで仲良く記念撮影なんてしてないです」

リゼ「はしゃぎ過ぎて、帰りはみんなクタクタだったなんてこと、なかったよな」

ココア「実はみんな行ったの!?」ガーン

千夜「行ってないわよ」ウフフー

リゼ「うん、行ってない行ってない」

ココア「本当はどっち!!!???」

シャロ「そろそろ勘弁してあげたら……」



ココア「聞いて、マヤちゃんメグちゃん」

ココア「最近みんなのおねーちゃんの扱いが酷いんだよ~」

メグ「そうなの?」

マヤ「あはは、きっと愛されてるんだよー」

千夜「ココアちゃんがついに年下相手に愚痴りだしたわ」

リゼ「しかも普段妹と呼んでいる相手に」

チノ「もはや姉の威厳もへったくれもないですね」

シャロ(不憫過ぎてみてられない……)

メグ「あ、あのっ」

メグ「み、みんなココアちゃんにあんまり意地悪しちゃダメなんだよ~~><」

ココア「め、メグちゃん……」ウルウル

リゼ「なんていい子なんだ」

チノ「眩しくて直視できません」

千夜「メグちゃんを見てると、なんだか急に自分が邪悪な存在のように思えてくるわ……」

シャロ「あながち間違ってない自己評価だと思うんだけど……」

ココア「メグちゃんは私の自慢の妹だよ~~」ギュッ

メグ「もう~大げさだよ~」エヘヘ~

チノ「…………」

千夜「違うのよメグちゃん」

千夜「私たちのココアちゃんへの弄りは、ココアちゃんに対する愛なの」

メグ「そうなの?」

ココア「そうだったの!?」

シャロ「本人が一番驚いてるんだけど……」

千夜「ココアちゃんは、みんなに意地悪されて喜んじゃう体質の、ちょっと変わった子なの」

ココア「千夜ちゃんの中の私像絶対おかしいんだけど!!」

メグ「そうだったんだ~」

マヤ「ココアって変態だったんだね」アハハ

チノ「ココアさん……」

ココア「妹たちに誤解が広まっていく!!」ガーン

千夜「だから、メグちゃんもココアちゃんにいっぱい意地悪してあげてね」

ココア「私のメグちゃんを汚さないで~~!!」

チノ「そうです千夜さん、メグさんにあまり変なことを吹き込まないでください」

千夜「あら、チノちゃんにまで叱られちゃった」テヘッ

リゼ「確かに、ココアはともかく、メグにまで変なことを言うのはよくないな」

ココア「私はいいの!?」

メグ「なんかよくわからないけど、ココアちゃんをいっぱい喜ばせるように、わたし頑張るね」

ココア「頑張らなくていいから! メグちゃんはそのままのメグちゃんでいて~~」ダキッ

メグ「???」

……



リゼ「よし、戦争をしよう」

ココア「リゼちゃんがついに軍人さんとして目覚めちゃった!!」

マヤ「前にやったやつだねー」

メグ「あれ楽しかったね~」

マヤ「今度こそ負けないよ!!」

ココア「二人とも戦争経験者!?」

ココア「ベトナム帰りとかそういうやつなのかな……しかもメグちゃんにいたっては殺戮を楽しんでた……?」

チノ「水鉄砲戦争のことです……」

ココア「あ~なんだー、びっくりしたよー」

千夜「私、この前話を聞いた時から楽しみで」

千夜「この日のためにマイ水鉄砲を買っちゃった」ジャーン

シャロ「なにそれ! やたら物々しいんだけど!」

ココア「それホントに水鉄砲なの!?」

千夜「水鉄砲なのに対象年齢15歳以上で発売され、発売から三か月で販売中止になったいわくつきの銃よ」

シャロ「なんでそんなもの持ってきてるのよ!?」

ココア「千夜ちゃんに一番持たせちゃイケない物な気がする!!」

