幼馴染「超能力が使える様になった」 男「へー、どんな?」(110)

幼「能力の謎は後々解る事だよ」

男「ふーん」

幼「何か、興味なさそうだね?」

男「僕、超能力とかオカルト信じてないからね」

幼「男は夢が無いなぁ」

幼「想像力も無い」

幼「金も無いし、背も足りない」

男「背はある!」

幼「私より低いじゃん」

男「低くない!」

男「て言うか、足りないって何に足りてないの?」

幼「んー、ナイショ!」

男「…そんな満面の笑みで内緒って言われても困るよ」

幼「何に困るの?何が困るの?」

男「ぶっちゃけ反応に困る」

幼「何で反応に困るの?」

男「…ナイショ!」

幼「まぁ良いけどさ」

幼「話しそれちゃったけどさー」

男「ん?」

幼「私、超能力使えるんだよ?凄くない?」

男「どんな能力なのか聞いてないので」

男「凄いかどうか解らないです」

幼「今日の私を見て、何か気付かない?」

幼「ただならぬ何かを感じない?」

男「別にいつもの幼に見えるけど」

男「え、何?超能力って、僕も感じる事が出来る物なの?」

男「んー、そう言えば、髪切ったよね?」

幼「あ、うん。超能力は関係無いけど、髪は切ったよ」

男「似合ってるよ」

幼「えへへ、ありがと」

男・幼「…」

男「で、超能力ってどんな能力?」

男「目からビームが出るとかなら羨ましいけど」

幼「ふっふっふ…そんな物よりもっと凄い能力なのです」

男「目からビームより凄いかー」

幼「もっとちゃんと私を見てみ?」

男「ちゃんと見てるけど、いつもと変わらないよ」

幼「おかしいなぁ…効いてないのかなぁ」

男「え?僕に何かしたの?僕に向かって能力を使ったって事?」

幼「そうでもあるし、そうじゃないとも言える」

男「そんな謎掛けみたいな物言いはご遠慮下さい」

幼「いやあ、だって実際そうなんだもん」

幼「おかしいなぁ…ちゃんと…」

男「ちゃんと、何?」

幼「私の能力は発揮されてるはずなんだけどなぁ」

男「僕に対して何かしたんなら、正直に白状して下さい!」

幼「んー…やっぱりナイショ!」

男「内緒の超能力か…ちょっと怖いなぁ」

幼「怖くない怖くないよー。ぜーんぜん、怖くないよー」

男「…まぁ、言う気になったらいつでも言ってね」

男「僕は待ってるから」

幼「ふっふっふ…そのうち、気が向いたらね」



その日の深夜

カラカラ
スタッ
コソコソ

幼「夜分遅くに、失礼しまーす」

幼「男、寝てるー?」

男「…」スースー

幼「…寝る時、部屋の窓に鍵かけないのは不用心だよー」

男「…」スースー

幼「良し、今日もぐっすり眠ってるね」

幼「それじゃ早速今日も写真をセットしますかね」

幼「最近の写真で駄目なら…」

幼「幼稚園の頃の写真ならどうかな」

幼「…これで男が私の事、夢で見ますように」

幼「それで、私の事を見るだけでドキドキしますように!」

男「…」スースー

幼「それじゃ、枕の下に…」
ゴソゴソ

幼「…ふぅ。ミッションコンプリート!」

幼「それにしてもぐっすり寝てるなぁ」

幼「寝顔、可愛いなぁ」

幼「…」

幼「はっ!?見蕩れてしまった!」

幼「気付かれない内に帰ろっと」

幼「それじゃね、男」

幼「良い夢が見られますように!」

男「…」スースー


ヒョイッ
カラカラピシャッ

次の日の朝

幼「おっはよー、男。朝だよー」

男「ん…お早う、幼…」

男「ふぁー…」

幼「目やにが凄い事になってるよー」

幼「早く顔洗ってきなよ!」

男「うん…そうするー」
フラフラ



幼「今の内に写真回収っと」
ガサゴソ

幼「さて、今日の成果はどうだろう」

幼「良い夢見れたかなー」



