男「俺だけ第一志望に落ちた……」(71)

もっと肉付けしようと思ってたけど、
200レス超えそうなので心が折れ、短いままで投下します。
当然色々足りないとこあるので、深く考えず気軽にどうぞ。

男「俺と幼馴染と友の3人で同じ大学を選び、必死に勉強してきたのに」

男「俺だけ見事にサクラチル」

男「ああ…首でも吊ってあの世に入学しようかな」シオシオ

幼「何を萎れてるのよ。あれだけ試験勉強見てあげたのに。このバカ」

男「ノックくらいはしてください…」

幼「見られて困るものでもあるわけ!?」ムスー

男「あるけど、もう見られてもいいや」ショボン

幼「先生から聞いてきたよ。3点足りなかったって」

男「いやあああああ言わないでええ!!! そんなギリギリで落ちたとか知りたくない!!」

男「やっぱり俺には無茶だったんだ…上を狙いすぎたんだ…」

男「しょせん俺なんてこの程度、ここから転落人生が始まるのさ、ふへへへ」

幼「世界中の不幸を背負ったみたいなこと言わない」ボカッ

男「うふふ、そうですよね。俺なんて幼さんのサンドバッグで十分ですよね」シクシク

幼「あのねえ…」

幼「試験で不合格だった人なんて大勢いるのよ?」

幼「第一志望に受からなかったからって、そこで人生が終わるわけじゃなし」

幼「しっかりしてよね」

男「幼はいいよな、受かったから。どうせなら友も落ちればよかったのに」イジイジ

幼「本気で怒るよ?」

男「…ごめん。今ちょっと卑屈になってるから、一人にしてほしい」

幼「分かった」ポフッ

男「なんでベッドに座る。帰ってくれと言ったつもりなんだけど?」

幼「落ち込んでるのは男だけじゃないの。私だって一緒の大学行きたかったのに」

男「ごめんなさい…落ちてごめんなさいいいい」

幼「しつこい! で、どうするの? 予備校通って来年また受験する?」

男「うちは母子家庭でさほど裕福でもないから、そうもいかないだろ」

男「母ちゃんも学費は出すと言ったけど、予備校の分まで入ると苦しいし」

男「バイトしながら1年使うよりは、第二志望でも滑り止めでも、受かったとこ行かないと」

幼「第二志望は同じだよね。少しだけ学力は落ちるけど、私も――」

男「ランク落とすとか言うなよ。余計に引け目を感じるから」

幼「――ごめん」

男「あはは、なんで幼が謝るんだ。さっきと逆じゃないか」

幼「うん…。とりあえずご飯作るよ」

男「それはともかく、一人になりたいんですが?」

幼「ご飯作るよ。食べるよね?」ジロリ

男「い、いつもありがとごじゃます」

~~卒業式~~

友「この校舎ともお別れだな」

男「ちょっと寂しい気がしないでもなくない」

友「寂しいなら素直にそう言えばいいのに」

男「卒業は寂しくないけど…い、いや、なんでもない」

友「大学が別々なのが寂しい、と」

男「なんでもないの!」

幼「お待たせ。二人とも、もうお別れした?」

友「ああ。幼さんもいいのか? 友達と帰りにどこか寄ったりとか」

幼「その気になればすぐ会えるわ。男は挨拶とかしないの?」

男「俺は過去を引きずらない男」

幼「大学は?」

男「いやああああああやめて言わないでえええええー!!!」

幼「引きずりまくってるじゃない。学生ニートにはならないでよ」

男「ちくしょう、悔しくなんかないからな! バーカバーカ!」

友「子供か」

~~大学入学式~~

男「はあ。考えてみれば幼のいない学校に通うのは、これが初めてか」

男「なんか変な気分だ。でも頑張らないと。しっかり勉強してちゃんと卒業して」

男「就職して母ちゃんを助けないとな。よし。出発だサニーサンセット号(ママチャリ)」

チリンチリン

男「チャリで通える距離の大学なのは助かるなあ」

男「幼はけっこう定期代高いらしいし。まあ、あいつの家ならそれくらい余裕なんだろうが」

男「友は一人暮らしするって言ってたな。いいなあ、ちょっと憧れる」

男「最近はチャリも車道走らなきゃいけないんだっけ? 条例よく分からん」

男「誰もいないし歩道走っていいよな。標識でも置いてくれればいいのに」チリンチリン

男「よし、この信号を渡って曲がればあとは一直線」

男「しかし入学式にチャリで来る大学生ってどうなんだ?」キキキー!

男「ほえ?」

ドーン!!

男「あー僕いま空を飛んでるよー青空が綺麗だねー」ベシャ

~~男の家~~

バァン ドダダダダ
ガスッ ガラガラ イッタアアアイ!!

