ベルトルト「二千年後の君へ」 ユミル「そして二千年後」(127)

何でも許せる人向け



ユミル「マルコ」



私が声を掛けると、そこに佇んでいる男が振り向く。

手を挙げ、にこやかな応対が返ってきた。



マルコ「やあユミル、来たね」

ユミル「ああ」


ユミル「わざわざ学校に呼び出すってことは、ガキどもの迎えが先か?」

マルコ「ああ、一緒に行くってきかなくてさ。抜け駆けすら許してもらえなくて、本当参ったよ」


ユミル「ははっ、あいつららしいな」

マルコ「笑い事じゃないよ。本当なら、報せをもらって真っ先に飛んで行きたかったのに…」



マルコは眉をハの字に下げて苦笑した。

本当に困っているわけではないことはわかっている。
そういう男だ。


マルコ「あれ?」



視線が私の顔より下へ向く。

どうやら私の腰にしがみついている子供に気がついたようだ。



マルコ「その子は?」

ユミル「ん?私の子だが」

マルコ「!?」


マルコ「…………院の子かい?見ない顔だね」

ユミル「バカ言うな。正真正銘、私の息子だっての」

マルコ「」


まるで信じられないものを目の当たりにしたような顔で、マルコは私たちへ交互に視線をずらす。



マルコ「ユミル……子供、いたの」

ユミル「まあな」


マルコ「こんな大きな?」

ユミル「そうだよ」


マルコ「初めて聞いたよ」

ユミル「言ってないからな」


マルコ「……あまり似てないな、ユミルには」

ユミル「父親似だ」

マルコ「そ、そうなのか……」


マルコは身体を屈め、向き合うように目線を合わせた。



マルコ「初めまして。名前は?」

「……」


ユミル「ほら。おどおどしてないで答えてやんな」


「………ベルトルト」


マルコ「ベルトルトか、いい名前だね」



聞き取れるか聞き取れないかの小さな声で囁かれたその名前は、きちんとマルコの耳に届いたようだ。


マルコ「僕はマルコ、君のお母さんの友人だ。よろしくな」

ベルトルト「……マル、コ」


ユミル「そう、話したことがあるだろう?」

ベルトルト「…うん」


マルコ「なんだ、僕のこと知っているのか」

ユミル「話しているからな、知っているよ。お前のことも、お前のガキどものことも」


ユミル「……ライナーとアニのことも、みんな」


ベルトルト「──っ!」



ベルトルトが私の服の裾を掴んだ手に一層力を込めて、泣きそうな顔で私を見る。


ユミル「……なんだよ、まだ迷っているのか?今なら会いに行けるって、心決めたんだろ?」

ベルトルト「……ん」


ユミル「だったらそんな顔するな。堂々としてな」



頭を撫でてやると、ベルトルトは私に顔をうずめてきた。


マルコ「大丈夫か?」

ユミル「ああ。実は三年ほど前から少し心を病ませてしまってな」


ユミル「本当は、5歳くらいになったらお前らに紹介しようと考えてたんだが、そのせいで今まで先延ばしにしていたんだ」

ユミル「私と違って繊細に育ったこって」

マルコ「そうなのか…… 。こんなに小さいのに……気の毒にな 」



マルコは私と同じようにそっとベルトルトの頭を撫でた。

慣れた手つきは、やはり子供を持つ父親のそれだ。


ユミル「ベル、こいつのことは呼び捨てでいいぞ。マルコって呼んでやれ」

ベルトルト「え」


マルコ「……またユミルは、僕と親子くらい離れてる子に……」

ユミル「言っても二十年そこそこだろう。お前いくつだっけ?」


マルコ「31。ベルトルトは?」

ベルトルト「……8才」

マルコ「うちの下の子と一緒じゃないか!」


ユミル「いいじゃないか。あいつらの友達にも呼び捨てされているんだ、今更一人くらい増えたって」

マルコ「そもそもそれもユミルがそう促したせいなんだけど」


ユミル「なんだよ、嫌なのか?細かいこと気にするなよ」

マルコ「はあ……まあいいか。ベルトルト、よかったら僕よりうちの子たちと仲良くしてやってよ。友達増えたって喜ぶから」

ベルトルト「え……」


ベルトルト「……う、うん」



マルコの言葉に、覚悟を決めたような顔つきで頷くベルトルト。


ユミル「しかしお前も31か。初めて会った時はほんのガキンチョだったってのに、早いもんだ」

マルコ「そうだよ。僕とユミルが出会って、もう二十年になるんだよ」


ユミル「ベタな口説き文句みたいに話し掛けてきたんだよな。よく覚えてるよ」

マルコ「いや、だからそれは……もういいだろ!からかうなよ!僕だって、どうしてあの時あんなこと思ったんだか……」


マルコ「……懐かしいな」

ユミル「……」



マルコは遠い目をしたけれど、私にはつい先日の出来事のようだ。

懐かしむほど昔の話だとは思えない。


マルコ「ユミルは変わらないよな、何年経っても。まるで歳をとらないみたいだ」

ベルトルト「……」


マルコ「子供の頃から気になっていたんだけど、ユミルっていくつなんだ?」

ユミル「……2000過ぎたあたりで数え忘れた」

マルコ「またそれか」



相変わらずだ、そう言って肩を竦めるマルコ。

相変わらずなのは信じないこいつも同じだというのに。


まあ普通の奴は信じないだろう。
私もわかってて言っている。

信じるのは、



ベルトルト「……」


今だに私のそばを離れない我が子くらいなものだ。


三年前の話になる。


ユミル「よし、着いたぞ」



私がベルトルトを伴って到着したのは、壁際の小さな湖。
辺りには草原が広がっている。

笑顔を絶やさない明るい子だったベルトルトがその数日前から突然塞ぎ込んでしまい、なんとか元気付けたくてそこへ連れて来たのだった。


後ろをとぼとぼついてくるベルトルトを振り返った。

所持品の大きなスケッチブックを胸に抱き、ふらふらと歩いている。



ユミル「疲れたろ。普段こんなに歩くことないもんな。よく頑張ったな」

ベルトルト「……」


ユミル(……相変わらず、か)



薄い反応に溜息が出る。


ユミル「見ろよベルトルト」

ベルトルト「?」


ユミル「きれいな景色だろ。絵を描くにはうってつけの場所だと思わないか?いつかお前を連れて来てやりたかったんだ」


ユミル「ここは、十数年前まで私が住んでいた場所なんだ。ずっと大昔には街があったんだが、長い時間雨水が溜まって湖が出来てな」

ユミル「気が付いたら、こんなきれいな草原になっていた」


ここは、私にとって特別な場所だった。

公には全てが始まって終わった場所であり、……あの男が眠る場所。


私は壁を見上げ、一カ所だけ色の違う箇所を見つめた。



『ユミルだけはどうか、僕を忘れないで』



ユミル(私はお前を忘れずにいるよ)

ユミル(お前を覚えているかわりに、何故だか身体が年をとることを忘れてしまったが)


ユミル(そのおかげで幸か不幸か、今日までずっとこうして生きている)


