絵里「雨音」 (39)

ザーザー

あ、とうとう降ってきちゃったわ。

まあ、夕方から降水確率60%だったし。

賢い私は、傘を持ってきて準備万端。

部活は休みの日なんだけれど、こんな日に限って掃除当番。

全くついてないわね。

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下駄箱

外を眺めながら佇む一人の少女が

傘忘れたのかしら?

……って海未じゃないの。

絵里「海未、どうしたの?」

海未「絵里」

海未「傘持ってきてた筈なんですが」

海未「どうやら、盗まれてしまったらしくて」

海未「それで、雨上がるの待ってたんです」

絵里「まあ」

バサッ

絵里「ほら」手招き手招き

海未「え?」

絵里「一緒に帰りましょ」

海未「もしかして、相合傘と言う奴ですか?」

絵里「うん」

海未「じゃ、じゃあよろしくお願いします」

絵里「そんなに畏まらなくても」

海未「親しき仲にも礼儀有りって奴です」

絵里「海未らしいわね」

海未「傘、私が持ちますね」

海未「入れてもらってるのに、持たせるのは悪いので」

絵里「そんなの気にしなくて良いのに」

海未「私が気にします」

絵里「じゃあ、お願い」

海未「日直でしたので、帰るのが遅れてしまって」

絵里「私も掃除当番で帰るの遅れちゃって」

絵里「調度良かったわね」

私と海未が、こうして相合傘してるとどうやって見えるのかしら?

同じ部活の先輩後輩。

さすがに特別な関係には見えないわよね?

どちらかが傘を忘れたので相合い傘を~って感じかしら?

ザーザー

真姫「んー?」

真姫「あれは?」

花陽「どうしたの?」

真姫「傘で良く見えないとはいえ、あの金髪を見間違う訳ないわ」

凛「あ!」

凛「絵里ちゃん」

真姫「相合傘してる相手は」

花陽「海未ちゃん」

海未絵里「あっ」

バッタリ

絵里「凛と真姫に花陽」

真姫「へー、お二人がそういう関係だったとは」

海未「こ、これは違うんです///」

絵里「海未がね、傘盗まれちゃったって言うから」

海未「そうなんです」

絵里「それで相合傘してたのよ」

真姫「お似合いな二人だ事」

凛「お似合いにゃ」

海未絵里「!」

絵里「な、何言ってるのよ///」

海未「そうですよ///」

真姫「邪魔しちゃ悪いから、そろそろ行くわよ」

花陽「うん」

真姫「じゃあね、お似合いカップルさん」

凛「バイバイ」

絵里「カップル///」

絵里「全く真姫ったら」

さっきまであまり気にせず、海未と相合い傘してたけど

真姫達に、お似合いなんて冷やかされたら妙に意識しちゃうじゃない///

さっきよりも微妙に二人の距離を空けてしまい……

海未「もっと寄らないと濡れてしまいますよ?」

絵里「……うん」

海未「…………」ボソリ

絵里「え?」

絵里「今なんて?雨音で聞こえなかった」

海未「何でもないです。独り言です」

絵里「?」

真姫「真面目な二人だけに、からかうと面白いわね」

凛「真姫ちゃん、いけない子」ぷぷぷ

花陽「でも、あの二人結構お似合いだよね」

真姫「まあね」

凛「それにしても、この雨ムカつくにゃ」

凛「練習休みだから、お出かけしようと思ってたのに」

花陽「残念だったね」

凛「穂乃果ちゃんみたいに叫んだら止むかな?」

真姫「止むわけ無いでしょ」

凛「物は試しに!」

凛「雨止めー!!!!」

ドザザー!!