幼「はあはあ、男!!!」バンッ

男「おかえりー。入学式どうだった?」

幼「!?」

幼「きょ、今日の晩ご飯どうしようかと電話したら、事故に遭ったって言われて」

男「うん。ちょっと前に、相手の人に病院からタクシーで送ってもらったとこ」

男「交差点でぶつかったらしくて。状況よく分からないんだけどね。ぴゅーんって空飛んで」

男「落ちた先がゴミ捨て場でさ。頭からゴミに突っ込んで大変だったよ。あはは」

幼「何が可笑しいのよ!!!」

男「ひい!?」

幼「け、怪我は!?」

男「えとね、右手を骨折した他は、打撲と捻挫くらい。入院は必要ないって」

幼「…」ヘナヘナ

男「ど、どした貧血か? 大丈夫かトマトジュース飲む?」

幼「せっかくの入学式に何してるのよ…」

男「何って言われても。相手も平謝りだし俺もたいしたことないし」

男「いやあ、大人の男の人って苦手なんだよね。頭下げられると困っちゃうよ」テヘヘ

男「うちは父親いないから、そういうの慣れてなくて。保険会社との話も母ちゃんに任せきり」

幼「大慌てで帰って来たのにヘラヘラするな!!」

男「ひぃ、ごめんなしゃい;;」

幼「はあ…。もう帰る」

男「お、おう。晩ご飯は…」

幼「友君に資料とか預けて帰ったから、それ受け取りに行かないと」

男「あー、ごめんな。サークル勧誘とかあったんだろ?」

幼「それはいい。後でどうにでもなることだから」

幼「普通に歩いててもぼーっとしてるし、ホント気をつけてよ」

男「うん。お見舞いありがと」

幼「はいはい。それじゃあまたね」

男「またなー」ノシ

幼「いきなりお邪魔してすいません」

男母「ごめんなさいね、あの子のせいでせっかくの入学式を台無しにして」

幼「いえ。大怪我じゃなくて良かったです。でもびっくりして…」プルプル

幼「あはは、今ごろ震えてきちゃった」

男母「心配かけたわね。後でたっぷり叱っておくから」

幼「い、いえ。男が悪いわけではないですし」

男母「幼ちゃんに心配させたことを叱るだけ。良かったら夕食一緒にどう?」

幼「すいません、友達に預けたものを受け取りに行くので、また今度お願いします」

男母「そう。分かったわ、気をつけてね」

幼「はい。お邪魔しました」ペコリ

~~~

男「ううむ、思ったより捻挫がひどくてやっと大学来れたけど」

男「どうしよう、ファーストコンタクトに失敗してどうしていいか分からない」

男「すでに友人関係候補の輪は出来上がっている」キョロキョロ

男「こ、これはまさか噂のぼっち便所飯コースなのか…」アワワ

男「なんかサークル勧誘も落ち着いて、乗り遅れた感でいっぱいなんですが」

男「どう講義受けたらいいのか分からん。誰かに聞こうかな…」

ワイワイザワザワアハハハ

男「…」

男「ふぇぇ、しらないひとにはなしかけるのこわいよう」

