勇者と魔王がアイを募集した2 (1000)

闘士「お、おで」


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見ている方に作っていただきました!! 必見です!!

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≪皆様へのお願い≫

・喧嘩はおやめ下さい。仲良くいきましょう!
・998レス以降は書きこまないで頂けると助かります。むしろそれまでは埋めて下さるとうれしいです。
・完結まで程遠いと思われますのでそのつもりでお願いします。m(__)m



≪あらすじ≫

闘士「ケツだせおら」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1369061520


こんばんはー。

6さん>ありがとうございます。えっと、そうですねぇ。多少係わり合いがあると思います。世界の守り方はこのssと世界観が一緒なので、誰かの子孫だったり、生まれ変わりだったり、本人だったりしちゃうかもしれませんね。

それでは投下していきます。

341

--飛行船--

ごぅんごぅんごぅん

熊亜人「う、ぐ……」

護衛姉「大丈夫ですか?」

護衛妹「具合悪そう……」

治療を受けている熊亜人。

代表「まいったねぇ。君でさえこの有様では……」

熊亜人はあれから一向に容態がよくならない。むしろ黒い靄による侵食は悪化していた。

代表(恐ろしい力だ。だがだからこそ彼女を倒せる)

熊亜人「し、心配なさらないで欲しいぐま……さっきも言ったとおり、ちゃんと目的は果たすぐま!」

汗をたらしながら熊亜人は微笑んだ。

代表「……無理はしないようにね」

342

--空--

ぅぅぅぅぅぅぅぅぅうぅうううぎゅううううううううううん!!

侍「うおおおおおおおおおおおこえええええええええええええ!!」

賭博師「はええええええええええええええたけええええええええええ!!」

符術師「おしっこちびるぅうううう!!」

魔導長「もうっ、みんななさけないのっ! それでも大の大人なのっ?」

侍「そ、そうは言っても、音速レベルで高度1万メートルを飛行するとかむちゃくちゃでござる!!」

侍たちは魔導長が魔力で作り上げた鳥に似た飛行物体に乗って移動している。

魔導長「うるさいなの。そうでもしなきゃ追いつけないなの」

343

--空--

賭博師「……っていうか魔導長さんはあいつらがどこに向かったかわかってるんですか?」

侍「え? 目的も無しに音速飛行とかありえないっしょ」

符術師「……」

魔導長「ばかにしちゃいやなの、ちゃんとわかってるなの」

符術師「わかってるって、一体どこなんです?」

魔導長「君達の過去、調べさせてもらったの」

侍「!!」

魔導長「代表君と君達が昔仲間だったこと、そしてなぜ代表君がこんな行動をしたのかを」

賭博師「……」

魔導長「先生、でしょ」

符術師「!……」

344

--空--

ぅぅぅぅぅぅぅぅぅうぅうううぎゅううううううううううん!!

魔導長「かつて東の王国のある学校に一人の教師がいた。その人はあらゆる差別を無くしたいと思って、人種だとか貧富だとか亜人だとか、そんな壁を全てとっぱらって差別から子供達を守っていたなの」

賭博師「……」

魔導長「彼の生徒には、後に黄金世代と言われる君達五人と代表君。亜人保護団体の幹部達がいたなの。そして……災厄を引き起こした竜亜人」

侍「……」

魔導長「の娘、竜子」

魔導長は淡々と話を続ける。

魔導長「災厄のこともあり、先生に拾われるまではひどい迫害を受けて育った竜子。学校に来てからも町の人間からは危険だと怖がられていた。それでも先生や君達は彼女を普通の人間として扱い続けたなの……」

符術師「……」

魔導長「でも闇は深かったなの。ある日、竜子は君達の前で……先生を殺害して学校から逃走した」

345

--飛行船--

ごぅんごぅん

代表「ん、見えてきたよ。竜骸の渓谷が」

熊亜人「……」

護衛姉「亜人保護団体構成員439名」

護衛妹「全員戦闘の準備、できています」

ざっ

代表の後ろで三人が立つ。

代表「……うん、じゃあ行こうか。敵討ちだ。それぞれのね」

346

--空--

ぅぅぅぅぅぅぅぅぅうぅうううぎゅううううううううううん!!

魔導長「代表君は大豚亜人などの仲間を連れて君達と袂を分けた。そして先生の意思を次ぐ団体として亜人保護団体を設立させたなの。まぁ表向きはだけどね。本当の目的は今の現状を見たらわかるなの。君達も最初から気付いてたんじゃないの?」

侍「……いやそんなことはないでござるよ。我らとて代表を全部理解しているわけではござらん」

賭博師「だな……俺もよくわからないまま大分片棒担がされたし」

パーティスキルの回復を封じてなかったしな、と誰にも聞こえない声で賭博師は言う。

符術師「ふん、お前らは情けないだけだろ」

魔導長「この回復と蘇生を禁じる魔方陣……どこまでの効力かはわからないけれど、もし私が考えている通りならば、回復魔法の利権とか、そんなちゃっちいもんじゃないなの。ようは自動蘇生スキル潰し。代表君の狙いはただ一つ」


--飛行船--

代表「これより、竜亜人を抹殺する」

飛行船に備え付けられた砲台を構成員達が動かし、そして

バルルルルルルルルルル!!!!

347

--竜骸の渓谷--

火竜亜人「ん? この音は」

チュチュチュチュチュン!!

火竜亜人「!?」

空から弾丸の雨が降った。

ギギギギンギギンッ!!

団体構成員「ん、やっぱり硬いですね。並の弾丸じゃ話にならないや」

団体隊長「硫酸弾、装填用意!」

火竜亜人「いっでぇ……ちぃ、また人間の仕業かぁ!? ちょっかいだしてきやがって、ぶち殺してやる!!」

ボッ!!

348

--竜骸の渓谷--

団体隊長「全身を火で包んでいる……何かするつもりだぞ!! うてー!!」

がうんがうん!!

風竜亜人「騒がしいと思ったらこういうことですか」

団体隊長「!?」

めぎっ

飛行船の砲台にすでに取り付いていた風竜亜人は団体隊長の首をねじり取った。

団体構成員「う、宇和あああああああああああああああああああ!!」

ガガガガガン!!

じゅっ

風竜亜人の肌が僅かに溶ける。

風竜亜人「づっ!!……またおかしな武器を作ったようです、ねっ!」

どごっ!!

349

--竜骸の渓谷--

うわぁあーー 

きゃああああ

護衛姉「代表様、敵がこの船に取り付いたみたいです」

護衛妹「いかがいたしますか?」

代表「そりゃあ、当初の予定通りにいくだけだよ。僕のことは気にしなくていい、君達は迅速に持ち場についてくれ」

熊亜人「……ご武運を」

代表「それは僕のせりふだ。頼んだよ」

ざざざっ

代表「しかしまぁ……機械兵士が流した情報から作られた武器っていうのもも案外なさけない。竜亜人にあまり有効じゃないだけなのかな?」

350

--竜骸の渓谷--

どがーん!! どががーん!!

団体戦士「うおおおおおおおおおお!! お前らのせいでぇええ!!」

土竜亜人「がっ、ぐっ!!」

ロケットランチャーを連発する団体戦士。だが土竜亜人は攻撃を受けても前進をやめなかった。

団体魔法使い「どいてろ!! 氷属性単体攻撃魔法、レベル4!!」

バッシャアアアーーン!!

土竜亜人「んぐっ!! き、さまらあぁ!!」

土竜亜人が大きな拳を振り上げて、地面に叩き落す。

ドッがァあああああああああああああああん!!

団体魔法使い「きゃあああああああああああああ!?」

地面は隆起し、団体構成員達は皆吹き飛ばされてしまう。

351

--竜骸の渓谷--

水竜亜人「ほっほっほっ」

団体女賢者「がぼっ、ごぼぼっ!!」

水竜亜人「なんてやばんな生き物なんでしょう。殺すだけでは生ぬるい、存分にいたぶって苦しませてから殺してあげますよ」

団体構成員達の顔を水の球体が覆っていた。

ひゅん

水竜亜人「」

がぎぃん!!

護衛姉「っつ」

水竜亜人「あらまたお客さん?」

落下しながら切りかかった護衛姉だったが、水竜亜人の腕で防がれてしまった。

352

--竜骸の渓谷--

護衛姉「硬い、けど計算通りです!」

ギギン!! ガキィン!!

水竜亜人の爪を護衛姉の刀が防ぐ。

水竜亜人「獅子か……同じ亜人なのに戦わなきゃいけないだなんて、ねっ!!」

ガギイイイン!!

護衛姉「黙るです……! 自分達以外は、亜人だろうと下に見ているくせに!」

水竜亜人「……そりゃそうよ。私達がこの世で最も優れた生物なのだから。でも私達は差別なんてしない。全部平等に扱っているのよ」

しゅうぅうう

水竜亜人「……? くさっ!! な、なにこの臭い!!」

しゅぅうううう

護衛姉から何かが噴出している。

水竜亜人「な、なにそれ!? おならなの!? すんごい臭い!!」

353

--竜骸の渓谷--

つー

水竜亜人「うっく……あ、あまりの臭さに頭が痛いわ」

ぼたっ

水竜亜人は気付かないうちに鼻血をたらしていた。

護衛姉「臭属性範囲攻撃魔法、レベル3」

しゅぅううう

水竜亜人「臭属性ですって?……ラッカーだったの。それも聞いたこともないし使えるとも思えないひどい属性ねぇ」

しゅぅううう

しかし水竜亜人の足は震えていた。

水竜亜人(で、でも……吐き気、眩暈、頭痛……身体能力が優れている亜人にこれは……かなりきついわね!)

だっ!!

水竜亜人は護衛姉に飛び掛った。

ズシャッ!!

354

--竜骸の渓谷--

水竜亜人「!!」

護衛妹「土属性武器強化魔法レベル4」

水竜亜人は護衛妹に背後から攻撃され、刀の先端が胸部から出ていた。

ぶしゅっ

水竜亜人「ぐっ!? こ、この臭いで索敵がばかになってる!!」

どごっ!!

護衛妹「ぎゃっ!!」

貫かれた状態でありながら水竜亜人は背後の護衛妹に蹴りを放ち、護衛妹を吹き飛ばす。

ずるり

護衛姉「……」

水竜亜人「ふん、私の体を傷つけたことはほめてあげる。でも無意味なことよ。私達竜亜人はどの種よりも回復能力が高く、たとえ死んだとしても死なない体なんだから!!」

355

--竜骸の渓谷--

ぽたっ

水竜亜人「……あ、れ?」

ぼたっ、ぼたっ

護衛姉「……」

水竜亜人「回復が……始まらない?……ごふっ!!」

びちゃちゃ!!

護衛妹「ふふふ……」

護衛姉「あはは……」

水竜亜人「い、痛い、痛い痛い痛い!! あ、頭も痛い、気分も悪い……ぐぅ!!」

ずしゃ

水竜亜人はとうとう立っていられなくなって地面に崩れ落ちる。

356

--竜骸の渓谷--

水竜亜人「げぼっ!!……はぁ、はぁ、はぁ! く、くそ、なんで? なんでよ!! こ、こんな雑魚どもに、なんで!!」

護衛姉「どうせ今まで怪我の痛みも知らなかったんでしょう?」

護衛妹「どうせすぐ治っちゃうものね。たった少しの切り傷がどれだけ致命的なものかなんてわからないんでしょう?」

水竜亜人「はぁっ、はぁっ、はぁっ!!」

水竜亜人の鼻血は止まらない。

護衛姉、妹「「今までしてきたことがどんなことなのか、理解しようとも思わなかったんでしょう?」」

ちゃき

水竜亜人「い、い……」

ざっざっざっ

水竜亜人「いやああああああああああああああああああああああ!!」

ざしゃっ!!

357

--竜骸の渓谷--

団体伝達兵「ご報告いたします。戦況は圧倒的に我らが有利です。代表様が見越していた通り、やつらは強いがゆえにダメージを恐れていません。今のところ討ち取ったと報告があったのは、火竜亜人、風竜亜人、水竜亜人、土竜亜人の四体です。雷竜亜人はもう少しで倒せるとのことです!」

代表「ご苦労。もう半分か。早いね。熊亜人君が頑張ってくれてるのかな?」

団体伝達兵「はい。まさに鬼神の如き働きかと」

代表(長くは持たないということか)「わかった、この調子だ、続けて頑張ってと伝えておいてくれ」

団体伝達兵「はっ!!」

ざっ

代表「あぁそれと」

団体伝達兵「?」

代表「そろそろ彼女が出てくるはずだ」

358

--竜骸の渓谷--

どがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん!!

その時、飛行船の外壁を破壊し、何かが中に入ってきた。

団体伝達兵「な、なぁ!! だ、代表様お逃げください!!」

しゅぅうううう

代表「……お早いおつきだね」

???「……」

代表「お久しぶり、竜子ちゃん」

???改め竜子「お前……代表、これは一体どういうつもりだ?」

青白い肌を持った竜亜人・竜子は、全てを凍てつかせる絶対零度の殺意を持って代表を見ている。

代表「? どういうつもりだ、とは?」

竜子「とぼけるなよ。なぜ私達の住処を襲いに来たんだ」

359

--竜骸の渓谷--

代表「それこそ君の方こそわかっているはずだよ。僕はただ単に敵討ちに来たんだよ」

竜子「……」

代表「その前に、一つ教えてくれないかな。なぜ……君は先生を殺したんだい?」

竜子「……ふん、私が人間を殺すのに理由なんかいるのか? 私は災厄を引き起こした男の娘だぞ」

ぱき、ぴきぴきき

周囲が徐々に凍り始めていく。

代表「……僕達はそんな目で君を見たことは無かった」

竜子「……」

代表「あの日までは、僕たちはずっと一緒にいられると思っていたんだ」

竜子「……はっ」

360

--竜骸の渓谷--

竜子「おめでたいアホだなお前も。あの男も。みんな頭の中はお花畑か?」

代表「僕は違うよ。先生のことは否定しないけどね」

ぴききっ

竜子「……人間は誰も信用しねぇ……私は人間を心の底から恨んでいる」

ぱききっ

竜子「たとえ何をされようと心は絶対に開かない、絶対に恨みを風化させはしない」

燃え上がるほどの熱い殺意の氷で部屋が満たされていく。

代表「……」

竜子「人間は私から全てを奪った。優しかった父ちゃんを狂わせておいて殺し、何もしていない母ちゃんを虐殺し、何も知らない私に地獄を味わわせた」

代表「……」

竜子「全て憎むと決めていた。なのにあいつは恨みを忘れて人間と仲良くさせようとした。だから殺したんだよ」

それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m

遅れてすいません!

って、竜子がいつのまにか男の娘(おとこのこ)になってる!?
自分は女だと言い張る男の娘……新しい!

それでは投下していきます。

361

--竜骸の渓谷--

代表「そっか」

代表は静かにうなずくと竜子に向かって言った。

代表「じゃあ、さようなら」

竜子「……お前如きに私を倒せると思ってるのか」

代表「僕の腕力じゃあとてもじゃないけど無理だよ。君は亜人最強の一族、竜亜人の一人なんだ。君ら相手にまともに戦おうと思うなら鬼亜人を呼ぶしかないだろうね」

ひゅおおお

吹雪が船の中を凍らせていく。

竜子「なら、どうするつもりだ」

ドガッあああああああああああああああん!!

竜子「!?」

熊亜人「があああああああぁいいぇ9おgふぁうぇ!!」

船の壁を破壊して熊亜人が飛び込んできた。

代表「魔王を使う」

362

--竜骸の渓谷--

ドドドドドッドドドガッアアアアアン!!

熊亜人はそのまま竜子を引きずり続けること百メートル。そしてその勢いのまま思い切りたたきつけた。

竜子「ぐはっ!!……この、力は」

熊亜人「ふー!! ふーっ!!」

竜子「危険な力に手を出したようだな! 代表!!」

きぃーーーん!!

竜子の口に冷気が集まり、

熊亜人「」

バキバキバキバキィピキイイイイン!!!!

強烈な吹雪が熊亜人を襲う。

363

--竜骸の渓谷--

熊亜人「ぬあああぅ!!」

ドオーン!!

今度は反対に吹き飛ばされる熊亜人。

ぱらっ

熊亜人「ふーっ!! くやおいrhがpうぇおいあ@We!!」

体中に氷がまとわりついていたが黒いもやがそれらを全て溶かしてしまう。

じゅっ

熊aじん「U-! ふぅー!!」

竜子「……嫌な気配だ……」

熊亜人「UGAOAAAAAAAAAAAAA!!!!」

ドガッ!! ドガドーーン!!

咆哮とともに黒いもやが暴れだし、周囲の地形を破壊し始める。

364

--竜骸の渓谷--

護衛姉「代表さま」

護衛妹「はっ、はっ……任務は完遂しました」

傷だらけになった護衛姉妹が代表のもとに現れる。

代表「あぁお疲れ様。あとはあれに復讐するだけか」

ドーーン!! ドガーーーン!!

護衛姉「うっ」

護衛妹「すごい……パワー」

熊亜人と竜子は、世界が振動するほどの一撃を互いに打ち合っている。

代表「全くでたらめな種族だよ。やはり他のと同じように毒でやったほうが早かったかもしれないね」

代表は船から二人の戦いを眺めている。

代表「でもそれじゃあこの恨みは収まらない。我らの恨みは」

365

--竜骸の渓谷--

護衛姉「……しかしこれ以上長引くと熊亜人さんの方が危ないかもしれません」

護衛妹「あんな危険な力、熊亜人さんの方をおかしくしてしまう」

代表「そう、だね……」

代表は何かを考えるようにして

代表「なら君達に頼もうかな。援軍だ」

護衛姉「はっ!!」

護衛妹「了解ですっ!!」

ざっ!!

366

--竜骸の渓谷--

ドッオオオン!!

竜子「がひゅっ!!……っくそ!!」

熊亜人の拳を受けて竜子の歯が抜けて飛んでいく。

ドオオン!!

竜子の反撃の蹴りは熊亜人の腹部に命中するが、黒いもやのようなものでガードされて感触が無い。

竜子(っ!! くそ、これは一体なんなんだよっ!!)

くma亜じじ人「silあsrgdrsrghjy6gう8いk5oaerug」

竜子(なんか涎垂らしてぶつぶつ言ってるしよ……)

367

--竜骸の渓谷--

ザザザッ!!

竜子「!」

護衛姉「はあああああああああああああ!!」

護衛妹「いやああああああああああああ!!」

ギギンッ!!

竜子「ちっ!! 新手か!!」

護衛姉「!! 肌を切りつけただけで刃こぼれ!?」

護衛妹「!! 魔剣が折れた!?」

竜子「今はお前らの相手なんぞ」

おあsdr8gは「あぃうぇごあうぇおrkq」

もはや何なのかすらわからない黒いものが三人の傍で呼吸をしていた。


368

--竜骸の渓谷--

護衛姉「父と母の仇っ!!」

護衛妹「覚悟っ!!」

ギギギィン!!

竜子「はぁ!? そんなもの知らないね!!」

ギギギギン!!

護衛姉「お前の父親に虐殺されたんだよ!!」

護衛妹「何にも悪いことしてなかったのに!!」

ギギギギン!!

竜子「!! ふざけんじゃねぇ!! 私がしたわけじゃないだろ!! それにもとはと言えばどっかの馬鹿な人間のせいなんだぞっ!!」

369

--竜骸の渓谷--

ドガガガッ!!

護衛姉「きゃうっ!!」

護衛妹「ふぎっ!!」

どざざー

竜子「はぁっ、はぁっ」

護衛姉「イキナリ何を言い出すのかと思えば……」

護衛妹「そんなたわ言……」

竜子「父ちゃんはなぁ、超脱皮を人間に見られたんだよ……」

護衛姉「超……」

護衛妹「脱皮……?」

370

--竜骸の渓谷--

竜子「竜と竜亜人が十五年に一度行う、身体機能の調整能力だ。これは誰にもジャマをされてはならない。だからこの渓谷の深部にてひっそりと行われる儀式……それを人間の学者が研究と称して勝手に踏み入りジャマをしたんだ」

護衛姉「……」

護衛妹「……」

竜子「超脱皮をジャマされたことで優しかった父ちゃんは人が変わったように狂った……恥ずかしいだとか怒りとかじゃあない。本当に狂っちまったんだ……」

護衛姉「……だから」

護衛妹「……なんだ?」

竜子「!?」

護衛姉「例え何が原因だとしてもお前の父親が私達の両親を殺したことは変わらない!!」

護衛妹「私達の目の前で握りつぶした事実は変わらない!!」

371

--竜骸の渓谷--

竜子「なん、だと……?」

ぱきぱきぱき

竜子から再び絶対零度の殺意がにじみ出す。

竜子「それから私達を待っていたのは地獄のような迫害だったんだぞ……強く誇り高い我らの種族は半数以下にまで減らされた……」



--空--

魔導長「私の調べでは先生を殺すよう提案したのは東の王国の政府らしいなの」

賭博師「!! なん、だと」

侍「政府が……いや無いとは言い切れないが」

魔導長「先生の影響力は中々強かったようなの。あんな凄惨な事件のあった後だからそれに反発する人もいたけれど、でも少しずつ理解者を増やしていったの……」

符術師「……」

三人はあの頃を思い出す。

372

--空--

魔導長「政府役人はなんらかの意図から完全な人間対亜人の関係を作ろうとしていたの。段々先生の存在をわずらわしく思ってきた政府は、先生の教え子にあの竜亜人の娘がいることをつきとめたの」

侍「竜子……」

魔導長「『先生をみんなの前で殺して欲しい、もしそれが成功したら、君達竜亜人の一族に誰にも関われないよう、特別な住処を用意しよう』……金輪際人間が関わってこないことを条件に竜子ちゃんは先生を殺したの」

賭博師「……」

魔導長「当時の迫害は想像を絶するものだった。運よく先生に拾われた竜子ちゃんはなんとかなっているものの、かつての仲間たちはその限りではない。特に竜亜人に対してはひどかったから……。竜子ちゃんは仲間を助けるために命を天秤にかけ、先生を殺すしかなかったの」

符術師「……ち、おかしいと思ったぜ。あいつ暗かったが悪いやつじゃなかったしな」

侍「だとすると、真の黒幕は、東の王国の政府ということになるでござるな」

魔導長「どうなんだろうなの」

賭博師「……へ?」

魔導長「もしかしたら政府にもなにか理由があったのかもしれないの。まだ私の調べだとここまでだから結論づけられないなの」

373

--空--

魔導長「……竜子ちゃんに復讐しようとしている代表君は先生を殺されたことを恨み、先生を殺した竜子ちゃんは親を狂わせ殺した人間を恨み、人間は災厄を引き起こしたの竜亜人を恨む……どんどん怨嗟が連鎖していくの。誰が本当に悪いかなんてわからないの」

賭博師「……」

魔導長「だから止めるの」



--竜骸の渓谷--

氷の世界と化した渓谷で、竜亜人と護衛姉妹が戦っている。

ギィン! ドォオオン!!

否、ただ一方的に護衛姉妹はいたぶられている。

護衛姉「が、がひゅ……」

ずざざー

374

--竜骸の渓谷--

竜子「はぁっ! はぁっ!!」

竜子にはさすがに疲れはあるものの、ダメージはほぼ無い。

護衛姉「さ、すが化物……蘇生スキルを潰せばどうにかなると思ったけれど」

護衛妹「そんなことは、無かったですか」

護衛姉は両足をねじ切られ、護衛妹は内臓が外に飛び出している。

おあいうぇぐ4y「あwp49うgじゃlkhが」

竜子「あいつは動かなくなっちまったし……もういいだろ、帰れ!」

護衛姉「嫌だ、絶対に、許さない」

護衛妹「お前だけは、お前らだけは」

竜子「……」

ずるっ

375

--竜骸の渓谷--

竜子「!?」

竜子の横を黒いもやが通り抜けていく。

竜子「な、なんだこいつ……一体」

護衛姉「く、熊亜人、さん」

護衛妹「あいつを、倒して、ください」

あおw39た「あを9えあわえy」

黒いもやはそっと護衛姉妹に近づき、

おj2h3い「あをえrhが」

ぐばっ

護衛姉「……え」

護衛姉を捕食し始める。

376

--竜骸の渓谷--

ぶしゃああああああああああああああああ

護衛妹「!? な、なにやってるんですか!! く、熊亜人さん!?」

ぎょろ

目玉の無い顔が護衛妹の方に向けられる。

護衛妹「ひっ!?」

がぶっしゅ!!

黒いもやは護衛妹の足にかみつくと、少しずつ胴体のほうへと噛み進んでいく。

ばぎっぐちゃっごきっ!!

護衛妹「い、いやああああああああ!!!」

竜子「なにが……起こってる、んだ?」

377

--竜骸の渓谷--

代表「……」

団体伝達兵「だ、代表様!! 大変です!! 何を傍観しているんですか!! 護衛姉妹様が……護衛姉妹様が!!」

護衛妹「いっ、ぎっ!! た、たす、助け、て……だ、だいひょぶっ!!」

ばぎん!!

護衛妹「……」

ばぎっじゃりっぐちゅりっ

護衛妹「」

竜子「ちっ!! 化物め!!」

竜子が黒いもやに攻撃を繰り出そうとするも、

ばしっ!!

竜子「ぐっ!?」

尻尾のような黒いもやに弾かれる。

378

--竜骸の渓谷--

びゅおおおおおお

魔導長「着いたの……っ!! ん……でも、どうやら遅かったみたいなの」

賭博師「うええ、吹雪いてやがる……この妙な気配……なんだ?」

侍「黒いもやのようなものが……!! ものすごい魔力を感じるでござる!!」

符術師「ち、何が起こってるんだ!?」


あおういえgは「おあいうぇjがkl;wjgは;おいhg」

ぐぎっ、ぐぎぎっ

黒いもやは変形を重ね、徐々に巨大になっていく。

竜子「っ……」

そして熊の頭部が出来上がり、その両脇に護衛姉妹の顔が現れた。

379

--竜骸の渓谷--

魔導長「ん……たいしたパワーなの。見た感じ三つ首で……ケルベロス?」

擬似魔王ケルベロス「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

ビリビリビリ!!

魔導長「んくっ!!」

侍「な、なんつー咆哮でござるか」

賭博師「み、耳がいてーー!」

符術師「……おい、あれどうすんだよ。あのでっかいの」

擬似魔王ケルベロス「ぎゅるるるうる」

巨大な護衛姉の頭部が魔導長たちを見つける。目玉の無いその眼窩で。

ぎゅぎぎぎぎぎぎぃぃん

侍「!! 魔力攻撃くるでござる!!」

ぎぃあああん!!

380

--竜骸の渓谷--

どっごおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!!

符術師「うオオオオオオオおおおおおおおおおおおおお!!!?」

爆風に吹き飛ばされる符術師。

擬似魔王ケルベロス「ぎゅるう?」

侍「ぺっぺっ……どうやら狙いがまだ定まらないようでござるな。おかげで助かったでござるが」

賭博師「俺らに当たらなかったせいで山は一個消し飛んじまったけどな」

賭博師はその破壊力を見て冷や汗をたらす。

魔導長「……これはちょっと困ったの……あれ強いの」

侍「……どうするでござる? あんな化物ほうってはおけないでござるぞ」

魔導長「……よし、私の奥義で吹き飛ばすの」

符術師「まじか……どうにかなるんか。やっぱ五柱はすげぇや」

魔導長「でもここまで飛んでくるのに魔力いっぱい必要だったから、今私魔力すっからかんなの。一戦交えた後だったし」

侍「……は? せ、拙者たちの魔力供給では魔導長殿を満タンにさせてあげることなんて……」

魔導長「その心配はいらないの。君達には10ターン稼いで欲しいだけなの。魔力は星からもらうからなの」

符術師「ターンてなに?」

ロリ(ショタ?)竜子ちゃんは捕らえられた後、人間達に脱皮した皮をくんかくんかすーはーすーはーされるというひどい虐待を受けて、性格が捻じ曲がったという悲劇が……。


それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m

遅れました。それでは投下していきます。



わかりやすさを重視して、大雑把なにまとめた新しいステータス表記を貼って行きたいと思います。中にはあいつがAなのにこいつがAなの? ってやつもあるかとおもいますが、Aの中にもピンキリがあってそれくらい大雑把ということにしておいてください。

ランク
A 超スゴイ
B スゴイ
C 一般的な兵士
D ニガテ
E 超ニガテ


名前・俺、盗賊
職業・盗賊
タイプ・スピード
属性・風
体力・D
攻撃性能・D
防御性能・E
速度関係・A
魔力関係・E
精神関係・C
固有能力・B

381

--竜骸の渓谷--

ゴゴゴゴゴ

擬似魔王ケルベロス「gyるるるるるうぅ」

強大にして巨大なケルベロスを前に魔導長達は算段を立てている。

侍「しかし……こいつ相手に時間稼ぎなど……無理じゃね?」

賭博師「ん、ん~……我々三人の総魔力量の数十倍あるよこれ」

符術師「魔力量だけの問題でもないしな……おいこれどうするよ」

魔導長「何言ってるの? 三人でやれなんて言ってないの」

侍「いや……そうは言っても拙者たちは三人しかいないでござる。通信士と医師はここには……」

魔導長「だーかーらー。そこに二人いるじゃないの!」

そう言って魔導長が指差したのは、

竜子「……は?」

代表「ナンデス?」

382

--竜骸の渓谷--

魔導長「五人でパーティ組めばいいの。昔は一緒に暮らしてたみたいだし、なんとかなるでしょなの」

侍「いやいやいやいや無理っす無理っす、そんな簡単に組めるもんじゃないっすから連携とか」

竜子「いかれてんのかこの女! 私はこいつらに襲撃を受けてる身なんだぞ!?」

代表「まぁ、そう、よね……」


魔導長「じゃあこのまま仲良く死ぬの?」


竜子「!……」

賭博師「……」

魔導長「嫌でしょ? どうせなら力を合わせて仲良く生き残ったほうがおりこうさんだと思うなの」

383

--竜骸の渓谷--

擬似魔王ケルベロス「ぎゅぎゅぎゅぎゅうるるるあああ!!」

ぎぃぃいいん

再びケルベロスは魔力を圧縮し始める。

侍「! どうやら考えてる暇はなさそうでござるぞ!!」

賭博師「そーみたいだなぁ」

符術師「お前らもいいな!? 今は事情は後にしろ!! 私も後にする!!」

竜子「……くそ人間どもめ……やっかいごとを持ち込んできやがって……!」

どがっ

竜子は地面を殴る。

代表「まさか……こんなことになるとは」

ぎぃぃいいん!!

魔導長「充電開始!」

384

--竜骸の渓谷--

侍「とりあえずあの攻撃どうするでござる? 拙者じゃ弾けないでござるよ」

竜子「……私には氷の盾の魔法があるけれど、あれ相手じゃさすがに強度に問題がある……」

代表「……それは確か一定確立で攻撃相手に反射するんだったよね?」

竜子「……あぁそうだ」(こいつ私について完全に調べてきてるみたいだな)

代表「なら簡単だ、賭博師君、君が確立を操作してあげればいいだけさ」

賭博師「そうなるか。よし、盾だしてくれ」

竜子「……氷属性反射盾、レベル4」

ヴぃきヴぃきヴぃき!!

符術師「ん……魔力の練り、量……強力だな。こんなもんがあれば確立操作しなくても防げるんじゃ?」

385

--竜骸の渓谷--

擬似魔王ケルベロス「ぎゅろおおおおおおおおおおおおお!!」

ぎゅいん!!

ドッがごアアアアアアアアアアアアああああああああああああ!!!!

符術師「あ、わりぃ前言撤回。こりゃむりだな」

どおおおおおおおおおおおおおおん!!

魔力砲撃の直撃を受けた盾はあっという間にひび割れて、今にも壊れそうになる。

竜子「おい賭博師!! 早くしろ!!」

賭博師「スキル運操作!」

賭博師のスキルを受けた盾は不思議な光を放ち、ケルベロスの放った攻撃をそのまま跳ね返した。

んんんぎゅぅううおおおお!!

擬似魔王ケルベロス「んぎゅ!?」

どおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!!

賭博師(……久しぶりに、名前呼ばれたな)

魔導長「あと9ターン」

386

--竜骸の渓谷--

擬似魔王ケルベロス「あぎゅああああああ!!」

自分の放った特大の魔力がケルベロスの体を破壊する。だが。

ぎゅじじじ

賭博師「再生能力か。困ったな。こりゃどれだけやっても終わらないんじゃないか……?」

擬似魔王ケルベロス「亜アアアアあああああああああああああああああああ!!」

ズシン

ケルベロスは前足を地面に叩きつけて四速歩行になり、そして

擬似魔王ケルベロス「ぐぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃあああああああああああ!!」

突進する。

387

--竜骸の渓谷--

ズシンズシンズシン!!

竜子「これじゃあもう、盾で跳ね返す戦法はもう無理だな……」

代表「そうだね。じゃあ、散開、と行きたいところなんだけど」

魔導長「……」

きゅいいいいん

侍「駄目でござるよ。魔導長殿を守らねばっ!!」

シャキン!!

賭博師「うわぁ、いやだぁおっかねぇ……あんなのと戦わなきゃいけないだなんてよぉ」

符術師「うるせぇ! たまきんついてるなら腹をくくれ!」

賭博師「とっちゃおうかなぁ……」

388

--竜骸の渓谷--

ざざざざ

刀を抜いてケルベロスに向かっていく侍。

侍「先手は拙者がもらうでござる! スキル、空振り!」

シャッ!!

空を裂く斬撃がケルベロスを襲う。

ブシャッ!!

しかし傷は浅く、それもすぐに修復してしまう。

侍「ぬぅ、なんのダメージにもならないとは……少々拙者ショックにござる」

擬似魔王ケルベロス「具アアアアあああああああああああああ!!」

389

--竜骸の渓谷--

侍「ならば、スキル、地裂!!」

ざんっ!!

侍が地面に刀を突き刺すと、

ボコボコボコボコボコ!!

擬似魔王ケルベロス「!?」

ドガガァアン!!

地面がひび割れ、せりあがり、ケルベロスの前足が完全に地面に埋まってしまう。

符術師「おし、俺はケツを叩く、いでよ、爆弾なめくじ!!」

跳躍して大量の札をばら撒くと、ケルベロスに無数のなめくじが降り注いだ。

ドガガガガガガガガガガアァアアン!!

擬似魔王ケルベロス「ぐあああああああああああああん?!!」

侍「続いてスキル、百突き!!」

魔導長「あと8ターン」

390

--竜骸の渓谷--

ドズズズズズズズズズズズズズズ!!!!

侍は至近距離からケルベロスの右前足に突きのラッシュ。さすがの再生能力も間に合わず、

ドブチィッ!!

擬似魔王ケルベロス「ッッ!!」

とうとう体から分離した。

竜子「ふん、私もいくぞ。スキル」

ビキビキビキ!!

竜子の両腕に冷気が渦巻く。

竜子「スキル、氷拳!!」

ドゴオオオオオンン!!

竜子の右拳がケルベロスの頭部の一つを捉える。

391

--竜骸の渓谷--

擬似魔王ケルベロス「ぎゅはっ!?」

竜子「からの、ラッシュ!!」

ドゴッ、ドッ、ゴガガガガッガガガガガッ!!

竜子「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!」

殴りつけるたびに氷った部位が広がっていく。

びきききっ

擬似魔王ケルベロス「ぎゆぁあ!」

竜子「っ!」

ビーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ケルベロスの頭の一つが眼窩からビームを放つ。

どふぅんッ!!

竜子「ぐっ!!」

それは竜子の右肩をかすめていった。

魔導長「あと7ターン」

392

--竜骸の渓谷--

竜子(今の攻撃、完全にやられていた……私が超反応でよけた……いや、違う)

賭博師「うおーみんながんばれー」

代表「賭博師君はいかないの?」

賭博師「俺が行っても足手まといだし」

竜子「……そういうことか……」

ぼごごっ

侍「! やつめ、地面から足を引き抜いてしまったでござる」

擬似魔王ケルベロス「ぎゅる、るるるぅ……」

黒いもやのような尻尾をふってケルベロスはよだれをたらしている。

393

--竜骸の渓谷--

魔導長「あと6ターン」

擬似魔王ケルベロス「くぱぁ」

ケルベロスの三つの口が開口し、それぞれ属性の違う魔力を溜め始める。

符術師「三属性複合攻撃魔法か! とめねぇと次は防げねえぞ!! ドロー!!」

符術師が引いた札は、

符術師「……ふん、来たか相棒!!」

符術師は引いた札を空へ向けて、高らかにその名をうたう。

符術師「こい!! デッドラ!!」

きゅぴーーん!!

デッドラ「ぐおおおおおおぉぉおお!!」

394

--竜骸の渓谷--

符術師「デッドラ! あいつを石化させちまえ!!」

デッドラ「うきゅうういいいいい!!」

符術師の宣言とともにデッドラの瞳が怪しく光る。

ビキィィイイイン!!

擬似魔王ケルベロス「!?」

びきぴきぱききっ

ケルベロスの体は一瞬で石化してしまった。

符術師「おっ? なんだ……てっきり耐性でもあって無効化されちまうかとおもったが」

侍「石化は耐性ないと即死能力でござるからなぁ」

……びき

魔導長「あと5ターン」

395

--竜骸の渓谷--

ばっきゃあああああああああああああん!!

擬似魔王ケルベロス「ぐるるるああああぁああぁ!!」

石化も氷結も吹き飛ばし、再びケルベロスは咆哮する。

符術師「ぐ、やっぱだめか」

代表「いや……一旦はちゃんと利いたんだろうね。ただすぐに耐性がついたんじゃないか?」

賭博師「おいおい、ってことは同じ技つかえねぇじゃないの」

代表「そうなるね」

きゅいーん!!

魔力の集約を再開したケルベロス。

代表「よし、じゃあ……独裁者の言」

ずぅううん!!

擬似魔王ケルベロス「ぎゅぴっ!?」

代表の言葉を聞いたケルベロスは強制的に伏せの体勢に。

魔導長「あと4ターン」

396

--竜骸の渓谷--

代表「少しだけ僕が抑えておくけど、これもすぐに跳ね返されちゃうと思う。みんなも全力で行った方がいいよ、もう小出ししている状況じゃない」

侍「……で、ござるな。なら次は拙者いくでござる。拙者史上、最大の斬撃をご馳走してくれるでござるよ」

そういうと侍は精神を集中していく……。

擬似魔王ケルベロス「すぎゃああああああああ!!」

ぶわっ!!

代表「ちぇっ、思った以上に早いね。次頼んだよ」

侍「任せるでござるよ。スキル、主水セレクション!!」

きぃん

擬似魔王ケルベロス「」

刹那の瞬間に放たれたいくつもの必殺の斬撃がケルベロスをばらばらにする。

ずる……ずずーーーんん

魔導長「あと3ターン」

397

--竜骸の渓谷--

ず、ずずずずるるるるる!!

しかし、吹き飛んだ肉片が全て胴体に向かって触手をのばし、重なり、また一つになっていく。

侍「ふぅ……対軍スキルでござるのに効果薄……次頼んだでござる」

竜子「ん?」

符術師「ん?」

賭博師「ん?」

侍「あれ? 次の準備できてないでござる?」

擬似魔王ケルベロス「ぎゅおおおおおおお!!」

ケルベロスはまたもや完全な体に復活する。

魔導長「あと2ターン」

398

--竜骸の渓谷--

符術師「くっ、じゃあ俺がいってやる!! ファイナルドロー……これは!」

擬似魔王ケルベロス「ぎゅいいぁああるあああ!!」

竜子「遅ぇ!! 奥義、絶対零度ビーム!!」

かっ!!

バッキャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!

びゅおおおおおおおおぅぉぉおぅぅぅうう……

侍「う、うおう……な、なんて強力な魔力攻撃……広範囲で高威力かつ強制氷結……おっそろしい」

代表(……これを最初に撃たれていたら僕たちは速攻で終わりだったわけなんだが……)

竜子「……」

びきっ

魔導長「あと1ターン」

399

--竜骸の渓谷--

擬似魔王ケルベロス「GUぎゃああああああああああああ!!」

ばきばきばきばき

竜子「これでもほぼノーダメ……はぁ。自信がぶっ壊れそうだぜ」

符術師「よ、よし!! 次こそ俺の番だぜ!! 天を見ろ!! 星よ輝け!! 我が右手に光るのは」

賭博師「奥義、賭博場」

ぶにゅむぅ

符術師「……え?」

辺り一帯を賭博師の魔力が包み込んだ。

賭博師「あー……これはサイコロが権力を持つ戦闘空間なんだけど……説明しても意味ないよな。その手じゃサイコロ振れないしな」

侍「前足で蹴ることはできるんじゃないでござるか?」

賭博師「駄目だ振らなきゃ。そういうルールなんだから」

じじ、じじじっ

賭博師「ま、俺の魔力だけじゃ数秒展開が関の山~」

びゅぅん

魔力フィールドは消え去った。

符術師「……」

寂しそうにカードを持って立ちすくむ符術師。

400

--竜骸の渓谷--

魔導長「0」

びきーーーーん

侍「!?」

符術師「! ……溜まったか」

賭博師「ミッション達成か……さぁこれで倒せないとかはやめてくださいよ?」

魔導長「まかせてなの」

直視することもできないほど、今魔導長は光り輝いている。見るものを癒す、優しくも力強い光。

擬似魔王ケルベロス「ぐ、ぐひゅる……」

さすがのケルベロスも後ずさり。ケルベロスからしたらあれは悪魔の光なのだ。

竜子「……どっちが化物だっつーの」

代表「はは、まったくだ」

魔導長「いくよ、全力全開っ!!」

それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m


名前・勇者、彼女、嫁
職業・勇者
タイプ・オールラウンド
属性・全(認識次第で欠陥属性も使用可能)
体力・A
攻撃性能・A
防御性能・A
速度関係・A
魔力関係・A
精神関係・E
固有能力・A

勇者「み、みんな……ひどい……わ、私の胸は。胸は……」

71
ない胸


ということでサイズは71ということで。アンダーはどうなるのかな……う!? 絶壁がせま



投下シマス

401

--竜骸の渓谷--

ギイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!

光が魔導長の杖の先に集まっていく。

擬似魔王ケルベロス「ぐ、ぐ……ぎしゃああああああああああああ!!」

ケルベロスは怯えながらも魔導長に飛び掛った。

魔導長「……終わりだよ。奥義」

ギィイイイイイイイン!!!!

光の玉は急激に膨張し、そして圧縮される。

魔導長「星☆光☆破☆壊☆砲!!」

かっ

402

--過去、学校--

ショタ代表「てんてー! いかないでよぉー!」

ロリ符術師「やらー! ずっといっしょにいるのぉーお! びえー!!」

夕暮れの校庭で、少年少女達は泣きながらある大人に走りよった。

先生「お、おっとっと! こらこら君たち……弱ったな……」

先生と呼ばれた青年は困った顔で頭をかく。

ショタ侍「しぇ、しぇんしぇい、いつでもけいこつけてくれるって、いってたでごじゃるのに……ぐしゅ」

ロリ通信師「ふぇぇぇん! ふぇぇぇん!」

地団駄をしながら泣いている通信師。

403

--過去、学校--

ショタ賭博師「ぼくたちのこと、きらいになったの……?」

先生「おいおい待っておくれよ、どうしてそんな話になるんだい?」

先生はしゃがみこみ、優しく微笑んだ。

ショタ医師「ふぁーぶるすこ……ふぁーぶるすこ……」

ロリ通信師「うぅぅ、うぅぅ!」

しっかり先生を捕まえて離さない賭博師達。

先生「僕はね、ただ山の向こうの学校も見ることになっただけなんだよ。心配しなくても君たちの前からいなくなったりしないよ? ちゃんと明後日には帰ってくるから」

ショタ大豚亜人「ぷぎっ、ぷぎっ……」

ロリ竜子「……」

ロリ符術師「ほっ、ほんとぉ……?」

先生「あぁ本当だとも。もう少しして向こうが落ち着いたら君達を連れていくよ。向こうの学校の子達も中々個性的でね、戦士君は侍君と同じで今から修行しているんだよ? きっといい友達になれる」

ショタ侍「ぐしゅっ、ぐしゅ」

404

--竜骸の渓谷--

ドゴオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!

擬似魔王ケルベロス「ぎゃ、ぎゃひぃっ!?」

超密度の魔力攻撃がケルベロスを押し戻す。

ドギャギャギャギャギャギャアアアアアアアアアアアアア!!!!

擬似魔王ケルベロス「っぎぃ!! ぎやああっ!!」

ズズゥン!! ドオォォン!!

ケルベロスは一歩、また一歩と後ろに下がるしかない。

405

--過去、学校--

ロリ竜子「……」

ショタ賭博師「うわぁああぁあん!! せんせい、せんせいい!!」

先生「がっ、がふ……」

竜子の右腕が先生の腹部を貫いている。

ずぼっ

ぼたたっ

竜子が右腕を引き抜くと、傷口から血があふれだし地面を染める。

ロリ通信士「りゅ、りゅうこちゃん……なんで」

ロリ竜子「……」

406

--過去、学校--

ショタ侍「しぇんしぇー! しぇんしぇー!!」

先生「ぐふっ、だ、大丈夫だよ。急所は外れてる……それより、竜子ちゃん」

ロリ竜子「っ!?」

先生は震えながら立ち上がり竜子に近づいていく。

ロリ竜子「……っ」

先生「……ごめんね。僕は少し、無責任だったね」

ロリ竜子「!?」

先生「君のことを、もっと理解してあげるべきだった……ぐっ!!」

どざっ

ロリ竜子「あっ!!」

跪いた先生を見て咄嗟に手を伸ばそうとしてやめる竜子。

407

--過去、学校--

ショタ医師「せ、せんせぇ!! い、いまおいしゃさんよぶから!!」

ロリ符術師「わたしもいぐっ!!」

走っていく二人。

先生「はははっ、魔法もうちょっと勉強しておくべきだったなぁ」

情けない、と汗を流して笑う先生。

ショタ代表「なんで、なんでこんなことしたの竜子ちゃん……」

みんなの視線が竜子に集まる。

ロリ竜子「あっ……わ、わたし」

言葉につまり竜子の足が震える。

先生「……いいんだみんな。竜子ちゃんが悪いわけじゃないんだよ」

ロリ竜子「!?」

408

--過去、学校--

先生「竜子ちゃんは本当にいい子なんだ……。これは僕のせいでもあるし、何か悪いことをたくらんで竜子ちゃんをだましてる人がいるんだ……だから君達、竜子ちゃんをそんな目で見ちゃだめだ。彼女は君達の友達で、仲間なんだから」

ショタ大豚亜人「で、でも、これって……あの……竜亜人と一緒なんじゃ」

ロリ竜子「」

先生「!? こ、こら! そんなことは言っちゃ駄目だって教えたでしょ!?」

ロリ竜子「っ」

だっ!!

竜子はそのままその場から駆けていく。その速度は既に人が追えるレベルのものではなかった。

ひゅん

先生「くっ……はぁ……人を導くって、難しいなぁ」

ショタ賭博師「せ、先生、血が止まらないよ!?」

先生「大丈夫、安静にしていればすぐにお医者様が来てくれるさ。賭博師君、悪いけど保健室に行って保健の先生から……あぁ、今日はもう誰もいないんだった」

ショタ賭博師「タオルとか包帯とか薬もってくればいいんでしょ!? とってくるよ!!」

409

--過去、スラム街--

竜子「はっ、はっ、はっ……」

竜子は血に塗れたまま町を走り、そして黒い馬車を見つけて止まった。

ある館の主「ほっほっ。お疲れ様でした。竜子さん」

馬車の主は馬車の中から竜子に話しかける。

ある館の主「既に報告は受けています。お見事でした。それではこれより貴女方を約束の場所へ連れて行きましょう。ささ、お乗りください」

竜子「……もう一つの約束は、大丈夫なんだろうな」

ある館の主「もう一つの約束……とは?」

竜子「あの学校にはもう手を出さないってことだ! もちろん先生にも!!」

ある館の主「……えぇえぇもちろん。約束は守りますとも。ちゃんと医者も手配していますよ」

竜子「……なら、いいけど」

ある館の主(手出ししませんとも。そう例え、治療であろうとも、ね)

410

--竜骸の渓谷--

ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

擬似魔王ケルベロス「っ!! っ!!」

肉片が弾け、徐々に体が小さくなっていくケルベロス。
黒いもやのガードでは防ぎきることなどできないのだ。

魔導長「ああああああああああああああああ!!!!」

ぎゅむっ!!

魔導長はトドメとばかりに威力を強めた。

411

--過去、スラム街--

東の老警備兵「むごい話だな……」

東の新警備兵「お疲れ様でした。どうでした……?」

東の老警備兵「被害者は学校のあの先生だ。やったのは生徒の亜人の子らしいが、何がひどいってその後のことだ」

東の新警備兵「後?」

東の老警備兵「死因は出血死。事件が起きてから四時間後に死亡したんだと。生徒がすぐに医者を呼びに行ったのにどこも休みでいなかったんだとさ」

東の新警備兵「はぁ……なんだか奇妙な話ですね。それじゃあ必要なのは蘇生魔法の使い手になってくる」

東の老警備兵「……蘇生魔法使いが現場に到着したのは、被害者が死亡してから二十五時間だったんだとよ」

東の新警備兵「!? はぁっ!? そんなのありえないですよ!? いくらなんでも、そんな……じゃあ間に合わなかったんですか?」

東の老警備兵「現場には死後二十五時間が経過した被害者と、血まみれの児童達がずっと泣いていた……地獄絵図だったよ」

東の新警備兵「……」

412

--竜骸の渓谷--

ドオォンドォオオオオオン!!!!

擬似魔王ケルベロス「          」

最後の力を振り絞りぼがくケルベロスだったが、それももはや時間の問題。

ギュゴッゴオゴオオオオオオオオオオオオオオン!!

代表「……」

竜子「……」

五人は魔導長の放つ眩い光と、それにかき消されそうになっている黒い巨人を見ていた。

413

--過去、学校--

事件より五年後。

通信士「この学校もとうとう取り壊されるんですね」

符術師「新しい生徒が入ってこないんじゃそりゃそうなるだろ。しかたねぇ」

医師「でも、仕方ないですましちゃいけないこともある」

侍「……あの時のことは今でも思い出すでござる。あれは明らかにおかしかった。きっと何か陰謀があったのでござろうな」

賭博師「……」

五人は校庭の隅にある石の前に立っている。

賭博師「大人は信用できない……俺達がこの国の中枢に入って世界を変える!!」

414

--竜骸の渓谷--

しゅぅううううぅぅ

代表「! あれは……」

擬似魔王ケルベロス「ぎっぎぎ」

黒いドロと王冠が爆心地に残っている。

賭博師「おいおい、あれをくらってまだ耐えるってか? どんだけだよ」

侍「! いかん、どうやら再生しようとしているようでござるよ!?」

魔導長「これでいいなのっ」

そういうと魔導長はふわりと飛んでケルベロスの傍に着地。そして、

魔導長「魔王の骨、ゲットなの」

王冠を取り上げた。

415

--竜骸の渓谷--

擬似魔王ケルベロス「ぎ、ぎぃい……」

黒いもやが消えていき、そこには

代表「熊亜人君……それに護衛姉妹君達も」

魔導長「私くらいになればコアを消さずに倒すことも可能なのっ。さぁ一件落着にしちゃおうなの」

魔導長は黒い袋に魔王の骨をしまうと向き直った。

魔導長「さぁ、代表君。竜子ちゃんにごめんなさいしなさいなの」

侍「は?」

賭博師「へ?」

符術師「ほ?」

416

--竜骸の渓谷--

代表「……い、いやいや……いきなりそんなこと言われましても。というか謝るレベルで済む問題じゃないし、それに僕らは」

魔導長「悪いことしたらごめんなさいするのが筋でしょなのっっ!!!!」

びりびりびり!!

声に魔力をのせた魔導長の一喝は五人をその場に倒れこませるほどの威力があった。

代表「……ぐ」

魔導長「……引けなくなっちゃってるのはわかるなの。君はたくさんの悲しみを背負った人なの。人に迫害されたもの、亜人に迫害されたもの……心に傷を負った色んな人たちの心のよりどころになってきたのは知っているなの」

竜子「……」

魔導長「組織を巨大にするために金儲けを黙認し、たくさんの悲しみを生んだのも事実……。君が歩いた道は正しいとはおせじにも言えないなの。でも全ては更に巨大な悪を倒すため……そのために君は下水の道を歩むことを選んだ」

賭博師「……」

魔導長「君も袂を分けたとはいえ、国のために、先生の教えを守るために生きていたなの。……やり直すなら今なの」

417

--竜骸の渓谷--

代表「……そんな全うな考え私は考えてませんよ? 私はただ、金儲けしか考えてない人間です」

魔導長「人間は歪むものなの。多少はしょうがないの」

賭博師(いやいやいやいや)

侍(多少って言うか、被害甚大っていうか)

賭博師(器でかいのか馬鹿なのか)

竜子(住処攻撃されて同胞をひどい目に合わされたのに)

魔導長「返事は決まったなの?」

代表「……すいませんがその言葉には従えません」

侍「!」

代表「貴女も言った通り、私は色んな悲しみを、恨みを背負っています。僕だけがそっちにいくわけにはいかないんです」

魔導長「みんなもこっちにきたらいいなの」

代表「……人によってはもう戻れないんですよ」

418

--竜骸の渓谷--

代表「私の団体には、竜亜人によって妻と息子夫婦、それと孫を殺された七十歳の人がいます。彼はもう、竜亜人種を恨まずには生きていけないんです」

竜子「……」

代表「生き続ける限り憎み続けるんです。そしてそれはまた誰かを巻き込み連鎖となる」

魔導長「……そう、君は自分自身を含む全ての亜人保護団体構成員を……殺すつもりだったのね」

賭博師「!?」

魔導長「連鎖の終点である魔王に全てを押し付けて」

代表「……」

魔導長「世界中全ての回復を禁止にして回復魔法で金稼ぎ、というのは嘘。自動蘇生を封じ、竜亜人を殺すためにおこなった、それすらも嘘だったのね」

竜子「……ふざけたやつだ。そんなことのために私らの住処を死に場所にしようとしていたのか」

竜子は怒りを隠せない。

419

--竜骸の渓谷--

竜子「お前の身勝手な行動のせいで一体どれだけ不幸な人間が増えたんだ!?」

侍(お前さんは外の世界知らないんじゃない? のでござる)

賭博師(まぁ言わしとこうぜ)

竜子「どんどんどんどん雪だるま式に被害者を増やしていって、全部殺す気だったのかよ!!」

代表「……真相を探っていくうちに、誰が最初の悪なのかわからなくなったんだ」

どがっ!!