幼「さて男、今日はどうよ?」

男「さて?何が?」

幼「私を見て、何か思わない?」

男「…超能力の事?」

幼「うん、そうそう」

男「…見た目が変化する能力なの?」

幼「んー。私の見た目は変わらない…かな?」

男「ん?何かちょっと微妙な言い方だね」

幼「そう?で、どう?」

男「むー?」

幼「どう?何か心の底から湧き上がってくる物が…?」

男「いや、特に無いけど」

幼「んー…力が制御出来て無いのかなぁ」

男「その能力の正体を言う気は?」

幼「んー…まだナイショッ!」

男「まぁ…取り敢えず学校行こうか」

幼「そうだね」

幼「ところで全然関係無いんだけどさー」

男「うん?」

幼「男って幼稚園の頃の事ってどれくらい覚えてる?」

男「んー…幼稚園か…」

男「全部は覚えて無いけど、印象的なイベントはいくつか」

幼「例えば?」

男「お昼寝の時間、ある女の子が、おもらしを…」

幼「わーわー!」

男「何?」

幼「他には?何か面白い事!」

男「うーん…ある女の子が、ジャングルジムから飛び降りて…」

幼「わーわーわー!」

男「何?聞く気無いの?」

幼「もっと楽しいイベントは無かったの?」

男「んー?」

幼「例えば、とある可愛い女の子にチューされたーとか?」

男「そんな事は無かったと思う」

幼「結婚の約束をしたーとか?」

男「そんな事も無かったと思う」

幼「だよねー」

男「幼稚園の頃の事が気になるの?」

幼「や、何となく聞いてみただけだから!」

幼「気にしないで、あはは」

男「ん、解った」



幼「ねぇねぇ、幼友」

幼友「ん?何?また宿題?」

幼「違うよ。あ、宿題も見せて欲しいけど」

幼友「やっぱそうなんじゃない」

幼友「あんた、自分で問題解けるんだから、自分でやりなよ」

幼「いや、そうじゃなくてさ」

幼友「何よ」

幼「…何かニヤけてない?何かあった?」

幼友「ま、まぁね。人生を左右する様な事があったから」

幼「何なに?聞かせてよ!」

幼「私たち、幸せになる時は一緒に!でしょ?」

幼友「秘密だー」

幼「えー。お昼、ジュースおごるから」

幼友「駄目ー。しばらくしたら、ちゃんと話すからさ」

幼友「それより、何か用事じゃなかったのかい?」

幼「あ、そうだ。用事あるんだよ」

幼「幼友から習った超能力…て言うか、暗示?」

幼「全然効果無いみたいなんだけど」

幼友「あー…そう?おかしいなぁ…」

幼「どう言う事だよー」

幼「ビッグマックセット分の効力、無いんだけど」

幼友「それはアレだよ」

幼友「まだ教えてないとっておきがあるんだよ」

幼「何?」

幼友「それは別料金となっております」

幼「えー?ちゃんと最後まで教えてよー」

幼友「じゃあ、フィレオセットで良いよ」

幼「本当に効くんだよね?」

幼友「私が実行した時はちゃーんと効いたよ」

幼友「だから多分大丈夫だと思うよ?」

幼「じゃあ、フィレオセット、おごるから教えて」

幼友「仕方無いなぁ…それじゃ、お教えしよう」

幼「うん」

幼友「あのねぇ…囁くんだよ」

幼「囁く?」

幼友「寝てる男君の耳元でさ、そっと囁くんだよ」

幼「うん?何を?」

幼友「甘やかな愛の言葉とかをさ」

幼「愛の言葉…アィラーヴュー…とか?」

幼友「もっとよ!もっと甘く!アンタなら出来るはず!」

幼「甘い言葉!」

幼友「アンタがどれだけ男君の事が好きかって言うのを」

幼友「そのまんま、囁けば良いと思うよ」

幼「ん…難しいなぁ」

幼「この…男の事を想う気持ちは、強く大きい物なんだけど…」

幼「短く言葉にするのは…難しいなぁ」

幼友「あー、歌でも良いと思うよ」

幼友「とびきり甘いラブソングを歌っちゃいなよ」