ベルトルト「…………る」

ユミル「! 何だ?ベルトルト」


ベルトルト「…………ユミル」


ユミル「はっ!?」

ユミル「てめえ親を呼び捨てに……!」


ベルトルト「──っ!」



激昂し、ベルトルトの肩を掴んだ瞬間、スケッチブックがばさばさと地面に落ちた。

偶然開けたページに描かれていた絵を見て私は驚愕した。



ユミル「!?」


ユミル「なんだこの絵……お前が描いたのか!?」

ベルトルト「……っ」


件のページを示し、ベルトルトに詰め寄る。


そこには私の絵が描かれていた。

それも、いつぞやの調査兵団の、自由の翼のエンブレムを身に付けた兵服姿のだ。



ユミル「なんで、この服……!」


兵団は、私が真っ当に年をとっていた頃 (空白の六十年を経た後のことだからこの表現では些か語弊があるかもしれないが)身を置いていたことのある、大昔に解体された組織だ。


それを何故、文字読み書きもろくに教えていない5歳のベルトルトが知っていて、あまつさえそんな恰好をした私の絵など描けるのだろう。



ユミル「ベルトルト、この紋章どこで見た?本か何かか?どうして……」

ベルトルト「……母さん、」






ベルトルト「ベルトルト・フーバーってしってる?」


頭が真っ白になった。
何を言われたのか、一瞬理解出来なかった。


知らないわけがない。
今生きている誰よりよく知っている。


私に『忘れないで』という言葉を遺してこの地で壁の一部になった、誰より大きく、臆病で優しい巨人の名だ。


けれど不可解なのは、この子があの男の名を口にしたことだ。

この時代に生きる人間が、その名を知ることが出来るわけがないのに。


ベルトルト「僕ね、夢をみたんだ」



ベルトルトは壁を指差す。



ベルトルト「あの壁に手をかけて、外から中をのぞくんだ。そこには街があって、ちいさな人がたくさんいて、その人たちはおびえた顔で僕をみていた」


ベルトルト「みんながちいさいんじゃなくて、僕がおおきいんだ」



その小さな手も声も、気の毒なほど震えている。


ベルトルト「僕が……足を、振りあげて……」

ユミル「! やめろ、もういい」


ベルトルト「壁をけっとばして、壊したら」

ユミル「言わなくていい、わかったから」


ベルトルト「……さけび声が、たくさんきこえて」

ユミル「ベルトルト!」


ベルトルト「それなんだよ!」


ユミル「!?」

ベルトルト「あの夢をみてから、母さんに名前をよばれるたびにベルトルト・フーバーの記憶を夢でみるようになったんだ!」

ユミル「──っ!」


ベルトルト「僕をころすために、たくさんの人たちが刃を手におそいかかってくる」

ベルトルト「僕は人ごろしなんだろ?壁をこわしてたくさん人をころさせて、すべての人ににくまれている!」


ユミル「……違う」

ベルトルト「何がちがうんだよ!!」



ベルトルトはもう、泣きながら叫んでいた。

こんなに声を荒げたところは初めて見た。


ユミル「お前はベルトルト・フーバーじゃない。それにその夢もお前の記憶じゃない。そうだろう?」


ベルトルト「……でも、なんでかはわからないけどあれが僕のことだってわかるんだ!」

ベルトルト「きっとそれは、僕がベルトルト・フーバーとおなじ存在だからだろ!?僕は……うまれてきちゃいけなかったんだ!」

ユミル「違うって言っているだろ!」


ベルトルト「……だから何がちがうの?僕におなじ名前をつけたのはなぜ?」

ユミル「……」

ベルトルト「母さん、さいしょからしっていたんだろ?僕があの男だって」


ユミル「……」

ベルトルト「……」


ユミル「確かに、私はわかってた。いや、確信があったわけではないが……」


ユミル「……私の子がそうだったらいいのに、とは思っていた」


ベルトルト「どうして?ベルトルト・フーバーは人ごろしなのに」

ユミル「……」


ユミル「……ベル、聞いてくれ」


ユミル「あの壁、少しだけ色が違う場所があるのは見えるか?」



私は先程見つめていた壁の一部を指差した。



ベルトルト「……うん」


ユミル「あの男は生きたまま壁になった。今もそこにいる」

ベルトルト「!」


ユミル「……」


全ての戦いに終わりが訪れた時──ここがまだシガンシナと呼ばれていたあの頃。


生き残ってしまった私とあの男は、ここで最期の言葉を交わした。


心身共に疲れきったあいつのこぼす本音を、私はただ聞いてやった。

故郷のこと。
仲間ではなく友達になりたかった二人の巨人のこと。
敵のはずなのに大切な存在になってしまった友人たちのこと。
自らの背負ってしまった罪のこと。

その他諸々。


そして奴は最後に、自分の身をもってかつて開けた壁の穴を塞ぐことで全てを終わらせると私に告げた。


奴らしくない選択とも思ったが、それまであったことを考えると当然のようにも思えた。

仲間や友人たちが次々と命を落としていった中で、自分が最後まで生き残ってしまったことに負い目があったようだ。


壁になるということは即ち、眠りながら永遠に生き続けるということ。

死ぬことができるのかもわからないし、いつかそこから出てこられるのかもわからない。

そして悠久の時間の流れと共に、いつか全ての人に忘れ去られてしまう、ということ。


忘れられることは死と同じ意味を持ち、また死よりも怖いとあの男は言った。


あいつは自分が一番怖れることを、自分に相応しい罰だと言って選んだのだ。


「最期にひとつだけ頼みがあるんだ」

「ユミルだけはどうか、僕を忘れないで。死ぬまででいいから」



その言葉はどう考えても、最期の最後のほんの気休め程度の安らぎ欲しさからくる戯れ言だった。

だからこそ私も言ったのだ。
同じくらい冗談混じりに。

少しだけ、私があいつの心を楽にしてやれるならと。


結果あいつは私の言葉にふっと笑みをこぼした。
それが、私が見た奴の最後の笑顔だった。


「死ぬまでなんてケチくさいこと言うなよ。なんならお前がそこから出てくるその時まで、ずっと覚えていてやる」

「ただし、壁の中で死ぬことが出来たらきちんと『死ねました』って挨拶に来いよ。生まれ変わってな」




ユミル「……やっぱり、お前がそうなんだな、ベルトルト」


ユミル「ちゃんとあの中で死ぬことが出来て、約束を果たしに会いに来てくれたんだな。それも、愛する私の子供に生まれてくれていたなんて」

ベルトルト「……っ」



不意に今まで以上の愛おしさがこみ上げてきた。

私はそっとベルトルトを抱きしめ、もういつ振りかわからない涙を流した。

