魔王「今日は村人ハンバーグを作ろー」(48)


魔王「参謀ちゃん、一緒に食べよっ」

参謀「わぁ、楽しみです魔王さまー」


少女「お母さん!! お母さん!!」

母「お許しを! どうか、どうかお許しを!」

魔王「魔法のアイテム『ひき肉ツクール』だよー」

参謀「わぁ~」パチパチパチ

魔王「若い子のお肉がいいよね」

少女「いやぁ! やだ、お母さぁん!」

魔王「まずこの箱の中に人間を入れましてー」

参謀「ましてー」

母「魔王様、魔王様お願いです、どうかお慈悲を……」

少女「助けて……死にたくない……誰か、お母さん、助け――」

魔王「スイッチオン!」


 ギュォォオオオ

 ゴォン ゴゥン ゴゥン

魔王「するとこの蛇口みたいなところから、ひき肉が出る」

 ミチミチッ ミチミチミチミチッ

魔王「これは良いひき肉かな、参謀ちゃん」

参謀「鉄くさいですねー」

魔王「じゃあ良いひき肉だねっ♪」

魔王「村人ハンバーグ美味しかったねー」

参謀「舌の上でとろけるようでした」

魔王「明日もひき肉貰いに行こうか」

参謀「参謀に一つ良いアイデアがあります」

魔王「なぁに?」

参謀「大根おろしを乗せてみるというのはいかがでしょう」

魔王「……」

参謀「……ダメ?」

魔王「いいかも。大根も貰えるかな」

参謀「きっと貰えます。では今日はもう休みましょう」

魔王「参謀ちゃん一緒に寝よっ」

参謀「わーい」

村長「悪魔を退治して頂きたい」

勇者「悪魔?」

村長「人の形に似た、人ならざる者」

勇者「……」

村長「長い尾と、大きな角とが特徴の」

勇者「……」

村長「人を喰らう怪物です」

僧侶「お引き受けなさるんですか? 悪魔退治」

勇者「捨て置けないだろ」

僧侶「ですよね」

勇者「うん」

僧侶「勇者様はお優しいから、きっとそう仰ると思いました」

勇者「……」

僧侶「……」

勇者「竜頭の火山に踏み込む前のレベル上げも兼ねてる」

僧侶「……ここを超えたら、もう」

勇者「ああ、魔王の根城は目の前だ」

僧侶「……」

勇者「……」

僧侶「私たち、無事に帰れますよね」

勇者「……わからない」

僧侶「……」

勇者「でも、何があっても」

僧侶「……」

勇者「僧侶さんだけは、守るから」

僧侶「……」ドキドキ

僧侶「あ、あの、ところで、なんですけれど……」

勇者「うん」

僧侶「どうして私と勇者様が同じお部屋なのでしょうか」

勇者「戦士と魔法使いがいらん気を回したから」

僧侶「本当に、もう、困ってしまいますよね、あはは……」

勇者「……」

僧侶「……」

勇者「……正直」

僧侶「えっ?」

勇者「正直、少しありがたいと思ってる」

僧侶「……」ドキドキ

魔王「参謀ちゃんくっつき過ぎだよ」

参謀「魔王さまー」

魔王「あっついよー」

参謀「やぁん、魔王様、邪険にしないで下さい」

魔王「参謀ちゃん体温高いんだもん」

参謀「魔王様に熱を上げているからです、えへへ」

魔王「なんでそんなに可愛いの」

参謀「魔王様っ、お腹まくらして下さい、お腹まくら」

魔王「いいよー、おいでおいで」ポンポン

参謀「わーい」

 ドスッ

魔王「角が痛いっ!」

魔法使い「昨日の村長さんの話によると」

戦士「魔王を名乗る悪魔は夕刻頃、村の南からやってくる、と」

勇者「うん」

僧侶「ここで待っていれば、そろそろ」

戦士「悪魔と戦うのは初めてだな」

魔法使い「強いのかな」

戦士「村の男共が束になっても敵わねぇってよ」

魔法使い「ふぅん。……にしても、魔王って」

戦士「ここで魔王が出るんじゃ、この後俺たちが倒しに行く奴は誰なんだっつー話よな」