幼「歌…」

幼友「ま、ホントは直接男君に」

幼友「『好きです』って言うのが手っ取り早いんだけどね」

幼「それが出来れば苦労しないよー」

幼友「大丈夫だと思うけどなぁ」

幼「断られた時、どうすんのさ」

幼友「だからー、大丈夫だって」

幼「絶対?100パーセント?」

幼「本当にそう言い切れる?」

幼友「それは…うーん…」

幼「もし駄目だったら、責任取ってくれる?」

幼友「しょうがないなぁ…」

幼友「じゃ、ダメだったら責任取って、オイラが嫁に貰ってやんよ」

幼「冗談はよせやい」

幼友「うん」

幼「女同士ってどっちが嫁なんだろうね?」

幼友「知らないよそんなこと」

幼「女同士って結婚出来ないよね?」

幼友「日本では多分出来ないね」

幼「まぁ、私は男の事が好きな訳だから…」

幼「幼友の気持ちに応える事は出来ないけどね」

幼友「ちょっと、何言ってんの?」

幼友「何で私の方があんたの事好きみたいな話しになってんの?」

幼「あー、話しそれちゃったけどさ」

幼「取り敢えず、耳元でささやき作戦を実行してみるよ」

幼友「おー、頑張りなー」

幼友「あ、一個だけ注意」

幼「ん?何?」

幼友「くれぐれも起こさないようにね?」

幼友「絶対に!起こしちゃ駄目だからね?絶対にね?」

幼「何?しつこいなぁ…それってネタフリ?」

幼友「…いいから、聞いときな」

幼「そりゃ起こさない様に注意はするけどさー」

幼友「親しいとは言え、夜中、勝手に部屋に侵入してるのって」

幼友「立派な犯罪だかんね?」

幼「そんな事解ってるよー」

幼「でもまぁ、思春期特有の奇行って言えばさ」

幼「大抵の事は許されるよね?」

幼友「それはどうだろうね?」

幼「もし男が起きても許してくれるはず!」

幼友「ねぇ」

幼「何?」

幼友「万が一起きちゃったら、押し倒しちゃえば?」

幼「冗談はよせやい」

幼友「うん」



帰り道

幼「男、今日も部屋に遊びに行って良い?」

男「良いけど…宿題大丈夫なの?」

幼「授業はちゃんと受けてるから大丈夫大丈夫」

男「大丈夫じゃないよ。その内怒られるよ」

男「幼友に宿題見せてもらうの、そろそろ止めなよ」

幼「まぁまぁ。本当に大丈夫だから」

男「…これで成績そこそこ良いんだからなぁ」

幼「だからー。学校の勉強なんてさー」

幼「授業をちゃんと受けてればそれで良いんだよ」

男「そう言えるのは一部の人間だけだよ」

男「そう出来ない人が一杯居るから、塾があるんだし」

幼「あ、ひょっとして男も予備校通うの?」

男「もうちょっと考えてからね」

男「今のままでも志望校行けそうなら、予備校行かないし」

男「正直行けそうな感じではあるんだけどね」

幼「それじゃ男もこっち側の人間でしょ」

男「僕は家でも勉強してるし、宿題も自分でやってるよ」

男「それで何とか成績維持してるんだから」

幼「私はそんなに長い時間集中してられないんだよー」

男「知ってるよ」

幼「家で教科書開いても、頭に入ってこないし」

幼「授業中と違って、先生に質問も出来ないじゃん」

男「そうだけど」

幼「予習なんて、授業の前に数ページ、パラパラっと」

幼「3分位、読んでれば十分だと思うな」

男「だから、それはマイノリティだと思うよ」

幼「とにかくー。今日も遊びに行くからねっ」

男「ゲーム機貸すから、自分の部屋でやれば?」

幼「配線が面倒だからヤダ」

男「それじゃ、お茶とお菓子用意して待ってるよ」

幼「うんっ!」



柴田勝家『ふん、勝利か…取り立てて語るべき事でも無い』

幼「…ふぅ、鬼柴田、コンプリートだぜぃ!」

男「おめでと。何人目?」

幼「50人目位かな?」

