にこ「どうして……どうしてなのよ!」 穂乃果「穂乃果にはわからないよ……」 (67)

ラブライブSS

にこっと

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にこ「ねぇ、希」

希「んーなんやにこっちー」

にこ「穂乃果とにこの違いって何だと思う?」

希「そやなー素直さ?」

にこ「あんたにいっちばん言われたくないんだけど……」

希「んでにこっち」

にこ「何よ」

希「急にどうしたん?」

にこ「……なんでもないわよ」フンッ

にこ「ねぇ、絵里」

絵里「どうしたの?」

にこ「なんであんたはスクールアイドルになろうと思ったの?」

絵里「捨てたはずの情熱を……穂乃果に再燃させられたから……かな」

にこ「そっか……」

絵里「恥ずかしいじゃない。どうしたの?」

にこ「ううん、なんでもないわよ」

絵里「変なにこ」

にこ「興味本位よ、じゃあね」

にこ「なんでにこと穂乃果ってぜんぜん違うのかな……」

一人きりの屋上で、考え事をする。

最近は決まって穂乃果のことばかり考えている。


にこ「なんでにこには出来なくて、穂乃果には出来たんだろう」

言うなれば、ただの嫉妬だけれど。

ねぇ、穂乃果。なんであんたはμ’sを作れたの?

一年生の時、にこはとっても希望に燃えていた。

部員だっていたし、絶対にスクールアイドルで有名になるんだって思ってた。

A-RISEは凄かったし、尊敬もしていた。

一目惚れ……箱目惚れって言うのかな?

ああいうスクールアイドルになるんだって思ってたし、なれると信じてた。

初めてのライブだって、お客さん……居たからね。



穂乃果達よりはいいスタートだったはずなのに。

二年生になる頃には、にこは一人ぼっちだった。

にこ「そんなに……にこって魅力がないのかな」

二年生になってから、生徒会長の絢瀬絵里、副会長の東條希にも声をかけた。

希は柔らかく断ってるし、絵里なんて見向きもしなかった。

それがどうだ。穂乃果たちがメインストリームになってからは二人ともμ’sの一員だ。


気に食わないわけじゃない。二人が入ってくれたことは嬉しい。

でも、じゃあなんでにこが誘った時に入ってくれなかったの?

廃校の危機じゃなかったから?

そうやって誤魔化すことも出来るけど、それじゃあにこが前に進めない。

大体……穂乃果達はにこのライブを見てないのよね……

でもA-RISEに心を打たれて、穂乃果は廃校の危機を救うために……

スクールアイドルになったのよね。

……にこじゃ力不足だったのかな。

海未の弓道を見に行っていたから、にこのライブを見ていないって言い聞かせることは出来るけど……


にこ「悲しくなるわね、情けない……」ハァ

穂乃果「何が情けないの?」ヒョコッ

にこ「」ドンガラッガッシャーン

穂乃果「に、にこちゃん大丈夫!?」

にこ「え、えぇ……」

にこ(会いたくないタイミングだわ……)

にこ(でも、せっかくだし……聞いてみようかな)

にこ「ねぇ、穂乃果一年前の話だけど……さ」

にこ「部活紹介の時はやっぱり弓道部を見に行ってたの?」

穂乃果「あー……あの日は確か……お店の手伝いだったかなぁ」

穂乃果「ことりちゃんは海未ちゃんを見に行ってて……」

穂乃果「緊張してた海未ちゃん可愛いって教えてくれた!」

にこ「海未は……そんなに人に囲まれるのが好きなタイプじゃないからね」

にこ(予想より斜め下だったけど、やっぱり見てなかったのね)

穂乃果「じゃあ穂乃果も質問!」

にこ「はいはい、どうぞ」

穂乃果「うー! にこちゃん冷たいよぉ!」

にこ「あんたの熱に煽られるとなんだかねぇ」

穂乃果「改めて行くよっ!」

穂乃果「にこちゃんは今年の部活紹介……どうして何もしなかったの?」

にこ「」

穂乃果「にこちゃん?」

にこ(そう……なのよね。私今年してないのよね)

にこ「それは……」

穂乃果「それは?」ズイッ

にこ「教えないっ!」ダダッ

穂乃果「あ、にこちゃーん!」


にこ(言えるわけ……ないじゃないっ!)