千夜「この『水面を揺らす紅色の叫喚』の威力は凄いのよ」

シャロ「なんか変な名前までつけてるし……」

千夜「最高威力で撃つと、水の入った2Lペットボトルを弾き飛ばせるの」

ココア「こわっ!!」

シャロ「そんなもの人に向けて撃たないでよ!!」

千夜「大丈夫よ、ココアちゃんにしか撃たないから」

ココア「私も人間だよ!!」

千夜「ココアちゃんは私の特別だから」ポッ

ココア「そんな特別嬉しくないっ!」

リゼ「とりあえずチームを決めるか」

ココア「はいはいー!」

ココア「私と妹チーム対リゼちゃん千夜ちゃんシャロちゃんチームがいいと思いまーす」

マヤ「私はそれでもいいよー」

メグ「私もー」

チノ「私も構いません」

千夜「でも少し、面白みに欠けるわ」

千夜「こんなのはどう?」

千夜「ココアちゃんティッピー青山さんの色物チームと、それ以外ってのは」

ココア「私色物!?」

シャロ「というか青山さん来てたんだ」

千夜「さあ……よくここに来るらしいし運が良ければいるんじゃないかしら」

ココア「運任せ!?」

ココア「それ実質私一人対全員ってことだよね!!」

メグ「人数は、出来れば均等なほうがいいんじゃないかなぁ」

ココア「メグちゃん~~!!」

千夜「さすがメグちゃんね」

千夜「私も同じことを言おうと思ってたわ」

ココア「一番偏りのあるチーム編成しようとしてたよね!?」

リゼ「今は全員で6に、じゃなくて7人か」

ココア「今誰をハブいたの!? 今誰をハブいたの!?」

チノ「ココアさん神経質になりすぎです」

リゼ「奇数だからどっちかが一人多くなるな」

マヤ「一人くらい、いいんじゃね」

リゼ「いや、私が審判をしよう」

ココア「審判ってなにっ!?」

シャロ「あえて損な役回りをするなんてリゼしぇんぱぁい素敵です……」

ココア「ねえこの遊び審判とか必要なほど本格的なものなの!?」



ココア「頑張ろうね、チノちゃんシャロちゃん」

チノ「多分一番頑張らないといけないのはココアさんのほうです」

シャロ「そうね、敵にはあの危険な銃を持った千夜がいるわ」

ココア「千夜ちゃんが敵に回るのは本当にやっかいだよ~」

シャロ「かといって味方でもあんまり嬉しくないんだけど」

チノ「ココアさんは水辺が得意そうです」

ココア「まかせて!」

チノ「きっと、水地面タイプです」

ココア「何の話!?」



シャロ「みんな分かれて行動しましょ」

ココア「かたまってると、一気にやられちゃうかもしれないからね」

シャロ(というよりココアに巻き込まれたくないだけだったり……)

チノ「みなさんご武運を」



千夜「さ~て、ココアちゃんはどこかしら~」ウフフー

千夜「圧縮圧縮空気を圧縮」シュコシュコ

千夜「圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮ぅ~」ウフフフ

ココア(こわっ! 千夜ちゃん怖すぎるよ!!)

ココア(しかもまっすぐ私の近くに来たし! 隠れなきゃ!)

青山「あれは空気を圧縮して威力を高めるタイプの銃ですねえ」

ココア「青山さん!! 本当にいた!?」

青山「あのタイプの水鉄砲は当たると結構痛いんですよ~」

ココア「戦意をそぐようなこと言わないで~」

千夜「ココアちゃん、み~~~つけった」ウフッ

ココア「ぎゃああああ! 話してたら見つかっちゃった!!」

ココア(でも千夜ちゃん、運動神経はそこまでよくなかったはず)

ココア(逆に返り討ちにしちゃえば……)