魔法使い「本物だったらどうする? 戦士、私の盾になってね」

戦士「本物は竜頭の火山から出てこねぇよ」

僧侶「あの、皆様、どうか油断なさらぬよう」

戦士「ああ、わかってる」

魔王「なんか知らない人がいる。怖い」

参謀「出た! 魔王様の人見知り!」

魔王「……やっちゃう?」

参謀「やっちゃいますか」

魔王「振舞っちゃう?」

参謀「振舞っちゃいますか、村人ハンバーグ」

魔王「あれ取って来よう」

参謀「あれですね。大急ぎで取ってきます」

魔王「うん」

参謀「……」

魔王「……」

参謀「とろけるチーズであってますか?」

魔王「あってない」フルフル

戦士「……何か来るぞ」ガシャッ

勇者「長い尾と、大きな角」

魔法使い「ふぅん、あれが悪魔か」

僧侶「……どうか、神のご加護がありますように」

魔王「あの、あのっ」

参謀「魔王様がんばってー」

魔王「勇者さん御一行、だよね、たぶん」

勇者「……」

魔王「一緒に村人ハンバーグ作ろっ」

勇者「……」

魔王「昨日は自動のでやったけど、今日は、一緒にって思って」

勇者「……」

魔王「じゃーん、手動の『ひき肉ツクール』だよー」

参謀「大急ぎで取ってきました」

魔王「手動だから、調節して、人間が食べやすいくらい細かく出来るよ」

勇者「……」

魔王「まぁ私はこりこり食感が残るくらいが好きだけど」

参謀「参謀もです」

魔王「あと手動はねー、楽しいよね」

参謀「楽しいです」

魔王「ゆっくり挽くから、中の人が結構長く生きてるの」

参謀「悲鳴がここの管を通ってですね、大口花の笑い声みたいに変ります」

魔王「ばきばきいう音も聞こえる」

参謀「参謀が設計しました」

魔王「すごい!」

参謀「嘘です」

魔王「嘘か」

勇者「……」

勇者「お前達は、人間を食うのか」

魔王「ん? あ、これサンプル、昨日の残り」

参謀「焼いたらすぐ食べれます」

勇者「……血と糞尿の臭い、髪や衣服の破片が」

魔法使い「うわっ……」

戦士「もう、間違いなさそうだな」

魔王「あげる」

参謀「舌がとろけますよ」

魔王「そしたら新しい村人を獲りにいこー」

勇者「……ここで排除する」

 ブンッ

 ガシャンッ

魔王「あーっ!」

魔王「こ、壊れた……?」

参謀「ああ、壊れちゃったかもです、凹んでる……」

勇者「ハッ!!」

 バシュッ

参謀「きゃっ!」

魔王「参謀ちゃん!」

魔法使い「cast-instant spell-『Incinerate』」

 ボッ

 ゴォォオオオオオ

魔王「わぁー逃げろー!!」ダッ

参謀「わぁ~!!」ダッ

勇者「追うぞ! 魔法使いと僧侶さんは援護を!」

魔王「お、追いかけてくる!」

参謀「うぅ、ぐすんっ」

魔王「参謀ちゃん……」

参謀「服、破けちゃった……ぐすん」

魔王「……酷い!」

 バッ

魔王「なんで酷いことするの! 謝って!」

勇者「っ!!」ザッ

魔王「参謀ちゃんの服破けちゃったよ! 謝って!」

勇者「人喰いの悪魔が、服が破れたから謝れだと……?」

魔王「この服は参謀ちゃんが一生懸命作ったやつなのに!」

勇者「ふざけるな!」

魔王「『ひき肉ツクール』だって参謀ちゃんが走って取ってきてくれたのに!」

参謀「新しい服はどういうのにしましょう」

魔王「素早い立ち直り」

参謀「布も貰って帰りましょう」

魔王「私も新しい服欲しい」

参謀「お任せあれ」

勇者「戦士! 一気に片付けるぞ!」

戦士「おう!」

参謀「ダメです。cast-summon spell-『Oversoul of Dusk』」

 ゴウッ

 ズズズッ

魔王「なんか大きいの出た!」

参謀「大霊さんです。大霊さん、まずは魔法使いさん狙って! そのあと村!」

