リヴァイ「あの長い髪に触れた時から」(194)

*ミカサ「この長い髪を切る頃には」&エレン「この長い髪を切る頃には」シリーズのリヴァイ先生とハンジ先生の初夜編です。

*エロがっつり書いていますのでお子様は閲覧禁止。18禁です。

*リヴァイ先生の視点で話を書いています。格好いいリヴァイが好きな方は閲覧しないでね。

*リヴァイ先生の変態度数マジぱねえから、閲覧後の苦情も受け付けません。

*ドン引き覚悟は宜しいか? 正直、キモいと思う部分有ります。すんません。先に謝ります。




*それでも良ければ、2人のラブラブ初夜をご覧下さい。





ハンジ「んーとりあえず終わったああああ!」

10月25日。土曜日。職員室に戻ると丁度、あいつはそう叫んで、背伸びをした。

中間テストの成績表をすべてつけ終えたらしい。

中間テストは16日、17日に終わっているが、教職員はテストが終わってからの方が本番だ。

生徒の解答に点数をつけて、それを成績表として残さないといけない。

ハンジが受け持っている生物のクラスは1年と、2年全部だ。

3年にあがると、生物は選択科目になるので、一部の生徒しか授業を受けない。

3年の分の生物の授業はまた別の先生が受け持っているが、要はハンジが生物の先生の中での中心的な存在だ。

20クラス分もの生徒の成績つけて、それをデータ化して記録に残す。

正直、あと1人くらい生物の先生を増やして欲しいと思うんだが、あいつは実質、2人分の教職員の仕事を一人でこなしているようなもんだ。

それでもあいつが、仕事に関して期日を破ったことは一度もない。

どんなにギリギリでも、きちっと終わらせて期限内に全てを終わらせる。

リヴァイ「中間テスト、成績表つけ終わったのか?」

ハンジ「ん? 成績表? それはもうとっくの昔に終わっているよ?」

リヴァイ「何?」

終わっていたのか。じゃあ今のは、何が終わったんだ?

ハンジ「今、終わったのは、次の期末テストの問題のプロトタイプだよ。一応、他の先生にも見せてみて、難易度のチェックして貰わないと、毎回、難し過ぎるって怒られるからさ。期末は3パターンくらいまでは案を考えるんだよね」

頑張り過ぎだろ。それは。

リヴァイ「もう期末テストの準備に入っているのか」

ハンジ「早め早めに行動起こさないと、ねー。でもこれ、まだプロトタイプだからね。ええっと、漫画で言うところの「ネーム」みたいなもんかな? 下書きだよ。うん」

リヴァイ「仕事に関しては本当にいつも熱心だな、ハンジは」

ハンジ「いや、それだけじゃないんだけどねー。今回は。ほら、結婚する予定も入ったから、プライベートも忙しくなるでしょ? しわ寄せ行かないように、前倒しで早めに行動起こさないといけないなーって思ってさ」

リヴァイ「そうか………」

そう考えていてくれているのはこっちとしても嬉しいが。

ハンジ「本格的な準備は12月に入ってからになるよ。それまでは授業と並行して様子見ながら問題を調整する感じかな」

リヴァイ「12月になると一気に忙しくなるな」

ハンジ「そうだね。今年は気合入れて12月を乗り切らないとね! (ふん)」

と、やる気を見せるハンジが可愛く思えた。

不思議だな。以前はそんな風には思わなかったのに。

ハンジ「リヴァイはもう自分の仕事終わったの?」

リヴァイ「ああ。こっちはもう、終わったな。体操部の方の片付けもしてきたし」

ハンジ「今、何時だっけー。ああ、もう夜の9時過ぎていたんだ。んじゃそろそろ、職員室も締めて帰ろうか」

リヴァイ「ああ。そうだな」

もう職員室に残っている教職員は俺とハンジだけだった。

俺の場合は部活動の顧問の関係で遅くまで残る事が多いが、ハンジもまた仕事で残る事が多い。

だからこうやって、一緒に帰る事も珍しくなくて、この日もいつもとように同じ時間帯に帰ろうとしていたんだが。

ふと、明日は体操部の部活動が休みである事に気づき、つい、ハンジを誘ってしまった。

リヴァイ「………この後、暇か?」

ハンジ「んー……何? 飲み? 奢ってくれるとか?」

リヴァイ「ああ。構わんぞ。車、置いてから俺が出してやろう」

ハンジ「あざっす!! ごちになりやす!!」

と、ゴチポーズを取るハンジに俺もつい、笑ってしまって、

リヴァイ「車置いたらすぐ、俺の車に飛び乗れ。家に帰らず、その恰好のまま行くぞ」

ハンジ「え? 白衣のまんまでいいの? あんた、スカート推しじゃなかったけ?」

リヴァイ「着替える時間が勿体ない。うずうずしている癖に」

ハンジ「んもー今日はやけに優しいね? やだ……何か企んでいるー?」

と、半眼になってこっちをつついてくるが、まあ、その、なんだ。

そういう気分の時だって、俺にだって、ある。

リヴァイ「いいから。さっさと出るぞ。ハンジ」

ハンジ「はいはーい♪」

上機嫌で職員室を出て、教職員用の駐車場まで移動する。

そして一度自宅マンションに帰り、ハンジは自分の車を置いてそのまま俺の車の助手席に飛び乗った。

その瞬間、俺の中でスイッチがカチッと鳴る感覚が、久々に来て、自分でも驚いた。

ハンジ「ん? どうしたの?」

異変に気付いたのか、ハンジが首を傾げてこっちを見る。

リヴァイ「いや、何でもない」

俺は慌てて視線を逸らした。今、心の中が揺れている。

リヴァイ「…………」

自分からこういう気分になるのは、慣れていない。

今まではこっちがその気にならないうちに、女の方から積極的に誘ってくる方が多かったからな。

だから、ハンジがきょとんとしている様を見ると罪悪感に似た感情が出てきてしまう。

ハンジ「何か忘れ物? 取りに行くなら待ってるよ」

リヴァイ「あ、ああ……そうだ。忘れ物をした」

と、いう事にして、一度車を出た。そして自宅に帰ってから、ある物を取りに行く。

それは、自分の寝間着と下着、そしてフィーリングカップルの時にピクシス先生から貰った景品だ。

スイートルームのホテル宿泊券、1泊分のチケットのそれを着替えと、その他諸々の必要な道具などを共に鞄に急いで詰め込んで、ハンジの部屋にも寄った。

ハンジの分の着替えも勝手に詰め込んで、俺は車に戻った。

このチャンスを逃したら次はまた一月後になるだろう。それは少々、辛いなと思った。

ハンジ「ねーどこに飲みに行くー? いつもの居酒屋にするー?」

リヴァイ「んー」

ハンジ「あ、適当に新規の店に突っ込んでもいいよー? リヴァイに任せちゃおうかなー」

リヴァイ「俺に任せてくれるのか」

ハンジ「そりゃ奢って貰うなら当然でしょー? お願いしまーす!」

分かった。だったらもう、遠慮はしない。

リヴァイ「……決めた。あそこにする」

俺は口元を少しだけ釣り上げて、ハンジを騙す事に決めた。







そして車を飛ばして数分後。俺はそのホテルの駐車場に車をとめて、ホテルにチェックインした。

ハンジ「んー? 今日はバーで飲み? 何か高そうなところに来たね」

リヴァイ「………」

俺はあえて答えなかった。あいつが驚く瞬間を待ち構えていたからだ。

ホテルの人の案内を受けて部屋までの道を歩いても、まだあいつは気づかない。

ハンジ「へーこんな高そうなホテルの一室に、バーなんてあったんだね。凄いねえ」

まだ、バーに連れて行かれると思ってやがる。ククク……。

そして部屋のドアを開けて中に入ると、ハンジの奴が、固まった。

ハンジ「え………?」

中はそれはもう、豪華な部屋だった。自分のマンションより大きい部屋だ。

煌びやかな、それでいて上品な家具と色合い。窓の外を見れば、綺麗な夜景。

スイートルームに泊まるのは俺も初めての経験だが、悪くねえな。

ハンジ「え? え? バーじゃない……?」

リヴァイ「ああ。スイートルームだな」

ハンジ「えええええ?! 聞いてないよ?! 飲みに来たんじゃなかったの?!」

リヴァイ「ん? 飲みに来たに決まっているだろ。スイートルームでな」

ハンジ「ええええええ?!」

ハンジがぶったまげた。毎回、リアクションが面白いな。こいつは。

ハンジ「いや、待ってよ!! だったらせめて着替えさせてよ! 白衣のまんま来ちゃったよ?! 場違い過ぎるよね?!」

リヴァイ「別にいいだろ。気にするな」

ハンジ「通りでさっきの人、なんか変な顔していると思った!! うわああん! リヴァイの意地悪ー!!」

と、今更ぐじぐじ言い出すハンジに俺もつい、苛めたくなってしまって、

リヴァイ「バーに連れていくなんて一言も言ってねえだろ?」

ハンジ「そうだけど! なんか雰囲気でそう思ったの! こういうホテルの最上階とか、あるじゃん! 高いバーとか!」

リヴァイ「ああ。あるな。そっちに行って来て飲んでも別に構わんが、折角のスイートだ。部屋に持って来て貰った方がいいだろ? 好きなもん、飲んでいいぞ」

と、メニュー表を渡してやると少し機嫌が良くなったようだ。

ソファに座って「おおおお」と目を凝らして吟味している。

ハンジ「桁が違うね。いいんだ。こんなの飲んじゃって」

リヴァイ「ああ。金なら出してやる。ここのホテルの部屋代は、ピクシス先生から貰ったフィーリングカップルの景品だ。諸経費は俺が持つが、宿泊費は浮くから気にしないでいいぞ」

ハンジ「うわああん! ピクシス先生、粋な計らい過ぎるよー!」

と、足をバタバタさせて照れるハンジだった。

ハンジ「ううーん、どれにしようかなーシャンパン、ワイン、あ、ビールもあるのか。焼酎もあるし、日本酒も……」

と、ハンジがキョロキョロしている横に座って俺も一緒にメニューを見る。

ハンジ「な、なに……?」

リヴァイ「いや、俺も少しは飲もうかと」

ハンジ「あ、そっか。今日はここに泊まるからリヴァイも飲んでもいいのか」

リヴァイ「そうなるな。まあ、どっちでもいいんだけどな」

ハンジ「あの、リヴァイ? 近くない?」

おっと、顔を近づけ過ぎたようだ。

リヴァイ「ああ、悪い。近すぎたか(スッ)」

ハンジ「いや、いいんだけどね。何か、匂いチェック入ったのかと思って」

リヴァイ「…………風呂から先に入るか?」

ハンジ「えええええ?! 風呂が先なの?!」

リヴァイ「何だその不満そうな顔は。ダメなのか?」

ずいっと、顔を近づけてやると、手で塞がれてしまった。

ハンジ「だ、ダメじゃないけど……その……」

リヴァイ「はっきり言え」

ハンジ「………洗う気、満々でしょ?」

リヴァイ「当然だな。何日、風呂に入ってないと思っている」

中間テストの準備期間と採点期間、俺はハンジに一切手を出していない。

それはつまり、ハンジとも風呂に入っていないという意味だ。

いい感じに汗の匂いが溜まってきているからな。そろそろ頃合いだ。

ハンジ(真っ赤)

リヴァイ「何だ。赤くなって」

ハンジ「いや、今回は、その、全部、洗うんだよね?」

リヴァイ「嫌なら、やめてもいいが? いつも通りのコースでも構わんぞ」

ハンジ「嫌じゃないのよ。嫌じゃないけど……その……」

どんどん赤くなっていく。眼鏡を外してやりたくなった。

ハンジ「あ! 眼鏡勝手に取らないでよ!」

リヴァイ「うるさい。もっとよく見せろ」

ハンジ「ううう~(目線逸らす)」

リヴァイ「観念しろ。言っただろ? 一緒に風呂に入ってハンジの体を洗わせてくれると約束しただろ」

ハンジ「………………うん」

やっと小さく頷いた。本当は嫌じゃないんだろ? ハンジ。

こいつも俺と同じくらい素直じゃない時がある。まあ、それはそれで可愛いが。

メニュー表をテーブルの上に置いて俺はハンジをその場に立たせた。

そしてそのままひょいっと、まあ所謂お姫様抱っこにして抱え上げて風呂場まで移動した。

ハンジ「いやああああ! まさかのお姫様抱っこ?!」

リヴァイ「定番だろ? お前、やっぱり背丈の割には軽いよな。もう少し脂肪をつけさせた方がいいかもしれんが」

ハンジ「リヴァイの栄養バランス完璧食事のおかげで、本当、健康だからね!」

リヴァイ「少しカロリー増やしてもいいか。さて、風呂はどんな感じだ」

と、風呂場の前でハンジを下して、ドアを開けてみると……

ハンジ「ひろおおおおお?! 何コレ! 私の部屋より面積広くない?!」

リヴァイ「ああ。8帖より広いな。12帖くらいあるかもしれんな」

ざっと見た感じそれくらいありそうな風呂場だった。

丸いデザインの風呂釜に白い大理石と思われるタイル。天井も高い。

シャンプーもいいの使っているな。このメーカーの奴は俺も好きだ。値段がはるので、たまにしか使わないが。

ハンジ「な、なんか、マットまで用意してあるよ? これって風呂場でやっちゃっていいですよって言わんばかりだよね」

リヴァイ「ああ、分かるのか。その辺は」

ハンジ「一応、ラブホテルに行った事がない訳じゃないからね。うん。でも、其の時に見た物より、物がいい感じだね」

と、立てかけてあってマットに触れてみるハンジだった。

俺はマットを床に敷いた。その上に椅子を置いて、準備が整った事を見せてやる。

すると、それにドキッとしたのか、ハンジが目を逸らして風呂場から逃げようとした。

それを後ろから追いかけて、壁際に追い詰めた。アレだな。逆壁ドンってやつになるのか。これは。

背中から押して、ハンジの胸を壁に潰すような形で固定してやった。

ハンジ「り、リヴァイ……」

背丈の差があるから、俺の頭は丁度、ハンジの背中に顔がつくような形になるが。

まあ、それでも、ハンジを触るのには問題ない。

リヴァイ「何で逃げた。体がそう覚えちまったのか?」

ハンジに逃げられるのは毎回の事だが、今回だけは逃がしてやりたくなかった。

ハンジ「いや、その……ごめん。今日は本当は、そこまで覚悟、してなかったからさ」

リヴァイ「そうか。だったら、いつものように洗ってやってもいいぞ。触らなければ、出来る」

ハンジ「それって、触っちゃったら、男のスイッチ入っちゃうって事だよね」

リヴァイ「そうなるな。まあ、既にちょっと入りかけてはいるんだが」

今の段階ならまだ、ブレーキは効く。だから問題はハンジの方だった。

ハンジ「そ、そうなの……?」

リヴァイ「ああ。ハンジが助手席にぴょんと飛び乗った瞬間、ムラッとした」

ハンジ「早いよ! え? じゃあ、さっき、一度帰ったのって、お金とかクレジットカードを取りに戻った訳じゃなかったんだ」

リヴァイ「それなら鞄なんて持ってこない。着替えも用意して泊まる準備はしてきたが? 気づかなかったのか?」

ハンジ「うー……」

ハンジの事だ。本当は気づいていたに違いない。

ハンジ「ごめん。なんとなく、予感はしていたけど」

リヴァイ「ふん……素直じゃないな。だったら何でついてきた」

覚悟していないなんて、嘘だな。本当はハンジも望んでいる筈だ。

いや、そうじゃないとしても、ここでその気にさせてやる。

ハンジ「うー……その、あの……」

リヴァイ「ん?」

ハンジ「籍、入れてからするのかなーなんて、漠然と思っていたからさ。まさかリヴァイの方がこんなにやる気満々だとは思わなくて」

リヴァイ「ああ、まあ、普通はそうなんだろうけどな」

ハンジ「うん。あんた、性格がきっちりしている方じゃない。だから、形式になぞるのかなと勝手に思っていたから呑気に構えていました。ごめんなさい」

リヴァイ「別に謝る必要はない。そういう事なら、今日は本当にいつものやり方でも構わないが」

ハンジ「じゃあ、いつものコースでお願いします……」

リヴァイ「じゃあ、脱がすぞ」

ハンジ「はい………」

ハンジをこっちに振り向かせて白衣を脱がせてボタンを1個ずつ外してやる。

バンザイ。下着も脱がせて、ハンジはノーブラ派だから、後は下を脱がす。

慣れた手順でハンジを全裸にしてやると、何故かあいつ、手ブラしやがった。

リヴァイ「? 何やっているんだ?」

ハンジ「いや、ほら! あれ? 何か恥ずかしくなってきてね。急に」

リヴァイ「ふっ……」

ちょっと可笑しい。いつもと違って新鮮だ。

こういう可愛らしいハンジが見られるとは、前は思ってもみなかったな。

俺もスカーフを外して、上着を脱いで、シャツも脱いで上はタンクトップだけになる。

下もズボンは一応脱いで、トランクス1枚の姿になった。

リヴァイ「ん? 何だ? さっさと椅子に座れ」

ハンジ「あああ! そうだったね! ごめんごめん!」

こっちをじっと見ていたハンジが目を逸らしてやっと椅子に座った。

ちょこんと座ったハンジの背中が少し丸い。頭からいく。

前かがみにさせて、上からシャワーを使って濡らしていく。

髪を触ると、脂汚れのせいで少しぬるっとしたが、毎度の事だ。もう慣れた。

初めて触った時の衝撃は、今思い出してもぞっとするが…。

シャンプーを手に取って泡立てて一気に髪に馴染ませる。全体を解す様にマッサージを加えながら、耳に水を入れないように気をつけて洗ってやる。

一度全体を洗ってから、今度は部分洗いだ。耳の後ろの側頭部や、首筋にかけての項は特に汚れが溜まりやすい。加えて頭頂部も意外と汚れているので、そこは必ず重点的に指の腹を使って念入りにやってやる。

ただ、ハンジはあまり長い時間、この姿勢をするのが辛いらしいので、5分以内には終わらせる。

美容院のような、仰向けに寝て洗える機械があればそれを使うんだが。

風呂で髪を洗ってやる場合はこの方が1番いいだろうという事で形になった。

リヴァイ「ほらよ」

いっちょあがりだ。後はトリートメントやリンスだな。

肩までのびた髪を毛先まで馴染ませるように掬って、丁寧に仕上げる。この間2分。

残り3分。後はざっと体を洗ってやる。体の方は水洗いだけでも大分違うので、髪よりは念入りには行わない。

リヴァイ「あ……しまった」

ハンジ「え?」

リヴァイ「タオルがない。ボディーソープだけでやるなら3分以内でやるのは無理だな」

俺の体の洗い方はタオルに石鹸を泡立てて、一気にやるやり方だ。

だからこそ、3分くらいで済ませられるんだが、タオルがないならそれが出来ない。

リヴァイ「タオルを探してくる。脱衣所を探せばあるだろう」

ハンジ「え、面倒だからいいよ。というか、別に今日は10分コースじゃなくてもいいよ?」

リヴァイ「それは、手で直接やっていいと受け取るが?」

ハンジ「……………うん」

リヴァイ「え?」

ハンジ「だから、いいよ? うん。今日はいつもより、のんびりコースでも」

と、言ったハンジの顔が、その、なんだ。

目が泳いでいるのが分かったが、その、なんだ。

俺もつい、目を逸らした。

リヴァイ「いつものコースでと言い出したのはハンジだろうが」

ハンジ「んー……まあ、そうなんだけどさ」

リヴァイ「のんびりいくなら、本当にのんびり全部、洗うぞ。後で疲れたとか言うなよ」

ハンジ「うん………」

熱っぽい返事だった。俺も両目を一度閉じる。

ボディーソープを使って手で直接洗うやり方は久々だった。

ハンジを洗う時はこのやり方をした事は今まで1度もない。殆どの場合、女とヤる前にする行為からだ。

今までいろんな女とこういう行為をしてきたが、こんなに緊張するのは初めてだ。

心臓が高鳴るのが自分でも分かる。唾を飲み込んでから、俺は思い切ってボディーソープの液体を掌にのせた。

まずは背中から。肩甲骨のラインに沿って指を動かす。このラインは疲れが溜まりやすい。

肩の方にも指をなぞって、腋の下、二の腕、肘、手の先までゆっくり泡を伸ばしていく。

戻して、鎖骨の方にも指を滑らせる。耳の下から、胸の間に泡をのせて、脇腹の方に持っていく。

胸は触らない。今までもそうしてきた。だが………

いつもは太ももにいく手の動きを、今日は初めて、胸の方に戻した。

その瞬間、ハンジが小さく「ん……」と声を漏らしたのが分かったので、俺ももう、遠慮しなかった。

胸を掴む。決して痛がらないように注意しながら。

親指を、突起に掠らせる。その瞬間、ハンジがびくっと跳ねたのが分かった。

ハンジ「えっ……ちょっと、早くない?! もうそこなの?」

リヴァイ「ああ? 文句あるのか?」

ハンジ「だって、その……」

リヴァイ「全部だって、言っただろ。のんびり行くなら全部だ。もう抗議は受け付けん」

ハンジ「そ、それは分かっているけど……ああっ」

甘ったるい声が漏れた。なんだ。そういう声も出せるんじゃねえか。

ハンジ「なに、これ。こんなに感じるの、初めてなんだけど」

リヴァイ「は?」

ハンジ「今までの比じゃないよ。リヴァイ、あんた上手すぎるよ」

リヴァイ「いや、今のはちょっと掠っただけだぞ。テクニックを使った訳でもないのに何言って……」

ハンジ「いや、でも! おかしいよ! さっきから、さっきから、私、変なんだよ」

リヴァイ「…………濡れて来たのか?」

ハンジ「うん……髪、洗って貰っている時から、だんだんやばくなってきた」

リヴァイ「ほほう」

俺は思わず目を細めてしまった。

そいつは敏感な体だな。イッた経験がないとかいう割には感度良好じゃねえか。

リヴァイ「なるほど。だから気が変わったのか。いつものコースじゃなくて、延長したんだな」

ハンジ「その言い方やめてー! 恥ずかしいー!」

リヴァイ「ククク………素直じゃねえな、お前も」

と、ついつ苛めながら俺は胸の突起に親指を掠らせた。

指の腹と、第一関節の間くらいで、優しく擦るだけだ。そんなに大した刺激じゃない。

なのにハンジは「ああっ」とだんだん感じ始めてこっちも本気になってきた。

人差し指も参戦だ。2つの指の間に挟んで、ふわふわ摘まむ程度に乳首を念入りに責めてみる。

ハンジ「やっ……リヴァイ! ちょっと待って! 待って!」

リヴァイ「ん?」

待てと言われたので待ってみる。すると息を整えてハンジが「やっぱり怖い」と言い出した。

ハンジ「なんか怖いよー。今までと違い過ぎて怖いよー」

リヴァイ「待て。この程度で怖いとか、お前、今までどんな乱暴なセックスを受けてきたんだ」

この程度の事は基本だと思うんだが。よほどせっかちな馬鹿男としかやってきてねえんだろうか?

するとハンジは「うー」と唸りながら言った。

ハンジ「いや、その、そういうところ、触って貰ったりは、普通にあったよ? でも、なんていうか、力が強くて、気持ちいいよりまず先に「痛い」って気持ちの方が強くてね。リヴァイみたいにくすぐるような柔らかい刺激って、あんまり経験ないかも」

リヴァイ「アホか。そいつら。AVの見すぎじゃねえのか」

ハンジ「え? どういう事?」

リヴァイ「乱暴にすれば女が興奮するとでも思っているんだろうな。AVはあくまで男が楽しめるように作られた「商品」だからな。あの手のやり方を好むのは、3割程度のクイック型だけだ。大半の女は性急なセックスは苦手としている。それを知らないで、AVに合わせていたんだとしたら、そいつらは馬鹿だとしか言えねえ」

ハンジ「じゃあ、リヴァイは、そういうのが好きじゃないの?」

リヴァイ「AVはAVで観る事もあるけどな。でも俺は、別にそっちに世話にならなくても特に困らなかったからな」

ハンジ「OH……なんていうモテ男発言。若い頃、リア充死ねって言われなかった?」

リヴァイ「言われた事もあったな。エロ本も嫌いじゃないが、やっぱり1番いいのは生身の方だろ」

エロ本>本番なんて奴、いるのか? 普通は逆だろ?

本番>エロ本>AV……いや、俺の場合は、前戯=本番も加わるか。

とにかく肌に触るのが好きだった。洗ってやるのが好き過ぎて、エルヴィンに「病気だね」と言われた事もある。

エルヴィン曰く、俺には『一度気を許してしまうと、すぐ肌を触ってしまう』という癖があるらしい。

懐に入れてしまった人間に対しては甘くなる、という事らしいが、当たっているかもしれねえな。

まあ、今はその事はどうでもいいんだが、問題はハンジだ。

リヴァイ「全く……ハンジ、お前、セックスの途中で今みたいに、ちゃんと自分の気持ちを伝えた事、なかったのか?」

ハンジ「うっ……」

リヴァイ「言い出せなかったんだな。やれやれ……過去の馬鹿男達を今からでも殴りに行きてえ気分だな」

ハンジ「や、それは止めてよ。私も私で『んーエルヴィンより下手だけど、そんなものなのかな』って、納得しちゃったんだし」

カチーン。エルヴィンの事が急に出て来たせいで俺もちょっとイラッとした。

リヴァイ「20年前の事なのに、よく覚えてやがるな。おい」

ハンジ「えええ?! いや、その、怒らないでよ。あの頃、私も若かったんだし……」

リヴァイ「ああ。怒ってはいない。だが、その言い方だと、まるでエルヴィンが巧かったみたいな言い方だよな?」

ハンジ「え? そうなっちゃう?」

リヴァイ「ハンジの中のランキングはエルヴィンが1番だろ?」

ハンジ「まーそりゃ、過去の人達の中では、1番巧かったかなとは思いますけどね」

リヴァイ「ほほう。そいつはイイ事を聞いた。だったら、ランキングを塗り替えてやろうじゃないか」

ライバル心が出てきてしまった。ガキっぽい嫉妬だとは自分でも思うけどな。

エルヴィンにだけは負けられん。こっちだって、セックスの経験値はそれなりに積んでいる。

ハンジ「えええ?! ちょっと待って! そこまでやる気になる必要なんて……ひゃん!」

項をちょっとだけ舐めてやった。加えて胸の方の刺激も忘れない。

ハンジ「ちょっと……リヴァイ…あ……あん……ああああっ……!」

風呂の中だから声がよく響く。後ろから行く。もう離してやらん。

ハンジ「や、優しくしないで……あ……そんなに、丁寧に、あああっ……」

優しい刺激に慣れてない様子が可愛らしかった。もう、ハンジの方にもスイッチが完全に入っている。

最初はスローでやってやるつもりだったが、ハンジはクイックに慣らされ過ぎているようだから、あえて少しだけクイック寄りでやってやる。

ただし、やり方はスローの時のテクニックを使う。胸の突起やら、感じやすい場所には決して力を入れない。

真綿で包む様な優しい刺激。女をイかせる時に一番使えるテクニックだ。

ボディーソープを追加する。泡の力が必要だ。滑らかに肌を優しく包ませる。

泡の中で、ハンジが喘いでいた。リンパ腺の流れをなぞるようにハンジの体液の流れを意識してなぞる。

血液をどんどん沸騰させる。筋肉を弛緩させて、自分の力で座れないくらいに。

腰の力が緩んできた。背筋に力が入れられなくなったようだ。

身体が倒れて来た。この段階になってきたら、太ももの方にも手を伸ばす。

ハンジ「ひゃあ……ああっ……んーんー」

声、出しているのを堪えようとして必死だが、それは許さない。

顎を捕まえて親指を挟ませておく。唇を塞がせない。

ハンジ「な、何で……?」

リヴァイ「口は閉じるな。声、出せ」

ハンジ「ひ、ひどいよお……」

リヴァイ「噛んでもいい。唇も、感じるだろ?」

親指で唇を軽くマッサージしてやる。すると、ハンジが「こんなの、知らないよおお」と言い出した。

ハンジ「あんた、どんだけの女の子とヤッてきたのよおおお」

リヴァイ「もう数は覚えてないな」

ハンジ「この女ったらし!! テクニシャン!! 女泣かせ!!」

リヴァイ「褒め言葉にしか聞こえないが?」

ハンジ「分かってるよおおお! んもううう……! (*抵抗している)」

嫌々されてもな。可愛いとしか言えん。

ハンジ「酷いよお……こんな事なら、あんたと初めて旅行に行った時に、OK出しておけば良かった」

リヴァイ「ん? 何故そう思う」

ハンジ「だって、あの時点からもし私達が付き合っていたら、それ以降の女と、やらせなくて済んだかもしれないじゃん」

リヴァイ「………それは俺の過去の女達に嫉妬していると受け取っていいのか?」

ハンジ「そうだよ! 私だって、少しなら嫉妬くらいはするんだけど……」

と、ハンジが涙声で訴えた。だから、ついつい。

親指を外してキスをした。無理やり振り向かせるキスだったが。

ハンジ「んんー?!」

俺もそろそろ限界だった。そのままハンジをマットの上に押し倒して、本格的に仕掛ける。

自分の服も少々濡れていたが、全く気にならなかった。

こんな風に、心の底からヤリたいと思ったのは久々だ。ハンジをイカせてやりたい。

ハンジは別に不感症って訳じゃない。ただ、今までのやり方が合っていなかっただけだ。

教えてやりたい。快楽の世界を。ハンジが知らない未知の世界を。

過去を越えてやる。過去の壁を飛び越えて、その先へ………。

ハンジ「あっ……服、ずぶ濡れ……」

リヴァイ「ああ、気にするな。もう、知らん」

ハンジ「リヴァイ、発情し過ぎだよおおお……んもうううう」

リヴァイ「ご無沙汰だったんだ。仕方ねえだろ。お預け食らった直後なんだからな」

ハンジ「お預け?」

リヴァイ「プロポーズして、結婚決めてから、何日経ったと思ってやがる。中間テストの件なければすぐにでもハンジを抱きたかった」

ハンジ「私の為に、我慢していたの?」

リヴァイ「仕事が優先だろ。それは俺も同じだ。ただ、頭では分かってはいても、堪えるのは辛かった。ハンジ……」

ハンジ(びくっ)

リヴァイ「どっちがいい? ここで最後までやってもいいが、ベッドの方がいいならそっちでもいい。ハンジをイカせるだけならここでも出来るが」


選んでくれ。


そう、耳元に囁いてやると、ハンジがふにゃっとなった。

リヴァイ「ハンジ?」

ハンジ「んもううう! いいよ! 好きにして!」

リヴァイ「何だって?」

ハンジ「リヴァイがやりたいようにやればいいじゃないの。んもうううう! 恥ずかしい!」

と、嫌々する様が子供みてえで可愛いが。

ダメだ。それじゃ今までと何も変わらない。

リヴァイ「何を言っている。そんなのは俺の性に合わない」

ハンジ「え、えええ?!」

リヴァイ「言え。どうされたい? ハンジはどう、抱かれたいのかを教えてくれ」

言葉で責めてやる。言わせないと意味がないんだ。ここは。

するとハンジは「うぐうう」と困った顔をして言った。

ハンジ「どうあっても、言わせたいんだね。このドSー!」

リヴァイ「だからそのSとかМとかはどうでもいいと、前から言っているだろうが」

ハンジ「いいや、今のあんたはドS! たまにМにもなるけど。んもううう……」

と、顔を隠してまだ逃げようとするから、手は「バンザイ」させて固定した。

このポーズは好きだな。割と。

ハンジ「あっ………」

濡れた髪、潤んだ両目。紅潮した、頬。艶っぽい、唇。

目尻には少しだけ皺があるのは年齢のせいだけど、そんなのは、気にならなかった。

恐らく、今が一番食べ頃なんだ。熟した果実を食らう時として。

目線を逸らして逃げるハンジは遂に、両目を閉じてから言った。

ハンジ「胸……気持ち良かったよ」

リヴァイ「そうか」

ハンジ「うん……貧乳でごめんね。でも、そこの刺激で、なんか、体が急に溶ける様な感覚が、きた」

リヴァイ「分かった。だったらもっと、触っていいよな」

俺はハンジの小さな乳房に手を伸ばして軽く触った。

力は入れない。入れるのはもっと先の段階に入った時だ。

この時点ではただ、優しくしてやればいい。その方が喜ぶ事を俺は知っている。

胸は柔らかく揉んでやる。乳首への刺激も混ぜながら、脇腹から前の方に脂肪を寄せる様な動きを入れて、親指の腹で刺激を与え続ける。

ハンジ「あっ……ああっ……あああ……」

顎の裏とか、首筋とかに唇を添わせながら、徐々に下に降ろしていく。

泡の味が少ししたけれど、別に食っても死にはしない。

舐める訳ではなく、唇でハンジの体を洗うような感覚で、ただ沿わせていった。

乳首の固さが出て来た。この段階に入ったら、ほんの少しだけ力を入れていい。

コリッ……神経の敏感な部分を探し当ててそこを捩じる様な刺激を与える。

ハンジ「ひゃああ?! あああ?!」

声が、大きくなってバウンドした。少し強すぎたか。

俺は手を離して、ハンジを一度放置した。息を荒げたまま、虚空を見ている。

ハンジ「………あれ? やめちゃうの?」

リヴァイ「泡、1回流す。泡食いながらだと、本気出せない」

ハンジ「あれ?! まだ本気じゃなかったの?!」

リヴァイ「準備運動だ。あと、俺も服、脱ぐから」

シャワーを出してハンジを一度起こして座らせて、体の泡を全部落としてやる。俺も濡れた服を全部脱ぎ捨てた。

シャワーの熱を一緒に浴びながら、俺はシャワーの口を手に取って、それをハンジの胸に強くかけてやった。

ハンジ「?! ちょっと、何すんの?!」

リヴァイ「いや、念入りに泡を落としてやろうかと」

ハンジ「もう落ちているでしょ? やり過ぎじゃない?」

リヴァイ「いや、ほら、脇腹の方がまだ、泡が残っているぞ?」

嘘だけどな。騙されてハンジは「えー?」と言っている。

ハンジ「そう? でもほら、大体でいいんじゃない?」

リヴァイ「ふん……そんなに続きを期待しているのか?」

ハンジ「?! あ、いや、そういうんじゃないけどお」

と、照れてしまったハンジが可愛い。からかうと本当、楽しい。

リヴァイ「シャワーの刺激も悪くないだろ。ほら……」

ザーザーと、少し強めに湯を出してハンジの乳首に当ててやる。

すると、顔を隠して、ちょっとだけ気持ち良くなったのか、ハンジが「あん」と可愛い声を出した。

ハンジ「いや、ちょっと待って。シャワーで感じちゃうって変じゃない?」

リヴァイ「別に変じゃない。湯責めというやつだな」

ハンジ「えええ? そ、そうなの?」

リヴァイ「特に、こことか……結構、気持ちいいと思うが?」

一気に、下に降ろす。狙うのは、ハンジのあそこだ。

ハンジ「やっ……ちょっと、待って! ダイレクトに、そこは……あああっ?!」

目を白黒させているな。ククク…。

泡を落とすついでに喘がせるという一石二鳥のテクニックだ。

結構、好きなんだよな。これをやると大抵の女は面喰う。

ハンジ「やっ……なんか、変……こんなの、初めて……ああっ」

リヴァイ「そうか。だったら、こういうのも初めてか?」

お湯をもっと奥まで流し込んで入れるように近づける。

あんまり強くやると痛がる女もいるので加減もいるけど、そこは反応を見て調整する。

ハンジ「やああっ……リヴァイ、もうやめて! ダメっ……ああああ!」

リヴァイ「ククク……まあ、そこまで言うなら止めてやるか」

シャワーを止める。綺麗になったハンジはその場にぺたりと座り込んだ。

ハンジ「ううう……力が入らないよ。リヴァイー」

リヴァイ「そうか」

ハンジ「くたくただよー。感じ疲れてきちゃった。まだ入れないの?」

リヴァイ「何言っている。まだ入れられるような体の状態じゃないだろ」

ハンジ「ええ? もう十分濡れているよ。いいんじゃないの? あんただって、その、辛くないの? その状態……」

もう見られているから隠す必要もないが、俺のそこは既に準備態勢に入っていた。

リヴァイ「こっちの事は気にするな。この状態になったからと言って、すぐにヤる程、持久力がない訳じゃない」

ハンジ「で、でも………我慢しているんでしょ?」

リヴァイ「我慢していたのはハンジ、お前の方だろうが」

そう言った瞬間、ハンジがぐずっとなってしまって、

ハンジ「そうだけどさあああ……」

リヴァイ「うるさい。文句言うんじゃない。濡れているからと言って、準備が出来た訳じゃない。その判断は俺がする。ハンジは俺に任せればいいんだ」

ハンジ「……はい(シュン)」

リヴァイ「ここで1回イカせてやろうかとも思ったが、気が変わった。続きはやはりベッドでするぞ」

ハンジ「うん……」

バスタオルでしずくを拭って用意していた着替えを脱衣所に持ってきた。

ハンジをパジャマに着替えさせようとすると何故か「え?」って顔をされた。

ハンジ「え? 何で服を着るの? 裸のままベッドインしないの?」

リヴァイ「は? 服を着るに決まっているだろうが。何言っているんだ?」

ハンジ「いや……ごめん。うん。リヴァイに任せる」

リヴァイ「まさかと思うが、いつもそうだったのか? ハンジ」

ハンジ「うーん。風呂場でそのままやるか、シャワーも浴びないでベッドインするか。シャワー浴びた場合はもう、服は着ないでそのままベッドインだったね」

リヴァイ「はー……(深いため息)」

ハンジ「え? 何々? 何かおかしい事、言った?!」

リヴァイ「いや、お前、今まで散々、男に合わせてエッチしていたんだな」

ハンジ「え? そうなのかな?」

リヴァイ「1時間、かからないエッチとかに付き合わされてきたとか、ねえよな?」

ハンジ「え? 1時間くらいで終わるんじゃないの?」

俺はもう、頭を抱えるしかなかった。

ハンジ「え? そ、そんなにおかしいの?」

リヴァイ「いや、別におかしい訳じゃないんだが、そうか。やっぱりタイムマシンに乗って過去のお前の男達、全員ぶん殴りに行きたくなってきた」

ハンジ「えええええ?! ちょっと待ってよ。リヴァイ、何でそんなにキレているの???」

リヴァイ「いいや、別に。キレてはいないが?」

ハンジ「いや、キレてるでしょ?! キレてないですとか、ないよ!?」

リヴァイ「キレているとすれば蔓延している嘘知識の方か。10代の頃なら仕方がねえかもしれないが、ある程度数をこなしてきたような男が、そういうやり方でしか出来ないなら、そいつはただのアホだな」

ハンジ「ん? 待って。ある程度、数をこなした……って、私の相手、そういう人はエルヴィンしかいなかったよ?」

リヴァイ「は?」

ハンジ「というか、年下の子達、殆どが『初めてですけど』とか『あんまり経験ないですけど』みたいな? そんな初心な子達が多くてね。なんか可哀想になっちゃって、その……つい」

その瞬間、俺はうっかりハンジの頭をげんこつで殴っている自分がいた。

ハンジ「いったーい! 何でいきなり殴られた?!」

リヴァイ「お前、そういうの、何と言うのか知っているのか?」

筆おろしに利用されていたのか。馬鹿かこいつは!!!