その涙が、あの男が約束を果たしてくれた喜びからのものなのか、はたまたあの男の死を知った悲しみからくるものなのかはわからなかったけれど。

ベルトルトも泣いているようで、顔をうずめた私の肩元から鼻をすする音が聞こえた。


ユミル「……生まれてきちゃいけなかったなんて、絶対にないよ。生まれてきてくれて、本当にありがとうな。お前も」


ユミル「ベルトルト・フーバーも」

ベルトルト「──っ!!」


ベルトルト「うわああ……っ!!」


とうとう声をあげて泣き出してしまった。

私は、あやすように背中をさすってやった。


ユミル「今まで辛かったな。でもお前に罪はないんだ。……もう苦しまなくていいんだよ」






ベルトルト「……母さんは」



しばらくして落ち着いたあと、ベルトルトが遠慮がちに口を開いた。



ベルトルト「ベルトルト・フーバーの記憶にいた、……ユミル?」

ユミル「ああ、そうだよ」


ベルトルト「あんな大昔から、今までいきているの?」

ユミル「そう。2000年くらいまでは数えていたんだがなあ。具体的な数字はもうすっかり忘れちまった」


あの男が壁になったあと、私は奴の名を刻んだ墓標を立ててやり、近くのボロ小屋を片付けてそこで暮らし始めた。


そうして死ぬまで傍にいてやるつもりだった私だが、ある時自分の身体が年をとらないことに気付いた。

何十年経っても鏡に映る自分の姿は、あいつと別れたあの日のまま。


どうやらあの約束通りあいつと再び出会うまで死ぬことが出来ないらしい、とその時悟った。


気が遠くなるほど長い時間を一人で過ごした。

人が住まなくなった街が朽ち果てるのも、そんなかつての街に湖が出来るのも見届けた。


何度も全てを忘れかけた。
墓標に刻んだ名前以外。

仲間だと思っていた大切な友人たちの顔も声も忘れていってしまう。

私にとってそれは、あいつが怖れた“忘れられること”よりもずっと怖かった。


だから、その日その日に起こったことを紙に書き記し、残すことにした。

今ある記憶を忘れてしまっても思い出せるように。


過去のことも思い出せる限り書き留めた。

今まで遭遇した出来事からその時の自分の感情まで、事細かに記すよう心掛けて。


それでも人に混ざって生きたくはなかった。

それなのに、


『ねえ、僕らどこかで会ったことはない?』


十数年前になって、偶然出会った幼き日のマルコに手を引かれるままこの地をあとにしたのは、きっと……。



ユミル「あの時は本当に参ったね。マルコの奴が……同じ名前とよく似た顔でそんなこと言うもんだから」

ユミル「死んだ人間と源を同じくする存在が再び生まれてくるなんて、生命が巡っているなんて、それまで一度も信じたことがなかったのにさ」


ユミル「……思わず信じたくなっちまった」


ベルトルト「……マルコ」


ユミル「知っているか?マルコ・ボット。この名は大昔私の友人だった方のだけどな」


ベルトルト「ううん。しらない」

ユミル「……」



住んでいる孤児院の連中に連れられ、この地を訪れたというマルコ。

奴の計らいで私は、その院に転がり込むことになった(孤児という年では到底ないため、もちろん働き口としてだ)。


そして当時の私は、マルコがこの時代を生きていると知ったことで、ひょっとすると他の連中もこの地上のどこかにいるんじゃないかと願望に近い期待を抱いてしまった。


生意気な坊主頭に食い意地が人一倍の芋女、皮肉屋の馬面野郎。

かつての友人たちを次々に思い浮かべた。


そしてあわよくば、私が待っているあの男も……などと。


結論から言って、私の予感は半分外れで半分当たっていた。


院に勤め始めて一年経った頃、今度は二人のよく知る名前に出会ったのだ。



ユミル「お前も知ってるだろうよ。……ほら、あった」



私はベルトルトのスケッチブックをめくる。

私の絵の後ろの見開きに、その二人の絵は並んで描かれていた。

何故か顔がぐしゃぐしゃに塗り潰されているが、すぐに誰だかわかった。



ベルトルト「あ……」


ユミル「ライナー・ブラウンとアニ・レオンハート。こいつらによく似た子供だ」


ライナーとアニは同じ日に院に入所してきた子供だ。
同じ事故に遭い、二人とも家族を失ってしまったらしい。


二人に出会って驚いた私は、慌てて図書庫の歴史文献に片っ端から目を通した。

もしも、かつて人類へ侵攻した巨人たちの名が今まで伝わっているとしたら。

同じ名を持つだけの何も知らない彼らが、それを理由に迫害されてしまうとしたら。

それだけは絶対に避けなければ。

私が二人を守ってやらなければならないと思った(結局奴らの名を伝え残している書物は一冊も存在していなかったのだが)。


ベルトルト「……ライナー、アニ……」

ユミル「? どうした?ベル」


ベルトルト「僕が……ああ…………!」

ユミル「おい」



ベルトルトは膝を抱えて耳を塞ぎ、先ほど以上に震えていた。
まるで何かに怯えるように。



ベルトルト「あああぁぁ……うわあああああああ!!ああああああああああ!!!!」

ユミル「!?」


ベルトルト「ぼく、僕が……僕が僕が僕がぼくが」

ベルトルト「僕が見ごろしにした……僕のせいで二人ともしんだ」


ユミル「落ち着けベル!」

ベルトルト「二人をたすけられるのは僕しかいなかったのに!僕はたすけなかった!!僕がこわがりだったせいで二人は……!」

ベルトルト「おこってる……うらんでる、にくんでる!二人はもっと生きたかったのに!ごめんなさい二人とも、うまれてごめんなさい!!」


ユミル「あの二人はお前を恨んでなんかいない!」

ベルトルト「……っ、うそだ!」


ユミル「本当だ!私は知っている!」


ユミル「あいつらは……お前を探している。知らず知らずのうちに、お前に会いたがっているよ」



まだライナーとアニが院に来て間もない頃のこと。

人当たりの良いライナーは持ち前の性格ですぐに周りと打ち解けたが、人見知りが激しかったアニはなかなか馴染めずに孤立していた。


ある日。
そんなアニが庭で絵を描いているのを見かけた。

何を描いているのか、誰が覗き込んでも頑なに見せなかったアニが、ただ一人ライナーにだけそれを見せた。

彼女が初めて院の誰かに心を開いたように見えて、私はマルコたちとそのほほえましい様子を少し離れた場所から目を細めて眺めていた。


しかし、次第にその光景に違和感を覚え始めた。

二人の会話に耳を傾けてみると、ライナーがもっとここをこうしろ、こっちはもっとこうだ、などと指を差して絵の修正を促していて、アニはその指摘に腹を立てずに素直に従っているのだ。