ココア「うえーん、こっち来ないで~」ピューピュー

ココア「千夜ちゃんの謎回避スキルで全然当たらないよ~」

青山「ココアさん、落ち着いて狙わないと当たるものも当たりませんよ」

青山「手元がブレブレです」

千夜「圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮」シュコシュコ

千夜「圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮圧縮」シュコシュコ

ココア「ひえ~~」ダッ

青山「あ、ココアさん、敵に背を向けては……」

千夜「えいっ」バシュッ

ココア「ぎゃっ!!!」

ココア「痛いっ! これホントにすんごく痛いっ!!」

ココア「濡れタオルで思いっきり叩かれてるみたいっ!!」

千夜「えいえいっ」バシュバシュッ

ココア「いたたたたたたたたたた!!!!」

……


ココア「うう……」

千夜「ごめんね、ココアちゃん」

千夜「ホントに今回はやり過ぎたわ」ハンセーイ

千夜「まさか撃たれた背中がヒリヒリ痛んで水に入れなくなるほどの威力だったなんて」

ココア「まだちょっとジンジンするよー」

千夜「背中さすったほうがいいかしら?」

ココア「しみるからやめてー!!」

……


……
………

ココアの部屋

コンコン

ココア「はーいー」

チノ「ココアさん……」ガチャ

ココア「チノちゃん、どうしたの?」

チノ「あの……今夜は少しお話ししたい気分なんです……」

チノ「最近ココアさんと、ちゃんと話せてなかった気がするので」

チノ「その、ココアさんが良ければですけど……」

ココア「チノちゃんとお喋りなら大歓迎だよ!」

チノ「背中はもう大丈夫ですか」

ココア「うん、もう平気平気」

チノ「千夜さんは悪気があってやったわけじゃないと思います」

ココア「そうだね」

チノ「千夜さんがココアさんに色々するのは、きっとココアさんが好きだからですよ」

ココア「そうだといいなぁー」

チノ「私も……」

チノ「いつも素っ気ない態度をとってしまいますけど……」

チノ「ココアさんのこと、」

チノ「嫌いじゃないですから……」

ココア「チノちゃん!!!!!」ダキッ

チノ「もうっ、ココアさん……」

チノ「あんまり抱きつかないでください」

ココア「えへへ、だってチノちゃんもふもふなんだもん」ギュッ

チノ「い、意味がわかりません」

ココア「チノちゃんは、私にもふもふされるのイヤ?」

チノ「別に嫌とは言ってないです」

チノ「ココアさんのにおいは……嫌いじゃないですし」

ココア「私もチノちゃんのにおいは好きだよ」

チノ「そうですか……」

ココア「ねえ、今日はこのまま一緒に寝ようよ!」

チノ「……仕方ないですね」

チノ「今日……だけですよ」

ココア「やったー!」

ココア「じゃあチノちゃんをもふもふしながら寝ようかな?」ギュッ

チノ「……」


……

ココア「なんだかこうしてると、私がここに来た時のことを思い出すね」

ココア「私、この町に来て、チノちゃんたちに会えて、ホントによかったよ」

チノ「…………」

ココア「チノちゃん?」

チノ「」スースー

ココア「ありゃ、寝ちゃってる」

チノ「……いもうとじゃないですムニャムニャ」スヤスヤ

ココア「あはは……」

ココア「おやすみ」

……



千夜「シャロちゃん起きて!」

千夜「ココアちゃんを凹ませる新しい方法を思いついたわ」

シャロ「ぅーん……」ゴシゴシ

シャロ「…………朝会って一言目がそれ?」

シャロ「千夜あんた、やっぱり脳の病気かなんかなんじゃないの?」ジトー

千夜「シャロちゃんの言葉にものすごい刺がっ!?」

千夜「小さい頃はとってもいい子だったのに、こんな毒を吐くようになるなんて……一体誰の影響かしら」

シャロ「目の前の誰かさんのせいだと思うけど……」

千夜「でもそうね、私、確かに病気かもしれないわ」

千夜「恋という名の不治の病ね!!」ドヤァ

シャロ「はあ、言うと思った……」

シャロ「で、どんな方法よ?」

千夜(なんだかんだで付き合ってくれるのね……そういうとこ好きよ)

千夜「人って苦手な分野で失敗をするより、自分の得意な分野で失敗をするほうが精神的ダメージが大きいと思うの」

千夜「だからココアちゃんの得意な分野で、ココアちゃんに失敗させて恥をかかせようと思うの」

シャロ「ココアの得意なことっていうと…………えっと、なんだっけ?」

千夜(何気にシャロちゃん酷いわね……)

千夜「数学よ、特に計算に強いわ」

千夜「この前、面白い問題を見つけたの」

千夜「それをココアちゃんに出して、みんなの前で間違えさせるの……うふふ」

シャロ「あんた和菓子に名前つけるときとココアをからかう時だけは本当にイキイキしてるわよね」

千夜「さあ、一緒に病気の原因を退治しに行きましょう」

シャロ「ココアはウィルスか菌かなにか!?」

……


……

ココア「ティッピーのもふもふ具合が ̄ ̄ ̄ ̄ ̄」

千夜「へえ~」

千夜「あ、そういえばね、この前テレビでココアちゃんの好きそうな面白い問題がやっていたわ」

千夜(ココアちゃんに怪しまれないように、自然な会話の流れで問題を出題するわ)

シャロ(どこが自然な流れなの!? ティッピーの話してたのに、いきなり問題出すって明らかに不自然でしょうがっ!?)

リゼ(あの千夜の顔、何か企んでる顔だな……)

チノ(千夜さんの顔、何か企んでる顔です)

シャロ(二人にはバレバレっぽいし!? さすがにココアも……)

ココア「面白い問題!? どんなどんな!?」ワクワク

シャロ(怪しむどころかめっちゃ食い付いてる!?)