男「しかし飽きずに続けるよねぇ。無双オロチ2」

幼「全キャラレベル99にしたいじゃん?」

男「僕は取り敢えずエンディングが見られればそれで満足だよ」

男「幼は昔からやり込み型のゲーマーだよね」

幼「そこにトロフィーがあるなら、全部揃えたくなるのが人情じゃん?」

男「まぁ、解らなくもないけど」

男「さすがに100キャラ以上なんて頑張れないよ」

幼「そこを私が頑張るのです」

男「それを僕は宿題しながら、見てる訳ですけど」

幼「男も一緒にやろうよー」

男「んー、宿題で解んない所があって…」

男「絶賛悩み中です」

幼「ほうほう、どれどれ?」
ズイッ

男「幼、顔近い近い」

幼「ふむふむ、この問題かぁ」

男「授業中やってないと思うんだよね」

幼「…私の超能力で、解決してあげようか?」

男「え?幼の超能力って、宿題の答えが解っちゃう能力なの?」

幼「それは内緒ですけど」

幼「どうする?聞く?」

男「うん、是非教えて下さい」

幼「a=7、他の解、2/5」

男「いやいや、解き方を教えてくれよー」

幼「えー?今ので解るでしょ?」

男「……んー、大体解るけどさ」

幼「さっすが男。でもこれ授業中やってたよ」

男「マジで?」

幼「授業終わり際にちょこちょこっと」

男「あー…、俺がノートまとめてる時かー」

男「油断した…てか、やっぱ幼凄いなー」

幼「ふっふっふ、これも私の超能力の一部なのですよ」

男「俄然気になって来たぞ、超能力の謎!」

幼「まだ言わないけどねー」

男「あぁ、もうこんな時間だぞ」

幼「ホントだ、そろそろ帰らなきゃ」

カラカラ
幼「それじゃ、また明日ね」

男「玄関から帰りなさい」

幼「だってここから入って来たから、靴無いもん」

男「それじゃ今度からちゃんと玄関から入って来なさい」

幼「そうだよねぇ。窓から出入りなんて、上品じゃないよねぇ」

男「そうそう。親しき仲にも…」

幼「だが断る!」

男「えぇー?」

幼「実は私は自由に窓から出入り出来る超能力も持っていたのだー」

男「それはもう全然超能力じゃないよ」

幼「んじゃね、お休み、男。良い夢を」
ヒョイッ

男「お休み、幼。また明日」



その日の深夜

カラカラ
スタッ
コソコソ

幼「男ー、寝てるー?」

男「…」スースー

幼「いつもながら見事な眠りっぷり」

幼「それでは愛の囁き作戦、開始しますか!」
そーっ

幼「…」

幼「保育園の頃からずっと一緒だった、貴方の事が」

幼「好きで好きで、大好きです」

幼「いつも私を守ってくれて」

幼「だらしのない私に注意してくれて…」

幼「いつも心配かけちゃってごめんね」

幼「でも、心配かけてれば、男はずっと私を見てくれるかなって」

幼「私なりに考えての行動なんだよ?」

幼「余裕ぶって勉強出来るフリしてるけど…」

幼「本当は男のレベルについて行くのに必死なんだよ?」

幼「男が行く大学に、ついて行けるように…」

幼「授業中も内容を理解しようって必死だし」

幼「本当は朝、男を起こしに来る1時間前に起きて」

幼「家で予習してるんだよ?」

幼「怖くて志望校聞けないけど…ついて行くのは…良いよね?」

幼「世間じゃ初恋は実らないって言うけど…」

幼「私はこの恋、実らせたい…」

幼「実は小さい頃、結婚の約束してた!なんて事は無いけど…」

幼「でも、将来男と結婚したいよ」

幼「私の持ってる物全部ぜーんぶ、男に上げるから…」

幼「私の事を見て欲しいよ」

幼「ずっと隣りで、私だけ、見てて欲しい…」

幼「寝てる貴方に囁きかけて」

幼「すぐに振り返って貰えるとは思わないけど」

幼「それでも何もしないより少しはマシだよね?」

