上条「見舞いに来たぞ」一方通行「マジかよ」 (20)

打ち止め『ごめんなさいあなた……よりにもよってあなたの風邪と家族旅行の日が被ってしまうなんて………ってミサカはミサカは悲しげに抱きついてみる………』

一方通行『気にすンなクソガキ。しっかり遊ンで来い。あと抱きつくな鬱陶しい』

番外個体『あひゃひゃひゃ!天下御免の学園都市第一位も風邪には敵わないってか?』

一方通行『相変わらずうるせェなオマエは……打ち止めと土産物は頼むぞ』

黄泉川『心配すんな!しっかりと助っ人を手配しておいたじゃんよ!』

芳川『良くなってもあまり無理しては駄目よ?』

一方通行『分かってっから早く行って来い!
………あァ眠みィ』

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一方通行「とは言われたものの、誰なンだ助っ人は?」

一方通行「『妹達』か?『グループ』の連中?最悪『オリジナル』って事もあるかも知れねェ」

一方通行「いずれにせよ来て欲しくねェ奴等ばっかりだが………腹括るかァ」

ピンポーン

一方通行「来たか……はいどーぞォ」

上条「お邪魔しまーすっと」

一方通行「」

一方通行「間に合ってます」ガチャガチャ

上条「ちょっ、おい!ドア閉めるな!」

ガチャン!

一方通行(最悪だァァァァァァァァ!選りに選って三下が来やがった!)

『一方通行さーん?聞こえてます?』

一方通行(いや、オリジナルやクソメルヘンや土御門が来なかっただけ有り難いと思うべきか)

『オーイ開けてくれよー』ダンダン

一方通行(しっかし何つー奴呼ンでやがる黄泉川のヤロー!
どうする。このままやり過ごせるか?)

上条「まあ合い鍵とか貰ってるんですけどね」ガチャリ

一方通行「」

一方通行「……何しに来た」

上条「見舞いに来たぞ」

一方通行「マジかよ」

一方通行「居候のシスターは?」

上条「担任の先生の家で預かって貰ってる」

一方通行「そのレジ袋は?」

上条「今日の飯とお前用の飲み物とアイス」

一方通行「そのやたらデカいバッグはァ!?」

上条「俺の服とか日用品。黄泉川先生が帰るまで看病する約束だからな!」

一方通行「Oh………」

上条「あれ、大丈夫か一方通行?」

一方通行「うる、せェ。とっとと、帰、れ…」

突然、一方通行が座り込んだ。荒い呼吸で、必死に自我を保とうとしている。

上条「一方通行?おい!一方通行!」

両手の荷物を置いて、覆い被さるような体勢で上条は紅く染まった額に右手を当てた。

一方通行「……っあ、触ンな…っ」

上条「熱っ……凄い熱だ。えっと氷枕は……」

一方通行「…………」

約30分後、午後6時

一方通行「………あ」

上条「お、起きたか」

一方通行「……ベッドの上?」

上条「俺が運んだんだよ。軽くて楽だったけどな」

一方通行「……すまねェな」

上条「おう。もうちょっとで夕飯できるから待ってくれ」

軽く伸びをして、上条は明かりのついたキッチンへ戻っていった。
炊飯器以外の食器が乏しいのを見越して持ってきた自家用の鍋で、何かを作っているようだ。

頭の中のぼんやりとした物は、まだ自分から離れそうにない。
ならば、あいつの言葉に甘えて大人しくしてやるか。

後頭部の氷枕の冷たさを感じながら、一方通行はそう思った。

一方通行「いただきます……」

茶碗に盛られて差し出されたのは、オーソドックスな卵粥。

上条「フーフーしてやろうか?」

一方通行「いらねェよ」

スプーンで一掬いし、口に運ぶ。

一方通行「……美味い」

上条「だろ?上条さん特製の卵粥」

一方通行「オマエの創作レシピなのか?これ」

上条「……覚えてねぇわ」

一方通行「何だそりゃ」

一方通行「ご馳走さンでした」

上条「お粗末様でした」

言い終わるや否や、再び台所へ向かう上条。
次に一方通行のベッドへ戻って来た時には、水の入ったコップと、小さいオブラートの袋を携えていた。
袋の中身は、粉薬。

一方通行「嫌だ」

上条「我がまま言わない。ほら飲め」

一方通行「錠剤じゃねェのかよ」

病院に行った時、しっかり医者に薬の種類を確認すべきだったと、今更己の失敗に気付く。

一方通行「この舌に残る感覚が嫌なンだよ……」

袋の封を破り、恐る恐る粉薬を口に迎えた後、コップの水で乱暴に喉奥へ流し込む。
当然すっきりと事が運ぶ訳もなく、何度か咳き込んだ所を上条が背中を撫でて事なきを得た。

上条「気分は?」

一方通行「……薬の所為で気持ち悪ィ」

上条「その調子なら大丈夫そうだな。
ちょっと風呂沸かしてくるわ」

ポケットから出した体温計を渡して、いそいそと上条は部屋を後にした。

上条「37.2℃か……っておい一方通行どこへ行く」

一方通行「あ?どこって風呂だ風呂。
ったく汗で気分悪いったらありゃしねェ」

上条「それならほら。着替えとタオル」

一方通行「……テメェ、オレの風呂まで制限するつもりかァ!?」

上条「当たり前だろ!37度台の人間を風呂になんか入らせるか!
………ほら、体拭けよ」

一方通行「面倒臭ェ……そこまでオレが心配ならオマエが拭けば良いだろうがよォ!」

上条「」

一方通行「あっ」

一方通行(成り行きで拭かせることになった…)

上条(成り行きで拭くことになった)

上条「痛くないか?」

一方通行「あァ。続けてくれ」

上条「しっかしお前華奢だなー。肋骨浮いてんじゃねぇか」

一方通行「放っとけ。最近は肉食って筋トレもしてる」

上条「夏なのに肌も白いままだし。もう少し日焼けした方がいいぞ?」

一方通行「オレの場合、ただ赤くなって終わりだと思うぞ」

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