誰にも絵を見せたがらなかった人見知り娘が、こんなに従順に他人の指示を受け入れるだろうか。

その行動に矛盾を感じ、彼女たちの描く絵(もはや二人で描いているようなものだ)に俄然興味が湧いた。


しばらくすると、二人が達成感溢れる笑顔で完成したらしい絵を得意気に披露してくれた。



ユミル「あいつら、ベルトルト・フーバーの絵を描いていやがった」

ベルトルト「……」


ユミル「その時わかったよ。こいつらはあの男に……いや、あの男だった存在──お前に会いたいんだって」



あの絵を描いた時の輝くような笑顔を見て、いつか二人にも会わせてやりたいと思った。


なんてことはない。

あの男なら私も捜しているのだし、目的がひとつ増えるだけのことだ。


しかし、ここまで能動的にマルコ、ライナー、アニに会えはしたけれど、あの場所で待っていてもあの頃の仲間だった奴ら全員に会えるとは限らない。

馬鹿な私はそれに気付かず悠長に構えてしまっていて、そのことを自覚したのはマルコが結婚して院を出ると言い出した時だった。


気がついた時には幼かった三人はあっという間に成長し、大人になっていた。


もしもあの男が今生きているとして、向こうから現れるとは限らない。

待っているうちにライナーとアニは年をとって、あの男に会えずに死んでしまうかもしれない。


自分で行動しなければ。
……捜さなくては。

そう思った私はほどなくして院をあとにした。
壁内中を巡る覚悟で放浪の旅に出たのだ。


その途中で私は、あの男ではないけれどとてもよく似た人物と出会った。



ユミル「それがお前の父親なんだけどな」

ベルトルト「……僕の、お父さん?」


名前が異なることから別人なのはわかっていた。

けれどその顔立ちが、表情が、仕草が、佇まいが、声が。

ひとつひとつが、もう顔すらも思い出せなかったはずのあの男を彷彿とさせる。

そんな彼に私は、……私は。



ベルトルト「……」

ベルトルト「母さんは」


ベルトルト「ベルトルト・フーバーを、愛していたの?」


ユミル「……」

ベルトルト「だって、そうじゃなければ……」

ユミル「もう忘れたよ」


ユミル「……そうだ。みーんな忘れちまった。どうだったかな」

ベルトルト「……」


まさか、こんなわけのわからない身体の自分でも子供を授かることができるとは。

この子を身ごもった当初はそう驚くばかりで、何の感慨も浮かんでこなかった。


それどころか、人の親になるのは初めての私だ。

ただでさえ人捜しの旅の途中なのに赤ん坊にかまける余裕などあるのか、私自身生まれてくる子供を愛することができるのかと葛藤する日々だった(あの時は、自分の子供よりあの男に会いたいという気持ちの方が大きかったからだ)。


マルコに娘が生まれたと風の噂で聞いたのはそんな時だった。


ユミル「生まれてきた黒髪の女の子がミカサだと知った時、子供を生もうと決めたよ」

ユミル「この子はきっと、父親にそっくりな男の子だろうって思ったからな」


ユミル「そうしたらお前が生まれてきてくれた。私の勘も捨てたもんじゃないだろ」



私はにっと笑って言ってやった。

そんな私とは裏腹に、ベルトルトは神妙な顔をする。



ベルトルト「……ミカサ」

ユミル「ミカサは知っているのか?」


ベルトルト「男の子たちと……一緒にいたのを見た気がする」


ユミル「あ?そうだな。エレンと……アルミン、だったか。奴らといつも一緒にいたよな」


ユミル「エレンにも出会えたよ。マルコんとこの二番目のガキ……ミカサの弟だ」

ベルトルト「……そう、なんだ。エレンも」



あの二人は、ずっと一緒にいられるように、もう二度と離れることのないように姉弟に生まれたんだろうと私は思っている。


弟を守る姉、姉を悪く言う奴を絶対に許さない弟。

時々ケンカもするが、お互いを思い合う仲のいい姉弟だ。


エレンといえば、エレン・イェーガーは家族を奪われたことでベルトルト・フーバーに異常な憎しみを向けていたことがあった。

その記憶を見たことがあったのだろうか、ベルトルトの口ぶりがまるでエレンを知っているようだった。



ユミル「なあ、ベル。折り入って言うが、会いに行かないか?あいつらに」

ベルトルト「……え」



ユミル「お前がかつてのベルトルト・フーバーだとはっきりした以上、私はライナーとアニにお前と会わせてやりたい」


ユミル「エレンのこともわかるんだろう?それならエレンにも会ってほしいし、マルコやミカサにもお前を紹介したい。どうだ?」

ベルトルト「……」



私の突然の申し出に、ベルトルトは俯いて眉をぎゅっと寄せた。



ベルトルト「……あいたくない」



小さな口からぽつりと零された言葉は、拒絶だった。


ベルトルト「ライナーとアニにあう勇気なんてない。それにエレンはこわいよ」

ユミル「だから言ってるだろう?あいつらは別にお前のことを……」


ユミル「……違うな、嫌がっているのに無理強いはいけないよな。すまない」


ユミル「……」

ユミル「ベル、お前父親んとこ行け」

ベルトルト「えっ?」


ベルトルト「それって、僕があいたくないっていったから?母さんは僕を……」

ユミル「いや、言い方が悪かったな。別に私がお前を捨てるとかそういうんじゃなくてな……」


ユミル「私は、死んでしまうかもしれないんだ」


父親にベルトルトを引き取らせることを選んだ目的は、私が死んだら身寄りをなくしてしまうこの子が頼れる相手をどこかに作っておくことだ。

私がこうして生きている理由──“あの男だった存在と出会うこと”が果たされた今、生きる意味を失った不自然なまでに生きすぎたこの身体は、いつ朽ちてもおかしくないだろう。

マルコたちに会いに行くと言ったら、いっそ奴らの育ったあの孤児院もひとつの手だったのだが、拒まれてしまったので一番取りたくない最終手段だ。


ユミル「お前の気持ちを落ち着けるために、私と一緒にいるべきではないかもしれないしな」

ベルトルト「そんな、こと……」


ユミル「ベルトルト」

ベルトルト「!!」



ベルトルトはびくりと身体を強張らせた。
かわいそうなほどに。



ユミル「……ほら、また私に名を呼ばれるだけで色々あるんだろう?」

ベルトルト「……っ」


ユミル「それに、会ったことがないと言ってもまがりなりにも血を分けた親子だ。仲良くなっておくといい」


ユミル「だけどすまない。私はお前に拒まれた今でも、お前とあいつらを会わせることを諦めたくないんだ」

ユミル「だから時間を掛けて気持ちを整理して、心の準備ができたら会いに行こうな。あいつらに」


ベルトルト「……っ、うん」




マルコ「……そうか。ベルトルトはこの間までお父さんの所にいたのか」



あの一件のあと五年ぶりに会いに行ったベルトルトの父親は、あの時と全く変わらない私の姿を見て怯えたような顔をした。

ベルトルトを引き取り、世話をしてこそくれたけれど、月に一度この子と会う時にはできるだけ顔を合わせないよう気をつけてきた(ベルトルト本人はそこそこうまくやっていたようだが)。



ベルトルト「うん。でも母さんは時々会いにきてくれたから、寂しくなかったよ。文字を覚えてからは手紙も書いていたし」

マルコ「いい子だな、ベルトルトは。……でもそうか、今でもユミルがたまにふらっといなくなるのは、君に会いに行っているからなんだな」


ベルトルトは、会うといつもスケッチブックを見せてくれた。

見るたびに、かつての仲間が描かれているページが増えていく(尋ねた時に知らないと答えたマルコも、おぼろげにしかわからなかったミカサの絵もあった)。


あれからも、何度かあの男の記憶を見ていたようだ。



ベルトルト「僕がみんなに会いたいって手紙に書いたから、今日ここに連れて来てくれたんだ」


マルコ「……そっか、じゃあ楽しみだな、ライナーとアニに会うの」

ベルトルト「……うん」


マルコ「僕も楽しみだよ。二人の赤ちゃんにも、早く会いたいな」


ベルトルトとの再会から三年が経った今でも、どういうわけか私はこうして生きている。

まだ幼いベルトルトのそばに生きていてやれるのは喜ばしいことなのだが、ではどうすれば私は死ぬことができるというのだろうか。


……もし、マルコたちやベルトルトが老いて死ぬのを見届けなければならないというのなら。



ユミル(……神様ってのは、本当に残酷な奴だなあ。重々知ってはいたが)



