魔王「え、勇者達、まだそんなとこいんの?」(73)

側近「ええ…またもや北の洞窟にいる四天王の一人、『マギラス』に返り討ちにあい、
撤退していった、という情報がはいりました!」


側近「やりましたね、魔王様!あいつら我々、魔王軍に手も足もでない様子…!
勇者がこんなレベルでは、セカイが魔王様の手中にはいるのも時間の問題…」


魔王「はあ…」


側近「ま、魔王様…?」

側近「ど、どうしたんですか?そんなため息ついて…」


魔王「いやいやいや…だってお前…あいつら、これで何回目よ?
マギラスに負けたのさあ…」


側近「確か……今回で117回になりますかね?」


魔王様「いやいやおかしいだろ、それは。何回負けてんだよ、アイツ等!?
どーしてそんなに冒険の歩みが遅いの!?」


側近「いや…そんなこと私にいわれても…」

魔王「もう何年だよ、アイツ等が冒険はじめたのって!?」


側近「かれこれもう、17年目になりますかね」


魔王「もおおおお~~、なんなんそれえ……17年やって、マギラス倒せない、って…
なんなんそれええ……」


側近「ちょ、魔王様…落ち着いて…」

魔王「いやさ…俺も正直、もう若くないしさあ…いつまでも全盛期で
いられないわけだし……そろそろ、勇者にも本腰入れて倒しに来てもらわんとさあ…」


側近「あ、あの…ま、魔王…様…」


魔王様「だいたい、マギラスのやつ、ちょっと勇者に厳しくしすぎなんじゃないのか?」


側近「いや…そんなことは…」


魔王「ちょっとマギラスに連絡して、早く」

電話する側近

側近「…あ、もしもし、マギラスさんですか?あ、はい…ご無沙汰してます。
ええ、…はい、それでちょっと、魔王様にかわりますね」


………

魔王「あ、もしもし、マギラス?ああ、うんオレオレ。久しぶり。
うん、うん、電話したのはさあ、勇者のことでさあ」


魔王「うん、うん…え、それで?攻撃パターンとかどうしてるん?
あれやぞ?まだ、序盤だし、あんまり激しい攻撃は…は?」


魔王「いやいやだからあ!!そんなちょこちょこ痛恨の一撃打ってたら、
相手すぐ死ぬやろが!そんなことしとったんかいな!」

魔王「それで、お前、ほら、ダンジョンとかどうしてんの?
あ!?落としアナ、って何それ!?お前、馬鹿なん?終盤気取りか、ボケが!!」


魔王「とにかくお前、四天王の中でも最弱なんだから!!そこんとこ踏まえとけよ!
何、100回以上足止めしてんだよ、バカが!!」ブチッ


ツーツー


側近「……魔王様」


魔王「……いやさあ……俺ももう、若くないわけよ……
アイツ等が冒険に出た当初は、まだギリギリ若かったけど……」

魔王「いつまでも全盛期の実力で待ってられないわけだし…ほら、
そこんとこ、お前ならわかるやろ?」


側近「は、はあ…」


魔王「……、そうだ…今、勇者達のいる大陸に悪魔の目玉っている?」


側近「いますけど……どうするんですか?」


魔王「いやさあ…マギラスもマギラスだけど…勇者も大概だよな…17年も冒険やっててさあ…

アイツ等が普段、どんな冒険してるのか、見たくなってさあ…」


側近「なるほど、それで悪魔の目玉をつかって、