スレを立てるのは久しぶりですね。それではお疲れ様でした。今日はここまでです。

おやすみなさい。

言えるわけがなかった。

活動を……辞めたわけじゃない。

夢を捨てたわけじゃない。

けど、もう一人じゃどうにもならなかった。

どんどん限界に近づく私の趣味は歪んでいた。

辞めていく他校のスクールアイドルを見て、私は笑った。

だってそうじゃない。

こんな境遇は自分だけじゃないって思えたんだから。

こんな行為は最低だって思いながら、

PCに向かい他校のチェックは欠かさなかった。

その産物でグッズはどんどん集まって行ったのだけれど。


あの時は気づかなかったけれど、密かに部費って二年生の時にも減らされていなかったのね。

出来た時には五人居て……でも一人になっても減らないなんてよくよく考えたら変な話よね。


あぁ、あいつか。こっそり支えてくれてるのね。

……理想と現実が違うことをつくづく思い知らされた。

きっと、何かがきっかけでブレイクするんだっておぼろげながら思ってた。

そんな夢があったのに、グループが壊れるなんて思ってもみなかった。


A-RISEと肩を並べたいって、スクールアイドルやってたら誰でも思う夢じゃないのかな。

そのために、私は作詞や作曲も勉強して、衣装も作って、振付けもマスターして、皆を幸せにしたかった。

拙くても、一人で頑張ってた。

やる気のある私が一番努力して、引っ張っていくなんてあたりまえのことでしょう?

あたりまえ、って自分の中だけだったんだって。

初ライブの頃には五人から三人に。

でも、初ライブよ? お客さんも少なかったけど見に来てくれたし最高のパフォーマンスをしなくっちゃね!


駈け出した最初のステージはとても輝いていて、

パラパラとだけど拍手が温かったのを覚えてる。


二人も私と同じ気持ちなんだって、思ってた。

……次の日二人は居なくなった。

恥ずかしかったんだってさ。あはは。

ダメ元でも、仲間を増やそうとしたけど、仲間なんて増えなかった。


だから、私は一人でも頑張ろうって決めたんだ。

目標のA-RISE遥か遠くに。

二年生のライブの時は、お客さんが減っていて……

でも、見に来てくれた人には精一杯の感謝を。


後ろを見ても、支えてくれる人なんて居やしない。

一人って結構辛いのね。この時には慣れてたけど。


この日から、私は活動を停止した。

心がぽっきり折れちゃった。

私なんかじゃ、人を幸せにすることが出来ないなんて、諦めちゃったんだ。

だから、部活紹介の時……穂乃果たちのダンスを見た時は驚いた。

ほんっとにキレがあるとは言いがたく、

上手いなんてお世辞すら言えない踊りだった。


ただ、そこには忘れていた……いやあの日においてきた、情熱がそこにはあったんだ。

不覚ながらも私は、心を動かされちゃったんだ。穂乃果たちに。


にこ「情けないわねぇ……」

夢を捨てないって思いながら、

遠ざけていたのは自分なんだから。

穂乃果「に、にこちゃん!」

にこ「あーもう逃げないから安心して」

穂乃果「じゃあ教えてもらうよ……!」


にこ「質問を質問で返すけど……」

聞かずにはいられない。

にこ「にこのこと、どう思ってる?」

私が本当にここに居ていいかの確認。

部室が欲しかったから、なんて言われたら泣いちゃいそうだけど。

穂乃果「一年生みたい!」

穂乃果「ちっちゃい!」

穂乃果「うーん! うーん……リトル!?」

にこ「ラブにこビンタ!」バシーン

穂乃果「いったぁ!?」

にこ「真面目に答えなさい!」

穂乃果「アイドルのお手本かなぁ」

にこ「……穂乃果にはそう見えてるの?」

穂乃果「うん、にこちゃんってアイドルのことなら誰よりも詳しいから!」

穂乃果「心構えとかすっごく参考になるなって!」

良かった。まずは一安心。認められるって嬉しいのね。

でもそのことを踏まえて。

にこ「ねぇ、穂乃果。μ’sをどうして作れたの?」

穂乃果「海未ちゃんやことりちゃんも一緒だったからかなぁ」


にこ「なんで……海未とことりは穂乃果と一緒にずっと居たの?」

私と一緒にライブをやった二人は離れていったのに。


穂乃果「そ、それは海未ちゃんとことりちゃんに聞かないと……」

納得が全然できない。知りたくて仕方ない。

にこ「どうして……どうしてなのよ!」

穂乃果「にこちゃん……?」


にこ「あの時は! 情熱だけなら穂乃果には負けてない! なのにどうして出来なかったのよ……!」

にこ「穂乃果にはどうして出来たのよ……」

感情が抑えきれない。理不尽すぎる怒りのぶつけ方だ。そんなことはわかってるけど聞きたいの。


穂乃果「穂乃果にはわからないよ……」



穂乃果「…………あ」

にこ「思い当たる節があるの……?」

穂乃果「……うん、とっても恥ずかしいけどあったよ」

今日はここまでです。お疲れ様でした。

にこ「恥ずかしいって何よ……」

穂乃果がすっごい言いにくそうにしている。

穂乃果「えぇ~言わないとだめ……?」

にこ「当たり前でしょ!」

もったいぶらないで早く教えなさい!

穂乃果「それはー穂乃果が……」

穂乃果「何も出来ないからじゃないかな……?」

にこ「……はぁ?」

え、なに、それ。

にこ「意味分かんない!」

穂乃果「おぉー真姫ちゃんみたい!」

にこ「いや、そうじゃないっての」

……この子が何も出来ない。μ’sを作ったのは貴女でしょうに。

穂乃果「穂乃果はやる気になっただけで……」

穂乃果「作詞は海未ちゃん。衣装はことりちゃん。作曲は真姫ちゃんだったし……」エヘヘ

言われてみるとたしかにそうだ。希もそんなようなことを言っていたような気がする。

にこ「でも、原動力なのは間違いないでしょう?」

じゃあなんで、穂乃果にはこんなに味方が多いの?