だからこそ長い時間、人と関わらないように生きてきたのに。

その決意を投げ出した結果がこれだ。


焦りがつのる。


マルコ「……ル、ユミル!」

ユミル「!」


マルコ「どうしたんだ?ぼーっとしていたようだけど」

ユミル「……悪い、少し考えごとをしていた。なんだ?」


マルコ「いや、用ってわけじゃないけど、もうすぐ二人が出てくる頃かなと思って」

ユミル「ああ、そろそろか」



建物からゾロゾロと子供が飛び出してき始め、私はマルコと共に奴らの姿を探す。


ベルトルト「……いないね、エレンとミカサ」



ベルトルトがマルコに聞こえないような小さな声で私に耳打ちをしてきた。

本当に、あたかも知人のように二人の名を呼ぶベルトルトを見ると、少しだけくすぐったい気持ちになる。



ユミル「……ふっ、見てろよベル。今からお前が驚くことが起こるぞ」


ユミル「きっと、あいつらと一緒に来るはずだ」

ベルトルト「?」


「父さあああん!!!」



一際大きな声が響き、二人の子供がこちらへ近付いてくる。


「父さん!!おわったぞ!!」

マルコ「ああ、一日お疲れ様…」


マルコ「…エレン」



マルコの言葉に、屈託のない笑顔を見せるエレン。



ベルトルト「……」



ふとベルトルトを見やると、驚いたような放心したような間抜けな顔をしていた。

その視線はエレンよりむしろもう一人の方、隣の坊主頭に向いているようだ。



ベルトルト「あれは…」


ベルトルト「…コニー!?」


ユミル「ああ、そうだ。だから言ったろ?びっくりするって」


コニー「よう、マルコ!」

マルコ「……やあ、コニー。お前もお疲れ様」



マルコがエレンとコニーの頭を両手で同時に撫でると、二人は楽しそうにけたけたと笑った。



エレン「父さん、コニーもいっちゃだめか?今日のことはなしたら一緒にいきたいって」


マルコ「ああ……まあ、構わないよ。ただ、行くのは病院なんだ。騒がないでくれよ」

コニー「まかせとけ!」


ベルトルト「……」


ユミル「お前にはあえて黙っていたんだがな……」


ユミル「コニーはエレンと同い年の友達だ。学校へ行くようになって知り合ったらしい。三年前はまだ出会っていなかった」


ベルトルト「エレンと、コニー……!」



ベルトルトは嬉しそうに、でもどこか切なそうに二人の名を呟いた。


エレン「あ、ユミル!ひさしぶりだな! 」

ユミル「おうチビども、元気だったか?少し背が伸びたんじゃないか?」

コニー「へへっまあな!せーちょーきってやつだろ!」


ユミル「バカ言うな。本当の成長期はそんなもんじゃねえよ。まだまだ先だ。なあマルコ」

マルコ「えっ?ああ、そうだな……はは」


エレン「……あれ?おまえだれだ?」

マルコ「あっ、こらエレン……」


エレンはベルトルトを見つけるなり無表情に戻り、まじまじと顔を見つめ始めた。


次第にベルトルトの表情も強張る。

まだエレンに対する警戒心があるのか、遠慮のない距離の詰め方に気後れしているのか。



ユミル「私の息子さ。お前らと同じ年なんだ。仲良くしてやってくれ」


エレン「……へえ」

ベルトルト「……っ」


エレン「……」

ベルトルト「……あのっ」


ユミル(……おいおい、なんで黙っているんだよ)

ユミル(まさかエレンの奴、既視感を覚えているなんて言わないよな?大丈夫だよな……?)