幼「大好きな男の為に、愛の言葉を囁くよ」

幼「それで少しでも私の事、見てくれるなら…」

幼「それが私の超能力」

幼「…」

幼「愛してるよ、男…」

幼「ふ、ふぅ…、囁きはこんなもんで良いかな?」

幼「私はちゃんと夢に出てるかな?」

男「…」



幼「…男、寝相良いなぁ」

幼「…まつげ長いなぁ」

幼「ねぇ男、今夜は月が綺麗ですよ?」

男「…」

幼「男の顔が月明かりに照らされて、とっても…」

幼「とっても…」

幼「…」

幼「……」






チュッ

幼「…やっちゃった」

幼「やっちゃったコレ…」

男「…」

幼「うわー…さすがにこれは犯罪…だよね」

幼「…」

幼「ま、住居不法侵入も充分犯罪だけど」

男「…」

幼「男が私の事、好きじゃなくても」

幼「これが私のファーストキス」

幼「絶対に忘れない、大事な大事な…」

幼「…」

幼「本当に愛してるよ、男…」

男「…」

幼「…」

幼「はぁ…何でこれを男が起きてる時に言えないかなぁ、私」

幼「そ、それじゃ、次は歌っちゃおうかな、愛の歌を!」

幼「小声でね」


幼「それじゃいくよっ」

幼「きらーめくー星空のした~♪」

幼「私、あなたの事を想うの~♪」

幼「その素敵なー笑顔は私の心を~♪」

幼「宇宙の彼方までーはーばーたーかーせるの~♪」

幼「あぁ、恋の彗星が~私のハートに直撃したら~♪」

幼「宇宙の色がピーンク色ーにー」

幼「そ・ま・る・のっ!」ピョン

幼「恋の超新星爆発っ♪」

幼「私達の距離も一気に超爆縮~♪」

幼「恋のメテオストライク~♪」

幼「君のハートに~と~ど~けっ♪」ピョンピョン



男「…あのー、幼さん?」

男「深夜なんで、もうちょっとトーン下げて?」

男・幼「……………」

幼「お、男っ?い…いつから起きてたっ?」

男「さすがに歌はちょっと…」

幼「どどどどこから聞いてた?」

男「どこから?」

幼「歌?歌で起きたんだよね?」

男「えーっとね」

幼「『保育園の頃からずっと一緒だった、貴方の事が』…って所から」

幼「最初からじゃないの!」

男「うん、まぁ、窓から入って来た時から起きてたし」

幼「!?」

男「少し前まで勉強してて、まだ寝てなかったんだよ」

幼「そ、それでアンタ!何で黙ってたのよ!」

男「ん、ちょっと面白そうだったから?」

幼「それじゃ私の気持ちも…」

男「バッチリ全部聞こえちゃいました」

男「急にキスされて超ビックリしたけど」

男「でも歌は良いけど、踊りは問題あるよ、幼」

男「家族が起きて来たら、言い訳出来ないし」

幼「…オワッタ」

男「ん?何が終わったの?」

フラフラ
ヒョイッ

男「あれ?何で自分の部屋に戻っちゃうかな?」

男「おーい、幼さーん?」

ガサゴソ

男「おーい…」

男「……」

男「…仕方無いなぁ」

スタスタ
ヒョイッ

男「久しぶりに窓からお邪魔しまーす…」

幼「アレ…ドコニ…シマッタンダッケ…」
ガサゴソ

男「幼?何探してるの?」

幼「アァ…アッタアッタ…」
ギュッ

男「幼?」

幼「ねぇ、男…私ね?」

男「う、うん」

幼「新しい超能力が使えるようになったみたいなの」

男「へ、へぇー。それはおめでとう」

男「ちなみにその新しい能力と、右手に持った木刀は関係ある?」

幼「そうね…これは魔法のステッキみたいな存在ね」

幼「能力を使うには必須アイテムなの…」

男「そ、そっかー。でも夜も遅いし、今日はもう寝た方が…」

幼「大丈夫、ウチの両親、今旅行中って知ってるでしょ?」

男「知ってるけど、明日も学校だよ?」

幼「そうね…だから早く私の超能力を体験してくれる?」

男「いや、僕は…」

ブンッ!
ガシッ!