ハンジ「え? 何が?」

リヴァイ「拝み倒せばやらせてくれる優しい年上の美人な女性を利用した『筆おろし』の相手、させられていたんじゃねえのか?!」

ハンジ「え? え? そうなの? 私って、そういう相手だったの?!」

リヴァイ「交際人数が少ないせいで気づかなかったのか。それとも、ハンジのそういう大らかな性格を見越してそいつらもハンジに仕掛けたのか……」

頭痛くなってきた。ハンジのアホさ加減に。

ハンジ「んーでも、というか、2回目以降は私から断った。なんかやっぱり『違うなあ』って思っちゃったし、それっきりで別れたりもしたし」

リヴァイ「それはそれで相手にとっても都合が良かったんじゃねえのか……」

ハンジ「いやいや、そんな事はなかったよ? 食い下がってくる子の方が多かったよ? そこは大丈夫だよ。ちゃんと愛されていたってば! ……多分」

リヴァイ「どうだかな。モブリット先生みたいな人ばかりじゃねえぞ。男って奴は」

モブリット先生は真剣だったみたいだしな。

ハンジ「うっ………」

リヴァイ「何だ? 急にすっぱい顔して」

ハンジ「いや、モブリット先生の事を思い出すと、今思うと、本当、残酷なことしたなあって思ってね。あれ以来、まともに口聞いてない……(ズーン)」

リヴァイ「それは仕方がないだろ。そこまでお人好しになる必要はない」

ハンジ「うん。でも同じ理科系の先生同士だしね。顔を合せない訳にはいかないのよ。今までのようにはいかないのは分かっているけどさ」

と、少しだけ寂しそうな顔を見せるハンジに俺もつい、嫉妬してしまう。

リヴァイ「………もう考えるな。考えたって仕方がないだろ」

そう優しく諭しながらハンジの服を全て着せてやる。髪も当然乾かしてやった。

寝間着に着替え終えて俺達は部屋に戻った。テレビでもつけてみるか。

時間は夜の12時前くらいだった。結構、風呂場で長くイチャイチャしていたんだな。

バラエティー番組とか、夜中特有の下らない番組が放送されているようだ。

ハンジはニュースなどは良く見ているようだが、バラエティーとかドラマはそこまで詳しくない。

こいつの青春は本当に「生物」に関する事に情熱を捧げきっているせいで、かなり知識が極端な部分もあるんだ。

だから動物関連のバラエティー番組などは良く観るようだけど、世の中の事に俺より疎かったりする時もある。

ハンジ「リヴァイ何か観るの?」

リヴァイ「いやー……別に。とりあえずつけてみただけだ」

ハンジ「そうなんだ。うーん。あ、映画とかも備えてあるよ。こっち観たら?」

リヴァイ「あー……まあ、それでもいいが」

別に何でもいい。ハンジと一緒にまったり出来さえすれば。

適当にディスクを漁ってみる。やっぱりラブロマンス系が多いな。

韓流ドラマもある。昔懐かしいトレンディドラマとかもあるな。

ただ、観るならこういうのより、やっぱり……。

リヴァイ「カオスハザード1択だな」

ハンジ「えええ?! 夜中にそれいっちゃう?! グロいけどいいの?!」

リヴァイ「ハンジ、こういうの嫌いじゃないだろ」

ハンジ「まあそうですけど。やだ、ちょっと興奮させようとしているね? リヴァイ」

リヴァイ「アクション物の方が飽きないしな。一緒に観るぞ。ベッドに寝転がって」

ハンジ「あいあいさー!」

という訳でテレビをつけて、ベッドの上で寝転びながら、ホラーアクション映画を観た。

ハンジはこういう生物系のホラー映画は絶対観る。俺もホラーアクションは嫌いじゃない。

2時間越えるくらいの映画をキャッキャ言いながら見ているハンジが可愛かった。

でもさすがに夜中の3時くらいになると、うつらうつらと眠気がきたようだ。

映画を観終わってからハンジがどんどん、瞼が重くなってきたのが分かる。

リヴァイ「もう寝るか?」

ハンジ「んー眠いけど」

リヴァイ「けど?」

ハンジ「あれ? 結局、しないの? もう寝ちゃうの?」

リヴァイ「なんだ。期待していたのか?」

ハンジ「…………うん」

ドキッとした。まさか本当にそう答えが来るとは思わなくて。

いつものように「違う」とか「そうじゃないけどー」がくると思っていたのに。

不意打ちに似たハンジの返事に俺の鼓動は、その、強くなってしまったが。

リヴァイ「そうか。でももう、眠いんだろ。寝ていいぞ」

ハンジ「しないの?」

リヴァイ「疲れているんだろ。今日はここまででもいい。ハンジと久々に一緒に風呂に入れてこっちは大分満足した」

ハンジ「…………」

リヴァイ「ん?」

ハンジ「やだ……」

リヴァイ「………」

ハンジ「やっぱり、しようよ」

眼鏡が影になってしまったが、ハンジの目がそう訴えていた。

ハンジ「いいよ? 今から、しよ。ちょっと眠いけど。大丈夫。これくらい」

リヴァイ「…………いいんだな?」

ハンジ「うん」

その言葉を確認して俺はハンジの眼鏡をもう1度外してやった。

ベッドサイドに眼鏡を置いて、レンズを汚さないように置いておく。

既に目が眠気を訴えているがそれはかえって好都合だ。

ここからが本番だ。半分眠いくらいの方がこっちとしてはやりやすい。

パジャマの上からゆっくりと、体を触っていく。マッサージするよりももっと優しく。

力を入れずに優しく、そのまま眠らせてもいいくらいの、優しい刺激を与えていく。

本当に寝ちまう女もいるが、それはそれで構わない。

問題はここから、女の「無意識」を引き出す事にある。

キスを頬や首筋に散らしながら、指先を少し立てた状態で、ひっかかない程度に体をなぞる。

くすぐったいと思わせる刺激を加えながら、二の腕や掌、手首の内側、肘の内側、そして鎖骨。

神経を徐々に責めていく。人体の構造は柔道を習った時や、ハンジ自身の話に付き合わされた時にいろいろ話を聞いている。

その中で分かったのは、人の体は全身繋がっているという事だ。

つまり、胸や尻やあそこだけが性感帯である訳ではないと言う事。

自分でも思ってもみなかった部分が「気持ちいい」と感じたりする時もある。

それは、意識が「覚醒」している時より「半覚醒」の時の方が探しやすいんだ。

ハンジ「ああっ」

膝の裏も、いけると分かった。風呂で触った時より反応がいい。

太もももさっきより、反応が良くなってきた。この調子なら、胸の刺激を再開しても良さそうだ。

ハンジはノーブラだからな。布越しの刺激にびくんと、反応して目を細めた。

ハンジ「んあっ……」

もぞもぞしてきたようだ。でもまだだ。この状態を1時間は続ける。

ハンジ「いやっ……リヴァイ、早く、してっ……」

リヴァイ「急かすな。まだ足りてない」

ハンジ「もういいよおお……まだなの? まだ入れないの?」

普通はここで動くんだろうな。でも俺はそれをしない。

リヴァイ「ダメだ。まだ服も脱がせてないだろ」

ハンジ「もういいよおお……早くっ……あああ……」

リヴァイ「ククク………」

早く早くと急かされると逆に止めたくなるんだよな。

ちょっと休憩入れてやろう。そうすると、ハンジは「あれ?」という顔をした。

ハンジ「何でやめちゃうの……?」

リヴァイ「ん? さあな」

ハンジ「もう意地悪過ぎるよ……あっ(ピクン)」

と、油断させてもう1回。これを何度も繰り返す。

ハンジ「ちょっと、ああっ……やだ……あんた、嬲って楽しんでるね?!」

リヴァイ「そうとも言うな」

ハンジ「んもおおおお! 酷い! (げし!)」

おっと、暴力で反抗してきやがった。ククク……。

殴られても痛くない。力が入らないのは見え見えだ。

リヴァイ「そんなに服を脱ぎたいのか」

ハンジ「もういい加減、脱がせて下さい。というか、自分で脱ぐからさ……」

リヴァイ「まあ待て。脱がせてやる。ほら……」

パジャマを脱がせてバンザイさせて、そのまま、固定してやる。

バンザイ固定はいつみても見ごたえがあって好きだ。

ハンジ「あれ?」

気づいたな。何か変だな、と。

ハンジ「全部脱いでないんですけど……」

リヴァイ「半脱ぎの方が好みだからこのままで構わん」

ハンジ「いやー! 変態! スケベ!」

リヴァイ「ああ? 38歳のおっさんだから当然だろ」

ハンジ「そうだった。リヴァイって若く見えるけど、30代なんだよね。全然見えないけど」

リヴァイ「ああ。そうだな」

ハンジ「よく考えたら私、年上初めてなんだよね。なんかすっごい新鮮……」

リヴァイ「は? エルヴィンとヤッたくせになに言ってる」

ハンジ「エルヴィンは恋愛にはカウントしてないよ。付き合っていた訳じゃないんだから」

リヴァイ「……エルヴィンの方はどうだか分からんぞ?」

可愛い教え子に手出した鬼畜だからな。

ハンジ「ええ? でもエルヴィン、私よりリヴァイとやりたそうだったから、違うでしょ」

リヴァイ「いや、そこはあまり思い出したくねえんだが、そうとは言い切れない気もするんだ」

俺は思った。エルヴィンは確かに変態ではあるが、自分の好みではない事や、やりたくない事は絶対やらない。

ハンジに対する淡い情くらいの物はきっとあったと思うんだが。

まあ、あまりつつくのも良くねえか。今は自分の事に集中したい。

ハンジの両腕を片手で固定して、右手で下着をめくりあげて、胸の突起に口を含む。

レロ……軽く舐めてやると、大きく反応が返って来た。

ハンジ「やっ……急に不意打ち、やめてよ! ああっ」

リヴァイ「ん………」

ハンジの声は無視して集中する。舐め方を何種類か試してみて1番反応のいい嬲り方を観察する。

ハンジ「やっ……ちょっと、待って……待って! やめて! なんか、やばい……!!!」

リヴァイ「ん……」

ハンジ「やめっ……ああああっ……やめる気なし?! ああ……ちょっと、あああ!?」

リヴァイ「ん……」

ハンジ「はあ……はあ……ああ……ん……」

リヴァイ「ん………」

ハンジ「はあ……はあ……あ、あああああああっ?! (ビクンビクン)」

これだな。パターンDが1番いいようだ。

これに決めた。暫くこのやり方で乳首を吸い続ける。

ハンジ「あああっ……リヴァイ……やっ……ああああああ?!」

大きくバウンドさせて、イク寸前で止める。まだだ。まだ、早い。

ハンジ「はあ……はあ……今の、凄かった……なに、今の……」

リヴァイ「イッたのか? 寸前で止めたつもりだったが」

ハンジ「えっと、その、なんていうか、イッたのか、自分でも良く分からないんだけど。こういう激しいの、初めて経験するから……」

リヴァイ「これが激しいとか、ふっ………」

こんなのは激しいうちには入らないんだがな。まあいい。

もう少しペースを落としてやるか。今度はローテンションでやってやる。

乳首に中指の腹で軽い刺激を与えてやる。すると、ハンジの顔がうっとり変化してきて、目が閉じて来た。

ハンジ「ん………」

激しい快楽の後は優しい快楽だ。波を作ってやる事で、メリハリがつく。

一気に持っていく必要はない。疲れたら休ませる。それでいい。

両足がもじもじしているな。そろそろいいか。

ズボンの方をずり下げてやって、足の方も半脱ぎにさせる。

太ももに触れながら、パンツの中に手を入れると確かに濡れていた。

腕の方はもう固定しなくてもいい。左手を外したが、ハンジはそのままだった。

右手はハンジのあそこに滑らせた。ここからは中指の腹が大活躍だな。

ハンジ「ひやっ………リヴァイ、そこ、あ……ああっ」

リヴァイ「ん?」

ハンジ「もういいよね? もう入れるんだよね? さすがにもうそろそろ、いいよね?」

リヴァイ「いいや? まだ入れないが」

ハンジ「リヴァイ、どこまで持久力あるのよおおお?!」

リヴァイ「いや待て。そう煽るな。お前、いつもそんな感じだったのか?」

ハンジ「うぐっ……」

リヴァイ「やれやれ。これは男達の方にばかり責任は問えないな」

勘違いさせた可能性が出て来たな。ハンジは堪え性がないようだ。

こんなに可愛らしく煽られたら、男の方が理性吹っ飛んで、性急に事を進めても仕方がないかもしれん。

俺は一度、ハンジの涙をキスで舐めて落ち着かせた。

リヴァイ「入れて、なんて自分から言わなくてもいい。それはお前の体が俺にちゃんと教えてくれるからな」

ハンジ「わ、分かるの?」

リヴァイ「ああ。大丈夫。任せろ。伊達に経験重ねてねえよ」

昔取った杵柄ってやつだな。触った感じである程度は分かる。

むしろ確認するべき事は「痛みがないか」その一点だ。

リヴァイ「その変わり、痛みが出たらちゃんと「痛い」って言えよ。我慢するなよ」

ハンジ「う、うん………」

ゆっくり、ゆっくり、本当にゆっくり、あそこを滑らせる中指を動かしていく。

同時に唇は胸の突起に吸い付いて、柔い刺激を同時に与える。

急すぎる刺激ではなく、小さな快楽を重ねるように。

ぬめりが出て来た。体は正直だ。滑りがどんどん良くなっていく。

もしハンジが濡れにくい体質だったら、ローションを使うつもりだったが、この調子なら必要ねえかもしれん。

ハンジ「ああ……ああ……んー……ふー……んー……はあ……はあ……」

大きく波打つ呼吸のリズムと共に胸が上下する。

そろそろ、入ったようだ。快楽に集中し始める、その時間に。

ハンジ「ああ……んー……ああ……ああっ」

トリップタイムだ。俺が勝手にそう呼んでいるだけだが、意識が切り替わる瞬間のような物がある。

ここを越えると、もう言葉は要らない。ただ集中して愛撫を続けていさえすればいい。

濡れる量が増えて来た。順調に感じているようだ。

ここからだ。仕掛け始めるのは。もう1度、乳首への刺激を強くする。

ハンジ「や! や! あああっ……ダメ……ああああああ?!」

ビクンビクンと跳ね上がる体を押さえつけて刺激を続ける。

この状態になってきたら、中指を1本だけ入れてみる。

すぐに入った。痛がっている様子はない。大分解れてきたようだ。

でもすぐにまた抜いて、女の気持ちいい場所を責める。

2本目。試して入れてみたが、2本目はまだ早いようだ。

身体が一瞬、びくっと硬直したのが分かった。痛みを堪える時は大抵そうなる。

そろそろ乳首に飽きてきたので今度は唇に口を寄せる。

すり合わせるキスを仕掛けて、舌を入れる。口の中にも性感帯は沢山ある。

特に歯茎は意外と反応がいい時が多い。舌も悪くないが、口の内側に特に刺激を入れると、ハンジがうっとりするのが分かった。

ハンジ「はーはーはーはー……」

息を切らせている。目がぼんやりしていて焦点が合ってない。

少し休憩するか。刺激を止めてやると、だんだん目の色が戻って来た。

ハンジ「リヴァイ……」

リヴァイ「何だ?」

ハンジ「何でさっきから、休憩入れるの? 一気に持って行っても、いいのに……」

リヴァイ「それじゃつまらんからだ」

ハンジ「ええ? でも、その……」

リヴァイ「俺の方は心配するな。今日はスローとクイックの間くらいの感覚でやっている」

ハンジ「え? これ、スローセックスじゃないの?」

リヴァイ「中間だな。中距離走だと思ってやっている。本格的なスローだと、もっと時間をかけるぞ」

ハンジ「ど、どれくらい?」

リヴァイ「10時間くらいだな」

ハンジ「10時間?! え?! 嘘でしょ?! ほぼ1日中ヤるの?!」

リヴァイ「今、変な想像したんだろうが、別にずっと繋がっている訳じゃねえよ」

と、言って俺はハンジの頬に軽いキスを落とした。

リヴァイ「こういう、軽い接触ばっかりをずっと続けるセックスもある。加えて体を繋げないまま終わってもいい。本当はそっちを先に教えてやろうかと思ったんだが、ハンジがクイックに染まり過ぎているから、いきなりやると戸惑うと思ってな。まずは中間くらいで慣らしてから移行しようと思っている」

ハンジ「え……そうだったの?」

リヴァイ「ああ。まあ、本格的なのはまた今度にしよう。今日の目標はとにかくハンジを1度「イカせる」事だからな」

ハンジ「も、もうイッたんじゃないの? アレ? 違うのかな?」

リヴァイ「体の感じからするとまだだな。もうちょっとかかりそうだ」

ハンジ「ううう……もう、いい加減、解放されたいよー」

リヴァイ「何で」

ハンジ「だって、何回か体が浮き上がる様な感覚があって、ふわってして、でも、直前で、引き戻されて、また、くらってして、体がどんどん力入らなくなってきて…」

いい傾向だ。これはそろそろイケるかもしれない。

リヴァイ「気持ちいいのか」

ハンジ「良すぎるくらいだよ。これ、もうイッてるんじゃないの? 大分、濡れているでしょ? 私、こんなにびしょびしょになったの、初めてなんだけど……」

混乱しているハンジがとても愛おしく感じた。

だからつい、もう1度キスをして、その唇を封じてやった。

リヴァイ「…………あともう少し我慢しろ。知らなかった世界、感じさせてやる」

そう言い切ってやったら、ハンジが真っ赤になって目を伏せた。

ハンジ「もう十分だよ。リヴァイ……あっ」

恐らくあと少しだ。もう少し続ければ、いける筈だ。

俺はその時、ハンジのズボンを全部外して、パンツもずり下してやった。

股を大きく広げさせて、ベッドのかけ布団も全部取っ払う。

ハンジ「?!」

自分の体が晒されてハンジはびっくりしていた。

ハンジ「布団無し?! え?! 何で?!」

リヴァイ「ここから先は暑くなるから、だな」

ハンジ「じゃあ空調温度変えたらいいじゃないの。え? え? 何で…あっ」

さあ、ここからが、駆け足になる。ハンジ、覚悟しろよ。

ハンジ「やだ……ちょっと、待って! 口で直接とか、ありえないって!!! 馬鹿あああ!」

リヴァイ「あ? 何だ? こんな事もやって貰ってきていないのか?」

ハンジ「だって、だって……ううう……」

リヴァイ「エルヴィンとか真っ先にやりそうな気がするが。やらせなかったのか?」

ハンジに問うと、こくんと頷いた。

ハンジ「それだけは、ちょっと、ごめん。やっぱり、抵抗あったから、やろうとしてきた人にも断った。だって、汚いところを直接、口で、刺激するって、ありえないっていうか……」

リヴァイ「ふーん」

俺は「フーン」という顔になって答えた。

リヴァイ「さっき風呂に入ったし、今は綺麗だと思うが?」

ハンジ「そういう問題じゃないでしょうが!」

リヴァイ「尻の穴の方も直接舌で舐める奴とかもいるんだがな。そういうのもダメか」

ハンジ「えええええ?! 何それ?! そんなのあるの?!」

やれやれ。ハンジは今までそういうのを知らずに育ったようだ。

ある意味、学業の方の勉強馬鹿過ぎたのか。変なところで潔癖だったのか。

まあとにかく、ここはコレをやらせて貰えない事には先に進めない。

リヴァイ「ハンジ、お前、トキメキの事ばかり追い過ぎて、実践的な勉強がかなり疎かになっていたんだな」

ハンジ「うぐっ……! そ、そうかもしれないけど」

リヴァイ「けど?」

ハンジ「い、一応、私も女、だからね? その……エッチはおまけみたいなもんっていうか、精神的な「絆」のような物が欲しかったんだと思う。男の人は、違うのかもしれないけど…」

そう言えばそうだったな。女は常々良く言うんだ。

「エッチはおまけ」だと。むしろ「もっと愛してくれ」と。

精神的な繋がりを重要視する生き物だから、スローセックスをしてやると本当にウケが良かった。

愛されているような実感を味わえるんだろうな。きっと。

男は逆の場合が多いが、そのせいでいろいろ食い違う事も多い。

そういう「凸凹」な生き物だと、理解するしかないんだろうな。

リヴァイ「そうとも限らないけどな」

ハンジ「え?」

リヴァイ「男も繋がりを求めている。むしろ繊細な部分で言えば男の方が夢を持っているかもしれない」

ハンジ「で、でも、リヴァイ、こういうのもしたいんでしょ?」

リヴァイ「んーまあ、お前が早く「イク」感覚を味わいたがっているように見えたから、これが1番早いかなと思っただけだ。堪えられるなら、別の方法で「イク」ところまで持って行ってやってもいい」

ハンジ「………」

リヴァイ「そろそろ辛いんだろ? 早く解放されたいなら、この手段が1番早い。抵抗があるなら無理には言わんが」

と、ハンジの様子を伺ってみると……

ハンジ「………やって貰ったら、返さないといけないよね」

リヴァイ「は?」

ハンジ「で、出来るのかな。すっごい不安なんだけど」

リヴァイ「待て待て。何の話をしている」

ハンジ「だって、そういうものでしょ? やって貰ったら、こっちはやらないなんて言いづらい。だから、その……」

リヴァイ「別にやりたくないならしなくていいぞ」

ハンジ「嘘だー! 絶対、後でやらせようとしてくるよー!」

リヴァイ「うーん………」

そうか。ハンジはその辺が苦手なのか。意外だったな。

でもエッチにそこまで執着なかったと言っていた理由がこれで少し分かった気がする。

その行為に抵抗感があるなら確かにあんまり進んでやろうとは思わないだろうな。

それこそ「可哀想かな」とか特別な理由がない限り、ハンジはエッチに踏み切らなかったのかもしれない。

リヴァイ「………触ってみるか?」

ハンジ「え?」

リヴァイ「手で実際に、触ってみるか?」

ハンジ「えええええ?!」

リヴァイ「それだけでも十分なんだが。こっちとしては」

ハンジ「いや、その……でも……」

リヴァイ「………(くいっ)」

ハンジ「あっ……熱い……? あつ……!!!?」

ハンジの手を無理やり握って服の上から触らせてみたら、意外と拒否反応はなかった。

ハンジ「あれ?! あっついのに、いや、これ、温かいのか。いやでも熱い?! アレ?! どっちだ!? というか、固い?! ええ?! こんな感じなんだ。触った感触……へーへー」

リヴァイ「こら、意外と興味津々に触るんじゃない。触診じゃねえんだから」

ハンジ「は! ご、ごめん……」

リヴァイ「直接触るとまた違った感触があるぞ」

ハンジ「え……」

リヴァイ「触ってみるか?」

ハンジはごくっと唾を飲み込んで「いいの?」と聞いた。

俺は頷いて、自分のズボンを脱いだ。トランクスも脱いで見せて下半身を露出する。

ハンジがそれに触れた瞬間、物凄く戸惑って、「くそあっつい……!? 嘘、でしょ?!」と小さく呟いたのが可笑しかった。

ハンジ「まるで腫れているみたいじゃないの。これ、辛くないの?」

リヴァイ「ああ、辛いな」

ハンジ「は、早く出してあげようよ。中の物、パンパンなんでしょ?」

リヴァイ「今までこういう風にじっくり触ったりした事なかったのか?」

ハンジ「ないよ! 触ってみるか? なんて言い出す変態はリヴァイくらいなもんだよ!!」

リヴァイ「やれやれ。ハンジ、お前は今までどんなインスタントセックスをしてきたんだ」

ハンジ「インスタントセックス???」

リヴァイ「クイックより酷い。いや、カップラーメンみたいな感じだったのかもしれんが。セックスする以前の方が問題だ」

ハンジ「ど、どういう意味…?」

リヴァイ「会話とか、それ以前のコミュニケーション、ちゃんと取った上で本当に合意のセックス、やってきたのか?」

ハンジ「……………」

ハンジが止まってしまった。そして気づいたようだ。

途中ですが、今回はここまで。
リヴァイ×ハンジでエロもお願いしますとレスコメントして下さった方の為に書き始めました。

後悔は微塵もしていない!(キリッ)

あざーっす!あざーっす!!
コメしたものです。
今日は本編更新なしかと思っていたらこのサプライズ!
エロ親父の実践編キター(歓喜)

だがしかし今現在ミカサにエッチの色っぽさで負けてますハンジ先生!
続きに期待してるぜ!(キリッ)

>>29
確かに色気で言えばミカサの方が上かもしれない(笑)
ハンジ先生、すぐ逃げようとするからね。まあ、リヴァイは逆に燃えて追いかけるんですが。

ハンジ「そう言われれば、エルヴィンを除けば、そういう情報が少なかったような気もする」

リヴァイ「エルヴィンとのセックスが痛くなかったのもそのおかげだろうな。お互いの事を大体知っているから気心は知れていた筈だ。だから安心してやれたんだろ?」

ハンジ「なのかなあ? あの頃は今みたいにそこまで深い事は考えてなかったからね」

リヴァイ「かもしれないが、それでもやはり、ちょっとハンジは人に対して「臆病」な部分もあるんだな」

ハンジ「うぐっ…」

リヴァイ「好奇心はあるのに、臆病っていう、難儀な性格をしているようだ。お前がいつもニコニコしているのも、仮面なのか?」

ハンジ「うーん。仮面というのは大げさだけど。ニコニコしていた方が、得というか、人を観察する上では、必要な事かなって思うようになった」

リヴァイ「ふむ」

ハンジの深層意識に触れてみる。こういう話を聞くのは嫌いじゃない。

ハンジ「だって人間関係、出来るだけ円滑にしたいじゃない。人に嫌われるのは辛いしね。どうしようもない時もあるけど、でも、笑顔でいた方が、自分も元気になれるし。ピンチな時ほど笑わないとって思うからさ」

リヴァイ「俺は、お前のピンチの時に何かしてやれただろうか」

ハンジ「え?」

リヴァイ「俺は、お前に何度も救われた。教職なんて、ハンジがいなければとっくの昔に辞めていたよ。ここまで続けられたのはハンジのおかげだと思っている。本当に、ありがとう」

そう、伝えてやると、ハンジが急に真っ赤になって狼狽えた。

ハンジ「不意打ちやめてよ?! いきなり何言い出すの?! 私、大した事してないよ?!」

リヴァイ「そうか? 俺はそう思ってはいないけどな」

ハンジ「やだーもうーリヴァイのたらしテクニックって、そういうところだよね! ストレートに「ありがとう」とか! もう、そういうの、女が弱いの分かっててやっているよね?!」

リヴァイ「ふん……まあ、そう受け取るならそれでもいいさ」

と、俺は言ってもう1度、ハンジの隣に体を寄せた。

そして髪を優しくすいてやる。洗い立ての髪は何度触っても気持ちがいい。

初めて触った時は「ぬるっと」したけどな。あの衝撃は今でも忘れられない。

気持ち悪さと、吐き気と、そしてインプットされた「感情」が俺を突き動かした。

こいつ、洗いたい。

絶対、綺麗にしてやる。俺の手で。

あの瞬間の、雷に打たれたような感覚は今もはっきり覚えている。

でもあれがあったからこそ、俺はハンジと繋がっていられたのかもしれない。

リヴァイ「………で? 返事はまだか?」

ハンジ「え?」

リヴァイ「口で、舐める行為、やらせてはくれないのか」

ハンジ「いやーそこに戻す?! 話題を戻しちゃう?!」

リヴァイ「乳首とあそこを同時にずっと弄るだけでもイクことは出来るとは思うが。そっちの方が好みか?」

ハンジ「うーん、そうだね。出来ればそっちの方がいいかなあ」

リヴァイ「そうか。だったら、時間かかるが、耐えろよ」

持久戦を申し込まれたからにはやり遂げて見せよう。

やる側は、どっちでもいいんだが、辛いのはハンジの方だろう。

でも選んだのはハンジだからな。途中で根をあげても知らん。

俺は気持ちを切り替えて、自分の上の服を全部脱いでしまった。

ここから先は自分も熱くなる。先に脱いでおいた方がいいだろう。

しかし、裸になった途端、ハンジがまた、目を逸らして真っ赤になった。

リヴァイ「ん? どうした」

ハンジ「いや、いつみてもいい腹筋と、大胸筋しているなあって思って」

リヴァイ「今頃何言っている。見慣れている癖に」

ハンジ「そうだけど……改めて見て思ったの。リヴァイの体って、綺麗だなって……」

リヴァイ「伊達に鍛えていないからな」

ハンジ「いつ頃からそれだけの肉体美を持つようになったの?」

リヴァイ「10代の始めの頃は、俺も体は細かった」

と、昔を懐かしむように俺は言った。

リヴァイ「ただ、背丈が小さいせいで、女に間違われる事もあった。それが原因か知らんが、一度電車の中で痴漢に遭った事があってな。まだ10歳くらいだったか。あの時は」

ハンジ「ひええええ……ロリコンに狙われたの?! 怖かっただろうね」

リヴァイ「怖いというよりキモかったな。触ってきたのは同性だったしな。アレ以来、絶対間違われないようにしたいと思って、体を苛めて苛め抜いた。でも今度は『脱いだら凄いんだね』って言ってくるそっちの趣味の奴にも絡まれるようになって、どっちみち、狙われるんだったら、もうとことん鍛えてやると開き直ったら、今度は女にモテだした」

ハンジ「あらら……」

リヴァイ「そっちの趣味の男は『筋肉』が好きらしい。恐らく俺にもう少し背丈があったら、もっとそっちの趣味の男に絡まれていたかもしれんな。1年1組の……ライナーか。ああいう体つきの男が1番、そっちの奴らの中ではモテるらしいぞ」

ハンジ「ライナー? ああ、あの金髪の体格のいいあの子だね! そういうもんなんだ! 意外だね!」

リヴァイ「心が女の男なら仕方がないのかもしれないがな。加えて俺の場合、喧嘩を吹っ掛けられる事が多かったから、必然的に鍛え上げられた。こっちは別に女を盗んだつもりはないが『俺の女に手出しやがって』みたいな言いがかりをつけられて、戦争みたいになった事もある」

ハンジ「あ、それはリヴァイの自業自得だね(キリッ)」

リヴァイ「まあ、それは分かってはいる。たださすがに1対100人くらいで戦争みたいな事になった時は、俺も少しびびったな。恨みを重ね過ぎたせいで『打倒リヴァイ同盟』みたいなものが出来上がってしまってな。全員ぶちのめすのに半日かかったぞ」

ハンジ「それでもぶちのめしたんだ! スゴイね!」

リヴァイ「その数日後、今度は何故かヤクザに絡まれて、拳銃突き付けられてな。良く分からん言いがかりをつけられてしまって、反撃しようとしたら発砲してきて、頬に掠り傷を負った。その後何故か『うちの組に将来、来ないか?』って言われて名刺渡された。殺されそうになったのに組に来いとか、今冷静に考えても訳分からんな」

ハンジ「うわーヤクザ街道にも縁があったんだ。そっちに行かなくて良かったわー」

リヴァイ「いや、俺もエルヴィンとの縁がなければ、ヤクザにでもなっていたかもしれないがな。エルヴィンに無理やり拾われたせいで教職についたが、それがなければ、本当にヤクザの世界で生きていたと思う」

ハンジ「そこまで切羽詰っていたの?」

リヴァイ「中学を卒業してから、一応、高校に進学したが、国の支援を受けられるのは義務教育までだからな。俺の場合、親戚縁者が誰もいなかったし、高校を中退してからは毎日がサバイバルだった。仕事に就いてもすぐクビになっていたし、極貧生活の綱渡りを繰り返していたよ。あの頃は」

ハンジ「………女のところに転がりこもうとは思わなかったの?」

リヴァイ「少しの間、世話になる事もあったがな。其の時はこういう、セックス込みで女の世話をしながらヒモ生活みたいな事もしていたな。女の方には『ずっと一緒にいようよ』と誘われる事も多かったが、俺と一緒にいると、何かとトラブルに巻き込ませてしまっていたから、それこそ野良猫みたいな生活をするしかなかったよ」

ハンジ「苦労してきたんだねーよしよし(ナデナデ)」

リヴァイ「まあ、苦労と言えばそうなるが、俺の場合は必然的にこの体になったと言うべきだな。大学卒業してからは肉体労働に明け暮れていたし、更に体を鍛えてしまった。おかげでいろいろ便利ではあるんだが」

ハンジ「そうなの?」

リヴァイ「ああ。まあ、自分ではこの体をそれなりに気に入ってはいる。女ウケもいいしな(ニヤリ)」

ハンジ「やだスケベ! もー……やっぱり結局はそこに行きつくんじゃないの」

リヴァイ「そうとも言うな。ハンジも嫌いじゃないんだろ?」

ハンジ「むしろ興奮しますけどね。うん……筋肉のつき方、みるの好きだし……」

リヴァイ「だったら好都合だな。さて、ハンジ。おしゃべりはこれくらいにしよう」

ハンジ「う……」

リヴァイ「心の準備を整えようとしているのは分かっている。そろそろ、いいだろ?」

ハンジ「んー……待って。やっぱりまだ、ちょっと、怖い」

リヴァイ「何が怖い?」

ハンジ「知らない事を知るのは、その、直前が、怖いのよ。勿論、知りたい気持ちもあるんだけど。1回気持ちを落ち着けないと、うん。ふーふー」

と、深呼吸を繰り返すハンジだった。

ハンジ「…………よし。もう大丈夫かな。うん。お願いするね、リヴァイ」

リヴァイ「了解」

ハンジが両目を閉じている。まだ少し緊張が残っているようだ。

だからまずはキスで解してやる事にした。俺も一緒に目を閉じる。

そしてハンジの服も一気に全部取っ払った。中途半端に絡まっていた服を全部ベッドの上に脱ぎ捨てさせて、お互いに全裸になって、布団もかけずに肌を合わせた。

唇でリラックスさせて、手は愛撫を続ける。足を軽く持ち上げて、太ももの裏側に指を這わせると、「あ…」と小さな色っぽい声が漏れて来た。

尻の方にも手を伸ばす。骨盤をマッサージするような動きも混ぜて、筋肉を解していく。

尻は少し冷たかった。女はここが冷えやすいように出来ているらしい。

だから熱を分け与える。唇は頬を、左手は胸を、右手は下半身を重点的に愛撫して、3点同時にゆっくり責めていく。

ハンジ「ん………ああっ」

少しずつ、また熱が再発している。感じてくれ。今、この瞬間を。

ハンジ「あ……あああっ」

あそこを中指の腹でくちゅくちゅ音をたてながら責めてやると、少し腰が浮いてきた。

左手を腰の方に持っていって、尻の方に持っていく。両手で下半身を責めてみる。

唇は下げる。胸の突起を口に軽く含んで、ぬるっと舐め含む。

ハンジ「ひゃん……ああっ」

胸の刺激とあそこの刺激を同時に行う。吸い上げるように。ちゅぱ…と何度も繰り返す。

ハンジ「ああっ……それ、いい……かも……ああん!」

バキュームのように吸い上げる口の愛撫が気に入ったようだな。

リヴァイ「これか? (ちゅー)」

ハンジ「ああああっ……(ぶるぶる)」

濡れ方が一気に多くなってきた。これがお気に入りらしい。

なるほど。だったらちょっとそれを止める。

ハンジ「はあ……はあ……(涙目)」

リヴァイ「恨めしそうな顔しているな」

ハンジ「リヴァイが、また中途半端に止めるからっ……!」

リヴァイ「ククク………」

ハンジ「お願い……もっと、してっ……」

リヴァイ「ん?」

ハンジ「もっと、教えてよ。リヴァイの、事……知りたい……ああっ……(ビクン)」

中指の腹だけでなく、人差し指も参戦させた。

リヴァイ「何だって? もう1回言ってみろ」

ハンジ「だから……もっと、知りたいって……あああっ……!」

リヴァイ「だったら、ハンジも教えてくれ。俺は知らなかった。ハンジがこんなに可愛い女だとは」

ハンジ「ああああっ……あああっ………」

リヴァイ「見せてくれ。ハンジの事を……全部」

ハンジがくたっと、頷いた。それに合わせて、俺は指の動きを少し強くして、唇の動きも加速させた。

パターンDと勝手に呼んでいる、バキュームのような吸い方を繰り返し、一気に持っていく。

そろそろいい筈だ。1度、その世界にイって来い。

ハンジ「は……は……ああっ……ああああああああああっ………!」

一度、大きなバウンドが来た。今の反応は恐らく、イッた。

ハンジが力なく全身をくたっとさせて、目が虚ろな状態に変わる。

ヘブン状態だ。このまま眠っちまう女も多いが、ハンジはどうだろうな。

リヴァイ「気分はどうだ……?」

ハンジ「………」

リヴァイ「ん? 眠いのか?」

ハンジ(フルフル)

リヴァイ「無理しなくてもいいぞ。眠いなら、寝ろ」

ハンジ「今のが、イク感覚、なの……? (ハアハア)」

リヴァイ「体が飛ぶような感覚、あっただろ? それが「イク」って事だ」

ハンジ「嘘でしょ……今までこんなの、感じた事、なかった……(ハアハア)」

リヴァイ「ならいいじゃねえか。今、味わえて」

ハンジ「体に力が、全然、入らない……リヴァイ、助けて……」

リヴァイ「入れなくていいんだよ。休んでおけ」

ハンジ「でも、リヴァイの……いれ……ないと……はあ……はあ……」

リヴァイ「律儀な奴だな。今日はここまでにしといてやろうと思っていたんだが?」

さて。どうするか。本当にこのまま終えてもいいが。

ハンジ「…………好き」

リヴァイ「!」

ハンジ「リヴァイ、好きだよ。私、こんなにあんたが好きだって、思う日が来るなんて、思ってもみなか……ん」

唇を塞いだ。これ以上言わせたら、その、なんだ。

セーブしていた物がキレそうになる予感があったからだ。

そっちのモードに切り替わったら、俺だって、手加減は出来ない。

なのに、あいつときたら。

ハンジ「ああっ……リヴァイ、好き……もっと、…ああっ……好き……」

止めどなく『好き』って言葉を繰り返しやがって。

いかん。ダメだ。エレンの言葉じゃねえけど、なんていうか。

『なんかこう、自分の内側から出てくるエネルギーみたいな』

ああ。そうか。コレか。

『愛だけは、理性じゃ動かせない。本能の自分にハンドルを握らせないと動かないんですよ』

この瞬間、俺は。

『んー頭とか腹の中にいる、声? みたいなものだと思うんですけどね』

聞いてしまった。もう一人の自分の『声』を。


ハンジの全てを、自分の物にしたい………。


体中に電撃が奔る様な感覚に囚われて、俺はハンドルを手放した。

本来ならそれをする前にしなくてはならない工程があるが、それを完全に忘れてすっ飛ばして、ハンジの中に指を入れる。

確認作業は身体が覚えている。だから自然と動いてしまった。

ハンジ「んあ……あああっ」

指はもう3本いける。だったら、もう進めてもいい。

指を抜いてハンジの体を固定した。逃げられないように。

正面からハンジをベッドに貼りつけて、足を曲げさせて、中に少しずつ入ってみた。

ハンジ「リヴァイ……あああっ」

それでも少し顔を歪めている。久々だからだろうな。でも、大丈夫だ。

胸の愛撫を続けながら、挿入を少しずつ進める。快楽と共に入って行けば、必要最低限の痛みで済む筈だ。

リヴァイ「痛くないか?」

半分程度入ったところで確認する。

ハンジ「うん……大丈夫……」

少し辛そうだな。まだ進められない。

パターンAは乳首を下から掬い上げるような愛撫。

パターンBは乳首を歯で軽く噛むような愛撫。

パターンCは乳首を舌で回してやるような愛撫。

そしてパターンDは乳首を強く吸い上げる様な愛撫。

俺の中で勝手に作った愛撫のやり方だが、その全てを動員してハンジの胸を責めた。

ハンジ「やっ……なに、これ……やだ……やだああ……あああっ……」

暴れるのを押さえつける。2回目の快楽で辛いだろうが、こっちもそろそろ限界だった。

先走る物がハンジの中に入っていくのが分かる。

繋がり始めた体が正直に、ハンジの奥の方に、欲望を吐き出そうと、動き始めていた。

ハンジ「あ……あああ……んあっ……やだ……なんか、体が勝手に動いちゃう……」

子宮がだんだん、準備を整えてきたようだ。

1度イッたせいで、締め付けはそれ以前に比べれば緩い方ではあるんだが、それでも十分、気持ち良かった。

イカせる前に挿入をすると、もっと締め付けられて気持ちがいいという男側の利点もあるが、大抵の場合、女の方が痛がる。

慣れた女ならそれでもいいが、ハンジも久々だろうし。この方法にして正解だった。

身体がぬるぬるだった。繋がった箇所が熱くて、俺も徐々に腰の動きを入れ始める。

ハンジ「や……な……なんか、また、やばい……あああっ……!!!」

のけ反って来たな。俺も腰に力を入れてハンジを支える。

胸への刺激とあそこの刺激が同時に来て、ふらふらしているようだ。

この頃になると、完全に挿入が完了した。もう痛くねえだろうな。

リヴァイ「痛くねえよな?」

一応確認する。

ハンジ「うん……痛くないけど」

リヴァイ「けど?」

ハンジ「2回目、イカせる気なの?」

リヴァイ「さあな。運が良ければだな、それは」

ハンジ「運って……」

リヴァイ「それより、このままヤッてもいいか?」

ハンジ「えーっと、待って。今、あんた、ゴムしてないよね?」

リヴァイ「悪い。し忘れた」

ハンジ「さすがに、中に出す前にはゴムつけて欲しいんだけど……」

リヴァイ「今日は危険日なのか?」

ハンジ「いや、どうなんだろ? 最近、私もその辺、不安定だからねー」

リヴァイ「……………博打か」

ハンジ「だと思うよ。だから、ね? 一回、ここで抜いて………」

リヴァイ「断る」

ハンジ「?!」

リヴァイ「気持ち良すぎて抜きたくねえ……(ぐちゅぐちゅ)」

ハンジ「あああん……ちょと、それ、ずるいよ! やだ……ああ…腰、動かさないで……あああ……乳首も責めないで……」

リヴァイ「ん……(*聞いてない)」

ハンジ「やだ……ちょっと、本気?! あんた、女に優しい癖に、そういうところは強引なの?!」

リヴァイ「ん……(*乳首に夢中)」

ハンジ「ああ……やだ……そんなに、好きなの? それ……ああっ」

リヴァイ「ん……(*頷いています)」

ハンジ「酷い……あああ……ああっ……ん……あっ……はああっ……ああああっ」

ハンジの理性を強引に吹っ飛ばしてやった。

いや、男としてはやってはいけない行為の極みだとは思うんだが。

その、本当に気持ちいいと思ってしまって、俺もだんだん、ダメになっていったんだ。

子宮が疼いているのが伝わってくる。

中に出したら、孕ませる可能性もあるが、俺達の場合はそれでも問題ない。

出来ちまった時は産んで貰いたい。出来るだけ早く産んで貰いたいと思っている。

エルヴィンの件はちょっと苦く思っているが、それを差し置いても、今ここで。

でも、そんな事をしたらハンジが後でキレるのも分かっていたので、ちょっと休憩する。

ハンジ「はあ……はあ……はあ……」

リヴァイ「悪い。ちょっと我に返った。すまん。やり過ぎたな」

ハンジ「はあ……はあ……」

リヴァイ「ゴム、つける。抜くから、力抜いてくれ」

と、言って体を離そうとしたんだが。

その直前、ハンジの両足が絡まって動けなくなった。

リヴァイ「ん?」

ハンジ「あんた、ずるいよ……」

リヴァイ「………」

ハンジ「押して、引いて。その気にさせて。もう、私だって、最後までやりたくなって来たじゃないの」

リヴァイ「いいのか?」

ハンジ「責任取ってくれるんだよね? 婚約破棄したら、殺すからね?」

リヴァイ「する訳ねえだろ。何の心配しているんだよ」

ハンジ「だって、そういう話も結構、聞いたりするよ。女って、結局は立場が弱いじゃないの」

リヴァイ「ああ、そういう意味か。すまない。不安にさせたのか」

と言って俺はハンジの頭を自分の方に寄せるように抱き寄せた。

リヴァイ「そういう意味では、俺の方がマナー違反だったな。すまん。頭が冷えた。続きは籍を入れてからにしよう」

ハンジ「え? や、やめちゃうの? 本当に?」

リヴァイ「その方がいいだろ。ハンジを不安にさせるような事はしたくない」

危うく踏み外すところだった。今日はここまでで十分だ。

今度こそ、抜こうとしたんだが、まだハンジが抵抗する。

ハンジ「………っ」

リヴァイ「ハンジ?」

ハンジ「き…」

リヴァイ「き?」

ハンジ「気持ちいいから、私も抜きたくないよおお……(涙目)」

リヴァイ「!」

ハンジ「うううう……リヴァイの馬鹿あああ(ポカポカ)」

リヴァイ「いや、その。すまん……」

まさかポカポカされるとは思わなかった。可愛いが。

いかん。見惚れている場合じゃない。抜かないと。

リヴァイ「………ハンジ」

ハンジ「もうちょっと、このままでいようよ。腰、動かさないまま、繋がっていたい」

リヴァイ「それは構わないが………」

それはそれで乙な物ではあるんだが。

ちょっと刺激を加えたらすぐ元に戻りそうだな。参ったな。

という訳で休憩です。リヴァイ先生、暴走気味です(笑)。
ここでリヴァイ先生がどうするかで、物語が変わってくるので、
再開するまでに安価出します。最後までやっっちゃう? ここでやめとく?
2択です。良かったら↓にどうぞ。

ハンジさん不慣れなリアル三十路女子でクソカワ…

ここはリヴァイに理性飛ばしてもらいましょう!
本編でピクシス先生に『頑張ってるけど』て言ったしな!