千夜「えっとね」

千夜「ココアちゃんの前に、中身の見えない三つの箱があってね、その箱のどれか一つにティッピーが入ってるの」

ココア「もふもふボックスだね」

千夜「三つの箱のうち、一つを選ぶの」

千夜「それでココアちゃんは最初に真ん中の箱を選んだの。でもその時たまたま右の箱が少し開いていて、中にティッピーがいないことが見えてしまったのよ」

ココア「ふむふむ」

千夜「この時、もしもう一度選びなおせるとして、ココアちゃんは真ん中の箱を選んだままのほうがいいのか、それとも左の箱に変えたほうがいいのか、というのが問題よ」

ココア「どっちを選んでも変わらないね。真ん中の箱を選んでも左の箱を選んでも、もふもふ確率は1/2だよ」

シャロ「即答っ!?」

リゼ「私もココアと同じ答えだ」

チノ「私もです……」

千夜「ふふっ」

千夜(ココアちゃん、まんまとひっかかったわね!)

千夜「ざーんねん!」

千夜「ココアちゃん不正解よ」ニコニコ

シャロ(ホント、すごく嬉しそうに言うわね)

ココア「うーん、どっちを選んでも変わらないと思うよ」

千夜「うふふ、間違いが認められないようね」

千夜(哀れね、ココアちゃん……自分の負けを認めるのが遅ければ遅いほど多く恥を晒すことになるわよ)フフフ

千夜「この問題はね、私たちの感覚と違って、左の箱に選びなおしたほうが確率が上がるの」

ココア「えっとね千夜ちゃん」

千夜「なあに? ココアちゃんは納得がいってないみたいね」

千夜「ちゃんと説明してあげるわ」

ココア「そうじゃなくてね……」

ココア「その、言いにくいんだけど……」

ココア「多分問題が間違ってるよ」

千夜「はい?」

ココア「問題が間違っているというより、千夜ちゃんが出したかった問題とは違うと言うべきかな」

ココア「元ネタはモンティホール問題って有名なやつで、確かに元の問題だと選びなおすと確率が二倍になるんだけど」

ココア「千夜ちゃんが話した問題内容だと、そのままでも選びなおしても、確率は変わらないんだよ」

ココア「元の問題はゲームマスターが確信をもって外れの選択肢を教えてくれるんだけど、千夜ちゃんの問題では偶然に外れの選択肢がわかったことになってるよね」

ココア「それだとどっちを選んでも確率が変わらなくなっちゃうんだよ」

千夜「……」

千夜「えっと……」

千夜「日本語で説明してもらえる?」

ココア「日本語だよ! アイアムスピークアジャパニーズ!」

チノ「ココアさん、それ文法的におかしいです」

リゼ「せっかく賢いところ披露したのにその英語は酷い……」

千夜「……嘘……もしかして……間違えたのは、私のほうだったの?」ワナワナ

ココア「うん……問題を覚え間違ったのか、私たちにわかりやすいように改変したときに間違えたのかはわからないけど」

ココア「でも、本とかでも時々間違って紹介されてるときもあるから、仕方ないよ」

千夜「やだ……は、恥ずかしい……」カァー

千夜「ぅぅ……もういっそのことうさぎになりたい気分だわ……」

シャロ「自業自得ね」

ココア「千夜ちゃんって、時々おっちょこちょいなところあるよね」

ココア「この前の体育の時間も ̄ ̄ ̄ ̄」

千夜「ちょっとココアちゃん! それはみんなに言わない約束でしょ!」アセアセ

ココア「あれ? そだっけ?」

リゼ「珍しくココアが千夜を翻弄しているぞ」

チノ「しかもココアさんの場合、自覚がない天然なのが恐ろしいです……」

千夜「そうだわ! 私の話なんかより、シャロちゃんの小さい頃の話をしましょう」

シャロ「なんでよっ!?」ウガー

ココア「それいいねっ」

ワイワイ

リゼ「しっかし、ラビットハウスは今日も平和だなー」

チノ「そうですねー」

ココア「じゃあ間をとって、リゼちゃんの子供の頃の話をしよう」

リゼ「なんでだっ!?」

千夜「いいわね」

シャロ「私もしぇんぱいの子供の頃の話聞きたいです!」ワクワク

リゼ「なんなんだこの流れ!!!?」

チノ「まったく関係ないところに飛び火しましたね」

ワイワイガヤガヤ

ティッピー「ここもずいぶん騒がしくなったのう」

ティッピー「やれやれ」


おしまい

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