ユウキ・コスモ「インキュベーターめ!!」 (26)



■CDショップ


――助けて……。

――誰か……助けて……。



デク「ねえコスモ、なんか声が聞こえない?」

コスモ「……本当だ。誰か助けを呼んでいる?」

デク「でも、周りの人達は全然気づいてないようだよ」

コスモ「俺達だけでも行ってみよう。デク、ついて来い!」ダッ




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■CDショップ改装エリア


――僕を……助けて……。



まどか「……どこに、いるの? あなた誰?」



ガシャン!



まどか「ひッ……!?」ビクッ

キュゥべえ「……助け、て……」ボロボロ

まどか「……え、ええ……?」



バン!



デク「コスモ! あそこに人がいる!」

コスモ「女の子か? おい君、こんな所で何してる?」

まどか「ええっと……あ、あれ、ユウキ君?」

コスモ「なんだ、鹿目さんだったのか。ところで、その白い奴は一体なんだ?」

まどか「わ……わからないよ。私、この子に呼ばれた気がしてここまで来ちゃったの」

デク「僕たちと同じみたいだね」

コスモ「今はわからないことだらけだが、とにかくここを離れよう。他の人に見つかったら、面倒になる」




ほむら「そいつから離れて」コツコツ

まどか「ほむら……ちゃん!?」

コスモ「あいつ……今日やってきた転校生じゃないか」

ほむら「……(どうやら、他の人間まで混じってるようね)」

ほむら「悪いことは言わないわ。早くその白い生き物を渡してちょうだい」

まどか「で、でも、この子怪我してる……」

ほむら「あなたには関係ない」コツコツ

まどか「だ、駄目だよ! 酷いことしないで!」

デク「……あの人、なんか怖いよ。一体なにがあったんだ?」



ブシュー!!



デク「うわあっ、なんだ!?」ゴホゴホ

さやか「まどか、こっちだよ!」

まどか「さやかちゃん!」タタッ

ほむら「……ッ、待ちなさい……!」キョロキョロ

コスモ「うう……くそっ、消火器なんか撒き散らす馬鹿がいるか!」ゴシゴシ

デク「! コ、コスモ! 周りの景色が……」

コスモ「ん!? なんだこれは!」



グニャアァ…



ほむら「こんな時に……」チッ




■改装エリア 通路



さやか「何なんだよあいつ! 今度はコスプレで通り魔かよ!?」

まどか「……(ほむらちゃん……)」

さやか「つーか、何それ? ぬいぐるみ……じゃないよね、生きてるの? てか、さっき転校生の他にも人がいたけど、誰だったの?」

まどか「あ……! ユウキ君とアフタ君、置いてきちゃった……」

さやか「なっ、なんでコスモとデクがあんなとこにいるのさ!?」



グニャア…



さやか「あ、あれ? 出口が……!」

まどか「変だよ、ここ……道が変わっていく!」



使い魔「ヒヒヒヒ」



さやか「! や、やだ、何か……来る!」



一方その頃……



使い魔「キシシ」「ウヒヒ」



デク「コスモ! 何か近づいてくるよ!」

コスモ「こいつら……もしかして異星人か!?」

ほむら「……あなた達、下がってなさい」ジャキッ

コスモ「何言ってんだ、そんなことしてる場合か!」スチャッ

ほむら「えっ……」



使い魔「キシャー!」



コスモ「こいつ!」ピチューン



使い魔「」パタリ



デク「コスモ、右だ!」

コスモ「なに!?」ピチューン



使い魔「」バタッ



コスモ「デク、手持ちの銃で応戦しろ! 近づかれたらビーム・ソードを使え!」ピチューン

デク「わかった!」ピチューン

ほむら「…………(この時間軸、何かがおかしい……? そもそもこの2人に、使い魔とアイツが見えてるなんて……)」


使い魔「キシャー!」



さやか「うわあっ! く、来るなぁ!!」

コスモ「邪魔だ、伏せろ!」ピチューン

まどか「ユウキ君!?」



使い魔「」ドサリ



デク「やった! 二人とも、怪我してない?」

さやか「デクにコスモ! あんたらなんでここにいんのよ!? 大体、この様子って……」

コスモ「うるさい! こっちが聞きたいさ!」



使い魔「ウシシ」「キャッハァ!」



デク「囲まれちゃったよ、コスモ!」

コスモ「くそう……二人は後ろに下がってろ」

まどか「う……うん」

さやか「もう何がなんだか……」

デク「あれ、あの人は? いつの間に消えたの?」

まどか「あの人……って、もしかしてほむらちゃん?」

コスモ「知るかよ。今はそんなの話す余裕はない!」


カッ

ドッゴオォォン!!



