垣根帝督「はぁ? 俺はオタクじゃねえぞ」 (937)

ゆるいかんじの『スクール』のSSっつうかだべってるだけみたいな

主な仕様
◎更新不定期
◎時間軸は原作十五巻より前
◎土星わっかゴーグル君は「ゴーグル」呼称。テキトーなキャラ付けと出すかわからん能力の設定も一応済み。ベタっぽい念動系

馴れ合い、あと垣根が原作よりデレるかもしれないから嫌な人は注意
『スクール』周辺は情報少なすぎだからほぼ妄想



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1407332154

「なぁ。これどうすんだっけ」
とあるマンションの一室。
カウチに寝転がったままの少年が誰にともなく呟いた。
呑気にスマートフォンをいじるのは学園都市の生んだ最高位の能力者、超能力者第二位垣根帝督。
その声に振り返ったのは、ちらかった机の前でパソコンのキーを叩いていた少年だった。
少年がカウチの前まで部屋をつっきってくると、ぽいっとスマートフォンが放られた。
それを受け取って画面を覗くと少年は首を傾げた。
「なんスか……って、この前『スクール』でリスト作ったSNSアプリじゃないっスか。あれ、垣根さん公開アカにしちゃったんですか?」
『スクール』。毒をもって毒を制する学園都市の自浄装置、暗部組織の一つで垣根がリーダーを務めている。
この少年は、その内でも数少ない正規構成員の一人だった。
能力使用時に腰に下げた装置と頭部を繋いだゴーグルを使うために組織内では「ゴーグル」なんてそのまんまなあだ名で呼ばれている。
本人は、
「どうせならもっとカッコイイので呼んでくださいっス!」と憤慨し、愛用するハンドルネームをメンバーに教えてまわったのだが努力むなしくちっとも浸透していない。

ゴーグルにうなずくと垣根はだるそうに足を組んだ。
足元は革靴のままアームレストの上に掛けてしまう。
「別に連絡受けるだけの仕事用の番号だし気にして無かったんだけどさ。何かやたらとフレンド申請が来てんだけど。なんで?」
「なんでそんな動きのないアカに申請が……えーと『どこ鯖ですかコードxxxx-xxxx-……』『高レベ友求』『上位レアトレードリストあります』……あー、垣根さん。もしかして……自分の名前そのまま入れちゃいました?」
「うん」
一覧に表示されたメッセージをざっと見ると。
少年はしばらく考えてから垣根にそんなことを聞いた。
そして何だか気まずそうに頭を掻いた。
「多分……うーん、相手の勘違いっスね。うわ、知らないって怖いわー。垣根さんっスよ? こんなこと言えないって」
「あとな、なんかムカつくのがいる」
一人勝手に納得している様なゴーグルを手招くと垣根はスマホを操作してみせた。
「どいつっスか『かっけえ誤字m9(^Д^)www』うわー!」
「何なんだこれ」

顔文字つきのメッセージを読むなりおかしな声をあげるゴーグルの少年。
意味がわからないらしく心底不思議そうな顔をする垣根に。
少年は少し悩んでから息を吐いた。
そして何故か真剣なおももちで切り出した。
「……垣根さんこれは俺の想像なんスけど。どうか怒らずに聞いてもらえますか」
「中身によるな」
「『艦隊っち』ってゲーム知ってますか」
「いや」
「戦艦がモデルになったキャラクターを育てて戦わせるオンラインゲームがあって、『艦っち』なんて呼ばれて今人気なんスよ。多分、そのユーザー間のフレンド募集してる連中に絡まれてます。このSNS名前やキーワード検索も出来るんで」
「俺そんなの知りもしねえけど。なんの関係があんだっつうの」
そこまで説明してからゴーグルはもう一度。
念をおす様に垣根の顔を見つめた。
「えっと……怒らずに聞いてもらえますか?」
「おう。言えよ」
ポーン
そこでスマホが鳴る。
軽い通知音のあとにメッセージバルーンが表示された。
それをみた垣根はほんのちょっと眉を寄せた。

「ん? さっきの奴か」
『ねえねえ間違っちゃってるけどどんな気分?』
「意味わかんねえ」
怒っている、と言うよりも呆れた顔で首を鳴らした。
たとえ外国語にも堪能な超能力者だって、外宇宙語で話しかけられてはリアクションに困る。
「あの」
「ああ。さっさと言わねえと俺の気が変わっちまうかもな」
垣根の物騒な言葉を聞いたゴーグルの少年は意を決した様に首をタテに激しく振った。
「そのゲームって、ユーザーが戦艦の上官って設定なんスよ。つまり海軍の司令官っス。だからゲーム内外でもHN提督って呼ばれたりするのが多くて……その、垣根さんの、名前があのー……多分他のやつもそれで勘違いしてるん、だ…と……思います。つうかそれくらいしか考えつきません」
「ふーん」
ごにょごにょとフェードアウトしながら自分の想像でこのできごとの背景を推理するゴーグルの少年に、垣根はつまらなそうに頷いた。
半目で小さな液晶画面を眺めるその顔から今何を考えてるかさっぱりわからない。

『スクール』の連中がそこそこの付き合いがあっても、このリーダーのことは読み切れない。例え人間の心理に精通した能力者がいても。
超能力者の思考回路は常人のそれとは違うのだ。
何を考えているのかわからない真っ黒な目のまま、ぷちっと突然切れられるのが何よりおっかない。
特にこの第二位は能力の見た目も派手だがやることも派手だ。
ちょっとしたストレスのはけ口にされて破壊されたものは数知れず、以前アジトにしていた所だって垣根が派手に吹っ飛ばしてしまってやむなく引っ越すことになった。
ちなみに判明しているうちで、最も踏んではいけない地雷が彼の能力『未元物質』にまつわる事だったりする。
「この世界には存在しない物質を生み出し操る能力」なんて、炎や電撃を出したりと言う一般的なものよりスケールの大きな力だが。
何故か能力を使うと背中に羽根が出てくる。天使の様な、と言う言葉がピッタリのメルヘンチックなやつが。
それも六枚も。
天が与えた罰ゲームかそれとも何かの代償なのかは不明らしいが。
どんなに愉快でもそこに触れてはいけない、と言うのが組織内の暗黙の了解になっていた。

『人が教えてやったんだからありがたく直したらw恥さらし君』
地雷原を爪先立ちでそろそろ歩いているゴーグルの少年の目の前に、燃料がポイっと投下される。これをよけたところで、別の場所がドカンといくかもしれない。
泣きたい、と言うか逃げ出したい。いいよなあネット上でどれだけ煽ってもおまえには実害ないもんね?! と顔も名前もわからないユーザーに八つ当たりしたいくらいの気分だった。
「決して! 俺は馬鹿にしてる訳じゃねえっス!!」
「つまり俺の名前がお船の提督で、おかげでお前の同類とお友達だと思われてるってことか?」
一体どこが気に障ったのか。
にやあ、と口元をつりあげた垣根の手の中でスマートフォンが嫌な音を立てはじめた。
大慌てでゴーグルは垣根をなだめた。
「垣根さん! スマホが! 画面割れます!!」
「間違ってねえよ本名だよ。一発じゃちゃんと変換できねえし検索もされねえけどな。そんなの俺の責任じゃねえよ。何なんだこいつ」
「暇なんスよきっと」
持ち主の手から避難させたスマートフォンの無事を確かめながらゴーグルの少年は見知らぬだれかさんを憐れむ様に言った。

ポン
ポン
ポーン
ものの数分で再びメッセージが届く。
意味のないやりとりの為に貼りついているなんて、この相手はゴーグルの言葉通りよっぽど暇なのだろう。
『既読蹴んなしwあ、ひらがなじゃないとわからないかなwwwwwww』
「垣根さん、相手にしない方がいいっスよ」
「そこまでレベル低くねえよ」
ゴーグルの少年に釘をさされた垣根は手にした雑誌に目を向けたまま答えた。
心外だ、と言いたげな様子ではもう腹を立てていないらしい。
垣根の許可を得てSNS内の他のメッセージや設定のチェックをしていたゴーグルは用の済んだスマートフォンを返した。
「でも公開解除もこいつの拒否もしないんスか」
「こっちが折れたら負けた気がすんだろ」
気にしていないのかと思いきや、そんなことはないらしい。

「あれ。しつこくメッセ飛ばしてた奴来なくなりましたね」
それから小一時間近く、数分間隔で挑発的なメッセージと画像の嵐だったのだが。
気付けばぴたりと止んでいた。
「ああ。『スクール』の下の奴に声かけて、軽く灸すえさせといた」
「どんなのっスか」
垣根も、つっかかってきた相手をただ放置していたわけではないらしい。
ちょっとそわそわしながらゴーグルは椅子に座り直して話を聞く。
「電話番号から契約してる端末の名義、そっから『書庫』で所属校割り出して、組織下の奴に学校内のデータをハックさせた」
「それで」
「そいつのこの前の定期考査と『身体測定』の結果を送ってやった。『暇があるなら勉強でもしたら』っつって」
「うわあ。特定怖っ」
口ではそう言いながら、愉快そうにゴーグルの少年は笑った。
せいせいした様子の垣根は指定リスト内の受信メッセージに目を通しながら笑い返した。
「お。何かついでにそいつのプロフや背景の画像がテストの答案になるようにオマケしたらしいぞ。それもひっでえ奴。あいつらも暇だな」
「うっわあ。でも大人気ないってか意外と地味なお返しっスね」

「けどそいつのゲームのデータをサーバーから消す、とかまでいくとやりすぎだろ。出来なくねえけど。馬鹿にされたくらいでんなことまでする気はねえよ」
実際にはさせる、と言う方が言葉としてはきっと正しい。
垣根帝督の行動範囲と実行可能な内容は一般的な個人のそれよりはるかに広い。
使える能力、金、人脈。そして選択肢の中には非人道的で反社会的なものも含まれている。
ほんの思い付きで社会的どころか実際に相手を消せる程度には。
そう考えると今回垣根がしたのは他に比べて優しいくらいの対処だった。
その気になればちょっとした警告以上のことが出来てしまうところまで相手に伝わっているのかわからないが。
相手もほんのちょっとのストレス解消のつもりで、言ってみればベルト持ちのプロボクサーをサンドバッグがわりにしようとしたのだ。
これくらいで済んでラッキーだとゴーグルは言ってやりたかった。
しかし。
「それはちょっと俺、垣根さんの味方出来ないっスわ」
「そう言うシャキっとした面は仕事中にしろよ」
ゲーム好きと公言するゴーグルの少年はデータ削除と言う死刑宣告並みの提案に至極真剣な目をしていた。
「あーあ。つっまんねえの。なんかオススメのアプリとかねえの。レベル上げとかめんどくせえのはパスな」
「あっ! それならこのパズルゲーなんてどうスか?」

実際艦○れのフレンド機能にユーザー間補助とかそんなのないらしいけど
艦っちはパ○ドラとかパズ○ックスみたいなありがちアプリやよくあるカードゲームモドキを足したもんだと補完してっス


垣根提督「艦むす……?」

東京湾で迷子になったバレーボールさんがなぜか艦隊娘の残留思念てきなデータを読み取ってそこから未元物質で艦むすをつくるよ!
ってネタがさいしょうかんだんだけど
艦むすやったことなくてわかんねえのと資材も補給も整備もなにも
未元物質じゃあ無限供給っぽいからチートハーレム以外の遊びようがなさすぎて没
だれかやって

なんかかけたらまたくる
読みづらかったら言って
ドーモ


「ちース、今日は間にあいましたよ!」

そう言って部屋に入るゴーグルの少年だったが、彼は室内を見回して首を傾げた。
リビングルームのソファには心理定規だけが座っていた。
肝心のリーダーの姿がない。
連絡があるといつも一番乗りってくらいに待ち構えているのにだ。

「あれ? 招集かかったんじゃないんスか? 時間そろそろっスよね。垣根さんは?」

「あっち。服が決まらないんですって」

心理定規が指差した先、ドアの前には紙袋や箱が乱雑に置かれていた。
見た所買い物帰りと言った感じだった。
それにしても量がやけに多い。

「てっきり君も荷物持ちに付き合ってたのかと思った。違ったの」

心理定規の言葉にゴーグルの少年は首を振る。
今日は用事があって学校に顔を出していた。
彼も一応、真面目に学生生活は送っているつもりだった。
授業中にアプリのイベントに精を出して、休み時間に友達とノートを回しあうくらいの一般的な学生レベルで。

「そんなにデカい用事だったんスか?」

聞けば、垣根は昼ごろにいつも使っている運転手を呼びつけて買い物に出かけていたらしい。
心理定規もその場にはいなかったらしいが、リーダーはどっかのファッションショーにでも出るのかとドライバーがこっそり口にしていたのを聞いたんだそうだ。

「いつものじゃダメなんスかね。それにあれは『スクール』での仕事着みたいなもんだって前に垣根さん、自分で言ってませんでした?」

「そう言えばこの前かな。よく行くお店で顔が覚えられたかもしれないってぼやいてたけど」

超能力者なんてネームバリューを考えたらそんなもの、とっくに学園都市じゅうに知れ渡っていてもおかしくないが。
実際は。
超能力者であっても、通称である能力名や本人のフルネーム以外は広く知られていなかったりする。
七名の超能力者のうち、一人は名前どころかどんな能力かさえ。影も形も定かではないくらいだ。


『未元物質』垣根帝督もその例にもれないらしい。
今は一応暗部組織にいるのだからあまり有名過ぎても困るのかもしれない。
本人もこだわりがあるのかたまに人目を気にする様な素振りを見せていた。
もしかしたら。
能力を使えば嫌でも目立ってしまうのを実は気にしているのかもしれない。
かと言って急なイメチェンに走るのはゴーグルの少年にはよくわからなかった。
例えば有名校の制服や、目立ち過ぎる特徴で相手に正体を悟られてしまう、なんてことは垣根の場合あまり心配ないように思う。
いい意味で人目を引くことがあっても。


「それ服関係あります? つか心理定規は着替えなくていいんスか」

「私? 私仕事中はこれでいいのよ」

「暗部っぽいって言うか、なんか危ない仕事みたいっスよね」

この時期はどこに行っても冷房が効いているからだろうか。
今日はきれいな色のストールを持っていたけど、心理定規の格好はいつも肩が寒そうなドレスばかりだった。
高級クラブでも似合いそうな格好をした見た目推定中学生、と言うのもなかなか怪しい。

「なあに?」

「いや! 大人っぽくてカワイーっスね!」

じっと見ていたゴーグルを心理定規は見つめ返した。
小首を傾げて上目づかいのサービスつき。
美少女にそんなことされたらテンションが上がりそうだけど、ゴーグルはさっと顔の横で両手を振ってついでに首も振る。
リーダーの次くらいに一癖あって食えないのがこの少女なのは『スクール』ならみんなが知っていた。

「はいはい。ちょっと彼の様子見てきてもらっていいかな? そろそろ電話かかってきちゃうかも」

そう言って。
長い爪を気にしながら心理定規はスマートフォンをいじりはじめた。


「垣根さん? 俺っス、いいっスか」

「ああ。入れ」

ノックをして、頭を下げつつ部屋に入ったゴーグルは中の様子に眉を寄せた。
リビングルームのすぐ隣の洋室はついこの前までさっぱりしていたのに。
今はどこかの服屋のバックヤードみたいな状態だった。
店ならもう少し片付いているかもしれない。

紙袋、緩衝材にビニール、空き箱も中身の服や小物も乱雑に置かれていた。
有名な服飾ブランドから、『外』の格安メーカー、中には聞いたことのないような店のものまで。
靴だけで少なくとも五つのブランドの箱が積まれていた。
ごちゃごちゃになったその中で垣根は難しい顔をして立っていた。

「聞きましたよ。垣根さんみたいなタイプが表出て人目につかないってのは難しいと思うんスけど」

「だからこうやって色々考えてんだよ。たまには気分転換してえし。けどあれこれ見すぎたな。よくわかんなくなってきやがった」

垣根の着ているものはいつもと同じ。
上着だけ近くのラックに掛けてあった。
着替えようにも何にするかまだ悩んでいるらしい。


「ほら、これどう思う」

垣根が近くにあった服を手に取ると、空中から真っ白なものが伸びてきてその内側に入っていった。
等身大のヒト型の風船をふくらめたみたいにあっと言う間にアイテム一式を身に着けた即席のマネキンが現れた。

「そのシャツに眼鏡は呑みサーの大学生みたいっスよ」

「こっちは」

「チャラい医学生みたいっス」

「これは」

「うーん、中堅ホスト。そのグラサンはすげーイケてるんスけど全体的にNo堅気なタダナラヌ危なさがにじみ出ちゃってます」

「お前なあ、褒めてんのかバカにしてんのか。どっちだよ」

次々と部屋の中に現れるオシャレなのっぺらぼうを前にゴーグルがそんな感想を言うと。
おかしそうに垣根は笑った。

「服は変じゃ無いんスよ。うーん、俺にもよくわかんねえっス」

シャツにジーンズでいいや、と言う一般的な男子学生の感覚と比べると垣根は敷居のちょっと高そうなものばかり好んで買っているみたいだった。
だからゴーグルもセンスの良し悪しではなく、パッと見の雰囲気でコメントを返していた。


と言うか見せる服見せる服全てアイテムが被っていない。
このリーダーの頭の中には着回し、と言う言葉がないのだろうか。
これ全部買ったんだよな、着るかどうかわからないのに? とゴーグルは段々違う所が気になりはじめていた。

「じゃあこう言うのは」

中身があるのかないのかわからない言葉がプリントされた英字ロゴのTシャツ、ベストと下は黒のデニム。
さっきまでのよりは印象はぐっとラフになったが垣根は今ひとつ納得していない顔だった。

「垣根さん地がいいんスから何着てもカッコいいっスよ」

「そうか?」

「背高いしイケメンだし。あ……っと、垣根さんはモデルみたいじゃないっスかーオーラもバリバリだしー俺みたいなその他大勢顔からしたら超うらやましいっスーあれこれ気にする必要ないっスよーーー」

実はさっきからポケットの中の携帯電話が震え続けている。
心理定規だといいな、と思いながらゴーグルは垣根にあいまいな笑顔を向けた。

「そっか」

垣根はなぜか満足そうにうなづくと、別の包みを開けはじめた。
予想外の好感触に、ゴーグルの少年は視界の下で何かのパラメータが上がったことを知らせるアイコンが見えた気がした。


「君ねえ。彼に何言ったの」

「……普通のことです。間違ったことはなにも言ってません」

「何でよりによってあんな……派手好きなパンクスみたいなのになっちゃったの? 全然キャラ違うじゃない。なあにあの髪型」

「逆に目を背けられそうなのにしてみたんだそうでございます。わたくしは一切関与しておりません。俺はノータッチっス!!」

二人がリビングに戻るなり。
険しい顔でゴーグルに寄ってきた心理定規がこっそり指差した先には、普段以上に跳ねた毛束を遊ばせる垣根の頭があった。
ついさっき、着替え終えた垣根が軽く髪に手櫛を入れるとあっという間にスタイリングが決まっていた。
それも『未元物質』効果だろうか。だとしたら万能すぎるとゴーグルはちょっと感動したが。
垣根が唐突に鼻歌を歌いはじめたのでゴーグルがそれを聞くチャンスはなかったのだ。
もちろん、ふっきれるどころか軽くはっちゃけてしまったらしいリーダーにスタッズだらけの派手なジャケットの趣味について意見する度胸なんて最初っからない。
んなもんあるわけない。


あれはゴーグルの内部パラメータの変動じゃなかったのかもしれない。
かと言って垣根の方、とは言っても好感度上昇ではなく、なにかのフラグでもなく。
もしかしたらバッドステータスかもしれない。
馬鹿なことを考えながらゴーグルが垣根の頭上に目をこらしても、もちろんアイコンとかマークとかそんな愉快なものは見えない。

「一応聞くけどね。彼の暴走防止もかねて君にお願いしたのはわかってるかな?」

「心理定規……人間、わかっててもできないことってあるんスよ。垣根さんが『心配するな、自覚はある。一回こう言うカッコしてみたかったんだよ』って言うんスよ? そこに俺がストップなんてかけられると思ってるんスか」

ゴーグルは胸をはる。
長いものには巻かれて、危ない橋は叩きもしない。
まして触らぬ垣根に祟りなし、だ。
要領よくやっていかないとこの学園都市では生き残れない。ちょっとオーバーだが。
とりあえず、ゴーグルの少年の中ではこの組織内で下げる選択肢は存在しない。
上げて、上げて持ち上げていくポジションを確立している。

「だからって……あなたたち自由すぎ。男の子ってわかんない」

使えないと心理定規の冷ややかな視線が語っていた。


「俺はあれはあれでカッコいいと思うんスけど。フェスとかライブとかそう言うイベントなら」

ちょっとその辺に遊びにいこうぜ、と誘われたらゴーグルもお断りするかもしれない。
似合っているのが幸いと言うか不幸と言うか。
街中であれはとっても残念な人にみえそうだった。
中身が。

「さっきマシンガン持ってかないのかって聞かれたんだけど。どうせあんなの使わないだろうし、私邪魔なのは好きじゃないんだけどな」

壁際に置かれた鏡台とスチールラックを睨んで心理定規は頬を膨らめた。
彼女のスペースには、女の子らしいコスメやジュエリーに混じって物騒な小火器が置かれている。

もし戦闘になっても心理定規の能力は対人なら敵は居なくなる。
自分を、相手が傷つけられないような心の近い距離に置いてしまえばいい。
やりようによってはその場で人の盾も手に入るだろう。
しかし、自分からの攻撃手段は無く、乱戦にはあまり意味がないので彼女は暗部の仕事となると武器を持ち歩いているようだった。

「ギターケースに入れっぱなしのあれっスか。いいんじゃないスか? 今なら多分荷物持ってくれますよ。そうだなあ……バンドやるなら垣根さんはボーカルとかギターみたく派手なのっスかね。心理定規はキーボードか、歌えるならボーカルもいいかも。俺はベースかなあ。そうするとやっぱりもう一人、ドラムも欲しいっスよね。あはは、んなこと言って俺楽器弾けませんけどねー」

「おばかな妄想はいいから」

現実逃避しかけたゴーグルに釘を刺すと心理定規は呆れたように首を振る。


「で、これからどこ行くんでしたっけ」

「資料のファイル開かなかったの? 第十六学区にある施設よ。ちょっとした……マナー違反が出たみたい」

第十六学区は学園都市でも優れた商業区画だ。
高額なバイトや特別待遇だけでなく、学生の奨学制度や学区内独自の制度も多い。
人も金も多く集まり流れていく地域だ。

中にはもちろん『特別』なバイトもあるのでトラブルには事欠かない場所でもあった。
『スクール』でも前に「お掃除」や「お片付け」をしたことがある。
慈善事業じゃねえんだけど、とリーダーはつまらなそうにぼやいていた。

「あー……そこだったら呑みサーの学生風でバッチリだったんスね。そう言う連中も多いし目立たなかったかも。今はどこ行っても悪目立ちしそうっスよね」

最初のでGOサインを出しておけば話は早く済んだのか、と今更になって気付き。
ゴーグルは肩を落とした。
なんか余計に疲れた気がしていた。
そんなゴーグルの気持ちは、まあわかってるんだろうけど。
垣根をまじまじとみていた心理定規はお構いなしに次の難題をふっかけた。


「やっぱり着替え直すよう言ってよ。大急ぎね」

ちょっと嫌そうに心理定規は目を伏せた。
でもまあ正直なところ、ゴーグルの少年からみたら垣根も心理定規も派手さなら同列だった。
二人の方向性がちょっと違うだけだ。
ごくごく一般的で地味な服装のゴーグルのほうがたまに浮いているような気がしてしまう。

「ええっ、垣根さん今すげー機嫌いいじゃないスか! それも珍しく! 嫌っスよ。そう言うのって女の子が言った方が効果ありそうだし、心理定規はその辺専門じゃないスか。うまい感じに誘導して下さいって」


そんな気持ちは今は伏せて、情けなく抗議するゴーグルの少年に心理定規は静かに首を振った。
何を言ってるのかしら、なんて心の声が聞こえてきそうなかんじだった。

「効果的だからいやなのよ。私、仕事前に彼の不興なんて買いたくないの。余計な事したくないでしょ」

お馬鹿さん、もおまけについてきそうだった。

「何してんだお前ら。行くんじゃねえの」

ひそひそと二人で話し込んでいる内に、今のいままで人を待たせていたとは思えない態度のリーダーからお声がかかってしまった。

「ほら、まだ間に合うわ。がんばって。ね?」

「ええー!」

いつになく上機嫌な垣根と、口元だけで笑う心理定規に挟まれて。
ゴーグルの少年は自らの不幸さを嘆くしかなかった。


超能力者の自分だけの現実、特にセンスは未知数だぜ
麦野はあの中でも趣味良さそうだよね
下着透けちゃうストッキングはいちゃうけど

ドーモ
スマホでみるとけっこうつまってんね
中身つまらんけどつまってる
せりふまわりの行間いじってみた
ちったあマシかな


「ああっ、ダメっスよそこは」

「ばーか違うだろ。もうちょい下だ」

「右っス右!」

「と、思わせて実は反対側が安全だったりしてな」

「あなた達うるさいわよ。これで……どうかなっ?」

「あーっ!! マジっスかー!!」

「よし。次お前だな」



とあるファミレスの一角。
小さい子供むけのおもちゃを囲んで騒ぐ一団がいた。
夕方、混み合う店内の騒がしさの中でもひときわ目立ちそうな大きな声を上げて少年がテーブルにつっぷした。
目の前におかれた『黒ひげ危機一髪』のプラスティック製の剣をつまむとテーブルをつつきはじめた。


「どうしよう……残り六本っスよ」


任務帰りの『スクール』はご機嫌なゲームの真っ最中だった。
ルールは簡単、負けた奴が他のメンバーの食事をおごる。
それだけ。
ただし、外の車内で待つ構成員のテイクアウト分も含まれるので一般的な学生の財布基準でみると痛い出費になりそうだった。

「心理定規、お前ほんとにあれだけでいいのか。飯食わないと逆に太るらしいぞ」

「あなたが頼みすぎなのよ」

「そっか? 和風御膳とポテトとフライ盛り合わせだろ、やっぱピザも食おっかな」

「……好きにすればいいと思うよ。メインのおかずにから揚げがあるのに揚げ物追加するのはちょっとついてけない」

呆れた様な目をする心理定規の向かいの席。
いつもの服装とは違いややハードな格好の垣根はまだメニューを眺めていた。
出かける直前の懸命なゴーグルの訴えが効いて、パンクロッカーみたいに派手なジャケットが今回陽の目をみることはなかったものの。
音楽の道を踏み外して夜の街に片足突っ込んだ若者の様な格好に余り違いはなかった。

「やっぱり! 俺が飛ばす流れっスよねこれ?」

派手なカップルとうっかり相席してしまった学生、みたいに見えるゴーグルの少年が座るのは当然の様に通路側だった。


「すいません。季節のフルーツのパンケーキ二つ追加」

「垣根さん?! まだ俺やってないのに注文足さないでくださいっス! しかも二個も」

どこに剣を刺すか悩んでいるゴーグルを無視して呼び出し用のボタンを押すと、垣根はデザートまでオーダーした。
店員に似合わない愛想笑いを返した垣根は途端にしれっとした顔で前の席を指差した。

「一個はこいつのだぞ」

「何で勝手に頼んじゃうの。食べるなんて言ってないよ」

一瞬目を丸くした心理定規は細い眉を寄せて抗議する。
テーブルに乗せられていた限定メニューのカードを端に寄せると、垣根は首を振った。

「お前こればっか見てたろ。いいから我慢とかしないで食っちまえ。俺が食ってる間、ぶすっとした面が目の前にあんのは気分が悪いだろ」

「心理定規? 嫌なら俺、食べるっスよ」

「いい。二人にそんないじわるされたら我慢できそうにないし」

こうなったら食べちゃうんだから、と心理定規は頬を膨らめた。


「まさかこんなおもちゃで遊ぶことになるとは思わなかったなあ」

「カードもコインもダメってなると勝負の方法は限られるけど。俺こんなん初めて触るぞ」

「んなこと言ってもっスねえ、心理戦で二人に勝てた試しがないんで。やる前から結果見えてんのはフェアじゃねえっス」

赤と白。
それぞれ小さな剣を手の中で遊ばせる二人が呆れたように笑う。
店内で売られていたおもちゃに目をつけ、これを持ってきたのもゴーグルの少年だった。

「あら。あなたたちだってサイコロやコインの出方を確率以外のやり方で決められるじゃない。でもじゃんけんもダメなの?」

「そりゃ心理定規がいるんスから。俺が何を出すかこっそり誘導してるに決まってるっス。出なきゃ仕草や会話から読み取るんスよお」

情けない声を上げるとゴーグルの少年は目の前のおもちゃをぐるぐる回し始めた。
外からみたところでたった一つのハズレがどれかはわからないだろうに。
よっぽど負けたくないのか、くだらないことに大真面目になるゴーグル。
それを見ていた心理定規は自分の頬に手を当てると大袈裟にリアクションした。

「嫌だな。もしそうなっても、そんな無駄な事しないよ?」

「思い切り損得絡んでるけどな」


「それよりほら。料理来る前にハッキリさせちゃわない?」

いつまでも自分のターンのまま、ゲームの進行を止めているゴーグルを見かねたのか。
心理定規がそう促した。

「ううう……」

散々悩んで渋っていたゴーグルも観念したように顔を上げた。
神様仏様二次元の女神様! と唱えるとゴーグルは思い切って剣を差し込む。
だがカチン、と小さな音がしただけだった。
タルにはまった人形はピクリともしていない。

「やったあああ! やっ……あ、あのスンマセンっス」

「次。さっさと貸せよ」

勝ち誇った様に大きくバンザイをしたゴーグルは次の瞬間、素早く腕をひっこめた。
ささーっと頭を下げながら隣にタル型のおもちゃを回す。

「こう言うのは、グダグダ考えずに直感でだな――」

垣根が言い終わる前にビョン! と人形が跳ね上がった。

「ごちそうさまー」

「ご、ゴチになります」

頭を下げる二人の前で俯くリーダーはちいさくため息をついていた。


今回の敗者がはっきりしたところで、ゴーグルが席を立った。
心配事がなくなったのかすっかり晴れやかな顔をしていた。

「じゃあ俺飲みもの持ってくるっス」

「私ダージリン。あったかいのお願いね」

「アイス抹茶ラテ。あんま薄めんなよ」

「りょーかいっス」

少しして。
グラスを二つと湯気の立つカップを乗せたトレイを手にしたゴーグルが戻ってきた。
二人の前に飲み物を置くと、後ろを振り返りながら席に着く。

「なんかあっちにすごい客がいたんスよ」

そんな言葉を聞いて。
心理定規がカップを持ち上げながら首を傾げた。

「女子ばっかなんスけど、ドリンクバーオンリーどころか弁当とか缶詰持ち込みしてました。おまけに店員呼んでおかわり持って来いって言うんスよ!」

すごくないっスか? とゴーグルは自分の見てきたおかしなものを二人に伝えたが。
きっと席についたままの二人がその光景を見ることもこの感覚を共有することもない。
わざわざ見に行くどころか、きっとついで、で立つ用事もない筈だった。



「随分非常識な連中だな。まぁ、お前みたいのがいないんだろ」

汗をかいたグラスを受け取ると垣根は意地悪く口元で笑った。
濁った底を混ぜ返すとカラカラと氷が音を立てた。

「それにしてもっスねえ。堂々としすぎっス。呼ばれたウェイトレスがかわいそうでしたよ」

「んな馬鹿共に構ってる暇があったらさっさと持って来いっつうの。氷、溶けてねえ?」

眉を寄せながら垣根はストローをくわえた。
それ以上の文句が飛んでこないので、どうやら気にしていた味の方は合格ラインに達していたらしい。

「ねえ、君の飲んでるそれは?」

ゴーグルの手にしたおかしな色にまじりあうジュースを心理定規が不審そうに見ていた。


「これスか? ホワイトメロンジンジャーっス」

ゴーグルは得意げに答える。
なんて言っても、ドリンクバーに並んでいたジュースを適当に混ぜたものだ。
味はまあ、甘い炭酸飲料には違いない。
どうせ飲み放題なんだからそれぞれ一杯ずつ飲めばいいとか言ってはいけない。
これは、混ぜることに意味があるのだ。

「それ、香料と着色料がちょっと違うだけでほとんど砂糖水なんだよな。俺次コークジンジャー」

「1:2でしたっけ」

「そ。氷多めで。レモンあったっけ」

「それ他の店っス」

「やだなあ。あ、それこっちです。いただきまーす」

糖分の塊みたいな独自ブレンドを開拓する男子二人を無視して。
紅一点は目の前に運ばれてきたサラダに手を合わせた。



「そう言えば。何でお前仕事中あんな感じになんの?」

「あ、私も気になってた。話し方とか妙にカッコつけてるよね」

普段は砕けた調子のゴーグルだが、『スクール』での有事の際にはそのキャラクターが度々変わる。
口数はうんと減るし、ふざけたことも言わなくなる。
おまけに敬語。
180度の路線変更を茶化され、ゴーグルは口にしていたサンドイッチを詰まらせかけた。
水で何とか流し込むとテーブルをグラスで叩いて反論する。

「おっ俺はTPOに合わせた感じにしてるんスよ! このノリじゃイザって時にしまらないってくらい自覚あるんス」

「あったのか」

ポテトフライをマスタードとケチャップまみれにしていた垣根が意外そうに眉を上げた。

「別にそのままでいいんじゃない? おかしくてつい笑いそうになっちゃう」

「後はほら……気持ち切り替えてるんスよ。俺ゲーム以外で物騒なのはそんな得意じゃねえってゆーか。だからあれは仕事用のキャラメイクっス」


ゴーグルの言葉に垣根と心理定規は不思議そうに目を合わせた。
何言ってんだろうな?
さあ、わかんなーい
なんて無言のやりとりが聞こえてきそうだった。

「なんでそこで仲良く首傾げちゃうんスか……いーっスいーっス、俺だけ小者なのも自覚済みっス」

肩を落とすゴーグルをまじまじと見て、垣根は呆れた様に息をはいた。
改めて不思議そうに隣に目を向ける。
確かに、暗部組織や後ろ暗いものと関わりがあるようには見えない一見普通の少年だ。
普通の基準が『外』と学園都市では随分違ってしまっているとしても。

「はー。お前みたいなのがなんで『スクール』にいるんだかな」

「それは……お互い言いっこなしじゃないスか。ここで色々あった奴なんて山程いるんスから」

「……ご飯の間くらい、つまらない話はやめない?」

互いに一度視線を合わせると、三人は少しの間黙って目の前の料理を口に運んだ。



「取りあえず、これからの方針は前と変わらず……でいいのかしら」

一通り食べて、大したことのない会話を終えて。
そう切り出したのはサラダとデザートを食べ終え、一足先に目の前の食器を下げさせてしまった心理定規だった。
彼女が眉を寄せる視線の先では、垣根が最後に運ばれてきたパンケーキにシロップをなみなみと注いでいた。

「動くのに必要な情報を得るにしても、もうちょっと懐に潜り込まないとっスよね」

『スクール』の中では各々の利害の一致から、ある程度の活動指針があった。
いつも電話をよこすエージェントから持って来られる話とは別に、それに沿って組織として動くこともある。

「やっぱり『直接交渉権』を引き合いに出来るくらいの位置にいかないとダメかな。組織でも個人でもいいんだけど、まだそんな話が出来る様な信用も対価も不十分よね」

心理定規はそう呟くと頬杖をついた。
それに答えたのは、それまで黙ってナイフを動かしていた垣根だった。
唇についたクリームを舐めとると。
暗部組織のリーダーは、店内の雰囲気に似つかわしくない裂いた様な笑みを浮かべた。

「信用なんか必要ねえ。ただ『スクール』が便利なポジションにいれば学園都市も俺達を利用せざるを得ないからな。まぁ、こっちが黙って頷くだけのいい子ちゃんじゃねえのはあっちもわかってんだろ」


「やっぱ相当リスキーっスよ。後ろ盾も交渉材料もないし、手っ取り早くどっかの理事を引き込んじゃうとか出来ないんスか」

ドリンクバーとは別に注文したクリームソーダのアイスクリームを溶かしながら。
何気無くそう提案したゴーグルだがそれを聞いた垣根の顔が何故か不満そうになった。
むすっとした表情で再びスイーツと向かい合うリーダーに、心理定規はこれまた意味ありげに微笑む。
すっかり冷めていそうな紅茶をスプーンでくるくる混ぜながら口を開いた。

「ほら。やっぱりそうなるでしょ。だから話くらい聞いた方がいいよってアドバイスしたのになあ」

「嫌だっつってんだろ。お前やれよ」

「私にはまだそこまでのコネクションがないの。残念だけど」

「あのー。よくわかんないんスけど俺も混ぜてもらっていいスか」

ゴーグルは仲良くおしゃべりする二人に声を掛けたが、揃ってグラスとカップを突き出されてドリンクのおかわりを催促されてしまった。


「垣根さん、いつもあんなにマネーカード持ち歩いてんスかね。ポケットにカードケースだけってどんだけ――あれ?」

テーブルの上を片付けていたゴーグルの少年が首をひねる。
用が済んだからといって買ったものを置いていくわけにもいかず。
箱に入れなおしていたおもちゃを見ると不思議そうな顔をした。

「どうしたの」

化粧を直していたらしい心理定規が荷物を取りに戻ってきた。
きれいに塗りなおされたピンクの唇を尖らせて、支度の遅いゴーグルの少年に声を掛けた。

「なんか剣が多いんスよ。ここの穴の数の割に、やけに余るような」

「勘違いじゃない?」

箱の横に印刷された仕様をみながらゴーグルはまだ首を傾げていたが。

「お前らなあ、早くしねーと車出すぞ!」

「はっ、はいいっ! 今行きます!」

疑問にけりが付く前に、強制的にピリオドが打たれる。
店の入り口から響いた怒号にゴーグルの少年はビシィ! っと背筋を伸ばした。

ドーモ

禁書は学園物の割に殺伐としてるから普通の学生っぽいことしてるのがみたくなる
元暗部の中では『アイテム』がその辺は恵まれてそう。今は浜面もいるし。他は一応解散しちゃったし

モ○ゲーとかでやらないかな。大覇星祭系のイベント前に7、5以外の超能力者による選手宣誓デモンストレーション。でなきゃ描き下ろしカード
残りも男女ペアで1、3と2、4とかさー舞台裏がすげー殺伐としそうだけど
って考えると漫画でやったの七位と五位で大当たりだ。実行委員がかわいそうだわ
体操着の第四位とかいろんないみでヤバいっしょ

レスありがとう

乙の一言だけでやる気があがるぜ
がんばるわーまたかけたらくる

乙っす、原作大幅改変せずここまで面白いスクール書けるとは
続きお待ちしております


なんだこいつら可愛すぎる、雰囲気が良いね
余った剣は白かったりするんだろうか

体操着の第二位と第四位が並ぶと何のプレイだとしか

このSSとは関係ないんだけど
大覇星祭の選手宣誓を超能力者にやらせるかの話し合い
ネタ浮かんだんだけど、ここに落としてもいいかな

いいんじゃないかな
まったく別ジャンルのネタってわけでもないし

上記の話の構成力からして、期待せざるをえないネタだね
別スレだと見つけられるか判らんし、ぜひここに落としてください

レスあざまーっす
スレッド立てたの初めてだからこういうのやべえうれしい
まとめて失礼

>>48
まだおばかな『スクール』SSだけど、今後大幅改変入る予定
それも気に入ってもらえたらうれしっすー

>>49
剣なー、どうなんだろうなー
お互い見た瞬間、垣根も麦野も即チェンジっていいそう

>>51
ありがとー
こっからちょっと落としてく

>>52
即興だから期待されると自信ないw
短いからわざわざ立てるのもよくないしね

じゃあ折角前振りもしたし、お言葉に甘えて

こっから12レスくらい
台本
一応sageますスルーしてもらって結構っす


※SSの内容とは関係ない一発ネタです※

頂点決戦ネタあり、あそこは時間の流れも原作本編の軋轢もあんまり影響ないギャグ特化世界なのでいーっすよね
何度でも春夏秋冬のイベントがみれるよ!
暗部解体後のどっかのギャグ次元ってことでひとつ
なかよしレベル5が定期的にみたくなる



運営委員「第一位さん入りまーす!」

一方「ったくなンなンですかァ……面倒くせェことで呼びやがって」

垣根「遅えぞ。第一位様は重役出勤ですかあー? こう言うのは最低五分前には動けよ」

一方「あァ? なンでオマエらがいるンだ」

麦野「大覇星祭の開会式ってのに超能力者の残りの面子が呼ばれたのよ。前に下二人が出たんなら、その上も使えると思ったんじゃない。こっちは迷惑だっつうの」

垣根「え。結果次第で『直接交渉権』の繋ぎがつくって話は? 第一位も来るし、当然来るよなって俺言われたぞ?」

麦野「アンタそれ、担がれたんじゃないの」

一方「超能力者を集めるって言ってもよォ。その割りに一人足りてねェみたいだけどなァ」

御坂「ごめんなさーい! 実験に付き合ってたら遅くなっ……ええっ?! 麦野沈利に一方通行も?」

麦野「来た来た。テメェなあ、人を呼ぶのにさんくらいつけたらどうなんだよ」



御坂「えーと。そっちの人は?」

垣根「ああ、自己紹介が遅れたかな。はじめまして、俺は垣根帝督。第二位の超能力者だ。よろしく御坂美琴さん」

麦野「うわぁ」

一方「キモい」

御坂「どうも……あー、よかった超能力者って普通そうな人も私の他にいたんだ。安心したわ」

一方「残念だったなァ。こいつが一番非常識だぞ」

麦野「なーに猫被ってんだか。気持ち悪い」

垣根「人間、初対面の印象が大事なんだよ。こいつはこっち側じゃねえし、おまけに中坊だろ。無駄にビビらせてどうすんだよ」

麦野「相手で態度を使い分けるとか、性根の悪さが滲み出てるけど」

御坂「じゃあ、結局この中でまともなのは私だけかぁ」

垣根「……なぁ。こいつって実は性格悪いの? 単に口が悪いの?」

一方「口から出ちまうンだろ。悪意だらけなのはもっと酷ェぞ。まァ、悪気がないのは質が悪ィけどなァ」

麦野「第一位、アンタそのうち御坂の扱いも慣れてくるんじゃない?」

一方「オマエ相当ふざけてンなァ、麦野」


垣根「で。俺たちに大覇星祭のイベントに出ろっつう話なんだよな。暗部が解体されたからって、随分と平和ボケしたもんだ」

一方「麦野オマエ、もォ断る理由がねェンじゃねェか?」

垣根「じゃあ麦野と御坂で充分だろ。俺たち来た意味ねえな。別に男女各一名、なんて縛りもねえだろうし」

御坂「ちょっと待って! 麦野と?」

麦野「私だってコイツとなんかごめんだっつうの」

垣根「ふーん。なんだ、お前ら仲良くねえんだ」

麦野「じゃあ、第一位と第三位でいいんじゃない。第二位と一緒は嫌でしょ」

一方「オマエ……それはマズいだろォが」

麦野「オリジナルとは嫌な訳?」

一方「俺個人の問題じゃねェよ」

御坂「嫌って言うか……複雑よね」


垣根「御坂忙しそうだしな。メディア露出もかなり多いんだろ? じゃあ麦野と一方通行……は、ガキの教育に悪そうだな。目つき悪すぎ」

一方「腐ったドブみてェな目のヤツに言われたくねェ」

麦野「まるで自分はいいみたいな言い方ねえ。確かに子どもウケは良さそうだけどさー色々と」

垣根「テメェ、この中で一番格下の癖に俺に喧嘩売るとかいい度胸してんな。いっぺん痛い目みたくらいじゃ足りねえか?」

御坂「ちょっと、少しはまともに話し合いましょうって」

一方「もォオマエら並べば? リーダーさんよォ」

御坂「そうね。麦野と垣根さんなら二人とも丁度いいかもよ? スタイルとかバランスも」

垣根「美男美女なのはいいとして。これからたのしい運動会、ってガラじゃねえだろ。『外』でも流すんだよな確か」

麦野「何プレイだっての」

一方「オイ。せめて罰ゲームくらいにしとけ」


垣根「まぁ、誰が出るにしてもだ。どんな感じか想定くらいしておこうぜ」

麦野「それはいいけど何でアンタが仕切ってんの」

垣根「だってお前らやる気ないだろ。これっぽっちも。こう言うのは誰かがやんねえとな、話にならねえ」

御坂「垣根さんて、意外と面倒見がいいのかな」

麦野「でも、確かに浜面は世話になったらしいのよね。滝壺のこととか」

一方「そォ言えばオマエ、口は相当ユルかったなァ。べらべら余計なことまで教えてくれてよォ」

垣根「そうか。そうかよ。そうですか。お前らそんなに俺が嫌いか」

御坂「えー。いや、ホラ今日あったばっかだし」

麦野「悪いけどさ、アンタみたいなの趣味じゃないから」

一方「ウゼェ」

垣根「俺だってテメェらなんか大っ嫌いだよ!!」


御坂「まあ上から順に考えましょう。一方通行は、今回もし出るならどうするの?」

一方「もしもだろォ……カッコは前と同じでいい。面倒くせェ。最初に顔だけ出したら帰るからな」

御坂「前って……あー、あの応援団の」

一方「あれ暑いンだけどな」

御坂「じゃあほら垣根さんもあんな感じにすればいいんじゃない?」

麦野「長ランねえ、色は白でいいんでしょ。どうせ」

一方「裏地は紫ってかァ? 趣味の悪ィ」

垣根「テメェに服の話はされたくねぇ。っつうか、それだと俺は白組サイドってことでいいのか? 白手袋に白いハチマキ……あれ、結構よくねえ?」

麦野「一昔前のヤンキーみたいだなあオイ。ついでに派手な刺繍でも入れればいいんじゃないかにゃーん」

御坂「???」

一方「オイ、『超電磁砲』がついてこれてねェぞ。いつの時代のはなししてンだ」

垣根「なあ。それあんまりかわいくねえにゃーん?」

麦野「テメエらぁあ……ブチ殺し確定だぁああ!」


垣根「まぁ、とりあえずカッコはその辺でいいとして。なんかこー、いい感じの煽り文句が欲しいよなあ」

麦野「その辺、第一位はどうだったのよ」

御坂「えっと、確か『最強の応援』だったかな?」

一方「じゃァ、コイツは『非常識な応援』でいいンじゃねェか。『上から二番目の応援』とか士気が下がンだろォが」

垣根「……『あのガキ、ケガしねェだろォなァ?(裏声)』」

御坂「ぷっ」

麦野「くふっ」

一方「垣根ェ……よっぽど愉快なオブジェになりてェらしいなァ?」


垣根「用意するんなら横断幕は『未元物質』でいいぜー。間違ってもこっぱずかしいのは止めてくれ」

麦野「ふっ、ふふ…ガキの…名前とか?」

御坂「ちょっと、笑っちゃ悪いわよ」

一方「……気付いたら外堀からガッチリ埋められてた俺の気持ちなンざオマエらにゃわかンねェよ。はしゃいだアイツらにビデオ用意するだなンだって言われてから、参加するだろって話が出てくンだぞ」

御坂「ああ……それでアンタあんな似合わないことしたの」

一方「次はオマエらの番だろォなァ。楽しみにしてろォ」

御坂「なんかそう言われると嫌な想像しか出来ないんだけど……黒子とか、黒子とかマm」

麦野「ま?」

御坂「なっ、なんでもない!!」

垣根「……埋まる外堀がねえ」


垣根「まぁ御坂は無難でいい感じにこなしてくれるとして、問題は麦野だろうな」

麦野「私?」

一方「体操服……着ンのか」

御坂「あんまり想像できないわね。確かに」

垣根「でなきゃチアとか……あんな短いの履く?」

麦野「あんなバカみたいなカッコ、誰がっ」

垣根「多分、お前スポーツとか似合うさわやかなキャラじゃねえんだよ。一方通行もそうだろうけどさ」

一方「否定はしねェ」

麦野「ああ? テメェは似合うってのかぁ?」

垣根「おお。そこのモヤシと違って腹筋割れてっからな。確認してみるか?」

一方「そこで脱ぐんじゃねェぞ。非常識野郎」


垣根「いっそエロい路線でいけばいいんじゃね? ラウンドガールみたいに競技とか学校の紹介してまわれば?」

御坂「ステージ用のレーザーやライトも必要ないわね」

麦野「人のこと、馬鹿にしてんだろテメェら」

一方「……浜面が喜ぶンじゃねぇか」

垣根「あー、あいつそう言うの好きなの。チューブトップとか」

一方「バニーとかなァ」

麦野「……ぜっっったいに出ない」

御坂「へ?」

麦野「私は、そんなの絶対しないからなあっ! 畜生、帰るっ!!」

御坂「うっそ、本当に帰っちゃうの? ちょっと?」

垣根「超能力者ってさあ、めんどうなヤツばっかだな」

一方「まァな」


垣根「……なんか、俺らも帰っていいってよ。デモンストレーションは無しだとさ」

御坂「急にどうしたの?」

垣根「前回出た、削板軍覇がどっかから聞きつけて『また出てやろうか』ってノリノリで立候補したんだと」

一方「それで懲りたってのか。下らねェ」

垣根「ああ。運営委員会の連中は超能力者が一筋縄じゃいかねえ、あいつらの思う様に動いてなんざくれねえってことを思い出したんだろうな。第七位でアレだ、その上の怪物なんて持て余すに決まってる。まぁ、賢い判断じゃねえのか」

御坂「うーん。大覇星祭自体私は好きだから、開会式くらい別にいいんだけど」

垣根「あっちは削板は使いたくないらしいから……『心理掌握』と並べば? 常盤台の株も上がるんじゃねえ。けどあいつもさー、中学生らしくねえよなあ」

御坂「!! やっぱり止めた!!」

垣根「女ってさあ、めんどうなヤツばっかだな」

一方「まァな」

垣根「……テメェ、ほんっとにやる気ねえな?」

一方「まァな」


ドーモ
お目汚ししつれいっした
暗部5は口調がどうも被っていかん。麦野は口が悪すぎて一方さんと被るし
とりあえず垣根以外は「アイツ」ってのはおぼえた。ちいおぼ

新規でキャラの描き下ろし増えねえかなーって思うわけっすよ


こういうレベル5のギャグ的なのとても好き、掛け合いが面白い
この4人の中で一番マシな組み合わせは……垣根と美琴?

ちっともみさきちでないから今から投下するわー

>>68
垣根と御坂は営業スマイルも得意っぽそうだし、関わりないからお互い嫌がる理由もなさげだよね
ただ、垣根に頼みごとすると後で何を要求されるかが怖そう


とあるマンションの一室。
広い部屋の中ではキータイプやクリックの音が折り重なる様に響いていた。
他は静かなものだ。
電源の点いたモニタの前に座る垣根も、パソコンから背を向けてじっとしていた。
手には少年漫画が一冊。
その近くには漫画が山と積まれていた。
どれもゴーグルがレンタルショップから借りてきたものだ。
ついさっきも垣根に、

「こんなにどうすんだ?」

とつっこまれたが、ゴーグルは胸を張って答えた。

「明日からたのしーたのしー夏休みっスから! パーっとまとめ読みするんス!!」

それを聞いた垣根はわざとらしく頷いていた。
もしかしたら夏休みなんて感覚がそんなにないのかもしれない。
超能力者には学校も授業もあまり重要じゃなさそうだった。
今現在『スクール』に与えられた任務は特にない。
だが、ゴーグルの少年はこの隠れ家でしばらくデスクワークの予定だった。
任務とは関係ない『スクール』の夏休みの課題、なんてところだ。
飲み物や弁当、スナック菓子をコンビニで調達し遠足気分でカンヅメの準備を進めていたところにたまたまリーダーがやってきて寛ぎはじめたのだ。


「あーあ。だからどこもかしこも、下校時刻前だってのに学生だらけなのかよ。このクソ暑いのに」

むっとした顔で垣根は愚痴る。
ファミレス、ゲームセンター、カラオケなどなど。どこの娯楽施設も飲食店も浮かれた学生で溢れているだろう。
何しろ明日から夏休み。
ちょっとはしゃぎすぎても大目にみていただきたい。

「垣根さん……ちょーっとそれ、暑がってる風には見えねえっス」

今着ている長袖のジャケットをなんとかしてしまえばいいんじゃないか、とゴーグルは思う。
思うだけだ。
そこまでは口にしない。

「んなの気分だよ。気分。ったく、どうしろってんだよ。ギラついた日差しの下を呑気にお散歩でもしろってのか」

言われて目を向ければ、ここまで暑い中歩いてきた様には見えない。
汗なんてかいた様子もなかった。
街の混雑っぷりがお気に召さなかったらしいリーダーは、涼しい顔でエアコンの設定温度をいじっていた。
まさかわざわざ手伝いに来たとはゴーグルも思っていないが、どうやら本当にただ暇を潰しに来ただけらしい。


パタン、と本を閉じる音にゴーグルはふとつぶやいた。

「垣根さんて漫画はゆっくり読むんスね」

「そうか? 普通じゃねえの」

「いつも資料とかはぱーっと目通しちゃうじゃないスか。あれスか、ああ言う時ってフォトリーディングとかしてるんスか」

「ホットリーディング?」

椅子にもたれたまま垣根はかくん、と首を傾げた。
どうやら聞きなれない言葉だったらしい上になんだか聞き間違っていた。

「それだと心理定規とかの分野っス。フォトリーディング、速読法の一種っスよ」

ホットリーディングはどちらかと言うとパチモン占い師の技能で、自前に調査しまくった情報を素知らぬ顔で「たった今あなたから読み取りましたよーすごいでしょーう」なんてわざとらしく披露することを言うらしいからちょっと違うかもしれない。



「ああ。別に意識してねえ。能力開発されてるヤツにしたらそう言うのって工夫で何とかなるんじゃねえの」

『能力開発』も表向きは記憶術や脳科学のジャンルだ。
育脳なんて呼ばれることもあるが実質的には量子力学に基づいた『観測』がメインだ。
育てる前に捉えることが必要で、ある程度の演算能力がないと扱えない。
そんな能力者の頭脳にはその為に欠かせない訓練や開発もされていた。
もちろん個人差はある。
複雑な演算をしなければいけない高レベルの能力者の方がその辺の処理能力は高いはずだが、能力が使えてもお馬鹿さんなやつもいる。

「にしても、ああ言うのはテクニックと効率重視で実が少ないんス。かさましの専門書ならともかく小説や漫画にディッピングとかあり得ねえっスよ。様は他を読み飛ばしてるようなもんスから」

「そんなもんか」

「ファンは些細な描写も大事にしたいんスよ。アニメだって、作画で一喜一憂するし。キャラの公式プロフィールがあれば好きなものとか押さえときたいんス」

「そりゃ随分と暇だな。いや、忙しいのか?」

口と手を忙しく動かしながらモニタをにらみ続けるゴーグルに、垣根はキャスター付きの椅子を引きずりながらやる気なさそうに答えた。
読み終えた本をそばに積まれた山に戻しているらしい。


「あれば……それもあればの話なんスけどね。いくら脇扱いでも誕生日や身長体重くらいもったいぶらなくていいと思うんスよ……」

「なぁ、これ続きねえの」

ゴーグルのマイナーな独り言は今や当然の様に流される。

アニメやゲームの話題に垣根や心理定規がいちいちなんだそりゃ、と聞いてくることはほとんどなかった。
下部組織の下っ端くん達は、愛想笑いでたまに頷く。

「あー、借りてんのはそこまでっスね。それは『外』の作品なんで買おうにもこっちでの流通少ないんスよ。確か既刊はまだあるんスけど。気に入りました?」

「読むと続きは気になんだろ」

「じゃあ後借りたらまた持ってきます」

「っつうかここはお前の家じゃねえからな」

『スクール』の中で恐らく一番身軽な垣根から釘をさされて、ゴーグルはペコっと頭を下げた。
ここは『スクール』の隠れ家として使っている部屋だが、ゴーグル個人の荷物も多い。
物理的な重量なら心理定規もいい勝負かもしれなかった。
室内のパソコンのうち1台もゴーグルの私物だった。
一体型のオシャレなやつの隣に置かれた、今使っているミニタワーがそうだ。
ネットサーフィンにはまるで必要なさそうな機能が充実している。


「今日は合間に読もうと思って持ってきただけなんで。置いてきませんから大丈夫っス」

そうか、と返事すると垣根は別の漫画を手にとって読みはじめた。


「垣根さんは……カリスマ性ばっちしなんで特質っスよね。操作系ってか具現化よりで中身は多系統の複合能力っぽいっスけど」

「そんなのここの能力者なんて操作か放出のどっちかってのがほとんどだろ」

ついさっき、
「休憩! 俺は今から絶賛休憩タイムに入ります!!」とハイテンションに叫んで作業を中断したゴーグルは漫画を片手に垣根とだべっていた。

「でも例外っぽいのもたまにいるみたいっスよね。レアな能力者とか。後は何でしたっけ『外』でたまーに自然発生するって言う『原石』とか。あ、このマンガじゃないスけど、磨けば光るっていいっスねえ。うらやましーっス」

「まぁ、学園都市の能力開発なんざ……たとえば必要な機材と材料を全部揃えた上で、適当な手順で人工ダイヤでも作ってる様なもんじゃねえの。発現する能力もやってみるまでわかんねえんだから。そうやって作ったもんも、それなりのカットを施せる出来かさえ怪しいレベルだろ? 磨いても光るかわからねえってのはひどい話だよな」

そうやって試行錯誤、失敗の繰り返しの中でたまたま見つけ出されたのが、この垣根の様な超能力者、と言う事になるんだろうか。
開発を受けている本人たちでさえ、この街で行われていることについてろくに知らなかったりする。



「垣根さんは手元から離しても能力使えますよね。羽根飛ばしたりしないんスか」

「羽伸ばしたりはするけど」

何だよ、と言いたげに顔を上げた垣根の表情を確認するとゴーグルは身を乗り出した。
この流れなら大丈夫! と判断して、思い切って『未元物質』の話題を振ってみた。

「バラして飛び道具にするのカッコよくないっスか? 『フェザーショット』的な。流石に敵を操るのは別能力っぽいから難しいかもっスけど」

「カッコいいのかよ。それ」

垣根は内心複雑そうに眉を寄せた。
だがゴーグルは首を縦に振る。
『未元物質』はすごい能力だ。
単純に戦闘面だけみても高い防御性能と攻撃力、そこにオールレンジ攻撃も可能そうな飛び道具なんてプラスされたら。
もしも何かのゲームキャラならよっぽどの弱点を設けるか他のパラメータを調整しないとバランスブレイカー過ぎて禁止キャラ扱いになりそうだった。
そう思いつくとぜひ一度試してもらいたくなる。

「やってみて下さいっス。すげーカッコいいですって」

広げた六枚の翼から『未元物質』を掃射する痩身の少年……は想像するとやっぱり絵面がシュールすぎるかもしれない。
そう思ったがゴーグルは黙っておいた。
垣根は満更でもない顔をしていた。


「やっぱり、四六時中『未元物質』で遊んでるうちに能力が使える様になってたりしたんスか」

「別に。俺の場合は多分……他の奴らとはやり方がちょっと違ったかもな」

垣根が自分の能力の話をするのは珍しい。
ゴーグルは期待して聞き返した。

「違うって。どんな風にスか」

「俺についた開発官どもがやったのなんざ、俺が発現出来るようになった『未元物質』ってのが何なのか、理論的にこじつけた様なもんだ。既にあった何かの理論から上手いやり方を見つけてくるんじゃなく、その為に一から積み上げなきゃならなかった訳」

垣根はそう言うと組んでいた腕をつまらなそうに伸ばした。
開いた右手の周りにはパキパキと音を立てて『未元物質』が展開されていた。
室内照明からの光を不自然にねじ曲げ、反射しながら能力の産物はトゲだらけの螺旋を描いて伸びていく。
眺めていくうちにその形が歪み、滑らかになり、最後はチリ一つ残さずにきれいさっぱり消えてしまった。


「それでも、これが何なのか誰もわからなかった。この俺だって、こいつで何が出来るのか隅から隅まで理解してる訳じゃねえ。演算式もまだ未完成って所だし」

ぷらぷらと右手を振って、垣根は息を吐いた。
飽き飽きした様に吐き捨てる超能力者だが。
それを見ていたゴーグルの声は正反対なくらい興奮していた。

「それでも超能力者って……垣根さんがマジになったらどうなるんスかね。『未元物質』完全掌握! とかしちゃったらヤバいっスね!!」

「……いいな、それ」

垣根は驚いた様に目を丸くすると、ふっと微笑んだ。



「まぁ、最初から情報が足りてねえのは自覚してるけど。無い物ねだってもどうにかなる訳じゃねえし」

垣根は頭の後ろで腕を組むとそのまま深く椅子に体を沈めた。
ギィィ、と背もたれが音を立てた。
不自由はしていない、しかし現状に満足もしていない。
そんな態度がみて取れた。

「能力者の法則って言えば、垣根さんが前に調べてた事例ってのはどうだったんスか?」

「暴走能力者か? ああ、ありゃダメだ。中身も参考にはならねえ。何より使われてんのが色々と悪趣味過ぎる」

そう言うと垣根は近くの収納を漁りはじめた。
少しして、分厚い何冊かの資料と共に小さなケースを取り出した。

「……なんスか。これ」

プリントアウトされた書類の方はぱっと見て「大脳生物学」とかの難しそうなものらしいこと以外よくわからない。
そしてケースの中から出てきたのは薬局にでもありそうな小さなビニールのパウチ。
中には白い粉末がごく少量だけ封入されていた。




「『能力体結晶』。試すか? トベるかもよ」

垣根はつまんだ袋を指で叩くと底に溜まった粉末をならしてそう言った。
封を切ったスナック菓子でもすすめる様な気軽さだった。

「いいッ?! 『体晶』ってこれっスか? 能力者何人も潰したって薬っスよね。俺いいっス、遠慮しときます」

ゴーグルは思わずのけぞって首を振った。
適性があれば、極一部の能力者には大幅な能力の上昇効果があると言われる薬品だ。
だが、暴走状態を起こす強烈な副作用の方が有名で、その名前だけならゴーグルも聞いたことがあった。

「垣根さんまさか……試しました?」

「はぁ? んな無駄なことする訳ねえだろ、俺が」

おそるおそる聞いたゴーグルは苛立った目を向けられて慌てて謝る。
ゴーグルは、この人が暴走状態になったらどうやって止めるんだろう、とか怖い想像をしてしまったのだが不要な考えだったらしい。
超能力者、現在学園都市でも最高峰に位置する能力者がわざわざ危険な賭けに手を出す理由がなかった。



「これって何で出来てるんスか」

「暴走能力者の脳内には独自の伝達回路があるらしい。そこで異常分泌される神経伝達物質なんかを集めて精製したのがそれだ。物としちゃあ、暴走時の脳内を再現しちまうのか、それとも他の能力者の伝達回路ってのに使用者が拒否反応でも起こすんじゃねえかと思うんだけど」

「あれ。拒否反応って初耳っス。どうしてそう思うんスか?」

「『多重能力(デュアルスキル)』の研究は知ってるか。俺達能力者は、まるで違う二つの能力を使う事が出来ねえ。一つの能力の幅を広げる事は出来ても、開発で開いた脳回路を元から増やすなんざ負担がデカすぎるって立証済みだろ。そこに他人のおかしなモンをブチ込んでみろ、どうなるか……っつうか拒否反応以前に気持ち悪いだろ。それ、元は他の能力者の一部だぞ」

うげっ、と舌を出すと垣根は嫌そうに顔を顰めた。
劇薬で引き起こされる危険な暴走よりも、そちらの方が余程不快だったらしい。

「複数の能力使おうとするのはやっぱ無理なんスかね……能力使用に必要な、例えばOSみたいなもんの入ったドライブのパーテーションはいじれなくても、外付けとか他ドライブ経由なら何とかならないスかね? パソコンだって、既存のOS維持したままの切り替え方法くらい幾つもあるんスから」

学園都市に居る数多くの研究者の中には、愉快でイカレた仮説を立てたり実験してみたりする人間もいる。
今のはゴーグルがほんのちょっと思いついただけの事だが、探せばどこかにそんな「実例」もありそうだった。


「必要なもんを外から丸ごと持ってくるってことか? 今の段階じゃそれも難しいだろ、何しろ『自分だけの現実』や『AIM拡散力場』でさえ研究途中の分野だからな。たとえ脳を移植したって、能力は変わらないなんて話もあるし。開発してない人間に既存の能力者の機能だけあてがうとかするんなら、暴走はひとまず防げるかもしれないけど」

「あー。でもそれやると、能力開発そのものがいらなくなっちゃいますね。俺たちもお払い箱、とか」

いや、と垣根は少し何か考えてから首を振った。
いつの間にか真剣な顔をしていた。
雑談には変わりないが、つまらない内容が思わぬ方向に向かっていた。

「狙った能力者が手に入らねえうちは、『絶対能力(レベル6)』の可能性に当たるまで数をこなしたいってのも恐らくは学園都市の本音だろ。気軽にそんな真似したんじゃ本末転倒だろうけど、別に互いに潰し合う様な条件じゃねえ。まぁ、そんな技術が使えるかどうかは別として、今まで無駄に開発させられた下位能力者連中にはそれなりに同情するけどな」

現段階で、学園都市に暮らす180万の学生のほとんどは強能力者以下に振り分けられる。
日常生活で便利だと思える程度の異能さえ、手に入れられていないものが数多くいる。


「やっぱり超能力者から上ってのを作るのが学園都市の目的なんスかね」

能力開発を受ける為に希望を胸にやってくる子どもや、行き場のない子どもたちの為にただの親切や善意でこの街が開かれていないことは、垣根もゴーグルも嫌と言うほどわかっていた。
なんの為の能力開発か、なんてところに焦点があたった。

