父「入院の思い出」(30)

父「小さい頃、入院していたんだよ」

娘「へー」

父「扁桃ってとこ、のどちんこの横にあるやつな」

娘「あー、うん」

父「これが膨らんで呼吸が出来なくなってな、緊急入院したんだ」

娘「大丈夫だったの?」

父「大丈夫じゃないならここにいないわ!」

娘「あはは、そうだね」

父「まあ、その時のことはよく覚えていないんだが、結構危ない状態だったらしい」

父「あっ、がぁっ、こぉっ……!!、って感じで」

娘「ぶふっ!」

父「で、緊急手術で扁桃を切ったんだ」

父「ほら見てみろ、ないだろ」アー

娘「ほんとだ、膨らみがないや」

父「で、峠は超えて事後経過ということで一週間くらい入院したんだ」

父「点滴打ってる以外は至って健康だったわけだから、一日中ベッドの上は退屈なわけだ」

娘「あー、分かる」

父「そんときはディーエスとかそんなハイテクな物は無かったわけだからな」

父「暇つぶしがてら、病院の中を探検してたのよ、そりゃガキだったから」

父「たしかその時だったかなぁ、出会ったの」

~回想~


少年「んー……」キョロキョロ

ナース「あら、こんにちわ」

少年「こんちわー!」

ナース「何してるのかな?」

少年「えっと、たんけん!」

ナース「あらそうなの、人の迷惑にならないようにね?」

少年「わかった!」

少年「きぃーん!」タッタッタッ

ナース「元気ねぇ、子供って」

少年「んー……」キョロキョロ

少年「……ん」ピタッ

少女「……」ググッ

少女「んん~……」プルプル

少女「……んんん�・�・!」プルプル

少年「……じどうはんばいき」ジー

少女「……あっ」ドテッ

少女「……うぅ」

少年「……」ジー

少女「……あっ」

少年「どうしたの?」

少女「えっと……とどかないの」

少年「どれ?」

少女「あれ」

少年「あれか」

少女「うん……」

少年「ぼくがかわりにおしてあげる!」

少女「ほんと?」

少年「ふん!」ググッ

少年「……ぐぬぬぬ」プルプル

少女「……とどいてない」

少年「もうちょっと!」

少年「ぐぬぬ~!」プルプル

少女「……」

少女「……がんばって!」

少年「とりゃ!」ポチッ

ガタンッ

少年「よっしゃ!」

少女「やった……!」

少年「とどいた!、はいこれ!」スッ

少女「ありがとー!」

少年「じゃあね!」

少年「きぃーん!」タッタッタッ

少女「ばいばーい!」

~�・�・

父「確か、ポカリだったかなぁ、あの時の缶ジュース」

父「250mlの細長い奴、最近見なくなったけどな」

娘「そんなのあるんだ」

父「そうそう、その頃は病院内に売店があってな……」

~�・~

少年「かーちゃん、アイスかって!」

かーちゃん「あら、そうね、自分で買えるかしら?」

少年「うん!」

かーちゃん「それじゃあお金あげるから、好きなの買ってきてね」

かーちゃん「後、母ちゃんの分も買ってきてくれると嬉しいな」

少年「わかった!、いってくる!」

かーちゃん「気をつけてねー」

少年「ついた!」

店員「いらっしゃーい」

少年「えっとえっと」キョロキョロ

少年「あった!、ばにら!」

少年「かーちゃんのぶんとふたつ!」

少年「ください!」

店員「お金はあるかな?」

少年「はい!」チャリン

店員「はいどうもー、これお釣りね、落とさないようにね」

少年「ふんふーん♪」

少女「……あっ」

少年「あ!」

少年「やあ!」

少女「や、やあ……?」

少年「えっとね」ガサゴソ

少年「これあげる!」スッ

少女「……あいす?」

少年「ばにら!」

少女「……あ、ありがとう」ニコ

少年「あ、これすぷーん!」

少女「え、うん」

少年「……へへっ」

少年「ばいばーい!」

少女「ば、ばいばい」


少年「ただいま!」

かーちゃん「あらおかえり、アイスは買えた?」

少年「ばにら!」

かーちゃん「……母ちゃんの分は?」

少年「あげた!」

かーちゃん「え?」

~�・~

父「確か、イタリアーノってアイスだったかな」

父「あれ、もう売ってないんだよなぁ……好きだったのに」

娘「そうなんだ」

父「その後、再び会うこともなく退院したんだよな」

父「元気かなあ、あの子」

娘「……ところで、なんでそんな話を?」

父「何でって……」

父「お前が今盲腸で入院してるからさ」

父「ふと思い出したわけだ」

娘「ふぅーん……」

