冒険者「冒険に出る」(82)

~墓地~
冒険者「てことで母さん、僕冒険家になるよ」
冒険者「どこかで父さんのことがわかるかもしれないし」
冒険者「じゃあいってきます」

~冒険者組合集会所~
受付嬢「あら、いらっしゃい。ご用件はなんでしょう」
冒険者「冒険家になるにはここに登録すればいいって聞いたけど」
受付嬢「冒険家登録ね。こちらに署名をお願いします」
受付嬢「組合に入れば仲間集めや資金面で援助を受けられるわよ」
冒険者「これでいいかな?」カキカキ
受付嬢「ええ。これであなたも冒険家ね」

冒険者「さて、まずは仲間集めから始めるか」

受付嬢「最初はどこかの冒険隊に入れてもらうほうがいいかも」

受付嬢「あっそうだ。ねぇ女剣士ちゃん、この間冒険家に向いていないとかで一人辞めていったわよね。」

女剣士「ああ」

受付嬢「この子を入れてあげてくれない?」

冒険者「そんな、迷惑はかけられませんよ」アセアセ

女剣士「あたしはかまわない。皆はどうだ?」

猟師「俺もかまわない。」

考古学者「いいんじゃない?」

女剣士「ということだ。迷惑なんかじゃない」

冒険者「あ、ありがとうございます。ぜひ仲間に入れてください」

女剣士「大歓迎だ」



長いので考古学者は学者と表記します

女剣士「さて、それじゃあ…えっと…君」

冒険者「あっ、冒険者といいます」

女剣士「そういえばまだ自己紹介してなかったな」

女剣士「改めまして、あたしは女剣士。隊の中では主に戦闘を担う」

女剣士「隊のリーダーでもある。よろしく」

猟師「俺の名前は猟師だ。銃を使って戦闘や狩りをするのが隊での役割だな」

猟師「隊の中で唯一の男だったからお前が来てくれてうれしいぜ。」

学者「考古学者をやってる学者よ。これからよろしくね」

冒険者「冒険家になったばかりの冒険者です。一応剣技が使えます」

冒険者「こんな初心者を隊に入れてくれてありがとうございます」

冒険者「これからよろしくお願いしますっ」

女剣士「自己紹介をはさんでしまったが、君の装備を揃えに行きたいと思う」

女剣士「冒険用装備一式と、あとは剣技が使えるということだから剣がいるな」

猟師「街の外には狂獣がいるからな。装備は大事だぜ」

冒険者「はいっ」

~装備屋~

女剣士「冒険用装備はこんなものでいいか。剣は決まったか?」

冒険者「これですっ」

女剣士「ほう、素晴らしい剣だな。いい目を持ってる。」

冒険者「ありがとうございます」

学者「女剣士に褒められるなんてなかなかね。」

学者「それにいい目を持ってるってことは、冒険家として大事なことよ」

冒険者「へへ」テレッ

女剣士「隊員も装備も揃ったことだし、明日冒険に出ようと思う」

女剣士「まず西の村まで馬車で移動し、そこを拠点に探索をおこなう」

女剣士「今日はゆっくり休め、以上」

~~

猟師「なぁ冒険者、飲みに行こうぜ。おごるからよ」

冒険者「いえ、お酒はちょっと……」

猟師「なに、気にするな。入隊祝いだよ」

冒険者「わかりました、ありがとうございます」

~酒場~

猟師「とりあえず麦酒2つ!」

冒険者「あっ僕はミルクでお願いします」

猟師「ガキかよ」

冒険者「やっぱり麦酒で」

猟師「そうこなくっちゃ」

店員「へいッお待ち」

猟師「新しい仲間の門出を祝して」

「「乾杯!!」」

猟師「そういえば何で冒険家になろうと思ったんだ?」

冒険者「父がもともと冒険家だったんです」

冒険者「母と結婚して冒険家業は辞めたみたいなんですけど」

冒険者「僕が10歳になった誕生日の次の日にいなくなってしまったんです」

冒険者「母に聞いても何も言ってくれず、その母も去年病に倒れて亡くなってしまいました」


冒険者「それで父の行方を探すのと同時に、身をたてるために冒険家になろうと思ったんです」

猟師「そんなことが……。聞いちゃまずかったかな」

冒険者「そんなことないです。気にしないでください」