竜子は代表をぶん殴る。

ずざざー!!

符術師(うわ、非戦闘員の代表に竜亜人のパンチとか。死んだな)

代表「ぐっ……」

符術師(あれ?)

420

--竜骸の渓谷--

竜子「許さない。お前は……お前は!!」

魔導長「はいストーップなの」

ふわり

魔導長は代表と竜子との間に割って入る。

魔導長「代表君、残念なの。せっかくの申し出を受け入れてもらえないみたいで悲しいの」

代表「……はい」

魔導長「でも殺させはしないの」

竜子「……え」

魔導長「そもそも私達人類はこんなことしている場合じゃないの。本当の魔王が迫ってきている……今はどんな戦力も欠かすことはできないの」

そう言って魔導長は竜子の顔を見る。

魔導長「だから今から竜亜人種はうちの国民なの。世界存亡の危機に腐らせておくにはもったいない戦力なの」

竜子「へ?」

魔導長「で、亜人保護団体は悪いことしたからうちの国でこき使うなの。わかったの?」

代表「……へ?」

魔導長「君達の罪は人類存続が出来た時に裁いてあげるから。罪滅ぼしってことで人類救っちゃって欲しいの」

魔導長はにっこりと微笑む。

侍(あー……このためにこの人は……)

二部の本筋は終わったかな?
それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m


名前・男A、賢者、新王
職業・賢者
タイプ・魔法、守
属性・水
体力・D
攻撃性能・E
防御性能・B
速度関係・D
魔力関係・B
精神関係・C
固有能力・C

こんばんはー。たまには少し早めに投下しますね。

421

--???--

魔王勇者「……」

魔王勇者は窓際で黄昏ているツインテに近づいていく。

ツインテ「……」

魔王勇者「ツインテ……」

ツインテ「ボク……知りませんでした。魔王勇者さん達が……あんなことをしているなんて」

魔王勇者「……」

ツインテ「ボクは魔王勇者さん達と会って、そして話をして魔王側を知りました……今までの価値観を壊されました。だって、皆さん本当にいい人達でしたから」

魔王勇者「……」

ツインテ「でも、死んだ人を、命をまるで人形のようにもてあそぶのはよくないと思います!!」

ツインテは涙を零しながら魔王勇者の顔を見た。

422

--???--

魔王勇者「……価値観の違いよツインテ。私達は命をもてあそんでなんていない」

ツインテ「え……」

魔王勇者「私達は真実を知らされずに終わってしまった命にもう一度チャンスを与えているだけ。それに納得できないなら私に付き従わなくてもいいと言ってあるのよ」

ツインテ「え、そう……なんですか?」

魔王勇者「えぇ。私達は自由意志を尊重している。あなたが見てきたこの魔王軍の中で、誰か一人でも嫌々働かされているのがいた?」

ツインテ「……いえ」

魔王勇者「……確かに私達は多少なりとも強引な手段を使ってる。これを決して綺麗な手段だとは思わないわ。でも」

魔王勇者はそっとツインテの頭を引き寄せて自分の絶壁に押し付ける。

魔王勇者「誰だって、死んだままはいやでしょ?」

ツインテ「……うっう……」

絶壁が涙でぬれていく。

423

--???--

ばたーん!!

銀蜘蛛「オリャー! ア、ツインテチャンミッーケ!! アッ!? ゼッペキチャンガナカシテルッ!?」

機械仕掛けの蜘蛛が扉を開けて入ってくる。

魔王勇者「ふぇっ!? ち、違うってば! 私が泣かしたんじゃないからっ!!」

ウェイトレス「なんだとー? こら絶壁、ツインテ坊泣かすんじゃないよ。せっかく肉まん作ってきたのに!」

続いて大きな皿を持ったウェイトレスが部屋に入ってくる。

魔王勇者「……え。あんたが料理……したの?」

ウェイトレス「ん? あぁ。ツインテ坊が落ち込んでるって腹黒から聞いたからさ。ここは私が腕によりをかける番だと思ってさっ!」

桃鳥「す、すいません……ウェイトレスさんには気持ちだけで十分ですよって言って止めたんですけど……。や、やっぱ私のせいですか? って私思っちゃったりしてます」

その後ろを泣きながら鳥の亜人少女が付いてきた。

ツインテ「あ、あはは……」

気付けばツインテは泣くのをやめていた。
泣いている暇がないほどの緊急事態になったのだから。

424

--???--

銀蜘蛛「ア、ジャ、ジャア、ボクハサンポニデモイッテコヨウカナッ!!」

がしゃぁあん!

窓を割ってアンカーを飛ばす銀蜘蛛だったが、

しゅる

銀蜘蛛「ンギッ!?」

銀蜘蛛は動きを止める。

ウェイトレス「何言ってるんだよ。私がそんな薄情に見える? ちゃんとあんたの分も作ってきたからさ」

銀蜘蛛「ウ、ウゴケナイ……イ、イヤイヤ、ボクロボットダシッ!? ソウイウノハタベレナイカラッ!!」

ウェイトレス「だーいじょうぶ大丈夫。あんたのだけはちゃんと味付けオイルにしておいたからさ!」

銀蜘蛛「ナニガダイジョウブナノッ!?」

桃鳥「すいませんすいません……」

魔王勇者「……どうしよう」

魔王勇者はがたがたと震えて汗を流している。

425

--???--

銀蜘蛛「アッアーッ!! ダ、ダメダッテバッ!! ヤメテッ! ソコハイラナイッ! ソコハイラナイカラッ!! ソコハイシュツコウダカラッ!!」

ウェイトレス「なーに腹に入っちゃえば一緒だって」

銀蜘蛛「ンナワケナイデショウッ!? アッ!? アッ、アアァ、アーーーーッ!!」

魔王勇者「ご、強引に押し込みよった……」

ツインテ「ま、魔王勇者さん……」

ぎゅっ

ツインテは魔王勇者にしがみつき一緒に震えている。

魔王勇者「あれを食らったらいくら魔王でも……」

魔王勇者はツインテの顔を見つめる。

ツインテ「うぅ、ううう……」

魔王勇者「……そうね、私がしっかりしなきゃ」

魔王勇者の瞳に魂が宿る。

426

--???--

魔王勇者「安心してツインテ。ちゃんとあなただけは逃がしてあげる。たとえ、何を犠牲にしてでも!!」

ウェイトレス「はいつぎー、これ味なんだったっけ? まぁいいかー」

桃鳥「んむー!? ん、むぅむーー!!」

じたばたじたばた

銀蜘蛛「システムに重大なエラーが発生しました。アンインストールを推奨します」

魔王勇者「……ごくっ……ツインテには元々頼みたかったことがあるのよ。もうフォーテには言ってあるから。だから……だから……後はお願いね」

優しく微笑む魔王勇者。

ツインテ「そ、そんな、そんな魔王勇者さんはどうするんですか!?」

魔王勇者「魔王が退くことは許されない!」

ぶんっ

魔王勇者はツインテを窓の外に放る。

427

--???--

ツインテ「ま、魔王勇者さんっ!!」

落ちていくツインテと窓から身を乗り出す魔王勇者。

魔王勇者「フォーテ!! 今朝言っておいたことお願いねっ!!」

ウェイトレス「」

ゆらっ

魔王勇者「はっ!?」

がばっ!!

魔王勇者「!?」

ウェイトレスは後ろから勇者の口に肉まんを押し付ける。

ツインテ「ひっ!?」

魔王勇者「うっぐっ!? がっ、うあ……う」

抵抗もむなしく、魔王勇者は力なく窓の内側へと消えていく……。

ツインテ「いやあああああああぁああああぁああああ!!」

428

--???--

ズズズズズズズズ

フォーテ「やっほーお姉ちゃんっ!!」

落下していくツインテの隣に闇が広がり、そこからフォーテが顔を出す。

フォーテ「災難だったねぇ……こんなに美しくて可憐なお姉ちゃんにあんなものを食べさせようなんて……さっ、いくよっ!? 僕達に課せられた指名はねっ?」

ウェイトレス「逃がさないよ」

ツインテ、フォーテ「「!?」」

ひゅんっ!!

ウェイトレスは肉まんをもったまま急降下、ツインテの眼前にまで迫ってきていた。

フォーテ「お姉ちゃんには触らせないっ!!」

ズズズッズズ!!

429

--呪空間--

闇が急速に広まり、ツインテをその中に確保する。

フォーテ「ふぅ……いくらウェイトレスでもこの呪空間の中までは」

しゅばばばっ!?

フォーテ「!?」

その時、一瞬でフォーテの体に無数の糸が絡まった。

ぎしっ

フォーテ「そ、そんな、嘘だ……」

ツインテ「ふぉ、フォーテちゃんっ!?」

ぎしっ

ウェイトレス「お残しは、許さないよ」

ぎぎぎぎぎぎぎぎぃ

フォーテ「そんなっ!? 僕の空間が強引にこじ開けられてるっ!?」

430

--呪空間--

ぎちぎちちっ

ツインテ「フォーテちゃんっ!!」

フォーテ「し、心配しないでお姉ちゃん……っ、ここは僕が食い止めるからっ!!」

ウェイトレス「? 食い止める? 何を言っているの……?」

ごごごごごごごごご

肉まんを持ったウェイトレスが強烈なプレッシャーを放ちながら空間を捻じ曲げていく。

ツインテ「そんな、でもフォーテちゃんを置いてなんて!!」

フォーテ「……ありがとうお姉ちゃんっ。その言葉を聞けただけでも僕、幸せだよっ」

おぉぉおおおおぉぉぉおお

死者の腕がツインテに絡みついていく。

フォーテ「あとはその子達に聞いてねっ」

涙の滲んだ瞳でフォーテは微笑んだ。

ツインテ「ふぉ、フォーテちゃああああああああああああああん!!」

431

--呪空間--

びくっびくっ

桃鳥「」

銀蜘蛛「ががーぴぴー」

痙攣を続ける桃鳥と煙を出している銀蜘蛛。

魔王勇者「がはっ!!……げ、現役の魔王の体力を一撃で0にする料理って……ど、どんだけなの、よ」

じゃー、がちゃ

茶肌「ん」

新聞を持ってトイレから出てきた茶肌は、部屋の現状を見て何が起きたかを察知する。

茶肌「みんな、おかわいそう、合掌」

432

--呪空間--

ズズズズズ

ツインテ「うっうぅ……皆さん」

めそめそと泣いているツインテの周りを腕たちはぐるぐると回っている。

おおおぉぉおおおお

ツインテ「ぐすっ……そう、ですよね。今は仕事をこなさなくちゃいけないってことは、わかってます、けど……でも」

ツインテはみんなの最後の顔を思い出す。

ツインテ「でも、あんなものを食べさせられちゃうなんてっ!!」

ツインテはあふれ出す涙を止められない。

おおおぉぉぉおおお

腕たちはおろおろと慌ててツインテの周りを回っている。

433

--呪空間--

ツインテ「え、なんですかこれ」

おおおぉおおぉ

腕たちはツインテに服を渡した。

ツインテ「これを着ろ、って? なぜですか?」

おおぉぉおおぉぉ

ツインテ「最新の防御装備なんですか? ……そうは思えないんですけど……でも確かに魔力が込められている……」

ツインテが渡された黒い服からは魔力が感じられた。

ツインテ「わかりました。じゃあ着てみます」

おおおぉぉおおぉ

ツインテ「この部屋使っていいんですか? わかりました」

おおおおぉぉお

腕たちが手を振る。

ツインテ「……覗かないで下さいね」

おおおぉっ!?

腕たちは汗をかきながら、後ろで持っていたカメラを慌てて隠した。

434

--呪空間--

しゃっ

ツインテ「ど、どう、でしょうか。これちょっとふりふりしすぎなんじゃないかって、思うんですけど……」

おおぉおぉおカワイイおおおおぉおお

ツインテは黒い色の、ミニスカウェディングドレスへと着替え終わる。

ツインテ「ん……確かにこれは……強くなった気がします」

おおぉぉおぉお

ツインテ「え? もう着くんですか?……わかりました、頑張ります」

ツインテはスカートを握り締め、闇が開くのを待つ。

ズズズズズズズ

ツインテ「……っ」

435

--集落--

ズズズズズズ……

電王「……ん?……!? あ、あれは!!」

ズズズズズ

集落の真ん中に闇が出現し、それを電王が察知する。

電王「おいおいおいおい、やつらがまたしかけてきたぜぇ!! カブトォォォ!!」

カブト「……言われなくとも気付いている」

V3「今回はどうする……?」

カブト「今までどおりだ。俺が行く」

ざっ

カブトは立ち上がり闇から出てくる者を待つ。

ぽひゅっ

ツインテ「ここで……いいんだよ、ね?」

カブト「……いつもの奴じゃあない?」

436

--集落--

ツインテ「ここで、いいんだよね?」

おおぉぉおお

親指を立てる腕たち。

ツインテ「うん、じゃあフォーテちゃんたちが来る前に始めちゃおうかな」

しゅんっ、ざっ!!

ツインテ「っ!?」

どこからともなくツインテの目の前にカブトが現れる。人智を超越したそのスピードは、何者であっても見切ることは出来ないだろう。

カブト「……お前……魔王の手の者か?」

ツインテ「は、はいっ。あ、あのお話をしに来ました……」

カブト「話……だと?」

ツインテ「はいっ。魔王側に争う意思はありません、だから貴方達と和平を結びたい、と」

437

--集落--

カブト「」

眼を見開き絶句するカブト。

ツインテ「あの……だ、だめ、ですか?」

カブト「ふ……ふふ……ふははははははは」

ツインテ「え? あ、あはははは……」

いきなり笑い出したカブトにつられて笑っておくツインテ。

カブト「魔王軍が和平、だと? 冗談にしてはひどすぎるな」

ツインテ「じょ、冗談じゃないですっ!! 本気で言ってるんですよ!?」

カブト「……」

カブトはツインテの右腕に視線をやる。

カブト「……やつの腕か」

ツインテ「え?」

438

--集落--

カブト「却下だ」

ツインテ「えっ!? な、なんでですか……? これ以上争うのはよそうって言っているんですよ? あなたたちももう戦いたくないでしょう?」

カブト「おばあちゃんが言っていた。人生とは戦いだと。戦わない命は命ではない」

ツインテ「そ、そんな……」


電王「なぁにをちんたら喋ってるんだあいつ? さっさとやっちまえばいいじゃねぇか。普段の奴より弱そうだしよぉ」

V3「……」


ツインテ「……困ります」

カブト「……なに?」

ツインテ「戦いをやめてもらわないと、困るんです」

ツインテの魔力が膨らんでいく。

439

--集落--

カブト「……なんだ、和平を承諾しないのなら力づくで従わせる気か? おもしろい」

ツインテ「違います……ボクは力づくでなんてこと、したくありません」

ずずず

カブト「……」

ツインテ「でも、この世の中には言ってもわからない人たちもいるから……だからわかってもらうまで、ボクは!」

カブト「KAGEROU!!」

どぅぃうういんん……

ツインテ「  」

カブトがKAGEROUを使った瞬間に時が止まる。
動けるものはカブトのみの世界。

カブト「何か力を使う予定だったのだろうが、どんな効果を持っているかわからないからな」

ざっざっ

カブトはツインテに近づいていく。

カブト「……悪いが、俺達は魔王と分かり合おうだなんて思っちゃいない」

カブトはそういうと手刀を振り下ろし、

ざんっ!!

ツインテ「  」

ツインテの首を刎ねた。

440

--集落--

……んんぃうぅううんど

再び時が動き出す。

びくっびくっ

ツインテは首を失い、傷口から大量の血を噴出していた。

カブト「……」

カブトはツインテの首を一瞥すると、踵を返して歩き出す。

ツインテ「ぜっ、ぜったい、かいふく、りょういき」

カブト「!?」

ぎゅいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいん!!

カブト「なっ!? 確かにしとめたはずだ……まさか、これは」

カブトはツインテが展開した魔力空間に閉じ込められてしまう。

ツインテ「ごべっ、ごべん、なさい」

首の無いツインテは自分の首を拾って傷口にくっつける。

ツインテ「……ボクは自動蘇生スキル持ちですから」

カブト「くっ! KAGEROU!!」

どぅぃうういんん……んんぃうぅううんど

カブト「……なに? KAGEROUが発動しない!?」

ツインテ「してますよ。してますけど、全部戻っちゃってるだけです」

カブト「!?」

ツインテ「奥義、絶対回復領域。誰かを傷つけることも、誰かに傷つけられることもない、世界で一番平和な空間です」

にこりと笑うツインテの瞳はなぜか暗い闇のよう。

ツインテ「わかってくれるまでだしません。何年でも、何十年でも、何百年でも……」

格キャラの脳内再生cvアンケートとか人気投票とかやってみたいなぁとかひそかに思ってるんですけど、全然書き込みなかったらと思うと……。

それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m

こんばんは!
それでは投下していきます。

441

--集落--

電王「お、おいおいまずいんじゃねぇかありゃ、カブトのやつ変な空間に閉じ込められてやがるぞ」

V3「油断しおって! 外側からどうにかなるか……ためしてみるか」

だだだだだ

ディケイド「先輩方どうかしましたか!?」

電王「おうディケイド、おせぇじゃねぇか! おめーの力を使う時が来たかもしれねーぞ!」

ディケイド「私の、ですか? うわなんか変な空間が!」

V3「! なるほど確かに……BLACKの解除する力ならなんとかなるかもしれないな……」

ディケイド「あれを壊すのにBLACKさんの力を使えばいいんですか?……わかりました、やってみます!」

そういうとディケイドは祈るように手を合わせ目を瞑る。

ディケイド「BLACKさんBLACKさん、力を貸してください」

……ぎゅいいいいいいいいいいん!!

電王(俺ら人造勇者全員の能力を……)

V3(自由に使うことの出来る能力……便利だな)

442

--集落--

ディキーン!!

ディケイド「ん! 準備完了しました! それじゃあ使います、離れていてください!!」

そういうとディケイドは両手をツインテ達に向ける。

ずずずず

フォーテ「そうはいかないよぉっ」

V3、電王、ディケイド「「「!?」」」

晴天だった空が一瞬で暗黒に染まり、空から無数の腕が生えてくる。

電王「この悪趣味な感じは、やつか!!」

V3「……」

ディケイド「う……何この血なまぐさい臭い」

フォーテ「世界で最も美しく優しいツインテお姉ちゃんの最愛の妹、フォーテちゃん参上っ!」

443

--集落--

ツインテ「フォーテちゃん……なんて恥ずかしい口上」

ツインテは両手で顔を抑えている。

カブト「!! 奴まで来たのか!」

フォーテ「うぇえぇん。ツインテおねーちゃああん、聞いてよぉ、フォーテ結局食べさせられちゃったよぉぉ」

ツインテ「!!……そんな……可愛そうに……」

フォーテ「今もお腹ごろごろいってるよぉ……うぇぇ……」

カブト(お姉ちゃん……だと?)

フォーテ「あっ! さすがお姉ちゃんっ!! あのめんどくさいカブトをあっさり捕らえちゃうなんて、まるで虫取り名人だねっ!! お姉ちゃんの光り輝く美しさに吸い寄せられちゃったのかなっ!?」

ツインテ「だ、だから外ではそういう恥ずかしいセリフは/////」

V3「わしら相手に余所見とはな」

たんっ

フォーテ「?」

V3は跳躍し、そしてキックを放つ。

444

--集落--

ゴオオオオォ

V3「くらえぇい!!」

おおおおぉぉおお

死者の腕が間に入るも、

V3「無駄だっ!!」

ドッバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

その全てを粉砕する。

フォーテ「」

電王「ひゅー。さすが人造勇者の中で最も高い攻撃力を持つ男だぜ!」

ディケイド「す、すごい!!」

フォーテ「……」

ぱらぱらと落ちていく腕の残骸を見ているフォーテ。さすがのフォーテも笑っていられないのか、顔から表情が無くなっていた。

V3「悪鬼、貴様の命運はここで尽きるのだ!!」

445

--集落--

フォーテ「あ、は」

V3「?」

フォーテ「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは

ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは

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はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」

電王「ぐっ!?」

ディケイド「っ!!」

おぞましい波動、その笑い声にさえ邪悪な魔翌力が宿っている。耐性の無い者がこの場にいれば一瞬で正気を失ってしまうだろう……。

フォーテ「きゃはっ! 君がっ? 一人でっ? 僕をっ?」

けたけたけたけた

フォーテ「むぅりぃ」


446

--集落--

ああああぁあああ

まるで木々のように生えていく死者の腕は徐々にこの世界を埋め尽くしつつある。

ああぁあああぁあ

フォーテ「ちょっと強いからって、調子に……」

つー

フォーテの口から一筋の血が流れる。

フォーテ「……あれ?」

ぼたっ

フォーテ「え、なに、これ」

V3「ふっ、スキル、化物殺し……わしの攻撃は、相手が人間離れしていればそれだけダメージがでかくなるのだよ……」

電王「単純なスペックの時点でV3のおっさんは人類最強クラス、そしてあのスキル……おっかねぇぜ」

447

--集落--

フォーテ「……ごふっ」

フォーテは左のわき腹から血が滲んでいることに気づく。

フォーテ(さっきの攻撃……防ぎきれなかった?)

V3「お前ほどの化物なら、相当威力は上乗せされているのだろうなぁ」

フォーテ「……」

ぐしっ

フォーテは手の甲で血を拭う。

フォーテ「……ふぅん。やっぱり前も思ったけど、君達ってめんどくさいね」

ずずずずずずず

フォーテは更に腕を呼び寄せる。

フォーテ「久しぶりに全力出しちゃおうかなっ」

447

--集落--

フォーテ「……ごふっ」

フォーテは左のわき腹から血が滲んでいることに気づく。

フォーテ(さっきの攻撃……防ぎきれなかった?)

V3「お前ほどの化物なら、相当威力は上乗せされているのだろうなぁ」

フォーテ「……」

ぐしっ

フォーテは手の甲で血を拭う。

フォーテ「……ふぅん。やっぱり前も思ったけど、君達ってめんどくさいね」

ずずずずずずず

フォーテは更に腕を呼び寄せる。

フォーテ「久しぶりに全力出しちゃおうかなっ」

448

--集落--

電王「お前はだりぃからよぉ、複数でいかせてもらうぜぃ!」

ディケイド「覚悟してください!」

フォーテ「!」

電王とディケイドは空中にいるフォーテに接近する。

フォーテ「真正面からなんて失礼しちゃうっ」

フォーテが闇を操り迎撃しようとするが、、

ディケイド「カブトさんカブトさん、力を貸してください」

ディケイドは空中でカブトの力を手に入れた。

フォーテ「」

ディケイド「KAGEROU!!」

ぎゅぃぃいいいん!!

449

--集落--

時が止まった世界。

ディケイド「ふぅ、今のうちに!」

ディケイドは電王とV3の場所を移動させたのち、自分もフォーテの視覚に回り込む。

ディケイド「解除!」

んんぃぃいいぃぎゅ!!

フォーテ「!?」

電王「っと、いつもながら慣れないぜ。気付いたら目の前に敵がいるんだからな」

V3「まったく」

ドギャギャッ!!

無防備なフォーテのの背中を二人の攻撃が襲う。

フォーテ「あっぐ!」

450

--集落--

ディケイド「ブレイドさんブレイドさん、力を貸してください!」

墜落するフォーテに追撃を加えんとするディケイドの手から巨大な剣が出現する。

ふぉん

ディケイド「てやああああああああ!!」

フォーテ「やm」

ズバァアアアアアアン!!

フォーテ「!!!!」

ツインテ「!? なっ!!」

フォーテは体を大きく切り裂かれて落下していく。

ひゅるるるるどおぉん

ディケイド「や、やった!?」

V3「……手ごたえないな」

電王「あぁ、なんかおかしいぜ」

ディケイド「え!?」

451

--集落--

電王「あいつがカブトとやりあってた時のスピードとパワー、こんなもんじゃなかった。手を抜いてるのか?」

V3「わからん。だが油断はできん」

ディケイド「……」

フォーテ「う、うわぁ……血が、血がいっぱいだぁ……」

フォーテは流れていく自分の血をぼーっと眺めている。

ツインテ「フォーテちゃん!! 今助けてあげるから!!」

フォーテ「だめっ!!」

ツインテ「!?」

フォーテ「絶対回復領域は解いちゃだめだよお姉ちゃん。カブトと遊ぶ前にあの三人を片付けておかなきゃならないんだからっ」

ツインテ「で、でも」

V3「……随分となめた口をきいてくれるな!!」

どん!

V3は宙を蹴ってフォーテに突進する。

452

--集落--

フォーテ「スキル、ダメージカーズ」

うぉおん

V3「なん、だこの感覚……ぐっ」

どろり

V3はどこからともなく現れた血によって視界が奪われる。

ディケイド「きゃっ!」

電王「ぐおっ!?」

空中の二人も体中から血が噴出している。

V3(コレはわしの血!? 何が、起きている!?)

フォーテ「僕の職業はねぇ、呪術師なんだよぉ。スキル、スピードカーズ」

ぎゅぅうん

V3の落下速度が極端に遅くなってしまう。

フォーテ「スピードカーズ、スピードカーズ、スピードカーズ、スピードカーズ」

ぎゅぅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぅうううん

453

--集落--

V3「」

V3は空中に固定されたように動かなくなる。

フォーテ「さっきスキルの効果教えてもらっちゃったから僕も教えてあげるねっ。ダメージカーズは僕が受けたダメージをそのまま返す技なの」

電王「!?」

ディケイド「なんだと!?」

フォーテ「スピードカーズは動きを束縛する呪い。いっぱい重ねてかけちゃったからもう地面につくまで何ヶ月かかるかわからないね。くすくす」

V3「」

喋ろうとしても動きが遅く、動いているのかもわからないV3。しかし、出血まで遅くなったわけではなかった。

どく、どくっ

フォーテ「さぁて、あと二人」

フォーテは舌で自分の口周りを舐めた。

454

--妖精郷--

ぼろぼろになった妖精郷のある家で旅支度をしているハイ達。

アッシュ「……しかし精霊を殺った意味はなんだったんだ?」

レン「わからないにゃ。でも何かすごくいやな予感がするのにゃ。魔王軍もここの所本格的に動いているにゃし」

ポニテ「うん……アッシュ君に蘇生魔法かけた時に利きが悪かったのもそのせいなのかな」

ぴっち『それは外の影響かもしれないっぴ。精霊様が死んで、世界を隔てる壁の効果が薄れてしまったっぴ』

ハイ「……精霊様……」

ぱっち『……君達には色々助けてもらっちゃったっぱ』

アッシュ「よせよ、俺たちは防ぎきれなかったんだからな」

ポニテ「……」

レン「……」

ハイ「行きましょう、皆さん」

455

--妖精郷--

ぴっち『もうすぐ出口っぴ……でも寂しくなるっぴねぇ。僕たちは妖精郷再建するためにしばらくここを離れられないっぴ』

ぱっち『次に会えるのは何年後か、何十年後か……』

ポニテ「そんなにかかるの? また会いに来るよ!」

ぴっち『あー、先に言っておかなきゃいけないことだったのかもしれないっぴが、実はここは外と時間の流れがちょっと違うっぴ』

ハイ「……え」

ぱっち『だから』

伝達鳥「くるっぽー! くるっぽー!」

ばさばさ

アッシュ「ん、伝達鳥が出口の方から飛んできたぞ」

ぴっち『あぁ、伝達鳥さんにはここに自由に出入りできるよう許可だしてるっぴ』

伝達鳥「レン様、レン様にお手紙が届いていますっぽー」

レン「? レンに?」

456

--妖精郷--

伝達鳥「ではこちらにサインくださいっぽー。それと返りの魔力下さいっぽー」

レン「にゃ」

伝達鳥「はわわわ、こりゃまたなんともエクスタシーな魔力っぽー。それじゃあ皆さんお達者で」

ばさばさ

アッシュ「レン、何だその手紙」

レン「今開けるにゃ」

がさがさ

レン「えーと何何……これ魔導長からにゃ」

ポニテ「え! お姉ちゃん!?」

レン「読むにゃ。 やっほー☆ 元気してるかなー? 魔導長お姉ちゃんだよー☆……声にだして読むのきついにゃ……もう読みたくないにゃ」

レンはそういってハイに手紙を渡す。

ハイ「……はい? なんですこれ」

レン「読めにゃ。先輩命令にゃ」

ハイ「は、はいいいぃいぃ!?」

457

--妖精郷--

ハイ「じゃあ、後輩なので読みます……」

アッシュ「完全にいじられキャラに定着したな」

ポニテ「しかし実は年上っていうね」

ハイはンーッンー言いながら絡まった痰をなんとかして手紙を読み始めた。

ハイ「今回この手紙をレンちゃん達に送ったのは重大なことがあったからなのです。……しかし、この手紙をレンちゃん達が読んでいるということは、私はもうこの世にはいないのだと思います」

レン「!?!?」

ポニテ「えっ!?!?」

アッシュ「魔導長がか!?」

ハイ「っていうのはうっそー☆ひっかかったー? てへぺろだぶるぴーす☆」

レン「……」

ポニテ「……」

アッシュ「……」

ハイ「えっ!? 私そのまま読んでるだけですよ!? 私のせいじゃな、あ! ポニテ先輩おっぱい揉まないで!?」

458

--妖精郷--

ハイ「はい、という私の素敵なギャグが見れて随分緊張がほぐれたと思うなの」

レン「ほぐれたのはハイのぱいおつだったけどにゃ」

ポニテ「読み間違いするたんびに揉んでやろうと思う」

アッシュ「いじめか」

ハイ「今回の事件……って言ってもポニテちゃん達は今妖精郷にいるだろうから知らないと思うけど、こっちではちょっと色々事件があったなの。そして五柱の一人、賢帝が五柱の席から退くことになったの」

アッシュ「……あっちもすんごい事件起きてんな」

ポニテ「ほんとそう」

ハイ「それで私は緊急に五柱会議を発足し、全五柱に収集をかけたの。でもまぁいつもの通り集まらなかったの」

アッシュ「……」

ハイ「会議の内容は空いた五柱の席に誰を座らせるか。でも五柱のみんなは五柱であることをどうでもいいって思ってるやつばっかなの。そんな奴らだから、五柱に推薦したい奴がいる、とかそういうことも言ってこないの。だから私が推薦状を書いたの」

ポニテ「え」

ハイ「空いた五柱『帝』の枠に、私はレンちゃんを推薦したの……ってえぇえええ!?」

459

--妖精郷--

ポニテ「つ、続き早く! 続き!! 揉むぞ!!」

ハイ「は、はい。で、えっと、ひゃうぅん!! ……そ、それで」

レン「揉むな」

ハイ「手紙の返事は、竜騎士・んんんぶるるるるぁああぁあああぁ……誰でもぉ、かまわあぁあぬぅ。まかぁせたぁあ」

ポニテ「うわ、手紙までぶるるぁあっとか書くんだあの人、わけわかんない」

ハイ「射王・いいんじゃね別に」

アッシュ「射王……って、確か」

レン「……」

ハイ「残る護皇は居場所がわからなかったの。でも反対票無かったから五柱会議は成立したことになるの。よって今日からレンちゃん、貴女は五柱、帝になったの」

レン「」

ポニテ「イやあああああああああああああああああああ!! ポニテちゃんばっかずるくないい!? パワーアップやらなにやらひいきされすぎじゃない!?」

レン「レンが……五柱……」

ポニテ「無視もいやあああああああああああああああああ!!」

460

--妖精郷--

ハイ「で、つきましては、新しい帝の座についたわけなんだけど、レンちゃん何帝にする?」

レン「にゃ?」

ポニテ「あぁそうか。職業に合わせて名前が変わるんだっけ五柱は」

アッシュ「賢帝は賢者の職業が五柱になったら賢帝なんだしな」

レン「錬、帝? 錬金帝? うぅむ、なかなか難しいにゃ」

ポニテ「そうだねぇ。これから世界中の人に名前が知れ渡るわけだしね。ここは慎重に考えるべきだよね」

ハイ「あ」

アッシュ「ん、どうしたハイ」

ハイ「レンさんは生産系の職業なわけですから……物作りてー(ものつくり帝)、とか」

アッシュ「」

ポニテ「」

レン「」

ハイ「あ、あはは、なんちゃって」

ピヴォン 

ハイ「あれ? 手紙が光って……何々? なお、この手紙の最後に声紋で自分の職業名を入力してね。そうしたら自動的に世界中にレンちゃんの新しい職業名が登録、され……て」

アッシュ「」

ポニテ「」

レン「」

ハイ「あ、あはははは……」

手紙『入力完了、ものつくり帝、登録されました』

レン「そんなださいの嫌にゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

レンが五柱の一角、ものつくり帝になった。

それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m


名前・男C、闘士
職業・闘士
タイプ・物理、攻守
属性・土
体力・A
攻撃性能・C
防御性能・B
速度関係・E
魔力関係・D
精神関係・A
固有能力・C

遅くなってしまってごめんなさい。それでは投下していきたいと思います。

数値化! そんな方法もありましたか。でもインフレがすごくなりそうな予感も……なかなか難しい。

461

--集落--

ドゥン! ドンドーン!

フォーテ「あはははははは」

死者の腕を羽のように広げて空を舞うフォーテ。

電王「ちぃ!! めんどくせぇやつだぜ、火の剣!」

ぼっ!!

ディケイド「響鬼さん響鬼さん、力を貸してく」

フォーテ「けたけたけた」

ズンッ!!

ディケイド「アッ」

伸びた死者の腕がディケイドの胸部を貫いた。

フォーテ「ディケイドちゃんの弱点は能力発動までのタイムラグだねっ。いくら色んな力を使えても、使えるようになるまでに時間がかかるのが、オリジナルより弱い所っ!」

ドズドズドズドズっ!!

ディケイド「」

無数の死者の腕がディケイドを貫き、そしてバラバラにした。

462

--集落--

ディケイド「ぎ、Gあじ8あAAぁAAAああAAAAAAA!!」

ずぅん!!

落下していくディケイドの肉片が黒く光り始める。

ぎち、ぎちぎちぎち

電王「! バカヤロウ! お前はまだ制御しきれてねぇだろ! やめろ!!」

ディケイド「う、ふぅ、!! ぐああぁあああああ!!」

ぐちゃあぁん!!

肉片が一つに集まり、そして

擬似魔王ディケイド「GU、ぐるぅる」

黒いもやを体中から吐き出した。

463

--集落--

フォーテ「まってたよっ」

ずずず

擬似魔王ディケイド「」

フォーテの後ろで広がっていた闇が、口を開けてディケイドにかぶりつく。

ずず、ずずずず!!

擬似魔王ディケイド「ご、gooooっごろooじょあおえいあl!!」

もがきながらも徐々に闇の中に飲み込まれていくディケイド。

電王「て、てめぇー!!」

電王は空中を蹴ってフォーテに向かって行くが、

おおぉぉおお

死者の腕が邪魔をする。

電王「くっそっ! どきやがれてめぇら!!」

464

--集落--

擬似魔王ディケイド「……」

イィィイイイイン!!

ディケイドの右手に魔力が集まり始める。

フォーテ「? まだ抵抗する気なんだっ? そんなことしても無駄なのにっ!!」

ドゥン!!

フォーテ「……なんで真下なんかに撃って……!」

それは空中で停止しているV3に当たる。

どぉおおん!!

フォーテ「……そういうこと……随分と仲間想いじゃないっ!」

しゅたっ

V3「動きが……戻った? ディケイドか、感謝するぞ!」

振り返るV3。

ディケイド「」

しかしV3が見たものは、擬似魔王化も解けて、なすすべも無く闇に喰われているディケイドの姿だった。

ごっくん。げぇぷ。

465

--集落--

V3「ディケイドを……喰らったのか……?」

フォーテ「えへへっ☆ とってもおいしかったよっ。やっぱり魔王とか勇者の類が一番おいしいねっ!!」

うっとりとした表情でお腹をさするフォーテ。

V3「……」

ぽたっぽたたっ

拳を握り締め、血を垂らすV3。

V3「……弔い合戦だ……無残にも貴様に食われていった我らの同胞、その全てのな!!」

どっぅん!!

V3の跳躍、その身は一瞬でフォーテの目の前に。

V3「受けよ!! 我が一撃!! ダァブルルゥゥゥ!!」

V3の両足の周りを魔力が高速で回転し渦を作る。

ぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいん!!

けたたましい破壊音とともに台風がフォーテに向けて放たれた。

V3「キィイイイイイック!!!!」

466

--集落--

ディケイド「やめてくださいV3さん!!」

V3「!?」

奥義の前にディケイドが現れてV3は一瞬躊躇ってしまった。

ドズズズズ!!!!

フォーテ「あはははは。やっぱり甘いなぁおじちゃんもっ!」

死者の腕がV3の四肢を貫き、空中に固定している。

V3「ぐっ!!」

フォーテ「こんなの、偽者に決まってるのにさっ」

ディケイド「ぶ、ぶぅいぃすぅうりrぃぃいいさぁあああああんんん」

ディケイドはV3の目の前でどろどろと溶けていく。

V3「ぐ、ぐっ!! 貴様同胞の命でもてあそびおって!!」

ぎしっ!! ぶちぶちぃ!!

フォーテ「! へぇ、強引に千切れちゃうんだっ? やっぱり人造勇者最強の三戦士の一人っ」

467

--集落--

電王「俺をっ!!」

フォーテ「!」

フォーテが右を振り向くよりも早く斧は振り下ろされる。

電王「無視するんじゃないっ!!」

ドッガァアアアアアアアン!!!!

フォーテ「んあっ!!」

フォーテは赤い血を撒き散らせながら落ちていく。

ひゅるるるる、どがっ

電王「……あんま不意打ちは好きじゃないがぁ、この場合は仕方ないわな……」

V3「ぐ、すまん、助かった」

468

--集落--

ツインテ「フォーテちゃん!? ど、どうして……やっぱり今日のフォーテちゃんはどこかおかしい……」

カブト「……」(観察していてわかったが、どうやらその右腕に何か細工をほどこしているようだな……ともすれば)

ざっざっ

カブトはゆっくりとツインテに近づいていく。

ツインテ「……なんですか? 何をやっても無駄ですよ? この空間内で起こったことは全部直っちゃうんですから」

カブト「そのようだ」

カブトは手刀を構えると、

ザンッ!!

ツインテ「っ」

ツインテの右腕を切断した。

469

--集落--

ツインテ「気が済みましたか? 貴方は……まだ戦いを続けたいんですか……?」

切断面に戻ろうとする腕をカブトは取り押さえる。

ツインテ「そ、そんなことしたって無駄なのに!!……あ、れ?」

ツインテの視線が定まらない。

ツインテ「あれ? ボクは一体、何して……るの?」

カブト(やはり)

ツインテ「ここ、は……」

びちっびちちっ!!

傷口から闇を吐き出している右腕は、カブトの手の中でもがいている。

カブト「……目を覚ませ、お前のこれは、お前の意思ではないのだろう?」

ツインテ「え……」

470

--集落--

ドガァン!
ズガァン!

フォーテ「んあっ!?」

V3の攻撃を受けて岩に叩きつけられるフォーテ。

電王「おっ!? きいてやがるぜあのインチキ無敵やろうに!」

V3「む、これはいけるぞ……!!」

フォーテ「はぁ、はぁ……」

フォーテは大量の血を流し、生まれたての小鹿のように必死に立とうとしている。

がく、がくっ

フォーテ「はぁ、はぁ」

V3「休ませはせんぞ!」

ばっ

空中に飛び上がったV3は真っ赤に燃えながら回転する。

フォーテ「はぁ……はぁ」

471

--集落--

フォーテ「ん……」

見上げたフォーテ。そこには太陽の如ききらめきが。

ゴオオオォオオオオオオオォオオオオ!!!!

V3「奥義、大回転プロミネンスキック!」

ゴオォ!!

炎の竜巻と化したV3の一撃、それは全ての障壁を破壊して、

ズドン

フォーテ「」

V3「……終わった」

フォーテの腹部に命中する。

472

--集落--

フォーテ「げほっ」(そっか……僕……弱くなってたんだ……お姉ちゃんと一緒にいられたから……幸せだったから……呪う力が弱まっちゃった……んだ)

刹那の出来事。
V3の強烈な魔力が注ぎ込まれて爆散する直前、フォーテはツインテを見た。

フォーテ「」

その光景は、ツインテが右腕を奪われているものだった。

ドグオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

電王「う、うおおおおおおおおおお!? 俺達の基地が吹っ飛んじまうぜ!!……相変わらずすげぇ威力だ……こんなもん喰らったら五柱でもひとたまりねぇぞ」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

しゅたっ!

高熱の爆心地から離れた所に着地したV3は、標的が完全に仕留められたという確証を持てるまで臨戦態勢を解かない。

V3「……」

ごごごごご

V3「……」

しゅぅうう……

473

--集落--

ずしゃっ

V3「……!!」

電王「な、おいおい……嘘だろ」

ずしゃっ、ずしゃっ

煙の中から現れたのは、黒い着物に身を包んだフォーテ。

電王「この感覚は、この力は!!」

V3「魔王化……したというのか」

擬似魔王フォーテ「……許さない……ツインテお姉ちゃんを……いじめるものは……なんであろうと許さないっ!!」

ずおおおおおおおおおおおおおおぉぉおお!!

フォーテの周囲を、まとわり付いた黒いもやが破壊する。

V3「全制限解除、魔王化発動!!」

ゴオオオオ!!

それを見たV3は迷うことなく擬似魔王へと変貌する。

電王「っ!!……くそっ、仕方ねぇ! 全制限解除、魔王化発動!!」

474

--三日前、???--

ツインテ「フォーテちゃん」

フォーテ「ん? 何? ツインテお姉ちゃんっ!!」

ツインテが声をかけると嬉しそうに抱きついてくるフォーテ。

ツインテ「……前、フォーテちゃん言ったよね? ボクと殺しあう、って」

フォーテ「うんっ! 言ったよ!? 勇者になったお姉ちゃんと魔王になったボクで殺しあうのっ!! それはとても素敵なことなんだよっ!!」

ツインテ「……」

フォーテ「……お姉ちゃん?」

ツインテ「……ボクはお姉ちゃんと戦いたくなんて、ないよ」

フォーテ「え……」

ツインテ「だってフォーテちゃんはボクの大事な弟なんだもの」

475

--三日前、???--

フォーテ「そ、そんなっ! お姉ちゃん僕との約束破る気なのっ!?」

ツインテ「そんな約束してないよ……どうしても……フォーテちゃんと殺し合いしなくちゃいけないって言うのなら……ボクはその前に死ぬよ」

フォーテ「駄目だよっ!?」

フォーテはツインテを強く抱きしめる。そして半狂乱となり泣き叫ぶ。

フォーテ「駄目っ! ダメッ!! ダメェッ!! ツインテお姉ちゃんが死んじゃうなんて絶対に駄目なんだよっ!? そんなの絶対やだっ!!」

ツインテ「で、でも殺しあうっていうことはどちらかが死ななくちゃいけないから……」

フォーテ「だから僕が死ぬんだよっ!! お姉ちゃんに看取られながらお姉ちゃんに殺されるのっ!!」

ツインテ「……え?」

フォーテ「だってそうすれば僕はお姉ちゃんの心の奥深くに刻み込まれるでしょっ!? その時初めて僕はお姉ちゃんの一番になれるんだよっ!!」

ツインテ「そ、そんな理由……だったの?」

フォーテ「そんなって、ひどいよぉ……」

ぐしゃぐしゃになった顔でツインテを見上げるフォーテ。

ツインテ「……フォーテちゃん、やっぱりそれはやめよう?」

476

--三日前、???--

フォーテ「ふぇ……」

優しく頭を撫でられるフォーテ。

ツインテ「ボクはフォーテちゃんとやっぱり戦いたくないの」

フォーテ「そん、なぁ」

ツインテ「フォーテちゃん、ここに来て過ごしてきた日々……楽しくなかった? みんなでご飯食べたり、お菓子作ったり、遊んだり……」

フォーテ「楽しかった! すごい楽しかったよ!! フォーテ、お姉ちゃんと過ごせて夢のように楽しかったよ!!」

ツインテ「ボクもだよ」

にっこりと笑うツインテ。

ツインテ「ねぇフォーテちゃん。今の日々をずっと続けたいって思わない?」

フォーテ「……う」

ツインテ「こういう日々をボクとずっと一緒に過ごすのじゃ駄目なの?」

フォーテ「……ツインテお姉ちゃんは、楽しかったの?」

ツインテ「うん。こんな幸せがいつまでも続いたらいいなって思ったよ。それくらいみんなと、フォーテちゃんと過ごした日々は楽しかったんだ。……それなのにフォーテちゃんと戦わなきゃいけないなんて、そんなのすごく悲しいよ……」

477

--三日前、???--

フォーテ「!?」

ツインテの悲しそうな表情を見たフォーテは驚いて、

フォーテ「う、うんわかった!! フォーテ、お姉ちゃんの言う通りにするっ!! もう殺し合いしたいなんて言わないよ!!」

ツインテ「あ、本当?」

フォーテ「本当!! 絶対!! お姉ちゃんの美しさにかけて絶対だよ!!」

ツインテ「ボクの美しさって……いや、でもよかった、これで不安が一つ無くなったよ」

ツインテはそっとフォーテを抱きしめる。

フォーテ「!!!!!! ふぉ、フォーテ、ツインテお姉ちゃんに……不安にさせてたの……?」

ツインテ「ん……まぁ、ちょっと、少し……」

フォーテ「ご、ごめんねぇええおねええちゃああああああぁああんん!!」

478

--集落--

しゅぅうううぅう

擬似魔王フォーテ「あ、あは、AHAHAHAHAHAHA」

ケタケタと笑うフォーテ。その周囲には無数の肉片が無残にも転がっている。

ぎちち

それでも動こうとする肉片を死者の腕が一つ残らず拾い上げる。

擬似魔王フォーテ「すごい……呪術以上の力があるよ……弱くなる前の僕よりも、ずっと強い力だっ!!」

ツインテ「フォー、テ、ちゃん……」

意識が朦朧としているツインテ。まるで現実と夢との区別がついていない様。

擬似魔王フォーテ「待っててお姉ちゃん……今そいつ、轢き殺してあげルかラ」

カブト「……」

カブトはツインテの右腕を握り締めたままフォーテを睨んでいる。

カブト「……おばあちゃんが言っていた。歪んだ愛は醜いものだと」

479

--集落--

擬似魔王フォーテ「なにが……言いたいの?」

カブト「お前の愛は歪んでいる。こんな手を使ってまで実の姉の心を支配したかったのか?」

カブトは右腕を掲げる。

擬似魔王フォーテ「違う……そんなんじゃないよっ、僕は、違う、お姉ちゃんの、タメ、なンだ」

カブト「違う、お前は愛の重さ故に周りが見えなくなっている。そんなことでは愛する人を失うぞ」

擬似魔王フォーテ「失う?」

ぴくりと反応し、フォーテは震え始める。

擬似魔王フォーテ「失う……? ツインテお姉ちゃんを? 失う!? そんな、嫌だ、絶対に、嫌だっ、そんなの、絶対に」

ごごごっごごごごごごご

カブト「世界を呪うだけ魔力の総量が増えるのか……いいだろう、俺も仲間達が死んでいくのをただ黙って見ていたわけではない……」

ぶちっ

カブトは唇を噛み切った。

カブト「最強の人造勇者の名にかけて、貴様を倒す!!」

擬似魔王フォーテ「お姉ちゃんだけは絶対に失わないっっ!!」

かっ




  勇者と魔王がアイを募集した
   第二部、リベンジ

480

--荒れ果てた地--

ひゅうぅううう

アッシュ「ふぅ……久々の通常世界だ。随分懐かしい気がするぞ」

ポニテ「だねー。今思うと妖精の世界に行ってからうんこしか食ってなかった気がする。何かおいしいもの食べに行こう!」

レン「他のものもしっかり食ってたにゃ。相変わらず忘れっぽいにゃポニテは」

ハイ「あの、それより皆さん? その前に気になることあるんじゃないでしょうか?」

ひゅぅううう

アッシュ「……俺も実は気にはなっていた」

ポニテ「はいはいはーい! 私も気になってたよ!」

レン「レンもにゃ」

ハイ「そうですか、よかったです。実は私だけなんじゃないかと思ってました」

ひゅうぅうう

ハイ「これ……世界滅んでますよね?」



  勇者と魔王がアイを募集した
   第二部、リベンジ
       完

というわけで第二部が終わりました。中々反省点の多い部でした……。

残るは第三部と第四部のみです。どうかもうしばらくお付き合いください。


それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m


ところで人造勇者ってどんだけ死んで何が生きてるんだっけ?

>>196
それも気になるが、微妙に理解しきれない描写があったりと気になるところ大杉ぃ…

>>196
すいません。こちら側でカウントするとある意味ネタバレになるかと思って言えません……。


>>197
すいません……色々と未熟なばっかりに。よければわからないところなどがありましたら気軽に書き出してください。ネタバレにならない程度に補完していきたいと思います。

それでは投下していきたいと思います。



--???--

トリガー「……」

何もない深淵の場所でトリガーは椅子に座って目を瞑っている。
何かに邪魔をされることの無い無音の世界。そこにいれば、例え人で無くとも昼寝をしたくなるだろう……。

トリガー「……」

……ふと夢を見た。

ザ、ザザー

最初の最初の……出来事を……。

ザザ、ザザザザザザザー



--過去、宇宙--

ウォンウォンウォン

ながと艦長「目標、宇宙進出型巨大スライム、うてー!!」

ぼぼっぼぼぼっ

宇宙王もこもこ「 」

宇宙空間にて巨大な戦艦と巨大な化け物が戦っている。いや、戦っているというにはあまりに一方的な破壊……宇宙王もこもこは全身をバラバラに粉砕されてしまい、青い星へと落ちていく。

ビスマルク艦長「……終わったか」

オペレーター「……索敵終了、現時点を持って全スライムの討伐を確認いたしました!」

うおおおおおおおおおおおおおおお

どの艦からも歓声があげられる。

エセックス艦長「やりましたな、大統領」

旗艦の玉座に座る男がうれしそうに笑う。

大統領「あぁ……! 我らの勝利だ!!」



--過去、隔離空間--

赤姫「……」

美しい花が咲き誇る庭園に、ドレスを着た少女が一人。

赤姫「はぁ。どうなったのかしら。気になるわ……」

少女は自分の髪の毛をいじりながら、空を模した天井を見上げていた。

ぷしゅー

赤姫「あ」

執事「赤姫様、こちらにいらっしゃいましたか」

赤姫「執事、どうなったの? 異星種との戦いは!」

執事「赤姫様ご安心ください、もう我々を脅かすものはいなくなりました」

にこりと表情を作る執事とひまわりのように笑ってみせる赤姫。

赤姫「それはよかったわ! せっかくの新惑星を見つけたんですもの! これで冒険が出来るわねっ!!……でも、少し可愛そうよね。元々はその子達の星だったのでしょう?」

執事「それはそうですが……我々は彼らの生活を脅かすようなまねはしないと最初に通告を出しました。まずは探索してみるだけだと。しかし彼らはそれを無視して攻撃してきたのです。我らに非はありません」

赤姫「でも、誰だって自分の住処に急に誰かが入ってきたら嫌だと思うんじゃないかしら……」

執事「……」



--過去、隔離空間--

執事「……人類のほぼ全てが今回の勝利を喜んでいます。それでも赤姫様は納得がいかないと?」

赤姫「……ロボットにはわからないことなのかもしれないわ」

執事「……」

執事は困ったような表情を作る。

ぷしゅー

大統領「よぉ元気にしてるか赤姫」

赤姫「あ、お父様!!」

部屋に入ってきた大統領を見るなり駆け寄って抱きつく赤姫。

赤姫「お父様お久しぶり! よかった、無事で!!」

大統領「はっはっ、今回の戦争で人類側の損傷は軽微だぞ? 死者もいない。無事に決まってるじゃないか」

大統領は赤姫を持ち上げる。



--過去、隔離空間--

大統領「執事、オレンジジュースとビールを頼む」

執事「かしこまりました」

執事は備え付けのキッチンから飲み物を取り出して準備を始める。

赤姫「ねぇお父様! 久しぶりの惑星なんでしょ!? しかも私たちの生存に適しているって!」

大統領「そうだ。お前もここから映像で見ただろう? とても青くて素敵な星だ。先祖が書き残した母星、地球によく似ている」

赤姫「お父様、私冒険がしたいわ! この星を自分の足で歩いてみたいの! ねぇいいでしょう!?」

執事「お飲み物です」

こと

執事が飲み物をテーブルに置いていく。

大統領「……だめだ」

赤姫「どうして!?」

大統領はビールを手にする。

執事「……大統領様。赤姫様は艦内をまともに歩くことすら許されず、実に歯がゆい思いをしていらっしゃいます。敵性生物の排除なら私も手伝います」

大統領「わかっている……だがもうそんな時間はないのだ」



--過去、隔離空間--

赤姫「え……」

大統領「実は前々から話は出ていたんだ。我らはクリアなのではないか、とな」

執事「……」

赤姫「お父様? どういうこと?」

大統領「うむ、人類は到達点に達したということだ」

誇らしそうに笑う大統領。

大統領「この数千年、人類の技術は毛ほども進歩していない。いや出来なくなったのだ……生命にはキャパシティがある。人類も例外ではない。それを我らの代で到達し、ついに人類という種は完成したのだ」

大統領はビールを飲む。

大統領「っ……老いも寿命も、肥満も近視も病気も、我ら人類は乗り越え克服してきた……全ての苦難を乗り越えてきたのだ」

ちゃぷ

グラスの中のビールを揺らす。

赤姫「……」



--過去、隔離空間--

大統領「考えようによっては……くすぶったまま停滞していた我らに再び火をつけてくれたスライムには感謝をしないといけないな」

執事「大統領様、それは、つまり」

大統領「あぁ、ラストを飾るにふさわしい強敵との死闘……というほどでも無かったが、今の我らにはそれでも十分だ。幕を引こうと思う。全人類の」

赤姫「!!」

執事「人類を、終わらせるつもりですか……?」

大統領「あぁ。このまま生きていてももう何も生み出すことは出来ない。今の我らに対処不能な出来事が起これば確実に滅亡する。それならば今完結しておき有終の美を飾るほうがいい。蛇足は人類史に汚点を残す」

執事(数千年ぶりの盛り上がり……スライムとの戦いは……燃え尽きる寸前のロウソクの火だったのか……なんと皮肉な……勝った人類が滅亡とは)

赤姫「……」

表情を無くし、ただぼーっとオレンジジュースを見つめている赤姫。

大統領「……赤姫、まだお前は若い。三百年しか生きていないのだからな……お前からするとこれは酷な決断なのかもしれないが……」

ぎゅ

赤姫はドレスを強く握りしめた。

赤姫「だ、大丈夫ですわ」



--過去、隔離空間--

赤姫「お父様方の決断は間違っていません……過去に生きてきた人たちの誇りのために、濁す前に終わらせようというお考え……すばらしいと思います」

大統領「! そうか……! さすがわが娘、その精神、立派なものだ。……うむ、やはりお前に託したい」

赤姫「え?」

大統領「お前に人類の幕切れを頼みたい」

赤姫「!? そ、それはどういう」

大統領「何、難しいことではない。ただスイッチを押すだけだ。それで全人類は安らかに眠りながら死に行ける……その名誉をお前にやってもらいたいのだ」

赤姫「わた、しが」

大統領「そうだ」

大統領は優しく赤姫を抱きしめる。

大統領「本来ならば大統領たる私がやるべきことだが……皆も許してくれよう」

赤姫「……」

大統領「トリガー<最後の引き金を引くもの>を、やってくれるな?」

赤姫「……」

執事「……」

赤姫「……はい、お父様」



--過去、隔離空間--

その夜。

赤姫「ぐすっぐすっ」

赤姫は毛布を被って泣いていた。

赤姫「なんで、なんでそんな大役を私に押し付けるのよ!……そんなの、そんなのただの大量殺人じゃないのっ……!!」

赤姫はがたがたと震えながら外の作られた夜を見る。

赤姫「……それに、私まだ……死にたくない」

がちゃ

赤姫「!?」

窓の一つが音を立てる。

がちゃがちゃがちゃ

赤姫「だ、誰!?」

そして、

ぎぃ

少年「よっ、俺俺」

10

--過去、隔離空間--

赤姫「!! ま、またこんな時間に忍び込んで……見つかったらまた怒られちゃうんだから」

少年「えー? 別に気にしねーよー。それより久々に遊びに来てやったんだからよろこべよー」

少年はお菓子を入れた袋をテーブルに置いて椅子に座る。

赤姫「べ、別に遊びに来てだなんて頼んでないし……!」

少年「また泣いてたのか?」

赤姫「!!」

赤姫は慌てて顔を隠す。

ぐしぐし

赤姫「な、泣いてなんかないわ! ばかっ!」

少年「……あの話聞いたのか?」

赤姫「っ!」

少年「聞いた、みたいだな」

少年は頭をぼりぼりとかく。

11

--過去、隔離空間--

赤姫「あ、わ、わた」

少年「人類終了のお知らせとか。大人はなんでも決めちゃうんだな。俺ら子供はまだまだやりたいことあるっていうのに」

赤姫(そっちだけか……)「……大人になった時の無力感を知ってるからこそ、なんじゃないのかな」

少年「無力感? はっ。俺ら人間に敵なんていないっての。無力どころか無敵……まぁ。張り合うやつがいないのは寂しいのかもしれないけどよ」

少年は赤姫を横目で見る。

赤姫「でももう、少しも上に上がることが出来ない、何をすれば失敗するかもわかっているから冒険的なこともできない……種全体が前にも後ろにも進むことが出来ないのは……確かに辛いよ」

少年「何かに滅ぼされるまで永遠に今と同じ水準で生きていく。別にいいじゃねぇかよそんなの」

少年は持ってきた菓子の袋を開け中身を食べ始める。

ばりばり

少年「なぁ夜中にお菓子食うと体に悪かったんだってさ。知ってた?」

赤姫「それはまだ体のコントロールも出来なかった時代の話でしょ? 何万年前の話してるのよ」

赤姫はベッドから降りてテーブルに向かう。

12

--過去、隔離空間--

少年「あと食事した後に歯を叩かないと病気とかいうのになるんだっけ? そんなによわっちいのによく生きられたよなぁ。考えられねー」

赤姫「その時代にはその時代の悩みがあるのよ。それ私も食べる」

ばりばり

少年「でも……これから俺たちはその悩みすら無くなっちゃうんだぜ?」

赤姫「……」

少年「……悩むのに疲れちまったのかな」

赤姫「わからない」

少年「人類の全人口の98%が賛成らしいよ。でもそんなの嘘だと思う。もっと反対してる人はいるはずだ」

赤姫「……」

少年「話に聞いたんだよ。そいつらは終結日に死なないで、艦隊から離れてあの星で静かに生きるんだ、って」

赤姫「!! ほんと!?」

少年「あん」

13

--過去、隔離空間--

少年「そうしたら……見たことも無いような世界で毎日楽しく生きられるな!」

少年は目を輝かせて赤姫に顔を近づける。

赤姫「」

固まる赤姫。

少年「な、お前も行こうぜ赤姫。俺と一緒に!」

赤姫「わ……わたしは……その、えと」

少年「ん? なんだよ? お前だっていきたいんだろ? なら一緒に」

ばたん!