男「くっ、こんなことではダメだ、社会に出ても荒波に押し潰される」

男「頑張れ俺、しっかりしろ俺」

ナンカヒトリデブツブツイッテル
アブナイカラハナレヨウヨ

男「…あ、明日から頑張ろう…」ショボン

幼「ご飯は何にする?」バァン

男「ノックしてくださいいいい!」アタフタ

幼「まーたエッチな動画見てる。いい加減にしないとパソコン捨てるよ」

男「俺の心の友を捨てるとか言うな!!」

幼「オムライスとカップラーメンどっちがいい?」

男「どうかオムライスでよろしくお願いします」

幼「ん。準備するから適当に降りてきて」

男「はーい」

幼「大学はどう? ちゃんと一人でやれそう?」

男「失礼な。俺は孤独を愛する男、一人で問題ない」

幼「どうせ輪の中に入れなくて困ってるんでしょ」

男「ここ、困ってないし」

幼「昔から人見知りするよね。そんなだから友達いないのよ」

男「と、友達いるし。友が友達だし」

幼「友君は積極的だから自分から近づいてくれたけど。男もそうしないと、ぼっち確定よ」

男「頑張ります…」

男「幼はもうサークルとか決めた?」

幼「まだ。通学にけっこう時間かかるから迷ってるの。行きはいいけど帰りが遅くなるとね」

男「でも幼なら色んなとこから誘われたろ。変なとこに入っちゃダメだぞ」

幼「言われなくても分かってるわよ。あ、そういえば」

幼「モバ研ってサークルから、たくみんスマイルお願いしますとか言われた」

幼「全然意味が分からなくて放っておいたけど、なんだったんだろ」

男「ああ…」

幼「知ってるの?」

男「えーと、なんだ。ゲームの登場人物」

幼「私に似てる?」

男「性格はともかく、見た目はまあまあ似てるな(特に胸がバインバインなとこが)」

幼「ふうん。じゃあ、あれはゲーム研究のサークルだったのかな」

男「多分ね」

幼「入るとしたら文科系だけど、部活でまでゲームは研究しなくていいや」

男「そっかー」ボトボト

幼「スプーンとフォークで食べられるようにしたんだから、ボロボロこぼさない」

男「左手だから動かしにくいんだよ」

幼「テーブルを舐めて食べさせるわよ」

男「ごめんなさい気をつけますやめてください」

幼「食べ終わったらお風呂入って。その間に洗い物しておくから」

男「いつもすまないねえ婆さんや」

幼「あ゙?」

男「ちょっとした冗談じゃないか、怒るなよ」

~~男の部屋~~

男「幼の家は向かいで俺の部屋から顔が見えるんだけど」

男「お、明かりついた。さっそく着替えるのか。では双眼鏡を…」

チラッ、ベー、シャッ

男「ああん、ブラインド閉じられた。仕方ない講義どうするか考えよう」

男「…」

男「名前からじゃ何やるのか想像つかない講義もあるなあ」

男「とりあえず選べるだけ選んで、後で無理そうなのは諦めればいいのかな?」

男「さっぱり分からんのお」