冒険者「そんな猟師さんはどうして冒険家に?」

猟師「俺か?俺は一獲千金を夢見てさ」

猟師「冒険して宝を見つけて億万長者なんて男のロマンだろ」

冒険者「へぇ~、なんだかカッコいいです」

猟師「だろ?」

~~

冒険者「ふぁ~あ」ウトウト

猟師「おっと、だいぶ遅くなっちまった」

猟師「そろそろお開きにするか」

冒険者「今日はありがとうございました」

猟師「ああ、また明日な」

冒険者「はい、おやすみなさい」

猟師「おやすみ」

キリがいいので簡単に設定を紹介
基本的にファンタジーな世界
ただし魔法は無いっぽい
冒険家の仕事は安全な貿易路の開拓と古代遺跡の発掘・調査
自然界には普通の動植物と獰猛な狂獣が存在する

~冒険家組合集会所~

猟師「すまん、遅くなった」

女剣士「まったく、これで全員揃ったな」

女剣士「出発だ」

冒険者「はいっ」
猟師「おう」
学者「ええ」

~道中 馬車内~

冒険者「うっ、おえぇ」

学者「あら、大丈夫?」

冒険者「昨日少しお酒を飲んだだけで大丈夫です」

学者「お酒?どういうこと?」

猟師「何で俺に聞くんだよ」

学者「どうせあなたが飲ませたんでしょ」

猟師「まぁそうだが」

学者「やっぱり。でも乗り物酔いじゃないなら大丈夫ね」

学者「3日間馬車で移動するんだから」

冒険者「ううぅ」

~西の村 冒険家組合支部~

受付係「いらっしゃいませ、ご用件を伺います」

女剣士「しばらくこの街を拠点にして探索をおこなう」

女剣士「宿を用意してくれ」

受付係「かしこまりました。他にご用件は?」

女剣士「最新の地図をもらいたい」

受付係「こちらになります」

受付係「宿はあちらにあります。無事を祈っております」

~宿~

女剣士「さて、一応宿は借りたが」

女剣士「一度出発すれば何日間も探索をおこなうことになる」

女剣士「各自装備の最終確認を怠らないように」

学者「ここまでの道のりは安全だったけど、これから行くところは未踏の地」

学者「狂獣もいるから特に武器はしっかりね」

冒険者「はいっ」

~夜・宿の前~

冒険者(興奮して寝られない)

冒険者(いよいよ冒険の第一歩を踏み出すんだ)

冒険者(みんなに迷惑かけないようにしないと)

学者「あら?冒険者くん、眠れないの?」

冒険者「はい、その、緊張しちゃって」

学者「ふふ、初めての冒険だもんね」

学者「私も初めて冒険に出る夜は眠れなかったわ」

冒険者「学者さんもそんなことがあったんですね」

冒険者「いつも落ち着いてるように見えるから想像がつかないです」

学者「そう?」

学者「私は国立アカデミーを卒業したのだけれど」

学者「そこの教授の推薦で大きな冒険隊の一員になったの」

学者「期待されてると思うと嬉しかったけれど」

学者「足を引っ張るんじゃないかと不安でもあったの」

学者「そんなときある人がこう言ってくれたの」

学者「いろいろ考えても実際にやってみなくちゃわからない」

学者「だから気にしないことが一番だ、ってね」

学者「それで悩みが解決したわけじゃないけど、いくらか気が軽くなったわ」

学者「だから冒険者くんもあんまり気にしないようにね」

冒険者「はい、ありがとうございます」

学者「長くなっちゃったわね、もう寝ましょう」

学者「おやすみなさい」

冒険者「おやすみなさい」

冒険者(本当に気が楽になったような……)

~探索区域・西の森~

女剣士「ここも駄目か」

猟師「みたいだな」

冒険者(探索に出て今日で3日目)

冒険者(いくつか遺跡を見かけたけど、どれも他の冒険家が既に発掘していたみたい)

女剣士「最新の地図をもらっておいて正解だったな」

学者「ここ半年で新しい遺跡が3つも発見されたのね」

女剣士「先へ進もう」

ガサッ

冒険者「っ!女剣士さん!」

女剣士「ああっ、狂獣だっ」

狂狼A「グルル」
狂狼B「ガウッ」

狂狼が女剣士に飛び掛かる!