勇者達の普段の状況をのぞき見しよう、ってことですね」


魔王「ああ…たのむよ」


側近「わかりました、さっそく、大陸にいる悪魔の目玉に連絡とってみます」

数時間後

側近「魔王様、魔王様。さっそく、大陸にいる悪魔の目玉から
最新の勇者達の映像が送られてきました」


魔王「おおそうか、はやくみせてくれ」


側近「はっ、ではこのモニターをご覧下さい!ええっと、再生ボタンは…」

ピッ


宿屋

もぞもぞ、ごそごそ…

勇者『なあ…ええやろ…ええやんけ』

魔法使い『ちょ…だ、だめですって…ちょ…あ、あふん』

ごそごそ…


勇者『ええやん…ええやんけ……ええやんって…言うとるやろうが!!』


魔法使い『ちょ…だ、だめえ…あ、あふう…』


魔王・側近「」

魔王「え……ちょ……、な……」


側近「え、ええっと……大陸にいる部下からの情報によると、最近の
勇者はもっぱら、こんな感じだと……
仲間の魔法使いと、日中夜問わず、コーマンかます毎日とか…」


魔王「ま……まじか…」


側近「ええ…現に今も映像どうり、魔法使いと行為に及んでいますし…」


魔王「えっ、ってことは、この映像リアルタイムなの!?そう思うと余計うっとうしさが
増した気がすんだけど!」

勇者「はあ…はあ…いくぜ」

魔法使い「い、いやああ!あう、あふう」パンパン…


……

魔王「ああもう……嘘お…なんなんそれぇ……勇者ももう…
大概いい年だろぉ…真昼間から何してんだよ…」


側近「…ちなみに部下からの情報だと、ここ数年は、レベルあげも
一つもせず…町にこもりっきりだとかなんとか…」


魔王「ええ……冒険する気ないじゃん…」

勇者「ふっ、ふっ、ふん」
魔法使い「あっ、あっ」

パンパン…

……

魔王「ふ、ふん…じゃねえよ…ったく…まじでか…
勇者のやつ…ここ数年でここまで体たらくになっていたとは…」


魔王「はあ…」

………

パンパン…
魔法使い「あっ、あっ…」


魔王「思えば、17年前……世界征服を目論む我々にさっそうと
立ちはだかった若い勇者一行が……、今ではこのざまか…」

パンパンパンパンパンパンパン…
魔法使い「あ、あふう…あふん…がひい」


側近「魔王様…」


魔王「敵とはいえ……ワシは……ワシは…今の勇者が…」


パンパンパンパンパンパンパンパン…
魔法使い「アイアイアイアイアイアイアイアイアイアイ…!!!」
勇者「なあ、ええんやろ!?なあ、これがええんやろ!??」


魔王「うるっせええええええっとっとと映像止めろおおお!!
下品な喘ぎ声聞かしてんじゃねえええ

………

魔王「………」


側近「……あ、あの魔王さま」


魔王「…なんだ」


側近「け、けど…いいではありませんか…我ら魔王軍の
唯一の難敵である勇者一行が、あのざまであれば、我らが世界を手にするのは
もう時間の問題かと……」


魔王「………、決めた」


側近「え?」

魔王「ワシが、アイツ等を一人前の勇者にしちゃる」


側近「え?……魔王様?」


魔王「だってそうやろ!?勇者っていったら、ワシの永遠のライバルやろ?
それがあんな屑だったら、ワシの立場ないやろが!?
そんなん、親戚とかに話せんし!!地元で馬鹿にされるわ!!」