「さあな。だが、それだけだと思うか? だとしたら、第一位が確立した後の能力開発なんざそもそも意味なくなるだろ」

「うーん……たとえば約0.00000056%の確率のガチャを回したとして。一つでもマシなの引いたら、俺ならとりあえずそれを全力強化っスかね。次同じだけ回しても、いいのが出るとは思えないんで」

180万分の1の確率で見つかった金の卵。
それを、それこそ文字通りにレベルアップさせるなら、現在使えるベースで済ます方が早いに決まっている。
その後使うかもわからない素材を数万単位、数を揃える方が、余程手間がかかりそうだ。

「だが下は五歳から、ガキの能力者は今だって生産され続けてんだ。そんなに保険をかけたいのか、別に思惑があるのか。どっちにしろ学園都市の目的ってのがそこで止まるとはどうにも思えねえ」

学園都市は膨大なロスを抱え込んででも次の候補の発見に賭けたいのか。
それともその余剰すら必要だとでも言うのか。
たった二人の思いつきでは答えが出そうもなかった。


「そう言えば最近出回ってるって言う……それ何だっけ?」

「『幻想御手』、まだ調査中っス。薬なのか特別な開発方法の資料なのか……それがどんなもんかもはっきりしないし、噂されてる能力増強の話もなにがなんだか」

今日は朝からインターネットの掲示板を中心に眺めていたゴーグルは椅子の上で伸びをしながら返事をした。
思い出したようにモニタに向かうと、いくつかのウェブページを開いた。

「ただ……効果はあったって話はよく聞くんスよねえ。で――これは使えそうなんスか」

コピーしたログを作業中のテキストファイルに貼り付けてゴーグルは垣根を仰いだ。

「いや。目についたもんは当たっておきたいだけだ。何が『直接交渉権』への突破口になるかわからねえからな。だが」

垣根はコキコキと首を鳴らすと眉を寄せた。
椅子から立ち上がると、ゴーグルの背後からモニタを覗いた。
マウスを取ると次々にウィンドウを開いてゴーグルがまとめていたファイルに目を通し始める。


「どうも、話が広がり過ぎてねえか? 知られちゃマズいもんならさっさと情報が潰されてると思うんだがその様子もねえ。デマにしては息が長いだろ」

「そうっスね。『神様の頭脳』系の噂は山ほどありますけど、これは珍しいやつっス。噂の盛り上がりと探す書き込み、使用者の実体験報告がこの一週間で明らかに増えてます。燃料、何らかの裏付けがないと普通この手の話はあっと言う間に飽きられて消えちゃうんスけど」

「はぁ? 待て。そんなのわざわざ知らせてんのかよ。馬鹿じゃねえの」

呆れた様に垣根は聞いたがあるものはあるんだから仕方ない。

「ほら。ここに元無能力者の書き込みとか、こっちは動画とかあります。みんな自分の能力に変化があれば自慢したいんスよ。あーあ。現物があると色々わかりそうなんスけど」

「美味いだけの話なんざ、どうせ存在しねえ。馬鹿なやつらはろくに考えもせずに引っかかるんだな」

どう見てもチンピラな大男が、何もないところから火を起こして大はしゃぎする。
そんなある意味微笑ましい動画を横目に。
垣根はさっき出した資料と『体晶』を元の様にしまった。

「でも、調子にのり過ぎて騒ぎを起こすやつがいるなんて話もあるんスよね。そっちが大事になると……いよいよ俺らに話が回ってきますかね」

にしし、と愉快そうにゴーグルが笑う。
だが垣根は冷め切った目を細めただけだ。
あまり期待はしていない様だった。



「下手に騒ぎになって警備員や風紀委員が絡む様だとかえって俺たちの出る幕は無くなっちまう。話の裏を取る前に、表向きそれらしい体裁が整えられちまうこともあるだろうし。そしたら余計な詮索なんざした所でこっちが怪しまれるだけだ」

痛くもない腹を探られるのは誰だって嫌だろう。
でも、人間痛いところをつかれるのも癪なものだ。
ただでさえ『暗部』の首輪が付いている様な状況で、牙を剥いたのではないかと今認識されるのは『スクール』としても望ましくない。

「引き続き様子はみとけ。だが、タイミングを見誤らない様気をつけねえとな。いいカードがあっても、それを引く前にこっちがバーストしたんじゃ意味がねえ」

はーい、と少年は軽い調子で答えると机の上に置いてあった輪の様なゴーグルを頭に付けた。
同時に、それまで暗かった近くのモニタも電源が入り室内からは立ち上がったハードディスクのシーク音が幾つもしはじめた。


「まー、俺らみたいのが多少つつき回しても、次々わいてくるんスよね。この手の話。ネタに困らないのはいいんスけど今更そんなもんどうした、ってあっちも開き直りそうでムカつきません?」

「必要なのは、中核に食らいつける程の重みのあるもんだ。上辺だけ掬い取って掻き集めた所で、これっぽっちも役に立たねえだろうし」

繋いだケーブルをいじりながらゴーグルは愚痴っていた。
休憩時間は終わったらしい。

「もしも……もし、俺が……はじめっから」

「垣根さん? 何か言いました?」

垣根の呟きは、再びキーボードに指を走らせカタカタと作業を再開したゴーグルに拾われたらしい。

「別に。少しばかり面倒だってだけだ。何でもねえ」

肩をすくめると垣根はまた椅子に座った。
頬杖をつくと窓の外を睨む様に眺める。
学生で賑わう街は日が暮れようとしていた。

ドーモ

『未元物質』のはなしする真面目ルヘンに挑戦
学園都市に知られ過ぎてたって言う『スクール』の動向が気になる
このあとはビリビリ大惨事になるから多分ゴーグルは泣くことになると思う。がんばれ


って投下しようとしてたらまさか我が家がビリビリ大惨事だった
煙でたり色々修羅場になった

垣根「ブレーカー上がんねえしお湯出ねえぞコラぁ!!」
ゴーグル「俺のせいじゃありません!!!!」
みたいな小ネタ足そうとしたからか
その呪いか、いや能力か
魔術師の仕業か

間あいたけど、たぶん抜けはないはず
とりあえずおやすみ


おのれ魔術師!
未元物質って何がどこまでできるのかよくわからんよね

>脇扱いでも誕生日や身長体重くらい~
名前すらないゴーグル君が言うと涙を禁じえない

乙ぅ
ゴーグル君の名前はいつ知ることが出来るの

未元物質がどこから出てきたか分かっただけで垣根が世界の全てに勝てると思うあたり
垣根の中の世界から出てきたとでも思うのが妥当なのかもしれない
現実との差異の演算次第でなんでも出来るかもね

禁書はキャラ多いわりには正確な名前わからないキャラが多いんだよね
モブとメインキャラの中間みたいな

未元物質って禁書SSのどらえもん的な感じあるよね
物質を生成できるってのがとても便利、一方通行よりチートに思えてならない

新約6の未元体の垣根の発言から未元物質は垣根の自分だけの現実から生成されてるって言ってたから未元物質はAIM系の能力で確定だね


能力者は大なり小なり物理法則を突破してるが、垣根のはその中でも「無から有を引き出す」という質量保存の法則ガン無視の超異能だからな……
未元物質自体の性質も合わせて、どうも魔術寄りな能力に思えてならない


一位が来る前に二位がカンストしそうだぞちくせう

前回ので一巻久しぶりに読んだ
能力開発って「もしかしたらあり得るかもしれないけど自然の状態ではまずあり得ない未来の現象の可能性」を
「それを観測した個人の頭の中から現実にひっぱり出す」みたいなことしてんだっけ

それを説教やワンパンで問答無用にブチ[ピーーー]上条はすげーなあと思うんだ

どうやら好きでやってるわけじゃないらしいのにそのおかげでメルヘンな羽しょっちゃう羽目になった垣根ってきっと頭おかしいんだろうなあと思うんだ

他にも周りを反射するやつとか、ものすごいビーム打っちゃうとか、他人をおもちゃにしてみるとか、前髪から放電するとか色々あれだけど。そんなのが自分の可能性って確かにみんな隠しきれない人格破綻者っぽいけど


>>92
それな。ゴーグルくんなんかモブの中でも名もなきモブだからな。『ブロック』のやつすら名前と過去とおかしな口調とキャラ設定あったからな

>>93
超電磁砲の外人研究者もアニメ化したら確か名前があった。つまり何らかの形で映像化されればワンチャン。それでも「ゴーグルの少年」のままかもしれないけど

>>94
あえて名前を出していないタイプがインなんとかさん、一方通行、冥土帰しあたりだとして……残りはなー期待しちゃダメなやつだよな

>>95
未元物質食べたりする話あったしね
きっとその気になれば衣食住完備出来る。なんでもありだ夢が広がる

>>96
「AIM系の能力はとりあえずなんかチートっぽい」イメージ。AIM拡散力場がよくわかんねー
あと超電磁砲SでフェブリのAIMを物質化する能力うんぬんかんぬんって出てきたときに「なんでそこで未元物質は触れられないしでてこないんだよ!」
と思った人は一人くらいいると思うんだ。なんとなく系統は近そうだよね

>>97
ほんとなんなんだ未元物質
科学発の能力のくせに天使に似た六翼なんてモロ魔術的な象徴を背負ってるあたり怪しいよな
一方通行のも風斬のも翼って作中で呼ばれてるがあっちは輪っかついてるけど形全然違うし
色々怪しんでるけどいつかかまちーが教えてくれんだと信じてる


「はぁあああ……マジ雷空気読んでほしいっスわーありえねえっスわー」

しょげながらキーボードを叩くゴーグルの少年の口からはやる気のない愚痴がだらだらともれていた。
ソファに転がっていた垣根がその頭を狙って本を投げつけた。

「お前それ何回言い続ける気なんだよ。聞き飽きた」

「この前の落雷で最終回の予約がパーになったんスよ……円盤になるまで悔みきれねえっス。作業途中でふっとんだデータはなんとかなるからいいんスけど」

ぶつかる直前で急に下に落ちた本を拾うと、ゴーグルは次の巻を机の横から探して投げ返した。
ゴーグルの少年は先日に引き続き『幻想御手』に関する話をネットから拾い集めていた。
垣根はたまに顔を出してダラダラしながらゴーグルが借りてきた漫画を読んでいた。
ゴーグルを追い越してすっかり先まで読んでしまったらしく、そのうちレンタルの催促とかをされそうだった。


「ああ、あん時はシャワーが水になったから焦ったけどすぐに戻ったな」

「こっちは突然全落ちっス。レンジもダメでした。この辺だけじゃなくて、やっぱそこそこの範囲に影響あったんスね。雷なんて予報になかった筈なんスけど」

「どっかの研究所がなんかやらかしたって話も聞かねえしな」

「人為的な落雷をあの規模で起こすのなんてどんな無茶っスか。それこそ超能力者でも呼んでこないと」

おかしな出来事、をそんな風に笑い飛ばそうとしたゴーグルだったが、はっと顔を上げると大声でしゃべり始めた。

「そう言えば。なんなんすかねー今朝! 朝の五時っスよ? 警備会社からすげー電話来たんスよ。あんまうるさいんで起きて出たら警報装置がどうの、もう用事済んでますーとか言ってなあなあで切られたんス。結局『スクール』で使ってるマンションからだったんスけど。あれもなんだったんだか。迷惑っスよね」


「ああ。俺」

「へ?」

椅子のキャスターを転がしてゴーグルは思わず後ろを振り返ったが。
「私が犯人です」とあっさり自白した超能力者は呑気にコミック本のページをめくっていた。

「それ俺。そっか、お前んとこにも連絡いったのか」

大したことなさそうな垣根だが、ゴーグルはそうはいかなかった。
この超能力者がトラブルを起こしたと聞いてしまうと前例がいくつか浮かぶだけに嫌な方に考えてしまう。

「垣根さん? あそこって確かこの前借りたばっかっスよね? まさかもう何か壊しちゃったんスか!?」

「壊してねえよ。ったく、一々うるせえんだよな。ちょっと窓開けただけだっつうの」

「なんでそれで警報鳴るんスか」

そこで垣根は黙ってしまった。
ソファに本を置くと、おもむろに座りなおした。
両膝の上にそれぞれ腕を乗せて下を向いてしまう。

「……外から」

そしてぼそっと呟いた。

「はい?」

「ああもう! 外から窓開けて中に入ったんだよ! 悪いかよ!」

下を向いていた垣根は顔を上げると同時に、そりゃあ見事に逆ギレした。
外ってなんですか何してるんですかおかしいし悪いでしょう! とツッコミたくなるのを我慢してゴーグルは息をはいた。


「いや、そりゃ警報バッチリ作動しますよ。無人の部屋の、あのでっかい窓が玄関より先に外から開くなんて空き巣か何かに決まってるじゃないっスか。泥棒でもそんな無茶すんのはアクション映画の主役くらいっス」

『スクール』で使っている中には第三学区の某タワーマンションもあった。
それも上層階だ。
そんな所にワイヤーアクションとかで侵入を試みる命知らずがいるなら、拍手喝さいと共にブタ箱送りだろう。
そもそも窓はどうやって開けるんだ、と思ったが『未元物質』ならそれもなんかやれそうだったのでゴーグルの少年はあえてそこに触れなかった。

「言っとくけど靴は脱いだぞ。っつうか警備会社のヤツとおんなじ様なこと言ってんじゃねえよ。俺は疲れてたんだよ。エレベーター待つより直のが早いだろ」

「垣根さん……それでもせめてドアからちゃんと帰ってください。そこは常識的に」


ゴーグルはちょっとがっかりしながらそう忠告した。
しかし、ほんのちょっと前までむくれていた垣根はもう悪びれた感じもなく腕組みすると不敵に笑った。

「この俺にその常識は通用しねえ。まぁ、次からは心配いらねえよ。外からも電子ロックと認証を解除出来るようにさせたから」

「そんなの誰も出来ないっス。垣根さん専用じゃないスか……てか勝手にしちゃっていいんスか? オーナーに話通しました?」

「何かあったら後で言やいいだろ」

自分が折れると言うのはとことん垣根の中ではあり得ない事らしい。
おまけに反省もしていないし、次もあるつもりの様だった。
心理定規がびっくりしなくていいように、今度それとなく『垣根さん専用口』の話をしておこう、とゴーグルは心のメモに書いておいた。
それと。
もしかしたら大笑いするかもしれないから垣根さんのいない時にしておこう、と書き足した。


「ああ、なんかまたお前宛に荷物来てたぞ『PC部品』だっけ。お前の棚んとこに置いといたけど。本当パソコン好きだな。全部で何台あるんだよ」

「寮の部屋の抜いても三台はありますけど……って、まさか開けました?」

「その辺は常識的だ」

垣根の言葉に一瞬肝を冷やしたゴーグルだが、慌てず騒がず落ち着いて聞き返した。

「ですよね……いや、その、中見てないんならいいんスけどね万一あると俺の信用とか社会的な生死に関わるんで困るんですよねははははは」

ゴーグルは内心必死になって脳をフル稼働させていたが、最近その手の商品は注文していなかった気がする。
多分。
だからセーフだ、もし何かあってもきっと。
多分。

学園都市は『外』以上に年齢規制のレーティングが厳しいところがあってちょっとした買い物にも苦労する。
アニメが好きなやつだと認知されているのはいいが、流石にゲームオタクの方だと『スクール』内での評価とか色んなものがガクッと下がりそうだった。



「ああ……お前もおかしな名前で注文するんだ? この前心理定規のやつに『メルヘン・ファンシーグッズ』とか届いてたから開ける所見てたんだけどよ、期待裏切って小分けのプラスチック爆弾だったわ」

「これっぽっちもファンシーでもメルヘンでもないじゃないっスか。まるで対極っスよ」

「だよな。しかも『ぬいぐるみか何かだと思った?』とか言って鼻で笑いやがったぞあいつ。かわいくねーよな」

今いない心理定規のがっかりなニュースに二人は息を吐いた。
『スクール』の紅一点は時に変化球を放ってくる。
いや、案外自分の部屋はかわいいものだらけとかそんな感じなのかもしれない。
男子としてはそんな幻想を抱きたかった。

「顔は結構かわいいんスけどね」

「な。っつうかお前アニメ以外の女に興味あったんだ」

「そりゃま普通に」

「そう言えばあいつ、今度知り合いに頼んで大型免許の教習受けるとか言ってたな」


ギャップありすぎな二球目にゴーグルはずっこけた。
心理定規と車。
それもかわいいバスガイドさんとかタクシーの運転手のお姉さんとか言うレベルじゃない。
大型車両でイメージされるのはトラックとかダンプ、ショベル、クレーン車。
まるでかわいくない、十代の女の子とは無縁そうなものばかりだ。

「いや、普通に年齢でひっかかりません?」

「技術教習だけでカード取るわけじゃねえからいいらしい。それも動けばいいってレベルで充分とか言ってやがったな。何かあっても、その辺の車やなんか使えれば確かに足には困らないだろうけど」

「ああー、前に普通車なら動かせるって言ってたかも。言ってたなあぁ。動かすってなんだろって思ったんスけど」

ちょっぴり残念な記憶を思い出してしまったゴーグルは頭を抱えた。
もしかしてピッキングとかも出来るんだろうか、なんて想像をたくましくすると心理定規が段々とマルチスキルなトンデモ少女になってしまいそうだった。
『スクール』に常識的な人はいないのだろうか誰かに聞きたくなる。


まさかの特技にゴーグルはそれなりに驚いたのだが。
ある意味なんでもアリな超能力者はあまりその辺りは気にならなかったのか。
なんてことない調子で続けた。

「攻撃も防御も出来ねえ、その上逃げるのにも使えねえ能力だといざって時に苦労するらしいぜ。あいつも、テメェしか信じてねえ様なタイプだしな」

「いやーしたたかっスねー。でも幾ら緊急事態でもあのカッコでトラックとか乗ってほしくない様な……」

困った時誰かに助けてもらう、と言う女の子の王道がイメージできない心理定規だった。
何かあっても、能力で相手を誘導して結局は自分の力で助かってしまいそうだ。

「垣根さんは乗らないんスか? バイクとか似合いそうっスけど」

「車なんざテメェで乗るもんじゃねえ。用意させるもんだ」

今ここで口に出しては言えないが、能力で飛べてしまう人間に乗り物の必要性はあまりないかもしれない。
おまけにものすごーく上から目線な、リーダーらしいお言葉を頂戴してしまった。


駄弁っているうちにゴーグルの机の上の携帯電話が鳴った。

「もしもーし。え? スコア? ああ、マジかー。じゃあ今度更新しとくから――」

なんだかやたらハイテンションな相手と話すと、ゴーグルはすぐに通話を切ってしまった。

「ダチか」

「ええまあちょっとゲーセンで知り合ったんスよ。あえば遊ぶ顔見知りっス」

「そいつもオタク?」

「んー、まあリアル寄りっスけどね。面白いヤツですよ。ストライクゾーン激広くって」

「そこは否定しねえのか」

呆れた顔で笑うと垣根はまた漫画の続きを読み始めた。
モニタの前に戻ると、ゴーグルはなんとなしに口を開いた。
話のタネになりそうな知り合いの愉快で馬鹿な話はちらっと聞いたことがあった。


「なんかこの前は……『JSの希望の星になるんやー!』って言って遠足シーズンの小学生にてるてる坊主を山ほど作って配ったとか配らないとか」

「JSって何だ」

「女子(J)小学生(S)の略、っスかね」

「それただの変態じゃねえか」

眉をひそめると垣根はズバっと言い切った。
件の知り合いなら自分は紳士だとか言いかえしそうだった。
女の子に言われるなら大喜びしそうだからやっぱり変態だろうとゴーグルも思う。

「光源氏計画なのか、単にお礼が聞きたかったのかわかんねえっスけどね」

「礼? なんでわざわざんなもん聞きてえんだ」

「さあ……なんでなんスかね」

ゴーグルもなんでそんなことをしたのか何て詳しくは知らない。
一緒にいたそいつの知り合いによると、不審者として風紀委員にしょっぴかれたらしいからうまくいったのかもあやしい。

「うーん。ちょっとしたことでいいんスけど誰かに、感謝されたい時ってありません? でも悲しいもんで、小さい子は何かあっても『ありがとうございます』って素直に言ってくれるんスけど、特に女子は年齢上がると途端に態度が辛辣になるんスよ。まぁ最近は小さい子相手だと親切も『事案』扱いになっちゃうんスけど」

「そう?」

さっきからこの話題にまるっきり共感できないらしく、垣根は首をひねっている。

「ああー……垣根さんには関係ない話っスよね。そうっスよね。垣根さんの場合、もし人とぶつかっても相手の方からお詫びしたいって連絡先とかプレゼントとか貰いそうっスよね。すいません俺が間違ってました」

「お前……どっかで人のこと見張ってんのか」

「マジスか」

冗談で言ったつもりが垣根には真剣な顔をされてしまった。


「この前、カウンター席で近くの女に水ひっかけられてさ。どうせ汚れもしねえしいいって言ったんだけどよ」

ポケットをごそごそしていた垣根は取り出したものを放り投げた。
女物のハンカチだった。
シルクか何かの高そうな、なんか刺繍とかしてある。
その間に小さな紙がはさんであった。

「まさかっ、『きゃーごめんなさーい手が滑っちゃった☆』ノリの超古典的な逆ナン……ッ?!」

今時ドラマや漫画でもみないような手法なのかと、メモを手にしたゴーグルは戦慄した。
焦って書いたのか斜めに走る文字で電話番号とメアドが書いてあった。
いや。
もしかしたら、本当に心優しい女の子が何かしたくて勇気を振り絞ったのかもしれない。
学園都市だってそんな純粋な子が一人くらいいるかもしれない。

「やるよ。いらねえし」

「お、俺がもらっても何にもならないじゃないスか、いいです!!」

そんな自覚も興味すらなさそうな垣根の前では彼女のフラグは立つ前に消滅しまった様だ。
成就させたり回収するどころか構築するのにはきっと苦労するんだろう。


ドーモ
冷蔵庫とクレーン女に比べるとゴーグルのインパクトのなさが際立つ
かわいそうに
クレーンはプラス大型特殊免許がいるんだってね
定規ちゃんがんばれ


専用口wwww
青ピ名無し繋がりかぁーとか反射的に思ってしまったのが少し悲しい

定規ちゃんは教習を受ける時もドレスなんだろうか

マジな話、垣根は恋愛に興味無さそうだもんなー
彼女いないだろって突っ込まれても「それがどうした?」って返しそうだ

どうしよう垣根がモテるビジョンが浮かばない
なんかサドっぽい女に股間踏まれてるところしか浮かばない
あの中学生みたいな精神の虫マニアが数々の女性に愛されてたという過去が暴露されたら
鬱要因にしかならなかったオティヌスからの虐待シーンも魔神様もっとやっちまいなって見方にすり替わりそう

あと俺も垣根進化させた上でランクマしました
一方通行出なさすぎてもうどうでもいいの心境
男しかいないホモパ作りたかったのにィ!!

艦コレで初春って見ると、提督+初春で帝春を連想してしまい
同時にこのスレも思い出す今日この頃

レベル5の男共は女に縁がない運命なんだよ

待機

スクールのスピンオフとかでねぇかなぁ…

ていとくんについてどこかで見かけた、「禁書SS界の渚カヲル」って表現は至言だと思った


微かな音を立ててエアコンが室内の空気を整えている。
適当な手つきでリモコンをいじっていた少年は少ししてそれをソファの上に放り投げた。
真夏だというのに長袖のワイシャツに袖を通した少年は続いてテレビのリモコンに手を伸ばす。
昼すぎのバラエティ番組で若い女性リポーターがにこにこしながら、
「おいしーい」
「かわいーい」
「すごーい」
を繰り返すのを数パターン眺めてからチャンネルをあちこち変える。
しばらくそんなことをしてから、電源を切るとため息と共に肩を落とした。
そんな時、玄関の方から物音がした。

「ちース。やっぱ垣根さんスか」

ドアを開けるなりゴーグルの少年はそう口にした。
垣根が眉を寄せると、彼は鍵が開いていたから居ると思ったと答えた。

「最近心理定規は見てないし。夏休みっスからねえ」

「そう言うお前は? わざわざこっちに何しにきてんの」

ついこの前まで調べていた『幻想御手』にまつわる話は結局これと言って『スクール』に役立ちそうな情報は掴めないままだった。
騒ぎと、ちょっとした事件がほんの数日であっと言う間に収束したかと思うと、後には嘘か本当かわからないような噂話ばかりが残っていた。
『スクール』での目立った活動もないので、彼も特にここに来る用事はないはずだった。

「隠れ家のパソコンならセキュリティその他が『ランクB』以上で使えるんで。何かと便利なんスよ。なんか今日は、日付変わったへんからっスかね? ネットとか回線がやけに重いんス」

なんて言いながら少年は背負っていたリュックサックを降ろすが。
そんなことを言っていた癖に中から出てきたのは数台の携帯ゲーム機だった。

「はぁ。しっかし今日もつまんねえな」

ソウデスネーと返事をしながら後ろを通ろうとしていたゴーグルの少年は、ちょっと引き返すとスマホをいじっていた垣根の手元を覗きこんできた。

「あ。スコアアタックっスか? 『キャンディ☆スラッシャー』、けっこうハマりますよね」

「ああ。クエストの方はだいぶ埋まったから」

「あれ。垣根さん、チョコフォンデュのブラインドってアイテムで消せますよ?」


パズルアプリの中でも、好き勝手にキャンディを操作して時間いっぱいひたすらポイントを稼ぐモードで遊んでいた。
ちょうど、画面の上に出てくる敵キャラが数ターンおきに邪魔をしてくるステージだった。
ボウルに入ったチョコをぶつけられると画面に並んだキャンディが少しずつ見えなくなってしまう。
チョコレートをなぞると一瞬だけ下のキャンディは見えるようになるが、それで移動してしまえばあまり意味はない。
面倒なオジャマ効果をなくすには、同じところを三回以上こするか専用のアイテムでまとめて取り除くしかない、と言うのが一般的な攻略法だった。

「いいんだよ。こういうプレイだ」

「でもキャンディ全然見えないじゃないスか。どんな縛りプレイっスか」

首をひねるゴーグルの前で、垣根は画面の上を一筆書きで素早くスワイプしてみせた。
すると。
面白い様に少年は目を丸くする。

「え? なんでそれで15も連鎖するんスか?」

「開始直後、一番最初の並びは見えるだろ。動かせば確認も出来るし」

「あー、でもまたチョコが……って、更に18? どうなってるんスかこれ」

再び塗り潰されたなんてお構いなしに、垣根が指を動かすと次々にキャンディが消えていく。
画面に浮かび上がるコンボ数にゴーグルは信じられないと言いたそうな声をあげた。

「こいつの配置と落ち方のパターンな。やってるうちに大体読めてきた。あー、二つ連鎖が足りねえってことは……ここ、丸い緑じゃなくて紫のがきやがったな」

「……本当だ」

キャンディの色も形も見えない所で垣根が指を動かすとなぞられた場所だけ一瞬キャンディが浮かび上がる。
繋げられた緑のキャンディが消えていく。
ずれたキャンディも消えて2COMBと文字が光る。
上から落ちてきたキャンディも更に増えたが、おかげで半分近く目隠しされた所が今どう並んでいるかは横から見ていてもほとんどわからない。

「見てろ。この配置なら次は後五……いや、四ヶ所落とせばもっと消えるから」

ろくに見えないゲーム画面を頭の中でシミュレートしてしまったらしく、垣根は得意そうに笑った。
すごいのだが、何かもうケタも違うレベルですご過ぎてゴーグルの少年はぼんやり口を開けて頷くしかなかった。


「いやー、すごいっスけど。垣根さん何と勝負してるんですか。ランク上位とかんなレベルじゃないですよね」

「ハイスコアとかボーナスとか。やりはじめでどうなるか見えてくるとそんなに面白くねえんだよな。落ちてくるのに合わせて配置すりゃ残りも消える。点とかその通りやりゃ出るし」

ゴーグルはためいき混じりに称賛するが、垣根は面白くなさそうだった。
これも飽きてきたな、と呟くとポケットにスマホをしまってしまう。

「あんま狙っても出ないんスけどね。うーん、じゃあパズル以外のアプリにしたらどうっスか。箱庭ものとか、それか携帯機のゲームにします? アクション系とか」

リュックからポーチを取り出すとゴーグルの少年はゲームソフトを探し始めた。

「アクションものっつうとあれだろ。敵狙ってポイント稼ぐとか、潜入して情報収集とか銃撃戦とかだろ? そう言うゲームって普段しねえようなことして遊ぶんだよな、普通は」

気乗りしないらしい垣根の言葉にゴーグルは苦笑いした。

「あー。リアルっスね。俺らたまにしますねそう言うの。気分転換には向かないかもっスね」

「な」

「でも面白いのもあるんスよ。実は最近やってる奴みつけたんで、『スクール』系の組織メンバーでパーティ組んでるのがあって――」

近くのテーブルの上に数種のゲーム機とソフトを並べて小さな見本市を展開していたゴーグルがカバンの底の方を漁る横で。
垣根は一台だけ起動している機体に目を向けた。
テーブルの端、ちょっと手の届きづらそうなところにそれだけ押しのけられていた。

「お前はいっつも、ながらで何かしてるだろ。これは何してんの?」

垣根が勝手に動いているゲーム機を手に取った瞬間。
ガキン! とおかしな音が立った。
それに慌ててゴーグルが顔をあげた。

「うわ! 垣根さん、ちょっ何してんスか? ケガとかしてねえっスか」

「別にこれくらいなんともねえけど」

「あー、びっくりした。『未元物質』スか。でも俺が動かしてる物にいきなり手ぇ出さないでください。見てない時に何か巻き込んだら怖いじゃないスか」

「あれ。これ能力っつってもお前がやってるわけじゃねえのか」

垣根は携帯ゲーム機の画面を覗いて首をかしげた。
今は止まっているそれをポーズモードにするとゴーグルは他のものと同じように並べた。

「そっス。それは範囲と対象――そのゲームなら押すボタン決めてそこにぶつけてるんで、セミオートってかそれ以外のものに触ったら止めるとか器用な設定は出来ないんス。判断は今SE聞いて俺の耳でしてたんで。いやーだからっスかね、心理定規なんて俺が能力使ってるってわかるときは近寄ってきませんよ」

「使ってる時『は』? 『も』じゃなくてか」

「え。俺そんな嫌われてます?」


結局。
おすすめをいくつか教えたものの。
今はゲームとかいいや、と言われてしまいゴーグルはテーブルの上を片付けていた。
ちょっとさびしそうだった。

「お前って普段からよく能力使ってるよな。『念動力』ってそんな便利か」

「そっスね。ちょっと物取ったりとか出来るんで便利っスよ。ちゃんと制御するならこれっスけど」

少年は定位置のパソコンの前に座ると、リュックから取り出した「ゴーグル」を横に置いた。

「それって結局、何の意味があんだっけ」

垣根も、彼が能力使用の時に機材を使っていることは知っているが、つけている時といない時の差までは気にしていなかったらしい。
必要な時に十分な成果が出せれば特に考えることでもないかもしれない。

「こいつっスか? そっスねー、ここに紙があるじゃないスか」

ゴーグルの少年の言葉にテーブルの隅にまとめられていたチラシが持ち上がった。
目の前までふわふわ浮かんできた紙切れを垣根が睨みつけると、ゴーグルはうんうんと頭を下げる。

「これを……こうっス」

バチ、バチ、バツッ。
横に一直線、少年が自分の体の前で手を動かすと紙の上にはほぼ等間隔にいくつも穴が開いていった。

「で。今度はこれと…こいつを」

少年は頭にゴーグルをはめてケーブルを腰の機械に繋ぐ。
調子でも確かめる様にウエストポーチみたく括り付けられた機材をチェックすると。
ポケットからボールの様なものを取り出した。
大きめのスーパーボールほどで、小さなレンズが付いていた。
床に置かれたボールが二つ、紙の下まで転がっていく。
そしてもう一度手を横に動かすと。

ダダダッ、とミシンでも掛けたような音と共に紙が揺れた。
さっきの倍、それ以上の速さと数で穴が空いていく。
くしゃくしゃになりながら丁度切り取り線の様に細かく穴の打たれた紙は。
最後にバリッと下に引きちぎられた。

「こうっス」

切断されたと言うには不恰好な。
強引にねじ切られた様な紙をそのまま床に落とすとゴーグルの少年は手をはたいた。

「ゴーグルの効果ってこんな感じっス。俺が一度に能力を使える規模ってそんな大したことないんスけど、視点を増やせば手数がちょっと稼げるんスよ」


そのあとの話を簡単にまとめると。

能力者個人が見ているもの、一定の範囲のものを動かすのが得意な能力を何とか今以上に伸ばすために彼の『開発官』が編み出したやり方が「能力を分散して処理させること」だったらしい。
桁の多い計算を、コンピュータは莫大な演算能力にものを言わせて単純に1+1を繰り返すだけでも一瞬で解くことが出来るが。
そうはいかない人間は、効率的なやり方を模索して、たとえば掛け算を使うことで同じ問題をクリアする。
一つの画面を分割して二種類の映像を同時に流しても、慣れれば人間意外とみれてしまうものらしい。
能力のベースに大きく関わっていた「能力を使う、目の前の世界」を少しくらい増やしても彼の念動力に問題はなかった。
ケーブルだらけの土星の輪の様な機械は。
下の機材で受信する映像を切り替えて、ゴーグルに内蔵された電極から送られる信号で、外部からの情報を自身の感覚に近付けて捉える為の装置と言うことらしい。

「たとえば十二のターゲットをまとめて撃ち落とすのが難しくても、四つずつ×3なら焦らずいけるって感じっス。まあカメラ位置で被ったりするし、条件は他にもあるんスけどね」

「ふーん。お前、狙撃手の代わりする気はねえの。出来そうだよな」

「そういうのはFPSで充分っス。それに幾ら映像があっても、それで距離や正確さを稼げる様な仕組みじゃないんで。遠距離から頭や心臓に致命傷ってのは厳しいっスね」

そんな話をしばらく黙って聞いていたリーダーからの提案を、少年は申し訳なさそうに笑って断った。

「まあ俺も学校じゃ成績はそこそこっスよ。こう言うプラスαは『身体検査』の結果に反映されないんで」

拳で頭に着けた「ゴーグル」を小突くと少年は苦笑いした。


「メジャーで、そこそこ幅のきく能力の代表みたいなとこあるよなそれ。他に何が出来んの」

「単純に物動かすのは得意っスよ。細かいものからそこそこ重いのもいけるんスけど、俺は能力での複雑な操作になるとあんまり」

意外と、他人の能力の話に興味がわいたらしい。
そう振られたゴーグルの少年は、思い出したようにパソコンで動画サイトを表示すると出てきたものを垣根に見せた。

「何これ」

「念動力の練習動画、っスかね。複雑な方が得意なやつはこんなのもいけます。やってるのは強能力者なんスけど。あーあー、俺もこれくらい小器用な使い方出来たらいいんスけど。同じ系統でもジャンル違うんスよねえ」

フレーム内の粘土がぐにゃぐにゃと伸びたり丸まったりしながら形を変えていた。
ゆっくりと、小さな子どもが遊んでいる様な動きだったが段々と形がはっきりしていく。
細部、たてがみまで作りこまれたライオンの頭がぐるりと映って再生は終了した。

「そうか? こんなん手でやった方が早いんじゃねえの」

「いやあ、ただ動かすより意外とムズい……って! そうだ、垣根さん!!」

はっとした顔をすると。
少年は急に垣根に振り返った。
そのままつかみかかりそうな勢いで話はじめた。

「罰音メクちゃんて知ってますか?!」

「あ? なんだそりゃ」

「罰音メクちゃんス。メクちゃんは『外』で生まれたソフトウェア発のヴァーチャルアイドルで十五歳の女の子っス。公式のプロフの生年月日は十月十日、なんでかって言うとローマ数字の10が――」

「いや。そこ聞いてねえしうるせえよ」

がーっとまくしたてていたところを垣根に止められたゴーグルの少年は、床に正座をしてちょっと落ち着かされた。
そして頭を勢いよく伏せながら持っていたタブレットを頭上に掲げた。

「垣根さん、これ出来ますよね? フィギュア! 作れますよね!!」

画面いっぱいに表示された画像は少女のイラストだった。
それと、さっき見せられた動画を交互に見比べながら垣根は眉を寄せた。
テンションのおかしいゴーグルの言葉を補完するなら。
垣根には『未元物質』で粘土遊びが出来るか、アニメフィギュアの様な細かいものが作れるかやって見せてくれと言いたいらしい。

「はぁ? そんなの……楽勝だ」

「そうですよね! 垣根さんは超能力者っスもんね。強能力に出来る様なのは楽勝の朝飯前っスよね!! この、初期の公式イラストってほとんどグッズにされてないんスよ。多分一生三次元でお目にかかれないと思ってたんスよ!!」

ゴーグルは、普段の態度はどうしたのかと言うくらいのものすごい勢いと食いつきだった。
おまけにまだ落ち着きが足りない上にこりてないらしい。
垣根が迷惑そうに一にらみしても、まったく効果がなかった。

「お前さ、俺がそう言われたからって、はいそうですかってただやるとは思ってねえだろうな」

「そりゃもちろんっス。でも俺もー『未元物質』のすごさを目の当たりにしたいって言うかー垣根さんの偉大さはもう常々ひっしひし感じまくりなんスけどー……恥も無礼も承知で何とかお願いできませんでしょうか」

よっぽどそのなんとかちゃんがお気に入りなのか、ゴーグルは暴走気味なテンションでそう続けた。
今にもごりごりと床に頭をすりつけそうだった。
それに。
心底呆れきった目をすると垣根はため息をついた。
かわいそうなものを見る顔をしていた。

「仕方ねえ。見学料込みで今後のギャラ五本分な。キッチリ働けよ」

その条件だと当分ゴーグルは『スクール』での仕事がタダ働きになるのだが。

「やったああああ! 俺、俺、墓の下まで持っていくっス!」


本人はものすごく嬉しそうにバンザイまでしていた。

「あ。多分燃えねえからな、一応『未元物質』だし」

学園都市内の埋葬システムに含まれる火葬設備がDNAマップの一片すら残さない超高性能といっても、『未元物質』まで葬り去れるかは不明だ。
もちろん垣根は冗談のつもりで返したのだが。

「じゃあ、完成したメクちゃんはもしかしてこの先数百年残るって事も……」

ゴーグルは何故か真剣な声でそう聞いた。
早速目の前のモニタに勝手に開かれたウェブページにやる気なく目を通しながら垣根はうなづいた。

「かもな。一日か数十年か。まぁ俺の気が変わらなきゃだけど」

「やばい。ずーっと先の世界のどこかでもし俺のフィギュアが発見されたら、メクちゃんの愛らしさと素晴らしさと完璧さが伝わって後世も讃えられてしまう感じになっちゃいますよ。メクちゃんマジ電子の女神」

「まじもんの偶像崇拝(アイドル)かよ」

がっくりしながらツッコんだ垣根の一言もなんだかスルーされてしまった。


「で。これってどう言う仕組みなんだ。具体的なイメージがピンとこねえんだけど」

ゴーグルが浮かれながら見せてきた個人製作だと言うCGアニメの動画とその中のグラフィックデータの、プログラムコードが表示されたモニタを前に。
垣根は首を鳴らした。
暇つぶし程度にはなると思ったのか、それともさっさと済ませてしまいたいのか。
やる気はそれなりにあるようだった。

「えっと…俺もフィギュアはそんな持って無いんスけど、どれか参考にします?」

「いらねえ」

「3Dモデルのグラフィックっスか? 俺も作る方は詳しくないんスけど。確か……初心者向けのページが」

なにやら自分の作業をしていたゴーグルがぶつぶつ言っている間に、垣根の前のパソコンが勝手に操作されていく。
テーブルの上に置かれたボールカメラがレンズの向きを調整していた。
共有ソフトでも入れて操作をリンクさせればいい、と思いつきそうだがゴーグル的にはこっちの方が楽らしい。
文字通りの遠隔操作で何も触れていない様に見えるキーボードはカチャカチャと叩かれていった。
モニタ上にはパラメータ編集に必要なコードの読み書きの解説、作成ソフトに関するページが表示された。

「ふーん。この辺の反映とかどうなってんだろうと思ったんだけど。このファイルの数値をベースにして立体化してやればいいんだよな。よし、あとこっちのソフトと他、まとめて寄越せ」

そうしてダウンロードされたファイルを幾つもいくつも開きながら垣根は独りごとの様に口を開く。


「髪って他の人形みたく塊でいいのか。それともバラかした方がいいのか」

「質感髪の毛っぽくしてあの髪型再現できるんスか」

「俺の『未元物質』に常識は通用しねえ」

「えー見てみたいっスお願いします!!」

「それと、こう言うのってどこまでしていいもんなんだ。別にリアルなのが欲しい訳じゃねえんだろ」

「顔とか体のバランスはなるべく資料の方に寄せてほしいっス」

互いにパソコンの前に向かったまま、二人はそんなことを話した。

「あ?」

「どうしたんスか」

ウィンドウを埋める文字列を眺めていた垣根は急に。
不満そうな声を上げた。

「これさ……服の下までわざわざ作り込んでんの? 見えねえのに?」

「何がっスか」

そう言われて席を立って見にきても、ゴーグルには画面に表示されたコマンドのどの列の辺りがそれなのかがよくわからないらしい。
垣根が渋い顔でキーボードを叩くと。
すぐ横のグラフィック制作ソフトのウィンドウ内の衣装とアクセサリが取り除かれベースに髪と顔のパーツ、インナーをのせた状態のモデルが現れた。

「あー。パンツくらい普通のフィギュアも履いてるっスよ。メクちゃんのパンツはピンクの水玉なんです。ほら」

ゴーグルは自分用の棚からケースを取ると1/8スケールのフィギュアを出した。
こちらはさっき垣根に見せた画像とは髪型も服装も違う。
公式発のイベント限定モノで、わざわざ『外』から苦労して取り寄せたお宝とだと言った。
付属パーツでの衣装変更に対応したスカートを外してみせる。
それを見た垣根はものすごく。
そりゃあもう今までで一番かもしれないくらい軽蔑した目をゴーグルに向けていた。

「あっ! いや、そんな酷い目で見ないで下さいっス! どんなものにもディテールにはこだわりがあるんスよ」

「……こう言うのって安請け合いしていいもんじゃねえな」

今更ながら、縁のないオタク趣味に関わってみたことを後悔しているらしい暗部組織のリーダーは。
ため息と共にモニタを眺め続けていた目元をこすっていた。


「なぁ。こんな感じでいいか」

ちょっとうんざりした様に。
コキコキ首を鳴らすと、垣根はゴーグルを呼んだ。
ゴーグルが振り向くと目の前のテーブルの上に白い水たまりの様なものが広がる。
15センチほどになるとその中から真っ白な女の子のシルエットが生えてきた。

「はやっ……ってすごいっスね。わあ! ちゃんと衣装やパーツの質感が違う!!」

瞬きする暇もないくらい、あっという間に伸びた『未元物質』はゴーグルのよく知っている形に変わっていく。
花びらの様に髪が、スカートがふわっと広がり真っ白だった全身は一瞬で鮮やかに色付いた。

「えっと。こんなだったっけ」

「うわー! うわー!!」

ゴーグルがさっき見せた動画と同じ振り付けで、テーブルの上でフィギュアが踊りはじめた。
垣根が動きを思い出しながら操作しているからか。
ぎこちない動きが照れたように見えて、また可愛らしかった。

「こんなのも出来る。ラジオ体操第二」

続いて、規則正しく体操をはじめるフィギュアにゴーグルは腹を抱えて笑った。


「いやぁ。『未元物質』ほんっとハンパないっスね。夢みたいな能力っス。垣根さんこれで食ってけるレベルっスよ。原型師とかやったらマニアが大金と菓子折りと五体投地の三点セットで押し寄せますよ。3Dプリンターなんかには真似出来ない鮮やかな仕事っぷりっス」

ますますテンションの上がったゴーグルは早口で褒めまくった。
ミクロ単位の精巧さにあらゆるキャラクターやポーズにも対応出来るだろう幅広さ。おまけに早い。
そしてそのクオリティはものづくりの素人だとはとても思えない域だ。
『未元物質』そのものを素体にせず、枠組みだけみても充分通用しそうだった。
正直、頭の中のイマジネーションを三次元に落とし込める能力がここまでとはゴーグルも思っていなかったらしい。
そんな口ぶりだった。
物体操作が出来る能力は数あれど、ここまで正確に緻密にイメージを形にし、それを自在に使いこなすのは超能力者ならではなのかもしれない。


「まあこいつで色々出来そうなのはわかったから、今回は俺にもそこまで悪い話じゃなかったかもな」

すごいすごいと手放しで褒められて悪い気もしないのか、気を取り直したらしい垣根はなんとも複雑そうに言った。
だがその呟きにゴーグルの少年は首を傾げる。

「垣根さん、今まで能力で遊んだ事ないんスか?」

「んー、別に。何が出来るかなんざあれこれ考える必要もなかったし」

「もったいないっスよ。こんなにすごい能力なのに」

惜しむ様な言葉に、垣根は片手をぞんざいに振った。

「煽てたって、もう出さねえぞ。これからはお前のお気に入りをフィギュアになんてしねえからな」

「ええっそんな! 立体でみたい子がまだ居るんスよ」

ふざけたノリで返された垣根は。
にやりと笑って足を組んだ。

「ばーか。これからキリキリ働いてもらうんだからよ。忘れんな」

「はいっス!! 何でもお申し付けくださいっス!」

最後に垣根に操作してもらい、元のイラストとそっくりなポーズを決めたフィギュアを受け取ったゴーグルは、急に不安そうにうつむいた。

「えっと……俺調子乗っていろいろしましたけど。これ本当にもらっちゃっていいんスか? 垣根さんいつも『未元物質』はすぐ処分してませんでしたっけ」

最新の科学技術をふるっても学園都市どころか恐らく世界中でも垣根帝督にしか作り出せない『未元物質』。
そんなもの欲しがる奴は山程いそうだった。
垣根がそれを勝手気ままに扱いながらも、管理はきちんとしていた様にゴーグルは見ていたらしい。
まあ、誰もこんな美少女フィギュアの材料が何かなんて気にかけないだろうが。

「返されたって、俺こんなもんいらねえし。俺にあそこまでさせたんだ。あの下らねえ時間を無駄にしやがったら許さねえからな」

「はい。一生大事にします」



「なあ」

うきうきしながらフィギュアを捧げ持って眺めていたゴーグルだが、垣根に呼ばれて振り返った。

「アロサウルスとティラノの殴り合いって見たくねえか」

いつの間にか、テーブルの上には菓子箱サイズの小さな恐竜が二頭並んでいた。
意地の悪いにやにや笑いをはじめた垣根の前のモニタには、化石や骨格標本のWebページが映っていた。
どうやら外観の参考にしたらしい。
爬虫類を模した真っ白なものはテーブルの上を太い尻尾で叩いている。
牙のずらっと並んだ顎を見せつける様に頭を振っていた。

わーちっちゃい恐竜さんだーかわいー
とかどっかの展示物だったらのん気にながめていられそうだったが。
垣根の意味ありげな顔をみていたゴーグルはなんだか嫌そうに頬をひきつらせていた。

「えーっと、暴君フルボッコならやめてくださいっス。男子の夢を壊さないでください。どうこう言われたってティラノサウルスは知名度は間違いなくトップクラスなんスから」

「王者、暴君、ナンバーワン。御大層な名前が並んだところで、スペックは圧倒的に負けてるけどな!」

「ああああ! 酷いっス! やっぱ前脚短い!!」

小さな二頭は同時に動いた。
しかし。
ほんの一歩の差で初手を奪われ頭を押さえつけられる古代の覇者のミニチュアにゴーグルが嘆いた。
その後はなんかもう、蹂躙っていうか一方的なティラノサウルス公開処刑のフルボッコだった。
その指揮をする垣根はなんだかとってもご機嫌だった。

『未元物質』のクソ無駄使い(時価)
未元物質での再現はレコードの溝に針を落として再生って感じらしいけど、加工も設計図やベースになるデータがないとやりづらいとかあるんだろうか
索敵用に作ってたトンボは小さい方が小回りきいていいと思うんだけどでっかいのは趣味か?あと垣根って実はネッシーとか好きですか?それともありゃ病理さんの趣味でーす?

ゴーグルくんのは勝手な妄想と適当なこじつけ。ゴーグルってのは基本目に掛けるものだけど頭に着けてるものをわざわざそう呼ぶのは視覚補助目的だからかなとかなんとかでどうでしょ
ほんとはもうちょっと能力関連の話あったけどそんなに面白くなかったからカット

ほんっとお久しぶりですドーモ
ギリですんませんおやすみなさい

乙!
やっぱ面白い


垣根が死んだら垣根が展開していた未元物質はどうなるのかね
やっぱ消滅するのか?

おおーきてた!乙!落ちたかとおもったよ
ゴーグルがヲタ化とか個性ついてるのはあんまないよな
暴走しすぎだけどwwwwSSはやりすぎくらいがおもしろいよ
なんか死亡フラグめちゃ立ってる気するけど今話はまだ夏なんだよね
秋になるとやっぱ死ぬの?

フィギュアから主神の槍まで作れてしまう未元物質マジ万能。
一家に一台ていとくん。

やってる事は物質成形系能力と大差はないんだろうけど、能力の錬度が高すぎるのと、未元物質自体馬鹿げた応用性を持ってるから、実質「万物を創造、操作する能力」といっても過言じゃないんだよな
だから無限の創造性なんて作中でも明言されてるんだし
ただ15巻垣根はその領域に至って無さそう

うっかり頂点一日ログインしてなかったっぽ。ログボずれてたかも
なんか悔しい
パズデックスもすすまないからちょっとネタ投下しますね
いいですか、どうもありがとう
また台本。sageます
たぶん10もいかないと思うよ



※SSの内容とは関係ない一発ネタです※
今開催中のパズデックスのあれ関係だと思ってください
メタ気味なのは仕様です



ゴーグル「垣根さん」

垣根「……」

ゴーグル「かーきーねーさん」

心理定規「それじゃダメよ。今は委員長って呼ばないと」

ゴーグル「い、委員長? 垣根…委員長?」

垣根「何だよ」

ゴーグル「俺たちのこの格好はなんなんスか」

垣根「見てわかんねえのか。制服だよ」

ゴーグル「はぁ。それでもシャツの下はいつものセーターなんスね。それで何でみんな眼鏡なんでしょうか」

垣根「……イメチェン?」

ゴーグル「そこ分かってないんスか?!」

垣根「文句あんのか」

ゴーグル「いいえいいえ」


ゴーグル「でも委員長眼鏡良く似合いますね。クールで知的っスね」

垣根「だろ」

心理定規「君はあんまり馴染んでないね」

ゴーグル「そうなんスよ。これ外してもいいっスか? モブモブしさに拍車がかかるって言うか、目の前にあると逆に違和感がっスね」

垣根「そうなのか」

ゴーグル「そうなんスよ」

心理定規「……だからって頭に乗せるのはありなの?」

ゴーグル「あ。ちょっと落ち着くっス」

垣根「そうなのか」

ゴーグル「そうなんスよ」

心理定規「……ちょっと。彼に変なこと教えないで」

ゴーグル「もしかしてちょっと気にいったんスか?」

垣根「……そうなんだよ」

ゴーグル「そうなんスか」

心理定規「ねえ。やめてくれる?」


心理定規「もう。話がちっとも進まないじゃない」

垣根「そうなのか」

心理定規「や・め・て」

ゴーグル「ほら、委員長。副委員長が怒っちゃいましたよ」

心理定規「次やったらほんとに怒るよ?」

ゴーグル「さて。ところで委員長」

垣根「どうした」

ゴーグル「俺たちはどこの委員会所属なんスか」

垣根「なんだ。お前まだ気付いてなかったのか。ほら」

ゴーグル「それって……腕章っスか。あれ。四本線に、盾って」

垣根「風紀委員に決まってんだろ」

ゴーグル「え、ええ?!」


ゴーグル「なんで風紀委員なんスか? え、まるっきり『スクール』と立ち位置逆っスよね!」

垣根「やってることはどっちも治安維持活動含まれてんだろ。一応な。んなこと言ったらあいつらの方があり得ねえだろ」

心理定規「生徒会実行委員ね」

垣根「あの第一位が会長だぞ? リーダーシップも協調性もクソもねえような、他人なんざ寄せ付けねえ孤高の悪党みたいなツラしたあれが会長だぞ。学年主席で会長だぞ?」

心理定規「彼は次席で委員長だけどね。第一位だけど選挙戦のポスターには確か『ここから先は一方通行だァ! 進入は禁止ってなァ!!』ってあったんだけど。蓋を開けたら本当に、ぶっちぎりで当選よ。他の候補に九九六九票の大差を付けてね」

ゴーグル「まじスか。ってかこの学校生徒何人いるんスか」

心理定規「書記の彼が会長の候補者だったら、全校生徒の過半数どころか八割ががそこに投じたって噂もあるんだけど。そっちは辞退しちゃったから」

垣根「そこで。お前、生徒会実行委員に並ぶ勢力って何だと思う」

ゴーグル「え。きょ、教師っスか?」

垣根「風紀委員だろ」

ゴーグル「まさか……そんな理由っスか。それで風紀委員長?」

垣根「何だよ」

ゴーグル「すいません今は呼んでません。ええーそこなんスか」

心理定規「理由なんてそんなものよ」


心理定規「でも。それだけじゃこの仕事は務まらないわ。実際、やってみたら彼にはピッタリだったのよ」

ゴーグル「はぁ。そうなんスか」

垣根「考えるまでもねえだろ。他の能力者どもを制圧してルールに従わせる、教師共ともそれなりに折り合いが付けられて学校外への牽制やアピールも出来るなんて器用な真似が、俺以外に出来んのか?」

ゴーグル「そう言われれば、確かにそんな気もするような」

心理定規「彼、実力だけじゃなく結構顔も利くし。副会長について生徒会役員になった元風紀委員の穴もあったしね。何か校内で問題があったからっていちいち会長以下役員のみなさまに動いて貰う訳にはいかないでしょ? あ。こんな話してるうちに、もう昼休みね」

ゴーグル「それがどうかしたんスか?」

心理定規「見てればわかるよ。彼がこの仕事のトップを任されてる理由もね」


削板「   根  性   ! !  飯だ飯っ!!」ドバン!!

垣根「削板ぁぁぁあああああ! テメェまた備品を見境なく吹き飛ばしやがって!! 毎度毎度尻拭いするこっちの身になってみやがれクソがぁぁぁあああ! 廊下ッッッ走ってんじゃねぇよ!!」バサァァァ!!

ゴーグル「え」

心理定規「委員長の大仕事。いえ、もういつものことね」


ゴーグル「今のって」

心理定規「この学校一の問題児、削板軍覇。彼は特別悪い子じゃないんだけど、加減を知らないのよ。彼を鎮圧出来るのは、生徒会会長か書記。それとうちの委員長だけよ。書記の彼だとがんばっても十分くらいしかもたないのよね」

ゴーグル「原石相手に十分もたせる無能力者ってなんなんスか。いや、あのそれだけじゃなくて……委員長、飛んでましたよね?」

心理定規「そうよ。初速でF1並みのスピードの相手に、走って追いついたらいくらなんでも怖いでしょ?」

ゴーグル「いや、廊下走るのはダメで飛ぶのはありなんスか」

心理定規「……君ねえ、そんなんじゃ帰ってきてから委員長に怒られちゃうよ? 校則ちゃんと目を通してないの?」

ゴーグル「えー、と。『授業及び休み時間、教室移動の際、廊下を走ってはならない。学校行事、第二級以上の警報発動時他、特例を除く』」

心理定規「『校舎内を飛んではいけない』ってきまりは、無いのよ。あれで彼も真面目なところがあるから、ちゃんとここのルールには従ってるの」

ゴーグル「ええ?! いいんスか? そんな一休さんのとんちみたいなので」

心理定規「ちなみに、彼の機動力もこの学校で二番目よ」

ゴーグル「……会長も?」

心理定規「飛ぶの」

ゴーグル「まじスか」


垣根「はぁ……今日の被害は西校舎一階の窓十二枚と校庭脇の木が三本。それといつもの食堂裏の自販機。っつたく、昼まるまる潰して愉快な鬼ごっこじゃねえんだぞあの野郎。いい加減御坂にもあれ止めさせてやるからな」

心理定規「お疲れさま」

ゴーグル「……そっスか。風紀委員。俺も頑張らなきゃっスね! で、俺のポジションって」

風紀委員長「G」

ゴーグル「え?」

副委員長「君ね、風紀委員Gだよ」

ゴーグル「……それ、は。ゴーグル、の?」

風紀委員長「ABCDEFG、のG。お前下っ端だぞ」

風紀委員G「そう……なんスか」

副委員長「そうなのよね。がんばって」





会長ちっとも出てこないし、初日サボりやがるとかナメてやがりますかそうですか
あのイラストの女子制服かわいいよね
心理定規ちゃんも着ませんか、ついでに眼鏡もかけませんか

あの生徒会イラストからのネタ。中高一貫の学校でイメージしたけど生徒会役員が全校合同ってあるのかなまあがくねんとかなんとかつっこんだらだめだね?