男「いっ……たい!!!」

幼「へぇ…真剣白刃取りなんて、やるじゃん、男」

男「白刃取ってないよ!ただ手で受け止めただけだよ!」

男「手のひら、すげー痛いよ!」

男「幼!照れ隠しにしてもこれは…痛いよ!2つの意味で!」

幼「大丈夫…能力が発動すれば、そのイタさも消えるから…」

男「まさかとは思うけど、その能力って、記憶を消すとかじゃないよね?」

幼「…あら、よく解ったわね。まさか男も超能力を?」

男「木刀で頭殴ったら記憶が消えるとか、ありえないから!」

幼「…何事もチャレンジする事が大事でしょ?」

男「その前向きな考え、今は要らないから!」

男「大体、何で僕の記憶を消そうとするの!」

幼「知られちゃった…私の気持ち…」

男「だから何で、その記憶を消そうとするの?」

幼「終わっちゃったから…」

男「だから、何が終わったの?」

幼「私の…初恋…」

男「え?終わっちゃったの?」

幼「男が記憶を失わないなら、もう私が死ぬしかない…」

男「何言ってんの?」

幼「だ、だって、聞かれちゃったし…」

男「うん、で?何で終わったの?初恋」

幼「え?」

男「なんでそこは後ろ向きなの?」

男「終わったとか言うのは、僕の返事を聞いてからでも遅くないんじゃない?」

幼「そ…それじゃあ、返事聞いても良い?」

男「…もうとっくの昔に気付いてたと思ってたのになぁ」

男「幼は勉強は出来るのに、鈍感だよね」

幼「回りくどいの嫌い…早くハッキリ言って欲しい…」

男「えーっとつまりですね…」

男「月が綺麗ですね…我君を愛す…で、良いかな?」

幼「…ホントに?」

男「本当」

幼「ホントにホント?命賭ける?」

男「命賭けても良いよ」

幼「そんなにあっさり命賭けて良いの!?」

幼「命の価値を軽く思ってない?」

男「軽くは思ってないよ、本気だからね」

幼「それじゃ、本当に…私の事、好き…なの?」

男「うん、本当に好きだよ、幼」

幼「そ、それじゃ、あの…証明して欲しい」

男「うん?」

幼「ちゃんと…ぎゅってして、キスしてもらっても良い?」

男「喜んでー」

ぎゅうっ

幼「あ…」

男「幼、本当に好きだよ…」

幼「うん…」

チュッ


幼「…夢みたいだよ」

男「俺もだよ…」

男「でもまさか、夜中に耳元で…」

男「急にあんな事囁かれるとは思ってなかったよ」

男「急にキスされたのもビックリしたし」

幼「…それについてはゴメン」

男「結局、超能力なんて無くてもさ」

男「相思相愛だったって事でめでたしめでたし?」

幼「う、うん…ハッピーエンド…だね」

男「あ、それはそうとさ」

幼「何?」

男「さっきのあの歌…あれ、誰の歌?」

幼「…」

男「振り付けも決まってたし」

男「続きを聞きたいなぁ…って、幼?どうしたの?」

幼「…ワスレテ」

男「え?」

幼「やっぱ恥ずかしい!歌の部分だけ記憶無くしてっ!」
ブンッ

男「あぶなっ!ちょ!やめっ!」

幼「大人しく私の超能力を喰らえっ!」
ブンッ

男「く、喰らうのは超能力じゃないよね!?」

男「照れ隠しで振り回された、木刀の一撃だよねっ!?」

幼「私が真夜中、男の部屋に不法侵入して…」

幼「自作のラブソングを歌って踊ってたなんて事実は無かったんやー!」
ブンッ

ギャー


おわり
けどちょっとおまけあり

『幼友の超能力』


幼に囁きかけを教える前日の深夜

カラカラ
スタッ

幼友「おっ邪魔っしまーす」

友「…」スースー

幼友「ふっふっふ…今日もよく寝てらっしゃる」

幼友「さて!今夜も囁くわよー」
そーっ

幼友「…あんたはお隣に住んでる幼友ちゃんの事が好き」

幼友「幼友ちゃんの事が好き、幼友ちゃんの事が大好き」

幼友「幼稚園の頃にした、結婚の約束を果たす」

幼友「結婚の約束を果たす、幼友ちゃんと結婚する」

幼友「むしろお隣の幼友ちゃんの事が好き過ぎて辛い」

幼友「明日、幼友ちゃんに好きって言いたくなーる」

幼友「目が覚めたら、幼友ちゃんの事しか考えられなくなーる」

幼友「…幼友に愛してるって言いたくなーる」

幼友「毎晩寝てる間に囁き続ける健気な幼友ちゃんに好きって言いたくなーる」

幼友「いい加減そろそろ暗示にかかれって思ってる幼友ちゃんに…」

幼友「私に…好きって…言いなさいよ、バカ」

幼友「…」

幼友「……」

幼友「愛してるよ、友…」
ボソッ

友「俺もだよ、幼友」

幼友「!?」

幼友「あ、あんた、起きてたの?」

友「おう、起きてたぜ」

幼友「いつから?」

友「最初からだよ」

幼友「さ、最初って?」

友「お前が俺の枕の下に写真を入れに来た時からだぜ」