さやか「こ、今度はなに!?」

デク「す、すごい! 敵が消えちゃったよコスモ!」

コスモ「……今の光、グレンキャノンじゃなかったのか?」

???「――危なかったわね。でも、もう大丈夫」

まどか「あ、あなたは……」

マミ「私は巴マミ。その制服、あなた達も見滝原中学の生徒よね? キュゥべえを助けてくれてありがとう。その子、わたしの大切な友達なの」

さやか「えっ、キュゥべえって言うんですか? この白いの……」

マミ「色々と説明したいところだけど、その前に――」クルッ

さやか「……?」

マミ「――魔女は逃げたわ。仕留めたいならすぐに追いかけなさい。今回はあなたに譲ってあげる」

ほむら「…………」カツカツ

コスモ「! あいつ、いつの間にあんなところに……」





ほむら「私が用があるのは――」

マミ「呑み込みが悪いわね。見逃してあげるって言ってるの」

ほむら「…………」

マミ「お互い、余計なトラブルとは無縁でいたいと思わない?」

ほむら「……後悔するわよ」シュンッ

デク「き、消えちゃった!」

さやか「何なんだよ、転校生のヤツ……」

まどか「ほむらちゃん……」

キュゥべえ「――ありがとうマミ。助かったよ」

マミ「お礼はこの子たちに。あと、そこの男の子たちにも……よね?」

デク「えっ、それって俺たちのこと?」

キュゥべえ「どうもありがとう。僕の名前はキュゥべえ」

コスモ「こいつ、喋れたのか」

まどか「あなたが……私を呼んだの?」

キュゥべえ「そうだよ。僕、君達にお願いがあって来たんだ」

まどか「……お、お願い?」

キュゥべえ「僕と契約して、魔法少女になって欲しいんだ!」





■マミの部屋



マミ「……キュゥべえが見える以上、あなた達にとっても他人事じゃないものね。ある程度の説明はさせてもらうわ」

デク「魔法少女って……俺達本当に関係あるのかな」

コスモ「今はこの人の話を聞くしかないだろ。静かにしていろ」

マミ「この宝石みたいなものが、ソウルジェム。キュゥべえに選ばれた女の子が、契約によって手にする物よ。魔力の源であり、魔法少女であることの証でもあるの」

デク「俺達、男なんだけどな」

コスモ「シッ、黙って聞いてろよ」

さやか「あの……契約って?」

キュゥべえ「僕は君達の願い事を、なんでも一つだけ叶えてあげる。どんな奇跡だって起こしてあげられるよ」

さやか「えっ……ほ、本当に?」

キュゥべえ「でも、それと引き換えに出来上がるのがソウルジェム。この石を手にした者は、魔女と戦う使命を課されるんだ」

まどか「魔女……?」





キュゥべえ「願いから生まれ希望を振りまくのが魔法少女なら、魔女はその逆で、呪いから生まれ絶望を撒き散らす。人の心の負の感情につけ込み、死に追いやろうとするんだ。しかもその姿は、普通の人間には見えないからタチが悪い」

マミ「理由のはっきりしない自殺や殺人事件は、かなりの確率で魔女の呪いが原因よ。見えない悪意となって、人間を内側から蝕んでいくの」

デク「そんなヤバい奴らがいたなんて、初めて知ったよ。でもどうして、誰も気づかないんだ?」

キュゥべえ「魔女は“結界”と呼ばれる一種の亜空間に身を隠して、決して人前に姿を現さないからね。さっき君達が迷い込んだ場所が、魔女の結界なんだよ」

コスモ「じゃあ俺達は、DSファイト(亜空間戦闘)をしていたってことだろ。まさか魔女ってヤツは、DSドライブ(亜空間飛行)まで出来るのか?」

マミ「亜空間飛行は反物質(アンチマター)エンジンが無いと無理だから、そこまでは出来ないみたいよ。ただ、亜空間は生身の人間にとって危ない場所に変わりはないし、魔女の結界に誘い込まれたら普通は生きて帰れないわ」

まどか「……マミさんは、そんな恐い物と戦ってるんですか?」

マミ「そうよ、命懸け。だから、あなた達も慎重に選ぶべきよ。どんな願いでも叶えられるチャンスはあるけど、それは死と隣り合わせなの」

まどか「ううぅ……」

さやか「うわぁ、悩むなぁ……」

デク「思ったんだけどさ、俺とコスモも契約できるの?」

キュゥべえ「魔法少女は人間の少女がなるものだから、僕の声も姿も認知できるのは少女だけなんだけど……君達だけは例外みたいだ。こんな事は初めてだけど、僕を認知できる人間なら、一応契約は可能だよ」

コスモ「契約なんかしなくたって、俺は戦うさ。人を無差別に殺すようなケダモノを、放っておけるかってんだ」



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