あとの超能力者はあれだ、近所にあるお嬢様校にまとまってればいいよ。たまに学校間交流会とかそんなあれで顔合わせするような
初等部から大学までがっつりエスカレーターみたいな女子校で面子は常盤台と一部の女子。会長みさきちか、替え玉の縦ロールちゃん。
麦野はスケバン。
女生徒にきゃーきゃー言われて「沈利お姉様!! 素敵ですわ!」とか呼ばれてるのみてみたい

禁書は一応学園ものジャンルな筈だけどたまに学パロをみたくなるのはなんででしょうね

ドーモ
お目汚し失礼っした



いちお前のれすもしとくねありがとうね

>>113
部屋でくつろいでる時とかに突然窓から入ってくるけどそこで笑ったら愉快な死体の恐れがある。絶対に笑ってはいけない『スクール』24時てきな
流石に定規ちゃん女子だから暗部休みの時は私服だと思うw

>>114
「んなもん必要ねえ」って言いそう
興味ないことにはとことんドライそうだし
何を目的として何に興味があったか気になるから『直接交渉権』を得て何しようとしてたかちょっとでいいから教えてほしい鎌池先生頼む

>>115
パズデックスはドロップ率キツいから大変だよな
書き下ろしはよかった
色々根つめない方がいいよ深呼吸すると楽になるよ
って返そうと思ってたんだけど。色々あったな息してるか。こっちはまだしてる。なんとか。あいかわらず本体出ない

>>116
垣根提督(公式)
名前で呼んでくれとか言ってんのに作者に間違われるとかおいしい。誤字ほんと
帝春もいいよなー

>>117
ナンバーセブンはどこかでフラグ立ててそうな気もする基本いいひとっぽそうだし
第一位は既に……おっと誰か来たようだこんな時間に一体

>>118,119
おひさしぶりです

>>120
スピンオフとか書き下ろしイラストとか贅沢言わない。SSの初春みたいな出方でうれしいからさー
禁書超電磁砲のどっちかにコマ端のガヤでもいいからまたでないかな

>>121
なんとなくわかるようなカヲル君。原作で出番ろくにないけどおいしいネタもっててSSではネタ扱いorスルーとか?
イケメン天使でダミーなスペアで最期は愉快にぐしゃっとされるとかそっくりかな?
カブトムシ化してから自己再生するし増えるし量産型で共通点は意外とあんのかもしや

>>134,136
おつありですの

>>135
どうなんだろ。垣根は自分の死んだあととかそんな先のことは考えてなさそうだから疑問すらないかもしれない。個人的には垣根が処理してなければただの残骸として残りそうな気がする。消去も能力操作の一部みたいな。『一掃』の金ピカ粗大ごみみたいな
原作で冷蔵庫ついたのは生産、加工、操作を垣根に依存してるから延命したのかどうか
カブトムシはもうどうやって始末していいかわからない状態だけどね。メイン以下の個体も垣根化分裂オーケーならマジG並み。一人みかけると三十人はいる第二位

>>137
ゴーグル?垣根?
ゴーグルならセミみたいにいわないでやって。垣根ならカブトムシはひと夏どころか冬越えるらしいよ。なんて
ゴーグルが死ぬ意味はこのSSであんまりなさそうだからどうしようかとおもってるけど。んな先はともかく九月に入るくらいまでかけたらいいなって思ってる。もやっと話は考えてるからがんばりたい

あと実はゴーグルの扱いをどうしようか考えた時に「ゴーグル付けてないと『スクール』以下暗部組織のメンバーにろくに認識してもらえない」ってネタを仕込もうかと最初の頃思ってたんだけどやめてよかった。持たざるものからあまりに多くを奪い過ぎるところだった
でも最初は「垣根のしらないゲーム(艦っち)の話を解説する」だけで別にオタクではなかったんだけど
どうしてこうなった

>>138
一家に一台帝凍庫くん。うちにも羽根つき冷蔵庫ほしい。きっと親切に食品の期限とか聞いてなくてもべらべら教えてくれる
『この肉三日前に入れたろ。下の野菜室にキャベツがあっからそれと炒めてだな。調味料はここのポケットと、こっちの……』
そう言う話じゃないか

>>139
『回折』みたいな副産物的な効果以外だと精々形を変えるくらいだと思う。
第一位は血流操作やプラズマを作ってみようなんて実験やるまで思いつきもしなかった
第二位は自分の体を直してみるまで未元物質にそんな応用性があるなんてきっと考えもしなかった
ちょっと能力使えば即終了なら工夫することもないだろうし
15巻垣根もよくわからないことしてるけどね。ベクトルを偽装ってなんだと。向きをどうすんのと
黄砂「きなこです。通っていいですか」ってことなんだろうけど難しいよ禁書


最近1は話が長すぎて改行多すぎって怒られる。長文控えるべきか


ドーモ
ではまた

おお、しばらく速報来てなかったら更新されてた、ありがたや…
相性が良いのか知らんが、なんか個人的に>>1の文章は読みやすく感じられて好き

ゴーグルと未元物質の掘り下げ面白い
ていうか、なんだかんだ言ってゴーグルに対してちょっとデレてる…?(他の人間への対応の差を想像すると)
きっと冷蔵庫化した後にメクちゃんは垣根の仮の体として頑張ってくれるに違いない

乙乙
あの生徒会の垣根のバージョンあったらまた垣根のためだけにパズデックス課金するんですがねえ
さもなくば二度と課金しません
生徒会のやつで穏やかな美少年がごとくピアノを弾く垣根のカードなんて出ようものなら笑いすぎて死ぬと思います

しゃべってる中身はとにかくキャラの感じがぶれてないのがすごいと思う
垣根とか出番全然ないけどそんな感じするもん
禁書の他のキャラもみたい

なぜていとくんは苦労人というか他人の尻拭い役がこうも似合うのか
乙ですの

更新待ってます

まだかしら


垣根の顔を見飽きてくるなんて想像もしなかったよ
フランベルジェの消費数が増えてきたよ投下するね

>>150
このSSのリーダーはわりとメンバーにデレている。心配するな自覚は無い
ちょいちょい残念な自爆があるから実はゴーグルの印象は下方修正されていく一方だと思うけど
あとさすがに美少女フィギュアになるならカブトムシのがいいと思う。もしそんときゴーグルが元気だとかわいそうだわ
読みやすいすか。ありがとうまたがんばる

>>151
ピアノ弾けるんかなw
パズデックスはクリスマスイベントがなかったことだけが残念。もうやる機会ないじゃんな

>>152
垣根はカブトムシに抜かれそうだもんね。ページ数とか
ブレるってかハズれてる気はしてんだけどだいじょうぶかな
禁書のキャラは話し方が目立つの多いのは見てて楽しいけど大変な
妹達はラクでいいな

>>153
原作での扱いから、相手の事情をあれこれ超解説する役になってしまったのが超原因じゃないかと思います。敵ともみんなよくしゃべるけどさ

>>154
大変ありがたくおもっとります

>>155
たいっへんお待たせしています


「あれ垣根さんじゃないスか。今日こっちなんスね……おはようございますっス」

「もう昼だぞ」

ふかぶかーと頭を下げたゴーグルの少年に首をかしげると。
垣根は時計を見上げた。

「なんかいつもと違いますね。どうしたんスか」

「ああ。昨日着てたのはクリーニングに出したから代わりにな。わざわざ着替えなんざ持ってこなかったからよ」

いつもとは違う垣根の服装にゴーグルの少年は目を丸くしていた。
『スクール』での活動があるときは垣根は大体同じ様な服装だったからTシャツにジーンズなんて珍しがられてもしょうがないかもしれない。
けど垣根の発言にゴーグルの少年はますますびっくりしたようだった。

「え。ここに泊まったんスか?」

無駄に広いリビングルームだけではない。
第五学区内にあるマンションのこの部屋は、それらしく豪華な家具が並んでいてちょっとしたホテル並みの設備と雰囲気があった。

「まぁ、ベッドもあるし。一応手入れはされてるからたまには使ってやらねえとな。昨日どっかの奴が掃除に来てさ。笑えるくらいビビってたぞ。あんな奴らでも俺のこと知ってんだな」

「『スクール』下部組織の構成員スかね。ひゃー、組織トップの前で片付けって考えただけで胃が痛くなりそうっス」

垣根は意外そうに言ったけどゴーグルはなんとなく納得しているようだ。
新入りや下っ端がささいなことで取り返しのつかない結果を生まなくて済むように、リーダーである超能力者のことは話が伝わっているのだろうか。
正規構成員の知らないところでもしかしたら最低限の新人研修的なことがされているのかもしれない。

「それにしても垣根さん、こことかよく使ってるんスね」

冷房のしっかり効いた部屋の中をゴーグルの少年は不思議そうに見回した。

「お前は人のこと言えんのかよ」

「いやあ居心地よくって。テレビもデカイし。おまけに学生寮なんかとは回線速度も環境も全然違うんで。ええと……こういうのも職権濫用になっちゃうんスかね。後あの、お邪魔なら言ってくださいっス」

「ここだって『スクール』で勝手に押さえてる部屋だし。どう使おうが別にいいんじゃねえの」

リュックを降ろすとゴーグルの少年は少し考えてから申し訳なさそうに答えたが。
垣根は何ともやる気のない返事をよこした。
スニーカーのまま足を組んだ少年は、すっかり自分の部屋のように寛いでいた。


「へえー。垣根さんがジャージとかスウェット着てるとこが想像つかないんスけど」

「俺だって楽な格好くらいするぞ。流石にそれでは外に出ないけどな」

ゴーグルの
「カッコイイっスねー、どこで買うんスかそう言うの」
からはじまった普段、何着てる?トークは意外と盛り上がった。
垣根は、その辺は常識的だぞ、と返したがゴーグルは何がツボだったのか面白そうに聞いていた。

「あれ。待ってください。これ確か有名どころの……ちょっと写メ失礼します。そこのプリントんとこだけです」

スマートフォンのレンズを向けられて不快そうな目をした垣根に、慌ててゴーグルは付け足した。
はい、チーズ なんて間抜けな音声の後で少しの間何やら操作していたかと思うと。
ゴーグルの少年は垣根の服と画面を交互に眺めて大声を上げた。

「やっぱ! 最新作のシャツじゃないスか! 一枚三万以上する! 部屋着? これが?! セレブだー!!」

わざわざ画像検索して商品を特定したらしいゴーグルはなんだかとってもショックを受けていた。

「ならいつ着るんだよ。これでわざわざ出掛けんのか? こんなんでんなこと言ってお前、普段何に金使ってんの。わざわざ『スクール』にいるんだし、まるっきり金がねえ何てこともないだろ」

騒ぐゴーグルとは対照的に垣根は、おかしなものを見たように首をひねっていた。
学園都市の生きるレアアース鉱脈みたいな能力者の金銭感覚は一般学生とはずいぶん違うのかもしれない。
それでなくても超能力者だ。
どこかの研究機関とちょっと真面目な話をするだけでそれがそのまま大金に変わる、なーんてのはオーバーかもしれないけどそんなイメージがある。
そう考えれば、垣根にとって暗部での活動での成果なんてバイトどころか子どものおつかいみたいな感覚なのかもしれない。


「実は……学園都市に家族がいるんス。親は当てになんないし将来とかあるし、俺が何とか稼がないと面倒見切れないんで金が要るんス……って話だったらいい感じなんスけど――すんませんっス」

「何度も言わせんな?」

深刻そうな顔をしたかと思うと、次に笑って茶化そうとしたゴーグルの少年は。
垣根の顔を見て最終的に頭を下げた。


「いや大したことじゃ、アニメのディスクとかグッズとか後はえっとゲーム機とか……」

「同じのを何台も買うから悪いんじゃねえのか」

「特典付きのやつなんですよ。ソフトと本体同梱とか多くて。それにいいんス。俺これがあればゲーム一度に何個も遊べるんで便利なんス」

ぱんぱかぱーん! とか言いながら少年は取り出したゴーグルを掲げた。
それに能力の無駄遣いだとでも言いたげな顔で垣根が尋ねた。

「そんなにして楽しいのか」

「そっスねー。乱数調整とか個体値にこだわりはじめた頃はすげー便利だったんス。あとは神おま堀りながら努力値振れるしレベルも上がるしダンジョンも潜れるし下校リロードも全部まとめて出来ます。パソコンも使えば遠征やドックの待ち時間使えるしクッキーも焼き放題っスよ。作業時間の短縮にはいいっス」

ゴーグルが口を開くたびに垣根は頭上に一個ずつクエスチョンマークが増えていく様な。
そんな顔をしていた。


「後ケータイも。幾つ持ってんだ」

「こっちはタブレットっス。これとスマホと『スクール』の連絡用のガラケーと……基本料金はちょっとプラスなんスけど、おかげで堂々アカウント複数持ちっス」

「ガラケーは何かわかるけど、スマホはお前の能力で動くのか」

「じゃじゃーん。ここにタッチペンがあります」

今度はタブレット端末のケースからカラフルなペンが出てきた。
それも何本も。

「俺がその気になれば、個人戦だけじゃなくユニオンイベントでも複垢四つは同イベ上位に入れられますよ! 手動で!!」

自慢げに、熱く語るゴーグルの少年に向けられた視線はなんとも冷やかだった。
聞いたけど。聞かなきゃよかった。
そんな様子で垣根は頭の後ろで腕を組んでいた。

「よくわかんねえけど幸せだなお前。これっぽっちも羨ましかねえけど」

「ゲームの仕様もずいぶん変わったし、そこまでしないっスけどね。報酬全部まとめられる訳じゃないし戦力分散するし。なによりフェアじゃないんで。最近はそれより別のやってるっス」

ゴーグルの少年はリュックサックから荷物を並べ始めた。
いつものパソコンの前に置かれるのはペットボトル、スナック菓子、ゲーム機と映画のディスク数枚。
そして代名詞のゴーグルがモニタの横に置かれた。
それを横目にみていた垣根は立ち上がると、一応、といった感じで声をかけた。

「俺メシ行くけど」

「はい。えーっと? 戸締りっスか留守番スか? 何かご用っスか」

玄関、垣根、大きな窓、垣根、今出したばかりのパスケースとあちこち見てからゴーグルの少年はもう一度垣根を見た。
待機中、と顔に書いてありそうな部下に対して、すでに背中を向けたリーダーは上着に袖を通していた。

「ついて来たいんなら好きにすれば」

そう言われたゴーグルは動画を逆再生したみたいに荷物を詰め直しはじめた。


そのあと。
適当な店に入って腹も膨れたところで、

「次どうすんの?」

と垣根に振られてゴーグルは焦っていた。
もうちょっと詳しく話をすると。
垣根は今日は予定もないしノープランで何となく出てきたが、どうせなら外で暇を潰したい。
と言うことらしい。
いきなりそれをただついて来ただけのゴーグルの少年に言われても困ってしまう。
残念ながら『読心能力』や空気をよく読むスキルは搭載されていない。
更に、

「っつうか飯だけならデリバリーでよかったじゃねえか」

なんて言葉が出るあたりが何と言うか垣根帝督だった。


そういうの先に言えよ、なんて顔を垣根はしていたがゴーグルにそこまでの発言権はないと思う。

「じゃあ……そっスね。俺がよく行くところでいいっスか」

無言でうなづく垣根の態度には、なんだか期待より圧力が込められていそうで。
ゴーグルはいっぱいになったばかりの胃をそっと押さえた。


「この辺って、こんなに人通りあったか」

前を進んでいた垣根は首を鳴らした。
第七学区まで移動した後、二人はひと気のなさそうな路地裏を通っていたのだが。
ずいぶんとすれ違う相手が多いことに垣根は疑問をもったらしい。

「やけに人多いっスね。もしかしてあの噂は本当なんスかね」

無言で振り返る垣根にゴーグルは続きを話した。

「建物の裏とか、あっちこっちにマネーカードが最近よく落ちてるらしくて。垣根さんいつもマネーカードっスけどもしかして…それともどっかで落としませんでした?」

「ばーか。違えよ。んなもん探すほど暇じゃねえし配るほどお人よしでもねえ。下手に口座から金を動かしたりカードで落とすより、あっちの方が金の流れは追いづらい。だからある程度まとめて用意してんの。それだけだ」

「かえって面倒なんじゃ……って! なにしてるんです?!」

ゴーグルは大声でつっこんだ。いや、叫んだ。
垣根は話しながら、近くのビルに近寄ったかと思うと壁に手を突っ込んでいた。
壁の隙間にとかヒビにってことじゃなく。
白い外壁のど真ん中に垣根の腕が突き刺さっていた。

突然そんなおかしな真似をされて叫ばずにいれようか。いや無理です。
出てきた手の中には数枚のマネーカードが握られていた。
慌てて駆け寄ったゴーグルはおそるおそる壁を叩いてみたが当然のように固かった。
目の前で手品でも見せられたような反応に、垣根は自慢げに種明かしを聞かせはじめた。

「これ『未元物質』だからな。俺にしか出せねえし、中身も劣化しねえ。暗部なんて真似してるし、もし俺に目を付けられても手元のもんを下手に押さえられない様にしてんだよ」

「そりゃあ、貸金庫なんかよりよっぽど、いや世界一安全でしょうけど」

ゴーグルがよく見ると、もともと壁ではなく建物の隙間が埋められているみたいだった。
あと、あちこちの壁や塀に落書きが目立つのにその近くはあまり汚れていなかった。
『未元物質』相手に市販のスプレーや塗料が勝てるわけもない。
勝手に加工されていることに建物の持ち主が気付いても取り除くことも出来なさそうだ。

「他にも幾つかこうやって置いてんだ。ATMもいらねえし結構使えるぞ」

「そっ、そう……っスかあ」

自慢げに語る垣根に、冬眠前にあちこちにドングリを隠しておくリスの話を思い出してしまったがゴーグルは必死に口を閉ざしていた。
そんなファンシーなものと一緒にしても喜ばないことはわかりきっていた。
オチとしてはリスは自分で隠した所を忘れてしまうんだけど、垣根ならきちんと管理しているだろう。
最近はちょっと、ほんのちょっぴり当たりが柔らかくなった様な気もするけど。
それはやっぱり超能力者で暗部のリーダーな垣根が相手なので。
うっかりや都合のいい勘違いの招いた甘さで、周囲数メートル単位の自分の墓穴を掘ったりしない様にゴーグルは気をつけていた。
能力者相手だとこれがたとえ話じゃなくガチになったりするのだからおっかなかった。


さすが夏休み。
やってきたゲームセンターはそこそこのにぎわいだった。
でも店内は騒がしいくらいで。
こういった店にありがちな工事現場クラスの騒音は響いていなかった。
この店では主な音源である「音ゲー」にはそれぞれ専用のヘッドフォンが用意されていて、音の問題だけではなく客同士のトラブルなんかも防いでいるらしい。

両手に荷物を持って店内を歩く少年におーい! と後ろから声がかけられた。
振り返ると、格闘ゲームコーナーのそばにいた大柄な男子が手をぶんぶん振りながら近寄ってきた。

「ああっ、やっぱりGセンセやないのちょっとぶりやねー」

野太い関西弁で話しかけてきたのはゴーグルの少年の知り合い、青髪ピアスだった。
親のセンスがひどいのではなくもちろんあだ名だ。
名前どころか、高校生という情報以外ろくに相手のことは知らないがそのへんはお互いさまだったりする。

「あ。青ピ君ちース。なあGはやめてって」

「ありゃ、略さない方が良かったん? 名無しの権兵衛センセ」

「……AAA(ノーネーム)ってつけたのは自分でもちょっとどうかと思うから。人の過去の心の傷をつつかないで欲しいっス。今は反省してるから」

ゴーグルの少年はゲームのプレイヤーカードにあえて「AAA」なんてベタな名前を登録していた。
事前にユーザー情報をいろいろ登録しておけるのに、ランキングにそんな単純な名前が並ぶことは少なかった。
逆に目立ったのかあちこちの上位にいる「ハイスコアの名無しさん」はちょっとしたネタにされていた。
そのおかげで青ピと知り合ってからも未だにそれをいじられていた。

「よお。最近俺のスコアも伸びてるんだぜい。この調子だと次はもらったにゃー」

「ええと、つっちー君だっけ。ちーっス」

青ピに遅れて寄ってきたのは青髪ピアスの友だち。
こいつも派手だった。
髪は金髪、何故か金のネックレス、そしてグラサン。
クラスメイトらしいのだが、なんだか怪しいバイトでもしていそうな雰囲気だった。
ゴーグルの少年も最初は見た目にちょっと驚いたが話してみると明るくて愉快な奴だった。


「そぉ言えばセンセは平気だったん? 休みに入ってすぐ『幻想御手』なんてあやしい開発ツールの健康被害が噂になったやんか」

「あー。俺は使わなかったけど、同じクラスでぶっ倒れたのいたってメール回ってた。退院してからそれ使っても、何にもならないって悔しがってたらしいってのもセットで」

「病院送りになったのにまた使おうとしたのか? そりゃまたなんでだにゃー」

「そいつ、それ使う前はレベル1の『透視能力』だったみたいでさ。あれって効果それなりにあったんスね」

「そりゃ……」

「にゃー……」

苦笑いをするゴーグルに無言で二人は頷いた。
何故そんな無茶をしたのか、なんて説明も言葉もいらない。
聞いていた二人はそんな様子だった。
もし自分がその学生だったらどうしたか、それも考えるまでもない。

限りなくそれがゼロでも諦めたりしない。
だって、それは。

男子の夢の一つだろう。

「ああああ! カミサマってざんこくやね! ボクだってレベルが上がればウフフなことに能力が使えるかもしれないやんかー!!」

「はははー俺らにはあんまり関係ない話だにゃー」

体をグネグネさせながらうなる青髪ピアスはものすごく悔しそうだった。
他の能力者とは違い、ちょっとしたプラスαで能力が上がるゴーグルの少年自身はあまり幻想御手に魅力は感じなかった。

「うーん。売値が二十万代の時に一つくらいうちで買っとけば良かったんスかね。今じゃあれは音楽ファイルだった、って以外の話聞かないしなー」

だが、物があったらリスクがあろうとなかろうと、どっかの学生の下っ端とかが実験台にされていたかもしれない。
入手しなくてよかったのか悪かったのか。ゴーグルの少年は今更すぎる考えに首を振った。


「さーて。またいつものいきますのん? 毎度勝ち逃げなんて許しまへんよーボク」

つっかまーえたー、なんてテノールで歌う青髪ピアスに肩をつかまれた。
更に反対側には金髪グラサンが寄ってきて。
暑苦しい感じに挟まれてしまったゴーグルの少年はふっと目をそらした。

「いや……今日はちょっと人と来てるんだ。ごめん」

「おやおや? そのビミョーに嫌そうな反応は、さては女子かにゃー」

「なにぃっ!? センセまさかいつの間に抜けがけを」

二人は勝手な想像で盛り上がっていたが。
他人に不用意に会わせたくない、と言う理由なら非実在のガールフレンド(仮)より暗部の上司の方がきっと上だ。

「いやいや男だって。先輩、みたいなさー。俺にもし女子の友達がいてもこんなとこには連れてきません。彼女はここだけど」

ゴーグルのウエストバッグにぶら下がったケースの中には携帯ゲーム機がのぞいていた。
ボディにはゲームのタイトルとキャラクタのシルエットが刻印されている。

「それ確か前に流行ってたやつだにゃー。なんていったっけ」

「『0−(ラブマイナス)』。好感度マイナスからはじまる超リアル恋愛シミュレーションってのが売りでさ。この間最新版が出たんだよ」

ゲーム機を嬉しそうに取り出したゴーグルの少年を囲む様にして二人は覗き込んできた。
揃って背の高い、なんとなく派手な野郎共に並ばれるとダサ男を自覚するゴーグルでは場所的にもきっとカツアゲ寸前のカモに見えるだろう。
実際はもてない男子がたまーに会えば駄弁ったりゲームする、そんな仲だ。

「センセこれクリア出来たん? 前のもそうやけど、ゲームなのに女子が冷たくない?」

「それがいいんじゃないスか。でも一周目は三年間まるまる意識外のモブで過ごして難易度がすげー上がって、BADエンドまっしぐらだった」

「うわー悲惨なやつやん。ちなみに誰が好みなん」


「俺はやっぱレンコちゃんスかねー。ちょい病み中二でツンて良くないスか」

「ボクはノノちゃんがえーなー。ロリ巨乳で後輩でドジっ子ついでにツインテやけどキャラ盛りすぎてないのが。でも、もなかちゃんもええよねえ」

「気の強い先輩キャラかと思ってると、見た目と違って天然お嬢様なんスよねえもなかちゃん。前作のスチルイベの下校のやつ」

「ケーキのやつな! あれはぐっときたわ」

「ただなあ。初期が黒髪ショートなのが惜しいんスよね」

いきなりマニアックなゲームの萌え語りを繰り広げる二人の横で、金髪が咳き込みはじめた。

「つっちーどしたん? なんやムセるとこあった?」

「いや。俺の知ってる最中ちゃんを思い出してちょっとにゃー」


なにやら肩を震わせていた金髪だったが、すぐ回復した。

「それにしても噂のトップランカー名無しさんが、がっつりオタだったとはびっくりだぜい。青ピと話が合うわけだにゃー。だが、こいつみたくヤバイことはあんまりしないほうがいいぜよ」

風紀委員のお世話になるぜい、とからかわれて。
ゴーグルの少年は静かに首を振った。

「逆っスから。オタクは三次元では無害でおとなしい種族だから。特に女子にはそうあるのが本来の生態なんで。青ピ君みたいな希少種と一緒にして欲しくないっスね」

「センセが冷たい! なんやもー、ボクらも信頼と実績の負け犬組仲間やない?」

「俺は非リアなんでそう言うのいーんス。二次ライフは充実してるんで」

仲間を増やそうと通行人を引きずり込もうとする妖怪かなにかの様にすがりつく青髪ピアスだったが。
ゴーグルの少年は淡々と相手をしていた。

「ほんっとに薄い女の子好きやね。ボクもそう言うん好きやけどそこまで愛は注げへんっちゅうかーやっぱリアルな子ときゃっきゃしてみたいやん。なー」

「いや、ほらタッチ出来るし。それとも俺たち三次元女子となら触れ合えるって言うんスか。あははは…そんな馬鹿な」

「はっはっは、現実は厳しいんやで。でもなセンセ、目を背けたらアカンのや! チャンスはあるっ!」

拳を握って熱く語る青髪ピアスは、そのチャンスを狙いすぎて年中風紀委員から職務質問を受けているらしいから何とも言えない。
ついでにまだ女子風紀委員とのフラグも立たないらしかった。

「でもなあギャルゲ最近やってなかったし、ボクも最新のやってみよーかなあ」

「たのしーっスよ。一家に一台一彼女。ほら」

「なんか色違いでもう一台出てきたんやけど?! どうなってるん、え。なにこれ青狸のポケットか何か?」

「限定版三人分揃えたから」

「レンタル彼女…ってなんかエッチやね」

「よーし。じゃあ俺はぬいぐるみを落とそうとしてる女子をキャッチ出来ないかあっちを見てくるぜい。今日はカミやんがいないから、フラグの回収日じゃない筈だ」

青ピが不思議そうにカバンの中をのぞきだした横で。
こう言うことには積極的らしい金髪グラサンはにゃーにゃー鳴きながら店内をうろつきはじめた。


「さっきから気になってたんやけど、その小銭そんなにどうしたん?」

「あー。先輩のなんだ。あっちのコーナーにあるレトロゲー、『外』のゲームって電子マネーとか使えないのばっかだから。両替してきたとこ」

メダル用のプラスチックトレーに硬貨を盛ったゴーグルの少年はそう言って苦笑いした。
あえて一昔前のゲームに挑戦している「先輩」は、やっぱり余分な小銭なんて持ち歩いていなかったらしい。

「はあー。なんかセンセがそう言うん意外やね」

「いや、あの人はさーなんかもうレベルってか生き物としても格が違い過ぎて。従うのがデフォってか、己の矮小さに自然とこっちの頭が下がっていくみたいなのがっスね」

「先輩さんどんだけー」

青ピは茶化したけど。
何しろ相手は超能力者。
能力者の格付け的な意味でも、自然界の弱肉強食的な意味でもピラミッドの頂点側に振り分けられるタイプだ。
下の方に位置するゴーグルの少年の態度も自然とそうなる。
そういう風に世の中出来ている。

「ありとあらゆる次元で半端ないよ。本当に」

「おい」

「はいッ?! あ、か」

突然肩にかかった重さにゴーグルの少年がびっくりして横を見ると、そこには肘がのっていた。
そのまま視線を段々上げていくと。
ゴーグルが向こうで待たせていたはずの垣根の顔がそこにあった。
そこで我にかえったゴーグルの少年が何も言えずに顔をひきつらせていると。
垣根はそのまま肩の上に腕を伸ばして、軽く叩いてきた。

「遅えよ」

言い終わった口元は上がっていた。
口調も表情も怒っていない様にみえるのがかえって恐ろしい。
わかってんだろうなテメェいい度胸だ、的な副音声がゴーグルの少年には聞こえてきそうだった。悪い方に考え過ぎかもしれないが無いとは言い切れない。

「えーっ! 先輩さん? イケメン! 俺らレベルじゃ100人集まっても勝てる気しまへんけどぉ」

「まあ実際やりあってもそうだろうな。それでも桁が足りないと思うぜ」

「あの……やってたのはどうしたんスか。終わったんスか? これ、足りました?」

ゴーグルは足元を見ながら手に持ったトレーを示した。
実際の何百倍もの重さが肩を中心に全身にかかったかのように、少年は身動きがとれなかった。
垣根の能力なら本当に出来そうだが、そんなことをされたらゴーグルなんてあっという間にぺしゃんこだろう。


「いいや。足りなかったからな、近くのヤツに借りた」

それにますます身をこわばらせるゴーグルの少年だったが特にお叱りは受けなかった。
ふーん、とつぶやくと垣根は青髪ピアスを物珍しそうに眺めていた。

「これか? 例のダチ」

「あー、えっと青髪ピアス、青ピ君っス。えーっと、こっちは……」

「こいつのセンパイさんです。どうも」

垣根のことを何と言えばいいのか、そもそも名前は教えていいんだろうか。
そんな風にゴーグルの少年がまごついている間に。
垣根はにっこり笑顔を浮かべると青ピに軽く頭を下げた。
明らかにどうみても純度100パーセントの作り笑顔だった。
青ピはめっちゃイケメンやん! などと騒いでいたが、ゴーグルは気が気ではなかった。
なんでのんきに立ち話をしていたのかちょっと前の自分を恨みたくなる、そんな気分だった。

「君は青ピ君と遊んでる? 俺ちょっと向こう見て回るけど」

「いえ、あの……ご一緒しますっス」

「じゃあセンセまたー、先輩さんもー」


垣根の後ろをおっかなびっくりついて行くゴーグルの少年と入れ替わるように、反対側の通路から金髪グラサンがもどってきた。

「いやあ最近の女子はガード固いぜい……ってそんなとこで凹んでどうしたんですたい」

ひとり残った青髪ピアスは店の壁にぐでーんともたれていた。
すっかりやる気や生気のぬけた顔をしていた。

「ははは……圧倒的な差ってのをガッツリ見せつけられた気分やでつっちー。高ランクのイケメンって……あれはもう人生勝ち組イージーモードですやん。逆立ちしたってもう無理無理無理無理」

「そう言う話ならまだ俺にだってチャンスはあるんだにゃー。メガネキャラには素顔公開と言う禁じ手があるんだぜい」

メガネもといグラサン装備な土御門が得意げに腕を組む。
あら不思議! 外した途端美形がコンニチハなんてベタな展開があるんだろうか。
ギラギラ光る青いサングラスは正直、イケメンがつけていても好みが分かれそうだった。

「ボクかてなぁ! 細目糸目は本気出したらイケメンっちゅうお約束があるんや!!」

「あ。あんなところを露出過多な金髪幼女が歩いてるにゃー」

「どこに?!」

「青ピ。瞼が開いてるようには見えないぜい」

「まだや、まだボクは本気出してへんだけですー!」

デルタフォースの一角を欠いた馬鹿コンビは寂しい掛け合い漫才をまだしばらく続けていそうだった。


「でもさっきやってたのは無事クリアできたんスよね。よかったっス」

「ああ。コツがわかればあんなもん。軽いぜ」

どうやら、ゲームが無事クリア出来たことで垣根の機嫌はそこそこいいらしい。
これでもしコンティニューに失敗したり、途中でうんざりして止められていたら今頃ゴーグルはどうなっていたかわからない。
そんな嫌な想像をついしてしまってから、ゴーグルの少年はほっと胸をなでおろした。
店の中をうろうろしているとクレーンゲームのコーナーにやってきた。
ぬいぐるみの横に怪しい能力開発キットとかまで並んで、ごちゃごちゃしていた。

「お前の能力ってこう言うの取り放題なんじゃねえの」

「いやあ最近のゲーセンは能力者対策してあるからダメっス。前にちょっとやってみたら警報なって係員に注意されました」

「俺がやっても感知されると思うか」

「多分AIM拡散力場の変化とかを検出する仕組みになってるから難しいと思いますよ」

「ふーん」

実際に垣根がそんなことをやるとは思えないが、本人はただ気になったから聞いてみただけらしい。
ゴーグルが箱入りのヒーローもののフィギュアをみていると、横からのぞいていた垣根が口を挟んだ。

「そっちのはうまくやっても5回はかかるぞ。それにこう言うのってアームの強さも変えてるんだろ」

「うーん。それでもとれるかもしれないって思うとつい連コインしちゃうんスよね」

「ああ。まんまと乗せられてるヤツがいるな」

垣根がそう言ってガラスをつついた先には。
景品同士の間に埋まりそうになっているぬいぐるみがあった。
中ではカエルのキャラクターが小さな山を作っていた。
このクレーンゲームで遊ぶやつはどうやらそのてっぺんにある、他より数倍おおきなサイズの一匹を狙うらしい。
あちこち動かしているうちに余計取りにくくなってしまったようだ。


「相当やってそうな割に思い切りが足りねえのかな。そうだな、まず取れる位置まで動かさねえとだろ」

緑色の目立つカエルの群れをしばらく眺めまわしてから。
垣根はクレーンを操作する。
上から隙間に押し込まれかけていたぬいぐるみを、周りの景品をずらすことで移動させた。
ゴーグルの少年あたりなら、硬貨を入れる前に店員を呼んで配置を直してもらう所だが垣根は呼びたくなかったのか。
それともそんなことをするなんて考えもしなかったのか。
横で立っているゴーグルのトレーに手を伸ばすと二枚、三枚と機械に次々硬貨を飲ませていた。

「で。胴をこうしてから、頭を狙う。うわーブッサイク」

容赦無く顔面を押しつぶされたカエルはかわいそうなことになっていた。
垣根は愉快そうに笑ったが小さい子がみていたら泣きそうだ。
そうやってアームで顔をぐにぐにされるうちに。
頭の重さにひっくり返る様にして一番大きなぬいぐるみが出口に向かって落ちた。

「ほら。落ちたろ」

「おおーっ! って、こいつ結構デカいっスね」

歓声を上げるとゴーグルの少年はしゃがんで景品を取り出そうと引っ張りはじめた。
取った本人の垣根はただそれを見ているだけだ。

二人がそんなことをしていると、ジャラジャラ音を立てながら女の子が走ってきた。
音源は彼女の持っているビニール袋だ。
少なく見ても福沢諭吉とチェンジしたくらいの量の小銭を握りしめているのは、グレーのスカートにブラウス、サマーセーター。
夏休みだと言うのに上から下まできっちり制服姿の女の子。
見た目は中学生くらい、ちょうど心理定規と同じくらいだった。



「あ。さっきの……ねえもしかしてっお兄さんもゲコラー?!」

ゲーム機の前まで走ってくるなり、女子学生はいきなり意味の分からないことを言い始めた。

「はあ? なんだって?」

不審そうな目をする垣根の前で彼女はコンコンとガラスを叩く。
その顔は得意げ、と言うかなぜか嬉しそうだ。

「ゲコ太よゲコ太。もしかして知らない? 知らない男の人でも……こういうの興味あったりするの?」

このキャラの名前はゲコ太と言うらしい。
見た目はヒゲを生やして服を着たカエルのおっさんだ。
中には服を着てないやつや、リボンか何かをつけているのもいるが。
もちろんそんなものを知らない垣根には個体差がピンとこない。
無言で視線を向けられたゴーグルの少年も首を横に振っていた。

「全然。っつうかさっきのガキじゃねえか。おいゴーグル、財布」

「あっいいのよあれくらい。ああいうのって、クリア直前でやめるの悔しいじゃない? はぁー、しっかしそれよく取れたわね。私もやってみたけど全然駄目だったわ」

ぱっと手を広げると女子学生は、財布もといゴーグルの少年を呼びつけようとした垣根を止めた。
何だかゲーセン慣れした少女は小銭を貸したことなんて気にもしていないらしい。
それよりも。
中身の減ったクレーンゲーム機を見て残念そうに肩をすくめていた。
背中の後ろに回した手の下でビニールにつまった小銭が小さく音を立てた。


「いや。別に欲しくて取った訳じゃねえし」

「そっ、そうなの? じゃあなんでやったのよ」

「強いて言やあ…ノリか? こんなのどこがいいんだか」

それを聞いて女子中学生は今度こそがっくりと肩を落とした。
膝から崩れおちてもおかしくなさそうなへこみっぷりだった。

「うっそぉ……油断してたわ。まさか他にもBIGゲコ太を取ろうって人がいるなんて全然思わなかったから、って言っててちょっと悲しいけど」

クレーンゲームコーナー内に用意されている「挑戦中」の札を横目にため息までついた。
隣で黙って様子を伺っていたゴーグルからカエルのぬいぐるみを受け取ると、垣根は眉を寄せた。
デフォルメされた両生類は確かに実物より愛らしい見た目だが、きゃあきゃあ騒がれそうな人気者には見えない。
おまけにデカい。

座らせてもタテ50センチはありそうなカエルはその名に恥じずBIGサイズだった。
しかし、それを見た女子学生は途端に落ち着きがなくなった。
おもちゃを目の前でゆらゆら〜っとされている猫みたいにそわそわしはじめた。
たいして可愛くもないカエルを見ては首を振り、また見ては頭を振っていた。
それをしばらく眺めると。
垣根はぬいぐるみの足を掴むと無造作に放り投げた。

「ゲコ太ーっ?!」

ものすごい勢いですっ飛んでいくぬいぐるみを追いかけて。
女子学生はスカートばきとは思えない、気合の入ったダッシュとスライディングを披露していた。
おかげで哀れなカエルは床に落ちる前に無事にキャッチされた。


「さっき借りたの、これでチャラな。こいつもちょっとつついたら落ちたしよ」

床に座り込んだままの女子学生の近くまで歩いてくると、垣根は空いた手をポケットに入れた。

「えっ、でも……あの、ううん。貰えないわよ」

「うるせえな。だから俺には必要ねえんだ。テメェもいらねえんならそれ捨てんぞ。バラしてドラム缶の餌にする」

「だっ、ダメよそんなの!! ゲコ太にそんなことさせないわ!」

清掃ロボに食わせるぞ、と垣根が脅すと女子学生はぬいぐるみをしっかり抱きしめて首を振った。



暫く中学生と話すと垣根はその場を離れた。
女の子がぬいぐるみを抱きかかえて出口に向かうと、ゴーグルが寄ってくる。

「あの子に借りたんスか? あれって常盤台の制服っスよね確か。垣根さん常盤台に知り合い居たんスか」

「あんなの知らねえよ。近くのメダルゲームんとこで見てたらしい。俺が金が終わって、カウント眺めてたらこれ使えって小銭放ってよこしたんだよ」

「結構ガサ……ワイルドなお嬢さまっスね。それでさっきの景品は?」

「何かごちゃごちゃ言い始めたから押しつけてきた」

「ありゃ。あげちゃったんスか」

残念そうにゴーグルは言ったが垣根はせいせいしたらしい。
どう見ても似合わないぬいぐるみは持って帰ってもその後困りそうだった。

「何となく取ったけど、あんなもんどうしろっつうんだよ。まぁ、丁度いい厄介ばらいが出来た。どっちもな」

「でもあの子よっぽど欲しかったんスかね。あのカエル。はあー、お嬢さまもゲーセンで遊ぶんスね……」

「けどよ、この手のゲームって自分で取るまでが楽しいんだろ。人に譲ってもらって、それで喜べんのか」

「それはそうっスけど。プライズって非売品も多いんで、ラスワンを何したって欲しいって奴はやっぱ嬉しいんじゃないスか」

そんなもんか、と首をかしげるとそのままコキコキと鳴らしながら垣根は歩きだした。

「ほら、次。どっかねえのか」

「ちょ、ちょっと待って下さいっス!」

ゲームセンターを満喫したのか飽きてしまったのか。
気まぐれな超能力者の暇つぶしはもう少し続きそうだった。

ドーモ。
お久しぶりです。
風斬の本体だけ取り損ねて残った専ゲコの山にうちひしがれていたら年を越してた。かなしい

頂点で垣根のイベントやってるね!おめでとう我らが第二位。お祝儀に5万ほど包みましたがSレア上条さん数人と勝利宣言しか出ませんでしたのことよ。ステップ後は同じ確率ならSSRがよかったんだけどこれも不幸か当然か

遅くなったけど今年もよろしくドーゾ

よろしく、乙

1乙
まさかビリビリが出るとはw
ソシャゲほどほどにしたほがいいよ
次も楽しみにしてるから


美琴たんかわいよぉ
つっちーと青ピって垣根と身長同じなんだよな
あと頂点は垣根の絵がパズデの使い回しな上イベントオープニングが手抜きでなきゃ相当課金してた

垣根さん学園都市の広告塔だぞその子
あれ、原作では美琴の顔って広く公開されてるっけ

垣根はオタクじゃなかったけどゴーグルはおたくだった
これはまだ実験発覚まえだよな美琴フラグが立つのか

これで実験に介入して垣根×御坂になるなら読みたくない
スクールの話じゃなかったのか

もちつけ

ここのはそこそこマトモだし垣根が好きな1がかいてんだと思ってたんだよ
それを簡単にヒロインとくっくけたりするようなら幻滅した
せめて退場前の垣根っぽいのがみれると期待してきてんだよ

つかまだそんな展開ねえから

早とちりしすぎだろ…
まだ会話しただけじゃん

つっちーとていとくんが同じ場所に居合わせたとかかなりギリギリだなww
危うくゲーセンが抗争の舞台となるかもしれなかったな…ww

とあるネット小説サイトとかには、出てきた美女美少女美幼女は主人公のモノで他の男と仲良くするだけで発狂する読者が多数いるくらい「出会って会話=カップル(予定)」と短絡化する傾向にあるのがネット小説の現状

なのかもしれない

ネタにつっこみ間にあわないww
垣根自由すぎ
ゴーグル結局名無しだし
もしかしてゴーグル装備したらいろいろ見放題か?

ドーモ

>>174
乙あり。ドーモ

>>175
ビリビリ中学生……一体どんな人物、ビリ坂ビ琴なんだ
わがまま枠もオマケもなくてイベントもそんなでなくて。純粋に垣根帝督に対して金が出せるのは今しかないと思ったって今考えた。アニメ化まだ待ってる
あっちは微課金で。こっちももちろんがんばる

>>176
三人とも180近いのは知ってたけど一緒なのか!
まだだまだEDがある。電話一本で暗殺中止になって垣根が文句垂れながら連れ戻されるシーンがカットされないか期待せずに待とう

>>177
注目されてるのは能力の方で本人じゃないから顔はみんな知らないのかも
でも垣根はもし知ってても興味ない関係ないやつには反応薄いかもね

>>178
フラグはどうなんだあれで立つのか。相手はゲコ太を横取りして捨てようとした顔はキレイなチンピラだぞ
ゴーグルも別にここまでオタクじゃなかったんだよ!ほんとだよ

>>179 >>181
垣根×美琴の予定もつもりもまだないけど、この先誰かといい感じになる展開になってもちゃんとみんな出てくる話にしたいよ
>>1も垣根は好きだ。『スクール』好きだ。出なきゃスレ立ててこんなことしてないよ
でも>>1の書くのが気に入ってもらえるかは人それぞれだと思う難しいけど。話が好みじゃなかったらすまないね

>>180
そうな。よいしょーよいしょ

>>182
まだな。お嬢様でも殿方と手を繋いだらお付き合いとかそんなあれじゃないよな

>>183
確かに。チンピラホストをひっかけてたら大変なことになるところだったな。土御門は科学サイドの重要人物は頭に入ってそうだし賢いから、無駄な争いは避けてくれそうだけど
垣根の方はそん時の気分次第かもしれないw

>>184
まじか。じゃあ「あいつと喋ると妊娠すんぞw」が笑えなくなったりすんの。上条さんどころじゃないフラグのインフレなの。こわいな

ほんとはタイミングよく二月一日にしようと思ってたけどそれまでに190いきそうだからここでお礼とお知らせ

筆のおっそい1がスレを落とすことなく続けてこれたのも皆様のおかげです。これからもよろしくお願いいたします
ネタ切れ…もといマンネリ防止とこんなスレでも見てくれる人に感謝を込めて
>>200
>>222
でネタ出しされた話を書いてみようと思う
別にキャラは『スクール』だけに限らないしこのSSの内容直接関係なくてもいいんで
流れてもいいし。よかったら

ドーゾよろしく

頂点とパスデックスのイベント最終日をごっちゃにしていた1です。ヤシがずいぶん増えてました。とりあえずOPEDのスクショをとっといたよ
ドーモ

安価予告って前もってした方がいいのかと思ってたけど届くころには忘れ去られそうな気がしてきたんだぜ。まあ気長に
いっこ前のレスみのがしてたみたいだからそっちを忘れるまえに

>>185
ゴーグルなんてよぶか問題。一般的に呼ばれる名前がないと苦労するんだなあ
あー。あー…このゴーグルが二次元好きでよかったってはじめておもったかも
ソウデスネーデキマスネー。さすがに悪用はしないと思いますん

あげ

もうすぐ節分だね帝督
上下のお口に恵方巻きをほおばってもらいながら外にも中にもたっぷり豆まきしてあげたいよ
西南西を向いて最後まで声を出さずに我慢してなきゃ駄目だからな


って事でガチホモキメセク輪姦垣根よろしく

今回の面白かったからいつかゴーグルに渾身のデレをかます垣根みたいw

トリわすれてんじゃん

よくみたら>>198も199だしあげちゃってるのでひとつずあいて>>201も入れて、>>200-201をそれぞれかくね
次は>>222ですねよかったらよろしくドーゾ

えっ何本気なの>>200-201マジで書くんですか
割と真面目なスレだと思ってたよ?
はぁ?ガキの頃からわけ変な薬使われまくってる俺がトぶわけねえだろ何がチンポ奴隷だよ[ピーーー]とかほざいたのもつかの間
注射刺された次のコマで肉棒に囲まれてアヘ顏ダブルピースしちゃってんの?次回の垣根は?
このスレ懐深いってレベルじゃない
カウパー垂らしながら待ってる

>>207
アゲだのサゲだのそんなのはいいよ

首置いてけ なあ >>199だ!! >>199だろう!? なあ>>199だろおまえ

真面目じゃないがゆるく『スクール』が遊んだりだらだらしたり、もしかしたら誰かといちゃつくなんてこともあるかもしれない
そんなスレのつもりだ
そんなつもりでSS速報にはじめて立てたスレなのに>>1の常識がまるで通用しないんだけどなんだこれ能力?魔術?未元物質?
次回じゃないよ。>>1は書けたら投下するから先に出来たらそっちを順番に落としてく
ここで折れたら負けた気がすんので言ったからにはきちんと書くよ。注意書きとかつければここにそういうの落としていいんか
ただ書くのは>>1だ。仕上がりは期待すんな
寒いから服は着ろよ

とか思われたくないからこれっきりな!

無駄にスレ伸ばしちゃったかな…ごめんな
ちょっと落ち着くな

あーうんなんか別ベクトルなことしてリフレッシュしてくるべき
あと逃げたら負けとか言わずに、連投安価とりしたルール違反の言うことはきかん、でよかったと思うの
通例上

そうそう、こういう場合は無理なら無理ってはっきり言った方が良いよ
その方が後々面倒くさくならない

マジな話>>1氏無理せんでくれ
ここノンケスレだと思ってたし無理に安価ネタ使って不健全にせんでもいいと思うわけですよ
>>1が安価ネタをやめるならキメセクで狂う垣根は俺が他所で代わりに生み出すから大丈夫

ドーモ
ここは>>1がSS書きにくるとこだからなるべく発言はまとめていくな。昨夜は刻んだ連投失礼っした

>>215
そんなルールもあるんか。まあその分楽しい話を書いてりゃリフレッシュできると思うんだ
書きたいネタいくつもあるとパソコンに向かう時間が一週間くらいまとめて欲しいけど

>>216
やったことないだけで、書いたら何とかなるような気がしてきてるww
絶対無理ってかんじでもないのがなー。なんだっけ、男は度胸?なんでもやってみるんだっけ?
前向きに考えてみたい

>>217
別に無理はしてないさ。書いたことないの書いて!ってくるとビビるだけでな。別に>>217が書いてくれても構わんのだよガチホモキメ(ry
あとまさかホモネタがくるとか思ってなかったからびっくりしたんだよ。まあ2chだもんホモくらい居るよな
ギャグとエロは難しいからつまんなくなりそうなことだけが問題だよ
あと名前、名前気になるからやめて

とりあえず201と、あと200も浮かびそうだし書いてみるけど多分あれだ。
>>207の期待にはそえないかもな
垣根に[らめぇぇっ!]語っつうのがどうしても第一ハードル高くて違う感じになると今のところ

逆によ。まるっきり本筋と無関係として不健全っぽいのを書いて、その後で本筋の『スクール』でヤイヤイするのが嫌だなーってみんなならないか?そこだけトライしようとする上で心配なのよな
切り離して見てもらえるかな

これだけじゃなんだから。次の予定はゴーグルと心理定規です。垣根はいるけどいないかも

個人的には、このスレでそういうアッーなネタは見たくないなあ
まあやりたいってんなら止めないけどさ

夢オチにしたら何やっても問題無い

垣根が心理定規とイチャイチャするのが見たいです

暗部の仕事で常盤台に潜入する垣根の話をだな

魔術サイド女子と垣根でかいてみてよ!

例えば上琴の作者が同スレでいきなり上イン書いたら間違いなく荒れる
これは考えなくてもわかる筈
対処出来ないなら気軽に安価とかするべきじゃなかった
全レスは義務じゃないのと荒らしに構うやつが迷惑なのは最低限覚えておくべき
スレは作者のものた゛から好きにすればいい
中身がまともなら読むやつは勝手に読む
だが>>219のようにネタによって見たくないってやつがいるんだから配慮はすべきだ

>>224イケメンやん

>>217
そんな物書かなくていいから…(良心)

キメセク輪姦もう冒頭部とプロット完成してるわ
安価に便乗悪ノリした責任を取ることは可能
鬱な話になったけど責任さえ取れればいいよね

>>

スレ止まってんの

安価箇所超えてまであんまり雑談するのもあれやん
>>1楽しみに待ってるー

保守

アイテムとの絡みも見てみたいし、(ホモとかでなく)一方通行との絡みも見たい…このSSには期待してるで?

更新はないのですか!?
この際もう安価なんて忘れて書きたいものだけ書けばいいじゃないですか!

1ももう投げたんじゃ
禁書もSSも落ち目だし
出番のないキャラのファンもいないだろ

安価内容なんて無かったことにして戻ってきてよ>>1
垣根(非白)より好きなキャラは今も昔も恐らくこれからも存在しないしここが唯一と言っていいサンクチュアリなんだよ

戻ってきても何も毎回こんくらいのペースじゃね?

スクール楽しみにしてたんだけどな...
お願いだから戻ってきてくれ1...

>>237
冷静に考えれば確かにそうだけど・・・
やっぱり気になるし・・・

スレ落ちそうならまだしも必要以上の催促とか端から見てて荒らしと変わらねえからな
下手すりゃモチベ下がるわ

落ち着いて待て

いきなり保守劇場はっじまーるよ




青ピ「なぁなぁカミやん。昨日の『ラッスンゴレライ』みた?」

垣根「らっすんごれらい……って、あれか。ズンドコベロンチョみたいなのか」

土御門「おっ? ズンベロ知ってるなんて、ていとくんもツウだにゃー?」

垣根「ズンベロな。ああ言う救いのねえの、嫌いじゃないぜ」

土御門「不条理で涙を誘うんだにゃー」

垣根「ズンベロな」

土御門「ズンベロ」

青ピ「……なあ、あっちはどうしたん?」

ゴーグル「この前『世にも』の特選集を見たんスよ」


上条「昨日は見てないなー。何か新ネタやってたか?」

土御門「いーや、いつもと一緒だったにゃー」

ゴーグル「関西人的にはありなんスか、あれ」

青ピ「なんで? 勢いまかせの体当たりもええと思うよ?」

垣根「……」

一方「……」

土御門「おやぁ? まさか二人とも、今大人気の『ラッスンゴレライ』がわからないとか言わないにゃー? 超能力者ともあろう御方が揃って、こりゃとんだモグリぜよ」

垣根「そう言うテメェらは……当然出来んだろうな?」

青ピ「そんなのあったりまえやんなー? つっちー?」

土御門「もちコースだにゃー」


土御門「ラッスンゴレライ!」

青ピ「え? え? 何て?」

土御門「ラッスンゴレライ、ラッスンゴレライ。ラッスンゴレライ説明してね?」

青ピ「ちょっと待って、ちょっと待ってお兄さーん? ラッスンゴレライて何ですのん? 説明、しろと言われましても意味わからんから出来まっせーん」

土御門「ラッスンゴレライ、ラッスンゴレライ。楽しい南国ラッスンゴレライ」

青ピ「ちょっと待って、ちょっと待ってお兄さーん? ラッスンゴレライてリゾートなん? でも南国言うても色々あるよ? パリ、グアム、ハワイどれですのーん?」


青ピ「と、まあこんなもんやね」

土御門「軽いもんだぜい」

上条「おおー、完璧完璧! 別にお前らだってさあ。あれくらい知っ」

一方「出来ンぞ。俺を誰だと思ってンだ。超能力者だぞ。なァ?」

垣根「は? え、俺も?」

上条「いや、別にそこまではですね……」

土御門「止めるなカミやん。あの一方通行があそこまでいってるんだにゃー。やらせてやろうじゃないか、っははは」

ゴーグル「爆笑が隠しきれてないっスよ」


垣根「…ラッスンゴレライ」

一方「え? え? なンて?」

垣根「ラッスンゴレライ、ラッスンゴレライ。ラッスンゴレライ説明して…ね?」

一方「ちょっと待ってェ、ちょっと待ってェお兄ィさァン? ラッスンゴレライてなンですかァ? 説明しろと言われましてもォ意味わからないから出来ませェン」

上条「ぷっ」

垣根「……ん? ラッスンゴレライ、ラッスンゴレライ……楽しい南国ラッスンゴレライ」

一方「ちょっと待ってェ、ちょっと待ってェお兄ィさァン? ラッスンゴレライてリゾートかァ? でも南国つっても色々あるよォ? パリ、グアム、ハワイどれですかァ?」

土御門「は、ははっ流石レベルが違いますたい。笑いでも圧倒的…だにゃーあっはっはっは!」

青ピ「つっちーそんな笑ったら悪いやん……アクやんも一生懸命がんばってくれたやないの…あー、あかん、これ腹筋割れるっ」

上条「くっ、く…ふ、ふふ……………」

ゴーグル「カミやんさん! ちょ、息は止めちゃダメっスよ?!」

垣根「おい。今の」

ゴーグル「これでムービー撮ってましたよ! 学園都市ツートップのコントなんて見れませんからね!!」

垣根「よし。しばらくはあの野郎を馬鹿にするネタが出来たな」

ゴーグル「あれ、垣根さん今の笑いどころわかったんスか」

垣根「ああ。お前らの反応から逆算した。でかした、青ピ」

青ピ「それほどでも…あるやーん?」

一方「どォ言う事だァ。オマエら人ォ馬鹿にしやがって」

上条「いやあ今のはそんなのじゃなく、微笑ましい笑いですことよ? 一方通行さんや」

土御門「カミやーん。ネタばれしたらつまらんぜよ」

垣根「テメェが関西弁なんざいきなり口にしたら気持ち悪いだろ、ってことだ。結果オーライってな」

一方「はァ? ……なン言うてるン? そないなこと気にしたはるンは流石ァ三下、お育ちがしれますわァ」

垣根「そっちこそ悪趣味やな! 京言葉ってか、きっしょ。ほんまにセンスあらへんな?」

青ピ「ちょお、二人ともそれ僕と被るやん? やめてやー」

一方「あァ?」

垣根「はぁ?」

上条「おい、なんか外国語VS外国語の壮絶な口喧嘩が始まったぞ」

ゴーグル「お互い違うので返してるんスかね。何言ってるか全然わかんねえけど怖いっス」

土御門「ドイツ、ロシア、広東…今のはタガログ語かにゃー。カミやん、能力使いだす前に止めないとまずいぜい?」

上条「へ? 俺が?」

青ピ「そうやねーアクやんに振ったのはカミやんやねー」

ゴーグル「俺らじゃとても手がだせないっスねー」

土御門「さ。その右手の出番ですたい」

垣根「ばーか! シマシマ! 貧弱モヤシ!!」

一方「うるせェ! メルヘン! ドヤ顔ホスト!!」

垣根「っつったくムカつくんだよテメェ、今日こそ白黒つけてやろうかぁ?」

一方「吠えてろ三下ァ。どっちも俺一人で足りてンだよォ」

垣根「はぁ? 勝手に羽の色パクってんじゃねえぞ?」

一方「好きでンなことしませンー勝手になったンですゥ」

上条「なんか既に物がいろいろ飛んでるんですが…あれをどうしろって……ふ、不幸だー」

オチないけどね。ほしゅですね。浜面も入れてやればよかったね。あいつとうとう人外までハーレムにいれたね
なんでいきなり仲良しかって、あれじゃないか。パズデックスのマイページとかなんだよきっと

ドーモ
保守だろ?生存宣言をしに来たぜ

安価とかネタをいろいろ思いついたのからいくつも書いてるとまとまんなくてね?
でもちゃんと書いてるんだね?
1のパズデックスはまだSAOとはコラボしてないらしいね?
リズムネタみてたらなつかしのオリラジをスクールでもいいんじゃないかとも思ったんだね?

垣根「『スクール』だ」
ゴーグル「お願いします!」
心理定規「……リーダーいつものやってあげて」
垣根「おう。聞きたいか? 俺の武勇伝」
ゴーグル「そのすごい武勇伝をゆったげて!」
垣根「俺の伝説ベストテン」
心理定規「…れっつごー」

暗部の超能力者はうまくのせたらやってくれそうなきがする。怖い武勇伝ばっかになりそうだけど

>>1きてたー!
乙!

土ピコンビは漫才しててもあんまり違和感ないけど
一垣っていうか一方通行がやるのは違和感しかなくて腹筋がヤバい

一通は知らなかったから元ネタの関西弁でやらなかったって事?
武勇伝のほうがみたかったここ提督とスクールのスレだよね

個人的に
七位…薩摩弁
五位…博多弁
四位…広島弁
二位…大阪弁
を使いそうなイメージ

一位と三位はイメージ沸かない

セロリは元が方言みたいなモンだろw

関西弁使う御坂はかわいいかもしれない

1まだか
さっさと書けオラッ

       ∧_∧  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       (;´Д`)< すみませんすぐどかしますんで

  -=≡  /    ヽ  \______________
.      /| |   |. |
 -=≡ /. \ヽ/\\_

    /    ヽ⌒)==ヽ_)= ∧_∧
-=   / /⌒\.\ ||  ||  (´・ω・`) >>256
  / /    > ) ||   || ( つ旦O
 / /     / /_||_ || と_)_) _.

 し'     (_つ ̄(_)) ̄ (.)) ̄ (_)) ̄(.))

保守


ソファに座った少女はのんびり雑誌をめくっていた。
学園都市内のブランドを扱ったファッション誌は中学生くらいの女子に向けたもので。
彼女の普段の服装と比べると並ぶ写真はどれも子供っぽく見えるものばかりだった。
『これで完璧! 最新秋ファッションのマストアイテム徹底特集! オシャレのレベルもアップしちゃおう!!』なんてフレーズが表紙を飾っている。
学区別に組まれたショップ情報。
大きく取り上げられるのは最新より一歩先、次のトレンド。
流行ることがもう決まっているから、と言うことなのだろうか。
一ヶ月以上先のことが透かしたようにわかるだなんて。
『樹形図の設計者』による精密な天気『予測』の様だ。
そんな大がかりなことに限らなくても当事者の都合はお構いなしに、第三者が作り上げた予定の上で様々なものが動いている。
自分の意志で歩いているつもりでも見えないレールの上に知らない間に乗せられているのかもしれない。
どこもかしこもそんな出来レースだらけだとしたら。
常識の、価値観の。
判断の基準はその『物差し』はどこにあればいいのか。
それを自分の外側に、他者に委ねることは簡単だ。
ただ口を開けてマジョリティの情報を飲み込んでしまえばいい。
万人受けする流行りの風潮やお約束のイメージに思考停止で流されてしまえば無駄なエネルギーを使わずに済む。
ページをめくるこの少女も時にそう言った使い分けをするタイプだった。

見た目、服装、第一印象。
○○な人と言う一人間関係の一番最初のラベルはそんな所から決まっていく。
そこから勝手に相手が考えて、都合よく解釈されるのは楽なことだ。
自己紹介文を長々と背負って歩く訳にはいかないんだし。


心理定規はどこかつまらなさそうにページをめくっていた。
次のバイトまではまだ随分と時間がある。
ただの時間潰しならカフェでもいいんだけど、暑い中歩き回るのは気が進まない。
次の相手は会話と軽い食事も楽しむタイプ。ならたとえドリンクだって無駄にお腹を膨らめるのは嫌だった。
あとは移動時間その他色々。
そんな条件を考えると、この隠れ家を使うのが今日の彼女には都合がよかった。
ほとんど荷物置き場の様な部屋でも居心地は悪くない。
使っている建物や周囲の雰囲気にふさわしく、もしかしたら少しくらいメンバーの好みに合わせているかもしれない内装や家具は、すぐにでもここに住めそうなくらい整えられていた。

少女の指が写真の横の見出しをなぞっていく。
その爪先は明るいオレンジ色に塗られていた。
心理定規は黙々と記事に目を通していた。
次の『客』は大学生だった。
確か一三学区で教育実習をしているが、女子児童となかなか話が合わないのだと前に話していた相手だ。
背伸びをしたがる年頃の女の子とは、実際の目線より少し上の話をした方が良かったりする。
こうしてページをめくりながら心理定規はコミュニケーションに必要な、会話の種を拾っておく。
とは言っても、テストの前に仕上げたノートを貸してやるような真似をするつもりはない。
彼女がするのは精々ヤマのはりかたをアドバイスするくらいのことだ。
彼女の仕事は相手の面倒を見てやることではないのだから。
その他にも。
相手によって用意するものも中身も変わるが。
彼女にいつも求められるのは、『客』の気持ちを満足させてその時間を終えることだった。

最新の保湿成分の配合されたコスメの広告。
人気のスイーツの特集ページ。
新ドラマの紹介記事。
心理定規はそこで少し、ページを戻した。
少女の目がほんのちょっと真剣にページに向かっていると。
ドアが開いて携帯電話を耳に当てたゴーグルの少年が入ってきた。
ソファに座った心理定規に気付くと、片手で(失礼しまーす)とジェスチャーしてから頭を下げて隣の部屋に入っていった。



「ええっ?!」

「なんで…なんでなんスか? ああ、そっスね。所詮俺はその程度ってことだよねええええわかりました。よーくわかりましたって」

「はぁ? ちっぱ…いやいやだから、その風潮がさあ? なんで同系統な女子はみんなまとめてつつましやかにされてしまうのかってむしろ聞きたいね。え、嫌いじゃなかったか? んな訳ないって!」

「心にゆとりのある娘は病まないなんて誰が決めたんだ青ピくん。君はそんな固定観念に縛られる男だったのか?! いいじゃないかネガティヴ巨乳!」

「いいんだよわかってくれれば…って俺ら何の話してたんだっけ?」


何だかやけに騒がしく話していたゴーグルの少年は電話を終えたらしく部屋から出てきた。

「……おともだち?」

「うーん、まあ。友だちがいの無い友だち…っスかね。こっちはそう思ってたんスけどね」

「ふーん。ケンカでもしたの?」

喧嘩って程でもないし誤解は解けたんスけど、とゴーグルの少年は言ったが。
なんとなく歯切れの悪い返事が返ってくる。
心理定規は視線を雑誌に向けたまま、
「もやもやしてるなら言ってみたら?」
と続きを促した。

聞きたくて聞いた訳ではない、騒がしい電話の様子ではちょっと揉めた後で解決した風だったのが。
それでも「誰かに愚痴をこぼしたい空気」が垂れ流されているのを放っておけなかったのは、この少女のある種の職業病だ。
気づいてしまった、床に落ちた小さなゴミをつまんで捨てるようなものだ。
放ったまま過ごすよりはちょっと気分がいいかな、くらいの。


どうやらそのお友達はこの前町中でコスプレしている女の子と遭遇したらしい。
最近では、お嬢様の間でサバイバルゲームが流行ってるらしいなんて噂もある。
学園都市にはたくさんの人間がいる。
好みもそれぞれ、と言うことかもしれないが。
ゴーグルの少年がことのいきさつを話す間。
ふんふんと頷きながら心理定規はページをめくり続けていた。

「別に話してこいとか写メとらせてもらえとか、んな無茶も失礼なことも言わねっスよ。ただそんなネタがあんなら話の一つくらい振ってほしかったなーとかっスね。
『次は必ず』ってそんなポンポンチャンスが転がってたら世話ねっス。自称魔法使いな巫女さんとか気になるじゃないスか。何スかその盛った設定」

ジャンル問わず萌え語りの出来るヤツだと思ってたのは俺だけだったのかよ? ってちょっとした気持ちの行き違いがですね、とかなんとか一息で語った少年は。
オタクだった。

開き直っているのか、いろいろと諦めたのか。
それとも価値観の違いとかは気にしない人なのかは知らないけど。
こうして暗部組織のメンバーの前でも構わずシュミを話題に出来てしまうオタクだった。
女子中学生でもアニメやマンガくらいの理解はあるが、コスプレとか巫女さんみたいなワードには軽くカルチャーショックを受けるかも
って言うか引くかもしれない、とか考えないのか。
しかし。
三次元空間より点を線で繋いだ世界が好きなんだろうな、と相手の嗜好を疑いもしていなかった少女は。
この手の話題にいつもなら、
「そうねそれは残念だったわねそんな時もあるんじゃない気にしすぎると良くないよ?」
くらいのどうってことない返事でさっと流して終わらせるところを。

「君ってアニメの女の子以外も気になるんだ?」

珍しく。切らなかった。
少女とこの少年と二人で。
長く会話が続いたことはあまりなかった。
話が弾むどころか、共通の話題もほとんどない。
特別話す必要も任務以外では感じていないくらいだから、仕方ないかもしれない。

「コスプレは2.5次元っつうか。いや、まあそこは、フツーに?」

「ふうん。そうなの。普通ねえ」

「なんか…最近自分のポジションに自信がなくなってきました。俺はこれでいいんだろうか」


そんなことを言いながら、ゴーグルの少年は心理定規の横を通り過ぎると。
キャスター付きの椅子をゴロゴロ転がしてきた。
広い部屋の壁に沿ってバーのカウンターテーブルみたいな長い作業机が置かれている。
そのうち、一台のパソコンの前がここでの彼の定位置だった。

「そう言えば心理定規いるなんて久しぶりっスね、おまけにオフ仕様っスか? んで、今日は垣根さんがいないんスか」

パソコンの電源を入れながらゴーグルの少年は部屋の中を見回した。
隣の部屋はもちろん、リビングルームにもあの存在感はかけらもなかった。
窓辺のカウチも空だ。

「彼も来てたけど。出かけたわよ」

いつものドレスではなく、夏っぽい服装の心理定規は短いスカートの下で膝を揃えた。

「へーえ。どうしたんスかね」

「大したことじゃないみたいだからその内帰ってくると思うけど?」

「心理定規と垣根さんて結構仲良いとは思ってたんスけど。実際どうなんスか?」

ゴーグルが聞き返すと、綺麗に塗られたネイルが並んだ両手の間を。
すとーん!
と雑誌が滑り落ちていった。

「え? 私と彼が? え。なんで?」

それまで気にも留めていなさそうだった心理定規は。
膝の上に落ちたファッション誌ではなく、ゴーグルの少年の方を向いていた。


「だってよく二人で話してるじゃないスか。同じ空間にいてハブられたらさすがにわかるんスよ。俺だって」

「あのね。私たちは何? 学園都市の暗部組織でしょ。なかよしこよしのお友だちグループじゃないよね」

「そりゃ……わかってるっス。でも知り合った相手と仲良くはしたいじゃないスか。ギスギスしててもいいことないスよね」

「まあ一般的にはそうかもしれないけど。そう見える? 私だって特別親しいつもりないよ?」

むしろ逆、と言って心理定規は首を傾げた。
垣根からなのか、心理定規からなのか。
一体どう見れば仲良くしている様に見えるのかが本人にはわからなかったのか。
ちょっと真剣に眉を寄せて考えていた。

「三人でいてもそこはかとなく扱いの差を感じます」

「そこはしょうがないよ。私と君って役割が違うもの。でも君もよくやるでしょ、彼の思いつきを聞き流す係とか」

「俺はそれなりに真面目に聞いてますよ! えっ心理定規は流してるんスか」

不満そうにしていたゴーグルの少年は、心理定規のまさかのカミングアウトにガタっと体を起こした。
その勢いで椅子がぐらぐら回りそうになる。

「ああ言うのバイトで慣れてるもの。相づちはちゃんと打つよ? 機嫌悪くなっちゃったら困るし。
壁や観葉植物とか、金魚鉢に話しかけるよりは、いい話相手してるつもり」

「なんスかそれ。隠居したおじいちゃんスか。そう言えば前の部屋に水槽ありましたよね。
世話のいらない熱帯魚の。たとえばああ言うのに、したことあります?」

「ああ。あったね。そんなのも」

「あれ。女の子って動物好きじゃないスか? そんなリアクション?」

「うーん、たまに見るときれいだったけど。あれはペットって言うよりインテリアみたいだったじゃない。でも男の人は結構好きみたいよ、ああいうの。きれいで静かなものって癒されるみたい」

あきらかに気の乗らないざっくりしたリアクションにゴーグルの少年は残念そうに息を吐いていた。
きゃあ、おさかなさんかわいいよね! とかそんなのを期待していたんだろうか。

「えー。俺女の子は小さい生き物に話しかけるんだと思ってたんスけど。そんなもんなんスか……」

「それは人によるんじゃない?」


「そっかー…あ。垣根さんは動物平気なんスかね。もしかして、犬とか猫とか意外と好きだったりして」

心理定規はあまり興味がなさそうだったが。
生き物にやさしい不良やヤンキーはベタな設定だ。
だからって動物相手にセリフを即興吹き替えしている超能力者、とかが和んだり萌えるかと言われるとそれはまたむずかしいかもしれない。
向こうのリアクションが怖くて反応にも困りそうだ。

「鳥…はなんか嫌がりそうっスよね。『何でわざわざ狭苦しい籠に押し込めなきゃいけねーんだ?』とか言いそうな気も――」

「ね、まって…今の何?」

「え? いや垣根さんなら『おいおい、こいつら自由に飛べるんだぜ?』とか言いそうじゃないっスか?」

ゴーグルが振り返ると心理定規は口元を手で隠していた。
肩がぷるぷる震えている。

「そうじゃなくて…なにそれ彼のものまね? ねえ、なんで……なんで最後にちょっと『フッ』ってするの?」

「(キリッ)とかのがいいっスか? じゃあ――」

「やめてもう、おかしいってば」

ゴーグルの少年は調子に乗って「垣根さんあるあるネタ」的なものまねを披露した。
もちろん似てない。
それでも、垣根がまず言わなさそうなおかしな発言をなんとなくの「垣根さん風」のセリフで言い続けると。
両手で顔を覆いながら心理定規は笑っていた。


「はあ。ちょっとほっとしました」

「どうして?」

ゴーグルの少年は、自分の胸をなでおろした手でそのまま頬を掻いた。
ちょっとばつが悪そうに心理定規から目をそらしていた。

「いやー俺もしかしなくても、心理定規に嫌われてんじゃないかなーとかっスね。避けられてんのかなーって…ははは」

心理定規は。
一瞬きょとんと目を丸くすると少し考えてから首を振った。
ちょっと眉を寄せてからの五秒間、ゴーグルの少年は聞かなきゃよかった! って顔をしていた。

「好みの問題じゃなくて。そうね…人には適切な距離があるでしょ? もちろん物理的な意味でもね」

自分の能力にあてはめたのか、一言付け足すと。
心理定規はゴーグルの少年を観察するようにながめた。

「そうね。たとえば君にとって親しみがある、特別な距離をあげるなら……
一メートル二〇センチとかどう? 普段、能力の使いやすい範囲ってそれくらいじゃない?」

「何で……知ってるんスか。俺、そんなこと話してないよな?」

「どの隠れ家でも、君のスペースは物の配置がいつもそっくりよ。座る位置も。
『手が届く所に好きなものを置いておきたいタイプ』だと思ったんだけど、どうかな。君は人よりその範囲が広いみたいだしね」

もし暴走とかされても十分離れれば安心出来そうだし、と言って心理定規は得意そうにほほえんだ。
いつの間にそんなことまで見ていたのか。
ゴーグルの少年ははぁ、と感心した様に息をはいた。
そして、一瞬ドアの方を気にすると声をちょっと小さくして質問した。

「じゃあ垣根さんは? えっと。心理的にまずい距離とかって、あるんスか」

「彼は……また他の子ともちょっと違うのよね。でも対処は出来ると思うよ。ちなみに暴走されると、
あの能力だと逃げ場なんて無いし防ぐこともきっと出来ないからお手上げ。巻き込まれないですむって幸運を祈るしかないんじゃないかな」

取扱い説明書でも読み上げるような口調で心理定規はそう言うと。
顎に指先をそえながら首を傾げた。
垣根もそうだが、この少女もどちらかと言うとドライな印象がある。
たとえ相手が仲間だろうと不測の事態への警戒や注意は人一倍、それもして当たり前と言った態度だ。
垣根の方は、「何が起きてもわざわざ備える必要がない」
ので常にマイペースな自然体に見えるが頭の中はどうだかわからない。


「対処ってどうするんスか」

「彼の心に近付き過ぎなければいいの。ムカつく味方より、つまらない敵の方が関係性としてはずっと安全よ」

雑誌を横に置きながら心理定規は足を組んだ。
一瞬、何か思い出すように視線が上に向く。

「それも狙って出来るかはわからないけど。ほら、彼って結構気まぐれでしょ? 
でも彼の場合、他者への心の距離なんて扱いがほとんど一緒じゃないかな。彼の主観以外の一般的な分類もあんまり興味がないみたいだし」

「はぁ。なんかわかるようなわかんねえような…もしかして垣根さんの心理距離、測ったことあるんスか」

「会ったばかりの時にね。もちろん彼に言われてだけど。私の『心理定規』がどんな能力か知りたかったみたいだったから」

「えっどんな反応したんスか」

心理定規は返事の代わりに髪の先を人差し指に巻き付けていた。
カールした毛先がするりと逃げるのを目で追ってから口を開いた。

『ムカつくから止めろ』って。こわーい顔されちゃった。あれから、彼に力はあんまり使いたくないのよね。
勘もいいみたいだから、こっそりやってもバレそうじゃない?」

身を乗り出して聞いていたゴーグルはふと不思議そうな顔をした。

「あれ、でも仲良くなるのは悪いことじゃないっスよね? なんで精神的に近寄ると危ないんスか」


「そうね。彼に限ったことじゃないけど。興味がわくと期待するでしょ」

その反動が怖いのよ、と心理定規は真面目な目をして言った。
彼女が警告するように立てた人差し指を見つめてゴーグルは息をのんだ。

「だから。彼にあんまり期待させないこと。そしてそれを裏切らないこと、かな。それを守ってれば安全だと思うよ。これからもね」

「どうしてそうなるんスか」

頭の上にクエスチョンマークの乗っていそうなゴーグルの少年に、心理定規は眉を寄せる。
しようがないなあ、と口にはしないがなんかもうダメな子を見る顔をしていた。

「そうね、君風に言うなら……楽しく長い時間遊んでたゲームの結末がそれまでを台無しにするくらいひどかったら。ガッカリするでしょ?」

「あー…他がよくってハマった上でオチがひどいと凹み加減倍増っスね。しばらくはCMみるのもやんなりそうっス」

「それで済むならいいけど。彼の場合、本体ごとその場で壊しかねないと思わない? 『俺がこんなにやってやったのに!』とか言って」

肩をすくめる心理定規にゴーグルの少年は激しくうなづいた。
つまったり、気に食わないとゲーム機やコントローラーを叩いたり投げたりはその辺のやつでもするが。
超能力者の八つ当たりは規模がやばそうで怖い。

「すげー納得しました。いやあ、原作公式に背中を撃たれるほど辛いことはないっスよね」


「だからね、もしも。それが君自身や他の誰かの為でも、たとえ彼の為でも。
結果、君のしたことが彼のやり方を裏切ることになればそこでおしまいかな。きっとそう言うの、許せないと思うよ」

「じゃあ、もし俺が心理定規や垣根さんと引き換えにでも『スクール』の内部情報を売ったりしたら……」

「それで相手には見逃してもらえても、彼がトドメを刺しに来るんじゃない?」


恐ろしいことを笑顔で口にする心理定規に、ゴーグルはひきつった顔で笑い返した。
確かに。
理由はどうあれ背信間違いなし、ってとこだけで怒りがゲージを振り切りそうだ。
相殺しようにもきっと事情なんて説明する猶予も聞いてくれる保証もない。
ゴーグルの少年はうーんとうなった。

垣根が怒ったところには何度か遭遇しているが。
あのリーダーがガチギレするとどうなるのだろうか。
ムカついたとかよく言ってるがよっぽど、イライラでもつのらないと怒鳴ったりはしないと思う。
そんな垣根帝督が本気で怒りをぶつけてきたら一体どうなるのか。

もしかしたら静かに切れるタイプかもしれない。
一見いつもと変わらない態度と軽薄な笑顔で、真っ黒な目にだけ明確な怒りを燃やしてやって来る。
そんなの恐いに決まってる。

案外、語気も荒く怒鳴り散らすなんてこともするかもしれない。
冷静さを欠いて普段のイケメンぶりをかなぐり捨てて。あの垣根帝督が感情のままに悪意と怒りをまき散らす。
そんなの悪夢でも遠慮したい。

そして。
どうあっても最後はきっと、『未元物質』での粛清コースだ。間違いない。


「怖いっスよ! 俺自分の為なんかにはぜってえ裏切れません!! そんな予定もつもりもないっスけど!!」

うわあああああ! とうっかり怖い想像をしてしまったゴーグルの少年は頭を抱えた。

「自分以外ならいいの?」

「結局俺は助からないならやるだけすっげえ損じゃないスか。いや死ぬようなのはいつだって嫌ですけど」

ね、とうなづく心理定規と珍しく意見があった。
ステータスすらわからないボスモンスターみたいなリーダーと比べたら、この二人は紙防御もいいとこだ。
危ない目には、あわないのが一番。


「まあ、そんな風にいろいろあるけど。私は彼とはビジネスライクな距離感を保たせてもらってるの。がっかりした?」

心理定規は笑ってそう聞いたけど。
思いがけずいろいろ聞かせてもらえて満足したのか、ゴーグルの少年は首をふった。

「二人並ぶと華やかでお似合いだなーとか思ったんスけど。うーん。でも俺の居場所がますますなくなりそうなんで、正直ちょっとホッとしました」

正規構成員現在わずか三名の状態でカップル成立なんてされてしまうと。
リアルに見切りをつけているゴーグルの少年でも、リア充度の高い空気にやられてしまいそうだ。
おまけにリア充爆発しろ、とか冗談でも言おうものなら速攻でアイエエエエ! カキネ=サンナンデ!? とか言ってこっちが爆発四散するはめになりそうで恐ろしい。サヨナラはきっと言えない。
いや、リーダーだっていくらなんでも公私混同して仕事中もイチャつくなんてことはないと思うが。

「つうかノロける垣根さんとか想像できねえ」

プライベートにずらっと?が並んでいそうなリーダーは。
意外なことを想像しようとしたところで、謎が深まるばかりだった。

ドーモ

長くなったんで今回わけた
とりあえず投下だけ
続きはまた来るね

おつ
更新待ってたぜ!相変わらずいい感じにそれっぽいな
つーかゴーグルと青ピの会話が一瞬痴話喧嘩的なものかと思ったわww

垣根が出てきてないのが笑えるなww

1乙
戻ってきてくれてうれしいぜ
長くなってもいいからまた読ませてくれ
ゴーグル青ピとどんな話してんだw
安価はまだ期待しててもいいか?