~~~

友「幼さんおはよう」

幼「あ、おはよう。今日はバイクじゃないのね」

友「運動量が減ってることに気づいて、少しは歩こうかと」

幼「高校は駅から遠かったものね。一人暮らしはどう?」

友「いやあ、大変だけど自由で最高! 今度、遊びに来ない?」

幼「んー、そうねえ。男の怪我が治ったら一緒にお邪魔しようかな」

友「…歓迎するよ。電話はしたけど会ってないんだ、あいつ元気?」

幼「元気元気。ご飯もバクバク食べるし。まあ、まだ友達はできてないっぽいけどね」

友「もっと積極的になればいいのにな」

幼「ホントそう思う。ところで友君はサークルどうするの?」

友「イベントサークルってとこに体験入部中。楽しい先輩ばかりで面白いよ。幼さんは?」

幼「入らないでおこうかなと思ってる。帰りが遅くなるのは困るから」

友「男の家で料理とか洗濯してるもんな。そういうの大変じゃない?」

幼「大変だけど、小母さまも喜んでくれるし勉強にもなるしね」

幼「ちょっと失敗した料理でも男は食べるから、無駄にもならなくていい感じ」

友「ふうん…まあ、良かったらサークル見にくるといい。きっと気に入るから」

幼「ん、考えておくわね」

~~ずばっと飛んで~~

男「明日でやっとギプス取れる、わーい!」

幼「はしゃいでると階段から落ちて、また骨折するわよ」

男「苦労をかけたのう婆さんや。明日からはわしも働くけんな」

幼「婆さん言うな包茎」

男「ほほほ包茎ちゃうわ!!!!!」

幼「ふっ」

男「なんで笑うんだよ!!」

幼「今日はシチューだから。パンとご飯どっちがいい?」

男「パンでお願いします、じゃなくて!」

男「ちくしょう、包茎ちゃうわ;;」モグモグ

幼「食事時に変な言葉使わないで。泣きながら食べるのもやめて」

男「ちくしょうちくしょう」モグモグモグ

幼「そんなにショック受けることなのかなあ」

男「あ、そうだ。明日は母ちゃんが病院に付き添うって言うから、晩飯はいいよ」

幼「そう。なら明後日のお昼は適当に食べてね」

男「うん。いつも弁当ありがとな」

幼「どういたしまして」

~~~

幼(午後は講義がないから暇だったんだけどな。一緒に行けば良かったかも)

幼(でも忙しくてあんまり親子の会話がないの気にしてたから)

幼(出しゃばるのも悪いかもしれないしなあ)

友「やっ。ぼーっと掲示板見てどうした?」

幼「ちょっと連絡事項とか見てただけ。友君はこれから講義?」

友「そんなとこ。そういや男からメールきたよ。やっとギプス取れるんだってな」

幼「ええ。嬉しそうに飛び跳ねてたわ。子供みたいだった」

友「あはは、それだけ大変だったんだろう。幼さんは病院付き添うのか?」

幼「小母さまが行くんだって。お邪魔するのも悪いかと思って」

友「へえー…」

友「じゃあ午後からは時間に余裕あったりする?」

幼「特に用事があるわけじゃないけど」

友「暇ならさ、一緒にサークルの新歓どうだ? 部外者でも大丈夫、大らかなとこだから」

幼「え? ええと…(今さら用事があると嘘をつくわけにもいかないし)」

幼「うーん…(興味ないんだけどなあ。かといって邪険にするのも…)」ウムム

友「女は参加費無料! 部長が女子に甘くてさ。はは」

幼「そうなんだ…(お金ないから、という言い訳も通じないかあ)」ハァ

幼「あんまり遅くなると困るから私は――」

友「一次会だけなら6時半には終わるんだ。二次会は会場変えるから」

友「飲まなくていいんだし、最初だけでもさ」

幼「……今回だけなら…」

友「やった!」

~~~

部長「それでは新しい仲間との出会いに、かんぱーい!!」

カンパーイ

幼(一応お母さんと男にメールしとこう。友君たまに強引なときがあるから困るわね)

幼(かといってぎくしゃくしたら男にも影響あるし。仕方ないのかなあ)

先輩1「やあ。初めて会う顔だね。サークル入ってくれるんだ?」

先輩1(なかなか顔もいいし、なにより爆乳! こりゃ狙うっしょ当然。ひひっ)

幼「いえ、私は――」

先輩2「うちは基本自由参加だからさ、名簿だけ登録しとくと色々便利だよ」

先輩2(連絡先押さえて攻勢あるのみ! うまそうな身体だぜ!)