>>41
了解しました。ではリヴァイの理性完全解除バージョンで続けます。

困っていたら、ハンジにじーっと見つめられてしまった。何だ?

リヴァイ「どうした?」

ハンジ「へへへ~いや~今、この状態、結構、いいね」

リヴァイ「ふん……まあ、そうだな」

確かに。これはこれでいい感じだな。

ハンジ「温かいね。すごく、温かいよ。リヴァイは、やっぱり温かい男なんだね」

リヴァイ「体温は高い方かもしれないな」

ハンジ「いや、そういう意味じゃなくてね。うん……リヴァイは冷たいようで、中身は温かい男だなって、改めて思ったのよ」

リヴァイ「……………」

ハンジ「しょうがないよね。こんなにイイ男なんだもの。周りが放っておくわけないよね。人気者は辛いよね」

リヴァイ「ハンジ、こっちを見ろ」

俯きかけたハンジの顔をこっちに戻す。

リヴァイ「余計な事は考えなくていい。今、この瞬間、俺を独占しているのはハンジだが?」

ハンジ「いや、まあそうなんだけどね。ごめんね。これは私の性分なのよ」

リヴァイ「…………」

ハンジ「悪い癖だとは自分でも思っているけどね。ついつい、人を分析してしまうのよ。その上で自分の行動を決めてしまう。だから、リヴァイには甘えちゃうんだよね」

ぎゅっと、抱きしめられた。その行為には一切嫌悪感なんてねえのに。

ハンジ「リヴァイの懐の大きさに甘えちゃうんだよね。ごめんね。私、いつも我儘で」

リヴァイ「我儘のはお互い様だろ。気にするな」

ハンジ「そうだけどね。うん……やっぱり、離れたくないかな」

リヴァイ「………このまま繋がっていて、いいのか?」

ハンジ「うん。だって私が我儘言ったら、すぐ『やめようと』したじゃない」

リヴァイ「…………」

ハンジ「あんたのそういう理性的なところ、すっごく好き。たまに腹も立つけど。でも、やっぱりそういうところに私は惹かれたんだと思う」

下半身が、ズン…と疼くのが自分でも分かった。

こういう行為の時、言葉で責められるのは、その、本当に、クルな。

ハンジ「だから、しよっか。もう、このまま最後まで」

リヴァイ「ハンジ………」

ハンジ「出していいよ。私も覚悟を決めたから。大丈夫」

ぐっと、ハンジに抱きしめられて、俺も頷いた。

抱きしめ返して、もっと奥深くまで、自分の物を押し込んでいく。

出来るだけゆっくり腰を前後させた。グラインドに合わせてハンジも腰を動かしてくれる。

ハンジ「はあっ……うっ……ううう……」

少し辛そうだ。凹凸の噛み合わせによっては痛みを伴うから一度停止する。

リヴァイ「痛むか?」

ハンジ「少し……でも我慢できない程じゃない」

リヴァイ「我慢なんてするんじゃない。少し工夫するぞ」

ハンジ「え?」

リヴァイ「ハンジが上に乗ってみろ。体位が変われば感触も変わる。子宮の位置によっては、ベストな体位が違う場合があるからな」

ハンジ「え? え? いいの?」

リヴァイ「いくつか試してみて反応を確かめる。1番痛みの少ない体位を見つけるまでは、いろんなポーズをさせてみる」

まずは正常位→騎乗位に移行してみた。

リヴァイ「どうだ? (ゆらゆら)」

ハンジ「ううっ……あんまり気持ち良くはないかな」

リヴァイ「そうか。騎乗位は違うようだな」

次は騎乗位→バックに移動してみた。一度抜いて、お互いのポジションを変えてみる。

バックは入れにくいのが難点だが、征服感を味わえるという意味では割と好きな体位ではある。

リヴァイ「どうだ……?」

ハンジ「あっ……悪くない……かも? ああっ……」

腰を持ち上げて、ヨガのポーズのように変化させてみる。

四つん這いまではいかない感じだ。こっちはどうだろうか?

ハンジ「あああっ……?! うん……ああっ……」

反応が変わった。もしかしたら、四つん這いの方がイイのか?

まるで動物の交尾のような格好になるが、これはこれで。

ハンジ「あああっ……ああっ……!」

腰を回したりして押し進めると、ハンジの様子が明らかに変わった。

ハンジ「やだ……なんか、また、きてる……これ、イクのかなっ……ああああっ……!」

その声を信じて俺は速度を一気にあげた。ギアをあげるような感覚だ。

ハンジ「やっ……やっ……やだっ……やっ……リヴァイ、あああっ……」

リヴァイ「はあっ……はあっ……」

俺も出したくなってきた。今、ここで、本当に出してしまいたい。

リヴァイ「ハンジッ………!」

ぐっと、包まれる感覚が来た。ハンジの子宮の動きが、強く脈動している。

それに釣られるように、俺も全身の力を抜いた。

一気に、駆け抜けていく。白濁を、叩きこんで。

意識が揺らいだ。開放感と充実感が体に纏わりついて、全身を弛緩させる。

両目を閉じた。そのままハンジの背中に顔を乗せるようにお互いに倒れて、暫く何も出来ない状態になってしまう。

恐らく、数分から1時間程度、そのまま寝落ちた。

気が付いたら、朝の5時を過ぎていた。

眠りに入った時間が正確に分からない。体の感覚からすると、30分程度は寝たのか?

という事は計算して大体、1時間半~2時間程度でハンジとの1回目のセックスを終えた計算になるか。

俺にしてはかなりのクイック型のセックスになってしまった。

このやり方をするのは久々な気がする。男主体のセックスにつき合わせてしまった気がするが。

いや、ハンジから見ればむしろ「長い」と感じさせてしまったかもしれない。

こいつ、1時間以内に済ませる様なセックスばかりやっていた訳だからな。

もう少し時間をかけたかった気持ちも残っていたが、ハンジはまだぐーすか眠っている。

起こすのも可哀想だ。そうだ、今のうちに体を離して……

ハンジ「やっ……」

リヴァイ「あ」

抜こうとしたら、ハンジが起きてしまった。

ハンジ「あれ? 朝? 朝なのかな?」

リヴァイ「5時半くらいだな。少し眠ってしまったようだ」

ハンジ「だよね。なんか、強制終了な感じで寝落ちたよ」

リヴァイ「抜いてもいいか?」

ハンジ「うん……」

抜いた直後、ドロリ……と、白濁が零れてベッドが悲惨な事になった。

しまった。タオルを傍に用意しておくべきだった。

手順を忘れてやらかした自分が恥ずかしく思えた。いつもならこんな余裕のないやり方はしないんだが。

ハンジ「あわわわ……ごめん」

慌てて子宮を萎めてそれ以上、零さないようにするハンジに何故かキュンとした。

リヴァイ「タオル、持ってくる。とりあえずざっと拭いておこう」

ホテルの人に来て貰えればシーツは取り替えて貰えるだろうが、それをそのまま見せる程、俺も恥知らずではない。

取り敢えず、誤魔化し程度には片付けて、ルームサービスに電話する。

リヴァイ「すみません。注文と、シーツの取り換えをお願いします」

ハンジ「?!」

リヴァイ「はい。シャワールームにいる間にお願いします。はい。では」

ハンジ「ちょっと?! ホテルの人、来るの?!」

リヴァイ「仕方がねえだろ。こういうのもホテルの人の仕事なんだよ」

ハンジ「恥ずかしいー! やだもー」

と、言っている間にハンジを抱えて風呂場に移動する。

ハンジ「え? もう1回お風呂入るの?」

リヴァイ「その間にホテルの人がベッドメイキングしてくれる筈だ」

ハンジ「ま、また……やるの?」

リヴァイ「いや、その前に……折角だから湯船に入ろう」

さっき見た大きな風呂釜も気になっていたからな。

お互いにざっとシャワーで汗だけ落として湯船の中に入る。

2人一緒に入っても、余裕綽々な程広い風呂釜の中でハンジが「ぼーっ」としていた。

リヴァイ「どうした? 目の焦点が合ってないぞ」

ハンジ「は! ご、ごめん……」

リヴァイ「疲れたのか?」

ハンジ「いやいや! 大丈夫だよ! ただ……」

リヴァイ「ん?」

ハンジ「ええっと、なんか……まだ、夢の中にいるみたいな心地なんだよね。急展開がずっと続いていて、これ、実は夢でした! みたいなオチとかだったら泣けるなあ、って思ってみた」

リヴァイ「ああ、なるほど。まだ現実感が沸かないのか」

ハンジ「だって、リヴァイと一緒に風呂入るようになって、10年以上経ってたのに、急にこんな風に男女の関係まで発展するなんて思わないでしょ!」

リヴァイ「それもそうだな。それは俺も同じだ」

ハンジ「だよねー。本当、まさかこんな風になるなんて、思わなかったよー」

と、言いながら湯で遊ぶハンジだった。

ハンジ「はーでも、凄かったよー。さっきのエッチ、ずっと心臓に爆弾抱えているような感覚で、気持ち良過ぎたよ。多分、トータルで2時間くらいかかったのかな? いつもの倍はかかってるよ」

リヴァイ「いや、2時間は俺にとっては早い方なんだがな」

ハンジ「ええええ……そうなの? もう勘弁してよー」

と、真っ赤になって目をキョロキョロさせるハンジだった。

ハンジ「気持ち良すぎて頭おかしくなるかと思った……。こんなの1時間で十分だよー」

リヴァイ「でも、痛みは最小限に抑えられただろ?」

ハンジ「いつもより全然痛くなかった。エルヴィンより巧かったと思うよ」

リヴァイ「よし」

何故かそう評価されてぐっと拳を握ってしまう自分が自分でも可笑しかった。

ハンジ「……私、今までいろいろ間違っていたんだね。ごめんね。アホで」

リヴァイ「いや、それに気づいただけでも大したもんだ」

ハンジ「でも、リヴァイが教えてくれなかったら私、ずっと勘違いしたままだったかも」

リヴァイ「そうならなかったから感謝だな。俺もそれに気づけて良かった」

ハンジについていろいろ、知らなかった事も今回の件を切っ掛けに知る事が出来た。

近くに居過ぎて分からなかった。だから、今が凄く愛おしく感じる。

リヴァイ「次はスローの方もやってみるぞ。ハンジ」

ハンジ「え? ああ、体を繋がないエッチってやつ?」

リヴァイ「まあ、繋いでもいいんだが。それはどっちでもいい」

ハンジ「え? それってもしかして、この後、やるの?! 2回目いくつもり?!」

リヴァイ「時間はたっぷりあるだろ? ダメか?」

ハンジ「ううう……ダメじゃないけど」

ぐうう……お腹が鳴った。ハンジのお腹だ。

ハンジ「さすがに何も食べずに続けるのは無理じゃない?」

リヴァイ「それもそうだな。この後、少し何か腹に入れるか」

ハンジ「あ、お酒も頼んでいい? ビール飲みたいなー」

リヴァイ「ああ、それはさっきのルームサービスを頼んだ時に既に頼んでおいたから、風呂あがってからすぐ飲めるぞ」

ハンジ「リヴァイのそういうところ、大好きー! 本当、気が利く男だね!!」

ざばーと風呂の中で抱き付いてくるハンジを抱き留めた。

背中に腕を回して固定する。逃がさないように。

ハンジ「あ、あれ…? リヴァイ?」

リヴァイ「ん? なんだ」

ハンジ「何で離してくれないの?」

リヴァイ「抱き付いてきたのはハンジだろ?」

ハンジ「いや、まあ、そうなんだけど、ん………」

唇に触れた。風呂の中のキスもなかなかいいものだな。



くちゅ……レロ……


舌を使った深いキスにハンジがだんだん、慣れてきたようだ。

後頭部を支えながら口の中を洗う様に舌を這わせる。

湯の温度は少しぬるめに設定しているから、のぼせる事はなかったが。

今は、ハンジの体の方にのぼせそうな自分がいる。

ハンジ「あっ……ちょっと、リヴァイ?」

リヴァイ「んー?」

ハンジ「手! もう、乳首、好き過ぎるでしょ! また弄って! あっ……」

リヴァイ「抱き付いてきたハンジが悪い(コリコリ)」

ハンジ「そうなの? 感謝の気持ちを表現しただけでこんな仕打ちなの?! はあん……」

リヴァイ「ふん………こっちも感謝の気持ちを表しているだけなんだが?」

エロい行為の中でな。

ハンジ「やっ……私の感謝に、リヴァイは応えなくても、いいのに…ああっ……(プルプル)」

リヴァイ「やはり1度目より2回目か。もう体が覚え始めたな」

ハンジ「その言い方エロ過ぎるから!! まるで私が、リヴァイの手管に調教……ああっ」

くたっと、体の力が抜けてきた。乳首引っ張られるの、好きだな。ハンジは。

ハンジ「その、引っ張って、掴んで、弄るの、やめて……ああっ……馬鹿っ……ああ」

顔が真っ赤だな。素直じゃねえ。

本当はこんな風にされるのが好きな癖にな。

リヴァイ「引っ張られるのが嫌なのか。だったら、擦るだけでいいな」

今度は突起を擦るだけの柔い快感に変える。

風呂の中だっていうのに、もう俺の方も復活してきた。

意外と俺も元気だな。あんまり寝てないのに。いや……

寝てないからこそテンションがおかしいのかもしれない。

このまま風呂の中で2回目をするか。ぬるま湯の中でハンジを苛めた。

ハンジ「や……これ、どう考えても、スローじゃないんじゃ……ああっ」

ハンジの両手がもう、全然力が入ってない。

リヴァイ「スローの必要性がなくなってきたなら、クイックでも全然こっちは構わねえ。俺は基本的に女のタイプに合わせる方だからな」

ハンジ「ううう………」

リヴァイ「ハンジ、さっき『調教』とか何とか言っていたが、俺はそんなもんじゃぬるいと思っているぞ」

ハンジ「え……?」

リヴァイ「塗り替える。上書き保存しろ。もう、俺の手管無しじゃ生きていけないくらい、夢中にさせてやる」

ハンジ「!!!」

リヴァイ「まだまだこんなもんじゃ済まさん。覚悟しろよ。俺がこれから沢山、いろんなエロい事を教えてやるからな」

ハンジは口をパクパクさせて喘いだ。

ハンジ「このドスケベーーーーー!!!!」

と、絶叫されたけど、俺は笑うだけだった。

風呂でもイチャイチャ。2回目開始ですが、今日はここまで。
本当、ただひたすら2人でイチャイチャしているだけなんですが、
物凄く楽しいです。こんな感じで計6時間イチャイチャの予定です。

ハンジ先生、最後まで持つかな。不安…(笑)。

Oh…午前3時からカウントの6時間イチャコラか
自分がルームサービスの人だったらバスルームに聞き耳立てるわw

しかしくっそリヴァイ変態エロ親父のくせにかっこいいな
変態エロ親父だけど

>>53
褒め言葉あざーっすww

ハンジ「もうお風呂あがる! ちょっとは休憩させてよ! あっ……(ドキッ)」

逃がすか。乳首への責めを強くしてやる。

リヴァイ「休憩ならさっきしただろ」

ハンジ「ちょっとしか寝てないよ! やだ……待って……あああ…」

乳首の2点同時責め。いい眺めだな。

ハンジ「お、お風呂の中で、したら、のぼせちゃうでしょ……はああ……(プルプル)」

リヴァイ「それが何か?」

ハンジ「お風呂あがってから、ビール飲みたかったのにぃ……」

リヴァイ「俺が飲ませてやるよ。口移しでな」

ハンジ「何それ?! そんな飲み方、したことないんですけど?! あっ……ああっあああっ」

リヴァイ「感じてきたな。素直になれよ」

ハンジ「そうだけど、あ……ああっ……」

風呂の中で2回目開始だ。乳首に吸い付いて、手を尻の方に持っていく。

1回目は前から刺激を与えたが、今度は後ろから愛撫を加える。

ハンジ「や……どこ触ってるのよっ……変なところ、触らないでっ……やああっ……」

リヴァイ「ん? なんの事だ?」

ハンジ「と、とぼけないで……その、お尻の方は、やめっ……やめっ……」

リヴァイ「感じているくせに。別に穴に入れるわけじゃねえんだから、少しくらいいだろ」

ハンジ「よくなーい! あっ……ちょっと、待って……なんか……その辺、すごく……あっああああっ…!」

所謂、尾てい骨と呼ばれる付近だな。この辺は敏感な神経が集中している。

あまり強い刺激は入れられないが、ここも大抵、性感帯に入る。

ハンジ「や……やだ……こんな、連続で、やるなんて、初めて……あん……」

ムラッとした。ハンジが『初めて』という度に興奮しちまう。俺も現金な奴だ。

ハンジは嘘をついているようには見えなかった。たまにわざとそういう『嘘』をついて盛り上げてくれる女もいるが、ハンジのそれは、本当に素人のそれに聞こえた。

まあ、たとえ騙されていたとしてもこっちは別に構わんが。

ハンジ「私も、そんなに、若いわけじゃないんだから、おばちゃん、相手に、無理させ、ないで…よ……ああっあああ……はあ……はあ…ん……ふっ……え……あ…ん……ああっ…」

36歳はまだまだ現役だろ? これだけ色っぽいんだからな。

むしろ女の盛りとか言わねえか? 俺は全く問題ないんだが。

リヴァイ「俺は39歳になるんだが? 12月で」

ハンジ「あんたの場合、体力馬鹿でしょうがっ…! ああっ……ああああっ」

ちゅー。乳首吸いたくなってきたのでもう1回。

乳首だけじゃねえな。この際だからキスマークもつけておくか。

乳房や鎖骨、二の腕、皮膚の柔らかい個所に吸い付いて、内出血を起こさせる。

ハンジ「あっ……ちょっと、今、何したの?!」

リヴァイ「何って……キスマークをつけただけだが?」

ハンジ「いや、待ってよ! そんなのつけていいの?!」

リヴァイ「つけてはダメだったのか?」

ハンジ「そうじゃないけどーじゃないけどー」

リヴァイ「見えない場所だからいいだろ」

ハンジ「着替える時にバレるでしょー。私、授業は白衣だけど、体操部の顧問の時はジャージに着替えるんだよ?」

リヴァイ「あー」

そういう意味か。すまん。

リヴァイ「すっかりその事を忘れていた。すまない」

ハンジ「これって1日くらいで取れるの?」

リヴァイ「さあな? 計測した事なんてねえから分からん。ハンジが調べてみればいい」

ハンジ「そう言われると調べたくなるのが私の悪いところだよね……(しくしく)」

リヴァイ「んー今、朝の5時40分か。今から何時間後に消えるか計測してみればいい」

ハンジ「時間までチェックありがとう……いや、もうこれ以上つけちゃダメだからね?!」

リヴァイ「ちっ……」

気づいたか。残念だ。

リヴァイ「キスマークも自由につけられない世の中なのが面倒くせえな」

ハンジ「いや、女同士ってそういうの結構、敏感だからさ。バレたらいろいろ居たたまれないのよね」

リヴァイ「ふん……今更何言っているんだか」

ハンジ「だってー女性教職員の間でも、リヴァイの事、狙っている人もいたんだよ?」

リヴァイ「はいはい」

ハンジ「ちょっと何その反応?! なんで面倒臭がるの?!」

リヴァイ「告白してきたならまだしも、こっちを狙っているだけの女なんてどうでもいい。弓矢を番えて、放つ勇気もねえ女は見ないようにしている」

ハンジ「なんで横暴……いや、数が多いから仕方がないのも分かるけどさ」

リヴァイ「ハンジはつけたくねえのか?」

ハンジ「え?」

リヴァイ「ハンジは俺に『印』をつけたくねえのか? と聞いている」

ハンジ「え? え? でも、それは……」

真っ赤になりやがった。やらせてみてえな。

リヴァイ「やっていいんだぞ? 俺は別にそういうのは気にしないからな」

ハンジ「やだ! 誘惑しないでよ……………本当にいいの?」

ぐっと、引き寄せて胸に閉じ込めた。

リヴァイ「吸ってみろ。思いっきり。吸いにくいかもしれないが、皮下脂肪を傷つけるくらいに噛んでいい」

ハンジ「…………ん」

ハンジが折れた。そして拙い仕草で挑戦する感じが凄く可愛らしかった。

ハンジ「あれ? うまくいかない……」

リヴァイ「もっと、遠慮しないでいい。思いっきりいけ」

ハンジ(ちゅー)

リヴァイ「ん………」

悪くねえな。ハンジに吸われているような感覚は。

ハンジ「あ、1個できたーやったー!」

リヴァイ「よく出来ました」

ハンジ「花丸くれる?」

リヴァイ「そうだな(*胸触る)」

ハンジ「おっぱいに花丸描かないでよ?!」

リヴァイ「ははっ……」

このリアクションの良さがハンジのいいところだな。本当に。

ハンジ「…………」

リヴァイ「ん?」

なんだ? 急に静かになったな。

ハンジ「そっか。よく考えたら、私の方もリヴァイにいろいろ「して」いいんだよね」

リヴァイ「そうだが?」

ハンジ「いや、なんか、ついつい、リヴァイのペースに乗せられていたけど。私からもしていいんだよね?」

リヴァイ「別に構わん」

ハンジ「じゃあ、こことか……(さわさわ)」

リヴァイ(ビクン!)

いきなり股間に手を伸ばしてきたから、俺もさすがにビビった。

リヴァイ「待てハンジ。いきなりそこをにいくか」

ハンジ「えー? でも、あんたも似たようなことするじゃなーい(半眼)」

リヴァイ「いや、まあ、それはそうだが……あっ……」

まてまて。急ぎ過ぎだ。ちょっとやめさせる。

リヴァイ「自分が口でされるのは嫌でも、相手のを触るのは大丈夫なんだな……」

ハンジ「手で触るのは大丈夫みたいだね。リヴァイ、これ、気持ちいい? (さわさわ)」

リヴァイ「ああっ………まあ、な」

いかん。力が抜けてきた。意外とうまいな。ハンジ。

ハンジ「もう少し触ってもいい?」

リヴァイ「いいぞ」

ハンジ「ん………」

ハンジの指は女にしては細くて長い。手の大きさは俺と同じくらいだ。

だから、すっぽり包み込まれるような感触が味わえた。先の方を丁寧にすいてくれている。

ハンジ「あ、今、ちょっと、ぬるってしたよ。出て来たみたいだね」

リヴァイ「ああ……気持ちいいからな」

ハンジ「リヴァイ、もっとこうして欲しいっていうの、ない?」

リヴァイ「………………」

ハンジ「あれ? 私にはノーヒントなの?」

リヴァイ「違う……」

まずいな。また、入れたくなってきた。

早いだろ。いかん。これじゃ、ハンジを乱暴に抱いてきた馬鹿男達と同じなのに。

ハンジには、男のそういう部分を「引き出す」才能でもあるんだろうか?

ムラムラを押さえるのが辛かった。本当に。

ハンジ「ん? 何が違うの?」

リヴァイ「ハンジ………」

ハンジ「ん?」

リヴァイ「もう1回、挿入していいか?」

ハンジ「え……まあ、いいけど」

一応、指を入れて確認する。さっきヤッた後だから2回目は緩くなっていた。

体面座位の形で風呂の中でゆっくり入れさせて貰って、俺は一息ついた。

リヴァイ「はああ………」

ハンジ「ど、どうしちゃったの? リヴァイ。何か変だよ?」

リヴァイ「いや、最高だなと思ってな………」

ハンジ「え? 何が?」

リヴァイ「やっぱり、繋がるのが1番最高に気持ちいい……」

ハンジ「OH……またもやドスケベ発言だね。リヴァイ」

リヴァイ「なんとでも言え。これが嫌いな男なんてこの世に存在せんぞ」

ハンジ「まーそうなんだろうけど………」

リヴァイ「なんだ? 文句あるのか」

ハンジ「文句じゃないよ。なんていうか、ちょっと、子供みたいで可愛いって、今、思っちゃった」

リヴァイ「………………すまん」

そう言われると途端に恥ずかしくなるのが不思議だな。

ハンジ「ふふふ……照れてるリヴァイ可愛いー。可愛いリヴァイも好きだよー」

『好き』と言われると、またやる気が出てきてしまう。

俺はぐっとハンジの背中を抱き寄せて、掌を使って軽いマッサージをしてやった。

ハンジ「ん……? あれ? どうしたの? あっ……」

答えない。無言で目を瞑って集中する。

ハンジの背中の性感帯を探し当てる為に。

ハンジ「やだ……急に、何? なんか急に手つきがやらしくなって……あっ……」

背骨の付近だな。この辺もいけるようだ。

ハンジ「やっ……ああ……待って……リヴァイ、あ………あああっ」

風呂の中だと尚更、嬌声が響いていいな。耳の奥にまで響いてくる。

ハンジ「やだ……そこも気持ちいい……や……あああっ……」

背中の愛撫と共に乳首にも吸い付く。前と後ろを同時に責めて、腰も緩く刺激を加える。

忙しいが、3点同時に責めるのは基本だ。道具があれば4点だろうが5点だろうが構わない。

一瞬、全身、触手責めを味わうハンジを脳内で思い浮かべてしまって、俺も相当の変態だと思った。

ハンジの場合は、触手で責めされても受け入れてしまいそうだが。

ハンジ「や………やあ………リヴァイ………ああ………ああああっ」

ハンジが自分から腰を振り始めた。おや? 呼吸の様子が変わって来た。

俺は一度唇を胸から外してハンジの様子を観察した。

ハンジ「はああ……はあ……はあ……はああ……」

目が充血気味だ。興奮しているのが分かる。ハンジの方から、俺の頭にキスをしてきた。

髪の毛でも食う気か? いや、額や眉間にキスをしたいらしいな。

瞼にもキスしてくれた。そして唇にハンジの方から、仕掛けて来た。

キスをしながら、背中にも集中する。のけ反る仕草が本当、可愛い。

ハンジ「あっ……あっ……あっ……あっ……あっ……」

リズムが一定になってきた。これは、もしや。

ハンジ「あっ……あああっ……あああっ……もっと……もっと……あああっ……」

ハンジに求められて少し強めに腰を動かした。

その直後、ぐっと締め付けられるような感覚がきて、思わずうっかり出しそうになった。

ハンジがぐったりした。俺は今のでイク事はなかったが、ハンジの方が先に果ててしまったようだ。

あ、また眠った。意識が堕ちたようだな。

リヴァイ「ふん………」

まあ、こういう事もある。俺の方はもう少し繋がっていたかったが、先に果てられてしまったのなら仕方がない。

俺はそのままの状態でゆっくりと湯に浸かり続けた。

ハンジの髪をすきながら、濡れた艶っぽい髪を食らってみたり、弄ってみたり。

項や首のあたりを撫でてみたり。ハンジの意識がない間に好き勝手に撫でていた。

そして6時40分くらいまでまったりとぬるま湯に浸かった後は、さすがに1度抜いて、ハンジを持ち上げて、しずくを拭ってやった。

意識のないハンジを見るのは慣れているが、今日ほどそれが楽しいと思った事はない。

涎の跡が残っているし、だらしない顔ではあるんだが。

愛しいと、思えるのだから本当に不思議だ。

全裸のまま、ベッドに戻る。ベッドの上には新しい着替えが用意されていた。

さっきビールを注文した時に頼んだ物だ。浴衣はホテルの中にもあるんだが、下着の方は追加注文ってところだな。

一度、こういうのをやってみたかった。ハンジの意識がないうちに悪戯を仕掛ける。

紐パンタイプの、フリルの可愛い黒の上下の下着だ。

こいつをハンジの意識のないうちに着せてやる。そしてその上に浴衣だ。それが終わったら自分も浴衣に着替えた。浴衣が脱げた時、あいつがどんな顔をするか楽しみだな。

ビールがテーブルの上に用意されていた。一応枝豆や豆腐や肉じゃがなどの摘まみも頼んでおいた。

匂いに気づいたのか、ハンジが覚醒した。

ハンジ「あ……あれ? いつの間に、ベッドに……?」

リヴァイ「2回目おめでとう。ハンジが先にイったから、風呂からあがってベッドにのせておいた」

ハンジ「はんにゃあああ?! マジで?! 私、またイッチャッタ訳ですか?! 嘘でしょおおお?!」

リヴァイ「嘘じゃない。しっかりイッた。俺より先にな」

ハンジ「やだ……私、こんなに淫乱だったっけ? 自分でも自分が怖いんだけど」

リヴァイ「2回目の方がイクの早かったしな。だんだんイきやすい体に変化してきたんじゃないか?」

ハンジ「やめてよー!!! やだ、私、本当にだんだん、リヴァイに調教されてきているの?!」

リヴァイ「ククク……」

イイ事じゃないか。教え甲斐があるというものだ。

リヴァイ「気にするな。それより朝飯食わないのか?」

ハンジ「あ、もう注文の品、来てたんだね。へー。こういう庶民的なオーダーもやってくれるんだ」

リヴァイ「メニュー表にあったからな。いろんなニーズがあるんだろ」

ハンジ「やだー枝豆と豆腐とか、マメマメしいね。リヴァイは」

リヴァイ「洒落か?」

ハンジ「まあね。いいお摘みですね。うひょ~♪」

と言って起き上ろうとして、ハンジがそのままくたっと落ちた。

ハンジ「あれ……なんか思う様に体が動かせない……」

リヴァイ「ああ。疲労からだろうな。2回もイってしまえばそうなる」

ハンジ「待って待って。んー……よいしょ」

リヴァイ「無理して起き上らなくてもいいぞ」

それでもハンジがヨロヨロ立ち上がってソファの方に座った。

俺もその隣に座って飯を食う。さすがに俺も腹が減った。

枝豆を食べながらハンジはビールをかきこんだ。ぷはーといい気分で飲み干している。

ハンジ「うまい! 朝からビール飲めるのほど幸せな事はないよ!」

リヴァイ「そうか」

ハンジ「朝からアルコール飲むの程、贅沢なのってないよね!」

リヴァイ「ふん……まあ、そうかもしれないな」

ハンジ「リヴァイは飲まないのー?」

リヴァイ「俺はいい。とりあえず、飯食いたい」

ご飯や味噌汁とかも一緒に頼んだ。簡単な朝の食事だが、これで十分だ。

俺は食べる時は食べるが、基本的にそこまで大食いって程でもない。

それに食べ過ぎると眠くなるという欠点もあるので基本的には腹八分目だ。

演劇の裏方の仕事を終えた直後とかはさすがに食うけどな。疲労困憊の時は別だ。

ハンジ「じゃあビール全部、飲んじゃうよ? いいんだね?」

リヴァイ「ああ。どんどん飲め」

ハンジ「ありがとー! リヴァイ大好きー! いえーい!」

もうテンション上がってやがるな。ほろ酔いが早いな。

ハンジは酒に強い方なんだが。これはわざとテンションあげているのか?

リヴァイ「………卵焼き、食うか?」

ハンジ「食べるー」

リヴァイ「ほらよ(ひょい)」

ハンジ「!」

ハンジの口に卵焼きを突っ込んだ。なんだ? 顔が赤い。

ハンジ「まさか食べさせてくれるとは思わなかったんだけど(もぐもぐ)」

リヴァイ「あ? 悪い。自分で食べたかったのか」

ハンジ「いや、そうじゃないけど。なんか、照れるね。こういうの」

ドキッ……

そんな事を言われたら、またその気になるだろうが。

リヴァイ「肉じゃがもいくか? (ひょい)」

ハンジ「うん………」

もぐもぐ。まるでひな鳥に餌をやる親のような気分だが、悪くない。

そして一通り自分も食べ終え、ハンジにも食わせてやると少し落ち着いた。

ああ。俺自身も少し眠くなってきたな。やっぱり仮眠を取るべきか。

しかしホテルにいる時間を無駄に過ごしたくない。出来るだけ起きていたい。

ハンジともう少しイチャイチャしたい。しかしハンジの方はビールを飲んだせいでまたウトウトし始めてしまった。

ハンジ「ZZZZ……」

あ、また眠り始めた。ソファに座ったまま、器用に船を漕いでいる。

しょうがねえ奴だ。俺も眠いんだが、ハンジを抱えてベッドに移動した。

ハンジ「ん……?」

運んだら目が覚めたようだ。とろんとした目でこっちを見てくる。

ハンジ「あ、ベッドに運んでくれたのね。ありがとう……」

リヴァイ「ああ。眠いなら、寝るか?」

ハンジ「リヴァイは寝ないの?」

リヴァイ「眠いのは眠いんだが、寝るのが勿体ないような気もする」

ハンジ「んー気持ち分かるけど、あんたも疲れたでしょ?  1時間くらいならいいんじゃない?」

リヴァイ「分かった。ならタイマーかけて寝るか」

ホテルのタイマーをセットして仮眠を取る事にした。

現在、朝の7:10分。1時間後に起きるようにタイマーをセットして俺も横になる事にした。

瞼を閉じるとすぐ眠くなってきた。俺も少々はしゃぎ過ぎたようだ。

お互いに顔を向け合って、寝る。ハンジの唇がすぐ目の前にあるから、ちゅっと、1回だけキスをした。

リヴァイ「おやすみ……」

ハンジ「おやすみ……」

そしてスースーと寝息をたてて、お互いに疲れていたせいで、一気にまた眠りについた。











ピピピ…………

リヴァイ「ん………」

タイマーが鳴っていた。1時間経ったようだ。

リヴァイ「もう1時間か……」

深い眠りについていたようだ。タイマーをぽちっと止める。

ハンジはまだ寝ている。スースー寝息を立てて可愛い顔をして寝ている。

寝顔を眺めた。口をあけて寝たり、閉じたり。むにゃむにゃしたりしている。

夢でも見ているんだろうか。何かもにゃもにゃ言っている。

ハンジ「リヴァイ………んー……」

夢の中にも俺がいるのか。何しているんだろうな? 夢の中の俺は。

ハンジ「ん………ん………やあ……」

なんか、色っぽい声が出て来たな。なんだ? いやらしい夢でも見ているのか?

ハンジ「そんなの、やだあ……はあ……」

くそ。夢の中の、俺は一体、何をやっているんだ。

気になってきたじゃねえか。起こしてやろうかな。

そう考えた直後、ハンジは何故か、

ハンジ「タコはだめえええ……!」

と叫んで、はっと目が覚めたらしい。

ハンジ「はーはーはー」

リヴァイ「おはよう。ハンジ。いい夢見ていたようだな」

ハンジ「いい夢じゃないよ!! リヴァイにタコ触手プレイさせられる夢だったよ!!」

リヴァイ「ほほう?」

斬新な夢じゃないか。素晴らしい。

ハンジ「吸盤くっついて、いろいろアレだったよ。なんかもう、いろいろ酷かったよ?!」

リヴァイ「タコ触手プレイか。そういう同人誌もそういえばあったよな」

ハンジ「実際にやられたら、痛いよ! 吸盤くっついて、痛いよ!」

リヴァイ「軽いSMプレイだな。まあ、いいじゃないか。やって欲しいならオーダーしてやろうか?」

ハンジ「丁重にお断りします! (キリッ)」

リヴァイ「お前、タコ好きじゃなかったのか?」

ハンジ「食べたり観察するのが好きなだけで、プレイに使いたい訳じゃないよ?!」

リヴァイ「とか言って、実際にやったら意外とはまるかもしれんぞ?」

ハンジ「私を変態の道に誘わないでよおおお?!」

と、オロオロするハンジがすっごく可愛いと思った。

俺としては是非ともタコ触手プレイをやってみたい気持ちがあるが。

ベッドから起きて電話の方に向かい、受話器を取ると、ハンジが青ざめた。

ハンジ「やーめーてー!!! 本当にタコが注文出来たらどうするの?!」

リヴァイ「ハンジの体にくっつけるが?」

ハンジ「本気でやめて!!! お願いします! それだけは! それだけはあああ!!!」

リヴァイ「ククク………」

電話して聞いてみると、さすがに生タコは用意出来ないとの事だった。

タコの刺身は用意出来るみたいだな。よし。そっちだけ注文しよう。

それに追加してシャンパンとかワインも一緒に頼んでおく。

しかし本当に生タコを注文したと勘違いしているハンジは「うぎゃあああ」と叫んでいた。

ハンジ「やだあ……リヴァイ、それ、さすがに変態過ぎるよ? 私も引くよ? 困るよおおお」

リヴァイ「ククク………」

ハンジ「そういうのは、エロ本の世界の話だと思っていたのに……(顔隠す)」

リヴァイ「エロ本に描いてある事は実践出来る物もある。タコ触手プレイもやる奴はやるんじゃないのか?」

ハンジ「うっそおおおおん………もう、男って、そんなに変態な生き物なのおおお?」

リヴァイ「まあ、概ね同意だな。男は大体変態だ」

ハンジ「ううう……リヴァイの『男』の時の顔って、そんなんだったんだね」

リヴァイ「ん?」

ハンジ「友人としてのリヴァイの顔と、別人だよ。そんなの、知らなかったし」

リヴァイ「お互い様だろ。俺もハンジの『女』の顔は今まで知らなかったんだからな」

ハンジ「そおおおだけどおおお……ギャップ有り過ぎで戸惑うよー」

リヴァイ「それも同じだ。お前、そんなに可愛い女だったんだな」

と、言ってやると、ハンジが何故か枕を投げて来た。

ハンジ「もう、このプレイボーイ!!! 女ったらし! やだもおおおおお!」

真っ赤になって言われてもな。かえって煽っているようにしか見えない。

枕をキャッチして投げ返すと、ボスっとハンジの顔に当たった。

ハンジ「んもー! やったなー!」

また枕投げて来た。いや、こんなの簡単にキャッチ出来るんだが。

リヴァイ「ハンジ。修学旅行じゃねえんだから(ひょい)」

ハンジ「顔にあててやるー! (ひゅん)」

リヴァイ「いや、羽枕だし。軽いし。当たっても痛くねえだろ(ひょい)」

ハンジ「そうだけど、私ばっかり当たってるからね! (ひゅん)」

リヴァイ「やれやれ。無駄な時間の使い方だな(ひょい)」

ハンジ「くっそー! リヴァイ、の馬鹿ー!」

と、アホな事をしていたらルームサービスが来た。

ハンジが「ぎゃあああ」と言っていたが、運ばれたのはさっき注文した品だ。

ハンジ「あれ?」

それに気づいてハンジがきょとんとする。

ハンジ「生タコじゃない。タコの御刺身だ」

リヴァイ「さすがに生タコは用意出来ないって言われたから刺身を取った。食べるか?」

ハンジ「なんだー食べるのは大好きだよー」

と、枕をベッドに戻してこっちに来るハンジだった。

ハンジ「あーシャンパンとワインも頼んだの?」

リヴァイ「さっき、飲まなかったからな。少しだけ飲もうかと」

ハンジ「頂戴!」

リヴァイ「また飲むのか? また寝るぞ?」

ハンジ「かもしれないけどー頂戴!」

リヴァイ「やれやれ」

グラスにワインを注いでやる。赤と白、両方頼んだ。

俺は赤を、ハンジは白を注いで乾杯した。

チン…と軽い音を立てて飲み干した。

美味い。やはりホテルが出すだけあって、いいワインを出してくるな。

ハンジ「おいしー……こんなに美味しい白ワイン、初めて飲んだかも」

リヴァイ「赤もいくか?」

ハンジ「そうだね。交換しよ」

グラスをそのまま取り替えて飲んでみた。

白の方が味が薄く感じたが、上品な味だった。こっちも美味い。

甲乙つけがたいとはこの事だ。全部飲んでしまいたいな。

シャンパンも開けた。美味い。喉越しが良くてどんどん飲んでしまう。

ハンジが赤くなっていた。ビールの時より深く酔っているようだ。

ハンジ「えへへへ~えへへへ~」

リヴァイ「何笑ってやがる」

ハンジ「だって~しあわせ~だから~えへへ~」

リヴァイ「そうか」

ハンジ「もう、こんなに幸せだと怖いくらいだよ~えへへ~ふふふ~」

ごくんごくん……ハンジの喉の動きに注視する自分がいる。

カチッと、また、スイッチが鳴る音が聞こえた。

ただ、今回の音は、いつもより音が大きくて自分でもびっくりした。

ハンジがどんどん赤くなっていく。浴衣が着崩れて来た。

そのせいで、中の黒い下着がチラリと見えて、俺はつい、そこを凝視する。

ハンジ「ん? ああ、浴衣、崩れてきちゃったねー……あれ?」

やっと気づいたか。いつもと違う下着に。

ハンジ「あれええええ?! 何か、いつもと違う下着だよ?! 私、こんなの持ってないよ?!」

リヴァイ「ああ。追加注文して着せてやった」

ハンジ「いつの間に?! やだ……なんかエロい下着じゃないの、コレ」

リヴァイ「黒だしな。黒が好きなんだ。俺は」

ハンジ「初耳だよ?! やだ……もう、それ、先に言ってよー」

と、恥ずかしそうに浴衣を寄せる仕草が艶っぽく見えた。

ハンジ「恥ずかしいなあ……リヴァイって、本当、エッチ……」

唇を突き出して文句を言うのも最高だった。

リヴァイ「ふん……」

にやける自分を隠せない。そろそろ俺もだんだん酔ってきた。

目を細めてじっと見つめる。無言が続いてハンジがもっと赤くなった。

ハンジ「な、なんか、じっと見てる……?」

リヴァイ「ああ。見ているが、何か?」

ハンジ「やだ……その、今、その気になってるの?」

リヴァイ「ああ。既になっているが? 何か?」

ハンジ(真っ赤)

ハンジがもじもじし始めた。見ているだけなのにな。

ハンジ「か、観察する側は好きだけど、される側は慣れてないんだけど……(もじもじ)」

リヴァイ「そうか」

ハンジ「ちょっと……その、もう見ないで! ほら、ワイン全部あけちゃお? ね?」

と、誤魔化そうとするので、俺は首を左右に振った。

リヴァイ「慌てて飲む必要はない。まったり飲んでもいいだろ」

ハンジ「そうだけど……やだなあもう、なんか、こういうの、照れるよー」

と、そっぽ向いて誤魔化そうとするハンジだが、構わず俺はハンジを見つめた。

我慢出来なくなってきたから、席を移動する。ハンジと向かい合って座っていたが、隣に移動した。

ハンジ「あ……」

リヴァイ「ハンジ………」

ハンジ「やっ……今度はソファで、するの?」

リヴァイ「それは任せる。ベッドに移動してもいいが?」

ハンジ「ええっと………」

ハンジがオロオロしているな。こういう甘い空気は苦手のようだ。

苦手なら、とことんやってやろう。俺はそういう性格だ。

片手でハンジの髪を掴んで捩じって、遊ばせる。

ハンジは困った顔をして顔を伏せていたが、その隙に俺はワインを口に含んで、そのまま流し込むようにキスをした。

ハンジ「ん………(ごく…)」

まずは一口。美味いだろ?