某スレの影響かゴーグルがほのぼのしてるだけでちょっと感動するわ乙


「ビジネスライクかぁ。ビジネスって言えば。よく小遣い稼ぎしてるって言いますけど、心理定規っていつも何してるんスか?」

なんでそんなことを聞かれるのか。
そもそも『暗部』の知り合いなんだから、おかしな副業・バイトよりよっぽど『本業』にまつわるその他いろいろの方が気になりそうなものだけど。
不思議そうにしている心理定規にゴーグルの少年は、
「おにいちゃんは心配してます」とか言いそうな顔で続けた。

「よくあるじゃないスか。洋画とかで出てくるお姉さんはみんなちょい派手なカッコで『お金が目的じゃないの。お互いの人間関係なのよ彼はかわいそうな人なのよ』って話すじゃないスか。まさか…そう言うのはしてないっスよね?」

ちょっと品のない想像をしてますよ、と遠回し何だかストレートなんだかわからないたとえ話で尋ねられたが。
当の少女は「ハレンチですぅ」とぷんすかするとかおろおろ困ってしまう、みたいな妹系年下女子にありがちなパターンは返さなかった。

「どんな返事を期待してるのかな。あと私は純粋にお金目的だからね」

「それはなんか前に聞いた気がしますけど」

淡々とした心理定規にゴーグルの少年は苦笑いをしたがちょっとほっとした様だった。
だが、それも次の言葉を聞くまでだ。

「そうね。人によっては、ホテルに行ったりもするかな」

やっぱり?! と、目をむいて食いつくゴーグルの少年に心理定規は小馬鹿にしたように笑い返した。
それをわかってて狙ってやったのだろう。
意味ありげな言い方をした少女はリアクションに満足したのか口元を綻ばせる。


「コミュニケーションは相手との距離感もだけど環境も大事なの。仕事なんだからその辺はサービスしておかないとね。にぎやかなファミレスが安心するって人もいれば静かなバーのラウンジがいい人。
二人きりでないとなかなか口も開けない人、とか色々。でもみんな紳士的よ? 何故かよく言われるけど、そんなに気にすることかな」

誤解を招いてるのは主に服装とかじゃないかなぁ、とゴーグルは思ったけど口には出さなかった。
今はそんな風には見えないけど心理定規と言ったら夜の蝶、とかそんな言葉がしっくりきそうな派手なドレスがトレードマークだ。
ホステスとか水商売のおねーさんと言われるとそういう方面につい考えてしまう奴だっているだろう。

「それでもっスねえ。ちっちゃいこが好きな危ない『紳士』も世の中には居るんスから気をつけないと」

まるで「最終下校時刻の後はあぶないから出歩いちゃいけません」と注意する様な言い方だった。
心理定規は、
「こんな能力なんだし、使う相手は選ぶよ」とちょっとムッとした様に返した。

「それに相手は男の人ばかりじゃないわ。つまらないことでも生身の人間と話がしたい人もいるし、会話の中で考えをまとめたい人もいるのよね。
ささいなストレスや不安の解消、欲求を満たしてあげること。そんなことの対価に私はお金をもらうの。それなりにね」

相手のリラックス出来る距離感と環境で話をする。
やってるのは、セラピーにもならない人生相談や気楽な話し相手みたいなものよ、と言って心理定規はたいしたことなさそうに笑った。

「心理定規の能力って話聞くとすごそうっスけど。具体的にどうなるんスか」

「私の能力は、相手の心の中の距離を自在に調節することが出来るの。とっても大事な対象から、思い出したくもない嫌な相手まで。そっか、君にはまだ使ったことなかったっけ?」

やってみてもいい? と聞かれてゴーグルの少年はどうぞどうぞ、とうなずいた。


ソファから立ち上がると心理定規はゴーグルの席の辺りをうろうろと見て回った。

「そうね例えば……初対面の人間が入ってきて」

出しかけの荷物がごそっとおかれたカバンの前で足を止めると。

「へえ。かわいいわね?」

心理定規が手を伸ばすとパシン! とテーブルの上のフィギュアが動いた。
そのまま彼女の手が届かなさそうなところまであっと言う間に移動する。
心理定規はちょっと目を丸くして弾かれた指先を見ていた。

「あ……あの、すんませんっス。なんかすげー嫌で、つい」

いきなりフィギュアを遠ざけてから、ゴーグルの少年は慌てて謝った。
自分で能力を使っておきながら心理定規にそこまでしたことに戸惑っている、そんな風だった。
心理定規の方は、別にショックをうけた様なそぶりも見せずにテーブルにもたれた。

「って、君の大事な大事なお人形を勝手に触ろうとしたらこうなるわよね。でも、ここでいつもくらいの距離にするとどうかしら」

「あ、そんなじゃないっスね。良かったらそれ見て下さいっス」

実は垣根さんに作ってもらったんスよ! と自慢する表情はもうすっかり普段通りに見えた。
ふーん。そうなの、と言って心理定規は一見どこにでもありそうな美少女フィギュアを手に取った。
実際は世界にひとつしかない特別製だが。
ケースに厳重に保管しておかなくても劣化したり壊れる心配がないのでゴーグルの少年は、はじめておもちゃを買ってもらった子供のように一番のお気に入りを持ち歩いていた。
心理定規はそれを不審そうな顔でしばらくみていたが、いきなりそんなもので喜ぶ非オタもあんまりいないだろう。

「さてと。今の違いは君でもわかるかな」

「そっスね。心理定規なのわかっててもムカッとするんスね。びっくりしたっス。あと、やっぱ隣に居ていきなりふんいき変わると変な感じするっス」



「今のは距離単位二五〇。『社会距離』くらいの心の距離まで離してみたわ」

「なんとか距離ってのは何スか?」

ゴーグルの少年は聞きなれない単語に首をひねる。
年上の男の子の疑問にも心理定規は親切に教えてくれた。

「『パーソナルスペース』って知ってるかな。人には、他人に近づかれると不快感を得る距離があるって考え方。
『社会距離』は相手と問題なく話ができる距離。仕事相手や知り合いと過ごす時の距離感って言われてるのよ」

そのあとの説明をまとめると。
分類は大きく四つ。
遠い順に『公共距離』、『社会距離』、『個体距離』、『密接距離』と分かれていてそれぞれ距離とあてはまる人間関係が決まっているらしい。
さらにその範囲をそれぞれ二つに分けたものを『近接相』、『遠方相』と呼ぶそうだ。
これは能力者じゃない普通の人が考え出したものだから、もちろん実際の相手との距離のことよ、と付け加えると心理定規は体の前で両手を向かい合わせに広げて見せた。

「一番近い『密接距離』は四五センチから。親しい…家族や友人が対象になるかな。『密接距離』の『近接相』〇から一五センチは恋人に許される距離感、ってところかしら。
だから、四五センチ以下一五センチ程度の距離に不快感を覚えない人とは友人以上のお付き合いができるかもね」


『発火能力』や『発電能力』の様に、実際にある物理法則と関係のある能力者が既存のそういった化学知識を活用していることはよくあるが。
『洗脳能力』や『思念使い』、『念話能力』の様に宇宙の法則を乱していそうな、一見どうやって何をしているんだかよくわからない能力でも、そんな風に理論や学説を持ち出してくることがあるのか。
大元では、量子物理学に即している能力がほとんどだろうから、全くの無関係、無駄なんてこともないのかもしれない。

「へえー。心理定規の能力って心の距離を操作するんスよね? それでもそう言うの役に立つんスか」

「目安にはなるかな。私みたいな曖昧なものを扱う能力者は大まかに力を使うより、自分の中でも区切りを付ける指標があった方がいいのよ。
自由度が高くてもやり辛いの。ちょっとしたマイルールみたいなものかな」

でも。同じ距離単位でも、相手との関係で受け取る印象はずいぶん違うの。その辺りはひとまとめに考えちゃだめなところね、と心理定規は説明した。
そこまで話すとぱっと両手をあわせてテーブルから離れた。

「じゃあ、次はもっと驚いてもらおうかな。騙されないぞってつもりで用心してても全然いいけど」

少し離れたところにある椅子の前まで進むと。
心理定規は座る前に一度振り返った。

「ここでちょっと問題。今、私たちはどれくらいの距離があるでしょうか。どんな感じがするかな」

「さっきより、ちょっと……嫌な感じがするんスけど。席をどっか移したいくらいっスかね」

そう言うが、二人の間はゆうに三人分はスペースが空いている。
決して近すぎる距離ではないがゴーグルの少年はなんだか居心地悪そうにしていた。

「そうね。今の私たちは距離単位三〇〇以上だから君には近く感じるかも。これを段々近づけていくと、どうなるか。君にわかるかしら」

「それくらいなら。人間、嫌なやつにも敏感になるじゃないスか」

それを聞いて。
心理定規はなんだか楽しそうに笑った。
学園都市の能力者が持つのは一人ひとり違った能力だ。
自分だけの特別な力、に自信や誇りを持つような子どもは少なくない。
そして彼女もそんな子どものひとりらしい。
今からそれを披露してみせる、と告げた少女は何だかとても得意げな顔をしていた。


「さて、どうかな? 君は普通にしてていいよ。って言っても、今はあんまり会話もしたくないと思うけど」

そう言って、雑誌と自分の荷物をそばに置いてから心理定規は椅子をカラカラ引き寄せた。
特に予備動作やアクションはなく静かに心理定規の能力のテストがはじまった。
漫画やアニメにでてくる魔法や特殊能力みたいに技名を叫んだり始動キーのいらない学園都市の能力は、初見だとまず誰が何をしているかわからない。

「あ。ゴメン」

小さなポーチの中身をテーブルの上に並べていた心理定規の手元から、黒いキャップのガラス瓶が転がってきた。
パソコンに向かっていたゴーグルの少年は横目で、ラメ入りのマニキュアの瓶をキャッチすると机に置いた。
黙ってそれを押しのけるように心理定規の方に転がし返す。

「ありがと」

そう言ってにっこり笑うと。
心理定規は受け取ったマニキュアをポーチから少し、離して置いていた。


それから少しの間。

二人はちょっとずつ会話をしていた。
心理定規の能力の効き目はばっちり出ていたらしい。
いつもなら、まあ世間話くらいはするのだが。
ほとんど口を開くのは彼女の方で、それでもなかなか話は弾まなかった。
内容は特に大したこともない。
これから心理定規は用事があるとか。
『スクール』や、前にあった任務のこととか。
ゴーグルの少年のシャツに、値札のタグがつきっぱなしだったなんてつまらないことだ。
そんな風に何事もなく過ごしていた。


「ねえ」

横から聞こえた声の近さにゴーグルが振り向くと。
ちょうど漫画雑誌を横向きに置いたくらいの所に心理定規が座っていた。

「あ、れ」

「こーんなに近くに来ちゃったけど。途中で止めなくてよかったのかな」

大体二五センチくらいの距離を実際に、更に詰めながら。
頬杖をつくと心理定規はゴーグルの目を見上げた。

「どう? 私がどこで力を使っていったかわかったかな」

「えっと……さっき化粧品拾った時? と、あと……あ。服、のも? もしかして」

つっかえつっかえの少年の『回答』に少女はうなずき返した。
どうやら悪くない答えだったらしい。
そんな彼女の反応をみながら、ゴーグルの少年は喉の奥がつかえる様な変化を感じていた。
ひどく緊張しているような違和感。
そうは言っても嫌な気分のものではなかった。

「まあまあかな。会話の中での同調、共感、そう言うのも人の心の距離を縮めるには都合がいいの。
もちろん肉体的な……例えばこうして距離を縮めたり、触ったりもね」

そう言いながら、少女の手がすっと伸びて少年のシャツに触れる。

「後は、好感ね。いい気分になると警戒心も薄らぐし」

曲がった襟をきれいに直すと小さな手は元の様に戻っていく。
指先のオレンジの軌跡を、名残惜しくみつめていたゴーグルの少年を見て。
心理定規は愉快そうに。
小さく声を上げて笑った。

「表情も大事な武器よ。ね、さっきから私が何回笑って見せたか覚えてるかしら?」

「す…すごすぎて、軽く女子が怖くなりそうなんスけど……」

「女の子だけじゃないわよ。君だって相手や行先で服装に気をつかったりするでしょ? 
まあ、さすがにここまでは普段意識しないと思うけど。私はこう言う実際の感覚も能力に活用させてもらってるの」

木を隠すなら森の中、って言うよね。と心理定規は得意そうに付け足した。
何でそんなことをわざわざするのか。
問答無用で心の距離を維持しておさえつけるくらいこの能力なら簡単そうだった。


「だって……私が変えられるのは距離だけだから。感情も、前後の記憶のそのままだもの。いきなり変化すれば、どうしたって違和感は出ちゃうのよね」

いざと言うときにはもちろん手段を選ばないだろう。
それでもどうせなら、もっと上手に能力を使いたい。高めたい。
そんな口ぶりだった。

それでも。
頭でわかっていてどうにか出来るレベルのものじゃないくらい、今のゴーグルの少年にはわかる気がした。
それまでマウスにかかっていた右手をテーブルにつきながらゆっくり息を吐く。
だってそうだ。
心理定規は同じ組織のメンバーで。
かわいいけど女の子として特別意識したりすることはなかった。
それなのに。
隣に座った彼女とのこんな少しの距離が。
もっと近ければいいと感じたことは今までなかったはずだ。
こんな風に「冷静な判断」めいたことを考えてみても、気持ちはちっとも落ち着かなかった。

「でも、いつの間に…こんな」

心理定規から目をそらしてゴーグルの少年は少し考え込んでいたが、いったいいつの間に『普段以上に近い距離』に踏み込まれていたのかがわからない。
わかっていても無駄かもしれない。
目に見えない精神的な能力の干渉に抵抗は難しいだろう。



「さっきの『パーソナルスペース』もだけど、男の人は自分の体の前、縦方向に意識を向ける傾向があるから横には注意がいかないのかもね。それにしても、君はパーソナルスペースが広い『他人との接触を避ける』タイプだと思ったんだけどなあ。
いつもの距離単位からあとは全然気にしなかったね。鈍いのかな。それとも、好意をもつと相手に甘くなっちゃうの?」

「一生に一人の大親友や運命の相手、なーんて言うのも私なら好きなだけ、出会う前から作り放題」

「一目ぼれって言うのも便利な言葉よね。根拠のない好意を一方的に抱いても疑いもしないの。人間は思ってる以上に上手に自分のことを騙せちゃうんだから」

「ただ距離を変えるだけでも工夫すれば色んなことが出来るのよ。君が思うよりもずっと、ね。私なら……相手の行動だってやり方次第で操ることも難しくないかな」

どうしてでしょう、と問いたげに心理定規は笑った。

「なんで…っスか?」

そこで、やっとゴーグルの少年は声を出した。
それまで頷いたり、首を振ったりと最低限のリアクションは取っていたが。
隣にいる心理定規からすっかり目が離せなくなっていた。
普段と変わらない筈の声も表情も何だかとってもキラキラしていた。
視線ひとつ、何気ない仕草の一つまで。
彼にはとびっきりの、まばゆいエフェクトをかけたみたいに見えていた。
ゴーグルの少年は知らないが。
この時、二人の間の距離単位わずかに一〇。
肩が触れ合う様な近くにいても相手の存在を許せてしまう。
それくらいの親しみを感じてしまうように調節されている。
心理定規の能力に文字通り心を奪われてしまっていた。


「向こうがそうしてくれるのよ。好感のある相手には良く思われたいし、お願いだって少しくらい聞けちゃうでしょ? 
今ならちょっとわかるんじゃないかな。そんな気持ち」

手のひらで転がして、遊んで、飽きたらポイってできちゃうんだから。
そんな笑顔を向けられても。
ゴーグルの少年は今この瞬間、彼女を嫌いになんてなれそうもなかった。

「心理定規っ、ズルいっス」

「ズルいのは…イヤ?」

心理定規はわざとらしく眉を寄せてみせる。
からかわれているのはわかっていた。
能力で心の中を探られて、遊ばれているのはわかっていた。
わかっていても、それでも抗えない。
心臓は勝手に早くなる。
もちろんそんな顔だってサイコーに可愛いちょいセクシー小悪魔系あざとカワイイ心理定規ちゃんマジ暗部のヒロインごちそうさまですって気分になりますね最高にハイってヤツですねええ

我慢できなくなって、ゴーグルの少年は大きく息を吸った。

「はいっ! 好きです!!」

「あはは。君、面白い」




ソファに座ったゴーグルの少年は自分の手を握って下を向いていた。
隣には、さっきより近い心理定規。
この後の予定は聞いていたから出かけると言うのは知っていた。
それが気になると話したら、じゃあバイトの方も試してみない? と言われてしまい。
能力で心に干渉されたゴーグルの少年はいつも以上にされるままだった。
狭いスペースで、物理的にも心理的にも彼の逃げ場はない。

「そうね。何か、不満とかある? 『スクール』の活動とかで。あ。心配しなくても、私聞いたことは他の人に漏らしたりしないから好きに話していいよ」

「うーん……そうだなあ。大したことじゃねえっつうか。ここみたいな隠れ家でよく垣根さんと会うんで、一人でゆっくりゲームが出来ないのが最近の悩みって言えば悩みで。秘密基地独り占めだーってのが楽しかったんスけど」

「ゲームくらいすれば? 彼も気にしないでしょ」

「そうなんスけど。こことか PC もテレビも画面すぐ見えるじゃないスか。いや、えっちいのはしないっスよ? まだ俺じゃ買えないんで出来ないっスけど。ギャルゲじゃない普通のでもなんとなくやりづらいんスよ」

「ふーん」

「この前もっスね、たまたま鉢合わせたら何か出かけるって言うんでついてったんスけど。結局俺が良く行くとこ回っただけみたくなって。垣根さんは……よくわかんねえっス」

「君さ、それでよくハブられてるって言えたね」

それまで相づちをうちながら、彼女の言うところの「いい話し相手いい聞き役」をしていた心理定規がふと口をはさんだ。



尋ねると言うかなんとなく、不満めいたものを感じてゴーグルの少年はドキっとした。
彼女の機嫌をそこねるような話をしたつもりはないし、あるならもっと他のところだと思う。
ゲームとか、ゲームとか。ゲームの辺が。

「え。何でっスか」

「私もプライベートで出かけたり、一緒に遊んだりなんてしないよ?」

ちょっとむっとした顔もかわいいなあなんてのん気に萌えながら、ゴーグルは慌てて言い訳した。

「一緒に遊んだって言うか。遊んでもらったのか、つきあわされたって言うのか……あれは垣根さんにも原因がっスね? 
いや悪くはないかもしんないっスけど、あんな言い方されたら即『 yes 』の選択肢を選びますよ。俺は他の娘ルートでも本命の誘いは断れない、そんなプレイヤーなんスよ」

「ごめん。よく…わかんない」

「レン子ちゃ……ゲームん時の悪い癖が出たんですよ。それ以前に俺が、垣根さんに『結構ですおひとりでどうぞ』って言えると思いますか」

「それもそうだったね」

しょうがないなあ、と呟く横顔にほっとしつつ、ゴーグルの少年は思い切って提案した。

「じゃあ、あの今度心理定規もどっか行きます?」

「あら。デートに誘ってくれるの?」

「でっ、デート……はい。その、良かったら」

あえて説明しなくても、彼は三次元の女の子とのデートはしたことがない。
液晶内の2D女子なら数えるのも嫌になるくらい経験済みだ。自慢にはならないが。

「そっか、ありがとね。でも…私結構忙しいの。また、今度ね?」

トドメににっこり微笑まれて、遠まわしにお断わりされたかもなんてことはどうでもよくなっっていた。



「でも、君がそんな風に考えてるとはね。彼にはもっと懐いてるのかと思ってた」

「やっぱそこは世界が違うっつうか。俺けっこうヒールも好きなんで垣根さんみたいな人も嫌いじゃないんスけど」

ピンと来なかったのか首をかしげられてしまった。
そこでゴーグルの少年は、心理定規でも知っていそうな、超有名なアニメの悪役の名前をあげた。
けど、聞いた途端心理定規は何言ってるのこの子?! みたいな顔をしてきた。

「いや! すごいんスよ? ばいき○ま○! 頭いいしなんでも作れるし実はハイスペックなんスけど。
それをあ○ぱ○ま○をやっつけることにしか使わないんスよね。つめが甘いのと展開上いっつも返り討ちっスけど憎めない悪い奴って感じで。俺好きです」

「彼がばいき○ま○なら、私はどき○ちゃ○なの?」

「あれ、ぴったりじゃないスか? かわいいし」

ゴーグルの少年の熱弁にやっぱり首をかしげる心理定規はそんな悪役サイドのヒロインに似ているかもしれない。
雰囲気は気が強そうでわがまま、ツンっぽくて。
男相手にも命令したり手玉にとっちゃう系なイメージなのもちょっぴり。

「じゃあ君は?」

「俺は……そっスね。かびる○る○、とかじゃないスか」

「なんで?」

「いると画面が寂しくないけど、別にいなくてもいいガヤ要員とかパシリっつうか」

「……せめてマスコットってことにしておけば?」

下を向いたゴーグルの少年の自虐的なコメントに。
心理定規はものすごく同情したかんじで軽く肩を叩いてきた。
少年は、いつもよりずっと悲しかった。


「あの…俺からも、聞いて…いいっスか?」

「なあに?」

「心理定規ってどう言う人が好きっスか?」

好きって言っても色々あるんだけど、と心理定規は

「一緒にいて楽しいひと、って言うのはやっぱり大事よね。あとはそうね……安定してるひとかな」

「えっと…経済的に? それとも落ち着いてるって言う前向きな解釈もオーケーでしょうか」

「そうね。精神的にもかな。だから、君とか彼とかはちょっと、ね? 特に彼は仕事もプライベートも気分次第で振り回しそうなんだもん」

やっぱり自分が振り回したい系なんだろうか。
他人を操る能力者ってわたしがだれよりいちばん! って感じするけど実際どうなんだろうか。

「じゃっ、じゃあ肉食系より草食系のほうが好きだったりします?」

「うーん、そうなるのかなぁ」

わずかな可能性に、今のゴーグルの少年は本気で喜んでいた。
勢いよくガッツポーズまでしてしまう。
そして。
その勢いのまま、気になっていたことを思い切って口にした。


「あと、あ。名前。俺っ心理定規の名前知らないっス!」

それまで。
面白そうにゴーグルの反応を見ていた心理定規は、一瞬目を丸くした。
しかし、すぐににこにこした顔で目を細める。


「そんなの記号じゃない。呼ぶときに困らなければなんだって」

「でも大事っスよ。俺は『スクール』の『ゴーグル』ってのは結構気に入ってきたんです。ここでしか呼ばれないし。でも、能力名だと、それが自分なのか能力のことなのかわかんなくなりません?」

真剣に聞いてみたが少女から返事はない。

「そう言うの、垣根さんはなんか嫌がってるみたいじゃないっスか。だからもしかして……君も」

「……そう言うの、つまらないわよ」

さあっと波が引くように心理定規は冷めた目をして呟いた。
突然、目の前に見えない壁が現れた様だった。
そこにぶつかったゴーグルの少年はかあっとなって言葉を叩きつける。

「そんなことないだろ? なんで、そんな風に!!」

「ちょっと! もう、調子に乗らないの!!」

勢いあまって腕をつかむと心理定規にしかられた。
はっとして離した手を細い指でおさえつけられる。


「あ…俺、ごめん」

ゴーグルは慌てて謝ったが心理定規はうつむいていた。
やりすぎちゃったかな、と少し戸惑ったように呟いていた。


「仕方ないなあ。でも、これはもうおしおきね」

おしおき、なんて言いながら心理定規は隣に座ったままもう反対の手もゴーグルの少年に握らせる。

「じゃあはい。こうやって手握っててね? しっかり、ちゃんとね」

「はい」

おとなしく従うゴーグルはちょっとうれしそうにしていた。
今彼の心の中では心理定規はとても身近な存在になっている。
何も、警戒する様子も疑うそぶりもなかった。

「いくよ?  3 、 2 、 1 ……はい!」

「ひっ……?!」

短いカウントが終わると。
安心しきっていたその表情があっと言う間に変わる。

「あれっ? 急にどうしちゃったのかな? ごーぐーるくーん?」

「な、なに……なんスか? なんスかこれ?! め、心理定規っ止めて下さい!」

「何のことかしら。私何かしたかな? 隣に座ってるだけだよね?」

心理定規は目を細めている。
つかまえた虫で遊ぶ子猫みたい、と言うとちょっと可愛いが。
可愛い顔していじわるな笑みを浮かべていた。
一方、あわてるゴーグルの方はいっぱいいっぱいだ。

「嫌っス、とにかく嫌っスこれ! 怖いっス一体何と距離合わせたらこんななるんスか!! いますぐッ、能力を」

「え? なあに、きこえなーい」


ついさっきまで、能力で心理定規は本当にかわいいなあなんて状態になっていたゴーグルの少年だが、今の反応は真逆もいいところだった。
心理定規が嫌でいやでたまらない。
これもさっき調子に乗ったおかえしと言うことらしい。

「近い近い近いッ! ごめんなさい俺ごときが調子乗ってすいませんでした謝るんで今すぐどいてください!!」

「嫌ならはねのければ? ああ、手が塞がってると難しいの?」

ソファにひざをのせた心理定規は嫌がるゴーグルにさらに近づいた。
そして目の前に、さっきつながせた両手を持ち上げてみせる。
たったそれだけだが、隙の無い追撃だ。
それに一瞬固まるとゴーグルは目をつぶって頭を振った。


「へ。手、ぇ繋……ヒッ、無理無理無理だって! 勘弁して下さい!!」

「身動き取れないくらい嫌なの。ふーん。ねえ、そんなにダメ?」

ほぼ一方的に大声を上げるゴーグルの少年を心理定規は不思議そうに見下ろしていた。


そんな風に騒ぐ二人の声の合間に。
部屋のドアが開いていた。

「何だ? お前らずいぶん盛り上がって――」

「っく」

「あ。おかえりなさ」

ガチャン。
開いたと思った次の瞬間。
何事もなかった様にドアは閉められてしまった。
その向こうに消えてしまった垣根に向かってゴーグルは必死に叫んでいた。

「垣根さぁん! 垣根さん心理定規っ何とかしてください!! も嫌っス! これ、助けてくだざぁい゛!!」

入り口から中の様子を伺うと。
もう一度垣根は部屋に入ってきた。
ソファの上にはぶるぶるしながら半べそのゴーグルの少年。
その上に、楽しそうな顔をした心理定規が座っている。
メンバーの意味不明な状況を見下ろしてリーダーはあきれ返った顔をしていた。

「一体何してんだお前ら」

「心理定規があ、ひど…これ…どけてくだ、ざい」

「ねえ、今の聞いた? 女の子に対してずいぶん失礼よね」

ぐすぐすしているゴーグル。
それを見下ろしてむくれる心理定規。
垣根は、はあ、とため息を吐くと面倒そうに頭を掻いた。

「お前もあんまり馬鹿で遊ぶんじゃねえ。うるせえだろ」

「はぁーい」


素直に返事をして心理定規が膝から降りた後。
ゴーグルの少年は恐怖のおしおきがよっぽど嫌だったのか、ものすごくテンションが低かった。
パソコンの前に戻り、椅子の上で器用に膝を抱えるとヘッドフォンをつけて『笑える動画』みたいなタグのムービーを片っ端から流しはじめた。
かわいい彼女がいきなり目の前でぐにゃぐにゃの遠い星から来た系のバケモノに変身したり、母親がモンスターに乗っ取られていたのを見てしまった。
それくらいのショックだったのかもしれない。

「ああ。こいつの能力、ムカつくだろ? 気をつけろ、エグいことも平気でやるからな」

「もう。私は無駄に、そんな趣味の悪いことはしないよ?」

「あれでいい方なんスか……一体何と同調してたんスか?」

からかうような垣根の言葉に反論していた心理定規は。
ふりむくと唇をつりあげた。

「え? ふふふ。ナイショ」

「うー、わー。だから怖いっスって」

髪を整えていた心理定規は鏡に向かってにっこり笑った。
それはとっても可愛い笑顔だったが。
今日、女子の怖さをちょっぴり知ってしまったゴーグルの少年はまっすぐそれを見れなかった。

ドーモ
垣根、ゴーグル、ときて心理定規ちゃんの能力のターン
距離単位の謎の数値が気になってたけど「パーソナルスペース」ってのがいい感じだったからこじつけた
レスと小ネタがまた今度


勉強になったが、よく考えたら自分の人間関係では生かせる場面がない疑惑

ゴーグルくんがビビりまくるものというと、背中から羽生やす系のホストぐらいしか思い付かない…

1乙
いつもネタだらけでウケる
ゴークルはもげろよ!
心理定規をひざ抱っことか吹き飛べばいい

>>294-295
ゴーグルがひざに垣根を乗せてるって?(乱視)

なんだ。TDNホモか

ドーモ
過去レスまとめ

>>219
いくらネタやギャグといっても好き嫌いってあるもんね。ごめん。書けるものなのか興味がわいてしまった

>>220
その手があったか!

>>221
ごめんそれより先にゴーグルが。ゴーグルが、うん

>>222
安価いただきました!!やった面白そうなのがきたぞ!
もしかして女装なのか?ていこちゃんをご希望なんでしょうか
ギャグで全てが許されるなら垣根に真面目にバカをやってもらおうか

>>223
キリスト教系のみなさんは能力みせた瞬間にキレないでせうか

>>224
全レスはけっこう好きでしてるんだ。スクロール長くなるけどすまんね
もしそんなネタを番外で投下する時は事前予告注意書きsage進行、あとは本文反転ってここ使えるのかな。配慮したい
アドバイスありがとう。とてもためになる

>>225
な。イケメンだにゃー

>>226
良心のある方がここにも

>>227
鬱っぽくなるよなあ胸糞注意だよなどうやると鬱らないんだろうね
そこまで出来たらあとはスレを立てるだけだながんばれ(棒)

>>228
需要はあるんじゃないかな特定層とかに(棒)
ゼロなら何故こうなったのか、こっちの安価を振り返った>>1が泣く

>>230
不肖>>1めは申し開きもございませんのことよ

>>231
おまたせー……してます

>>232
ほしゅありですよ

>>233
がっつり暗部絡みなら15巻らへんの話かな
季節感ないけどこのSSまだ夏やすみじゃん。がんばってみたい。がんばって、うん。がんばる

>>234
大変お待たせしていた>>1です

>>235
すいません
二期の頃の盛り上がりを思えば確かに今は穏やかだけど三期が来たら再沸しないかな。三期まだ諦めてないよまだ。動く未元物質と垣根みたいぞ

>>236
すいませんすいません
なかったことにしてもいいんだけど書いてしまった。もったいないからそっちはそっちで活用するね
よかったな垣根あいされてんなかきね

>>237
1のパターンが読まれている……だと……
いや、今回は長かった。スレにきたけど投下はしてないからと>>1>>1は反省してみたり

>>238
ご心配をおかけしました

>>239
大丈夫だ。やめるときはhtml化だっけお願いして落とす宣言するから。>>1だって黙って落としたくはないぎりぎりなときあるけど

>>240
ありがとう。フォローしてもらってすまない

>>250
乙ありー!ありがとうがんばりますことよ

>>251
字面もキャラも一番面白いのは一方さんだと思ったんでやってもらった!

>>252
そんな感じ!一方さんの勘違い。わかりづらくてすまんね
関西弁デフォな青ピと、つっちーの分担が逆だったらこうはならなかった
メインは垣根と愉快な仲間たちなんだけど1が妄想を書き散らすスレでもある……スマヌ、スマヌ

>>253
ごめんちょっと怖すぎていろいろ吹っ飛ばされた。何その恐怖の権化極道な第四位。アネリ付き浜面でも勝てるのかそれは

>>254
それは一方弁とか言うンですかァ?

>>255
ミコッちゃんは何がいいかね
御坂(関西)「ビリビリ言わんといて! うちは御坂美琴ゆーんやっ!!」
関西弁だとこんな感じ?
方言変換のサイトに禁書の名言打ち込むと楽しいよ

>>256
すいませんすいません、すいません
キレた麦野みたいに言って貰ってもいいですか

>>257
こいつはドーモ
かわいいAAもドーモ

>>258
保守ありですの



>>270
乙ありー!それっぽいって何っぽいんだ
なんだそりゃって読み返したらたしかになんか痴話喧嘩だったw大丈夫だゴーグルはロリショタじゃないし青ピも2D美少女じゃないから

>>271
垣根は二人の心の中に居ましたよ

>>272
ありがとうそう言ってもらえると長文でもほっとする
虹嫁の包容力の話ですよ>電話
安価は進捗かな?次かな?
次回投下で200、その後201。222はまだだから間に本筋が入る(予定)
500くらいいったらまたやるかその辺で考える。一年またぐのが先かどうかヒヤヒヤ

>>273
乙ありです
某スレとはどこのことでしょうかと>>1は気にしつつ、ほのぼのですかええ何しろまだ八月ですからねとメタな発言をかまします

ドーモ
とりあえず前々回前回レスでまたな
お前ら本当にホモが好きか好きだな好きですね三段活用
予定では次がお待ちかねのホモ安価ですけどたぶん幻想はブチ殺す

あぶないあぶない
>>252ちゃんのみたがってた『スクール』の武勇伝
>>249の続きなのですよー!
コピペサボってるのは見逃して欲しいのです。でないとゴーグルちゃんがうっとおしいことになるのですよ


垣根「『スクール』だ」
ゴーグル「お願いします!」
心理定規「……リーダーいつものやってあげて」
垣根「おう。聞きたいか? 俺の武勇伝」
ゴーグル「そのすごい武勇伝をゆったげて!」
垣根「俺の伝説ベストテン」
心理定規「…れっつごー」
ゴーグル「武勇伝武勇伝、武勇でんでんででんでん」
心理定規「れっつごー」

垣根「手ぶらで暗部の仕事いく」
ゴーグル「すごい荷物係がちゃんといる」

垣根「行列あっても並ばねえ」
ゴーグル「はい! 俺と下っ端で代わりに待機!」

垣根「雨が降っても傘はいらねえ」
ゴーグル「すごい翼があるから濡れません!」

垣根「ス◯バの注文めんどくせえな」
ゴーグル「すごい!『いつもの』でトッピング追加されてる!」

垣根「電車は滅多に使わねえ」
ゴーグル「えっ、自動改札に喧嘩売ってる?!」

垣根「意味はねえけどムカついたから、割り箸あるだけ割っといた」

ゴーグル「武勇伝武勇伝武勇でんでんででんでん」

バッサァ

ゴーグル「すごいっスよ。垣根さんすご過ぎっスよ! なんでそんなにかっこいいんスか? 教えてほしいっス!!」
垣根「しゃらくせえ」
ゴーグル「ぎゃあ! い、いきなり蹴ることないじゃないスか?」
垣根「そんなもん、言葉にした瞬間に色あせちまうだろうが!」
ゴーグル「かっこいーっ!」

バッサァ

ゴーグル「原作全然出番はないけど」
垣根「まだまだ活動終わらねえ」
心理定規「…ぺけぽん」

心理定規のぺけぽんで俺の腹筋に会心の一撃!

>>273の某スレってのは
垣根「世界が悪意で溢れても」の事じゃあないかな?

>垣根「雨が降っても傘はいらねえ」
>ゴーグル「すごい翼があるから濡れません!」

翼と水滴を煌めかせながら雨の街を歩くホスト
面白さを通り越してある種の神々しさすら感じそう

>>294-297
おまいらのおかげでホモごっこのコピペ思い出したぞどうしてくれる


帰ってきたのにびびってドア閉めちゃう垣根かわいすぎか
でも心理定規サービスしすぎ?フラグ勃った?

取り急ぎ

>>301
あーあそこか!ありがとう
シリアス暗部いいよなあ!かっこいいし
最近みなかったからちょっと心配してたけど生存報告きてたのか。よかった
ゴーグルは…かっこ良かったよな

頂点さんレベル5ブースターとかありませんかね。メルヘンブースターなんて贅沢言いませんから
キャラ別Bの腕時計みたいなデザインきらいじゃない


ここみた後に出てきたマンガの広告がギャルと地味なオタクが付き合うなんてーなやつでなんかドキッとした

心理定規がメッチャかわいいんだけど
垣根とはイチャつかないのか

逆に考えるんだ。好きだからこそいちゃつけないと考えるんだ。

おまえら雑談もほどほどにな
おれは帝春も好きです

ドーモ
レスと報告

>>294
大丈夫だなんかのネタにはなる問題ない
心理定規が言っていた。相手からイニシアチブぶんどるのに年齢性別問題ないと
もし心理定規≒垣根であの反応だったら、後の安価分で阿鼻叫喚地獄絵図ですわ

>>295
そうですね。おまけにミニスカですよ

>>296
君も眼鏡の度があってないのかな?(近視)

>>297
しばらく悩んじゃった。「ただの」か

>>302
垣根「かっこいーだろ? メルヘンだぜぇ?」

>>303
電車の中でWカップルのやつかね

>>304
「よくわからんけど修羅場っぽい」状況で構わずはいってきちゃうのは超能力者でも麦野と削板くらいだとおもう
定規ちゃんは格下相手になめてたらちょっと反撃されたんで仕返しをですね
って良くしつけられた予測変換ですね

>>306
それっぽいのみかけて調べたらタイトルずばり3D彼女でびびった

>>307
かわいい心理定規大好きだけど、出来る女っぽいクールなのも好きでついツンクールになてしまう

>>308
おんなごころってむずかしいのな

>>309
別に気にせず雑談してくれ。1は投下ん時に顔だすくらいだけど
埋め立てる勢いじゃなきゃ全然。保守代わりにもなるしね


安価>>200が28日以降になりそうなので一応
本文をあぶり出しで投下、どうやってもレス数が過去最多になりそうなので読みづらさを含め事前報告しておきます
モブのダサ良い名前が無事ついたのでひとあんしん

>>303
ググるついでに改変したけど
ネタはこれでいいんでせうか

『スクール』でコピペ改変

ゴーグル:組織のやつらとホモごっこで盛り上がってたら垣根さんがそれっぽく「挿れてもいいんだぜ?」って俺の膝に乗って肩に腕回して
抱きつきながら言ったんだけど、
俺が「垣根さんいつももっと切羽詰って言うじゃないスかw」って返したせいで今周辺の空気がデカイ任務中みたいになっててヤバい
何より笑いが取れなかった垣根さんの無表情がヤバい

『超能力』でコピペ改変

垣根:超能力者でホモごっこしてたら一方通行がそれっぽく「やだァ早く挿れてェ」って俺の膝に乗って肩に腕回して
抱きつきながら言ってきたんだけど、
俺が「お前いつももっと上手にねだれるだろ?」って返したせいで今麦野が大爆笑しててすげーうるさい
何よりこっちを見てる食蜂の笑顔がヤバい。こっちにリモコン向けたら容赦しねえぞ

みさきち腐女子疑惑ww
クッソワロタwwww

みさきちwwww
この場に御坂さんいたらどうなってたのだろうか

顔真っ赤にして目を手で覆う(指の隙間から覗く)んじゃない?

みさきちわろたwwww
SSもだけどこういうちょっとしたネタすきだわ
また楽しみにしてる

もう29日だよ>>1

28日以降(6月とは言っていない)
SSは待ち難きを待ち・・・忍び難きを忍ぶ事だと昭和天皇もおっしゃっていたよ。

SSでのみさきちって腐ってること多い気がしないでもない

HTML化されなければいくらでも待てる
むしろHTML化されてもずっと待ってる、ずっとずっとずっといつまでも…
エタって数年経つようないくつもの垣根スレだっていつかは再開するはずだからずっと待ってるんだよ……(ハイライトoff

そうだよ(便乗)

待てばこのSSも愉快な仲間たちシリーズもいつかは復活するんだよ(ガンギマリ)

ドーモ
まず前回のコピペ改変ですが。えーと垣根が好きな人には「者」がちゃんと見えているはずですね1にはみえます。嘘です
脳内補完をおねがいします

そしてこっから>>200の安価分を投下します
特殊ネタなので
あぶり出しsage投稿ですよろしく
ながくて辛い




ザリザリと何かが擦れる音がしていた。
不愉快だ、と垣根は雑音に眉をひそめた。
開きかけたまぶたはまだ重かった。
頭も鈍い痛みがある。
体にかかる怠い重さと不快感から逃れるため彼は目を閉じようとしたが。
視界の端に映ったきらめきが垣根にそれを許さない。
光源は光を照り返したナイフだった。
危機感が鈍った感覚に警鐘を鳴らす。
垣根はそこでようやく「なにかおかしい」と感じることが出来た。


「やっべぇ。縛る前に上剥いとけばよかったんじゃね? 腕抜けないじゃん。服切る? え、それならやっぱ起きてからしたいんだけどイイ?」

「お前ほんと頭わりーなー。 つか脱がす必要あんのー?」

「なんかさあ刃がゼンゼン通んないんだわスパっとイカねえ。ナニコレ何製? 新種の超合金シャツ?」

「ここに運んできて裸じゃねえやつとか新鮮な。逆に」

近くでは緊張感のない声が次々と上がっていた。
遮音性の高いイヤホンを耳に挿したまま外の音を拾った時のように、聞こえづらいぼんやりとした音声が垣根の耳に届く。
沈みかけた意識を引き上げると。
彼はまだはっきりとはしない視界で辺りを見回した。
うつむき気味の姿勢のまま、静かに視線をめぐらせ状況を確認していく。


どうやら、垣根は椅子に座らされているようだった。
腕は更にその後ろで縛られてでもいるのか。動かせそうになかった。
今まで気絶していたのか。それとも眠らされていたのか。
どちらにしても随分と舐めた真似をされたものだ。
目がさめる前は……どうしていたか。
確か、喫茶店でコーヒーを注文した。
口をつけた記憶はなかったから運ばれてくる前に何かされたのか。

そうして思い返し思案する垣根の視界が大きく揺れる。吐き気をもよおす程の強いめまいが襲う。
おまけに頭もひどく痛むせいか、考えが思うようにまとまらない。
能力の使用に必要な演算に集中する以前の問題があるように感じられた。
まるで、考えると言う作業そのものが、のしかかる重い痛みに端からすり潰されていくようだった。



見える範囲に男が三人。
一人は垣根の前に屈み、折りたたみ式のナイフをチラつかせていた。
残りも若い男だ。いずれも大学生くらいの同年代に見えた。
だがいかにも不良を絵に描いたような、路地裏のスキルアウトとは少し違う印象だった。
服装も雰囲気も全員バラバラだが。
身綺麗だった。
いい服に時間と金を割くだけの余裕があるのだろう。
そして。
服や香水だけでは隠しがたい汚臭がした。
軽蔑すべきクソ野郎に共通した、濁った臭いだ。


どうやら垣根がいるのはどこか建物の中らしい。
薄暗い部屋の中では時間も場所もはっきりしない。
床も壁も打ちっ放しのコンクリート。
生活感のない室内は清潔さには程遠かった。
埃っぽく湿った空気に、垣根は舌打とうとして。

更なる違和感に気付かされた。

「あー? こいつやっと起きたんじゃねー?」

「おい、お目覚めだって。はじめんぞ支度しろ」

好き勝手喋っていた男たちが垣根に注目し、ドアの開く音がした。
どうやら垣根の背後からもう一人、歩いてきたらしい。
カツコツとひときわ硬い靴音が床を叩く。
手には小型のハンディカメラを持っていた。
垣根の前まで回りこむと、そいつは神経質そうに眼鏡のフレームに手を伸ばした。

「これで……映ってんのかと。今時旧世代のビデオとかどんだけアナログかと。マニアックだと」

「今度の客はテープでねーと嫌なんだとー。デジタルデータは幾らでもコピーも修正も効くからとかなんとかー。
でも能力者マトにしてわざわざつかまえてくんだからすげーよなー」

「コイツのために店ごとやったんだし……おお、すっげ! なぁやっぱりオレらニュースになってんじゃん。やっべぇの」

ナイフを畳むと男は、いじっていたスマートフォンの音量を上げた。
横向きの画面の中にはネットニュースの動画が流れている。


今日の夕方、第五学区の喫茶店で薬品の流出事故があったと報じられていた。
バイク便のドライバーが荷物の受け渡しを店内で行った際に薬品の梱包に不備があることを荷受人が発見し、その場で中身の無事を確認した。
その際、容器内の高濃度の麻酔ガスが漏れ出し当時店内に居た従業員、客を含めた一二人が昏倒。
その後周辺の通行人が異変に気付き警備員に通報したため、被害は調理場で火にかかっていた鍋が焦げた程度。
幸いにも重症者や火災、関連した事故の発生には繋がっていないと言う。
荷受人は「中身がなにかは知っていたがまさか開けただけでこんなことになるとは思いもしなかった。本当に予想外の事故だった」と繰り返しそれだけをコメント。
安全管理の欠如、管理者の怠慢だとアナウンサーが淡々と語っていた。
その時店内の一人が、それも超能力者がそんな騒動の陰に隠れて連れ出されたことは。
きっと誰も知らない。

状況をひとつひとつ、ゆっくりと噛み砕くようにしていきながらも垣根は落ち着いていた。
気付いたら拘束されて知らない場所に居て。普通ならパニックになりそうなものだが、
「何でこんなことに?!」なんて、ありがちな第一声も垣根にはふさわしくなかった。
取り乱す暇があったら、ほかのことに頭を使う方がましだろう。

彼の身上ではこの状況を引き起こしそうな理由が嫌と言うほどあった。
何しろ暗部組織に所属する超能力者だ。
目的も金目当ての誘拐、交渉用の人質、下らない私刑。おかしな実験のモルモットに、なんてのもありそうだった。
そして敵になりそうな相手も多い。
下らない実験を蹴ってやった研究機関、鼻で笑ってやった研究者個人、情報を掠め取ろうとするブローカー、格下の能力者、群れるしか能のない武装無能力者ども。

潰した相手の数もいちいち覚えていない。
恨みを買うことなど気にもしていない。
垣根にはその全てを真正面から打ち払える自負があった。
その点では、搦め手で来られた今回は少しばかり慢心していたと言えるかもしれないが。
何よりそれ自身が学園都市の抱える最高クラスの実験成果。生きた傑作の超能力者だ。
垣根の身に何か――起きることの方が難しそうだが――あれば、その損失はどれほどのものになるのか。
それを防ぐ意味でも、垣根には不本意ながらいくつか後ろ盾として機能するものもあった。
そんな相手におかしな真似をして、タダですまないことくらい考えなくてもまずわかりそうなものだが。
負けることがわかりきっていても向かってくる者も中にはいる。
目の前の状況を見る限り、残念ながら学園都市にはそんな馬鹿も多いようだ。


「やばいのはこっからだろ」

「ハーイお客サマお名前なんだっけ? どれどれええっとカキネクン。え。コイツレベル5じゃん? やっべぇミンナ知ってた?」

次にメールアプリを開いていた男は仲間の前にそれを見せて歩いた。
何らかの標的のデータは最低限与えられているらしい。
それでも、超能力者と聞いても彼らの反応は大して変わらなかった。
大能力者以上はその力を兵器と比較されるくらいなのは有名だが。それにしたって拍子抜けするほど平然としている。

「アクセラレータとかレールガンは知ってっけどダークマター? ナニソレじゃね?」

「相手は情報だけでも値段が桁違いになる超能力者だと。暗部組織でアングラならマイナーってのも納得かと」

「それちゃんと効果あんのかー。事故るとやべーぞ。前みてーにボヤじゃ済まねーぞ」

「演算阻害装置は四台とも問題なく稼働中かと。薬も効いてる筈だと。搬送用の麻酔と運動機能の制限、それに加えて二種類投薬ずみだと」

カメラ役は片手で壁際に置かれた二台のスピーカーのようなものを示した。
この状態で確認はできないがおそらく垣根の背後にも同じようなものが設置されているのだろうと安易に想像がついた。
頭痛の原因はこれなのか、それとも何か投与されたと言う薬品の方か。まだ決まったわけではないが。
まず、普段通りには能力を使えない筈だと言うことを。
垣根は体の不調を通して体感していた。

「ちゃんとムショでも使われてるってイイヤツ借してもらってんだから。ヘーキっしょ」

「俺らはレベル低いから何ともねえよな。逆に」


「よおしじゃあカキネクン景気づけにカメラに向かって自己紹介オナシャース!」

バカにしたように騒ぐ男を垣根はただ睨みつけた。
いや。それしか出来ない。
体はまるで言うことを利かなかった。
立ち上がり、椅子を蹴り倒すことはもちろん。
目の前に並ぶクソ共の顔に唾を吐きかけることすら今は難しいだろう。


「はいムリー! ですよねえってことで今日はお薬バッチなんで寂しく撮影スタートでえす」

「平気かー? 前効きすぎて呼吸止まった餓鬼いたろー」

「男と女は体格も効きも違うのだと。時間差でまた打つ。レベルの高い能力者には慎重になるべきかと……
それにあの子は弛緩剤の舌根沈下じゃなく別の薬が体質的に……」

「おーいDここカットで! ハッチャン泣かしてんじゃん? ヘイカメラ、こっちパース」

突然顔を背けた仲間からカメラを受け取ると、次の撮影係はハイテンションで寄ってきた。
あちこち遠慮なくレンズを向けてくる。

「なんだーまた思い出し泣きー? 商品ダメにしたり出荷の度に泣いてたら将来卒業式とか来た日にゃ泣き死ぬんじゃねー?」

「どうせこう言う奴が社会に出ると真面目ないい先生とか言われるようになんだろ? 逆に。世の中怖えよな。
はっちゃんの日誌キモいぜ、ガキ一人ひとり出荷まで毎日つけてんの知ってっか」

「外野がウルセーナー、ゴメンナーカキネクン。オッケー見えてる? 聞こえてっかな? うん、目はさめてんね。今からオニーサン達と遊ぼおな?」

駄弁る仲間をよそにカメラと、ペンライトを持った男は垣根の両目を確かめていた。
垣根の顎を掴むと顔を上に、横に向かせ不満げな表情を至近距離でレンズにおさめる。
そして背中に手を回すと垣根の腕を縛りつけていたものをナイフで切った。

「ハーイ。じゃあなにか一言ヨロシク」

「は、ぁ……かはッ。くゥ、お……」

何か。
このタイミングなら。聞くに耐えないほどひどい言葉が口をついておかしくない筈だ。
だと言うのに。出てきたのは言葉にならない音だった。
まるで呂律が回っていない。
息をするにも苦しげな垣根の喉は、か細い声しか出せていなかった。


椅子に座らされたままだらんと手足を投げ出して。
顔をしかめるばかりの垣根に目の前の男はにやにや笑っていた。

「ああムリムリ。喋ると疲れるよ。さっき別のお薬も打ったからアタマもぼんやりすんだろ。手え動く? ムリ? 
そうだよなあっちこっちダリィよなあ。やっべぇっしょ。ヘイヘイミナサマ主役は準備オッケーよ?」

重たそうに頭を垂れる垣根を囲んで男達は立っていた。
そのうち一人が、うんざりした顔で口を開いた。

「こいつこのままヤっちゃっていいんかー? ちゃんと眠剤抜けてんのかよ。今までで一番活きがねーぞ。ぶっかけっかー?」

隣の男に水の入ったペットボトルを振って見せた。
それに、その反対側にいた眼鏡が首を振る。

「室内を無駄に汚すなと。暴れない位が好都合だと。それにこんなでも、自分の置かれた状況を理解するくらいの頭はある筈だと。
そうでないとこの先の作業の意味がなくなるかと」

「まあカキネクンもわかると思うけど。イケナイバイトとかしてっとイラネー敵が出来んじゃん? 
そんなオトモダチからやっべぇオシオキしてやってって話。ザンネンでしたあ」

「目を付けられた相手が悪かったって話だと。ここまで話よこしたのは学園都市の上層ってことらしいと」

「あー? オレどっかの研究所って聞いたぞー。サンプルをおとなしくしとけってんじゃねーのー? おかげでこっちもいい迷惑だよなー。
男回されてもよーたのしくねーよ」

「アホか。これで幾らになると思ってんだよ。前金だけでもガキさばくのの倍以上だぞ。カメラ回すだけで成功報酬いくらになんのか。
後から女なんか遊び放題だろ。感謝しねえと逆に。破格の超能力者様々ってよ」

露骨に報酬の話をし始めたところで、カメラのレンズを見た眼鏡が呆れた様に頭を振った。

「お前ら……全部撮ってるんだと。少しは口をつつしめと」

「イイじゃん。リアルなドキュメンタリーつうことで。お金でなんでもするオレらみたいなんでも、イイってオシゴトくるんだしさあ」

フレームを押さえてため息をつく眼鏡。
それに、
「今さらっしょ」とへらへらしながらカメラをもったままの男は垣根の前に屈んだ。

「今度のはズイブンおっきいコだけど。いつもの出荷用みたく色々仕込んどいたらボーナスでっかなあ」

「オイオイ逆だろ。余計なことはすんなって話。プライドたっかい能力者様をひでえ目に合わせんのが今回のコンセプトだろ。
こいつ楽しませてどうすんだ逆に」

「そこまで珍しくないかと。後々自分で手を掛けたいってやつは多いものだと」


仲間うちで楽しげに、ゲスさのにじむおしゃべりをしていたかと思うと。
そのうち一人が垣根を振り返った。

「なー。まだ何されんのかわからねーって面してねーか。誰かこいつにちゃんと教えてやればー?」

「ああ、さっさとボコらねえから不安か? 今日はそっちじゃないらしいぜ。よかったな、ってそうでもねえのか。逆に」

意味ありげに、背の高い男が笑って見せた。
頭痛をこらえ、彼らの会話からなんとかつなぎ合わせておおよその状況は把握できても。
まるで事態が飲み込めていない垣根は眉を寄せる。
どこかの大馬鹿に金を詰まれたこの馬鹿共は。
厳重に能力者を拘束しただけで、まだ何もしていない。
一方的な制裁ショーでも始めるのかと言うのも違うらしい。
人質や何らかの材料として取引でもするつもりなのか。
こんな所に閉じ込める目的が見えてこなかった。

「今からレベル5のカキネクンを、オニーサン達でブチ犯しちゃいまあす。ちゃあんと動画も撮るよ? 
まあ今日は四人いるんで、満足してもらえっかなあと思いまあす。つうことで? ヨロシク」

「やっぱ頭数にはいってんかよー。今から帰っていいかー俺」

「ここで帰ると損だぞ。逆に。ほら、立たせっからそっち持て」

「お、流石に動揺しているようだと。そこまでは想定していなかったのかと」

カメラを受け取りにきた眼鏡は薄く笑うと。
頭がおかしいとしか思えない、連中の宣言に強ばる垣根の顔を見上げていた。

「やっべぇウケる。イイねえカキネクンさあモテるっしょ? イケメンだもんな。ま、男相手はさすがにはじめてっしょ」

「げー。あってもキモいだろこいつ俺より背あるぞー? つか重いー」

「なんのために作業台があんだよ」





垣根は無理やり金属製の台の上に担ぎ上げられた。
さらに両腕には手錠がかけられた。
吊り下げるのには短く、動きを封じるには少し長い鎖を引っ張られて垣根は上体ごと顔を上げさせられる。
腕は相変わらず動きもしないので、縛られても意味はない。
彼を拘束しておくつもりのものではないらしい。

「チョーエリートのレベル5が、オレらみたいなのにこんなんされちゃってんのってどんな気分? 
ねえねえどんな気分? やっべ、カキネクン目チョーコエーんだけど」

怖い怖いと言いながら男の顔は笑っていた。
まるで有名な落語の一席の、その落ちのようだった。
これからはじめると告げられたのはクスリとも出来そうにない、ばかばかしいオハナシだが。

「こおゆう瞬間はオレレベル低くてよかったって思うわ。レベル高いヤツいじめんのってタマンネーじゃん」

「お。やっぱ超能力者って金もらってんだな。この服ブランドもんだろ? けど『開発』されまくってんのに、そっちは未開発かよ。逆に」

「流石に超能力者ともなると管理も厳しいのかと。この顔でこの歳まで手付かずかとうらやましい限りだと」

「いやー。ガキをいきなり喰っちまう先公もそーそーいねーだろ。そんで、てめぇが教師になるとかレア過ぎ。そーゆーのなんつーんだっけ?」

くだらない話に花を咲かせながら、男たちは分担して作業に取りかかっていた。
それを黙って聞かされる垣根は解剖実験前のラットのように台の上に置かれていた。
震える程度も、唇は動かない。
呟くことすら、ましてあらん限りの力で叫ぶことも。
出来ないことをその事実を眼前に突きつけられた垣根帝督はただ静かに喉を引きつらせた。

「なんだっけほら、歴史は繰り返すって言うだろ」

「あ。オレわかったかも。ズバリ負の連鎖じゃね? FAで。どお?」

「よくできました、かと。後で丸をつけてやると」

台に上げる時脱がせた上着を広げると男がポケットの中を探りはじめた。




「あったあった。元から電源切れてりゃチェッカーで見つからねえはずだよ。でもこれなら電波も拾われてねえだろ。
もしストーカーがいても盗聴の心配も無し。お互い良かったな。逆に」

他の奴にこんな状況は知られたくないだろう、と告げると。
男は取り出した携帯電話を床に捨てて踏み潰した。
垣根は自分で電源を切った覚えはなかったのだが、今更意味のない疑問だろう。
垣根の居場所を知るための手段も、外部との連絡もこれでどちらも望めなくなった。

「ここはさあ公平にジャンケンで。勝ったヤツが超高額な一番槍の権利と、栄えあるレベル5のバックヴァージンゲットだぜえ!! っつうことで! ハーイミナサマ下唇噛んで復唱」

MC気取りでまくしたてる男だが。
その場の誰も返事をしなかった。

部屋の中でじゃんけんの掛け声が間抜けに響く。
それだけなら。
子どもが、友達同士仲良くおもちゃで遊ぶ前のような。無邪気さと興奮のある声だった。
だがこれから始まるのはそんなほほえましいものではない。
かつての子どもは学園都市でいびつに育ってしまったらしい。
その今日の玩具は、超能力者だ。

「はー。まじかよー、俺おまえらと違って男は好きじゃねーよー。譲ってやっから金くんねー?」

「別にオレらもホモじゃねえってば。ファッションホモってかビジネスホモ? 金貰えんならオスガキもいっかなあくらいよ?」

「くれぐれも普段の仕事とは違うことを忘れるなと。撮影を終えたら可能な限り完品で渡す条件だと。派手に傷などつけるな、と」

お遊戯の時間と呼ぶのも悪趣味な。
観客不在の見世物が人知れず始まろうとしていた。


垣根の両足は金属製の台の上でおさえつけられていた。
腰を高く上げた屈辱的な姿勢を強いられながら、垣根には抵抗することが出来ない。
硬い台の上に押し当てられた頬は自らの汗と唾液で濡れていた。
開いたままの口で呻くように息をするのがやっとだ。
目の前に放り出された指先にすらろくな力はこもらない。
苦痛に足掻くこともかなわない彼に許されたのは、首から上をわずかに動かす程度。
それでも。
超能力者のプライドは折れてはいなかった。
逃げ、あるいは祈り。
現実から目を背けるようなことも、苦痛に怯え固くまぶたを閉じることも垣根はしなかった。
苦悶と憎しみのこもった両目にはまだ力がある。

後ろから突かれ揺さぶられる度にジャラジャラと鎖のすれる重い音が響いていた。
そこに、濡れた肉を叩く音と荒い息が混じる。

「やっぱラクなのはイイけどつまんねえじゃん。抵抗ナシ文句ナシ悲鳴もナシってオマエらおもろい?」

ひとり騒がしい男はそんな様子をみながら。
頭をかいてぐちっていた。
何を言ってるんだこいつ、と言いたげな仲間の視線に男は頬を膨らめる。

「オレはくやビクがすきなんだよお。でもこれカンペキマグロじゃん。冷凍モノカチンコチンじゃん。カントクう、もおチョイなんとかなんないんですかあ」

「あのなあ手抜いてやって抵抗されたらどうすんだ。逆に。それよりあいつ顔色ひどいけどいいのかよ。吐くんじゃねえの」

背中に張り付いたシャツが男の手で後ろに引かれる。
脂汗をかきながら垣根はゆるんだ口を懸命に閉じようとしていた。
しかし、短い呻きがその隙間から漏れる。
乱暴に、無様に。醜態をさらし続けるその姿を映していたカメラが一歩、二歩と被写体に近寄っていった。