マルコ「悪い、ユミル。エレンが初対面の相手に無愛想になるのは人見知りの裏返しなんだ。だからベルトルトの印象が悪いわけではない……はずなんだけど」



私はそんなに曇った顔をしていただろうか、マルコにこっそり耳打ちでフォローを入れられてしまった。



ユミル「いいや、わかっているさ。ガキの交友関係にとやかく言うつもりもない」

エレン「……」

ベルトルト「……」


エレン「オレ、エレン。おまえの名前は?」

ベルトルト「えと、……ベルトルト」

エレン「……ふうん」


コニー「ベルトルトか!オレはコニーだ!よろしくな!」

ベルトルト「!」


コニー「エレンお前てれてるんだろ?はずかしがってないできちんとあいさつしろよ!」

エレン「はあ!?ちげえよ!てれてもいないし、はずかしくもない!」


エレン「……よ、よろしくなベルトルト」

ベルトルト「あ……」


ベルトルト「……うん。よろしく!」



ベルトルトが二人に初めて笑顔を見せた。

エレンもコニーのおかげで打ち解けることができたようだ。


「……お父さん」

マルコ「え?」


「終わった」

マルコ「……びっくりした。ごめん、気づけなかったよ」


マルコ「おかえり、ミカサ」


ベルトルト「! ミカサ?」


ベルトルトの視線がマルコとミカサの方へ向いた。


ミカサ「私だけじゃない」


「えへへ、私たちもいますよ!」

「……ふん」


ベルトルト「……あ……っ!」



驚いてさらに目を見開くベルトルトの顔が見えた。

私の読み通り、ミカサが二人を伴って現れたのだ。



コニー「よお、サシャ!」

サシャ「どうもコニー!」


エレン「げっ、ジャン……!」

ジャン「……なんだよエレン」


エレン「なんでおまえがいるんだよ」

ジャン「悪いかよ、オレがいちゃ」


エレン「…………ミカサに近づくなよな」

ジャン「あ?今なんて言った?」

エレン「なにも言ってねえよ!うるせえな!」


ミカサ「あのね、お父さん……」

マルコ「はあ……いや、いいよ。ジャンとサシャも一緒に行きたいって言うんだろう?」


ミカサ「どうしてわかったの?」


マルコ「エレンがコニーを連れてきた時点で、なんとなくこうなる気はしていたんだ。この際だから構わないよ、一人増えようが二人増えようが」


サシャ「やった、ありがとうございますマルコ!早く会いたいですね、ライナーとアニの赤ちゃん!」

マルコ「サシャも女の子だな」



エレン「聞けよミカサ!オレ、友だちがふえたんだぜ」

ベルトルト「ちょっ、エレン……」



エレンはベルトルトの腕を引き寄せ、ミカサに得意気な笑顔を見せた。


エレン「ほらこいつ!ベルトルトっていうんだ!もうコニーしか友だちがいないなんて言えねえな!」

ベルトルト「え……っ」


ミカサ「ベルトルトっていうの?」

ベルトルト「あ……うん」


ミカサ「……」



ミカサがベルトルトの右手を取り、自分の手を握らせた。

突然の行動に慌てたベルトルトはうっすらと頬を赤らめる。



ベルトルト「えっ!?ちょっ……!」

ミカサ「よろしく、ベルトルト」


ミカサ「私はミカサ。エレンのお姉ちゃん。私はエレンに友だちができてうれしい。よかったら、私とも仲よくしてほしい」

ベルトルト「え、ああ……もちろん」



ミカサに対してもある程度の警戒心を持つベルトルトだが、エレンのことがあった後だからか先程より緊張してはいないようだ。



エレン「お、おいミカサ!ベルトルトはオレの友だちなんだからな!」

ミカサ「だからって、私が友だちになっちゃいけない理由にはならない」

エレン「はあ!?なんだよそれ!」


ベルトルト「ふっ、二人とも!ケンカはやめよう?仲良くしようよ……」

マルコ「心配しなくていいよ、ベルトルト。この二人はこれが日常会話だから」


サシャ「見ない顔ですね。エレンのお友だちですか?」

エレン「ああ!ユミルの子どもなんだってさ。オレたちと同じ年なんだぜ」


ジャン「……チビだな」

ベルトルト「うっ……」

ユミル「何を。十年後には長身の男前になってるさ」


ユミル「今度からお前らの学校に通う予定なんだ。よくしてやってくれよな」

サシャ「そうなんですか!私サシャです、よろしく」


ジャン「ジャンだ。いじめにあったら言えよ。お前よわっちそうだし、狙いにされそうだからな」

ベルトルト「えっ、あ、ありがとう……」


エレン「いらねえよ!ベルトルトはオレがまもるから!」

ジャン「いつもミカサにまもられているお前が何だって?」

エレン「このやろう……!」


マルコ「エレン、ジャン待った!そこまでだ、行くぞ」


マルコを先頭に、子供たちがぞろぞろとついて歩く。

走り出すコニーを追い掛けたり、言い争いを続けるエレンとジャンの間に入ったり、空腹を訴えるサシャにお菓子を与えたりと奔走するその光景は、まるで引率の先生のようだ。



マルコ「こういう引率は、ユミルの方が慣れているだろう?」



院で子供たちを連れて外へ赴く機会は少なくないし、確かにそうなのだが。



ユミル「私も仕事で来てるんじゃないし、今日のところはお前にお任せするよ。この連中は私の手には負えないしな」



そう返すと、マルコにそっと苦笑いを返された。



ユミル「すまなかったな」



列の最後尾で私はベルトルトに並んだ。



ベルトルト「どうして謝るの?」


ユミル「黙っていたからな、ライナーとアニが結婚したこと」

ベルトルト「……」


ユミル「マルコから聞いたんだろ?今日は二人の生まれたばかりの子供に会いに行くって」

ユミル「何も言わずに連れて来てすまない。……教えたら、お前は会いに行くのを躊躇するんじゃないかと思った」


ベルトルト「……別にいいのに。二人がどうなろうと、僕には関係ないから」


ベルトルト「あの二人にゆかりがあるのは僕じゃなくて、ベルトルト・フーバー。今の僕とライナーとアニはまだ会ったこともないただの他人だ。そうだろ?」



ほぼ同じ年数しか生きていないエレンたちと比べて不自然なほど口調が大人びているのは、やはりあの男の記憶を何度も見ているせいなのだろうか。

私がそうしたきっかけになったことを思うと、罪悪感に苛まれる。



ユミル「そうは言うけどなあ……」


ベルトルト「実際にその話を聞いても何とも思わなかったんだから。謝らないで」


ベルトルト「そんなことより、コニーとジャンとサシャに会えたことの方がびっくりしたよ!」

ユミル「あ、ああ……喜んでくれたか?」


ベルトルト「ここで会えるのはマルコとエレンとミカサだけだと思っていたから……嬉しかった。ありがとう母さん」

ユミル「……そうか、それならよかった」



どうやら余計な気を遣われてしまったらしい。

我が子ながら優しい子だ。


ベルトルト「でもアルミンはいないんだね」


ベルトルト「ヒストリアも」


ユミル「!」



懐かしい響きに、一瞬言葉を失った。



ユミル「……アルミンにヒストリア、か。確かにあの二人はまだお目にかかっていないな」


あの二人が私たちと同じく戦いの終わりまで生き残ったということは、自分の日記に残っていた。


それだけではない。

アルミンが、戦略の都合で女王に即位することを余儀なくされたヒストリアと婚姻関係を結び、政治の実権を握ったという事実を風の噂で知ったということも(ただ、長い歴史の中で風化してしまったのか、歴史書には記述がなかった)。