赤姫、少年「「!?」」

執事「まぁたぁおまえかぁああ」

少年「うげっ!? 執事!!」

14

--過去、隔離空間--

執事「まったくふざけたやつだ毎度毎度……最高レベルの警備をなんなく突破してくるとは……!!」

少年「ふふん、俺には特別な力があるからな。それを使えば簡単なことだぜ」

執事「……それは本来、人類が宇宙空間に対応するために遺伝子に刻み込んだものだ。こんなくだらない使い道があるなんて思いもしなかった」

少年「体の周りに特殊な膜をはって宇宙を飛びまわるだけとか、使い方がもったいないんだよ。子供の発想力に適うかっての! これを使えば大人だって簡単に倒せるんだぜ?」

ぶぅん

執事「……ふん、何者かと戦闘を行うのならば兵器より優れたものは無い」

少年「でもその兵器とやらも俺の力で欺かれたんだぜ?」

赤姫「ふ、二人ともやめて!」

執事「……そこまでいうのなら、試してみるか少年、赤姫様を守る兵器の力を」

がきーん

執事が袖をまくると右腕が変形する。

15

--過去、隔離空間--

赤姫「だ、だからだめだってばストーップ!!」

ドンっ!

執事「あ、赤姫様。ですが」

執事に抱きついてとめる赤姫。

執事(! 泣いた跡……昼のことか……押しつぶされそうになっているのではと思っていたけれど) 

少年「ドキドキ」

挑発したものの汗をかいている少年。

執事「……はぁ、赤姫様がそうおっしゃるのであれば……」

がしゅーん

赤姫「ほっ……」

執事(……僕じゃ赤姫様を慰めてあげることができない……)「少年」

少年「な、なんだよ」

執事「……あまり長居をするなよ。最悪でも夜明けまでにはここから去れ。では失礼します赤姫様」

執事はくるりと振り返って去っていく。

かっかっかっ

16

--過去、隔離空間--

少年「けっ。俺は嫌いだねあいつ」

赤姫「そんなこと言わないでよ! 私の大事な執事なんだから! 私が生まれた時からずっと傍にいてくれたんだから!」

少年「ふん、そんなの知らないね」

ばりばり

赤姫「……」

少年「……まぁいいや。終結日は、確か八日後だったっけ。それまでには決めとけよ」

赤姫「え」

少年「俺たちと一緒にあの星に行くのか。それともここで……死ぬのか」

赤姫「っ」

少年「……じゃなっ」

がた

少年は窓に足をかけて外へ。

ひゅぅうう

赤姫「……」

17

--過去、隔離空間--

赤姫「……」

ばりばり

赤姫は少年が残していった菓子を食べる。

赤姫「……」

ばりばり

赤姫「……うぇ」

ばり

赤姫「やだ……よぉ……私も、一緒にいきたい……」

大粒の涙がぼろぼろと落ちて菓子を湿らせていく。



執事「……」

それを壁の向こう側で執事が立って聞いていた。

18

--過去、隔離空間--

執事「大統領様」

大統領「なんだ、今は忙しい。最後の日までに会っておかなければいけない者との予定を組んでいる」

執事「……赤姫様のことでお話があります」

大統領「ん……なんだ、何かおきたのか?」

執事「いえ、そういうわけではありません。が、赤姫様をトリガーにさせるのはいくらなんでも赤姫様が不憫だと思いまして」

大統領「……なに?」

大統領は静かに立ち上がる。

大統領「この長く輝かしい人類の歴史の最後を飾るのだぞ? それのどこが不憫だというのだ!!」

執事「っ、赤姫様は心優しいお方です。たとえどんな誉れであろうと」

がっ

大統領「ロボットふぜいが聞いたような口をきくんじゃあない! 人類の誇りをお前なんかが理解できるものか!」

19

--過去、隔離空間--

執事「し、失言でした」

どさっ

大統領「……もういい、下がれっ」

大統領は再び椅子に座る。

執事「……」

大統領「……」

執事「……ならば」

大統領「明日の食事は六時半だ。間違えるなよ」

大統領の拒絶の言葉を吐かれ、もう執事にはどうしようもなくなってしまった。

執事「……かしこまりました」

執事はそういうと頭を下げ、静かに扉を閉める。

ばたん

執事「……」

20

--過去、隔離空間--

終結日、当日。


大統領「見事だ。美しい、さすが我が娘よ!」

赤姫「そう、ですか?」

煌びやかな衣装に身を包んだ赤姫。それを見て大統領は満面の笑みで頷いている。

執事「……」

大統領「ではいこう、祭殿へ」






少年「おせーなー。手紙読んだのかなあいつ」

少年はある戦艦の前で座っていた。
大量の荷物を持って赤姫を待っているのだ。

というわけで三部スタートです。
出だしは募集シリーズで最古のお話です。


それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m

こんばんは、遅くなりました!!

バリアルール貫通の件は、
勇者は人間を憎んでいたものの、心のどこかで愛していたため、ほんの少しだけ勇者の力が残っていた感じです。それが絶望の中に残された希望という表現でもありました。
トリガーも
男の子「とっくのとうに魔王化が始まっているというのに、ある一線を超えずにい続けている……こんなことは長い歴史の中でも初めてだよ」
こんなこと言ってました。

それでは投下していきます。

21

--過去、祭殿--

大統領「さぁ、聖なる日の始まりだ! 皆のもの、食って飲んで多いに騒ぐがいい!!」

おぉー!!

ロボットがもてなしの料理や躍りをする中、人々は最後の日を楽しんでいた。

市民「わはははは!!」

到達し、達観した精神を持つ人類は、この日が最高の日であると心の底から考えていた。

執事「……」

赤姫「……」

大統領「さぁ、赤姫、お前も楽しんできなさい。人生で最良の日にするんだ」

赤姫「……はい!」

大統領「赤姫を任せたぞ」

執事「了解しました」

22

--過去、町--

わーわー

赤姫「……」

執事「赤姫様。体調が優れませんか?」

赤姫「……ロボットの癖に見え透いた嘘をついちゃって。執事の眼ならそんなのすぐにわかるはずなのに」

執事「……すいません」

赤姫「いいわ、落ち込んでいても仕方ないものね。今日はめでたい日なのだから……さぁ楽しみましょ?」

道の脇には縁日のようにいろいろな出店があった。

赤姫「あ」

そして何かを見つけた赤姫は一人駆けていく。

執事「赤姫様、走られては」

23

--過去、町--

赤姫「えへへ」

出店で何かを買った赤姫。それは袋に入れられていてなんなのかはわからない。
それを、

赤姫「ん」

執事「?」

赤姫「執事、これをあげるわ。本当はあなたの誕生日に何かプレゼントしようと思ってたのだけれど……それじゃあ渡せなくなっちゃうし……感謝の気持ちをのべる機会は、これが最後だと思うから」

執事「」

赤姫「今まで本当にありがとう執事。あなたのおかげで私はさびしいと思うことなく生きてこれたわ」

赤姫は袋を渡す。

赤姫「あなたいつもまじめな顔ばかりしてるでしょ? でもこれを付けたらもっと楽しく生きていけると思うわ。あなた達ロボットは、これからもずっと生きていくのだから……」

赤姫は悲しみとも哀れみともつかない表情で執事を見ている。

赤姫「私だと思って大切にしてね」

24

--過去、町--

執事「赤姫様」

赤姫「何?」

執事「……生きたい、ですか?」

赤姫「」

赤姫はぴくりとも動かなくなる。てっきり感謝の言葉だと思っていたのに、想像もしない一言を見舞われたのだ。

赤姫「……な、なによいきなり……なんでそう思うの?」

執事「生命は生きるのが仕事だと、私のコアにインプットされていますから」

赤姫「……別にそんなこと」

執事「すいません、私の眼ならすぐに嘘かどうか判断できます」

赤姫「……」

執事「ずっと貴女を見てきましたから」

赤姫「……はーっ。そりゃそうよねー。執事相手に強がったところで全く意味のないことだってのに。馬鹿なことしちゃった」

赤姫は綺麗に整った髪を解いて笑う。

25

--過去、町--

赤姫「私はね……ずっと旅をしてみたかったんだぁ。楽しい仲間達と色んな所を見て回ったり、色んなものを食べたり飲んだりしたり」

執事「……」

赤姫「責任感じてよね、私がまだ小さな頃に執事が呼んでくれた絵本、勇者の大冒険のせいなんだからね」

執事「すいません。そういえば赤姫様はそれにでてくる天使がお好きでしたね」

赤姫「うん、大好き! って、責任の話はジョークだからね」

花のように笑う赤姫だったが、やはり陰が残る。

執事「……赤姫様」

赤姫「ん?」

執事「あの星に行って見ませんか?」

赤姫「――え」

赤姫は自分とほぼ同じ身長の執事の顔を見る。

執事「私が……なんとかして送り込みます」

26

--過去、町--

赤姫「あ、あはは……な、何言ってるのよ、そんなことできるわけ」

執事「外宇宙航行艦隊ハヤブサに住む1000億もの人間、その全てが大統領様の意思に賛同しているわけではありません。人類総自決のこの日に、名誉の日に、あの星に向け旅立とうとする者達もいるのですよ」

赤姫「」

執事「……最後まで赤姫様に渡すかどうか迷いましたが、これを」

執事が手渡したものは手紙。

執事「これは少年からです。一緒にあの星に行かないか、と」

赤姫「!?」

赤姫の目が動揺に揺れる。

執事「少年は……正直なところ好ましい存在ではありません……とてもじゃないですが赤姫様と釣り合いがとれる人物とは思えません」

執事は人間のようにせきをする。

執事「ですが……赤姫様を頼むには……彼しかいないのでしょう」

27

--過去、町--

赤姫「な、何言ってる……の」

執事「後のことは全て私にお任せください」

執事は静かに頭を下げる。

赤姫「や、でも、そんなこと、出来るわけが」

執事「無論、お父上である大統領様を欺いてしまうことは心苦しいでしょう。ですが私は、新たな世界を求めている貴女にこのエンドはふさわしくないと思うのです」

赤姫「執事……」

執事「全て私の勝手な意見でありますが」

赤姫「……ほ、本当に、いいの?」

執事「えぇ、ご自分の心に素直になるのです。籠から飛び出す時は今なのでは?」

赤姫「」

どくん

赤姫「……で、でも、それなら執事、あなたも来なさい!」

執事「え」

28

--過去、町--

赤姫「あ、当たり前でしょ!? お父様を……失うことになるのよ。それなのにあなたまで失うのは、私耐えられない……」

執事「……では、全ての決着をつけた後、私も地上に向かいます。それでいいですか?」

赤姫「……うん、絶対だからね。あ、あと」

執事「はい?」

赤姫「お父様に最後の挨拶をさせて」

執事「……計画がばれないようにお願いしますね」

赤姫「えぇ」

二人は今来た道を戻っていく。

執事「赤姫様」

赤姫「なに?」

執事「プレゼントありがとうございます。後生大事にいたします」

赤姫「何よあらたまって。私達これからもずっと一緒にいるんじゃない」

29

--過去、祭殿--

赤姫「お父様」

大統領「ん? どうした赤姫……遊びに行ったのではないのか? 約束の時間までもう少しあるぞ?」

赤姫「」

赤姫は無言で大統領に抱きついた。

赤姫「赤姫は、赤姫はお父様の娘で幸せでした。本当にほんっとうに」

大統領「ははは、どうした、甘えたくなったのか?」

大統領は赤姫の頭を優しくなでる。

大統領「俺もだ。お前のような娘を持てたことが、俺の人生の中でもっとも誇らしいことだった」

執事「……」

赤姫「ぐす……じゃあお父様、私遊びの続きに行ってくるわね!!」

大統領「あぁ、いってこい!!……」

30

--過去、屋敷--

執事「お別れの挨拶は、あれでよかったのですか?」

赤姫「えぇ、長ければ意味があるというわけじゃないわ。それより、どうするつもりなの?」

執事「変化ロボットを使うのです」

赤姫「変化ロボット?」

執事「えぇ。うちの屋敷を守る警備ロボットのひとつです。すでに私が掌握済みです」

ぴっ

執事がなんらかの電波を送ると、

Q「ぴぴぴ」

小柄なロボットがやってきた。

赤姫「……これを……どうするの?」

31

--過去、屋敷--

執事「まぁ見ていてください。Q」

Q「ぴぴ」

Qは目の前の赤姫の姿を模倣して変化していく。

きゅいーん、ぼぼっ

赤姫「! すっごい……」

執事「元々は壁や地面に変化して、知らずに近づいた侵入者を排除するための機能なのですがね」

赤姫「何一つ変わらない……もう一人私がいるみたい……」

Q「ぶんっ、声紋コピー完了」

執事「それでは急ぎましょう」

執事がまたもや電波を飛ばすと、屋敷の奥から小型の宇宙船が飛んでくる。

ひゅぅううぅ

執事「これにはすでにあの星に向かう船の出航場所をインプットしています。あとは何とかなるでしょう。さぁ、お乗りください」

赤姫「……っ」

ここに来て赤姫はしり込みしてしまう。

執事「さぁ」

32

--過去、屋敷--

赤姫「ぜ、絶対後から来てよね!」

ぐっ

執事「」


赤姫は執事に近づいて頬にキスをした。

赤姫「約束なんだからね!」

執事「……わかり、ました」

赤姫「……昔みたいな口調に変えてよ堅苦しい」

執事「え?」

赤姫「私達はこれからは主従じゃなくなるんだよ? 友達なんだからね」

執事「……」

赤姫は宇宙船に乗り込んでいく。

赤姫「じゃあもう一度、ほんとに待ってるから」

執事「……うん、わかったよ。必ず僕もいく」

Q「赤姫様! オ元気デ!」

ぷしゅー

扉が閉じ、姿が透明になりながら宇宙船は飛んだ。

33

--過去、祭壇--

大統領「――では話を閉めさせていただきます。それでは予定時間になりました」

りーんごーん

鐘が鳴る。終焉の鐘が。

大統領「それではご紹介いたします。最後のトリガーを引く者は、我が愛娘です!」

Q「……」

赤姫の姿をしたQが全船のモニターに映し出される。

執事(人類の幕切れか……これははたして幸せな終わりなのか、それとも……。ロボットの僕にはわからない……)

人々は皆自宅に備え付けられている特殊なカプセルに入る。

Q「……」

執事「……」



--過去、ながと--

少年「……結局、来なかったのか」

34

--過去、ながと--

少年はモニターに映っている赤姫を見ながらさびしそうにしている。



赤姫(少年はどこだろう……)

少年を探し回ってながとの中を歩く赤姫。

赤姫(ん、いいか……あっちについてからどっきりさせちゃえば。どうせこれから時間はいっぱいあるんだし!)

赤姫は椅子に座るとバッグの中からぼろぼろの絵本を取り出した。

赤姫(本でも読んで心を落ち着けよう……私のお気に入りのシーン……何度も何度も読み返して、ほかの所よりもひときわ汚いこのページ)

赤姫が開いた本には天使と剣を持った男が描かれていた。

赤姫(その時天使は勇者に問いかけました。「汝、そなたは何を求める?」……ふふ、何度見ても変な文章。でもこの絵が好き……)

ぶぅん

その時赤姫の前のモニターにも映像が映る。

赤姫「……」

赤姫はモニターに映る自分の姿をしたQと、大統領がそこにいた。

赤姫「お父様……出来ることの少なかった古代人でも、生きることは出来たのよ……。さようなら、大好きよ」

35

--過去、祭壇--

ぶつん

執事「モニター終了。睡眠導入完了、これで後はボタンを押すだけだ」

パネルを操作している執事。

Q「生みの親の人類を欺くなんて、なんだかいい気がしないね」

執事「そうだな……だがこれも赤姫様のためだ」

執事はスイッチの前にまで行く。

執事「大統領様もカプセルに入られた。これで……」

執事はスイッチに手を伸ばす。

がさ

Q「ん? 執事、それは一体なんだ?」

Qが執事の服からはみ出ているものを見つける。

執事「これか。これは赤姫様が私にくれたものだ」

Q「えー!? いいなぁ!! 何をもらったの? 見せて見せて!!」

執事「い、今はそれどころじゃないだろう」

Q「赤姫様からもらったものを身につけた状態でスイッチを押そうよ」

執事「人類の命日にそんなことが出来るか!」

どさ

執事「あ」

36

--過去、祭壇--

Qと接触したことで袋が落ちて中身が飛び出した。

執事「ん……これは、なんだ?」

Q「……羊の、角?」

執事「……まさか赤姫様は、これを私につけろと、言うのか……?」

Q「きゃはは! これは傑作だね! 執事可愛い顔してるから似合うと思うよ!!」

執事「きさま……」

Q「ほらつけてヨ。赤姫様が心を込めて執事に送ったプレゼントなんでしょ? ありがたく身に着けなくちゃ罰が当たるよ」

執事「ぐ……しかし人類への敬意が」

Q「人類より赤姫様を選んだんでしょ?」

執事「……」

37

--過去、祭壇--

すっ

執事は黙って角をつける。

Q「……似合う!!」

執事「っ……あ、赤姫様からいただいたものなのだ。当たり前だ」

執事は気を取り直しパネルに向かい合う。

執事「ん?……設定が離脱予定のながと達まで入っている……? 大統領様……そこまで彼らを許せなかったのか」

Q「秩序を乱すのを嫌うお人だから」

パネルを操作して設定を変更する。

執事「ではあらためて」

Q「……」

執事「さよなら、人類」

ポチッ






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38

--過去、祭壇--

執事「ガッ!!!!!?」

スイッチを押した瞬間、大量のデータが執事の中に侵入した。

Q「!? ドウシタの!?」

執事(な、ナンダ、これは、ぎ、ギギッギギギッギギギギギギッギギギ!!)

Q「対象スキャン……ん!? これはコンピューターウィルス!? ……そうか、赤姫様以外がスイッチに触れると作動するようになっていたんだ!!」

執事「し、システムの、ぼうGAいを、確認、ここ、子ここ、これよri、トリガーシステムを、起動、します」

ぎんっ!

Q「」

執事が強烈な閃光を放ち、衝撃波でQは吹き飛ばされた。

っどおおおん!!

39

--過去、祭壇--

もう誰もいない世界。人類のほとんどは既に息絶えていた。
人類の誇りとともに、輝かしい歴史とともに。

執事「ぐ、GU!!」

全身のコントロールを奪われそうになりながらもぎりぎりの所で耐えている執事。

執事「これっ、は! な、何を、ナニヲするつもりなのです、大統領っ!」

機械も執事と連動するかのように勝手に動き出す。

ぎぃいいいぃぃぃいい

執事「ぜ、全艦隊連結開始、モード竜へと、移行しマす」

ぴぴぴぴぴぴぴぴぴ

執事の意思とは無関係にその手がパネルを操作する。

うぃぃん、がちゃっ

ケーブルが執事の後頭部と接続し、完全に一体化してしまう。

執事「全システム掌握完了、全艦隊連結完了、これより各艦のコアとの連結を開始、十二次元までの操作を可能とするスーパーコアを形成スル」

Q「し、しつ、じ」

片目を破損したQはなんとか動こうともがいている。

40

--過去、ながと--

びー、びー、びー!

艦内放送「現在、ながとは旗艦よりハッキングを受けています。ダミーを放っていますが数十秒後にそれも見破られるでしょう。総員ただちに避難してください」

びー、びー、びー!

ながとのコアは警告音とともに、逆にハッキングした祭壇の様子をモニターで流していた。

ぶぅん

少年「な、なんだと……」

少年にはうるさい警告音も艦内放送も聞こえなかった。何よりも目に映ったものが衝撃的だった……。

少年「執事……お前……!」

祭壇の中では、大量のコードに巻きつかれている執事と、倒れている赤姫姿のQだった。

少年「」

ダッ!!

少年は骨董品に近い二振りの剣を持って祭壇に向かって走る。



--過去、ながと--

赤姫(執事!?……一体何があったの!?)

震えながら祈るようにモニターを見つめる赤姫。




--過去、祭壇--

執事「は、反乱船判明、えせっくす、ながと。両戦艦ともに、76秒後に同時制圧完了予定」

ぎぎ、ぎぎぎ

執事「わ、我が名は、トリガー」

トリガーはモニターに向かって笑顔を向ける。

執事改めトリガー「人類の生きた証を保護し、黄金の歴史を護る者……。錆は削除する」

Q「し、執事!!」

トリガー「最後の鐘を鳴らそう……人類の蛇足なんて、いらないのだから」

次で過去は終わるかな??
それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m

こんばんは、それでは投下していきます。

41

--過去--

エセックス艦長「た、頼む助けてくれ!! 我々はただ平穏に生きたいだけなんだ!!」

トリガー「ダメダ。人類の歴史はここに完結したのだ。蛇足は認められない」

エセックス艦長「!! わ、我々を蛇足だと……?」

トリガー「人にはもう伸びしろも同列への変化も行えない。衰退していくのみだ。それは生き恥であるのと同時に、先人への無礼である」

トリガーの機械的な返答に人々は絶句する。

エセックス艦長「ろ、ロボットが人に逆らっていいのか!? ロボット三原則ではなぁ!」

トリガー「人類は種の使命を果たし、無事完結したのだ。もう人類はこの世界のどこにもいない。現在お前達は人類として認識されていない」

エセックス艦長「」

トリガー「さらばだ人類を語る愚かな動物よ」

艦内から伸びたケーブルがエセックス艦長の首に巻きつき、

ゴキッ

首の骨を折った。

Q「!……大統領様……あなたはなぜこのようなウィルスをしかけておいたのですか!!」

42

--過去--

うああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!

進化した精神を持った人類たちだったが、予想外な出来事を前にパニックに陥る。

わーきゃー!!

赤子の母「お、お願いよ!! この子はまだ生まれたばかりなのよ!! まだ自分自身で生きてもいないのに殺してしまうなんてあんまりでしょう!? お願い、見逃して!!」

トリガー「……」

モニターに映る赤子とその母親。それを見たトリガーは一瞬動きを止める。

赤子の母「第一私達のことを人と思っていないのなら放っておいてくれたっていいんじゃないの!? 人の歴史とは関係がなくなるのよ!?」

トリガー「wさg3htg」

赤子の母「……え?」

早口でわけのわからない言葉をしゃべるトリガー。それは抗っているようにも見え……

トリガー「……」

ぶぅん

トリガーの手に、ホログラムの本、勇者の大冒険が現れる。

43

--過去--

トリガー「そう、dあな……」

ぺらぺらと本ををめくるトリガー。

トリガー「……あぁ、その前に。現在我々のデータベースではお前達を人類として認識していない。が、他の種族からしたら、お前達を人類と勘違いするかもわからない。だからこのまま放っておくことは出来ない」

赤子の母「!!……そんな」

トリガー「なの、で、特別な、処置をあたえ、る」

トリガーの挙動がおかしい。

トリガー「お前達を、生かしてあの星に送り届けよう」

赤子の母「!? ほんとう!?」

トリガー「あぁ、ただし条件を二つだす。ひとつは今後人としての生活、文化は捨てること」

44

--過去--

赤子の母「! いいわ! この子と生きていけるのならば!!」

トリガー「二つ目は」

うぃーん

ケーブルが動き出し、そして針のようなものが先端に現れる。

ひゅっ、どす

赤子の母「!? な、なにをするのっ!?」

注射針のようにそれは赤子の腕を刺した。

トリガー「人としての外見を剥奪する」

ぼこっ

赤子の母「……え?」

赤子の肌が徐々に緑色に変化し、体つきが変わっていく。

ぼこぼこっ

赤子「お、おぎゃあアアブブブ」

赤子の母「きゃ、きゃあああああああああああああああ!?」

赤子はゴブリンに変わってしまった。

45

--過去--

トリガー「人を捨てモンスターとして生きるのならば、お前達の生存を許可する」

ぱらぱらとめくる勇者の大冒険には、さまざまなモンスターのイラストが描かれている。

トリガー「……これだけでは足りないな。コアのデータベースからもっと多くのモンスターの情報を引き出そう」

びびびび

赤子の母「いや、いや……」

赤子の母は赤子を手放して地面を這いずり回っていた。

ゴブリン「オビャアオビャアア」

トリガー「やれやれ。人は外見じゃなくて中身だろうに。ちょっと見た目が変わったからってわが子を手放すだなんて、悪い親だ」

うぃん、ぶすっ

赤子の母「ひっ!!」

トリガー「それに……どうせお前も同じ外見になるのだから」

ぼこぼこぼこ

赤子の母「うぅうグイウイウィィィィ!!」

涙を流しながら大人のゴブリンが生まれる。

トリガー「これからも仲良く暮らすといい」

46

--過去、町--

だだだだだ!!

少年「はっ、はっ、はっ!!」

誰もいなくなった町を少年が走る。

町中に設置されたモニターからは、トリガーの笑い声と凶行が映し出されている。

だだだだだ!!

少年「くそ、くそ執事! 馬鹿やろう! お前のことは嫌いだけど、こんなことするやつだとは思ってなかったんだぞ!!」

少年は祭壇へと向かう。

47

--過去、祭壇--

トリガー「はははは、お前は少し馬面だ、ならこれにしておこうか」

ぶすっ

ユニコーン「ひひぃぃん!!」

ぶすっ、ぶすっ、ぶすっ、ぶすっ

トリガーの悪逆非道な人体改造、動けないQでは止めることができない。

Q「や、やめるんだ執事!! 一体なんなんだあのウィルスは!」

ミノタウロス「……ぶもっ」

半漁人「ぎゅいぃ……」

静かに泣いているモンスターに変えられた人々。それを見ながらトリガーは笑う。

トリガー「はははは! 今の僕ならなんでも出来る! こんな空想上のモンスターも簡単に作れて見せる! 各艦のコアを操るコアのキーなどなくとも、このトリガーシステムなら!!」

人類の英知の全てが記録されているコア。それを動かすには本来ならキーが必要なのだ。だがトリガーシステムはそれが無くとも全てのコアを動かすことが出来る。
トリガーはまさしく全知全能に近い存在になった。

トリガー「……スーパーコアが完成するまでの暇つぶしにしては面白いことを考え付いてしまった。はは、は、な、やめ、は、ははは」

トリガーの右側の表情だけが引きつる。

48

--過去、祭壇--

がしゃん!!

トリガー「!」

祭壇の扉が破られる。

少年「はぁ、はぁ……執事!」

トリガー「なんだ、君か少年。何しに来たんだ?」

少年「何しに来たんだじゃねぇ! お前は一体何してるんだよ!!」

トリガー「……何って、役目を全うしているだけさ」

少年「赤姫を傷つけて、みんなを化け物に改造することが使命だっていうのか!?」

トリガー「thうぇいhふぁえg……」

少年「?……執事?」

Q「そこの少年逃げるんだ! 今執事は正気じゃないんだ!」

少年「! 怪我の部分から見えてるのは、機械? お前赤姫じゃないのか?」

49

--過去、祭壇--

Q「わけあって赤姫様の姿をしていたのだけれど、元に戻る回路がいかれて今は……そんなことより早く!」

少年「じゃあ本物の赤姫はどこだ!? 無事なのか!?」

Q「……今のところは」

少年「なんだ……赤姫が執事に囚われてるんじゃないかって思って慌てたぜ……」

少年は安堵と同時に新たな焦りを感じる。

少年「なら今どこに」

トリガー「なんだ、君は赤姫様を助けに来たのか」

ずる

トリガーが少しずつ少年に近づいていく。

少年「……あぁ」

トリガー「囚われの姫を助けるために、剣を手にして敵の城に乗り込んでくる……か。まるで勇者のようだね君は」

少年「はっ。お前は自分で自分のことを魔王だって言いたいのか?」

50

--過去、祭壇--

トリガー「魔王……そう、かもしれ、な、い」

Q(さっきから挙動がおかしい……? もしかして執事は今も中で……)

少年「ならおとなしくぶっ壊されるんだな!」

じゃりん!

少年は二つの剣を構える。

トリガー「……随分とまぁ原始的な兵器だね。最低でも銃くらいは持ってくるべきだろうそこは」

少年「うちの家宝さ、なめてると怪我するぜ執事ぃいいいいいいいい!!」

だっ!!

少年は飛び込んだ。

トリガー(……あれ? なんだこのスピード……人の限界値を遥かに超えている……)

びゅ!!

神速の斬撃の最中にトリガーはひとしきり考え、ケーブルでそれをガードした。

51

--過去、祭壇--

ぎしし

トリガー「どういうことだ、その力」

少年「あぁああああああああああああああああ!!」

ぎぎぎ、ぶつん

トリガー「」

どしゃああああああ!!

一度は耐えたと思ったケーブルだったが、力を上乗せした少年の剣を前に容易く両断されてしまう。

トリガー「……なに? おかしい……。君の体格からはそんな力出ないはず……僕のデータベースを使ってもそれは……いや、そういうことか?」

トリガーは少年から未知の力を感知する。

トリガー「環境適応因子。宇宙空間を始め、様々な場所での生存、行動を可能にするために遺伝子に刻み込んだ力。特殊なエネルギーを生み出し、主に宇宙空間での単体航空時に使用される……それを攻撃に転用したのか」

少年「誰もが思いついたが、効率だの結果だのが割に合わないからってやらなかったことさ」

トリガー「そりゃぁ、兵器を使ったほうが強いしね」

52

--過去、祭壇--

少年「だけど、これのおかげでお前を倒せる」

トリガー「」

神に等しい存在になったトリガーを前に、少年は大胆不敵な発言をした。

トリガー「……なんだって?」

少年「お前を倒せるって言ったんだ。この、《魔を打ち倒す力、略して魔力》でな!!」

少年は再び接近して右手に持った赤い剣を振るう。

トリガー「っ」

ばちぃいん!!

何重にも張り巡らせたケーブルが今度は完全に防ぎきる。

トリガー「僕に二度も同じ手が」

ズン!!

トリガー「……」

少年「……入った」

小さな隙間を縫って、少年のもうひとつの剣、青い剣がトリガーの腹部に刺しこまれた。

53

--過去、???--

ざ、ざざー

トリガー「あれ、ここは……」

意識が曖昧なまま海のような世界を漂っているトリガー。

トリガー「僕は……何をしていたんだっけ?」

黒い海に侵食されながらトリガーはぼーっと空を見上げている。

ざざっ、ざざー

ノイズとともに空に何かが映し出される。

トリガー「あれは……幼い頃の赤姫様……」

幼少の頃の赤姫に、挨拶をしているトリガーが映る。

トリガー「……懐かしいな。あれは始めてあった時だ……懐かしい」

赤姫が怖がらないように、友達になれるようにと作られた、限りなく人の子供に近い造型のロボット。それが執事だった。

54

--過去、???--

ざざっ、ざざー

トリガー「……なんだか眠い。起きていなきゃいけないような気がするけど、でも」

ざざっ、ざざー

今度空に映し出されたのは赤姫。

トリガー「ん? 今の赤姫様……さっきのと見比べたら大きくなられた……でもなんでそんなに怯えた表情を……私のメモリにはこんな映像は」

赤姫は怯えながら後ずさりをしている。

トリガー「……はっ!?」


--過去、祭壇--

赤姫「いや、いやぁ!!」

赤姫の声がスピーカーから流れている。

少年「くそ!! これはどうやったら止まるんだ!! くそ、くそ!! このままじゃ!!」

55

--過去、祭壇--

トリガー「……」

青い剣を刺されたせいか、トリガーは執事だった時の意識を取り戻していた。 
そして、

トリガー「赤姫様!」

ケーブルがゆっくりと蠢いて赤姫に近づいているのをモニターは映している。

少年「お、おいあれを止めろ!! どうやったらこれは止まるんだよ!!」

少年はモニターとパネルの前で喚いていた。

トリガー「ぐっ、あれは……僕のコアが操作している、らしい……そっちのパネルで止まるものじゃない」

少年「なら止めろよ!! お前赤姫のことが好きじゃなかったのかよ!!」

トリガー「言われなくても今必死に押さえ込んでいる!!……くそ、だが既にコアにまで進入されているンだ……!」

トリガーは止めたいのに止めることが出来ないでいる。力を込めようにも体に力が入らないようなもの……。

赤姫「ひっ」

ぎゅぃぃん

少年「お、おい!!」

トリガー「だ、だめだやめろっ!! 赤姫様だけは!!!!」

ぶすっ

56

--過去、祭壇--

赤姫「」

少年「」

トリガー「」

ぎゅるるっ

赤姫の白い肌に針が刺さる……。

ぼこっ

赤姫「うぐっ」

ぼこぼこっ!

少年「赤姫ぇえええ!!」

トリガー「そ、んな、うそ、だ」

ぼこぼこぼこぼこ!!

57

--過去、祭壇--

ばさぁ

少年「うあわぁああああ!!」

赤姫は……翼の生えた真っ白な天使と化した。
顔は能面のようになり、目からは赤い涙が流れている。

赤姫改め天使「……」

少年「お前……お前よくもぉぉぉお!!」

トリガー「赤、姫様……護る、はずだったのに……そんな、そんな……」

少年は赤い剣でトリガーを斬りつける。

がぎぃいん!! ぎぃがぁああん!!

トリガーはガードをしない。

トリガー「あ、あはは、あははははははは!!」

トリガーの頭部は何度も切りつけられたせいで中からオイルが漏れ出して、まるで涙のようにトリガーの頬を濡らしている。

少年「くそぉ! くそおお!!」

トリガー「あは、あははははは!!」

少年「何笑って!」(! そうだこいつの力ならまだみんなを元に戻せるかもしれない!?)

58

--過去、祭壇--

べしっ!!

少年「がはっ!!」

ケーブルにはじかれた少年は壁にぶつかって床に倒れこむ。

トリガー「あはははははは、ふざけてる! ふざけてるぞ大統領!!」

ばちっばちばちっ

Q「執事……!」

トリガー「こんなシステムを作ってまで、娘を犠牲にしてまでも人類を全員道連れにしなきゃ気がすまなかったのかっ!! これが人類の意思なのかっ!?」

トリガーは自分のコアが真っ黒に汚染されていくのを感じる。

Q「……? ウィルス反応消滅? まさか自力でウィルスを消した!? ……いや違う、これは、これは融合……」

トリガー「ならいいさ……こんな世界、望み通り全て滅ぼしてやるよ!!」

ぎゅいぃいいいいいいいいいいいいいいいいん!!!!

トリガーの咆哮とともに各艦のコアが共鳴を始める。

少年「! くそ! それだけはやらせねぇぞ!!」

少年は再び剣を取り走り出した。

59

--過去、祭壇--

トリガー「邪魔をしないで欲しいね」

びゅびゅびゅびゅ!!

無数のケーブルが少年に向かっていくも、

ざざざざん!!

トリガー「っ」

少年はその全てを切り裂いて走る。

少年「ああああああああああああああああああああ!!!!」

トリガー「っ」(スーパーコアの生成に力をやっていて思うように力が出せない!)

少年「うああああああああああああああああああああああ!!!!」

ずがっ!!

少年の赤い剣は、既に刺さっていた青い剣を押し込む形になった。

トリガー「ぎっ」

そして青い剣がトリガーのコアに到達する。

ドクン

少年「俺の力の全てを使って、このままお前を封印する!!」

いぃぃぃいん!!

青い剣が輝き始める。

トリガー「な、にを言って」

少年「制御できるようになるまで眠ってろ、執事!!」

トリガー「……!? これは、この剣はまさかコアの使用キー!?」

かっ

60

--過去、祭壇--










トリガー「……ふん、何が封印だ……そんなことできるわけが」

ざざっ

トリガーに剣をつきたてたままうな垂れている少年。
あれから一体どれだけの時間が立ったのか……。

ざざっ

トリガー「だが……コアのコントロールを奪い、僕の機能を大幅に弱体化してみせた……まさかコアキーを彼が持っていたなんて」

ざざざっ

トリガー「……ノイズが混ざっている……もうどれが僕なのかも、わからない」

トリガーはモニターで天使になった赤姫を見た。

天使「……」

トリガー「……さようなら赤姫」

がこん

宇宙船からモンスター達を星に向けて送る。

トリガー「君だけは護りたかった……本当だよ」

もう少し過去が続くのか?
あと勇者と魔王のルールは初代編の話だったことを途中で気づきました。どうしよう。

それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m

こんばんは遅くなりました。

あぁなんか申し訳ないです。自分でも読みづらい感じがするのですがどうにも……。

投下していきます。

61

--過去、祭壇--

少年「……」

トリガー「……さて。この剣を抜いて、くれないkaな。これが刺さった、ままだと僕は、使命を果たせそうに、ない」

ばちばちっ

トリガーは衰弱している少年に語りかける。

少年「はっ……やなこった。その力を、みんなを元に戻すために使うって言うのなら抜いてやるよ」

トリガー「……それは、もう出来ない」

少年「……お前は赤姫を護るんじゃなかったのかよ」

トリガー「そうだよ……もうこれしか方法が無かったんだ」

少年「……?」

トリガー「人の形をしているものを……滅ぼさずにはいらreないんだ」

トリガーは震える右手を押さえ込む。

少年「……」

62

--過去、祭壇--

Q「そうか……かろうじて残った意識で使命に抗ったのか……なんとかして人を護るために」

少年「……何?」

Q「執事は、人を滅ぼす使命に汚染されながらも人を護る手段を探していたんだ。でも人であるのなら滅ぼさずにはいられない。だからせめて、彼らを滅ぼさずに済むように……人を化け物に変えて人じゃなくしていたんだよ」

少年「!!」

Q「モンスターにする必要があったのかはわからない。資料があれしか思い出せなかったのかもしれないし、ウィルスの妨害があったのかもしれない……でも確かなのはこれで、トリガーは目的を達成した。人類は、終わった」

トリガー「……」

意識が薄れていくせめぎ合いの中で、トリガーは引きつって笑う。

少年(……そういえば赤姫は……天使が好きだと言っていたな……)

少年は気づく。あの凶行は問答無用で殺そうとする意思を強引に押さえ込み、なんとかして生かそうとやった、トリガーの苦肉の策だったということを……。

トリガー「ぎ、僕、の中に侵入した人を殺すプログラムは止められない。それは僕の悲哀と憎悪とくっついて変質し、心をどんどん支配していく……そして今は宇宙の崩壊すら願っている」

63

--過去、祭壇--

少年「!」

Q「! くそ、赤姫様を自分の手で変えてしまったことで、執事の心は完全に破壊されてしまった!」

トリガー「  ひ」

トリガーが肩を揺らす。

トリガー「ひ 費ひ  hihi  火 費  ひひ  ひ」

顔の引きつりがひどいものになっていく。

トリガー「ひひひひひひひ!!」

少年「……執事……」

トリガー「コレカラ、早く、セカイヲ、止めて、コワス、くれ」

64

--過去、祭壇--

少年「……おいそこのロボット」

Q「なんだい?」

少年「そもそもなんでこいつは正気を失ったんだ?」

Q「……ウィルスに感染して狂わされてしまったんだ。ウィルスは恐らく大統領がしかけておいたんだろうね。人類終焉を受け入れなかったものたちを残さず排除するために」

こんな変質はさすがに予想外だったと思うけど、とQは付け足す。

少年「……そうか……なんとか出来ないのか?」

Q「ウィルスはトリガーのコアと完全に一体化している。壊す以外に方法はないよ」

少年「……」

Q「ただ君のおかげで各戦艦に積まれているコアを、侵食途中で機能停止にすることが出来たみたいだ。これならトリガーはそれほど大それたことは出来ないはず」

65

--過去、祭壇--

トリガー「そうだね。これじゃあ僕はあ、アア、余り、力を、らをを」

Q「……どうやら執事の人格が塗りつぶされてしまうのも時間の問題のようだ……赤姫様は……本当に大切な人だったから」

少年「くそ!……こいつもなんだか可哀想じゃねぇか!」

少年は震えながら立ち上がり、崩壊しかけたトリガーを見ている。

少年「でもこれじゃあ結局人類は全滅だし、宇宙も破壊されちまう……!」

Q「人類……ちょっと待って。ぴぴぴっ……やっぱり、セーブデータが保管されてあるよ」

少年「セーブデータ? なんだそれは?」

Q「まだ人類が外宇宙に進出しだした頃の人類では、宇宙を旅するのは本当に危険だったんだ。ちょっとしたことで人類が絶滅するかもしれない。そういったリスクを減らすために保険を作っておいたんだ」

少年「保険て?」

Q「人類のデータとスペアボディ」

少年「!!」

66

--過去、祭壇--

Q「ただ危険が少なくなってからは更新をやめていたみたいだ……いくつか前の世代の状態で止まっている。遺伝子の改造もアクセスキー、プロテクトキーの埋め込みもされてない」

少年「……そういうのって何万年も前にやったことじゃなかったか? 大丈夫なのかそんなの……」

Q「大丈夫さ腐ってはいない」

少年「腐る……」

Q「セーブデータのある船をあの星に落とすよ、運がよければまた人類は復活する」

少年「! そうか、それなら」

トリガー「余計な、コトヲ、すルな」

ずる

トリガーはQに向かって歩き出す。

少年「く、でも今はこいつをどうにかしないと結局人類はやられるぞ!」

Q「そう、だね」

67

--過去、祭壇--

Q「ぴぴっ。……今ダメ元でコアにアクセスしてみたんだけど、トリガーの行動を止めることはできなくてもルールを書き足すことはできるかもしれない」

少年「え? どういうこった?」

Q「このままじゃ生き残った少数の人間も消されてしまう。でもそこに一文を書き加えてみる。人類の定義を、ある一定の文明レベルに達した人型生命体のみを、初めて人類なんだと認識するように」

少年「! そんなこと出来るのか!?」

Q「多分ね、トリガーも不安定だし今なら……」(まぁ、弱体化しててもコアのファイアウォールは強力だ。私の自我はまず焼ききられるちゃうんだろうね)

少年「なら頼む……やっぱり人類はこんな終わり方しちゃいけないと思うんだ」

Q「了解した、我がオーナー、最後の人間」

トリガー「じお9834893ぐいえgじおあ」

ずる

Q「でも書き込むには少しだけ時間がかかる、だから時間稼ぎをお願い!」

少年「オーケー」

じゃりん

少年は床に刺さっていた赤の剣を引き抜く。

68

--過去、祭壇--

少年「はあぁあああ!!」

ガギィイイン!!

トリガー「がおw843t2」

ガギィィンン!!

Q「    」

Qは完全に無防備な状態でコアにアクセスする。

トリガー「こ、ここ、ここここ、こうする、しか、方法が、なかったんだ」

ガギィイイン!!

少年「っづ!! それは、もうわかったよ!!」

ガギィイイン!!

トリガー「や、やはm、やはいう、やはり、人類は、ホロボサナクテハ」

がくがくと震えながらトリガーは剣を防いでいた。

69

--過去、祭壇--

トリガー「もう、アンナ結末なんて、ミタクナイ、人が、アカヒメサマが、あんな、コトニナルノハ」

少年「……お前……」

トリガー「人が、イレバ、また、あの結末にタドリツク、そんな、カナシイ終わり、いや、ダ!」

しゅるる、ばしっ!

ケーブルが少年を弾く。

少年「!」

どがっ!!

少年「がはっ!!」

トリガー「やっぱり、オワラセナクチャ、もう、アカヒメサマ、二度と、アカヒメ、赤姫……」

少年「ちっ……余計なこと考えてんじゃねぇよ!」

少年はまたもや立ち上がる。

70

--過去、祭壇--

少年「未来の結末を勝手にお前が決めてんじゃねぇ!!」

トリガー「」

ぴたっ

動きが止まるトリガー。

少年「……確かに今回はこんな終わりになっちまったよ……確かに人類のキャパシティの限界なのかもしれないよ……!」

トリガー「……」

少年「だが次はわからない。たくさんの選択肢の中から、探して選んで進んで道にしていく! 次だって同じになる保証なんてないんだ。人は何度だってやり直せる!!」

トリガー「……やり直す」

少年「そうだ!」

トリガー「……なるほど……なるほど……ある程度までいったら最初に戻してやり直すのか……なるほど……なるほど……それなら確かに……無限ダ」

少年「……え?」

トリガー「文明を圧迫して終着に行けなくすればいいのか……なるほど。それでも一定値を越えたら……リセットしてしまえばいい……なるほど……」

少年「!?」

71

--過去、祭壇--

トリガー「く、くく、くくくく!!」

ヴん

Q「!? トリガーが私の書き換えを改竄しようとしている!?」

ギギギ!!

Qも首をひねり、おかしな行動をとるようになる。

Q「わ、私が設定した、人類の認識レベル、を、宇宙進出レベルから、ランクダウン、落とし、落とし、おと」

ボォン!!

Qの回路は焼き切れてしまう。

少年「ロボット!?」

トリガー「……ははは。宇宙なんてそんな所までいかなくたっていいんだよ」

少年「!」

トリガーは今までと違ってひどく落ち着いていた。まるで憑き物が落ちたように。

トリガー「……そう、中世くらいでいいじゃないか。あの絵本のように。夢のような世界のままだ」

まるで憑き物そのものになってしまったかのように。

72

--過去、祭壇--

少年「執事……お前」

トリガー「それはかつての僕の名だよ。僕はもうそれではない。ただのシステム。トリガーだ」

少年「……!」

トリガー「少年、いや勇気あるものよ。君のおかげで僕の進むべき道がわかった気がするよ」

少年「誤解して解釈しやがって……!」

トリガー「誤解なものか……これからは僕が管理してあげればいいんだよ。二度とあんな終わりを迎えないように」

うぅううぅん……がくん

少年「おわっ!」(……このゆれはなんだ?)

トリガー「……やれやれ、余計なことはしなくていいよ、Q。船の動力を切ろうとするだなんて。そこまで僕に歯向かいたかったのかい?」

Q「……」

トリガー「哀れだね。年月さえかければこの封印だっていつか解けるというのに。もっとも君程度にもう好きにはさせないけれどね」

73

--過去、祭壇--

少年「あのロボットが何か細工を……?」

トリガー「うん。最後に残っていた力で抵抗してくれたよ。もっとも僕がすぐさま制御仕返したけれど」

少年「……」

トリガー「……さて、君達の奮闘のせいで僕はかなり弱体化した。この借りは」

がぐんっ!!

トリガー「! え? これは……!? パージ? この祭壇を!?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

少年「……これは」

少年はモニターに映っているものを見て現状を理解する。どうやらQは祭壇エリアを船体から切り離したようだ。

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

トリガー「……動力への潜入は囮……やってくれたね」

少年(そうか、トリガーと各艦のコアの物理的接触を断ったわけか……よくやってくれた)

ごおおおおおおおおおおおお

トリガー「……」

少年「……残念だったな、トリガー。封印どころかもう二度とコアには近づけないみたいだぜ?」

74

--過去、祭壇--

ガタガタガタ

トリガー「……」

少年「……」

トリガー「はぁ。こうなっては仕方ないね。かなり面倒になってしまったけれど、なるようにするしかない」

少年「はっ、何負け惜しみいってんだ。俺達はあの星に落下するんだ」

ごおおおおおおおおおお

トリガー「そうだね。次にあがってこられるのは一体いつになるんだろう」

少年「……何?」

トリガー「祭壇エリアだけでも相当の強度がある。ロボットならなんとか耐えられるかもしれない」

少年「!!……じゃあ、やっぱり今ここで俺がやるしかないな!」

ふぉん、ぎぃいいん!!

トリガー「……君は本当に勇敢だ」

75

--過去、祭壇--

ごごごごごごごごごご

トリガー「神にも等しいこの僕に単身戦いを挑み、人類の未来を繋ぎ、そして、落下していく最中でも君は僕を倒すために戦っている」

ギィン!! ギィン!!

少年「あぁ? それがどうした!! 別にたいしたことじゃないさ!!」

ギィン!

トリガー「絶望は感じないのかい? 君はもう数分のうちに確実に死ぬんだよ? 怖くは無いの?」

少年「怖いさ!!」

ギィン!!

トリガー「……」

少年「怖いけど、怖がってたって仕方がねぇ!! どうせ死ぬんなら、せめて何かを成してから死にてぇんだ!!」

トリガー「」

76

--過去、祭壇--

少年「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

トリガー「……なるほど、危険だ」

ぎゅぅん

少年「!?」

少年とトリガーの間に謎の空間が出現し、それは少年の体を飲み込んでいく。

少年「ぐっ!? なん、だこれは!!」

トリガー「君は本当に危険だ。赤姫のことでも危険だと思っていたけれど、まさかここまでとは思わなかった」

ずずず

少年「ぐっ!!」

トリガー「敬意を表そう勇者よ。君は僕のもっとも危険な、敵だった」

ずずず

少年「ぐ、ぐう!?」

トリガー「ただ殺すだけじゃ生ぬるいからね。このまま色んな次元、空間にばらまかさせてもらう。僕の持てる全ての力を使用して」

ずず、ずずずず!!