「だから薬が効いているのは四肢中心の筋肉の動きだと。痛みや感覚はそのままだと。この馬鹿共何度言ったら覚えるのかと。
おいおいお前も、喉だけは詰まらせんなと。今回は、洒落にならねえんだと」

「なに? また腹パン? げえ。オニチクな」

撮影係に悪態をつかれ、仲間に茶化された男はうっとうしそうに息をはいた。
最初から大した気もなさそうな態度だったが。
その間もゆるい抽送は続いている。

「おめーなー……ッみてたろーが。まだ、してねーよ」

「ま、こんなんブチこまれりゃ吐きたくもなるわ。麻酔でケツも弛んでんならよかったんじゃね逆に。俺らん中でこのケチのが一番凶悪だろ」

「えー、これで緩いんかよマジかよー。けっこー……締まるぞー?」

「お前遅いんだから口じゃなく腰動かせって。後がつかえんだろ」

「変わり映えのない画面は面白みに欠けると。お前のケツを拝んで誰が得すんだと」

「いやー顔見なけりゃけっこーイケる。男でもこっちの穴は変わんねえなー」

「お、何だよカキネクンイイ顔してんよ? な、ちょいちょい。こっち撮って撮って。やっべぇってオマエにらみコロしそおな目してるって。
んん? どしたあ、ムカツクー? ソウデスネーよかったなあ」

腰を打ちつける仲間の横を通り、台の前で男はしゃがんだ。
垣根と目線をあわせながらガキ相手の馬鹿にしたような口をきいている。
いや。
そいつは道端の野良猫にでも向けるように、俺は自分より目下のモノをかわいがっています、なんて言いそうな顔をしていた。

「こいつ幸せだよなあ。異能力以上でいいなら学園都市の能力者の半分くらいストライクゾーン入りなんじゃねえか」

「ただし好き放題出来る状況に限る、かと。流石にこういう男はどうなのだと」

「レベル5で遊んでイイとかウソみてえ。やっべぇなあ」

うきうきとした呟きに男達は顔を見合わせた。
駄目だこいつ、と馬鹿に心底呆れた目をしていた。
早く何とかしないと、いけなかったのかもしれないが。すでに手遅れだろう。



「しんどかったねえオツカレ。アーンてしてみ? やっべぇのあんだよねえ」

「おいおい良いんかよー何食わすんだー?」

「オマエのでこんな苦しんでんだからカワイソじゃん。これくらいならヘーキヘーキちょっと元気になるだけっしょ。
ついでにさあ……ちょっとはキョーリョクしてもらえっかもよ?」

そう言いながら男はテーブルからプラスチックケースを取った。
中に入っていた薬の袋を次々破って中身を混ぜると。
垣根の口を無理やり押し開けて何色も混ざってカラフルになった粉末を落とした。

「ざ、けっ……ん?」

むせながらなんとか吐き出そうとしていた垣根は眉を寄せたかと思うと。
口の中を舌で探ってから。
何か考える様に目を細めた。

「ナー、ダイジョブっしょ? ラムネみたいっしょ。これ、元はガキ用の薬。『能力開発』の奴。
ハッチャンはキョーシになっから、色々ナイショでパクってきてくれんの。つかこんなん誰でもやってんじゃん?」

そう言って男は、別のケースからタブレット錠を粗く砕いたような薬の粒を手のひらに広げて見せた。
そのまま飴の様に自分の口に放り込む。

「いやそれ使い方おかしーだろ。今これにやったの、飲むやつじゃなく口で溶かすやつだろ? 一口で相当いってんだろ」

「ウッソォガキ用シロップのバカ飲みとかミンナしねぇの? 気分アガってタノシーよ?」

「自分で試すことではないかと。本来は小児相手の高吸収経口薬だと。それでも極少量で足りるもんだと」

経口摂取する薬剤の多くは、胃液での変質を避ける必要があるため小腸で成分が吸収されるよう加工される。
だがそれでは効果が出るのはどうしても飲んでから時間が経ってからになってしまう。
それを早める為には摂取法や薬の形態を変えなくてはいけない。
多層コーティングを施して一錠あたりの成分の吸収を調整し時間差で効き目を持続させたり。
他にも口の中、鼻、目など各所の粘膜から素早く吸収させることも可能だ。
学園都市では、対象である小さな子どもが自分でも簡単に扱えるように工夫されているものが幾つかあった。
服用からいちいち教師がついて回って、更に必要なタイミングで薬剤の効果がしっかり現れているかひとり一人調べていたら人手が幾らあっても足りなくなる。
そして。
多くのよく効く薬が、裏を返せば有効な毒物でもあるように。
本来の用途から外れたことに使用されるケースもあり得る。

「ハイ先生、オレいっつも鼻からいっぱい吸っちゃうけどダイジョブですかあ」

「小学校からやり直せるもんなら指導してやってもいいかと。お前頭は悪いが顔は良いのだと」

「わあ、先生のロリ! ペド! メガネえ!」

「眼鏡って悪口なんかー?」


「あ」

騒がしいおしゃべりが途切れたのは唐突だった。
べえ、っと舌を突き出して垣根が台の上で口を開けていた。
ヒナが親鳥にエサをねだるようにして、空になった口の中を晒した。

「ホーラ、カキネクン気に入ったってよ? もおチョイいっとく? 他にもタノシくなんのあっけどどうする?」

取り出した薬の小さな包みをいくつかつまんで男はにやにや笑う。
ピンクの錠剤、ライトグリーンの粉末、そのほかどれもほんの少しずつしか入っていない。
そんないくつもの薬が垣根の目の前に並んだ。

「……こ、ちの」

かすれきった声の垣根は何とか目を動かして視線で選ぶ薬を決めていた。

「イイネ! 欲しがるねえカキネクン。デモサー。こんなんでもお薬ダメって言うキビシーのがいるから、オネガイしてみよっかあ?」

眼鏡の肩をつつきながら男がはやしたてる。
それを聞いた垣根は。
鈍った筋肉を動かしてぎこちなく笑みを浮かべた。
ほんの一口、と言っても本来なら成人(一五歳以上)が服用しても多すぎる量の薬を放り込まれて。
態度を変えた超能力者を男たちは下卑た目で眺めていた。

「お。笑ったぞ。けなげな、逆に」

「ウケるー超能力者がこびてんぞー。んなしょぼい薬にー」

「ハーイ、カキネクンの貴重なスマイルいただきましたあっ。カメラサン下から、ナメてナメて。アップも撮ったげて」

「言われるまでもねえんだと」



「じゃあハーイ、リクエストのお薬ここでえす。このノリでジョーズにペロっと舐めてもらおっかなあ? 
ああ? これくらいさあ、出来るよなあオイ?」

袋をまとめて破ると男は垣根の顔の横に足をかけた。
革靴の上にそのまま薬をぶちまけて、低い声でハイエナのように笑う。

「んふ……は、ぁ」

べちゃべちゃと口の周りを汚しながら犬の様に舌を這わせる超能力者の姿に。
男たちは手を叩いた。
目論見どおり、順調に。
彼らの「撮影」が進んでいるのはもちろん。
笑えるほど哀れなオモチャの状況を楽しんでいるようだった。

「超能力者が靴舐めてっぞー。爆笑もん。写真撮っていいかー? 撮影駄目? ケっチくせー」

「あああベタベタじゃんよ。全然ダメじゃんカキネクーン靴フェラもおチョイガンバって。ちゃんとキレーにしてなあ」

まともに顎を開くことも難しい状態で口元に靴の先を押しつけられる。
笑い声の響く中で垣根はひとり顔をしかめていた。

「まだ一人目だが、そろそろ注射の時間だと。お前ら遊んでばかりで無駄に時間を使うなと」

「や、だ……ね」

にらむ様に目を細めると。
垣根はいーっと歯を剥いてから舌を出した。
明らかに馬鹿にした態度を取られると、眼鏡は使い捨て注射器のパッケージを乱暴に破り捨てる。
その横で、薬のパケットがまるで子どもをあやすようにつまんで振られた。

「今度はイヤイヤ入りましたあ。まあデモ注射はしとこうな? お注射したら、こっちもあげるから」

「な…ぁ、やく…ほし……?」

そう聞いて、垣根は不快そうな表情をたちまち緩めてみせた。
それを見ていた男が爆笑して、腹を抱えた。

「おーい催促されてんぞーどっちもさっさとやればー?」



「くッ、ぁ……」

垣根は天井を眺めていた。
真っ黒な目はドロドロに濁った悪意を煮詰めたように沈んだ色をしている。
今度は仰向けに寝かされ、上半身は腕ごとしっかりと固定されていた。
服を脱がされ下半身は膝を曲げた窮屈な格好でキツく縛られていた。
流れ落ちる汗に濡れた喉がひゅう、と鳴った。

「ガンバってたけどやっぱイくもんだなあ。あんだけされたらしゃあねえっしょ。なあなあ、さっきのキョーアクなオモチャ。新作?」

「いーや、買ったやつ。最高クラスの静音仕様とか馬鹿にしてんのか。逆に。音で煽って耳から犯してナンボじゃんよこう言うの。
即ポチ衝動買いはダメな。音がしない以外はいい感じなんだけど一度バラすっきゃないわ」

男は残念そうに言うと、色とりどりの悪質なジョークグッズが幾つも並んだ中から一つ選んで手に取った。
根元に並んだボタンを一つ押すと。
垣根の中をグチャグチャに掻き回していたものが動き出した。
内蔵されたLEDで色を変えながらケミカルで歪な塊がまるで深海の生き物のように蠢いている。
派手な動きに反して小さな、それも耳をすませても聞こえるかどうかの音を立てて、と言うのが何だか奇妙だった。

「うーい。おつかれ、俺そんなつかれてねえけどな。逆に」

カチャカチャ音を立ててズボンを上げると、男は垣根の顔をつかんだ。
まるでチップでもやるように口に薬をざらざら放り込む。
そして、垣根が少し咳き込むのを見て。
テーブルに置かれたボトルの水を口元、ではなく顔目掛けて無造作に零した。

「口の中パッサパサ! パッサパサだよカキネクン」

「おめーはまたなつかしーのいってんじゃねーよ!」

ぎゃはは、と耳障りな笑い声が重なった。


「……く、くくっ……あは」

むせながら薬を舐めとった垣根は笑っていた。
汗と水分でくしゃくしゃになった髪を顔からはらいのけることも出来ないまま、口をゆがめてただ笑っていた。
やけを起こしたのか。
幾つも流し込まれてすっかりクスリがキマってしまったのか。
ギラついた目を天井に向けて彼は楽しそうに笑っていた。

「おっとお。カキネクン楽しくなってきたんじゃね? じゃあ次はオニーサンと遊んでくれたらお薬な。上手に出来たら追加したげっから」

ガチャガチャと、あちこち縛られた垣根の拘束を解きながら。
次の番が回ってきた男はケタケタ笑っていた。

「毎度ゲージュツ的な縛りだけどこれやりすぎじゃね? こんなんオーケーなの?」

「いや、ローテじゃなかったらもうちょい置いとくんだけどな」

「げー。もーちょいが小一時間だかんなー。こいつも運が良かったなー?」

「お? 逆にい?」

何本も締められた細い革ベルトを外されると、肌の上には痛々しい赤い跡がくっきりと残っていた。
別の薬剤のパケットを開けると男は垣根の前にかざして容器を振って見せる。
垣根が首を振ると、うんうん頷きながらそれを全て自分で使ってしまった。

「これもイイんだけどなあ。メッチャキラキラすんの。カキネクンは、シャキッとする方が好みかなあ?」

「だから余り調子に乗るなと。元の商品価値を損なうと報酬に響くと」

「キツイのキマるとヤバいだろうけどあれくらいならいんじゃね。今のところ問題もねえしさっさと片付けばいつもより楽な気してきたわ。逆に」

男は気の抜けた様に返すとだるそうにあくびをした。
一人、二人と用事を終えた男たちは順調な仕事の進み具合に何の疑問も抱いていないようだった。


「やあったのしかった! 久しぶりにガンバっちゃったんだけど。ハメはずしてw」

「なーにしてんだおめーは。それ好きなー」

「お前人のこと言えねえぞ。逆に。つか、痕つけすぎだろ。どんだけだ」

「カキネクンあっつくてオイシーんだって。みてみホラーここも真っ赤じゃん。心臓バックバクだし」

「だから、それは最後に一人でやれといつも言ってんだと。後どうしろと」

一斉に非難されて茶髪の男は唇を尖らせた。
子どもの様にむくれると台のそばでしゃがみ込む。
すぐ横の垣根の顔は、あちこち汚された上にものすごく不愉快そうだった。
さっき男が喜んでいた、視線だけで相手を殺しそうな目をしていた。

「エー。だってオレら生NGじゃん。イイだろこれくらいさ。ダイジョブダイジョブ、そんなに上手くかかんなかったしイケメン白も似合うからw」

「それはあくまで撮影用の預かり物だと。掃除。清掃。何より俺が不快だと」

カツカツと苛立った様子で床が叩かれる。
続いて。
パカーン、と間抜けな音を立てて。
投げつけられた除菌ティッシュのケースが男の頭に当たった。

「なんだよ。こまけえことはイイじゃんなあ。ま、よくできましたっつうことで。じゃあカキネクンやっべぇおねだり! しってくださあい!」

文句を言いながらもとりあえず顔は拭き終えると。
男はうれしそうに垣根に声をかけた。
垣根は少しうんざりした様に口を開いた。

「…ッさと、よこせ、よぉ……な?」

これでいいか、と言いたげな目を前に。
要求した男はブンブン音がしそうな勢いで首を振った。

「ブー。カワイーのがイイでえす。カワイーおねだりガンバってえカキネクンのお、チョットイイトコみてみたいーって。な?」

ぐぐぐ、と垣根の顔が更に険しくなる。
眉間にしわを寄せる垣根の前で、男は両手でバツを作ってみせた。
どこから出したのか、紙に「がんばれ❤がんばれ❤」と書いて大きく振った。


「ちょ、お…い?」

「もおチョイガンバってみよ! スゲー惜しかった。あっちのカメラに向かってワンモア!」

「クスリぃちょー、だ…ぃ?」

垣根は何とか搾り出すように口にした。
あっちゃあ、と男は顔を覆う。
馬鹿馬鹿しいほど大袈裟に残念そうに首を振ったが。
その顔は相変わらず笑っている。

「オニーサン的にはそこ『ら』がよかったけどオーケーガンバりました! ハーイお口あけて。
お薬ふたっつー。イイコちゃんにはさーらーに、もひとつオマケしたげちゃうぜえ」

「あー……っ、ケホ、ゴホッ」

「多いかんナー。しゃあないネー」

男は悪びれた風もなく、ただにやにや見ているだけだ。
息を詰まらせそうになった垣根は横を向いた。
もごもごと口の中で飴を転がすようにざらついた薬品を舌で混ぜていく。
目を閉じると、薬が回るまで荒い呼吸を繰り返した。

「……みず」

「んん? どしたん」

「たりねぇ、よ……ソ」

「お水かあ。ちゃんとお薬飲めたあ? 薄まると効かねえよ。んん、いいけどストローねえし、マウストゥマーウスでオーケーかなあ?」

「……チッ、らねぇ」

不快極まりない提案に、垣根は今度こそ。
はっきりと舌打ちした。
反抗的な態度をここにきてとられたが。
ペットボトルを持ち上げた男は見せ付けるようにそれに口をつけた。
うまそうに喉を鳴らしながら飲んでいた男は、不意に手を下ろして。
垣根の顎を持ち上げて、無理やり割りいるようにして口をふさいだ。

「ぷは、ァ……っげほ……ェ」

「欲しいって言ったのに吐いちゃダメっしょ。もったいねえの。なんだよカキネクーンまだツンツンしてんの? 
元気あんねえ。やっべぇ、コイツすっげぇおもしれえわ」

「あんだけ汗かかして水無しってのも有りじゃねえ? 回り早くて。逆に」

「鬼かよー粘膜死ぬわー。あーウケる腹いてー」




最後の一人は着替えながら途中で眼鏡をかけると後ろを振り向いた。

「ちゃんと撮れてたんだろうな? と。お前らは今ひとつ当てにならねえんだと」

「ダイジョブダイジョブ、今日もイイケツしてましたあ」

「……やる気あんのかとお前」

「つぎ、なにした、くれ……だ?」

何度目かの要求を垣根は静かに口にした。
それまでは機嫌よく応じていたのに、そのセリフを聞いた男の顔が途端に不満そうになった。
垣根はその変化をじっと見据えていた。

「お薬かよお。なんだよサビシーなあやっぱミンナそれ目当てになんだよなあ。なあなあもう一周しよおぜ? まだ尺ダイジョブっしょ?」

「別にいいけどお前はほいほいタマ出してアメをヤリすぎなんだよ。ムチはどうした。逆に。すぐそれでガキを駄目にすんだろ」

「『置き去り』を何人潰したかまさか忘れたとは言わないかと」

「なんだオマエら何イキナリdisってんの。 イイじゃんカキネクンはスッカリイイコだし。もし、オレらで『躾』しろって話がきたらサービスしたげよおぜ」

ね、と。
女子が大げさな仲良しアピールでもするように。
男は転がったままの垣根の肩を抱こうとした。
次の瞬間だった。

「ばっかじゃ、ねえ、の」

ジャリン、と鎖が鳴った。
持ち上がるはずのない垣根の腕が。
男の胸ぐらをがっちりとつかんでいた。

「は?」

次の瞬間。
ドサァ! と男の体が勢いよく後ろに飛んだ。
頭が床に落ちる前に宙で止まる。
仰向けの姿勢のまま、倒れることも出来ない男の腹や肩、 背中を抜けて。
白いものが突き刺さっていた。
だが現れた白い凶器は間にあった垣根の腕も貫いていた。
翼の形も取らないそれは、ただ適当に線を引いてギザギザに囲んだ部分を切り取っただけの様に見えた。
なんとも不格好な白い塊だった。
普段の垣根なら『未元物質』なら、そんな無様な姿は見せないだろう。
垣根の腕を巻き込んでいた『未元物質』がばらばらに崩れ落ちると。
うざったそうに首を振って垣根は起き上がった。
ゆっくりとふらつきながら立ち上がる。
両腕を軽く振ると、ガシャン! と床に手錠が落ちた。


「……っ、げほ。あー、痛ってえな。余計なことさせるんじゃねえっつうの。あーあ、見ろよ。どうしてくれんだ? 貴重な俺のDNAマップが」

ぼたぼたと床に落ちる自分の血液に舌打つ姿は、ついさっきまでされるまま転がっていたのが嘘のような豹変ぶりだった。
咳き込み気味ではあるが声もなんとか通っていた。
垣根は重そうに頭を振ると。
近くに落ちた薬を二包み分鼻に当てて吸い込んでから、新しいミネラルウォーターのボトルを手に取った。
一息で半分空けると残りを頭から被る。

「お、おい……だってまだ薬は、装置も」

「何やってんだと! こいつ何とかしねえと」

「なんでもいいだろ早くしろよ!!」

口ぐちにわめきはじめた男達を前にした垣根は。
小さく吹き出すと。
次の瞬間には声を上げて笑い出した。
肩が揺れる度に、濡れた髪からぽたぽた水が落ちる。

「おいおい、本気で言ってんのか? まだ間に合うって? 『もう遅い』の間違いじゃなくてか」

縦に大きく裂けた傷口から。
血が伝ったままの右腕を振ると。
垣根は目にたまった涙を汚れていない指ではらった。
おかし過ぎて我慢が出来なくなったらしい。


「テメェらも甘いんだよ」

笑い終えた垣根の声はゾッとするほど冷え切っていた。
男達は気圧されたのか押し黙る。
垣根は手のひらで顔を拭うと前髪をうざったそうにかきあげた。

「たかがこの程度でこの俺が。『未元物質』がどうにか出来るなんざ、本気で考えてたのか。
随分と可哀想な頭してやがんな。やべえ、哀れ過ぎてまた笑えてくんだけど」

喉を鳴らすような小さな笑い声に続いてガッ、ゴシャア! と騒音が響いた。
部屋の中に置かれていた対能力者用の機材は周囲の物を巻き込んで、全て潰れていた。
被害はそれだけに留まらなかった。
離れた床や壁も能力の影響かあちこち破壊されている。
混乱した室内の空気は先ほどまでとまるで違っていた。


狩られるはずの獲物は息を潜めて反撃のチャンスを待っていたのだ。
たとえばの話だが。
頭のいいキツネを狩るにはそれより賢く対処しなくてはいけない。
狩場に慣れた猟犬が獲物に出しぬかれるなんて珍しくはないのだから。
それも、相手がキツネならと言う話で。
牙を剥いた猛獣相手に少々の訓練を積んだ犬ごときが太刀打ち出来るわけもない。

「暴走なんざビビって能力者やってられっか。本気で無力化させるつもりなら、意識そのものを奪っとくんだったな。
無様っぷりを思い知らせようなんざ、下らねー理由で俺を起こしておいたテメェらが悪い。弁明出来るもんならしてみやがれ、コラ」

場の支配権はすっかり変わっていた。
強者は弱者に、弱者は強者に。
その序列がかわっていく。
『未元物質』の出現がそれをはっきりと表していた。

「思考が鈍ってようが、たとえコンディションが最悪だろうが。演算が出来てりゃ能力そのものは使えるんだけど……
ああ。テメェらにはわかんねーか。クソ以下のゴミムシだったなそう言や」

それは汚されて貶められ、散々な醜態を今のいままで晒した者の態度ではなかった。
つまらない。道端のゴミを眺めるような目をしていた。
垣根は床に落とされていた自分の服を拾いあげた。
それらを順に身につける間、喉を慣らすように彼はゆっくりと語り続ける。


「まぁ、美味い飴も貰えたしな。あんなのはメシがわりみてえに散々食わされたけど。昔開発官に言われなかったか? 薬の扱いには注意しろって。
特にこれは血流と代謝の促進、ついでに感覚がえらく冴えちまうのが服用時に目立つ作用だ。
リスクとベネフィットを考えねえと、他の薬の邪魔をしちまう薬品があるって話も少なくねえ。
お勉強が足りてねーな」

ゆっくりとした言葉は噛んで含めるよう。
だが、まるで教える気のない台詞だった。
馬鹿を相手にする気はないのか。
勝手気ままに呟く口調は楽しげで、同時に吐き捨てるようでもあった。


シャツの襟を直しながら語っていた垣根は。
黙って突っ立っている連中を鼻で笑った。
男たちは動くことも出来なかった。
さっきブチのめされた仲間の一人は中途半端なブリッジみたいな姿勢のまま、悲鳴を上げて。
まだ。
確かに動いていた。
白い凶器に貫かれたグロテスクなストレッチを並んで一緒にしたがる奴はここにはいないらしい。

「ほら、お仲間がついてこれてねーぞ。なんでテメェらはしくじったんでしょうか? 答えてみろよ。センセー」

「……あの馬鹿が、余計な真似をしたからかと。脳の血流が促進されれば働きは活性化される。鈍らせていた思考力が戻るだけでなく、
四肢の麻痺までこんなに早く抜けるとは……ちくしょうお前、俺たちを、騙していただと」

「おいおい、ちょっとそっちのレベルに合わせてやっただけで随分な言われようだな。それに痛みってのは人間の体に必要な信号だぜ? 
喜べよ。テメェらのお気遣いは最初っから充分過ぎるほど受け取らせてもらった、ってな」

と、そこで垣根は一度言葉を切ると、

「まぁ、一つ賢くなったろ? 超能力者を……あんまり甘くみるんじゃねえ」

堂々と言い放って最後にジャケットを手に取った。
軽くはたいてから上着に袖を通し他の着衣の乱れも確認する。
多少の汚れに目をつぶれば、見た目はいつも通りの彼の姿がそこにあった。
体は長い時間痛めつけられ、おまけに能力で傷ついている。
それでも。垣根は自らの力でそこに立っていた。

確かめる様に腕を、指を曲げ伸ばしながら垣根は首を鳴らした。
だるそうに一つ息をはくと。
その両手をポケットにさし入れた。

「大分……マシだな。悪くねえ、いい気分だぜ? 久しぶりに――心底ムカついてるよ。この俺がさぁ」

引き裂くような笑みと共に音もなく背中に現れたのは六枚の翼。
能力者としての圧倒的な力の象徴だった。
散々垣根を馬鹿にしていた男達は。
最早。
ただの一人も口を開くことが出来ずにいた。
目を反らすことも許されていない様にただその白い翼を見つめていた。


ビリビリとしたプレッシャーが室内に満ちる。
その沈黙を破ったのは間抜けな電子音だった。
散らばった雑多な物に紛れて床に転がっていた携帯電話からだ。
垣根のものはとっくに踏み砕かれていたから、不愉快な三下連中のうちいずれかの持ち物だろうが。
垣根はうるさく呼び出し音を鳴らすそれを当たり前の様に拾いあげた。

『随分長い間音信不通だったが、問題はなさそうだな』

通話中のよその回線に勝手に割り込んでくる、なんてことも平気でやるくらいだ。
暗部組織の『制御役』を自称する正体不明のエージェントが、その辺の電子機器を乗っ取っても今更垣根は驚かない。
しかし彼は怪訝そうに眉をひそめた。
『未元物質』まで披露した反撃のタイミングで、まるで水を差されたように感じたのか。

「空気は読めねえ癖に相変わらず、ぞっとする程察しのいいヤツだなお前。まぁ、いい。これだけ時間があったんだ、勿論裏は取れてんだろうな」

垣根は馬鹿にしたように、挑む様に口にした。
「何があったのか」も「どうしたのか」も相手には聞かれなかった。
「垣根の無事」も、わかっていなければそもそもここに電話を掛けてくる意味がない。
それを踏まえて垣根は問い返した。

この状況を「何故」、「どうして知っているのか」は問題ではない。
余計な質問はする気もなかった。

だから結論だけを求める。
それが相手には可能だと彼は理解しているからだ。
この相手が、暗部の任務でも、それ以外のケースでも。
必要に応じて複雑に入り組み刻々と変わる過程を把握した上で。
その先を行くようでなくては。
甘んじて、下された指令を仰ぐなんて真似を今まで垣根は許さなかっただろう。
そこにあるのは信用でも信頼でもない。
暗部で仕事をこなすうち積み重なった事実に基づいた関係性だった。


『そいつらは『人形製造(バックオーダー)』。『置き去り』中心の人身売買をしていた組織だ。
顧客や資金の出所も、今ある『素材』の保管場所も押さえてある。
今日の話を持ちかけたやつの方は……時間の問題だ。
それでお姫様、いつお迎えにあがりましょうか? 馬車の支度は済んでおりますよ』

電話の『制御役』は淡々とした口調から一転して明るいトーンで答えた。
メルヘンチックな言い回しが余計だが。
垣根に対する馬鹿にした態度はむしろいつも通りだ。
超能力者の略取なんて学園都市ではいい笑い話だ。
それだけでなく結果として、下衆な取引にも使えそうなネタを今回垣根は不本意ながら提供してしまった。
暗部の尾をどこまでとらえられるかは別として。
もしこいつらが、そして悪趣味な依頼主とやらがその気になれば脅迫の対象は垣根個人にとどまらないかもしれない。
だが。
そんな風にして『スクール』の看板に泥が塗られそうになるのを、みすみす見逃すつもりは上の人間どもにもないらしい。
そう垣根は理解した。
彼が無事なら撃って出るのに戦力は充分すぎる。

「そうか。舞踏会と洒落込む前にとりあえずシャワーと着替えだな……清掃車を二台回せ。
『酸性浄化』は多め、忘れんなよ。ちまちました後片付けなんざしてられっか。ここのゴミ処理と掃除は任せる」

雑用をこなす下部組織への指示を伝えると垣根は深く、長く息をはいた。
乾いた唇が愉快そうに弧をかく。

「ああ、そう急がせなくていい。ゆっくり来いよ。俺も……もう少し遊んでくからさ」

通話はそのままに、元のように床に落とした携帯をバキバキ踏み砕くと垣根は振り返る。

「さぁーて。お楽しみはこれから、そうだよな。簡単に楽になれると思うんじゃねーぞ? 死ぬ程ひでえ目なんざありふれててつまんねえだろ。
死ぬより悲惨な状況ってのをたっぷり味わわせてやるから感謝していいぜ。テメェらにふさわしい末路ってのを与えてやろうじゃねえか。
トレンド入り間違いなしの最新の生き地獄をさ」

垣根は笑っていた。
凄惨な処刑の宣言に軽々しく言葉を並べて。
いっそ晴れやかなくらい、心底楽しそうな顔をしている様に。
そう、見えた。


「あー、まだダメだな。調子出ねえなぁ、なんかすっげえ外れるんだけど。どっかのバカ共がおかしな真似してくれたおかげだろうな。
っつうことは、これはもう仕っ方ねえよなぁ?」

垣根は白々しく男に尋ねた。
仕留める為に狩るのではない。獲物をただいたぶるだけのようなそんな態度だ。
首を掴まれ、背後の壁と白い翼に挟まれた男は答えられずにうめいていた。
刃物の様に鋭く尖った羽根が何度も男に突き刺さるが、どれも急所は捉えていない。
翼は撫でるような動きで体の上を行き来する。
無数の羽根の先はずぶずぶと浅く深く肉を抉っていた。

「く、クソぉ……」

「おっと。テメェらも大人しくしてろよ。そう焦るな、順番に相手してやるからさ」

そう告げた途端。
ゴシャア! と残りのメンバーも床の上に崩れ落ちた。
垣根はズボンのポケットに右手をしまうとその内一人に近寄っていく。
頭に足をかけると靴底の泥を落とすようにして顔を踏みつけ、上を向かせた。

「テメェは……そうだな。関節一つひとつすり潰してやる、とかどうだ? 人形気分が味わえそうだろ。
安心しろ、あっさり楽にはしてやらねえから。テメェの体が使いものにならなくなるのをただ黙って見てやがれ」

床の上で唸る男には一見、何もされていない様だが。
体に接した床に、わずかな亀裂が走っていた。
『未元物質』の作用による異常な重圧が男の体を押さえつけているようだった。
人間の体は意外にも丈夫に出来ている。
ゆっくりと少しずつ圧をかけていけば、数百キロなんて潰れずに耐えてしまう。

その時。
ごり、と鈍い音がした。
おさえつけられ赤く変色した指が、途中から空気の抜けた風船のようにくたくたになっていく。
目の前で少しずつ、端から順に。
自分の手指がゴム手袋のように変わり果てていくのを男は目の前で見せつけられていた。
大きく見開かれたまぶたの中でがちゃがちゃと目玉が揺れる。
それに見つめられた垣根は。
端正な顔に笑みを浮かべたままゆっくりと首を左右に振った。

「うわぁあああああ! ああああ……あ、お゛ッ」

ぼきん。
今度は、叫び出した男の頬からだった。
片方の顎の関節が「黙れ」と言わんばかりに一足先に砕かれた音だった。

「お望み通り遊んでやるよ。テメェら……俺を満足させてくれんだろ?」

無様に、なす術なく転がる男たち一人ひとりを見下ろして。
垣根は愉快そうに笑う。

「ははははは!! ははははははははッ!!」

バサリと白い翼が一閃する。
タガの外れたような笑い声と共に。
鬱屈とした部屋の中を真っ白な暴虐が吹き荒れた。



「気をつけろ。そこのダルマ、それまだ生きてんぞ。せっかく失血なんざで死なねえ様に、余分なパーツを丁寧に削ってやったんだ。
クソつまんねえ一生を簡単に終わらせてやるなよ」

垣根は乱れた髪を手で直していた。
すぐ横で肉塊のお片付けをしている下っ端をイラついた様子で睨みつける。

「そういやすげー腕の医者がいるんだっけ? なあ、そこにそのガラクタ持ってったらそんなんでも治すと思うか? 
そいつら、きっと死にたがると思うけどさぁ」

今度はケタケタと腹を抱えて笑う。
機嫌がいいのか、悪いのか。
一転してはしゃいだ口調はいつもより子ども染みた様に聞こえるが判断はつかない。
声を出すのは垣根一人。
残りの連中は黙々と手順に従って、現状の清掃を行っていた。

「おいおい。お前らぁ……返事は?」

それまで勝手気ままに吐き出されていた呟きが一瞬で冷めたものに変わった。その一言に。
ざわざわざわ、と低いざわめきが広がった。
下を向いて作業していた男達はそれぞれ勝手に呟き返したようだった。
言葉に最低限従わなければ残虐な白い矛先が向けられるとでも思ったのか。
何人かは歯の根が合わないような震えた声だった。
凄惨な室内に広がるなんとも異質な光景だが、いやに上機嫌な垣根は反応があったことに自体に満足したのか。
微笑むと大きく腕を伸ばしていた。

「ったく……いってぇ。え、マジで痛えんだけど」


建物の外に停められていたのは一台のワゴン車だった。
ものはよくあるツーボックスフォードア。ただし、すべての窓に貼られたスモークで中はちっとも見えない。
すみからすみまで真っ黒な車に垣根が近づくと静かにドアが開けられた。
黙って乗り込むと彼はブランドもののジャケットを脱いだ。
どろりとした赤黒い汚れがあちこちついていたがしみついてはいないようだった。
不愉快そうにそれを睨むと、垣根はシャツもまとめて投げた。

「ったく、まだベタつく」

脱いだインナーで髪や顔、首周りをざっと拭うと返り血(その他etcドロドロしたもの)でぐしゃぐしゃに汚れたそれも垣根は放り捨てた。
革張りのシートが汚れるのはこれっぽっちも構わないようだった。

座席に置かれた紙袋を覗くと。
ビニールに包まれた、クリーニングしたての服が用意されていた。
見慣れた、なんの変哲もない、無機質な。
それでも日常の一端がそこにあった。
それを見て垣根は吐き出すように口を開く。

「まだ……だいぶ血腥えな。薄汚え、クソ共の臭いだ」

改めて、噛みしめるような言葉と共に。
右腕、その上に大きく走る傷を垣根は左手でなぞった。
出血は『未元物質』で既に塞がれていたが。
垣根の指は何度もそれを辿っていた。


垣根帝督は決して長くはない人生のなかで。
有り余る、などという前向きな言葉でははかれない、過剰すぎるほど多くの経験を――良くも悪くも――積み重ねてきた。
その中でも先ほどまでの時間は、まぎれもなくトップクラスに『ムカつく』ひと時だった筈だ。
それでも、全てが無駄なものだったろうか。

打つ手はないと見えた状況が、覆せると気付いた時のひらめき。手ごたえ。
その為に必要なのはなにか、どうすれば手に入るのか。
窮地にあって少しでも己の勝利に向かってカードを引くだけの、それをかなえる力が彼にはあった。
はびこる現状を塗り替え、意のままに従わせる。
最後に笑う勝者はただ、一人だ。

勝てる。
負けない。

そう理解してからの時間は、次の手へ進めるために一分一秒でも早く過ぎるのを待つだけの退屈なものでしかなかったが。
垣根が得たのはそれだけではない。
怒りをねじ伏せ苦痛と、忍耐を幾度も幾度も重ねた上で解放された瞬間。
復讐をとげたあの味は。たまらなく甘美だった。
乾いた砂に水が次々と染みていくように。
喉を焼くほどの苦く重い甘さが垣根の脳に、腹の底に深く沈んでいった。

剥き出しの神経の束を肌の外に晒す様に。
薬剤で細く鋭く尖りすぎた感覚は余計な情報さえ耐えず頭に送り続ける。
要不要の精査もされず膨大で無作為な電気信号は、ガチョウの腹に流し込まれる穀類の様にただでさえ低下した脳の処理能力を圧迫していく。
少しバランスを崩せば即クラッシュ。
ハンドルからもう手は離せない。余所見をしている暇なんてない。
そんなギリギリまでアクセルを踏み続けた時のように追いつめられていた。
人間は本来ならきわめて強い緊張と恐怖を感じるように出来ているが。
同時にそれを克服し自滅を回避するための機能を備えている。

そんな危うい高揚感は体の中にまだ残っていた。
胸を打つ鼓動の高まりも、全身をめぐる血液のありえない熱も。
呼吸を忘れるほどの苦悶も。
得た一切の信号をみな快楽と錯覚するほど。


何より。
壊すことが、愉快だった。
思いついた暴力をただそのままに。
制限なく思い切り振り下ろすことが。
果物を剥ぐように、潰すようにして人の肉や骨を壊すことが。

タノシカッタ。

他のことが、頭の中の余計なものが。
チカチカ瞬く愉悦に押しのけられていく。
ぶつん、とスイッチを切り替えるように頭の裡が白く白く一色に塗りつぶされる。
タノシイからしているのか。しているのがタノシイことなのか。
どちらが先かわからないニワトリとタマゴのような問いはいつしか変わっていた。その境界もあいまいになっていく。
みずから尾をくわえた蛇のようにそれはぐるぐる回っていた。
今も、昔も。
わかっているしっていることがひとつあった。
善い悪い快不快メリットデメリット、正しいか否か。
それはみな一過性のゆらぐ価値観だ。見ようによっていくらだって変わってしまう。

そんなものより確かな一点を求めればいい。
単純な答えを掲げろ。

楽しんでしまえば、それでいいのだと。


いけない、またタノシクなってきた。

「ふ、くくくっ……はははは、はははははッ!」

落ち着かない様子で垣根は膝を叩いていた。
おかしな高揚感はまだ体に残る薬品のせいなのか。
笑いが止まらないのはどうしてなのか。
ただただ、愉快だからなのか。

それだけ、なのだろうか。
むき出しの肩を掴んだ垣根は。
細い体を抱きしめる様に、背中を丸めて声を上げていた。

「あれ。お前……見ない顔だな」

ひとしきり笑い終えた垣根が顔を上げると。
声を掛けられた運転席の男はビクゥ! っと肩を震わせた。
乗り込んできたお偉いさんが突然ものすごい勢いで爆笑していたら、それだけでも充分恐怖の対象だろう。
男はこわごわとした様子でそうですかぁ、と尋ね返した。

「まぁ、下の奴らなんざ一々覚えちゃいないけど。でも新入りだろ」

若い男に所属を告げられると。
垣根は目を細めた。

「ふーん。そっか、最底辺の補充用かお前」

首を傾げて少し、考える様子の後。
垣根は前の座席に身を乗り出すと急にハンドルを切った。
ドライバーは慌ててブレーキを踏もうとしたが邪魔をされてなかなか止まらない。
その間も垣根がハンドルを切り続け。
騒いでいたドライバーが静かになる頃には車は道を外れて裏通りに停められていた。
辺りは暗く、人気もない。
真っ黒な車体は闇に溶け込むようだった。

「ひっ……あぶ、危ないだろぉ。何なんだよぉ」

「なぁ」

あくびを一つ。
首を鳴らして。
垣根は更に詰め寄った。


「時間あんだろ。どうにも調子が戻らねえし、眠気覚ましだ。ちょっと付きあえよ」

何がなんだかわかんねえ、と言いたそうにまばたきした若い男は。
それでも何とかこの事態に対応しようとしたのか。
上着のポケットから携帯電話を取り出していた。

「あのぉ、予定だと、あんたを拾ったらまっすぐここに送れって言われてんだけどぉ」

「あのなぁ。俺は誰だ? そんなもん、俺がルールだろ。違うか?」

仕事内容を知らせるメールが表示された携帯の画面を見せられて。
ため息をついた垣根は勝手にサイドブレーキを引き、勝手にキーを抜いてしまう。
彼の態度に苛立ちや怒りは感じられなかった。
残念だ、と言いたげな憐れみに似たものが含まれているようだった。
諦めきった目をした垣根は肩をすくめて首を振る。
実に。
芝居がかった仕草だった。

「お前の仕事にはこれが無いと困るんじゃねえの? で。どうすんだ。そこまで言わねえとわからねえほど救えねえ馬鹿なのか。黙って俺に、従えよ」

ちらつかせたキーを握りこむと垣根はそこで再び笑った。
獰猛な笑みを向ける暗部組織のリーダーに、昨日今日入ったばかりの下っ端が歯向かえるだろうか。
答えは一つ。二択のどちらを選んだところで、恐らく結果は変わらない。

「なにをすんだよぉ…?」

「決まってんだろ。タノシイことだよ」

怯えきった男の姿を前に。
そう告げた垣根は楽しげに唇を舐めた。


「なんで、なんで俺ぇこんな……こんなことっ…しに、来たんじゃぁ」

「うるせえ。想定外はこっちもだ。あー、まだ頭いてえんだけど。あとで調整すんのに面倒だから人の体に勝手におかしなもん使ってくれんなっつうの」

「リーダー? ちょ、あの俺本当……ほんとこんな趣味じゃぁないんだってほんとに」

「はいはいお前は大嘘吐きだな。せめてもう少し我慢してから物言いやがれ。なんだこのみっともねえザマは。
はぁ……やっぱさっきの、殺しといてやりゃよかったか? 死体にもなれねえのって悲惨だよなあ」

「聞いてねえ……っこんなの、え。待て待てほんとに?」

「いってえな。ったく、傷が開いたらどうしてくれんだよこの馬鹿。どうせならこっち押さえてろよ。ったく、まだ……グラつくな」

「まずいってまじかよぉ、うっそぉ……なんだこれ……っ」

「うるせえっつってんだよ聞こえねえのか! テメェの声は随分耳障りだな? 
ああ!? 雑魚は黙って、俺の、好きにされてりゃあ……んっ、いいんだよ……クソが!!」

「やばいっ……これぇやばいッ、らめらってぇ」

「静かにッ…して、ろっつうの……はぁ。殺すぞ?」

そう言ったきり、それまで一方的に口を動かし続けていた垣根も口を閉じた。
鈍い音を立てて。
しばらくの間車内は静かに。それでいて騒がしく揺れていた。



「おい。車もう一台よこせ」

繋がった瞬間に垣根はそう下した。
相手は考えるより一瞬早く、それに応じた。
時差などない通話の間に短い沈黙が挟みこまれる。

『はい。ええと……確かこの前入ったって新人が向かった筈ですけど。ナビ通りならもう着いてる頃ですがどうしました。何かトラブルでも?』

「そうじゃねえ。運転もド下手クソだったからさ。ダメだな、ありゃ全っ然使えねえよ」

頭を掻くと垣根はちらりと後ろに目をやる。
停められた車は派手にボンネットが歪んでいた。
そのまますこし手を加えればすぐにスクラップに出来そうだった。
中のものは片付けた方が良さそうだが。

『じゃあその携帯から現在地を送ってください。すぐ代わりを用意させます』

リーダーの要求に応じると組織の構成員は彼の名を呼んだ。
不安や気遣いは感じられない、単純な疑問の声だった。

『それにしても一体何があったんです? こんな時間に突然連絡よこしといて、こっちが幾ら聞いても電話のあいつ何も言わないんですよ。
垣根さんが単独で出てるから迎えを出せばいいの一点張りで』

それを聞いた垣根の頭に突然、と言うのが少し引っかかった。
垣根と連絡が取れないと気付いたのはいつだ。
行方が追えなくなった時、『スクール』ではそれを捜索しなかったのか。
正規構成員でさえ、急に下部組織を動かした理由を知らされていなかったらしい。
まあ。
暗部組織なんてのは後ろ暗い人間の寄せ集めだ。
関連した組織も含めて一枚岩とはとても言えない。
詳細はともかくリーダーが行方不明、何者かに捕まった、なんて失態が組織内で不用意に広まるのを避けたのかも、しれない。

今は細かい思考の整理が出来る様な、そんな余裕は垣根にはなかった。
頭も体もぐちゃぐちゃで疲れきっていた。
後で考えればいいことだ。
そう疑問を断じると。
垣根は無駄にストラップをじゃらつかせた趣味の悪い携帯電話を肩で挟んで近くの建物の壁にもたれた。
再び袖を通した皺だらけのシャツが一層汚れる。


「別に気にするほど大したことじゃねえよ。はー、しっかし俺も何してんだろな。らしくねえの。けど頭は少しマシになってきたかも……」

まるで。
そうしないといけないように。
何かに急き立てられる様に垣根はずっと口を動かし続けていた。相手のことはかまわない。
頭の中の雑音を散らすノイズ。代償行動の一つ。
独り言も気を紛らわせる作業だ。
壁を打つような。ただ地面を蹴るような行為でも無駄にはならない。
その感触から、自分が立っていると感じることが出来ればいい。
知覚できる現実が当人の世界の真実だ。
その足元がどれだけ汚れ歪んでいるかはまた別の問題になる。

『なにかしたんですか。似合わないこと』

「いや……一仕事終えて一服、みたいなもんかな」

無駄な雑談に応じる声に。
右のこめかみから側頭部を指で撫でながら垣根は答えた。
どくどくと指の下に流れる音は少しくらい落ち着いたかもしれない。

『垣根さん煙草なんてやりましたか?』

「だから。気が紛れっかなーって。効果はどうだか。わかんねえけどさ」

別に未成年だから、と言う社会通説一般常識に従ったわけではない。
なぜ好き好んで自分のコンディションを外的要因から乱されなくてはいけないのか。
垣根はそれが今まで疑問だったが。
もしかしたら息抜きやリラックスと言う面での効果だってあるかもしれない。
タバコとは随分とものは違うが、おかしな思いつきでもストレスのはけ口として役立つ期待をしていた。つもりだった。



かといって食後の一服と言うのはどうか。
口直しのデザートと言うにも悪食過ぎるし酷いものだった。
八つ当たり、スケープゴート、いずれにしてもくだらない真似をしたのだとは、垣根も自覚していた。
そんなことでは満たされない。
屈辱はすすげない。
だが。
それをどう解決すればいいのか。今の垣根にはわからなかった。

垣根の実状も思惑も会話の意図さえしらない構成員はスピーカーから聞こえるため息をどう受け取ったのだろうか。

『お疲れですか。珍しく』

「ああ。あとな、すげー……喉が渇く」

では運転手に何か持たせます、と付け加えて通話が切れた。

過ぎてみればふり返ることもないくらい短い時間だった。

車を待つ間。垣根はふと頭上を見上げた。
分厚い雲に覆われた空は暗かった。
その上には月が出ているだろうか。
だが、垣根の目にはうつらない。
ならばそれは無いのと同じだ。それに遥か彼方、天上の意志は地上に立つちっぽけなものの事情には構わないだろう。
ただそこにあるだけ。晴れようが荒れようが変わらない。

つまらないことにいつまでも足を止め、立ち止まってはいられなかった。
今回降りかかったのは垣根にとって巨大な災厄ではなく小さな火の粉程度だった筈だ。
寝覚めの悪い、下らない。
だが。大したことのない問題だ。
垣根帝督に敗北は必要ない。どれだけその身を貶めても。
必要な二文字は、自分の腕でつかみ取る。
だから。
そんなものはきれいさっぱり忘れてしまえば、またいつものようにつまらない日々が帰ってくると。
その時の垣根は思っていた。
それ以外何があるかなんて。考えもしなかった。





突然別れを告げたありきたりの、昨日までが。
クソみたいな笑顔でやってきて片手を上げて挨拶する。
こんにちは垣根帝督、新しい『今日』がやってきましたよ。

ふざけるな、反吐が出る。



少年の日常は、その時一度、失われた。





じりじりと舐める様な強い日差しの下で。
少女が二人、並んで歩いていた。
下校途中だろうか二人以外にも道には制服姿の生徒たちがあふれていた。
ファストフードの新商品、なんだか舌を噛みそうな名前のドリンクをストローでかき回していた少女は残念そうに肩を落とした。


今朝は何だかとっても萌え滾る夢を見たはずなんですけど、知らない人が出てきたんですよ。うーん。なんで目がさめるとちゃんと覚えてないんでしょうね


しらない人が夢に出てくるなんてあるんだ?あははーもしかして運命の人だったりして。
あ。ねえそこのお花かわいいねえ。これなんて言うの?


これですか? シロモッコウバラです。これは棘がないんですよ。えっと花言葉は、『夢は叶うもの』です


テキトー言ってない? 本当かな……そうそう今度の都市伝説も夢の話なんだよね。なんでもAIM拡散力場の干渉で他人の――




雑踏と街の喧噪にかき消されながら少女たちの他愛のないおしゃべりは続いていた。



ドーモ。


>>200「ガチホモキメセク輪姦垣根」

モブマシセリフマシマシトウカチョモランマエロスクナメチュウニオオメカキネツラメ

とりあえずゴールしていいか
じゃあまた

乙、すげー乙
読み応えあってふっつーに面白かった、>>1の技量やべえ。
というか感服過ぎて何ホモ書かせてんだよって感想が一番にくるわww
マジで乙ww

きてた!
まさか本当に書ききってくれるとは
激しくおつ
ただもしもしから読めないんだけどどしたらいい?

アヘ顔ダブルピースだったらどうしよと思ったけどシリアスやばいね
エロでもよかったしエロもみたい
垣根最後どうなった?すげー気になる
>>358ありがとう愛してる尻Ass使っていいよ

突然の伊東ライフww
にしても電車の中で読んだら拷問だった。カキネクンってこんなに可愛かったのな。乙です乙です


モブがむかつくはずなのに、なんかキャラがいいなこいつらw
脇役なのに口調とかキャラ固まってんのがなんかそれっぽい
肝心のエロシーンがありませんがどちらでみれますか(迫真)

愛も尻も垣根以外はノーセンキューだ

次安価201じゃろ?渾身デレじゃろ?
なんかホモい目で見そうで怖いから払拭出来そうなのオナシャス

てゆーか何気に来月一周年?俺男だけど>>1の事を愛してるよ

モブとエロい事のプレイ内容の詳細よろしくお願い申し上げます。

まじにホモネタ書くとか乙
価値にこだわるのがそれっぽいんだけどつらい
次は笑えるのがいい

初春の夢かよw
この集団デパートだっけ。幼女監禁してた暗部のやつ思い出す。
安価もいいけどメインのスクールのやつもよろしく。ここのはほのぼのしててすきだ。
1もすきだぞ。

>>367 
初春の夢に垣根がされた事が出てきた予知夢っぽいのじゃないの
未元物資の中身とかリアルでしょ



垣根「お前、またそれやってんのか。楽しいか?」

ゴーグル「艦隊っち、垣根さんもやってみます?」

垣根「どう言うのなんだ」

ゴーグル「よくあるブラウザゲーっス。ユーザー登録さえすればあとは基本無料っス。序盤にレア艦やレア空母並べてもコスト高で運用出来ないんでガチャ建造に課金は必要ないっスよ。資材も弾薬も放っとけば勝手に増えるんで問題ないっス。低レシピと一面周回してとりあえず艦の数を揃えて隊組んでください。序盤は泥のダブりはそのまま取っておいてくださいね。後、艦隊のフラッグシップはなるべくスキルが有利な方が――」

垣根「とりあえず日本語喋れよ」

ゴーグル「実際見た方が早いっスかね。えーっと、色々充実してくるとこんな感じになります。マイペ、母港本部の内装とかも変えられたりしますね」

ゴーグル「この隊の旗艦(フラッグシップ)が秘書艦って言ってここの、ホーム画面に表示されます。ボイス付きなんで色々喋ってくれるんスよ。友軍ってフレンド機能で共有出来るのもこのキャラっス」

垣根「喋んの」

ゴーグル「キャラによってセリフにも個性がっスね。あと結構史実ネタも充実してるらしくて萌えキャラじゃなくてそっち派のマニア受けもいいみたいっス。切り替えがここで……」

カチッ 提督!御用ですか!
カチッ てーとく
カチッ ……しれいかんさん
カチッ はぁい! だぁりん!
カチッ よお! ていとく!
……

垣根「……こいつら馴れ馴れしいぞ」

ゴーグル「垣根さんすいませんそこは仕様なんで我慢してください。断じて呼び捨てにしてる訳じゃないっス」



垣根「ん? これは?」

ゴーグル「あー、これは敵陣のボスキャラっスね。深海棲◯◯姫シリーズ、実はこいつらも色々裏設定があって……どうかしました?」

垣根「いや……何かこのデザインに妙な親近感があるんだけど」

ゴーグル「え。この中二御用達カラーリングモノクロ反転一目でわかるザ・闇落ちみたいなキャラデザの一体どこに? 垣根さんどっちかっていうと闇属性っつうか光系の見た目っスよね」

垣根「何でだかわかんねえけど。こいつらって口ん中も黒いのか?」

ゴーグル「どうなんスかね」



垣根「とりあえずタダでやれんのはいいとして、ちまちまレベル上げんのが面倒過ぎるんだが」

ゴーグル「最初はそうっスよね。そこは作業ゲーの仕様っつうか、でも段々パーティの幅が出てくると楽しいっスよ? DVDとかかけます?」

垣根「何だそれ。時間潰しのゲームの時間潰しって意味あんのかよ。飽きるぞ。飽きる……あー、もう飽きた!」

ゴーグル「じゃあ……俺のところにあかぎっちがすげー余ってるんで一体トレードします? 火力上がればもうちょい経験値のいい面に低レベ連れてっても安定しますよ」

垣根「なんで同じの山ほど持ってんだ。え、ページ半面枠埋まってるぞ」

ゴーグル「イベントとかどの編成でも使えるようにあえて未覚醒のを取ってあるんスよ。一応レア五の子なんで……あと一〇は少なくともプレイヤーランクを上げてもらわないと、コスト不足でまともに艦数揃えた隊が組めないんスけど」

垣根「じゃあ上がったら言うわ。次もログインして、そん時覚えてればな」

ゴーグル「でもこれで垣根さんも艦っち仲間かあ。下部組織にも布教したんであと三人居るんスよ」

垣根「そんなにして楽しいか? 別に複数でやるようなもんでもねえだろ」

ゴーグル「そりゃそうっスけど。みんなでおんなじ話で盛り上がれるじゃないスか。あ、SNSでゲーム用のグループもわけてあるんでよかったら入ってくださいっス。こっちが個別でRPGのと、あとソシャゲと……」

垣根「お前組織の奴らと何してんの」

ドーモ
着任したみたいです。一応。
艦隊っちです。艦これはやったことないんでしりやせん
垣根提督ってしたかっただけ


>>312
昔みさきちが腐ってるSSがあったじゃなぁい?
被害力がなかったからいいけどぉ、洗脳能力でそっちの趣味だと恐ろしいわぁ
食蜂「『強性操作(カテゴリー801)/性的指向対象は同性である』あなたたち、抱き合いなさぁい☆」
とかつまりそういう?こわい

>>313
「超能力者」でやってるから女子軍もふざけあってるよね。御坂は両手に花にきまってんだろ!ばいーんぺたっばいーんだよ

>>314
それだ!

>>315
ドーモ
ありがと>>1も小ネタが好きでね

>>316
でしたねスマンね

>>317
そんなに?!つうかおそれおおくね

>>318
このスレでよければつかんでいなされ つ藁
1もいろいろまってる。一番は原作、派生作品の露出ですよねたしか今日発売日ですよねとうぶん読めませんがね(淀んだ目)

>>319
まてまだあせるじかんじゃない



↑の流れを汲んで個室サロンでカラオケ、ダベりからのホモごっことかしてた筈の暇な日の超能力者たちも落としましょうかね
コピペ踏襲ネタ



御坂「ホモごっこ……って何よそれ」

垣根「なんつーか。どっかでそんなことしてはしゃいだ馬鹿がいて、すげーウケたらしい。じゃあ真似してゲイっぽいこと言ってみようぜ、みたいな流れになってさあ」

食蜂「そんなの面白いのかしらぁ?」

麦野「つうかオマエは組織の人間と何遊んでんだ?」

一方「やだァ、早く挿れてェ?」

垣根「一方通行、お前……いつももっと上手にねだれるだろ?」

麦野「ぷっ」

一方「こォか」

垣根「そうそう。ありえねえよな」

麦野「なにそれおっかし……っ」バンバンバシバシ

一方「ツボにはまりすぎだろ。テーブル割れンじゃねェのか」

御坂「あっ、あんた達ねえ! そんなごっこ遊びがあってたまるかーっ!」

食蜂「全然手で隠せてないわよぉ御坂さん。こう言うのは慣れてるんじゃないのぉ。それとも少年力の高いのがお好きなのかしらぁ?」

麦野「あーっはっはっはっは!!……はーおっかしかった。おいおいお嬢様ったら何カマトトぶってんのかにゃーん?」

御坂「違う違う! 男子ってこう…直接的にネタにするの? まだ黒子のがマシじゃない…って言うかカマ? 何?」

削板「?  何を入れんだ? 気合か? 根性か?」ぐっ

垣根「わからねえんならそのままにしとけ。拳を作るな」



麦野「しっかしまた、上手いことガチっぽいのをやったよなぁ」バシバシ

一方「……ガチ根ゲイt」

垣根「やめろ馬鹿。叩き落とすぞ」

一方「はァ。随分座り心地の悪ィ椅子だ」

垣根「そうやって人の上でふんぞり返ってテメェが格上気取りかぁ? いい御身分だなあオイ」

一方「事実だろォが」

麦野「なーんだアンタら実は仲いいんじゃない? 二人はホモだちって……ふふふ」

食蜂「ぷぷぷ……でもなかなかの傑作力ねぇ。こんな面白いツーショットはそうお目にかかれないわぁ」

垣根「食蜂。お前リモコンこっち向けんなよ? 俺は自分の敵には容赦しねえぞ」

食蜂「何よぉ。冗談力が通じないわねぇ。大丈夫よぉ、何かあっても記憶は消してあげるからぁ」

一方「オマエの頭の電気信号逆流させてやろォか」

御坂「えっ。食蜂、アンタってそう言う……」

食蜂「あのねぇ、私の『心理掌握』はそんなつまらないことには使わないわぁ。『心理掌握』は精神高潔で高尚力のたかぁい私だからこそ許された能力よぉ? 価値を貶めてどうするのよぉ」

麦野「でもその能力だと派閥どころかなんでも好き放題でしょ。逆ハーでも奴隷牧場でも、ムカつく奴を炙ったりとかさあ」

御坂「げ」

垣根「何でお前ってそう、露骨に品がねえんだよ」

削板「牧場であぶって…肉か? でもこいつは人間の頭を操作するんじゃなかったか?」

一方「そォだな。ブタや牛っつうのは偉いよなァ。オマエは根性の曲がった話に混ざンなくてもいいぞ」

食蜂「もう。麦野さんたら見かけ通り下劣力高すぎだゾ☆」

麦野「何だろうね……コイツたまにものすごくムカつくんだけど。ちょっと弾いてみていいかにゃーん」

御坂「気にしなくてもいいんじゃない? 私もよくあるから」

垣根「お前ら、攻撃力皆無のヤツに全力で相手すると悪者でしかねえぞ。少しは加減してやれ」

一方「俺らが言うことでもねェけどな」

削板「そう言うのはな。正々堂々タイマンでやろうぜ!! よっしゃ、表出るか?!」

食蜂「えぇ〜これだけ居て私の味方力ゼロなのぉ?」



席順 

麦 御 食


垣 一 削



御坂「え。さっきの、私たちもするの?」

垣根「何だよ。次はそっちの番じゃねえの」

麦野「まぁ確かにそっちだけじゃヤリ損よねえ」

一方「もォちょい言い方あンだろ」



麦野「それじゃあ今夜はたぁっぷり啼かせてやろうかにゃーん。ねえ? み・こ・と?」

食蜂「あらぁ。私も御坂さんのツンツン顔を蜂蜜色に染めてみたいわぁ♡」

御坂「あはは……ジョークなら、いいんだけどね」

垣根「しっかし……同じ超能力者でも、ここまで違うもんか」

一方「どこ見てンだよ」

垣根「御坂、御坂」ちょいちょい

御坂「何?」

垣根「ちょっとそこ代わってくれよ」

御坂「いいわよ」


席替えタイム

麦 垣 食


御 一 削




御坂「うわぁ」

一方「なァーンか途端にいかがわしい店みたくなったなァ」

垣根「超能力者を侍らせるクラブとかあったらすごそうだな」

食蜂「『みーちゃん』を御指名ありがとうございまぁす。サービスしちゃうゾ☆」

麦野「お客さんいい男ね。もしかして同業?」

垣根「バレたか? って誰がホストっぽいんだよ」

一方「いや。どォ見てもオマエだろ」



垣根「よっしゃ。何でも好きなもの頼めよ。支払い? んなもん気にすんな」

食蜂「お兄さん太っ腹ぁ☆ うれしいわぁ。じゃあフルーツの盛り合わせとぉ」

一方「DXチキンバスケット。ソースはハバネロにしろ」

御坂「じゃあ、私はオムライス」

垣根「何で俺の横に座ってもねえお前らが真っ先に注文してんだよ。せめてシェア出来んのにしとけ」

一方「さっき上に座ってやったろォが。充分過ぎる釣りが出ンだろ」

麦野「やだ。シャケ弁置いてないじゃない」

垣根「こんなとこに普通ねえよ」

一方「幕ノ内じゃダメか」

麦野「邪道ね」

御坂「へえーお弁当はあるのね」

削板「おっ、垣根のおごりか? ありがとな! よーし、根性入れて食うぞ!!」

垣根「はぁ。そいつに端末独占させんなよ?」



食蜂「やだぁお兄さん、おさわりは別料金よぉ?」

垣根「ちょっと当たった程度で金とんのかよ」

一方「払えばいいってのもどォなンだ」

麦野「ちょっと操祈大丈夫だった? こんな野郎に肩なんて触られて」

食蜂「平気よぉ。もぉ、沈利さんってばぁヤキモチ焼き屋さんなんだからぁ♡」

御坂「あ。それまだ続いてたの」

垣根「そう言えばお前ら女子校なんだよな。本当にあんの? こう言うの」

御坂「それは、無い……わけじゃないけど。でもでもほとんどの人は普通よ?!」

食蜂「御坂さんには熱烈力全開なファンがいるのよねぇ」

麦野「ふーん。じゃあ学校で『お姉さま』とか呼ばれちゃってるわけ?」

食蜂「そうそう。モテる美人は大変よねぇ?」

一方「へェ」

御坂「なっ何よお。馬鹿にしてんの?」

垣根「いやー。すげーな?」

削板「お前らぁ、よってたかっては根性が足りてねえぞ!!」

食蜂「ひゃん?!」

麦野「いきなり怒鳴るんじゃねえよ。何、アンタまだ居たの」

御坂「これだけ存在感があるのに、そう言えば静かだったわね」

削板「料理が来たのに誰も食わねえからメシくってましたっ!」

垣根「あーっ! エンデュミオンバーガーがすでに半壊してるじゃねえか」

削板「うまかったぞ。食うか」

一方「あァ、一番下はもらったぞォ」


削板「お前らの話は聞いててもよくわかんなかったけどな。つまり麦野も食蜂も御坂が大好きで、垣根だって一方通行が好きなんだろ?
数字の順番だけじゃねえ、コイツはすげえヤツだってビシっと感じてんだよな!!」

食蜂「なーに言っちゃってるのかしらぁ」

麦野「誰がだよ。死ね。面白オブジェに変えてやろうか」

垣根「キモいこと言うな。ばーか、死ね。愉快な死体になりてえのか」

一方「お、この肉うめェな」

御坂「限定ゲコ太コースター付き? いつの間にこんなメニューが……!」



削板「うるせえ! 同じ能力者としてお互い認め合える存在ってのはそうないんだからよ。
お前らへらへら誤魔化してないでてめぇの気持ちに素直になりやがれ。もっと根性、入れろよ!!」

麦野「お、おう。ついうなずいちゃったわ。何コイツ」

垣根「無駄に暑苦しいよな」

御坂「べっ、別にそう言うのは……間に合ってるって言うか……」

食蜂「超能力者って野蛮力の高い人ばっかりよねぇ」

一方「……そォ言うオマエはどォなンだァ」

削板「俺か? 俺はお前らみんな好きだぜ!! 根性のすわった、いいヤツらだ!!」ドバーン!!