女剣士はとっさに剣で受け止めた

女剣士「くっ、猟師っ」

猟師「はいよっ」

いつのまにか狂狼の横に回っていた猟師が銃の引き金を引く

狂狼「グゥア」

急所を打ち抜かれた狂狼はその場に崩れ落ちる

続いて襲い掛かってくる他の狂狼達を女剣士と猟師は次々に倒していく

狂狼「ガアッ」

冒険者「危ないっ」

一匹の狂狼が学者を襲おうとしていることに気付いた冒険者は剣を抜き、その狂狼に切りかかる

冒険者「はっ」ブンッ

がその剣は空を切る

そして狂狼は目標を冒険者に変え、その頭を噛み砕こうと飛び跳ねる

冒険者はそれを剣で受け流し、そのまま身体を一回転させ遠心力の乗った一撃を狂狼に浴びせる

狂狼は短い悲鳴を上げて絶命した

冒険者「はぁはぁ」

女剣士「大丈夫か?」

冒険者「はい」

気がつくと女剣士も猟師も戦闘を終えていた

学者「ありがとね、冒険者くん」

冒険者「いえ、どういたしまして」

猟師「初めての戦闘にしては良かったと思うぜ」

冒険者「はいっ」

学者「それにしても、狂獣が出たということは……」

女剣士「ああ、まだ誰も発見していない遺跡が近くにあるということだ」

<探索4日目>

狂狼の群れが現れた!

女剣士「はっ」ヒュン

冒険者「やあっ」ブンッ

~~

女剣士「狂獣がよく出るな、いよいよ遺跡が近い証拠だな」

学者「あっ!あれ見てっ」

猟師「ヒュ~、やっと見つけたな」

冒険者「あれが、古代遺跡……」

猟師「初めての冒険で遺跡が見つかるなんて、お前幸運だな」

冒険者「やっぱり遺跡ってなかなか見つからないものなんですか?」

猟師「当たり前だろ。だからみんな躍起になって探すのさ」

猟師「それに見つけた時の感動もデカくなるってもんだ」

冒険者「そうですか、なんだか嬉しいです」

女剣士「せっかく遺跡を見つけたところだが、いったん西の町へ戻る」

女剣士「食料が一週間分しかないから帰りも考えると遺跡調査をしている余裕はない」

女剣士「一度態勢を整えて再度調査しに来ることにする。いいな?」

冒険者「わかりました」

猟師「いいぜ」

学者「ええ」

~西の町 冒険家組合支部~

冒険者「でも、なんだか信じられません。いまだに夢じゃないかと思うくらいです」

学者「確かにね。あなたは何か持ってるのかもしれないわ、冒険家に必要な何かをね」

冒険者「そ、そんなことないです」

女剣士「次のことを話したいのだが」

冒険者「ごめんなさい」

学者「あら、ごめんなさい。どうぞ」

女剣士「今回はこの地図でいうと、ここをずっと西へ行って、ここで南へ降りて」

女剣士「また西へ少し行ったところで遺跡を発見した」

女剣士「次は時間短縮のためにここまで直進して遺跡へ行こうと思う」

??「……」チラッ

冒険者(今、誰かに見られていたような)