ハンジ「美味しい……」

リヴァイ「もう一口いくか?」

ハンジ(こくり)

俺はワインを口に含んではハンジに飲ませた。

ハンジもハンジでごくごく飲んでいる。酒好きだからな。こいつは。

そして何口かそれを繰り返し、ワインの中身が空っぽになった。

シャンパンも空けてしまった。2人で飲めば3本くらい軽く空けてしまう。

リヴァイ「追加注文出してもいいか?」

ハンジ「うん……いいよ」

ハンジの目が赤い。アルコールの入ったハンジは、いつもにも増して色気が出ていた。

俺は立ち上がって電話で追加の酒を頼んだ。ワインも追加したが、日本酒や焼酎、あとチョコレートなどのお菓子も頼んだ。

追加の品が届いてから、俺達は啄むように酒と菓子を食わせ合った。

俺がハンジに酒を流し込んで、ハンジは菓子を俺に食わせて。俺が菓子をハンジに食わせて。ハンジも俺に酒を飲ませた。

何杯分くらい飲んだのか分からなくなってきたその時、俺の中の意識がだんだん、薄らいできたのが分かった。

ハンジを脱がせたい。また、ひとつになりたい。

そう訴えてくる自分の下半身を宥めながら、俺はハンジをベッドに移動させた。

酒の力も入っているせいで多少強引に運んでしまったが、ハンジはもう、殆ど力が入っていなかった。

両手を繋いで押さえつける。浴衣はお互いに反脱ぎで、紐パンの紐も緩み始めていた。

紐はすぐに解けて浴衣の中は全裸になった。ハンジの上に覆い被さる。

ハンジ「んあ……」

胸を触るとすぐに反応がきた。もう俺の触り方をすっかり覚えてくれたようだ。

緊張していないハンジの体は柔らかかった。すぐにでも入れたくなってくる。

アルコールINリヴァイ先生ですが、今回はここまで。
いいところですが、続きはまたノシ

これを読んだ後だと本編がまた違って見える・・・

>>75
リヴァイ先生の印象が変わり過ぎますねwすんませんww

ハンジ「やあ……」

酒の匂いのせいで吐息にすら酔いそうになる。

ああ。なんかもう、ハンジを滅茶苦茶にしてやりたい。

そう思う自分がいて、でも、それを止める自分もいる。

優しい愛撫を繰り返しながらも、俺の中ではある願望がふつふつと沸き始めていた。

恐らく、ホテルに頼めば用意はしてくれるとは思うんだが。

いや、でも、初夜で道具使うのはいきなり過ぎるし、ハンジもドン引きするだろうな。

ハンジ「ああ……ああああっ……リヴァイ……好き……愛してるよ。んー」

ゾクッとした。ハンジ、今、その言葉を繰り返すな。

そんな事を言われたら、何をしても許されるような錯覚に陥るだろ。

リヴァイ「ああ………俺も」


愛している。


そう、言ってやりたかったけど、照れが出て言えなかった。

ん? あ、そう言えば、俺はまだハンジに『好き』とか『愛している』という言葉を伝えていないような気がする。

今、言った方がいいんだろうか? 酒の力に任せて。

唇を動かして『す』の形を作ってみる。

ハンジ「ん?」

ダメだ。言えない。酒の力を使っても言えない。

何故だ? 何でこんなに恥ずかしいだ。

ハンジ「どうしたのー?」

リヴァイ「いや、何でもない」

キスをして誤魔化した。まだ『その時』ではないんだろうか。

いや、でも、言ってやった方がいい筈だ。女はそういう『言葉』を欲しがる生き物だから。

そう思う自分がいるのに、理性はそう考えているのに。

本能が邪魔している。ああ、そうか。酒の力は『本能』を後押しするから、本音の行動を取ってしまうのか。

だからかえって恥ずかしいのか。素面の時の方がかえって言えるかもしれない。

そう結論付けて俺は愛撫を再開した。キスを外したら、耳や顎にも舌を沿わせる。

ハンジ「やあ……そこも気持ちいい……」

リヴァイ「耳もいいのか」

ハンジ「あああっ……声、いい……」

リヴァイ「ほほう?」

ハンジ「や……甘い声、入れないで……」

リヴァイ「ハンジは可愛い女だな」

ハンジ「やああっ………!」

こういうの好きなのか。いい事を知った。

リヴァイ「ハンジ………」

ハンジ「や……なんか、それ、や……ああああっ!」

リヴァイ「ハンジ…………」

名前を呼ぶだけなのに、どんどん濡れてきているようだ。

右手でそれを確認して驚いた。濡れ方が酷い。


舐めたい………。


いかん。今、何考えた。ダメだ。ハンジは嫌がるだろ。

しかし右手に濡れたそのぬるぬるとした感触が、俺の理性を、揺さぶっている。


口で、綺麗にしてやりたい……。


ジリジリとクル。俺の中の、本能が囁いていた。

酒に酔わせている今なら、出来るんじゃないのかって。

俺は自然と右手を自分の口の中に入れていた。舐めるだけだと、言い聞かせて。

ハンジ「………?」

その仕草にきょとんとして、じっと見つめて、直後、真っ赤になった。

ハンジ「あんた、何を今、舐めた?!」

リヴァイ「ハンジの愛液……」

ハンジ「ええええ?! ちょっと、舐めちゃだめでしょ?!」

リヴァイ「口で直接してないんだから、いいだろ」

ハンジ「そ、そうだけど……やだ、ちょっと待って……ねえ、なんか目がマジでヤバいんだけど?」

リヴァイ「そうか?」

そうかもしれない。俺自身、今、ギラついているのが自分でも分かる。

ハンジ「や……待って……顔、近づけないで……あああっ……」

匂いを嗅ぐだけだ。舐めてはいない。

ハンジ「は、恥ずかしいよお……待って。待って。それ以上は、あああ……」

リヴァイ「手で触っているだけだが? (クイクイ)」

ハンジ「顔近づけた状態でそれ、やめて……や……ああああっ!!!」

リヴァイ「体は嫌がってないようだが?」

ハンジ「そうだけど、そうだけど……ああっ……あああっ……」

息を吹きかけてみる。その刺激だけで、ハンジは簡単にびくっとした。

自分の吐息が分かるくらいの距離で顔を近づけて、指で責める。

じっくり見つめながらの責めにハンジが「やだあ……」と弱弱しい抵抗を見せた。

その上で、両足を閉じてホールドしてきたから、こっちとしては万々歳だった。

両手を伸ばして一気に両足を持ち上げた。いける。

ハンジ「うわああ?! ちょっと……!?」

もう我慢出来なかった。

舌の先でチョロチョロとした柔い刺激を与えると、ハンジが一気にのけ反ったのが分かったが、暴れるハンジをこっちも固定して抵抗させなかった。

ハンジ「ああああっ……待って……待って……なんか、これ、今までで、1番やばいかも……ああああっ?!」

だろうな。これが1番、ダイレクトにクルのは分かっている。

胸の刺激もいいけれど、やっぱりこれの刺激の強さには勝てないだろう。

ハンジ「ああ……やだ……イク……これ、またイッちゃう……あああああああっ……!」

バウンドが凄かった。初めてだからだろうか。ハンジの初体験を無理やり奪った。

不思議とセックスで繋がった時より興奮している自分がいる。

いや、イク感覚を教えた時も、同じくらい興奮した。

そうか。俺はハンジの『初体験』を奪いたいのか。

処女を欲しがる男の心理に似たそれを感じて俺は苦々しく自分で嗤ってしまった。

ハンジ「ひどいよお……リヴァイ………やめてって言ったのにぃ」

リヴァイ「………すまん」

ハンジ「ううう…………汚くなかった? 臭いとか、思わなかった?」

リヴァイ「んな事思う訳ねえだろ。何を心配しているんだ」

ハンジ「だってえ……自分の汚い部分を触らせるのって、やっぱり、恥ずかしいんだよ?」

リヴァイ「汚さで言ったら髪の毛の方がよほどだぞ?」

ハンジ「うーん。そうだけど……髪の毛の時も、最初は恥ずかしかったしね」

リヴァイ「え?」

衝撃の事実を、今、知った。

リヴァイ「恥ずかしかったのか?」

ハンジ「そりゃそうでしょうが!!! いきなり風呂場に連れ込まれて、最初は犯されるかと思ったくらいだよ?! 『やばい! 私、リヴァイを怒らせたっぽい?! 何したっけ? なんでこんなに怒らせた?!』ってパニック状態になったし」

リヴァイ「それはすまなかったな」

ハンジ「いや、私もその後、まさか髪の毛を洗って体洗うだけの行為をしてくるとは予想出来なかったから、拍子抜けしたけど。『えええ?』って。いや、まあ、あの時は洗ってくれて嬉しかったけど。今思うと、あんた良くあの状態の私に触れたよね」

リヴァイ「なんかもう、あの時の俺はぶちキレていたからな」

ハンジ「普通はそれでも直接、手で触るの抵抗あると思うよ?」

リヴァイ「ぬるっとしたな。臭かったしな」

ハンジ「でしょ? 本当、あんたって、物好きなところあるよね」

リヴァイ「……………俺の性癖だから気にするな」

ハンジ「言い切っちゃった?! いいのそれで?! なんか危ない人に聞こえるけど?!」

リヴァイ「エルヴィンにも『病気だね』と認定されている。だから開き直る事にした」

ハンジ「そうなんだ………だから、口でするのも抵抗ないの?」

リヴァイ「そもそも、女のそこを口で舐める行為に抵抗のある男なんて聞いたことがねえ」

ハンジ「マジか?! え……そんなに舐めたいものなの?!」

リヴァイ「基本だと思うんだがな。女は逆に抵抗ある事が多いと聞くが」

ハンジ「まあ、そりゃ、ねえ………」

と、視線を逸らして、その後に、俺のものをみて、また目を閉じる。

可愛い。この戸惑った感じが堪らんな。

キュンとする。だからこそやらせてみたい気持ちも沸いてくるが、まあそれは横に置いて。

2回目いくか。まだ舐め足りない。こんなもんじゃ済まさない。


レロレロレロ………


ハンジ「?! ちょっと、油断していたら不意打ち?! やだ……ああ……待って……ちょっと痛い……」

リヴァイ「ああ、強すぎたか。すまんすまん……」

ここは本当にデリケートだからちょっと力を入れるとすぐ痛がるんだよな。

力を思いっきり下げる。かなりソフトな舌の動きで中の方にも少し入れる。

ハンジ「ん………あああ………はあ………」

腰の動きが淫乱だ。持ち上げていた足を降ろして、今度は骨盤を固定する。

糸をひくくらいの愛液の量に俺のテンションもだんだん上がってきた。

ハンジ「あああっ……ん……んー……ふっ……ふあっ……はあ……うっ……うううん……」

イイ感じだ。どんどん濡れてくる。びしょびしょになっている。

吸い上げる様な口の動きと、舌のテクニックにハンジが溺れているのが分かる。

ハンジ「ああ………ああっ………あ………」

足が痙攣し始めた。少し休憩してやるか。

あんまり連続でイかせ過ぎると体力を消耗する。

ハンジ「やだ……やめないでよお」

リヴァイ「ん?」

ハンジ「気持ちいいよ……うん。やめないで。お願い……やめるなら、せめて入れて……」

誘い方が本当、上手いな。ハンジは。

そういう事ならもう、入れるか。指を入れてみて、確認したが全然痛がらない。

ハンジ「あん……」

指入れただけでこの調子だ。大分慣らされてきたな。

リヴァイ「…………………」


今なら、やってもいいんじゃないか?


いかん。また、俺の中の悪い奴が暴れようとしている。

道具でやるのは勿体ないだろ。もう、入れていい状態なんだ。自分ので感じさせたら……。


ハンジはきっと、知らないと思うぞ? バイブとか、いろいろ。


分かっている。それは分かっているが。

ハンジの事だ。さすがにそういう玄人向けのセックスは知らない筈だ。


ハンジの初めて、欲しくないのか………?


そう呟く俺の中のアレが、ざわざわと全身を悩ませた。

ハンジ「リヴァイ……? どうしたの? 顔色が悪いよ?」

こんな時まで心配しないでくれ。罪悪感で胸が痛くなる。

ハンジ「疲れちゃった? ならやめてもいいよー?」

馬鹿が。やめる訳ねえだろ。疲れていても、男はやるんだよ。

指の先が動かせなくなるくらいまで疲労してもやってやると思うからな。

ただ、ハンジの勘違いは利用してもいいかと思った。俺の中の悪い奴がそう判断した。

リヴァイ「ハンジ……」

ハンジ「なあに?」

リヴァイ「確かに少し、疲れたかもしれない。だから、ちょっと席を外していいか?」

ハンジ「うん。いいよ」

そう言って俺は電話を入れた。確認する。

ああ、さすがスイートルームだ。そっち系の道具は完全装備しているらしい。

いろいろ注文を出して物が来るのを待つ。そして道具の按配を確認したのち、俺はベッドに戻った。

ハンジ「ん? それ何?」

リヴァイ「俺の代わりにハンジを気持ち良くさせる道具だな」

ハンジ「え? 道具? え……まさか、それ、突っ込むの?」

リヴァイ「そうだ。こうやって、使うんだが……(グイッ)」

ハンジ「?!」

スイッチオン。まずは弱から。

ハンジ「何コレ?! やだ、動いてる?! 動いているよ?! 変な動きしているよ?!」

リヴァイ「面白いだろ?」

ハンジ「面白いのはリヴァイだけでしょ?! や……ああ……何コレ……ああ……だんだん……気持ち良くなって……」

アヘ顔最高だな。段階をあげる。中だ。

ハンジ「あ……ちょっと強くなった。こ、こんな道具まであるんだね。私、知らなかった……あああっ……あああ」

リヴァイ「玄人向けの道具だからな。後、結構値段もする」

ハンジ「いくらくらい?」

リヴァイ「1本1万くらい」

ハンジ「高?! 何それ。馬鹿じゃないの?! それを発明した人も、売る人も買う人も!」

リヴァイ「男は馬鹿な生き物なんだよ。ほれ」

動きを変えた。横に回すことも出来るようだ。

ハンジ「やっ……なんか動きが変わって……ああっ……これ、やばいって……いやああ」

リヴァイ「ほらよ」

最後に強。これで一気にイける筈だ。

ハンジ「や……待って待って待って待ってええええ?! ああああああっ……?!」

体を捩じってまたもやヘブン状態に陥るハンジだった。

さっきのイク感覚より、大きい波が来たようだな。

イク感覚も強弱がある。さっきのは「弱イキ」くらいだったのかもしれん。

今のが「中イキ」くらいか。目が虚ろだが気絶はしていない。

最強クラスになると、気絶してその後、全く動けなくなるし、寝落ちた後、かなりの時間寝てしまう。

道具を抜いてやるとハンジが「やだあ」と泣きじゃくった。

ハンジ「私、今日だけで何回イッたと思ってるのよもう……」

リヴァイ「何回だ?」

ハンジ「最初のエッチで2回。風呂で1回。舌で1回。コレで1回……」

リヴァイ「ああ、最初のエッチはちゃんと2回目イッていたのか。確認してなかったな」

俺の方も夢中だったからそこをカウントし忘れていた。

ハンジ「1日で4回って多過ぎない?! もう腰がしんどくなってきたんですけど?!」

リヴァイ「いいや? 別に多い方だとは思わないが。休憩挟んでやってるんだからな」

ハンジ「えええ……もう今までと何もかもが違ってびっくりだよ」

リヴァイ「今までの事はもう忘れろ。これからは、俺を基準にしろ」

ハンジ「リヴァイを基準に考えて本当にいいのかな…?」

良くないのかもしれないが、知らん。

俺も相当、自分でも『アレ』だという自覚はあるがな。

リヴァイ「さてと、メインディッシュにいくか……(ユラリ)」

ハンジ「え……あ……もう1回?! イッたのに、また入れるの?!」

リヴァイ「俺の方がまだだからな」

ハンジ「やだ…私、力入らないんだけど……あっ」

構わない。これだけ脱力していれば、俺の方が好き勝手出来るからな。

ハンジ「待って。四つん這い、無理だよ。力、全く入らない……あああっ」

正常位で挿入する。前回よりしっくりくるな。

リヴァイ「以前より痛くないようだな」

ハンジ「そうみたいだね。慣れたのかな?」

リヴァイ「だったら、ちょっとサービスしてやろう(グイッ)」

ハンジと繋がったまま起き上った。ベッドの上でやるのは不安定だから、1回立ち上がって降りる。

所謂『駅弁』と呼ばれる体位だ。これは俺くらい筋力ないと出来ないアレだな。

ハンジ「ええええ?! ちょっと、持ち上げるとか?! ええええ?!」

快楽より興奮の方が強いようだ。びっくりしている。

ハンジ「待って……腰、大丈夫なの? 重くないの?」

リヴァイ「余裕だな(キリッ)」

ハンジ「やだもう…リヴァイ、凄すぎる……(真っ赤)」

リヴァイ「力入れなくていいぞ。体を預けておけばいい」

ハンジ「はい………」

さて。揺らしてみるか。痛みはないようだが……。

>>83
訂正。
ハンジ「1日で5回って多過ぎない?! もう腰がしんどくなってきたんですけど?!」

計算ミス。5回もいかされていました(笑)。

ハンジ「あっ……怖いよ……落ちない? 大丈夫? 私……」

リヴァイ「不安なら腕で固定しておけ」

ハンジ「こう?」

リヴァイ「そうだ。どうだ? 気持ちいいか?」

ハンジ「うん……うん……気持ちいいというより、ドキドキする」

リヴァイ「そうか」

ハンジ「ああ……ああ……ああああっ……ん…」

リヴァイ「はあ……はあ……」

駅弁は体力勝負の体位だ。おっと、のけ反り過ぎて危ない。

リヴァイ「ハンジ。足はベッドに引っかけておけ。バランスとった方がいいだろ」

ハンジ「はにゃ?」

リヴァイ「変な声出すな。ほら、足はこっち」

ハンジがベッドに足を乗せて再開。完全な駅弁ではなくなったが、こっちの方が安定する。

やはりベッドがあった方がいいな。和室だとこの手のアクロバティックな体位がやりづらい。

ハンジにいかに気づかせないでベッドを推すか。問題だな。

ハンジ「ああ……ああん……リヴァイ……ん……」

さすがに4回もイッた後だから5回目は時間がかかりそうだな。

だがそれは望むところだ。こっちもやり甲斐がある。

ハンジ「もう、いいよ……この体位、怖い……気持ちいいけど、怖いよお」

リヴァイ「そうか?」

ハンジ「なんか、安定感が無さ過ぎで、ヤヴァイんだけど」

リヴァイ「そうか。それは残念だ」

駅弁で最後までイクのは無理そうだな。変更するか。

俺はハンジをベッドに連れ戻して、ハンジの上半身をだらーんとさせた。

ベッドからはみ出すような感じでのけ反らせて、そのまま押し倒す。

ハンジ「にゃー?! はみ出てるよ? 私? 頭に血が上っちゃうよコレ?」

リヴァイ「脱力している時にはこれがいいと思うんだが?」

あと胸がいい感じに反っているのも乙ではある。

ハンジ「確かに怖くはないけど……あ……」

押し進めると、いい感じに反応した。

ピストン運動のコツは、余り前後に擦り過ぎない事。

小刻みな動きの方が喜ばれる事が多いんだ。

>>86
訂正。
さすがに5回もイッた後だから6回目は時間がかかりそうだな。

ここもカウントミス。まあ、5回も6回もあんま変わらんかもですが。

ハンジ「ああ……これ、案外悪くない……かも?」

リヴァイ「頭に血が上り過ぎたら戻してやるよ」

ハンジ「はああ……はあ……うん……ああああっ」

よがり始めた。ハンジはこういう行為の時は、不安定じゃない方が好みなのか。

普段は結構、ざっぱで荒っぽいんだけどな。意外な面を知った。

ハンジ「ああ……ん……はあ……」

緩い快楽に入ったようだ。大きな声じゃないけど、嬌声がリズムよく零れている。

ただ、やはり後ろから入れた時のような激しい反応がなかった。

ハンジはもしかしたら「下つき」タイプなのかもしれない。

リヴァイ「一度、戻すぞ。ハンジ」

ハンジ「ん? 体位変えるの?」

リヴァイ「ああ。1回抜くからな」

ぬる……あっさり抜けた。凄い絡みつき方だな。

ドロドロだった。凄いな。ハンジのポテンシャルは。

リヴァイ「後ろから入れなおすぞ」

ハンジ「うん……」

ハンジの中に入りなおした。しっくりくる感じが、更に加速した。

リヴァイ「うお……これは……」

ハンジ「ああ……」

リヴァイ「やはり、ハンジは『下つき』みたいだな」

ハンジ「何それ?」

リヴァイ「子宮の穴の位置が肛門寄りになっている、所謂体の後ろ側に子宮が寄っている女の事だ。このタイプだと、正常位より後ろからの挿入の方が入れやすいんだよ」

ハンジ「そうなんだ。そんな事、気にした事もなかったよ」

リヴァイ「四つん這いは出来ないんだったな。よし、ハンジ。お前が俺の上に乗れ」

ハンジ「え? え? どうするの?」

リヴァイ「背面座位をする。所謂『乱れ牡丹』だな」

ハンジ「乗っちゃっていいの?」

リヴァイ「そんなに重くないから気にするな。ほら……」

体位を変更する。鏡があれば完璧なんだが、そこは妥協する。

乳首への愛撫もやりやすいのも利点だ。口で乳首を弄れないが、その分、耳を責めてやる。

ハンジ「あ……ああ………ん……」

ビクンビクンしているな。やっぱり後ろからの方がいいのか。

ハンジ「ああ……気持ちいい……あ……あああ……」

自分でも腰を揺らしているな。さて、乳首の刺激を強くしてやるか。

少し強めに弄ってやると、子宮が大きく波打つのが分かった。

ハンジ「はあん! あん! ああん! あああ!」

おっと、前のめりに倒れそうになった。支えながらやらないといけないか。

寝バックの方がいいんだろうか? 今のハンジは自分では体を支えきれないしな。

もういっそ、寝かせるか。背面側位でもやれない事はないだろう。

ベッドの上にお互いに横になって、繋がったまま、腕枕をしてやると、ハンジが安心したように目を閉じた。

ハンジ「リヴァイの腕、いい弾力しているよね……はあ……はあ」

リヴァイ「そうか?」

ハンジ「いい筋肉ついているよ。感触、最高……」

体を鍛えた甲斐があったな。

ゆらゆらと、激しくはないが腰を揺らし続ける。

ハンジが緩やかな快楽に再び堕ちていくのが分かった。

ゆっくりと、本当にゆっくりと、肌をなぞる。爪の先だけで太ももやその内側に触れながら、乳首にも刺激を与える。

長い時間をかけて愛撫を続けた。今のテクニックは、スロー寄りの物だ。

時間をかけて熟成させる。一気に食らうのが勿体ない。

ハンジ「ああ……はあ……はあ……はあ……」

ハンジの顔がこっちから見られないのが残念だが、こっちも見られるのは恥ずかしい。

今、自分がどんな顔をしているかあまり想像はしたくない。

ハンジ「はあ……ああっ………はあ……んっ……!」

ぐっと、一度脈動が来た。ん? イッたのか?

いや、違うか。体は痙攣していない。

でも、また、ぐっと吸い込まれるような感覚がきた。

くそ……もっと奥まで突いてやりたくなってきた……。

リヴァイ「ハンジ……すまん」

多少体勢が辛いかもしれんが、俺はまた体勢を変えた。

松葉くずしと呼ばれるその体位に切り替えて、ハンジの顔を見たら……

もうぐちゃぐちゃに濡れていた。涎は流れているし、目は虚ろだし。抵抗出来ずに、足を上げてくれる。

その顔を見た直後、俺の中のやる気は更に増加して、もっと奥まで差し込んでしまった。

ハンジ「ああああっ………!!!」

リヴァイ「ハンジッ……!」

この姿勢、ハンジの方が辛い筈なんだが。もうされるがままになっている。

ゾクゾクした。奥まで、もっと奥まで突いてやりたくなって。

理性が吹っ飛ぶ感覚がきて、俺も本気を出して、そこに叩き込んでしまった。

ハンジ「ああ………あああああああっ………!!!!」

5回目がやっときたか。それに釣られるように俺も自分の物を叩き出した。

凄い。長い。快楽が、宙に浮くように奔っていく。

リヴァイ「はあ……はあ……はあ……」

ハンジのように体の柔らかい女だから出来る体位だった。

こいつは女にしては運動神経もいいし、武道の心得もある。

だから毎日ストレッチは欠かしていないそうだ。それがここで生きた。

汗が凄かった。ボタボタと顎から滴り落ちていく。

水が欲しい。水が飲みたい。俺は一度、繋がった体を抜いてグラスに水を含んで飲み干した。

ハンジが気絶していた。今までで1番、激しい『イク』感覚を味わったんだろう。

水を飲み干したら俺も眠くなってきた。少々やり過ぎたかもしれない。

ハンジに重なる様に倒れて、俺も両目を閉じてしまった。






目が覚めたら、午前11時を過ぎていた。大分寝ていたようだ。

どの辺で寝落ちたのかさっぱり分からない。最後は何時間くらいやったんだろう?

何もかもがぐちゃぐちゃだった。浴衣も途中で脱げたのか。あんまりはっきり覚えていない。

久々に充実したセックスを行えたと思う。こんな風に体が怠くなるまで貪ったのはいつ振りだろうか。

ハンジがやっと目を開けて時間を確認してびっくりしていた。

>>90
6回目がやっときたか。それに釣られるように俺も自分の物を叩き出した。

カウントミス3回目。アホですみません。

ハンジ「ええええ? もうこんな時間? 嘘ー」

リヴァイ「体の方は大丈夫か?」

ハンジ「正直言えば怠いです。かなり……うう……足腰重いよ」

リヴァイ「すまん。最後に松葉くずしをやってしまった。アレのせいだな」

ハンジ「あー? 何か足持ち上げたよね。その辺、はっきりしてないんだけど」

リヴァイ「だろうな。完全に意識があっちの世界にいっていた」

ハンジ「最後、凄かった……なんか、奥までガンガンきたし。あんな激しいの初めてやったよ」

リヴァイ「アレはハンジだからこそ出来た体位だな。普通はあんまりやらない」

ハンジ「………あんまりって事は、前にもやった事はあるんだね?」

リヴァイ「体が柔らかくて、下半身が丈夫な女じゃないと出来ない。何だ? 嫉妬しているのか?」

ハンジ「別にー。リヴァイがドスケベなのはもう十分理解出来ましたしー?」

リヴァイ「ふん……拗ねても可愛いな。ハンジは」

ハンジ「もー! その手には乗らないよ! ふん!」

本格的に可愛いな。もう1回やりたくなるぞ。

ハンジ「はー……全部でどれくらいやったのかな?」

リヴァイ「午前3時前くらいから始めたから、休憩含めて、トータルで6時間はやったんじゃないか?」

ハンジ「最後、何時頃に寝付いたのか分かんないもんね。多分、でも、それくらいはやったのかな……」

リヴァイ「どうだった? 俺との初エッチは」

ハンジ「いろいろ大変でした。もうお腹いっぱい……」

と、顔を隠すハンジに何故かムラッとした。

キスをしようとしたら「ストップ!」と止められてしまった。

ハンジ「もう11時だからね。チェックアウトの時間、何時?」

リヴァイ「あー予定では12時だったかな。延長するか」

ハンジ「やーめーてー! もうさすがにこれ以上は無理! エッチ無理!」

リヴァイ「ちっ……」

まあ良しとするか。十分堪能出来たしな。

ハンジ「……………片付けて、お昼食べたら出ようか」

それもそうだな。

ハンジ「あれ……」

リヴァイ「どうした?」

ハンジ「まだ、足腰に力入らない……」

リヴァイ「お姫様抱っこ、するが?」

ハンジ「お風呂に入るの?」

リヴァイ「後、1時間もある。時間かかるなら延長してもいい」

ハンジ「やだーもうー! お風呂入ったらまた絶対、エッチな展開になるー!」

リヴァイ「いつものコースでやっても構わんが?」

ハンジ「もうそれ、どっちが『いつも』なのか分かんない。結局はエッチになる気がする」

リヴァイ「バレたか」

ハンジ「バレるから! はーもう。お風呂はいいよ。とりあえず、服頂戴」

リヴァイ「はいはい」

黒のフリルの下着と、最初にここに来た時の服と白衣をハンジに渡すと、

ハンジ「…………こういうのが好きなのかー」

と、何故か今頃、しみじみ言われた。

リヴァイ「下着か? 下着だったら黒が好きだ。私服は緑色だけどな」

ハンジ「何で違うの? 下着も緑じゃないんだ」

リヴァイ「普段は癒されたい。夜はセクシーで居て欲しい。男は我儘な生き物なんだよ」

ハンジ「ひゃあああ……そういう意味があった訳?! 意外……」

リヴァイ「リクエストがあるなら俺もハンジに合わせてやるぞ。何色が好きなんだ?」

と、しゃべりながら俺も自分の服に着替える。

シャツに腕を通しながら聞いてみると、

ハンジ「いや、私、そういうセンスにこだわりとか全くない人だから分かんない」

リヴァイ「そうか。それは残念だ」

ハンジ「リヴァイはシンプルな服が好きだよね。上品っていうのかな? 物もいいでしょ」

リヴァイ「上着とか背広はそれなりに金かけるけどな。シャツとか靴下は消耗品だから普通だな」

ハンジ「でも、凄く丁寧に着ているのが分かるよ。アイロンもまめにかけるし。はー……いい嫁貰ったなあ。私」

リヴァイ「そうだな。いい嫁貰ったなあ。自慢しろ」

ハンジ「あれ?! そこ認めちゃうんだ!」

リヴァイ「ただし昼間だけだ。夜は俺が『夫』だからな」

ハンジ「OH……亭主関白宣言ですね」

リヴァイ「そう受け取って貰っても構わない」

と言いながら大体身支度を整えた。

濡らしてしまった下着とかは家に持ち帰ってから洗濯するか。

しかしまだハンジが黒い下着を凝視している。

リヴァイ「どうした? あ……自分で着れないのか。分かった。俺が着せてやるぞ(ニヤリ)」

ハンジ「いやいや、そうじゃないんだけど!」

リヴァイ「ブラジャーが嫌なのか? 紐ブラは好みじゃないのか」

ハンジ「いや、つけているの分かんないくらい違和感なかったから、紐ブラならいいかと思って」

リヴァイ「そんなに苦しくはなかっただろ?」

ハンジ「うん。苦しいの苦手だからね。これ、いいかもね」

リヴァイ「ほら、バンザイ」

ハンジ「あれ? 結局やってくれるの?」

リヴァイ「その方が早いだろ」

着せるのも、脱がすのも、もう慣れた。

結局はハンジの分は全部俺がやってやった。完了だ。

髪もくしですいてやる。ハーフアップで整えて、眼鏡も装着させる。これでいつものハンジの姿に戻った。

ハンジ「お腹すいた……」

リヴァイ「スイートルーム、最後の食事だ。何がいい?」

ハンジ「肉いきましょう!」

リヴァイ「ステーキでいいか?」

リヴァイ「何でもいいよ! がっつり食べたいね!」

リヴァイ「了解」

という訳で昼飯を頼んで2人で食べる事にした。

やはりこういうホテルで出てくる食事は質がいい。

たっぷりの肉汁と共にステーキ肉が出てきてハンジが目をキラキラさせていた。

ハンジ「いっただきまーす!!!」

もぐもぐ。美味いな。いい肉使っているな。

ハンジ「おいしー! もう最高! あ、ビールも頼めばよかったー」

リヴァイ「ビール飲んだら、またハンジを抱いちまうと思うが?」

ハンジ「ですよねー。うん。自重しまーす(照れる)」

アルコールが入るとハンジも多少気が緩むのを自覚した様だ。

ちょっと残念だ。酔わせた方がいろいろヤらせてくれる様だしな。

そんな訳でステーキ肉を2人で食べて、部屋のチェックをして片付け終えてからホテルを出た。

あ、でも酒飲んでからあまり時間が経ってないから、帰りはどうするかな。

代行使うか。ホテルの人に頼んで運転して貰い、俺とハンジは後部座席に並んで乗った。

ハンジの香りが車内に充満しているような心地になって、不覚にもまた。

ハンジ「ん? どうしたの?」

リヴァイ「……………」

見つめ合うと、また熱っぽくなる自分がいた。

浮かれ過ぎだと自分でも思う。でも、つい言ってしまった。

リヴァイ「………家に帰ったら、また続きをしないか?」

ハンジ「?! 無茶言わないでよ?! まだし足りないの?!」

リヴァイ「このまま別のラブホテルに直行してもいいんだけどな」

ハンジ「待って待って待って! 絶対ダメだからね! 今日はもう、ここまでだよ?!」

リヴァイ「今日はまだ時間があるだろ? ハンジ……」

俺は完全に、ハンジに『堕ちた』ようだ。

自分でも熱をうまく制御出来ない。ダメ男に成り下がったようだ。

運転手がミラー越しに苦い顔をしている。仕事だから見てみないフリをしているようだ。

俺はハンジの太ももにセクハラをする。車内でその気にさせようと試みるが……

ハンジ「ちょっと、やだ……! 運転手さん、いるのに馬鹿! 何考えて……ああっ?!」

リヴァイ「顔が赤いぞ? ハンジ」

ハンジ「当然でしょうが! やだ……待って、本当に、やだ……ああっ」

リヴァイ「家に帰ってから続きをすると約束してくれるなら、やめてやってもいい」

ハンジ「分かった! するから! 帰ってから! 帰ってからならいいから! 車内はさすがに止めて!!」

言質を取った。よし。

その言葉を信じよう。俺はセクハラを止めた。

ハンジ「もー心臓が持たないよー。リヴァイのドスケベー!」

と、真っ赤になってポカポカしてくるハンジに俺は笑ってやった。

全然痛くない、その反撃に、されるがままになる俺がいる。

そんな訳で、俺はようやくハンジとの初夜を越える事が出来た。

ちょっと不満げで、でも、恥ずかしそうで、困ったハンジが最高だ。

文句は後で聞いてやろう。時間はいくらでもある。

ハンジ「…………家に帰ったら、リヴァイのエロ本、絶対、家探してやるんだから」

そう呟いたような気もするが、俺は聞かないふりをして、両目を閉じたのだった。






リヴァイ「あの長い髪に触れた時から」(終わり)

いろいろと酷い初夜でした。
リヴァイ先生のイメージが完全崩壊www
酷い男に成り下がりました。本当、すんませんでした(土下座)

これを読んだ後だと、本編で何でリヴァイ先生、ニヤニヤしていたのかより分かると思います。
ハンジ先生もぼーっとするわな。これだけやられたら(笑)。

リクエスト、ありがとうございました!
ではまた本編の方でお会いしましょう!

終 わ っ て し ま っ た …

こんなにガッツリ書いてもらえるとは思わなかった。ありがとう!
最後は変態エロ親父の面目躍如だったなw

また気が向いたら、エレミカの邪魔にならない程度に
入籍初夜とハネムーン初夜お願いします(キリッ)

(おまけ)

エルヴィン「やーおかえりー」

教員用マンションに帰りつくと、丁度エルヴィンと会った。

エルヴィンはハンジの上。つまり4階に住んでいる。たまたま階段のところで奴と出くわした。

ハンジ「ただいまー(ぐったり)」

リヴァイ「ただいま」

エルヴィン「もう帰って来ちゃったの? リヴァイのことだから延長すると思っていたのに。良かったでしょ? あそこのホテル」

リヴァイ「ん? エルヴィン、知っていたのか。景品の事を」

エルヴィン「ピクシス先生に景品の内容を相談された時に、私がお勧めしたホテルだからね。夜景とか綺麗だったでしょ?」

ハンジ「あー夜景! そういえばじっくり見てないよ! 一瞬しか!」

リヴァイ「すぐ風呂に入っちまったからな」

エルヴィン「あらら。勿体ない(笑)」

リヴァイ「まあでも、飯は美味かった。そうか。エルヴィンが選んだホテルだったのか」

エルヴィン「まあね。ピクシス先生が『最近の若い者が好きそうなホテル』を選んでくれって言ってたからね。和風旅館と迷ったけど。やっぱりスイートの方が定番かなって思いなおして勧めてみたんだ」

リヴァイ「そうか。いや、なかなか楽しめた。助かった」

エルヴィン「私はこれからちょっと野暮用で出かけるよ。………延長戦、ごゆっくり♪」

リヴァイ「ん? 忙しいのか」

エルヴィン「まあ、それなりにね。これからコレだから(牌を握る仕草)」

リヴァイ「打ってくるのか。賭け事も程ほどにしろよ」

エルヴィン「ふふふ……私の性分だから。じゃあね」

という訳で、エルヴィンが麻雀を打ちに行ってしまった。あいつも好きだな。そういうの。

ハンジ「…………延長戦」

リヴァイ「ん?」

ハンジ「いや、まあ、いいんだけど、ね。うん」

リヴァイ「何、今更怖気づいているんだ?」

ハンジ「いや、何ていうか、スイートの時は気にしないで済んだけど。家でエッチする時は、声、どうしようかと思って。さすがに隣近所にバレるよねえ…?」

リヴァイ「心配するな。声を出させないでやる方法もある。………いくらでも」

ハンジ「?!」

リヴァイ「声が聞けないのは残念だが。それはそれで乙というものだ」

と、言って俺はハンジの腰を抱いて自分の部屋に連れ帰ったのだった。

>>99
分かりました。ではタイミングを見計らっていつか出せたらと思います。
あとついでにちょっとだけ「おまけ」を↑に書きました。
エルヴィン先生、気遣っている感じです(笑)。

(*延長戦)

玄関を開けてハンジを自分の家の中に入れた直後。

玄関のドアが閉まった直後、俺はすかさず行動を起こした。

一度、自分の方に引き寄せて、場所をチェンジ。玄関のドアに貼りつけるようにして、俺はハンジを壁ドンならぬ「胸ドン」をした。

ハンジとの身長差は約10センチ。身長差が逆だったら壁ドン出来たんだろうがな。

ハンジのちっぱいに自分の顔を押し付けて、ハンジを固定してやる。

ハンジ「え? え? な、なに? ちょっと…?!」

玄関で『下ごしらえ』をしてやろうと思った。何の? 延長戦に決まってるだろ。

ハンジ「あ、あのねえ……いくらなんでも、発情し過ぎなんじゃないの?」

と呆れ返った声が漏れたが知らん。

服の上から顔を少しづつ動かして、鼻の先で胸のあたりを探る。

ハンジ「あっ………」

掠めたな。ここだ。

唇を服の上からゆっくりなぞるように移動させて、両手はハンジの尻の方に持っていく。

指の先で爪を立てるような柔らかい刺激をハンジの尻に与えながら、服の上から胸はふわふわとした感触を味わった。

ハンジの胸の大きさは小さいが弾力はある。筋肉のそれとは全然心地が違うからな。

ハンジ「待って……あっ……ま……待って……って……ば……」

力が弱弱しくなっている。言葉とは裏腹に、まさぐられて気持ち良くなっているようだ。

ハンジ「げ、玄関でエッチとか、普通するぅ?」

と、困惑するハンジの声が可愛い。

リヴァイ「今までやった事はないが、悪くはないだろ」

ハンジ「いや、あんた『帰ったら手洗いうがいを忘れるなよ』が口癖だったじゃないの……ああっ……」

それはそうだが。まあこれは『下ごしらえ』だからこの辺でやめておこう。

リヴァイ「すまん。つい……1回くらいやってみたかったんだ」

ハンジ「もー……」

と困った顔のハンジを解放して帰宅後の習慣を行った。

手洗いとうがいは必須だ。うがいの方は「塩」も少量入れて溶かしてからうがいをする。

塩うがいだ。こっちの方が喉の中の「ぬめった」感触がとれるからだ。

さて。ハンジの白衣をハンガーにかけてやって、とりあえずリビングの席に着かせた。

俺の住むマンションの間取りは、北西側に台所。その南側にリビング。そしてその東側に8帖の洋間がある1LDKだ。

風呂とトイレと洗面所は北東側に寄っている。玄関は北側の真ん中だな。

俺の家のリビングのテレビは以前、ハンジから貰った物だ。

俺自身はそこまでテレビを見る習慣はないが、ハンジがうちに遊びに来た時はハンジが使うから、まあ置いてもいいかと思って設置した。録画用のレコーダーもハンジがいつの間にか勝手に設置していた。

いや、テレビだけではないな。ハンジは「これ面白くない?」とか言って結構、変なぬいぐるみとか、置物とかも俺の部屋に勝手に設置していく。

おかげでテレビの周りには変な置物が沢山ある。俺の家の中にはハンジの私物も結構、置いてあるんだ。

………よく考えたら置物だけじゃないな。俺の家はハンジが「部屋に入りきれなくて置けないから預かって♪」と言って押し付けられた古本も結構ある。

やれやれ。よく考えなくても、これって既に半同棲のような生活じゃないか。

ハンジは俺の部屋のすぐ上の階に住んでいるし。会おうと思えば夜中でも会える。

今までよく、手出さないでいたな。俺は。自覚した後だと、過去の自分の行動が馬鹿馬鹿しく思えた。

とりあえず帰宅後の紅茶を出してやる。俺自身も一服つきたかった。

ハンジと一緒にリビングで紅茶を飲んで、そのままソファの上でヤろうとしたが………

ハンジ「ちょい待ち」

リヴァイ「ん?」

ハンジに目の前で手をクロスされた。

ハンジ「その前に~リヴァイの部屋に入らせて♪」

リヴァイ「なんだ。ソファは嫌いか?」

ハンジ「いやいや。そうじゃなくて。………家探しさせて♪」

リヴァイ「ああ。代行の時に言ったアレ、本気だったのか」

ちょっと意外だったな。

ハンジ「YES! いやー今までリヴァイのそういうの、こっそり探した事もあったけど全然、見つけられなかったからさあ。今度こそは発見したいんだよね~どこに巧妙に隠しているのか教えてよ。いいよね?」

リヴァイ「…………………」

さて。正解を教えてやるべきか。否か。

ハンジ「ん? その反応はどういう事なのかな? ん? やっぱり見られると恥ずかしい?」

リヴァイ「今更だからな。別に見ても構わないが……」

まあいい。暫くハンジの好きにさせてみるか。

俺はハンジから離れてハンジの好きにさせてみた。ハンジは眼鏡を光らせて早速俺の部屋に入って本棚やベッドの下やクローゼットの中を念入りに探した。

ハンジ「ううーん。机の後ろとかもないし、絨毯は敷いてないからその裏側の線もないし、本当、どこに隠しているのかな~?」

と、名探偵になりきっているようだが、なかなか見つからないようだ。

ハンジ「ヒント! ヒントくらい頂戴よ!」

リヴァイ「この部屋の中にはない」

ハンジ「それ酷くない?! 先に言ってよ!」

訊かなかったハンジが悪い。

リヴァイ「ククク……さあてどこにあるんだろうな?」

ハンジは見つけられるだろうか? ハンジがどれくらい俺の事を把握しているかがここで試されるな。

ハンジ「ううーん。そういうのって、基本的に1人でする時に使う訳だよね」

リヴァイ「その為の物だからな」

ハンジ「ここにないなら、別の場所で普段やってる事になるよね」

リヴァイ「その通りだ」

俺が普段、どこで「そういう行為」をしているか当てられるだろうか。

当てて欲しいような、外して欲しいような。くすぐったい気持ちで様子を見る。

ハンジ「ううーん。どこなんだろ。自分の部屋でやってないなら、どこで……」

同じ男なら想像つくかもしれないな。女にはあまり馴染みのない場所かもしれない。

あと、この置き場所は「1人暮らし」だから出来ると言っておこう。家族がいればこの置き場所にはもう置けない。

ハンジ「……………………」

ハンジが両目を閉じて推理しているようだ。

ハンジ「まさか……!」

ハンジが洗面所の下にある掃除用具等を入れているところを開けた。

ハンジ「………・いや、ないか」

リヴァイ「狙いは悪くないぞ」

掃除用具の傍に置いていると思ったようだな。惜しい。

ハンジ「うん。お風呂に入る前にここから物を取って、お風呂で1人エッチするのかと思ったんだけど」

リヴァイ「まあそれも出来なくはないが」

ハンジ「ここじゃないなら、後は………」

ハンジがトイレに向かった。

ハンジ「まさかここ? でもここのどこにそんな「物」を隠せるのかなあ?」

おっと。近づいてきたな。さて、見つけられるだろうか。

正解は「トイレ」だ。俺の物はここに隠しているんだが、さてさて。

ハンジ「トイレ掃除用具入れの中にもないし、生理用ナプキン入れにもないし」

ハンジが出入りする事が多いからうちの家にも生理用品のストックは置いてある。

ただしすぐ見える場所には置いていない。一応、小さい蓋付きの本棚みたいなのを設置して、その中のハンジにしか分からない場所に置いている。

以前、それが他の女に見られて「同棲してんでしょ?」と言われて隠す様にしたからだ。

ハンジ「ん~? あれ? これ、なに?」

ハンジがやっと気づいたな。ポーチの中にある物を。

ハンジ「小さいノートパソコンだ。え? 何でこんなところに」

リヴァイ「ふふふ……そして物はここにある」

俺は普段持ち歩いている「USBメモリ」を財布の中から取り出して見せた。

リヴァイ「後は言わなくても分かるよな?」

ハンジ「えええええ?! つまり、あんたのオカズって「映像」って事?! エロ本じゃなかったんだ!!」

リヴァイ「その通り。こいつを繋げばトイレの中はミニシアターだ。いくらでも見放題だな」

ハンジ「嘘ー……通りで見つからない筈だよ。しかもこれだったら『トイレの中でパソコン? トイレの中だと集中出来るのかな?』って程度しか思わないよー」

リヴァイ「いや、そこまでしか思わないハンジが綺麗過ぎるんだよ。トイレにノートパソコンがあったら、普通は「下世話な想像」しかしないと思うが?」

ハンジ「ううう………いや、私もトイレにノートパソコン、置きっぱにしたりする事もあるから。仕事の件でアイデアが急に思いついたら、その場ですぐ書きたいとか思う方だから。メモとペンがない時はノートパソコン、便利だし。でもそっかあ……」

と、ハンジが天井を仰いだ。

ハンジ「データ、見てもいい? ここだとちょっとアレだから、リヴァイのデスクトップのパソコンの方で」

リヴァイ「いいのか? 後悔しないな?」

ハンジ「見たいって言ったのは私だしね。うん。見てみましょう!」

ハンジがそう言い出したので俺も気持ちを固めた。

USBメモリをテスクパソコンに繋いで自分の部屋で上映会だ。

その中の映像を見るなり、ハンジの眉間に皺が寄った。

基本的に男が見るAV物は展開が早い。エッチに行くまでの物語は割とどうでも良くて、とにかく「ヤッている」内容をいろんな角度で上映してくれるのが特徴だ。

それはどんな種類の物でも基本的には同じであり、そしてそれを初めて見た女は9割方「?!」という顔をする。

男の見るAVに嫌悪感を示す女は多い。途中で観るのを諦める女もいる。

ただし稀に最後まで興奮して付き合ってみてくれる女にもいる。そういう女は大抵「クイック」型だな。

判別する為にわざと先に見せるのも手ではあるが、あまりお勧めしない方法だ。

女によってはブルーになって「今日はいいや」と言い出す女も珍しくはないからだ。

ハンジ「…………」

ハンジはどっちのタイプだろうな? 無言で見ている様子は真剣だったが。

一通り見終わると、ハンジはすぐ「こんな感じなんだ…」と驚いた声を漏らした。

リヴァイ「何がだ?」

ハンジ「いや、男の目線って、こんな感じなんだと思うと、ちょっと意外……」

リヴァイ「ほう? 嫌悪感はないのか?」

ハンジ「いや、なんか、嫌悪感はないけど……」

言い淀んでいる。何だ?