垣根「あ。ダメだこいつとは話があわねえ」

麦野「同感。私らとは相性悪すぎね」

一方「体育会系青春ノリの元暗部とかシャレになンねェよ」



御坂「いやー、ここまで突き抜けてるといっそ清々しいわね……って、食蜂下向いてどうしたの?」

食蜂「なっ何よぉ。私が御坂さんのことどぉ思ってようが関係力ないでしょぉ?」

御坂「は?」

食蜂「御坂さんはいいわよねぇ。いつも元気で、健康的でぇ。動物的でぇ、わっ我儘力は高いしぃ……ヒック」

一方「なンでアイツ半泣きなンだ?」

食蜂「みじゃが……グスッ、ど」

御坂「ちょっと待って食蜂! どうしたのよ落ちついて話し合いましょう?」

食蜂「……みさきちゃん、って呼んでぇ?」

御坂「 」

麦野「 」

垣根「いや、引きすぎだろ。何だその面。麦野、お前女としていいのかそれ」

削板「おう! なんだお前ら青春してんのか? いい根性だぜ!!」


食蜂「うっ、グスッ……ふぇえ」

一方「あーァ。御坂が泣かしたぞ」

御坂「えええ?!」

食蜂「ひっく、御坂さんがいじわるなのぉ…好悪付与、印象操作ぁ……」

垣根「おい待て何か妙だ。リモコン持たせんな」

麦野「止めなさいって。それ御坂には効かないんでしょ?」



御坂「あー。はいはいよしよしいいこいいこ頼むから大人しくしてなさいよ?」

食蜂「えへへぇ。こっちはふわふわねぇ」

麦野「はいはい。ねえ、なんなのこの子。明らかに変でしょ」

一方「その系統の超能力者が精神操作はされねェだろォし……オマエら、まさか酒は頼んでねェよな?」

垣根「超能力者は全員学生ってのは常識じゃねえか。んなバレたら一発で廃業にされそうな部屋に酒なんざ向こうが持ってこないだろ……いや」ハッ

麦野「おい。何でこっち見た」

垣根「お前コンビニでも問題なく買えそうじゃん」

麦野「テメェに言われたくねえよ!!」

垣根「はぁ? 酒なんて飲んだら気軽に能力使えねえだろ。飲んだら飛ぶな、飛ぶなら飲むなって言うだろうが。
ちょいとよそ見程度で起きちまう事故の規模が、俺たちは車の比じゃねえんだぞ。そんな馬鹿が許されんのは無能力者ぐらいだろ」

麦野「普通は飛ばないけど。まあ確かに狙いはマズくなるわよねえ」

御坂「子どもがお酒はだめってぱ、親に言われなかったの? ……って、ちょっとこれ何とかして!」

食蜂「ほらぁおいしいわよぉ? あーんしてぇ」

削板「そう言やフルーツポンチみたいなのがやけに消毒薬臭かったな。根性出しても流石に食えなかったぞ」

一方「あァこれだな。ン……ガッツリ酒の味がすンぞ。ちょっとそいつ貸せ」

食蜂「なによぉ触んないでよぉ」

一方「血中アルコール濃度が〇.〇八はあるなァ。立派な酔っ払いだ。ったく、もしガキが食ったらどォなってたか」

麦野「ビール一、二本空けたくらいか。ああ、確かに強いキルシュがそのままぶち込んであるわ。マチェドニアにしてもやり過ぎ。バイトのミスじゃないの。まあ……味はいいわね」

御坂「……ねえ、コイツって」

垣根「しっ。黙っとけ」



削板「なんだ根性の抜けた店だな。食蜂は大丈夫か?」

食蜂「うふふーみぃさかさんつかまえたゾ☆ ぎゅー☆」

御坂「この通りぐでんぐでん。ちょっと、重いわよ」

垣根「いざとなったら俺とお前で押さえるか。洗脳ってのは『反射』出来るもんなのかわからねえしな」

削板「お前らは俺のことを普通じゃないと思っているようだが、根性で何とかなるだけで怪我もするし骨も折れる生身の人間だからな。
あと根性あるやつの洗脳はまだされたことがないから、俺にもどうなるかはわかりません!!」

垣根「よし。今すぐそいつの鞄とリモコン全部取り上げろ。ついでに腕も縛っとけ」

食蜂「だ〜めぇ〜。これはぁ、みいちゃんのだいじだいじなのぉ。それにみんなぁ仲良くしなきゃダメなんだゾ? よい、しょ」

御坂「いい加減に……しろーっ!」ビリビリッ

麦野「危なかったわね。でも食蜂落ちたわよ、ってアンタどうしたのよ一方通行、フラフラじゃない」

一方「……気持ち悪ィ」

垣根「一口でそれか? 耐性なさ過ぎだろ!」

麦野「本当に虚弱ねコイツ」

御坂「顔どころかあちこち真っ赤じゃない。平気?」

一方「ン……駄目だなァ。御坂が四人に見える」

麦野「それって少ないくらいじゃないの?」

削板「何でだ」

麦野「……ただの冗談だっての。説明なんかしたら笑えないわよ」

垣根「あー、もしもし。ええ。実はそちらの料理に問題がありまして至急お話ししたいことがあるんですよね。こちらはプラチナボックスの部屋番――、そうだよ。こっちは超能力者だ、とっとと責任者と担当よこせコラ」



削板「大丈夫か一方通行。座れ、水飲め。根性入れるか?」

一方「頭、割れそォ……左右に」

削板「なんか背中から黒いの滲んできたけどどうすりゃいいんだ? このままさすってたら消えるか?」

垣根「それは根性でどうにかなるもんじゃねえ。そいつもそのまま落とせ。ここを更地にしたくなけりゃ、大至急だ」

削板「任せろ。よっこいせ!」ゴシャッ!

御坂「……ねえ、大丈夫? 今嫌な音しなかった?」

削板「峰打ちだ安心しろ」

垣根「でもさ、峰打ちでも骨くらい折れるんだろ」

麦野「こいつの馬鹿力にモヤシ体型じゃ……最悪、全身イッてんじゃないの」

御坂「でも……ああ、いざとなったらゲコ太先生がいるわね」



マネージャー「お客さま、大変お待たせいたしました……本日はまことに……」

店員「申し訳ございませんでした!!」

御坂「さーて。おかげで色々大変だったのよねえ。今から聞かせてあげるけど」

垣根「こっちは二人やられてんだ」

麦野「それなりの落とし前はつけてもらおうかにゃーん」

削板「物騒なこと言ってるが安心しろ。こいつらだってきっと話せばわかるさ。お前ら二人の根性は見届けてやる」

麦野「おい」

垣根「削板」

削板「ん? ああ!! やいっ、歯ぁ食い縛れ! その根性叩きなおしてやるぜ!! よーしこうだな?」




食蜂「ふふふ……、りー……そんなに走ると転ぶわよぉ」スヤスヤァ

一方「……ボケッとしてると置いてくぞォ?……と……だー」クカァ



お酒は20歳になってから!!
御坂家では大人になっても異性がいる時に酒は飲むなってきつく言われてそう

あっちこっちで大事にされてる御坂家のいもうとさんだけど実は御坂遺伝子には相当なモテ法則因子があるんじゃないのか。上条さんにはそげられてるだけで
あの子は冥土帰しのところにでも入ればお見舞いくらいは出来てそうなんだけどね?

それではみなさま良い発売日を
じゃあまた

俺も艦コレ知らないけど、垣根はWW1時第二位の海軍国ドイツ帝国が似合うかも。最後第一位の英国に敗けるし

深海棲艦にシンパシー感じんなやwwww
というか色々ツッコミが追いつかないがこれだけは言わせてくれ、
酔っ払いみさきちかわええええええ
ありがとう!ありがとう!!

ワロタw
垣根ゴーグルに甘いし
黒翼でてくんのちょろいし
麦野おまえもうだめだろww
ここのレベル5ぶっ壊れてていいな

……おかしい、垣根と削板が常識人に見える
確かに原作での言動も一方や麦野ほどぶっ飛んでないけど

すごく良かった。やはりゴーグルへの愛が溢れている。

何このみさきち可愛い

仲良しレベル5って好きだけど
この面子だと常識通用しないホストが常識的だったりすることが多い謎

>垣根艦これ
曙「このクソ提督!」 垣根「あ?」
解体不可避

垣根はドMで苦労人だからな他の連中とはそのへんの差がついてしまうんだろ
中身は一番幼いけど

垣根と麦野がうける
>垣根「こっちは二人やられてんだ」
ってやったのお前らだろ!
削板も空気読めるんだなw

>>200についてあれこれとレス


>>1は激怒した。
必ず、かの邪智暴虐>>200の安価に片をつけねばならぬと決意した。
>>1にはエロSSがわからぬ。
>>1は、ただの暇人である。
さもないSSを書き、スレで遊んで暮して来た。
けれども初めて振った安価に対しては、人一倍に敏感であった。
って具合にあえて別ベクトルにガチなやつでやっつけたがご好評でなにより。

>>356
何をいっしょうけんめいやってんだろうと何度か我にかえったがたのしんでもらえたならいちもうかばれるくさばのかげでがっつぽーず。
垣根には悪いことしたね犠牲はつきものなのだわ。

>>357
書きましたー!

>>359
別に書いてないとこはお好きにドーゾだわ。黒幕ブッ殺エンドでもまさかのドナドナでも構わんよ。垣根にとってムカつく結果になったのは間違いないだけで。
しりあすって…え?シリアスって?
ちょっと上手いこと言ってんじゃねーw

>>360
元ネタこれか!一つ賢くなったありがとう。
そうかかわいいのか流石垣根は未元物質なんでもカバーするね。ありがとありがと。

>>361
垣根の口を塞いだらモブが無駄にやかましくなった。個性的な口調は楽でいいなかまちーは天才だな。
垣根がひどいことをされるシーンは都合削減した。でないとどんだけ長くすりゃいいのかわからんし切ってよかった気もする。
投下で三時間は正直ツラかった。
当時の全容なら『スクール』で回収しただろう撮影時のテープか、『滞空回線』にログがあるのでは、と1は『電話の相手』に見してーって言えばいんじゃないかそもそもネタでパラレルだけどなと無理を承知で進言します。

>>362
安心しろ。グレーゾーンなんて温いことは言わねえ。次の安価は真っ黒だ。
本編じゃやらないことを安価でしようぜネタに走るよ。だから次のも前のも気にすんなそのあとなんかどうするんだいレッツ常盤台だよ。

>>363
まさか一年も続くたあ驚き桃の木にしたって気が早くね。
つかなにこの流れ告白大会なの?そうか1はな…キリンさんがすきですでもかまちーはもーっとすきです!だから三期をよろしく。

>>364
詳細か

一人目主にバック、長音の人。恐らくこの中では一番ノーマルな趣味をしてるが子ども相手に暴力振るってもむしろ喜んじゃうタイプなので軽蔑すべきクソ野郎。巨根遅漏守銭奴の三重苦。

二人目拘束・SM、逆にの人。きっと機械工作が好き。相手が死ななきゃ何してもいいとか思ってそうな軽蔑すべきクソ野郎。他が濃すぎて影が薄い。

三人目BUKKAKEetc、ヤク好きの馬鹿の人。
調子こくとてきとうに薬盛っちゃうし『素材』の自爆補填が一番多い軽蔑すべきクソ野郎。ジャ◯顔のクズ。

四人目眼鏡の人。小さい時なんかあったっぽいが今では小さい子にひどいことするのも見るのも好きな立派な軽蔑すべきクソ。ロリペド教師予備軍
描写がほとんどないのはめんどくさくなったからではなく一人だけ安価内容にそぐわない為。とか言う勝手なこじつけで最終的に属性も変更。

最低限の描写でリンカーンっぽくしようとプレイのバリエーションだけでほわっとごまかした感があるんだが、かったるかったりエロがかけなかった訳ではありますん。
こう言うことが聞きたいんじゃないんだろうけど。心配するな自覚はある。
あんま考えてないからご丁寧におねがいされましてもお答えできかねます。
>>1が書いてないことは妄想暴走お好きにドーゾ。

>>365
乙ありです。
まって誤字からのダブルミーニングつらいやめて。

>>367
どの花飾り風紀委員さんでしょうね。4コマからだっけ?腐ネタがあんの。
需要があんなら供給があるのかなと思って『雑貨稼業』さんをパク…インスパイアしました。
ありがと。本編も頑張って進めるわ。
>>1も垣根が好きだよ。

>>368
夢が先か事件が先か。さてどちらなんでしょうね。
『守護神』は『対空回線』の夢を見るか?でもいいと思うしAIM拡散力場がどうのでもいいと思う。


>>383
Marchenな第二位だけにか。
軍服ってかっけーよね!垣根はうまく乗せたらコスプレとかしてくれるとおもう。

>>384
あの白ベースオレンジ目とかが何となく垣根ホワイトを思い出してしまった。クレイジーサイコホモ気味なレーズン垣根は元気にしてっかな。
みさきちかわいいよな。でももしかしたら麦野も酔うとかわいいかもしれんぞ。


>>385
黒い翼は、レッドブル飲ませたら…ってのもやろうと思ったけどやめた。
しっ!
麦野はもう原作からしてワガママワンマン女王様だから。
多分このメンツでも麦野と削板は他人と会話のキャッチボールをしないと思う。きっと投げっぱなしだろあいつら自由だよね。
多少の壊れはギャグってことで。尖らせてる自覚はある。

>>386
やばいぞ非常識&非常識がまともにみえてくるなんておかしな集団・超能力者に毒されてるぞ早く冥土帰しに診てもらった方が良さそうだね?
超能力者が全員ずーっとぶっ飛んでるとやばいよ。誰か上条さん呼んでこいだよ。
まあ一番ちゃんとした良識があるのは美琴ちゃんだよね。

>>387
え?はい、ドーモ。
おかしいなやつを愛でたつもりもさせたつもりもないぞ。
でもゴーグルがいないと『スクール』は任務以外のイベントが起きない感がやばいから大事にしたいと思います。狂言回し大事。超大事。
垣根と心理定規二人にするとそのまま会話なくても別に平気そうなんだもん。

>>388
みさきちほんとかわいい。超電磁砲ドリー編ですっかりファンになりました。
でもここ最近禁書で一番萌えたのはやたらとパワフルなおじいちゃんとカッコイイ犬です。どうしようorz

>>389
うぃき先生に聞いてきた。解体だ……僅かな資材と装備を残してバラされてしまうんだ
ギャグやらせるとツッコミ・ストッパー役=常識人みたいにみえてしまう気もする。
上条さんとか御坂もそっち寄りっぽいよね。
とかもっともらしいこと考えてみたけど。
見た目ホストっぼいから周りの面倒見せたりまとめさせても似合うんじゃないか?
あとあの中で、外面は一番いいとおもう。

>>390
そうなのか。まあ原作の扱いは、うん。仕方ないよね

>>391
垣根「正当防衛ってしってるか。やられる前にやっただけだ」
ソギーはいいやつだからな!


強すぎる一撃には反動がつきものらしい。
ポケモ○の破壊光線の1ターンスタンよろしく、ホモネタを戦闘シーンにすり替えるために地の文を費やした1の精神は非常に落ち込んでいた。
その為何が生じたかというと。
苦労して前回薄めたホモ成分を超えるひどいものが出来上がった。

なので次の安価レスはデレるどころかひたすらホモネタ大喜利をする垣根です。今度はほぼご機嫌です。よろしく
どうしてこうなった。本当に。

とまあこれだけじゃなんだから次小ネタ。
ちょっと時期外れだけどパズデックスのあれ。


謎解学園てきななにか
※一方さんが会長のあれ。まさかの2本目
※諸々あって『スクール』は風紀委員をしてます


登校時


ゴーグル「はぁ。昨日の小テストが上手くいかなかった。また放課後補習とかになったら嫌だー」

青ピ「ボクはちゃーんとやったで? 赤点ギリ回避!」

ゴーグル「担当が男だからやる気出してるんじゃないよな?」

青ピ「はっはっはー。その通りっ! 野郎に叱られてどないせっちゅーの! ってセンセんとこは確か……
第二外国語、オリアナ先生やん! マンツーマンで個人レッスンとか?! うーわー出来るんならして欲しいわ」

ゴーグル「はぁ。そんなの考えただけでツラい。そうなったら委員の仕事を盾にしてでも断固回避するぞ」

青ピ「あれ。センセ、なんやテンションえらい低くない?」

ゴーグル「ああ言う激肉食系女豹女子はあんまり……男子学生が露骨な下ネタ大好きだと思ったら大間違いなんだって」

青ピ「あー、センセの好みはおとなしい子ぉやったね」

ゴーグル「そうだよ……青ピ君とこの、姫神さんとか」

青ピ「姫神が?」

ゴーグル「ど真ん中ストライク……黒髪ロングストレート、清楚系で薄幸美人とか何だよ属性フルコンプじゃないのか?! あー、もう王道最高!!」

青ピ「そうやったん? でもセンセ、ウチのクラスはほぼカミやんフラグが済みになってるから難しいんやないかなあ」

ゴーグル「現実に高望みはしないから。同じ学校にあんな子がいるってだけで俺は充分です。心のオアシスっス」

青ピ「またそんな謙虚なことを……どう? 今度帰りにみんなでお茶しまへんか~とか。誘ってみます?」

ゴーグル「えっ!」

青ピ「ボク同じクラスやし声かけたってもええよ? あ、ええんやでそんな気にせんでも! ボクとセンセの仲やないの!!」バシバシ

ゴーグル「……何が目的だこの野郎」

青ピ「え? どうせならセンセも女の子連れてきたってな~。Wデートっ! あの、風紀委員の副委員長さんとか!!」

ゴーグル「あの子まだ中学生だぞ?」

青ピ「せやから?」

ゴーグル「……ようじょとかよりはいいんだろうけどさ。幾らなんでも委員の身内は売れねえっス。青ピ君も、いい度胸してるよな。風紀委員とフラグなんてもう立たないんじゃないか? 
職質の常連通り越してそろそろブラックリストに入るっスよ」

青ピ「ボクのことをしらん子は風紀委員に居らへんってことやね!!」

ゴーグル「前向きだよなぁ。それより俺の居ないとこでしょっちゅう問題起こさないで欲しいっスね」

青ピ「なんで?」

ゴーグル「女子の風紀委員から俺に苦情と未処理の報告書が押し寄せるんス。すっかり俺が専用窓口っつうか。
おかげで無駄に忙しい…ん? いや、一度くらい委員長直々に徹底的にシメてもらえばそんな気もなくなるかもしれないよな? 早速見回りの強化をしてもらって――」

青ピ「いやー! センセにはいっっっつもお世話になってます! このとーり!! もー、んなイジワル言わんといて? な? あのセンパイさんおっかないやんイケメンやけどっ!」

ゴーグル「あ。噂をすればあんなところに垣根さん」

青ピ「おーっとじゃあボクもう行くわー、さいならっ!」




シェリー「よぉ。垣根」

垣根「クロムウェル先生。おはようございます」

シェリー「お前のこの前の課題。なかなか良かったぞ。細部の造形まで良く仕上げたじゃない。お前の創作は見事だよ、迫力の完成度が違う」

垣根「ありがとうございます」

シェリー「ただなぁ。芸術にはもう少し遊びがあっていいぞ。作品にもっと熱を込めてみろ。面白くなるわよ」

垣根「……そうですか」

シェリー「お! おーい削板!!」

削板「おおっと。おはよーございますっ!」

シェリー「うふふ。おはよう。朝から調子がいいらしいな、作品にもよく出てるよ」

削板「『根性は爆発だ!No.20』か。あれ? でも先生は絵が好きなんじゃなかったのか」

シェリー「そうね。確かに、前作の大胆な空間の使い方。あれも良かったがお前は筆を鑿に変えても魅せるねえ……お前、本格的にこっちに進む気はないの?」

削板「うーん。俺は体動かすのが合ってる気がすんだよなあ。作って遊ぶのも嫌いじゃないけど」

シェリー「まあ考えときなさい。色んな道があるからね。しばらくは立体作品が続くけど、筆がとりたくなったらいつでも言いな。美術室を好きに使っていい。居残りどもと一緒でよけりゃあな」



ゴーグル「垣根さんおはようございます。はー、人って見かけによらないんスね」

垣根「わっかんねーな。いや、理解したくもないけどさ」

削板「お、お前ら!  オッ   ス !  !」ビュオッ

ゴーグル「あー、走っては…ないんスね。なんだあれ新技か?」

垣根「なあゴーグル」

ゴーグル「はい」

垣根「昼休みが、楽しみだな」

ゴーグル「俺は既に胃が痛いっス」



放課後



上条「ううう……二時間格闘した粘土の上に道具をひっくり返してしまうとは。我ながらなかなか不幸だ」

上条「流石にまだ居残りしてるのは俺たちくらいだな。みんなぱぱっと終わらせちゃうしなあ」

一方「連日居残り皆勤のオマエと違って俺は忙しいンだ。誰かさンが年中データをブチ消したり書類をダメにしてくれるからなァ。放課後にそンな時間がねェ」ペタペタ

上条「上条さんだって……無差別にそげりたくてゲンコロしてるわけじゃありませんっ!」

一方「そォですか。それより進んでねェ現実をなンとかしろ」

上条「むしろまた潰したんで後退してます。ちくせう。自由課題だからな。もう、長く伸ばしてイモムシってのはどうだ。いやーでもみんなすごいな。なかなかの力作だ」ウロウロ

上条「お。一方通行の方はどう……」

一方「ンー。こォ、か?」ペタペタ

上条「…………」ゴクリ

一方「……なンだよ」ガリガリ

上条「えーと。これはなんと言いましょうか……か、かわいいな?」

一方「……ン。まァな」

上条「えっと、それはペンギン……か何かでせうか?」

一方「はァ?」



垣根「うらー下校の時間だ。いつまで残ってんだ……って、テメェらか。何だ何だ? 生徒会役員様が授業の居残りですかあ」

一方「なンだオマエかァ」ぐにゃー

垣根「……へぇ」

一方「なンだよ」

垣根「いや? もうちょっとここは短くしたほうがいいんじゃねえの」

一方「うるせェ。余計なお世話だ」のばしのばし

上条「(垣根)」

垣根「あ? (何だよ)」

上条「(あれ、何だかわかるのか? 上条さんはさっぱりですが)」

垣根「(え。最終信号だろ?)」

上条「はぁあああああ?!」

一方「上条、うるせェぞ」ガチャガチャ

上条「あの何とも名状し難い粘土の塊が、打ち止め……? なんでわかったんだ」

垣根「あのアホ毛っぽいのとか、顔の割にやたらデカい…目…なのか、あれは? その辺のバランスがなんとなく…だな。
いや、相手があれじゃ断言は出来ねえぞ」

シェリー「お前ら今日はそろそろ終わりにしろよ。お、一方通行のも仕上がってきたじゃない」

一方「あァ」

シェリー「うんうん。お前の作品はエッジが効いてるな。そろそろ名前は考えたのか? 作品にはタイトルも大事よ」

一方「そォだな……」

垣根「(何だ、何がくる? 俺の読みは一体どこまで通用するんだ)」

上条「(もし本当にそうだったらかわいそうだが本人には見せてやれないぞ)」




一方「……『道端の犬』だな」

上条「犬?!」

垣根「マジかよ!!」

上条「犬だったじゃん! 大ハズレだぞ」

垣根「これが……犬、だと……? 上条、ならテメェは何だと思ったんだよ」

上条「ペンギン」

垣根「は。俺の勝ちだな」

上条「何でだよ」

垣根「同じ哺乳類だろ」

上条「そこ? いやいやお前のほうがひどいぞ? これと一緒にするなんてかわいそうだ」

シェリー「盛り上がってるとこ悪いけどなあ上条。そろそろ何か提出してくれないとアンタの今学期の成績がつけられないのよ。これまでまともな作品がゼロじゃねえ」

上条「え」

一方「言っとくが次の会議は休ませねェぞ。記録係が不在じゃ話にならねェ」

上条「はい?」

シェリー「途中点でもいいけど……これは、流石に作り直すだろ?」べしゃあ

上条「マズい。このままでは技能教科の成績まで……なぁ、垣根」

垣根「はい。三階の施錠は終わりました。生徒の退去の確認を終え次第戻ります」ピッ

上条「垣根! 頼む助けてくれ!」

垣根「何だよ。んなきたねえ手で触んなよ?」

上条「なんとか粘土をこねるから、出来上がった奴が『何があっても壊れたり変形しないように』してくれないか? 
上条さんは何度も何度も、何度も何度も! やり直すのはもう耐えられません!」

垣根「嫌だ」

上条「何でだよ」

垣根「俺は風紀委員、テメェは生徒会。俺は自分の敵には容赦はしねえ。残念だったな」

上条「そん……なぁあああああああ!」

一方「まァ、そンなに凹むな。俺はそろそろ終わるからな」

上条「へ」

一方「少しくらい…いや、時間があったらだけど……よォ」

上条「一方通行……おお、上条さんの心の友よ!!」

垣根「削板のって……これか?」

シェリー「うふ。うふふふふ。ああ。私も教師になって初めてここまでの才能の『原石』を見つけたわ。二五〇年に一人の逸材と言っても惜しくないくらいだよ」

垣根「やべえ。微塵も良さがわからねえ。前衛的にも程があるぞ」




後日

ザワザワ

青ピ「カミやん……またえらいもんを作り上げたみたいやね?」

土御門「実はカミやんもそっちサイドだったとはにゃー。邪神像が増えてるぜよ」

上条「ハハハハハカンセイシタノニフコウダー」



ドーモ。
最近こんなんばっかで悪いな。

シェリーさん美術の先生にしてしまったが宜しいか。
第一位が実は画伯属性持ちだったら爆笑して愉快なオブジェになる。
でも、何でも出来る奴よりプラス欠点があるとおいしいだろ!
イケメンだけど羽が生えたりよ!!

じゃあまた

イケメンな上に羽が生えるとか利点でしかないだろ!いい加減にしろ!

垣根は美術作品は意外と堅実なのか。常識が通用しないピカソみたいな感じかと思ったが

まとめで一気に読んだけどどれもネタ多くてスゲー笑ったw
ホモのも普通に面白かったし
電話の男にデレてる垣根ははじめてみたかも
もっとえろくてもいいよ
ここの1の垣根愛はすんごいな
頭んなかどうなってんの

相変わらず垣根への愛に溢れていて良かったよ。
このスレ見てからゴーグルも好きになってきたが、原作ではもうほとんど出番ないんだろうなあ……

ていうかもう死んでるし

セロリ画伯ワロタwwww
セロリもデレてるしみさみこ百合とかほもとかあれか
イッチは両刀か

垣根は能力に反して自分自身は常識から脱却できてない感じなのも似合う気はする
万能秀才だけど突き抜けてなくて、それが二位の壁っていうか

非常識を極めるにはそれだけ常識、当たり前の概念に精通してないとな、と思わんこともない
極論だけどそれらの真逆が常識外の事だし

そういえば垣根って何歳なんだ?
校門で制服チェックしてる垣根におはようございます先輩って言われたい

あと白井が同じ学校で生徒会だと初春と垣根は同じ支部になるのか?帝春来る?

風紀委員の支部は学区内の幾つかの学校でまとまってんだっけ?同じ学校なら一緒だよな
トラブルのない垣根と初春の出会いは新しいかも
でも削×垣、一×上で薄い本のネタにされる未来が見える

その後、さらに垣根に頼み込んで粘土を固めて貰うもげんころして不幸だーの展開が見える

邪神化する前に軌道修正出来なかったのかよ
>>411
セロリ作だって知ってたら固める前にぶっこわしそうじゃね?

青ピの気持ちがわかる
垣根になら放課後個人指導して欲しい
風紀めっちゃ乱れてるから直してくれるよな風紀委員さん

>>1マダァ-?
(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン

>>1マダァー?
(U)←チンチン

>>1マダァー?
 ∩
( 人 )←チンチン

垣根提督ネタで思ったけど
艦娘の台詞を提督(役職)→帝督(名前)に変換すると
なんか親密度とか関係性が違って見えてちょっとニヤニヤできるな

生真面目な感じの台詞も名前呼び捨てだと途端に甘く聞こえる

ちゃんと考えようと思うと提督として着任させること自体が難しくてやれるネタじゃねえなあって断念したが、深海側で提督やらせんのならアリかもな
というかレ級やほっぽちゃんに懐かれる(物理)ホワイトが見たい

15巻後~新訳のパラレルで、黒垣根モドキ的なのが深海棲艦の発生原因
それに対抗するための未元物質製自律兵器が艦娘
艦娘の統率・運用のために脳みそ分割から復活させられた垣根が提督に着任
学園都市に付けられた枷のせいで本人は戦えない&提督やるしかない(資源に使う未元物質も制限)
鎮守府は学園都市が作ったメガフロート的な

禁書ベースならそんな感じの設定も考えたことあるなぁ
深海側の方がハマる気もするけど、また一方通行あたりにやられる未来しか見えなくて…
艦これベースならなんやかんやあって提督になりましたでいいんじゃね?(適当)

さすがに艦これはスレ違いじゃね?
>>1も別にやってないんでしょ
それよりデレる垣根はよ

別にここの1はほっといても書くだろ

スピンオフの方でもいいから漫画にスクール出ないかな


我がもの顔でカンカン照りだった太陽が少し傾きはじめた夏の昼すぎ。
とあるマンションの一室、その中でも一番日当りのいい窓辺に置かれたカウチソファ。
その上に寝そべっていたのは背の高い少年だった。
超能力者、垣根帝督は持て余し気味な長い足を組んでいた。ちなみに靴は履いたままだが、能力でちょっと工夫すると靴底なんて汚れないんだと彼は組織のメンバーに自慢げに語ったことがある。
女子なら真っ先に避けそうな紫外線直撃スペースで、彼は涼しい顔してくつろいでいた。
やかましいセミの声も屋外のうだるような熱気もここまでは届かない。
そのかわり室内にはプラスティックやカーボン、アルミ。
硬質な小さなものの擦れあう無機質な合唱が響いていた。
その中心点からふと、気の抜けたサイダーのような声が上がった。

「あれ……そう言やさっき…心理定規来ませんでした?」

「バイトだって言ってたろ。さっきって、もう一時間は前じゃねえか」

「そー…でし…たっけ?」

やる気、というか生気のない声で答えるゴーグルの少年。
カウチに背をあずけていた垣根は顔を上げると、その背中に目をやって顔をしかめた。

「お前いつからそれなんだ」

別に『スクール』の用事があったわけではない。
この隠れ家の一室で垣根が寛いでいるところにたまたま心理定規がやってきて(彼女はついでだと言っていた)、ゴーグルの少年はリーダーが来るよりずっと前から私用で室内を占拠している。

頭の装置から腰まで垂れ下がったコードに囲まれた姿は何だかクラゲのロボットにでも乗っ取られたようにも見える。SF映画に出てきそうだ。
猫背気味に丸まった背中もまるでゾンビのようだった。
パソコンのモニタに視線をはりつけたまま、B級ホラーものっぽい異様な雰囲気をかもしだしている少年は声だけで返事をする。

「昨日の夜っス。いやー、四つのゲームのイベント開催が被った上に、どうしても出ない素材があって。このままだと揃わないんでもう追い込みかけんのに必死です。あ、ちゃんと寝てます。二時間机で」

口調はだるそうだったが、腕から先はまるで別の生き物のように素早く動いている。
手元の携帯ゲーム機、二台並んだパソコン。
どれもシーク音を立ててばっちり働いていた。
頭に装着したゴーグルで同時に幾つものゲームをすすめているのだろう。
恥も外聞も、尊厳さえ捨てたような姿勢でゲームに打ち込む姿はまさに『廃人』と言う言葉がぴったりだった。
そこまで聞いてねえよ、と垣根は呆れたように首を振ると視線をてのひらのスマートフォンに戻した。


少年は腰の機械のスイッチを切ると、ケーブルを外してゴーグルを取った。
疲れているのかだらけた様子で息を吐いた。
グシャグシャと頭をかいて両手で目元をこする。

「あ゛あ゛あ゛、ちくしょー物欲センサー爆発しろ」

ぐちりながら近くのビニール袋からペットボトルを取り出すと薄オレンジの液体をぐーっと飲み干す。
カフェインたっぷりのエナジードリンクと電解質バランスのいいスポーツドリンクでカクテルを作ると効きがいいと言うのはよくある噂だが。実際どうなんだろうか。
プラシーボなんてものでも馬鹿にできない効果はあったりするが、怪しいところだ。
そんな体によくなさそうな色をしたドリンクをうまそうに飲むと、少年は腕と肩を伸ばしてからもう一度ゴーグルを手に取った。
位置を合わせて頭にかぶり、コードを順につないで。
何気ない動作で。
スイッチを入れた。

「……あ」

ヤバい、と声にする前に。
後ろのローテーブルに置かれたタブレットの上で。
ぐしゃぐしゃとタッチペンが潰れていった。

「あーーーーーーー! またやったぁあああああああ!!」

悲鳴を上げたゴーグルは勢いよく立ち上がる。
ガシャッ! と派手な音を立てて椅子が転がるが、彼は構わずそのままタブレットの前に走っていく。

「あああああああ……よかった、ひとまず平気みたいで」

「何騒いでんだよ」

「危うくこいつをお釈迦にするとこでした。無傷って訳にはいきませんでしたけどギリセーフですよもー」

タブレット端末は液晶に傷とひびは入っているが、動作そのものに問題はないらしい。
被害は、その上で『念動力』によって操作されていたペンに集中していた。
金属製のペンの軸は乱暴にもみ消した煙草の吸殻のように変貌していた。


「うっかり『目』を離すと切り替え時の再設定しくってたまーにやるんス。あー、集中力切れてんなー」

残念そうに言いながら、少年は端末の横のケースから別のタッチペンを取り出した。
一度、ウエストポーチのように巻かれた装置に目を向けると机に置いたペンを宙に浮かべて丸を書く。
調整は問題なかったのか、うんうんうなずきながら席に戻って椅子を起こした。

「『念動力』も力加減が難しいんで。俺はまだその辺が甘いっつうか、最大と最小の幅がありすぎんのも考えものっス。ただボタン押すだけだって、人間の指一つでも再現するのは結構大変なんスから。
前に三徹した時は、ゲーム機バキバキに潰して……あれから俺は赤牛、打破と仲良くするのと能力で遊ぶのは二徹までって決めました」

「要はさ、たるんでんだろ。何してんだか」

超能力者級の自己管理を求められても困るのか、少年は情けなく眉を寄せた。

「俺みたいな能力だと事故ってプレスとかローラーみたいな機械で起きるのと一緒なんですよね」

作業中の不意の巻き込みっスから、と息をはくと、

「能力のフィードバックも自動じゃないっスから。大体これくらい、ってしてても少し設定しくじると簡単に」

パン! と両手を叩いた。

歪んでいた金属製のペンは丸めたガムの包み紙の様に小さく潰れていた。
カフェインの摂取と睡眠不足でハイになっているのか、ゴーグルは一人早口で喋り続けている。

「だから、ちゃんと見える範囲で能力つかわねえと。コロンブスの卵くらいならいいけど生き物って意外と脆いんだよなあ。こう――」

「ちょっとやってみろよ」

「はい?」

コロンブスの卵、と復唱すると垣根は当たり前のように、部屋に置かれた冷蔵庫を指さした。



急で意外すぎるリクエストにこたえてゴーグルの少年はよく冷えた卵の紙パックを両手でささげ持つように運んできた。

「お前、それ着けてると幾つ出来るって言ってたっけ。四か、五か」

「いまはいいとこ三つですね。カメラの台数によるんで」

何で今やるんですか、と少年の投げかけた疑問は、
「見たことねえから」
の一言で切り捨てられた。

「そうかそうか」

ゴーグルが手にしたパックから一つつまみあげると垣根は無造作に卵を放り投げた。

一つ、二つ。
パックが空いていく。

「いいッ?!」

ラックの上に飛んで行った卵が空中で止まる。
続いてパソコンのモニタの近くでもう一つ。
壁にぶつかる直前ですとんと下に向きを変えたものもあった。

卵の動きが止まると、少年は慌ててパックを横に置いた。
体の前で両手をおわんのようにしたゴーグルの少年は宙を見つめたまま息を止めた。
息を吐くと同時に、卵たちは不可視のレールに乗せられたように空中を滑り落ちていった。
中のものを零す様にゴーグルの少年は慎重な動きで両手のおわんを左右に崩す。
コロコロゴトン、と集合した卵が静かに床の上に転がった。
ひびが入っているものもあったが中身が漏れたりひどいことにはなっていない様だった。

コロンブスの卵は生卵を手を使わずに逆さに立てる念動能力専攻の学生にはおなじみの学習メニューだ。
難易度はちょっと高めだが、異能力者でも練習すれば一つくらい成功する様になるだろう。
でも投げられた卵を割らないようにキャッチする遊びは、かすりもしない別物のはずだ。

「いきなり、何、やらせるん、ですか! あーびびった。俺これ嫌いなんですよぜってえ失敗したくな」

文句を言っていたゴーグルの言葉が途中で止まった。
垣根が指でつまみ上げたものがそれを遮っていた。
卵はもう一つ残っていたらしい。


「嫌か。なら仕方ねえな」

気ぃ抜くなよ、と言うと垣根はにやりと笑った。
ゴーグルの少年の目の前にかざされた白い卵から。
垣根はすっと指を離した。
そのまま静止しているのを確認すると、彼を放置してカウチに座りなおしてしまう。
わけのわからないまま、卵とその場に残されたゴーグルの少年は眉を寄せて。
動きを止めた。

「零すなよ? 部屋が汚れる」

垣根が気軽にそんなことを言った先から、何かきしむように嫌な音が立ちはじめた。
ビシッ、と殻の先端に小さなひびが入る。
目には見えない力、重圧が卵の周りにかかっているようだった。

「うえ?! なんッ……だこれぇ!」

少年の悲鳴が上がった。
それにあわせたように、テーブルに大人しく転がっていた小型ボールカメラの向きが一斉に変わる。
まるで重いものを持ち上げているように少年は自分の腕を必死につかんでいた。
一〇、二〇、三〇秒。
それに少しプラスして、それでも一分はもたなかった頃、耐えかねたような声が上がった。

「かき、垣根さん! ギブですって……もう勘弁してください」

あっそ、と垣根がやる気なく返事をした途端、ゴーグルの少年は膝をついた。
べしゃっ。
へたりこむ少年の前で床に落ちた卵は落下の衝撃で無惨に潰れていた。

「ボウリングん時にした話覚えてたんですか? でも俺、防御は得意じゃないっていいませんでしたっけ? 言った気がする。それで重くて小さいピンポイント攻撃ぶつけてくるとか鬼ですか? 卵越しに? うううううちくしょう頭いてええええ」


寝不足と、それ以外の理由で充血しきった目をがしがし押さえているゴーグルの少年に。
垣根はあきれるほどあっさりした声を掛けた。

「なんだ。やれば出来るもんだな。どうだ、眠気は飛んだか?」

「そりゃ、もう……バッチリです」

しゃっくりを止めるために、心臓を止めるほどのドッキリを仕掛けても超能力者なら許されてしまうのだろうか。

そうなっても蘇生処置をすれば問題無いとか思っているかもしれない。おまけに心臓の真上を拳で思い切り叩くような荒っぽいやり方で。

生き返るなら死んでもいいのはゲームの中だけの話だ。



ちょっとげんなりしながらゴーグルの少年はテレビの横でゲームのセッティングをしていた。
用意されているのは壁の『外』製の、随分と古い機種だった。
今の学園都市の技術なら、指先程度の大きさの記録メディアにこのハードで遊べるゲームのデータが何十本も入ってしまうほど昔の技術で作られたものだ。
人気のあった作品は同じ会社の最新機種でも移植やダウンロードで当時のゲームが遊べるようになっているものがあるしリメイク版も作られていた。
技術は進み、時代が変わっても色あせないもの何てものはあるらしい。
前にゲームセンターでやってみて以来、垣根も少しそのへんのものに興味がわいているらしかった。

「垣根さん、アクションゲームは頭でやるもんじゃないんスよ。わずかなラグやタイミングの癖を体に教え込んでボタンを押すんです。反復練習っス。
格ゲーも基本一緒っス。コンボなんてそのうち指が覚えますから」

「んなもんとっくだけどな。コイツがやたら反応鈍いんだよ」

「喋ってるとまた打ち漏らしますよ? ほら、あ。また、コンボ途切れてますって。意味ねえっスよ」

「うるせえ黙れ。ボタンつぶれてんじゃねえのこれ」

NPC相手にコントローラーをガチャつかせながら垣根は画面を睨んでいた。
ゲーム機の方に文句を言われて、私物をわざわざ隠れ家まで持ってきた持ち主の少年は首を振った。

「そんなことないですって。これ、なかなかきれいなの残ってないんスよ。現役で動くようなのは特に。中古っスけどちゃんと手入れされてたの探したんス。生産なんてとっくに終わってんのに、部品からリペアしてる人がいるんスよね」

称賛にも似た得意げな目を本体に向けて少年は語るが。
それはただのゲーム機だ。
簡単な計算も今日の天気も教えられない、平凡な子どもたちを非日常の冒険に少しの時間連れて行くことしか出来ないただの機械だった。
画面端にNPCを追い込んでとどめを刺している非凡な少年は気付いていないかもしれないが。
その口元にはなんだか、言葉に反して楽しそうな笑みが浮かんでいた。

「このゲームは壁ハメから卒業しないと対人は勝てませんよ」

テレビの前まで椅子を転がしてきたゴーグルの少年は、普段なら絶対に出来ない上から目線でそう言った。
ちょっと勿体を付けて、ゲーム機の入っていたケースの中からもうひとつのコントローラーを取り出す。
ことゲームに関してならゴーグルの少年に一日以上の長がある。
他のあらゆることで敵わなくても、得意分野の土俵の上でなら格上の相手の鼻をあかすことも出来る。
あと、もしかしたらさっきひどい目にあった仕返しも含まれているかもしれない。


「でもハンデ盛り盛りの接待プレイだと怒りますよね。こっち半ゲージなんて将棋の一丁半みたいなもんスよ。
ダメ減、コンボ、P縛りはしなくていいんスよね。どれか足しても飛車角落ちだと思いますけど」

「いいっつってんだろ。早くしろよ」

垣根の悪態を横目に画面を確認するとゴーグルの少年は自分の方の設定を変えてからゲームをスタートさせる。
前に同じゲームで対戦した時に「開始十秒は殴り放題」なんてルールを設けたが。
その後逆転負けした垣根にものすごく怒られたことがあった。
垣根は自分が負けると当然怒るのだが、彼がちょっと気を利かせてわざと勝ちを譲ってもそれに気付いて怒る。
でもまあ、垣根の上達には目を見張る早さがあったから、加減抜きで本気の対戦が出来る日もそう遠くないかもしれない。

「ゲームだろうとなあ、お前如きに手抜かれてんのは頭にくるんだ、よっ!」

「あー、また角が落ちた! 玉来いっての!」

開戦からボタンを叩いていた二人だったが連打の音がいきなり途切れた。
ピコンと画面がポーズモードになる。
スタートボタンを押した垣根は、コントローラーを握ったまま後ろを振り返った。
無人のパソコンの前でマウスが忙しく踊っていた。
と言うか確認なんてする前に、近くに座っている少年が頭にゴーグルをつけて遊んでいると言うのはつまりそういうことだ。

「言ってるそばから一人同時プレイしてんじゃねえよ! ああ? ナメてんのか?」

「えっ、俺言ってました? うっかり口に出してました?」

あれ? え? と、とぼけきれないゴーグルの頭を片手で掴むと垣根は力任せに揺さぶった。
相手が寝ぼけていようが能力を使っていようがお構いなしの容赦ない八つ当たりだ。

「誤魔化しもしねえのかよ。せめてばれないようにやれよ! 気分悪いんだよクソが!!」

「ちょっ、頭引っ張んないで下さい! ぎゃあああ線が、ケーブル抜けますってマジで!!」

騒いだままゲームも再開したが。
またしても少年は勝ってしまった。集中力が落ちているとその辺のさじ加減も難しいのかもしれない。
さらに。
垣根の不機嫌さのスイッチに手をかけたついでに、ゴーグルの少年は何か良くない法則でも引きよせたのか。
その後目的のクエストを何周してもお目当ての報酬は全然手に入らなかった。


「よし。もう一回」

「ダメです。ゲームは一日一時間っス」

「お前にそれは言われたくねえよ」

そんなゲーム界の格言みたいなセリフも。
平然と、体力の限界まで挑戦する人間から聞かされてはこれっぽちも説得力がない。

「でも垣根さんペース上げてやりこむとすぐクリアして飽きちゃうじゃないスか。こう言うのは、楽しみを長くとっとくもんです」

「そんなもんか?」

「それに長年の苦労を、たった数日で抜かれたら俺はどう立ち直ったらいいんですか」

「相手が悪かったな。諦めろ」

そこは得意げに言い放つ垣根。
その横顔からは言葉にするまでもない重みが感じられる。
現実に、ゲームのようなキャラクターシートやパラメータリストが存在していても垣根ならあらゆる項目でA以上の判定が出そうだった。
幾つか難あり、なポイントがあってもトータルの数値では圧倒的だろう。
たとえば……寛容さ、協調性なんかの数値が低くても、強制力やカリスマ性なんてところでカバーできてしまえそうだし。

「全方位チート(リアル対応)かぁ……わー、実生活用のPARってないのかな。昏睡とか副作用のないやつで。なんて言うといっそDNAマップの塩基配列からやり直した方が早い奴じゃねえっスか?」

笑いながら出来もしない愚痴をこぼす少年に垣根は、わかんねえなあ、と言いたそうな目をしていた。


「たまには体動かしたらどうだ」

「いいっスけど、能力使用オーケーならボウリングはこの前みたく俺がもらいますよ」

「そんなとこだけ強気だなお前」

「俺遊びには全力っスから。でも垣根さんもけっこーエグい配置ばっかこっちに出したじゃないスか。どっかのバラエティの無茶ブリみたいなの」

以前出かけた時に立ち寄ったボウリングコーナーで、スペアやスプリットの練習用にピンの配置が出来るコースをみつけた。
そこで二人はそれぞれ難しいフレームを作っては相手にトライさせる、と言う遊び方を試していた。
一ゲーム辺りに能力を使っていい回数も決めて相手の手を読み合いながらスコアを競うやり方は、即興にしてはいい思い付きだったらしい。

「あ、この前知り合ったヤツらはあれから連絡とってます?」

「何それ」

「えっ、あの時隣でやってたグループと垣根さんすっかり仲良くなってませんでした? ほら、俺がジュース買いに行って、SNSのアド交換して、確か今度飯いこうって話まで……あれ? しません、でした?」

「そうだっけ。ああ言うの、その場では盛り上がるんだけどな」

あまりに垣根が意味わかんねえ、って顔をしたのでゴーグルの少年はすごく不安そうな顔をしていた。
超能力者の記憶力を疑うくらいなら、自分の頭の記憶操作を心配した方が早い、みたいな反応だ。
異能あふれる学園都市では宇宙人の誘拐より小学生のイタズラでそんなことが起きかねない。

「別にいいだろ。そう言うの」

「そっスか?」

大した興味もなさそうに、吐き捨てるように垣根は言った。
単純に興味がなくて忘れていたということらしい。

コミュニケーション的な意味でなら、ゴーグルの少年も割と一人上手な方だとは自覚していたが。
それでも学校で、それ以外でも友達はいる。
なんと言うか垣根は違う。
ゴーグルの少年は、ほんの少しの関わりあいの中でしか彼のことを知らないが。
その部分だけでの印象でいうなら。世界がごく身近な、手の届く範囲で完結してしまっている感じだ。
超能力者だとそう言う価値観でも仕方ないのかもしれない。
頂点というのは文字通り点で、並ぶものがないから線にはならないし輪もつくれない。
それ以前に。
色んな経験値をすでに埋めてしまって、上りきった技能やスキルでステータスを埋め尽くしていそうな存在からするとそれ以下なんて見えているものが違いすぎて、てんで話にもならないだろう。



「何かそれ新しくなってねえ。あと後ろの壁もか。どうした」

一見、違いなんてないように見えるインテリアの一角を見た垣根はにらむように目を細めた。

「そうなんスよ。ちょっとダメにしちゃって。『スクール』のツテ使ったらすぐ済みましたけど。いやあ、まさか心理定規にゲームさせたらああなるとは思わなかったんス」

キャリーケースにゲーム機を大事そうにしまっていた少年は苦笑いをしながら答える。

「ふうん。で?」

それでどうしたのか簡潔に説明しろ、的なオーダーが凝縮されたクエスチョンマークに少年はうなずいた。

「ゲームなんて楽しいのかって聞かれたんで、心理定規でも出来そうなシューティングやらせたんス。廃墟系の」

「なぁ、いきなりオチが読めたんだけど」

「ちょっと我慢して下さいっス。この機種は普通のディスプレイはもちろん体感型のヘッドマウントディスプレイにも対応してるんスけど」

テレビの近くのラックに置かれているのは小さな最新機種のハードだった。
高音質高グラフィック、シアター並みの環境美の追求を謳ったコマーシャルで話題のハイチューンモデル。
真っ黒なボディは新品特有の指紋も曇りもない輝きを放っていた。
お前のそれみたいなもんか、とゴーグルを見ながら垣根が尋ねるが少年は首を振った。

「これは普通に目にするヤツっスから。俺のゴーグルに比べるとおもちゃみたいにかわいいっス。で、最初のボスに苦戦してるなーと思ったら……心理定規さんたらテンパってコントローラーぶん投げてそのままスカートに手を……」

その上に乗せられた、アイマスク型のディスプレイを手に取るとゴーグルの少年は外側についてしまった傷をいたわるように撫でた。
遠い目をしてかわいた笑いを浮かべている。
どうやらあまり楽しい出来事ではなかったらしい。

「へえ、よく無事だったな。っつうかあいつ普段どこに武器隠してんだ」

「まあ殺傷力なんてあってないような模擬弾入りの護身用だったみたいなんスけど。俺は後ろであそこのモニタ見てたんで。あと速攻で本体ぶち抜いて映像落としてくれたんで被害が最小で済みました。心理定規涙目になってましたよ」

そう言って少年は後ろを指さした。
小型ディスプレイとは別に、パソコンにも映像を飛ばしていたらしい。

「ふーん。お前ら面白そうなことしてんな」

「実は動画があります。いつもの実況用に使ってた機材一式はこっち側にあったんで無事でした!」

「じゃああいつ来たら流そうぜ」

「え。来る前じゃだめなんスか」

「その方が面白いだろ」

リーダーの口から出ると提案も決定事項になってしまうらしい。



その後。
小遣い稼ぎのバイトを終えて戻ってきた心理定規の前で、ゴーグルの少年秘蔵のムービーの上映会が行われた。

「内緒って言ったよね!? なんで彼に話しちゃうのかな。おまけにビデオがあるとか聞いてないんだけど?」

「いつもの癖で幾つか撮ってたやつがっスね後からひょっこりっスね……でもどこにもアップとかしてないっス」

普通に撮れていれば、『悪戦苦闘する女の子のゲーム初挑戦』って感じの微笑ましい動画になったかもしれない。
けど、心理定規がとてもネットには出せない様なオチを付けてしまったのでお蔵入り確定だった。
発砲する中学生とか少なくとも日本ではNG過ぎる。

「もうやだ……信じらんない。ちゃんと同じの買ったし、部屋の修理もしたし。ごめんねおしまいって話したよね。何でまたこんなことするの? なんで見せちゃうの?」

心理定規は腰に手を当てて少年を怒鳴りつけていた。
大画面で失態を流されたのだ。当然ながら怒っていた。
珍しく大声を出す彼女の剣幕に、誠意のアピールとして床に正座をしたままゴーグルはひたすら頭をさげつづけた。

「それは、そうなんスけどね? ええっと俺にもいろいろと事情がっスね?」

ちらちらと垣根を見ながらゴーグルの少年は言い訳をしたが、リーダーは弁護なんてしてくれなかった。
それで大体状況は分かったのだろう。
心理定規は話にならないと思ったのか怒りつかれたのか、ぽすんとソファに座った。

「あーあ。ショックだわ……私すっごく傷ついた。ゴーグル君ってばひどいんだから。どうしてあげようかな。君の彼への心理距離を操作しちゃおうかなー」

「そんなこと出来んの? っつうか俺関係ねえよな」

心理定規の問題発言に、我関せずを通していた垣根がやっと顔を向けた。
それでも。
二人で勝手に騒いでろ、みたいな迷惑そうな顔をしている。

「どうせけしかけたのはあなたなんでしょ。二人で私のことからかってたんだから悪いのは一緒よ」

むくれた顔で頬杖をつくと心理定規はぼんやりとゴーグルの少年に目を向けた。
ため息混じりの沈黙に嫌なものを感じたのか、少年はあわてて立ち上がった。


「待って下さいっス! 心理定規前に、悪趣味なことはしないって言ってましたよね? 言ってましたよね!」

「君が先にいじわるなことしたんじゃない。えーっと……何で君、かなり親密な距離にアニメのキャラクターがいるの? この名前ってそうだよね?」

「心理定規! 心理定規!! タンマっス。絶対に止めて下さい。俺はまだ来週の放送も明日の太陽もこの目で拝みたいんです!! 遠回しに死刑宣告は嫌ですって」

「ふーん。どんなの」

「確かよく名前出してる……あー、これかな?」

心理定規はスマートフォンで検索すると、出てきた画像を寄ってきた二人に見せる。
アイドルみたいなフリフリ衣装のいかにもなアニメヒロインみたいなイラストだった。
だが、それを見たゴーグルの少年はなぜかほっとしたような顔をした。

「あ。それなら多分大丈夫っス。まだ」

「じゃあこっちのは?」

今度出てきたのは、なんてことのなさそうなアニメキャラの画像だった。
長い髪にセーラー服、大人しそうな顔で笑う女の子。
それに今度は少年の剣幕が変わった。
合わせた両手を頭の上にかかげて拝むように心理定規に頭を下げた。
そりゃもうお白洲にひったてられた罪人か、セーブしてないのにゲーム機の電源切れと宣告された、みたいな必死の形相だった。

「その子は洒落にならないんで止めて下さい。もし垣根さんを一瞬でもそんな風に捉えたら俺は即愉快な死体決定っス」

「お前にとってそう言うのって、なんなの」

「日々の癒しと生き甲斐っスかね」

「何でそれで死体になっちゃうの?」

意味がわからないのはいつものことだけど、本気でわけがわからない。
そんな顔をする二人の前でゴーグルの少年は、苦しい胸を掻くように体の前で手を握った。



「心理定規は……俺が
『垣根さん昨日も今日も明日も未来永劫かわいいっスね! もはや世界の常識不変の真理っスね! 垣根さんペロペロ( ^ω^ )』
とかトチ狂ったことを悪気無く、つい、ポロっとうっかり本気で言ってしまったりしてもいいんですか? それで済めばいいんですけどね俺は嫌です絶対嫌です本当に!! どうか勘弁して下さいこの通り!!」

懺悔か祈りのポーズで叫んだ少年だったが、あんまりにもあんまりな発言に周囲の空気は急速に冷え切っていく。
心底軽蔑したような目を向ける垣根。
今にも息絶えそうな可哀想なものを見たような顔をする心理定規。

「テメェ、じゃあ望み通り死ねば?」

「あのね。私はさっきすっごく恥ずかしかったの。いやだったの。だから君もそんな気持ちをわかってくれるといいなぁって思っただけよ? そこまでしなくていいから。ね?」

「恥ずかしくて死んじゃうってのがシャレじゃなくてマジになるって言ってるんスよ! 
垣根さん、怖い顔はやめて下さいおねがいします。言いませんから、万一垣根さんが天使みたいに可愛いあの子に思えてもそんなこと冗談だって口にしませんから!!」

「誰が天使でメルヘンだって?」

「言ってません! 俺そこまで言ってませんからぁああああ!!」

バキバキと伸びた翼が近くの椅子やテーブルを押しのけるのを目の前にして。
ゴーグルは後悔どころか燃え尽きたような顔をしていたが既に手遅れだろう。
自分は能力も手も出さずに、ほとんど何もしないで最終的には少年をこらしめることに成功した心理定規は。
男の子って面白いなあ、みたいな顔をしてドタバタ騒ぐ二人を眺めていた。



ドーモ。
久しぶりにメインっぽいのを。書き手体感でデレ大目だったからかなんか垣根が不機嫌です。
ゴーグルごめんよ。残りの二人の人間性がいまいちわからないからついやりやすくてやりすぎる。まあ原因はリーダーなんだけどね。
安価はまたじゃあまた。

乙ーん
実際垣根のキャラは俺もよくわからんなあ、振れ幅有りすぎて
どんなキャラしてても垣根らしくもあるし垣根らしくもないし

ゴーグル欲望に忠実すぎwオープンな職場だな

>>438
どこの作者?
ここって結構作者っぽいひと来るよね

垣根はギャグキャラは許容できない


学園都市トリビア:スクールで天使はNGワード

しかし楽しそうだなこいつら

垣根が本気出したらどんなゲームでも一月で世界大会二位になれるよ。
一位は一週間前に垣根がゲーム大会に出ることを知って妨害しに来たセロリだけど。

カキネクンの可愛さは不変の真理かあ
ゴーグル(覚醒)とはうまい酒がのめそうだ

アイテムとグループも好きだけどスクールもいいな
暗部のやつらが遊んでんのって和む

普通の話でこんなに垣根でれちゃうと安価ですごいでれるなんてもうする事限られてくるよな
期待してる

手例流とは中国の殺人拳法の一つで欧州から伝来したと言われている。
殺人拳法ながら流儀を重んずるのが特徴で、勝者は敗者の手を切断し、川に流すことで敬意を表す。
現在は派生の摘手例や梁手例などが一般的である。

夏休みもそろそろ終わるな
スクールの夏休みはまだ続くのか待ってる

暗部の呼び出しで夏休みなんて無さそう

ジュラシックワールドみたら恐竜で遊ぶ垣根思い出した
テーマパークとか好きそう

このスレタイからこんなことになろうとはな
ゴーグル裏山すぎ

9月になったけど>>1レスしにも来なかったな

キメセクで忙しいんでしょ

すんげー今更だけど、>>161の描写ってデッドマンズQのオマージュなのかしら

確かにそれっぽいな。
垣根も平穏を求めている・・・?

そんな事より1はどうしたんだ

デレていとクンマダァ-?
(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン

テイトクマスターシンデレラていとくん
略してデレていとクン

待ってるぞー!

1もとあるに嫌気がさしたんだろ
HOはアニメ化したけどもう3はやらないだろうし
スクールなんてマイナーじゃネタも続かない

どっかで3期はないだろうって言われたらしいな

あと一週間以内に>>1が生存報告してくれればもう二か月希望が持てるのでオナシャス

はよせんと落ちちゃうで



「俺の借りものが『レベル4以上の能力者』なんスよ! ケータイは使えねーし連絡つく大能力以上のレベルの知り合いなんて垣根さん以外いないんですよ!! 
それにここで高得点をたたき出せればうちの学校にもチャンスがあるんス。ですからどうか俺と一緒に走ってくださいおねがいします失格だけは何としても避けたいんス!! 
でないと人質に取られた俺の大事な」


「はぁ? めんどい。怠い。靴が汚れる」

大覇星祭真っ最中。
二日目、とある競技場内。
観客席の学生用観覧スペースで一世一代の演説を一席ぶっていた少年のマシンガントークがたった三発であっけなく叩き落とされていた。

「そんなざっくり論破しないで欲しいっス。つか垣根さん最後って問題なくないっスか?」

「何よりダセェ。全世界公式行事なんて馬鹿言ってる場所でんな真似出来るか」

突然の事件事故に巻き込まれても微塵もダメージがなさそうなレベル5様は実害より精神的なデメリット、プライドが汚されること理由を盾に首を横に振った。
場内のコースにはずらっと報道用カメラのレンズが向けられている。

「大丈夫っスよ、もしカメラに抜かれても世界規模での垣根さんファン人口がちょっと増えるくらいっスから!」

「馬鹿じゃねえの。お前が大丈夫かよ」

必死になりすぎたのかハイテンションでいよいよおかしなことを口走りはじめた少年に、垣根は心底呆れたような目を向ける。
普段以上のトンだ言動に頭の具合を怪しんでいるらしい。

「君のところの競技は……ちょっと変わってるけどメインは二人三脚なのよね? ちっとも競走させる気がなさそうだけど」

「げ。なんだありゃ。動く障害、ぬかるんだプールに地雷式煙幕……ってえげつねえお笑いの罰ゲームかよ」

観客席の上に設置された巨大なモニターには競技場内のコースの様子が映し出されていた。
その一部を見ただけで、垣根はそのくだらなさに嫌気のさしたような顔をしていた。
この競技場で繰り広げられる競技は。
ただの二人三脚ではない。
ただの借りもの競走でもない。



二人一組で並び立つアトラクションを乗り越える、新感覚アクション強制参加な競技だった。
会場を中心とした競技範囲そのものはそこまで広くない。
だが、子ども相手とは思えないサバイバルアタックを押し出したド派手な演出はまるでスポーツエンターテイメント番組のような催しだった。
学園都市のアミューズメント事業に携わるいくつかの企業がプロモーションもかねて協賛していると噂されるくらい大がかりなコースは派手で、
極めて安全だがものすごく難易度の高いものになっているらしい。
その為話題性、動員される取材カメラと一般の観客数のいずれも高いお祭り騒ぎな種目だった。

「どうスか心理定規! その辺の能力者を協力させてもらって結構っスから!」

「あら。彼の方がずっと頼りがいがあるわよ。あなたもせっかくこんな所まで来て観戦してるんだから……参加してあげてもいいんじゃない? 思い出になるかもよ」

どうしても競技に出場しないといけないらしいゴーグルの少年はいつになく必死だった。
すぐさま標的を変えようとする少年の動きに心理定規はいち早く別のルートを示してそれを回避しようとしていた。
それも、垣根の気分を盛り下げないように巧みに言葉を選んでいる。
読み合いを駆使した本気っぽい頭脳戦をすごい小規模で繰り広げる二人を、本来まとめ役の垣根は一歩引いた様子でみていた。

「お前らって……変わり身早いよな。っつうかお前はここでもいつもの格好かよ」

「流石に自分のところに参加しなきゃいけない時は……あれに着替えるしかないと思うけど。まだいいでしょ」

そう言って心理定規は小さく頬をふくらめた。
仮に彼女の能力強度が4以上、大能力者だとしても。
体操服どころか、学校指定の制服でさえない心理定規は今すぐハードな競技に参加なんてできそうになかった。
本来避けそうな垣根に真っ先に話をそらしたあたり、本人は協力して関わるのもいやなのだろう。
と言うかドレス姿の女子を走らせるとかそれだけでも間違いなく大事故が起きる。
そちらは対策済みかもしれないが、心理定規に限っては一般人の衆目に晒してはいけない危険なおまけが短いスカートの下から出てきそうで怖い。

「はあああ……もう、だめだぁあ」

手詰まりになってゴーグルの少年はがっくりとその場で膝をついた。
その時だった。



「よっこいしょーー!!」



「うえぇ!?」

謎の雄たけびと共に頭上から何かが降ってきた。
ズズン、と大きな地響きを起こしたそれは片腕を大きく上に突き上げる。

「うしっ! 根性っ!!」

バウーン! と特撮ヒーローものっぽい煙と爆音の特殊効果を自力で起こしたのは。
もこもこしたまるっこいシルエットの未確認飛来物体だった。

「な、なんスかこれ? 垣根さん、空から女の子が! じゃなくて手作りっぽい…着ぐるみ?」

「オレは大覇星祭非公認マスコット!! そ……根性くんだ! おまえらの根性を応援してやるぜ!」

「うわぁああ? なんだこれめっちゃ早い分身、いや残像?! なんか動きが怖い!」

コンジョウゥ! と謎の鳴き声をあげながらゆるキャラっぽい空から落ちてくる系のなにかは突然、着ぐるみにしては激しいアクションをはじめた。

「一体なんなんスか……って垣根さん? 心理定規まで。なんで急にそっぽ向くんスか? そんな他人みたいな顔って……聞こえて、ない…? ガチシカト…だと…?」

他人の振りどころか。
ゴーグルの少年も、この「オレか? オレは根性の妖精だ!」とか自称しそうなもこもこしたものも。
まるで見えていない様な反応の二人に、少年は呆然としていた。

「おいお前。そんなに落ち込んでどうしたんだ? もっと根性出せ! 根性!!」

「そうだ……超障害物借り物二人三脚に出てくれる大能力者よりすごい人がいないと俺はっ、俺の大事なものが……!」

「そんなことか根性! オレに任せろ根性! ったく、お祭りなんだぞ! 決まった競技にしか出れねえとかやることちっちぇえんだよな!」

「なんスか急になんでゆるキャラが俺の足をぐるぐる巻きに?」

ゴーグルの少年の持っていたバンドを奪い取ると、根性くんは勝手に自分の足首らしきところと結んでしまった。
おっ、また向こうの組かちょうどいいぜ、張り合いねえと面白くないからな、と意味の分からないことを言っている非公認マスコットはすっかり競技に参加するつもりらしい。

「何とか競走のルールは? 根性。手短にな根性」

「参加者と協力者がこれとこれを着けて、スタート、ゴールと途中の障害のセンサーを全部通って最後の借り物チェックをクリアしたらおしまいです」

もこもこしてるくせに威圧感ハンパない根性くんの気迫に押されて彼は簡潔な説明をした。
足についたバンド、そして手に持ったGPS付きのリストバンドを指さしてからゴーグルの少年は会場内の特設ステージに張られたゴールテープを指した。

「よーしコースはあっちか根性! 干渉数値を気にすんのはスタートしてからだったな根性。
まあ数字聞いてもよくわかんねえしどーせオレの競技じゃないからこまけえこたあいいだろ根性」

「えっあの」

「よっしゃあいくぜ! ハイパーエキセントリックウルトラグレートギガエクストリームすごい……ダッシュ!!」

「ちょt」

いきなり降ってわいた助っ人の登場と勢いについていけてなかったゴーグルの少年は。
一瞬で本当に見えなくなった。

「きゃっ! 衝撃の余波でこれって。もう!」

突然の暴風にスカートを押さえると心理定規はスタート地点の方をにらんだ。
肝心の走者の姿は見えないが、そこ目がけて一直線につむじ風のようなものが伸びていく。

「行ったか」

「あら。他人をわざわざさけるなんてあなたらしくないんじゃない? あのぬいぐるみの中身がどう考えても超能力者だから?」

「嫌なんだよああ言う言葉の通じねえタイプ。人の話を聞く気のないヤツは特にな」

コキンと首を鳴らした垣根はうんざりしたような顔をしていた。
厄介ごとが二つ、二人の前からものすごい勢いで遠ざかっていった。


「おい。何かあっちで派手なのが上がってっけど」

「ゴールしたみたいね。彼は無事かしら」

高さ一五メートルほどのステージの上に作られたゴール地点では派手な三色の煙が特撮ものっぽい爆音と共にたちのぼっていた。
超難度のコースクリアに拍手と歓声が沸き起こり取材のカメラが勝者にレンズを向ける。
競技場のどでかいモニター内では、物理法則を無視していそうな動きではしゃぐ超能力者入りの着ぐるみが暴れていた。

「ちースおわりました……」

砂埃となんだかドロドロしたものと白い粉にあちこち塗れて、体操服に焦げまでつけたひどい格好でゴーグルの少年は観客席にやってきた。
カメラが追い切れていなかったところも含め、障害物コースはなかなかハードだったらしい。

「根性くん大活躍で上位に入ったのはいいんスけどまだ目の前がぐるぐるして…
うーん垣根さんが三人見えるぅうう……あなたが落としたのは金の垣根さんですか、銀の垣根さんですか……金なら一枚銀なら五枚……」

「やだ。そんなにいたら大変じゃない」

「あの着ぐるみどうした」

「ゴール直後になんか係とか警備員に追いかけられてものすごい速さで去っていきました。でもおかげでボーナス付きで得点ゲットっスよ! 
いやー怖かったけど非公認マスコットさまさまっス!! ってなんで二人ともそんな冷たい目なんスか 俺がんばったんスけど?!」

「だって。ねえ?」

「結果出したのお前じゃなくてあの着ぐるみだろ」

何言ってんだろうこいつ、と言う二人の指摘にそうなんスけどねえ?! と叫んでゴーグルの少年は頭を抱える。
圧倒的なレベル差の相手に文字通り必死になってついていった少年の苦労は残念ながらいまいち評価されなかった。


「非アクティブ低フィジカル勢にこんなハードな競技をあてるなんてあいつら覚えてろ。前日のバルーンハンターがうちの種目にあったら良かったんスけど」

「どうなるんだよ」

「えーっと」

……競技開始から一〇分が経過していますがハイペースで風船が割られていきます!
突然飛んでくる球に対応できる選手もいますが……しっかし何が起こってるのかよくわかりませんね?