女剣士「以上。この後は買い出しに行く」

冒険者「はいっ」

読み返してみたら西の村と町で表記にブレがあったので西の町に統一します

~西の森 遺跡の前~

冒険者「戻ってきましたね。なんだかドキドキします」

猟師「ああ、中に何が待ってるのか楽しみだな」

女剣士「いくぞ」

学者「ここからが私の本領発揮ね」

~遺跡 入口~

学者「待って、ここに何か書いてあるわ」

冒険者「でもこれって古代文字では…?」

学者「私は考古学者よ。ある程度は読めるわ」

学者「といっても損傷がひどくて一部しか読み取れないけれど」

冒険者「なんて書いてあるんですか?」

学者「えっと、ここの大きな字はLibrary…図書館ね」

学者「下の模様は地図みたい、館内案内図かしら」

学者「今までいくつも遺跡は見つかっているけれど未だに本のようなものは見つかっていないわ」

学者「ここで見つけられれば歴史的大発見よ」

女剣士「よし、二手に分かれよう。君と猟師はそちらを調査してくれ」

女剣士「あたしと学者はこっちを調査する。書籍がないかを中心に注意深く調べてくれ」

~遺跡 内部~

カサッ

冒険者(今なにか…、気のせいかな)

猟師「どうした?」

冒険者「いえ、何でもありません」

猟師「にしても、なんもねえな」

冒険者「そうですね、図書館という割には本棚もありませんし」

冒険者「あっこれっ。箱がありますっ」

猟師「ん、なんだこれ。開けてみるか?」

“誰だお前は!”

冒険者「今のは女剣士さんの声!?」

猟師「何かあったみてぇだな。とりあえずこれは措いといて行くぞ」

~~

冒険者「大丈夫ですかっ」

盗賊「チッ、見つかっちまった」

冒険者(あの人は西の町の組合にいた人……)