幼友「ま、マジで?最初からじゃん!」

友「うん、最初からだぜ」

友「大体なぁ…」

友「部屋に人が入って来た事に気付かない訳無いだろ?」

幼友「勝手に入ってごめん…」

友「それは別に良いけど…それにしてもよー」

幼友「何?」

友「…やっと自分の気持ちを言いやがったな」

幼友「う…」

友「俺に自分の事好きって言わせようとしやがって」

友「ずっと目瞑って聞いてるこっちの身にもなれっつーの」

幼友「だって、起きてるとか知らなかったし…」

友「実はかなり辛かったんだぜ?」

幼友「ん、ごめん?」

友「好きな人に耳元で囁かれるってのは」

友「まぁ、悪い気はしなかったけどよ」

友「好きって言えーって言うばっかりでよー」

友「自分がどう思ってるのかを全然言わねーし」

幼友「…なんで声かけてくれなかったの?」

友「意地だよ、意地」

幼友「意地?」

友「お前が一言、好きって言ってくれたら」

友「飛び起きて、驚かそうって決めてたんだよ」

友「逆に、好きって言われるまでは」

友「絶っ対に寝たフリで通そうと決めていたのだ!」

幼友「…バカ」

友「でもまぁ、俺の気持ち、伝わっただろ?」

幼友「うん…」

友「両想いだったってこった」

幼友「嬉しいっすね、へへへ」
グスッ

友「泣くなよ、バカ」

幼友「嬉し泣きっす」

友「解ってるよ」

幼友「…あんたの事、鈍感だと思っててゴメン」

友「結婚の約束も、守れるように努力するぜ」

幼友「うん…私も頑張るよ」

友「それじゃ、夜もおせーから今日はもう帰りな?」

友「明日からちゃんと…な?」

幼友「あのさ…一個だけお願い」

友「ん?」

幼友「一回だけ、私の事、ぎゅってして?」

友「お、おう、いいぜ」

ぎゅっ

幼友「う、うれしいっすね、へへへ」

友「俺もだぜ。好きな人と抱き合えるって、良いな」

幼友「へへ…ね、友」

友「ん?何だ?」

幼友「このままキスしちゃおっか?」

友「ん…良いのか?」

幼友「今日の事が夢じゃ無いって」

幼友「思い出に…ね?」

友「おう…これからもずっと、宜しくな、幼友」

チュッ

幼友「…これ、私の超能力が発揮されたって可能性は無いかな?」

友「ねーよ、バーカ」


『幼友の超能力』おわり

『披露宴の友人代表挨拶は親友がやるものだよね』


幼馴染が照れ隠しで木刀を振り回した次の日

幼「で、男は最初から起きてたって訳さ」

幼友「へぇ…でも、結局上手く行ったんだ?」

幼「うん。男も私の事好きだって」

幼友「それはおめでとうございます」

幼「えへへー、すまないねぇ、私だけ幸せになっちゃって」

幼友「や、私も彼氏居るけど」

幼「冗談はよせやい」

幼友「いや、マジだから」

幼「え?マジで?」

幼「う、裏切り者!」

幼友「別に裏切ってないでしょ」

幼「『幸せになる時は一緒にね』って約束は嘘だったの?」

幼「私の親友はツンデレだったんや…」

幼友「まぁ、仲が良い程喧嘩するって言うじゃん?」

幼「それ、逆じゃない?」

幼友「細かい事はいいから」

幼友「実は一昨日の未明に、お付き合いが始まったのさ」

幼・幼友「…へへへー」

幼友「所でさぁ」

幼「何?」

幼友「歌…」

幼「…それは聞かぬが漢の華よ」

幼友「…聞きたいなぁ」

幼「う…」

幼友「幼の歌う、オリジナルソングを、聞きたいなぁ…」

幼「嫌だよ!絶対に嫌!」

幼友「ミスド食べ放題で、どう?」

幼「う…」

幼友「じゃあ、スタバでベンティも付ける!」

幼「…そ、それじゃあ、誰も聞いてない所でなら」

幼友「やったっ!」

幼「一回だけだからね?」



幼「本当に誰も居ないよね?」

幼友「大丈夫だって!そこは信用してよ!」

幼友「視聴覚室だから防音もばっちりだし、中から鍵もかけたしさ!」

幼「コホン…それじゃ、歌うよ?」

幼友「おー」
パチパチパチ

幼「きらーめくー星空のした~♪」



幼友「…あんたさぁ」

幼「…何よ」

幼友「意外と、アレなんだね」

幼「アレって何よ、はっきり言いなよ」

幼・幼友「…」

幼・幼友「ぷっ!あははははは」

幼「ぷっ…くっくっく…私って、馬鹿じゃない?」

幼友「あはは、これは黒歴史確定だね!」

幼「それもこれも青春の1ページに記す、思い出だよね」

幼友「そうだね…ぷっ…あははは、ダメだ…」

幼友「あの踊りは無いわー、はははは」

幼「3時間もかけて考えたんだぞ?凄くない?」

幼友「うん、凄い凄い」

幼友「いやー、面白い思い出をありがとうね、幼」

幼「…あのさ」

幼友「何?」