幼「ですからそうじゃなく―ー」

部長「盛り上がってくれてる? どんどん飲んでよね、女性は飲み放題食べ放題だから!」

部長(その後は女を食べ放題ですけどね。うまいこと言っちゃったよ俺、ひゃはは)

先輩1「カクテルでも頼もうか(邪魔すんなおまえら)」

幼「いえ、私まだ未成年なのでアルコールはダメですから」

先輩2「この店の唐揚げ美味いんだぜ、ほらあーん(俺のチンコもあーん)」

幼「あの、自分で取れますので」

部長「大丈夫大丈夫、カクテルなんかジュースみたいなもんだって」

部長(実は度数高いけどな。酔わせさえすればこっちのもんだ)

幼「ですから私、未成年なので。すいません」

部長「お堅いねえ。一杯くらい平気だって。はいどうぞどうぞ」

幼「すいません、私が何かすると父の仕事に影響しますから」

部長(おめーの乳の仕事はパイズリだろ)

友(やっべ、ちょっと目を離した隙に先輩に囲まれてんじゃん)

友(まあ女好きなら狙うよなあ、あの身体じゃ無理もない)

部長「ほら飲んで飲んで」

先輩1「一気に飲めば平気だって」

先輩2「甘いやつがいいならこれもほら」

幼「ですから、困るんです」ウーン

友(放っておくと危ないな、割り込むか)

友「すいません先輩たち、ちょっと無理言って来てもらってるんでそのへんで」ヘヘヘ

幼「…」ホッ

部長「友の彼女か?(関係ねーけどな)」

友「いや、ええと」

先輩1「親睦を深めるためだって(邪魔すんなボケ)」

先輩2「彼氏いないならサークル入ればいいよ、出会い多いし(その前に俺が食うけどな)」

幼「彼氏はいませんけどk――」

友「あっ、先輩あっちで呼んでますよ!」

友「はあ、なんとか離れてくれたか(放っておくと触りそうだったな)」

幼「飲まなくていいと言うから来たんだけど」ムスー

友「あ、あはは。悪い悪い。その場の乗りというかさ」

幼「馴れ馴れしいし、こういうの嫌い」

友「ごめんって(なんとか飲んでくれないもんかな)」

友(酔ってしまえばうちに連れ込めるんだが)

友(悪く思うなよ男、この場にいない自分を呪うんだな)

友「あー、そうだウーロンハイとかどう? あれなら」

幼「だから未成年なんだって。友君もでしょ。それに私、黙って見てられない立場なんだけど?」

友「えーっと…(さすがに易々とは落ちないか)」

部長「おーい友!! こっちに皿持ってきてくれ!」

友「えっ、あ、はい!(露骨すぎだろくそっ)」

部長「…」ニヤッ

幼(6時…そろそろ締めに入るよね? これ、父さんが知ったら怒るなあ)

部長「お代わり頼もうか?」ズイッ

幼「!?(近い近い!!)」

部長「お、このネックレス可愛いね。誰かのプレゼント?」スッ

幼「ええ、プレゼントしてもらったものです」サッ

部長「へえー、彼氏いるんだ」

部長(触れなかったか。ま、彼氏いようといまいと、こんな爆乳独り占めさせねえが)