政略婚とはいえ事実上夫婦となった二人だが、互いの気持ちがどこにあったのかは今となっては確かめるすべはない。

二人には生涯子供がなかったという。


どちらかが病床に伏して間もなく先立ち、数週間後に後を追うようにもう一方も他界した……と聞いたような気がする。



ユミル「案外、この地上のどこかで生きているかもな。あいつらだった二人も」


ベルトルトやミカサ、エレンのように“生まれる”という形で出会えた例もあるが、マルコたちは出会う前から生まれていたことから、きっとそれは特例だろう。



ユミル「生きていれば会えるさ、きっと」



あの二人もこの時代に生きていてくれたら、……特にヒストリアは、幸せに暮らしていてくれたらと特別強く思ってしまう。



ベルトルト「……そうだね、会いたいな。せっかくこうしてみんなと会えたんだから」


ユミル「随分と積極的に言えるようになったじゃないか。 エレンとの初対面に肩すかし食らったせいか?」

ベルトルト「そ、そういうんじゃないけど……」


ユミル「大丈夫、生きてりゃきっと会える。お前には未来があるんだから」

ベルトルト「なんだそれ。それじゃまるで母さんが……」


エレン「おそいぞベルトルトー!ユミルー!おいてっちまうぞ!」


ユミル「!」



いつの間にかだいぶ距離が開いていたらしい。

先を歩いていたエレンたちがこちらを振り返って手を振っているのが見えた。



ユミル「ほら、お友達が呼んでいるぞ。ベル」

ベルトルト「……」


ベルトルト「母さんは、今まで果てしないほど長く生きているからもう死にたいと思っているかもしれないけれど」


ベルトルト「……僕は、母さんに生きていてほしいよ」



ベルトルトはそれだけ告げて、エレンたちの元へ駆けて行った。



ユミル「……」


ユミル「お前は本当に優しい子だな、ベルトルト」





ミカサ「お父さん、ここへ来たことがあるの?」



到着した病院の中を迷わず進むマルコを見て、ミカサが不思議そうに尋ねた。



マルコ「ああ、何度も来ているよ。ミカサとエレンが生まれる時にお世話になったのもここだからね」


ミカサ「私とエレンも?」

マルコ「そうだよ」


部屋はあらかじめ聞いていたという。
マルコは一直線にそこを目指して歩く。




扉を叩くと、聞き慣れた男の声で返事があった。



マルコ「ライナー、僕だ。入るよ?」



先導して入室するマルコ、ぞろぞろと後に続く子供たち。

そして私の隣には、今日一番の緊張した面持ちのベルトルト。



窓の開いた室内から廊下へ、心地のよい風が吹き抜けた。


ライナー「おおマルコ、ユミル!よく来たな」



開口一番、ライナーが笑顔で出迎えてくれた。



コニー「ライナー!オレたちもいるぞ!」

サシャ「赤ちゃんにあいにきました!」


マルコ「こら、騒ぐなって言っただろ?」

ライナー「少しくらいなら構わんさ、みんなで来てくれてありがとうな」



ほころぶような笑顔でライナーはサシャとコニーの頭を撫でくり回した。


その間私は、赤ん坊を横たえたベッドに座る母親に近付く。



ユミル「ようアニ、大仕事だったろ。お疲れさん」

アニ「ああ、ユミル……」


ユミル「その後体調はどうだ?」

アニ「一応経過は良好だって。……夕べはあまり寝ていないけど。来てくれてありがとうね」



アニの顔には少し疲労の色が見えるが、口振りははっきりしている。

礼を述べながら、口角を上げる程度に微笑んだ。


マルコ「それにしても驚いたな」



赤ん坊の顔を覗き込んだマルコがぽつりと呟くように声を発した。



マルコ「……二人の子供が、双子だったなんて」



そう。

アニのベッドには小さな赤ん坊が二人、並んで寝息を立てているのだ。


マルコ「生まれたって報せの時に、一緒に教えてくれればよかったのに」

ライナー「すまん、驚かせたかった。男の子と女の子だぞ」


マルコ「……ライナーも二児の父か、あっという間に並ばれちゃったな。なんだか感慨深いものがあるよ」

ライナー「ははは、これからは父親の先輩として困った時は色々相談させてもらうよ」



ミカサ「……小さい」

ジャン「本当だな」

マルコ「そうだよ、産まれたばかりの子はこんなに小さいんだよ」


気がつくと、子供たちが赤ん坊を囲むように見入っていた。



サシャ「コニー、起こしちゃだめですよ。しぃーっ、です」

コニー「わかってるよ。しーっ、だな」


エレン「すげえ、金髪だ」

ジャン「あたり前だろバカ」


エレン「だってオレもミカサも、うまれたときから髪が黒いぜ?それなのにこいつら……」

ジャン「アニもライナーも金髪なんだからその子どもも金髪なんだよ。それくらいわかるだろ」

エレン「んだと……!」


ミカサ「エレン、さわがないの」

エレン「なんでオレだけ!」


ベルトルト「……」


ベルトルト「……あっ」



入り口の所で存在感を消すように佇んでいたベルトルトが、何かに気付いたような声を出した。



ユミル「どうした?」

ベルトルト「ねえ、金髪の男の子と女の子って……」



サシャ「アニ、ライナー。この子たち、名前はなんていうんですか?」





ライナー「男の子がアルミンで、女の子がヒストリアだ」



ユミル「!!」


…………ああ

そうか、


この子たちが。




ユミル「──は、……ははは」

アニ「?」


ユミル「お前らよお……私は、お前らにまともに歴史を学ばせずにここまで育てちまったことを、今すごく後悔しているよ」

ライナー「どういう意味だ?」


ユミル「いいか?アルミンとヒストリアってのはなあ、大昔ここを統治していた王家の名だ」


アニ「え!?」

ライナー「そうなのか?マルコ」

マルコ「いや……知らなかった」


ユミル「……ははは。やっぱ院のガキどもも学校へ通わせないとだめだな。こんなバカばかり量産しちまう」



もっとも、歴史書に二人の名は残っていないのだから歴史を学んだところで知り得るわけがないのだが。


別に難癖をつけたかったわけではない。

きっと私自身、この不測の事態に直面した動揺と歓喜をひた隠すのに必死だったのだ。


だって、ライナーとアニの間に生まれてきたこの子たちは、間違いなくあのアルミンとヒストリアなのだから。


ユミル「ま、えらい奴と同じ名だからって誰かから反対されることはない。お前らがこの子たちのことを思って付けた名なら、そう呼んでやればいい」


アニ「そっか……よかった」

ライナー「ああ」



二人は顔を見合わせてほっと胸を撫で下ろした。


ユミル「……」


ユミル「……抱かせてもらっていいか」

アニ「え?」

ユミル「この子を」


アニ「……もちろん。抱いてあげて」



私は、ヒストリアを起こしてしまわないようにそっと抱き上げた。


その身体は、私の両腕で抱えても余ってしまうくらい小さい。

けれどとても温かく、しっかりと自分で息をしている。


ベルトルトを初めて腕に抱いた時のようなぬくもりと強い生命力が、腕を通してじんわりと伝わってきた。


ユミル「……そうか、だから私は今日この時まで生きてきたんだな」

アニ「?」


ユミル「会いたかったよ、ヒストリア」

ユミル「生まれてきてくれてありがとう」


ユミル「これから目一杯愛されて、目一杯幸せになるんだぞ」


アニ「……ユミル、泣いているの?」



涙がこみ上げてきたのは、ベルトルトとあの湖へ行った時ぶりだ。

今度は、間違いなく喜びの涙だった。



ミカサ「ねえアニ、私にもアルミンをだかせて」

アニ「もちろん、いいよ」


エレン「あ、ずるいぞミカサ!オレも……」

ミカサ「じゅんばん!」


マルコ「……いいか?こうやって腕に頭をのせて、身体全体を腕で支えてやるように……気をつけろよ?絶対に落としちゃだめだからな?」


アニ「マルコ心配しすぎ。大丈夫だよね?ミカサ」

ミカサ「うん、大じょうぶ」


ミカサ「わ、重い……」

マルコ「こんなに小さくてもずっしり腕にくるだろ」


エレン「ミカサ!次オレ……」

ミカサ「まだ待って」


ミカサ「……かわいい」

マルコ「そうだな」


エレン「早く大きくならねえかな。そしたらオレがあそんでやるのに」

ミカサ「ずるい、私もアルミンとあそぶ」


マルコ「気が早いなあ。まだ生まれたばかりだっていうのに」

ライナー「はは、こんな早いうちから友達ができるなんていいことじゃないか。仲良くしてやってくれ」


サシャ「あの、ユミルー……私もヒストリアだっこしたいです」

ユミル「お?そうか。じゃあほら……気をつけてな」

サシャ「は、はい……」


アニ「……ねえユミル」



サシャにヒストリアを手渡し、両手の空いた私にアニが声を掛けてきた。



アニ「気になっていたんだけど、あの子は?あんな子いつも一緒いた?」



アニは、できるだけ壁際に寄って立っているベルトルトを見ていた。


ユミル「私の息子だ。お前らに会わせたくて、今日初めて連れて来た。初対面であっているよ」


アニ「……え?あんた子供いたの?あんな大きな?」

ライナー「なんだそりゃ、初耳だぞ」


ユミル「そうだよ、今まで言っていなかったからな」



二人の反応が先程のマルコのそれと同じで、少し笑いそうになった。


ライナー「……」

ライナー「……なあ、名前なんていうんだ?」



ライナーがえらく神妙な顔で尋ねた。

見るとアニも同じような表情をしている。


以前聞いた時、二人はマルコ同様、ベルトルト・フーバーの絵を描いた時の感覚はあまり覚えていないと言っていた。

ライナーとアニ、二人が出会ったことが一瞬だけあの男の記憶を呼び起こすきっかけになったのだろう。


けれど、そんな何も知らないはずの二人は今、大切な何かを思い出したような顔であの子を見つめていた。


ユミル「そんな所にいないで、こっち来てライナーとアニにきちんと自分で自己紹介しな」

ベルトルト「……」



ベルトルトはおずおずとベッドの方へ歩み寄って来た。



ベルトルト「…………ベルトルト」



相変わらず消極的な小声だったが、それを聞いたライナーとアニの顔は次第にほころんでいった。


ライナー「ベルトルト……そうかベルトルトか。はじめまして、ベルトルト」

アニ「もっとこっちへ寄って、近くで顔を見せて」


ベルトルト「……っ、うん」



さらに近付いていったベルトルトを、二人は抱きしめるようにしてそのまま目を閉じた。


マルコたちから見れば異様な光景に映ったことだろう。

抱擁など、初めて会った相手にとる行動ではないのだから。


ライナー「……不思議だな。いつかどこかで会ったことがあるような気がする。そんなわけないのにな」

ベルトルト「えっ……」


アニ「……うん。それに、ずっと会いたかった気もするね。なんだか変な気分だよ」

ベルトルト「……」


ライナー「何というか、……やっと会えた」

ベルトルト「──っ!」


ベルトルト「……ライナー、アニ……っ」


ベルトルト「会いたかった……ずっと、ずっと……謝りたかった、ごめんなさい……ごめんなさい!」



ベルトルトは、ぽろぽろと流れ落ちる涙を両手で拭いながら頭を下げた。



ユミル(私が何を言っても、実際こいつらに会うまではずっと罪悪感をを引きずっていたんだな……)


アニ「どうして謝るの?あんたは何も悪いことなんかしていないよ?」

ライナー「そうだぞ。ほら泣き止め」

ベルトルト「……う、うん……っ」



マルコ「ベルトルト、どうした?」

ジャン「ライナーに何かされたのか?」

ライナー「おいなんで俺なんだよ」


ユミル「……」


ユミル(……もういいんだよ。お前が、あの男の罪の意識を背負い続ける必要なんかないって、わかっただろう?)