側近「え、ちょ、魔王様!」


魔王「っていうか、もう馬鹿にされとるし!!」


………

側近「………」


魔王「……同窓会とかで…」


側近「………」

魔王「とにかく、そういうことだから」


側近「そ、そういうことって……ま、魔王様!?」


魔王「あ、いっとくけど、これ、マギラスもだけど、他の四天王にも内緒な?」

そんじゃ、俺もう帰るから…」


側近「え、ちょ……ま、魔王様!?」


側近「(え、ちょ、……魔王さま…一体、どういうつもりなんだ…)」

今日は疲れたからここまでです。
暇だったらまた書きます

次の日
側近「ふああ…おはようございます、魔王様」


魔王「ちょっと、勇者映して、勇者」


側近「え?」


魔王「だから勇者映してって。悪魔の目玉、まだ勇者の監視
してんるんだろ?」


側近「あ、はあ…分かりました」

側近「(魔王様…昨日の一件以来、勇者のこと気にしてるみたいだけど…)」


側近「ええっと、再生ボタンは…っと」

ピッ


………

町の酒場

勇者『うい…ヒック…』

勇者『あ、おねーちゃん、これと同じやつ、もういっぱいお願い!』

店員『あ、は、はーい』


勇者『ヒック…』

…………

魔王「……、真昼間から酒屋で酒盛り……何考えて生きてるんだ、こいつ…」


側近「うわあ…こんなやつ、うちの魔王軍にはいったら、速攻クビですよね…」


魔王「ああ……正直、序盤のモンスターも任せられん…」


側近「あ、なんか、店員のねーちゃんにからみはじめましたよ?」


………

勇者『まあさぁ、俺って勇者だしさあ…いろいろ、危険なモンスターとかとも戦ってきたしさあ…
ぶっちゃけ、百戦錬磨なんだよね……わかる?』


店員『は、はあ…』


勇者『あ、このアイテムさ、この間、俺がぶっ倒した魔物が落ちしてったもんなんだけどさあ…
知ってるかな…「薬草」、っていうんだけど…?わかる?』


店員『あ、…ええっと……それ、となりの道具屋さんとかで普通に売って…』


勇者『うん、ぶっちゃけると体力とか回復するやつなんだよね。
専門用語でHP、っていうんだけどさあ…それ30ポイントくらい回復すんの

わかる?』


店員『あ、はあ…』

勇者『今度さ、俺と一緒にフィールド出てみない?多分、村人とかで
フィールドでるとかないよ?ああ、心配しなくても大丈夫だって!
俺、勇者だし、魔物の心配とかいらんから!!』


店員『え、ええっと…』


勇者『俺さ、剣だけでなく、魔法もそこそこいけるんだよね?
ファイヤーって、魔法、知ってる?それ使うと、手からなんか火が…』

店員『あ、それ学校で習っ…』


ブツっ…………

映像の電源を切る魔王


側近「………魔王様」


魔王「…………」

側近「もういいじゃないですか、魔王さま…勇者のことなんて」


魔王「……」


側近「あんな見るからにクズみたいな勇者…魔王様が相手するまでも
ないですし……」


側近「むしろ勇者があのザマで、われわれにとっては実に好都合…」


魔王「うるさいっ!」

側近「ま、魔王さま…」


魔王「ぐす…ぐす…」


側近「えええ!?な、魔王さま……まさか、いい年して泣…」


魔王「誰がああ…!」


側近「え?」

魔王「誰がああ…魔王になってもおお…ぐず…おんなじや思ってえええ…
やっとこさ魔王になったんです!!

勇者は…ゆうううしゃああはああ…人間のみやなくうう…
魔王軍にとっても、問題やないですかあ!!あっはあう!!」


魔王「側近には、わからないでしょうね!!」


…………


側近「(………なんでののちゃん……)