どうやらどこかのチームに『念動力者』がいるようだけど。遠隔操作が出来るならこの競技相当有利ね。
威力の高い能力で動く標的の頭部に乗せた紙風船を狙うのはかえって危険だ。

見えない狙撃手、序盤から攻めてるけどこんなに飛ばして大丈夫かぁ?!

『空間移動』では精密な計算と高度な演算が必要だけどそう言った縛りがないのも単純な能力の強みだけど。
ほぼ同時に離れたポイントでも攻撃している点からも能力者は複数いるとみるのが自然だろうと……


脳内妄想で都合のいいゲーム展開をざっくりシミュレートすると少年はうんうんうなずいた。
勿論、余計な装備は競技場に持ち込み禁止です、と言われたら地味に一つ一つボールを操作して割っていくしかない。

「ゴーグル有りでいいんなら、誰がやったかよくわからないまま、いい展開に持ち込めそうな気がします。クラスメイトにカメラ頼めばいけますね」

「それって盛り上がんの」

「観客はつまらないかもね。君あっちこっちひどいけど、大丈夫?」

「あー、学校戻って着替えますよ。って、ソッコーでカムバックメールかよあいつらもっと功労者をねぎらえっての……お二人とも、じゃあまたっス」

文句をいいながらもうれしそうな顔をしたゴーグルが行ってしまうと垣根は隣の心理定規にどうする、と声を掛けた。
早くも飽きてしまったようなやる気のなさだ。
ダサカッコ悪く障害に苦戦する選手たちは繰り返し見るほど面白いものではなかったらしい。

「そうね。私も競技があるからもう少ししたら行かないと。あと午後にも、一つあるけど……なぁに」

「いや? 客席から手の一つも振ってやろうか」

「いいわよ? 別にわざわざ見なくたって。そう面白いものじゃないから」

「そうだな」

頬杖をつく心理定規はそのままにして垣根は先に席を立った。

「けどまぁ、暇だからな。さーて、後はどうすっかな」

ナイトパレードは見た方がいいんだろ、とぼやくと垣根はつまらなさそうに欠伸をしていた。
日が暮れるまでの時間潰しに悩み始めた横顔に心理定規がため息をつく。

「あなたこそ所属校で何かやれば良かったんじゃない? 似合わないことしてるあなたなんて珍しいもの。応援くらいなら、してあげてもよかったわよ」

「……そうかよ」

垣根が睨むように見上げた先のオーロラビジョンには懸命に競技に取り組む生徒たちの姿があった。
夢や希望、絵空事ではなく目の前にある勝利をつかもうと汗や泥に汚れながら描かれる青春の一ページが大きく映し出されていた。


『第3レースを開始しています。走者が制限時間内に競技場に戻らない場合はその場で失格と見なされます。参加者の皆さん、ご注意ください』

場内のアナウンスが聞こえる。
競技場からそう遠くない場所で一人の男子生徒が歩いていた。
足取りは重く覇気に欠けた様子で、おまけにふらふらしている。

「戦う前から勝負は終わったんや……こんな借りもん……せめて女子、いやロリショタならやる気もでるんやけど無理やん。
こんなん無理やねんなー。まず、見付からへんって……のぉっ?!」

「あぁん? なんだコラテメェどこに目ぇつけてんだよ」

うつむき加減でぼやいていた青髪ピアスはコントのようなリアクションで後ろにのけぞった。
前からやってきた茶髪に鼻ピアスの男子学生とぶつかってしまったせいだ。
青髪ピアスとキャラが被りそうで被らないちょっと被るキャラ要素をしているが、こちらはどう見ても違う方面でアウトだった。
大覇星祭なんて関係ありまっせーん! みたいなTHE不良な格好をしたお友達がたくさんいた。
スキルアウトのみなさんで、間違いない。

「なんだこれ。借りもの競走? つまんねーことしなきゃならないヤツらは大変だな。見ろよこれ」

青髪ピアスの手から落ちた、でかでかと競技名の印刷された紙切れを拾い上げると茶髪鼻ピアスはそれを仲間に回した。
開いた中に書いてある、二人三脚のパートナー兼借りものは。

『外人傭兵部隊に所属してそうなでかくて重いマッチョマン』

競技の助っ人としては大当たりの借りものでも、開発された能力の評価が極めて高い学園都市の中ではガチの体育会系はなかなかハードルの高そうなオーダーだった。
そのとき。
青ピの前をふさいで笑っていた不良少年達の後ろから。
ゴリラと、フランケンシュタインの怪物のハーフみたいな日本人離れしたガタイの男がぬっと現れた。
仲間の手から紙切れをつまみあげると。
それを読んだでかくて重そうなマッチョマンは、
「……手伝うか?」
そう尋ねて青ピに首をかしげた。
見た目によらず親切な方だったようだ。


(いややぁあああそっち!? 絡むんでもカツアゲでもなくそっちぃ? なんでそこ、見逃してくれなかったん? 
こんなギャップ無駄やん萌えへんもん、ちぃっとも萌えへんから! 筋肉でも巨大でも性別:女子なら別としても!!)

ものすごく大当たりっぽいけど絶対に肩を組みたくない借りもの候補(仮)の出現を青ピは脳内で激しく嘆いた。
引いた借りものが女子でオーケーそうだったら合法的に。
いやルールだから仕方ありませんがなにか? と堂々とNO職質、YES密着だった筈なのに。

やっぱり日頃の行いとかあるんかなあ、カミやんの不幸って感染るんかなぁ……と青ピは乾いた笑いを浮かべていた。

「あははは…大丈夫やって。ボクも丁度サボったろーと思っとったとこで……」

そう言って不良たちにさよならしようと背を向けようとした青ピだが、そこで街頭のモニターが目に入った。
近くの競技場の様子を流しているそれには、クラスの奴らと小萌先生が応援しているところも映っていた。

「小萌せんせー、みんなぁ…ボクは、ボクはぁああ……なんて、なんてことをッ!!」

今まさに私欲にかられて欠場してやろうと目論んでいた人面獣心鬼畜青髪ピアスの邪智暴虐非道の所業など彼らは知らない。
ただ、青ピが競技場に戻ってくることを。
そして、全力でゴールテープを切ることを待ち望んで、いや信じてあの場に立っているのだ。
「みんなの気持ちを裏切れない」と「マッチョマンはダメ。マッチョマンはダメ」の相反する感情にさいなまれて青髪ピアスはその場に崩れ落ちた。

「ううう……この青髪ピアスにはみんなに合わせる顔なんてないんやッ」

「立て。仲間の所に戻るんだろう」

その肩を叩いたのは。
パーフェクト借りもの要素を体現したマッチョマンさんその人だった。

「駒場のリーダーが」

「出場するぞおまえらあ!!」

「っしゃあ! アレ用意しますか?」

「構わん。小細工は、無しだ」

どうやらリーダーらしいゴリマッチョ氏が手下っぽいやつに首を振ると、周りの少年たちのテンションがますます上がった。
よっしゃカメラ用意しろ、とかなんとか勝手な声援が上がりはじめる。
青髪ピアスの目の前でものすごい勢いで退路が断たれ、いかっちいオニイサンとなかよしこよしおてて繋いで出場への道に向けてルートが狭まっていく。



「ガキ共に勇姿を見せつけてやってくださいよ!!」

「……行くか」

何が決定打だったのか。

それまで陰鬱だった男の声が一段と真剣さを増していた。
なぜかすっかり参加する気も覚悟完了しているマッチョマンさんを前に、とてもじゃないが青ピがお断りできる空気ではなかった。
きっと言っても周りの奴らが聞いてくれないし、今度はそれでスキルアウトの団体様にボコボコにされそうである。

(だがしかぁあし! ばっちりゴール出来たら小萌せんせーにほめてもらえるやん? なでなで付きでッッ!! 
おまけにクラスのヒーローになって帰ったらもうそれこそ女子の矢印、フラグの総取り……に、とどまらず! 学園都市さらにはテレビの向こうの女子の溢れるラヴがっ……ふはは、カミやんにばっかおいしい思いはさせられへんよねーっ!)

想像妄想たくましく、一気にテンションをぶっちぎらせた青髪ピアスは勢いよく立ち上がった。
その横に不良少年のリーダーが並ぶ。
青ピも背は高い方なのだが。
この「気は優しくて力持ち(おまけに顔怖い)キャラ」っぽい御方は更に縦にも横にもでかかった。
革のジャケットの下はプロアスリート並みに鍛えられた鋼の肉体だろうと素人目に見てもわかる。
障害物競走にはものすごーく有利だろうが、たとえ足手まといだろうとパートナーはかわいい女子がいい。
二人三脚の理想展開、足がもつれてラッキースケベなんて冗談じゃない。
もし青ピが全力で転んでも相手の軸は一ミリもブレない気がする。
競技内容におあつらえ向きすぎる屈強なパートナーをゲットした青髪ピアスはこの試合には勝てそうだが、男としての勝負に負けていた。

「やっぱりいーやーやーぁああああ!」

肩をつかまれ、ちょっとひきずられるようにして会場に戻っていく青ピを、盛り上がった不良少年達は大きく手を振って見送っていた。

ドーモ。

青ピ「って言う夢をみたんやけど。いやー、おっかなかったわー」

うんまたなんだすまない。
根性つながりでモツ鍋さんでもよかったんだけど謎解の方がロリの頂点競ってたからゴリ場さんにしました。
ロリの味方とロリの天敵が手を取りあったありえねー大覇星祭いっぱつネタでしたどっとはらい。

いつからレスもしてなかったっけ…と1は自分のふがいなさを見下げ果てつつ小ネタで延命とお茶を濁そうと目論みます。

前回のスクールもの本編分は、卵の割れる音で新耳袋の怖い話を思い出した、昔のゴーグルくん能力ネタリサイクルもちょろっとしたやつ。
そんときのありえねーネタもみつかったから供養しとく

垣根「エナジードリンクって。こんなん飲んでうまいのかよ」
ゴーグル「試してみます? これは通販で買ったマジモンなんで、その辺のコンビニのより効きます。シュガーフリーのもあるんスけど」プシッ
垣根「ふーん」ゴク

バサッ

ゴーグル「え?」
垣根「なんだこれ。あれ? 消えねえ」
心理定規「何してるの? もう気はすんだんじゃなかった?」
垣根「いや…なんか翼が勝手に、っつうか…しまえねえんだけど」
心理定規「それって収納するものだったの?」
ゴーグル「あのCMほんとだったんだ? レッド○ルすげええええええ!」

当然の如く没。翼がーほーしーいー

チャンスをみつけてまたきますなるはやで

パズデックスの垣根記念カキコしようと思ったら来てた、乙
落とさないならどんなスローペースだろうが待ってる
全レスも待ってる(ニッコリ

SSの更新万歳!Hurrah! Ура!


午後のファミレスの一角。
比較的静かな奥のテーブル席を『スクール』のメンバーが陣取っていた。
その前にはどれも中身の少ないグラスが並んでいる。

「……で、今度『スクール』のメンバーの枠が埋まるかもしれねえって話だ。
派遣業者からのレンタル品でも、頭数が欲しいってことなら……その内デカい仕事でも回す気なんだろ」

先程までの電話の声の話を鬱陶しそうに垣根はまとめたが、その顔はちょっと楽しげだった。
一方、隣の心理定規は唇を尖らせてアイスティのストローを弾いていた。

「そんな話をさせる為に、あの人こんなところまで呼び出したのかしら」

「まあまあ。最近活動してなかったじゃないスか」

「その割にあなた達と顔合わせてる気がするけどね」

「確かに高エンカウントっスねえ。そうだ。垣根さーん、あれから艦っち全然やってないっスよね? やりましょうよー」

「……何で知ってんだよ」

むっとした返事にゴーグルの少年はカバンを持ち上げた。

「こう言うのは……フレンドのログイン状況が見えるんスよ。ほら、ここです」

テーブルをはさんでタブレット端末の画面を見せながらゴーグルはそう言った。
ユーザーネームの横には最新のログイン情報が表示されているが、垣根のものは他と比べて随分と以前のものだ。

「言ったろ。飽きた」

そんなあ、まだ全然っスよこれから面白くなるんスよボイス聞かないとさびしいなあってその内生活の一部になっちゃうんスよ? 
いや、垣根さんにこっちの道にはまってほしいんじゃないんですけどね?
と少年の無駄に熱い叫びを前に垣根はうざったそうに片手を振った。

「お前自分で作業ゲームだっつってたろ。何が楽しいんだこう言うの」

「好みのキャラゲットしよう、出たら今度は育てよう、とかそう言うのきっかけにするじゃないスか。ログボとかでもいいんスけどね。
こう言うのは、スタート押しちゃえばなんとなくで続くんス。その内ランキング上位とか報酬とかが見えてくるとまた幅がっスね」


「こんなんに好みもクソもあんのかよ」

ゲーム画面に並んだ萌え系少女キャラの画像を前に垣根は首をひねっていた。
そうは言っても、絵師も違えばキャラタイプもさまざまでこう言うのには、
大所帯のアイドルよろしくどこか一か所一人くらいツボを狙い撃ちしてくるのがあると言うのがセオリーで醍醐味なのだが。

「ツインテが好きだー。五人いたら緑の子! とか。縦セタ最高、ツンデレはやっぱ王道だよなーとか……そういうのないっスか」

「そう言うので好みを判断すんの?」

「あー、そうっスよね。ですよね……」

新人提督様にはちっともピンとこなかったらしい。
心底不思議そうな目をしている垣根の反応に、なぜかゴーグルの少年は打ちのめされていた。
軽く額をおさえていたかと思うと、心理定規に声をかけられて頭を上げる。

「いや…非オタとのフィルタリングの違いを再認識して俺は今ちょっとした衝撃を受けてます。そうっスよね……普通は属性とか気にしないんスよね?」

高身長イケメンクール俺様ホスト系ミステリアス悪役リーダーポジ規格外能力高パラ底が見えない大物感ギャップメルヘンセレブ臭超能力者謎のチェーンetc…
本人にはハイスペックで多彩なタグ付けがされそうだが『スクール』のリーダーには縁のない知識かもしれない。

「はぁ。これ、お願いしていい? 今度はあったかいのがいいな」

「はいっスー! 垣根さんは?」

「炭酸」

男子の意味不明トークを不審そうに伺っていた心理定規はにっこり笑ってグラスをゴーグルの少年の前におしやった。
暗部のミーティングも終わったところで、ゴーグルの少年はファミレス仕様いつのもお仕事に取り掛かるべくドリンクバーへと向かっていく。


「あぁ? 何だよ。話は終わったんじゃなかったのかあの野郎」

着信音を鳴らしながら震えるポケットに向かって悪態をつくと。
うるさい携帯電話を片手に垣根は席を立ってしまった。
その隙に、と言った様子でゴーグルの少年は腰を浮かせた。

「そう言えば、今日はいつもの運転手じゃなかったっスよね。まさか、またコレですか」

首元を指先で一閃するジェスチャー付きでひそひそ尋ねたが。
心理定規の話によるといつもの運転手はただの休みだと言う。
小声で不安そうに聞いてきたゴーグルの反応が面白かったのか、彼女はくすっと笑って目を細める。

「心配? 大丈夫よ。彼もそう無駄なことはしないでしょ。前にやって懲りてるはずだから」

「あん時は、なかなか替えに出来そうなのが居なくって垣根さんイラついてましたもんね」

下部組織から探さなくても、腕のいい専門の業者を使えばいいじゃないかと少年は遠い目をしてぼやく。
上司が目に見えて不調なのは職場の空気も悪くなるし、人員の精神衛生上もよろしくなかった。
そんな経験でも思い返しているらしい。

「そう言うのって一般人ばかりじゃなかった?……ねえ。前の運転手さんのこと、覚えてる?」

「ハイヤーの人っスよね? んーまあ。礼儀正しい、普通っぽい人でしたよね」

「普通。そうね、お子さんは二人、男の子の方は小学校に上がったばかりで娘さんは三つだったかな。きっと、私達みたいにはなってほしくないでしょうね」

カップにポーションのミルクを注いでいた心理定規はそう言って目を伏せた。
持ち上げたスプーンから小さくしずくが落ちる。

「なんでそんな詳しいんスか」

「別に私が聞いたわけじゃないわ。ああ言う人ってつい自分から話を振っちゃうのは職業柄かしら? 
特に男の人は、狭い空間で相手が女の子とみると安心感でも与えたいのか何気ない話題っていうのを頼んでなくても持ち出したがることがあるのよ」

「へえ~。そうなんスか……うわ、俺そんな覚えねーやって思ったらそもそも女子に振れる一般受けしそうな話題も、そのシチュも前例なかったっス」

「得意げにしないで。で、そんな普通の人が、わざわざこんな仕事に関わってたのも……まぁ、よくある話よね」

知ってるけどなぁに? みたいな顔をした心理定規からすらすら出てきたプライベート情報に目を丸くしたゴーグルに首を振ると。
呆れたような顔で眉をあげながら、情報網の広そうな少女はカップを傾ける。


「そう言えば心理定規も運転出来るって聞きましたけど。立候補したりとか…」

「気乗りしないわ。仕事中に余計な気を使いたくないし、もし事故に巻き込まれたら困るもの」

「ですよねえ」

リスクをわざわざ増やしたくないと語る少女にゴーグルは同意したが。
どう見ても学生っぽい女の子が運転席に座っていることの方が、本来は問題なはずだ。
カップを置くと淵に付いてしまったリップを指先でなぞりながら彼女は続いてため息をもらした。

「前みたいに彼が一眠りできるくらいのテクニックを求められるのも、ね。
まぁ、そんなこと言い始めたら今以上に…ものすごく厳選しなきゃいけなくなるんだけど。何とか妥協してもらいましょう」

それか、今度の新入りさんの運転技術に賭けてみる?と茶化した。
そんな話を聞いていた少年は、納得するどころか改めて疑問を深めたらしい。

「それをすてるなんて…じゃなく、なんでまたそれを切っちゃったんスか。垣根さんも。確か……ちょっと言うこと聞かなかっただけですよね?」

入手の難しいアイテムをうっかり処分しようとしたプレイヤーに警告するゲーム内のメッセージを口にしかけた少年は、ますますリーダーのパターンも思考もよくわからない。
そんな顔を心理定規に向けた。

「さあ? あえて言うなら…あの人が暗部の人間じゃなく、普通過ぎたのが原因じゃない? 出過ぎた真似をして、リーダーの言いつけがきちんと守れないのは致命的よ」

ハンドルを握れなくなった運転手なんて置いておけないでしょ、と当たり前のことを疑問にも思わないように彼女は口にした。
同情めいたものも感慨もそこには感じられない。


「あれ。垣根さんがしたんじゃないんですか? ビジネス的な意味だけじゃなく物理的に切り捨てたんスよね」

「そうよ。最終的には…ね。命に関わるほどのものでもなかったし、事故扱いで彼にはちゃんと上から手当てが出たみたいだけど。
もうこんな仕事は出来ないでしょうね。したくもないでしょうけど。そうだ、私たちがそんな目にあっても災害時の保険みたいなのは適応されると思う?」

気軽な思い付きとでもいいたげに少女は可愛らしい仕草で首を傾げた。
冗談なのか、本気なのかわからない。
そもそも想定された事態が、あまり考えたくもない類のものだ。
一応は、組織の頂点に据えて掲げている人間からそんな目には合わせられたくない、と言う気持ちはあるだろう少年は。
あえて真面目ぶった顔で彼女の問いに腕を組んだ。

「天変地異だと場合によるんですよねー。でも隕石が頭の上に降って来るよりはありえそうで嫌っスね」

「戦争だと免責なんだっけ。死んでもおかしくない状況では仕方ないのかしら」

「垣根さん戦闘能力は充分そっちで通用するクラスっスけど。うーーん。そう言う意味じゃ、俺たち暗部はいつ何が起きても、ってとこありますよねえ。その辺は自己責任で、って感じっスかね」

「まぁ、私が使えないのにそんなものがあってもね。それでブランドの新作が着れるわけじゃないし」

「同感っス。運よく生還しても入院してる間に録画予約がふっとんでたりしたら川向こうのお花畑にもっかいダイブしたくなります」

ブラックなジョークの体でオチをつけたところで、心理定規は通路の先をみると一度席を立った。
奥のシートに座った垣根はおしゃべりしていた二人を見比べた。

「何の話だ?」

「使えねーのに金だけあっても困るんで、それよりは万一ん時に積み荷を燃やしてもらうことを考えねえとって話をっスね」

「なんだそりゃ」

災害や天変地異、はたまた世界規模のドンパチとある意味並べられそうになっていた一個人が戻ってきて。
縁起でもない、くだらない雑談は終わった。


また着信音が鳴る。
またしても出所は垣根。
今度はスマートフォンだった。
だが垣根は通話はしないで画面を触っていた。

「あれ。出ないんスか」

垣根はちょっと面倒そうな顔をすると、
「こっちはプライベート用だからな」と言って画面をスライドすると着信を切った。

「放っておいていいんスか」

私用の電話なら余計に出ればいいのにと思うところだが。
気をつかっているのか、嫌なのか。
垣根本人は、登録してねえ番号には出ねえ、と首を振った。

「迷惑なラブコールだよ。心底ウンザリしてるんだが、一つ着拒するとすぐ別の番号から掛けてきやがる。こう言うのは無視が一番だ」

「えっ。垣根さんにそんな人がいたんスか?」

予想外の、「暗部のリーダーにまさかの恋バナ浮上か」、「お相手は某アイドル似の一般女性!?」なんて三面記事の見出しみたいな話題の予感にゴーグルの少年は食いついたが。
口にした本人は楽しいどころか、渋い顔をしていた。

「そんなんじゃねえよ。言葉通り受け取んな」

「ああ。確か相手は……男の人だっけ」

「え」

またしても訳知り顔、事情通の心理定規さんの問題発言に、ゴーグルの少年は困った顔でしばらく二人を見回していた。

「垣根さん……イケメンも大変なんスね。それともストーカーっスか?」

「ばーか。違えよ、だからそんなんじゃねえっての」

「あなたがおかしな言い方するからだと思うけどな。でも熱烈なラブコールには違いないんでしょ?」

なんなんスか、って言うかまた二人でひそひそバナシっスか? とゴーグルの少年が騒がしくなりはじめたところで。
垣根は気忙しげに髪をかきあげた。
不服そうな視線を向けられた心理定規は私? 関係ないわ、と言わんばかりに肩をすくめる。


垣根は眉間にしわを寄せたまま大きく息を吐いた。
ものすごーく忌々しげに自分のスマートフォンを睨みつけてからやっと口を開いた。

「潮岸だよ。統括理事会理事の一人。ったく、番号も部屋も前に変えたんだがな」

「な、何でそんな人から? 『スクール』じゃなくて垣根さんに直電が?」

突然のビッグネームにゴーグルの少年はガタッと体を起こした。
知り合いに超能力者と言うのも一応はかなりのものだが、「組織のリーダーがめっちゃすごい人」と「名前は聞いたことあるなんかすげーえらいひと」では随分印象が違うらしい。

「軍事関係はあの人の仕事みたいだから。彼の能力を活かして色々作りたいんだって。前から声は掛けられてたみたいよ。プレゼントも随分来てるんでしょ?」

なんて言いながら。
垣根がいつになく困った状況にあるのを見て心理定規は楽しそうに笑った。

「全部突き返してるぞ」

「それ。この前も『スクール』傘下の構成員の子をつきあわせてたよね。理由は伏せて、わざわざあなたの部屋まで様子を見に行ったんでしょ?」

その言葉にゴーグルの少年はピンと来た顔をした。
夏休み前後、このリーダーは仕事もないのにやけにあちこちの『スクール』の隠れ家に顔を出していると見たり聞いたりしていたのだが。

「もしかして垣根さん、最近こっちによくいるのって」

「ああ。そうでなくても、俺名義のとこにはよく交渉人とかがうろついてんだ。暑くなるとヤブ蚊も増える。んな所に帰るのも面倒だろ。そう言う連中を一々熨斗付きで帰らせるのも最近じゃ飽きてきたし」

垣根は今度は気軽に答えた。
ひょっとしなくても、自分の部屋にあまり帰っていなかったらしい。
学園都市内に暗部組織のものとは言え、勝手に使えるセカンドハウスみたいなものがゴロゴロしているとあまり不自由は感じないのかもしれないが。
聞いていたゴーグルの少年は、おかしな話だと言いたげに眉を寄せた。
そして。
超能力者の倍返しなんて想像するのも恐ろしいのだろう。
詳しく中身を質問するような真似は自粛したらしい。

「大丈夫スか垣根さん。牛乳とか冷蔵庫の中のもんダメにしてませんか」

「俺の冷蔵庫は最新式だ。まぁ、腐る様なもんも放置してねえけど」

ふと。垣根が首を傾げた次の瞬間。
バキバキと音を立ててゴーグルの前にあった空のグラスが上からきれいに潰れていった。
一瞬前まで容器だったのに、今はちょっとおしゃれなコースターのようなものに変貌している。

「なんスか?! 俺何かしましたっけ?」

「ムカついた。何でかはよくわかんねえけど」

場を和ませるつもりだったのか適当に振った話題が予想外の方向に転がってしまった。
加害者本人もよくわからない怒りをぶつけられた不運な無機物に、少年は申し訳なさそうに目をやった。


「幾らなんでも個人情報漏れすぎじゃないっスか? 待ち伏せプレゼント攻撃とか芸能人の出待ちじゃないんスから」

「そうかな。まぁ、家に押しかけるのは確かにちょっとやり過ぎな気はするかも。向こうから呼びつけるくらいはしそうだけどね」

「第四学区のお高い料亭で会談とかっスか。かっけー」

心理定規とゴーグルがのんきに議論しているのを。
垣根は腕組みしながら見ていた。

「っつうことは、少なくともお前らが売ったんじゃねえのか」

何気ない垣根の言葉にゴーグルの少年は激しく首を振った。
ついさっきの物騒なたらればトークが頭に浮かんでいるらしい。
もしどこかから取引をもちかけられて、どんな魅力的な報酬が用意されようと。自分の命には代えられないだろう。
この組織のリーダーを裏切るなんて真似をしたらそんなものはまとめてあっさり消し飛ばされてしまいそうだ。
裏切ったなんて真っ黒間違いない事態では出過ぎた真似、で済む様な余地もない。

「んなことしませんよ! ってか、知らねえし……ええー……垣根さん俺ら疑ってたんスか。そんなに信用ねえっスか」

「『スクール』の関係者がリークしてたんなら、私達の使ってる隠れ家なんて真っ先におさえられてると思うけどな。
まあそんなことしてもすぐに上にばれて、悪い子はとっくに首を切られてそうじゃない?」

「それもそうか」

一人へこむゴーグルの少年を放置して。
話を続けていた二人は首を傾げ、肩をすくめて顔を見合わせた。


「先回りしてこっそりサプライズってのは、好意のある相手だから喜ばれるんスね。そうじゃなけりゃただのこわーいストーカーっスよね」

アニメや漫画のような展開は補正のない現実世界では通用しないのだと深くうなずくゴーグルの少年。

「学校の先生が生徒の連絡先や住所を知ってるのは別におかしなことじゃ無いんだけどね。きっとそういう人は情報源なんてあちこちに持ってるんでしょうし。まぁ、後は本人のモラルの問題と感覚の違いになっちゃうかな」

悪気のない押しつけが好きな人っていうのもあり得るのよね、とひとまず疑問の落としどころを具体的に提示してみる心理定規。

「確かに理事って言ったら、学園都市って学校の偉い先生みたいなもんっスけど。納得しちゃっていいんスかこれ」

「この街で俺らが管理されてるなんざ、今にはじまったことじゃねえだろ。わかり切ってることを今更ゴチャゴチャ言うんじゃねえ」

そう言うものだ、と知っていても割り切って、まして愉快な気持ちにはならないだろう。
垣根はうんざりしたように息をはくと氷のなくなった薄いコーラを飲みほした。


「お偉いさんからプレゼントって何が来るんスかね。中見ました?」

「ここのさぁ……リストに良さそうだと思ったもんを入れといたら、たまに何か持ってくるみたいなんだよな。全部確かめてるわけじゃないけどさ」

「カッキーさんの欲しいものリスト……怖っ。こんなもんまでチェックしてるんスか? 学園都市のサンタクロースか足長おじさんか知らないっスけど有難迷惑っつか怖いっスね。
俺こんなん人にみられたら恥ずかしさにのたうちまわってプライドの粉砕が死因でニュースになっちゃいます」

「そりゃ安いプライドだな」

スマートフォンで垣根が開いて見せたのは、よくありそうな通販サイトだった。
その中の会員ページの一部をのぞくとゴーグルの少年は顔をしかめる。

「こんな薄気味悪い真似されて、もし物贈られてもだぞ? 喜ぶとか本気で思ってんのかな。こっちの情報が筒抜けだって脅しにしてもちょっと遠回しすぎねえか」

「潮岸って、確かそれなりに高齢だったわよね」

「ボケか。なんだ、施設にブチこんでジジイの見舞いに死に花でも贈ってやりゃあいいのか。それともあれか。お望み通り頭の上から『未元物質』でも降らして欲しいってか」

苛立っているのか、ふざけているだけなのか。
垣根の発言はいつになくテンションが高かった。

「そんなツッコミ死んじゃうっスよ、そこはタライにしときましょうって。
じゃあ反・潮岸派の妨害工作って線はどうスか。潮岸のせいにして、垣根さんに嫌われちゃえばいいとか思ってるのがいたりして。
どっちにしろリストを非公開にするか、ダメ押しでアカごと消した方がいいかもしれないっスね」

「嫌がらせは別人とか、余計面倒じゃねえか。相手が誰だって構わねえけど…いい加減泳がすのも甘すぎんのか」

じゃあ潰すんですか、と聞かれて垣根は首を振った。

「馬鹿の相手で消耗したくねえ。関わるのも面倒なんだよ」

その後、「寝床があちこち変わんのも意外と面白えぞ」と言っていたので今の状況も、もしかしたらそれなりに楽しんでいるのかもしれない。

「このショップでID紐付きのアドレス使ってました? 学生IDって『書庫』や他のデータベースもたどれるんで。
セキュリティさえなんとかすれば、個人の開発記録までいけるらしいって噂っスから。最新の現住所くらい楽勝じゃないスかね」

「いや。別に作った方だ」

「じゃあ、サイトの提携先と共有してた情報から漏れたとか?」

「そう言う面倒なことするか? 俺達だって似たようなことは出来るんだ。その気になりゃ個人情報くらいなんとかなるだろ」

んなこと気にしてどうすんだよ、と垣根はあんまり中身のないここまでの議論をまぜっかえした。
いやー出所不明ってもやもやしないっスか、と言いながら頭を悩ませていたゴーグルの少年はふと。
あることに気付いたのかハッとして顔をあげた。

「もしかして……いつもマネーカードなのってそのせいっスか」

「別に。まあこう言う時にも便利だぞ」

「クレジットカードは買い物のデータが残るからね」

「使い捨てで替えが利く、手軽な方が何かとな」

薄いケースに目をやった垣根は大したことがないようにそう口にした。


「相手がほんとに理事かどうかは別として、そう言うストーカーっぽいのに見られてる前提でなんか牽制とかしときます? なんかいい害虫駆除はないっスかね」

「こう言うの入れておいたら? 後は盗聴器チェッカーとか。持っていても便利だけどね」

そう言って心理定規の鞄の中から出てきたのは携帯用の防犯グッズだった。
実際に動きがなくても、素振りだけでも相手の警戒は引き出せるのよとすっかり用意周到キャラになりつつある少女は信ぴょう性二割り増しで語る。

「ちょっとアレな本とかどうっスか? いかにも大人の嫌いそうな、無駄に殴りあってそうなのとか」

次にリストに追加されたのは「バイオレンスヤンキー列伝~ムカツクヤツらのオロシ方~」のコミック全巻大人買いセット。


「よくわからないものがあったらどれが本命か混乱しないかな」

「ミステリのガイド完全犯罪指南毒殺編改訂版」と「サイコパスに学ぶアリバイ作りマニュアル『そうだ、殺そう。で後悔しないためのアフターケアの重要性』」

なんて人生でもそんなに役立ちそうにないハウツー本が二冊。
読者層のニッチが狭すぎて何故発行したのかもちょっと理解出来ない感じのものだ。

「確かに意味わかんねえっス……あ。こんなのありましたよ」

「大人のピタ◯ラ装置その5~ハピ◯リ風事故発生装置・良い子は真似しちゃいけません~」なんて愉快なタイトルのDVDが一本。
木を隠すなら森のなか、ないなら作ってやろうぜ! とばかりにそうやって、別に欲しくもないものをいくつも追加された本人は呆れた顔で向けられた一覧画面を眺めていた。

「人のリストを香ばしい中二思考のガキの本棚みたいにしてんじゃねえよ。ったく、ここまでくるといっそ笑える」

「相手は運送屋じゃなくてわざわざ人使って持って来させるんスよね? 重くてデカいのわざと入れて、持って帰ってもらいます? 
冷蔵庫とか家電とか。後は時期的に生ものっスかね。パンパンに膨らんだ世界最恐のニシンの缶詰めとかどうスか。お、こっちにパーティ用食べ頃指定が出来るやつが……」

「出前や宅配ピザをたくさん送り付ける嫌がらせじゃないんだから」

「ピザ送り返してみます?」

「そういうのは住所がわからねえと駄目だろ。なんで直で持ってくんだと思ってたが、業者使うとデータが残るからそっち対策か?」

「手渡しだとお使いの子にただご馳走してるだけになっちゃいそうね」

そんな風に。
三人揃って散々ふざけた話のネタにしていたところで、ゴーグルの少年は急に真面目ぶって腕を組んだ。

「でもしつこいようならやっぱ対策したほうがいいっスよ。警備員に話し通したり、訴え起こすのもまるっきり無駄ってことないんじゃないスか」

ソッコーでもみけされそうっスけど、拒否の意思は伝わりますって、と改めて進言したがトラブルの中心人物はそんな対処は不満そうだった。




「ああ言う連中に頼るくらいなら自分で何とかするっつうの」

「いくら理事とのコネクションが欲しくても、お互いに利害が合わないならむしろ邪魔よね」

軽犯罪じみた馬鹿な真似を理事本人がしているか、と点はさておいて。
大きな影響力と権力をもった人物が、垣根個人とつなぎをつけたいと申し出ているのは事実だった。
学園都市理事会の一員の後ろ盾、なんて得ようと思って手に入るほどのものではないが。

恐らく求められるだろう対価が『未元物質』だと言うのは垣根にとって大きな問題だろう。
この街の学生たちならきっと少なからず共感出来るはずだ。
特に、高いレベルにいる能力者にとって自分の能力の成果を開発官でもない他人に好きにされると言うのはあまり気分のいい話ではない。
人の役に立つ、世界の為に、技術の発展に、とそれらしい美辞麗句を並べるならならまだしも。
当然のように旨味を利用する気でいる、と言う下心が透けていそうな。
疑念を抱かせる相手にはそれは難しい。

能力としてだけでなく資源としてみても『未元物質』は魅力的で希少な存在だ。
それを占有している垣根帝督を第二位たらしめているのも学園都市における有益さ、その点によるところが大きい。
それを十分に自覚しているからこそ、垣根は相手が理事であってもやすやすと交渉には応じない様子だった。
暗部でつまらない雑用をこなしていても。
自身の価値をポンド単位でバターの様に切り売りしたがるような趣味はないのだろう。

「こっちが下手につついてかえって手間がかかるのも癪だ。今の所はくっだらねえ話のネタにしかならねえな」

垣根帝督が、それこそ本気で取り合えば今起きている問題は解決するだろう。
その問題が片付いても、どこでどんな風にそのしわ寄せが生じるかは不明。
そもそも相手の目的や真意さえ見えていないのだ。
そう言った不確定な部分が出そろうまで待っているのか。
話をするのでさえ、こちらに優位な絶好のタイミングを見極めるためにあえて放っておいているのかもしれない。
まさか、すべらない話の鉄板にでもする気で温めていた、と言うことはないだろうが。
案外、本当にただ面倒なだけなのかもしれない。

「これ可愛い。バッグはピンクもいいなあ」

「あ、あのゲーム新作出てるんスね。次ちょっと見せてくださいっス」

暫くスマートフォンを覗いていた二人はそのうち勝手にショップのページをあちこち開きはじめた。

「お前ら幾らなんでも調子に乗って変なもんばっか入れんじゃねえぞ? 悪趣味な馬鹿に俺の趣味が疑われたらどうすんだよ」

もし届いても受け取らねえぞ、と釘を刺してから垣根はスマートフォンを回収した。
どこか気の抜けた、苦笑いでそれをポケットにおさめる。


店内が混んできて、あたりはがやがや騒がしくなってきていた。
ゴーグルの少年がドリンクバーの前に出来た列に並んでいると後ろから背中をつつかれた。
ついさっきおかわりはいらないと言っていた心理定規は、空のカップを持ち上げて席の方を示した。
テーブルで通話中のリーダーに気を使って席を空けてきたらしい。
持っているのが携帯電話、と言うことは迷惑電話問題ではなく仕事がらみだろう。
どっちにしろ彼にとってあまり愉快な話ではなさそうだ。

「まさか垣根さんにそんな事情があったとは。知らないとは言え俺、相当邪魔してたんスねえ」

「ああ、君結構隠れ家使ってたものね」

「でもひとこと言ってくれたって良くないスか? そしたら被んない様に気を付けるくらいするっつうか。隠すほどのことっスかね?」

「カッコ悪いのは嫌なんだって。話をした時も相当渋ってたし。男の子はほら、面子とかそう言うの気にするでしょう?」

「超能力者って大変ですね」

「彼は特に、かな。イメージとかこだわる方みたいだし」

ちらっと後ろを振り返った少年は、心理定規にちいさく手招きした。

「さっきやけに静かでしたけど、もしかして俺に余計な話したから怒ってます?」

「どっちかって言ったら……悔しいんじゃないかな。私たちに弱みを見せたと感じてるのかもね」

「リーダーって、大変なんスね。いやあ俺手下ポジでよかったあ。隠しごととか緊張感とか重い空気苦手なんで。あ、心理定規は何にするんスか」

能力でグラスを持ち上げボタンを押して、一度に三人分のドリンクを用意していたゴーグルは、短い通知音にスマートフォンを取り出した。
それに心理定規はあからさまに嫌そうな顔をしてみせる。

「君は、もうちょっと気にしてもいいと思うよ。周りの目とかその辺も」

「趣味のことなら大丈夫っス。俺はそういう路線なんで」

カバーからストラップまで『痛』仕様な少年はわかりやすいオタク属性の目印と、飲み物を乗せたトレーを持って席に戻っていった。

ドーモ。

垣根ハロウィンコスプレデビューおめでとう!
お祝いしたかったけど小悪魔なみさきちが二枚もきただけでしたちくせう水泳部もアイテムも揃ったし軍覇もきたしノーマル垣根が増えたよちくせう
どうせ女子はのちのちカナミンショップに並ぶんだろうにな!むしゃくしゃして投下した。今は心臓が痛い。

equ.darkmatter関連で一枚噛んでそうだよなと前々から思ってた潮岸の絡め方がわからなくてこのSSではこうなりました。
田舎のじいちゃん系お土産攻撃(善意)もしくはstkアピール(悪意)なのかは現在真偽不明で。すいません偉い人なのにネタにして。

>>502くらいでまた安価とろうかなと二か月くらいまえは思ってたんですけどね。
もちろん前のも消化はしますがここんとこペースがひどいのでどうしようかなと思っとります。
ずるずるしてるデレメルヘンは次の予定です。おまたせしてますが期待値ハードル低めでオナシャス

この際まとめてレスも

>>400
そうですね!未元物質は最高です。
常識は通用しねえだからピカソでもよかったんだけど原型ありだと再現がすごそうじゃん。
その分削板が爆発した。芸術はばっくはつだー。
まぁオフ時のシェリーさんの趣味がわかんないからな。フォークとチョコパンで感動する人だし。

>>401
えーと貴方は初めまして。のあれをやったほうがいいのかな?めんどいからいい?
垣根がデレてるっていうか……うん。
まだ『滞空回線』は知らない体で書いたからねー。
知ってたらあんなこと言わずに何してやがったさっさとしろ!ってキレると思う。
電話のヤツもそれまで何もせずに放置してた訳だし。
1の頭の中はフツーです。妄想力はそこそこ。レベル3くらい。日常でSS書くには便利だと感じられる強さ。

>>402
ここのは名前はゴーグルだけど全然別もんだしな。まあそれ言ったらキャラみんなそうなんだけど。結局、そこは原作が全てって訳よ。
垣根愛か。そっちもレベル3くらいかな。自分でSSスレとか立てちゃうくらいの強さ。

>>403
15巻終了時でイラストが黒くされてた麦野、砂皿も後で実は生きてました!ってなってたからゴーグルは戦闘不能、生死は不明でいいんだろうけど。
ステファニーの活躍の為に、生死不明で退場から復活を遂げた砂皿と違って、今後確認する理由がないから生きててもゴーグルは原作で出番はないだろな。

>>404
1は普通中庸ノーマルストレートでーす。
そっち系のネタは、どうせなら笑えるのがいいです。

>>405
垣根はあんまり感情移入とかしなさそうだよなーと思ったら熱さの足りない上辺きれいな仮面の秀才みたくなった。そこまでやったら盛りすぎだけど。
常識外のことができる筈なのにその常識が邪魔をするのか…かっこいいな!!

>>407
君はあれか1のソウルメイトか?フォロワーか?ツボ過ぎて素敵だとりあえず笑った。
ビーカーから飛び出すアレイスターってなんかすっっごい懐かしいんだけどどこで見たんだ。みんなやっぱ考えるよな。
理事長はビーカーinでもout+衝撃の杖でもいつか実装されないかなーとたのしみにしております。サイド問わず味方攻撃超特大みたいなボーナス仕様のスキルで是非。

>>407
常識に精通しようとして常識問題っぽいマニュアル本読んだり、『スクール』内でも「今のおかしくねえよな?」ってつい聞いてしまう垣根を想像してしまったがちょっと悲しいだけだった。
自分だけの現実由来の能力振り回してる時点で常識ってのが一般かつ普遍的なもんじゃないよな学園都市に限っては。いかに非常識で枠と殻をぶち壊せるかみたいなとこがありそう。
って言うと>>405が的を得てる感素敵よな。

>>408
一方さんは高校生だよね。浜面も上条さんと同じくらい?垣根も高一か二、それくらいじゃないかとは思ってるけど。
ここのゴーグルは中三から高一くらいのイメージ。心理定規と垣根の間でいいすか。
学園都市は圧倒的にレベル>>>学年その他だからあんま関係ないかもしれないけどちょっとそういう情報もほしいわ。

その風紀委員はすげー爽やかな作り笑顔で朝の挨拶しそうですね。校則違反はとてもじゃないが出来ませんね。

>>409
「『風紀委員』だコラ」って羽バサーする垣根はかっこいいかもしれない。ですの!にインパクトで勝てるか?
うーん、帝春かあ。まだみぬ次回ネタに期待?

>>410
風紀委員は基本校内所属じゃなかったっけ。
支部って各校、各学区内にいくつもある交番みたいなイメージでいいのか?
あの辺よくわからないんだよな。レールガンアニメと禁書原作でも微妙に設定違うらしいし。

最初のがただの単発ネタだったから風紀委員さんネタの続きがあるのかもわからん。
まあまたイベントでなんかネタに出来そうなのがあればやるかもしれない。しかしあのシリーズは教師もみんなメガネか?女子がメガネなのか?
つうかお前らホモが好きか好きだな好きですねー

>>411
生徒会役員である限り委員長はツンを通しそうでもある。デレはくるのか。
今回は潰れて未完 < 一方さんに手伝ってもらい最終的に邪神像が出来上がる方が不幸判定が上っぽそう。

>>412
製作過程で上条さんがやらかしたところを一方さんが修正して、上条さんがしくじったところに一方さんが手を加え……と繰り返すことで上条さんの努力が段々そげられて画伯成分が濃く残ったんじゃないんだろうかと今考えた。
そんなにひどいやつじゃないかもしれないよ。いやわかんないけど。第二位は第一位と直接交渉権が絡むとよくわかんなくなるギャグ方面のイメージ。


>>413
警備員さーんこっちです!風紀委員じゃ埒があきません!
それは個人指導と言う名の粛清じゃないか?そんなに愉快なものだろうかと1は心配します。

>>414
茶碗は叩くものではありませんよと1は遅くなっていたことに頭を下げつつ食卓でのマナーを注意します。

>>415
この夏は暑かったけどパンツと靴下くらい我慢しよう。警察組織のお世話になる前に。

>>416
風紀委員さーん!ですのの風紀委員さーん!危険物の通報です。座標>>416をどっか飛ばしてくださいです。どこか遠くになるべく遠くに精度度外視でお願いします。
何か既に座標ずれてるみたいですけど構わずに。

>>418
ああ大丈夫だ『未元物質』がある
それにここはまだ八月だからね!まだ二ヶ月あるよ

>>419
その下に信頼感や思慕が透けるんですかね呼び方って大事。ベタだけどここぞって時の名前呼びは燃えるな。
おねーさまとかあの馬鹿とかクソガキとかニックネームも大事。
垣根はいきなり呼び捨てだとシカトしそう。


>>419
ちょっと妄想してみた。
なんやかんやで垣根に提督になってもらうには

鎮守府にGO
アレイスター「『直接交渉権』が欲しいか?探せ!この世の全てをそこに(ry」
エイワス「今日からお前は富……提督だ!」
暗部の指令『海洋上に謎の敵性組織が発見された。対抗戦力を率いて迎撃にあたれ』
「えっまだ提督じゃないんですか第一位は既に着任したらしいですよ(棒)」

深海にGO
バレーボールがどんぶらこ
上里君がホワイトを転送(科学サイドに効くのか?効かないかもな)

提督じゃないけどまさかの学園都市で
垣根ホワイト「……白いガキを拾ったんだが」???「ウミ…ドコ?」

こんなとこか。
オリジナルより数倍柄悪いあんちゃんみたいな垣根ホワイトが懐かれてほのぼのとか微笑ましすぎて腹筋が割れるね。物騒で殺伐日常ライフでもいいね。
かたき役が似合うなあ垣根は。深海サイドならノリノリで敵艦出撃させそうだし。
残留思念でサルベージさせるなら、より深海向きではあるかもね。

>>420
艦娘も正体はよくわかってないんだよね?
なるほど禁書と絡めるとそういう設定も出来るんだすげー。
はたから見ると垣根のものすごい遠回りなひとり相撲だけどw
がんばれ垣根提督。
超能力者が提督になりましたって言うと六人中ほぼ全員自ら前線に出張りそうだもんなあ。麦野一人でも相当いけるよ。

一掃の粗大ゴミも沈んでるから深海艦は魔術産って言うのもいけるかもしれない。
対魔術ならプロがいるし、鎮守府に着任するゴールデンレトリーバーはちょっと……いやかなりみたい!!だれかたのむ。

>>421
思えば最初の投下からそんな話したのは1だから原因はそこかな。すまんね。

>>422
そうな。出来る限り書かせていただいてます。>>1も早く六道から外れて、妄想をSSとして吐き出すだけの存在とかになりたいわー。解脱しようにも煩悩しかないけどね。

>>423
なー!禁書の方で、上条さんの出ない暗部パートをはたしてやってくれるのかがもう不安だしお願いしたい。
でも超電磁砲な…もっと絡まないイメージが。

>>438
そこでカブトムシさんですよ。抽出されたポイントと濃度によっていろんなタイプの垣根が…ってそんなに居ても大変そうなだけだがね!

>>439
「様子のおかしなやつ」として受け入れられつつある。『スクール』でも1の脳内でも

>>440
そうなの?まあみんな禁書が好きなんだな。こんなとこまでありがたいな

>>441
ここでも容赦なくボケさせたりオチにしたりとやってまして、ご容赦ください。残りの安価もはっちゃけてるってレベルじゃなさそうなのがもう内容からして続く予感なので。ええ。

>>442
おつありっすー
SSでくらい楽しそうに、してほしいじゃないか(遠い目)

>>443
それなら宇宙人がピコピコ侵略してきても安心ですね!!わざわざ妨害してくれる一方さんお暇か。

>>444
どんな覚醒。そんなスキスロあっても埋まっても困らないか。B連打でキャンセルできるやつですか。まずは心理定規ちゃんが他人の間の距離が操作できるか話し合わないとな。

>>445
暗部はみんな個性的だしな。オンオフのオフ時、休日ネタみたいなのはいいよね。

>>446
ありがとうございます。合間に本編一回くらいはさみそうです。でもあまりきたいはしないでください。

>>447
知っているのか雷電?!

>>448
まだ…ハイ。続きます。ハイ

>>449
暗部の仕事って何してんだろ。上からくる指示によるんだろうけど他の組織と変わらずに邪魔者への対処がメインとか?基本ゆるくても時間問わず呼び出されたりしそう。

>>450
恐竜園いいね遊びに行かせたいね。そう言うのなら超能力者勢かなと思うけど安心力が高すぎてちょっとくらい事故が起きてもあいつら平気で観光してそうだな。クロスっぽいのもやってみたいね

>>451
1も予想外でしたのことよ

>>452-455
ほんとうに1の不徳の致す限りだと…
でもおかしなことはしてない。そこはないよまずないよ>>455。課金はしてないけどBOXは回しまくった。3周しても出なかった

>>456
すまん元ネタがわからない。のでオマージュではないですね。

>>457
垣根の平穏はどこにあるのでしょう、と1は原作の行く先に思いを巡らせます。

>>458
引換券も本体も落ちないとのたうちまわってました(hz

>>459
このつぎだよー(予定)

>>460
カブトムシを720匹捕まえてテイトクマスターを目指す奴かと一瞬思ってしまった

>>461-464
大変お待たせしておりました。

>>465
心配するな。気持ちもネタもまだある。

>>466
いつかの電撃祭だっけ。禁書のキャストさん呼んだけど三期の話は一切なかったとか言う。

>>467
お恥ずかしながら戻ってまいりました

>>468
セーフ?!

>>478
ドラキュラなのに天使の羽がでてしまう垣根をリーダーにしたい。特大変換とかおいしい木原くンリストラ確定。乙ありです…!んな甘いこと言ったってなあ、1を持ち上げてもくだらねえネタしか出てこないぞ!

>>479
ワールドワイドなばんざーい!ありですの

改行大杉久しぶりwいろいろながーく伸ばしまくることで定評がついてしまいそうな>>1ですが。コンゴトモヨロシクしたいです。ではまた

めっちゃ久々に見に来たらまだ続けててビビった

ツッマンネーはなしはいいんだよ
いいからあくしろよ
やらねーんなら養分になっちまえ

本当に久しぶり小ネタが小ネタって長さじゃないぞw
大覇星祭でも心理定規はツンツンで垣根はツンデレ
ゴーグルを見習ってちょっと素直になったほうがいいんじゃないか

乙!
どこのスレも最近停滞気味だから戻ってきてくれて嬉しいっす

小ネタのゴーグル君は相変わらずはっちゃけてんなぁ
そしてそれを受け流す垣根はだいぶ甘いな
金でも銀でも未元物質でもない垣根が欲しいよ

今回の潮岸の件ってファミレスで黒ひげ危機一髪やってたときに垣根と心理定規が話してたやつ?
エンカウント率とか、話の持っていき方が丁寧ですごい好きだ
ごく自然に冷蔵庫ネタ入れて笑かすところもなww

1さえよけりゃまた安価やってよ
スクールのはなしもあるしここ落とさなきゃ待つから
白カブトムシとフレメアでやってほしいんだけどどう?

カブトムシとフレメアはスクールに関係なくね
俺は心理定規中心のも見てみたい

おお、来てたか乙
心理定規の風に煽られた裾とレアな体操着ぺろぺろ
あと首を傾げる駒場のリーダー可愛いぺろぺろ

何気に垣根の通販サイトのユーザー名カッキーかよwwww
ゴーグルがカッキーさんとか呼んだらオブジェ不可避だろうか

垣根と心理定規って雰囲気絶妙だな
暇だからって言いながらちゃんと様子見にいったのか垣根はパレードも一緒に見たのか
なんだこのリーダーたまんねえ
あと誰も触れてないがそぎっしーさんはっちゃけすぎだろww
二人三脚してやる爽やかな垣根も見たかったけどな
ファンはどんどん増えればいい

風紀委員のやつで初春が出てくるのもみたいな
あとレスしてた艦これと垣根のやつも。ほっぽちゃんとホワイトとか完璧に保護者

垣根に冷蔵庫を送り続けて愉快な死体になりたーい

毎日ベッドが変わるのを楽しむ垣根だと
お泊まりフラグはあるのか

艦これ×垣根は一時期大真面目にネタを考えた事があるが、どう足掻いてもチートハーレム物にしかならなかったから諦めた
結局だらだらしてる垣根と心理定規を妄想してる方が楽しいし

NカブトムシR冷蔵庫SRバレーボールLR垣根オリジナルな垣根オンリーソーシャルゲーム思いついたけど、垣根主人公で冷蔵庫から吐き出される未元物質を使役する方が面白そう
最弱のカブトムシが進化で稀に白垣根ができたり

>>508
>>11
さてはお前>>1だな

実はこのスレの書き込みは殆どが>>1の自作自演であった可能性が微レ存・・・?

俺たちが>>1だ!!

垣根はかきやすいとか艦これなら設定はこうするとか講釈してるどっかの作者様達だろ
どうせなら宣伝もしてけばいい

垣根スレ、自演、ホモ…そうか!わかったぞ!
>>1の正体が!

野獣先輩垣根帝督説

変幻自在→未元物質も変幻自在

野獣先輩は人間の屑→暗部だから

野獣先輩女の子説→天使で可愛いから

え。なにそれ
ちょっと意味がよくわからないからパズデのガチャ回してくるね?

パズデに脊髄反射ワロタ
アイドルの方はさておき、超電磁砲が盛り上がりそうだなスクール好き的に
単行本化したらカラー絵拝めっかなあアイテムみたいに

アイドルの方は垣根出てたし超電磁砲に心理定規さんとゴーグルも出てた

もう死んでいい

まじかよちょっと電撃大王買ってくる


学園都市某所。
人気のない場所に一人で呼び出された垣根帝督は、ポケットから取り出したPDA相手に盛大に顔をしかめていた。

【この度お前は『スクール』アイドルとして売り出すことに決まったからな。
上からの決定事項だ。
今日から、「プロデューサー」と呼んでもらってかまわないぞ】

『スクール』の上役である電話の男が、任務の話かと思いきやとんでもない話を放り投げてきたのだ。
ここが組織の隠れ家なら垣根は容赦なく吹き飛ばしていただろう。
もちろん、それも見越していたのだろう。
暇そうな素振りも見せず、違和感も消し去ってごく自然な店内の背景の一部と化している店主を横目に垣根は息を吐いた。

「馬鹿じゃねぇの? 待て。俺は、ってどう言うことだよ」

【お前以外の超能力者(レベル5)も『絶対能力(レベル6)』目指してこれからアイドルとしての活動をだな……】

「あのなぁ、そんな真似してレベルが上がるんならこの世に無能力者なんざいねーよ」

【多くのファン、そこに含まれる能力者のAIM拡散力場の指向性を――】

垣根が馬鹿にして吐き捨てると、PDAに長々とした計画の詳細が送信されてきた。
一応は、理論的に成果の見込みありと裏付けられている実験計画なのだそうだ。

「テメェら…何かっつうと『AIM拡散力場』っつっとけばいいと思ってるんじゃねえよな」

ざっくりそれに目を通した垣根は。
なんでテメェがマネジメントまで兼任してんだ、と続けてぼやくように言った。

【暗部の仕事とのスケジュール調整は他の人間にはこなせないだろう】

おかげでこちらは大忙しだ、と言う嫌味は無視された。


「芸能活動(笑)しながら暗部の活動も続けんのかよ。なぁ、テメェら俺にどうなって欲しいんだ?」

【トップアイドル。そして、『絶対能力者』だ】

予想外に真面目な声で返事があった。
おや、と目を丸くした垣根だが。
次の瞬間にはそれがゆがむ。
獰猛な獣じみた視線を液晶に落とすと舌打ちがそれに続く。

「俺にそんなもんの頂点取らせようって? ったく、阿呆らしい話は大体見えたが。俺に何の旨味もねえのにそうですかって馬鹿な真似やってられるか」

【いわゆる「セレブリティ」の連中を考えてみろ。やつらの財力、コネクション、各界への影響力、それらを束ねるカリスマ性。表立って大々的に「神に選ばれし者」の一員となって潜在的な支援を集めることも……野心的なお前には悪い話ではない筈だが】

「俺の影響力が高まれば、連中も無視出来なくなる。発言権も得られるか……馬鹿なパフォーマンスでレベルが上がるとはとても思えねえが、そっちなら……まぁ」

垣根は真剣な目をして何事か考えはじめた。
ある意味神々しいギフト、彼の能力について触れそうな単語も、珍しく頭にこなかったらしい。

「たまにはつまらねえ話にも乗ってやっても、いいかもな」

いい退屈しのぎをみつけた、とでも言いたげにその口元が釣りあがる。
まるで、そのタイミングを見計らったかのように電話の男は話題を次の段階へとすすめた。

【今までの経験上、お前の資質はある程度こちらも把握している。
不要な営業活動や仕事は除き、お前の強みを活かした仕事が出来るよう「今まで通り」組織で支援してやろう。
当面の活動に必要なスポンサーとも話を進めてある。
まずは幾つかの企業のコマーシャルをこなしてもらう予定だ】

そう言って、次にいくつかの企画資料が送られてきた。
そこに名を連ねているスポンサー候補は。
各分野の有名企業のような大手から、一六学区の個人事業主など規模はさまざまだった。
能力者と聞いてまっさきに飛びついてきそうな学習塾や開発関連企業は、既にあちらでカルテル染みた協定が出来上がっているようだ。
出資し合った企業ごとに、アイドル活動をしている超能力者たちのPR期間のローテーションが平等に組まれるらしいと注釈が付いていた。
超能力者なんて能力開発分野でも反則レベルの絶大な偶像を奪い合っては、競合して潰し合うのは目に見えているから、かもしれない。


大がかりなライヴ、大手雑誌のグラビア、特集記事などそう言う派手な仕事は、もっとアイドルとしての知名度を上げてから効果的に進めていくらしい。
とりあえずは地道に宣伝広告の方を頑張ってもらう方針だと言う。
どうやらプロデューサーや上層部は餌を充分撒いてから、雑魚をごっそり網にかける気でいるらしい。

【お前達がアイドル活動をしてるってことを市民に周知させる必要がある。
超能力者アイドル化計画推進として、それぞれCDも出すからな。
お前の音源もサンプルが幾つか用意してある。すでに本格的な楽曲製作を進めて……】

「待て。いつそんなもん録った」

【この前カラオケに行っただろう】

「完全プライベートだぞあんなの。油断も隙もねえな、本当」

【とりあえず致命的な音痴じゃなくて一安心だそうだ】

よかったな、と言いたげな言葉に。
はあー、と仕方なさそうに垣根はため息をつく。

【超能力者の話題性にそのルックスだ。
お前のような逸材にはかかる声も多くてな、それでも随分厳選したんだぞ】

更に資料のページを進めると、具体的に詰められた企画のスケジュールの予定が並んでいた。
一体、垣根を納得させられなかったらどうするつもりだったのかと呆れるくらい、本人のしらないところで勝手に話が進められていたらしい。

「なんだこりゃ……お、ファッション系が結構入ってんな。ふーん、どこもそこそこのブランドじゃねえか。
『外』のもあるな……ん、高級寝具メーカー? こっちは……ガキ向けの学用品のPRって? 
なーんかまともそうな中にちょいちょいおかしいのが混じってんぞ。何やらせる気だテメェら」

【垣根帝督を前面に打ち出して広告をだしてもらうんだよ。喜べ。どちら様も喜んで受けてくださるそうだぞ】


「まぁ、向こうから頭下げてくるくらいが筋ってもんじゃねえの? で。テメェらのプランの核になりそうな…俺の強みって……なんだよ」

【そりゃあ、天使の羽に決まってるじゃないかw】

「はぁ?」

ここに来て一転。
馬鹿にした時の口調になった電話の声もといプロデューサーは笑い転げるのを我慢しているように裏返り気味な声で続けた。

【年末年始の特番『絶対に笑ってはいけないin学園都市スペシャル』と『芸能人格付けチェック』の能力者席には出れるように頑張ろうな!】

「完ッッッ全にお笑い枠にねじ込む気だろ? なぁ!!」

ガターンと椅子が一つ後ろに飛んだ。
騒音にも店主は眉ひとつ動かさない。

【顔がいいのがあえて外して、馬鹿をやるのがいいんだろう。
お茶の間にはそう言う方がウケがいいらしいからな。
お前の能力にもぴったりじゃないかwww】

「ナメてんのかテメェぇぇぇッ!」

PDAを掴むと垣根は吠えるように叫んだ。
その背中には、いま馬鹿にされた翼が翻っている。
既存の物理を捻じ曲げる能力でも、流石に居場所の知れない通話相手を愉快な死体にはできない筈だが。
既に垣根はそんなことは考えていないだろう。

【そうやってお前ら超能力者はすぐキレるけどな、芸能界の先輩方を見習えよ。
今日日そんなやっすいキレ芸じゃ流れ星にしかなれないぞー?】

「芸でキレてんじゃねえっつうの!!」

【悔しかったら結果を出せ。垣根帝督。障害をねじ伏せその手で登りつめてみろ。お前のやり方が通用するなら、の話だがな】

チィッ、といまいましげに舌打ちすると垣根は近くの椅子を乱暴に引いた。
どさりと再び腰を下ろした。
ほんの少し。
何かを切り替えるような空白を置いて、垣根は顔をあげた。

「いいぜ。俺にその常識は通用しねえ。アイドルだ? 愚図な聴衆共がなんだって?」

その顔は、挑む様に薄く笑っていた。
みてろ、と彼は牙を剥く。

「世界を、ガラリと変えてやるよ」



こうして。
まんまとアイドルに担ぎ上げられた垣根帝督は、トップアイドルの座を目指して学園都市のお茶の間を席巻するようになるのだが。
それはまたべつのおはなしである。

と、いうはなしだったらいいのになーなおはなし。
とあるあいどるの~~に垣根が出てるって聞いてちょっと読みたくなったのでやっつけた。
ガチャはこころをしずめてくれないしいくら回しても徳もつめないのである。
ので。いきなりの小ネタ。失礼。

正直、ちょっとしたデモンストレーションすら不安の塊だった奴らをステージから下ろすのだけはやばいと思う。
超能力者並べてバラエティとかトーク番組出したら編集地獄にしかならないって。
しばらくお待ちくださいからのCMあけたら357以外ちょいちょいぬいぐるみになってそう。生放送は絶対ダメだゾ☆
アイドルな超能力者様は第一位以外もやんのかね?
ラブリーミトンとコラボして泣いて喜ぶ御坂さんとかは大歓迎です。

ドーモ。
ではまた!



言いたいことがあるんだよ
やっぱり垣根はイケメルヘン
すきすき大好きやっぱ好き
やっと見つけた天使様
俺が生まれてきた理由
それはお前に出逢うため
俺と一緒にlevel6目指そう
世界で一番愛してる

アイドルは生がダメとな!?

>>321の安価の中身を初春がインディアンポーカーのカードにしてくれてたら間違いなくSランクで超高額取引されただろうな

羽毛布団とランドセルwwww
ひでえwwwwww



……その布団3セット下さい!

垣根さんマジちょろいっす

垣根の能力フル活用したらジャケ絵とかPVとか撮影楽そうだよな
自前で羽散らせるしwwww

ドーモ

>>495
恥ずかしながらまだやっとります。ハイ。
スレが埋まるかネタが尽きるまではやるのか、いい加減だらだらしてんのもどうなのとはね?

>>496
話によってむらがあるよなあとは書いてても思います。
見事にハロウィン垣根はこなかったよ!ノーマルな垣根はぞろぞろ来たけどな!
超能力から絶対能力まで諭吉が楽々シフトしたって言うところまではお伝えしておこう。経済力も運もない甲斐性なしの1だからか…これが……不幸、か。
ちくしょうそうさ、俺が養分だ!

>>497
リーダー、ツンデレ。紅一点、ツンツン。オタク、だだ漏れ。あれ?バランス取れててよさそうだね?(白目
垣根はある意味素直な気がしてきた。最近。

>>498
そういってもらえると1も嬉しいっす。乙あり!

>>499
垣根はキョロちゃん知ってるのかなって今思った。
ゴーグル君の起こした波に度々乗せていることはこのスレの公然の秘密だからな。

>>500
そうそう。ゴーグル君思いつきよかった。こじつけと寒いギャグは任せろ。
白くて大きな家電を見るとついね。帝凍庫君を思い出してね。disってない、いじりだ。

>>501
そう言ってもらえるとほっとするでな。
前もなんか言われた気する。カブトムシ。
なんか思いついたら保守ネタにするかもしれないししないかもしれない。
レスをネタにしたのはちょいちょいあるんだけど、確約は安価のみと言うことで一つ。
うん。僕もあんまりスレがごちゃごちゃしてるのはどうなんだと思うんだけどね?むずかしいんだね?

