【ラブライブ】秋葉原メイド逃走記 (24)


はぁはぁはぁ、私は息を切らしながら走っています

メイド服姿でこんなに走ったのはみんなに見つかったあの時以来かな

公園へとたどり着いたけれど私は体力はもう限界

後ろを見たけれど追ってきている人の姿は見えませんでした

もう大丈夫かな?そう思いながら赤い鳥の遊具に腰を掛けて頭を整理する事にしました

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あの秋葉原での路上ライブで私はミナリンスキーを卒業してμ'sの活動に専念する

そうするつもりでした


路上ライブの翌日、私が勤めていたメイド喫茶に行くとそこは長蛇の列

その行列は伝説のメイドを一目見ようと集まった人がほとんどのようです

もちろん店内もお客さんでいーっぱい

私は最後にお礼の挨拶だけのつもりだったんだけど

どうしてもって店長からのお願いで仕方なく

もう一度ミナリンスキーとしてお客様の前に立つことになってしまいました

一度許してしまうとタガが外れてしまったようで

もう1日もう1日とズルズルお願いは続いてしまいました

でもμ'sの活動がある以上そんなに長く続けるわけにはいかない

私は店長にお願いして次の日曜日を最後にすると約束してもらいました

そして最終日の日曜日

どこで噂を聞きつけたのかその日は普段の2倍以上の大行列

私はこれが最後だからと思って一生懸命接客します

それでも私の身体は一つしか無いからお客様全員に接するのは無理があって

目も頭もグルグルしちゃって注文も間違えちゃうしもう大変

お昼を過ぎてやっと休憩できました

お仕事は好きだけどここまで忙しいと流石にまいっちゃう

午後からは失敗しないようにしないと

そんな事を考えつつ休憩室の椅子に座りつつテーブルに突っ伏したまま休んでいました

ガチャ

裏口の扉が開く音が聞こえました

バイトの交代でも配送の時間でも無いし誰だろう?

そう思って裏口を確認するとそこには見覚えの無い3人組が立っていました

あっ、と声を上げると向うも私に気付いた様子

どうやら関係者ではないみたいだし、誰か裏口のカギを閉め忘れてしまったのかな

どうしよう、店長を呼ぼうか。でも話せばわかってもらえるかも

あ、あの

私が話しかける前に相手が話しかけてきます

その人達は私がミナリンスキーだと気付いたようで

気づいたら私はその人達に囲まれてしまいました

サインください、写真撮らせてください、ポーズを取ってください

矢継ぎ早に捲し立てられまた頭がぐるぐる

そしてグイッと肩を掴まれた時、私は驚きと戸惑いと怖いって気持ちが溢れてしまって

思わず裏口から店の外に飛び出しちゃいました

お店の外にはまだ沢山の行列

並んでいる人達も突然飛び出してきたミナリンスキーに気付いたみたいで

みんなが次々と私に語り掛けてきます

優しい言葉、応援の言葉もあったけど

今の私にはなんだか全部怖く感じちゃって

結局ここまで走って逃げてきてしまいました

うぅ、どうしよう

お店に戻らなきゃいけないんだけど

今は不安でいっぱいで足が言うことを聞きません

携帯電話もお財布もお店に置いてきちゃったから連絡も出来なし

あーん、誰か助けてー

あ!見つけたわ!!

公園の外から聞こえた声に振り向くと

そこにはサングラスとマスクにコートを着た人が二人組

私に気づかれたその人達は凄い勢いでこっちに向かって走ってきます

早く逃げなきゃ

私は急いでその人達と逆方向へと駆け出します

走り出したまでは良いですがバイトの疲れも合わさって体力はすでに限界

後ろを向くとサングラスの人は何か叫びながらどんどん近づいています

怖いよ、怖いよ、何でこんな事になっちゃったんだろう

助けて、助けて、穂乃果ちゃん!!

私の目には涙が溢れてきます

ガシッ!!

私はついに追いつかれ、右腕を掴まれました

大声をあげようかと思いましたが全力で走って息が切れている私には

かすれた声を絞り出すのが精一杯で

ホノカチャン ホノカチャンと言いながら相手の腕を振り払おうと・・・


ことりちゃん!!

聞き覚えのある声に驚き声の主を見つめます

サングラスとマスクを付けて季節外れのコートを着て黄色いリボンでサイドに結んだ髪型

あっ・・・

ことりちゃん大丈夫?

不安と恐怖から解放された私は彼女の腕の中でわんわんと声を上げて泣きました

彼女は泣きじゃくる私を優しく抱きしめていてくれました

少し遅れて後ろから黒いツインテールを揺らして走ってくる女の子が見えます

どうして二人がいるんだろう?

そんな事も頭によぎったけれど

今はこの温もりを感じていたかったのでただただ泣くことにしました

真姫 「それで、何でにこちゃんと穂乃果ちゃんは二人で秋葉原にいたのよ」

にこ 「別に二人じゃないわ。花陽もいたのよ」

穂乃果「花陽ちゃんがネットでミナリンスキーの最後の日って見つけたから3人で様子を見に行ったんだよ」

花陽 「列に並んでたらことりちゃんが急に飛び出してきてびっくりしちゃいました」

花陽 「ネットの掲示板でもミナリンスキーが逃げたーって騒ぎになっちゃってましたし」

にこ 「だからことりを追いかけた時は花陽に情報操作をお願いしたのよ、逆方向へ逃げたようにネットへ書き込んで貰ってね」

花陽 「私のアイドル情報網を持ってすればそのくらい朝飯前です」

絵里 「ハラショー、噂のステルスマーケティングってやつね」

真姫 「私も詳しく無いけど、それは違うってわかるわ」

絵里 「それで結局どうなったの?」

ことり「その後は穂乃果ちゃん達と一緒にメイド喫茶に戻ったよ」

ことり「裏口から入ってきた人は店長に捕まってて相当怒られたみたい」

ことり「私にもちゃんと謝ってくれたので許しました」

ことり「残りのアルバイトは大変だったけど3人が一緒に手伝ってくれて無事に終わりましたとさ」

にこ 「どちらかと言えばバイトの方が地獄だったわよ」

穂乃果「穂乃果は楽しかったよ。パフェもご馳走になったし」

花陽 「でも、その騒ぎでネット上のミナリンスキーの話題は更に加熱してしまいました」

ことり「だから今は一人で秋葉原は歩かないようにしてるんだよ」

真姫 「有名税ってやつかしら。ことりも大変そうね」

ことり「大丈夫だよ、ことりがピンチになったらまた助けに来てくれるって信じてるから、ね?」

穂乃果「えへへ、ことりちゃんに呼ばれたらいつでも走っていくよ」



私があの歌のように強い自分になるのはまだ先かもしれないけれど

それまではどうか私と一緒にいてください


ことり「穂乃果ちゃん、これからもよろしくね」

終わりです

地の文は会話形式の数倍手間と時間がかかる上にキャラ意識しにくくて辛いと感じました

やっぱりSSは会話形式が理想の形なのかもしれない

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