まきりんぱな「ちょっ!」

凛「余計に降ってきたにゃ!」

ドザザー

海未「あれ?」

絵里「急に大降りになってきちゃったわね」

海未「そうですね」

絵里「これじゃ、びしょ濡れになるわ」

絵里「私の家で雨宿りして行きなさい」

海未「で、でも」

絵里「良いから」

海未「はい」

海未「お邪魔いたします」

絵里「私の部屋行きましょ」

海未「はい」

絵里「タオルよ。どうぞ」

海未「ありがとうございます」

絵里「座りましょ」

ぽんぽんとベッドを叩く。

絵里 髪の毛解き、拭き拭き

海未 ジーッ

絵里「な、何?」

絵里「そんなにジーッと見つめられたら照れるじゃない///」

恥ずかしくて少し俯くと海未が微笑む。

海未「絵里って」

絵里「え?」

海未「絵里って髪下ろすと可愛いですよね」

絵里「なっ///」

絵里「急に何言ってるのよ///」

海未「いや、でも本当に可愛いので」

絵里「あ、ありがとう///」

海未「普段、髪縛ってる絵里も凛々しくて格好いいですけど」

海未「こっちの絵里も可愛くて好きですよ」

絵里「へぁう///」

絵里「海未って天然たらしとか言われたこと無い?///」

海未「何ですかそれ?」

海未「顔赤いですよ?」

絵里「誰のせいで赤くなったと思ってるのよ///」パタパタ

海未「?」

頬に熱が集まっているのが分かる。

きっと顔は真っ赤になってる筈。

そう思うと急に恥ずかしくなった。

絵里「…………」

絵里「ちょっと待ってて」

海未「はい」

ガチャッ

ふぅーと大きく息を吐き、鏡をのぞき込むと

案の定、真っ赤になった自分の顔があった。

全く海未ったら……

仕返しよ。

海未の顔赤くしてやるわ。

ここから先は、ずっとエリチカのターンよ。

一旦ここまでです。

絵里「お待たせ」

絵里「はい、麦茶よ」コト

海未「ありがとうございます」

隣に座り、スススッと近づき

そのまま寄り添って……

ピトッ

海未の身体の熱が伝わり触れてる所が温かくなった。

そのまま海未の背中に腕を回し、ギュッと抱き寄せた。

海未「どうしたのですか急に?」

絵里「んー、海未とこうしてたいなって」

ザーザー

隣で麦茶を飲む海未が窓へと視線を向ける。

海未「雨止みませんね」

絵里「そうね」

海未「雨がこのまま止まなければ良いのに」

絵里「何で?」

海未「そうすれば、このまま絵里と居られるなって」

絵里「ぅえ?///」

どんだけ人の顔赤くすれば気が済むのよ///

いや、寄り添ってる今、海未も今頃顔赤くしてる筈。

赤くなった顔見て上げるわ。

顔を向けると振り向きざまに……

ちゅっ

絵里「わっ?」

突然の事にピクンと身体が跳ねた。

海未「ビックリしました?」

ふふ、と少し得意気に微笑む海未。

絵里「いきなりほっぺたにキスされたらビックリするわよ///」

絵里「海未って、こんなキャラだった?」

海未「こんなキャラって何です?」

絵里「その……キスとか恥ずかしがるのかと」

海未「寄り添ってくる絵里が、あんまりにも可愛かったのでつい」

絵里「へぁ?///」

海未 ジーッ

再び私をジッと見つめてくる海未。

見つめられる恥ずかしさに俯きかけると

私の頬にそっと両の掌を添え

チュッ

唇に優しいキス

唇が離れ、呆然としていると

海未「あの……」

海未「絵里、口開いてますよ?」

絵里「ハッ!///」

絵里「何で何で?///」

絵里「海未は、絶対キスなんて恥ずかしがると思ってたのに///」

海未「可愛い絵里見てたら」

海未「恥ずかしさよりもキスしたいって気持ちが」

絵里「海未・・・///」

お互い見つめ合うと

再び二人の唇が重なり合った。

海未絵里「ちゅっ……ちゅ……んちゅ……ん………」

数回、喋む様なキスを交わした後

海未絵里「ちゅっ……ちゅ……んくっ……ふ……」

海未絵里「ふぅ……んんっ、ちゅむっ…ふあぁっ、ちゅく……んむ……」

ドサッ

キスしたまま海未に押し倒される形で、ベッドへと倒れこんだ。

絵里「あ……」

絵里「ええ?///」

絵里「海未って、こんなに大胆だったの?///」どっひゃ~

海未「そうですか?」

海未がキョトンとした表情を見せた。

絵里「……うん、ものすごく」

海未「絵里が、そうさせるんですよ」

普段恥ずかしがり屋な海未が、たまに見せる少し強気で大胆な姿。

絵里「私は、どっちも好き……」

そう小さく呟いた言葉は、雨音にかき消された。

                「……ちょ……あっ……」
       「可愛いですよ」     
                           「……ん……」
            「う……海未」

  「……ぁ……絵里……」  
                   「綺麗です」     「んー?」
 
                           「……あ、お願い」
       「ぅ……そこ弱いの」
                              「あぅ……」
     「ゃ……ん……」                                
                         「はぅ……ぁ……あ……」
       「そこ、駄目///……」
                       「はい?」

(もう……駄目って言ってるのに///……)

 「キスして?」

      「ん……ちゅ…ふぅ……んちゅ……はぁ……」
                         
  「気持ち良いですか?」  「ひゃぅぅ……」
                        「う、うん……」
        「ふふふ」                               
                          「すべすべ」

                      「あああぁぁっ」
         「ん、柔らかいです」

「ん……」 
                   「海未?」 
                               
  「何ですか?」

                     「私の名前呼んで?」

  「絵里」

 「くすくす……」

 「良いですか……?」 
               「ほら、もうこんなに」   「んん…はぁんっ///」

    (もう……海未のバカ///) 
                       「もっ……い」

「何ですか?」           「もっと……しい」

       「聞こえませんよ?」                   「もっとして欲しい///」

    「ハラショー」

ザーザーザー

絵里「海未って……」

絵里「その時ってキャラ変わるのね///」

海未「……zzz」

絵里「……寝てる」

海未の頭に手をやり、そのまま撫で回した。

絵里「真姫達に、お似合いって言われて」

絵里「本当は嬉しかったのよ?」

後になって分かった事だけれど

来る途中に海未が呟いた言葉も同じだったみたいね。



おしまい

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年08月14日 (木) 03:16:12   ID: rPKuWV8d

いいうみえりだった…!ハラショー!

2 :  SS好きの774さん   2014年08月15日 (金) 17:05:55   ID: FfFZMyVM

b( ・`8・)ハラショー!

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