魔王「とにかく…ワシ、もう今日は休むけど……悪魔の目玉の監視は引き続きしててね……」


側近「は、はあ…」


魔王「明日、また映像みるから…そんでまた考えるわ…それじゃ」


バタン


側近「魔王様…」


側近「(考える、って……何を?)」


…………

今日はここまで。なるべくこんぐらいのペースでやってきます

次の日

側近「あのー、魔王様」


魔王「…なに?」


側近「ええっと、悪魔の目玉からの情報によると、
今日、勇者達がフィールドでレベルあげしてるみたいなんすけど…映像みます?」


魔王「えっ!?」

魔王「それ、マジなん!?ええ、嘘お!?そ、それどこ情報?どこ情報よ!?」


側近「いや、だから、大陸の悪魔の目玉からって…」


魔王「え?ていうか、早く映像写してよ、早くして早く!?
ぼさっとしないでさあ!」


側近「あ、はい…(うわっ、なんかくっそうぜえ…)」

ピッ

映像を写す側近

魔王「うおー、マジじゃん!勇者一行がフィールド歩いてるうう!!
ええ、なんで、なんで!?昨日まで、コーマンかましたり、酒飲んでたくせに!」


側近「いや、なんか昨日、今いりびたってる村の住民達に、小言を言われたみたいで…」


魔王「小言…?」


側近「ええ、まあ用は、もっと勇者らしくしろ、とか、そんな内容の小言を…

なんせ全然勇者らしいことしないで、遊んでばっかな自称勇者ですから…時々言われてるみたいですよ」


側近「その度に、形だけでも勇者っぽく振舞うために、フィールドにでたりする時もあるようで…」


魔王「ああ…もう、その情報いらんわ…」


側近「あ、はいすんません…」

勇者の映像をみる魔王と側近

勇者『あーもう、かったりーなあ!今日は、マギラスとかに挑戦する気にもなれねーし!?
ここいらのザコ魔物倒して、夕方には村に変えろーぜ!』


魔法使い『そーねぇ、私もあんまり無理したくないし…
最近私も魔法の出が悪くて…あはは』


……

側近「うわっ、のっけからクズ発言いただきましたね、魔王様!
魔法使いも魔法使いで、魔法の出が悪くてって……便秘じゃあるまいし…」


魔王「……え、てか、なんで2人なん?」


側近「え?」


魔王「いやいや…あと2人…戦士と僧侶がいたはずやん!?アイツ等なんでいないの?

側近「あ、ええっと…部下からの情報によると、その2人は欠席、みたいで」


魔王「は?」


側近「ええ、なんか戦士は二日酔いで、僧侶は、生理だから休むって…今日の午前中、
勇者宛に連絡があったらしくて…」


魔王「え、ちょ、まって待って…?何それ、欠席します、って……学校?
そんなんちょこちょこあるの?勇者パーティで、欠席って…?」

魔王「え、ちょ、まって待って…?何それ、欠席します、って……学校?
そんなんちょこちょこあるの?勇者パーティで、欠席って…?」


側近「ええ…ちなみに僧侶は、月に3回以上、生理って理由で休むそうです…」


魔王「ええ~…絶対嘘やん…」


側近「しまいには…時々、勇者が欠席する日あるみたいで…」


魔王「………」

勇者『あ、あれ、スライムの群れおるやん!ほら!アイツ等、蹴散らそうぜ!』


魔法使い『あら、ほんと!!あれなら、勝てそう!!』


………

側近「……あ、なんか、勇者一行が、エンカウントしたみたいですよ?」


魔王「………、」


…………

スライム 3匹があらわれた!!

スライムA『ぷるぷる…(ふえぇ……人間にみつかっちゃったよおぉ…(幼女)』

スライムB『ぷるぷる…(こ、怖いよぉ…』

スライムC『ぷるぷる…(お、おかあさん…助けて…』


勇者『ひゃっはああー!!テンションあがってきたぜええ!!このクズどもが!』


魔法使い『ええ!!とっととぶっ殺して、村に戻ってビール飲みたいわあ!』


………

側近・魔王「………」


魔法使い『ふふ……それじゃさっそく私から……はあああ!!』

勇者『おお、やったれ魔法使い!!』


魔法使い『ファイヤーストーム!!(初級)』

………しかし、何も起こらなかった…


魔法使い『あら、やだわ……今日も出ない……やっば。
ちゃんと毎日ヨーグルト食べてるのに……最近良くて、3日に1回くらいの頻度だわ…たはは』


勇者『おいお~~い!』


スライム達『………』

…………

魔王・側近「………」


魔王「……え、なんなん、あのブス(魔法使い)?あいつにとって、魔法は便秘なん?
ウンコとかと変わらんの?」


側近「魔王様…気持ちはわかりますが、はしたなさすぎます」

勇者『けっ、しょうがねえな、魔法使いは!……仕方ねえ、ここは俺がヤルしかねえか…へへ』


スライム達『ぷ…ぷるぷる…!』


勇者『へ、スライムども…この俺様の武器、「銅の剣」の剣のサビにしてくれるぜ!
ひゃっはー!!』


ボロボロの銅の剣を構える勇者…

………

魔王「え、ちょっと、ちょっと待って、ちょっと…
何あの銅の剣……年代物?何年前のやつだよ…ボロボロすぎんだろ…」


側近「あ、ええっと…これも部下からの情報によると…
…昔、故郷から旅立つ当日に、国の王からさずかったものらしくて…
ちなみに勇者が持ってる「青銅の楯」も同様で…」