ユミル(お前とあの男は違う。それに……)


エレン「ベルトルト、どっかいたいのか?」

ミカサ「何かかなしいことがあったの?」


ベルトルト「……っ、ううん、なんでもないよ」


ユミル(お前の周りにはもう、お前の存在を認めてくれる大切な友達が、こんなにたくさんいるだろう?)

ユミル(だから、お前は大丈夫だよ……)




ユミル「……」









ユミル「……」





友に囲まれ、アニとライナーの間に腰掛けてアルミンとヒストリアを抱くベルトルトの笑顔を見ているうちに、強烈な睡魔が襲ってきた。


私の座っている椅子がバランスを保ちきれずに倒れ、皆が私の名を呼びながら駆け寄ってくる声が聞こえ、そして視界から全ての景色が消えた。






私は、とてもとても幸せな気分だった。








母さんへ



会いに行くにあたって、久し振りにお手紙を書きます。


母さんが遠くへ旅立ってから五年、早いものですね。


あまり会いに来てあげられなくてごめんなさい。

母さんを、かつて住んでいた壁際の湖のほとりに眠らせてあげたいというのは僕が希望したことです。

僕らの住む場所からは遠いけれど、きっと母さんは永遠にベルトルト・フーバーのそばにいることを望むと思ったから。


その後のことを書きます。

あの日、ライナーたちに会いに母さんと一緒に父さんの元を発ったのをきっかけに、僕は父さんに縁を切られていたようです。

マルコが孤児院の入所手続きをしてくれていましたが、ライナーとアニがそれを押し切って自分たちが引き取ると言ってくれました。

なので今はライナーとアニの子供として、アルミンとヒストリアのお兄ちゃんとして暮らしています。

幸せなので安心して下さい。


母さんの埋葬のためマルコたちと一緒に壁際の湖へ行った時、母さんが生前暮らしていた小屋へ行きました。


遺されていた日記の内容と僕の描いた絵見て、マルコたち三人は母さんが二千年以上生きていたこと、僕らが生まれる前から縁があったということを信じ始めたようです(今更でしょうが)。

日記に綴られていた想像を絶する孤独感、大切なものを忘れてしまう恐怖感の生々しさに何度となく負けそうになりましたが、僕はこの前やっと全て読み終えることができました。


ベルトルト・フーバーのことはベルトルさんって呼んでいたんですね。

自分のことじゃないのはわかっているつもりだったけど、どこか気恥ずかしかったです。


あとは、アルミンとヒストリアが3歳になった頃、ミカサとエレンに妹が生まれました。

その子は、マルコが「かつての友の名を」と母さんと同じユミルという名前が付けられました。

僕はその子が母さんなんじゃないかと思ったりします。
確証はどこにもありませんが。


ミカサもエレンもよく面倒を看ているけれど、最近はヒストリアがよく一緒にいるのを見かけます(アルミンがミカサとエレンにべったりなせいなのか)。

はたから見ていても、ヒストリアとユミルはとても仲がいいです。


それとベルトルト・フーバーの記憶の夢ですが、今ではすっかり見なくなりました。

今思うと、子供の頃見ていた夢がなぜ昔本当にあった出来事(それも誰かの記憶)だと思ったのか、自分でもわからなくなってしまいました。


けれど、五年前あらためてあの湖へ行ったことで確信できたことがひとつあります。

ベルトルト・フーバーは、母さんがマルコと共にあの地を離れたその日に事切れたのだということです。

これも何の確証もない話ですが、何故かそうだとわかったのです。


今母さんは彼と本当に再会して幸せにしているのでしょうか。

それとも、僕がここに生きているせいでそちらに彼は存在しないのでしょうか。

はたまた、生まれてきたユミルが本当は母さんで、こちらで僕とまた再会できているのでしょうか。

もう確かめることはできませんが。
ユミルが大きくなったら聞いてみようかな。


まだ書きたいことはたくさんありましたが、アニにもう寝なさいと言われてしまったのでこのへんで。


またお手紙書きます。






ベルトルト





アルミン「ベルトルト」

ベルトルト「!」


アルミン「おきてる?手をあわせて目をとじてうごかないから、ねているのかとおもったよ」

ベルトルト「起きているよ、どうしたの?」

ヒストリア「もういくって。かえりの列車がでちゃうから」


ベルトルト「……うん、わかったよ。行こうか。ほら手繋いで」

ヒストリア「うん」

アルミン「はーい」


ヒストリア「あれ?お手紙おいてかえるの?」

ベルトルト「ああ。……あれは、ここで眠っている僕の大切な人に書いたものだから」


ヒストリア「へえ。ベルトルトのたいせつな人ってどんな人?」


ベルトルト「うーん、言ってみれば……」


ベルトルト「ユミルみたいな人かな」

アルミン「? ユミルはまだ赤ちゃんだから、どんな人かわからないよ」


ヒストリア「そうかな、私はなんとなくわかる気がする」

ベルトルト「確かに、いつも一緒にいるヒストリアならわかるかもね」


アルミン「ええー?二人だけわかるなんてずるいよ!僕にもおしえて!」

ベルトルト「ええー、そうだなあ……」








ベルトルト(……また、会いに来るよ)

おわり

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年08月25日 (月) 20:17:00   ID: t1aMdVHM

乙 良かった てか…うん…なんとも言えない気持ちになった 同郷組もそれぞれ凄く責任を感じてたんだもんな…こんな良い雰囲気に水を差すようで悪いが ベルユミ 美味しくいただいた ご馳走さま

2 :  SS好きの774さん   2014年09月19日 (金) 20:53:20   ID: Ol6wL57x

なんかすげえよかった
同じ名前何回もでてきてややこしかったけど(*_*)
乙です!

3 :  SS好きの774さん   2015年05月03日 (日) 16:03:13   ID: D5I_e3wz

乙!!おもしろい途中ややこしかったけど…

4 :  SS好きの774さん   2015年11月13日 (金) 20:33:07   ID: HhxqaF0M

この話すごく好きです。
泣けた。

5 :  SS好きの774さん   2017年08月23日 (水) 22:16:14   ID: gjre-5r1

趣味悪いかもしれないけど
僕は恋人の1人が先立つ話が好きだ

それで来世とか未来とかがあるなら
もっと好きだ

生まれてきたユミルは
ベルトルトの事を無意識に
ベルトルさんって呼んだりして

長い文章すみません
とても面白かったです

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