>>502
では心理定規濃度の高いのが出来たら。
なぜかゴーグルびいきだとみんなに反応されるけど、定規ちゃんもめでたい。

>>503
名前で呼んで欲しい垣根さんはニックネームだと喜ぶのか、キレるのか。
青ピやつっちーが一緒にいたら普通に返事するかもしれないけど、カッキーさんが奴らにも定着しかねない諸刃の剣。そうなると怒るな。

>>504
垣根はツンデレか。そうか。
暇ならなにしてもいいってわけじゃねえんだぞコラーって言ってやりたいな。
上手く垣根が出場してくれても、別のどっかの誰かの借り物に立候補したゆるキャラと同じレースだと、白熱しすぎた展開にゴーグルが愉快な死体になってしまうんじゃ…

>>505
風紀委員長ネタもか。もしなんか思いついたら(r
艦これはね、元ネタがよくわからないから難しいな。運がないから多分建造でかぶりまくってすぐ詰む。
あえてちょっとやってみるなら

海中から突如として現れた生物兵器の艦隊。
最新鋭科学の過剰戦力を投入してどこよりも早くその敵性の撃破・虜獲に成功したのは学園都市だった。
その根源、敵の正体を探る為の研究材料として、敵艦を壁の中に搬入する運びとなった。
だが移送中にトラブルが発生、拘束していた対象の逃走を許してしまう。

垣根ホワイト「ああ? なんだこれ」

北方棲姫「ウミ……ドコ?」

異形の白い少女と少年が遭遇する。

世界の大洋で発見される謎の『深海棲艦』。
奇しくも過去の大戦、歴史の記す戦火の跡地に彼らは現れた。
砲身を向けられた各国の決断が刻々と迫られる中、港湾棲姫が動いた。
その標的は――学園都市。
第四次世界大戦の勃発は免れないのか。
緊張の増す中、襲撃者が次々と二人に迫る。

???「乱造品の不始末を私に取れとかいい度胸してんなぁクソが」

???「『とりあえず』……それを引き渡してもらおうかァ」

少年は少女を海に帰すことが出来るのか。
彼女の望みは叶うのか。

北方棲姫「テイトク、ゴメンナサイ……」

科学と深海両者の闇が交差する時、物語が変わる。
禁書×艦これの新感覚クロスオーバー、この秋進水開始。


こんな感じで。嘘です。


>>506
何でムカつくかわからないけどもやもやする垣根さんの怒りが有頂天でゴーグル君がストレスでマッハなんてことになるぞ。
鬼かどMか

>>507
その発想は無かった(棒)
突撃!隣の構成員!とか言っていきなりお宅訪問したら心理定規に全力で追い返されそう

「どちらさまー? って」

「よお」

ガチャ……ギッ

「なん、で……あなたがいるのよっ?!」

「よお」

「……何なの。こんな時間にいきなり来て」

「え? 泊まりに来た」

「どうして」

「昨日はゴーグルんとこだったから。今日お前な」

「帰ってちょうだい」

「へー。お前こんな部屋に住んでんだ? ん? なんだよソファ小さいな? じゃあこの辺にベッドを作って……」バサッ

「ねえちょっと勝手に部屋のものに触らないで羽も出さないで。家具を増やさないでってば! 帰ってちょうだい!」

困った。リーダー帰ってくれそうにない

>>508
なー。チートハーレムじゃないガチな戦史ものでクロスとかはまたハードル超たっかいな。
1は今脳幹先生のかんこれSS探してる。
なんだよ妄想してんならなんかかいてよーねーねーかいてよーーー

>>509
オリジナルのレア低くねwはいむら絵なのか?なら仕方ない
ガチャの冷蔵庫が、冷蔵庫(家電)なのか冷蔵庫みたいな装置なのかで愉快さが変わるんじゃ。
冷蔵庫のドアガチャーなら微笑ましいが、引くたびに病理さんがボタンポチーだったら嫌だ。
カブトムシの中にたまにエラーがいてそいつは垣根未元体(SSR)に進化とかなんですか。需要狭すぎて誰得だよお。

>>510
やったー1が増えたぞよしじゃあこっちの1はひたすら強敵叩く係な。そっちの1はNカード集めて売却しといて

>>511
いつからお前が>>1ではないと錯覚していた?

>>512
奇遇だな。私も1だ。

>>513
雑談はおーけーなのですよ。って言うかあれだよきっとこのスレ話題がねえんだよ。1が来たり来なかったりだからだよいわせんなばか
宣伝か。ちょっとくらいしてってもいいよね。なんか書いてんならいいじゃんなー教えてくれても

>>514
な、なんですって?一体誰が犯人なんです!

>>515
そんなこといったらこの世のほとんどが垣根になっちゃいます。未元物質こわい

>>518
えー。アイテムみたいに超人気が出て超出番が超増えるンですか?超嬉しいンですけどォ超ほンとですかァ


>>519

待てよ。そんな簡単に死ぬんじゃねえよ。
まず超電磁砲で垣根が登場するだろ。俺ら死ぬだろ。
上手く進んで禁書の方で暗部サバイバル編がやるだろ。俺ら死ぬだろ。
絶望しろコラで博士死ぬだろ。俺ら死ぬだろ。
次々でてくる垣根往年の名台詞。俺ら死ぬだろ。
一方通行出てくるだろ。垣根死ぬだろ。
数年たって三期アニメ化の話が出てくるだろ?死ぬわ。
声優が決まるだろ。死ぬわ。
アニメのカラー絵が発表されるだろ。死ぬわ。
放送日が決まるだろ。死ぬわ。
OPで垣根が出てくるだろ。死ぬわ。
アニメで喋って動くんだろ。俺たち死んでられないだろ?
いいぜ。せいぜい今のうちにさっさと死んどけよ。
いつまでも死体のままでいれると思うなよ。こっからが本番だろ。

気を付けろ。死に続けてるとな、そのうち起き上がって痛いSS書いたりするようになるんだよ。1みたくなんぞ

>>520
まじかよ。もっと早く言ってよーだよな

>>526
ごめんちょっと笑ったw
ジャ二◯ズとか男性アイドルにもああ言うのあるのかな
キラキラ衣装で踊る垣根とかメルヘン過ぎていろいろ耐えられる自信がない。腹筋とか

>>527
一方垣根、御坂食蜂は一緒にしたら挑発しあって騒動になりそう。麦野はピー音入れそうなことも平気で言いそうだし削板が一番何するか読めなさそう。やっぱ全員問題あり放送事故必須。

>>528
インディアンポーカーて?

>>529
乙ありですドモ

>>530
キレッキレでランドセル体操踊る第二位とかテレビの前のお茶の間が愉快なことになってしまうよ。第二位のイメージ的にまずそうなことはさせないと思いたい。事務所OK出ても本人が断ってくれるはず

きっと企業も便乗しまくってくれる。
限定プレミアム特別仕様だと販促用グラビアポスターやシーツ他コラボおまけが付いてきて今ならお得な羽毛布団夏冬1組二十四回払い月々二万円コースとかがあるんじゃ(適当)

>>531

【超能力者とか言ってもまだ子どもだからですかね。レベル5の中でもお前先発だから第一位に先手打てるぞって言ったらあの後笑えるくらい張り切ってやんのwww】

【見た目通りやっぱ派手好きなんでしょうねー。撮影やステージやらせても自分で演出したがるんですよ。照明スモーク特殊効果おまけに火薬なしで爆発までいけるしいろいろ費用も浮いてます。いやー便利な能力で助かるわww】



今さらだけどスクールの制御役って男でよかったのかな
『アイテム』が軽めでテンション高いステファニーさん系のおねーさん、『グループ』が嫌味な丁寧口調の「くどい海原」みたいな男。
『スクール』は全然描写ないけど超電磁砲のあれで「煽ると草生やす兄さん」イメージなんだがそんなんでいいのか

誰ですかー?本屋さんの電撃大王ラスワンゲットした子はー。先生しかたなく密林さんにお願いしたのですよー。
こっから安価>>201のなげおとすけどなー1も予想外に心配なかんじになったからくれぐれも注意ですよ。



※キャラクターイメージを大いに損なう恐れがあります。くれぐれもご注意ください
※ネタをネタと(r



「あれ……ここ、どこだ?」

ベッドの上からぼけぇ~っとした声が上がる。
間抜けなセリフの主は、寝癖だらけの頭をぐしゃぐしゃと掻いて首をひねった。
彼のことは某組織での呼び名で仮に『ゴーグル』の少年としておく。
ゲーム機とアニメグッズだらけの自室とは似ても似つかない場所で目覚めた彼はちょっとした浦島太郎気分でぼんやりしていた。
思わず口にした疑問はまだ解決していない。
見たことのない部屋だった。大きなベッドと真っ白なシーツ、広い部屋はどこかのホテルみたいだった。
確か昨夜は寝落ち寸前までゲームをしていたが、こんなところにきた記憶がない。
どうしたものか、とりあえずその場に正座してまぶたをゴシゴシしていると。
白い部屋のドアが開いた。
そこから入ってきた人物にゴーグルはねぼけ眼を大きく見開いた。
一発で目がさめるどころか、うっかり心臓が口から出そうなくらいびっくりした。

「おう。目ぇ覚めたか」

暗部組織『スクール』のリーダー、垣根帝督がにこやかに入ってきた。
朝から「ご機嫌なリーダー」なんて言う激レアに遭遇したゴーグルは、その後ろのドアをじっと見つめた。
心理定規や下部組織のやつらがベタなプラカードでも持ってきて「寝起きドッキリ大成功!」みたいなのを期待したが。
垣根は黙って後ろ手にドアを閉めてしまった。
何やら片手にトレイを持って、垣根はベッドの前まで歩いてきた。
ぼさっとしているゴーグルのだらしない格好を見るとしょうがねえなあ、って顔をして眉を寄せた

「ったく、遅く帰ってきてゲームすんならちゃんとしろっつったろ。ソファーで落ちてたから俺が運んだんだぞ。ほら」

そう言われてもさっぱりわからないし、なんでそんなことをされたのかも覚えてない。
じゃあここは垣根の部屋なのか? なんでそんなところで寝てた?
ますます状況が読めなくなる彼の前にマグカップが差し出された。

「あ……なんかわざわざ、すんませ……え」

ペコッと頭を下げてゴーグルは差し出されたマグカップを受け取った。
トレイに残っていたのはソーサーに乗ったティーカップだった。
白く華奢な造りのそれと、自分の手の中のアニメプリントのカップを見比べて少年は反射的に垣根を見返した。

「片方淹れてる間に支度は済む。ついでだ」

ベッド横の椅子に掛けると垣根は足を組んだ。
いちいち絵になる様でカップを口元へ運ぶ。

「紅茶のついででカフェオレっスか」

「コーヒーいれんならお湯は九〇度以下、紅茶の方は沸かしたてに限るだろ。んなことより。味」

なんで全然種類が違うんだろうと思わずつぶやいたが垣根はこれぐらい当然だろ、と言う風にお茶の知識を披露していた。
そして、カップを持ったままぼけっとしていたゴーグルに目を向けてくる。
慌ててゴーグルもコーヒーをすすった。
焦って口をつけた瞬間、火傷を覚悟したのだが。
ちょうど飲み頃な温かさだった。

「なんスかこれ……メッチャうまいっス」

軽く感動しながらそう言うと、垣根は得意げに目を細めた。

「そうだろうな。ま…隠し味が違うからよ」

「だ、『未元物質』っスか?」

「お。お前も違いがわかってきたな」

冗談のつもりでそう聞いたのだが、垣根は特に否定もしないでうなずいている。
まさかの当たり、ガチでしたか? それは口にしても大丈夫なのでしょうか。
ごくん、とカップの中身を飲み込んでから固まるゴーグルの少年。
それを見ていた垣根は愉快そうに笑った。

「ばーか。冗談だよ。俺がちょっとその気になりゃこんなもん楽勝だっての。どうだ? コーヒーメーカーの買い替えは、無期限延期だろ」

「こーひーめーかー?」

「もう忘れたのか? いつまで頭が寝てんだお前」

一体なんの話だろう。
ゴーグルの少年が首を傾げている間に。
垣根は空になった食器を持って部屋を出て行ってしまった。


とりあえず起きよう、と意を決した彼が寝室っぽいとこを出て、やっぱり見覚えのない白くて広い部屋をうろうろしていると。
ひときわ広いスペースに垣根がいた。
壁にはめ込まれた大きなテレビの前に立っていた垣根は、ゴーグルに気付くとキッチンらしきスペースの方を指さした。

「俺そろそろ出るぞ。お前の飯はそっちな、有難く食えよ」

「えっ?! すんませ……あれ」

激レア、超激レアときて更にありえない追加イベントが発生した。
なんかもう、いきなりおかしな事故にあうとか突然敵対組織に襲撃されてうっかり死ぬんじゃないか俺と混乱しながらゴーグルは頭を下げた。
びっくり仰天意味不明の連続だが、反射的に謝罪を忘れなかった。
そして。
顔をあげた時、ここにきて一番の違和感を目にした。
さっきまでは下ばかり向いていたから気づかなかったが。
彼の頭にある疑問が浮かぶ。
今目の前にいるのは本当に垣根帝督なんだろうか?

ぽかんとするゴーグルの少年に、垣根は何故か得意げな顔をしてネクタイを結んでみせた。

「これか? よそのやつも呼んで朝からミーティング。あいつら俺にちゃんとした格好してこいってうるせえんだよ。誰に物言ってんだか。で、どうだ」

「いや……垣根さんっスよね? 垣根さんだけど、垣根さんじゃない?」

以前から大人っぽい服が似合うとは思っていたが。
仕立ても値段もよさそうなスーツにきちんとネクタイまでしていると「ぽい」がすっかりどこかへ行ってしまうようだった。
暗部のリーダーの貫禄はそのままに全体的に落ち着いた雰囲気の垣根が立っている。

「見違えるほどか? それとも寝ぼけてんのか? ったく、ほら。我ながらイケてんだろ。何もねえの」

寝起きの瞬間からよくわからないこと続きでゴーグルの少年は混乱していた。

「はぁ……似合ってるっス」

てきとーな返事がお気に召さなかったのか、垣根はむっとした表情で足をゴーグルへと向けた。

「別に俺は、お前が『嫁』を何人持とうが気にしねえけど。その倍は俺に尽くすのがフェアなんじゃねえか?」

「え、あ」

ゴーグルの少年は不機嫌な垣根の迫力に後ずさる。
言ってる意味はよくわからないが。
垣根は明らかに怒った様子で一歩一歩向かって歩いてくる。
近づいてくる垣根をよく見て、さっき感じたひっかかりの正体が彼にも何となくわかった。
整った顔や細いシルエットは記憶にあるものより精悍さが増しているような気がした。
今目の前にいるのは彼の知っている十代の垣根ではないようだった。
数年越しの記憶喪失、とか中身だけタイムスリップなんて単語が頭に浮かんだ。
まさかそんな、漫画やゲームじゃないんだからと否定したいが、目の前の現実はそうはいかない。

「お前はやっと休みだろうけど、これからつまんねえ用事で出掛ける恋人に気の利いた言葉一つ言えねえのかよ。お前ってさー、何年経っても本当変わんねえな」

「はい? 今……なんて?」

ここ一番の爆弾発言にあっけにとられながら。
おかしな声で叫びそうになるのをこらえて、なんとか聞き返した。
ゴーグルの前まで詰め寄ってきた垣根はそこでふと眉を寄せた。
よく見る不機嫌な表情とは少し違う。
心配そうな目をしている……かもしれない。

「俺今日仕事だぞ。あれ、言っといたよな?」

「いやそこじゃないっス。えっ、冗談ですよね? こいびととかまさ……か」

口にし終える前に、瞬間ゴーグルは悟った。
これはあれだ。

やってしまった。

それを聞いた垣根の顔が一瞬無表情になった気がした。
その後で唇がゆっくりと弧を描く様がなんだか死神の鎌にみえた。
それはそれはきれいにみごとに思いっきり地雷を踏み抜いた実感があった。
背筋にブワッと嫌な寒気を走らせて、引きつった笑顔のままゴーグルは立っているしかなかった。


「ふーん。随分笑えねえジョークだな? お前にしては」

「あの、いや、なんか寝ぼけてて、あれー何言ってんだろ……すみません」

「なあ。俺は朝からすげームカついてんだけど」

「だってあの……俺っ」

ゴツ、と後頭部が壁にぶつかる。
元からどこにいたってなさそうだった逃げ場は完璧にゼロになっていた。
だが。
ゴーグルを追い詰めた垣根は何故か楽しそうに笑ってみせた。

「んなガチでビビんなよ。何それ。うっかりときめくだろ」

「ぎゃあっ!」

ベキャア! と垣根が手をついていた壁が砕けた。
ゴーグルの背中の後ろまで大きくヒビが入っている。
垣根は某第五位みたいな、他人をてっぺんから見下したいい笑顔をしていたが冗談ではない。
恐怖の壁ドンにゴーグルの頭は真っ白になった。
垣根の次の行動がまるでわからない。何だか話もいつも以上に通じていなくて。
ただただこの意味不明な状況が恐ろしかった。
事故とか襲撃とかんなかわいいもんじゃねえ、ここ? 俺ここで死ぬ? と心臓を縮み上がらせながら少年は震えだした。
その耳元に顔を近づけると垣根は静かに囁いた。

「『俺が悪かった、帝督ごめんなさい』って言ってみ。三回くらい」

「はい。えっと……」

「言えよ」

命令する垣根の声が低くなった。
ゴーグルは目を閉じると必死に声を張り上げる。

「俺が悪かったです。垣根さんごめんなさい。ごめんなさい!」

命じられたままにそのあと三回分繰り返すと垣根は腕を組んだ。

「うーん、そうだな。『帝督愛してる』って言ってみろ。百万回くらい。努力次第で考えてやってもいいぜ」

「えええ!」

おまけに考えてやる、だ。
そこまでしてもこの元(?)リーダーはあっさり許してはくれないらしい。
でもゴーグルだってしたくて怒らせた訳じゃないのだ。

なんでこんなことになったのか彼には覚えがない。
あってもそれは嫌だが、いきなりすぎてついていけない。
まるで夢でも見てる気分だった。
夢。

そのひらめきにゴーグルの少年はハッとした。


「なんだこの流れ……あれ、これ夢? ギャルゲ御用達な夢イベントだ? しかも垣根さん√?! なんだそれ誰得だよ!」

そう考えると何となく今までの展開にも納得できた。
覚えてないだけで何がどうおかしな世界線に突入したのか。
生涯ぼっち予備軍だったオタクの俺が暗部のリーダー(男)とくっついちゃったらしいです!なんて話よりはよっぽど。
夢オチの方が可能性と希望がある。
と言うかそうでないとわけがわからないよ。

未来設定の夢の中で新婚さんな二人がいってきますのチューや何やらを巡ってイチャコラする感じのイベントは漫画やゲームでもよくあるやつだ。
目がさめると遅刻寸前とか、登校前にその子とバッタリとかそんなオチのつくやつで。
ラブコメのテンプレってぐらいあるあるなネタの一つな訳ですが。
もし、そうで。
お約束の展開の流れ通りにするなら、垣根にはなんとか穏便に出勤してもらえば話は済むんじゃないか。
「いってらっしゃい」できれいにオチをつけるのが平和なやり方だと思いたい。
ドタバタは勘弁だ。
間違ってもラブコメ路線なんてもってのほかだ。


「これから仕事なんスよね? ダメっスよいかないと」

「平気だって。俺一人抜けたくらいで回らなくなるなんて柔な環境も、ダメな部下もいねえから。
ある程度、トップ不在で動ける組織作りってのはしておかねえと。相変わらず下にいるのは無駄に年だけ食ってる奴らばっかだけどな」

何だか無駄に過去の背景設定の生かされていそうな台詞が出てきた。
一体どんな仕事をしてるんだろう、と興味はわいたが今はそこにかまっていられない。
垣根は、自分の機嫌を損ねたゴーグルになんらかの責任を取らせる為に仕事を休むつもりらしい。
機嫌悪いから休みます、だと小学生でもやらないサボりになってしまいそうだが。
この人なら平気でやりそうな気もするし、そのあと休んだ分くらいはしれっと挽回しそうでもある。


「えーっと……俺のせいで垣根さんの仕事にまで迷惑かけらんねえっス。そういうの、ちゃんと大事にして下さいっス。俺、ちゃんと反省しときます」

(これいけるんじゃねえ? 垣根さんを立てつつ、反省してますって感じで満点はいかなくても高得点なセリフだと思う!!)

よかったこれは現実じゃないぞと思った時点で、彼の心は少し持ち直していた。
ふだんの夢のようにただ見ているというよりは自分である程度行動できるかんじなので、ちょうどゲームでもしている気分だ。

ゴーグルの少年の好きなゲームの中では、途中でちょっとしたズルをすると次に電源を入れた時に彼女から怒られてしまうことがある。
最悪、スタート画面にさえ移動出来ないと言う目にも何度かあったことがある。
おまけにそう言う時に限って場所が電車の中や教室だったりするのだ。
不思議と、マイクでの解除ワードの催促をされても答えられないような悪いタイミングが重なる。
そんな時にゲームしてんじゃねえよ、と言う話は置いておいて。

今、この場合。
ミスると夢の中でもオフになる可能性がある。
ゲームの電源や何かよりよっぽど大事なものかもしれない。
夢だからって嫌なものは嫌だ。
悪夢はすすんで見たくない。今だって十分そんな状況だけど。

そして、夢だと言っても相手はあの垣根帝督。それを避けるには最大限の注意を払って対応しないといけないだろうとゴーグルの少年は直感していた。
愉快な死体エンド痴情のもつれ?バージョンはないと願いたい。
ゴーグルは最悪の目覚めから逃れるために一生懸命頭を下げた。


「……お前がそこまで言うんならしょうがねえな」

垣根が仕方なさそうに頭を掻くと。
その後ろ。離れた床の上に白い点が現れた。
ばしゃん、と液体でも固体でもなさそうなものが大きく広がる。
白いその中から人型が生えてきたと思うと。
あっと言う間に目の前の垣根とそっくり同じ姿をした人物が出てきた。
着ているものも髪型も、もちろん顔も見分けがつかない。
『未元物質』で作られた偽物と言うことなのか。
それに向かって垣根は、気になっていた小さな汚れを片付けたような顔をして晴れやかに笑った。

「よし。俺の代わりに行ってこい。これ、今日のスケジュールな」

ぽいっと投げつけられたPDAを受け取ると二人目の垣根は画面を覗いて顔をしかめた。
ゴーグルの少年が夢の中(仮)だというのに驚いてしまうほど自然な、生き物のような反応だった。

「うわーオリジナルお前サボりかよ。こんだけ予定詰めといてよくぶっちぎるな」

「先方には愛想良くしろよ? ただでさえこっちが優位な話じゃ反感食らいやすい。精々向こうの顔くらい立ててやれ」

「何お前ら修羅場? それとも……えー、朝から随分元気だなテメェら」

垣根(その2)は垣根とゴーグルを呆れた様な目で見ていた。

「ばーか。まぁ、その辺はほら。こいつの今後の態度次第だな」

「はい?!」

心臓によろしくない不穏なワードが次々飛び出してくる。
だが、垣根は二人ともそれを無視した。
大したこともなさそうな、慣れきったような態度が逆に恐ろしい。

「面倒事人に押し付けといて何だよな。楽しそうでうらやましいぜ。久しぶりに血の雨の降りそうなやつかそれとも……
まぁ、どっちにしても後で俺も混ざっていいか。怠いし、幾つか削れんだろこれ」

「うるせえ。いいから行ってこい。手ぇ抜くなよ」

荷物を押し付けると垣根は蹴り出すようにして垣根二号を部屋から出て行かせた。
窓からじゃなくてよかったなあとかくだらないことを考えていたゴーグルの少年は。
何も事態が良くなっていないことにやっと気付いた。


「これでいいだろ。なんかさ、もう行く気なくなったわ」

遅かった。
せいせいしたろ、と笑う垣根は既に問題が解決したと判断しているらしい。
垣根の方はそれでいいかもしれない。
まさかの、気分で仕事の予定をぶっちぎってしまった。
いや。確かに現状で問題は何もないかもしれない。
垣根帝督(らしきもの)は出勤しているわけだし。
残っているのは、ゴーグルの少年がいかに最小限の被害でこの先のステージをクリアできるかと言う未知の課題だ。
それに備えて出来ることはまだあるのか。

「大丈夫だ、俺がしっかり数えとく。だからお前は余計なことなんざこれっぽっちも考えなくていいぜ。ただ俺を満足させりゃいい」

ラスボスはさわやかな笑顔でそう言った。
ここで何か抵抗できるか。
いや。そんなことしても、事態が良くなるとは思えない。
何よりすっかり垣根帝督のペースだ。
きっとこの先待ち受けているのは超能力者ランク『未元物質』の固有結界ステージだ。

「あの馬鹿が帰って来る前に済ましちまおうぜ。まぁ、勝手に増えるなって言っといたからあいつまで替え玉立てて戻ってくるってのはないと思いたいが」

「え。あの垣根さんっぽいの増えるんですか? 更に?」

「そうそう。それにあいつらはほら、俺と違って色々と……な?」

『未元物質』驚愕の新機能らしきものや、さっきからの同性に向けるには色々と問題ありそうな発言と無駄にいい笑顔となんかフェロモンっぽいのやらと、トドメに怖い台詞含みまくりなウィスパーボイスがゴーグルの少年に繰り出される。

丸腰のゴーグルの少年は隙のない垣根の連撃を前にして。
迎撃するにもこっちは弾幕張れない、回避もないしこれ着弾したらアウトだとゲーマーの勘で悟っていた。
なにより相手は垣根帝督。

大人しく従うしかないだろう。

今までも、if未来軸の夢でもそこは変えられないのか。

今までの常識ゲームオーバーの予感に彼のこれまでの人生がつまらないエンドロールになって浮かんできそうだった。


「わぎゃぁぁぁあああああ! あああ、あ……あれ」

がばあっ! と跳ね起きたゴーグルはベッドの上でぜえぜえ息をしていた。

「夢……スか」

肩を上下させながら、少年は部屋の中を素早く見回した。
垣根大人バージョンはそこには居なかった。
部屋のなかは薄暗い。
さっきまでの出勤前の朝っぽい雰囲気もここにはなかった。

「よかったぁ……本っ当に夢でよかったー」

目が覚めた、ということはあのわけわからん空間は夢だったらしい。
これで無事だ。
一安心だ。

「あっちこっちおかし過ぎて、気になるっちゃー気になるけどあの場で深く考えたらそこで終わりな気がする。SAN直的な意味で」

手元にダイスが無くて良かった、振ったらがっつり持ってかれるやつだ、と呟きながら。
悪夢から無事目を覚ませたことに安心しきってゴーグルはベッドの上をごろごろ転がり始めた。

「何してんだか。お前も面白えな」

ドアの開く音と聞き覚えのありすぎる声にグギギギギ、とゴーグルは振り向いた。
ギリギリセーフなのか今度はよく知っている垣根の姿だった。

「目は覚めたか?     」

「かきね、さん? いま、俺の……」

スクール』に入ってすぐ、自己紹介の時に『ゴーグル』を見せたら次の瞬間にはあだ名が決まっていた。

それ以来、もしかしたらはじめてかもしれない。
自分の名前、なんてきっと一生で相当の数見て聞くものを久しぶりに呼ばれて。
ゴーグルの少年は日ごろの扱いとのギャップでうっかり泣きそうなくらい感動していた。

「何だよ。大袈裟だな。それよりハニーとかのが好みか?」

「え」

油断したとたんに雲行きがまた怪しくなった。
垣根が口にしたのは、ついさっきまでの夢の中を想起させる単語だった。

やばい。
これはやばいやつだ。
パターンの判別なんてするまでもない。
この流れはあれだ。
「私はまだ変形を残している」系のボスキャラや、アクションものやホラー映画のオチでよくある「終わったと思ったか? はっはーんまだあるぜ!」的な奴だ。
この場合、物語は一旦締められたように演出されているが、それは次の展開への伏線や次作への期待を持たせるものだ。
残念なことに、油断していたところをひきずり落とされたゴーグルの少年はその気配に恐怖と絶望しか感じない。

「嫌か? じゃあ、ダーリンとか後は……俺の天使? いや、流石にねえな。そんなことより」

「え」

「まだ九十九万四千二百七十三回分残ってるけど。どうすんだ? 続けんのか?」

「あーーー! そっちかぁあああ?!」

はっとして少年はベッドから駆け下りた。
垣根を押しのけてドアを開けた先にはまた広い空間。
そこはまたしても白い壁紙白い床。
見慣れない、白い部屋だった。


「る、ループだ?! 終わってなかったのかよさっきの続きなのかこれどこだ二面か? 
おまけに地味に減ってるってことはガチでやらなきゃダメなんスか、ノルマはスルー不可っスか? 
そして俺はいつの間にそんなに言わされたんスか」


「何だ。やっと気付いたのか。じゃあお前まだそんなに飛んでねえの?」

ドアの前でへたり込むゴーグルの後ろで垣根はコキンと首を鳴らしていた。

「と、飛ぶって?」

「これ何回目だ、って話してんだけど。へえ、意外ともつもんだな」

「い、嫌だ……覚めない悪夢とかなんの冗談スか。つうかループしたってことは、前の俺はどうなった? 
よくあるやつは特定のポイントでループだしあとは……死んでトリップコース? まさか……か、垣根さんに? とうとう俺も愉快な死体デビュー?」

「何だよ。あれ? お前それも覚えてねえのか。詳しく聞きてえか?」

一旦リセットすんのかこれ。いや、状況がわかってんなら最低限、背景設定くらいは頭に入ってそうだよな。
と意味のわからないことを呟きながら垣根は首を傾げた。

「それは気になるけど恐いので遠慮させて下さい」

「遠慮なんざしなくていいっつーの。んなことより、もっと大事なことに頭を使え」

「この垣根さんも前の垣根さんも設定とか何とかは諸々引き継いでらっしゃるのでしょうか?! その優しさが俺には怖いっス」

「別に優しさじゃねえよ」

「それでは一体なんなのでしょうか」

「真心じゃねえから下心、とか」

おっと。
ちょっと不穏な空気がやわらいだぞ、とゴーグルの少年は垣根のベタっぽいボケの振りに便乗してみた。

「でははい、そのこころは」

「えーと。恋?」

「垣根さんにしてはなんかベタすぎっスね」

「そこはスルーかよ」

危険なワードはあえて触れない。
下手に内部パラメーターでも変動して、会話がおかしな分岐に進んでしまっては困る、とゴーグルはノベルゲームにでも興じる気分で笑って返事をした。

「言葉あそびっスよね? そうですよね。ツッコんだら駄目な気がします」

「え? 何だって?」

「あー、いや。はい。スルーしました」

絶対に聞こえていたのに、狙い澄ましたようなおうむがえしで尋ねた垣根に、ゴーグルはあえて言葉を変えた。
その切り返しに垣根は感心したように、にやりと笑った。

「自分からの見え見えの振りをシカトかよ。いい度胸してんな」

「自己防衛本能っス。俺はチキンなんで運良く踏みそこなった地雷は全力で回避します」


おい、とゴーグルに一声かけると垣根は隣に座ってきた。

「は、はい? なんスか」

「ん? いや、やっぱよくわかってなさそうだからさ。どうすりゃいいかヒントくらい教えてやろうか?」

大サービスだぞ? と人差し指をたてて得意げに言うが。
なんかもうノリがおかしすぎてゴーグルはぽかんとしていた。

「なんでこっち来るんスか?!」

「ほら、俺別にお前の敵じゃねえけどこう言うのが許されてんのかまではわからねえだろ。バレない様にこっそり聞けよ?」

そのまま内緒話をするように更に距離をつめてくる。
普段ならそこまで過敏にはならないだろうが、さっきまでの悪夢体験でゴーグルの少年はひどく怖がっていた。

「だからって近っ、顔近いっス!」

「デカい声出すなって。『総体』にバレんぞ」

「えっ。なんスかそれ。もしかして夢の平行ループ世界に散らばる垣根さんの中核が? じゃあその垣根さんに許して貰えたらこのおかしな夢も……」

「いや適当言ったんだけど。そんなの本当にあったのか。へえ、外に出て探してみるか?」

窓の外を指さして垣根はそんなことを提案したが、またしてもほっとしかけたところを落とされてゴーグルの少年はろくに話を聞いていない。
大慌てで垣根から距離をとった。

「なんで! 今! そんなテキトーな嘘吐いたんスか? ちょっと期待したじゃないですか」

「やたらビビってるお前に近寄るには、いい口実だろ? 何お前そんな引いてんだよ」

完全な棒読みで「うわー傷ついた。俺いますげー傷ついたぞ」と言っているのも、普段の垣根ならありえないふざけ方だ。

「やっぱこれ俺の知ってる垣根さんと違う」

「どんなもんかは知らねえけど。お前の知ってる俺ってのが、本当の俺なのか? どれだ? 『スクール』のリーダーの俺か? 『超能力者』の俺か? 他には何だ。何がある?」

皮肉めいた笑みをうかべると。
垣根はふと遠い目をして呟いた。

「そいつの何を、誰が本当にわかってやがるんだろうな」

ゴーグルの少年もオタクの端くれだ。
妄想とかそんなのは大好きだし、実は◯◯設定やもしもネタも笑って楽しめる。
だからって「何故か全力フルスイングで盛大にデレてくる垣根さん」とかはゴーグルの少年は嬉しくなかった。
なんかもうデレとかそんなちゃちなレベルじゃねえのはうすうすわかっていたが。

アクション映画やサスペンスの手に汗握る展開だって見ているからこそ面白い。
自分の身に降りかかってくるのは別問題だ。
もし二次元嫁推しキャラなら強制ラブコメ大歓迎オールオッケーこっちから三つ指ついてお願いしますでも。
実は垣根はホモだったんだよ! 世界は滅亡する!! とか言われたら世紀末の終焉の方に激しく納得同意してしまうと思う。

「なんスかねこの状況。いっそ楽にしてもらった方がマシなのか……
いや、もし死んでも戻るんならなんにもならないじゃないスか長引くだけっスよね。何がループのフラグだったんだ」


ゴーグルの少年は悩みだした。

別におかしなものに触ったり、謎のゲートを通ったりバケモノの返り血を浴びたり。
時間や世界を移動する色んな装置を使ったり乗り物にも乗っていない。
世界を自分の意のままにする女子高生と交流なんかもしていない。
白くてウザいちんちくりんに何か願いごとをしたりもしていない筈だ。
それに、そう言う系のループなら何か便利そうなことや前回の記憶を持ちこしているのがお約束の筈だった。

そもそも夢の中身に理由なんてないのかもしれないけど。それにしてもいきなりすぎて訳がわからなかった。
早く目が覚めるのをまつ以外に対処も浮かばない。
夢だとわかっている夢の中でタイミングよくいまだ! Yボタン、とかすると現実世界に戻れたりするのだろうか?

「俺もよくは知らねえけどお前のことだ、大方俺の機嫌を損ねたんだろ。それがマズいって思ったんじゃねえのか」

「まさかそんなのが原因って……」

「否定出来んのか?」

「そんなぁ? だってここ俺の夢の中ですよね!?」

「そりゃあな。だが相手は垣根帝督だぞ? 俺にそんな理屈や、お前の常識が通じると思ってんのか」

根拠も説得力もないはなしだが、そう言われると何故か納得できてしまう気がするのは暗部組織でのあれこれに毒されているのだろうか。
別に垣根帝督個人はそこまで破滅的に傍若無人で非常識で血も涙もないクレイジーさんではけっしてないのだが。

「夢にしたってすげー理不尽なのになんかしょうがない気がする……垣根さんってすげーなー。えー。じゃあとりあえず、さっき聞いた一〇〇万回どうの…ってのがんばるしかないんスかね」

「まぁ、俺の不満を先に解消させた方がいいだろうな」

そう言うと、垣根はゴーグルをほっといてその場を離れた。

「さっきから随分余裕こいてるみたいだけど……そうやって口が利けてるうちに数稼いだ方がいいんじゃねえのか」

ベッドに腰かけながら垣根はゴーグルの少年を見下ろした。
なぜそこに? 椅子そっちじゃね? と思いながらゴーグルは垣根さんは何してるんですか、と聞いた。

「いや。どうせなら、特等席で聞いてやろうと思って。お前はそこで正座な。まだ」

まだってなんだろうと思ったが、余計なことはきっと聞かない方がいい。
探索者系の一般人寄りのジョブは下手に深追いするとすぐおかしくなって死んでしまうのがゲーム盤上のお約束だ。
長生きしたかったら手も口も出さずにスルースキルを磨いたほうがよさそうだった。


「口にすんのはもう止めたのか」

「夢の中だからってそんな長時間愛を唱えて過ごしてたらうっかり事故りそうで嫌っス。なんか心理定規が前にそんな様なことをっスね……あとで目が覚めるからってToLoveるのは勘弁っス」

とりあえず、一〇〇万回の罰ゲームノルマを遂行中のゴーグルの少年だが言いはじめてみた解除ワードが予想以上に厳しかったので。
もう少し優しいやり方でなんとかならないかと垣根に相談してみた。
なぜかあっさりノートとペンが用意されたので、今は小学生の漢字の書き取りみたいなことを床の上でしていた。

「嘘から出た真って言葉があるよな。別にいいんだぜ、何か芽生えちまっても」

「殺意とか争いの芽とかは縁起でもねえっスけど。愛とかこの場で芽生えても何にもならないスよ」

「何もねえってことないだろ。そうなったらとりあえず、今の俺はしばらく退屈しないで済むだろうな」

「はぁあああ、何故ここにいる垣根さんはそんなに広くオッケーなんスか。
『俺と垣根さんがこう……口に出すのも憚られる感じの、夢の中の設定』の影響なんですか。そこを目指さないと旅は終わらないとかだったらどうしよう」

「なんだよ。そう言う方向性で行ってみるか? っつうかむしろ不満があんのか。顔も頭も良くて金もあって超能力者で、非の打ち所のねえ俺のどこが気にいらねえんだか。
あ。完璧過ぎるとだめってやつか? そればっかりはな。仕方ねえよ。天に二物も三物も与えられてるもんな、俺」

「それを自分で言っちゃうのが垣根さんっスよね。いやあの俺男はものすっごく守備範囲外です。フラグも圏外です」

「じゃあ女ならいいのか。そうだな、別に夢だしなんとか……あれ。お前女の方がいい?」

「そうだ。そうですそうでした。そもそも俺三次元はですね」

「アニメって幾らあれば作れんだ」

金かけるとワンクール数千万だっけ、億いくっけ? いや。垣根さんならリアルワールドでも、用意できたとか言いそうでこわいぞ、とゴーグルはビビッていた。

「えー、あの俺垣根さんのことは『スクール』のメンバー以上に見れないっスから。やっぱ無理ですって」

「お前なあ。ここ夢だぞ。何堅く考えてんだ。まぁ、それでもお前がそこまで言うんなら……仕方ねえ」

あーあ、と残念そうに言うと。
垣根は頭を掻いた。

「お友達から…よろしくな。幸せにしてやるよ」

「最後なんでカッ飛ぶんスか? なんで恋人ルートで完結しちゃうんスか他のENDはどこいったんスか!」

ものすごいファールを場外にぶち込んだ超能力者はものすごくさわやかに片手を差し出したが。
拳を握ったゴーグルの少年が握手に応じないのを見るとすぐにそれをポケットにしまった。

「何言ってんだ終わってなんざねえよ。俺達の活動はこれからが本番だ」

「だめだ。やっぱり聞いてくれない。俺の声は聞こえてるはずなのに話にならない。なぜだどうしてだ」

ただでさえ真偽のあやしい常識なんてものはここではカンナかけてやすりで削っておまけにロードローラーで轢きつぶされてしまったくらい粉々なのかもしれない。

「夢の中の垣根さん、あれっスか……あなたさまは実は男も大丈夫だーとかそんなのが……?」

現実ならもちろんばっさり否定してもらいたい質問だがどうしても、この夢の中が不可解すぎてつい聞いてしまった。

「男だから女だからってのは、そんなに大した問題か? そいつだから、って答えの前にはつまらねえもんだろ」

「夢にリアル世界の理屈を持ち出すのもなんスけど。違和感ハンパねえっスよ」

幅のありそうな返答にほっとしていいのか悪いのか判断に悩みつつ、ひたすらページを埋めながらゴーグルは新たな疑問をぶつけてみる。

「何でだよ。この俺がいいっつってんのにか」

「だって俺っスよ? 能力も大したことねえ顔も並みモブ・ザ・モブいいとこなしオタクで名無しのゴーグルっスよ?」

自分で言っててちょっぴり悲しくなる事実を告げるとベッドの上で暇そうに転がっていた垣根は起き上がって反論した。

「おい。俺のもんを馬鹿にすんのはたとえお前でも許さねえぞ」

「垣根さんかっこいー! じゃなくて! もうちょっとこう、具体的にですね。知りたくないけどきになるっつうか。俺のどこがそんな気に入られてんのかさっぱりなんで…」



「何だよ。じっくり聞かせてほしいって?」

よーし、いいぞ、と。
何故かちょっと照れくさそうにしながら垣根はベッドから降りてきた。
慌てて、ゴーグルの少年は両手を広げてそれを止めた。

マイペースでいつでも俺のターン! って感じのこの人をうかつに近寄らせてはいけない。
そう直感した。

いつだったか心理定規の話を聞いておいてよかった。
何ていうか、相手の都合なんて最初からお構いなしな垣根は相手のテリトリーに踏み込んだら最後、すべて総取りでもぎ取っていきそうだった。
肩ポンで敵も味方もイチコロ、ワンパンキルみたいな。もちろん文字通りの意味でも。

「タンマっス。わかりました。下手に垣根さんの好感度が上がりそうなチョイスは俺の為にならないんですね。
藪から『未元物質』でソッコー詰むの怖いんでとりあえず見た目で! 顔は?」

「ほら、えっと……主張し過ぎねえ控えめなとこがお前らしくていいと思うぞ? なんとかは三日で飽きるっつーけどそんな心配もねえし。
いい意味で平均的なのはマイナスが少ねえってことじゃねえの」

イケメンにドヤ顔でそう言われてゴーグルの少年は肩を落とした。
何故か不思議と悲しかった。

「どうしてでしょう褒められてるはずなのに心が痛いっス」

「お前は自分でモブだなんて言うけどな。たとえ三〇〇人居たって俺はそこからお前を見つけてやるよ」

「……垣根さんて、すごいっスね」

「ゴーグル! って呼んでいい感じに返事すんのがお前だ」

「俺の、アイデンティティ……」

ゴーグルの少年はがっくり床に伏せた。
とどめの余計な一言がなければ。
ちょっと、いやかなり感動しそうだったのだが。
色々恵まれたハイスペックな人間ともなると、あんまり他人の外見に興味はないのだろうか。

「んなこといわれてもだな。じゃあさ。お前は女だとどう言うのがいいんだよ」

「そっスね。やっぱ大和撫子系の、守って応援してあげたくなるよーなのが。基本けなげ系で……髪は黒でロングがベストっスかねー。
ふわふわ系、頑張り屋さんもいいっスけど、ちょいネガちょい病みも全然。派生で毒舌とかもまあ。眼鏡はあってもなくても……あとは」

二次元キャラの個人的萌えポイントをずらっと並べてみたが、垣根はちっとも理解できなさそうな顔をしていた。
かと言って、それに具体的な作品とキャラ名をあげてわかるわかる超わかるー、と同意されたらそれはそれで激しく微妙だったが。

「簡潔にまとまらねえの」

「うーん……わかりやすく正反対なキャラ二派で分かれるやつなら…懐かしアニメのWヒロインでいくと、俺はこっちのアルビノ1st派っスね。
ハーフの2ndはちょっと……性格言動キツい子はあんま、ついでに金髪もそんなに嬉しくねえっつか中外ゆるふわタイプだとむしろ有りなんスけど、
傍若無人に蹴り入れてきそうなのはちょっと」

何かないか、と探したら都合よくズボンのポケットからスマホが出てきたのでゴーグルの少年はそれで画像を検索すると垣根に見せた。
そんなところは夢仕様で便利で助かった。
しかし、それをみた垣根の顔色がさっきまでとはまるで変ってしまった。

「テメェもあれか? やっぱ『第一候補』だよなってことか? ああ?!」

「はい? ちょっ、え、垣根さん?! 意味わかんねえけど……ごめんなさい!?」

背中から翼が出てきそうな勢いで怒鳴った垣根に、訳も分からずゴーグルの少年は頭を下げた。

「女の子の話でしたよね。垣根さん、一体何が地雷だったんだ?」

まさかリメイクででてきた三人目とかをちゃんと数に入れた方がよかったのか。
もっと違う最近の作品ならよかったのか。
何がまずかったんだろうとゴーグルは会話イベント失敗の原因に首を傾げていた。


「ほら。そんなことより手が止まってんぞ? いいのか」

「不思議と手とかは疲れないんスけどこれ精神的にきます。気分転換にひらがなオンリーでもいいっスかね」

垣根の名前は地味に書きづらい上に画数が多い。

「いいんじゃねえの別に」

よし。じゃあほら、後ろにハートも付けろ。
とかすごく似合わないメルヘンなことを言われてゴーグルの少年はもう数えるのも嫌になるくらいのため息を吐き出した。
今まで彼の頭の中にあった「垣根帝督像」がガラガラ音を立てて崩れていきそうだった。
クールでカッコいい暗部のリーダーはどこにいってしまったのだろう。

ていとくあいしてる♡とかもう頭がおかしいとしか言いようのない文字の並び始めたページを見て垣根はちょっぴり嬉しそうだった。
なぜか、ハートマークだけじわじわと色が変わりはじめている。
視界の端で芸の細かい仕事がされているが最早そんなことに一つ一つ反応しているゴーグルではない。
そういったアクション一つにも消費されていそうな精神力的なものを温存しなくてはいけないのだと自分に言い聞かせていた。

(あれ、これ秘書艦に言われてるって思えば……いける? はっはっは、もう、俺ってば愛されてるなぁ)

とひたすら手を動かしながら妄想で逃避しはじめる始末だった。

「あれ。意外とルール緩いんスか?」

「いや、お前が勝手にはじめたんだろ」

「でも垣根さんだめなんていいませんでしたよね?」

「俺も待ってる間暇だし。これなら、話くらい出来るだろ」

おや?
と微妙な意見の食い違いに、怖くなってゴーグルは手を止めた。
彼は、「原因である垣根さんがいいって言うんだからやり方変えても大丈夫だろう」と思っていたのだが。
当の垣根はまるで責任感のないコメントをしている。
この差はなんだろう。
って言うか、こんなことしてていいのだろうか。

「……このノートとペンは?」

「お前がいるって言うから用意したんだけど」

「……この、愛のデスノートみたいになってるものはどうなるんでしょう。最後の審判的なので有利な物証になるんですか」

「さあ?」

「俺…何してるんだろう。え、この時間がまるで無駄だったなんて考えたくもない」

既に何ページもぎっしり文字で埋まったノートを前にゴーグルの少年は割と本気で落ち込んでいた。
時間をかけてこつこつ進めたゲームの報酬がなんかすげーしょぼいしおまけに中途半端で全然使えそうにない大外れだった時の心境に近い虚しさがあった。

「いや、うん。そんな落ち込むなよ大丈夫だろ? 多分だけどさ」

「じゃあ今何回分クリアになってます?」

「あー……良かったな。ちゃんと残り減ってるぞ」

垣根はちょっと慌てた様子で、落ち込みまくるゴーグルのフォローをした。
そして。何か確認しているのか宙をにらんで考えると、つまらなさそうにそう言った。

「……なんでそんな、残念そうに言うんスか?」

「きっとこれが全部済んだら、俺達がこうしてる意味もなくなるんだろ」

「垣根さん」

「なぁ。俺はさ」

「なーんて言っても騙されませんよ! だからなんですぐ距離を詰めようとするんスか。境界線! 境界線!! はーい、こっから俺の陣地ーー!!」

何か言いかけながらまた接近してこようとする垣根だったが。
白い床の上にペンでガーッと線を引きながらゴーグルは大声で騒いだ。

「チッ。だめか」

何らかの、きっとあんまり愉快じゃない目論見が外れたのか垣根は悔しそうに舌打ちをしていた。


「よし」


「……あれって、聞いた方がいいんスかね。垣根さん、そんなとこで一体何してるんですか」

「来いよ」

さっきゴーグルが床の上に適当に引いた線の向こうでは、垣根が腕を広げた姿勢で座っていた。

「仰る意味がわからないのでスペックの低い俺にもわかる言葉でお願いしていいスか。出来たらやさしいにほんごでおねがいします」

「俺が行くのがだめならお前が来りゃいいだろ。ほら、受け止めてやるから」

「どうしてそこで俺がそっちに行く前提なのかがわからないんスけど。いや、キョトンとする所でもないと思います」

なんでお前こっち来ないの? って反応をされてしまった。
目を丸くして首を傾げる「らしくない」垣根の振る舞いにゴーグルはがっくり肩を落とした。
なんというか、ギャップが普段とありすぎてリアクションに疲れる。

「なぁ。お前ノリ悪いぞ」

「うっかりノリツッコミでもして取り返しのつかないことになったら怖いので。そして俺はページを埋めるのに今とても忙しいのです。
そんな訳で塩対応で失礼します」

一応、書き取り地獄が有効なことはわかったのでゴーグルの少年は一刻もはやくこれなんとかしないとって気持ちでひたすらペンを動かしていた。

「なぁ……暇なんだけど」

ペット禁止の学生寮住まいのゴーグルには未経験のことだが。
お猫様と呼ばれる生き物のお世話をしている人間は、何かやっていてもまともに作業をさせてもらえないらしい。
下僕がなにやら忙しくしていると、それが膝だろうがテーブルだろうが、たとえキーボードの上だろうがお構いなしにお猫様がよじ登って来て『相手をしろ』と邪魔をしてくることがあるというのだ。

不満そうに睨んでくる垣根を見たゴーグルはそんな話を思い出していた。
ギャグ漫画よろしくダイビングポーズで飛びかかってこられでもしたら色んな意味で瞬殺っぽいのでその点はありがたいのだけど。

なんでそんなことを思いついたのか。
第二位だけに、にゃんにゃんなのか。じゃあ一位ならわんわんだったのか。
ははは。猫とか洒落にならない。

今の状況を思い出して、そんなおかしなひとり連想ゲームの中身にNGのタグを脳内で速やかに追加した。
どこかに数値化もされていないし実感もないが疲れてきているのだろうか。
妄想脳内逃避も残念な感じになってきていた。


「そんなこと言われても一体何故こんなことになったのか……ってきっと俺のせいなのかもしれないけど
残りはネタをガチでやらせることにした垣根さんのせいっスよね。一〇〇万回ってマジっスか」

「その一〇〇万回だけどさ。お前このまんまで本当にいいのか」

突然真面目な顔をする垣根に、ゴーグルの少年も背筋を伸ばして話を聞いた。

「ここは夢の中だ。なら疲労しねえんじゃねえか、って想定で。お前が今まで通りちまちま数を稼ぐとする」

そこまで言うと垣根はゴーグルがもっているノートを指さした。

「やってみてわかったと思うが、声に出した方が断然早いだろ。一分間に三〇回なんとか言えたとして。
そのペースを維持して、それでも不眠不休で二〇日は掛かる計算だぞ? 不毛過ぎねえか。んなことやる意味、あるのか?」

僕とゲイ約して、ホモォ少年になってよ、みたいな無茶ぶりから。
今度は小学生にもわかりそうなさんすうのお話でいかにゴーグルが無駄なことをしているか説いて落としにきた。

「ぐぅううう。その根本はなんとかならないんスか根っこから問題は解決しないんスか」

「だから俺にはわからねえんだって。しらねーもんそんなの。もっとマシな解決法くらい自分で考えろよ」

「どっちだ……どっちの笑顔なんだこれ」

僕わかりません、みたいにいい笑顔をしてくる垣根は知らないふりをしているのか、本当にわからないのか。
疑念のこもった目を向けてもゴーグルにはさっぱり判断がつかない。


「漫画だと段々スピードアップしてって、一日一万回の正拳突きとかも出来るようになっちゃうんだけどなあ」

「そうだ。それでちょっと思いついたんだけど。面白い話がある。まあ聞け」

「……なんですか」

「平均して十分に一回。一日で百四〇回『愛してる』とか『好きだ』って言う生活をすると一〇〇万回まで十年掛からねえんだよ」

「あれ。計算おかしくないっスか? そのハイペースでも二〇年は掛かりますよね」

「お互いに言いあえば数は半分で済むだろ。で? そんな生活ってのはどうだ」

何となく、いい感じのオチをつけようとしているのを察したゴーグルは垣根の発言を踏まえつつ、少し考えてから口を開いた。

「……幸せは倍、ってオチですか」

「そ。『一〇〇万回の……』って言葉は色々あるけど、何も大袈裟な例え話じゃねえ。実現可能な数字だって気がしてくるだろ。
十年なんて短いスパンで考えなくても人生ってのは長いんだしもっと緩く気楽にすりゃいい」

なんだ。お前ちゃんと上手いこと出来るんだな、なんでそれを使わねえのかわからねえ、とよくわからない独り言を言うと垣根は「面白い話」を終えた。

「はー。なるほど……じゃあ、一生の間に一〇〇万回のありがとうとかも聞いてるかもしんないっスね」

「で、どうだ。俺に養われる覚悟はそろそろ決まったか?」

がくっ、とそこで少年は肩を落とす。

「ああーっ! なんか女子にも受けそうないい話だと思ったのに! 
意外と垣根さんロマンチックな話もできるんですね素敵! って思った途端にこれですよ。
そしてさりげなく最後すり替えないでくださいなんスか俺は何故に養われるんスか。最早対等だとかパートナーとかそんなレベルでもないんスか俺ペット枠っスか?!」

「だから幸せにしてやるって。俺が」

「俺の幸せは俺が決めます! 大丈夫っス!!」

このパターン何度目だろう。
頭を抱えながら。
そんなことが考えられるくらい、ネタ化したやりとりに段々慣れ始めていることにゴーグルの少年は悲しくなった。
流せるようになってきているのは夢の中での彼がいまのおかしな状況に順応している証拠だ。
この先ちょっとやそっと変な振り方をされても、座布団が狙える対応が出来そうなくらいだ。
だが気持ちのハードルが下がってきているのは、まだ笑えるレベルとは言え、振られるネタの傾向を考えてもあんまり良くないだろう。

「チッ……遠回しなプレゼンは失敗か」

「垣根さんって『ガンガンいこうぜ』な感じのゴリ押しパワータイプだと思ってたのに。何だか戦闘スタイルが変わってきてる気がする……垣根さんやっぱすげえ」

「なんだ。競争でもするか? 『ガンガンイ」

「余りにレベルの低いとこに反応するのはどうなんスか。小学生スか」

ゴーグルの言葉にかけて、垣根が下方面の問題発言をしそうになったが。
下らなさすぎてさすがに言い終わる前に止めた。

「あれっスよね? なんか『ホモネタっぽいこと言ってみたいなー』って言うやつですよね? そう言う設定で、ちょっとふざけてるだけですよね」

「いいのか」

「へ?」

「じゃあ、本気出してもいいのかよ?」

小さくため息をつくと垣根はその口元をつりあげて問いかける。
それに言葉を詰まらせたゴーグルの少年の全身からダラダラと嫌な汗が噴き出す。
凍りついたような反応に垣根が目をそらすと、ついさっきまでの圧迫感はなくなっていた。
へなへなと腰を抜かしたゴーグルはそのまま額を床に擦り付けた。

「すいませんでした俺が大変悪うございました」



「少しは理解できたか? この状況でお前が平然と過ごせてんのは俺が遊んでやってるからだ。俺の広い心、俺の温情、つまり」

「つまり?」

「愛だな」

一旦ためて、もったいつけた後に垣根は見事なドヤ顔で言い切った。
ここしばらくの間に、ゴーグルの少年はすっかり見慣れてしまってありがたみが薄いのだが、ドヤ顔品評会とか決め顔選手権があったらグランプリを狙えそうないい表情だった。

「ああ。はい」

「あれ……そこ噛みつかねえな?」

渾身のいい顔と絶好のつっこみどころな一撃に、当然ゴーグルの少年のカウンターを期待していたらしい垣根は。
狙いが外れてちょっと困ったような顔をしていた。
一方、散々な垣根の言動をいまや軽くスルー出来るほどになってしまったゴーグルは修行中のお坊さんの様に静かな表情でうなずいた。

「はい。日本語として広い意味でみればその単語には特別問題がなさそうなんで」

「まぁ……いいや。俺の愛がちっとはわかったところで……おい聞こえないフリしても意味ねえぞ」

「いいえ。聞いていますよ」

「なら……感謝の一つくらいしたらどうだ」

「ありがとうございます垣根さん」

「どこでそんなの覚えたんだよ」

このタイミングで流れるような五体投地をするゴーグルの少年に。
今までさんざん押していたはずの垣根も若干引いていた。

仏教徒みたいなお礼では感謝の気持ちが届かなかったらしく。
垣根はもっと心に響くやつにしろ、とお礼の上乗せを要求してきた。

「で。なんでハグしろなんでしょうか」

「別にいいだろこれくらい。ハグなんて挨拶だろ? ははあ、お前もしかして俺のこと意識してんのか。
まぁ、仕方ねえよな。自分で言うのも何だが、俺は相当魅力的だ」

この自信はどこからくるのか。
垣根さんはこんなこと言うキャラじゃないはずだ、とゴーグルは思うが。
ナルシシズム溢れるセリフもなんだか似合ってしまうのは確かだった。
色んな時に使える魔法の言葉「但しイケメンに限る」は伊達じゃないらしい。

「いや? それはっスね」

「何とも思ってねえんなら……出来んだろ」

「思ってないっスよ? 思ってませんとも」

こんなやすい挑発に乗る奴はいない、と普通なら思うかもしれないが相手は垣根帝督なのだ。
ジャイ○ンがの○太の漫画を「貸せよ!」と言った瞬間にはもう奪い取っているように。
ここまで発言したからには要求でも挑発でもない、確認ですらない。確定事項なのだ。
主導権も決定権もゴーグルにはない、是非も無し。

「え。俺は顔見ながらしてーんだけど。お前、前から嫌なの?」

「顔見ながらハグってどうやるんスか。繰り返しますが、ハグっスよね。絶対間違いないですよね」

「うん。とりあえずは」

少し嫌な含みがあったが、素直にうなずいてくれたので良しとした。
別にまあ普段の垣根相手ならHAHAHAって感じで欧米ノリのハグくらい、何すんだコラと返り討ちにあわなければ出来ると思うのだが。
今この垣根に正面から近づくのは、野生のクマに背を向けるよりはるかに危険だとゴーグルの少年は感じていた。

「はいはい。お前って何気にワガママだよな。意外と度胸あるっつうかどっか抜けてんのかわかんねえけど」

じゃあバックで、と残念そうに垣根は言ったがゴーグルの少年は黙殺した。
ネタを振られた予感は悲しいかななんだかとてもしたが、今その相手をするとやばーいフラグ満載の地雷原で詰むことになる。
辺り一面まとめて吹っ飛んで、この様子のおかしな垣根さんに笑顔で骨を拾われるのは嫌だった。

ビシッと仁王立ちする垣根の背後に回って、ゴーグルは言われたように腕を回した。
長身の垣根とでは身長差があるのでなんとも中途半端な感じに終わり、ゴーグルの少年はげんなりした顔で手を放した。

「何だこの虚しさと敗北感」

「想像以上に……つまらねえんだけど」

こんなことしない方がよかったんじゃないかと言うくらい、不満そうな顔で垣根は首を振った。


「せめて補う努力をしようぜ」

「いやこんなもんっスよね? 挨拶程度のサムシングに俺はいったい何を期待されてるんスか?!」

「じゃあ、ほら。交代」

そう言って強制的に立ち位置が入れ替えられる。
あまりこうして他人を近づけたことが無いのだと垣根は言った。
日本人ならそうそうこんな風にハグとか、よっぽどふざけてないとしませんよねーとゴーグルは返したが。
そう言うことじゃねえよ、と呟くと垣根は肩のあたりに顔を寄せた。

「どこ行っても厄介な実験動物扱いだったからな。昔っからさ」

「垣根さん」

「……何だよ」

「なんかめっちゃ当たるんですが」

「んー? 何が」

「耳に、息が! つうか話の途中で息を荒くしないでください!!」

「なんつーんだっけ。こう言うの。やると喜ぶんだろ? ……えっと、『耳つぶ』?」

「垣根さんがおかしな流行に毒されてる?! っつうかこれもうハグじゃないっスよね? ホールド寸前っスよね俺。ブレーク! ブレェエエエク!!」

ゴーグルの少年は自分の胸の前まで回された腕を激しくタップしてタイムを要求した。

「なんだバレたか。いい作戦だと思ったんだけどな」

垣根はケロっとした顔でターゲットの確保に失敗したことを笑っていたが。
難を逃れたゴーグルの少年はまだ嫌な鳥肌が…と腕をゴシゴシさすっていた。

「けどまぁ、いいニュースだ。お前がひっついてる間の愛してるPはちまちま言ってる時より数倍早く増えたぞ。試してみるか?」

「悪いニュースの間違いっスよね。何スかその、課金扇動みたいな露骨な追加システム。せめてその恐怖のなんとかポイントを可視化してもらえないことには。どんなもんかわからないのにそんなこと出来ねえっス」

「別に何か減る訳じゃねえだろ」

こいつ何マジになってんの? と言われそうだがゴーグルの少年はそこはきっぱり断った。

「形は無くても俺のだいじなものが減る、そんな気がするので。お断りします」

「仕方ねえなぁ。これでいいのか?」

「ああ、垣根さんの機嫌が『悪くねえ』だと高ポイントで『ナメんな?』だとゼロ、『上出来だ』なら更に追加でボーナスなんですねって、何でコマンド結果表まで作られてるんですか?」

突然どこからかニョキニョキ現れたボードは白かった。
ひょっとしなくても、メイドイン『未元物質』のようだ。
そこに出ている表によるとトータル一〇〇万のペナルティ分を、なんとかごにょごにょポイントを増やすことで相殺出来るシステムらしい。
ゴーグルの少年はそりゃもうがんばったのだが、まだ半分以上ポイントを消化しなくてはならないようだった。

「あれ。でも思ったより減ってるんスけど。俺いったいどこでそんなに稼いだんだ?」

そう尋ねると、垣根は「今までもそれなりに楽しかったからな」
と言って笑った。

「俺が飽きて来るといい結果は出なくなるから工夫しろよ。お前、こう言うの好きだろ?」

「思考停止でひたすらタップはダメってことスか。いやいや、ここは地道に頑張らせてください」

「まぁいいぜ。どうせ楽な方に流れちまうんだから」

「恐ろしい予言はやめてくださいっス」

「今はな。すぐに勝利宣言をしてやるよ」


なんと、『ゴーグル』の使用も大丈夫らしい。
もっと早く聞いとけばよかった! とゴーグルの少年は後悔したが、能力を使えば今までの数倍早くノートのページを埋めることが出来る。
おまけで新しいノートやなんかも用意してもらって、ゴーグルの少年は久しぶりに喜んでいたのだが。

「あのー、垣根さんこれは」

「おまけしてやってんだ。これくらいいいだろ。ポイント稼がせてやるよ。ほら、手出せ」

横に座ると垣根は少年の腕を引っ張って自分の頭の上に乗せた。

「撫でろ」

「えー……」

ちっとも嬉しくない新イベントの開始に思わず本音が出てしまう。

「も少し右」

明るい色の髪をわしわし撫でながらゴーグルの少年は無心でペンを操作していた。
どうやら垣根はスキンシップがずいぶんとお気に召したらしい。

「ちゃんと触れって。こっちもだ」

「はいっすー…」

そんな風にひとしきり頭を触らせて満足したのか。

「よーし。次お前な」

垣根はご機嫌で、またしても選手交代を宣言した。

「は!? いや大!丈!夫!っス! 間に合ってますね全然」

「遠慮すんなって。こいつをいじらなきゃいいんだろ?」

「ほんっとーに! 大丈夫です」

どーこーにしーよーうーかーな、と。
頭についた『ゴーグル』をよけて触る場所を探していたがゴーグルが本気で嫌がっているのを見て垣根は手をおろした。

「俺がこうしてやって、喜ばねえ奴なんざいないぜ? つうか、あれだ。お前もいい加減さ」

「だか……あーっもう、俺に触んなって! 言っ」

叫んだ瞬間。
少年の姿はなくなってしまった。





「あー。またか。今度は長くもったと思ったんだけどな」

そうぼやく垣根の前に、何やら白く光る文字が現れて流れてくる。
なにかのコードのようなそれをしばらく目で追っていた垣根は残念そうに首を振った。

「欲を掻くとかえって面倒だな。リセットだリロードだのして同じようなの何度も出来るやつの気が知れねえ。ゲーマーってのはあれか? 暇人ばっかか?」

ちょいちょい、とところどころ文字列をスクロールしながら呟く。

「まぁ、ここでハイスコア、記録更新か? そろそろあの馬鹿も気付けばいいんだけど。俺はそこまでこだわらねえぞ? つーか、その前に飽きるだろ普通。本気で一〇〇万って馬鹿かよ」

英字で短いメッセージが表示され、最終的なスコアデータの様なものが垣根の前に出そろったらしい。

「ここはあいつの夢なんだからさ。あいつがそう思い込んでるうちは、テメェが頭んなかで決めたルール通りに同じことの繰り返しだ。
それは本当に俺に通じんのか、って折角言ってやってんのに。気付くどころか別のプランを試しもしねえ。テメェが悪いの一点張りで、こっちの気はどうでもいいんだろうが」

コーヒー買って来い、と言われたがコーヒーがなかったら手ぶらで帰ってきた。
そんな機転の利かなさに呆れるような口ぶりだった。

「それに、あんなビビんなくてもいいだろ。逆らったところで別に…………」

一瞬をどこまでも引き伸ばしたような、さっきまでの下らないやり取りを思い出しているのか。
少しの間垣根は考えていたが。

「いや。やっぱ、ムカつくな?」

それとこれとは別だ、みたいな顔をすると垣根は近くに浮かんだ光る数字を邪魔そうに手ではらって消した。