魔王「未だに初期装備ってことなんじゃねーかぁ!!旅立って17年目なんだぞ!?
何考えてんの、この糞勇者!??」

勇者『どりゃあああああ!!って…あ、あれ?』

パキィィん…

ひとりでに折れる銅の剣……


勇者『げっ!…ちょ、ま、まじかよぉ!』


魔法使い『ぷー、勇者だっさーー!!』


スライム達『……………』

スライム達は逃げ出した……


………………

側近・魔王「…………」

勇者『…………お、俺の武器が……かつて王様からさずかった…あの銅の剣が…』


勇者『(………)』


魔法使い『勇者……?』

………

魔王「……あ、けどまあ……お気に入りの武器だったのかもな…
国の王から授かった品だったようだし……」


側近「あ、まあ…確かに、ちょっと、ショックそうにしてますね」

側近「けどまあ……これを機に、勇者も新しい武器を装備したほうがいいですよね~
正直、銅の剣ごときじゃ、マギラスには歯が立たないでしょうし…」


魔王「ふむ…新たな武器探しか…これが、結果的には勇者が成長する大きなきっかけになれば…」


…………


魔法使い『…あー…、まあ、年代物だったし…しょうがないよね…
ねーねー、それよか、早く宿に帰ろうよ!私も今日、調子悪いしさあ…』


勇者『………』

魔法使い『……って、ちょ、やん……ゆ、勇者…急になに…あっ』


勇者『へへ…それはそうとさあ…フィールドで、こういうのも…いいやろ?』


魔法使い『…ちょ…な、何言って…あん、あ、あかんて…あかんて…』


勇者『アカンことないやろが!!いーんやろ!ここいいんやろ!!
へへ!銅の剣が壊れても、俺の黄金の剣は健在だっちゅうの!!』


魔法使い『ああん、そんな勇者!!あ、あ、あふう…あふ!アイアイアイア』

ブチッ!!

映像を切る魔王

魔王「………………」


側近「魔王様………」


魔王「………、うっ!!……ご、ごめ……俺……ちょ…トイレ!」

バタン!!
トイレへ駆け込む魔王

………

魔王「う、うええええええーーゲエエーーーゲロロロロ~!!」


側近「(……、…たぐい稀なクズを目の当たりにして、吐くことってあるんだなあ)」しんみり…



…………

今日はここまでで。また暇な時に書いていきます

それから、数日間…魔王は勇者の話は一切しなくなった…

そんなある日のこと…

魔王「わし、ちょっと出張、行ってくるから」

側近「え?」

側近「出張、って…え?魔王様、どこに行かれるんですか?」


魔王「どこって…いいでしょそんなのいちいち言わなくても
…ワシだっていろいろ忙しいんやから…」


側近「そ、そんな……この魔王城に魔王様が不在なんて事態…
あってはならないことなのに」


魔王「いいじゃん、だってどーせ誰も来ないし」


側近「いや…まあ…それはそうですけど…」

魔王「とにかく…数日間は留守にするから、その間、城のこと頼むわ」


側近「はあ…」


側近「(出張、って…魔王様……いままでそんなことなかったのに…
一体、どこに行くつもりなんだろう…)」


…………

…魔王が出張に出て、さらに数日後…

思いもよらなかった事態が起こる…


側近「はあ…」

側近「魔王様…一体、いつ帰ってこられるのだろう…
どっかでうまいもんでも食ってるのかな…」


部下A「た、大変です!!側近様!」

側近「え?…なんだよ?俺、今忙しいだけど…
魔王様に仕事、押し付けられたせいでさあ…手短に話してくれよ…」


部下A「はあ…はあ…た、たった今、『東の大陸』から連絡があり…

四天王の一人…マギラス様が……勇者の手によって、倒された、との情報が入りました!!」

ドンガラガッシャアアアアパリイイイイイイイン!!!