幼「まさかとは思うけど、録音とか録画はしてないよね?」

幼友「ん?まっさかー」

幼友「そんな面白い事、する訳無いじゃん」

幼「…本当に信じて良いんだよね?」

幼友「あんなに面白いって解ってたら、絶対録画したけどね」

幼「なら良し。さぁ、そろそろ帰ろうか」

幼「私、今から彼氏の家に行くしー」

幼友「私も彼氏に勉強教えに行くよ」

幼友「あー、私、鍵を職員室に持って行くね」

幼「んじゃ、教室行ってカバン取ってくるよ」

幼友「宜しく。それじゃ、靴箱の所で待ち合わせでー」

幼「はいな」
タッタッタッ

幼友「ジャーンジャーン!孔明の罠だー!なんてな」
ゴソゴソ

幼友「どれどれ…ちゃんと撮れてるかな?」
ピッ

ビデオの中の幼『君のハートに~と~ど~けっ♪』ピョンピョン

幼友「あはははは、ヤバい!これはヤバい!」

幼友「このビデオは…幼の結婚式の時、サプライズで流そう」

幼友「場内大爆笑間違い無しだわ、これは」

幼友「今から楽しみだわー」

幼「まぁ、そんな事だろうと思ってたけどね…」

幼友「げ、げぇっ!?関羽!!」

幼「あー、本当にまったく良かったわー」

幼友「な、何が?」

幼「たまたま、廊下に、名状し難い棒状の物が落ちてて助かったー」

幼友「そんな棒を何に使うの?まさかdv?」

幼友「結婚する前から、家庭崩壊の危機?」

幼「そんな将来の事より、今の心配した方が良いと思うな、私は」
ポンッポンッ

幼友「…」

幼「棒状の物で頭を叩かれて、記憶を失うのと…」

幼「素直にそのスマホから、映像記憶を消すのと、選べ?」

幼友「これをどうぞ…」
スッ

幼「うん、棒状の物が活躍する場が無くて良かったよ」

ピッピッピッ
幼「ミッションコンプリート!」

幼友「せっかく良く撮れてたのに…」

幼「これ、あれだよ?」

幼「ミスド1週間食べ放題の刑でもおかしくないよ?」

幼友「それはご勘弁を…」

幼「まぁ、良いや。ほら早く帰ろ?」

幼「お互い、彼氏が待ってるんだからさっ」

幼友「うん!」

幼友(くっくっく…甘いなぁ、幼ってば)

幼友(実は仕掛けたカメラは2つあったのだよ…)

幼友(ムービー撮れるデジカメをいつも持ち歩いてて良かった)

幼友(新婦友人挨拶の時、この映像流してやる)

幼友(絶対、披露宴で爆笑取ってやるんだから)

幼友(早く結婚しろー、幼っ!)


ほんとにおわり

これで終わりです
誰か読んでくれたら嬉しいです

次スレは
幼馴染「もうすっかり春ですね」 男「そうだなぁ」
ってタイトルで立てたいと思います
では。

乙乙
毎回楽しみにしてるよ

幼馴染がアホの子可愛い

乙です!相変わらず良い幼馴染みssですね先生!

やっぱり最高です
師匠さんのは確かにスゴい甘さだけど、それは主役2人の甘々だけにビビッドに焦点が合ってるからで、あなたのは周囲の様子も心の動きも丁寧に描かれていて、また違った良さが出ていると思います
喩えるなら、師匠はバニラをきかせたホワイトチョコレートで、あなたはちょっとビターで飽きのこないダーク系
クスりと笑わせてくれたり、ほんわかさせてくれたり、ちょっと切なかったり、でもいつもハッピーにもっていってくれるのが素晴らしい

あ、鍋会議、みんなかわいくて大好きです

読んでくれた方、本当にありがとうございます

>>104
すげー照れます、どうもありがとうございます
これからもちょっぴりビターな話しを目指して
ハッピーエンドな幼馴染ss書いて行きます

やらかしてしまいました。
>>86と87の間に1レス入れ忘れました

幼友「いやいや、アンタも今、幸せでしょ?」

幼友「ちゃんと私の伝授した超能力のお陰で彼氏出来たんでしょー」

幼友「な?」

幼「暗示は全然関係無かったけどね」

幼友「実は友が私の彼氏なのだー」

幼「マジで!?」

幼「あんなに嫌い嫌い言ってたのに…」

乙です。良かった

>>104
マイスターのと比べられるなんて畏れ多いですよ。

またお前か
相変わらず気持ち悪い展開だな
反吐がでる

乙乙
良かったよ

>>107
またお前かって言うけど、この人、こんなんで50本以上書いてるんだ
もう書くなと言われてもずっと続けてるんさ
読んで反吐が出そうなくらいなら読むなよ
その為にわざわざ酉つけてくれてるんだから
バンしてこの人のssを読むの止めろよ
その方がお互いの為だろうよ
もう二度とこの書き手のスレを開くなよ
時間の無駄遣いだろ

とても面白かったよ!!


乙!


これが披露宴篇につながる訳ですね

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