QB「僕と契約して、魔法少女になってよ」(23)

・・・夢を見た

兎のように白い体、赤い目をした人語を話す動物に契約しよう、と話を持ち掛けられる夢

『魔法少女』

そんな事を言っていたような気がする

『何でも願いが叶う』

そんな事も言っていた、かな

まどろみの中、ぼんやりした頭が徐々に現実に戻って来る

「これで何度目だろう」

白い動物を頭の片隅に置く。今日は退院の日だ

担当看護師に見送られ病院を出る

両親はいない

周囲には海外で働いていると言ってるが、それは嘘

あの嵐の夜に何が起きたのか、何をしていたのか、覚えてない

今も

見滝原中学

先生「さぁ、自己紹介して」

先生に促され自己紹介をする

ホワイトボードに名前を書き、名乗る

「暁美 焔、です」

席は女子の隣になった。軽く挨拶すると元気な声が帰ってきた

「わたし、まどか!宜しくね!」

休み時間、保健係のまどかに保健室を案内して貰う

道中、何かを思い出しそうになる

『…』

何だろう…?

『わたしを』

…頭が痛む、けど何かとても大切な事な気がする

『…馬鹿な私を助けてあげて』

…気が付くと、保健室のベッドに寝ていた。傍にはまどかがいた。どうやら気絶したらしい

何かを思い出しそうになったが、結局何だったのか分からなかった

でも、保健室から退出するまどかに
「前に逢った事無い?」と聞いていた

答えは、チャイムが遮った

学校の帰り、まどかとクラスメイトのさやかにcdショップで逢う

まどか「あれっ?奇遇だね」

咄嗟に保健室での事を詫びる

「変な事を言って、ごめんなさい」

変な夢を見た、混乱してた、そう話そうとした

途端、頭に声が響いた

『助けて』

『僕を、助けて』

まどかとさやかにも聞こえたらしい

声に導かれるがままcdショップの非常口から薄暗い通路を進み、駐車場のような広い場所に出た

その先に、夢で見た白い動物を見付ける

まどか「酷い…傷だらけじゃない」

さやか「何これ?ぬいぐるみ、じゃないよね」

…何だろう?触れてはいけない、そんな気がする

ぬいぐるみのようなそれはキュゥべぇ(qb)と名乗った

qb「君も、僕の声が聞こえたのかい?」

こちらを向いてqbは疑問満載にたずねてくる

qb「僕の声が聞こえたと言う事は、君にも素質があるのかもしれないね」

深夜、自室で星を眺めていたら赤い星が目に止まった

いや、赤い目のqbだった

qbはどこから入ったのか勉強机の上に移動していた

qb「君は一体、何者なんだい?」

唐突にたずねられる

何者、と言われても

qb「僕のテレパシーは女の子にしか聞こえない筈なのに」

????
可笑しな言葉を耳にした。まるでqbの目の前にいるのは女の子ではないと言っているように聞こえる

qb「まさか、君は自身が女の子だと思っているのかい?」

いくら何でも酷い言い様だ。それじゃまるで男の子だと…

qb「君は男じゃないか」

おとこ?そんな筈は無い、だって…

qb「…なら、君は自分を何と呼んでる?」

自分?…あれ?『わたし』の筈…

qb「『僕』だろ」

…でも一人称が僕の女の子だっている筈

qb「いいや、この世界線に自分の事を僕と呼ぶ女の子はいないよ。ましてや女子制服を着た角刈りの男を女の子なんて呼ぶ常識を僕は知らない」

qb「自分の姿を鏡で見たこと無い人はいない、そう思っていたけれど…まさか、天然記念物モノの愚か者が目の前に現れるなんてね」

…目の前が真っ暗になった

雀の鳴き声で目を覚ます

ベッドに寝ていたのはqbがやった事なのか?

昨夜は気絶して床の上だった筈だ

『君は男じゃないか』

『女子制服を着た角刈りの男』

わたし…いや、僕は男だったのか?

洗面所に行く

鏡を見るのが怖い

…恐る恐る鏡を見ると、そこには

長い黒髪の女の子の顔が映った

ホッ…と胸を撫で下ろす

あれは悪夢だった、そうに違いない

『この世界線に自分を僕と呼ぶ女の子はいない』

あれも、夢?

今日は通院の日、気絶が多いのはいつもの事だけど最近は度を越して多い。気になったのでその辺も検査して貰う事にした

前の担当看護師は隣町の病院に移ったらしい

いつもの診察の合間、新しい担当看護師に自分を『僕』と呼ぶ女の子は変かとたずねてみた

しかし、そんな事はないと言ってくれてホッとした

病院からの帰りにqbを見掛けた

qbは僕に気付くと近寄ってきた

qb「やぁ!今日はご機嫌じゃないか、何かいい事があったのかい?」

悪夢は見たが吹っ切れたと伝え、昨夜の事をたずねてみた。すると

qb「昨夜はまどかの所に居たから君が見たのは夢じゃないかな」

やっぱり夢だったんだ。ホッとするとqbは続けた

qb「でも君から不思議な感じがする。この町の女の子は誰も自分を『僕』とは呼ばないからそのせいかも知れないけど、少なくても君が女の子だと断言できる自信が無い」

どうすれば女の子だと証明できるの?

qb「僕と契約して魔法少女になれれば証明できるんじゃないかな」

?「やめなさい!」

ひとりの少女が念話に話って入ってきた

?「自分の性別を証明させるだけの為に命を投げ出すのはやめなさい!」

空から女の子が舞い降りた

女の子は長い黒髪を三つ編みでまとめ、フリルが付いた薄紫色の服に赤いふちの眼鏡をしていた

qb「誰だい君は?どうやら魔法少女みたいだけど…僕は君を知らない」

?「わたしは知っているわ、qb…いえ、インキュベーター!」

イン、キュベーター?

qb「くっ!何だか分からないけど逃げた方が良さそうだ。じゃあね、ほむら」

qbは影の中に消えていった

?「…ふん、わたしの事を知らないとか言いながら、わたしの名前は知ってるじゃない」

目の前の女の子はそう呟いたが

「君も『ほむら』って言うの?」

「奇遇だね、僕も『ほむら』って名前なんだ」

そう言い終わると女の子はとても驚いていた

?「えっ!?あなたも『ほむら』なの?」

お互いに自己紹介をした。すると更に驚いた

「暁美ほむら…苗字まで同じなんて」

ほむら「えぇ、わたしも驚いてるわ…何て事かしら」

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