部下A「ちょ、だ、大丈夫ですか、側近様!そ、そんな盛大にずっこけて!?
部屋中めちゃめちゃですけど!?」


側近「え……ちょ、な……ふぇぇ…?」


部下A「いやいや…そんな幼女みたいな声だされても…」


側近「いや俺のことはどーでもいいから!!そんなことより!?
その情報、確かなのか!?てか誤報だろ、100%!!」

部下A「いえ…残念ながら……マギラス城の部下から直接の連絡ですから…
間違いありません…

しかもそれも……戦士と僧侶…不在のまんま…勇者と魔法使いの2人だけで…
マギラス様を下したようです…」


側近「えええ……うそお…だってアイツ等…スライムにもまともに勝ててなかったし…
フィールドで青姦する連中だぞ…?そんな2人でマギラスを倒したなんて…ありえなさすぎる…!」

部下A「それと…これはまだ、未確認情報なんですが…」


側近「な、なんだよ?」

部下A「その……多分、間違いだとは思うのですが……
マギラスを倒した勇者なんですけど
…装備してた剣が…なんか『伝説の剣』っぽかった…っていう現地の者からの情報が…」


側近「は、はあああああ!?なんだよそれ!?伝説の剣っていったら、
勇者の最強の武器じゃん!!それをあのクズ勇者が持ってるわけ…」


部下A「ええ…ですから…おそらくこれは、誤報だろうと思っているのですが…
まあ…あくまで伝説の剣、っぽかった…でだけですので…」


側近「具体的にどの辺が、伝説の剣っぽかった、って言ってるの!?」


部下A「ええっと……どうもなんか……剣がすごいごつくて、皇后しかったとか…
あと、なんかすごいスパスパ切れてて…なんか剣をかざしたら、なんかすごい感じの雷が…」


側近「なんかすげー伝説の剣っぽいな、おい!!」

側近「いや待て……確か、伝説の剣があると言われていたのは、
西の大陸の聖なるほこらだったはず…

東の大陸にいるクズ勇者がとりに行けるレベルの場所じゃないし…
四天王クラスの魔物でもまともに近づけない聖域…

そんな場所から伝説の剣を持ち出せるやつなんて誰も………はっ!!」


魔王「ただいまー」


部下A「あ、魔王様がお帰りみたいですよ」


側近「(あ、あのおっさん……まさか……まさか……!!)」

側近「……………」


魔王「え…どしたん?帰ってきたそうそう、そんなゴミクズみるような目で
ワシをみて……ワシ、一応、魔王なんだけど…」


側近「魔王様……実は大事なお知らせが…」


魔王「んー?なーに?」


側近「実は……四天王の一人、マギラスが…勇者の手によって倒されました」

魔王「え、えええーー!?ま、マジぃ?
それホント!?ホントなん!?どこ情報よ!?えー、うっそー」


側近「(うわ…わざとらし…殺してええ…!)
…え、ええ…東の大陸を支配していたマギラスが倒され…
おそらく勇者達は…次は船で、南の大陸に進行するだろうと…」

魔王「へええ……あの勇者がねえ…ま、ワシ、アイツはやるときば
やる奴と思っちょったケンね」


側近「(なんで急に九州弁…!くっそ、なんか腹立つ…!)」

側近「それと……部下からの情報によると…
なぜか…勇者は『伝説の剣』を装備していた、と…

あの西の大陸の聖なるほこらにあると言われていた…伝説の剣を…
なぜか……」


魔王「へ、へええ!不思議なこともあるもんだね!!」


側近「いやいや、それで済ませる問題じゃないから!!
魔王様、まさかアンタ―」


部下A「た、大変です!」

側近「ああもう!今度はなんだよ!」


部下A「そ、それが……
四天王『マギラス』様が倒された件で、魔王様と緊急会議を行いたい、と…

残り3人の四天王様が、今こちらに向かっているとの情報が…」


側近「んな……各大陸の支配者が3人同時にこっちに向かっている…だと…!?
魔王様……こ、これは異例の事態ですよ!?なにやらとんでもないことに…!」


魔王「え?…あ、あーうん。ってかワシ、長旅で疲れてるから、
その会議夜でもいいかな?ちょっと、寝たいし」


側近「(くそ…このおっさん!!)」

魔王「あ、そーだ、これ、出張土産な?」


側近「…え?あ、はい…ありがとうございま…」


聖なる☆ほこらまんじゅう


側近「(バレバレじゃねえか、このくそ魔王があああ!!)」


……………

今日はここまでで。また暇な時に書いていきます

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