女剣士「なぜここにいる?」

盗賊「白昼堂々と地図を広げて遺跡の場所を語ってたんだ、横取りされても文句は言えないね」

学者「見られていたのね」

盗賊「まぁ、めぼしいものも無くて無駄足だったけど。それじゃ失礼させてもらうよっ」

女剣士「そうはさせるか」シャキ

盗賊「チェッ、逃がしてくれないのね」チャキ

盗賊「フッ、フッ」ヒュンヒュン

盗賊が短剣を手に素早く切りかかる

しかし女剣士はたやすく避け攻撃の間を縫って反撃する

盗賊は身をよじってかろうじて剣戟から逃れるが、その瞬間女剣士の追撃が盗賊の腹部に直撃する

盗賊「うっ」ドサッ

冒険者「こ、殺したんですか」

女剣士「いや、殺してはいない。縄で縛っておけ」

~~

女剣士「で、何か見つかったのか?」

冒険者「箱を見つけました。中はまだ見てないですけど」

冒険者「これです。開けますね」グッ

冒険者「鍵がかかってるみたいです」

女剣士「そうか、なら町まで持って帰ってそこで開けるか」

盗賊「オレなら開けれるよ」

女剣士「縄をほどくための嘘じゃないだろうな」

盗賊「嘘じゃない」

女剣士「いいだろう」

カチッ

盗賊「よし、開けるよ」

猟師「なんじゃこりゃ」

学者「正方形の薄い板…、見たことないわね」

学者「書籍ではないけれど、貴重な資料だわ」

盗賊「今度こそ本当に失礼っ」

女剣士「待てっ」コケッ

女剣士「いつの間に罠を、くそっ」

~西の町 冒険家組合支部~

冒険者「結局あの人には逃げられましたし」

冒険者「遺物にしても板と日用品らしきものしか見つかりませんでしたね」

学者「でも四角い板は新しい発見よ、すごいことだわ」

猟師「ああ、遺跡を発見しただけでも結構な額の報酬はもらえるはずだ」

猟師「大体は装備品に消えるがな」

女剣士「報告は済ました。今回の探索はこれで終了だ」

女剣士「今後についてはまた明日話そう」

女剣士「みんなお疲れさま。今日はゆっくり休むといい」

冒険者「お疲れさまでした」
猟師「お疲れ」
学者「お疲れさま」

受付係「みなさん!速報です!たった今組合本部から連絡が来ました!」

受付係「首都から東の村までの新しい経路が開拓されたようです!」

受付係「この経路は一週間で東の村に着くそうです。今後の皆さんのご活躍に期待します!」

冒険家A「一週間?マジかよ。今まで首都から東の村まで二週間近くかかってたってのに」

冒険家B「ああ、しかも遺物を首都へ持ち帰る研究家や冒険家を狙う山賊もいたからなぁ」

冒険家A「これで東側の遺跡探査も進むといいな」

猟師「へぇ新規経路か。開拓した冒険家はぼろ儲けだな」

冒険者「すごいですね」

学者「ねぇ、どうするの」

女剣士「そうだな。このことも考慮して明日、今後について話し合おう」

~夜 宿~

冒険者(東側かぁ。東は西より狂獣が強いらしいし)

冒険者(もし明日の話し合いで東の村に行くことになったらどうしよう)

冒険者(もっと強くならなくちゃ)

コンコン

冒険者「はい、どちら様ですか?」

女剣士「女剣士だ、入るぞ」

冒険者「どうぞ」

冒険者「どうしたんですか、こんな時間に」

女剣士「これからのことについて、先に話しておこうと思って」

冒険者「これからのこと?」

女剣士「ああ、やはり次は東の村へ行こうと思う」

女剣士「それで、君にはぜひこれからも一緒に来てほしい。どうだろうか?」

冒険者「えっと僕は、その……」

女剣士「遠慮せずに君の意見を言ってくれ」

冒険者「ごめんなさい、僕はもう少しここにいます」

冒険者「ここでもっと経験を積みたいです」

女剣士「そうか、わかった。少し残念ではあるが」

冒険者「本当にごめんなさい」

女剣士「気にするな。だがいずれは東側にも来るのだろう?」

女剣士「今まで交通の便が悪かった東の村もこれからは発展していくだろう」

女剣士「そこでまた会えることを楽しみにしている」

冒険者「はいっ」

~次の日 冒険家組合支部~

女剣士「ということで、この後は首都に戻り装備を整えてから東の村へ出発する」

猟師「やっぱり東に行くのか。楽しみだな」

学者「ええ、あちらはまだ未発見の遺跡が多いと聞くわ」

女剣士「ここで冒険者から大事な話がある」

冒険者「はい、あの、僕はもう少しここに留まろうと思います」

冒険者「急に隊に加えてもらって、いろいろ手伝ってもらったのに」

冒険者「何も返せませんが、みなさんと一緒に冒険できて楽しかったです。」

猟師「そっか、なに、気にすんな。俺も楽しかったぜ」

学者「少し寂しいけれど、また会えるよね」

冒険者「ありがとうございました」

~西の町 門前~

女剣士「東の村で待ってる」

猟師「頑張れよな」

学者「またね」

冒険者「みなさん、お元気で」

~~

冒険者(まずは仲間集めからかな)

冒険者(よし、頑張ろう)

~西の町 冒険家組合支部~

冒険者「あの、仲間を集めたいんですけど」

受付係「隊員募集ですね。こちらにお名前と宿の部屋番号、都合のつく時間をご記入ください」

受付係「この隊員募集要項をあちらの掲示板に張り付けますので、これを見た方が宿に来られます」

冒険者「わかりました」

~宿~

冒険者(どんな人が来るかな。いい人だといいな)

コンコン

冒険者「はい、どうぞ」

槍術士「失礼します。隊員募集の案内を見て来ました」

冒険者「冒険者です。はじめまして」

槍術士「なぁんだ、どんな奴かと思ったら子供じゃん。私は槍術士よ」

冒険者「なっ、君だって僕と変わらないじゃないか」

槍術士「ふんっ、やっぱりやめた。アンタとは組まない」

冒険者「いいよ。別の人を探すから」フンッ

槍術士「じゃあね」

バタンッ

冒険者(一人目から最悪だなぁ……)

<募集開始から3日目>

冒険者(駄目だ、全然集まらない)

冒険者(今日で無理なら一人で行こうかな、危険だけど)

コンコン

狩人「失礼する」

冒険者「っ!どうぞ」

狩人「狩人だ。隊員募集をしているのは貴様か」

冒険者「はい、冒険者といいます」

冒険者(なんだか怖い人だなぁ、大丈夫かな)