リヴァイ「けど、何だ?」

ハンジ「その、何だろ? これ、言っていいのかなあ?」

リヴァイ「言っていいぞ」

感想だからな。好きにしろ。

ハンジ「ごめん、途中で腹が痛くなってきて、笑いを堪えるのがきつかった」

リヴァイ「ん?」

ハンジ「だって笑っちゃうでしょ!!! 正直、「ねーよ!!」って何度、心の中で思ったか……ごめん、今、笑っていい?」

リヴァイ「構わんぞ」

と言うと、本当にハンジが声を殺して笑い出した。

アレだ。笑いの沸点が上がり過ぎて声が出ない方の笑いだった。

真剣な表情だったのは笑いを堪えていたのか。

リヴァイ「どの辺がツボったんだ?」

ハンジ「全部だよ!!! 展開が超展開過ぎるし、コスプレも安っぽいし、その、そこに持っていくまでの展開が超早いし! リヴァイ、こんなのよく普通に観ていられるね!」

リヴァイ「まあその辺は『お約束』だと思ってスルーするようにしている」

ハンジ「そうなんだwwwwもう、ダメwwwお腹痛いwwww」

これは初めてのケースだな。大抵の女はげんなりするか、途中で止めるか、かえって興奮するかのどれかだったのに。

ハンジはどれにも該当しないらしい。ハンジらしいといえばらしいが。

リヴァイ「後はそうだな………男性用の物ではなく、女性用のAVも一応、データはある」

ハンジ「女性用???」

リヴァイ「研究用だな。こっちはオカズではないが、女に「合わせる」時に脳内を切り替える時にはこっちの方を参考にする」

そっちを見せたらどんな反応をするか楽しみだ。やってみよう。

所謂「ラブロマンス仕立て」のAVだ。こっちは少女漫画のノリで展開が進んでいくのが特徴だ。

おや? こっちを見始めた途端、ハンジが照れ臭そうな表情を見せた。

そして途中で停止して「こっちはいいや~」と言い出した。

リヴァイ「何で」

ハンジ「や……なんか、こそばゆいよ。うん。やめよう」

リヴァイ「ほほう?」

だったら余計に最後まで見せて見たくなるのが俺の性だが。

という訳で再生。無理やり最後まで見せてみる。

ハンジは「えええ」という顔をしていたけど、一応最後まで付き合ってくれた。

リヴァイ「………こっちの方が良かったみたいだな」

ハンジ「いや、正直、なんていうか、その………こういうのは苦手かも……」

と、言い出したが、俺はそのままハンジを自分の方に引き寄せた。

ベッドの上でお互いに仰向けになって、そしてお互いの距離を詰める。

ハンジが目を逸らした。それを無理やりこっちに向かせる。

ハンジ「…………………」

リヴァイ「こっち見ろよ。ハンジ」

ハンジ「AVの真似しないでよ~(顔隠し)」

リヴァイ「ふん………」

こっちを見ないなら見させるまでだ。ハンジの服の上からゆっくり手を滑らせる。

ハンジ「あ………」

ビクンと、驚いたようだ。俺がもうスイッチ入れたのに気付いたようだな。

顔を隠していた手を解いて俺は両手をバンザイさせて、抵抗出来なくさせて、キスをした。啄むキスの雨を降らせる。

結婚式のシーンを本編に投下してから延長戦をやろうと思ってました。
もうお腹いっぱいだよwwwという声もあるかもしれんけど。
あと少しだけお付き合いいただけたら幸いです。

とりあえず今回はここまでです。ではまたノシ

ハンジ「ん………」

ハンジの眼鏡を外してベッドサイドに置いた。

キスを頬や首筋にも与えて、額や瞼にも落とす。

耳にもキスをして少しだけ舐めると、びくっと体が震えたようだ。

ハンジ「やぁ………」

リヴァイ「嫌じゃねえんだろ?」

ハンジ「やだっ……嫌じゃないのが、嫌なのよ~」

リヴァイ「ふふっ……」

感じる自分にまた戸惑っているようだな。

ハンジ「なんかもう、今までが全部嘘みたい」

リヴァイ「そういうのを『俺の色に染まる』っていうんだよ」

ハンジ「なのかなあ? ああっ……」

胸の突起をゆっくり服の上から手で触ってやる。勿論、手加減はしてやるが。

俺の方も今日、午前中にヤッた後だから、延長戦は性急に進めるつもりはない。

出来るだけ「スロー」の方を意識してハンジを気持ち良くさせてやりたいと思った。

ハンジ「ん………」

まったりするのも悪くない。贅沢な「時間」の使い方だ。

しかしハンジは自分の手を俺の方に持って来て、腕をクロスして背中を掴んだ。

リヴァイ「ん? どうした?」

ハンジ「ん…………」

リヴァイ「ハンジ? これじゃ胸を弄れないんだが?」

ハンジ「うん。いいの。ちょっとこのままでいたい」

ん? 何がしたいんだ?

リヴァイ「……………やっぱりやめておくか?」

体力的にもう疲れているのか? 俺はまだ全然余裕だが。

女の方に負担が大きいだろうから、本当にしんどいならここで止めておくべきかもしれん。

ハンジ「違う。そういうんじゃない」

リヴァイ「……………」

何かを訴えているように思えた。ハンジは何が言いたいんだろうか。

ハンジ「……………やっぱり、リヴァイってさ」

リヴァイ「ん?」

ハンジ「フェロモン、過多だよねえ」

リヴァイ「?!」

いきなり何の話だ?

ハンジ「いい匂いするのよね。これに皆、引き寄せられているのかなあ?」

リヴァイ「待て。そんなに臭いのか?」

加齢臭だったら嫌だな。極力気をつけているのに。

ハンジ「だからそういうのじゃないってば。うん。コレを目当てに女の子はリヴァイに近づいてくるのかなって思ったら、なんか、こう、ね? 私も変な気分になってくる時があるのよ」

リヴァイ「…………」

ハンジ「香水とか、つけてないんでしょ?」

リヴァイ「ああ。俺自身は香水をつける趣味はない。女の香水は嫌いではないが」

ハンジ「そうなんだ。じゃあ私もつけた方がいい?」

リヴァイ「普段は別に要らんが。たまにつけてくれるなら、こっちとしては有難い」

香水の物にもよるが、中には凄く「クル」香りもある。

そういう夜の時だけ、つけてくれるなら俺もその、より頑張れるというものだ。

勿論、洗い立てのシャンプーの香りだけでも十分、こっちは準備は出来るが。

その辺は気が向いたらでいい。

ハンジ「オシャレな子が好きなの?」

リヴァイ「ん? いや別に。そういう意味じゃないが」

ハンジ「でも香水つける子って、結構オシャレじゃない?」

リヴァイ「? 何の話をしているんだ?」

ハンジの言いたい事がいまいち掴めない。

ハンジ「んー……リヴァイが香水好きっていうのが意外だっただけ」

リヴァイ「いや、好きとは言っていない。『嫌いじゃない』だけだ」

ハンジ「似たような意味でしょうが。あんたの場合は」

リヴァイ「厳密に言うと違う。その………無理はしなくていいんだぞ?」

気と遣わせてしまったんだろうか? すると、ハンジは……

ハンジ「んーごめん。やっぱりいいや。忘れて」

リヴァイ「おい待て。出して引っ込めるな。気になるだろうが」

ハンジ「いやーだって、ねえ?」

リヴァイ「こら。また曖昧に誤魔化すな。お前の悪い癖だぞ」

たまに煙に巻こうとするからな。油断するとすぐ逃げる。

俺はハンジの鼻をぎゅっと摘まんでやった。「痛い痛い」と言っているが、知らん。

リヴァイ「不満とか、嫌な事とか、ため込むなよ。女はすぐそういうのをため込んで、後で爆発させてキレるからこっちも困る。その都度、解決させていくぞ」

ハンジ「……………」

ハンジの視線がますます怪しくなった。分からん。ハンジの考えている事が。

ハンジ「今更言ってもどうしようもないけどね」

リヴァイ「だから何の話をしているんだ」

ハンジ「いやー………リヴァイの事を、知っているようで知らなかったんだなあって、また実感しているだけだよ」

リヴァイ「………男の顔の俺をって事か?」

ハンジ「うん。同じこと2回言うのもアレかなと思ってたけど」

リヴァイ「ああ。ホテルでも似たような事は言っていたな。それはお互い様だと言った筈だが……」

今度のそれは微妙にニュアンスが違う様に思えた。ただの勘だが。

リヴァイ「今、言ったのはあまり『いい意味』に聞こえなかったが気のせいか?」

ハンジ「相変わらず勘のいい事で……当たってるよ」

リヴァイ「何でそんなに辛そうな顔をする」

ハンジ「あら? そう? 私、笑えてない?」

リヴァイ「苦い物を食べたような顔だな。何がそんなに『苦い』んだ?」

ハンジ「もう、大体合ってるのがムカつくなあ」

リヴァイ「…………こういう俺は嫌いか?」

もしそうだとしたら、香水なんて別に要らないが。

摘まんでいた鼻を離すとハンジが左右に首を振った。

ハンジ「ううん。そうじゃないよ」

リヴァイ「じゃあ、何が気になって……」

ハンジ「もう正確には数が分からないっていう辺りが凄過ぎるよね……」

リヴァイ「!」

ハンジ「後は察して? 私もあんまり見苦しい女にはなりたくないんだ」

リヴァイ「………………」

それは嫉妬していると受けとっていいのだろうか? 俺の『過去の女』に対して。

今度のそれは以前に比べて熱量を感じた。まるで青い焔のように。

じりじりと焼ける赤い炎ではなく、一瞬で肉を断つバーナーのような熱だろうか。

ハンジの目が少しだけギラギラしているように見えた。

それにゾクッとする自分がいる上に、その、なんていうか。

こういうのは初めての経験で戸惑う自分もいる。

いかん。スローペースでハンジにやってやりたいと思っていたのに。

また手綱がうまく握れない自分が出てきた。

こういう感情を何と呼べばいいんだ? 分からない。

乱暴に抱きたくないのに。乱暴にしたい自分がいる。

ハンジが嫌がる事までしてしまいそうだ。嫌われたくはないのに。

反対の感情が混ぜこぜになって混乱した。

…………俺は一体、どうしたいんだ?

ハンジ「………差支えがなければ、さ」

リヴァイ「ん?」

ハンジ「覚えている女、だけでもいいから、リヴァイの過去を少しずつ教えて欲しい」

リヴァイ「え………」

意外な提案だった。今までの女は自分からそういう話を絶対聞きたがらなかった。

1度うっかり話した時なんか「鈍感! 最低!」とまで言われて怒られた事すらある。

なのにハンジは聞きたいと言った。そんな話をしても本当にいいのだろうか?

ハンジ「さすがに『初めての女』くらいは覚えているでしょ?」

リヴァイ「そこから聞きたいのか?」

ハンジ「うん。御免ね。ウザいって思うかもしれないけど。知らない方が、私にとっては辛いんだ」

リヴァイ「いや、ウザいなんて思わない。意外だっただけだ」

俺はハンジの髪を撫でながら、少し離れてハンジの隣に仰向けになった。

少し長い話になるからだ。ゆっくり話そう。

リヴァイ「少々重い話にはなるが………いいか?」

ハンジ「うん。大丈夫」

リヴァイ「そうか。だったら話すか」

俺は静かに1度両目を閉じて「あいつ」の事を思い出した。

リヴァイ「俺がまだ中学生だった頃。俺は14歳で、あいつはまだ10歳だった」

ハンジ「………」

ハンジが横で真剣に聞いてくれる。本当に聞きたい話らしい。

だから俺も出来るだけ、当時の事を思い出しながら話した。

リヴァイ「出会いはひょんなことからだった。俺が一人で繁華街を夜、歩いていたら、その女は路地裏で集団にボコボコにされていた。1対多数だった。あいつは必死に応戦していたが、相手は男ばかりで、女一人ではどう考えても太刀打ち出来そうになかった。俺はつい、その現場に足を突っ込んでしまってな。とりあえず男達を凹ってその「少女」を助けてやった」

ハンジ「その頃からリヴァイはヒーローやってたんだね」

リヴァイ「そういう感覚は全くなかったな。どうやらその女は盗みを働いたらしくて、それがバレて「金のありかは何処だ?!」としきりに男達に聞かれていた。店の金を持ち逃げしたらしい。金額は100万くらいだったかな」

ハンジ「OH……それは確かに凹られてもおかしくないね」

リヴァイ「だろうな。当時の貨幣価値から換算すれば、今で言う200万くらいか。金額が金額なだけに、男達も必死だったよ。それでも俺はその女の方を庇った。あのままじゃあの少女の方が殺されると思ったからだ」

あのあどけない少女の顔は今でもはっきり思い出せる。

リヴァイ「とりあえず俺はその少女を連れて逃げた。繁華街は俺の庭みたいなもんだったし、奴らを撒くのは簡単だった。そして開口一番、少女に言われたのが『俺を命を賭けて助けて貰った恩は一生忘れねえ。出来ればすぐにでも嫁にしてくれ』だった。こっちは別に命をかけたつもりはないが、さすがに幼女過ぎると思ったから、俺も『初潮が来てから出直せ』と言ってやったが」

ハンジ「ふふ……リヴァイらしいね」

リヴァイ「ああ。その少女は続けて『分かった! じゃあ「しょちょう」ってやつが来たら、嫁にしてくれ! ……しょちょうって何だっけ?』と言い出して、まさかそこから性教育が始まるとは思わなかった」

ハンジ「ぶは! そっか。10歳ならまだ微妙に分かんない時期かもね」

リヴァイ「ああ。意味が良く分かってなかったよ。それでも、何とか説明してやって、そしてそいつは俺と同じ、孤児だって事が分かった。所謂施設の子供だったんだが。お互いに違う場所の施設に当時いたから、俺は一か月後くらいに自分からそいつの施設に会いに行ってやった」

ハンジ「あら? 待ちきれなかったの?」

リヴァイ「そうじゃない。何となく、またあいつの顔を見たくなったんだよ。で、当時何で金を盗んだのか後から問いただしたら『俺、美容師になるのが夢だから、将来、そういう学校に行きたいんだ! その為のお金が欲しかった』と言い出してな。施設を出たらすぐにでも美容師の資格が取れる学校に行こうと思って、そういう行動に出てしまったらしい。俺は当時の100万は返した方がいいと言ってやって、高校生になったら、金を借りて「奨学金」という制度を使えば学校に行けるという事を話してやった」

ハンジ「ううーん? 意味分かってくれたのかな。その子」

リヴァイ「大分混乱していたようだが、まあそこは何とか説き伏せたよ。そもそも100万盗んだなんて前科が表沙汰になれば美容学校に行くどころじゃなくなるからな。そこは示談でどうにか解決したらしい。それからそいつとは定期的に会うようになって、だんだん、仲が良くなっていった。そしてあいつが11歳になった年。少し早いとは思ったが生理がきたらしくてな。それを確認した後に、俺はそいつとヤる事になった。当時15歳で、あいつが11歳だから早熟と言えばそうなるが。俺もそういう「気分」になるのは初めての経験で、いろいろ戸惑った」

ハンジ「なんだー。リヴァイ、私より初体験、早かったんじゃん。だったら私に文句言えないよね」

リヴァイ「うるさい。そこは別問題だろ。まあそんなこんなで、すったもんだの末の初体験だったが………」

今思えば何故、あんなに油断していたのか。

俺はあの時の事を今でも深く後悔している。

リヴァイ「俺はその行為をした後、あいつを送って帰ろうと思っていた。なのにあいつは照れくさそうにしていて……『他の皆にバレたら恥ずかしいから家に1人で帰る!』って言ってきかなくてな。1人で本当に自分の施設に帰っていったんだが。その帰り道……あいつは……」

俺はそこで1度区切った。

リヴァイ「あいつは、帰り道、変質者の男に誘拐されて、その……いろいろされた挙句、殺されたんだ」

ハンジ「!」

リヴァイ「恐らく、そういう行為をした『直後』だったから、油断もあったんだと思う。加えてあいつに色気のような物も出てきたせいだと思う。俺は後からその事を知って、愕然とした。あの時、無理にでも帰り道、あいつを送って帰っていれば、あいつは死ぬ事はなかった。もし誰かに襲われても、俺が絶対守ってやれた。たとえ相手を殺してしまったとしても。俺が傍に居さえすれば………」

ハンジ「……………」

ハンジが絶句していた。無理もねえ。この話を人にしたのは初めてだしな。

エルヴィンにも「初めての女は俺より先に亡くなった」としかまでしか伝えていない。

ここまで詳細に俺の過去の女の事を話したのはハンジが初めてだ。

リヴァイ「その少女の名前は『イザベル・マグノリア』と言った。生きていれば、ハンジのひとつ下の35歳だな。今も命日には墓参りは毎年欠かさず行っている」

ハンジ「じゃあその子が、リヴァイにとっての初恋の子だったんだね」

リヴァイ「そうなるんだろうな。その事件が起きてからの俺は暫くの間は呆然と生きていた。やさぐれたのはそのせいもある。だからそれ以後、女に誘われては、逃げるように女を抱いていた。勿論、抱かない時もあったが。女の体を洗う事が好きだと自覚したのは、イザベルを初めて洗ってやった時の事を無意識にトレースしていたせいもあるかもしれん」

ハンジ「もう馬鹿! 何でそれを先に言わないのおおおおお!」

ハンジが涙を零してボロボロ泣いていた。

リヴァイ「言える訳ねえだろ。こんな重い話を。ここまで詳しく話したのはハンジが初めてだ」

ハンジ「そうなの? でもそれ、先に知ってたら、私、絶対、お風呂嫌がってなかったよ!」

リヴァイ「そうだったのか?」

ハンジ「だって、最初は『なにこの変な人???』程度だったしね! そんな深い意味があるなんて思う訳ないでしょおおお!」

リヴァイ「ううーん。いや、でもな。もうそれは『過去』の事だしな。いつまでもイザベルの事を想い続けても、いかんとは思っている」

死者を想い続けても無意味だ。もう2度を会う事は出来ないのだから。

リヴァイ「いつかは忘れないといかんとは思っている。ハンジと結婚するのだし、今年はもう墓参りは……」

ハンジ「ダメだよ! 墓参りは行かなくちゃ!」

リヴァイ「え?」

ハンジ「むしろ私も一緒に行くから!!! 絶対、忘れちゃダメだから! そういうのは!」

リヴァイ「いや、でも……」

ハンジ「私も両親、他界しているの。だから、いいんだよ。人の死は、忘れちゃダメだって分かっているから!」

リヴァイ「そうだったのか……」

それは初耳だった。

ハンジ「うん。高校1年生の時に、事故で両親、先に亡くなっているからさ」

リヴァイ「高校1年だって?」

その時期は、ハンジがエルヴィンと出会った年じゃないか。

ハンジ「高校入学直後、だったかな。幸い遺産はあったし、私自身が頭もそれなりに良かったから高校を辞める必要はなかったけど。でも、しんどかったよ。あの時は。エルヴィンが居たから、あの時は助かったけど。だから私にとっては、エルヴィンは2番目のお父さんみたいな感覚だったんだよ。今思うと」

リヴァイ「ああ……」

合点がいった。ハンジがエルヴィンに妙に懐いているのはそのせいだったのか。

それならもう、仕方がないような気がした。こいつも当時はいろいろ辛かったんだろう。

ハンジ「イザベルの命日はいつ?」

リヴァイ「………12月26日だ」

ハンジ「誕生日の次の日って! あんた、12月にいろいろあり過ぎるよ!」

リヴァイ「だろうな。ちなみにイザベルの誕生日は26日。あいつは誕生日も俺と近かった」

ハンジ「なんか怒涛じゃないの。はあ。そっか……リヴァイもいろいろ背負って生きてきた訳なんだね」

と、よしよしされてしまった。

ハンジ「話してくれてありがとう。御免ね。私もまさかそこまでの物を抱えているなんて思わなかったからさ」

リヴァイ「いや、それは別にいいんだが……」

これで少しはハンジの胸のつかえが取れたのであればいいが。

リヴァイ「他に聞きたい事はあるか? 俺も出来るだけ話そうとは思うが」

ハンジ「ん~……じゃあ、イザベル以外で本気の恋は何人してきた?」

リヴァイ「それは何を基準に『本気』と考えればいいんだ?」

ハンジ「んー……取り敢えず半年以上交際が続いた数で!」

リヴァイ「………片手で数えられる程しかいないな」

ハンジ「5人って事?」

リヴァイ「3人だ。他のは3か月程度だったり、短いと1か月とかも珍しくない」

ハンジ「なるほどね。分かった。今まで不思議でしょうがなかった謎が1個解けたよ」

リヴァイ「え?」

ハンジ「あんたの周りに寄ってくる、女は皆、察したんだろうね。あんたの心の奥の底に「イザベル」の想いが残っている事を。だから、それに勝てないと思った時点で自分から離れていったんじゃないかな」

リヴァイ「え………」

衝撃の事実を突き付けられて自分でも驚いた。

そんなつもりはなかった。微塵も。それはないと自分では思うが。

ハンジがそういうならきっと「そう」なんだろう。こいつは頭がいい。そういう事には敏感だ。

ハンジ「いや、もちろん、女同士で牽制しあって嫌がらせされて滅入って離れたパターンもあるとは思うけど。でもそれだけが原因だとしたら、その数はおかしいんだよね。根本的な理由が絶対、何処かにあるとは思っていたけど。私への想いというより、その「イザベル」への想いを皆、薄々察していたんじゃないかな」

リヴァイ「そんなつもりはなかった。俺はイザベルの事を他の女に話した事はない」

ハンジ「女って、勘がいいんだよ? 会話の端々で気づいたりする生き物だから」

そうなのか。それは知っていたが、そこまで性能がいい生き物だとは知らなかった。

リヴァイ「…………何だか申し訳ない気持ちになるな」

ハンジ「しょうがないよ。私だって、イザベルには勝てないと思うし」

リヴァイ「は? 何を言って……」

ハンジ「私は2人目の奥さんみたいなもんだよね。まあ、それでもいいか」

リヴァイ「馬鹿言うな。俺は初婚だぞ」

ハンジ「そう? でも生きていたらイザベルと結婚したでしょ。絶対」

リヴァイ「…………」

即答出来ない自分に気づいて自分でも動揺した。

俺はハンジを愛しているのに。

そんな自分に気づいて愕然としていると、ハンジの方が笑った。

ハンジ「……いいんだよ。それで。人生って、何がどうなってどう転ぶか分かんないし。もしかしたら、リヴァイとエルヴィンがくっつく未来だってあったかもしれないし?」

リヴァイ「その件を出すのはやめろ。見ないようにしたいんだが」

ハンジ「ははは! 本当は満更でもない癖に」

リヴァイ「お前な、過去の女には嫉妬して、エルヴィンはいいのか? 俺が本当にエルヴィンに迫られたら、ハンジは嫉妬しねえのか?」

ハンジ「んー嫉妬はするけど。でも、子供は作れないしね? そのアドバンテージはあるし?」

リヴァイ「おい。見栄を張るな。本当は嫌なんじゃないのか?」

ハンジ「……………まあ、そりゃ独占されたら嫌ですけどね? ちゃんと戻ってきてくれるよね?」

リヴァイ「まるでエルヴィンと不倫しているような言い方はやめろ。俺はエルヴィンと寝る気は蟻の触覚ほども思わん」

ハンジ「ん? それって結構、面積的には「有り」なんじゃ……」

リヴァイ「他に「小さい」表現が思い浮かばなかっただけだ!」

ハンジ「あはは! ごめん! そうだよね。あったら私も困るし?」

と、曖昧に笑うハンジだった。全くこいつは…。

ハンジ「そりゃ私も、10代の頃ならイザベルの事やエルヴィンの事も『嫌だなあ』って思ったかもしれないけどね。もう36歳ですし? 生きていればいろいろあるの、分かりますから。リヴァイが本気の恋、経験してない筈がないって何処かで思っていたし。気持ちを封印出来る程の男なんだから。そりゃそういう話、あって当然でしょ?」

リヴァイ「そう思う事と『感情』は別物だろうが。お前はたまにそういうところあるよな。あんまり俺の前でいい子ぶらなくてもいいんだぞ?」

感情をむき出しにして怒ってくれても別にいい。

むしろあんまり物分かりが良すぎるとこっちも戸惑う時がある。

ハンジ「ええ? 私、そんなにイイ子じゃないよ?」

リヴァイ「いや、今までの経験から言えばハンジは、その……男のいろんな物を「受け入れすぎる」気質がある。初エッチの時もそう思ったが……お前を抱いてきた男達が、何故焦ったセックスばかりやっちまったのか、やってみて初めて理解出来たぞ」

ハンジ「ん? それって私の方に原因があるの?」

リヴァイ「その……原因っていう程のものじゃないかもしれんが。お前に「誘導」される感覚があった。焦ったらいかんと思いつつも、許されてしまうと、自分勝手なセックスに溺れそうになる。男は基本的に単純な生き物だ。出来る事ならインスタントでもいいから数多くの子孫を残したいと言う「本能」が宿っている。放っておけば、許されるなら何人の女をとっかえひっかえ抱いても構わんと心の底では思っているようなゲスな生き物なんだよ」

ハンジ「OH……そうなんだ。いや、そこは動物だからしょうがない部分だけどね。他の種族だと、発情期に入ると死ぬまでヤリ続けるオスとかもいるからね」

リヴァイ「そうなのか。憐れな生き物だな」

ハンジ「オスとしての本能のみで生かされるってのも、可哀想だよね。私、そういう生物として生まれなくて良かったなってつくづく思うよ」

と、何故か生物談義になってしまった。

ハンジ「そういう意味じゃ『1人の優秀な男の遺伝子』を女が群がって『後世に伝えようとする』のは自然の摂理でもあるんだよね。世が世なら、リヴァイは100人くらい側室抱えても別に問題無さそうだよね」

リヴァイ「大げさ過ぎる。100人も女を抱えられるか! ………せいぜい、2~3人だろ」

ハンジ「おっと、本音が出たね! やっぱりそういう感情、あるんじゃん!」

リヴァイ「お前が赤裸々に言うからだろうが! いや、浮気をするつもりは毛頭ないが」

何でこんな話になったんだ? いかん。ハンジに乗せられている気がする。

ハンジ「うん。浮気したら、浮気相手を殺すから。………こっそりとね」

リヴァイ「え?」

ハンジ「ふふふ……大丈夫だよー。リヴァイの見えないところでやっておくから。私が気づかないとでも思ったら大間違いだからね?」

おっと。ハンジが黒い顔になった。そうか。そういう感情はちゃんと「ある」んだな。

安心した。それくらいの気概がないなら結婚する意味なんてない。

リヴァイ「分かった。俺もハンジに手出す奴がいたら、殺しに行く」

ハンジ「おっと。こりゃ参ったね。リヴァイを犯罪者にしちゃいけないね」

リヴァイ「ああ。俺は殺そうと思えば本気で人を殺せるからな」

そのことはハンジも既に知っている。正当防衛ではあるが俺は過去に罪を犯している。

それ以外にも、死なせてしまった事もある。だから「その時」がもし本当にきたら躊躇いはないだろう。

そういう自分を自覚した上で、俺はハンジに言った。

リヴァイ「ハンジは本当に、エルヴィンは恋愛対象外だったのか?」

ハンジ「え?」

リヴァイ「いや、父親のような存在と言っても、過去に一度、そういう事を「した」訳だし。全くなかった訳じゃないんじゃないかって、思うんだが」

ハンジ「うーん。でもエッチはなんていうか「あれ?」って感じだったしね」

リヴァイ「その「あれ?」が良く分からんのだが」

ハンジ「痛くはないけど、気持ち良さもそこまでないみたいな。そりゃリヴァイとの方のエッチの方が数段、気持ち良かったよ?」

リヴァイ「そうか」

ハンジ「え? やっぱり気になるの? エルヴィンのこと」

リヴァイ「うっ……」

エルヴィンだからこそ、気になると言った方が正しいか。自分でも小さい男だという自覚はあるが。

リヴァイ「気にならん訳がねえだろ。だってあのエルヴィンだぞ」

ハンジ「そうなんだ。じゃあ私とエルヴィンがプライベートで2人きりで会ったりしたら嫌なんだ」

リヴァイ「絶対2人きりは許さん。俺もついていく」

ハンジ「うふふふ~いい事聞いちゃった♪ 分かった。じゃあエルヴィンと会う時は絶対、3人で会おうね」

という約束をする事になってしまった。

ハンジ「リヴァイもそうしてね。2人で酒飲むのは今後、禁止だから。エルヴィン、障害があればあるほど燃える方だから。本当に不倫になっちゃやーよ」

リヴァイ「ああ。当然だ」

ハンジ「あと、ファンの子達との触れ合いも『キス』とかしたらダメだからね。『ハグ』までなら許してあげるけど」

リヴァイ「ん? 何でいきなりファンの子の話になる?」

突然話題が逸れて驚くと、

ハンジ「んーこの際だから話しておこうかと思って。リヴァイ、ファンクラブの件、ほったらかしにするつもりじゃないんでしょ?」

リヴァイ「ああ。いずれはどうにかせんといかんとは思っていたが」

そう言えばミカサに『忠告』されていた件を思い出した。

リヴァイ「ミカサに言われたんだが……俺は教職を辞めない方がいいらしい」

ハンジ「そりゃそうでしょうが! あ、もしかして気が変わった?」

リヴァイ「というより、俺が教職を辞めると『かえってまずい』そうだ。ハンジが今より陰湿な嫌がらせを受ける可能性があると。むしろ俺が直接目を光らせた方がまだマシだと。ミカサがそう忠告してくれた」

ハンジ「さっすが! ミカサもいろいろ苦労してきたんだねえ。そこに気づいたんだね」

リヴァイ「お前も気づいていたのか?」

ハンジ「ん~可能性はあるかもとは思っていたよ。でも、リヴァイが『辞める』っていう選択はリヴァイ自身が決める事だし。私自身は辞めて欲しくないけど。リヴァイがどうしてもそうしたいなら、止める事は出来ないかなとは思っていたよ」

リヴァイ「そうか……」

でもそれが仇になるなら俺が教職を辞める方がマイナスだ。

リヴァイ「教職を辞める事でマイナスになるなら意味がないな。辞職の件は1回取り下げようと思っている」

ハンジ「良かった! 気が変わって。これで学校でも一緒にお仕事出来るね!」

リヴァイ「………嬉しそうだな」

ハンジ「そりゃあね。だって、仕事も家でも一緒に居られる方が女としては嬉しいもんですよ?」

リヴァイ「そうなのか?」

ハンジ「あ、中には『息苦しい』っていう女の人もいるけどね。でも私達の場合はリヴァイが教職辞めちゃったら、一緒に居られる時間の方が減っちゃうんじゃない?」

リヴァイ「……それもそうだな」

危なく間違った選択をするところだった。ミカサには借りが出来たな。

リヴァイ「というより、何故ハンジはその可能性を俺に指摘しなかったんだ?」

ハンジ「ん? ああ……」

リヴァイ「ミカサがポンポン遠慮なく意見を言う奴だったから良かったが。それがなかったら気づかないで馬鹿な選択をするところだった」

ハンジ「ん~こういうのって、私から言っても信じて貰えないかなと思って」

リヴァイ「そうか?」

ハンジ「そういうのってあるじゃない? ミカサっていう『第三者』の視点からの意見の方が受け入れやすいし。それに私からそれ言っちゃったら、なんか「か弱い私を守ってよ!」みたいな? そんなの恥ずかしいじゃないの」

リヴァイ「……………」

なんかこう、ちょっとだけイラッとした。その発言は。

だからつい、頬を両方に引っ張ってイライラを発散させてやった。

ハンジ「ひはい! はひふふほ! (痛い! 何するの!)」

リヴァイ「いや、ついつい。頬を引っ張ってやりたくなった(手離す)」

ハンジ「何で?! 私、何か変な事言った?!」

リヴァイ「言ったな」

ハンジ「どこが?!」

リヴァイ「『か弱い私』を隠そうとしたところ」

ハンジ「んん?」

リヴァイ「お前だって弱い部分はあるだろ。俺に守らせてもくれないのか」

ハンジ「………………」

リヴァイ「自立した女であるところはハンジの美点だけどな。何でも度が過ぎると可愛くないぞ」

ハンジ「わ、私はそんなに元々、そういう可愛い性格してないからなあ」

リヴァイ「嘘つけ。ハンジは可愛い女だろうが」

ハンジ「やめてー! 今、そういうこと言うのやめてー!」

リヴァイ「こら、耳塞ぐんじゃない」

と、言って両手を取って妨害する。

リヴァイ「強い女である事は知っている。でも、俺の前でもずっと強がるのはよしてくれ。何か困った事があったらすぐに言ってくれ。俺はそんなに頼りない男なのか?」

ハンジ「馬鹿言わないでよ! リヴァイ程、頼り甲斐のある男はそうそういないよ?!」

リヴァイ「でも、お前は肝心な部分を隠していたじゃないか」

ハンジ「そ、それは……」

リヴァイ「ハンジが辛そうな顔をするのは俺だって辛い。俺もハンジに頼る事はある。だから、これから先は出来るだけそういう『負』の部分も俺に見せてくれないか」

ハンジ「いいの?」

リヴァイ「結婚するという事はそういう事じゃないのか? これからは2人で生きていくんだろ?」

ハンジ「………………」

ハンジがまたうるうるし始めた。もう離さない。

ぎゅっと抱きしめてやって、自分の中に閉じ込める。

涙を吸い上げるようにキスをした。ぐちゃぐちゃになってもいい。

その度に俺がハンジを綺麗にしてやればいい。

そう思いながら丁寧に愛撫を続けていたら、俺の方もだんだんその気になって来た。

いや、既に準備だけならいつでもOKだが。それはその、感情の高ぶりという奴で。

俺はハンジの服を全部脱がせた。ああ。また、自分のルールを自分でぶっ壊している。

基本がすっ飛んで行く感覚がある。でもどうしようもない。

ハンジを前にすると俺は理性がうまく働かないようだ。

痛がるかもしれない。でもまた食らいたい。

ハンジに少しだけ強い刺激を与えながら俺は狭いベッドの上でハンジを抱いた。

正常位は恐らく、バックに比べたら痛みを伴うんだろう。

それでも、それを受け入れてくれるハンジが愛おしくて堪らなかった。

正常位の1番いいところは顔を見ながらヤれるところだ。

ハンジの反応を逐一確認しながら、俺は性急にハンジと繋がっている。

ハンジ「ん……ああああっ……待って! 声……どうしょう!」

リヴァイ「俺の肩でも噛んでおけ」

ハンジ「ええええ? 歯型ついちゃうよ?!」

リヴァイ「構わん! 噛み千切れ!」

痛みを負担しているのはハンジだけじゃなくてもいい。

俺もその痛みを共有しよう。ハンジを抱く為なら構わない。

ハンジ「ん……ごめん!」

ハンジが俺に縋り付いた。声を漏らさないようにする為に俺を『食べた』のだ。

構わない。俺もハンジを『食らう』のだから。

ああ。頭の中が白く染まっていく。

汗が滴り落ちて、ベッドシーツが濡れていく。

ホテルでやった時より荒々しく、そして短い時間の営みだったが、それでも十分満足出来た。

リヴァイ「はあ……はあ……はあ……」

また、中だししちまった。今度は考える余裕すらなくぶち込んだ。

ああ。どうしようもねえ。心臓が痛い。

これじゃあハンジの過去の男と何も変わらないじゃねえか。

優しくしてやりたかったのに。何でこうなる。

今までの事が嘘のようだと、ハンジは言うが。それは俺も同じだった。

こんなに余裕のないセックスじゃなくて、本当は、ハンジにもっと、優しく……。

ハンジ「はあはあ……はあ……」

涎を零したまま虚空を見ているハンジに俺は「すまん」と声をかけた。

リヴァイ「今のは、酷いやり方だったな……」

ハンジ「え? そうなの?」

リヴァイ「ああ。本当はスローの方を教えてやろうと思っていたのに。また逆の事をやってしまった」

ハンジ「あはは……そうだったんだ。天邪鬼だねえ」

リヴァイ「かもしれねえな。まだイッてねえだろ。ハンジの方は」

ハンジ「いや、もう今日はこれ以上はイカせて貰わなくても十分だけどな」

リヴァイ「そんな事言うな。何度でもイカせてやるぞ」

ハンジ「いや、気持ちは有難いけど、イクのって疲れるんだなって思ったから。程ほどでいいよ。リヴァイは疲れないの?」

リヴァイ「そろそろポリビタンCが欲しくなる頃合いだな」

冷蔵庫にあった筈だ。1本補充しようかな。

ハンジ「やめてー! これ以上やる気にならないでー!」

リヴァイ「無理な相談だ、飲んでくる(立ち上がる)」

ハンジ「あー!」

俺はハンジを放置して裸のまま冷蔵庫を漁ってポリビタンCを手に取るとハンジにも1本渡してやった。

ハンジ「あ、ありがとう……これで延長戦、まだいくの?」

リヴァイ「いや、それは無理はしなくてもいいが。飲んでおいた方が明日の為にもいいしな」

ハンジ「ああ、そういう意味もある訳ね。うん。頂きます」

ぷはー。1本一気に頂いてしまおう。

ハンジも飲んでしまった。いい飲みっぷりだな。

ハンジ「汗、すごいねえ。リヴァイ、シャワー浴びないの?」

リヴァイ「一緒に風呂入るか?」

ハンジ「うん。さすがにちょっとベタベタが酷いし」

という訳で汗を流す為に風呂場に移動する。ハンジは勿論、お持ち帰りお姫様抱っこ仕様だが。

シャワーの熱を出してやると、気持ちよさそうにハンジがお湯を浴びた。

俺の方にも湯を当てる。ざっとお湯で汗を流し終えたら、石鹸でタオルをもこもこしてハンジを先に洗ってやろうとしたら…

ハンジ「たまには私もやってあげようか?」

リヴァイ「え?」

ハンジ「リヴァイ程、うまくは出来ないだろうけど。背中だけは私がやった方がいいでしょ?」

リヴァイ「いいのか?」

ハンジ「うん」

リヴァイ「じゃあ無理しない程度に頼む」

そしてハンジに後は任せた。ん? ちょっと右肩が沁みるな。

ああ。肩にちょっと噛み跡が残ったのか。

ハンジ「ごめんね~出来るだけ噛まないように気をつけたけどダメだった」

リヴァイ「いや、この程度の傷は大した事ない。後で塗り薬でも塗っておけば大丈夫だ」

ハンジ「ん。後で手当てしてあげるね」

と、優しい声で言ってくれる。いかん。また、ムラッとこう……。

もうダメだ。なんだこの感覚は。

ハンジとの『一線』を越えたからの俺はダメダメじゃねえか。

情けない男にどんどん成り下がっていく。

一線を越える前より『後』の方が楽しいというか、「もっと」という感情が湧き水のように溢れて来て困る。

沸いてくる頭の熱を無理やり押さえて目を閉じていたら、ハンジが丁寧に体を洗ってくれた。

その感触が心地よくて、さっきイッたせいもあってか、だんだん眠くなってきた。

一瞬、寝落ちてふらっとする。ハッと気を戻すとハンジに「ぷっ」と笑われた。

ハンジ「やっぱり疲れているんじゃないの。もー見栄っ張りはどっちなんだか」

リヴァイ「いや、今のは……その……」

ハンジ「目が半分しか開いてないよ。もー今日はこれ以上はいいんじゃない? 私もお湯浴びるだけでもいいよ?」

リヴァイ「そうか?」

ハンジ「今、お湯の中に入ったら絶対、うたた寝して溺れるね! 賭けてもいいよ?」

リヴァイ「………そうだな」

ざっと体だけ洗って、俺達は風呂からあがった。

ハンジに肩の噛み傷に薬を塗って貰った後は、時計を確認した。

少し小腹がすいてきた。今、何時だろう?