穂乃果「あはは、穂乃果は危なっかしいってよく言われるから……」

じゃあなにか、にこがもっと出来ない子だったらよかったっていうの?

穂乃果「にこちゃんは何でも出来るから羨ましいよ!」

にこ「ふ、ふん! にこは宇宙ナンバー・ワンアイドルなんだから当たり前でしょ!」

穂乃果は嘘をついてない。あまつさえ、羨ましい……ですって。笑っちゃうわ。

穂乃果のことを誰よりも羨望の眼差しで見ていて、誰よりも嫉妬している私に向かって羨ましい……と。

やんなっちゃう。ほんっと……

にこ「あんたの方こそすごいわよ」ボソ

穂乃果「え?」

にこ「間違いなくあんたは凄いわよ」

穂乃果「あはは、褒め過ぎだよにこちゃん」ニコニコ

……私の側にだって絵里と希もいたんだ。

でも引き込むことが出来なかった。廃校の背景がなかったとしても、穂乃果なら引き込めそうな気がする。

理屈じゃわからないけどそんな気がする。


逆に、穂乃果のポジションに私が居ても二人は……それどころか真姫ちゃんも怪しいかもしれないわね。

決定的な差って、どこにあるの?

人間性の違いで……魅力で私は圧倒的に穂乃果に及ばないっていうの?

そんなこと……

にこ「認め……られない……!」

穂乃果「絵里ちゃんの真似?」

にこ「違うわよ! もっと真剣にっ……!」

穂乃果「あわわ、にこちゃん! 落ち着いて!」

にこ「……ごめん、どうしても知りたくなったのよ」

……穂乃果に罪はないわよね。私が勝手に嫉妬しているだけだから。

理由は何だろう、色々出てくる。

廃校というバックグラウンド。これで引き込みやすくなったのは確かね。

幼馴染の存在。強力な参謀とでも言っておこうかしら。海未やことりはμ’sでも欠かせない。

一言で表すなら……運? 希の言うようにこうなる運命だったの?

それこそ認めちゃいけないわ。

穂乃果「……むー……えいっ!」

にこ「!? いだだだだっ!」

穂乃果「ていっ! えいっ!」グイッ

にこ「ツインテール引っ張るな! バカ穂乃果!」ジタバタ

穂乃果「だって、にこちゃんずっと怖い顔してるんだもん」

にこ「あー悪かったわよ……でも引っ張るのはやめなさい……ほんとに」

ちぎれるかと思ったわ。あたまいったぁ……

穂乃果「にこちゃんだって穂乃果と同じくらい馬鹿なんだから考えたらだめだよ!」

にこ「はぁ!? にこの方があんたより数十倍頭がいいわよ!」

穂乃果「穂乃果テストで五十点以上取れるもん!」

にこ「くっ、やるわね……」

穂乃果と話してると、悩んでたことが吹っ飛びそう。悩んでたのが馬鹿みたい。

……単純って案外強みなのかもね。



あぁ、そっか。純粋だから……なのかな。

私より遥かに単純で、私より突き抜けて純粋で。私よりちょっと馬鹿なところが穂乃果の魅力なのね。

穂乃果「やっぱりにこちゃんは笑顔のほうが素敵だよ!」

にこ「あー……ありがと」

こう、ストレートに褒めるのはやめて欲しいっての。恥ずかしい。

穂乃果「にこちゃんの笑顔は皆を笑顔にしてくれてるよ」ニコッ

にこ「……うっさい!」ペシッ

穂乃果「なんでっ!?」

本気でそう思ってくれてると思うと、嬉しくって仕方ないのよ。



最後の質問。答えは聞かなくてもわかってるんだけどね。

にこ「穂乃果、スクールアイドルは……」

穂乃果「大好きだよ! ずっと皆で続けていきたい!」

言い終わる前に即答だった。ま、当然よね。

にこ「にこも大好きよ。やりたいからスクールアイドルやってるんだからね!」

これだけは負けないように強い視線を穂乃果に向ける。

穂乃果も察したのか……どうかはわからないけど、視線を受け止めてくれている。

一人で進めないと思って立ち止まるよりも、九人で気づいたら進んでいることが多いなって最近思うわ。

ちょっとセンチメンタルになっちゃってたのかな。

そんな時は魔法の言葉で吹き飛ばそう。

にこ「景気付けに、やるわよ! 穂乃果!」

穂乃果「うん! 穂乃果は準備オッケーだよ!」

にこ「せーのっ!」


ほのにこ「「にっこにっこにー!!」」


FIN

お疲れ様でした。今回はさっくりと。

見て下さった方々有難うございます。それでは。

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