幼「彼氏ではなくk――」

部長「えっ彼氏いないんだ。もったいないなあ」ズイズイ

幼「さっきから人の話を最後まで――」

部長「じゃあ俺が立候補しちゃおうかな」スー

ピリリリリ

幼「すいません、電話なので失礼します」

部長「…」チッ

~~~

幼「ねえ今どこ? ちょっと困ってるんだけど、無理を言ってもいいかな」

幼「うん、ありがと。近くのお店だから帰りに寄ってほしい」

幼「今から場所送るね。うん、ごめん。よろしく」ピッ

幼「ふう。隅っこの席に入れてもらおう」

幼「ごめんなさい、ここに座らせてもらっていい?」

モブ1「いいよ。大変だったね」

モブ2「ずっと囲まれてたっしょ。その乳じゃしゃーなしだけどさ」

幼「二人は飲んでないの?」

モブ1「酔わせてお持ち帰りが見え見え」

モブ2「説明のときはいい人に思えたのになあ」

モブ1「一年女子はどこも固まってるでしょ。あんた離れてたから狙われたんよ」

モブ2「その乳じゃしゃーない」

モブ1「狙われんのはいいけどさ、露骨だと引くよね」

モブ2「これ明日ガッコにチクってやろ。うぜーし」

幼「やっと終わりみたいね。良かった」

モブ1「ただで飲み食いとか甘かったか、つまんない時間だった」

モブ2「甘い話には裏あるわー。でかい乳がすぐ垂れるみたいにさー」

幼(胸にこだわるなあ。なんでそんなに…)

モブ2「なんか急にイラっときた」ペタンコ

モブ1「ニュータイプ?」

モブ2「乳の種類とか喧嘩売ってんのか? お?」

モブ1「何人かのアホ女以外は帰るけど、あんたも帰るっしょ?」

幼「ええ。ありがとう、助かったわ」

モブ2「気にすんなってー。支払いないし、さっさと帰ろ」

幼「男性は5千円だったよね。払ってくる」

モブ2「え、あんた実は男?」

モブ1「なわけあるか。いいじゃん別に、放っとけば」

幼「後で文句とか言われたくないもの。あのとき奢ったのに、とか」

モブ1「ふーん。んじゃあたしも払おっと」

モブ2「え、あたし2千円しか持ってない」

モブ1「貸したるわ。ちゃんと返せよなー」

モブ2「やった、ゴチ」

モブ1「返せってんだろバカ」

幼「すいません、部外者なのでお支払いします」

モブ1「あたしもー」

モブ2「もー」

部長「あ? いやいやいいって。その代わり二次会もさ、ぜひ」ニヤニヤ

幼「いえ、迎えがいますのでこれで失礼します」

部長「は?」

男「幼やっほー」ノシ

部長「はあ? 誰これ」フラフラ

男「幼の幼馴染です。この人、酔ってんの?」

幼「そうみたい」

男「幼の先輩?」

幼「ううん、友君が入ったサークルの先輩」

男「あー。その友は?」

幼「そういえば途中から見てないけど、どこいったのかな」

部長「聞いてんのかおいっ!」ドンッ

男「おわ、何するんですか」

モブ1「うわー酔っ払いサイテー」

モブ2「ないわーマジないわー」

部長「幼馴染だかなんだか知らねえけど、彼氏でもねーのに口出すなよな」イライラ

モブ1「誰も釣れなかったんだぜきっと」

モブ2「そりゃあんだけ飢えてりゃ無理っしょ。バカかヤリマンしか釣れねーって」

部長「ああ!?」

男「ちょちょ、女の子に凄んでどうする気ですか」

モブ1「おお? ひょろそうに見えるのにあたしら庇ったよ」

モブ2「ちょっとキュンときた。優しい人なのかも///」

幼「…」イラッ

部長「邪魔すんじゃねーよどけ!!」ドカッ

男「わわっ」ズデン

モブ1「あ、弱い」

モブ2「可愛いかも///」

幼「!!」

部長「こんなひ弱なの放っておいて、うちで二次会しようぜ、な」

幼「…」プルプル

モブ1「演技もやめたぜこいつ」

モブ2「サイテーのウンチ君だ」

部長「うるせえよブサイクは引っ込んでろ。いいだろ来いよ」

幼「…触るな」

部長「あ?」

幼「触るなっつってんだよボケ!!」ズバーン!!