魔王「私たちは?」

参謀「一旦距離を置きましょう」

魔法使い「な、なによあれ……」

僧侶「大きい……」

魔法使い「こっちに向かってくる。やるしか、ないみたいね」




参考までに《薄暮の大霊/Oversoul of Dusk》
http://i.imgur.com/tqDDfRw.jpg

魔王「あ、魔法使いさん死んだ」

参謀「赤と青と黒の魔法が効かないことを見抜けなかったみたいですねー」

魔王「踏み潰されてぐしゃぐしゃになっちゃってる」

参謀「簡単に片付いてラッキーです」

魔王「この後はどうするの?」

参謀「魔法使いさんを倒したら村を襲うように指示してあるので」

魔王「ふむふむ」

参謀「それを阻止するために勇者さんと戦士さんが戦うはずです」

魔王「ふむふむ」

参謀「二人と大霊さんが相打ちくらいですね」

魔王「えっ、大霊さん倒されちゃうの」

参謀「あの二人は素早そうなので、先制攻撃を仕掛けられたらまずいですね」

魔王「まずいんだ」

参謀「大霊さんの攻撃が届く前に一方的に倒されちゃいます」

魔王「ダメじゃーん」

参謀「なので、攻撃を仕掛ける瞬間、大霊さんに気をとられてる隙に」

魔王「隙に?」

参謀「cast-instant spell-『Lightning Bolt』」

 ズドンッ

参謀「戦士さんの心臓を稲妻で打ち抜きます」

魔王「唐突に戦士さんが死んだ」

参謀「すると勇者さんの攻撃だけでは大霊さんを倒しきれず」

魔王「大霊さんの攻撃を受けて、あ、勇者さんも死んだ」

参謀「僧侶さんはどうしましょう」

魔王「泣いちゃってる」

参謀「びょおびょお泣いてます」

魔王「んー、僧侶さんには何にもされてないし……」

参謀「ですねー」

魔王「泣いちゃってるし、これ以上は」

参謀「これ以上は悪魔の所業です……」

魔王「うん……」

参謀「……」

魔王「……って参謀ちゃん悪魔じゃん!」

参謀「あっそうか! そしたら魔王様も魔王ですよ!」

魔王「あっホントだ!」

僧侶「こんな……嘘です、こんな事って……」

勇者「」

戦士「」

魔法使い「」

僧侶「うぅ……起きて、下さいませ……勇者様……」

勇者「」

僧侶「あなたは、神啓あって立ち上がった、ぐすっ……選ばれし……」

勇者「」

僧侶「こんな、所で……倒れるはずが……」

勇者「」

僧侶「勇者様、起きて下さいませ、勇者様……」

勇者「」

僧侶「……ずっと、一緒にいて下さるって、言ったではありませんか……うぅ」

魔王「一緒に村人ハンバーグ作ろー」

僧侶「ひっ……あっ、あぁ……」

魔王「『ひき肉ツクール』大丈夫みたい」

参謀「さすが参謀の設計です」

魔王「すごい!」

参謀「嘘です」

魔王「嘘か」

僧侶「ひ……いや……」

魔王「怖がらないで、平気だよ」

参謀「もう魔王様は夕飯のことしか頭にないです」

僧侶「……魔王」

魔王「魔王です。ぶい」

参謀「参謀は参謀です。ぶい」

僧侶「……魔王は、竜頭の火山に」

魔王「それって火山の悪魔でしょ?」

参謀「火山の悪魔はすぐ魔王やりたがるからずるいです」

魔王「このまえ交代したから、今は私、空白の悪魔が魔王だよ」

参謀「わたくし霊樹の悪魔が今回の参謀をやってます」

僧侶「一体、何を……」

魔王「そんな事より村人ハンバーグ!」

参謀「あと布!」

魔王「何か忘れてる気がする」

参謀「何でしょう」

魔王「んー……あっ、大根?」

参謀「それだ!」

僧侶「……もう……うぅ……やめて、ぐすっ……」

魔王「えっ、なんで泣くの僧侶さん」

僧侶「もう……何もかもおしまいです……」

魔王「そんな事ないよ! まだまだこれからだよ!」