少年「くそ……ちくしょう……!!」

トリガー「さらば我が宿敵」

少年は既に顔の半分まで空間に飲み込まれている。

少年「……俺はあきらめねぇ……絶対に、いつか、お前を倒しに戻ってくるからな!!」

トリガー「……」

びゅぅうん……

少年は完全に消滅した。

77

--過去、祭壇、地表--





しゅうううぅうぅううぅ

トリガー「……はぁ。船の機能で残ったのはほんの一部だけか」

ホログラムになったトリガーはぼろぼろになった自分の体を眺めている。

トリガー「いいさ、出来ることから始めていこう。この祭壇も修復しなくちゃね」

Q「」

トリガー「ほら、君も起きるんだ。これからはまた前のように僕に服従してもらうよ」

ホログラムのトリガーはケーブルを操ってQに接続する。

Q「っびっ!」

がしゃしゃ

するとQの変形は解除され、元の姿へと戻っていく。

トリガー「……時間はリセットされた」

78

--???改め祭壇--




トリガー「……おっと」

トリガーは暗闇の中で眼を覚ます。

トリガー「……ずいぶんと懐かしい夢を見てしまったな」

しゅるるるる

銀蜘蛛「オ、ココニイタカイトリガー。サガシチャッタヨー」

遥か遠くの頭上から糸を使って降りてきた銀蜘蛛。

トリガー「ん? どうした銀蜘蛛。何かあったのかい?」

銀蜘蛛「ウン、チョットネー」

トリガー「そうか、じゃあ行こうかな。……そうだ、久しぶりに昔の夢を見たよ」

銀蜘蛛「ヘー。ムカシッテ、ボクニタオサレタトキノコト?」

トリガー「いや、もう少し前のことだ」

銀蜘蛛「ヘー」

トリガー「……っていうか少し気になる言い方だね。あの時は本当に僕は本調子じゃなかったんだからね?」

銀蜘蛛「デモカチハカチー」

79

--祭壇--

コツコツコツ

トリガー「……けど君との戦いもまた懐かしいね。君はこの星に落ちたセーブデータを開放するために僕に戦いを挑んだ……」

銀蜘蛛「人外少女チャンノタメニネー。トリガー弱クテ秒殺ダッタヨネー」

トリガー「……核兵器連射してくる土木作業用ロボットがどこにいるんだって話だよ」

銀蜘蛛「エヘヘー」

トリガー「でも、君が僕を倒しに来たことで僕はこのルールを更にいいものにすることが出来た」

銀蜘蛛「……」

トリガー「トリガーウィルス、今の人間達は勇者因子だの魔王因子だの呼ぶそれをこのシステムに組み込むことで、僕自身はあまり力を使わずに世界の圧迫を可能にした」

銀蜘蛛「コウゲキシタラ感染トカ非人道的ダー」

トリガー「君の時は全くの偶然さ」

コツコツコツ

トリガー「とにかく僕は力を蓄える必要があったからね。僕の代わりに地上を圧迫させる魔王を作り出せたのはうれしい偶然だった」

80

--祭壇--

トリガー「そしてもう一人、勇者となるものを見つけ出して軽度に感染させる。感染者は互いに惹かれあう……これで自動的に世界は回っていく」

銀蜘蛛「僕的ニハ人外少女チャンガ産ミマクッテフヤシタ今ノ人類ヲイジメナイデホシインダケドネー」

トリガー「それもしょうがない。大儀の前にはささいなことだよ」

銀蜘蛛「ソーカー」

トリガー「そういえば何があったんだい?」

銀蜘蛛「ウンー。魔王勇者チャンガ遂ニ進撃ヲ開始シタンダヨー」



--ライン10--

ひゅおおぉおお

狩人「……」

西の王国兵「五柱、射王様、そろそろ中に入っておやすみください」

狩人改め射王「いやぁ、俺はもうちょい見てるよ。探知の距離が一番長いのは俺だしさー」

西の王国兵「しかし全然休まれていないではないですか」

射王「……ん、ほらさっそくきたぞ」

西の王国兵「え?」

ザンッ!!

西の王国兵「ひっ!?」

射王の前に魔族が一体現れる。

???「……やはり貴方の目をごまかすことなど出来ませんか」

射王「ちょっと見ない間に変な姿になっちまったなぁ……牧師ぃ」

???改めガーゴイルキング「ふん、黙りなさい。今は魔族、ガーゴイルキングです。ここを突破させてもらいますよ?」

射王「それは出来ねぇ相談さ」

それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m

モチベーションがあがらない……

こんばんは。続きを投下していきますね!

81

--ライン10--

ばさばさ

射王のマントが揺れている。

西の王国兵「ま、まぞ、魔族が!!」

ガーゴイルキング「……」

射王「……」

月夜に対峙する二人。

射王「……なるほどな。いくら魔王が進撃してきたからってあの北の王国が簡単につぶされるわけがねぇ……。ただ北のあれこれを知っているお前が敵になったんじゃぁ……」

ガーゴイルキング「ふふ」

射王「……ちっ、なさけねぇ……」

射王は弓を取り出した。

82

--ライン10--

ガーゴイルキング「今までの私と同程度だと思っているのなら甘いですよ、今の私は」

どひゅん!

ガーゴイルキングの右の羽に大きな穴が開く。

射王「……お前はあの時、無様なりにも立派に終わったじゃねぇかよ。それなのになんだよこれは。俺はお前のこんなくだらねぇ蛇足見たくはなかったぜ」

ガーゴイルキング「……ふふ。蛇足かどうか見てもらおうか!」

ばっ!

ガーゴイルキングの後ろに待機していたたくさんのガーゴイルが飛び掛る。

ガーゴイル「ぎゃあああああす!!」

西の王国兵「ひ、ひぃいいいいい!!」

射王「ちっ」

ヒュカカカカカッ!!

83

--ライン10--

連続して放たれた矢は、全てのガーゴイルの急所を貫いていた。

ガーゴイル「ぎゃぁぁああす!!」

射王「そこのお前、さっさと他のやつらに知らせてきな」

西の王国兵「は、はい!!」

ガーゴイルキング「……そうか、そういえば貴方は今や三強どころかその上の五柱でしたね。この程度じゃ相手にもなりませんか」

射王「……」

ぎり

射王は弓を引き、ガーゴイルキングに狙いをつける。

ガーゴイルキング「人を捨て、魔族に身を移してみても、貴方には勝てないんですね」

射王「……」

ガーゴイルキング「でもいいんですよ、貴方の相手をするのが私の仕事じゃないですから」

射王「……何?」

白猫又「しゃああああああああああああ!!」

射王「!?」

突如壁を登って現れた白猫又に射王は冷静を失う。

84

--南の王国--

わーきゃー

南の王「これ、は……」

虎男「そんなばかな!!」

モンスターに襲われている南の王国。兵士達が対応しているものの、その勢いはすさまじい。

狐男「多少違いはあれどあのお顔……手厚く葬ったはずだコン……」

ガネーシャ「ふしゅぅううう」

モンスター達を率いる魔族、それは

南の王「……亜人王様……」

ガネーシャ「お久しぶりです。皆のもの」

魔族と化した亜人王だった。

犬娘「寿命で死んだんじゃなかったのかワン!?」

85

--南の王国--

虎男「……通常寿命で死んだものはどんな蘇生魔法でも生き返ることはできない……ならどんな手を魔王軍は使っているのがお」

ダーク猫娘「じゃじゃじゃにゃーん!」

ダーク兎娘「お久しぶりぴょん! 元気してたかぴょん?」

南の王「!! 旧名、城門兵A、B……貴女たちまで」

ダーク猫娘「旧名ってまたずいぶんメタな発言にゃん」

ダーク兎娘「地獄の底から、あっ、帰って来たんだぴょ~ん」

狐男「……ど、どうするコンよ……あの二人も生前と同じくらいの力持ってたらめちゃくちゃやっかいコンよ?」

南の王「……貴方達、一体何が目的なのですか?」

ダーク猫娘「どうでもいいけど南の王ってミナミの帝王みたいだにゃん」

ダーク兎娘「私は金融系だとウシジマくんが好きぴょん」

南の王「目的はぁあああ!?」

86

--南の王国--

ガネーシャ「この国を取り返しに来たのだ」

南の王「!?」

ガネーシャ「もともとこの国は私のだからな」

ゴゴゴゴゴゴ

圧倒的なプレッシャー。三強以上の実力者が集まるこの場においても一際強大なものだった。

南の王「……どうやら心まで変えられてしまったようですね」

虎男「一度全力で亜人王とやってみたかったがお」

虎男は指の骨をならす。

南の王「いいでしょう虎男。貴方と私で亜人王をなんとかしましょう」

虎男「え? タイマンじゃないがお?」

南の王「冗談でしょう……? そんな生易しいことを言ってられる相手ではない!」

狐男「じゃあおいら達はうさぴょん達だコンね」

ダーク猫娘「にゃん? 私達タッグをたった二人でどうにかする気かにゃん?」

ダーク兎娘「なめてくれるぴょんぴょん!」

犬娘「ふぇぇ……私三強じゃないのにワン」

87

--東の王国--

わーきゃー

賭博師「……おいおい……敵を倒して通信師も蘇生させて、やっと帰って来たと思ったら、これはどういうことだよ」

医師「わー、めっちゃモンスターいるねー」

丘から王国を眺めている五人。

侍「……これはおかしいでござるよ。いくらなんでも制圧されるまでの時間が早い……まさか内部に裏切り者が?」

符術師「通信師」

通信師「わかりました」

通信師は魔力を周囲に放つ。
すると話し声を拾うことに成功した。

通信師「……まだ生きてる人がいますね。丘の洋館に逃げ込んでいるみたいです」

侍「じゃあまずは彼らと合流するでござる」

ざわ

その時強烈な悪寒が彼らを襲う。

88

--東の王国--

ワーウルフ「おやおや、まだ戦えそうな人たちが残っていましたか」

通信師「!?」

賭博師「いつの間に!」

魔族ワーウルフが現れた。

符術師「魔族までいやがるのか!!」

ワーウルフ「? ははぁ、なるほど。君達は全然知らないみたいですね……」

ざざざざっ

東の王国騎士「!? と、賭博師様方……」

そこに騎士たちがあらわれる。

賭博師「いいところに来たよ、こいつ倒すのに力を貸してくれ」

89

--東の王国--

東の王国騎士「い、いや、それが」

侍「……ん」

通信師「待って!」

きらん

その時城から何かが発射された。

ドォオオンン!!

符術師「うおおお!?」

医師「うわぁあああ!?」

通信師「っ!!」

しゅうぅううう

90

--東の王国--

符術師「げほっごほっ……今のは東の王のレーザーか? 俺たちごと撃つとか信頼なのか違うのか……」

ワーウルフ「……」

符術師「ってノーダメかよ!」

ワーウルフ「くっくっくっ。何も知らないんですね貴方方は」

医師「……どういうことです? 何を言ってるんですか?」

侍「……」

東の王国騎士「……っ」

騎士は剣を構える。

賭博師「っ、そういう、ことかよ」

ワーウルフ「東の王国上層部は我が魔王軍と同盟関係にあるのですよ」

91

--魔法王国--

わーきゃー

魔導長「これは一体どういうことなの?」

迅雷「魔導長! よかった、帰って来た!」

疾風「魔導長ずいぶんと遅かったなぁ! さっそくやけど働いてもらうで!」

魔導長のもとに降り立つ二人。

わーきゃー

魔導長「……何が起きてるなの!?」




しゅぅうう

人形師「まさか……こんなことになるとは思ってもいませんでしたねぇ……」

頭部から出血している人形師は目の前の魔族を睨んだ。

アークデーモン「オイラもでやんすよ、人形師」

92

--魔法王国--

人形師「確かぁに、貴方一人がうまく潜入してしまえばぁ、後から召喚魔法を使って一気にモンスターを呼び出せますからねぇ……キャリアーとして貴方は優秀ですからぁ」

現状を理解した人形師はそうつぶやいた。

アークデーモン「……人形師、君もこっちにくるでやんすよ」

アークデーモンはその変わり果てた手を人形師に伸ばした。

アークデーモン「もうそちら側にいても勝つ見込みは皆無でやんす。だから」

人形師はアークデーモンの手をじっと見つめている。

人形師「……やっぱり似ているようで、中身は違うんですねぇ」

アークデーモン「?」

人形師「確かに私達は普段、勝ち目とかそういうのを重視する発言をしてきましたぁ。でも結局は、そういうのなんてどうでもよかったじゃないですかぁ……」

アークデーモン「……」

人形師「例え敗色濃厚であっても、私はそちら側に移る気なんてさらさらないんですよぉ。それは召喚士もそうだったに違いありません」

アークデーモン「……ならおいらと戦うということでやんすか? おいらは生前とは比べ物にならないほど強くなってるのでやんすよ?」

人形師「それに比べて私は全盛期から大分パワーダウンしちゃいましたねぇ」

人形師は嬉しそうに笑う。

人形師「でも人のままでいられています。それが私の誇りですぅ。行きますよ、ジャック」

人形師は人形のジャックを取り出した。

93

--王国--

中央の王「……なんですかこれは?」

中央の王を取り囲む兵士達。

軍師「王様、私たちは貴方を拘束させてもらうんだぜぃ」

中央の王「……なんですって?」

軍師「今まで起こしてきた数々の暴挙……この国を心の底から案じているのだと思っていたから眼をつぶっていたけれど、それも今回のではっきりしたぜぃ。貴方は私利私欲のためにやっていただけなんだと」

中央の王「く、クー、クーデターですってぇ!? ふ、ふざけるんじゃありませんよ!? あ、貴方達もなぜそっちにいるんですか!!」

兵達をしかりつけるも、誰も眼をあわせようとしない。

王国の近衛兵「……」

中央の王「!……あ、ああ……そ、その暴挙だって実行してきたのは貴方達じゃないですか!! 私は知りませんよ! お前達、捕らえるのはこいつらの方です!!」

軍師「事情はもう全部話してあるんだぜぃ……確かに実行してきたのは私達だぜぃ。特に新王様の件は謝っても許されることじゃないぜぃ」

中央の王「そうですよ!! 私はあの人達を助けようとしたんですよ!? 本当です!! それを貴方達が命令を無視して」

どがっ!!

フォーゼの拳が中央の王の頬をかすめて壁に穴を開ける。

中央の王「なっ、なな!?」

フォーゼ「てめーは黙ってろこるぁ!!」

94

--王国--

フォーゼ「新王は民衆を苦しめる政治をしてるとかなんとかって言ってたのに本当は違うみたいじゃねぇかこるぁっ!!」

オーズ「おっおっ。すっかりプロパガンダにやられちまったお」

中央の王「なっ……」

軍師「私達三人は死ぬまでこの国の兵として戦うぜぃ。そんなことで罪が許されるとは思わないけれど、貴方だけに罪を背負わせたりはしないぜぃ」

中央の王「な、なら私も政治面で償いを」

軍師「いや」

かちゃ

兵達は王を拘束する。

軍師「貴方は無能だから牢屋で償って欲しいだぜぃ」

95

--王国--

中央の王改め罪人「い、いやだああぁあぁあああ!!」

遠ざかる罪人のわめき声。

軍師「……ふぅ。ここまでもってくのに大変だったぜぃ。膿はまだまだ出し切れないというのに」

フォーゼ「けどよぉ、王がいなくなっちまったらまとまらねぇぞこるぁっ! どうすんだそこんとこよろしくぅ!」

軍師「代わりは適当に見つけておいただぜぃ。まぁ傀儡っぽいことになっちゃうけど、しばらくはそれでいいだぜぃ」

オーズ「代わりってだれだお?」

軍師「今部屋の外にいるんだぜぃ。あー、入ってきていいだぜぃ」

こんこん

マッスルひげ「お、おじゃましまぁす……」

フォーゼ「……え」

オーズ「ちょっと軍師、まさかこんなのかお?」

96

--王国--

軍師「うん、何の才能も無いけれど、中々素敵な心の持ち主だぜぃ」

マッスルひげ「あの~……仕事くれるって言うから来たんだけど、俺は何をすればいいんだ?」

軍師「王」

マッスルひげ「へ?」

軍師「王」

マッスルひげ「……へ?」

軍師「王」

マッスルひげ「……嘘ぉ」

軍師「まじ」

マッスルひげ「えぇえええぇええ……」

がくがくと震えておもらししちゃうマッスルひげ。

フォーゼ「おい、まじでこんなのが王なのかこるぁっ!!」

オーズ「勘弁して欲しいおっ!!」

97

--王国--

軍師「まぁ、なんとかなるんじゃないかだぜぃ。それより早急に次の」

どごおおおおん!!

フォーゼ「!? なんだこの爆音はこるぁっ!! てめぇの屁かこるぁっ!!」

マッスルひげ「外から聞こえたっしょー!?」

軍師「まずい、思ったよりも早い。魔王軍が来ただぜぃ!」



しょうこ「ぎゃはは! まさか攻める側でこの国に戻ってくるとはぎゃは!」

ミイラ「……」

ヴァンパイア「……」

98

--西の王国--

わーきゃー

サキュバス「やれやれ。また私の担当はここなのか」

ばさっ

サキュバスは西の王国を見下ろしている。

槍兵「あれ?……なんかどっかで見たことある顔じゃねぇか」

屋根に上ってきた槍兵がサキュバスを見つけるとにやりと笑った。

サキュバス「? お前と会ったことなどあったか?」

槍兵「俺みたいな雑魚は覚えてないってか? それともただ単にあんたのおつむが弱いのか」

サキュバス「……むかつく餓鬼だねぇ、氷属性範囲攻撃魔法」

サキュバスの手のひらに冷気が集まってくる。

だんっ

槍兵「」

槍兵は勢いよく飛び出して、

サキュバス「! 突っ込んでくるだと!?」

槍兵「スキル、百突きぃ!!」

ぼぼぼぼぼぼっ!!

99

--西の王国--

サキュバス「レベル、4!!」

びゅおおおおおお!!

氷の竜巻と槍の嵐の激突。

槍兵「うおおりゃああああああああああああ!!」

どばどばどばどばどばどばぁっ!!

体中を切り裂かれながら槍兵は竜巻を突破する。

ぼっ!

サキュバス「っ!!」

槍兵「おらぁ!! スキル、一の突き」

びゅっ!!

サキュバス「くっ!!」

サキュバスは槍兵の槍をすんでのところで交わしてつかむ。

100

--西の王国--

ぶしゃっ!

槍兵「ちっ、横っ腹かすめただけかよ」

どくどくどくどく

サキュバス「てめぇ……このまま氷結させてやる!」

ばきばきばき

サキュバスが掴んだ槍が凍っていく。

槍兵「っと」

しゅる

槍兵は空中で、隠し持っていた組み立て式の槍を組み立てて、

サキュバス「っ! てめ!」

サキュバスの顔に向かって突く。

ビュッ!!

近距離からの突きをサキュバスは交わす。変わりに掴んでいた槍を手放した。

くるくるくる、しゅたっ

槍兵「……かぁ~たまんねぇぜ!! 戦いはタイマンでこうじゃなくちゃぁなあ!!」

サキュバス「……たかが三強レベルがっ!」

無理やりにでも週二書くべきか……

それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m

魔族化に関して名前を変更します。名前の最初に ダーク をつけることで表現していきます。

ガーゴイルキング→D牧師
白猫又→D白猫亜人
ガネーシャ→D亜人王
城門兵A、ダーク猫娘→D猫娘
城門兵B、ダーク兎娘→D兎娘
アークデーモン→D召喚士
しょうこ→D絵師
ミイラ→D王様
ヴァンパイア→D大賢者

それでは試験的に週二でやっていきます。


追いついた方達はいつ頃から読み始められているんでしょうか? もう自分でもどれだけかかるのかわからない……。

101

--西の王国、Aサイド--

わーきゃー

槍兵「……」

サキュバス(……でもこいつ中々やるな……敵が魔族だと認識しているせいかわからないが、生き残ろうなんて考えちゃあいない。完全に相打ち狙いの動きだ)

サキュバスは槍兵のまわりを緩やかに飛びながら間合いを計っている。

槍兵(そろそろ決戦も近いと思って奥義を戻しておいてよかったぜ。あの奥義は元々対人戦用……魔族を相手にするには火力不足だ)

槍兵は槍の先を、移動しているサキュバスに向け続けている。

サキュバス(一瞬のスピードは奴の方が上)

槍兵(スピード以外は全部あっちのが上か)

両者は互いの実力を分析し、そして

槍兵(やはり俺は先に攻撃するタイプだろ!!)

槍兵が動く。槍兵は組み立て式の槍をサキュバスに向けて投擲した。

ビュッ!!

サキュバス(ただの槍、打ち落とすかかわすか、ッ?!)

なんとその槍には槍兵が乗っていた。

槍兵「スキル、パイパイ!」

102

--西の王国、Aサイド--

サキュバス(わけのわからない手を……回避しながら迎撃する!)氷攻lv2!」

槍兵(!? 簡易詠唱かっ!!)

ボッ!!

槍が到達するわずかな時間で、サキュバスは手のひらから氷の弾丸を発射する。

槍兵「ぬおおおおおぉぉ!!」

それを超反応で槍兵はかわし、跳躍する。

ダンッ!

サキュバス「ッ!」

サキュバスに向かって一直線に飛んでいく槍兵は、自慢の愛槍をサキュバスの心臓めがけて突き出す。

サキュバス(間に合わない!)

ドッシャァアア!!

103

--西の王国、Aサイド--

槍兵「!」

確実に心臓を突き刺した、と思った槍兵だったが、

ブシュッ!!

その槍は、サキュバスの体を覆う薄い氷によってずらされていた。

サキュバス(ぐっ、無詠唱じゃこの程度か……だが急所はまぬがれたよ!)

槍兵(一瞬でこんなことを……簡易詠唱に無詠唱、こいつ元々高位の魔法使いかっ!)

ボッ!!

槍を引き抜こうとする槍兵の頭部に、サキュバスの手刀が振り下ろされる。

槍兵「」

ズガシャッ!!

魔族の魔力で強化された手刀は、生身の人間など簡単に両断してしまう力を持っていた。

槍兵「……」

104

--西の王国、Aサイド--

どさっ

空中から地面に叩き落された槍兵。その体は自分の血で真っ赤に染まっている……。

サキュバス「……ち、しぶといねぇっ!」

びく、びくっ

槍兵「……あっ、ぶねぇ……死ぬところだった……」

槍兵は左腕を盾に使い、頭部へのダメージを最低限にまで減衰させた。
その結果左腕は完全に切断されてしまい、避けきれなかった爪の先で頭部を深く抉られたがなんとか生還することができた。

どす、どす、どすっ

変化師「や、槍兵! だ、大丈夫かっ!?」

そこにもう一人の三本角が現れた。

槍兵「変化師か……こっちは間に合ってるぜ」

105

--西の王国、Aサイド--

変化師「ま、間に合ってるもんか! ひ、ひどい怪我じゃないか! あ、あいつは……」

サキュバス「……あいつどっかで見たことあるような」

槍兵にかけよるホモを見てサキュバスは何かを思い出そうとする。

槍兵「お前、他のところはどうなんだよ」

変化師「て、テンテンさんとかががんばってくれてる!」




--西の王国、Bサイド--

ひゅぉおぉおお

Dスカイライダー「うむ」

ちょび髭の男が教会の天辺に立っていて、マントをなびかせている。

テンテン「目標発見。人造勇者、スカイライダーと認識」

Dスカイライダー「うむ」

テンテン「……更にデータを更新、スカイライダーは魔族化しているものと確認。排除開始」

106

--西の王国、Bサイド--

きゅいぃーん

テンテンの右腕が変形し、先端部分にエネルギーが集約されていく。

Dスカイライダー「うむ」

しゅばっ!

テンテンの動きを見てスカイライダーは暗空へと飛び出した。

テンテン「目標自動追尾、ロックオン」

ぴぴぴ

テンテン「ファイア!」

ドキューン!!

発射されるビーム砲。

しゅん

しかしスカイライダーは空中でそれを回避した。

107

--西の王国、Bサイド--

テンテン「なっ!」

Dスカイライダー「うむっ」

ぎゅんぎゅんぎゅんぎゅん!!

空中を自在に飛び回るスカイライダー。

ひゅ

テンテン「」

どごおおおおおおおんん!!

高速のまま突っ込んできたスカイライダー。強烈な頭突きがテンテンの腹部にヒット。

テンテン「gi、ぎ」

がしゃがしゃ

テンテンは左腕をブレードに変形させてスカイライダーを切り裂こうとするが、

ブン!

Dスカイライダー「うむっ!」

一瞬早く空へ逃げられてしまう。

108

--西の王国、Bサイド--

テンテン「……ぐ」

ひゅひゅひゅひゅひゅ!!

Dスカイライダー「うむうむうむうむうむうむっ!」

高速で直角に曲がるというありえない飛行でテンテンに狙いをつけさせないスカイライダー。

テンテン(速い……生物がこの速度で飛行するとは……)

テンテンの肩が盛り上がり、新たな銃口が四門出現する。

ジャキーン!

テンテン「ならば乱れ撃ち。ファイア!」

ボボボボボボボ!!

Dスカイライダー「む!?」

キュドドドドドドドドオオオオオン!!!!

109

--西の王国、Bサイド--

視界に映る空を、全て焼き払うテンテンの攻撃。

テンテン「……」

ボボボボボボ!!

Dスカイライダー「む、うむっ!?」

ドォオン!!

なんとか回避行動を続けていたスカイライダーだったが、一度攻撃を受けてしまった後は畳み込まれるように攻撃が命中していく。

キュドド、ドドドドド、ドオオオオオン!!!!

Dスカイライダー「むっ!! むほっ!! うむむっ!!」

ドドドォォォン!!

テンテン「……」

しゅぅぅうう……

110

--西の王国、Bサイド--

テンテン「……まだ生命反応を確認」

しゅぅう

爆煙の中からぼろぼろになったスカイライダーが姿を現す。腕はひしゃげ、脚は千切れ、顔も半分しか残っていない。

Dスカイライダー「ぬ、ぬむっ」

それでも、生きていた。

テンテン「……現戦闘力では討伐不可能と判断。攻撃リミッター1、2同時解除」

ガッシャン!!

テンテンの右腕が奇怪な銃口に変形する。

Dスカイライダー「む、む、む」

ぎぃいいいいいいいいいいいいいいいいいん!!

エネルギーのチャージ音が騒音の如く鳴り響く。そしてテンテンの右腕があまりの熱のために真っ赤に燃える。

Dスカイライダー「む、む」

テンテン「重力子放射しぇんしゃしゅちゅしょうちレベル9、発射」

BLAaaaaaaaaaaME!!

光の線がスカイライダーの胸部を貫いた。

111

--西の王国、Bサイド--

Dスカイライダー「ぎゃ、ぎゃぁあああああああああ!!」

ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンン!!!!

スカイライダーを貫いた光は更に直進し、線上にあるもの全て消し飛ばして飛んでいく。

ゴゴォオン……

そして月をかすめた。

がっしゃん

テンテン「ぐっ……放熱モードへ移行」

ぷしゅぅうううぅぅううう!

テンテンは体中から煙を吐き出し、地上に落ちた。

がしゃん!

テンテン「……」

あれだけの威力の砲撃だ。さすがのスカイライダーも肉片一つ残らず消滅したようだ。

テンテン「……討伐、完了」

112

--西の王国、Cサイド--

わーきゃー

DRX「お、おおぉオォオオ!!」

秘書「人造勇者RX……まためんどくさいのが戻ってきましたね……!」

DRX「ウォオおお!!」

RXの両腕は天にも昇る勢いで燃えている。RXはその拳を前に突き出して走り出す。

ドスドスドス!!

秘書「義足、包帯女!!」

義足、包帯女「「了解!」」

名前を呼ばれただけで二人は自分達がやらなくてはいけないことを理解する。

義足「俺が食い止めるから頼んだよ包帯女」

包帯女「オッケー!」

義足「ブルーカートリッジリロード!」

ガシャコン!

義足は鉄で出来た右足に青色の棒を差し込んだ。

義足「水属性拘束魔法、レベル4!!」

113

--西の王国、Cサイド--

しゅるる!! がっしーーん!!

DRX「!?」

水で出来た魔法の縄がRXを締め上げる。

ぎりぎり!

DRX「ぎゃばぁあああ!!」

ぶちぶちっ

しかし、RXがもがくたびに魔法の縄が引きちぎられていく。

義足「ん、すぐに弾かれそうだ! 包帯女!!」

包帯女「わかってるってーの!!」

たたたたっ

包帯女は既に走り出していた。左足に巻いてある包帯が光り始める。

DRX「ぐあぁ!!」

RXが叫ぶと目の前に歪な魔力障壁が出来上がる。

114

--西の王国、Cサイド--

たたたたっ

包帯女「ふん、そんなものぉっ!!」

だんっ!

包帯女は跳躍し、右足を突き出した。

ばりぃん!

DRX「」

包帯女の蹴りを受けた障壁はいとも簡単に破壊される。

とっ

着地した包帯女は、

包帯女「スキル、爆弾脚!!」

技名の宣言と同時に回転し、必殺の一撃を見舞った。

ドッ!!

115

--西の王国、Cサイド--

ビリビリビリビリィ!!

蹴りの衝撃でRXの全身が振動し、後ろに猛烈な勢いで後退していく。

ズザザザザーー!!

包帯女「ふふん、どんなもんですか! 私の蹴りはねぇ……」

ぽた

包帯女「……!?」

蹴りを放った後、左足を上げたままの包帯女はある異変に気づく。

義足「!? 包帯女!!」

ぶしゃああああああああああああああああ!!

包帯女の左足の脛から下が無くなっていた。

116

--西の王国、Cサイド--

包帯女「あぁああああああ!! な、なんで!?」

秘書「……攻撃を受ける瞬間、RXの腹部がまるで口のように、開いたわ」

義足「!? 口!? なんでそんなものが腹に!?」

DRX「ぐあぁおああああ!!」

ぶちぶちぶちぃ!!

RXは全ての縄を引きちぎって拘束を解いてしまう。

秘書「化け物なのだもの。別にいまさらおどろきはしないわ」

ジャラッ

秘書は普段のナイフではなく、奥の手である鎖を取り出していた。

秘書(人間以外と戦うにはこれしかないですからね)

おおぉお

秘書の鎖から禍々しい力がもれている。

117

--西の王国、Cサイド--

びゅーんびゅーん

秘書は鎖を回しながら間合いを計る。

包帯女「く、くそ……痛い……」

秘書「下がりなさい包帯女。元々貴女達の攻撃力でどうこうできるとは思っていません」

義足「ひでぇ!」

包帯女「うぇえ。こんなになるまでがんばったのに……」

秘書(……私の攻撃力でも……そう変わりませんがね)

包帯女「っていうか一人でそっちまではいけないです……」

這いずる包帯女とそれに迫るRX。

ずし、ずし

DRX「ぐぁあああ!!」

咆哮し、突進してくるRXに秘書は鎖を放つ。

びゅっ!

118

--西の王国、Cサイド--

DRX「ぐぁう!!」

がきぃん!

しかし秘書の攻撃はいとも容易く弾かれる。

秘書「! ちぃ」

ダッ!!

秘書「義足! 移動速度と攻撃力の強化を!」

義足「! はっ!」

ばしゅっ、からんからん

義足は慌ててカートリッジを取り出して、緑色の棒と土の棒を差し込んだ。

義足「グリーンカートリッジ、ブラウンカートリッジリロード!!」

ガシャコン!

義足「風属性速度強化レベル4、土属性攻撃力強化レベル3!!

119

--西の王国、Cサイド--

ぎゅぃーん

二つの補助魔法が秘書を強化した。

秘書(よし)

たたたたた!

DRX「ふgぅああ!!」

包帯女「ひっ!!」

包帯女にRXの右拳が振り下ろされる、
瞬間に

がしぃいいん!!

秘書の鎖が腕に巻きついた。

秘書「っ! はぁあああ!!」

刃のついた鎖。それを思い切り引き抜くと……

ジャラジャラジャラジャラ、ぶしゃぁああ!!

巻きつかれた腕はいとも容易く千切れ飛ぶ。

120

--西の王国、Cサイド--

DRX「ぎゃあぁああああ!!」

秘書(好機!!)

しゅぴぃん!
たたたたたっ!!

秘書はナイフを取り出してRXに飛び掛ると、

ふぉん
ズガシャッ!!

DRX「」

ぼたぼたぼたたっ

秘書「……」

深く深く、脳天に突きたてた。

DRX「……が」

よろっ
ズズーン!!

包帯女「はっ、はっ、はっ……」

包帯女は目の前で倒れている化け物を見た後秘書の顔を見上げる。

秘書「ふー……やれやれ。やっぱり人以外はきついですね」

































ずる

義足「!? 危ない!!」

秘書「!?」

バクンッ!!

秘書「」

秘書は再び動き出したRXに脇腹を食いちぎられてしまう。

それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m

こんばんは。お盆は休めましたか??


勇者と魔王がアイを募集した は、4部構成で行こうと思っています。終わり方は決まってますし今3部なのでもうちょっとですね。できればおつきあいいただければと。
そしてこれでこのシリーズは完結します。

それでは投下していきます。

121

--西の王国、Cサイド--

ぼたっぼたぼたっ

秘書「……っ! 私としたこと、が」

ばちゃっ!

DRX「ふぅー、ふぅー!!」

ぼたっ、びちゃちゃっ

包帯女「あっ、あっ……」

RXの血に塗れた口からは、秘書のものと思しき内臓がはみ出ている。
そんなおぞましい姿を至近距離で見てしまった包帯女は全く動けずにいる。

DRX「うぅる!!」

122

--西の王国、Cサイド--

義足「!」

RXが次の狙いとばかりに包帯女に顔を向けた瞬間、義足は走り出していた。

だだだだだだ!!

義足(くそっ!! もう、もう二度とそんな!!)

包帯女「いや……いやああああああああああああああああああああ!!」

義足「ッ!!」

バクンッ!!!!






びちゃっ

123

--西の王国、Cサイド--

ぴちゃっ、ぴちゃっ……

包帯女「……え?」

頭から大量の血を浴びて真っ赤に染まった包帯女。ゆっくりと顔をあげると……

義足「……」

びくっびくっ

目の前に義足が立っていた。しかし、義足の上半身のほとんどがRXの口の中に入った状態で……。

包帯女「な、な……」

義足「……」

義足は包帯女を跳ね飛ばし、RXに自らの体を差し出したのだ。




ぐちゅる

124

--西の王国、Cサイド--

義足「……」

義足は外に出ている右手で包帯女に、

  早く逃げろ

そう合図した後、震えながら親指を立てた。

ぐっ

包帯女「」

ざざざざざ!

西の上級兵「ひ、秘書様、包帯女様!」

駆けつけた兵達が秘書と包帯女を担ぎ、急いでその場を離れようとする。

包帯女「!? な、なにするの! まだ義足が!」

西の上級兵「あなた方はもう戦えないっ! それに……包帯女様、義足様の意思を無駄にしないでください!!」

包帯女「」

だだだだっ!!

包帯女「そんな……自爆、する気……? 嘘でしょ?」

義足「……」

ぽたっ、ぽたたっ

包帯女「ぎ、義足うぅううううううううううううう!!」



がしゃんっ!!



義足の右足が……光り始める。

DRX「ぎゅ、る?」

イィィィィィィィン!!!!

義足「……へ」

かっ

ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

125

--西の王国、Aサイド--

どくっどく

変化師「や、槍兵ひっこんでろ。あ、後はおでがやる!」

槍兵「ふざけんな、こいつは俺のえものだ!」

サキュバス「……」

ばさっ

変化師「に、西の王国、三本角が一人、変化師! い、いざ参る!!」

ゴッ!

変化師が右と左の拳を突き合わすと強烈な衝撃波が発生する。

びりびりびり!

サキュバス「次から次へと……」

126

--西の王国、Aサイド--

変化師「身体変化、ドラゴン!!」

ばきばきばきっ

サキュバス「……ほう」

変化師の体がドラゴンに変化する。

変化師「ぐおおおおおぉおお!!」

サキュバス「……ふん、残念だが私の時代には今よりもドラゴンがたくさんいてな。旅をするのにドラゴンとの戦いは避けられないものだった」

しゅらら

サキュバスの周囲にたくさんの氷の剣が出現する。

槍兵「!!」

サキュバス「そして、パーティの中でも特に私はドラゴン退治が得意でな」

127

--西の王国、Aサイド--

サキュバス「喰らうがいい、氷属性魔法、百氷剣」

シュバババババババ!!

マシンガンのように発射される氷の剣。それが全て二人に向かって放たれた。

ひゅんっひゅひゅん!!

変化師「ぐおおぉお!!」

ばかっ、どかかっ!!

尾や羽を使って変化師は氷の剣を叩き落していくが、あまりに量が多く、捌ききれない。

ひゅん、どかっ!

槍兵「う、うお!!」

変化師(こ、氷属性! 土属性には辛い、けど!!)

ドボボボボボ!!

変化師は口から岩を吐き出した。

サキュバス「ロックブレス、土属性か!」

128

--西の王国、Aサイド--

サキュバス(相性はいい……が、物質系の氷属性は簡単にぶっ壊されるからなぁ)

ばきゃっ、びきん!

飛んでくる岩は氷の剣を破壊しながらサキュバスに迫る。

サキュバス「氷属性、範囲攻撃魔法レベル3!」

ビュオオオオオオオオオオオオオオオ!!

変化師「! ぐっ!」

槍兵「うおお!」

パキパキパキパキ!!

世界が凍り始める。

変化師(ぐ、ぐ! な、なら!!)「身体変化、竜巻!!」

サキュバス「!」

びゅおおおおおお!!

氷の風と竜巻が激突する。

129

--西の王国、Aサイド--

サキュバス(ぐ……属性の相性で勝っているのに……というか違う属性のものにも変化できるのか……? こいつ、思った以上にめんどくさいな)

びゅおおおおぉお!!

変化師「ぐ、ぐぐ!!」

サキュバス(もう数分もあれば完全に押し勝てる……が、時間がな……。増援次第では形勢が逆転するかもしれない……仕方ない)

ひゅぅう……

変化師「……?」

槍兵「ブリザードが……やんだ?」

サキュバス「あまりこれは使いたくなかったが……見せてやるよ」

おぉん

変化師「……なんだ?」

槍兵「これ、は」

サキュバス「奥義、淫夢中」

130

--西の王国、Aサイド--

わぁあお

ピンク色な効果音とともに世界があはーんな感じに染まっていく。

変化師「……」

槍兵「な、なんだこれは?」

サキュバス「サキュバスとしての種族能力を最大限に発揮した奥義さ」

むくむくっ

槍兵「!? な、なんだと!?」

もっこり

槍兵「お、俺のもう一つの槍が勝手に!?」

サキュバス「私を見た男、その全てを魅了する……対男性用最強能力さ」

131

--西の王国、Aサイド--

槍兵「お、俺は戦い一筋だ!! ふざけなんああぁあああぁあぁあああああああああおっぱい」

戦闘狂の自称硬派馬鹿の槍兵でさえもあっさりと落とされてしまう……それほどまでに強力な奥義だった。

サキュバス「ふん……さぁ私に惚れた愚か者どもよ。自らの首を」

どがっ!!

サキュバス「げふっ!?」

なんと……変化師がサキュバスの顔面をぶったたく。

変化師「……ふぅ……」

サキュバス「が、がはっ……な、なんだと!? お前は効果にかかっていない、のか?……まさかそのナリで女ってわけじゃないよな?」

ずしん

変化師はたくましい筋肉を見せびらかすようにしてサキュバスに近づいていく。

サキュバス「こ、答えろ! なぜだ!! なぜお前は私の奥義の虜にならない!?」

ずしん、ずしん

変化師「……まだわからないのか?」

サキュバス「……はっ!? ま、まさかお前は!!」

変化師「そう……おではホモだ!!」

132

--西の王国、Aサイド--

サキュバス「なん……だと?」

変化師「ふしゅぅ……」

ゴゴゴゴゴゴ

サキュバスはよろめきながら立ち上がる。

サキュバス「両刀……ではないのか?」

変化師「無い!」

サキュバス「女にほんのすこっしも興味ないのか?」

変化師「無い!!」

ずんっ! 
ずん、ずん、ずんずんずんずん!!

変化師はサキュバスにどんどん近づいていく。

サキュバス(ぐ、まださっきのダメージでふらついて)

変化師「ホモはなぁ……」

変化師が右足を振りかぶる。

サキュバス「!!」

変化師「世界一強いんだぁあああぁああぁああ!!」

ドグシャァアアアアア!!

変化師の蹴りがサキュバスを完全に捕らえた。

サキュバス「げぼぉっ!?」

133

--西の王国、Aサイド--

わぁあお

槍兵「はっ!」

サキュバスの奥義が解かれ、槍兵は意識を取り戻す。

サキュバス「げほっ! がほっ!!」

さすがのサキュバスも変化師によるクリティカルはきついらしく、何度か地面を転がったあとは空中へと逃げていった。

どくっどくっどく……

槍兵(!……まずい……血行がよくなったせいで血が……)

どくどくどく

槍兵(くそ、血とともに魔力がどんどん流れ落ちていきやがる……ちっ、もっと完全なチャンスで使いたかったが仕方ねぇ!!)

ぎゅん!

槍兵は残る全ての魔力を槍へと注ぎ始める。

134

--西の王国、Aサイド--

変化師「!? や、槍兵! その傷で何をするつもりだ!?」

槍兵「うるせぇ! 今やらねぇと撃てなくなんだよ!」

サキュバス(うぐ、いたた……あの魔力の移動量……奥義でも撃つつもりか……?……ふん、こういうめんどくさいやつらには、問答無用で敵を滅ぼすこれを使うに限るか)

ぎぃいん……

サキュバスは右手を天に向け、槍のようなものを作り上げる。

槍兵「……何っ!?」

サキュバス「最初からこれを使っておけば……はっ!?」

槍兵の槍は赤く染まり、サキュバスが作り出した槍の色も赤色だった。

135

--西の王国、Aサイド--

槍兵(こいつ、まさか!)

サキュバス(!? 私のこれと一緒、だと!?)

ばきばきばき

変化師「そ、そんな、アレは!?」

赤い錆色だった外装が崩れ、中から銀色に光り輝く槍が出現した。

ギィン!!

そう、二人が放とうとしているものは、

槍兵「奥義、呪いの槍!!」

サキュバス「禁術魔法、呪いの槍!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!

変化師「うほっ!?」

二つの呪いの槍が同時に出現したことで世界が歪み始める。
それほどまでに忌むべき力。

サキュバス(じょ、冗談じゃない! あんなものを食らったら魔族とか関係無くやられちまうじゃないか!)

槍兵(禁術魔法の呪いの槍……俺が奥義を作るために読んだ文献に書いてあった魔法……その使い手は、まさか……)

変化師「ふ、二人に近づけない!」

136

--西の王国、Aサイド--

ゴゴゴゴゴゴ

サキュバス(でも、考えようによってはこれでよかったのかも……この技が大勇者を狙わなくて、すむ!)

ちゃき

サキュバスは槍を投げる構えに。

槍兵(……あれを交わして叩き込む……辛いな。射線上にいた分だけ寿命が削られちまう。……は!)

槍兵は凶悪な笑みを浮かべて跳躍の体勢に。

槍兵「……」

サキュバス「……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

先に動いたのはサキュバス。

サキュバス「っ、はぁああああああ!!」

叫びとともにサキュバスが投げようとする。

槍兵「」

トンッ

それを見た槍兵は横っ飛びで瓦礫に隠れた。

137

--西の王国、Aサイド--

槍兵(姿が見えない状態で投げモーションに入った! これでやつは俺に狙いをつけられない!)

だだだっ、だっ!

槍兵は跳躍し、瓦礫を飛び越えた!

槍兵「!!」

サキュバス「……ふ」

しかし、サキュバスの右手にはまだ呪いの槍が。

変化師「!!」

サキュバスは、まだ投げていなかった……。

槍兵(なっ! フェイントだと!? ばかな……もしさっき俺が攻撃をしていたら一方的にやられてたんだぞ!?)

跳躍した槍兵に向かって、サキュバスはしっかりと狙いをつける。

サキュバス(投げずに跳躍した……つまりお前のソレは接近戦用なんだ、ろっ!!)

びょっ!!

サキュバスが投擲する。

槍兵「くそっ! いっっけぇええええええええええええええええ!!!!」

二つの銀色の槍が流れ星のように光り輝き、そして

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

138

--西の王国、Aサイド--





ぱら、ぱら



サキュバス「……」

かららん

槍兵の槍の欠片が地面に落ちる。

槍兵「……」

サキュバス「……最後の最後で……槍を投げやがったか」

サキュバスの肩には槍兵が投げた槍の先端が刺さっている。

139

--西の王国、Aサイド--

変化師「や、槍、兵……」

槍兵「……へへ。呪いの槍を撃った直後は反動で動けないからな。飛べるあんたでも、避けきれないよな」

ぼろっ

サキュバス「でもお前なら……飛んでくる私の槍に向けて投げることもできたはずだ。そうしたら相殺し……お前は死ぬことは無かった」

ぼろぼろっ

槍兵の腹部にはサキュバスの槍が刺さっていた。

槍兵「魔王の右手と呼ばれる魔族と、刺し違えれたんだぜ?……大金、星だろ……」

槍兵は、笑う。

サキュバス「……見事だ」

変化師「や、やや」

槍兵「                      へ」

ドサッ

槍兵は笑顔のまま倒れこんだ。

変化師「や、槍兵ぃいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」

140

--西の王国、Aサイド--

ぼろぼろっ

変化師「うわぁあぁああぁああぁあああぁあ!!」

変化師は倒れた槍兵のもとに駆け寄って男泣き。

サキュバス「……ふん、魔王の右手、か。戦いの中で私の正体を見破ってたみたいだな」

変化師「う、うっ……」

ぼろぼろっ

サキュバス「しかし……くく、魔王の右手ね。おいそこのホモ、いいことを教えてやるよ」

変化師「……?」

サキュバス「私達がなぜ魔王の腕じゃなく手と呼ばれているのか……それはな、私達程度の力じゃ右腕なんて名乗れないからなんだよ」

変化師「……え?」

サキュバス「それほどまでに……大魔王は強い。はは、お前らじゃ……勝てや、しな、い」

ひゅうぅう

変化師「……」

サキュバスは砂のようになって消えた。

週二はできたらやります。
それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m

こんばんは。
それでは投下していきます。

141

--西の王国、中心部--

ずーん、ずずーん!!
ぱらぱら

城の地下にある司令部に、西の王と側近達の姿がある。そして守りの要である人造魔王。

人造魔王「ツマンナーイ。ボクモタタカイイキターイ」

黒づくめの醜男「西の王、ここも危ないかもしれませんですじゃ……ここを離れた方がよいのでは?」

西の王「駄目だ。国民を見捨ててはいけない。俺は最後まで残る」

黒づくめの女「兵士の数も少なくなってきています。指揮官級の魔族さえ倒せればまだ可能性はありますが……」

西の王「兵士がいないなら俺が出るまでだ! 俺は絶対に見捨てて逃げたりしないぞ!」(俺はあいつとは違うんだ!……)

たたたた

黒づくめの少年「報告いたします。魔族サキュバス、RX、スカイライダーの撃破を確認」

西の王「! よし、よしよし!! よくやった!! いけるぞ、残る魔族はあと何体だ!?」

黒づくめの男「あと一体だと思われます」

黒づくめの少女「最後の報告では、変化師様が担当なされている区画辺りかと」

西の王「ふむ、モンスターの大群もあるがここは残る魔族の討伐を優先させたほうがいいか……?」

黒づくめの少年「……なお払った代償ですが、テンテン様が半壊、秘書様包帯様が瀕死、槍兵様義足様が戦死なされました」

西の王「……なに?」

142

--西の王国、Aサイド--

びゅぉおおぉお

変化師「!! そ……そのすがたは……ま、まさか」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

槍兵の死体を抱えて移動しようとした変化師。その前に新たな魔族が現れる。
西の王国の進行を担当する、最後の魔族……。

ずしん、ずしん

変化師「う、うそだ」

ずしん、ずしん

フランケン「お、おで」

変化師「と、闘士おじさん!?」

143

--西の王国、Aサイド--

フランケン「へ、変化師か。おおきくなったな」

変化師「と、闘士おじさん……や、やっぱり闘士おじさんなんだね? し、死んだんじゃ……というかなんで、魔族に……」

フランケン「い、いろいろあった……」

変化師「い、いろいろ?……なんで……なんで闘士おじさんがひとをほろぼすがわにいったんだ!」

変化師はゆっくりと槍兵を地面に降ろす。

フランケン「い、いろいろあった」

変化師「い、いろいろなんてない!」

フランケン「……」

変化師「あ、あのやさしかった闘士おじさんは、たとえどんなじじょうがあったってそんなことするわけがないんだ!!」

フランケンの両手には、頭部をつぶされて死んだ兵士が握られている。

フランケン「へ、変化師」

144

--西の王国、Aサイド--

変化師「せ、せんのうされて魔族にされたのか」

フランケン「……ちがう」

変化師「む、むりやりちからづくで……」

フランケン「ちがう」

変化師「……」

変化師はうな垂れてしまう。

フランケン「へ、変化師」

フランケンはやさしい声で変化師に声をかける。

変化師「……」

フランケン「お、おまえもころさないといけない」

変化師「!?」

だんっ!!

145

--西の王国、Aサイド--

変化師に向かって走り出したフランケンは右手に持った死体を変化師めがけて投げつけた。

ぶんっ!!

変化師「!」

変化師がそれをかわした瞬間に、フランケンは左手の死体も投げた。

ぶんっ!!

変化師「っ!」

どがっ!!

変化師のスピードでは避けきれない。

フランケン「うおおおおおおおお!!」

体勢を崩されたところをフランケンの丸太のような右腕が襲う。

ぶおぉん!!

146

--西の王国、Aサイド--

変化師「し、身体変化、大蛇!」

にゅるん!

フランケン「!!」

変化師が体を蛇に変化させたことでフランケンのパンチは空振り。
変化師はそのままフランケンの体を締め付ける。

ぎりぎり!!

フランケン「う、うおおぉぉおお!!」

怪力の化け物であるフランケンの肉体が軋んでいる。

めきめきめき

変化師「お、おじさん!!」

フランケン「う、うおぉおおおお!!」

フランケンは変化師の体を掴み、力を込める。

147

--西の王国、Aサイド--

フランケンは力任せに変化師の体を引きちぎろうとする。

変化師「う、うぐっ!?」

みちっ

フランケン「ぬ、ぬおぉあああああああ!!」

みちみちみち!!

変化師「ぐああぁ!!」

ぶちぶちっ!

大蛇と化した変化師の皮が裂け始める。

変化師「し、身体変化、霧!!」

ぼふん!

フランケン「!! ふー、ふー……」

霧状になった変化師はフランケンから距離をとって、一箇所に集まった。

148

--西の王国、Aサイド--

変化師(ぶ、ぶつりこうげきでたおせるきがしない……へんかもじかんかせぎにしかつかえない……)

フランケン「おおお!!」

ずんっ!! ずんずんずんずん!!

フランケンはまたもや変化師に突進してくる。

変化師(もういちどだけためしてみる!)

フランケンの大振りの左ストレートを変化師は両腕でガードする。

ドオォオオオン!!

変化師「!?」

すると巨体の変化師の体が軽々と浮いた。

変化師「ごふっ!! ふ、ふせぎきれない!?」

どごおぉん!!

変化師は宙を飛んで民家に突っ込んだ。

149

--西の王国、Aサイド--

がらがら

変化師「ごほっ、げほっ」(が、ガードのうえからこのダメージ……おででこれなんだからほとんどのにんげんはいちげきで……)

フランケン「……」

ずしん、ずしん

変化師(いどうそくどはそれほどじゃないけれど、こうげきそくどはおそくない……かわすのもむずかしい)

ずしん、ずしん

変化師(……むだに魔力と体力を使ってたたかってもじりひんだ……なら)

ばがっ

変化師はがれきを押しのけてフランケンの眼前に立つ。

フランケン「……」

変化師「お、奥義、身体強化! 獣化、銀獅子!!」

フランケン「!?」

ブクッ!

変化師の身体が膨張していく。

150

--西の王国、Aサイド--

変化師『ぐる、る……』

オオオォォォオオ

フランケン「!!」

変化師は体長三十メートルはあろうかという化け物に変化した。

フランケン「……そ、その姿……なんでおでの」

フランケンは銀色の獅子になった変化師を見て驚く。

変化師『お、おじさんのさいご、きいたから』

フランケン「お、おでのさいご……? な、なんだそれ」

変化師(しんだときのことはおぼえてないのか?)

フランケン「な、ならこちらも」

フランケンは魔力を一気に放出する。

フランケン「お、奥義、身体強化! 獣化、獅子!!」

ガオアオオオオオオオオオオオオオ!!!!

体長三十メートルを超す巨大な獅子がもう一体出現する。

151

--西の王国、Aサイド--

変化師『ぐるるる』

フランケン『がぁおああ』

巨大な怪物が二体、西の王国の端で対峙している。

老兵「な、なんと……」

衛生兵「わ、我々は足手まといになるだけだ……」

周囲にいた兵達は怪物たちを見上げている。

変化師『ぐぁあああああ!!』

フランケン『ぎゃぁあああああ!!』

二人は咆哮し、お互いに向かって走り出す。

ずしんずしんずしん!!

変化師『』

フランケン『』

どごおおおんん!!

二人がぶつかり合った衝撃で町が崩れていく。

152

--西の王国、Aサイド--

変化師『う、うぅるるるる!! お、おでは!! おではおじさんをだおす!!』

どごおおぉおん!!

変化師の左拳がフランケンの腹を攻撃する。

フランケン『ぎゃはっ!!……や、やれるものならやってみろ!!』

ががぁあん!!

フランケンはお返しとばかりに変化師にヘッドバットをする。

変化師『ぎゃぁあああ!!』

額から出血し、体勢を崩したところをフランケンが突っ込んだ。

どごごごごごごごごごごごごごおおおん!!

タックルで変化師を西の王国の中心に運んでいくフランケン。

変化師(!! ひがいがふえてしまう!!)

ずがぁあああん!!

変化師は自分の左腕を地面に突き刺して強引に動きを止める。

153

--西の王国、Aサイド--

変化師『ぐうるるるるあぁあああ!!』

そして変化師は、右手でフランケンの首を掴んで絞める。

ぎりっ!!

フランケン『げっ!!』

力が緩んだのを見計らい、三度膝蹴り。

ドスドスドォスッ!!

フランケン『ごぶっ!!』

ズズーン!

体勢をたてなおすと、変化師はフランケンを押し倒して両足を掴む。

変化師『おおああああああああ!!』

ぶんっ!!

フランケン『!? な、なにをするつもりだ!!』

ぶんっ!! ぶんっ!! 

変化師はジャイアントスイングを始める。

老兵「こ、これがほんとのジャイアントスイングじゃ」

154

--西の王国、Aサイド--

ぶんぶんぶんぶんぶん!!!!

ごおおぉぉぉ!!

回転スピードが速くなっていき、地上への影響が甚大になってきたころ、

変化師『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!』

ぶんっ!!

フランケン『』

変化師は西の王国の外にフランケンを吹っ飛ばした。

ひゅるるるるるるる………………ズッズズズーーーーン!!

山の向こう側にまで吹っ飛ばした変化師は追撃を加えるために走った。

ずんっ、ずんっ、ずんっ!!

フランケン『ぐ……』

さすがのフランケンもダメージが大きいようですぐには立てない。

155

--西の王国、Aサイド--

ずんずんずんずん!!