リヴァイ「もう夕方の5:30か。AVみたり長話したり、セックスしたらもうこんな時間か」

ハンジ「改めて言わなくていいから! 晩御飯どうしようか?」

リヴァイ「冷蔵庫のありあわせでいいよな? 買い物に行くのが面倒だ」

ハンジ「おお………まるで主婦のようだ」

リヴァイ「いつもの事だろ。さて、と」

と、冷蔵庫の中を見て野菜の残り物と卵しかないから……

リヴァイ「飯もないし、ストックの麺を茹でて済ませるか。あとは野菜炒めみたいなのでいいか?」

ハンジ「十分です! ありがとうね!」

という訳でその場で30分くらいかけて簡単な夕食を作ってハンジと一緒に食べた。

ああ。何か幸せだ。ただ、こうやって一緒に飯食ってるだけなのに。

ハンジが美味そうに食っている。おかわりまでして食べている。

ハンジ「やーお腹すいててね! 恥ずかしいけど。運動するとお腹すくのよね」

リヴァイ「だろうな。今日は結構、カロリーを消費したんじゃないか?」

ハンジ「かもしれないねー」

そんな風に笑って言い合って、食べ終えたら片付けて。

夜になった。明日は学校がある。

ソファに座って一緒にテレビのニュースを見たり。

ただ、それだけなのに。

ハンジ「ん?」

ハンジと一緒にいるのが幸せだ。

ハンジ「どうしたの? あ、食べかすついているとか?」

じっと見ていたらそう言われた。

リヴァイ「いいや? なんとなく見ていただけだ」

ハンジ「えええ? 今日はもうおしまいだよね? 明日もあるんだよ? お仕事が」

リヴァイ「そうだけどな」

触りたい。そう思って手を伸ばしたら……

ハンジ「そろそろ自分の部屋に戻ろうかな」

リヴァイ「え?」

何だって?

リヴァイ「今日はもう、うちに泊まって行けばいいじゃねえか」

ハンジ「や……それやっちゃうと、私もけじめがつかないし。そんなに熱っぽい目で見られたら私も困っちゃうよ」

と、言って赤くなるハンジだった。

くっ……もやもやする。そんなハンジを自分の部屋に閉じ込めたい。

と、一瞬思った自分が怖いと思った。いかん。理性壊れ過ぎだ。落ち着け。俺。

ふーっと深呼吸をして落ち着かせた。ハンジを部屋まで送ってやらないと。

ハンジの白衣をハンガーから外してそれを着せてやる。

リヴァイ「分かった。じゃあ部屋まで送ってやる」

ハンジ「過保護だねえ。まあ、嬉しいけどさ」

と言いつつ2人で部屋を出て、ハンジの部屋のある3階まで移動した。

ハンジが自分の部屋のカギを開けて中に入って「じゃあね」を言ったその時……

俺は自分でも驚く行動に出てしまった。

ハンジ「……え?」

ハンジがドアを閉める寸前に足を挟んで、ドアを無理やり開けて、ハンジの部屋の中に入っていた。

扉が閉まるのが嫌だった。まるでハンジが隠れてしまうような感じがして。

ハンジ「ど、どうしちゃったの? リヴァイ……」

リヴァイ「今夜はこっちに泊めてくれ」

ハンジ「ええええ?!」

リヴァイ「もう、今日は散々やり尽したから、身体を繋ぐことはしない。でも、ハンジに触れていたいんだ」

ハンジ「…………っ」

ハンジがうるっとなって困った顔をしたけれど、俺は強引にハンジを抱き抱えてハンジの部屋まで入って行った。

ハンジ「強引だなあもう……」

と言いつつも、ハンジが嫌がっていなかった。

ハンジ「でも嬉しいかも。リヴァイの我儘なところも、好きだしね」

そんな風に言われたら、またやる気が出てきそうになるが。そこはさすがに押さえて。

俺はその日の夜、最後に体を繋がないセックスの方を楽しんだ。

寝る前までの時間をただ、ゆっくりとお互いに触り合うだけの物だ。

時間にして1~2時間程度のスローセックスだったけど。

お互いに抱き合って狭いシングルベッドの中で。静かに行為に耽った。

俺はもう、これを無しには生きていけない。そう思いながら。

ハンジの肌の温もりの中で穏やかに、その日は眠りについて、

俺にとっての最高の夜を再び過ごしたのだった。

ラストはまったり過ごしました。
これにて本当のラストです。初夜編、長くてすんません!

ではまた本編でまた会いましょう!

そうか、イザベルのこともエルヴィンのことも飲み込んだ
このハンジの覚悟を受けてのリヴァイの結婚式の愛している発言なんだな…

>>135
イザベルもエルヴィンも、あと他の過去の女、全て含めてですね。
リヴァイがあの場面で「自然」と「出てきた」言葉が
「好きだ。愛している」だった訳です。

(入籍初夜編)

終わった。

とりあえず、終わった。

ハンジと一緒に自宅に帰り着いたのは12時を回っていた。もう深夜1時に近い。

結婚式、披露宴、そしてその後の二次会も終えて何とか自宅に帰り着いた。

長い一日だった。過去最大の長い一日だったようにも思える。

学校での披露宴を終えて片付けて、その後は高校や大学時代の友人達を中心に飲み会を行った。

その席では俺の放浪時代の知人も何名か来てくれた。

昔、「リヴァイ総長」という異名で俺の事を慕ってくれていた奴らだ。

高校を中退してからの俺は本当に、流浪の旅の中で生きてきた。

その中で、そういう「ヤンキー集団」の抗争に巻き込まれる事も多々あり、その時に世話になった奴らは披露宴ではなく、こっちの二次会の方に呼んだ。

流石にヤンキー時代の知人と生徒達を会わせる訳にはいかんからな。

ヤンキーの頃は酷い格好をしていたそいつらも、今は落ち着いて普通に社会人をやっている。

建築関係や土木作業員とかだな。大学時代、そっちの仕事で俺は沢山世話になった。

そして浴びるように酒を飲んでタクシーに乗って家に帰ると、不思議と現実に帰ってきた感覚が戻る。

今日という日はまるで「夢」のようだった。

いや、夢じゃないけどな。俺はハンジと結婚したんだ。

ハンジ「ただいまー!」

リヴァイ「おかえり……って、おい。夜は逆だっただろ?」

ハンジ「あ、そうだった! おかえりなさい。リヴァイ」

一緒に玄関に入って鍵を閉めて、そう言われると急にこみあげてくるものがあった。

リヴァイ「………………ただいま」

思えば初めて、ハンジに「いってらっしゃい」と言われた時もそう思った。

あの時は気づかなかったが、人に「いってらっしゃい」と言われるのは、凄く嬉しい事なんだな。

これからはきっと、そういう「言葉」を重ねていくのだろう。俺はハンジと共に。

ハンジ「あ、塩うがい~塩うがい~っと」

ハンジはほろ酔い状態でちゃんと手洗いうがいを済ませて、荷物などをとりあえず、居間の方にまとめて置いた。

風呂に入りたいのに、体が重いな。どうするかな。

酒が入っている時はあまり入浴はお勧めしない。体には余り「良い事」ではないからだ。

シャワーだけで済ませるか。そうしよう。

と、思ったその時、

ハンジ「さーて、三次会にいきますかね~うしし~」

と言ってハンジが居間に酒とグラスを持ってきたのでびっくりした。

リヴァイ「おいおい、まだ飲むのか?」

ハンジ「私、まだ10杯くらいしか飲んでないよ。二次会でもおしゃべりばっかりしてて、飲み損ねちゃった」

リヴァイ「えええええ………」

ハンジ「あ、リヴァイはもう飲めない? 20杯越えているなら明日に差し障るし、やめる?」

リヴァイ「…………いや」

この時、俺は誘惑に負けた。

ハンジに酌をして貰えるなら、ちょっとだけ飲みたい。

リヴァイ「1杯だけつきあおう」

ハンジ「了解~リヴァイの分のグラスも持ってくるね」

という訳でここからは俺とハンジだけの「三次会」だ。

乾杯して、軽く飲む。ビールだけどな。あーうまい。

でもこの時の俺は、どのくらい「酒」を飲んでいたのか覚えていなくて。

二次会の時点で多分、20杯を越えるか越えないか、ギリギリのラインだったのかもしれない。

だからこのビールを1杯飲んだ後、俺はだんだん意識が揺らいでいって、そのまま寝落ちてしまったようなんだ。

で、目が覚めると、困った顔で俺を見つめるハンジが横に居た。

ん? ここは何処だ?

ああ、ベッドか。あれ? 居間で飲んでいた筈じゃ……

ハンジ「あーやっと起きた。おはようー」

リヴァイ「え? おはよう?」

ハンジ「うん。もう朝だよ。朝の7時だねー」

リヴァイ「?!」

え……嘘だろ。ちょっと待て。

新婚初夜を寝て過ごしたのか。俺は。

なんて事だ。勿体ない事をした。本当ならハンジとあんな事やこんな事を……

ハンジ「起きてくれて良かったー。リヴァイ、ずっと私の手、握って離さないんだもの」

リヴァイ「え?」

ハンジ「面白かったよー。ビール飲んだ後、急に私にくっついて、ずっと私の胸の中で顔、スリスリしてきたよ。新年会のあの時のように。で、手をずっと握ってね。私がトイレに行こうとしても離れないし。あと何故か全然しゃべらないから、全部ジェスチャーと雰囲気で意思疎通するしかなかったよ」

リヴァイ「!!!!!!」

なんだそれは。え……訳が分からん酔い方だな。それは。

リヴァイ「記憶がないんだが………」

ハンジ「だろうね! 何か子供みたいになってたよ。私が「トイレに行きたいんだけど」って言っても悲しそうな顔するし。しょうがないから、ドア開けて手繋いだまましたけどね」

リヴァイ「そういう時は、俺を殴ってはり倒して良かったんだぞ……?」

全然記憶がない。怖いな。俺の酔い方が。

ハンジ「えー? でも何か始終、シュン……としていて、こっちもやりにくかったよ? あと一言もしゃべらなくなったし。ずっと「ん……」だけで会話したよ。あんな酔い方、初めて見たよ。リヴァイ、臨界点超えると、私に抱き付くだけじゃなくて、甘えん坊になるんだね」

リヴァイ「そうだったのか……」

ハンジ「あの時は、私を襲おうとしていた訳じゃなかったんだね。それを知って安心したよ。本当にただ「スリスリ」したかっただけだったんだね」

リヴァイ「いや、泥酔している時の俺を素面の俺に聞かれても困る」

ハンジ「あはは! それそうか! でもそっかー。リヴァイって、本当に人の肌が好きなんだねー」

リヴァイ「…………まあ、そうなんだろうな。恐らく」

ハンジ「うん。酔ってたけど、いやらしい感じの触り方じゃなかったよ。ただ、ずっと私とくっついていたかったみたい。そんなに私の事、愛してくれているんだ?」

リヴァイ「ああ。そうだな。愛しているよ。ハンジ」

ハンジ「うお?! 意外と普通に返してきた! びっくりだね! 今までと全然違う!」

リヴァイ「もう、自然と言えるようになったよ。何故だろうな? 良く分からんが」

結婚式でのハンジの顔を見ていたら本当に「自然」と「出てきた」んだよな。言葉が。

ハンジ「へへへ~そうなんだ。結婚式でのアレ、本当にびっくりしたよ。言わないでいるつもりだとばかり思っていたからね」

リヴァイ「そう言えば、強請った事もなかったな。ハンジは」

記憶の限りではそんな気がする。俺はハンジに「好き」と言ってと言われた事がないような気がする。

ハンジ「いや~それは照れくさくて言えないですよ~あははは……」

リヴァイ「言われたかったんじゃないのか?」

ハンジ「ん~? まあ、いいじゃない。えへへへ~」

と、言ってすぐ誤魔化す。まあいいか。その辺は。

ハンジ「二日酔い、ない? ウコン飲む?」

リヴァイ「ん~少しまだクラクラするから頂くか」

ハンジ「了解。じゃあ、手離してくれる?」

リヴァイ「ああ」

手を離した瞬間、その肌の温もりが消えて急に「寂しさ」を覚えた。

…………これはもはや「病気」のレベルなんだろうか? そんな気がしてきたぞ。

ハンジ「はい。どうぞ! お酒のお供のウコンだよ」

リヴァイ「一本頂く」

とりあえず、飲んでおく。社会人には必須の「回復アイテム」だからな。

ハンジ「体大丈夫? 昨日の疲れが残っているかな? 今日行く予定なんだよね? お墓参り」

リヴァイ「今年はもう行かないでもいいんだぞ?」

ハンジ「ダメだよ~イザベルのお墓に行かないと。結婚の報告をしてきたら?」

リヴァイ「………………」

其の時、俺は思った。以前、ハンジに言われた事を思い出したのだ。

リヴァイ「ハンジ」

ハンジ「なあに?」

リヴァイ「以前、ハンジが俺に言ってくれた事、何だが……」

時間を置いてから改めて考えてみた。「イザベル」の事について。

リヴァイ「確かに俺は、10代の頃までの俺の心の中には「イザベル」の存在が「居た」んだと思う」

と、前置きした上で話す事にした。

リヴァイ「だから10代の頃に抱いた女や、近寄ってきた女は恐らく「イザベル」の存在に薄々気づいて俺から離れていったのかもしれない。だが、20代に入って……時に大学時代のハンジに出会った「後」の俺は、だんだん、イザベルの事を思い出す機会が減っていったのも事実なんだ」

ハンジ「そうだったの?」

リヴァイ「ああ。むしろ、俺はやっぱりその時点で既に「ハンジ」の存在の方が大きかったんじゃないかと思う。現に「ハンジが本命?」と昔の女に問われた時に、すぐに否定しなかっただろ? あの時点で俺はもう、心の底にハンジの姿が「居た」んじゃないかと思うんだ」

ハンジ「そう………だったらあの時の彼女には悪い事したね」

リヴァイ「いや、それは結果論だ。あの頃の俺は今より「アホ」だったからな。今もアホな時はあるが……」

と、少し俯いて俺は続ける。

リヴァイ「だからその……前に言った「2人目の奥さん」みたいな事ではないと思うんだ。確かにイザベルが生きていたら、将来はどうなっていたか分からないが、俺の好みの条件に、あいつは全て当てはまっている訳じゃないからな」

ハンジ「そうだったの?」

リヴァイ「言わなかったか? イザベルは算数もろくに出来ないアホの子だったんだ。頭の良さはハンジの方が断然上だぞ」

ハンジ「ん? あんたの言う頭の良さは「学力」の方だったの? 私は「頭の回転」の方だと思ってたけど」

リヴァイ「それも含めてだろ? 頭がいい奴ならそもそも金なんて一人で盗んだりしない。あいつは確かに「可愛い女」ではあったが、そこから「結婚」までいきついたかと問われれば、少し疑問にも思うんだ」

ハンジ「そうなんだ……」

リヴァイ「ああ。過去を振り返ると、そう思う。まだ話してはいなかったが……俺がハンジ以前に最後に抱いた女は、あの「ナンパした女」で、付き合った最後の女は「マリア」だったし、それ以後は、女との付き合いはとんとご無沙汰だったからな」

ハンジ「ん………? ちょっと待って。それ本当?」

リヴァイ「ああ。本当だ。計算してみろ。29歳の2月がナンパした女で、別れたのは9月のマリアで最後だった。マリアとは、男と女の関係にならないまま別れたから、実質、そこから先はハンジとの付き合いが中心になった。良く考えたら俺は三十路を境にハンジの方に気持ちが完全にシフトチェンジしていたんだよ。今思うと、気づかなかった自分が馬鹿だとしか思えない」

ハンジ「じゃあ………その「間」には特定の女はいなかったの? 風俗もいってないの?」

リヴァイ「いく暇がねえよ。それに俺も実はその……AVとかを見始めたのも三十路を過ぎてからだったしな。それ以前はそういうのに頼るという発想もなかったし、世話になる必要性がなかったが、その……なんだ。すまん。変な言い方になるが、三十路を越えてからは、俺も変わったんだと思う。ハンジが好きだと言う気持ちを抑え込んでいたのはあったが、不思議と他の女に余り目移りしなくなった。エロ本は見ても、その…あんまり女を連れ込もうと言う発想がだんだん薄れていって、その……」

ハンジ「じゃあ私達、本当に、三十路のあの日を境に、「付き合い始めた」って事で良かったのかな?」

リヴァイ「俺としてはそう思いたいんだが………」

ハンジ「あはは! なーんだ! 私、てっきり三十路過ぎてからもあんた、私に隠れて女と付き合ってたと思ってたよ!」

リヴァイ「あの頃の俺は「ハンジをどうやって嫁に行かせるか」って事ばかり考えていたからな。よくよく考えたら、本当は「嫁に欲しい」と思っていただけだったよ」

ハンジ「なーんだ。だったらその頃から私、「リヴァイの嫁」になる為に花嫁修業していたようなもんじゃない!」

リヴァイ「そうなるな。すまん。何だか騙したような心地になるが」

ハンジ「いいって! 私も楽しかったしね。リヴァイに失敗作食わせる度に申し訳ない気持ちもあったけど。悶絶しているリヴァイをみるとついつい、「ぷぷ」と思う自分もいたし」

リヴァイ「完全に面白がっていたよな。お前は」

ハンジ「だってー。ねえ? ぷぷ……」

と、笑っているハンジを引き寄せて俺は軽いキスをした。

朝だから自然とそう「したい」気持ちが沸いてくるんだが、とりあえず、ここまで。

ちゃんと朝の習慣を行って、歯磨きや手洗い、うがいと、顔を洗ったり、身支度を整える事にする。

朝だから何か作るか。何を食べよう。

ハンジ「目玉焼きお願いしますー」

リヴァイ「そんなんでいいのか?」

ハンジ「やー昨日は流石にちょっと疲れたからね。軽めでいいよ」

リヴァイ「了解」

そんな訳で朝をのんびりハンジと過ごす。今日はお休みだ。流石に。

今日は出来れば墓参りよりも産婦人科の方を優先したかったんだが、どうしようかな。

朝飯をさくっと作り終えて、居間に運んで畳の上であぐらかいて、飯を食う。

テレビを見ながら、俺はハンジに言った。

リヴァイ「墓参りは後回しにしないか? 俺は今日のうちに産婦人科に一度、行っておいた方がいいと思う」

ハンジ「え? もう行くの?」

リヴァイ「ああ。その方がいいだろ。墓参りは別に明日に回したって構わない」

ハンジ「本当にいいの……?」

リヴァイ「そもそも、墓参りなんてそんなもんだろ? 行きたい時にいけばいいんだ。何も命日に拘る必要はない」

ハンジ「もう、吹っ切れたんだね」

リヴァイ「ハンジのおかげだよ。イザベルの件は悲しい事件ではあったが、あの頃の俺は世間を「舐めていた」んだ。そのツケを払わされたんだよ。もうどうしようもねえ」

ハンジ「うん。分かった。そういう事ならこの後、病院に行こうか」

そして2人で軽い朝飯を食べ終えた後、俺達はハンジのかかりつけの産婦人科に向かう事にした。

朝は9時からの診療だ。呼ばれて一緒に診察室に入り、事情を説明して一通りの精密検査を受ける事になった。

しかし、そこで俺はとんでもない事を医者に言い放たれる。

検査終了後、その女医は言った。

女医「…………おめでたですね」

ハンジ「へ?」

女医「妊娠、されていますよ。大体2か月ってところですかね。おめでとうございます」

ハンジ「本当に? 本当に、もう妊娠しているんですか? 私……」

2か月前くらいって言ったら、アレしかねえ。

ハンジとスイートホテルに泊まって散々やり尽した時の、アレだ。

ハンジが泣いていた。俺もどうしたらいいか分からなかった。

嬉し過ぎて、震える。まさか、一発で決める事になるとは思いもよらなかった。

女医「はい。出産、されますよね?」

ハンジ「産めるんでしょうか?」

女医「問題はないと思いますよ。子宮に怪しい影も写り込んでないし、健康体です。年齢も36歳ですし大丈夫ですよ。勿論、定期健診で様子は見ていきますが、特に持病もお持ちではないようですし、現在薬も服用してないですよね?」

ハンジ「はい。ピルとかも飲んだ事ないといいますか、そもそも薬が苦手で……」

女医「それは良かった。でしたらこのまま順調に出産準備に入られて下さい。くれぐれも、飲酒やたばこは控えて下さいね」

ハンジ「う!」

そうだった。妊娠中は「酒」が厳禁だった。

ハンジとっては地獄かもしれない。だが俺は言ってやった。

リヴァイ「ハンジ、酒は今日から禁止だ。いいな」

ハンジ「うううう………」

リヴァイ「産むんだろ? このチャンス、逃したくはねえ」

ハンジ「……………うん」

と、ハンジの表情が切り替わった。

ハンジ「分かりました。では、今後はお酒も止めます。きっぱりと。他に何か気をつける事はありますか?」

女医「そうですね。旅行とかは飛行機などがちょっと、時期をみないと乗れないですね。安定期に入る5か月目から7か月目の間あたりなら、多少の旅行も可能ですが、原則としては余り体の負担のかかる遠出の旅行は控えた方がよいかとは思います。ただ、ストレスを抱え過ぎるのも問題なので、そこは体調と相談した上で決められて下さい」

ハンジ「わ、分かりました」

女医「あと車の運転や自転車も控えた方がいいですね。どうしても必要な場合でも出来るだけ長い時間は避けて下さい。何より1番気をつけないといけないのは「ストレス」です。精神的な面でのケアが1番重要になりますので決して無理はされないで下さい」

リヴァイ「分かりました」

そして一通り診察が終わると、俺はハンジに抱き付いた。軽く、だけどな。

ハンジ「リヴァイ?」

リヴァイ「よくやった。ハンジ……」

ハンジ「いやいやいや? ヤッたのはリヴァイでしょうが! その……凄いねえ? こういう事ってあるんだねえ?」

リヴァイ「ああ。まさかこんなに早く事が進むなんて思いもよらなかったぞ」

ハンジ「やっぱりあの時、そのままヤッて良かったね。何となく、神様がそうしろって言ってくれたような気がするよ」

リヴァイ「そうだな」

そして俺はエルヴィン、ピクシス、キース先生等の特に世話になっている方々に連絡を取った。

電話で申し訳ないが、早く伝えてやりたかったんだ。

すると、その後の反応が凄かった。特にピクシス先生がテンション上がり過ぎてヤバかった。

家に帰り着くと、ピクシス先生がうちの前で待機していた。エルヴィンも、キース先生も。

リヴァイ「お前ら……来るのが早すぎるだろ。学校の方はどうしたんだ」

エルヴィン「うん。ミケ先生たちに頼んできた。当直、替わって貰ったよ」

ピクシス「今日は昨日に続いて宴じゃ!!! 飲ませろ!!!」

リヴァイ「あ、それはダメです。ハンジが今日から禁酒するんで。目の前で飲むのも禁止します」

ピクシス「おっと、それもそうじゃったな。だったら、飯を食わせろ! リヴァイの手料理で妥協してやる」

リヴァイ「分かりました。材料買ってくるんで、何がいいですか」

ピクシス「ちらし寿司じゃろ? こういう時は」

リヴァイ「分かりました。酢飯から作りましょう」

という訳で、酒を入れない宴が午後から始まった。

この5人で食べたり飲んだりするのは良くやっていたが、まさかこんな風にあっさり集まってくれるとはな。

ハンジ「ミケ先生に押し付けちゃって本当に良かったの?」

エルヴィン「大丈夫だよ。イルゼ先生もいるし、モブリット先生もいる。イアン先生とリコ先生にも学校の事は頼んできたよ」

ピクシス「そもそも、冬休みの時期じゃからな、授業はないからな」

リヴァイ「野球部の方は大丈夫なんですか?」

ピクシス「大丈夫じゃ。今は基礎体力作りの時期じゃから試合はない」

エルヴィン「良かったね。でも早かったね。リヴァイの事だからあと半年くらいは新婚気分でいるのかと思ってたけど」

リヴァイ「…………………俺もいろいろ溜まってたんだよ」

と、言うとハンジが「やめてー!」と言って背中を叩いた。

ハンジ「なんかその言い方、エロいからやめて! 恥ずかしい」

リヴァイ「いや、そういうつもりじゃなかったんだが……その、すまん」

と、言うと皆が笑った。幸せそうに。

エルヴィン「で、どっちだったんだ?」

リヴァイ「え?」

エルヴィン「性別、女の子? 男の子? どっち?」

リヴァイ「あ、しまった。聞きそびれた」

ピクシス「そこはほら、産むまで聞かずにおるというのも手じゃぞ?」

ハンジ「まあ、そっちの方が楽しみも増えていいかもね」

エルヴィン「焦らしプレイか。受けてたとう(キリッ)」

キース「ははは。いっそ両方生まれた方が面白いかもしれんな」

ハンジ「いやー初出産で双子ちゃんは流石に難易度高いので一人の方がいいかな」

と、いろいろ話していると、

ピクシス「しかし、こうなってくると………キース。後はお主だけだぞ」

キース「ん? 何の話ですか」

ピクシス「将来が見えてないのはお主だけじゃぞ? エルヴィンですら、嫁候補がいるような状態になったのに。お主、ずっと独身を貫くつもりか?」

キース「うーん……」

飯を食べながらキース先生が困った顔をしていた。

キース「もう今更ねえ。この年で結婚はちょっと……」

ピクシス「47歳じゃったか? お主は。エルヴィンよりも更に上だというのに。本当にいいのか? それで」

キース「いいですよ。独身の方が気楽でいいですし」

ハンジ「あーついこの間までの私を見るみたいだなあ」

エルヴィン「本当だね。ハンジもこんな感じだったもんね」

リヴァイ「キース先生にはお相手がいらっしゃらないんですか?」

キース「その使い慣れていない敬語はやめてくれ。リヴァイ。こんな時だけ丁寧に返すな」

リヴァイ「や、すんません。その………気になっちまって」

キース先生は顔は少々怖いが、中身はいい男だと思ってる。

女性にモテないというより少々「奥手」な印象だったんだが、どうなんだろうな?

キース「うーん。そもそも私も1回、危ない橋を渡りかけましたしね。もう恋愛はコリゴリというか、難しいですよ」

ピクシス「そんなもんは懲りなくていい。何度でも挑戦するべきじゃ。のうエルヴィン?」

エルヴィン「むしろ断られてからが試合開始というべきです。教え子に手を出した訳じゃなかったんでしょう? あの時は」

キース「手は出してはいませんよ。でも、私と彼女は身体の関係はなくとも、そういう関係になりかけた。危ないと感じた時点で身を引きました。私はそういう「感情」に囚われる事が元々苦手でしてね」

リヴァイ「気持ちは分からなくもないが……」

ハンジ「え? 分かるの? あんなに浮名を残しておきながら?」

リヴァイ「いや、その……「嵌ったらやばい」みたいな感覚は分かるんだよ。俺が大学時代のハンジと今のハンジが「同一人物」だと分かった時がそうだった」

と、言って俺は初めてそこで先生方の前であの時の事を話す事にした。

リヴァイ「ハンジに「あの写真」を見せて貰って、その直後、同じ人物だと判明した後……凄かった。両足が地につかないような感覚とはあの事を言うんだな。家に帰ってから玄関で四つん這いになったぞ。学校では出来るだけ平静を保っていたけれど、自宅に帰り着いたらもうダメだった。心臓がバクバクで、破裂しそうに高鳴って………そこからはとにかく「あれは昔のハンジだから。今のハンジが好きな訳じゃない筈だ」とずっと心の中で言い訳して、逃げて、逃げて……」

ピクシス「そこでもまだ逃げようとしたのか。アホじゃの。お主」

リヴァイ「そうでもしないと、自分を保てなかったんですよ。おまけに文化祭のフィーリングカップルでは元々、ハンジはモブリット先生と共演する予定だったし、俺はそこで「お役御免にならないといけない」って、自分に必死に言い聞かせた。モブリット先生とハンジがくっつく方がハンジも幸せになれる筈だ。俺みたいな「ろくでなし」がハンジを好きになる資格すらないとも何処かで思っていたし、その……とにかく「自分の感情」から目を逸らすしかなかった」

今思うと、最後の抵抗だったんだろうな。当時の俺は。

もう捕まってしまったというのに。完全に「確保」されていたというのに。

リヴァイ「でも、代役で舞台に無理に立たされて……ハンジがいつものように笑っていて、一緒にゲームをこなしていくうちにだんだん、俺も乗り気になってきて……たまに我に返って自己嫌悪に陥って。凄まじかったですよ。舞台の上での感情の起伏が。ずっと天国と地獄を行き来しているような感覚だった。わざと間違えればいいのに。それも出来ない自分に気づいて。キスコールがきた時は本当に焦りました。あの時はまだ「そういう自分」を受け入れられなくて。だから、つい「これは仕事だから仕方がない。やるしかねえ」って思って。でも、ハンジにも嫌われたくない。だからどうにかして、「嫌われないでキスする方法」はないかと思って……」

ハンジ「ガムテ越しのキスになっちゃったんだ。でもそこでなんで「ほっぺ」じゃなかったの?」

リヴァイ「ほっぺなんか、キスじゃねえだろ。って何処かで思っていた。そんなのはただの「親愛のキス」で、皆が求める「キス」とは違う筈だって思ってな。でもよく考えたら、あの場ではハンジの言う方が正しかった。ほっぺで十分だった。なのに唇にいったのは、単に俺が「そうしたかった」だけだったんだ」

そのせいでいろいろハンジには多大な迷惑をかけてしまった。

本当にすまないと思っている。今でも。

リヴァイ「後からエルヴィンに「キスはしなくても舞台は終了出来たのに」みたいな事を言われて初めて「あ……」ってなったんだ。だから、あの時は本当にすまなかった。俺自身の欲望のせいで、俺はハンジの大事な物を台無しにした。悔やんで悔やんで、それなのに、ハンジに許して貰いたい浅ましい自分は消せなかった。もうその時点で俺は「覚悟」を決めるしかなかった。この気持ちは伝えないで、今の関係を継続していく事を。でも、ハンジに「もう世話しなくていい」と言い放たれて、そこでやっと俺は「もう手遅れだ」と分かった。この気持ちを抱えたままではハンジとは「友人」でいる事すら出来ないと。でもあの時、ハンジは既にモブリット先生から告白されてお付き合いを申し込まれていた。ハンジが「断るつもりでいる」と言った時、どんなに嬉しかったか。なのに俺は最低な言葉をハンジに返してしまって。自己嫌悪に陥って。もう、どん底を彷徨っていたら……」

エルヴィン「ハンジの本心をうっかり聞いちゃう事件に遭遇しちゃうんだよね」

リヴァイ「ああ。あの時、ソファで仮眠を取っていて本当に良かったと思った。あの時はどんなに嬉しかったか。もうあの頃の俺は本当に天国と地獄を何回往復したか覚えていない。それくらいハンジに嵌ってからは「やばい」とずっと思っていたんだ」

ハンジ「そんなに酷いジェットコースターだったんだ」

リヴァイ「命綱がない状態で綱渡りしているような……目隠ししたまま平均台を歩くより怖かった。何も「支え」がない状態だった。グラグラだったよ。其の時になって俺は初めて「本気で人を好きになる」っていう事がどういう事なのか理解した。若い頃に付き合ってきた女達が今までどんな思いで俺に付き合ってくれていたのか。それを理解してますます自己嫌悪に陥った。こんな胸の爆弾を抱えていたのに。俺は彼女らに何もしてやれなかったし、返せなかった。もし自分がその立場になったら、と思うと、自分が今までどれだけ馬鹿な人間だったか本当に良く分かったよ」

ピクシス「その事でもう自分を責めるな。返せない物は返せないんじゃ。恋愛はそういうもんじゃよ」

リヴァイ「そうなんでしょうね。きっと。だから俺は、ハンジの「気持ち」が分かった直後はもう、自分を止められなかった。どんなに抵抗されても「結婚」まで押し切ってやる。そう決意して、あの時は臨んだ。結果は見ての通りだが」

ハンジ「なるほど。だからあれだけ「強引」だった訳ね。なんか納得したわー」

ハンジが呆れ返っているが、俺もつい苦笑して続けた。

リヴァイ「すまなかったな。もう何でも良かったんだよ。ハンジと結婚出来さえすれば。あの時は「ハンジが欲しい」という感情しかなかった。チャイムが途中で鳴ってくれて助かったよ。アレがなかったらあの場でもっとハンジに酷い事をするところだった。本気で」

ハンジ「流石に全校生徒の前で生の「保険体育」の授業はやめてよー」

リヴァイ「そうだな。流石に鬼畜過ぎるな。でも俺もやっと、落ち着いてきた。あの時の感覚は今でも思い出すと「手が震える」し、「吐き気」はくるし、「目は回る」し、こんなにグダグダになる経験は一生に一度で十分だとも思ったよ」

キース「ふむ。わしにはとても我慢出来そうにない。やはり恋愛はやめておいた方が良さそうだ」

ピクシス「リヴァイの場合は今までの「ツケ」が一気に回ったせいでこうなったんじゃ。普通はここまで「ため込む」奴はそうはおらんぞ」

リヴァイ「だろうな。自分でもそう思います。そもそも、約16年間分の想いを一気に自覚するなんて、なかなか出来る事じゃない。逃げれば逃げるだけ必ず何処かで「ツケ」が回ってくるんだと、あの時は本当にそう思いました」

ピクシス「全くじゃ。まあお主らの場合は運も良かったんじゃろうな。モブリット先生の件も後から本人から根掘り葉掘り聞いたぞ? ハンジ、一緒に風呂に入ったんだってな? ん?」

ハンジ「うぐ! その事はもう忘れたいです…」

リヴァイ「それを聞いた瞬間、俺は胃の中の胃液を全部吐き出すかと思ったぞ」

ハンジ「えええええ……そんなに嫉妬しちゃったの?」

リヴァイ「当たり前だ。もう絶対、他の男と「風呂」には入るな。セックスするのより許せない」

ハンジ「基準がおかしくない?! いや、私もしないけどさ。もしかして「お風呂>セックス」なの? リヴァイにとっては」

リヴァイ「恐らくそうなんだろうな。今までの女に対しても「風呂を先に入れる」行為だけは必ずやってきた。で、途中で寝ちまった女はそのまま放置したり、セックスしないで終わる場合もあったんだ。風呂の方が優先なんだよ。俺にとっては。自分でも意味分からんと思うが」

ハンジ「OH……性癖もそこまでいくといっそ潔いですね」

リヴァイ「仕方がねえだろ。女の肌、触るの好きなんだから。洗ってやると皆、うっとりしてくれるし」

ハンジ「皆? コラコラ。過去の女はあんまり思い出さないで欲しいなー? んー?」

リヴァイ「あ、いや…その、すまん。忘れる。忘れる努力をする」

ハンジ「はい。それで宜しい。話は脱線しちゃったけど、結局キース先生はもう、本当に結婚をされないんですか?」

キース「うーん。私は自分でも根性なしだと分かっているからね。そういう「修羅場」をもっと若い頃に自分でも経験しておけば良かったと思うが……」

エルヴィン「修羅場を「見る」ことの方が多くて自分の経験値が足りないと分かっているんですね」

キース「他人事だと、普通で居られるんだろうが、いざ自分の番になるとヘタレそうで怖いな。先日もうちのクラスの「ジャン」が迷走した時もそう思ったが。わしも若い頃、もっと青春しておけば良かったな。恋愛事で」

リヴァイ「遅ければ遅いほどしんどいですよ。キース先生。遅咲きの恋は、あまりお勧めしたくない」

ハンジ「それは言えてるかも……私も結構、しんどかったですしね」

リヴァイ「そうなのか?」

ハンジ「うーん。私もその、モブリット先生とのアレと、ペトラにぶたれたアレのおかげで自分の気持ちに気づいたけど。こう……一気にきた時にもう大パニックになったよ。全ての「謎が解けたああああ」って感じが来た時になんていうの? ふらふらして、体が熱くて、その……言い方悪いけど、濡れる? みたいな? ええっと、ごめん。はしたなくてごめん」

リヴァイ「何言ってやがる。もっと詳細に話せ(キリッ)」

ハンジ「ちょっとそれ、さり気にセクハラっぽいんですけどおおおお?!」

ピクシス「ククク………花が咲いた瞬間を体中で感じたんじゃろ? つまりは」

ハンジ「まあ、そうですね。はい。つまりはそんな感じです」

リヴァイ「そうだったのか。ハンジもハンジで、結構大変だったのか」

ハンジ「うん………私の場合はリヴァイへの「気持ち」を認めちゃったら、今度こそファンの子達に殺されるって思ってたしね。やっぱりファンの子達の「異様な熱」っていうのかな。針を刺すような嫉妬の視線、あったよ? 友人として接している時ですら。これでもし、恋人という立場になってしまったら、私は教職を辞めるしかないかもって思うと、やっぱりすぐには自分の気持ちを認められなかった」

エルヴィン「ハンジはハンジで苦労していたんだね」

ハンジ「苦労なのかな? 自分じゃ良く分かんない。なんていうか……彼女達を見ていると、私が求めている「青春」とちょっと違う気がしたのね。もうあそこまでいくと「宗教」に近い感じっていうか……本当、リヴァイ、あんた今まで何をどうやったらアレだけ女子生徒をたらしこめるのよ」

リヴァイ「だから俺はその件については覚えがないって言ってるだろ」

エルヴィン「価値観の違いって奴だね。リヴァイの「優しさ」はもはや「呼吸」に近い。自分じゃそのつもりがないっていうのが一番恐ろしい「たらしテクニック」なんだよね」

リヴァイ「だがそれも、今度の再現劇で全てぶっ壊せただろ? あれだけ「恥さらし」をやっちまえばもう流石に「狂信者」のようなファンの熱は生まれない筈だ」

ハンジ「まあね。いくら彼女達も、あれだけの「最低」な部分を見てしまえば、もう熱も冷める筈……」

エルヴィン「あーその件なんだけどさ」

と、エルヴィンが何故か苦笑した。何だ?

エルヴィン「確かに、在校生の女子のファンは一気に少なくなったんだけど……」

ピクシス「けどなんじゃ?」

エルヴィン「新しい「ファン層」が出来ちゃったみたいで、入れ替わりで人数が……結局増えたよ。全部で130人くらいになったみたい」

リヴァイ(ぶふー!)

茶を拭き零した。何だって? そんな馬鹿な!