父「じゃあそろそろ父さんは帰るよ」

父「明日は母さんがお見舞いに来ると思うからよろしくな」バタン

娘「うん、ありがと」

娘「……」

娘「ほんとに暇だなー……」

次の日

母「調子はどう?」

娘「そんな心配しなくていいよ、大袈裟だなあ」

母「そんな事が言えるうちは大丈夫でしょうね」

娘「さすが、分かってるね」

母「入院といえば、母さんも子供の頃入院してたことがあるのよ」

娘「そうなんだ?」

母「信号無視して道路に飛び出しちゃってね、車に轢かれちゃったのよ」

娘「うわ、大丈夫だったの?」

母「打ち所が良かったみたいで、右腕の骨折だけで済んだわね」

娘「だけ……?」

母「しばらく入院することになったんだけど、利き腕が使えないから不便だったわー」

娘「分かる気がする」

母「で、ジュースを買おうと思って自販機に行ったときなんだけど……」

~回想~

少女「えっと、おかねいれて」チャリン

少女「なにのもうかな」

少女「……ぽかりのみたいな」

少女「……んー……」

少女「たかい……」

少女「……」ググッ

少女「んん~……」プルプル

少女「……んんん�・�・!」プルプル

少女「……あっ」ドテッ

少女「……うぅ」

少年「……」ジー

少女「……あっ」

少女「(だれ?)」

少年「どうしたの?」

少女「えっと……とどかないの」

少年「どれ?」

少女「あれ」

少年「あれか」

少女「うん……」

少年「ぼくがかわりにおしてあげる!」

少女「ほんと?」

少年「ふん!」ググッ

少年「……ぐぬぬぬ」プルプル

少女「……とどいてない」

少年「もうちょっと!」

少年「ぐぬぬ~!」プルプル

少女「……」

少女「……がんばって!」

少年「とりゃ!」ポチッ

ガタンッ

少年「よっしゃ!」

少女「やった……!」

少年「とどいた!、はいこれ!」スッ

少女「ありがとー!」

少年「じゃあね!」

少年「きぃーん!」タッタッタッ

少女「ばいばーい!」

~�・~

母「当事は引っ込み思案だったんだけど、あの時は嬉しくてつい騒いじゃったわ」

娘「……そのポカリって、細長い缶のやつ?」

母「あら、そうなのよ!、よく分かったわね?」

娘「あ、うん」

母「あれから数日後だったかしら」

~�・~

とーさん「じゃあ父さんこれから仕事だから」

とーさん「ひとりで大丈夫か?」

少女「うん、だいじょうぶ」

とーさん「そうかそうか、じゃあ夕方にまた来るからね」バタン

少女「いってらっしゃい」

少女「……」

少女「……ひまだなあ」

少女「……さんぽしようかな」

少女「んー……」

少女「みぎうでうごかせないの、つらいな……」

少年「ふんふーん♪」

少女「……あっ」

少女「(このまえのおとこのこだ)」

少年「あ!」

少年「やあ!」

少女「や、やあ……?」

少年「えっとね」ガサゴソ

少年「これあげる!」スッ

少女「……あいす?」

少年「ばにら!」

少女「……あ、ありがとう」ニコ

少年「あ、これすぷーん!」

少女「え、うん」

少年「……へへっ」

少年「ばいばーい!」

少女「ば、ばいばい」


少女「……」シャリ

少女「ん」パク

少女「……おいしい」ニコ

~�・~

母「あの後、会うこともないまま退院しちゃったのよね」

母「元気にしてるかしら、あの子」

娘「……」

母「そういえば、あのアイス、なんて言ったかしら」

母「バニラ味だったことは覚えてるんだけど……」

娘「……もしかして、イタリアーノってアイス?」

母「あっ!、そうよそれよ!、思い出したわー!」

母「それにしてもよく知ってたわね、イタリアーノだなんて」

娘「まあ、ちょっとね……」

母「じゃあお母さん帰るわね、着替えは大丈夫?」

娘「うん、大丈夫」

母「あんまりやんちゃしないようにね?」バタン

娘「じゃあね」

娘「……」

娘「……間違いないよね」

娘「何が凄いって、お互いにその人だって気付かないままその人と結婚してることだよね」

娘「なんというドラマ」

娘「……退院したら教えてあげようか」

娘「どんな顔するんだろうね、ふふっ♪」


おしまい

途中でオチが読めるのは仕方ない。
そんなことよりイタリアーノ食べたい。
ルイズコピペを改変したいほど食べたい。

見てくれた人、ありがとう

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