参謀「ファイトがあれば立ち上がれます!」

僧侶「我々人間にとっての、最後の希望は潰えました……」

魔王「僧侶さん……」

僧侶「あなた方が、勇者様を……ぐすっ……よくも」

魔王「もしかして怒っていらっしゃる?」

僧侶「……よくも、よくも勇者様を!」

魔王「僧侶さんは情緒が安定しないみたい」

参謀「村人ハンバーグが必要です」

僧侶「あなた方が! 勇者様を……! この方が、我々にとってどんなに大切か……」

魔王「んー」

僧侶「返して……勇者様を、返してください……ううぅ」

魔王「じゃあ生き返らせたらいいよ」

参謀「人間は死ぬから不便ですねー」

僧侶「……えっ?」

魔王「参謀ちゃんあれ出して」

参謀「あれですね」

魔王「うん」

参謀「……チーズ」

魔王「ではない」

参謀「チーズではない。……乳製品」

魔王「指輪、黒いやつ」

参謀「これですっ!」テレーン

魔王「この指輪を嵌めて、人間の命を千個集めてきて」

僧侶「……」

魔王「集めたら指輪と勇者さんを持って、私のところに来るの」

僧侶「……悪魔の言葉など誰が」

魔王「勇者さん生き返らせたいんでしょ? 大丈夫、悪魔は嘘つかないよ」

参謀「今まで一度も嘘付いたことないです」

僧侶「……」

魔王「まぁいいや。それあげるから、あとは好きにして」

参謀「魔王様、そろそろ」

魔王「そろそろ?」

参謀「そろそろお腹が減ったので」

魔王「じゃあ村人を獲りに行こう」

参謀「わーい」

僧侶「……」

僧侶「勇者様が、おられなければ」

僧侶「……」

僧侶「どちらにせよ、世界は滅ぶ」

僧侶「……」

僧侶「勇者様……ぐすっ、勇者、様ぁ……」ポロポロ

魔王「村が滅んでる!?」

参謀「大霊さん出したままだった!」

魔王「何か忘れてると思った!」

参謀「これだ!」

魔王「えー、行き付けの村がー、滅んでしまったのでー」

参謀「のでー」

魔王「次は街です」

参謀「広い!」

魚屋のおばさん「いらっしゃい」

魔王「お魚ください」

おばさん「どの魚にするかね」

魔王「この大きいやつ」

おばさん「あいよ、50Gだね」

魔王「……?」

おばさん「……あら、お金持って来てないのかい?」

魔王「持ってないよー」

おばさん「あらあら、忘れちゃったのかい。急いでお母さんに貰っておいで」

魔王「えー」

魔王「お魚を貰うにはお金が必要なんだって」

参謀「えー!? じゃあお魚貰えなかったんですか!?」

魔王「うん」

参謀「参謀はここでお腹を空かせて待ってたのに……」

魔王「ごめんー」

参謀「魔王様が任せてって言うから信じて待ってたのに……」

魔王「だって前の村にはお買い物システムなかったもん」

参謀「下さいって言えば貰えましたからね」

魔王「あの、あのっ」

通行人「ん? どうしたお嬢ちゃん」

魔王「あ、ええと、ええっと」

参謀「魔王様がんばってー! 人見知りも克服しましょう!」

通行人「珍しいアクセサリーだね、角と尻尾」

魔王「えっ? アクセサリーじゃないよ、生えてるもん」

通行人「おや、最近はそういうごっこが流行ってるのか」

魔王「ごっこ?」

通行人「いやいや、失礼、それで何か用かい?」

魔王「お魚を買いたいのでお金下さい」

通行人「お魚? お使いかな?」

魔王「お使いじゃないよ。でもお魚ほしい」

通行人「ふーむ……悪いけどやたらとお金をあげるわけにはいかないな」

魔王「えー」

通行人「主人、何かこの子達に出来る仕事は無いか」

酒場の主人「あーん? おうお前か、どうしたんだ?」

通行人「この子らなんだが、お金が必要らしくてね」

魔王「必要です」

参謀「早急に必要です。お腹が空いてます」