冒険者「僕は剣技が使えますけど、その、特技とかは何ですか?」

狩人「銃が使えるほかナイフでの戦闘もできる」

冒険者「銃、ですか」

冒険者(猟師さんみたいな感じかな)

冒険者「それでこの後なんですけど、今日で募集を締め切ろうと思います」

冒険者「これ以上集まらなかったら2人だけになりますけど、いいですか?」

狩人「かまわん」

~冒険家組合支部~

冒険者「ということで募集を打ち切ります」

受付係「かしこまりました」

冒険者「あと、何か依頼はありますか?」

受付係「はい、いましがた届いたものがあります」

冒険者「すでに発見された遺跡の再調査かぁ、これでいいですか?」

狩人「ああ“ちょっと待って!!”

槍術士「それは私が受けるのっ」

冒険者「君はこの間の。でもこれは僕が先だよ」

狩人「仲間に入れてやればいいじゃないか」

冒険者「でも……」

槍術士「こんなヤツとなんて組みたくないわ」プイッ

槍術士「まぁ、どうしてもって言うなら一緒に行ってあげなくもないけど」チラ

冒険者「お願い、します」

冒険者(何で僕がお願いしなきゃならないんだろう)

槍術士「じゃあ隊長は私ね」

冒険者「えっ、僕が……」

槍術士「なんか文句あるの?」

冒険者「いや、この依頼は僕が受けたから、その」

狩人「隊長は冒険者が務めるべきじゃないか?依頼を受けたのも仲間を募集したのも彼だ」

槍術士「わかったわよ。しっかりしてよね隊長」

冒険者「はい、頑張ります」

槍術士「隊長なんだから敬語は使わなくていいよ、カッコ悪いし」

冒険者「うん、これからよろしくね」

~西の森~

狩人「そっちへ行ったぞ」

冒険者「まかせて!」

こっちへ向かってくる狂狼に対し剣を薙ぐ

悲鳴を上げる間もなく狂狼はその場へ崩れ落ちた

槍術士「こっちは終わったわ」

冒険者「ありがとう。僕のほうも終わったよ」

狩人「再調査の依頼には周囲の狂獣の駆除も含まれているからな、逃すな」

~古代遺跡~

冒険者(ここって何の施設だったんだろう。学者さんがいたらわかったのかな……)

冒険者(駄目だ駄目だ、気持ちを切り替えないと)

冒険者「何か見つかった?」

槍術士「とくには何も」

狩人「うむ、何も無いな」

冒険者(すでに一度調査済みだから新しいものは何も…、ん?)

冒険者(これ壁じゃなくて扉だ)