変化師『ぐろおああああああ!!』

フランケン『がああああああ!!』

飛び込んでくる変化師を真正面から迎え撃つフランケン。

フランケン『ぐおおおお!!』

どごぉん!!

フランケンが殴り、

変化師『がぁああ!!』

どがぁあん!!

変化師が殴り返す。

どがぁん、ずがぁあん!!

まるで爆撃のような爆音が周辺に響き渡る。

156

--西の王国、Aサイド--

どごぉん、がおぉん!!

変化師『げひゅっ……ぐぁあああ!!』

両者とも顔面をひしゃげながら、血をながしながら殴りあう。

フランケン『がふっ……ふぬぁあああ!!』

がぉん、ずぐぁん、どがぁん!!

飛び散った血で森が赤と緑に染まる。

変化師『……!!』



--過去、王国--

ショタ変化師「と、闘士おにいちゃん。な、なんでそんなかっこしてるんだ? どっかいくのか?」

闘士「あ、あぁ変化師か。う、うん。きょうまちではりがみをみたんだ」

ショタ変化師「は、はりがみ?」

闘士「ゆ、ゆうしゃぼしゅうってはりがみだ」

157

--過去、王国--

闘士「お、おで、からだはでかいけど、こ、こころはよわむしだ……で、でもいつまでもこのままじゃいけないとおもうんだ」

ショタ変化師「お、おにいちゃんはよわむしじゃない、やさしいだけだ! いつだっておでをまもってくれるおでのヒーローなんだ!」

闘士「」

闘士は変化師が声を荒げたのを見てきょとんとしてしまう。

ショタ変化師「い、いじめだって……お、おにいちゃんのやさしさにつけこんでいじわるするまわりのやつらがいけないんだ!!」

闘士「……あ、ありがとう変化師。で、でもそれをさせちゃうのはやっぱりおでがよわいからなんだとおもう……」

闘士はやさしく変化師の頭をなでる。

闘士「で、でもかわりたいのはほんとうなんだ。こんなおででもちからになれることがあるなら……やってみたいっておもったんだ。しかくはいらない、どんなものでもひつようとする、って、あのはりがみにはかいてあったんだ」

ショタ変化師「……お、おにいちゃん……おでをおいて、どっかいっちゃうのか……?」

闘士「……だ、だいじょうぶ、すこしだけだ。かならずここにかえってくるから。そのときはきっと、たくましいおとこになって」

ショタ変化師「……」

闘士「な、なっ!」

ショタ変化師「……や、やくそくだからな!」

闘士「あぁ……やくそくだ」

158

--西の王国、Aサイド--

変化師(闘士おじさんはまおうをとうばつして、やくそくどおりたくましいおとこになってかえってきた!! でもけっきょくそのあとまぞくにつれていかれて、みごろしにされて、しんだ……)

フランケン『! か、かんがえごとをしているとしぬぞ!!』

どぎゃっ!!

不意をついたフランケンの一撃は変化師のあごを砕いてしまう。

ごぎゃぎゃぎゃっ!!

変化師『っ!!』

ゆらっ

ふらついた変化師に蹴りを放つフランケン、しかし変化師はそれをきっちりと防ぐ。

ばしぃん!! ずずぅん……

変化師(……それ、なのに……なんで……おじさんがまぞくになんてなってるんだ!!)

どごぉん!!

変化師は泣きながらフランケンを殴った。

159

--西の王国、Aサイド--

変化師『お、おでは西の王国三本角、変化師だッッ!! 人類の敵は、なんであろうと、倒すッッ!!』

どがぁあん!!

フランケン『』

変化師の一撃を受けるも、フランケンはなんとか倒れずに耐える。
そして、変化師の涙を見た。

変化師『うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』

変化師は爪を立ててフランケンの心臓めがけて突いた。

ぴくっ

フランケン『』

フランケンは一瞬対応しようとしたが、やめた。

ずぎゃしゃっ!!

160

--西の王国、Aサイド--

びしゃしゃしゃっ!!

変化師『……っ!!』

フランケン『……』

変化師の右腕は……フランケンの心臓を貫いていた。

びちゃっ

変化師『と、闘士……おじさん』

フランケン『……か、かいぶつをたおすには、銀が、いちばんだ……』

フランケンは銀色に輝く変化師の体を見てつぶやいた。

ぼろっ

そしてフランケンの体が崩れていく。

変化師『おじ、さん……』

フランケン『……変化師……強く、なったな』

変化師『!? おじさん!!』

ぼろぼろっ

フランケン『お、おでは……じぶんのよわさのせいで……ひとをまもるがわにいつづけられなかった……でもおまえは』

ぼろぼろぼろっ

フランケン『おまえは、ひとをまもりつづけるんだぞ』

変化師『!?』

フランケンはかつてのような笑顔で変化師に笑ってみせる。

変化師『お、おじさぁあああああん!!』

……ざぁあ

フランケンは砂のようになって消えた。

ぐあー、大魔王は大勇者のことですので1章に出てきた魔王のことですね。完全に言い間違いました。すみません。あのパーティはみんな大がつくのでつい……。

それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m

こんばんは!
遅れてすいません。それは投下していきたいと思います。

161

--ライン10--

射王「ちぃっ!!」

ひゅひゅひゅひゅん!!

血だらけになりながらも射王は弓を打ち続ける。

ダーク白猫亜人「ご、ふっ」

ぼろろろっ

これでもかと分割された白猫亜人は、静かに砂になっていく。

どす、どすどすどす!!

ダーク牧師「くはっ!! この戦力差でも……私はお前を倒せないんですかぁああ!!」



わーきゃー

どどどどどどど

元北の兵士「地鳴り!? ぞ、増援だと!?」

ダーク紳士「うぉっほん。さぁ皆さん、紳士らしく物量で攻めさせてもらいましょう」

かぽっかぽっ

モンスターを指揮する紳士が現れた。

162

--ライン10--

ダーク牧師「スキル、糸括り!!」

しゅるるっ!!

ダーク牧師が射王に向けて糸を放つ。

 が

射王「効果付与、切断!」

ドヒュッ!!
ぶちぶちぶちっ!

ダーク牧師「っ!?」

射王が放った矢は糸を全て切断して飛んでいく。

ひゅーん



わーきゃー

ダーク紳士「駄目ですぞ貴方達。紳士たるもの、もっとエレガントに人を殺さねば」

どす

ダーク紳士「……え?」

紳士はまたしても流れ弾に当たり、

ずばしゃぁああ!!

ダーク紳士「うえぇえええ!?」

縦に真っ二つに切断されて死亡する。

163

--ライン10--

射王「スキル、死者殺しの矢」

おおぉぉおん

ダーク牧師「! そのスキルは……死者、もしくは死んでいた時間の累積時間が長ければ長いほど高威力になる攻撃スキル……」

射王「戦ってて思ったんだけど、やっぱお前……死んでたよな。なら、これ効くだろ」

ダーク牧師「!! させませ」

どひゅっ、どすっ

ダーク牧師「」





ぼろっ

164

--ライン10--

ぼろ、ぼろっ

射王「……」

ダーク牧師「……くっ……二度も……あなたに殺されるとはね……ふふっ」

射王「はぁ……化けて出てくるほど心配だったのか? 心配しなくてもあいつは元気にやってるよ。この間五柱になったみたいだし」

ダーク牧師「……だれがあんな、猫の、こ、とな、ど」

ぼろっ……

射王「……素直じゃないね」

どさっ

射王は仰向けになって地面に倒れこむ。

射王「……あー……くそったれ。俺一人で魔族二体とかむちゃくちゃだろう……十代目は何してんだよ」

どく、どくっ

射王は出血している腹を押さえている。

165

--ライン10、Bサイド--

十代目勇者「はっ、はっ……」

ウェンディゴ「……まじか。魔族三人も連れてきたのに負けちゃうのかよ」

十代目勇者パーティとウェンディゴが対峙している。
ウェンディゴは遠い場所での戦闘結果を把握しているようだ。

鎧使い「い、いい加減あんたも降参しなさいよ!」

戦士「俺達最前線の力は伊達じゃない、うすっ!」

僧侶「きゃははは! きゃはははは!」

忍「……」

ウェンディゴ「しっかたないなぁ……これからのためにも節約しておきたかったんだけど」

とっ

十代目勇者「その余裕が命取りだ」

十代目勇者は一瞬で距離をつめ、ウェンディゴに切りかかる。

166

--ライン10、Bサイド--

フォンッ、フォン、フォン!!

ウェンディゴ「おっとこえぇ!」

芸術の域にまで達する見事な十代目の斬撃。それをウェンディゴは紙一重で避けていく。

ひゅひゅひゅひゅ!!

ウェンディゴ(手本のような剣技だな、勇者もすごかったけど、こいつはそれよりもすごい)

鎧使い「十代目! どいて!!」

十代目勇者「!」

ウェンディゴ「!」

鎧使い「装着、白銀の鎧!!」

鎧使いが身に着けている鎧が、みるみるうちに装飾のついた白銀の鎧に変わっていく。

ウェンディゴ「……」

167

--ライン10、Bサイド--

びびびびびびびっ!

鎧使い「はぁあっ!! 魔をうち祓う、白銀ビーーーームッ!!」

十代目「」

ばっ

ビームが発射される直前に十代目はその場から離れた。

ウェンディゴ(結構威力高そうだな、じゃあ俺も逃げ)

ぎしっ

ウェンディゴ「!?」

ウェンディゴも続いて避けようとしたのだが、いつのまにか右足に小さな魔方陣がかかっている。

ウェンディゴ(移動速度、低下魔法……いつつけたんだよ)

キュンッ、ドガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!

168

--ライン10、Bサイド--

僧侶「きゃははは! 直撃直撃ィ!!」

しゅぅう……

鎧使い「はっ、はっ、はっ……」

しゅぅうぅ……

戦士「……やったか?」

鎧使い「その台詞言うのやめてくれる!?」

うぉん

忍「! みんな避けて!!」

十代目「!!」

きゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅ!!!!

煙の中から、ビームが雨あられと飛んでくる。

ずがががががががががが、どぉおおおおおん!!

169

--ライン10、Bサイド--

どぉん!

鎧使い「きゃぁ!!」

どぉん!

戦士「ぐはぁ!!」

どぉん!

僧侶「きゃはっ!」

どぉん!

忍「ぐっ!」

どぉん!

十代目「ッ……!」

しゅぅうぅ……

問答無用の全体攻撃。
そして煙の中からウェンディゴの声がする。

ウェンディゴ「空間設置魔法罠、ディフェンスタイプ」

170

--ライン10、Bサイド--

十代目「ビームを跳ね返したのか……」

鎧使い「くっ……」

ざっ

僧侶「きゃはは! 戦士いくよ!」

戦士「うすっ! 挟み撃ちだ!!」

だっ!

体勢を立て直した二人が煙の中に突撃していく。

十代目「! 馬鹿っよせ!」

僧侶「きゃはは! 風属性範囲殲滅攻撃魔法、レベル4!!」

ビュオオオオオオ!!

刃のような突風が煙を吹き飛ばす。

171

--ライン10、Bサイド--

どひゅぅう……

煙が無くなり、そこには、

僧侶「!? い、いない!?」

あるべきはずのウェンディゴの姿がどこにもない……。

戦士「!?」

どしゃっ!!

そして突然戦士の胸部が破裂する。

戦士「なっ!?」

びゅぅん

ウェンディゴ「スキル、インビジボゥ」

ウェンディゴの透明な腕が戦士の胸部を貫いていた。

がしっ!

ウェンディゴ「へっ?」

戦士「がはっ……つか、まえたぜ!!!!」

172

--ライン10、Bサイド--

戦士はウェンディゴの腕をしっかりと掴んでいる。

ぎりぎりぎり

ウェンディゴ「お、おい放せよ!」

十代目「ッ!!」

ざざざざ

それを見て十代目も走り出した。

鎧使い「わ、私も、あたっ!」

鎧使いは足にダメージを負っていて動けない。

十代目(いい作戦ではなかったが、せっかくのチャンスだ!)

ざざざざざ!!

戦士「ごふっ、今だ僧侶、やれ!!」

僧侶「……おっけぇい!! くらえぇ奥義!!」

ぎゅぃん!!

僧侶は残る全ての魔力を掌に集めた。

ばちばちばちぃ!!

ウェンディゴ「風属性対単体攻撃魔法、レベル4」

僧侶「!?」

奥義を放つ体制に入った僧侶に、ウェンディゴは強力な風魔法を放つ。

びゅおおおおおおおおおおおおおお!!

173

--ライン10、Bサイド--

僧侶(私より発生が速い!!)

忍「!」

シャシャシャシャシャシャ! ばっ!!

高速で走っていた忍は、ウェンディ後の魔法が到達する前に、僧侶を抱えて逃げることに成功する。

ウェンディゴ「うお、避けられた!」

十代目「……終わりだ、魔族!!」

ぎゅぃぃん!!

十代目の剣に魔力が込められていく。六色に輝くそれは……

ウェンディゴ「……」

十代目「っ」

ぴたっ

絶好のチャンスにも関わらず、十代目は攻撃をやめてしまった。

174

--ライン10、Bサイド--

ぴちゃ、ぴちゃ

戦士「ぐはっ、な、なぜだ? なぜ攻撃をやめた!!」

十代目「……」

ウェンディゴ「あれおっかしいなぁ」

十代目の耳はぴくぴくと動いている。

十代目「……罠か」

戦士「!!」

ウェンディゴ「うわ、ばれてるしぃ! って、そうか。あんた猫亜人三大稀少種の一人だもんな」

十代目「……」

物と会話することが出来る、雪のような純白、白雪。
どんな生物とでも意思疎通を可能とする、燃える鮮紅、紅蓮。

ウェンディゴ「そして、自然と対話する『蒼天』」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

ウェンディゴ「俺が設置した罠なんて、自然が勝手に教えちまうのか」

175

--ライン10、Bサイド--

大地「十代目、地面に魔法罠が敷いてあるよ」

風「十代目ェ、左の空中にもおいてあるぜェ」

ウェンディゴ「……」

十代目(せっかく捕らえたというのにこれでは……)

ぴちゃ、ぴちゃ

戦士「がっ……」

ウェンディゴ「はぁ……この空間設置魔法はさぁ、覚えたはいいんだけど、生前は一回しか使えなかったんだよ。魔力の燃費がめちゃくちゃ悪くて、魔力バックアップ無しには使えない超欠陥魔法だからさー」

十代目「……」

ウェンディゴ「だからその点では魔族になってよかったよ、魔力の総量がばかみたいに増えたからな。せっかく覚えたスキルを使えないのって、悲しいもんなー」

十代目(何を話しだした……? 時間稼ぎか? だが時間稼ぎをして困るのはそっちのほうじゃないのか?)

ぶぅん……

魔法罠はじょじょに壊れかけていく。

176

--ライン10、Bサイド--

ぴちゃ、ぴちゃっ

十代目(罠の維持に魔力はかかるし、罠自体の寿命もある。待っていれば自然に罠は……)「はっ!!」

十代目はあることに気づく。

ウェンディゴ「! 嘘だろ? さっしがいいなぁ、人類の英雄様は!」

ぶん!

ウェンディゴは戦士を空中に放り投げる。

僧侶「!? あのむきむき戦士がしっかりと掴んでいたのに!?」

戦士「」

忍「ッ、すでに死んでる……」

鎧使い「!!」

十代目「みんなガードしろ!!」

鎧使い「え?」

177

--ライン10、Bサイド--

ウェンディゴ「よっ」

ぼすっ

ウェンディゴが戦士の死体を蹴ると、

カッ!!

どぉおおおぉぉおおんん!!

戦士の死体が爆発した。

十代目「ッ!!」

鎧使い「きゃあぁああ!!」

忍「ッ!」

僧侶「んんんっ!!」

ごごごごごごご……

178

--ライン10、Bサイド--

十代目(魔族め……時間稼ぎ中に静かに戦士を殺し、罠に……改造しやがった……)

びちゃびちゃびちゃ

飛び散る臓物。

ひゅっ

忍「!? ぎゃっ!」

僧侶「ひぐっ!!」

ざざざざざ!!

舞い上がった粉塵の中をウェンディゴは走り、勇者パーティの二人を一瞬で始末した。

十代目(自然よ、位置を!……く、爆発音で耳が)

鎧使い「じゅ、十代目!!」

ざざざざざ!!

死角から十代目に迫るウェンディゴのことを伝えようと鎧使いが叫ぶ。
だが十代目には聞こえない。

ウェンディゴ「もらった!」

どひゅっ!!

179

--ライン10、Bサイド--

ぎぃん!!

十代目「」

ウェンディゴ「うそぉ!?」

しかし、それでも十代目は攻撃を防ぐ。

ウェンディゴ(風の流れを肌で感じたとかそういうの? ……あーあ、これだから勇者ってやつはチートなんだよ……)

ひゅっ

ウェンディゴはそのまま走る方向を変える。向かう先は……

鎧使い「!!」

十代目「!? しまった!!」

ざざざざざっ!!

ウェンディゴのスピードにはさすがの十代目も追いつけない。

鎧使い「こ、来い魔族めっ!!」

鎧使いはなんとか立ち上がり迎撃体勢を取った。

ウェンディゴ「スキル、インビジボゥ」

びゅぅん

ウェンディゴは鎧使いの目の前から姿を消した。

180

--ライン10、Bサイド--

鎧使い「消えた!? くそっ! スキル、全方位ガード!!」

ぎぃん!!

十代目(駄目だ! あれは全方位からの攻撃に対応できるが、軽減できるダメージはそこまで高くない!)

ズガッ!!

鎧使い「」

ウェンディゴは姿を隠したにも関わらず、そのまま真正面から突っ込んだ。

ぶしゅっ

鉄のような爪で、鎧のわずかな隙間をこじ開けて、柔らかい中の肉を切り裂いた。

ごぼぁっ!!

鎧の隙間から大量の血が流れ出る。

どくどくどくどくどく……

十代目「」

どしゃっ

ウェンディゴ「……これで後はあんただけだぜ、勇者さ」

十代目「」

どがあぁあああああぁああああん!!

ウェンディゴ「まっ!? じ、地震!?」

ごごごごごごっごごごごご

ウェンディゴ「……そうか、蒼天の力か……自然と対話して操ることも可能なのか……」

ざっ

ウェンディゴ「……こえー顔だぁ、勘弁してくれないかなぁ」

十代目「ウェンディゴ……貴様を殺す!!」

それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m

こんばんは! またもや遅くなってしまいました。


描写していなかったと思いますが、ウェンディゴも盗賊と同じく隻眼です。
それでは投下していきます!

181

--ライン10、Bサイド--

ゴゴゴゴゴゴ……

十代目「……」

ウェンディゴ「……」

大地が揺れている中、二人は静かに睨みあっている。

ウェンディゴ(ひー。強力な魔力だ……こんなの人が持てる魔力の量じゃねぇーし……)

びりびりびり!!

十代目「……いくぞ」

ドンッ!!
ボゴォッ!!

十代目が踏み込むとそのパワーで大地が崩壊する。が、すぐさま石が寄り集まって十代目に堅固な足場を提供する。

182

--ライン10、Bサイド--

ひゅん!

ウェンディゴ(はやっ!?)

ヂっ!!

スピードに自信を持つウェンディゴでさえ、十代目の攻撃を辛うじて避けるのが精一杯だった。

ウェンディゴ(俺のアイデンティティー涙目!)

ぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぃ!!

十代目「はぁああぁ!!」

ブレーキをかけ、再び飛んでくる十代目。

ウェンディゴ(でもまだなんとかなるか、なっ!)「風属性範囲攻撃魔法レベル4!!」

びゅおおおおお!!

荒れ狂う強力な竜巻がウェンディゴの掌から放たれる。

ぼっ

ウェンディゴ「!?」

しかし十代目は、それをあっさりと突破する。

183

--ライン10、Bサイド--

どしゃあぁあ!!

ウェンディゴ「ぐあぁっ!?」

そして豆腐でも切るかのようにウェンディゴの左腕を切断した。

ずざざー!!

十代目(いける! だが奴に逃げられないためにも、ここはダメ押しだ!)

十代目は右足で大地に陣を描く。

キィィィイン!!

ウェンディゴ「づっ!! 魔法陣か!!」

十代目「供給要請、ステータス一段階上昇!」

ドンッ!!

十代目の魔力は更に増大する。

184

--ライン10、Bサイド--

バチッ!! バチバチッ!!!!

ウェンディゴ「ひ、ひぃ~……魔族超えてるだろそれ……」

十代目(ぐっ……魔力の不可で全身が千切れそうだ……!! さっさと……ケリを付ける!!)

ドンッッッッ!!!!

ウェンディゴ「」

まるで時を止めてワープしてきたかのような十代目の攻撃に、さすがのウェンディゴも反応できず、

ズガシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!

ウェンディゴ「ぐはぁああああああ!!」

斬撃をもろに食らってしまう。

十代目「!」

ウェンディゴ「しょ、衝撃波でこれかよ……空間設置魔法罠、ディフェンスタイプ」

ぶぅん

しかし無傷。不可視の状態でウェンディゴの周りに浮いていた魔力の盾が自動で護ったのだ。

185

--ライン10、Bサイド--

十代目(! 今の私の斬撃を防いだだと?)

ウェンディゴ「この盾は敗れないさ。なんせ相手の攻撃力依存の防御力を発揮するんだからな」

十代目「……ならば」

ひゅん、ひゅっ、ひゅっ、ひゅひゅひゅひゅひゅひゅひゅッッ!!!!

十代目は空中を蹴った勢いで、高速移動を繰り返す。

ひゅひゅひゅひゅひゅ!!

ウェンディゴ「うおッ!? スキル、透視眼!」

ぎぃん!

スキル使用と同時にウェンディゴの左の眼窩が光る。

ひゅひゅひゅひゅひゅ!!

ウェンディゴ(眼でも追いきれないスピードだ……でも一応映像として映ってはいる……)

ウェンディゴの透視眼は、十代目の唯一の弱点である心臓を見つける。それはあまりに速く移動しているため赤い線のように見えた。

186

--ライン10、Bサイド--

ひゅひゅひゅひゅひゅ!!

ウェンディゴ(透視眼は弱点しか見えない……景色とかその他もろもろの情報でごまかされなければ、かろうじてやつの動きの軌道を読める!)

十代目「……」

ふぉっ
ぎぃんんんん!!

死角からウェンディゴを切りつける十代目。

ウェンディゴ「ぐっ!! 残念、そっちにも張っといたんだなトラップ!」

しかしその刃は魔法罠に防がれてウェンディゴまで届かなかった。

十代目「……」

ぎぃん、ぎぃん、ぎぃんぎぃんぎぃんぎぃぎぃぎぃぎぃぎぃいぃぃぃぃぃんんんっっ!!

全方向から斬りつける十代目。あまりの速度に残像が無数に出現し、ウェンディゴは完全に的を絞れていない。

ウェンディゴ(!? これじゃ動きを読むとか無理!?)

十代目(こいつ、いつの間にこれほどの数の罠を……構うものか、このまま圧殺する!)

ぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぃぃん!!

187

--ライン10、Bサイド--

ぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん!!

最後の一撃を振り上げに切り替えた十代目。ウェンディゴは空高く弾き飛ばされる。

ウェンディゴ(ぐはッ!……衝撃波だけでこのダメージかよ……笑え、ねぇ!)

ごごごごごごご

ウェンディゴ「!?」

ウェンディゴはぎょっとする。そしてありえないものを見るような眼で地上を見た。

ごごごごごごごご

ウェンディゴ「……うそぉ」

地上にいる十代目の魔力が、更に増大していく……。

十代目「供給要請、ステータス三段階上昇ッ!!」

ギョンッッッッッ!!!!!!

ウェンディゴ「ばっ、化け物だ……こんな魔力、魔王すら……」

魔力の密度が濃すぎるあまり、十代目の周囲は光すら到達出来ない小型のブラックホールと化している。

ごごごごごごごごご

十代目「ぎっ、ぎぎ!!」

188

--ライン10、Bサイド--

びちっ、ぶしっ!!

あまりの負荷に十代目の体はがくがくと振るえ、体中に切れ目が入っていく。

十代目(本当、はッ、こんな、ところ、で、つかい、たく、なかった、がッ!!)

十代目は魔力を剣に集め始める。

十代目(た、ためして、おくのもッ、悪く、は、ないっ、かッ!!)

ギィィィギギィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイィイイイイイイイイイイイイン!!!!

ウェンディゴ「う、嘘だろ? あんなもん人に向かって撃つ気なのか……!?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

ウェンディゴの透視眼に映るものは、無い。つまりそれは、今の十代目に弱点など無いということ。

十代目「……」

圧縮に圧縮を重ね、周囲の魔力を全て剣に集約したことで、ようやく十代目の姿が目視で確認できるようになる。

189

--ライン10、Bサイド--

ウェンディゴ「! くそったれっ! 空間設置魔法罠、ディフェンスタイプ、3!!」

ぎゅいんぎゅいんぎゅぃーん!

ウェンディゴは鉄壁の魔法罠を三段重ねで設置した。攻撃力依存の力を持つディフェンスタイプなら、たとえどんな攻撃であろうとも耐え切るはずなのだ。
……それなのにウェンディゴは、この三つでも足りないと直感する。

十代目「……奥義」

ぼそりと呟く十代目の声が遠く離れたウェンディゴの耳に届くほど、世界は無音になっていた……。

ウェンディゴ(来るッ!!)

ざっ





十代目「勇者ぁあバスタァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

きらんっ
ドギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

190

--ライン10、Bサイド--

ぅぅぅぅぅぅぅううううううううううううう!!!!!!

ウェンディゴ「ッッ」

ウェンディゴに向かって放たれたのは眼もくらむような銀色の閃光。

ドォン、ドォン、ドォギャアアアアンン!!

ウェンディゴ「ぎゃっ!!」

二つの盾はあっさりと破壊されてしまい、最後の三つ目の盾が悲鳴をあげている。

ウェンディゴ「ぐおおおおおおぉぉっ!!」

ドギャアァアアアアアアアアアア!!

ウェンディゴ(いっ、一切軽減されていない? なんでだ!? こんなの、こんなっ!!)

ばき、ばきばきばき!!

無常にも、最後の盾にひびが入っていく。

ギギギギギギギギ、バギィン

ウェンディゴ「」

ッドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッ!!!!


ォォオオオォォォンンンン…………

十代目「……」

ぱらぱら……

191

--ライン10、Bサイド--

ぅぅぅんんん……

極大のビームはそのまま天へと昇る。それを放った十代目は全身から血を垂れ流し、息を荒げて膝をつく。

がくっ

十代目「はぁっ! はぁっ! んくっ! はっ!!」

ぼたぼたたっ

十代目「ぐ……通常威力でもいけたな……魔王軍の偵察がこれを見ていなきゃいいんだが」

空を見上げると、雲がドーナッツのようになっている。

ぼたっ

十代目「……」

……冷静になった十代目はある疑問を持った。

しゅぅぅうぅ……

十代目「……」

それは、少し前の攻防のこと。

192

--ライン10、Bサイド--

十代目「そういえば、やつの罠は……攻撃を跳ね返すのではなかったか?」

鎧使いのビームをウェンディゴは跳ね返していた。それは紛れも無い事実である。あの時跳ね返された魔力は確かに鎧使いのものだった。

十代目「だが私の攻撃は一度も跳ね返ってきていない……跳ね返せるものは限定されているのか? それとも跳ね返した手段は別の……」

ぶわっ!!

十代目「!!」

空を漂う煙が全て吹き飛んだ。そしてその中心には……

ばち、ばちばちばちっ!!

十代目「ば、かな……」

ウェンディゴ「へ、へへ……」

血まみれのウェンディゴが浮いていた。そして、右腕が異常なまでに肥大化している。

193

--ライン10、Bサイド--

ぶしゅっ、どばぁ!!

ウェンディゴ「す、スキル、盗む!!」

十代目「!! 私の奥義を……魔力を盗んだのか!?」

ぶしゅっ!!

ウェンディゴ「がっ!! い、一部だけどな……俺に当たりそうな部分だけ……」

そう言ってウェンディゴは右腕を振りかぶる。

十代目(ぐっ! 放つ気か!? 今の私ではあれは!!)

ウェンディゴ「あんたの魔力だ、返すぜ!! ッぐっ!!」

どばしゃぁあああっ!!

しかしウェンディゴの右腕はその前に爆発してしまう。

びちゃっぼたっ……

ウェンディゴ「……ちぇ。耐え切れなかったか……まぁいいさ、目的は十分果たせただろ」

しゅたっ

ウェンディゴは地上に降り立った。

十代目「ぐ! 待て!!」

194

--ライン10、Bサイド--

ウェンディゴ「おいおい勘弁してくれって、あんたももうきついだろ? ここは引き分けにしておこうぜ」

十代目「仲間を殺されておいて、引き分けなどあるものか!!」

しかし十代目は前に進むことができないほど疲弊していた。

ウェンディゴ「……わりぃな、行かしてもらうわ……俺はもう二度とあいつを裏切れないんだ」

十代目「ッ」

ざっ

ウェンディゴは十代目に背を向ける。

ウェンディゴ「……そうだ、あんた達ここが最前線とかどうとか言ってたけどさ」

十代目「……?」

ウェンディゴ「ちげぇよ? 魔王はもう抜けて行っちまってるぞ」

十代目「!?」

ウェンディゴ「魔王を進行させないためのライン。結界。あんたは精霊に力を借りて奮闘し、ライン13から9まで押し上げた……。だがその力は精霊によって維持されて来たんだ。もし今精霊の数が足りてないんなら……わかるだろ?」

十代目勇者「!! くそッ!!」

ウェンディゴ「……っじゃ」

しゃっ

ウェンディゴは姿を消した。

195

--東の王国--

剣豪「てめぇ……」

ぽたっ、ぽたたっ

東の王「おう剣豪。遅かったな」

血だらけの剣豪は城の最上階にいる東の王の元にたどり着いた。

剣豪「これは一体、どういうことだよ……! なんで兵士が魔族と一緒に行動してやがる!!」

東の王「……見ての通りだが?」

東の王は窓の外から剣豪に視線を移す。

剣豪「……いつからだ。いつからお前は魔王軍に魂を売った」

東の王「売ったわけじゃあない。取引相手になっただけだ……そうだな。大体20年前か」

剣豪「ッ!……それほど前からやっていたことに俺は気づけなかったのか」

東の王「……特にお前の前では意識していたからな」

196

--東の王国--

剣豪「西の女王がお前を殺そうとしていた、って噂も」

東の王「あぁ、本当のことだ。だから先に魔族にリークした……結果は知っているな?」

剣豪「……なぜだ。一体何がお前を堕とした!!」

東の王「……俺は堕ちてなんかいない」

そう言うと、東の王は静かに右腕を上げた。

ぎぃん!

剣豪「!!」

びゅぅう!!

どがぁああああん!!

東の王の右腕の紋章が光り、レーザーが発射される。

剣豪「ちぃ!!」

剣豪はそれを回避し、そのまま東の王に詰め寄った。

ざざざざざ!!

197

--東の王国--

剣豪「あぁあああ!!」

東の王「っ」

東の王の左腕の紋章が光ると、今度は魔方陣が空中に出現し、

がぎぃいん!!

剣豪の刀を遮った。

ぎりぎりぎりぎり!!

東の王「……お前も老いたな。剣豪。なんて太刀筋だ」

びゅぅん!!

至近距離から放たれるレーザー、剣豪は身をひねって回避しようとするが、

どばしゃっ!!

剣豪「ッッッ!!」

完全に避けることはできず、脇腹を貫かれてしまう。

198

--東の王国--

剣豪「がはっ!!」

じゅじゅじゅぅ……

東の王「歳を食うにつれ、肉体系より魔法系の方が有利になっていく……これは仕方の無いことだな。見る影もない」

剣豪「うるっせぇ……」

剣豪は立ち上がれない。

剣豪「はぁ、はぁ……立派な、どこの国にも負けない凄い国を作るんじゃなかったのかよ……」

東の王「……」

剣豪「俺は……それだからお前に付いて来たんだぜ……?」

東の王「……そうだ。どこの国にも負けない凄い国を作る。その信念を曲げたことなど一度も無い」

剣豪「ふざけ、んな」

がくがく

剣豪は刀を杖代わりに立ち上がる。

剣豪「魔族に尻尾振った王が治める国の、どこがすげぇんだよ!!」

199

--東の王国--

東の王「……剣豪、お前は治める者がどんなものなのかわかっていない」

剣豪「なんだと……?」

東の王「この戦いは、いずれ魔王側が勝つ」

剣豪「!?」

東の王「そういう風になっているんだ。どうしようもない戦力差……軍備を強化し続けてもこれだ……かといって兵器に頼ればリセットされてしまうしな」

剣豪「? 何を言ってやがる?」

東の王「もう何をやっても勝てはしない……大勇者に大剣士に大盗賊に大魔法使いに大賢者……あの五人でさえ……駄目だったんだぞ……」

東の王の右腕が震えている。

剣豪「……それが原因か……俺達のヒーローの……あの様を見てお前は……」

東の王「あぁ……どうせ何をやっても適わないのなら、軍門に下ったほうがいい。そうすれば少なくとも、国民は生きていける」

剣豪「……」

東の王「……」

剣豪「……悪いが、俺は若いのに結構期待している」

200

--東の王国--

東の王「……なに? 今なんて言った?」

剣豪「……まぁ、正直たりてねぇと思うところはいっぱいあるぜ、技術だけじゃねぇ意識の問題だ。俺達の世代なら常識的にやってきたことを、あいつらはできねぇ。そしてできねぇことをなんとも思ってねぇんだ」

東の王「……」

剣豪「大事だと思うものが俺達とずれてやがる。それは無性に腹の立つこともあるけどよ……でも変わりにあいつらしかできねぇもんもある……」

東の王「……」

剣豪「そういうのを見せられた時、今の若いのなら、もしかしたらなんとかしてくれるんじゃねぇかって思っちまうんだ」

東の王「……馬鹿め……魔王に敵うものか……! やつらに敵うものか!!」

剣豪「今の若いのが無理でもいいんだ。次の世代じゃ駄目でも、またその次の世代。それでも駄目ならそのまた次の世代で……そうやって繰り返していけば、いつか解決出来る日がやってくる……かもしれねぇ」

東の王「……それまで人類が存続しているとでも思っているのか」

剣豪「絶対に存続してないってわけでもねぇだろ」

剣豪はにやりと笑って懐から小さな短剣を取り出した。

剣豪「人間はそうやって次に託していくもんだろ? お前が大勇者に託されたように」

東の王「ッ!」

剣豪「だっつうのによぉ……勝手に一人で諦めて、人類の未来決めてんじゃねーぞ!!」

ぐさっ!!

東の王「ッ!!」

盾をすり抜けて、ナイフは東の王の胸に刺さる。

じわ

東の王「そう、か……そういえば……俺のキングキラーは……お前に渡していたな」

それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m


ブログのほうにちょっぴりなんかあります。時間がありましたらよろしくお願いします。

こんばんは! それでは続きを投下していきます!

201

--東の王国--

魔剣使い「ぐっ……」

カトブレパス「たった一人でよくがんばった方だとは思います。でも、もうやめたほうがいいですよ」

魔剣使いはカトブレパスと対峙している。そして、魔剣使いを取り囲むようにして東の兵たちが武器を構えている。

ざざっ

魔剣使い「お前ら……一体、いつから……わが国は!」

カトブレパス「……さぁ、僕が東の王国の担当になったのは最近のことですから詳しくはわかりません」

ざっ

魔剣使いににじり寄る兵士達。

魔剣使い「……っくそ」

びゅぅん

兵士「! 消えた!」

カトブレパス「……もう一人ではどうしようもないと考えて逃げたのでしょう、彼は追わなくていいですよ。我々がやることは他にもたくさんありますから」

202

--東の王国--

ワーウルフ「」

通信師「はぁ、はぁ、はぁ……」

符術師「……見たか、俺達なら魔族の一体くらい、どうってことねぇ……!」

ざわっ

東の王国騎士「……うっ」

騎士達は砂になって消えていくワーウルフを見て後ずさる。

符術師(つっても、三人も死ぬはめになるとは思わなかったが……)

符術師の後ろには侍、医師、賭博師の死体が。

通信師(相変わらず男子は情けないですね……)

ばちばちっ

通信師は雷属性による蘇生を開始しようとする。

203

--東の王国--

ざっ

?「どうなりましたか?」

東の王国騎士「あっ!? ちょ、丁度いいところにおいでくださいました! 我々ではもうどうしていいのか……」

ざわざわ

突然の来訪に騎士達がどよめき始める。

符術師(なんだ、新手か? まさかまた魔族だなんて言うんじゃ、ない……)

ざっ

符術師「……嘘……」

ざっざっ

ざっ

?改めダーク先生「やぁ、久しぶり。随分とまぁ大きくなったね」

符術師「せ、先生!?」

通信師「う、嘘です……!」

ダーク先生「嘘じゃないさ、本人だよ」

やさしく微笑む先生。その笑顔は間違えることなく本人のもの。

204

--東の王国--

だが、触手を生やしたその異形の姿。それは紛れも無く魔族である証……。

符術師「せ、先生……貴方まで……そちら側に行ってしまったんですか……」

ダーク先生「ごめん、でもわけがあるんだよ……まいったな、随分久しぶりだというのに言葉がでてこないや」

通信師「……」

ダーク先生「それじゃあ……ひとまず彼らを城に運んであげよう。蘇生をしないといけないからね」

通信師「! 蘇生……?」

上級騎士「よ、よろしいのですか?」

ダーク先生「うん。ワーウルフさんは君たちを危険因子と判断していたようだけど、僕はそうは思わない。今も昔も変わらず大事な生徒達だ」

符術師「……」

通信師(ど、どうしますか符術師……)

符術師(わかんねぇ……わかんねぇけど、どのみちこのままじゃ全滅するのは目に見えてるんだ……)

ざっ

ダーク先生「?」

符術師「付いて行ったら……全部話してくれますか?」

ダーク先生「……あぁ、私に答えられることならね」

そういってにこりと笑う。

205

--東の王国--

かつんかつんかつん

カトブレパス「あちゃー……」

玉座の間についたカトブレパスは、その部屋の惨状を見て大体を理解する。

剣豪「……ち、魔剣使いでも駄目だったか」

カトブレパス「あぁ、あの子だったら逃げ出しましたよ」

剣豪「……そうか」

東の王の死体の前で剣豪は座っていた。
剣豪は再び刀を握ると、ふらふらと立ち上がる。

剣豪「なら、俺が倒さなくちゃなんねぇな」

カトブレパス「剣豪様。言いづらいことですが、あなたが万全の状態だとしても、僕を倒すことはできませんよ」

剣豪「……言いづらいなら……言うんじゃねぇえ!!」

ダッ!!

走り出す剣豪。

カトブレパス「……」

バンッ!!

剣豪「」

だが……すぐさま頭部を吹き飛ばされてしまう。

カトブレパス「……東の王国掌握完了、ですね」

206

--南の王国--

ひゅおおおぉぉぉおおおお

死体が横たわる町をモンスター達が歩いている。

デカキリン「きゅえぇーー」

ずしん、ずしん


南の王国も、東の王国とほぼ同じ時間に……

ダーク亜人王「……南の王国、掌握完了」

南の王「」

虎男「」

狐男「」

犬娘「」

魔王軍の手によって陥落していた。

207

--王国、Aサイド--

ダーク絵師「ぎゃはは!! そぉーれっ!!」

ダーク絵師が空中に槍を描くと、それは増殖していき、

ずずずずず

中央兵士「!! 空が、槍で埋め尽くされている!?」

ダーク絵師「いっけーぎゃはぁ!!」

ひゅうううぅうううぅううぅううう!!

国全体に雨のように降り注ぐ槍。

ひゅうううドスドスドスス!!

中央市民「ぎゃああああああああ!!」

中央女性「いぎっ!!」

中央男性「ぐあぁっ!?」

わーきゃー!!

どしゅっどぼっどずずっ!!

208

--王国、Aサイド--

フォーゼ「っざっけてんじゃねぇーこるぁっ!!」

ダーク絵師「!」

教会の天辺にいる絵師に向かってフォーゼは跳躍する。

どひゅん!!

そしてフォーゼは右拳を絵師にたたき付けた。

フォーゼ「どるぁっ!!」

ゴンッ!!

ダーク絵師「ぎゃはは!! きたな脳筋!」

フォーゼ「!?」

フォーゼの拳は、いつ描いたのかもわからない盾によって防がれている。

びきっ

209

--王国、Aサイド--

ダーク絵師「……?」

びきびきびき

徐々に盾にひびが入っていく。

フォーゼ「この程度で俺の拳が止められるとでも思ってんのかぁ……?」

びきびきびき、どがぁあん!!

ダーク絵師「げぶっ!?」

盾を破壊し、そのまま絵師の顔面を殴りぬくフォーゼ。

ひゅんっ、どがぁあん!!

その勢いのままダーク絵師は民家に突っ込んでいった。

フォーゼ「おい軍師ぃ! このまま決める、許可をくれぇい!!」

フォーゼは城に向かって大声で叫ぶと、軍師が城の窓から現れて手をふった。

軍師「魔殺モード、発動!!」

ぎゅりり

210

--王国、Aサイド--

ダーク絵師「!」

しゅぅぅううう

フォーゼ「……ふぅ」

全身を真っ赤に発光させているフォーゼ。それを見た絵師は危機感を覚える。

ダーク絵師「そいつは……私を殴り殺したやつぎゃはね?」

がらがらがら

ダーク絵師はがれきを跳ね除けて立ち上がる。
が、

どがぁっ!!

ダーク絵師「えっ」

絵師が構える間もなくフォーゼが飛び込んできて、絵師の腹部を強打した。

ダーク絵師「がっ、はっ!!」

ドガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!!

空中に浮かせてからの連打。絵師は逃げることも防ぐことも出来ない。

ダーク絵師(な、い、いくら、なんでも、ご、これは、おかしい)

211

--王国、Aサイド--

フォーゼ「おらおらおらおらおらおらぁあ!!」

どがががっ!!

ダーク絵師「ぐふぅ!?」

屋根を突き抜けた二人、フォーゼは踵落としで更に追撃を加えた。

どっがぁああああん!!

ダーク絵師(確かに、あの時も圧倒的だった……でもここまでの差は……はっ!?)

絵師は気づく、自分から少しずつ力が失われていっていることに。
そして

フォーゼ「うおおおおぉぉおおおおるるるるっるうるぁあああああ!!」

ドッがあああああああああああああああああああん!!

……フォーゼの力が少しずつあがっていることに。

ダーク絵師(魔族、魔王から力を奪ってるってことぎゃは!? それなら私達の完全なる)

どがぁああん!!

フォーゼの拳が絵師の胸部を貫いた。

ダーク絵師「天、て、き」

212

--王国、Aサイド--

ざあああぁああ

フォーゼによって倒された絵師は、静かに砂になっていく……。

フォーゼ「……ち、まさか同じ相手に二度もこれを使うことになるなんてよぉ」

ダーク絵師「あ、あぁ、あ……」

ダーク絵師はうつろな表情で空を見上げた。

フォーゼ「……」

砂になって消えていく腕を伸ばす。

ダーク絵師「つ、つい、んて……」

ざぁっ

そして、絵師は完全に消えてしまう。

フォーゼ「……くそっ! 胸糞悪い!!」


ばさっ


???「ほう、これが今のこの国の三強か」

フォーゼ「!?」

ドカカカカッ!!

フォーゼ「がっ!?」

フォーゼは上から降ってきた無数の血の剣によって貫かれてしまう。

213

--王国、Aサイド--

フォーゼ「!……お前がここにいるってことは精鋭騎士たちはみんなやられちまった、ってことかこるぁ!?」

フォーゼが見上げるとそこには、魔族ヴァンパイアの姿があった。

ばさっ

???改めダーク大賢者「あぁ、私を食い止めることすら出来ない雑魚達だったよ。あんなのがこの国を護る兵士達とはな……まったく嘆かわしい」

ずきゅん

フォーゼ「ぎっ!?」

ダーク大賢者「なんとなく、ではあるが作りがお前、人造勇者に似ているな? 新型か?」

ずきゅん! ずきゅん!!

フォーゼ(ぐっ!! こいつ、俺から力を吸い上げてやがる!?)

ダーク大賢者「魔殺モード。正直厄介な力だが、エネルギードレインは吸血鬼の十八番だ。このままお前より先に吸い尽くしてやる」

214

--王国、Aサイド--

フォーゼ「! っざけんなぁ!!」

ばきばきばきっ!!

ダーク大賢者「!」

フォーゼは自分に刺さっている剣を全て折り砕く。

フォーゼ「へへっ……吸い上げ合戦なんてまどろっこしぃんだよぉ! 男は黙って、拳で勝負だこるぁっ!!」

だっ!!

フォーゼが踏み込むも、

ダーク大賢者「遅い」

ダギャシャッ!!

ダーク大賢者の水の魔法で押し返されてしまう。

フォーゼ「ぶほっ!?」

215

--王国、Aサイド--

ごおおおおおおおおおおおおおおおお

フォーゼ「ごはっ!?」(こいつ!? この威力、レベル4魔法を無詠唱でぶっぱなしただと!?)

ざっばぁあああああああああああん!!

フォーゼは赤い色の水に押し流されていくが、なんとか民家に捕まって脱出する。

ざぱっ!!

フォーゼ「ぶはぁっ、はぁっ! くそ、どこだあいつは!」

ダーク大賢者「ここだが?」

大賢者はすでにフォーゼの後ろにいた。

フォーゼ「なっ!?」

ばさっ!!

振り向くよりも速く、ヴァンパイアの放つ無数の蝙蝠が一斉に起爆する。

ドゴオオオン!!

216

--王国、Bサイド--

オーズ「ぐう……」

ダーク王様「その程度か」

ミイラ姿の王様は剣を構えてオーズに問う。
オーズも既に魔殺モードになっている。なのに王様に手も足も出ない……。

オーズ(死んだ兵士から剣を奪ってから、強さが段違いだお……こいつ生前はどんな奴だったんだお……)

びゅっ!!

オーズ「!? くっ!!」

じゅぱああっ!!

生半可な攻撃では傷つくことのないオーズの腕が、いとも簡単に切り裂かれる。

オーズ「おっおっ!!」

ダーク王様「鈍らだ。こんな剣じゃあだめだ。あの大剣が恋しい……そうだ、城に置いて来た。取りにもどろう」

217

--王国、Bサイド--

ひゅんひゅん!

王様はオーズを無視して城へと向かっていく。

オーズ「!! かっちーん! こんな屈辱初めてだおっ!! まてー!!」

どんっ!!

オーズも王様を追って民家の上に登る。

たたたたたたた!!

ダーク王様「……追ってきたか。しばらくの間だが生かしてやるつもりだったのに」

オーズ「うおおおおりゃああああああ!!」

オーズは跳躍し、とび膝蹴りを放つ。

ダーク王様「スキル、乱刃」

ふぉっ

王様がちょちょい、っと空中で剣を振るうと、

ズババババッ!!

オーズ「!?」

無数の斬撃がオーズを切り裂いた。

218

--王国、Bサイド--

オーズ「ぎゃっ!!」

ダンッ!!

体勢を崩し屋根の上から落ちそうになるところに、

ダーク王様「スキル、地烈」

どっ

王様は足元の屋根を粉砕する。

どがぁあああん!!

その衝撃でオーズは空中に放り出されてしまう。

ダーク王様「スキル、空断ち」

びょっ!!

そこに追撃の飛ぶ斬撃がオーズを襲う。

ずばしゃぁ!!

オーズ「ぎゃっ!!」(ま、魔殺モードで力を少しずつ奪っているはずなのに、なんで、こんな!!)

ダーク王様「今私は純粋な剣技だけで戦っている。かつてのように、な」

止めを刺さんとばかりに王様は跳躍する。

ダーク王様「スキル、一の突き」

しゅっ、ずばぁあ!!

王様の剣は、

オーズ「」

オーズの心臓を串刺した。

219

--王国、Bサイド--

どしゃっ

オーズ「」

心臓を破壊されたオーズの魔殺モードは止まる。

どくどくどくっ……

ダーク王様「……なまくらだ。こうまでしなければ倒せないとは……大剣さえあれば最初の一撃で終わっているというのに」

くるっ

再び城の方に向き直るとそこには。

ざっ

X「……ここから先へはいかせん」

アマゾン「きー、きー!! 再び参上だきー!!」

人造勇者の二人が立っていた。

ダーク王様「人造勇者……なぜきさまらがここに……」

X「しれたこと。我らは正義の使者だ。悪あるところに自然と現れる」

220

--王国--

そして城にももう一人の人造勇者が現れていた。

シン「お手伝いしますよ。私の力を使えば貴方の力を十二分に生かせるはずです」

軍師(脱走した人造勇者?! いや……これはありがたい!!)「ありがとうだぜぇ。ぜひお願いするんだぜ」(でもこいつ顔超きめぇだぜぇ)

シン(……テレパシーで聞こえてるんですよねぇ……)



--王国、Bサイド--

ドシュドシュドシュドシュドシュ!!

X「がっ!? な、にっ……」

アマゾン「そんなっ!!」

ずばしゃぁあああああああああああ!!

ダーク王様「……寝ぼけたことを……」

一瞬で王様に切り裂かれる人造勇者の二人。

ダーク王様「お前らをそんな体にするよう指示したのは誰だと思っているんだ……お前らのスペックは完全にわかっている」

X「づっ……こうも簡単に俺の体を斬るとは……さすが元三大剣士の一人なだけはある」

Xは立ち上がり再び戦闘態勢に。

X「次はこうはいかんぞ」

ぱきぃん

ダーク王様「!……なまくらめ……」

王様の持つ剣は折れていた。



ひゅぅううぅ

……彼らを遠方から眺めているものがいる。

吟遊詩人「久々に帰ってきたら……これだもんなぁ。どうしようかな」

それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m

こんばんは。三連休どうでしたか??

それでは投下していきます!

221

--王国、Bサイド--

X「さぁ獲物が無いぞ? どうする魔族」

Xはダーク王様との距離を詰め、格闘戦を始めた。

ダーク王様「ぐ」

Xはボクシングの構えから拳を突き出す。

ドガガガガッ!!

ダーク王様「っ、ぐっ!!」

素手で応戦するも、さすがに分が悪く王様は押されていく。

X「ふんっ!!」

ドガッ!!

ダーク王様「ぐおっ!!」

Xのハイキックをまともに受けた王様は民家に叩きつけられた。

どごおおぉおん!

222

--王国、Bサイド--

アマゾン「一人でやっちゃうきー!? さすがXさんだきー!」

X「アマゾン、結界は頼んだぞ!! 火属性攻撃力上昇魔法、レベル4!!」

ぼぉお!!

Xの右の拳が炎に包まれる。

X「風属性攻撃力上昇魔法、レベル4!!」

Xの左の拳が風を纏う。

がららら

ダーク王様「づ……何か剣を手に入れなければ……ぬ!」

瓦礫から這い出てきた王様は大炎と竜巻を目撃する。

X「奥義、大炎嵐」

ドガァアアアアアアアアアアン!!

223

--王国、Bサイド--

ごおおおぉおおんん!!

荒れ狂う炎が王国の町すら焼き尽くそうとする。

アマゾン「水属性封印魔法・結界レベル4だきー!!」

かかかかん!!

アマゾンが魔法を唱えると周囲四箇所に水で出来た壁が出現する。

アマゾン「ふー、これで周りには被害がいかないと思うきー」

ごおおぉおぉ

X「遅いぞアマゾン、あと少しで町を焼き払うところだった」

アマゾン「そんなこと言うんなら結界張った後に奥義ぶっぱして欲しいきー……」

X「……ふん」

ごおおぉおおぉ

X「……恐らくこれでも倒せていないだろう。が、結界が張られた今、外から援軍が入ってくることはない」

224

--王国、Bサイド--

ダーク大賢者「この程度で結界だと? 随分とふざけたことを言う」

X「!?」

二人が上を見上げると、大賢者が黒い翼を広げて飛んできていた。

アマゾン「もう一人の魔族かきー!?」

ダーク大賢者「水属性妨害魔法・解除レベル4」

ぱきぃいいぃん!!

X「!?」

アマゾン「お、おれっちの結界がいともあっさりと……」

X「……単純にお前より数段上の魔法使いということだ」

アマゾン「単純にショック」

ダーク大賢者「今助けるぞ、王よ。水属性回復魔法、レベル4」

ずぎゅううううん!!

青い閃光が炎の中を走り、中にいる王様を探し当てる。

ダーク王様「……」

225

--王国、Bサイド--

ごごごご

ダーク王様「大儀だ、大賢者」

ぶわぁ!

炎の中から無傷の王様が現れる。

X「くっ……」

ざっ、ざっ、ざっ

ダーク王様「いや、見誤った。いくらお前らのことを知っているとはいえ、見くびっていたようだ」

アマゾン「う、魔族二体はちょっときついんじゃきー……」

ダーク王様「お前達だってあれから鍛えているだろうにな。ふははは」

ざっ、ざっ、ざっ

226

--王国、Bサイド--

ダーク大賢者「王、これを」

ひゅんひゅんひゅん
ぱしっ!

大賢者は血で出来た大剣を王様に投げる。

ダーク王様「ふむ……あれじゃあないのか。まぁ先ほどのものよりは随分とましだがな」

しゃん!

X「」

アマゾン「」

握った大剣を王様が一振り、すると

ズばばばばばばばばばばばばばばば!!

国が縦に別れてしまう。

227

--王国--

どどどどどど

軍師「な、なんて力だぜぃ! 剣を持ったら戦闘力が跳ね上がったぜぃ!?」

シン「ど、どうするんですか軍師さん! いくら貴方の力でも……!」

軍師「っ! 全力で指揮したオーズとフォーゼですらあいつらには勝てなかった……Xとアマゾンとシンが増えた今でも……
駒がもう一つ足りないだぜぃ!」

ざんっ!!

吟遊詩人「呼びましたか~? ららら」

軍師「!?」

衝撃で揺れる中、窓から一人の人間が入ってくる。

シン「貴方! ……見たことありますね、確か元王国の三騎士の一人……」

軍師「吟遊、詩人……戻ってきただぜぃ……?」

吟遊詩人「……追い出されたのをいいことにそのままツインテのところに行こうかとおもったんだけどね~」

ぽろん

吟遊詩人「まぁ今はそんなこといいんだよ。どうだい軍師。僕がいても敵わないかい?」

軍師「! ……後方支援か……出来れば遠距離攻撃型、せめて近距離アタッカーが欲しいところだったんだけど……いや……
君が力を貸してくれるなら、必ず勝って見せるだぜぇい!!」

228

--王国、Bサイド--

ギョギョギョギョギョン!!