リヴァイ「待て待て待て。おかしいだろ。何でファンが増える? 増えるって、どこのファン層だよ」

エルヴィン「………何故か男のファンも増えました。あと、ヒッチみたいな飛んでる系の女の子も結構新規で入って来たよ。純粋な女の子は皆、去って行ったようだけど。OBやOGの子達は逆に新規会員で加入してくれた。所謂「大人」の層だよ。今はもう所帯持ちの生徒達は皆、爆笑していたからね。当時のリヴァイを思い出しながら、「そういう事だったのかー」と納得していた。つまりそういう事なんだよ」

頭が痛くなってきた。頑張ったのに。またダメだったのか。

俺の狙いとしてはこれで半分は振り落せただろうと思っていたのに。

ハンジ「あーでも、純粋な子達は去って行ったんだ」

エルヴィン「流石にね。10代の一番夢を見ていたい時期にアイドルのスキャンダルを見ちゃったようなもんだからね。男のファンは「あそこまでいくと逆にすげえ!」て事で何故かファンが増えたけど」

リヴァイ「だったら一応、狙い通りにはなったと思っていいんだろうか?」

エルヴィン「恐らくね。ただ、今後もずっとこれが続くとは限らない。新入生が入ってきて、この再現劇がいつか忘れられた頃、またリヴァイが女子生徒に優しくしたら元の木阿弥だ。だから私は、やっぱりリヴァイ自身が今後は気をつけていかないといけないと思っているよ」

リヴァイ「どうしたらいいんだろうな? 女子と全く話さないって訳にもいかんし」

エルヴィン「出来るだけ、「頑張らない」ことじゃない? リヴァイはちょっと「頑張り過ぎる」時があるからね。たまには適当でいいんだよ。人間なんだし。担当クラス全員の顔と名前と生年月日を毎回覚えようとしなくていいよ。そういう事するから、勘違いする子も出てくるんだよ?」

ハンジ「何それ。そんなの初耳なんだけど」

リヴァイ「あー教習時代の教え子の名前を覚え損ねた事が以前あってな。それ以来、自分の担当するクラスの生徒のフルネームと顔と生年月日は絶対欠かさずチェックしてすぐ覚えるようにしているんだよ。誕生日近くなったら、まあ一言「おめでとう」くらいは言ってやるけど」

ハンジ「どこのホストだあんたはああああああ!!!! ちょっと待て。他には? 他には何をやらかした?」

エルヴィン「んー……あと髪型変わるとすぐ「今日は髪型違うな」とかお弁当を覗き込んでは「俺もそのおかず好きだな」とか? まあ、そういう事だよね? リヴァイ」

リヴァイ「ん? その程度の事は普通に話すだろ。何が悪いんだ?」

ハンジ「あああもう!!!! 本当にこいつ、無自覚たらし男!!!! 最低!! やっぱり結婚するんじゃなかったかも?! あああああ!!!」

リヴァイ「待ってくれハンジ!!! 何でそんなに怒っているんだ???」

ハンジ「イライラするううううう! ピクシス先生、こいつ、どうしたらいいんですか?!」

ピクシス「無理じゃ。諦めろ。惚れた弱みじゃろ?」

ハンジ「そうですけどおおおおお!!!!」

リヴァイ「分からん。俺は何をやらかしたんだ? また頭が痛い……」

エルヴィン「生徒思いも度が過ぎるとダメって事だよ。リヴァイの場合はその「細かい気遣い」が凄く自然で、スマートにやれるもんだから、勘違いしちゃう子もいるんだよね。特に10代の頃はそういう「免疫」が全くない状態だからコロッといく子はいくんだよ」

リヴァイ「それは生徒を気遣っちゃダメだと言う事か?」

エルヴィン「度が過ぎるとダメって話だよ。それ自体が悪い訳じゃないんだ。砂糖も入れすぎると糖尿病になるのと同じだよ」

リヴァイ「難しい問題だな………何を基準にセーブすればいいんだろうか?」

エルヴィン「少なくとも、余り自分から積極的に動かない事だね。構って貰えると思ったら、コロッといく子も多いし。たまにはスルーしたり、無視したっていい。先生っていう生き物を「万能」だと思わせたらダメなんだよ。何でも出来る「スーパーマン」みたいに思う子もたまにいるからね。私達は生徒の「親」じゃないんだ。その辺の線引きがうまくいかないから、リヴァイは生徒を「たらし込み過ぎる」傾向にあるんだよ」

リヴァイ「そんな事を言われてもな……」

やっぱり俺は教師には向いてないんじゃなかろうか。

どう考えても、俺は生徒に「甘すぎる」と言われているようにしか聞こえない。

リヴァイ「たまにはげんこつかます時もあるんだけどな。そういうのもダメなのか?」

エルヴィン「そもそも体罰は禁止されているからね。訴えられたら負けちゃうよ? リヴァイが」

リヴァイ「まあ、そうだろうな。うん………」

エルヴィン「今まで訴えられなかったのは、そこに君の「愛情」があると判断されたからだろうけど。でも生徒によっては正しくは受け取ってくれない場合もあるから、出来ればげんこつ指導も控えた方がいいよ」

リヴァイ「すまん。それもそうだな」

エルヴィン「後はそうだね……………うーん。これ以上言うと、リヴァイ自身を否定する事になりかねないから止めるか。後は「適当」にやりなさい」

リヴァイ「まるで「今日のおかずは何にする?」と聞いて「何でもいい」と答えられた時のような理不尽さを感じるんだが?」

エルヴィン「その通りだね。こういうのって、リヴァイ自身が自分で気づいて解決策を編み出すしかないんだよね。結局は。アドバイスはしてあげられるけど、それでうまく行くかはケースバイケースだし」

ハンジ「うううう………もう、やっぱりリヴァイを専業主夫にした方が良かったかなあ」

リヴァイ「ん? 気が変わったのか? それならそれでも構わんが」

ハンジ「いやでも、そうなるとリヴァイと一緒にお昼ご飯は食べられないし、下手するとすれ違い生活起きるし」

リヴァイ「どっちでも構わんぞ。俺は。ハンジに任せる」

ハンジ「ううーん。迷うなあ。どっちも一長一短なんだよね。ああああうまくいかない!」

リヴァイ「やれやれ。だったらとりあえずは現状維持するしかねえだろ。ハンジ」

ハンジ「そうだけどさー。はあ。本当、「これさえなければなあ」って感じだよね」

リヴァイ「そう言われてもな………」

ハンジ「不器用過ぎるお人好しなんだよね。リヴァイは。昔からそうだよ………」

リヴァイ「ふむ」

ハンジ「まあ、そこに惚れちゃった私が悪いのかなあ。こればっかりは」

リヴァイ「すまん……(シュン)」

ハンジ「うん。でも本当、あんまり優しくし過ぎちゃダメだよ? 私、今になってようやく神田川の「優しさが怖い」っていうフレーズの意味、分かった気がするんだ」

リヴァイ「え……? そうなのか?」

ハンジ「まさに「リヴァイ」の為にある様な言葉だよ。今の幸せが壊れたらと思うと、すっごく怖い。幸せ過ぎて「怖い」のよ。つまりそういう事でしょ?」

リヴァイ「…………なるほどな」

しっくりきた。そういう意味だったのか。

リヴァイ「確かにその通りだ。俺も同じ事を感じた事はある」

ハンジ「そう? いつ?」

とりあえずここまで。
あんまり初夜っぽくはないですが、エロ展開はまたのち程(笑)

ではまたノシ

続き来てた~!
おめでたってことは、あれか、身体を繋がないエロですな

>>154
基本はそんな感じです。まあ、リヴァイ先生はどっちでもOK派なんで(笑)。

リヴァイ「ハンジと一緒にいる時間、全てだ」

ハンジ「ぶふううううう!」

キース「ははは! 早速惚気られてしまったな」

ピクシス「今までのような「イライラ」するような惚気じゃない分、まだマシじゃの」

ハンジ「もー……(赤面中)」

エルヴィン「まあいいじゃないか。幸せなんだから。ところで、そろそろ精算しますか?」

ピクシス「そうじゃの。そろそろ良かろう」

キース「ふむ。では『答え合わせ』をやっていきましょうか」

リヴァイ「答え合わせ? 何の話だ」

エルヴィン「んー……ごめんね。リヴァイ。実はこの3人で、いろいろ『予想』を立てていたんだ」

と言ってエルヴィンの奴が何やらメモの紙を取り出した。

エルヴィン「2人がどんな風にくっついていくかを具体的に予想してそれに対して3人で金を賭けあっていたんだ」

リヴァイ「は?」

エルヴィン「そうでもしないと、ピクシス先生のイライラが酷すぎて胃潰瘍になりかねなかったからね。ストレス発散の為に賭け事をさせて貰っていたんだよ」

ハンジ「ええええええ?! 人の恋路でギャンブルやってたの?! 無茶苦茶だなあ……」

ピクシス「そうでもせんと、我慢ならんかったんじゃ!! お主らの恋愛模様は本当、イライラさせられっぱなしじゃったぞ!」

リヴァイ「いや、まあ……その点は確かに申し訳ないんですが、その「予想」って一体……」

エルヴィンがこっそり賭け事をするのはいつもの事だから別にいいんだが……。

むしろその「項目」の方が気になったのでそのリストを見せて貰うと、

リヴァイ「……………」

なんとコメントしたら良いか言葉に詰まってしまった。



リヴァイ×ハンジ 恋の行方ギャンブル

1.一緒に風呂に入る行為を「セックスとほぼ同義である事」にどちらが先に気づく?

2.どちらが先に自分の「気持ち」を自覚する?

3.どちらが先に「プロポーズ」をする?

4.リヴァイが振られる回数は何回くる?

5.ハンジが何回目で承諾する?

6.プロポーズの場所はどこ?

7.プロポーズの言葉は?

8.ハンジは結婚式でどんなドレスを着るか?

9.リヴァイはどんな新居を選ぶ?

10.子供は結婚後、いつ頃出来るか?


以上の10項目だった。こんなに一杯賭け事していたのかと思うとちょっと恥ずかしい。

リヴァイ「あー…………」

何て答えたらいんだこれは。コメントに困るな。

ピクシス「まずは最初の項目からいくか。一緒に入浴する行為が「2人にとっては」セックスとほぼ同義の意味を持つことに気づいたのはどっちが先じゃった?」

ハンジ「ええええ……どっちだろう? リヴァイ、いつ頃気づいた?」

リヴァイ「んん~いつだろうな。ちょっと待ってくれ」

記憶を頑張って辿ってみる。

リヴァイ「モブリット先生に「嫉妬した」瞬間、がそれにあたるんだろうか? なんていうか、寝取られたのと殆ど同じような意味で胸がムカムカしたから、恐らくそういう事だよな?」

ハンジ「そうなの?」

リヴァイ「ああ。その瞬間までは、その………自分にとってそれだけ「大事な行為」だという自覚はなかったと思う」

ハンジ「だとしたら、私の方が先になるのかな? 私はモブリット先生にあそこを触られそうになって咄嗟に拒否した時に気づいたから」

リヴァイ「そうなのか」

ハンジ「うん。拒否った瞬間、「あれ? あれ?」ってなったから。リヴァイとのお風呂の記憶が一気にこう、ぐああああって蘇ってきて、身体が震えまくったからね。だから「他の男」との入浴が「ダメ」なんだって気づいたから、その……これって「セックス」に近い状態じゃないのかな? って思ったの」

エルヴィン「では1項目は私の総取りでいいですね?」

ピクシス「じゃの。エルヴィンだけが「ハンジ」に賭けておったからな」

キース「残念だな」

と、俺に賭けていたピクシス先生とキース先生がちょっとだけ残念そうだった。

ピクシス「では2項目目にいくぞ。自分の気持ちを自覚したのはどっちが先か、じゃが」

リヴァイ「俺の場合は、エルヴィンに「キスはしなくても良かったのに」と言われた時ですね。野球拳で調子に乗った奴に説教し終えてから、エルヴィンが俺のところに来て、その事を伝えに来たから、その時に「あっ……」となったんで」

ピクシス「本当にそうか? キスした瞬間にはもう自覚しておったんじゃないのか?」

リヴァイ「あの時はまだ「仕事だから」って自分に言い訳していました。いや、自分でも微妙なラインだとは思うんですが「はっきり」と自覚したのはやはり、エルヴィンに指摘されたからですね」

ハンジ「そうなんだ。だとしたら、この場合は私の方が「後」になるかな。私の場合はモブリットとの入浴の時に全部一気にきたからね。拒否った時にいろんな事が一気に「きた」から」

エルヴィン「ふむ。だとしたらここはキース先生の総取りになりますね。リヴァイに唯一賭けていたんで」

キース「そうなるな。ふふっ」

キース先生嬉しそうだな。

エルヴィン「うーん。私はハンジの方はとっくの昔に「自覚」していて、ファンの子達の件があったから、隠していただけかな? と思っていたけど違ったんだね」

ハンジ「まあ、意識的に「避けていた」のはそうかもしれない。でも「自覚」したのはやっぱりモブリット先生のおかげかな。そこからペトラの「言葉」が蘇って、そこからリヴァイとの記憶が走馬灯のように復活してきたから」

リヴァイ「俺としてはいろいろ複雑なんだが」

ハンジ「しょうがないじゃん。そういう「流れ」だったんだから」

ピクシス「3項目目にいくぞ。プロポーズはもう、これはリヴァイでいいな?」

エルヴィン「ですねえ。ハンジからの最初の提案は「同棲」だったし、「結婚」を持ち出したのはリヴァイでしたからね」

ピクシス「ではここはわしの勝ちという事で」

一進一退のようだな。ピクシス先生がニヤニヤしている。

ピクシス「流石にプロポーズは男の方から申し込まんとな。それが男というものじゃよ」

リヴァイ「そうですね。あの時ハンジに「結婚」を申し込まれなくてかえって良かったかもしれない」

ハンジ「いや、私もまさか一気に「結婚」を持ち出されるとは思ってなかったからね」

リヴァイ「そうか?」

ハンジ「だって、普通は同棲期間を経てから結婚じゃない?」

ピクシス「何を言っとる。お主らの場合はもう既に「同棲」に近い生活をしておったじゃろうが」

リヴァイ「全くだ。しょっちゅううちに泊まったり、俺もハンジの部屋に泊まったりしていたからな」

ハンジ「いや、まあそうなんだけどさーううーん」

エルヴィン「ふふ……照れちゃって」

ハンジ「あー! まあ、そうなんですけどね! 照れちゃうよねこれ?!」

キース「まあまあ、では次にいきますか」

ピクシス「そうじゃの。リヴァイが振られる回数は何回くる? についてじゃが……」

エルヴィン「これはどうカウントしたらいいかな? リヴァイ」

リヴァイ「………ハンジに「もう世話しなくていい」と言われたのはカウントしていいのか?」

ハンジ「うん。カウントしていいよ。あの時の私、本当にリヴァイとの事、そういう意味で関係を変えようと思っていたから」

リヴァイ「…………そうか(ズーン)」

ハンジ「ごめんね。あの時は。私も不安定になっていたし、ああするしかないって、思ってしまったから」

リヴァイ「いや、自業自得だ。ハンジの選択は当然だったと思うぞ。あの時は」

キース「ではここは「1回」と計算していいのかな?」

ハンジ「はい。そうですね。振ったのは1回だけになると思います」

エルヴィン「でもすぐ、元の鞘に収まったから、ハンジの方も「1回」で計算していいね?」

ハンジ「だね」

エルヴィン「ここは1番近い数字を出した私とキース先生の勝ちになるね」

ピクシス「わしは5回くらい振られるかと思っておったが」

リヴァイ「いや、5回も振られたら流石に立ち直れないと思いますが」

ピクシス「何言っておる! 5回でも10回でも振られても立ち直って女を欲しがらんでどうする! 本気の女はそれだけ価値があるんじゃぞ?」

ハンジ「ううーん。それはそれで困っちゃうかもね。女から見たら」

エルヴィン「ふふ……ま、それは人それぞれだろうね」

キース「次は「プロポーズの場所」についてだが…」

エルヴィン「これは誰も当てられなかったですね。まさか進路指導室を使うとは予想外だった」

ピクシス「全くじゃ。わしもあの時は焦ったぞ。まさかいきなりあそこでおっぱじめるとは。たまたまエルヴィンと交替して管理室におったから良かったものの」

リヴァイ「どこを予想していたんですか?」

エルヴィン「私は「リヴァイの自宅」だよ。一緒にいる場所として1番多いのはやっぱりリヴァイの部屋だと思ったしね」

キース「わしは「ハンジの部屋」で予想していた。こっちも同じくらい可能性があると思ったからな」

ピクシス「わしは「職員室」じゃな。仕事が終わった後に告白すればそのままオフィスラブに突入出来るじゃろ?」

リヴァイ「なるほど。その手もあったのか」

ハンジ「いや、流石に職員室でエッチはやっちゃダメでしょうが」

ピクシス「そうか? わしはそういう場面を何度も目撃した事あるぞ?」

ハンジ「ええええ?! こっそりやってるカップルいたんですか?!」

ピクシス「人間なんてそんなもんじゃ。案外こっそりやってるもんじゃぞ」

リヴァイ「ふむ……(ニヤニヤ)」

ハンジ「こらー? 今、何妄想したー?」

リヴァイ「いや別に?」

エルヴィン「プロポーズの言葉は……これは「ハンジ。結婚するぞ」でいいのかな?」

リヴァイ「まあ、そのまんまだな」

ピクシス「ストレートじゃったのう。わしはもっとロマンチックにくるかと思っておったが……」

ハンジ「え? どんな?」

ピクシス「ん~例えば「ハンジのいない人生は考えられない。俺と結婚してくれ」とかな?」

リヴァイ「意味合い的には同じですけどね」

ハンジ「そ、そうなの?」

リヴァイ「ああ。ただ、俺の場合は言葉を紡ぐのが下手だから、そのまま言っただけだ」

キース「だろうな。ここはわしの予想が1番近いかな?」

エルヴィン「ですね。「ハンジ、俺と結婚しろ」だったし」

リヴァイ「何で「命令形」なんですか」

キース「いや、お前基本的に「ツンデレ」だろうが」

リヴァイ「まあ、そうなんですけど……」

ハンジ「エルヴィンはなんて予想したの?」

エルヴィン「ん~「ハンジ、俺と結婚してくれないか?」だね。ちょっとニュアンスが違うかな」

ハンジ「あ~エルヴィンの言い方が一番、ロマンチックかも~そっちが良かったかな?」

リヴァイ「おい、待て。何で今頃そこにダメだしする」

ハンジ「だって~」

>>159
訂正
ピクシス「全くじゃ。わしもあの時は焦ったぞ。まさかいきなりあそこでおっぱじめるとは。たまたまエルヴィンと交替して監視室におったから良かったものの」

管理→監視
です。入力変換ミスです。

ピクシス「まあそこはリヴァイらしさが1番出るところじゃな。そういう意味じゃ高校時代のリヴァイを1番知っておるキース先生が有利じゃったな。予想が」

キース「でしょうね。リヴァイは昔から口は上手くない」

リヴァイ「キース先生、案外俺の事を見てたんですね」

キース「うーん。いろいろ心配だったからな。お前の場合は。ジャンとは違った意味で迷走していたしな。あの頃は」

リヴァイ「申し訳ない……」

キース「まあ、もう昔の事だ」

エルヴィン「次は「ハンジのドレス」だね。これは結婚式に限定していいかな? 披露宴はちょっと多過ぎるからね」

ピクシス「そうじゃの。白いエンパイアドレスだったから、これはわしが総取りじゃな」

エルヴィン「私は「和風」で行くと思っていたんですけどね」

キース「わしもだ。ハンジに着物を着せるかと思っておったが」

リヴァイ「ハンジは普段からブラジャーも殆どつけないし、苦しいのが苦手だから式での和服は難しいと思っていました」

エルヴィン「でもリヴァイ、和服好きだろ? 項大好きじゃないか」

リヴァイ「まあ、それはそうなんだが……」

ハンジ「え? 項大好きって何? あんた項好きなの?」

リヴァイ「あ、ああ……まあな」

ハンジ「それは初耳だよ。ええええ? じゃあ髪、全部アップにした方がいい? 普段から」

リヴァイ「いや、そこまでしなくていいが。その……まあ、気が向いたらでいい」

ハンジ「そうだったんだ。いや意外だね! あ、でもヘアメイクする時もアップが多かったね。そう言えば」

リヴァイ「すまん。自分の趣味に走った」

ハンジ「いや、別にいいよ? うん。項あけた方が涼しいしね」

ピクシス「理解のある嫁で良かったの。リヴァイ」

リヴァイ「全くです。で、新居については……どんな予想をしていたんだ?」

エルヴィン「ふふふ……私はここの物件を見つけた瞬間、絶対ここを選ぶと思っていたからここは私の勝ちですね」

ピクシス「わしは「新居」を「新築」するかと思っておったが。貸家で良かったのか? 本当に」

ハンジ「この間取りが理想的なんですよね。涼しいし、夏とかはもっといい感じになりそう」

キース「わしはマンションを別に買うかと思ったが。ここは意外だったな」

リヴァイ「マンション購入でも良かったんですけどね。もうハンジが絶対「ここにする!!!」って興奮して決めたんで、まあいいかと」

エルヴィン「ふふ……そういうところは女に合わせちゃうのがリヴァイらしいよね」

リヴァイ「住めば都ってよく言うだろ。庭もあるし、子供が生まれたら遊ばせる事も出来るからかえって良かったかもしれん」

ピクシス「子供は予定日はいつ頃になるんじゃ?」

ハンジ「順調にいけば7~8月あたりになりますね。夏休みに出産出来るといいな」

エルヴィン「産休は取るよね? いつ頃から休む?」

ハンジ「うーん。出産直前までは働いて、その後の半年くらいまででいいかな。1年も休むのはちょっと長いと思うし」

リヴァイ「産後は俺の方が育児休暇取ってもいいけどな。その方がハンジの復帰も早いだろう」

ピクシス「なるほど。こういう時は家事万能の夫を持つと楽じゃの」

ハンジ「それは思います。リヴァイ、本当にありがとうね」

リヴァイ「構わん。むしろこれから大変なのはハンジの方だからな」

エルヴィン「うん。最後の項目はピクシス先生が一番近いかな。結婚後、すぐ妊娠を予想していたし」

キース「だな。新婚気分を味わえるのは1年もないが、本当にそれでいいのかリヴァイ?」

リヴァイ「まあ子供が出来ちまえば、そっちが優先ですよ。………ハンジに似てくれるといいんだが」

ハンジ「まだそれ言うのー? もう自虐的になり過ぎるのも問題だよ? リヴァイはイケメンだよ? じゃないとファンクラブなんて出来る訳ないじゃない」

リヴァイ「いや、顔について言えば俺は決してイケメンキャラじゃないぞ? どう考えても」

ハンジ「もー……不細工だろうがイケメンだろうが、そういう問題じゃないんだよ? 好きな人に似た子供が出来る方がいいに決まってるでしょ!」

リヴァイ「………………そうか」

エルヴィン「ぷぷ……」

ピクシス「ハンジの言う通りじゃ。そういうもんじゃよ。リヴァイ」

リヴァイ「ならいいんですが」

キース「ふむ。こうやって見ると、賭けは取って取られて、あまり差が出ませんでしたね」

エルヴィン「計算集計は後日、またやりましょうか。ここでやるのもなんですし」

ピクシス「そうじゃの。わしらはそろそろ、お暇しようかの」

キース「そうですね。リヴァイ、ハンジ。ではまた」

エルヴィン「何かあったらすぐ連絡してね」

リヴァイ「ああ。今日はありがとう」

ピクシス「ふふ……仲良くやるんじゃぞ」

と言いながら客人3名はぞろぞろ帰って行った。

2人きりになってから俺はハンジの傍に寄った。

ハンジ「ん? どうしたの?」

リヴァイ「腹、触ってみていいか?」

ハンジ「どうぞー」

温かい熱を感じた。今ここに、俺とハンジの子が「いる」のか。

不思議な感覚だった。長く願っていた「夢」が形になろうとしているのか。

リヴァイ「すまなかったな。ハンジ」

ハンジ「ん? 何が?」

リヴァイ「俺がもっと勇気を出していれば、もっと早い年齢で出産をさせてやれたかもしれないのに」

ハンジ「ん~まあ、いいよ。まだ年齢的には大丈夫だよ。きっと。30代だし」

リヴァイ「しかし20代で産むのと30代で産むのでは、やはりその、苦労の差が出るらしいぞ? 俺も人から聞いた話だが」

ハンジ「………リヴァイの三十路の誕生日の時、ヤれば良かったなあって後悔してる?」

リヴァイ「はっきり言ってしまえばそうだな。あれから9年も年月が経ってしまった事は俺の落ち度だと思う」

ハンジ「ふふ……そうだったんだ。でも、それは私にも「落ち度」があった訳だし、いいよ」

リヴァイ「そうか?」

ハンジ「うん……ごめん。私ってほら、照れちゃうと誤魔化しちゃう悪い癖があるじゃない? あの時、本当はちょっとだけ、私もその気になりかけていたんだよ」

リヴァイ「え………?」

何だって?

ハンジ「お酒入ってたしね。リヴァイの表情が凄く優しくて……なんか「キスされるかも?」って咄嗟に思った。でもそういう関係になるのは、ちょっと怖くて。多分、あの時の私は「逃げちゃった」んじゃないかなって、今になって思うんだ」

リヴァイ「じゃあ、こっちが無理に押し倒していたら、ヤッていたかもしれないのか。俺達は」

ハンジ「かもしれないね。でも、そこで「出来ない」リヴァイに私は惚れちゃったのもあるから、ちょっと複雑でもあるんだ。だからいいんだよ」

リヴァイ「くそ……勿体ない事をしたな」

手を出せば良かった。強引にいける可能性があったなら、尚更。

まあ、今更言ってもどうにもならんが。

ハンジ「あはは! だね! でも三十路の誕生日だけじゃないよ? 今思うと、インフルエンザの看病してくれた時とか、溺れたのを助けて貰った時とか……「あれ?」みたいな胸の「ざわめき」はあったよ。当時はまだ「それ」が「トキメキ」だと気づいてなかったから、私も私で馬鹿だったんだよ」

リヴァイ「そうか。トキメキを感じた癖に、それを認めていなかったのか」

ハンジ「未知の感覚だった訳だしね。そういう意味じゃ、ガムテ越しのキスの時もそうだったかも。リヴァイ、あの時震えていたでしょ。体が」

リヴァイ「ああ。もう、震えながらキスしたぞ。あの時は」

ハンジ「キスが終わってから、何か私、ふわふわしていたしね。お酒に酔ったような感覚だったし。リヴァイが震えていたのを思い出すと、ぼーっとしてきたし。今思うと、ガムテ越しのキスなのに「感じちゃった」んだと思う。リヴァイの「体温」は伝わっていたからね。ガムテ越しでも。あの「熱」を思い出すと、今でもぽーっとなるよ」

リヴァイ「そうだったのか……」

ハンジ「うん。だから余計にね。あの子達が死んじゃったのは「自分のせい」だと思っちゃったの。自分が幸せを感じちゃったからバチが当たったんだと思って。だからリヴァイの傍にいるのが怖くなって。私も私で逃げたのよ。見ないようにしていたの。だから、ここに辿り着くまでに時間がかかってしまったのはしょうがないよ。お互い様だもん」

リヴァイ「そうか」

ハンジ「だからもういいの。今が一番「いい形」で私達、くっついたんだと思うよ?」

リヴァイ「そうだな」

そう言って貰えるなら安心した。本当に。

リヴァイ「……ハンジ」

ハンジ「ん?」

リヴァイ「妊娠中はセックスは出来ないんだろうか?」

ハンジ「あーどうなんだろう? その辺は。ちょっと調べてみないと分かんないね」

リヴァイ「母体に負担をかけるような事はしない方がいいよな」

ハンジ「だとは思うけど、あんまり神経質にならなくても大丈夫じゃない? ゴムつけちゃえば大丈夫じゃないのかな? 多分」

リヴァイ「いや……その辺の事は確認してからにしよう。ハンジにもしもの事があったら嫌だしな」

ハンジ「ふふ……ありがとう。リヴァイ」

笑っているハンジを見ると自然と体が動いた。

キスをしたいという欲求が止まらない。

あまり盛り過ぎてはいけないが、優しいキスと舌を絡める深いキスを交互に繰り返す。

ハンジ「ん…………ふふ」

リヴァイ「なんだ? 突然、ニヤニヤして」

ハンジ「ん~何か、くすぐったいなあって思って」

リヴァイ「キスがくすぐったいのか?」

ハンジ「うん………こう「ニヤッ」ってしちゃうんだよ。こういうのが私の求める「トキメキ」だったんだなって思って」

リヴァイ「なるほど。ドキドキじゃなくて「ニヤッ」なのか」

ハンジ「うん。にやけちゃうんだよ。油断するとすぐ「ニヤニヤ」しちゃって自分でも怖いかも」

リヴァイ「それを言ったら俺も同じだな。きっとキモイくらい「ニヤニヤ」していると思う」

ハンジ「夫婦でニヤニヤするんだからいいじゃない」

リヴァイ「それもそうだな」

そう言いながら俺はハンジを抱えてベッドに移動した。

新婚初夜を寝て過ごすという失態をここで取り戻したくてハンジをベッドの上で愛撫する。

妊娠中はスローセックスを重点的にしてやった方がいいかもしれない。

ハンジの唇、首筋に柔らかい刺激を与えながら、俺は其の時、また「悪い」事を考えた。

確か化粧道具に柔らかい「大筆」があった筈だ。アレを使ってみるか。

一度ハンジから離れて化粧道具を持ってくる。あった。このちょっと大きめの筆を使ってやってみよう。

ハンジ「ん? お化粧するの?」

リヴァイ「いや? これを使ってハンジに悪戯をする」

ハンジ「ええ? 化粧道具でどうやって?」

リヴァイ「こうやって、だ」

柔かい刺激を頬に当てて、そのまま首筋をくすぐる。

ハンジ「やん……なに? くすぐるの? ああ……くすぐったい!」

リヴァイ「ふふ……」

くすぐりを加えながらハンジの衣服を徐々に剥ぎ取っていく。

ボタンを左手で器用に外しながら、前を全開にした。

そして乳房を大筆でなぞって、乳首をそれで責めていく。

ハンジ「あああ……何コレ?! ああ……やあ……待って……ん……」

リヴァイ「気持ちいいか?」

ハンジ「気持ち良すぎるよ! ああ……化粧用の筆を使うなんて発想、斜めからの刺客だよ!」

リヴァイ「だろうな。俺も今思いついた」

ハンジ「ん……ああ……ああ……や……あああ!」

感じてきたな。でも、どの程度までやっていいのか分からんな。

あんまり感じさせ過ぎて疲労困憊にさせるのも体に悪いかもしれないしな。

刺激を弱めてやる。すると少し呼吸が落ち着いてきて、

ハンジ「はあ……はあ……はあ……」

もう涎が出てきている。ハンジのだらしない顔は好きだな。

昔からそうだった。酒に酔っている時のアホみたいな顔と、仕事中のキリッとした顔のギャップが激しいんだ。ハンジは。

ハンジ「リヴァイ……ああ……好き……もっと……して」

リヴァイ「急かすなよ。ハンジは本当にこういう時はせっかちだな」

ハンジ「だって……ああ……ああああ……」

ツツツ………

ツツツ……

ツツツ………

ハンジ「あああ……もっと、もっと……」

せがまれても俺は冷静に続ける。一定の刺激でいい。

この段階では柔かい刺激をずっと続ける方が気持ち良くなる筈だ。

ツツツ……さわさわ……

ツツツ……さわさわ……

ツツツ……さわさわ……

ハンジ「ああ……あああ……リヴァイ………キスして……」

リヴァイ「キス、して欲しいのか? どこを?」

ハンジ「全部……もう、全部……どこでもいいからああ」

リヴァイ「そいつは大変だな。だったら全部服を脱がすぞ」

頷いている。俺も自分の服を全部脱いで、ハンジのも脱がせた。

布団をかぶって続けてイチャイチャする。暗闇の中でも続けて筆と自分の手の愛撫を同時に行った。

ハンジ「ん……あああ………リヴァイ……もっと……」

眼鏡が邪魔になって来たな。外すか。

ハンジの眼鏡を壊すと悪いから、一度外してベッドサイドに置いた。

上から被さってキスをしてやる。額にキスを。瞼にもキスを。

全部って言ったからな。時間はかかるが、本当に全部「キス」をしてやる。

筆をちょっと横に置いて、俺は「鼻」とか「頬」とか「顎」とかにもキスをした。

「耳」や「鎖骨」「二の腕」「肘」「手の平」「手の先」「爪の先」「手首」「腋の下」「脇腹」「肋骨」「乳房」「乳首」「臍」「下腹」「太もも」「膝」「膝裏」「脹脛」「足首」「足の裏」他にも沢山、人体には「部位」がある。その全てに「キス」しろっていうんだったら、結構時間はかかる。

ハンジ「や……本当に「全部」する気?」

リヴァイ「全部って言ったのはハンジだろ? まだ終わってない」

ハンジ「あああ……ちょっと待って! それは流石に予想外だった!」

リヴァイ「キャンセルは受け付けねえよ」

俺はハンジの足を掴んで足の指まで愛撫した。神経の線にそって舌で舐めていく。

ハンジ「ひゃあああ……足の指まで舐められた!」

リヴァイ「動くな。暴れるな」

ハンジ「はい……」

「踵」「踝」「弁慶の泣きどころ」「膝小僧」「骨盤」そして「女性器」の付近。

茂みの中に顔を埋めて匂いを嗅ぐ。この癖になる匂いは何度嗅いでもクラクラするな。

まるで酒に酔った時のような感触になる。俺は今「ハンジ」に酔っているんだろうな。

ハンジ「はあ……ああ……」

ハンジが苦しそうに喘ぎ始めた。一旦、止めよう。

リヴァイ「すまん。やり過ぎたか?」

ハンジ「いや、そういうのじゃないけど……はあ……はあ……」

リヴァイ「妊娠中だしな。この辺で今日はやめておくか?」

ハンジ「そうだね。今日はここまでいいかも……はあ……はあ」

リヴァイ「続きはいろいろ調べてからだな。そうした方がいいかもしれない」

ハンジ「うん。そうして貰えると助かるかも……はあ……はあ」

リヴァイ「気持ち良かったか?」

ハンジ「毎回、良過ぎます………」

うっとりしているな。俺はハンジと抱き合いながら笑ってしまった。

リヴァイ「前にも言っただろ。まだまだこんなもんじゃ済まさんと。俺はエロいからな。ハンジにはとことん、いろんなプレイに付き合って貰おうと思っている」

ハンジ「ひえええ……大丈夫かなあ私……」

リヴァイ「徐々に教える。無理そうな物にはつき合わせない。ハンジが気持ち良くなれるプレイを探すのもこっちは楽しいからな」

ハンジ「そうなんだ……」

リヴァイ「このままちょっと仮眠取るか? 俺も昨日の疲れがまだ完全には抜けていない」

ハンジ「そうだね。裸のままだけど、エアコンもつけているし、このまま寝ちゃおうか。ちょっとだけ」

リヴァイ「布団、剥がさないように気を付けろよ。流石に布団剥がすと寒いし風邪ひく」

ハンジ「はあい。寝相悪いけど、気をつける……」

そして俺とハンジはそのまま抱き合いながら1度、ゆっくりと眠りについたのだった。

とりあえず今日はここまで。
次回、リヴァイの夢の中で回想シーンを挟みます。

乙です!
賭けの項目こんなにあったんかいw

虫除けももらったことだし、ハンジさんは汚女返上かな?

>>169
ピクシス先生が胃潰瘍にならない為に作りました(笑)。
今のハンジ先生はリヴァイ先生に綺麗にして貰っているので大丈夫です。







10月1日。その日の夜、俺は自宅に帰り着いた途端、力が抜けて四つん這いになってしまった。

身体の力がうまく入らない。心臓が痛くて呼吸は乱れて、頭がガンガンして、熱が出ているのかと思うくらいしんどかった。

そしてそのままうつ伏せに倒れて転がって天井を見上げた。

顔を両手で隠す様にしてしまう。涙は出てこなかったが、両目を瞑るしかなかった。

リヴァイ『嘘だろ………』

長年心の中に居た「女」の正体が「ハンジ」だったなんて。

急転直下の展開に俺は流石にどうしたらいいか分からなかった。

血液が急激に体中を流れ出す。暴れそうになる衝動を必死に堪えて俺は声を漏らした。

リヴァイ『ハンジ………』

その名を言葉に出した瞬間、また、心臓が痛くなった。

違う。違う。違う。

あいつは俺の「友人」であって、「好きな女」であってはいけない。

いや、好きなのは「昔のハンジ」であって「今のハンジ」ではない筈だ。

そうだ。今と昔では違うんだ。同じ人物でも、同じではない。

そう必死に言い聞かせて俺はヨロヨロと立ち上がると、何とかいつもの「習慣」を行った。

帰宅後はちゃんと手洗いうがいを済ませる。スーツだって脱いでクローゼットに仕舞って、ちゃんと着替える。

部屋着に戻ってから俺はベッドに逃げた。今は何も考えたくない。

考えたくないのに。

ベッドにはハンジの「匂い」が残っているような気がした。

あいつ、しょっちゅううちに泊まるし、匂いが残りやすいんだ。

ハンジの事を思い出したら、また心臓が痛くなる自分がいた。

考えたくなかった。俺は身体を起こして台所に逃げた。

とりあえず、飯を食わないと。夕食を食べないと。

そう思って冷蔵庫を開けて残り物で適当に作ろうとしたけれど。

そこでキャベツの残りを見て、やっぱりハンジの事を思い出してしまって。

思わずキャベツを床に落とした。だから他の材料を手に取ろうとしたけど。

ダメだった。他の材料にも「ハンジ」の思い出が連結していて、振り切れない。

考えてはダメだと言い聞かせても思い出の量が多過ぎてダメだった。

どこに逃げればいい。俺の部屋の中に、ハンジの気配のない場所なんてあったか?

リビングもダメだ。あそこはむしろ1番思い出が詰まっている。

風呂もダメだ。むしろそこにいたら裸のハンジを思い出してしまう。

裸のままうっかり抱き合った事もあった。それを今頃、思い出して頭がガンガンしてきた。

吐き気すら覚えた。ムカムカする。胃液が出てきそうだった。

ダメだ。思い出すな。今、ハンジの事を思い出したらダメだ。

俺は便所に逃げた。とりあえず座ってそこで考える。

ここしか思いつかなかった。ハンジの気配がない場所は………

と、思ったその矢先、

俺はとんでもない事を思い出す。

そうだ。便所には「ハンジ」の為に備えた「生理用品」だってある。

見えないところに隠してはいるが「汚物」を入れる容器だってある。

それに気づいた瞬間、俺は自宅から飛び出すしかなかった。

財布と携帯と家の鍵を持って家を出た。行く宛てなんて何処にもない。

もう自宅には帰れない。帰ったらもう、ハンジから逃げられない。

そう思って俺は車を飛ばして何処か、1人になれる場所を探した。

其の時思いついたのは、昔、中学時代に大勢の男達に喧嘩を仕掛けられた「埠頭」だった。

海が見たい。不思議とそう思った。

夜の海を見に行こう。とりあえずそう方針を決めて車を飛ばした。

時刻はもう真夜中に近かった。12時近い時間だったから、誰も人はいなかった。

1人になってから息をついた。文化祭を前に俺は精神的にグダグダになっていた。

今回は「役者」として舞台に出ないといけないのに。どうすりゃいいんだコレは。

裏方で入るのであれば誤魔化しもきいただろうが。俺は元々「役者」じゃねえ。

教師として明日からやっていける自信がなかった。

ハンジと顔を合せる勇気がない。

罪悪感のような物がふつふつと沸いてきた。

ずっと好きだと思ってきた女が、ハンジだったと知って、俺の頭の中は大混乱を起こしていた。

心臓の高鳴りは少し落ち着いてきた。タバコは今は吸っていないが、この時ばかりは久々に吸いたいと思った。

でも教師になった以上、酒は良くてもタバコは止めておきたかった。

タバコを吸うような男がタバコを吸うなって生徒に言えないからな。

法律的にはOKでも、そういう部分は生徒には伝わる。

だからこの時はただ、夜の海を眺める事しか出来なかった。

リヴァイ『はあ…………』

とりあえず、車から出て外の空気を吸った。

さっきから気分の上下が激し過ぎて困る。

落ち込んでいるような、浮かれているような。

両足の感覚が既におかしい。まるで本当に浮いているような感覚だ。

ふわふわしている。浮かれているのに落ち込んでいる。訳が分からない状態だ。

どうしたらいいんだ。明日から。

俺は先が全く見えない状態でただ夜の海を眺めるしかなかった。

と、其の時……

俺の携帯が突然鳴って、その相手に驚いた。

海外に嫁に行った「マリア」からの電話だったのだ。

一応、連絡先は携帯番号も含めて住所もメルアドも教えてはいるが、専ら連絡手段は「手紙」だったからだ。

電話をしてきたのは初めてだった。何か緊急の用事だろうか?