部長「ほぎゃ!?」

モブ1「うひょー、カッケー。今の何? 何?」

モブ2「柔道の技のひとつ浮落。大きく崩して浮いたような状態で投げるため防御が難しい」

モブ2「ただし完璧な崩しを必要とされるため、実際の試合で見られることは稀である」

モブ1「!?」

部長「う、ぐ、いてえ…」

ザワザワ

部長「てめえ、これは立派な暴行だぞ!! 訴えてやる!!」

モブ1「うわあ、女に投げられて訴えるとか」

モブ2「かっこわるーい」

幼「どうぞご自由に。その代わりこちらも相応の対処をさせていただきます」

部長「ああ!?」

幼「父は警視庁刑事部捜査第一課に勤めていますので。私は未成年なので父に助力を仰ぎます」

部長「」

幼「コネの使い方というものをご自分で思い知ってみますか?」

幼「官憲は、身内には甘いですがそれ以外には容赦ありませんよ」

部長「い、いやその…」

男「まあまあ、そのへんで。それ以上やると大事になっちゃうぞ」

幼「冗談じゃないわ。こういう輩は一度やりこめておかないと、また繰り返すのよ!」

幼「気持ち悪い猫撫で声で言い寄ってきて、ホント吐き気がする!」

男「なに、言い寄ったのか? な、何された? 大丈夫か?」

男「胸を触ったか? キスしてきたとか!? よし、今すぐこいつ海に沈めよう」ガシッ

モブ1「わお、ひょろいけど危ない人だった」

モブ2「男らしくてステキ///」

幼「そ、そこまではされてないから大丈夫」アセッ

部長「は、離せ!」

男「分かった。じゃあ橋から突き落とすだけで許そう。あの歩道橋でいいや」ズリズリ

部長「ふ、ふざけんな! そんな度胸もないくせに何を――」

幼「平気だから!! なんともない! ね、大丈夫だって、何もされてないから!!!」ヒッシ

部長(え、この女なんでこんな慌ててんの? こんなひょろい奴が何を…)ジタバタ

男「うふふふ」ズルズル

部長「て、手が離れねえ!?」

男「ぴゅーんって投げたらスイカみたいにボカーン♪」

部長「ひぃ!?」

幼「いい加減にしなさい!!!」クワッ

男「ひい!?」

部長「あふん」ボテ

幼「ちょっとそこに正座!!」

男「はいっ」ズササ

幼「何をされたとか話す前に勝手に決めつけたりしない!」

男「はい、すいませんっ」

幼「助けてほしいときはそう言うから変な暴走しないで! 中学のときにも言ったよね!?」

男「ごご、ごめんなしゃい;;」

幼「次にやったら本気で婚約破棄だから。分かった?」

男「もうしません絶対しませんんん!!!」ペコペコ

ザワザワ

モブ1「あー、あれは触れちゃいけないタイプのカップルだ。アカンやつや」

モブ2「ヤンデレ男とか萌える///」

モブ1「あんたさっきから大丈夫?」

幼「彼氏はいませんが婚約者ならいますから。人の話は最後まで聞いてくださいね」

部長「あわわ」コクコク

幼「この人を突き飛ばした件は、私が投げた分で返したことにします」

幼「本当なら骨の2、3本は貰っておくところですけど」ニコリ

部長「ひぃぃ」

男「あわわ」ガクブル

幼「なんであなたまで怖がってるのよ。あ、それからこれ、参加費の五千円です」ペシッ

幼「もう私の前に現れないでくださいね」

部長「は、はい」

幼「さ、帰ろう。お義母さんに謝らなきゃ。せっかくの母子の時間を邪魔しちゃった」

男「別に怒ってなかったよ。ご飯の用意してるから一緒に帰ってきなさいって」

幼「そっか。じゃあお邪魔させてもらおうかな。あ、ギプス取れて良かったわね」

男「うん。これでやっと動画も見れるよ。クリックしにくくてさ」エヘヘ

幼「あ゙?」

男「い、いえなんでもないです」ビクビク

モブ1「面白そうな子だ。明日また声かけてみよっと。あ、これ二人分で一万ね」ポイ

モブ2「ゴチ!」

モブ1「だから返せってんだろ」

モブ2「ヤリサー乙!」ノシ

ザワザワ

部長「…」ガックリ