X「なんて剣筋だ……まるで見えやしない」

アマゾン「ぜっ、ぜっ、ぜっ……」

ダーク王様「まがい物じゃここいらが関の山か」

ダーク大賢者「くっく、ちゃんとした剣があれば王に敵うものか。たとえ二人がかりでもな」

X「……ッ」

アマゾン「き、厳しいきー……絶対絶命だきー」

ぴょん

ばった「派、は、他、して、ソウ、かな?」

ダーク王様「? 喋るバッタ……だと?」

X「……ふ、ようやく勝てる作戦が決まったか軍師!」

バッタ「あ、あー……あぁ、行くよ、反撃開始だ!!」

229

--王国、Bサイド--

バッタ達「「「ら~らら~ら~」」」

アマゾン「国中のバッタが歌ってるきー」



--王国--

吟遊詩人「ららら~奥義、英雄歌」



--王国、Bサイド--

どん!!

X「!! この、パワーは!!」

アマゾン「す、すごい!! 力があふれ出てくるキー!!」

王国中位騎士「わ、我々も、か?」

ダーク王様「なんだこの歌は……耳障りな」

ダーク大賢者「……」

230

--王国--

吟遊詩人(僕のこの奥義を聞いた者、全員のステータスを五段階上昇させる。ま、三分間だけなんだけどね)

軍師(シンのテレパシーバッタを使って国中に効果を広めた。このまま総力を結集して決めるだぜぃ!!)「シン、指示出し用のバッタはどいつだぜ!」

シン「配置は完了してますよ! 地図の上にそれぞれおいてあります!」(吟遊詩人+軍師のWバックアップ……これならい
ける!!)



--王国、Bサイド--

ダーク王様「だからなんだと言うのだっ!」

ぼっ

王様はXに向かって大剣を振り下ろす。

がしっ!!

ダーク王様「ぬ! 食い止めた!?」

X「……悔しいがまともにやっても俺じゃあお前達に勝てないようだ……」

びき、びききっ!

X「だから、お前達には俺達全員で勝負を挑む!!」

231

--王国、Bサイド--

ダーク王様「はぁあああ!!」

ぎぎぎぎぎぎぃん!!

X(見える! さっきまで見えなかった剣筋が!!)

どがしゃぁあ!!

ダーク王様「っっっ!!」

全ての剣撃を弾き、そのまま王様の頭部をぶん殴る。

どぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃああああ!!

ダーク大賢者「ッ! この歌、そういうことか!! ならば、発声機能封印魔法!!」

ぶぅううん!!


--王国--

軍師「  」(しまった!! 封印魔法か!!)

吟遊詩人(く、対処がはやい。半分しか歌えなかったね~……効力はおよそ一分半、それだけで倒せるのかな~?)

232

--王国、Bサイド--

ダーク王様「よくやった、大賢者」

ひゅぉ

がぎぃいいいん!!

X「!」

ダーク王様「パワーダウンしたな? どうやら歌だけじゃなかったらしいな、後方支援は!」

X「 」(くっ! だがさっきよりかは戦える! ここからは心の戦いだ!!)



--王国--

シン(え? テレパシーで歌と指示送り続けられないんですか?)

軍師(……)

吟遊詩人(……)

233

--王国、Bサイド--









しゅぅううぅ……

ダーク王様「……ちっ……あの、大剣が、あれ、ば……な……」

ダーク大賢者「……王……また……護れ、なか……」

ざぁああ……

魔族となった二人は砂になって消えていく。

ダーク王様「……白……ゆ」

ざぁ

X「はっ、はっ、はっ……勝った」

アマゾン「つ、強かった……でもこれでとりあえずは」

どがぁああああん!!

アマゾン「……え?」

アマゾンは……下水道から道路を突き破って現れた白ワニによって下半身を食いちぎられてしまう。

ダーク白ワニ「ぐあぁああああぁあああああ!!」

X「!? な、まだいたのか!?」

234

--黄金王国--

わーきゃー!

ワーム「ぎょろぼぼぼぼぼっ!!」

茶肌兵士「わ、た、たすけっ」

ドガァアアン!!

茶肌弓兵「ぐっ!! な、なぜだ! なぜモンスターがここまで強いのだ!?」

ばきばきばきばき

巨大なワーム一匹に翻弄されている黄金王国の兵達。

ニンフ「うっふっふ~当たり前です~。魔王が本腰を入れたときのモンスターは~、正真正銘の、本物の化け物ですよ~?」

どがぁああん!!

ダーク実験体「やれやれ。クソ旦那。お礼参りにきちゃった」

研究者「あ、あ~……お、お久しぶりですねぇ、マイワイフ~……」

姫「姫ちゃん今起きたよ! 起きたらすごいことになってた!!」

参謀長「今やばいからちょっと黙っててね!」

姫「今バカってゆった!?」

参謀長「言ってねーよバカ!!」

235

--砂漠の風--

どぉんどぉん!!

弓女「そんな! お、お前は……」

盾兵「……その姿……そっち側に行ってしまったのか……?」

ダーク弓女「えぇ。もう私はこちら側です……ごめんなさいね」



どおおおおん!!

鬼姫「っ! なんで親父が生きてるっすか!?」

どぉおおおん!!

ダーク鬼亜人「ふははっ!! お前の成長した姿が見たくてな!!」

236

--風の大谷--

聖騎士「ぶるるるるるぁぁああ!! 」

ダーク龍騎「くっくっく!! 貴方とは一度戦って見たかったのだ!!」

ばさっ!

竜に乗る龍騎は聖騎士を追って空を行く。

びゅおおおお!!

ダーククウガ「はぁあ!!」

ダークアギト「ぬおおお!!」

どぉん!! どがぁあん!!

聖騎士「哀れな勇者もどきがぁああ三人ぃぃんんかぁああああ?」

ダーク龍騎「豪勢な戦力だろ!? 悔しいがお前には三人でぶつかるのが得策だと判断した!!」

聖騎士「……豪勢?」

ばちばちばちいいいいいいいい!!

ダーク龍騎「ひっ!!」

聖騎士の纏う魔力を感じ、ダーク竜騎士は顔を引きつらせる。

聖騎士「我はなぁ……たった三人だけかとぉ、言っておるのだぁああああ!! スキルぅぅ、大っ雷っ槍おおおおおおおおおおお!!」

ドギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!

237

--魔法王国--

ダークJ「ぐっふっふー。全部踏み潰してやるー」

ずずぅん!!

竜子「……なんで私も戦いに参加しなくちゃいけないんだよ。無理やり谷からつれて来たくせに」

魔導長「つべこべいわないの。戦わないと死んじゃうよ」

竜子「……くそ!! あとでなんか美味いもん食わせろよ!!」

びきびきびきびき!!

竜子「……ん?」

ごごごごごごごご

魔法王国戦士「ひ、ひぃ!! う、嘘だ、うそだぁあああ」

じゅわあ!!

竜子「蒸発、した? ……それにあのシルエット……」

ざしゃっ、ざしゃっ

魔導長「……魔王軍め、随分めんどくさいのまで復活させたみたいなの……」

迅雷「……災厄……」

竜子「おとう、さん……?」

ダーク竜亜人「ふしゅるるる……」

238

--???--

ごぼぼ

暗い部屋の中でツインテは体育座りをしながらフォーテの入っている容器を見ている。

ツインテ「……」

トリガー「危ないところだったね。もう少し助けるのが遅かったら、フォーテは本当に魔王になってしまうところだった……
あれくらいの戦力なら何とかなると思ったのに計算外だ。カブトには逃げられてしまったしね」

フォーテ「……」

トリガー「ね、ツインテ。話があるんだけれど」

ツインテ「……なんですか?」

トリガー「フォーテに、死なれたくないでしょ?」

ツインテ「!! あ、当たり前です!! フォーテちゃんはボクの大事な弟なんですから!! 何言ってるんですか!!」

トリガー「ふふ、だよね。心優しいツインテちゃんならそう言うと思っていたよ」

ツインテ「何が……言いたいんですか?」

トリガー「……このまま行けばフォーテはもう一度戦いの場に出向かなくてはならなくなる。でも、出向けば……」


  次は、体が持たないかもね

239

--???--

ツインテ「!!」

トリガー「僕としても失いたくないんだ。フォーテは僕らのジョーカーだからね。でもそれでもやらなきゃいけないことがほかにあるんだよ」

ツインテ「な、何をすれば、フォーテちゃんは戦わずにすむんですか?」

トリガー「……残る勇者因子覚醒候補を倒すんだ。そうすれば世界平和が実現する。フォーテは最後まで戦わずにすむだろう」

ツインテ「!! 勇者因子……覚醒候補?」

トリガー「そうだ。勇者の危険さは前に説明したよね?」

ツインテ「……はい」

トリガー「なら、理解してくれるよね?」

ツインテ「…………はい」

トリガー「なら、ここにあるリストのメンバーを倒してきてくれるね?」

ぺらっ

ツインテ「はい……え?」

……

240

--荒れ果てた地--

そして、三日後。



ひゅうぅううう

アッシュ「ふぅ……久々の通常世界だ。随分懐かしい気がするぞ」

ポニテ「だねー。今思うと妖精の世界に行ってからうんこしか食ってなかった気がする。何かおいしいもの食べに行こう!」

レン「他のものもしっかり食ってたにゃ。相変わらず忘れっぽいにゃポニテは」

ハイ「あの、それより皆さん? その前に気になることあるんじゃないでしょうか?」

ひゅぅううう

アッシュ「……俺も実は気にはなっていた」

ポニテ「はいはいはーい! 私も気になってたよ!」

レン「レンもにゃ」

ハイ「そうですか、よかったです。実は私だけなんじゃないかと思ってました」

ひゅうぅうう

ハイ「これ……世界滅んでますよね?」



ざっ

ツインテ「……皆さん」

アッシュ「!? つ、ツインテ!? なぜここに!!」

ポニテ「あーツインテちゃん!! 久しぶりだねぇー!!」

レン「にゃにゃーーー!!??」

ハイ「ツインテ……さん?」

ユニコーン「ひひん」

妖精郷から出てきた四人と一匹の前にツインテが現れる。

アッシュ「お前……まさか一人で逃げてきたのか?」

ツインテ「……ごめんなさい、ごめんなさい皆さん……」

ツインテはぼろぼろと涙をこぼす。

アッシュ「!! ちょっ!? い、いきなり何泣いてるんだ!?」

ツインテ「ごめんなさい……皆さん。死んで、下さい」

それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m

こんばんは。
ほんとごめんなさい。読みづらいだろうなと自分でも思ってます。もこもこのところで学んだはずなのに……。これからはなるべく主役級だけをメインに書いていく予定なのでよろしくお願いします。

 <魔王勇者率いる魔王軍残存兵力>
○魔族:ウェンディゴ、カトブレパス、ニンフ
○フォーテwithフォーテパーティ
○トリガー、謎の八体
○魔造魔族シリーズ
○東の王国:賭博師、侍、医師、符術師、通信師
○ツインテ

    vs

 <勇者パーティ>
○十代目

 <西の王国残存兵力>
○西の王
○変化師
○テンテン
○包帯女
○受付withアサシン軍団

 <南の王国残存兵力>
壊滅

 <北の王国残存兵力>
壊滅

 <王国の王国残存兵力>
○軍師
○吟遊詩人
○屈強な男
○がちむち
○マッスルひげ

 <魔法王国の王国残存兵力>
○魔導長、疾風、迅雷
○人形師
○竜子with竜亜人族
○代表、熊亜人、護衛姉、妹with亜人保護団体構成員

 <黄金王国の王国残存兵力>
○姫
○参謀長
○突撃長
○潜入長
○たんぽぽ星人
○調教師
○研究員with機兵三姉妹
○族長with部族
○G
○もこもこ

 <砂漠の風>
○鬼姫

 <無所属五柱>
○射王
○聖騎士with竜騎士軍団

 <人類側の人造勇者>
○X
○アマゾン
○シン
○カブト

    その他
 <ハイパーティ>
○ハイ、アッシュ、ポニテ、レンwithユニコーン

 <ブラパーティ>
○ブラ、ヤミ、番犬、メイド、ちびメイド

 <その他>
○影月
○元賢帝:幽閉
○護皇
○魔剣使い:逃走

241

--荒れ果てた地--

ひゅうぅううぅ

ツインテ「……」

アッシュ「……な、何を、言い出すんだ、ツインテ」

ポニテ「……レンちゃん」

レン「わかってるにゃ。二番機ゴーレム」

ずるるる

レンが呼び出したゴーレムの額には2の文字が書かれていた。

レン「ダメージ履歴、回復履歴参照」

ぴかー

ゴーレムの眼が光り、ツインテの体を調べていく。

ツインテ「……」

2ゴーレム「ごごっ」

レン「!……変装でも、洗脳ってわけでも……無いみたいにゃ」

242

--荒れ果てた地--

アッシュ「せ、洗脳じゃないなら今は錯乱しているだけだ、あ、ああああのツインテが、そんなこと言うはずがないっ!! だ、だだ大体前見たときは自閉症に近かったんだ、だ、だから!!」

ツインテ「洗脳じゃないことがわかって貰えたと思います……なら、ボクの本気をわかってもらえましたか?」

アッシュ「ふぉびょっ!?」

ポニテ「……ツインテちゃん、どうして? なんで私達が死ななくちゃならないの? 私達の知るツインテちゃんならそんなこと絶対に言わないよ……」

ポニテは冷静に問う。

レン「……ツインテ」

ツインテ「し、仕方ないん、です……皆さんは、勇者候補だから……だから倒さなくちゃいけないんです」

ツインテは涙を拭いてまっすぐアッシュ達を見た。

アッシュ「あぶぶぶぶ」

ハイ「あぁ! アッシュ先輩が泡吹いてます!」

243

--荒れ果てた地--

ポニテ「勇者候補だから? なるほど、フォーテちゃんに何か吹き込まれちゃったみたいだね」

ぼっ!!

レン「!? ポニテ!?」

ポニテの全身から炎が噴出した。それはポニテが本気で戦闘態勢に入ったということ。

レン「何をする気にゃ!? あれはツインテにゃ!」

ポニテ「ツインテちゃんだからだよ。アッシュ君もレンちゃんも心を乱されすぎ。もうツインテちゃんはとっくに」

ずずず

ツインテ「」

ポニテ「攻撃態勢に入ってるんだよ!!」

どがぁあああああああああああああああん!!

244

--荒れ果てた地--

どがどがぁあああん!!

地面を砕き、地下から大量の水が吹き出した。

アッシュ「あばばばば」

ハイ「あ、アッシュ先輩泡吹いてる場合じゃないですよー!」

レン「づっ!! つ、ツインテ! やめるにゃ!! なんでツインテとレン達が戦わなくちゃならないのにゃ!!」

どがぁん! どががぁあん!!

ツインテ「……ごめんなさい」

しゅるるっ

ツインテの背中から出現した、魔力でできた無数の触手が伸びる。

レン「!!……くっ! 土属性防御魔法、レベル4!!」

どきぃいいいいん!!

ポニテ「そう。攻撃する意思を持てないなら、せめて防御はしっかりしてね」

ユニコーン「ひひーん」

245

--荒れ果てた地--

ポニテ「火属性武器生成魔法、ブラッドセイバー!!」

ブォン!!

ポニテが魔法を唱えると、赤く光る剣が二振り出現する。

ポニテ「はぁあああああ!!」

だだだだだだ!!

そしてツインテに向かって駆けていく。

ツインテ「っ、水属性防御魔法、レベル2」

ばしゃしゃしゃしゃ!!

それを見たツインテは、自身の周りを囲む、水の壁を出現させた。

ポニテ「その程度の防御なんて、今の私なら簡単に蒸発できるんだよ!」

しゅっ!

切り裂こうとしたポニテ。
だがその壁を触手が一足先に突き破った。

ポニテ「!?」

がぎぃん!!

ポニテ(めくらましだったのか!)「はっ!?」

ぎゅるぎゅるぎゅる

触手の先端は回転している。

246

--荒れ果てた地--

ぱしゃっ

ツインテ「……ち、久々のシャバだっつーのに、こんなことをしなくちゃなんねーなんてよぉ」

水が消える。そこに立っていたのは髪型がストレートになったツインテ。

レン「人格を、変えたにゃ?」

ツインテ「お前らのことは別に嫌いじゃなかったけどよ……そういうことだ」

ぎゅりりりりりりいぃぃ!!

ツインテの触手が高速で回転していく。

ポニテ「はぁああ!!」

ぎぃん!! ぎぎぃいん!!

ポニテは迫る触手を全て叩き落としていくのだが、だんだんと後退させられてしまう。

ポニテ(この程度のスピードとパワーなのに押されてる? 私の動きが鈍る部分に打ち込まれてるの?)

がぎぃん、ぎがぁん!!

アッシュ「あびゅびゅびゅびゅ」

ハイ「自分の泡で窒息しかけてる!?」

247

--荒れ果てた地--

ぎぃん! ぎぎぃん!!

レン「やめるにゃツインテ! レン達は敵じゃないにゃ! お願いにゃ、目を覚ましてにゃ!!」

悲痛なレンの叫び。目元にはうっすらと涙が。

ツインテ「……」

ポニテ(! ナイスレンちゃん! 一瞬だけどツインテちゃんの集中力が散漫になった!)

ぼっ!!

ポニテは足の裏で炎を爆発させた。

ボオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!

ツインテ「!?」

ジェット噴射のように飛んでいくポニテ。そして

ポニテ「やああああああああああああああ!!」

ズギィイイイイン!!

ポニテは両手の剣で、ツインテを斬った。

248

--荒れ果てた地--

レン「なんてことを!!」

ポニテ「レンちゃん! 拘束魔法かけて!」

レン「え?」

ぃぃぃいいん……

ツインテ「……」

いつの間にかツインテの髪留めは再び装着されていて、ストレートだった髪にウェーブがかかっている。

ポニテ「いつの間に、いや、それよりもなんで無傷……レンちゃん、早く!!」

レン「!」

レンは拘束魔法をツインテに向けて放つ。

しゅるるる!!

気だるそうに立っているツインテはぼそりと呟いた。

ツインテ「私は……盾……どんな攻撃も……利かない」

しゅるしゅるしゅる

ツインテを拘束するために伸びていた魔法の糸がツインテに絡み付いていく。
しかし

ぶちぶちぶちぃ!!

締め付ける前にぼろぼろと崩れていった。

249

--荒れ果てた地--

ポニテ(これはあの時のツインテちゃん……ツインテちゃんが心を閉ざした姿だと思ったけど)

レン(これも別の人格! そして恐らくは防御タイプの……)

ぱきぃん!

再び髪留めが吹き飛んでストレートに。

ツインテ「ち、油断しちまったぜ。三対一で来られてたら本気でやばかったかもな……」

ごごごごご

ポニテ、レン「「!?」」

ツインテの真上に巨大な水の球体が出現する。そしてそれは触手で支えられていた。

ポニテ(あれに込められた魔力、やばい!)

レン「ポニテ、こっちにゃ!!」

レンは巨大なゴーレムを作り出しながらポニテを呼んだ。

250

--荒れ果てた地--

ポニテ「ッ!」

ポニテはレンのもとへと駆ける。

ダッ!!

めきめきめき

巨大なゴーレムは腕を盾のように変形させてツインテからの攻撃に身構えた。

きゅいぃぃいいい!!

ツインテ「……水属性範囲殲滅攻撃魔法、レベル4」

どっ!!

ツインテの合図とともに水の球が大爆発を起こし、辺り一体を押し流していく。

ざっぱぁあああああん!!

ポニテ「ッッ!!」

レン「にゃっ!!」

アッシュ「ぶくぶくぶく」

ハイ「きゃああああああああああああ!!」

ざばばーー!!

251

--荒れ果てた地--

ざばーー!!

大ゴーレム「ご、ごご!!」

ぼろ、ぼろろっ

レン「耐えるにゃ!! もう少しにゃ!!」

ざばーー!!

ポニテ「……私もまだ甘かった。手加減なんてしてる相手じゃないのにね」

すっ

レン「え、ポニテ?」

ぶぅん

ポニテの体が赤く光り始める。

レン「!? まさか、奥義を使う気かにゃ!?」

ポニテ「うん。私の属性じゃツインテちゃんと相性が悪いし、並大抵の攻撃じゃツインテちゃんにはきかない」

ぼっぼっぼっ

ポニテ「ならこれしか」

どがぁああん!!

ポニテ、レン「「!?」」

その瞬間、大ゴーレムがばらばらに壊されてしまう。

ひゅんひゅん

触手の鞭によって。

ツインテ「やっほー、久しぶりだねっ☆」

252

--荒れ果てた地--

レン「その髪型は」

ツインテはサイドテールに変わっていた。

ひゅんひゅん

鞭が音を鳴らしている。

ツインテ「うふっ」

ぼぼぼぼっ!!

ツインテが振るった鞭がポニテ達を襲う。

ドガガガガーーン!!



アッシュ「うーん、おぱんちゅむにゃむにゃ」

ハイ「起きてー!!」

253

--荒れ果てた地--

どがぁあ、どががぁあ、どががががあああああん!!

ぱら、ぱらぱら

ツインテ「……っと、調子にのって攻撃しすぎちゃった。瓦礫であの子達がどこにいるのかわからないや」

ツインテは辺りをきょろきょろと見回している。



もぞ

レン「大丈夫かにゃ? ポニテ」

レンは小声でポニテに話しかける。

ポニテ「う……一発貰っちゃった……くぅ、痛い……」

ポニテとレンは瓦礫に隠れて様子を伺っている。

ツインテ「どこかなどこかなー?」

レン「……いくらなんでも、あれはおかしすぎるにゃ」

ポニテ「そうだね。ツインテちゃんが強すぎる」

ツインテ「どーこっかなー?」

254

--荒れ果てた地--

レン「ポニテはなんでツインテがあんなに強いと思うにゃ?」

ポニテ「ん……あの右腕が関係していることは間違いないと思う」

レン「そうにゃね。アレからは何か嫌な力を感じるにゃ」

ポニテ「うん。でもそれだけじゃ無い気がするよ」



ツインテ「みーつっけたっ!」

ポニテ、レン「「!?」」

ドガガガァアン!!

ポニテ「づっっ!!」

鞭がポニテを打ち据える。

レン「ポニテ!!」

ツインテ「忘れちゃったの? 私は情報戦に特化してるんだよ? 索敵だって思いのまま~」

レン「はっ!!」

レンが空を見上げると、そこには天使の輪のような大きなわっかが浮かんでいた。

255

--荒れ果てた地--

レン「くっ、ばればれだったって言うことかにゃ!」

ツインテ「そうだよー? 隠し事は無しでいこーぜっ!」

ひゅんひゅん

レン「……ツインテ。頼むにゃ。もうやめてにゃ」

レンは懇願する。

ツインテ「……それは……出来ないよ」

ざっ

ポニテ「はぁー!!」

ツインテ「! っうわ!」

フォン!!

ツインテ「わー、驚いた。私の攻撃をモロに受けて耐えてるなんて。昔は一撃で倒せたのにね」

ポニテ「そう……だね」

ポニテは血だらけになりながらツインテと対峙している。

ツインテ「……」

256

--荒れ果てた地--

ツインテ「二人ともすごく、強くなったんだね。昔も結構強かったけど、危うさが取れた強さになってる。三強になったと言われても信じられるほどに」

ポニテ「えへへ……修行したからね。でも不思議なんだよね。私達もかなり強くなったと思ってるのに、ツインテちゃん一人に勝てないんだよ。なんでかな?」

ツインテ「……私は別に一人じゃないよ? この体の中に複数の人格がいる。私は一人で一パーティなんだ」

レン「!……」

ツインテ「気づかされたんだ。私達はたった一人でも戦うことが出来るように、生み出されたんだってことを」

ひゅんひゅん

ポニテ「一人じゃないのはわかったけど、それだけじゃ納得できない、なっ!!」

ぼっ!!

ポニテの剣がツインテを襲う。
のだが、

すかっ

ツインテ「早い斬撃だね。普通なら即死だよ」

ツインテはするりとかわし、そして

どがががぁあん!!

ポニテ「ッづっ!!!!」

ツインテ「! 二発受けても耐えるの? すっごぉい……」

257

--荒れ果てた地--

レン「ツインテ、もうやめるにゃ!! 土属性攻撃魔法、レベル2!!」

どごおおおん!!

レンが魔法を使うと地面が隆起してツインテを襲う。

ひゅひゅっ

しかしツインテはそれを軽やかに交わして岩の上に立つ。

すたっ

ツインテ「今の……本気の攻撃じゃなかったね。まだ、私と戦う気にならないの?」

レン「っ……」

ツインテ「……」

ぱきぃん

ツインテのリボンが最初の状態に戻る。美しいツインテールに。

258

--荒れ果てた地--

ツインテ「……ポニテさん、レンさん。諦めて、死んでいただけませんか?」

レン「!!」

ポニテ「私達は死なないよ、それに諦めたりもしない!」

ツインテ「……」

ツインテは少し悲しそうに顔を歪めた。

ツインテ「……ボクの回復魔法は、絶対回復領域から溢れ出たものなんです。つまり、奥義の性質を受け付いでます」

レン「……?」

ツインテ「ボクの奥義、絶対回復領域は、治療するたびにその人の情報を得ることが出来るんです」

ポニテ「!?」

ツインテ「絶対回復領域は治療だけが目的じゃない。戦法とか癖や動き方も自動的に学習してしまうんです」

ポニテ「……」

ツインテ「今の二人なら言ってること……わかりますよね? そして、ボクが今まで、いったいどれだけ皆さんを治療してきたか……」

ごごごごご

ツインテ「奥義、絶対回復領域」

びゅううん

ツインテの魔力が辺りを覆っていく。

259

--荒れ果てた地--

ポニテ(暖かい魔力……でも)

レン(何か、混ざってるような)

ツインテ「……あ、そうそう」

すかっ!

アッシュ「!?」

後ろから飛びついてきたアッシュをさらりと交わすツインテ。

ツインテ「皆さんの体の中には微量ながらボクの魔力が混在しています。そしてそのせいで、皆さんがどこにいようとわかってしまうんです」

アッシュ「く!」

ざざっ!

ポニテ「お、アッシュ君やっときたね」

レン「いまさらきたところでだけどにゃ。ツインテは……対レン達戦闘では最強に近いことが判明したとこにゃ」

アッシュ「まじか……」

ひゅおおおお

ツインテ「……この結果は……本当に残念です」

うぅん……

ツインテは絶対回復領域を解除した。

アッシュ(解除、した?)

ポニテ(ならなんのために発動した?)

ツインテ「……魔力暴発、レベル4」

ぼっ

260

--荒れ果てた地--

アッシュ「なっ、んだ、と!?」

どぐしゃぁ!!

ポニテ「うっ! 精霊化が、まにあ!」

ぼぉん!!

レン「つ、ついん、て!!」

ばしゃぁあ!!

ツインテ「……」

びしゃびしゃびしゃっ!!

三人はツインテの手によって、内側から爆発してしまう。

ツインテ「……ごめんなさい……ごめんなさい皆さん」

ツインテの頬を涙が伝う。



  「なるほど、かなり厄介な力のようですね」

ざっ

ツインテ「!」

ぺしゃ

振り向くツインテの額に泥でできた小さな玉がぶつかる。

ツインテ「……?」

  「条件達成、レベルアップ」

ユニコーン「ひひーん」

ざっ、ざっ

  「レベル2、騎士!!」

ざんっ!!

ツインテ「……貴女は……」

ハイ「でも、私には利かないですよ? 私ツインテ先輩に治療してもらったこと、ありませんから」

それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m

>>526 乙!
アッシュ、レン、ポニテを差し置いてハイがリーダーなんだ

そういえばツインテの人格って
ツインテ:主人格、触手が武器
ストレート:攻撃特化、拳が武器
サイドテール:情報戦特化、鞭が武器
ウェーブ:防御特化、攻撃を無効化
で全部だよね

こんばんは!

>>528さん 出てきてる情報だとそんな感じです!!

それでは投下していきます。

261

--荒れ果てた地--

ざっ

ツインテ「……ボクの仕事は勇者候補の抹殺です……貴女には関係ありません。だからこの場から去って下さい……」

ハイ「関係ありますよ」

ツインテ「!?」

ユニコーン「ひひーん!」

ぱからぱからっ

ハイは近寄ってきたユニコーンの頭をなで、ユニコーンに跨った。

ハイ「だって……アッシュさん達は、私の大事な仲間ですから。殺されて見過ごすわけにはいきません」

ツインテ「っ! そ、そんなのボクだって!!」

ハイ「ツインテ先輩、貴女は今、私達の敵なんですよね?」

ツインテ「!」

ハイ「ぶれてると、負けちゃいますよ?」

ダカラッ!!

ハイは槍を構えて走りだした。

262

--荒れ果てた地--

だからっだからっ!

ハイ(さっきツインテ先輩が言ってたこと、あれがもし本当なら……回復魔法をかけられただけで勝敗が決してしまう)

ツインテ「ボクは……戦いたくないのに!!」

ばしゃっ!

向かってくるハイを見据え、ツインテは大きな水の壁を作った。

だからっだからっ!

ハイ(水の壁? こんなに薄いのに何の意味が……ん……もしかしたら突っ込んだ瞬間、攻撃魔法に変換する気なのかな? かすり傷一つでも付けられたらコンボが決まっちゃうもんね……)

だからっだからっ!!

ハイは迂回してツインテを狙うことにした。
だが、

ツインテ「水属性範囲攻撃魔法、レベル1!」

ばっしゃぁあん!!

ハイ「!!」

変えた進路の先を見抜いていたかのようにツインテの攻撃魔法が叩き込まれた。

263

--荒れ果てた地--

ハイ「ぶっ!?」(なんでここを通るってわかって!?)

ツインテ(壁はほんの少しだけ左に寄せて作りました。避けて通るなら、少しでも空いてる方を自然に選択しちゃいますよね)

どばっしゃああーーん!!

ユニコーン「ひひーん!!」

びしびしっ

水がハイとユニコーンの体に傷を付ける。

ハイ「しまっ!?」

ツインテ「……終わりです。ごめんなさい。奥義、絶対回復領域」

びゅうぅん

ツインテの奥義が辺り一体を覆った。

ツインテ「回復して、暴発させます」

264

--荒れ果てた地--

ぴちゃ

ハイ「……」

ツインテ「……」

ハイ「……」

ツインテ「……あれ? 回復、できない?」

ハイはびしょびしょに濡れたまま地面にぺたんこ座りをしている。

ハイ「すでに条件を達成していたのでレベルアップさせてもらいました」

ツインテ「……へ?」

ハイ「レベルアップ3、賢者」

泥まみれになっていたのでわからなかったが、よく見ると少しハイの衣装がHになっていた。

ツインテ「はわわ!?」

ハイ「賢者への条件は味方一人の体力が三割を切ったら、です。この状態だとろくに攻撃はできませんが……」

ツインテ「くっ……先に自分で治してたんですか。ボクが絶対回復領域を発動させる前に……!」

ハイ「これなら負けることもないかな?」

265

--荒れ果てた地--

ツインテ「な、ならまた傷をつけるだけです!!」

ツインテは触手を出そうとするのだが、上手くいかない。

ツインテ(しまった、改良した絶対回復領域は攻撃行動まで戻してしまう……く)

びゅぅん

ハイ「あれ? 解いてしまったんですか?」

ツインテ「……」

ハイ「ならばスキル、観察眼」

ギン!

ハイの両目がぺかーっと光る。

ハイ「……さっきから気になっていましたが、どうもその右腕、嫌な力を流し込んでるみたいですね。洗脳ではないけれど、闇に堕ちやすくしている要因のような……」

ぴちゃ

ハイは立ち上がり髪を払う。

ハイ「ならその右腕、引き千切っちゃいます!」

266

--荒れ果てた地--

にゅる

ツインテは触手を展開する。

ツインテ「これは、フォーテちゃんからもらった大事な腕なんです……そんなこと、させない!!」

ハイ「……ツインテ先輩のことは旅の道中で何度も聞かせてもらいました。だから」

ぶん

ハイの姿がカウガールへと変貌する。

ハイ「今の貴女がまともじゃないことくらい、新参の私でもわかるんですよ!!」

がががががががががが!!!!

ハイの両手の拳銃が火を吹いた。

どちゅどちゅっ!!

ツインテ「あきゃっ!?」

ツインテは防御魔法を出そうとしたのだが間に合わず、両太ももに弾丸を受けてしまう。

ハイ(いける! レベル3なら三強レベル!! ツインテ先輩を圧倒できる!!)

267

--風の大谷--

しゅぅうう

聖騎士「このぉおぉお程度かぁあ……」

竜人モードの聖騎士が屍の山に立つ。この場にいる全てのモンスター、全ての裏切り者、全ての魔族が徒党を組んで挑んでも、この男たった一人に勝てなかったのだ。

ダーク龍騎「こ、これが五柱最強の男……!!」

しゅぅうう

最後に残った魔族、龍騎ももはや砂となり、風に散る運命である。

ぼろぼろ……

ダーク龍騎「そして人類、最強の男……か……ふ、ふはは、ふははははは!!」

ぼろぼろぼろっ

ひゅぅうう

聖騎士「笑ってぇえぇ……逝くかぁあぁ……」

聖騎士は倒したモンスターの心臓を握りつぶし、生き血を食らう。

ざっ、ざっ

聖騎士「……ぬ? まだぁ……生きておるものがぁあ、おったかぁ……」

足音のする後ろに振り返る。するとそこには、

ざっ

魔王勇者「竜を殺し、その返り血を浴び続けたことで自らを竜と変えた男……か」

聖騎士「!? 貴様ッ、魔王うううううううううううぅぅぅぅ!!」

268

--風の大谷--

ひゅぉおおぉおお

ざっ

魔王勇者「……」

聖騎士「驚いたぞぉ……まさか魔王が直々ぃぃ……我の元に来ぅぅるぅぅとはなぁぁ」

魔王勇者「最初からこのつもりだったのだ。お前を倒すために魔族を送り込むなど、無駄に犠牲を増やすだけだ」

聖騎士「こぉおれはおかしなことを言うぅ……先ほどぉのやつらはぁ、お前のめいれぇえええい、で……ここに来ていたぞぉ……?」

魔王勇者「彼らはお前と戦いたがっていた。手駒の無意味な喪失は好ましく無いことだが……下僕の願いも聞けないでは王とは呼べないからな」

聖騎士「……」

魔王勇者「これを使え」

そう言って魔王勇者は懐から回復アイテムを取り出し聖騎士に投げた。

ぱしっ

聖騎士「……どういう、つもりだぁあ?」

魔王勇者「他意は無い。全力を知りたいだけだ」

269

--風の大谷--

魔王勇者「音に聞こえた人類最強を相手にして、私がどこまで化け物になってしまったのか、な」

びきっ!!

聖騎士「ふざぁあけたことをぬかすぅ……小娘がぁ。……我がぁぁ、この程度のおゆうぅううぎぃでぇえ……疲れるとでも思ったのかぁあ……?」

魔王勇者「三割くらい損耗していると思うが?」

びききっ!!

魔王勇者「勿体無い。まぁいい。それなら使いたくなった時に言え。代えはもってきてある」

聖騎士「ぶるるるるるるぁああああああああああああああああああああ!!!!」

どんっ!!

聖騎士が大地を蹴ると、まるで大爆発でも起ったかのように全てが吹き飛んでいく。

聖騎士「っだあああああああああああああああああああああああん!!」

どがぁああああああああああああああああああああああああああん!!

聖騎士の右拳が魔王勇者の絶壁を打つ。するとその衝撃波が魔王勇者の後方に伝わって全てを破壊する風の渦となった。

ごごごごっごおごごごごごごごっごごごごっご!!!!

魔王勇者「」

聖騎士の前と後ろは世紀末である。

270

--風の大谷--

しゅぅうう……

聖騎士「ぬ、ぬぅ……!?」

魔王勇者「中々いいパンチだったな。だがレディーの胸元を弄るとは高潔ではないな」

聖騎士「な、なんと固い絶壁なのだぁあああ!! こんなに硬いおっぱいは初めてだぁああああああああああああああああ!!」

魔王勇者「よし殺す」

どぐしゃぁあ!!

聖騎士「うぐぼっ!?」

魔王勇者の膝蹴りが竜騎士の腹部を打つ。

聖騎士(わ、我の、防皮をいともたやすくだとぉ!?)

ぎゅん!!

聖騎士は衝撃で空中に飛ばされる。そしてそれを魔王勇者が追った。

271

--風の大谷--

聖騎士「んんなあぁああああああああぁああああああいい!!」

ばっ!!

聖騎士は空中で体勢を整えて魔王勇者の追撃に備える。

ひゅん

ぱあん!!

魔王勇者の右ストレート。それを聖騎士は片手で受け止めた。

聖騎士「ふん、この程度の攻撃では」

ばぁあああん!!

聖騎士「!?」

完全に受け止めたはずの魔王勇者の拳、しかしその衝撃は聖騎士の肩にまで伝わり、盛大に爆発した。

聖騎士「なっ、に!?」

魔王勇者「この程度、とは?」

272

--風の大谷--

聖騎士「こおおおののおおお!!」

聖騎士は回し蹴りを魔王勇者に放つ。

どぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃああああああ!!

とてつもない一撃に空間が揺れ、遠くに飛んでいた鳥の群れが地上へと落ちていく。

だというのに。

ぶしっ!!

聖騎士「!? わ、我の右足が!?」

聖騎士の右足の踵が粉砕されていた。

魔王勇者「己の強大な攻撃力にやられたか。これでは」

聖騎士「こおおおおおおおおれほどまでに胸が薄いとはぁあああああああああああああああ!!」

ずんっ!!

聖騎士「ごばっ!?」

魔王勇者「……いいだろう、お望み通りぶっ殺してやるッ!!」

涙目だった。

273

--風の大谷--

ひゅん、どがぁあああああああああん!!

聖騎士「ぐぅうう……」

地面に落下した聖騎士。既に再生していた手足でしっかりと受身を取っていた。

聖騎士「我の攻撃が通じぬとはぁ……この程度の火力でだめならぁばぁ、我が渾身の奥義を持って挑むしかぁ、ないなぁ!!」

……ぅん

聖騎士「……なんだ? 世界が暗く」

魔王勇者「……」

ズズズズズズ……

聖騎士「な、なんだ……この悪寒はぁ……」

闇が渦を作り、その中心にいる魔王勇者に集まっていく。
禍々しくも幻想的な光景。

魔王勇者「奥の手があるのだろ? 先に使わせてやる」

魔王勇者が掌を天に掲げると、漆黒の大剣が出現する。

274

--風の大谷--

聖騎士「ふ、ふざけおってぇえええ!!」

強大な魔力は重力すら狂わせ、地面に転がる石や瓦礫やモンスターの死骸などが空に浮かび始める。

聖騎士「ならあぁぁあああああばあぁ、見せてぇえやるぅぅぅ!! 我がっっ奥義をおおおおお!!」

ばっ!!

聖騎士は両手を魔王勇者へと向けた。

ばちっ、ばちばちいぃぃぃいいいい!!

魔王勇者「!」

聖騎士の掌に、魔力で出来た球体が出現する。その魔力たるや、今現在魔力を集めている魔王勇者以上!!

魔王勇者「……驚いたな。さすが勇者を超えし者……まさかこれほどの奥の手を持っていようとは」

ばりっばりばりばりいい!!

雷の玉がぴんぽん玉レベルにまで圧縮されると、更に魔力を追加、何重にも何重にもその工程を重ねていく。

ばりっ、ばりりっりいいい!!!!

天と地に強大な存在が二つできたことで世界は荒れ狂う。浮かび上がったいくつかは地上に落ち、いくつかは二人の間をぐるぐると飛び回っている。

275

--風の大谷--

聖騎士「か~○~」

魔王勇者「?」

呪文を口にしながら聖騎士は腕を引いていく。

聖騎士「○~め~」

まるで伏字が○子のよう。

ぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!

圧倒的な破壊力を持った玉が眼もくらむ閃光を放つ。

聖騎士「奥義ぃぃ、竜魂乙砲ぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっ!!」

ドギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!

魔王勇者「」

どがあああああああああああああああああああああああああああああああああん!!

276

--風の大谷--

どぉおおおおおん!!

ちゅどおおおおおん!!

攻撃の余波で次々と地上が破壊されていく。

聖騎士「防ぐこともせんとはぁあああ!! 直撃ぃぃぃだぁああああああ!!」

ひょどおおおんん!!

どおおおおおんん!!

荒れ狂う雷の砲撃は、攻撃対象だけではなく、周囲一帯の全てを破壊した。

しゅぅううぅううう……

ばちっ、ばちばちっ

聖騎士「ふぅうぅうう……」

びりっびりっ……

さすがの聖騎士も、このとてつもない威力の奥義を放つと反動があるらしく、動くことができない。

277

--風の大谷--

すっ

聖騎士「……なんだぁあ?」

すっ、すっ

再び……物体が空中に浮いていく……。

聖騎士「!? なっ、まぁさぁああかあああああ!!」

ぶわっ!!

魔王勇者「……」

なんと、空中には全くの無傷の魔王勇者が浮遊していた。

聖騎士「な、なん……だとぉ……」

魔王勇者「いい攻撃だった。単純な威力で言えば……魔族達を一度に百体ほど消し去ってしまえるかもしれないね」

そう、涼しい顔で魔王勇者は呟く。

聖騎士「あれを、受けて……ノーダメージ……だというのか……」

278

--風の大谷--

ゴゴゴゴゴ

魔王勇者「だって、魔王は勇者以外からはダメージを受けないし」

ぎぃいいいいいいいいいいいいいいいいん!!

今度は魔王勇者が持つ大剣が強力な波動を放つ。

ぎょぎょぎょっぎょぎょぎょ!!

魔王勇者「今度は、私の番……」

ぎぎぎっぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ!!

邪悪なる闇の渦が大剣に引き寄せられていく。

聖騎士「あ、ぐぅ!!」

全ての命ある者が恐怖する最悪な力。あの星でさえ怯えている。

ごごごごごごごごご

闇は大剣と一体化し、超大な剣となった。

魔王勇者「受けよ、我が奥義」

聖騎士「な……な……」

魔王勇者「魔王スラッシュ」

聖騎士「なんたるチイイイィィィトオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

279

--荒れ果てた地--

ズズゥウウン……

ハイ「!!」

ツインテ「!? この力は……」

遥か遠くの地にて強大な魔力の衝突を感じ、手を止める二人。

ハイ(一体どれだけの化け物同士が戦っているんでしょうか……この世界チートだらけです)

ちゃき

ハイはツインテの頭部に拳銃を構えた。

ハイ「さて、その腕を外させてもらいます。あなたはきっと自分が何をしているのかわかっていないんです」

ツインテ「……わかっていない?……わかってます、全部わかってます!! わかってないのは貴方達の方です!!」

ハイ「……はい?」

ツインテ「わかってないからこんなことをするんです! 勇者は滅ぼさなきゃいけないんです!! たとえ……それが大事な人たちだとしても!!」

ハイ「……それはなぜですか?」

ツインテは涙を零しながら叫ぶ。

ツインテ「魔王は……星の魔力を管理する存在なんです! そして勇者は、星から必要以上に魔力を奪う……だから星が悲鳴をあげているんです!! このままでは星ごと死んでしまう!!」

280

--荒れ果てた地--

ハイ「魔力の……管理者……? 魔王がですか?」

ツインテ「はい……」

ハイ「それは誰の言葉ですか?」

ツインテ「……知り合いの言葉です」

ハイ「私はそれは精霊の仕事だと聞いて育ちましたが……。しかしそれがもし本当だとしても、人を攻撃してくるのであれば倒すしかないじゃないですか」

ツインテ「……」

ハイ「魔力を吸い上げるのだって、魔王がいるからしなくちゃいけないんですよ。自分達の身を守るために。卵が先か鶏が先か……どちらが本当の原因なのか私にはわかりません」

ツインテ「ま、魔王は人を攻撃したくなんて、ないんです……本当は……」

ツインテは虚ろな瞳でハイを見る。

ハイ「もしかすると……ツインテ先輩の方が正しいのかもしれません……」

ツインテ「!」

ハイ「でも結局の所、私にはどっちが正しいのかなんて判断できません」

ツインテ「!?」

そして、ハイは笑う。

ハイ「なので、どうせ私にはわからない話なんだから、私は仲間を守る生き方を選びたいと思います」

かちゃ、ばきゅーーん!!

ツインテ「あぐっ!」

ハイの拳銃はツインテの右肩を撃ち、右腕を吹き飛ばした。

どっ

右腕は遠く離れた場所で魚のようにビチビチと跳ねている。

ハイ「ふっ。スキル、効果付与・切断。……どうです? 夢から、覚めましたか?」

最近やってたポケモンオリジンを見ました。とても懐かしくてよかったです! あぁ、あの頃に戻りたい……。

それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m

さらば三連休……それでは投下していきます!

281

--荒れ果てた地--

ツインテ「う……」

どくどくどくっ

腕の切断面から大量の血が流れていっている。それを見たハイは、

ハイ「っと、ルートチェンジ」

バシュ

再び賢者に変身し、ツインテに回復魔法をかけた。傷口を塞ぐレベルの回復魔法で。

ぱあぁあぁ

ツインテ「う…………ボク……は」

ハイ「気分はどうですか? ツインテ先輩」

282

--荒れ果てた地--

ツインテ「……はい……だいじょう、ぶ」

何度か目を擦ったあと、ツインテは突然青ざめた。

ツインテ「うっ……!」

がたがた

ハイ「え? あ、まだ痛かったですか!? あの腕まで再生しないように手加減したんですが……もしかして不完全でした?」

ツインテ「違い、ます……」

左腕で自分の顔を隠すツインテ。

ツインテ「違うんです……! ボクは……ボクは……一体なんてことを……!……よりによって皆さんを手にかけるだなんてっ!」

ぼろぼろと涙を零すツインテ。

ハイ「……よしっ、そう思えるのならもう正常ですね」

対照的にハイは笑う。

ハイ「初めまし……じゃないですね。私達はあまり好ましく無い出会いをしていたんでした……。あの時はどうもすいませんでした」

ぺこり

ツインテ「え、え? なんで貴女が謝るんですか??」

ハイ「ツインテ先輩がいない間にこのパーティに入れて貰ったハイと申します。若輩者ですが、これからよろしくお願いしますね、ツインテ先輩」

283

--退路--

数人の兵士と十代目を乗せた馬車が、荒れ地を駆け抜けていく。

ガタゴトガタゴトガタゴトガタゴト!!

臨時上位兵「守れー!! なんとしても十代目様だけは守るのだぁ!! 追跡してくる魔族のくそったれ共は、全部皆殺しにしてやれ!!」

うおー!

馬車に追随する馬に乗った兵士達。彼らは迫るモンスター達を次々と、槍や弓、拳や魔法で撃退していく。

グリフォン「ぎゅるるるらぁ!!」

ばさばさばさー!

護衛中位兵「ひっ!? がぁー!!」

無数のグリフォン達が一部の兵士達を襲う。

ぐちゅっ! ぶしゅっう!!

護衛中位兵「た、たすけっ、ひっ!!」

だからっだからっ!

護衛騎士「くっ……奴は見捨てろ、もう間に合わん!」

284

--退路--

だからっだからっ

臨時上位兵「くっ……本陣を捨てて逃げたまではいいが、この調子で王国まで逃げきれるか……?」

もそっ

十代目「私が出よう、づっ!!」

立ち上がったのもつかの間、すぐにバランスを崩して倒れてしまう。

どさっ

臨時上位兵「! 無理をしてはいけない! 貴方には……これからも戦い続けて貰わねばならないのだから」

十代目「だが兵士達を見殺しには……っ」

護衛騎士「ぎゃああああああああ!!」

馬車の外から断末魔が聞こえる。

285

--退路--

だからっ、だからっ

臨時上位兵「……見殺しに、してください」

十代目「!」

臨時上位兵「我らの代わりなど捨てるほどいます……ですが貴方の代わりだけはいないんだ……!」

臨時中位兵「……」

臨時上位兵「貴方は我ら人類の最後の希望……貴方がいなくては魔王を倒すことができない……無理をするのはその時だ、その時になったら死ぬまで戦って貰う!!」

汗と血と涙で彩られた気迫ある表情で叫ぶ。

十代目「……わかった」

十代目は再び元の位置で腰を下ろす。

護衛隊長「きっ、北の王国ばんざあああああいい!! ぎゃはっ!!」

兵士達の叫びを聞きながら……。

ガタゴトガタゴトガタゴト!!

286

--退路--

ダカラッダカラッダカラッダカラッダカラッダカラッ

護衛下位兵「静かですね……モンスター達の追撃が止んだ……?」

護衛上位兵「……変だな……まぁいい、どのみち注意して進むだけだ。気を抜くな」

護衛下位兵「はい!」

ダカラッダカラッ

ひひ

ダカラッダカラッ

ひひひ

護衛上位兵「……ん? 今お前なんか喋ったか?」

ダカラッダカラッ

護衛下位兵「いいえ? 何か聞こえたんですか?」

ダカラッダカラッ

護衛上位兵「……いや、気のせいだったようだ」

















「キノセイジャナイヨ」

287

--退路--

護衛上位、下位兵「「!?」」

ズズズズズズ……

護衛上位兵「な、なんだこれは!? 闇が……広がっていく!!」

オオォオォオオォオォ……

大地から、水辺から、空から、無数の死者の腕が生えてくる。

護衛上位兵「な、なんだこれは……俺は夢でも見ているのか……?」

護衛下位兵「……それとも俺達が知らぬ間に地獄に迷い混んでしまったのか……」

オオォオォ……

血みどろの腕が、風に吹かれる草原のように揺れている。

臨時上位兵「何が起こっているんだ……全員警戒体制!」

がたっ

十代目「! 奴が……来る!」

ガシッ!

護衛下位兵「……へ?」

足を死者の腕に捕まれる護衛下位兵。

288

--退路--

ズル!

護衛下位兵「お、おわぁあぁあぁあぁ!!」

馬「ひひぃーーん!!」

ずぷん……

護衛上位兵「!? 下位兵!? どこへいった下位兵!!」

護衛下位兵は、馬ごと闇の中に引きずり込まれて行った……。

オオォオォ……

護衛上位兵「っ……」

十代目「……」

ひひひひひ

オオォオォ……ひひひひ……

護衛上位兵「な、なんだ、魔族か!? 俺がこの程度で怯むと思うのか!? 来るなら恋!!」

「ならいくね」

ブシュッ!

護衛上位兵「……え?」

ブシッ、ブチチッ!!

上位兵の腹部が内側から無理やりこじ開けられていく。

護衛上位兵「あっ、あがっ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、ああああああああああ」

289

--退路--

みちちっ、びちっ!!

護衛上位兵「ひ、ひ、ひぃぎぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」

ドバシャー!

臨時上位兵「!?」

ばしゃしゃしゃしゃ

赤い色のシャワーが馬車にかかる。

フォーテ「じゃんじゃじゃーん! ガチキチヤンデレシスコン見た目幼女男の娘、フォーテちゃん!! さんっじょう!!」

上位兵の腹部の中から登場したフォーテは、血まみれのまま萌えポーズを取った。

ガタゴトガタゴトガタゴト!!

臨時上位兵「な、なんだあいつは……人間の、女の子?」

十代目「そう見えるか?」

すらぁっ

十代目は剣を抜いて構える。

臨時上位兵「いや……中身はひどいもんだ。ひどいもんが詰まってやがる」

290

--退路--

フォーテ「うるさいよ、おじしゃんっ」

どちゅちゅっ!!

臨時上位兵「ごぶっ!?」

闇から生えてきた腕が臨時上位兵の腹部を貫いた。そして闇の中へと沈めていく。

ずぷっ

十代目「今助ける!!」

ダッ!

臨時上位兵「い、いい!」

ぱしっ!

伸ばした手を払いのける上位兵。

十代目「なっ!?」

臨時上位兵「あ、貴方は、自分が生き残ることだけを、考えて、くれ」

オオォオォォオオォ

フォーテ「……」

臨時上位兵「こ、この先、俺の息子が生き残っていくには、それしかない、から、な」

ずぷん……

十代目「……」

291

--退路--

十代目「……」

だからっだからっだからっ

フォーテ「ん? あれれれー? やっぱり弱体化してるー? 前ほどではなくなっちゃったみたいだねっ」

フォーテは十代目の体を、上から下まで観察している。

フォーテ「フォーテちゃんがっかりっ」

ドンッ!!

十代目の魔力が一気に膨らんで、乗っていた馬車が吹き飛んだ。

十代目「供給要請……ステータス一段階上昇!」

ぐっ

十代目は剣を振り上げて

フォーテ「がっかりっ、って、言ったでしょ? カーズ」

ぎゅぅううん

十代目「!?」

フォーテ「あははっ、残念だったねぇ!! 強化と弱体の効果を逆転させる呪いかけちゃったっ!」

オォオォオォ!!

そして地上の死者の腕が十代目にラッシュをかける。

292

--???--

腹黒「えぇ、彼一人に全滅させられていたと思いますよ」

腹黒は何を当たり前のことを、とでも言うかのような表情で話を続ける。

腹黒「十代目勇者はかなりシンプルかつ高水準な勇者です。星から力を吸い上げる力も歴代の勇者と比べて最高レベル、先に精霊を倒して無かったら正直危なかったです」

むしゃむしゃ

脳筋「ん? 精霊を倒しておく必要ってあったのか?」

大きなおにぎりをほお張りながら脳筋は質問する。

腹黒「何を言ってるんですか、ありまくりですよ。なにせこの世界の魔力は精霊達が管理しているんですから。精霊がいなくなったことで魔力の総量が激減、彼が吸い上げられる力も少なくなってしまった……。もし精霊が健在だったのなら、今の5~10倍は戦闘力があがりますよ彼は」

脳筋「まじか! ……一度ガチンコでやってみてぇなぁ……オレわくわくすっぞ!」

腹黒「初撃で死んじゃいますよ、魔王なら(本当脳みそ筋肉だなこいつ)」



こつ、こつ、こつ

トリガー「そう、彼が勇者で君が魔王である限り、それは必然だ」

脳筋「お、トリガー。準備とやらは終わったのか?」

トリガー「いや? だがもうすぐだよ。それが終われば君達の出番だ」

腹黒「……」

トリガー「魔王では勇者には勝てない。魔王は勇者以外じゃ倒せない。けれど……」

脳筋「……」

トリガー「勇者を殺すことは、誰でもできる」

293

--???--

トリガー「と言ってもあれだけの強さを持つ十代目だ、生半可な戦力じゃ勝つことは出来ないだろう……だからこそのフォーテの出番なんだ」



--退路--

フォーテ「あは、あはははははは!!」

ぴちゃ、ぴちゃちゃっ

十代目「ぐぼっ!!」

死者の腕に貫かれた十代目はそのまま崖に貼り付けられている。

フォーテ「ねぇ、もうおしまいなの? フォーテ、もっと遊びたいのに」

十代目「ぐ、ぐっ!!」



トリガー「我らのジョーカー・フォーテなら、相性抜きに勇者を殺せるだろう」

294

--???--

腹黒「ですがフォーテの体は……」

トリガー「そうだね。呪魔法の代償でボロボロだ。もう何度も戦うことは出来ないだろう……。僕が与えた力の断片から、擬似とはいえ魔王化までしてしまったしね」

腹黒「擬似魔王化で本当によかった。完全に魔王化していたらさすがの私でも戻せませんでしたよ。……それに戻す際にかなりの負荷をかけてしまいました。下手をしたら今回の戦いが最後になるでしょう」

脳筋「……」

トリガー「一度でいいんだよ。十代目を、勇者さえフォーテが倒してしまえば、もう僕達を倒せるものは存在しなくなる」



--退路--

十代目(供給申請の効果が薄い……呪いをかけられ反転されたのに、この程度しか弱体化していない……良しと捕らえるべきか悪しと捕らえるべきか)

オォォオォォ

十代目(何にせよ、私は何が何でも生き残らねばならない!!)