リヴァイ『マリアか?』

マリア『だよ~超久しぶり~元気してた? ごめんね! 寝てた?』

リヴァイ『いや、起きていた。いいのか? 旦那に隠れて電話して』

マリア『いやいや? 旦那もそこにいるよ? 大丈夫。許可取ってるし』

リヴァイ『ならいいんだが……何か急な用事か?』

マリア『うん。あのね。私、やっと男の子産まれたんだ』

リヴァイ『おお……それはめでたいな。ずっと女ばっかりだったんだよな』

マリア『そうだよー。4人目にしてやっとだよ! 超頑張った!』

リヴァイ『それは良かった。名前はもう決まったのか?』

マリア『その件でリヴァイ先生に許可が欲しくて電話したんだよ』

リヴァイ『許可? 何で』

マリア『リヴァイ先生の名前、つけちゃってもいい?』

リヴァイ『はあ? 何言ってやがる。旦那が許可する訳ねえだろ』

マリア『いや、いいって。許可は貰ってるよ』

リヴァイ『待て待て待て待て。アホだろ。昔の男の名前とか、つけるんじゃない。失礼過ぎるだろ』

マリア『ん~でも、他に思い浮かばないんだよね。リヴァイ先生は私の恩人だし、リヴァイ先生がいなかったら多分、今の旦那とは結婚してないと思うしね』

リヴァイ『なんだって? それはどういう意味だ』

ちょっと意味が分からなかった。マリアは何が言いたいのか。

マリア『ん~だってリヴァイ先生が最後の「思い出」を作ってくれたから、私、彼と向き合おうって気持ちになれたんだよね。アレがなかったら、もしかしたら下手したら逃亡してのたれ死んでいたかもしれないし』

リヴァイ『え? でもお前、あの時「今」だけでいいって言ってなかったか?』

マリア『いや、だからそれは「リヴァイ先生」がいたから「そういう気持ち」に変わったんだよ。多分、あの時「消化不良」を残していたら、本当に家出していたかもしれないし。迷っていたんだよね。実はあの時点では』

リヴァイ『え………そうだったのか』

マリア『うん。だからリヴァイ先生の名前をつけてあげたいなあって。彼にもその事を話したら「いいよ」って言ってくれたよ。彼の方も私と同じで、やっぱり親に決められた「相手」と結婚するのに最初は抵抗を感じていたらしくてね。私に実際に会うまでは、いろいろグダグダしていたみたいだよ? まあ、実際に会ってみたら意外と意気投合しちゃったから今は幸せだし。というか、娘の名前は彼の「元彼女」の名前だし、だったら私の方もいいよね? って話になった』

相変わらずのぶっ飛び具合だ。この破天荒なところがマリアらしい。

マリア『だからリヴァイ先生のスペルを教えて欲しいんだよね。ダメかなあ?』

リヴァイ『だが……その、本当にいいのか?』

マリア『うん。あ、もしリヴァイ先生の彼女が「嫌」っていうなら諦めるけどね』

リヴァイ『…………………』

その事で話すべきか否か迷ったが、この時の俺は誰かにすがりたかった。

リヴァイ『マリア』

マリア『何?』

リヴァイ『見つかったよ』

マリア『え?』

リヴァイ『俺がぐだまいていた時の、好きな女が見つかった』

マリア『あ、やっと気づいたの?! 遅いね! ハンジ先生の事、気づいたんだ!』

リヴァイ『………知ってたのか?』

マリア『うん。エルヴィン先生から聞いて後から知った。もう、超爆笑したよwwwwでも黙ってた方がいいって言われたから演技して誤魔化したよ?』

リヴァイ『役者だな。マリアも』

マリア『まあね~♪ で、結局どうするの? 結婚するの?』

リヴァイ『いや、そういう話じゃない。そもそも、俺が好きなのは「昔のハンジ」であって「今のハンジ」じゃないからな』

マリア『まだ言うの?! ちょっと待ってよ。それは幾ら何でもダメ過ぎるよリヴァイ先生wwwww』

リヴァイ『そもそもハンジの方には彼氏候補がいるんだよ』

文化祭ではモブリット先生と一緒に参加する予定だしな。

マリア『うわあ……まだグダグダする気なんだ。ダメじゃん。リヴァイ先生……』

リヴァイ『俺は生涯独身でもいいと思ってるよ。だから、構わん。名前は好きにしろ』

マリア『えええ……そういう事ならちょっと保留だなあ。分かった。ちょっと様子見てからまた改めて連絡するね。こっちは別に急ぎの用事じゃないし』

リヴァイ『また連絡するのか? 別にいいのに』

マリア『リヴァイ先生の恋の行方の決着がつくまでは名前、つけられないよ! 相手の許可も取らないとダメだしね』

リヴァイ『そういうところは律儀だな。マリアは』

マリア『ん~だってねえ? リヴァイ先生の名前をつけたい女はいっぱいいそうだし?』

リヴァイ『そうだろうか?』

マリア『まあいいや。一応、先にスペルだけでも教えて』

リヴァイ『ああ。分かった。L……e……v……i……でリヴァイだ』

マリア『ありがとう! 良かった! 次から国際便送る時はそっちで書いて送るね。今まではスペル分かんなくて名前だけ「カタカナ」で書いて送ってたし』

リヴァイ『そう言えばそうだったな。俺もうっかりしていてすまん』

マリア『いいって! リヴァイ先生、今度こそしっかりしないとダメだよ? もうすぐ四十路になるじゃん。頑張ってよ』

リヴァイ『いや、別に俺は………』

マリア『ああもう! すぐそうやって逃げようする。こりゃエルヴィン先生がいろいろ仕掛ける筈だわ……』

リヴァイ『ん? 何の話だ?』

マリア『んん~何でもないよ? うふふふ~じゃあまたね~(ブツ)』

リヴァイ『あ、おい!!! マリア?!』

エルヴィンが仕掛ける? 何を? 一体何を仕掛けるっていうんだ?

その瞬間、また嫌な予感がした。あいつが何か仕掛けるとすれば「ハンジ」に関する事しかあり得ない。

リヴァイ『………………』

いやでも、ハンジはモブリット先生とフィーリングカップルに出る筈だしな。

仕掛けるのはモブリット先生の方の筈だしな。

………………大丈夫だよな? 多分。

リヴァイ『はあ………』

お役御免の日まであと数日か。それまではせいぜい、ハンジを見送ってやらんといかんよな。

俺みたいな「ろくでなし」にハンジは勿体なさ過ぎる。

あいつ、いい女だしな。俺の方が年上だし。若い男の方がいいだろ。うん。

子供を育てるのだって、若い男との方がいいだろうし。

そしてその日の俺はそのまま車内で夜を過ごして少しだけ寝た。

朝になって家に帰り、身支度をして学校の仕事をこなし、何とか日々をこなしていった。

ハンジと顔を合せると微妙な気持ちになるのは否めないが。

文化祭当日までは堪えないといけないよな。

そう、思っていたのに………。






















何だ。これは。

俺は今、どうしてここにいるんだ。

皆が見ている。全校生徒がほぼ集まっている最中、俺は何故か舞台にいた。

フィーリングカップルに駆り出されてしまった。モブリット先生の「代役」として。

待ってくれ。何でこうなった。予定と違うじゃないか。

エルヴィンを睨みつけた。ピクシス先生もしれっとしている。

でもどうしようもなかった。もう舞台は始まってしまった。

ここから先は適当に答えて、いや、わざと間違えればいいんだ。

ハンジとのポイントさえ取らなければあの「カップルシート」に座る事はない。

でもあのカップルシートに座る自分とハンジを想像してゾクゾクした。

あ……いかん。ダメだ。考えるな。

そんな「如何わしい」事を考えてどうする!

1問目の女性側の問にハンジがどんどん答えていく。

ピクシス先生、ミケ先生、おまけにエルヴィンのまで当てやがった。

俺のも当てられるんだろうか。あいつは……。


ハンジ→相手の希望に合わせる


やっぱり当ててきやがった! まあ、分かるよな。この程度の事は。

付き合い長いからな。俺とハンジは。

男性側の1問目。この問いはもう「アレ」しかねえ。

俺は答えた。「磯野波兵」と。

ハンジ『大正解ー! もう、理想の日本のお父さんだよね!? 私、大好き!』

ああ、もう……可愛くはしゃぎやがって。なんなんだあいつは。

こんなの答えられるのは「俺」しかいないだろ。なあハンジ。

………って、何で喜んでいるんだ。俺は。ダメだろ。

当てちゃダメだろ。何で当てにいった? 俺は!

わざと間違えないといけなかったのに。俺は何やってんだ…。

次は相手の手を触って誰か当てるクイズだった。

そう言えば、社交ダンスの1日目のモダンの時、あいつの手、冷たかったよな。

2日目のラテンの時と比べて段違いに手が冷たかった。

後でその件を聞いてみたら「やっぱり緊張していた」と言っていたから、こういう「初めて」の舞台ではあいつも多少は緊張する筈だ。

一番手が冷たい女が「ハンジ」かもしれない。

そう思って答えたら正解してしまった。

…………だから何で俺は当てにいった?! わざと外せよ!!!

今度は女性が男性の肩を触って当てるクイズになった。

ハンジは全員当てやがった。

エルヴィンはともかく、何でイアン先生のも当てたんだよ。

あ、そっかミケ先生とは以前、ちょっとだけ付き合ってたしな。

消去法で分かるか。ちっ……。

何かイライラするな。ハンジの奴め。

そして次は大縄跳びだった。

ハンジと一緒に飛ぶのか。まあ楽勝だな。これなら。

200回越えても余裕だった。俺とハンジなら1000回いけるかもしれん。

ずっとあいつと飛んでいたい気持ちになった。途中でじゃんけんして、ハンジがひっかかったけど。

何だこの高揚感は。やばい。まずい。

縄跳びしただけなのに。何でこんなに「楽しい」んだ。俺は……。

ピクシス『今のところ、リヴァイ先生とハンジ先生はもしかして、お互いのポイントを全部とっておるのか? 何気に凄い2人じゃのう……』

リヴァイ『うぐっ……!』

しまった! 浮かれている場合じゃねえ!!

ポイント取ってどうするんだ!! このままだとカップルシート行きだ!

まずいまずいまずいまずい。これ以上正解したらまずい!!!

なのに、他の問題も簡単過ぎて全問正解してしまった。

ラストの問題は「唇」を当てるクイズだった。ここでも俺はハンジの「唇」を正解してしまう。

結局全問正解してしまった。俺の馬鹿野郎……。

ハンジ『いやーまさか、全問正解するとは思わなかったね』

リヴァイ『あ、ああ………』

本当にな。何で全問正解したんだ。俺達は。

長い付き合いだからだろうか。そうだよな。そのせいだ。うん。

ハンジ『やー残り時間、どうしようかね? 漫才でもやっておく? 即興で』

リヴァイ『いや、いきなりネタを振られても困る』

ハンジがボケで俺がツッコミ役になるならいいが。

……って、何を今、想像した? 俺は。

ハンジ『あ、そう? でもリヴァイ凄いね。波兵さん、よく分かったね?』

リヴァイ『あの髪の毛が1本だけ残っているのが不思議でしょうがないって以前、言っていただろうが』

ハンジ『いや、まあ、そうなんだけどさ。それ、いつ言ったっけ?』

リヴァイ『…………それは覚えていないが、お前は栄螺(サザエ)さんだけは割と観ているだろ。ビデオに撮っているしな』

俺の部屋のレコーダーはハンジの観る物が殆ど入っている。

だから覚えていた。まあ、当然だよな。

ハンジ『チビまるっ子ちゃんもたまに見てるよ! それ以外のアニメはあんまり面白さが分かんなくて、観ないけど』

リヴァイ『珍しいよな。その2つがイチオシアニメっていうのも』

ハンジ『そうかな? 国民的アニメでしょ? リヴァイは筋肉マンは好きだよね』

リヴァイ『ジャンプー黄金世代の生まれだからな。北斗と筋肉マンと☆矢とかDBは分かるが、最近の作品はあまり良く知らないな。るろ剣くらいまでだな。かろうじで分かるのは』

ハンジ『うーん、タイトルだけなら分かるけど、中身はあんまり知らないんだよね。皆、知ってる?』

知ってる知ってるー! という男子生徒の声が返ってきた。

その辺の事はエルヴィンの方が詳しいだろうな。

ハンジ『そうなんだ。ごめんねー私、その辺、詳しくなくて。エルヴィン先生なら詳しいんだけどね』

エルヴィン『呼んだ? (顔だけ出す)』

ピクシス『こらエルヴィン! 顔を出したらダメじゃぞ!』

エルヴィン、お前は後で締める。覚えておけよ。絶対締める。

ハンジ『あはは! でもリヴァイのだけじゃなくて、エルヴィンのとか、他の先生の分も当てられるとは思っていなかったよ。私、まだ女子力が残っていたのかな?』

リヴァイ『いや、そこは年の功ってやつじゃないのか?』

ハンジ『酷い! まあ、事実だけど。でもなんか嬉しかったな。問題が分かったのは』

リヴァイ『それだけ、ハンジが聡明である証拠だろ。案外、人の事をよく見ているしな』

それがいいところでもあり、ちょっと苛つくところでもある。

ハンジはたまに「頭が良すぎる」んだ。そのせいで俺も何度嫉妬したか。

…………ん? いやいや待て待て。今のはハンジ自身にだからな?

別に他の男の事を知ってる事に対しての嫉妬じゃねえからな?

ハンジ『わーい。久々にリヴァイに褒められたー! 明日は雨降っちゃうかもね』

リヴァイ『縁起でもねえ事を言うな。明日も文化祭、あるんだぞ。晴れた方がいいだろ』

ハンジ『まあそれもそうだね。ねえ? そろそろ5分じゃない? あ、まだ後もうちょい? どうしよう? 後は何話す?』

リヴァイ『もう早めに切り上げても良くないか? 尺余っても別にいいだろ』

早く帰りたい。いや、帰りたくないけどな。

…………待て。どっちだ? あれ?

何だこの感覚は。俺はどうしたいんだ?

訳が分からない。いや、本当はずっとこうしてハンジと適当な会話をしていたい。

ハンジ『え? ダメなの? あ、次の準備がもうちょいかかる? あ、そう。どうしよう? リヴァイ。何か話してよ』

リヴァイ『無茶振りにも程があるな。全く………』

と、その時男子生徒から「何で最後の問題、分かったんですかー?」という野次が飛んだ。

ハンジ『あ、それは私も気になった。私、普段口紅全くつけないのに何で分かったの?』

リヴァイ『いや、だからあれはただの勘だ。直感で選んだら当たったんだ』

ハンジ『でも、ナナバ先生と私のを間違えていた先生もいたよね。それってナナバ先生と私の口が似ている証拠じゃない? よく見分けがついたね』

リヴァイ『うーん……(頭掻いている)』

リヴァイ『本当に何でだろうな?』

すぐに「分かった」のは本当に何でか良く分からない。

リヴァイ『俺にも良く分からん。たまたまじゃないのか?』

ハンジ『そうかな? ま、そうかもね。あんまり考えてもしょうがないか』

リヴァイ『そうだな。じゃあそろそろ………』


「キスしないんですかー?」


リヴァイ『は?』


キッス! キッス! キッス!


ハンジ『ええ?』

ハンジ『ちょ、ちょっと待って。それは話に聞いてないよ? ここでおしゃべりするだけじゃないの?』

リヴァイ『俺もそうとしか聞いてないんだが?』

待ってくれ。キスとか、ちょっと待ってくれ。

ハンジと俺がキス? 冗談じゃねえ!

出来るか! そんな事しちまったら、俺は、絶対……。

ハンジ『もう、しょうがないな~する?』

リヴァイ『断る(キリッ)』

やめろやめろやめろやめろ!

絶対無理だ。させるな! まずいまずいまずい!

今、そんな事したら、俺の理性が完全に崩壊する!

…………って、何考えた今! 俺は! だから、考えたらダメだろ!?

ハンジ『でも、ほら、なんか、催促されているし、やらないと終わらないみたいだよ?』

リヴァイ『嫌なものは嫌だ。というか、ハンジも本当は嫌なんだろ』

ハンジ、頼むから断ってくれ。そしたら収拾がつく筈だ。

いつものように『無理無理~』って言ってくれ。

そう、願っていたのに…。

ハンジ『え? うー…場所によるかなあ。ほっぺとかなら、いいよ?』

ほっぺにキス……?

ちょっと待ってくれ。

それって、俺からの「接触」自体は「嫌じゃない」と受け取っていいのか?

そう考えていいのか? 本当にいいのか?

リヴァイ『お前なあ……』

ハンジ『ほらほら、早くしないと。舞台終わらないよ? あ、それとも私からしようか?』

リヴァイ『それはもっと嫌だな』

キスはするなら自分からしたい。いや、させてくれ。

ハンジ『何気に本当に失礼だね! リヴァイは! じゃあ、ほら、リヴァイからでいいから!』

本当に両目を閉じやがった。いいのか? 本当にしても。

ため息が零れた。自然と。どうしようもなく。

周りは「ヒューヒュー」の嵐だ。こりゃほっぺにキス程度じゃ観客は納得しねえだろ。

っていうか、ほっぺキス何かで満足できるか。こっちは。

キス、していいんだな?

そうだよな。仕事だからな。これはあくまで「仕事」の一環だ。

仕事なら仕方ねえよな。でも……。

唇に直接していいんだろうか? 流石にそこはやめた方がいい気がする。

一度、ポケットに手を突っ込んでいた手を出して、自分の方にハンジを引き寄せる。

そして眼鏡を外してやって、カップルシートの端に追いやる。

一瞬の隙をついて、唇の上にガムテを貼った。

その上から、俺はハンジに覆い被さった。



チュッ……



身体が震えた。手も唇も。

ガムテ越しにあいつの体温が伝わってきた。なんだこの感じは。

心臓が痛い。頭がフラフラする。酸欠状態になったかのように。

すまん。ハンジ。これは仕事だから。

だからこれで我慢してくれ。

ハンジ『ん………』

身を捩っている。あれ? 唇が離れない。

あれ? 何でだ? ガムテ越しのキスの筈なのに。

唇が、開いていく。あ……ハンジの中に入れる?

だったら、もう、入れさせてくれ。

俺はハンジの中に「入りたい」んだ………!





ハンジ「ちょっとリヴァイ!!! 寝ながらキスとか器用過ぎるよ!」





その叫び声で我に返った。あ、今のは夢だったのか。

という事は俺は寝ながらハンジにキスしていたのか。確かに器用過ぎるな。

夢の中のハンジと現実のハンジがリンクしていたようだ。

あの時の夢を見ていた。天国と地獄を往復しまくっていたあの時の事を思い出すと心臓に悪い。

リヴァイ「すまん。夢を見ていた」

ハンジ「だろうね! 一体誰と夢の中でキスしていたんだか……」

リヴァイ「ハンジと夢の中でキスしていた」

ハンジ「え? 他の女じゃなくて? 嘘でしょ」

リヴァイ「何で嘘をつく必要がある。その……すまん。フィーリングカップルの時のキスを思い出していた」

ハンジ「………本当に?」

リヴァイ「ああ。言っただろ? ガムテしてなかったらそれ以上のキスを絶対していたって。その……そういうキスをぶちかます夢を見てしまった」

ハンジ「あ、そうだったの……ごめん」

ハンジが何故かしおらしくなった。どうしたんだ一体?

ハンジ「そっか。そっか……そういう事もあるんだね」

リヴァイ「何が?」

ハンジ「いや、途中で「マリア」って寝言があったから、前彼女とそういうのしている夢かと思った」

リヴァイ「ああ……寝言でマリアの名前が出て来たのか」

ハンジ「うん。マリアちゃんとはヤッてないって言っていたでしょ? だから本当はヤリたかったのかなって思って。夢で発散しているのかと勘違いしちゃった」

リヴァイ「ああ。そういう事か」

要らない心配をかけさせたようだ。

リヴァイ「マリアとはそういう感情はないな。夢の中ではあいつと電話した時の事を思い出していた」

ハンジ「電話?」

リヴァイ「ああ。その件についてはハンジにも聞かないといけないと思っていた」

ハンジ「どういう事?」

リヴァイ「あいつ、四人目の子供が産まれたらしくてな。男の子だったんだが、俺の名前を息子につけたいと言い出した」

ハンジ「ええええ……」

リヴァイ「断った方がいいよな。ハンジは気分良くねえだろ」

ハンジ「まあ、ねえ? うーん……」

リヴァイ「何だ? 煮え切らない返事だな」

ハンジ「その「マリア」ちゃんってリヴァイの中では私の「次」に大事な女の子だったりする?」

リヴァイ「ん? 何の話だ一体」

ハンジ「いやね? 私、あんたとマリアちゃんが付き合っていた頃の事、知っているからさ」

と、前置きしてからハンジは言った。

ハンジ「凄く楽しそうだったんだよね。なんていうか、あの頃、そのまま本当にあんたとマリアちゃん、結婚まで行くと思ってた。それくらい、リヴァイの表情が穏やかで満たされているのが伝わってきたっていうか……期間限定の付き合いだったって後で知って、正直「何で?!」って思った。だから、今もマリアちゃんとの付き合いがあるのは理解出来るし、その………あんたにとっては大事な人なんじゃないの?」

リヴァイ「まあ、俺にとっては「いい思い出」になっているのは事実だが、それとこれは別問題だろ」

ハンジ「ううーん。そっかあ……」

リヴァイ「何だ? まだ何かあるのか?」

ハンジ「いやねーあんたって、いろんな女と付き合ってきた訳じゃない?」

リヴァイ「まあな」

ハンジ「だとしたら、多分、その女の子達の中でも「こっそり」リヴァイの名前を自分の息子につけている女の子とか、いるんじゃないのかなあって思って」

リヴァイ「え……?」

それはないだろ。多分。

リヴァイ「俺は最低な男だったんだぞ? 忘れたいと思うんじゃないのか? 普通は」

ハンジ「いやーどうだろ? 私、絶対いると思うけどなあ」

リヴァイ「確認のしようがない事だな……流石に全員の元彼女とは連絡とれないし」

ハンジ「うん。まあそうなんだけどさ。つまり、そういう意味ではわざわざ「確認」してくるマリアちゃんって、まあ、変わっているけどいい子だよね」

リヴァイ「えええ……お前、そういう受け取り方するのか」

ハンジ「うーん。こそこそやられるのよりよっぽどいいかな。あとマリアちゃんは1度だけコミケで会った事あるしね」

リヴァイ「え? いつだ」

ハンジ「ええっと、いつだったかなー? 里帰り中の時だったかな? 子供もいたから結婚後、実家に帰省していたのかな? 向こうは。恐らく。其の時、私、初めて「夏コミ」とかいう大イベントに付き添う事になって、其の時に偶然会ったんだ。其の時はエルヴィンも一緒だったけど」

リヴァイ「それってつまり、エルヴィンとハンジは一緒に旅行した事があるって事だよな」

ハンジ「流石に初の夏コミ参戦は私ひとりじゃ無理だろうって事でエルヴィンも付き添ってくれたんだよ。勿論、当時の漫画研究同好会の生徒達と一緒に行ったんだけどね。引率みたいなもんだよ。旅費は各自で負担して、希望者だけのツアーみたいな感じで行ってきたんだけどね」

そうか…。

何だろな。そのツアーに俺も参戦したかったな。くそ…。

ハンジ「ごめんね。リヴァイも連れて行こうかどうか迷ったんだけど。リヴァイまで一緒に行っちゃうと、あんた自身の部活動の顧問の方がおざなりになるし。あとリヴァイ自身がそこまで漫画やアニメに興味がある訳でもなかったし。其の時はリヴァイには言わずに夏コミに行ってきたんだよね」

リヴァイ「言ってくれても良かったのに」

つい拗ねると、ハンジは言った。

ハンジ「いやーなんか、エルヴィンに「リヴァイには言わない方が面白いから」とか当時言われてね? 何で面白いのか意味は分かんなかったけど、まあそう言うなら乗ってやろうと思って黙ってた。今思うと、それってリヴァイに「ヤキモチ」を妬かせる作戦だったのかな?」

リヴァイ「だろうな。何か「こそこそ」やっているなっていう気配は知っていたが、まさか「夏コミ」とやらに行ってきたとは思わなかったぞ」

ああ、だからフィーリングカップルの時にエルヴィンの「デート先」も当てる事が出来たのか。

夏コミとやらに出たら「人間性」が見えるんだろうな。

そう言えば以前エルヴィンが「夏コミは戦場だ」みたいな事を言っていたような気がする。

ハンジ「ごめんね。今まで黙ってて。まあそういう訳で、マリアちゃんの印象はあんたの言う通り、確かにエルヴィンに「似た物」を感じたよ。だからちょっと迷うんだよね」

リヴァイ「何を迷うんだよ」

ハンジ「ん~だって私達の間に「息子」が産まれても「リヴァイ」の名前はつけられないじゃない。紛らわしいでしょ?」

リヴァイ「まあ、普通は同じ名前はつけないよな。孫ならともかく」

ハンジ「でしょ? だからその……うーん。スペルを変更して貰えれば「音」だけならいいかなって、思った」

リヴァイ「音?」

ハンジ「うん。同じスペルだと、流石に嫌だけど。リヴァイのスペル、もう一個の書き方があるじゃない。そっちならいいかな」

リヴァイ「ああ……「R」で始まる方のリヴァイか」

ハンジ「そうそう。まあ人名って、結構そういうのあるしね。もじってくれるなら、許可出してもいいよ」

リヴァイ「…………無理、してないのか?」

ハンジ。こういう時まで「イイ子」でいなくてもいいんだぞ。

「そんなの嫌だー」ってだだこねてくれたっていいのにな。

ハンジ「うん。無理してないよ。大丈夫」

リヴァイ「……………やっぱりダメだ。許可は出来ない」

ハンジ「何で? 私はいいって言ってるのに」

リヴァイ「俺はもうマリアの「彼氏」じゃない。今はたまに連絡を取り合う程度の「友人」だと思っている。ハンジが元彼女とそういう関係で居るのが嫌なら、今後は縁を切っても構わないと思っている」

ハンジ「ううーん。そこはその、そりゃあ、そうして貰えるなら有難いとは思いますけどね?」

リヴァイ「けど、なんだ」

ハンジ「それはそれで、なんていうか……ちょっと「怖い」かな」

リヴァイ「何で」

ハンジ「リヴァイ、気づいてないの?」

リヴァイ「何を?」

ハンジ「だんだん、私に「はまり過ぎて」ない?」

リヴァイ「え………?」

何だって?

ハンジ「リヴァイに愛されているのは正直言えば嬉しいよ。でも、だからと言って「私1人」に全てを注ぎ込まなくてもいい。それは「危険」過ぎるよ」

リヴァイ「……………注ぎ込んではいけないのか?」

ハンジ「リヴァイはきっと「愛情」の振れ幅が人より「大きい」んだろうね。だから、一途に人を「愛せる」んだろうけど。でもそれは諸刃の刃でもあるよ? 自覚ないの?」

リヴァイ「…………」

そう、なのだろうか?

ハンジ「うん。有難いとは思ってるけどね。でも、私は「そこまで」は求めてないから。だからあんたの「ファンクラブ」の件も「ハグ」までなら許可を出した。あんたの世界を「全て独占」するような女にはなりたくないのよ」

リヴァイ「………そうなのか」

ハンジ「うん。私自身、その辺の価値観、反りが合わなくて別れた彼氏もいたんだよ。なんていうか「独占欲」が強すぎて、息苦しく感じてしまって……私のする事なす事を全部「報告」させてこようとする男もいた。流石にそれは「ドン引き」したし、そういうのって、やっぱりどこかで「線引き」しないといけないと思うんだ」

と、真面目な表情でハンジは言う。

ハンジ「リヴァイは「女性」の友達だって多いじゃない。むしろ男より女の友人の方が多いんじゃないの?」

リヴァイ「………かもしれないな」

ハンジ「うん。私も実は「男の友人」結構、いるんだよ。だから、その辺はお互いに「信頼」する以外の方法はないと思う」

リヴァイ「…………つまり、俺はマリアとの「友人」関係を継続してもいいって事なのか」

ハンジ「だって「今」は「友人」でしょ? そういう感情がないっていうなら私は「信じる」よ。嘘ついたら殺すけど」

リヴァイ「…………分かった」

そういう事なら、俺もハンジを信じよう。

リヴァイ「だったらハンジの意見を尊重しよう。俺自身は……正直微妙な気持ちもあるんだが」

ハンジ「あれ? あんまり乗り気じゃないの?」

リヴァイ「そりゃそうだろうが。元彼女の息子に自分の名前をつけるなんて……」

ハンジ「あらら……それだったら話は違うよ。あんた自身が乗り気じゃないなら断ってもいいよ。その場合は「私」を建前の「理由」に使っていいよ」

リヴァイ「意見をコロコロ変えるなよ。俺はどうしたらいいんだ?」

ハンジ「リヴァイの気持ちが一番だよ。自分の気持ちに正直になって。あんた、人にいろいろ「譲り」過ぎて迷走する事あるじゃない。だからこの場合はリヴァイ自身が「ダメ」だと思えばマリアちゃんも納得してくれると思うよ」

リヴァイ「……………」

確かにその通りかもしれない。

リヴァイ「……………分解して貰うか」

ハンジ「分解?」

リヴァイ「俺の名前の「Levi」をそのまま使うんじゃなくて、そのスペルを移動させたり、マリアの旦那の名前と合体させたり、マリアにとっての「縁」の深い人間と足して割ってくれる方がいいな。その方が責任もない気がする」

ハンジ「なるほど。それは名案かもね。あ、だったら私達の子供もそうする?」

リヴァイ「ん? どういう事だ?」

ハンジ「ん~……男の子だったら「ハンジ」の「ハ」と「リヴァイ」の「リ」を合体させて「ハリー」とか?」

リヴァイ「ああ……それはいいかもしれないな」

いい考えかもしれない。ハリーか。いい名前だと思う。

リヴァイ「女の子だった場合は、じゃあ……」

ハンジ「ん~ゴロを考えると「エリー」とか? ハンジ・ゾエの「旧姓」の「エ」を残して、リヴァイの「リ」とくっつけるの」

リヴァイ「まて。エリーだと何か、エルヴィンの名前と合体させたような感じになるから嫌だな」

ハンジ「あらそう? ん~じゃあ、こっちは「リリー」でいいか。リヴァイの「リ」を重ねて」

リヴァイ「俺に似た子供になりそうで怖いな……」

ハンジ「いいじゃん! リヴァイに似てくれた方が家事万能の可愛い子に育つよきっと!」

リヴァイ「うう~ん……」

何だか悩ましいな。それでいいんだろうか? 本当に。

と、考えていたら早速マリアから連絡が来た。電話に出る。

マリア『やっほ~エルヴィン先生から聞いたよ~結婚おめでとう! やっとゴールしたってね!』

リヴァイ「ああ……すまん。連絡が遅れて」

マリア『いいって! 結婚決まるとバタバタして忙しいもんね! よくある事だよ』

リヴァイ「マリア。例の「名前」の件なんだが……」

マリア『うん。ハンジ先生なんて言ってた?』

リヴァイ「ハンジ自身は「スペル」を変えた「リヴァイ」ならいいと言っていたが、俺自身は出来るなら自分の名前を「分解」して欲しい」

マリア『分解? ああ……Leviの四文字を別の名前に変える訳だね』

リヴァイ「出来るなら俺だけじゃなくて、俺以外の縁のある男や親戚や……何でもいいが、つまり、そのまま使用するのは避けてくれないか?」

マリア『うん。じゃあそれでいいよ。ありがとうね! リヴァイ先生!』

リヴァイ「本当にいいのか? それで」

マリア『無茶振りしているのはこっちだしね~というか、こっちこそごめんね! 正直、断られるかな? と思いながら打診したからさ。むしろそう言って貰えて嬉しいよ』

リヴァイ「……そうか」

マリア『うん。リヴァイ先生に無理はさせたくないしね。リヴァイ先生、自分の気持ちを押し殺す「癖」みたいなものがあるからさ。その辺は会話の流れで注意深く聞いておかないと、うっかりこっちが甘え過ぎて我慢させちゃうしね。声の感じからすると嘘ついている感じじゃないみたいだし。いいよね?』

リヴァイ「あ、ああ……」

凄いな。声の感じで分かるのか。

マリア『うん。じゃあ後は旦那と相談してからまた名前を考えてみるね! んじゃ、ハンジ先生にもよろしくね! そっちも子供産まれたら教えてね~』

と言ってマリアが電話を切った。

ハンジ「ね? 大丈夫だったでしょ?」

リヴァイ「ああ……というか意外だった。あいつ、俺には「自分の気持ちを押し殺す癖」みたいな物があるから、注意深く聞かないとうっかり甘え過ぎてしまうとか言っていた」

ハンジ「それ凄く分かるわー。あんた、自分でも気づかないうちに相手に合わせようとしている時あるもんね」

リヴァイ「そうなんだろうか?」

ハンジ「でないと、三十路の旅行の時に我慢なんてしてないでしょ。まあ……そこがリヴァイのいいところでもあるけど」

リヴァイ「ふむ………」

ハンジ「これからは我慢し過ぎないでいいんだよ? そういう「自分」でいても私はあんたを受け入れる準備は出来ているから」

リヴァイ「え………」

ハンジ「あんたも私に言ったでしょ? 「か弱い自分」を隠さなくていいって。だったら、あんたは「我慢し過ぎない自分」を私に出していいんだよ?」

その直後、俺は何とも言えない心地になった。

どう言ったらいいんだ。言葉が見つからない。

俺は、これから変わっていってもいいのだろうか?

自分の「判断」に身を任せていいのだろか?

自分の人生を、自分で決めていいのだろうか?

…………いや。

俺は、俺自身の「判断」で「ハンジ」を選んだ。

あれだけ大勢の女を抱いてきたのに、結局最終的に選んだのは「ハンジ」だった。

ハンジを「選んだ」自分を受け入れた瞬間、俺はエルヴィンの言っていたファンクラブの件に対する「「自分で解決策を見つけるしかない」と言った意味を理解した。

見えた気がした。少しだけ。とっかかりでしかないのかもしれないが。

リヴァイ「…………そうだな」

俺は、恐らく間違えていたのだ。

きっとハンジが相手だったら、三十路のあの日に、口説き落としていたとしても、受け入れてくれたかもしれない。

いや、もし「拒絶」されていたとしても、あの時、俺は「本心」を伝えても良かったのだ。

その結果、もしかしたら「振られて」いたかもしれないが、それはそれで良かったのだ。

別の「生き方」になったとしても、それが「俺の人生」であるように。

どちらの選択も「間違いではない」のだ。人生は、きっと。

イザベルを亡くした時に、俺は俺自身の判断を悔やんだ。

本当は「イザベル」と一緒に居たかったのに。

イザベルの「意志」を優先したせいで、俺はイザベルを「殺してしまった」と思った。

そう判断した「自分」を責めた。だからずっと、自分の「判断」に自信が持てなくなった。

だから怖かったのだ。ずっと。自分で自分の人生を「決める」事を。

それならいっそ、判断を「相手に」委ねてしまおう。

きっとそう思う様になって、今まで来てしまったのかもしれない。

迷走する筈だ。相手に委ねようが、自分で決めようが。

どちらの人生も「同じように」「間違っていない」のに。

だったら今後はもう少し自分の判断も出していい。

勿論、相手に委ねる事もあってもいいが。自分の「全て」を「相手」に委ねなくてもいい。

重ねていこう。俺はハンジの「判断」と共に。

ハンジの「知恵」を借りて生きて行こう。俺は「アホ」だから。ハンジのように「頭のいい」女が必要なんだ。

リヴァイ「ハンジ」

ハンジ「何?」

リヴァイ「愛している」

ハンジ「突然何?! 脈絡がないよ?!」

リヴァイ「愛している」

ハンジ「待って!? 何?! え? 私、何か変な事言った?!」

リヴァイ「愛している」

ハンジ「ちょっと待って! 何か壊れちゃった?! ちょっと……ああ……」

ベッドの上に押し倒した。欲しい。ハンジが。

溺れ切っているのかもしれない。ハンジの言う通り。だけど。

今、この瞬間だけは止められなかった。

ハンジを「愛している」という気持ちを。どうしても。

ハンジ「待って……何?! 何でこうなった?! あれ? ああ……」

リヴァイ「愛してる……」

ハンジ「分かったから! ちょっと自重して! 流石に4回も言わなくてもいいから!」

リヴァイ「…………好きだ」

ハンジ「言葉変えてきた?! え……ちょっとリヴァイ、そんなキャラだったの? ちょっとおおおおお?!」

ハンジがパニック状態になっていて面白い。もう何度でも言ってやる。

リヴァイ「俺と結婚してくれて、ありがとう」

ハンジ「その台詞はもう聞いたよ!? 2回も言わなくていいってば!」

リヴァイ「大好きだ。俺はもう、ハンジ無しじゃ生きていけない」

ハンジ「うわあああああもう待って! これ何の嫌がらせ?! 私をどうしたいの?!」

リヴァイ「俺の物にしたい………」

ハンジ「結婚したでしょ?! もう私、リヴァイの物になりましたよ?!」

リヴァイ「滅茶苦茶にしたい……壊れるくらいに」

ハンジ「待って待って待って!! あ……ちょっと……あああ……」

耳元で囁いているだけなんだけどな。

手の愛撫は加えていないのに。ハンジは顔を真っ赤にして動揺している。

ハンジ「こ、これって所謂「言葉責め」ってやつ?」

リヴァイ「ん?」

ハンジ「なんか、同人誌とかに載っていた気がする。攻めがやたら「愛の言葉」を囁いて……」

リヴァイ「ふーん」

ハンジ「もうやだ……こういうのは苦手なんだけど。私、どうしたらいいの?」

リヴァイ「感じればいいだろ。そのまま」

ハンジ「なんか急に甘ったるくなったね! 何が原因なのよ!」

リヴァイ「ん? んーさあな」

ハンジ「誤魔化さないで! あ………ん………」

キスした。自分勝手なキスだけどな。

ハンジを気遣わないキスだと自分でも思う。俺は俺がやりたいようにキスをするんだから。

押さえつけるキスじゃねえけど。ハンジの性感帯を徹底的に探っていくキスだ。

そうか。今まで抱いてきた「女達」はきっと「これ」が欲しかったんだろうな。

自分勝手な「俺」を欲しがった。だからきっと俺から離れて行ったんだ。

優しいキスじゃなくて、俺自身の「判断」でする「乱暴なキス」を。

そこに「俺の意志」がないのであれば、意味がなかったんだ。

俺は間違っていたんだな。セックスのやり方でさえ。

第3回目の特別授業は、少し内容を変更するべきかもしれないな。

ハンジ「ん……んー……はあ……はあ……リヴァイ、凄い」

リヴァイ「ん? 何が凄いんだ?」

ハンジ「今の、キス、凄く良かった。何か………ああ………やばい」

リヴァイ「うん」

ハンジ「手加減してないよね。全然」

リヴァイ「本気出した」

ハンジ「そうなんだ。うん……こういうのも、いいね」

リヴァイ「そうか」

ハンジ「うん……ああ………気持ちいい。ああ……ん………」

キスだけでどれくらい時間をかけただろうか?

はっきりとは覚えていない。だけど、恐らく過去最長の長さの「キス」をした。

それはハンジを「壊す」くらいの勢いの「キス」だった。

あまりに激しく長いキスだったからか、途中でハンジが「ギブアップ」してきたのが笑えた。

ハンジ「もう無理………助けて」

リヴァイ「すまん。ちょっとやり過ぎたな」

ハンジ「キスだけでこんだけ気持ちいいなんて、信じられない。リヴァイの馬鹿……」

リヴァイ「はは……すまん」

謝るが反省はしない。

リヴァイ「ハンジ」

ハンジ「んー?」

リヴァイ「夕方からにはなるが、墓参りに行ってもいいか?」

ハンジ「あ、結局行くの?」

リヴァイ「ああ。やっぱり最後に、イザベルに報告しようと思う」

ハンジ「最後?」

リヴァイ「今年で最後だ。そこでけじめをつけるよ」

ハンジ「………いいの?」

リヴァイ「いい。俺がそう「したい」んだ」

ハンジ「………分かった」

そして俺達は準備を整えて夕方からイザベルの墓のある寺まで車で移動する事になった。

イザベルの墓は「納骨堂」に収められている。墓を守ってくれる親戚はいないからだ。

あいつはどうやら「不倫の子」というか、不義の子供というか、所謂「愛人の娘」のような立場だったらしい。

だから父親の支援は受けられず、母親を亡くした時点であいつには味方が誰もいなくなったらしい。

OGの方のイザベルは、その父親の家系の所謂「本家」の血筋の子供らしく、イザベル自身はもう一人の「イザベル」の存在を全く知らなかったようだ。

その辺の情報は俺自身が後日、探偵を雇って調査した物だ。プロの調査結果なので恐らく信じる価値はあるだろう。

ただ、同じ「イザベル」という名前が継承されているところを見ると、その父親の方にも全く「愛情」がなかった訳ではないのかもしれない。

憶測でしかないが。詳しいところは俺にも分からない。

墓参りをして心の中であいつに最後の言葉を伝えた。

俺は結婚して、新しい人生を歩いていく事を決めたと。

イザベルの事は忘れないけれど。でも、忘れていくかもしれないと。

もう「過去」の物として、俺は気持ちに整理をつけた。


ありがとう。イザベル。俺はお前に会えて、良かった。


ハンジ「……………本当にいいの?」

ハンジが困った顔で覗いてくる。

リヴァイ「ああ。もう今年で最後の墓参りにする」

ハンジ「なんか、すごく罪悪感があるんだけど」

リヴァイ「何故だ?」

ハンジ「………分かんない。でも、その……えっと」

リヴァイ「何だか「そうさせた」と思っているのか?」

ハンジ「ぶっちゃけるとそうですね」

リヴァイ「そんな事はないぞ。いずれは俺も「けじめ」をつけるべきだと思っていたしな。俺はイザベルの「親戚」ではないし、ましてや「恋人」と呼ぶのにも微妙な関係だった。初恋の相手だったとは思うが、優先するべき物はこれから、徐々に減らしていきたいんだよ」

ハンジ「え………?」

リヴァイ「必要最低限の手荷物でいい。それ以上の事まで抱え込まない方がいい。エルヴィンが言っていた「頑張り過ぎるな」というのはそういう「意味」なんだろ。きっと」

ハンジ「…………かもしれないね」

リヴァイ「ファンクラブについても、俺自身、「適当」にやっていく。俺自身が飽きたら「閉鎖」して貰うようにする。例えファンが残っていたとしても、誰に反対されたとしても」

ハンジ「………うん。それがいいよ」

リヴァイ「すまなかったな。ハンジ。俺はようやく「自分」を取り戻したような気がする。今までの俺は何処か「欠けて」いたんだ」

ハンジ「そうなんだ」

リヴァイ「ああ。それを教えてくれたのは、ハンジや、エルヴィンや、ピクシス先生やキース先生や……他の先生達も含めて世話になった大人達、そして今まで関わってきた女達や……生徒の中では、エレン。あいつのおかげかもしれない」

ハンジ「エレン? エレンが1番、生徒の中では印象に残っているの?」

リヴァイ「ああ。そうだな。あいつの「素朴なツッコミ」や「言葉」がいつも俺に何か「変化」を与えてくれた。ファンクラブの件だってそうだ。あいつが「もう、全部出しちゃいましょうよ」と言い出さなかったら、俺もここまで「吹っ切れる」事はなかったと思う」

エレン。あいつは本当に凄い奴だと思った。

あれでまだ「15歳」って言うんだから、末恐ろしい男だと思う。

リヴァイ「助けられたよ。俺は。教師を続けてきて本当に良かった」

ハンジ「そうだね。私もつくづく、この「道」を「選択」して良かったと思ってるよ」

リヴァイ「ああ………俺もだ」

そして俺とハンジは手を繋いで納骨堂を後にした。

もう振り返らない。今度こそ、さようならだ。イザベル。

今まで、本当に、ありがとう。

そう心の中で伝えて、俺は新しい「家」までハンジと共に帰っていったのだった。

という訳で、入籍初夜編はここまでです。
リヴァイ先生の病的な「何か」はここから少しずつ、減っていくと思います。自然と。

原作の方のリヴァイもこれに「近い」ものを持っているように感じるので、
たまに読者として心配になるこの頃です。

そんな訳で次はハネムーン編かな。
本編の時間軸のタイミングに合わせて出せたらいいと思っています。

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