主人「おうお嬢ちゃんたち、珍しいアクセサリーだな」

魔王「アクセサリーじゃないもん」

主人「あーん?」

通行人「こらこら、子供のごっこ遊びに水を差すもんじゃない」

主人「あいあい。で、仕事が欲しいのか?」

魔王「仕事よりお金が欲しい」

参謀「もっと言えばお魚が欲しいです」

主人「あっはっは、面白いお嬢ちゃんたちだ」

魔王「笑われてる!」

参謀「たぶん魔王様が何か間違えましたね、参謀は間違えないので」

魔王「むー」

主人「悪い悪い。で、どんな仕事がいいんだ? 何が出来る?」

魔王「ええとー、魔法が使える」

参謀「参謀は、ええと……あっ! 魔法が使えます!」

魔王「かぶってる」

主人「魔法か、そりゃいい。重いものは運べるか?」

魔王「出来るよー」

参謀「参謀も出来ます」

主人「そうか、なら橋を作る仕事なんかどうだ?」

通行人「おいおい、河での仕事は危険なんじゃないのかい」

主人「なあに、木材を運ぶだけの仕事だ、それに魔法が使えるなら身も守れるだろ」

魔王「そんなこんなで街外れです」

参謀「酒場の主人さんがおにぎり作ってくれましたよ」

魔王「さっそく食べよー」

参謀「参謀もうお腹ぺこぺこです」

大工の棟梁「くぉらガキ共! 何いきなり休憩してやがる!」

魔王「もー、なにー」

棟梁「めしの時間はまだ先だ! さっさと木材運べ!」

魔王「何すればいいの?」

参謀「この木材を全部、河まで運ぶらしいです」

棟梁「魔法が使えるらしいじゃねぇか! 怪力出して荷車を引け!」

魔王「河は遠いなー、お腹減ってるのに」

参謀「ここと河を繋げちゃいましょう」

魔王「そだね。cast -sorcery spell- 『Teleportal』」

 ブウンッ

棟梁「な、なんだこりゃ、穴の向こうに河が見えるじゃねぇか……」

魔王「繋いだよー」

参謀「維持してて下さいね、荷車運んじゃうので」ガラガラ

魔王「はいよー」

参謀「荷車どこに置いたらいいですか?」ガラガラ

棟梁「お、おう、その河っぺりにでも……」

参謀「はいです、よいしょ……雨よけのシート被せますか?」

棟梁「ああ……」

参謀「できた。あとはなんですか?」

棟梁「……今日の仕事は、終わりだ」

参謀「終わりですか。魔王さまー、門もう閉じちゃっていいですよー」

魔王「はいよー」

 ブウンッ

魚屋のおばさん「いらっしゃい。おや、今度はちゃんとお金持ってきたかい?」

魔王「持って来たよー。木材運ぶお仕事した」

おばさん「仕事? お母さんのお使いじゃないのかい?」

魔王「お使いじゃないよ、お母さんいないもん」

おばさん「あらあ……あらあらあら、そうなのかい。そりゃあ、悪いこと言っちまったねぇ」

魔王「悪い? なんで?」

おばさん「ううん……ほら、一番大きい魚を持ってお行き」

魔王「やった!」

参謀「はいこれ、お金です」

魔王「早く帰ろう参謀ちゃん!」

参謀「お魚! 焼いて食べましょう!」

おばさん「ちょ、ちょっと、1000Gもあるじゃないか! 50Gでいいんだよ」

魔王「??」

魔王「お魚おいしいねー」

参謀「おいしいです。でも食べれるまで大変でした」

魔王「村人ハンバーグのほうが簡単だね」

参謀「ですね。でも、ここは村ではないので……」

魔王「うん、村人ハンバーグはもう……」

参謀「はい……」

魔王「……」

参謀「……」

魔王「……街人ハンバーグなら作れる?」

参謀「あっそうか! その手がありました」

魔王「じゃあ明日はそうしよー」

参謀「楽しみです」

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