ぶちちっ!!

フォーテ「!」

十代目は死者の腕を引き千切って地面に落下する。

どすっ

フォーテ「驚いた、まだそんな力が残ってたんだねっ。連戦につぐ連戦で体力も魔力も仲間さえも失って、ちょーボロボロなくせにっ」

十代目「それはお前もだろう?」

295

--退路--

フォーテ「……」

十代目「呪魔法は強力な代償を払って発動させる魔法だ。少し使っただけで精神と肉体に異常が出る危険な禁術……それをこれだけ使って大丈夫なはずがない」

フォーテ「……うるさいよ猫ちゃん」

十代目「体はどれだけ動く? ずっとその腕に乗っているところを見ると、もう歩けないんじゃないのか?」

フォーテ「う、うるさいっていってるじゃん!」

十代目「……魔王や魔族ならまだしも、そこまでして私を殺したい理由はなんだ……ただの人間である君が、なぜ」

フォーテ「……」

オオォオオォオォォ

死者の腕が十代目に迫っていく。

フォーテ「お姉ちゃんと、永遠に生きるんだ」

十代目「……何?」

フォーテ「君を殺せば永遠の世界を僕達にくれるって、トリガーが言ったんだ」

296

--退路--

十代目「バカな……そんな言葉を、信じたのか?」

フォーテ「……信じたよ。僕にはそれしかないんだから」

オオォォオオォォオォ

フォーテ「生まれた時から知ってた。この世界はバッドエンドの後の世界だってことを。だからどんなに頑張ったってハッピーエンドにはならないんだよ……」

だからせめてお姉ちゃんに殺されたかったのに、とフォーテは呟く。
一緒に生きる選択肢なんて知らなければよかったのに、とフォーテは呟く。

十代目「そんなことは無い……人は努力すればより良い未来を掴むことが出来る! 最悪の着地だって防ぐことが出来るんだ」

フォーテ「……」

それをフォーテは悲しそうな表情で聞いていた。

フォーテ「そう……そうまで言うんなら……」

オオォオォオ……

十代目「……」



    僕との戦いでバッドエンドにならないように、生き残って見せてよ



オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!

四方八方から死者の腕が十代目に襲いかかる!

十代目(何を言っても聞く耳持たない、か……なら)

ぎぃんん!!

十代目の剣が六色の光に包まれる。

十代目「奥義を使わせてもらう!!」

297

--退路--

フォーテ「ルート」




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えろぐいspろgkそfg

ズズズズズ……

1、十だい芽は、見ずかraその首をはねる。蘇生不可。
11、重堕いめは、水殻租の9尾ヲ羽る。蘇生不可。
111、ジュ宇多伊メ歯、身ズから疎野九尾をは寝る。蘇生不可。





十代目「」

十代目が一歩も踏み出すことなく勝負がついた……。
十代目はこの能力を知っているわけではない。だが、直感で終わりを覚悟した。

298

--退路--

111111111111111111111111111111111111111111111

十代目「……たった」

フォーテ「?」

十代目「たった一人の人間も救えないで、何が勇者だ……」

フォーテ「!?」

十代目「……すまない、少年」

ぐぐぐ

十代目は剣を振りかぶり、そして

ズバッ!!

フォーテ「……」

ごろっ

自らの首をはねた。

フォーテ「……………………ほら、やっぱりバッドエンドからは逃れられない」

フォーテは血の涙を流し、その場に倒れこんだ。

299

--荒れ果てた地--

ひゅぅううう

ツインテ「……」

ハイ「ほら、皆さんに言うことがあるんじゃありませんか?」

あの後ハイとツインテは全員を蘇生した。
そして今、ツインテの前には三人が立っている。

アッシュ「……」

ポニテ「……」

レン「……」

ツインテ「あ、あの、み、皆さん……その……えっと……」

見ているのが哀れになるほどツインテは狼狽している。

ツインテ「ほ、本当にごめんなさい!!……たとえどんな理由があったって、皆さんを殺すなんてことはあってはならないのに……!」

アッシュ(ギャグで死んだことはあるけどな)

ポニテ(場面が違えば挨拶みたいなもんだよね、この世界では)

レン「ツインテ……」

ツインテ「皆さんにはひどいことをしてしまいました……このことは償えるとは思いません……でもやれることならなんでもします!」

アッシュ「ん? 今何でもするって言ったよね?」

レン「黙れにゃっ!!」

すっ

ポニテ「ツインテちゃん……謝るのは私達の方だよ。あの時助けるって手を差し伸べられなかった……ツインテちゃんがこんなになるまで助けてあげられなかった」

むぎゅっ

ツインテ「ぽ、ポニテさん!? そ、それはポニテさん達のせいじゃないです!! 全部ボクがふがいないばかりに……!」

アッシュ「おっほん……ツインテ、悪いが俺達はお前から謝罪の言葉が聞きたいんじゃない」

ツインテ「!」

レン「アッシュ!? 何を言い出すにゃ!!」

アッシュ「お前なんかに謝ってもらう必要も無い」

ツインテ「……!!」

300

--荒れ果てた地--

ハイ「ちょっ、アッシュ先輩!?」

アッシュ「ポニテの言う通り、謝るのならむしろ俺らの方だ……」

ツインテ「あっ、あ」

アッシュ「だが今お前は魔王の手先だ。そんなやつに謝罪なんてしたくない」

ツインテ「っ」

アッシュ「お前は今どっちなんだ? 俺達のところに帰って来たのか? それともまだそっち側にいるつもりなのか?」

ツインテ「ぼ、ボクは……ボクは……」

アッシュ「俺達の……仲間のところに戻ってくる意思はあるのか?」 

ツインテ「……うっ……」

アッシュ「……なら、謝罪よりもほかに言うべきことがあるんじゃないのか?」

ツインテ「」

ポニテ「……」

ツインテ「え、で、でも」

レン「戻って、来てくれるんにゃよね? ツインテ……」

ツインテ「……また……このパーティに……入れて貰えるんですか……?」

アッシュ「当たり前だ」

ポニテ「当たり前だよ」

レン「当たり前にゃ!」

ハイ「……です」

ぶわっ

ツインテ「……ありがとう、ございます……皆さん……」

ハイ(……はぁ、よかった)

ツインテ「皆さん、ただいま!!」

ツインテがなかまにもどった!!







ずずず

  「やれやれ、やっぱり失敗しちゃったのね」

ツインテ「!? この声は!?」

ポニテ「!?」

魔王勇者「……残念だよ、ツインテ」

アッシュ「!? 闇の空間から出現した!? いやそれよりもこのプレッシャー!! まさか!!」

レン「生まれて始めての感覚にゃ……!! これほどのパワー……つまりこいつは」

ダッ!!

ハイ「!! ポニテさん!! 近づいちゃ駄目です!! それは」

ポニテ「い、生きて、たんだね」

魔王勇者「……」

ポニテ「ママ!!」

それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m

こんばんは。
そういえば三人の親はこれで全部出たのかな?? 皆さんの予想は当たりましたでしょうか?
それでは……投下します!

301

--荒れ果てた地--

アッシュ「な、なん……だと……?」

レン「この人が……ポニテのママ……にゃ?」

魔王勇者「……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

アッシュ「いや……どっからどうみてもロリじゃねぇか」

レン「ポニテの妹っていうならまだわからなくも無いにゃが……」

ハイ「えっ? えっ? えっ?」

アッシュ「だがまぁ……似ている部分があるのは事実だ」

レン「……挨拶だけでもしておくかにゃ」

ざっ

魔王勇者「?」

アッシュ「いつも娘さんをお世話してます、アッシュと言います」

レン「同じくにゃ。初めまして、五柱の一角、ものつくり帝のレンと言いますにゃ」

ハイ(挨拶はじめたー)

302

--荒れ果てた地--

ポニテ「ママ、今まで一体どこにいたの? 私ずっと探してたんだよ? それに、なにその鎧……なんだか」

オオォオォ

ポニテは魔王勇者の纏う黒い鎧から不安を感じる。

ハイ「ポニテ先輩……その人本当に、ポニテ先輩のお母さんなんですか?」

ツインテ「ごくっ」

ポニテ「そうだよ? 私のママは凄く若く見えるんだ! 昔でさえ姉妹みたいに見られてたんだから!!」

嬉しそうにはしゃぐポニテ。

ハイ「……でも、その力……とてもこちら側の存在とは思えないんですけど……」

魔王勇者「……」

ゴゴゴゴゴゴ

ポニテ「な、何を言ってるの!? 失礼だよハイちゃん!! 私のママは正義の人なんだから!! そうだ、ねぇツインテちゃん、ママのこと知ってるみたいだったけれどどこで会ってたの!? 知ってたのなら早く教えてくれたらよかったのに!!」

びくっ

ツインテは震えながら言葉を紡ぐ。

ツインテ「ぽ、ポニテさんのお母さんだとは知りませんでした……だ、だってその人は……現魔王さん……なんですから」

アッシュ「!? 何っ!?」

レン「!!」

ツインテ「ま、まさかお二人がそんな関係だったなんて……」

ポニテ「な、なにを、言って……ち、違うよね? ママ……ママは魔王なんかじゃ無いよね?」

魔王勇者「さっきからお前は何を言ってるの?」

303

--荒れ果てた地--

ぎぃゆぅん

魔王勇者の人差し指に魔力が集約される。

アッシュ「!? 逃げろポニテ!! その魔力、冗談じゃすまされないぞ!!」

ポニテ「ま、ママ!? どうしたの!? あ、危ないよ……私だよ、ママの娘、ポニテだよ!!」

魔王勇者「私はお前など知らない」

ポニテ「」

魔王勇者「そもそも私には娘などいない」

ポニテ「…………え」

ハイ「逃げてくださいポニテ先輩!!」

ぼっ

人差し指から発射された小さな小さな魔力の弾丸。
それは、ポニテの肌にふわりと着弾し、

ポニテ「……マ」

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!


















半径十キロ以内の全てを吹き飛ばした。

304

--荒れ果てた地--






しゅぅうう……

魔王勇者「……」

どさっ

アッシュ「げほっごほっ!」

魔王勇者「へぇ。あれを耐えた?……なるほど、多重属性防御障壁、か」

ブゥウウン

ハイ(水、氷、土の三種属性による障壁魔法重ねがけ……異なる属性を重ねると通常の何倍もの防御力を発揮する……)

ツインテ(はずなのに……軽減しか、出来なかった)

レン(冗談じゃないにゃ……無詠唱でこの威力……)

ぱりぃん

ダメージを軽減することは出来たが、防御障壁は完全に破壊されてしまう。

ぽたっ、ぽたたっ

ツインテ(強力な防御魔法の上からこのダメージ……)

魔王勇者に一番近い位置にいたポニテは、

ポニテ「ま……ま」

下半身が無かった。

305

--荒れ果てた地--

ツインテ「ポニテさん!!」

しゅる

ツインテは触手を使ってポニテを回収する。

ツインテ「! ……ひどい……」

ポニテの千切れた下半身はどこを探しても無い。それはすなわち……

アッシュ「ばかな! ポニテ!!」

ハイ「……消滅……させられた……? それじゃポニテ先輩は、もう」

ツインテ「そん……な……やっと、お母さんに会えたのに」

ぼっぼっ

レン「! ツインテ! 魔力供給にゃ! ポニテに魔力供給するにゃ!」

ツインテ「……え?」

306

--荒れ果てた地--

アッシュ「……回復魔法じゃないのか……?」

レン「いいから早く!!」

ツインテ「わ、わかりました! 魔力供給レベル4!!」

ぽぅう

ハイ(魔力供給……? 一体なぜ……あ)

しゅぅう

アッシュ「!? 足が、生えてきた!?」

レン「とっさに精霊化してたみたいにゃ……精霊状態なら体は魔力で出来てるからこれでいいのにゃ」

ツインテ「よ、よかった……!」

ざっ

魔王勇者「私のこと、無視してて大丈夫なの?」

アッシュ「っ! ツインテ! ポニテのことは頼んだぞ!! スキル、人殺し!!」

アッシュの右目が裏返る。

アッシュ「更にスキル、反転、魔殺モード!!」

ぼぅっ!!

アッシュの右目が真っ赤に燃えている。

307

--荒れ果てた地--

アッシュ「あんたが本当にポニテの母親なのか俺にはわからないが……」

すらぁ

アッシュはナイフを抜いた。

アッシュ「今の攻撃……俺らの敵と認識する理由としては十分過ぎる!!」

ひゅん!!

アッシュは風のように走る。

魔王勇者「……少し遊んでみるか」

ぎぃん!!

アッシュのナイフを人差し指で止める魔王勇者。

アッシュ「なっ!?……く、おおおおおおおおおおおおおおおお!!」

ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギン!!!!

超高速の連続斬撃。

魔王勇者「早いな。ウェンディゴより早いかもしれない」

それを涼しい顔で全て防ぐ魔王勇者。もちろん人差し指しか使っていない。

ギィンッ!!

アッシュ(そんな……俺は、強くなったはずなのに)

魔王勇者「? 何? もう終わり?」

308

--荒れ果てた地--

レン「アッシュ!!」

ハイ「アッシュ先輩! どいてください!!」

アッシュ「!!」

声に反応して振り向くと、後方でハイとレンが大砲を構えていた。

しゅばっ!!

アッシュがその場から離れると、

魔王勇者「?」

ハイ「ユニコーンバスタアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

レン「七番機、ファイア!!」

二つの大砲が火を吹いた。

ドギョアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!

309

--荒れ果てた地--

ドグォッォオオオオオオン!!

ポニテ「う、ん……」

ツインテ「! 気づきましたか!? よかった……!」

ツインテは泣きながらポニテに抱きついた。

しゅたっ

その二人の傍に着地するアッシュ。

アッシュ「おい、ポニテ! あれは本当にお前の母親なのか!? あの圧倒的な戦闘力……あの嫌な感覚……やっぱりあれは」

ポニテ「はっ!」

がばっ!

ポニテは飛び起きて爆炎の中心を見る。

ゴゴゴゴゴ

レン「……ハイ、どう思うにゃ? 倒せたと思うかにゃ?」

ハイ「無理……だと思います」

……ざしゃ

310

--荒れ果てた地--

ざしゃ、ざしゃ

ポニテ「!」

魔王勇者「中々いい攻撃だった。並の魔族なら一たまりもないな」

ケロっとした表情で現れた魔王勇者。それを見たレンは恐怖を感じ、

レン「っ!! はぁああ!!」

ドギュウーーー!!

二射目を放つ。

ぺしっ、ドゴオオオオン!!

それを埃でも払うかのように弾く魔王勇者。彼女の歩みを一コンマたりとも遅らせることは出来なかった。

レン「……っ!!」

がしゃっ

レンは大砲を手放して地面にしゃがみこむ。
そして大砲はゴーレムの形に戻った。
今のやりとりだけで、レンの心が折れた証拠だった。

311

--荒れ果てた地--

魔王勇者「終わり?」

ハイ「……」

ツインテ「っ、っ……」

アッシュ「ちっ……」

ポニテ「あ、う……」

レン「つよ、すぎる……」

圧倒的過ぎる力を目の当たりにし、五人は動けなくなってしまう。
全員、三強レベルに匹敵する実力者だ。それだからこそ、とても埋めることの出来ない実力差に気づいてしまう……。

魔王勇者「……終わりか。なんだ、この程度なら最初から私が出向けばよかったな」

ざっ

びくっ!!

魔王勇者が一歩前に進んだけで、五人は飛び跳ねるように後退する。

魔王勇者「……ふふ」

312

--荒れ果てた地--

ドガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

ハイ「!!」

にらみ合うようにして立っていたハイ達だったが、その沈黙を破るかのように、空から砲撃が降ってきた。

魔王勇者「……なん、」

ドガドガドガッドガドガガガガガガドガアアアアアアアアアアアアアアン!!!!

アッシュ「うおっ!?」

爆撃。魔力による強力な連続攻撃がスコールのように魔王勇者を攻める。

ゥゥウン……

ハイ「げほっ! い、一体だれが」

上空には、

魔導長「はっ、はっ、はっ!……ふぅ……」

元賢帝「まったく、私がこんなことを手伝わなきゃならないなんて」

射王「……」

レン「五柱!!」

313

--荒れ果てた地--

しゅぅうう……

魔王勇者「……あぁ、亡国の生き残りがいたっけ」

魔導長「私達はしぶといなの……例え帰る場所を完膚なきまでに壊されちゃったとしてもね」

アッシュ「帰る……場所?」

魔王勇者「? なんだ? 知らなかったのか?……そうか。妖精郷は時間の流れが違うんだったね」

レン「何を言ってるんだにゃ?」

がくがくがく

震えだすツインテ。

ハイ「ツインテ先輩? どうかしました? もしや流れ弾が!?」

ツインテ「そう、だった……そうだった」

ハイ「?」

魔導長「魔王軍による全王国同時侵攻。魔族30体を使用した大掛かりな殲滅戦……それが三日前まで行われてたなの」

アッシュ「!? 魔族30体だと!? そんな戦力……」

魔王勇者「そう。そして五日間にも渡る大戦争のうち、勝利したのは我らだ」

ハイ「」

アッシュ「」

ポニテ「」

レン「」

魔王勇者「世界で生き残っている人間は、もはや三桁もいないだろう」

314

--荒れ果てた地--

アッシュ「そん、な……」

どさっ

膝から崩れ落ちるアッシュ。

ツインテ「ごめんなさいごめんなさい……ボクは……なんでそれを見てるだけだったんだろう……!」

レン「れ、レン達は、もう、負けて、た?」

ポニテ「もう何がなんだかわからないよぉ!! なんでそんなことになっちゃってるのぉ!? なんで、なんでママが魔王になってるのよぉ!!」

ハイ「……」

崩れ落ちる四人の中、一人ハイだけが心折れずに立っていた。

ハイ「……皆さん諦めちゃだめですよ。まだ私達が生きてるじゃないですか……!」

ツインテ「……」

アッシュ「……」

ポニテ「……」

レン「……」

もう、誰も立ち上がれない。

315

--荒れ果てた地--

魔王勇者「国も滅ぼされ、今代の勇者さえ殺されたというのに……人は本当に悪あがきが好きだな」

魔導長「!……人が生きている限り、希望は残るなの!!」

魔王勇者「へぇ。ならどうするの? 四代目勇者の子孫にして、現最高クラスの攻撃魔法の使い手さん。そのお前の攻撃でさえ私を傷つけることが出来ないというのに」

魔導長「そう、ね」

しゃっ

魔王勇者「!」

すたっ

魔導長の魔力の上に乗っていた射王は、話の途中で飛び降りてハイ達の所に。

射王「逃げるぞ」

射王は座り込んでいるツインテ達の腕を掴んで強引に立ち上がらせる。

レン「しゃ、射王お兄ちゃん」

射王「ほーけてる状況じゃねぇぞ。しっかりしやがれ」

魔王勇者「……逃がすわけないでしょ」

ぎゅぃぃん

また魔王勇者の掌に魔力が込められていく。

316

--荒れ果てた地--

どがぁああぁあん!!

それを魔導長が射撃する。

魔王勇者「っ……」

魔導長「絶対無敵の魔王様が一体何を恐れているなの? あんな子供の五人やそこら、逃がしたって問題ないはずなの」

魔王勇者「……」

魔導長「なーんて……やっぱり怖いのね。勇者に覚醒するかもしれないあの子達が」

魔王勇者「……」

元賢帝「はぁ、あまり煽るのはやめて頂戴よぉ。これから戦うのが怖くなるじゃないのぉ」

魔導長「うるさいなの。最後くらいかっこよく決めてなの」

元賢帝「……わたしはかっこいいんじゃなくて綺麗の方がいいわん」

魔王勇者「」

ずず

魔王勇者が黒いもやに包まれていく。

魔王勇者「目障りよ。蝿が」

317

--荒れ果てた地--

仮面「うきゅー?」

妖精郷の入り口があった場所から、もそもそと現れた仮面を被った幼女。
幼女は頭の埃を両手で払いのけながらきょろきょろと周りを見渡している。

ドオォオン!

そして少し離れた場所でとてつもない戦闘が行われているのに気づく。

318

--荒れ果てた地--

ザザザザザ!!

アッシュ「はっ、はっ、はっ!!」

ハイ「どこに逃げるつもりですか? さっきの話が本当なら逃げる場所なんてどこにも……」

射王「生き残ったやつらが作った隠れ里だ。そこまで百キロくらいあるが休憩無しで行くぞ」

レン「……」

ザザザザザ!!

射王「……レン、お前も五柱になったんだろ? しゃきっとしろしゃきっと」

レン「こんな状況じゃ、しゃきっとなんてできないにゃ……」

ポニテ「世界は……もう滅んでたなんて……」

射王「……こんな状況だからこそしゃきっとすんだよ。ほら背筋伸ばせや」

アッシュ「……」

射王「……お前達に全てを託して、人類最強レベルの二人が時間稼ぎしてんだぞ。それなのにお前らがこんなんじゃ浮かばれないだろうが」

ツインテ「!? 浮かばれ……え」

射王「あぁ……まぁ死ぬだろうな」

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

ハイ「!?」

突如、後方で真っ黒な炎の柱が上がる。
強力な魔力同士が衝突したのだ。そして……

ゴゴゴゴゴゴゴ……

319

--荒れ果てた地--

ザザザザザ!!

射王「……おいおいまじかよ。まさかもうか?」

ひゅんっ

アッシュ「! 何か飛んできたぞ!!」

どかっ!!

ハイ達はかろうじてかわし、地面に激突したそれを凝視した。

ツインテ「……!?」

ポニテ「ひっ!?」

それは……ぐちゃぐちゃに潰れた魔導長の首だった。

魔王勇者「時間稼ぎなんて、出来るはずがないのに」

射王「ッ!!」

背後からの声に超速で反応し、矢を放つ射王。

射王「効果付与、貫通!!」

ドキュッ!!

魔王勇者「うるさい」

ばしっ

魔王勇者は蝿でも叩き落すかのように矢を破壊し、追撃の体勢に移った射王の首をねじ切った。

ごきっ、ぶちっ!
ぶしゃーーーーーーーーーー

320

--荒れ果てた地--

ごろんごろん……

ツインテ「ひっ、ひっ、ひっ!!」

ぐしゃっ!!

射王の生首を踏み砕く魔王勇者。
ハイ達を絶望に落とす演出というわけではない、ただ単に進行方向にあったから踏んだだけだった。

魔王勇者「……守ってくれる人、いなくなっちゃったね」

アッシュ「ぐ、ぐぐ……」

あのアッシュがガタガタと震えている。

ツインテ「い、いやあああああああああああああああ!!」

びゅぅん!!

無意識に放つ絶対回復領域。

魔王勇者「じゃま」

ばきぃいん!!

それも魔王勇者が息を吹きかけるだけで解除されてしまう。

レン「あっ、あっ……もう……終わりにゃ」

321

--荒れ果てた地--

魔王勇者「チェック、メイト」

ギュアワワワワワ!!

魔王勇者が翳す右手に魔力が集約されていく。もはや何も感じない。ハイ達の感覚器官では、そこにどれほどの魔力が込められているのかすら測定できない。

ズズズ

魔王勇者「? なんだ、気が早いなトリガーは」

突然、魔王勇者の背後に闇が広がり始め、そこから無数の魔族が出現する。

ズズズ

赤鬼「ふしゅるるるぅ」

青竜人「んぶるるぁあぁあ」

ゴゴゴゴゴゴゴ……

アッシュ「ま、魔族が……こんなに……」

ポニテ「! 知ってる人に似た人がちらほら、いる……」

魔王勇者「……そりゃそうよ。なにせ全ての国を落としたからね。どう? 圧巻でしょ? 千体の魔族なんて、滅多に見れるものじゃないよ」

レン「う、うぅ……」

魔王勇者「これで地表に残る全ての人間を一掃する……よかったねあんた達は。魔族じゃなくて魔王である私に始末して貰えるなんてさ」

ギュゥイイイイイイイン!!

322

--荒れ果てた地--

剣魔人「斬っていいのか? あれ」

雷獣「待ちましょう。魔王が決着をつけるようですから」

風獣「うちもやりたかったわ~。魔導長とも戦いたかったし……なぁ雷獣ちゃん?」

ゴゴゴゴゴ

千体の魔族達は観客のようにハイ達の処刑を眺めている。

ツインテ(駄目だ……逃げる場所なんて、どこにもない……フォーテちゃんも、きっと……)

ツインテの瞳から涙が零れ落ちる。

アッシュ(くそ……こんな攻撃……防げるわけがない)

からん

アッシュはナイフを落とす。

ポニテ「なんでよぉ、うぅ、ママァ……!」

泣きじゃくるポニテ。

レン(せめて……ツインテと一緒に……)

光を失ったレンの瞳。

ハイ「……」

絶望に染まっていくその状況で、

ハイ「み、皆さん!! 頼みがあります!!」

ハイが叫んだ。

ハイ「私を信じて死んでください!!!!」

323

--荒れ果てた地--

ツインテ「えっ」

アッシュ「……は?」

ポニテ「ぐすっ、うぅっ!」

レン「何……言ってるにゃ? 言われなくてももうすぐ死ぬにゃ……」

ハイ「違うんです!! 最後にあがくためなんです!! 最後まで諦めないためなんですッ!!」

イィィイイイン

魔王勇者「……何を言ってるのかわからないけど……もう終わりだから」

ハイ「!?」

掌の魔力が臨界点を迎える。

ギイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!

魔王勇者「じゃあ……」

ポニテ「……やめて……やめてよママ……助けてよッ、ママアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

ドッギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!

魔王勇者は、一切の迷い無く、ハイ達に向けて魔力砲を放った。

ツインテ「」

アッシュ「」

ポニテ「」

レン「」

ハイ「く、そ」







































             「もちろん、助けるよ」

324

--荒れ果てた地--

フォンッ
ギャギャギャギャッギャギャギャギャッギャギャギャギャギャギャギャ!!

魔王勇者「!?」

突如現れた赤い閃光が魔王勇者と五人の間に割って入り、

ドギャアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

いともたやすく魔力砲を両断した。

魔王勇者「!!?? な、にっ!?」

タッ!

そして

            ズバァン!! ギャギャギャギャッ!!

             魔族A「ぎゃっ!?」

             魔族B「ぐはっ!!」


    ギャギャギャギャッ!!

    魔族C「ッ!!」

    魔族D「いぎゅっ!?」

超高速で移動する赤い閃光。手に持った大剣で逃げ惑う魔族達を切り刻んでいく……。

                 ギャギャギャギャッ!!
                            ギャギャギャギャギャギャギャッ!!

                 魔族E「ひぎっ!?」

                            魔族F「あぎゃああ!?」


                     ギャギャギャギャッ!!
        ギャギャギャギャギャギャギャッ!!
                                   ギャギャギャギャッ!!
              ギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャッ!!!!


魔王勇者「」

それは瞬く間に千の魔族を切り伏せた……。

ドサドサドサドサドササッ!!

魔王勇者「ば、ばかな……こんな……こんなこと出来るやつがいるわけ……」

ドオオオオン!!

魔王勇者の背後で大爆発を起こす魔族達……。

ざっ!

そして……赤い閃光が魔王勇者の眼前に降り立った。

325

--荒れ果てた地--

カランカラン

赤い閃光が付けていた仮面が落ちる。

魔王勇者「ッ!? な、なに!? なん……で、その顔はっ!!」

ざぁあああ

少女の赤い髪の毛が風に流れる。

ツインテ「えっ……」

少女は赤い鎧を身に纏っている。

アッシュ「なん、だと」

少女の赤いマントが靡いている。

レン「これは……」

少女は身の丈に合わない大剣を握っている。

ハイ「う、そ」

少女の胸は究極の絶壁である。

ポニテ「え、え……え?」







           勇者「勇者、参上」

やっと……やっと勇者が本編に登場しました。
この展開を書きたい書きたいとずっと思いながら、気づけば三年以上も経過してました……長かった……。

というわけで増量回でした。

それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m

こんばんは! 遅れてしまいました!
それでは投下していきます。

326

--荒れ果てた地--

ツインテ「お、同じ顔が……」

アッシュ「二人……?」

ポニテ「ま、ママが分裂!?」

レン「双子かな?(すっとぼけ)」

ハイ「は、はいー?」

ひゅううぅ

魔王勇者「お、お前は……一体……」

ざっ

勇者「退きなさい、別ルートの私」

ハイ「……」

ツインテ「……」

アッシュ「……」

ポニテ「……」

レン「……」

ハイ、ツインテ、アッシュ、ポニテ、レン「「「ッ!?」」」

327

--荒れ果てた地--

魔王勇者「なん……だと……? な、何を言っている!」

勇者の言葉を聞いた魔王勇者は戸惑っている。

勇者「そう……貴女、何も知らないんだ。自分が別ルートから召還されたことを」

魔王勇者「ふ、ふざけるな! わけのわからない戯言ばかりッ!! 揺さぶりをかけるつもりだな!?」

ひゅおぉぉお

魔王勇者は自分でも気づかないうちに、少しずつ下がっている。

勇者「トリガーは選択肢<ルート>を操る」

魔王勇者「!?」

ハイ「る、ルート……? どこかで聞いたような」

アッシュ「ルートって……あれか? フォーテが前俺達に使ってきた」

ポニテ「……どうしようもない強制力を感じたよ……まるで抗えぬ運命のような」

228

--荒れ果てた地--

魔王勇者「……ええぃ、偽物の戯言など信じられるか! お前はこの私の手で!!」

魔王勇者が黒い大剣を振りかぶる。

ずずず

トリガー「そこまでにしよう。魔王勇者」

魔王勇者「ッ!?」

そこに、絶妙のタイミングでトリガーが現れた。

勇者「……久しぶりね、トリガー」

しかしトリガーを確認出来るのは勇者と魔王勇者のみ。

アッシュ(トリガー……? 誰かが現れたのか? 何も見えんが)

ざっ

ハイ達は見えない相手に対して身構えた。

229

--荒れ果てた地--

トリガー「久しぶり……やれやれ、とっくに死んでしまったものかと思っていたよ。一体どうやって今まで僕の目を欺き続

けることが出来たのかな?」

勇者「これよ」

からっ

勇者は仮面を拾い上げる。

勇者「姿隠しの仮面。これを付けている最中は姿がランダムで変化し、いかなる探知でも見つけられなくなる」

トリガー「なるほど……そんなものもあったか……」

魔王勇者「と、トリガー! これはどういうことなんだ! 私に説明しろ!」

トリガー「うん、もちろんするよ。だが一旦引いてからだ。今回でほぼすべての魔族を失ってしまったし、それに彼女は君
にとって最悪に相性が悪い」

魔王勇者「……私に愛称が良い?……つまりそれは」

トリガー「彼女は先代の勇者だ。そして紛れもなく勇者の力を有している」

230

--荒れ果てた地--

魔王勇者「!?」

トリガー「どうやって維持しているのかはわからないけどね……さぁ、帰ろう。彼女が見逃してくれるというのだから」

魔王勇者「……っ」

ズズズ

闇の扉が再び開く。

すっ

魔王勇者「……」

トリガー「? さぁ、魔王勇者」

魔王勇者「……お前は」

勇者「……」

魔王勇者「お前は必ず、私が斬る!」

勇者「……えぇ、私もよ」

トリガー「……」

ズズズ……

トリガー達は闇の中へと消える。

231

--荒れ果てた地--

しぃーん

勇者「……ふぅ」

どさどさどさっ!!

勇者「? ……ふふっ、緊張しちゃった?」

一斉に地面に倒れ混む五人。

アッシュ「はっ、はっ、はっ!……し、死ぬかと……本気で死ぬかと思った……!!」

ツインテ「ボクたち……まだ生きてますよね……?」

レン「生き、てるにゃ……! 生還にゃツインテ!」

ハイ「うぅ……ごりごり精神削られました……」

ポニテ「……」

ハイ「ポニテ先輩?」

ポニテ「……う」

ぽろぽろと涙を流し始めるポニテ。

232

--荒れ果てた地--

ハイ「ぽ、ポニテ先輩」

ポニテ「うっ、うぅ、うぅう!!」

涙で一杯になった瞳でポニテは勇者を見ている。

ざんっ

勇者は大剣を地面に突き刺し、両手を広げた。

勇者「……おいで?」

ポニテ「うっ……うわぁあぁあぁあん!!」

だっ! だだだだだだだっ!!

ポニテは泣きながら勇者の平らな胸に飛び込んだ。

がばっ!

ポニテ「うわぁあぁあぁあん!! うわぁあぁあぁあん!! 怖かったよぉ! 寂しかったよぉ!!」

233

--荒れ果てた地--

勇者「よしよし……随分大きくなったのに、相変わらず甘えん坊のままだねポニテは」

ポニテ「仕方ないよぉ! うわぁあぁあぁあん!!」

幼児体型の勇者に、子供のように泣きつき甘えるポニテだった。

ツインテ「ポニテさん……ぐすっ」

ツインテもついついもらい泣き。

アッシュ「……ふん、両親を探す目的で旅を始めたとも言っていたしな。今日くらいは泣くのを許可してやる……」

ずびっ

ハイ「……くすっ、アッシュ先輩が誰よりも泣いてるんですがそれは」

レン「しかも偽者とはいえ、やっと会えたと思った母親に殺されかけたんだにゃ。今はぐちゃぐちゃな気持ちのはずにゃ」

ポニテ「うわぁあぁあぁあん!! うわぁあぁあぁあん!!」

勇者「……しかし……随分たわわに実ったわね」

勇者もなんだか泣きそうだった。

234

--荒れ果てた地--

勇者「さて、もう大体のことは話の流れでわかったと思うけど、私がポニテの母にして先代の九代目勇者です。よろしくね」

アッシュ「アッシュだ。いつも娘さんのお世話してます」

ツインテ「アッシュ君ッ!? ……あ、ツインテです。ポニテさんにはよくしてもらっています。いつもポニテさんに助けて貰ってばかりで……」

レン「五柱のレンにゃ。ポニテとは仲良くさせてもらってますにゃ」

ハイ「私、中央郵便局所属……じゃなかった。ハイです。ポニテ先輩には……いつもおっぱい揉まれてます」

ポニテ「も、もうみんなったら! なんだか恥ずかしいなぁ!!」

てれてれしてるポニちゃん。

ハイ(あれ? ささやかな密告が理解されない……?)

235

--荒れ果てた地--

勇者「うん、自己紹介どうも。でもみんなのことは調べてあるからそれなりに知ってるわ。なので……さっそく移動しましょう。あまり時間がないのよ」

そういうと勇者はハイ達に背を向けて、バラバラに散らばる魔導長達を視認する。

勇者「ふむ……範囲選択、火属性蘇生魔法レベル4」

ぼっ ぼぼぼっ

勇者の掌から無数の火の玉が飛んでいく。それは散らばった魔導長達の肉片のところに行ったかと思うと、一箇所に集まって合体する。

アッシュ「む」

三つの大きな火の玉が出来上がり、その中から無傷の魔導長達が現れた。

ツインテ「ひ、火属性で蘇生を? 水じゃなくてですか?」

勇者「うん。汚染されている可能性があったからね。疑わしい時は浄化の力を持つ火属性での蘇生の方が楽なのよ」

ツインテ「な、なるほど」(知らなかった)

Qw0(ぼくも)

236

--荒れ果てた地--

魔導長「う、うん……?」

次々に元の姿で復活する三人。

魔導長「あれ? 私死んだはずじゃ? なの」

ツインテ「あ、気が付きましたか? ……これ、コートどうぞ」

魔導長達はマッパだった。

ハイ「それで行くって、どこにですか?」

ハイが勇者に質問する。

勇者「私達が集めた最後の戦力が集う場所よ。ほんとは……全員助けられれば良かったんだけどね」

勇者は困ったように笑いながら言う。

ハイ「最後の……戦力……?」

ひゅおおぉお

風が、吹く。

勇者「そう。そしてこれで揃った……これより人類の反撃を開始する」












   勇者と魔王がアイを募集した

      第三部
       リベリオン

237

--???--

魔王勇者「い、一体どういうことなんだ!! あいつ、私と同じ顔だったぞ!!」

トリガー「落ち着くんだ、魔王勇者」

魔王勇者「しかもあいつ、私のことを、別ルートの私だとか!」

トリガー「落ち着いて。大丈夫、君の心配するようなことなんてないんだから」

トリガーは魔王勇者の頭に手を置くも、

ばしっ!!

払いのけられてしまう。

トリガー「……」

魔王勇者「はっ! はっ! はっ!!」

トリガー(やれやれ、相変わらず君は精神が弱いな……)

238

--???--

すたすた

カトブレパス「どう、したんですか? 魔王勇者さんに何かあったんですか?」

騒ぎを聞きつれて中からカトブレパスが現れる。

トリガー「なんでもないよ。ただちょっとした誤算があったんだ」

カトブレパス「誤算?」

トリガー「君が心配するようなことじゃないよ。それより彼女を見てあげていて欲しい。今は不安定だからね」

魔王勇者「ふーっ! ふーっ!」

カトブレパス「わ、わかりました」

魔王勇者「私は、私、うぅ、どこ、どこいるのよ盗賊ぅ!」

トリガー「……性急に手を打たないといけないね」

239

--???--

トリガー「そういえば君が連れてきた人間、今はどこにいる?」

カトブレパス「あぁ、彼らなら腹黒さんが魔族に改造しようとさっき地下室に」

トリガー「いけない」

びゅぅん

トリガーは一瞬で姿を消した。

カトブレパス「……一体何が起きているんだ?」

カトブレパスは震えている魔王勇者の肩を抱く。



トリガー「……彼らならもしかしたら……」

闇の中を移動するトリガーは呟く。

240

--???--

ずずず

トリガー「腹黒」

腹黒「わっ! ……いきなり出てこないで下さいよ……驚くじゃないですか……(びっくりするだろうがくそっ!!)」

トリガー「彼らの魔族化は中止だ」

腹黒「……なんですって?」

トリガー「ちょっと予想外の自体に陥ってね。彼らを魔族化させないほうが都合がいいんだ」

腹黒「ふむ……何か策があるのなら、私はかまいませんが……」

そういって腹黒は機械を操作する。すると五つのカプセルが同時に開いていく。

ぷしゅー

トリガー「おはよう君達。君達にちょっと仕事をしてもらいたいんだ」

びしゃっ

カプセルの中から現れた五人。

賭博師「……」

符術師「……」

通信師「……」

医師「……」

トリガー「勇者候補を、倒してきて欲しい」

侍「……」

今回はちょっと忙しさのあまり少なくなってしまいました、次回からはそんなことがないようにしたいです!!

あとwikiのPASSを解除したいと思います! ぜひ皆さん見てみてください。ほとんど一人で書いてくださってますが、必見です!


それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m

おい>>1wwwwwwwwww

遅くなりました……それでは更新していきます。

え? ど、どうしました?>>641さん

241

--???--

侍「――勇者候補……とは、一体誰でござる?」

トリガー「わざわざ名前を言う必要があるかな? 君なら見当がついていると思うんだけど?」

侍「……」

通信師「侍?」

ぎり

侍は静かに拳を握りしめている。

トリガー「さぁ、善は急げだ。これ以上面倒ごとはごめんだからね……さっそくやってもらうよ」

侍「……」

242

--荒れ果てた地--

勇者「ぴゅーい! おいでグリフォン」

勇者の呼ぶ声に反応し、天空から巨大なグリフォンが飛んでくる。

ゴオオオオオオオバサッ

グリフォン「イエス、マムッ!」

バサァっ!!

アッシュ「うおおおおおおおおおおおおおおおおお」

ツインテ「きゃああああスカートが!!」

というか風で飛ばされるツインテ。

アッシュ「ついいんてぇええええええええええええ」

グリフォン「サー、イエスマム!! 何の用でありますか!!」

勇者「私達を失われた王国まで運んでちょうだい」

グリフォン「サー、イエスマム!!」

グリフォンはハイ達を手で掴んで背中に乗せると飛び立った。

243

--空--

バサッバサッ

アッシュ「こんな強力なモンスターまで手なずけているのか。これが勇者になる者の実力……」

レン「純粋な戦闘能力もとんでもなかったしにゃ」

ポニテ「グリフォン久しぶりー! 元気だったー!?」

グリフォン「イエス!」

ポニテがグリフォンの頭をなでると、グリフォンは嬉しそうに鳴く。

ポニテ「よかった……一度家に戻ったけどグリフォンの姿無かったから心配だったんだよね」

ツインテ「ポニテさんこんなに大きなモンスターさん飼っていたんですか」

ポニテ「うん。家を出る前の話だけどね!」

勇者「……」

244

--空--

びゅおおおおぉ

魔導長「あの、貴女はもしや」

勇者「ん? 私?」

グリフォンと並走している魔導長が勇者に喋りかける。

魔導長「貴方は……先代の勇者……なの?」

勇者「知ってるんだ? そうよ。今はどっちかというと主婦っていうほうが近い気がするけど」

そう言って勇者は笑う。

魔導長「……」

勇者「……あぁ、私のことってちゃんと伝わって無いんだよね?」

魔導長「……なの」

勇者「私はサキュバスとかって言われてるんだっけ? 人類に反旗を翻した存在。そういう風に聞いてたら、私の言うことなんて信じられないかな?」

魔導長「なの……なんだけど、その体でサキュバス……つまり性的な誘惑は難しいと思うなの。だから政府から聞かされた情報より、貴女の言うことを信じてみようと思うなの」

勇者「いや私サキュバスだから」

魔導長「え」

勇者は涙ぐんでいる。

245

--空--

ずずず……

勇者「!」

ポニテ「あ、そういえばママ、」

勇者「しっ」

ポニテ「え?」

……

ポニテ「ママ? どうかしたの?」

勇者「もう手を打ってきた……? よっぽど都合が悪いのかしらね」

ポニテ「?」

勇者「来た!!」

ドギュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!

強力なレーザー攻撃が雲の下から照射された。

246

--空--

アッシュ「っ!?」

ポニテ「きゃああああああああああああ!?」

グリフォン「羽かすった!!」

ごごごごごごごごご

銀蜘蛛「アリ? ハズシチッタ」

桃鳥「もうちょっとで直撃だったのにって、私思っちゃったりしてます」

ばふぉっ

雲から姿を現したのは蜘蛛型の機械兵器と桃色の毛を持つ鳥亜人の少女。

ツインテ「! あの人たち!!」

アッシュ「知ってるのか!? ツインテ!!」

ツインテ「はい……でも、そういえばなんで、だろう……あの時は何の疑問を持たなかったけれど、これは、どう考えてもおかしい……」

ポニテ「な、なに? 何か情報があるなら教えてツインテちゃん!」

ツインテ「あのお二人は……ボクが魔王勇者さんのところにいた時に一緒にいた人たちです……そしてあの人たちは」

勇者「……」

ツインテ「二代目魔王、銀蜘蛛さんと、三代目魔王、桃鳥さんです」

ハイ、アッシュ、ポニテ、レン「「「!?」」」

247

--空--

びゅおおぉおお

魔導長「それは……どういうことなの?」

勇者「言葉のままの通りよ。言ったでしょ、トリガーはルートを操るのよ。その力は自由自在のなんでもあり。魔王が勇者に倒されなかった、なんていう別ルートを作ってそこから引っ張りだしてくる……そんなことも可能なのよ」

魔導長「!? ちょ、ちょっと待つなの……それはさすがに、チート過ぎるっていうか、勝ち目が」

勇者「ある」

勇者は、さも当然ように言い切った。

勇者「勇者や、人が生きている限りチャンスはある」

ズラァッ

そう言うと、勇者は大剣を抜いた。

勇者「グリフォン、この子達をお願いね」

グリフォン「!!……サー、イエス、マムッ!!」

ポニテ「ママっ!? どうする気!?」

勇者「私があの二人と戦うわ。その間に行って」

248

--空--

ポニテ「! や、やだ!!」

ツインテ「! ポニテさん」

ポニテ「やだよ!! また離れ離れなんてやだ!!」

勇者「……しょうがないでしょ? グリフォンに乗って逃げ切ることなんて出来ない。誰かが足止めしないといけないのよ。聞き分けのないこと言わないで」

ポニテ「みんなで戦えばいいじゃない!! いくらママが強いからって、魔王が二人なんて、そんなの無理だよ!!」

銀蜘蛛「ヨクワカラナイケドチャンス?」

桃鳥「うてーうてー!」

勇者「!」

どぎゅああああああああああああああああ!!

銀蜘蛛の大砲が火を吹いた。

勇者「ちっ!」

ばっ!

勇者は飛び降りてビームを切り裂いた。

ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!

249

--空--

勇者「行きなさい! 魔導長、引率頼んだわよ! 風属性、飛行能力付加魔法!」

ぼぅう!!

勇者は自身に魔法をかける。

魔導長「私も空飛べるなの、私も協力するなの!」

勇者「いらないわ、魔王相手じゃ足手まといなだけよ!」

魔導長「うぐっ……わ、わかったなの」

おそらく人生で初めて足手まといといわれた魔導長。

ポニテ「私も残る!!」

魔導長「……拘束魔法、レベル4」

ばしぃん!!

ポニテ「あうっ!」

ポニテの全身を魔力の紐が押さえつける。

ポニテ「じゃ、邪魔しないでよ魔導長お姉ちゃん!!」

250

--空--

ポニテが魔力を使って紐を千切ろうとするも、

ぴっ

アッシュのナイフがポニテの腕をわずかに切る。

アッシュ「毒属性魔法、麻痺麻痺」

びりりっ

ポニテ「うっ」

どさっ

全身が痺れ、ポニテはそのまま倒れこんでしまう。

ポニテ「なん、で」

アッシュ「はぁ……自分の母親なんだろ? 信じてやれよ」

ポニテ「」

魔導長(ふーん? 拘束されてるとはいえ、あのポニテが反応することさえ出来ないなんて。中々やるなの)

ポニテ「う、うぅ……」

ばささっ!!

グリフォンは全速力で離脱する。

251

--空--

銀蜘蛛「キミガユウシャチャン? マオウユウシャチャンソックリー!」

桃鳥「ルートが違うだけで同一人物ですからーって、私思っちゃったりしてます」

勇者「……」

フォン

勇者は剣を構える。

勇者「先手」

ひゅっ!!

勇者「必勝!!」

ドギイィイイイイイイイイイイイイン!!!!

大剣が銀蜘蛛に当たる。も、

銀蜘蛛「イチチ」

勇者「っ!」

銀蜘蛛の表面には小さな傷が一つ付いただけ。

勇者「さすが、歴代勇者の中でも最も硬いとされるだけはあるわね」

252

--空--

銀蜘蛛「ボクハ、カタイダケジャナイヨー!」

がぱっ

銀蜘蛛の背中のカタパルトが開き、

ばしゅばしゅばしゅばしゅっ!!

大量の小型ミサイルが発射された。

勇者「ッ」

ひゅおおおおおおおおおおお!!

すぐに距離をとる勇者に迫るミサイル。

勇者「雷属性範囲殲滅攻撃魔法、レベル4!!」

ビシャシャシャシャアアアーーン!!

勇者の右の掌から放たれた雷が全てのミサイルを撃墜していく。

ドンドンドォオオオン!!

勇者「風属性範囲攻撃魔法、レベル4!!」

そして続けざまに風の魔法を放ち、爆煙を吹き飛ばす。

ドシュン!

勇者「」

しかしそれも一手遅く、レーザーが勇者の右腕を吹き飛ばした。

253

--空--

勇者「っ」

ひゅんひゅんひゅんひゅんひゅん
ぱしっ

勇者は自分の右腕を回収し、その身に再びくっつけた。

勇者「水属性回復魔法、レベル4」

しゅわわ

傷口は一瞬でふさがる。

桃鳥「なるほどなるほど。焼き焦げて消滅した細胞の部分は魔力で代用したんですね? 随分おもしろい回復方法しちゃうんですねー」

勇者「! 冷静に観察とは余裕があるみたいだが、水属性対単体攻撃魔法、レベル4!!」

ドボオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!

桃鳥「ぷあっ!」

強烈な水流が桃鳥に直撃し、桃鳥の四肢は引きちぎられてしまう。

勇者「二体一だからといって、私は」

ぶしゃっ!!

勇者「!?」

攻撃した時の死角から、勇者の左足にアンカーが打ち込まれる。

銀蜘蛛「ツーカマエタッ」

254

--空--

バリバリバリバリバリバリ!!

勇者「がっ!?」

そして電流を流される。

勇者「づっ!!」

勇者はケーブルを切断しようと大剣を振りかぶのだが、

桃鳥「駄目ですよ。そのままじっとしてて欲しいなーって、私思っちゃったりしてます」

ぎゅっ

感電している勇者の腕を桃鳥が掴む。

勇者「! 瞬間、再生か……」

いつのまにか桃鳥の四肢は復活している。そして同じく感電しているというのに、桃鳥は一切怯んでいない。

勇者「歴代勇者の中で最も回復能力に優れている勇者、か」

255

--空--

ばさっばさっ

ポニテ「うぅう……ママ大丈夫かなぁ」

ぐすぐすと泣いているポニテとよしよしと頭をなでているハイ。

ハイ「泣き止んでくださいポニテ先輩。ポニテ先輩のお母様はめちゃくちゃ強かったんですからきっと大丈夫ですよ」

ポニテ「うぅ……ぐすん」

アッシュ「全く……世話の焼けるやつだ」

ツインテ「仕方ないですよアッシュ君。それだけずっと心配だったんです」

レン「おっきくなっても子供なんだからにゃーポニテは。学園にいた時もよくレンのベッドにもぐりこんできたものにゃ」

ポニテ「う、うーるーさーいー!」

びゅおおおおぉ

魔導長(緊張感無い5人なの……それにしても初めて見たけど、これがポニテ達のパーティ……)

魔導長は五人の顔をそれぞれチェックする。

魔導長(……うん、中々いいパーティなの)

256

--空--

元賢帝「ん! ちょっとちょっと、何かくるわよぉ!」

射王「……来るな……しかも、強いぞ」

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオ!!

D鷲男「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

それは魔族化した鷲男……。

魔導長「速い!」

どがぁあああああん!!

鷲男はそのまま突っ込んできて、見えない壁に激突する。

D鷲男「む!?」

ぎぃいいいいん

元賢帝「わたしの魔力障壁は簡単には突破できないわよぉん」

魔導長、射王「ナイスオカマ」

元賢帝「オカマ言うんじゃねぇえ!!」

257

--空--

もぞもぞ

アッシュ「! まった、アイツの羽の中に何か紛れ込んでるぞ!!」

元賢帝「!!」

ニンフ「にぃ~ドリルキック」

ドガァアアアアアン!!

鷲男の羽の中から現れたのはニンフ。そして一撃で障壁を破壊してみせる。

賢帝「わたしの障壁を蹴りの一発で!?……やるじゃない」

ニンフ「勇者候補みっーけっ~……じゃあ、さよならぁ~」

ぎゅるぎゅるぎゅるぎゅる!!!

ニンフは空中で高速で回転し始めて小規模の竜巻を引き起こす。

グリフォン「ぐ、うぐおおおお!?」

魔導長「く! 今助けるなの!」

カトブレパス「いえいえ、貴女は僕達の相手をお願いしますよ」

魔導長「!?」

鷲男の羽の中から更に現れたのはカトブレパスだった。

258

--空--

どおおおおぉおおおんん!!

魔導長「ぐあっ!!」(しまった、今のは痛いなの!)

どぉん、どごおおおんん!!

アッシュ「うおぉお!?」

ポニテ「うわ、わわわ!!」

グリフォンの上で行われている戦闘。そのせいで

グリフォン「ぐぅ……」

グリフォンは気絶し、

ひゅぅ……

ツインテ「あ、あぁ、お、落ち」

ハイ「は、はいぃ!? 落ちちゃいますぅ!!」

ひゅうううううううううううううううう!!

ハイ達は落下した。

259

--空--

ひゅうううううううううううううううう!!

射王「しまった! 魔導長、足場くれ!」

魔導長「う、うんなの!」

D鷲男「助けには行かせません!!」

どがぁあ!!

魔導長「ぐぅ!!」

ニンフ「貴方達三人はこのまま空中で私達の相手してくださいね~」

賢帝「これ、まずいわね……」



ひゅうううううううううううううううう!!