冒険者「みんな来て、扉がある」

槍術士「ほんとだ、よく見つけたね」

狩人「でかした」

~扉の奥~

槍術士「でも、やっぱり何もないね」

狩人「日用品らしきものが少しあるくらいだな」

狩人「これなぞ何に使うか全くわからん」

冒険者「あっ、それっ」

狩人「何だ」

冒険者「これのここの部分、前見つけたのと同じ四角い板が入ってる。壊れてるけど」

槍術士「部品の一つかな」

冒険者「もうしばらく調査を続けよう。まだ何か見つかるかもしれない」

~~

槍術士「もう3日も調査してるけどあれから何も見つからなかったね」

冒険者「帰りもあるしこれで終わろう」

狩人「そうだな、この遺物が見つかっただけでも十分だろう」カチャ

ブーン

「「「!」」」

槍術士「きゃっ」

狩人「うおっ」

冒険者「動いた!?」

ザ ザザー プツン

冒険者「中の板が壊れてるけど、これは動くみたい」

冒険者「早く持って帰って調べてもらおう」

狩人「それがいい、これは貴様が持っていろ」

槍術士「だ、大丈夫?それ大丈夫?」

~西の町 冒険家組合支部~

受付係「以来の遂行、お疲れさまでした」

冒険者「あの、この前の四角い板はどうなったんですか?」

受付係「すでに首都へ向けて送りました」

冒険者「この遺物はどうすればいいですか、あれと関連があるんです」

受付係「お預かりしましょう。明日首都に向けて送ります」

冒険者「わかりました」

~~

冒険者「みんな今回の調査お疲れさま」

狩人「ああ」

槍術士「まったくだわ」

冒険者「それで、これから一度首都へ戻ろう」

冒険者「あの遺物がなんなのか気になるし」

冒険者「それにこれからは東で活動しようと思う」

槍術士「私はかまわないわ」

狩人「それでいい。あの遺物にはかかわりたくないが」

~首都 冒険者組合集会所~

受付爺「おやいらっしゃい、何用ですかな」

冒険者「あれ、受付嬢はどうしたんですか?」

受付爺「ああ彼女は東の村の組合仮出張所に異動したぞい」

冒険者「そうなんですか。あ、宿を手配して欲しいんですけど」

受付爺「おお了解じゃ」

~~

冒険者「しばらく休暇を取るので、一週間後ここに集合しましょう」

槍術士「わかったわ」

狩人「承知した」

冒険者(明日、研究所に行ってみよう。けどその前に……)

終わったーーーーーーーーーーーーーー!!

自分史上最長スレになってしまった。
以下反省。

・謎解き(?)パートの部分は、ア ド リ ブ です。
バクマンでやってた過去の描写をむりやり伏線にするって奴をやってみました。
面白かった?
・決まっていたのは、えるたその結婚と夢オチだけでした。
・夢パートが書いてて胃がいたくなるくらい救いがなさすぎたので
 現実ではゲロ甘にしました。砂吐いた人がいたら>>1の勝ちっ!

長々と語ってしまいました。

保守、支援、本当にありがとうございました!!

乙!

~墓地~

冒険者「ただいま」

冒険者「父さんのことは何もわかってないけど、冒険家として頑張ってるよ」

冒険者「これから研究所へ行ってきます。僕の発見が歴史を変えるかもしれないんだ」

冒険者「じゃあね、母さん」

~研究所~

警備員「何だ君は。ここは許可されたものしか入れないぞ」

冒険者「どうしてもダメですか?」

警備員「駄目なものは駄目だ。帰れ」

冒険者「そうですか」

~街中~

冒険者「駄目かぁ、これからどうしようかな」

ドンッ

??「おっと、ごめんよ」チャリ

冒険者「いたた、こちらこそすみません……」

冒険者「て、あなたは!」

盗賊「げっ、お前はあん時の!」

盗賊「へへ、その節はどーも」

冒険者「もう横取りなんてしないでくださいね」

盗賊「約束はできねぇな。じゃぁな」

冒険者「まったく」

~酒場前~

冒険者「猟師さんと初めて飲みに来た場所だ」

冒険者「お昼だし、何か食べよっと」

~~

冒険者「すみません、パンとスープとあとこれください」

看板娘「かしこまりました~」

冒険者「今頃女剣士さんたちは何してるかな」

冒険者「東は危険だっていうし無事だといいけど」

看板娘「お待たせしました、パンとスープ、ソーセージの盛り合わせで~す」

看板娘「以上でお揃いでしょうか~」

冒険者「はい」

これにて完結とさせていただきます!
いやー長かったーです(笑)まさかここまでスレが伸びるとは思いませんでした!
今読み返しても矛盾だらけで、こんな作品を持ち上げて頂いた皆様には本当に感謝感謝です
そこでリベンジという形で今回のSSの続編を考えております
タイトルは未定ですが皆様ならスレタイですぐ分かると思います
最後になりましたがこんな下手くそな作品を最後まで読んで頂いて本当にありがとうございます!
冒険者「また見てくれよなー」

よっこらしょ。
    ∧_∧  ミ _ ドスッ

    (    )┌─┴┴─┐
    /    つ. 終  了 |
   :/o   /´ .└─┬┬─┘
  (_(_) ;;、`;。;`| |

  このスレは無事に終了しました
  ありがとうございました
  もう書き込まないでください

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