~~~

男「はー食った食った。おなかいっぱい」

幼「むう。やっぱりお義母さんの料理に勝てない。悔しいわ」ポスン

男「幼のご飯も美味しいよ(もうちょっとで見える)」

幼「何が違うのかな。味付けは完璧だと思うんだけど」ムムム

男「そうだねえ(くっ、このギリギリ感もたまらない!)」

幼「今日はスパッツだから見えないわよ」

男「卑怯者!! それもいいと思った自分が愛しい!」

幼「何を言ってるんだか」

男「だがしかし。ギプスも取れてもうどこにも負担はかからない」

幼「そうね」

男「今まで我慢したご褒美をください!!」ピョーン

幼「ダメ」サッ

男「あふんっ」ボスッ

男「なんでだよ、ずっと禁欲してきたんだぞ、約束が違うじゃないか」シクシク

幼「今日はお義母さんがいるでしょ。恥ずかしいからダメ」

男「おのれ母ちゃんめ邪魔しやがって…」

幼「母親のこと悪く言わない」

男「はい」

幼「今日はキスだけ。もう1日くらい我慢できるでしょ」

男「じゃあせめて膝枕を」

幼「それくらいならいいわよ」ポンポン

男「わーい。それとおっぱい枕もよろしく」

幼「はいはい。そういえば友君、どうしたのかな」

男「見てないよ。一緒にいたんじゃなかったのか?」

幼「だから途中でいなくなったんだってば。電話してみる?」

男「女の子なら放っておけないけど、男だから気にしない」

幼「男がそう言うならいいけど」

男「メールだけしとくよ。それより早くチューを、チューをください!」

幼「このドラマ見終わったらね」

男「おのれ、ドラマ爆発しろ」スリスリペロペロ

幼「ふともも舐めるのやめて、きもい」ペシッ

男「幼の膝枕だと上向くとおっぱいしか見えなくて面白いな」

幼「…何と比べて面白いの? 誰かにしてもらったことがあるわけ?」ゴゴゴ

男「ちち、違うんだっ!! 膝枕で耳掃除の店なんて行ってない!」

幼「へえええー。そんなに耳掃除してほしかったのね。いいわ、任せて」ニコニコ

男「アーーーッ!!!」

~~~

友「うう…頭いたい…何がどうなったんだっけ…」ヨロヨロ

友「確か幼さんを連れ込もうとしてて、部長に呼ばれて…」

友「ん? どこだここは」

?「ん…っ」

友「!!?!」ビクッ

友「だだ、誰だ!?」

?「えーひどーい。昨日あんなに愛してくれたのに///」

友「!?(だ、誰だこいつ…なんでドムがいるんだ!?)」

ドム子「ずっと友君の隣にいたじゃない。飲みすぎて忘れちゃった?」

友「…い、いやそういえばうっすらとそんな記憶が…」

ドム子「ビグザム子ちゃんと先輩1さん、ザクレロ美ちゃんと先輩2さんが一緒で」

ドム子「友君は私の肩を抱きながら歌を歌ってくれたのよ///」

友(まさか…あれは夢じゃなかったのか? 変な夢だと思ってたのに…)

友「え、ええと…ちなみに俺は…何を?」

ドム子「えー、私の口から言わせるなんて意地悪なんだからあ///」ツンツン

友「ひぃぃ…」ゾワワ

ドム子「私、初めてだったのにあんなにいっぱい///」

友(まま、まさか俺は本当に!?)

ドム子「友君、激しかった///」ポッ

友「ひいいいい、よく見りゃベッドに血の跡が!!?」

ドム子「責任、取ってね///」

友「あばばば」

ドム子「あれだけ出したらもう同じだから、いいよね…」ノシッ

友「やや、やめて」

ドム子「大丈夫、友君の弱いところ全部分かったから」ウフフフ

友「ら、らめえええええええ!!!」

頑張れ友君エンド。

以上でおしまいです。
暇つぶしにはなったでしょうか。
拙文、読んでくださりありがとうございました。

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