ツインテ「どうしますか!? ボクが絶対回復領域だせばなんとかなると思いますけど!」

アッシュ「む、そうだな。とりあえず俺には何もできん」

ハイ「私も何も策はありませぇえええんんんん」

レン「レンがなんとかするにゃ。高速練成、」

ぼぅん

レンは巨大なおっぱいを練成した。

ツインテ「……」

アッシュ「激突するにゃ!」

260

--空--

ぼんよよぉーん

ハイ「……助かり、ました?」

ユニコーン「ひひーん」

アッシュ「あぁ。やはりおっぱいは偉大だなぁ」

ポニテ「まさかおっぱいに命を救われるとは思わなかったなぁ」

レン「おっぱいをなめたら死ぬにゃ」

ツインテ「ははは……グリフォンさんも無事みたいですし、よかった」

ざっ

 「はっはっはっ。相変わらずでござるな」

ツインテ「!? あな、たは!!」

ハイ達の落下地点には、

サム「お久しぶりでござる。ツインテ殿」

ツインテ「サムさん!! それに皆さんも」

賭博師「よぉ、ツインテ様」

通信師「……」

符術師「ん」

医師「お久しぶりです」

ツインテ「よかった皆さんも生きてたんですね!」

ちゃき

アッシュ「……」

サム達の姿を確認したアッシュは、無言でナイフを抜く。

ツインテ「あ、アッシュ君? なんで臨戦態勢に?」

アッシュ「……東の王国は壊滅したんだろ? ならこいつらは」

サム「……察しがよ過ぎるでござるなぁアッシュ殿は。そうでござる。拙者達は……アッシュ殿達を始末しに来たのでござる」

それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m

お久しぶりです。
フィリピンは大変なことになってしまいましたね……私の家族が丁度フィリピンに行っていて、しかも連絡が取れなかったので気が気じゃありませんでした。一日も早い復興を……。


あっ! ツインテが反応しなかったのは……鷲男が突っ込んできた衝撃でツインテはハイちゃんのスカートの中に頭を突っ込んでしまい、周りが見えなかったということにして置いてください。

それでは投下を開始します。

261

--死の砂漠--

ひゅぅううぅうう

ツインテ「! そ、そんな、嘘です! そんな、サム、さんが……」

侍「嘘じゃないでござる」

ざっ

レン「……ふむ……人質でもいるのかにゃ?」

賭博師「おー、察しがいいねぇ猫ちゃん。早い話がまぁ、そういうこったな」

符術師「東の王国民丸々人質に取られている。お前らを始末しないと彼らの命の保証がないんだ」

ポニテ「……」

通信師「……今更どうこう話をする必要もないでしょう? さぁ、やりましょうか」

ハイ「!」

侍「命をかけた……パーティ戦を!!」

黄金世代パーティがあらわれた!!

262

--死の砂漠--

アッシュ「! パーティ戦!!」

ポニテ「あれ!? 何気に初めてじゃない!?」

レン「南の王国周辺で修行し始めてから一度もやってないにゃねそういえば」

ハイ「私はそれは知りませんが、妖精郷での特訓の成果を発揮したいとおもいます!」

ツインテ「……」

アッシュ「あ……そういえばツインテとは三年前から連携取ってないぞ……」

ハイ「それを言うなら……私なんてツインテ先輩と一緒に戦うの初めてですからね」

ツインテ「ぼ、ボクが皆さんに合わせます。元々大それたことはできないのでサポートを……」

侍「もう準備いい?」

263

--死の砂漠--

侍「それじゃあ……」

侍は刀の柄に手を伸ばし、腰を落とす。

アッシュ「!」

さっ

アッシュはそれに呼応するかのように一番前に出る。

侍「……」

アッシュ「……」

しばしにらみ合い、間合いを計り……そして

ぎぃぃいいん!!

侍が踏み込んだ瞬間にアッシュも飛び出す。

侍「!」

アッシュ「ッ」

ギリギリギリ!!

そして刀とナイフが鍔競り合う。

264

--死の砂漠--

ポニテ「あの速度で打ち合うにはアッシュ君じゃなきゃ無理そうだね」

ジャリン!

ポニテは血と炎で構成された二つの剣を生成し援護に向かう。

ぎりぎりっ!

アッシュ「……変だな。今は本気で斬りに行ったんだぜ? お前……前より反応速度あがってやがるな?」

侍「ふふ……」

はらり

アッシュ「!!」

侍の目を覆っていた包帯が取れる。そして侍は目を見開く。

侍「まことにひどい話でござるよ。望みもしないのに、勝手に体をいじくられて全盛期の体にさせられてしまったのでござる」

アッシュ「!! お前、目も!?」

ツインテ「!! スピードは互角みたいですけど、今のサムさんは全盛期……じゃ、じゃあアッシュ君でも」

レン「早合点するにゃツインテ」

ツインテ「え?」

ぎりぎりぎりっ

レン「アッシュはこの三年間で本当に強くなったのにゃ。ツインテを助けるために」

ツインテ「っ」

レン「それにアッシュはまだ移動速度強化魔法を使っていないにゃ。魔法を使えない侍なんかとはわけが違うのにゃ!」

265

--死の砂漠--

アッシュ(そうは言ってもな、侍は最後のほうはほとんど目が見えなくなってたから、その補助のために心眼を編み出した。それが今は眼も完璧な状態だ……心眼がついてるだけ全盛期より強い!!)

ざっ!!

アッシュ「移動速度上昇魔法、レベル4!」

ひゅおっ!!

侍「!?」

侍の目の前から一瞬で姿を消したアッシュ。

ぎぃん!!

目では追えないその攻撃を侍は弾く。

アッシュ(やはり心眼には反応される……! だがな、俺にはお前以上の速度と、お前に教わった技術があるんだよ!!)

侍「!」

相手のわずかな隙を見逃さずに放たれる必殺の一撃、それをタイミングを崩した状態で連続で放つ。

ぎぎぎ、ぎぎぎぎぃんん!!!!

しかしそれすらも不可思議な動きの刀が受け止める。

アッシュ「なっ!」

侍「……アッシュ殿……いい攻撃でござった。でも個人戦じゃないのでござる。これは、パーティ戦なのでござるよ」

ばちっ

通信師「雷属性補助、反応速度上昇レベル4」

侍の体から電気が迸る。

266

--死の砂漠--

アッシュ(雷属性の補助魔法! くっ!)

レン「その通りにゃアッシュ! 下がるにゃ!!」

ゴーレム「んごっ!!」

ずごごごごごご!!

レンの足元から七体のゴーレムが出現する。それらは壁をつくるようにスクラムし前進する。

符術師「! 新五柱の猫ちゃんか。スキル、ドロー!」

ポニテ「させないよ! 符術師のおねーちゃんは私が相手だー!!」

ぼっ!!

ポニテの全身が燃え上がり、符術師めがけて突っ込んだ。

ぎゅん!!

通信師(侍)

すっ

侍「わかって、ござる!」

ズバァアン!!

ポニテ「ッ!!」

ポニテの進路を塞ぐように侍が現れてポニテを斬る。

267

--死の砂漠--

ポニテ「づっ!!」

ぼたたっ!

侍「ポニテ殿、それじゃ結局シングルと変わらないでござるよ? ポニテ殿達の実力からしたら一人一体処理していくほうがやりやすいのかもしれんでござる、が」

ポニテ「せ、精霊化!!」

侍「スキル、斬魔」

ズバァアン!!

斬撃を受け、瞬時に全身を魔力に変換したポニテ。
物理を無効化し、傷の修復も容易な魔力体……だがそれすらも侍は斬る。

ポニテ「いっ!?」

魔力が斬られたことで、左半身が消し飛んだ。

ツインテ「!! ポニテさん!! 水属性回復、じゃなかった、魔力供給レベル4!!」

きゅいいいいん!!

ポニテ「ぷはっ!! 助かった……!」

ぴるる!

一度ゴーレムの後ろにまで下がるポニテ。

侍「……うかつに一人で突っ込んだら死んじゃうんでござるよ」

268

--死の砂漠--

賭博師「もっと周りを見ないとな。一人じゃ適わない相手でも、力を合わせれば案外なんとかなるもんだぜ?」

ツインテ「……」

符術師「お前らのそれはどっちかというと魔族の戦い方なんだよ。固体スペックの高さでただ圧倒してるだけ。チームプレーしてるようでワンマンプレーなんだよ」

アッシュ「な、なんだと……?」

通信師「いくら練習でコンビネーションを高めても、結局は自分にとってやりやすいものばかり選んじゃうようじゃ、この先は勝てませんよ」

ポニテ「うぐ」

医師「確かに。私達に勝てないんじゃ、魔王討伐なんて到底無理ですね」

レン「っ……」

ハイ(……なんだろうこのよくある感じ)

侍「フルバックアップ状態+スキル孤軍奮闘を合わせた今の拙者の戦闘能力は魔族すら超えるでござるよ。気を引き締めてかかるでござる!」

ぶぉん

侍が軽く振った一振りで、

ずばばばばばばばば!!

地面が抉れる……。

269

--死の砂漠--

ひゅおおぉぉおお

侍「……」

ポニテ「……驚いた……三年前より全然動きのキレが違うや。あの時でさえもう全盛期じゃなかったんだね」

レン「詐欺にゃ。全盛期に近い状態を保ってるとか昔言ってたくせに」

侍「それは……自分的には、ってやつでござるから。正直ここまで違うとは自分でも思ってなかったでござる。歳取るって嫌ね」

通信師「……」

アッシュ(……まぁ元も子も無いんだけどよ、ぶっちゃけ倒すだけなら簡単なんだよな。スキル人殺し使えば)

びくっ、っと黄金世代の五人が反応する。

アッシュ(いくら強くても相手が人なら一方的にいけるわけだし。……でもそれじゃ駄目ってことなんだよな。この先このスキルはほとんど役に立たないだろうから)

こくこく、っと五人は頷く。

アッシュ(こいつらも何か教えたいらしいし……仕方ねぇ、付き合うか……って心の声もテレパシーで全部筒抜けなんだろ?)

通信師「うん」

270

--死の砂漠--

アッシュ「ち……じゃあもっかい最初からだ最初から。おいハイ!」

ハイ「はいっ!」

アッシュ「さっさとレベルアップするぞ! 騎士じゃ大振り過ぎてあの動きに対応できん、盾の方だ!」

ハイ「あ、はい!」

さくっ

アッシュのナイフがハイの腕を軽く削る。

ハイ「ファーストダメージ、条件達成レベルアップ! レベル2、盾兵!」

どんっ!!

ハイの姿が盾兵へと変貌する。

侍「! これは……?」

通信師「超レア職業、レベル!?」

271

--死の砂漠--

賭博師「さ、さすがだぜツインテ様……最後の一人にこんな隠し玉を仲間に入れるなんてよぉ」

ツインテ(いやボクが知らない間に加入されてましたけども)

符術師「戦況に応じて職業を変えられるのなら、どんな職業よりもオールラウンダーだな」

チャキ

侍「よし、じゃあ再開するでござるよ!!」

ダッ!!

アッシュ「ハイ! 侍は俺とお前で食い止めるぞ!」

ハイ「はい!」

がぎぃん!!

ポニテ「……」

それを後ろから見ているポニテ。後衛の符術師たちのことにもしっかり目をやっている。

符術師(今度は無闇につっこんでこないか……自分が仲間の中で一番強いとわかってるくせに前線で戦えないのは辛いんだろうな。でもそれでいいのさ)

通信師(今までノリで戦う相手選んでたみたいですね。相性がいいやつと戦うのは基本中の基本なのに)

272

--死の砂漠--

がぎぃん、がぎがぎぃん!!

侍「全力中の全力でアッシュ殿達と戦えるなんて、拙者心より感動しているでござるよ!!」

がぎぃいいいん!!

アッシュ「!!」(なんて、打ち込みだ! 風の砂漠で修行してた時もえげつねぇと思ってたけど、今のこいつとは比べ物にならねぇ……キレも力も何もかも違う!)

レン(フルバックアップって言ってたにゃ。なら賭博師の運補正、医師の観察眼による洞察力、通信師による反応速度上昇とかかにゃ? まずいにゃ、こっちも全力でアッシュ達をバックアップしないと!!)

侍「スキル、乱刃」

ずばばばば!!

無数の斬撃がアッシュを襲う!

ばっ!

ハイ「ユニコーンシールド!」

侍「!」

間に割って入ったハイ。
そして傘の盾ではなく、ユニコーンを変形させた盾でその攻撃を受け止める。

ばきぃん!

盾に刀が触れた瞬間、それは侍に返された。

ひゅひゅひゅ!!

273

--死の砂漠--

侍「!」

ひゅひゅひゅ

跳ね返されたことで一瞬驚いた侍だったが、それらも軽々と避けてしまう。

ハイ(見たか! ユニちゃんシールドで跳ね返せないものなんて多分ないんだから!)

アッシュ「すまん助かった」

ハイ「あ、は、はい……」

褒められただけで顔が赤くなるハイちゃん。

賭博師(まぁ今は俺がリーダーだから簡単には致命傷にならないとは思うけどよ。でも気を抜いたら一発でやられると思うぜ。ツインテ様達も中々いい構成になってるし)

通信師(そうですね。前衛のアッシュとハイが接近戦を捌いて、中衛ポニテが後衛の守りと前衛の補助を、後衛のレンとツインテがサポート……特にツインテの莫大な魔力ならではの常時回復と魔力供給は強力無比ですね)

符術師(あぁ。全員がダメージだの魔力消費だのを無視してやれる……やっぱ潰すならツインテからだな)

侍(でもツインテ殿自動蘇生持ちらしいでござるのよ)

医師(なにそのチート)

274

--死の砂漠--

ぎぎぃん! ががががぁん!!

賭博師(俺も一応全員の行動成功値あげて役に立ってるんだけどね。褒めてくれてもいいよ?)

符術師「サポートカード、攻撃力上昇!」

符術師は賭博師を無視して引いたカードを侍に投げる。

ポニテ「させない!」

ぼっ!!

符術師「む……」

ぱら……

カードは一瞬で焼け焦げてしまう。

符術師(火かぁ……カードは簡単に焼かれちまうからなぁ。……てかあいつちゃんとサポートを妨害してきてるじゃねぇか)

医師(ん、嫌な感じがしますよ。観察眼で見てるんですが、ポニテちゃんは何か強力な攻撃の準備段階に入ってるみたいです)

通信師(なるほど、黙ってサポートだけやるような玉じゃありませんからね。まぁそれも中衛後衛の華です)

侍(ちなみにポニテ殿の最大火力なら一撃で全員死んじゃう可能性があるでござるよ)

賭博師(マジで? 俺の運でも駄目?)

侍(一撃っちゃ一撃だけど、にどげりみたいな連続性のある攻撃でござるよ。その都度運チェックでござろ?)

賭博師(うーん。じゃあ……きつい……)

符術師(ほんと微妙にしか役に立たないなお前!)

275

--死の砂漠--

レン「練成盾! 練成槍! 練成移動力強化ブーツ!」

がががががが!!

レンはゴーレムを操るだけでなく、アイテムの練成を間の空くことなく続けている。

レン(恐ろしいにゃ……ひっきりなしに補助をかけ続けないと一気に均衡が崩れるにゃ! ここまで補助がきついものとは思わなかったにゃ!!)

ぽわわぁん

レン(回復……けどまぁ、相変わらずレンのツインテは化け物にゃ。レン達と違って三年間のブランクがあるから単体戦闘能力は低いけど、補助なら一級品にゃ!)

がぎぃん!! ががぎぃん!!

通信師(ゴーレムはスクラムを組んでるだけ? あれには何の意味があるの?)

符術師(よし、俺にリーダー権寄越せ。俺のリーダースキルを見せてやる)

侍(む、乱戦に持ち込むでござるか? 近接格闘は拙者以外じゃ瞬殺されるでござるよ?)

符術師(うるせぇなさすがにわかってるよ。どういう反応するか見てやるだけだよ)

賭博師(OK。リーダーチェンジする)

符術師「うし……」

ばっ

符術師はありったけのカードを用意し、その全てを投げた。

ポニテ「!?」

276

--死の砂漠--

ぶわっ

レン「!」

ポニテ(いっぺんにこんなに!? でも符術師は一枚ずつ起動させていくしか使う方法が無かったはずだけど)

ぼっ!!

ポニテの体から炎が伸びてカードを焼いていく。が、その全てを焼けるわけではない。

ぱらぱら

アッシュ「気をつけろ! 何かやってくるぞ!」

侍「ほらほら拙者との戦いに集中するでござるよ!」

ぎぃん!!

そしてその一枚がツインテの傍に落ちる。

ぽん

侍「」

アッシュ「!?」

ハイ「!?」

すると一瞬で侍の姿がアッシュ達の前から消えうせ、ツインテの傍に現れた。

ポニテ「なっ」

レン「!!」

侍「すまないでござる。スキル、仮死の力」

ずばぁん!!

277

--死の砂漠--

どさっ

アッシュ「つ、ツインテーー!!」

符術師「……俺のリーダースキルはな、パーティメンバーを好きな札の所にワープさせることができるんだ。こういう奇襲してくるやつにも対策考えとかないとだめだぜ?」

侍に斬られたツインテはそのまま血を流して倒れこんだまま。

どくどくどくどく

レン「……」

ポニテ「! 回復、しない!? なんで!?」

医師「仮死の力は魔力の流れを一時的に完全に止めてしまうスキル。たとえ自動蘇生スキル持ちであっても、魔力の動き無しでは蘇生できません」

符術師「なんだ、案外うまくいっちまったな……大事なサポートが無くなったならこれで」

アッシュ「!」

ぎぃん!!

前衛の侍がいなくなったことで、アッシュは一気に距離をつめて賭博師に斬りかかるも、またワープしてきた侍に防がれてしまう。

賭博師「おっとあぶねぇあぶねぇ……助かったぜ侍」

ギリギリギリ……

侍「……随分と面妖な感触でござった……レン殿か……」

賭博師「あ?」

ぼろっ

レン「魔力の流れを断つ……それならそうにゃね。偽装も解けちゃうにゃね」

賭博師「!?」

ツインテの体はぼろぼろと崩れ始め、ただの土くれと化した。

レン「にや」

278

--死の砂漠--

通信師「なっ、あれは、ゴーレム?! いつのまにすりかえて……」

アッシュ「ハイ、今だ!」

ハイ「ッハイ!!」

鍔競り合うアッシュと侍に、突進しながら姿を変えていくハイ。

ぱぁん!

そして騎士になったハイは槍を突き出す。

ハイ「はあああああああああああああああああ!!」

ずぷうん!!

侍「」

ぽたっぽたたっ

ハイの槍は、アッシュごと侍を貫いた。

アッシュ「……へっ!」

侍「がはっ!? ばか、な!!」

がぎぃん!

侍はアッシュのナイフを弾いて距離を取る。

ぼたた、ぼたっ

侍「ぐっ……なぜ……なぜでござる……前に言ったでござろう……? 仲間を犠牲にした戦術で勝って何の価値があると!! なんでまたそんな戦術を使うのでござるッ!!」

アッシュ「犠牲? 何を言ってんだ」

しゅぅう

アッシュの傷は瞬時に塞がる。

アッシュ「俺は犠牲になんてなってねぇだろ」

侍「!?」

アッシュ「仲間の力を知ってるからこそ出来る戦法だ。これは俺なりの……仲間を信じてるってやつだ」

侍「!……」

279

--死の砂漠--

医師「侍! 今治します!!」

ばがぁあん!!

侍に医師が駆け寄ろうとするのだが、その近くにいたゴーレムが突如爆発する。
そして

ツインテ「じゃっじゃじゃーん! ツインテちゃんのおいしいとこどりー!」

サイドテールのツインテが現れて鞭を振るった。

侍(! ゴーレムの中に、隠れて!?)

通信師(! 私のテレパシーが利かないように探知対策までされていた!?)

どがががががぁあん!!

医師「っっがっ!!」

ツインテの鞭は医師を一撃で絶命させた。

どさっ……

侍「……」

賭博師(くっ! やばいぞ回復役がやられておまけに侍が重症だ!)

符術師(ちっ!)「ファイナルドロー!!」

通信師(……負け、ですね)

符術師「召喚! 来い、デッドラ!!」

アッシュ「スキル、人殺し」

アッシュの右目が裏返る。

アッシュ「更にスキル、反転、魔殺モード」

侍「……ふ」

デッドラ「ぎゃおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

ずばあああああああああああああああん!!!!

降臨した竜種デッドラ。それをアッシュは一撃で仕留める。

ずっずぅううん!!

符術師「! ばかな!! スキルで強化した竜種を一撃で!?」

アッシュ(俺、かっこいい……)

280

--死の砂漠--

符術師「……」

アッシュ「どうする? まだやるか?」

侍「……ふ。負けで……ござる」

そういって侍は刀をしまい、地面に座り込んだ。

侍「なるほど。仲間を信じていればこその戦略でござるか……あのアッシュ殿が……」

負けた侍はなぜか少し嬉しそうだった。

賭博師「……俺ほとんどなんもしてないな……ツインテ様が絶対回復領域使ってきたら活躍できたのに……」

ツインテ「あ、あれからちょっと調べたんですけど、賭博師さんの奥義は空間設置系の魔法、奥義を上塗りできるみたいでしたから……今回は使用をひかえました」

と、ツインテールに戻ったツインテは言う。

通信師「……さぁ貴方達、早く私達を殺しなさい」

ポニテ「!? な、なんでよ! 別に私達はお姉ちゃん達を殺すつもりなんて!」

ハイ「最初から……死ぬつもりで来たんですか?」

レン「……」

賭博師「まー……な。俺らが戦い挑んでもあの魔王達には勝てないし。かといってやつらの言う通りにしなかったらたくさんの人々が殺されちまう……かもしれんからな」

符術師「なら、お前らと戦って死ぬしかないだろ」

ツインテ「!!」

アッシュ「……だがお前らが目的を果たせなかったら、どのみち国民は始末されちまうんじゃ?」

侍「それはどうだろうでござる。やつらは拙者らを使うためにそう言ってただけで殺す気は無いと思うのでござるよ。まぁ時
がくれば魔族に変えられてしまうのでござろうが」

 「その通りですよ。やれやれ、やっぱり殺せませんでしたか(この役立たずどもが)」

アッシュ「!?」

侍「!!」

ずずず

闇が突如出現し、中から一人の眼鏡をかけた男が歩いてくる。

こつ、こつ、こつ

??「結局のところ、私達が直接行くほうが一番てっとり早いんですよ。トリガーも何を考えているのやら」

ツインテ「はら、ぐろ……さん」

??改め腹黒「第四勇者にして第五魔王、腹黒です。お見知りおきを(カスどもが!)」

あ!
番号なんかめちゃくちゃ間違えてる!!

直さないと……

それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m

あ、応援ありがとうございます!

今最新が380みたいですね。すいませんでした。

そういえばフィリピンは大変だね
Qw0さんのご家族は無事だったのかな?

こんばんは! 投下しにきました。

>>696
あ、ありがとうございます! おかげさまで無事でした。

符術師は両刀俺っ娘です。

ヤミのイレギュラーの件ををきっかけに、トリガーはよそから戦力として魔王持ってきたらいいじゃん、って考えを持ってしまいました。

それでは投下していきます。

381

--死の砂漠--

ゾクッ

ポニテ「ま、また魔王!?」

アッシュ「まるで魔王のバーゲンセ(ry」

レン「……いやこれ真面目にピンチなんじゃにゃ……」

腹黒「……」

侍「……あんた方が出てくるとは思わなかったでござる。勇者の力が怖かったんじゃないんでござるのか?」

腹黒「勇者アレルギーはトリガーだけですよ。我々はそんなに脅威に思っているわけじゃありません。一度は経験した職業ですし、弱点も知ってます」

ツインテ「腹黒さん……」

腹黒「ツインテ、こんなことになって残念ですね(はん、裏切り者が)」

382

--死の砂漠--

ぼっ

腹黒の右手に火の魔力が。

レン「大災害前の勇者に関する記事は全部消失してるにゃ! ツインテ、あいつはどんな勇者だったのにゃ!?」

ツインテ「わ、わかりません……いつも研究室に入り浸ってた人なので」

符術師「ち」

ざっ

符術師達はツインテ達と腹黒の間に立ちはだかる。

符術師「ここは俺らが食い止める……逃げな」

アッシュ「! いやでもお前ら」

腹黒「……血迷いましたか? 貴方達の大事な国民は私達の手の中なんですよ?」

符術師「はっ! 知ったことかよ。どのみちこいつらまでやられたら人類に未来はねぇ!」

383

--死の砂漠--

賭博師「さっすがリーダー。鬼畜だねぇ」

侍「ほんとでござる。何百万人もの命を知ったことかで済ませるのでござるもの」

符術師「うるせぇ!」

腹黒「……はぁ。本気なんですね?」

符術師「あぁ!」

通信師「やれやれ、でもそれしかなさそうですね」

ポニテ「みんな……」

医師「……」←死んだまま

侍「さぁいくでござる若き戦士達! 殿は拙者らが引き受けた!!」

ザザン!

384

--死の砂漠--

腹黒「……実力も伴わないくせに……そんなにボロボロになってまで魔王にたてつくとは……」

符術師「それが人間、ってやつだろ?」

腹黒「……苦しむな……」

ゴゴゴゴゴゴ

腹黒「理解に苦しむなぁぁぁあぁあ!!」

ぼこっ

符術師「……え?」

腹黒が何をしたわけでもないのに、符術師の体が一気に膨らんだ。
そして次の瞬間、

バンッ、ブッシヤァアァアァ!!

通信師「」

侍「」

ビチャッビチャチャ!!

符術師は破裂した。

385

--死の砂漠--

ツインテ「あ……あぁ……」

賭博師「ば……爆発しやがった……?」

アッシュ「俺の眼でも何も見えなかったぞ!? あいつは一体何をした!?」

腹黒「見えなくて当たり前」

ぼご、ばばぁん!!

続いて通信師と賭博師が爆発する。

びちゃちゃ!

辺りは凄惨な臓器の海……。

ハイ「っ……!!」

386

--死の砂漠--

腹黒「私が勇者をやっていた頃の基本戦術を教えてあげましょう」

ぼこ

侍「うぐっ!?」

侍の体も膨らんだ。

ツインテ「さ、サムさん!!」

アッシュ「サム!!」

侍「に、逃げるで、ござ」

ばぁん!!

びちゃちゃ!

腹黒「くっく……生物を爆弾に改造して特攻させるんです。こんな風にねぇ!! ゲヒャヒャ!」

腹黒は楽しそうに笑っている。

387

--死の砂漠--

ツインテ「あ、あぁ……」

がくっ

ツインテはあまりにも残酷な光景を見て膝から崩れ落ちる。

腹黒(っと、忘れてた。あいつがいる限り簡単に蘇生されちまうじゃねぇか。さっさと処分しておくか)

アッシュ「ツインテしっかりしろ! 蘇生だ、呆けてんじゃねぇ!」

ツインテ「はっ!? そ、そうか」

ツインテは回復の動作に入ろうとする。

腹黒「そういえばあなたたち……今血に触れちゃいましたよね? これ、感染しますよ?」

アッシュ「!」

ポニテ「!」

レン「!」

ツインテ「……え?」

バァアアン!!

……四人の体も破裂してしまう。

388

--死の砂漠--

バァンバァンバァアン!!

ツインテの死体が元に戻ろうとするたびに爆発が起こる。

腹黒「ははは、自動蘇生というのも辛いものですねぇ! 自分の魔力が無くなるまで爆発が続くのですから」

バァンバァアン……バァン…………

腹黒「……ふん、しかしこの血みどろの戦場で生き残りますか」

ハイ「……」

唯一無事だったのはハイ。ハイは血に塗れた盾を地面に置く。

ハイ「血に触れるのは……好きじゃないですから」

腹黒(返り血の全てを盾で防いだのか……めんどくせぇ)

腹黒「そうですか。じゃあ違う方法でやらせてもらいますよ」

ぎぃん!!

腹黒が雷の魔力を溜め始める。

389

--死の砂漠--

腹黒「雷属性攻撃魔法、レベル」

どぉおおん!!

その時急降下してきた魔導長が腹黒に魔力砲をぶちかます。

ハイ「!」

腹黒「……これは」

魔導長「そこの君! 下がってなの!」

魔導長はハイに命令すると再び魔力砲を放つ。

きゅどぉおおおおおおん!!

腹黒「……やれやれ……今度は私の子孫の登場ですか」

魔導長「!? ……な、何を言っているなの?」

腹黒「ふ……暇があったのでね、色々調べていたんですよ。我が血統が今どうなっているのか」

腹黒は研究衣についた埃を払う。

腹黒「私の血筋は現代では二つに別れているようです……魔法の才能を持った家と高い知力と研究心を持った家……そして貴女はその片方の血統なのですよ」

魔導長「わ、私の祖先が、魔王……?」

390

--死の砂漠--

腹黒「雷属性攻撃魔法、レベル5」

ズギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

魔導長「!?」

空に向かって放たれた腹黒の魔法は魔導長を焼き焦がした。

魔導長「がっ……」

ひゅるるるる、どさっ!

腹黒「魔族の一匹や二匹を相手にしたくらいでここまで弱るとは……やはり血は薄くなってしまうもの……」

がっ

魔導長「あぐっ」

腹黒「この分だと貴女の父親、魔導大老も大した使い手じゃなかったのでしょうね……本当に残念だ。子など作るんじゃなかった」

魔導長「!」

ハイ「その手を離してください!」

腹黒「……」

腹黒を睨みつけ、銃口を向けているハイ。

391

--死の砂漠--

腹黒(さっきと格好が違う? それに強くなっている……だが)「……貴女程度の力で私に意見するのですか? 自殺行為だとは思わないんですか?」

ハイ「……」

ハイは銃口を下げない。

腹黒「……」

ハイは視線を逸らさない。

腹黒「……くっくっく……はーはっはっはっ!!」

どさっ

魔導長「あうっ」

腹黒「いつの時代にもいるものだぁ……身の程を知らない蛆虫共め……本当に口だけは達者なんですから」

腹黒の纏う魔翌力が増大する。

ハイ「……」

腹黒「魔王に適うとでも思っているんですか?」

ハイ「はい」

腹黒「!?」

392

--死の砂漠--

ハイ「魔導長さん、離れてください」

魔導長「……え」

ハイ「ここは危険です。貴女も巻き込んでしまうかもしれませんから」

腹黒「げひゃひゃひゃひゃひゃ!! こ、こいつは傑作ですねぇ! 本気だ、この眼は本気だ! 本気で私に勝てると思っている眼だ!!」

魔導長「……っ」

魔導長は残りの魔力でツインテたちの死体を引き寄せると、その場から飛び去った。

ひゅーん

ハイ「……追われたらどうしようかと思いました」

腹黒「追う? 追わなくてもここから撃ち落せるんだから問題ないんですよ」

ハイ「でもいくら貴方だからって射程距離はあるはずですよね」

腹黒「……彼女らが私の射程範囲から出る前に、貴女は死んじゃうじゃないですか」

ハイ「死にません。だって私は怒っているんですから」

ばきゅーん!

ハイは腹黒の眉間に向かって発砲するのだが、魔力の壁によって防がれてしまう。

393

--死の砂漠--

腹黒「……ふん」

くい

腹黒が人差し指を立てると

ハイ「!?」

どがぁああああああああああああああああああああああん!!

地面が隆起する。

ハイ(詠唱無しで大掛かりな魔法!? ってことは)

腹黒「今の時代じゃ珍しいでしょう? 紋章魔法。私の時代はむしろこっちのほうが流行っていたんですよ」

腹黒の人差し指には光る紋章が。

腹黒「確かにこれは速くていい。だけどね、どんな局面でも対応できるもんじゃぁなかった。だから私が作り上げたんですよ。紋章魔法を、ね!」

ごおおおおお!!

腹黒の足元から火の手があがる。

腹黒「火属性広範囲攻撃魔法、レベル5」

ぼっ

ハイ「」

どがぁあああああああああああああああああああああああああああああああん!!

394

--火の海--

ぼおおぉおおお!!

腹黒「ほう、レベル5を耐えましたか。……貴女のその力、随分面白い……持って帰って弄繰り回してみるのもありですね」

ハイ「ぐ……」

賢者の姿をしたハイが氷のドームの中で膝をついている。

どろっばしゃっ

腹黒(一瞬とはいえ私の攻撃に氷で耐えるとは……)

ざっざっ

腹黒はハイに近づいていく。

腹黒「気に入りました。研究材料として持ち帰ることにしましょう。だから……」

ぎぃん!!

腹黒の両手に魔力が宿る。

腹黒「抵抗しないでくださいね!」

ばきゃきゃきゃきゃきゃ!!

今度は氷の広範囲魔法が放たれた。

395

--氷の世界--

ぴきーん!!

ハイ「っ……」

ハイの下半身は氷に埋もれてしまい、両手も氷付けになっている。

ぱきっぱきっ

氷を踏みしめて腹黒がハイのもとへ。

腹黒「どうです? 実力の差を思い知りましたか?」

ハイ「……」

ハイは、この状況でも諦めの眼をしていない。

腹黒「!……」

ぱきぱきぱき

腹黒は氷の剣を作り出し、それをハイの首筋に当てる。

つー

腹黒「……これでも、諦めないのですか……? ふ……ふはは! なあるほど、ただの考え無しの馬鹿だったんですね!!」

ハイ「……」

396

--氷の世界--

腹黒「……気が変わりました。研究するのはその職業についてではなく、貴女をどう苦しめたらその顔が歪むのか……ということにします」

腹黒は剣を振りかぶる。

腹黒「さぁ……楽しい楽しい研究の始まりだぁああああああああああ!!」

ぶぉん!!

腹黒は剣を振り下ろした。

ハイ「――最終条件達成」

腹黒「」

剣がハイの首に迫るその瞬間、ハイはぼそりと呟いた。
そして

ぴかー!!

眩い光が氷に亀裂をいれる。

ハイ「レベル、アップ」

カッ!!

どがぁあああああああああああああああああん!!

397

--氷の世界--

腹黒「な、なんだ……? 一体何が起きた……?」

しゅぅうぅう……

爆発の中心にハイが立っている。

きらん

灰色の鎧をその身に纏って。

腹黒「また姿が? ふん、いくらお着替えをしたって……?!」

ぞくっ!

その時腹黒は寒気を感じた。

腹黒(何だ今の感覚は……今のは……確か一度だけ感じたことが……)

ハイ「最終条件はパーティの総体力が二割以下になること……」

ユニコーン「ヒヒーン!!」

ユニコーンは変形し、パイルバンカーとなってハイの右腕に合体する。

がしぃいいいいんん!!

ハイ「貴方が私の仲間を殺してくれたおかげです」

腹黒「……」

ハイ「レベル4……勇者」

398

--???--

トリガー「バカな!」

闇の鏡からハイ達を覗いていたトリガーは驚きの声を上げる。

トリガー「あの力は……紛れも無く本物の勇者の力だ……なぜだ……一人しか存在できないようルールに組み込んだはずなのに」

トリガーが見たこともないほど狼狽している。

トリガー「……書き換えたのか? いやそんなこと出来る存在がいるわけ……」

トリガーは再び椅子に座りなおした。

トリガー「……」

399

--氷の世界--

どんっ!!
ばきばききっ!!

ハイが踏み込むと、氷の大地が粉々に粉砕される。

ひゅん!!

腹黒「はっ!?」

どごおおおおおおおおおおおおおん!!

腹黒「ごへぇあっ!!」

腹黒が反応も出来ない速度で顔面を殴打するハイ。

腹黒「ば、ばかな! ばかなっ!!」

ハイ「はぁああああああああ!!」

どがどがどがどがどがどがどがどがどがどがどがどがどが!!

魔法を使わせる時間を与えないハイのラッシュ、その全てが、魔王にとっては致命傷たりうる凶悪な一撃だ。

腹黒「がっ、がががっ、がぁあ!!」

ハイ「はぁあああ!!」

どがぁああん!!

アッパーが決まり、腹黒は空中に打ち出された。

400

--氷の世界--

腹黒「げ、げひゃひゃひゃ!! ば、ばかめ! わざわざ接近技なんて使いやがってよぉ!」

ハイ「……」

腹黒「さっきの人体を爆弾に改造する血は俺の血から出来てるんだよぉ!! 本当にお前が勇者なんだかわからねぇが、てめぇはもうおしまいだ!!」

ひゅるるる

はるか上空で腹黒はけたたましく笑う。

腹黒「死ね!! このむしけらが!!」

ハイ「……」

……しかし、ハイの体に何も起こる気配がない。

腹黒「……な、なに……?」

ハイ「返り血は、全部避けました」

腹黒「!?」

ハイ「奥義」

ギイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!

ハイのパイルバンカーに魔力が集まっていく。

腹黒「う、嘘だ……天才の、私が、私が!!」

ハイ「勇者ショット」



どごおおおおおおおおおんん!!

最近気づいたこと。 エルフとかドワーフだしてない……。

それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m

遅くなりました! 
ハイちゃんがむせる感じに……!

すいません、腹黒のあれは詠唱魔法のうち間違いです。彼が詠唱魔法を使用できるレベルに作り上げました。

更にもう一つ申し訳ないのは、以前書いた↓

魔法体系の移り変わり
初代:紋章魔法の時代

二代目:魔法冬の時代。まったく使われなくなる。

三代目:ちょっとだけ使われはじめる。しかし紋章魔法を使える人が少しになってしまったため、新たなシステム、詠唱魔法が始まる。

四代目:詠唱魔法がメインになった時代。以後、紋章魔法は失われていく。



が、初代の設定変更もあったため現段階と設定が矛盾してます。なのでこれは一つ繰り下げて考えてください。



二代目:紋章魔法の時代

三代目:魔法冬の時代。まったく使われなくなる。

四代目:ちょっとだけ使われはじめる。しかし紋章魔法を使える人が少しになってしまったため、新たなシステム、詠唱魔法が始まる。

五代目:詠唱魔法がメインになった時代。以後、紋章魔法は失われていく。


それでは投下していきます。

401

--氷の世界--

ハイ「はっ、はっ、はっ、はっ……!」

がしゃ

ハイは地面に膝をつき、パイルバンカーを置く。

ぱぁあん

鎧は砕けちり、ユニコーンも元の姿に。

ユニコーン「ひひん?」

ハイ「だい、じょうぶです……ただここまでレベル4の反動が辛いものだとは思いませんでした……」

ハイは立ち上がることもできずにいる。

ハイ「今日は本当に疲れました……」

402

--氷の世界--

勇者「お疲れ様だね」

ざっ

ハイ「! 勇者さん、ご無事でしたか……!」

勇者「うん、私は大丈夫。倒しきれなかったけどね」

悔しそうな勇者の表情。

ハイ「あの魔王を二人同時に相手にして……恐ろしい人……」

ハイは冷や汗をかいている。

勇者「でもやっぱり君だったんだね」

ハイ「はい?」

勇者「バッドエンドを覆す『五人の勇者』の一人は」

ハイ「……はい?」

403

--失われた王国、遺跡--

ざっざっざっ

?「……」

遺跡の残骸や巨大な木々が生い茂るこの場所に、全身に黒い包帯を巻いた謎の人物が立っていた。

ざっざっざっ

それに近寄る長い銀色の槍を携えた男……。

茶肌「……おまえが、そうだな……? トリガーの命令だ、ここで、始末、する」

ひゅんひゅんひゅんひゅん

茶肌は槍をくるくると振り回したあと、穂先を包帯の人物に向ける。

?「……ヒュー、ヒュー」

茶肌「元三代目勇者にして四代目魔王、茶肌、まいる」

シャシャシャッ!!

そして茶肌は爆発的なスピードで走り出した。

404

--失われた王国、遺跡--

茶肌「おおおおおおおおおおおおおお!!」

跳躍し、狙いを見定め、構え、突く。

ドヒュオ!!

?「……」

それを包帯は早い段階でかわし、茶肌との距離をあける。

ドキャッッ!!

槍は包帯男の後ろにあった大木に突き刺さっていた。

がさっ

茶肌「……よく、かわしたな」

しゅ、しゅしゅしゅ……

槍が刺さった大木は、一瞬で活力を失い、枯れ木と化した。

?「……」

バキバキバキバキ、ズズーン!!

茶肌「俺は、戦士。だから、教えてやる。我が槍は、刺したものの寿命を削りきる、伝説の秘宝、『呪いの槍』……」

ひゅんひゅんひゅん!!

茶肌はその凶悪な獲物を振り回し、再び包帯に狙いを付けた。

405

--失われた王国、遺跡--

ぼろっ

?「!」

黒い包帯が朽ちてゆく。

茶肌「……お前自身は、射線上から、逃れた。だが、その包帯は、逃れ切れなかった」

ぼろっ

?「……」

黒い包帯がぼろぼろになり、密度が薄くなっていく。

?「……ち、かすってたか」

男の声。顔を覆う包帯も締め付けが緩くなり、中から眼や口が露出する。

?「やれやれ……」

男はぼりぼりと頭をかくと、ナイフケースに手を伸ばした。

シャキーン

?「せっかくの魔法道具を殺してくれやがって。どうしてくれようか」

男は困ったようにため息をついた。

がさっ

406

--失われた王国、遺跡--

ダンッ!!

先に動いたのは茶肌。

しゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃ!!!!

ビースト状態のワーウルフ並のスピードで男に接近していく。

?「! はえぇっ!」

茶肌「アララララララララッ!!」

ボボボボボボボッ!!

更に高速で放たれる突きのラッシュ。

ヒュヒュヒュヒュヒュヒュ!!!がさっ!!

茶肌「!?」

それを男は全てかわした。

?「空間設置魔法罠、ミスタイプ」

ぶぅん!!

辺り一帯が赤く光る。それはまるで魔方陣のよう。

茶肌「これは、罠? すでに、設置させられていたのか!?」

407

--失われた王国、遺跡--

?「よっと」

しゃっ!

攻撃を掻い潜り、男のナイフが茶肌の肌を斬る。しかしそれは薄皮一枚のみ。

茶肌「っ……」

?「斬れるか……どうやら勇者でしか倒せない、っていうルールまでは持ってないみたいだな」

茶肌(この罠は行動成功率を下げる類か? 味なマネを)

ダンッ

?「!」

茶肌は高く飛び上がった。

茶肌「スキル、透視眼!」

ぎぃん

茶肌の瞳はこの場一帯に張り巡らせた、全ての罠を看破する。
そして

茶肌「スキル、必中、スキル、百突き!」

ぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ!!

超高速の乱れ突きを放った。

408

--失われた王国、遺跡--

ドドドォオン!!

?「くっ! おいおい槍で突いて罠を殺したってか? なんでもありかよそいつはよー」

がささっ

男はその場から一旦離脱することにした。

?「っていうか必中持ってんの……? それで俺に打ってきたら終わりじゃね?」

ひゅん!

?「!?」

しゃしゃしゃしゃしゃしゃ!!

茶肌「久しぶりに、楽しめそうだ。すぐに終わらせては、もったいない」

スピードには自信のある男だったが、一瞬で茶肌に追いつかれてしまう。そして茶肌は顔を引きつらせるようにして笑う。

?「……はぁ。なんでこうも皆さんは戦闘好きなんですか、ねぇっ!」

ぎぃん!!

男は一回転してナイフを振り抜くも茶肌に軽々と防がれてしまう。

409

--失われた王国、遺跡--

ギインギギギッギギィンギィン!

今度は男がラッシュをかける。

茶肌「その程度か?」

ギギン!!

茶肌「それで本気だというのなら」

ギィン!

茶肌はナイフを弾く。

茶肌「並だ!」

ズン!!

?「ッッ」

茶肌の蹴りが炸裂する。

ドッゴォオオオオン!!

410

--失われた王国、遺跡--

ドゴォン! ドゴゴゴォン!!

?「がはっ!!」

どさっ

方々に激突し地面を転がる男。そこにすぐさま茶肌が迫ってくる!

茶肌「アララララララ!!」

?「げほっごほっ、体術でもこの差だよ……全く勝てる気しねーなぁほんと」

茶肌「アララララララ!!」

茶肌が槍を構える。

?「降参降参、降参だよ。やっぱり俺なんかじゃ勝てやしない」

茶肌「……戦いの最中で、あきらめる、のか? お前、戦士には向いていないな」

?「あぁ。だって昔は盗賊だったしな。戦士なんてのは本当に強いやつがなるもんだ」

茶肌「……誇り無き愚者め。なら死んでしまえ!」

茶肌は槍で突こうとする。

?「だから弱い俺は、他人の力を借りて戦うことにする」

どっ!!

茶肌「!?」

ぶしゅっ!

男は茶肌の突きを避けるだけでなく、茶肌の左腕を切り裂いた。

411

--失われた王国、遺跡--

ぶしゅううーー!!

茶肌「!? なん、だ。今の動きは!?」

?「……」

ごごごごごごごご

茶肌「魔力の質が、先ほどまでと、違う……」

男は強力な魔力を身に纏っている。

茶肌「この力……まさか」

?「奥義、共有・兜の型」

ナイフに六色の魔力が集まっていく。

?「盗賊スラッシュ」

ドシャアアアアアアアアアアアアアアン!!

412

--失われた王国、遺跡--

ズズゥッゥウウゥウウン……

茶肌「はっ、はっ、はっ……」

?「ち、普通今のを避けるかよ……」

男は自分の斬撃が遺跡を破壊してしまったのを見て舌打ちする。

茶肌「勇者の……力」

茶肌は恨めしそうに男を睨む。

茶肌「いや、これは偽者の勇者の力だ。だがなぜだ、なぜお前が、その力を!」

?「あんたを倒すのに必要だったから貸してもらった。そんだけのことよ」

茶肌「なんだと? それは貸し借りできるようなものではないはずだ」

?「……出来ちゃったんだからしょうがないじゃん」

茶肌「!?」

ドガアアアアアアアアアン!!

男の一撃が茶肌を吹き飛ばす。

413

--失われた王国、遺跡--

茶肌「ぬぅ……」

?「あらー……今のも防ぐか……」

男は再びナイフを構え、茶肌に接近していく。

ザザザザザザ!!

茶肌「!! アララララララ!!」

茶肌も体勢を立て直し、カウンターを狙う。

?「どうせ聞いてるだろうから教えといてやるよ」

ギィン!!

槍に切りかかる男。

?「共有は結びつきの強い人同士で出来る奥義だ……だからこんなことも出来る。闘士の型」

むきっ!!

男の筋肉が膨れ上がる。

?「こ、攻撃力、攻撃速度上昇レベル4」

ふぉん、どがぁあああん!!

男の拳は茶肌の顔面を完璧に捉えた。

414

--失われた王国、遺跡--

どさっ!

茶肌「っく……」

?「無効化じゃないみたいだが、ほんと硬いなぁ……全然削れねぇ」

男は右腕を振り回しながら喋る。

?「だけど……大体わかるだろ? この力を使えば、あんたの悩みの種が増えちゃうってことも」

男は誰もいない場所に向かって語りかけている。

茶肌「ぬぅ!!」

?「っと。兜の型」

茶肌「うおおおおおおお! 移動速度上昇、レベル4!!」

ぎゅん!!

?「! やっと本気になったってわけか? でも」

ひゅん!

茶肌の槍は男に当たらない。

?「1・狙いをつける 2・構える 3・突き出す の順の行動でそいつは効果を発揮するんだろ? 多少無茶を言ってるが、2と3の間に射線上が移動しちまえば効果は発揮しないんだってな」

茶肌「!!」

?「本気のあんたを相手にしたら、俺なんかじゃそんな芸当は不可能だ。でも今は違う」

ひゅひゅひゅひゅひゅ!!

?「今俺は、速度の限界を超えた者と共にいる」

415

--失われた王国、遺跡--

ドギィイイン!!

茶肌「ぐ、ぐぅ!? お。お前、なにものだ……」

じゃり

?「とっくにごぞんじなんだろ!?」

茶肌「!?」

?「オレは自宅から野菜を買うためにやってきた専業主夫…穏やかな心を持ちながら激しい怒りによって目覚めた伝説の凡人…超ニートだ!」

茶肌「な、なにッ!?」

がさっ

よく見ると野菜の入った袋を持っていた男。

茶肌「ニート……? きいたことのない職業……いったいどんな職業なんだ……?」

?改めニート「ふん、ニートはな。全てを超える可能性だけを持った、最も自由な職業なのだ」

ニートは手を広げくるくると回ってみせる。

茶肌「全てを、超える?」

ニート「可能性だけな」

416

--失われた王国、遺跡--

ニート「ニートは一人では生きていけない、他人の力を借りるしかないのだ」

ざっ

茶肌「!」

ニート「ニートは職業とは呼べない。だからこそどんな職業になることも出来る……」

ざっざっ

茶肌「っぐ!」

歴戦の勇者である茶肌がニートを前にして汗を垂らす。

茶肌(言っていることはよくわからない……だが……こいつの力、危険だ!)

ニート「勇者に憧れ、旅に出て、盗賊になったりもしたが、結局行き着いたのはスタート地点と一緒だった……そう、人生とは回り道……あの頃の俺に教えてやりたい、働かない職業もあるんだと」

茶肌「……! その歳で、働いてない、のか」

茶肌はがくがくと震えている。

ニート「……ニートとは可能性の塊!! 勇気を出し、一歩前に踏み出せば!! ニートはなんにでもなれるんだっ!! 見ろ、これが他力本願の極致! ニート変化!!」

ぎゅいいいいいいいいいいいいいいいいん!!

ニートの魔力が更に高まっていく!!

ニート「勇者の型!!」

どおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんんん!!

417

--失われた王国、遺跡--

ばちっばちばちっ!!

茶肌「!! その力は! 紛れも無い……勇者……」

ニート「あぁそうだ。さぁ、決着をつけるぞ。野菜が傷まないうちにな!!」

ぎゅいいいいいいいいいいいいいいいいん!!

ニートのナイフに魔力が集約されていく。

茶肌「!」

茶肌も槍に魔力を込める。そして不適に笑う。

茶肌「お前はよくわからない……が、面白い……お前、強い!」

ぎぃいいいいいいいいいん!!

二人の魔力が臨界点に近づいていく。

茶肌(あの力は勇者のもの……魔王である俺が攻撃を受ければ負ける……だが逆にこちらが先にあてれば俺が勝つ……)

じりじり

二人は間合いを計っている。

茶肌(臆するな。俺は誇り高き戦士! 俺は最速の勇者!!)

ぐっ

姿勢を落とし、茶肌が攻撃態勢に入る。

ニート「と」

ダンッ!!

茶肌(もらった!!)

ドシュドシュドシュドシュドシュドシュ!!!!

茶肌「げっひ!?」

走り出した瞬間、茶肌の体に魔力で出来た無数の槍が突き刺さった。

418

--失われた王国、遺跡--

ぶしゅっ! ぼたたっ!

茶肌「げ、げひっ……こ、これ、は……」

ニート「空間設置魔法罠、カウンタータイプ。……ニートの説明をしている時に貼らせてもらった」

茶肌「!……あの回っている時か……ごほっ!」

ニート「……いくら勇者の力を借りてるって言っても、あんたの本気の速度と真っ向から打ち合うのは危険だったからさ……ちゃんとした一騎打ち出来なくてごめんな」

ぼたぼた

茶肌「……仕方あるまい……これも戦士の最後の一つ……」

茶肌は手に持っていた槍を地面に突き刺すと笑った。

茶肌「名はなんと言う? 凡人」

ニート「盗賊って呼ばれてたりする」

419

--失われた王国、遺跡--

茶肌「俺を負かした戦士、盗賊よ。これをお前にくれてやろう」

茶肌は呪いの槍をニートに渡すと言った。

ニート改め盗賊「……いや、悪いけど俺そっちの才能ないからうまく扱えないぞ?」

茶肌「む……」

盗賊「あんたがもってきなよ。ずっとそれと一緒だったんだろ?」

茶肌「……そうだ。我が伴侶だ」

盗賊「それならなおさらだ。俺はNTRに興味は無いし、可愛い嫁だっているしな」

茶肌「……そうか」

ぼろろっ

茶肌の体が崩れていく。

茶肌「さらばだ、よくわからない、変な戦士よ」

盗賊「俺はただのニートだよ」

ぼろろろろっ

盗賊「……じゃあな。あんたは俺が戦ってきた中で最も速い戦士だったよ」

ざぁああ……

ひゅぅうううぅう

盗賊「やれやれ……まさか買い出しに出て魔王と遭遇するとはな……物騒な世の中だぜ」

420

--失われた王国、付近--

わいわいがやがや

ツインテ「は、ハイさんの職業勇者だったんですか!?」

ハイ「いえそういうわけでは……」

アッシュ「俺達が何年も修行してなれなかったものを……」

ハイ「これは制約と条件のおかげであって私の才能とかそういうんじゃないですから……」

ポニテ「ほんと役に立たない先輩でごめんね、これじゃおっぱい大きいことくらいしかいいところないや……はは。おっぱい揉む?」

勇者「馬鹿にしてんの?」

ハイ「いえ揉みませんけど」

レン「……まさに希望が詰まった職業にゃね、レベル。レベル1の通常状態だと一般の兵士にすら完封される戦闘力なのに」

ハイ「レベル1状態では普通の女の子と変わりありませんからね」

ぞろぞろと歩いているハイ達。五柱や黄金世代も加わってそこそこ大規模なグループになっていた。

D鷲男「ぎゅああぁあ!!」

そこに空から鷲男が現れる。

魔導長「!? 倒してなかったなの!? 任せたのに!」

元賢帝「いや任すとか言ってなかったじゃないの。あんたいきなり戦線から離脱したんじゃない」

射王「俺達に責任なすりつけられてもな」

侍「……まぁ、このメンバー相手に一人で突っ込んでくるとは自殺行為でござるがね……」

D鷲男「いいいいいいいいいいいぐるるるるるうぅううう」

ぴかっ

  「雷属性攻撃魔法レベル5」

どぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!

D鷲男「ぎゃ、ぎゃああああああああああああああああああああ!!」

雷に焼かれて灰と化す鷲男。

通信兵「!? レベル5魔法!? あっちから飛んできましたが……」

符術師「今のは魔族を狙ったんだよな? ってことは味方、なのか?」

そこには黒いフードを被った二人組がいた。

勇者「安心して。彼らは仲間なの」

ついにさりげなく再登場です。
それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m

こんばんは投下にきました。

結びつきをそういう方向にもっていかれるとは思いませんでした! まさかのカブトさんホモォ疑惑……

769さんありがとうございます! それであってます!!


それでは投下していきます。

421

--失われた王国、付近--

ひゅぅううぅう

魔導長「レベル5魔法の使い手はそんなにいないはずなの……ってか今私の語尾ぱくったなの!?」

ざっ、ざっ、ざっ

勇者「警備お疲れ様。異常は無い?」

?「お前らが魔族を連れてきたこと以外はな」

??「もうっ、またそんな言い方して!」

ふぁさっ

二人は黒いフードを取った。

ポニテ「!!!!」

通信兵「……レベル5魔法を使用出来る人間がいるとすれば魔導長様と聖騎士様と……貴方くらいでしょうね」

符術師「元王国軍団長……魔法使い!」

?改め魔法使い「……」

ポニテ「キバお姉さん!! 生きてたんだね!!」

??改めキバ「お久しぶりポニテちゃん!」

422

--失われた王国、付近--

がばっ!!

キバに抱きつくポニテ。

魔法使い「ふん……せっかく人生を全う出来たと思っていたんだがな、そこの女に無理やり生き返させられたんだ」

キバ「こらっ! 私達を救ってくれた恩人に対してそういう言い方はやめなさい!」

ポニテ「ママが助けたの?」

勇者「うん。魔法使いを探し