真姫「素直なアナタに、出来ない私」 (23)


本ssは、以前完結した

穂乃果「μ'sがカップルだらけに」Ⅰ、Ⅱ
穂乃果「μ'sがカップルだらけに」 Ⅱ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1398950725/http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1404655072/))

内で出来た組み合わせ、ことまきのその後を書いたものです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1407166031

とある休日、私は出掛けていた。
目的は、ことりとの待ち合わせ場所に向かう為

今日はことりとお出かけ…つまり、デートね

今まではそんなにことりと会話したり、一緒に過ごすことってあまりなかったけど、ある出来事をきっかけに一気に仲良くなった
その出来事とは、穂乃果とA-RISE綺羅ツバサのデートを尾行した際に立ち寄ったゲームセンターでことりと遊んでことだ

私はクレーンゲームに挑戦したんだけど、全く取れなくて…そこにことりがやってきて
意外と言ったら悪いけど…ことりはクレーンゲーム得意で、色々取ってもらった

その日は結局、私は何も取れず…
あの後何か取れるまで、放課後とかにゲームセンターに通ったわ
ことりにも一緒に付いてきてもらって、その帰りにクレープ食べたり色々なお店にも寄ったりもした

それから、休日の予定が合う時はこうして出掛けるようになった
後、お互いの家に行ったりもしたわ

そこで初めて知ったんだけど、私のママとことりのママ…理事長は知り合いらしくて…
家に招き、招かれたときはそれぞれ凄く喜んでて…で、どういう知り合いかは教えてくれなかったけど…

なんて、これまでのことを思い出してるうちに待ち合わせ場所に到着

時計を見ると約束の10分前…そしてまだことりはいない
うん、いつも通りね

それから5分程待ってると…

「あーっ、もう真姫ちゃん来てるーっ!」

甘く、蕩けるような声が遠くから聞こえてきた

声のする方を向くと、小走りで駆けながらことりが向かってきていた
ことりの動きに合わせ、スカートのレースがふわふわと揺れ、頭のトサカ?も上下にピョコピョコ動いていた

ザ・女の子なことりが、道行く人を通り過ぎる度に皆振り向いていた
まぁ、そうでしょうね。私もことりを知らなかったら、間違いなく振り向くと思うし

だけど、今の私にはそんな必要はない…だって、誰もが振り向く美少女は私の所に向かっているのだから

…なんて、小さな優越感に浸ってみる

「今日こそは、真姫ちゃんより先に来ようって頑張ったのに~」

息を切らせながら、悔しそうに言うことり

「まぁことりが早く来ても、私はそれよりも先にいるけどね」

「あっ、真姫ちゃん!違うでしょ、二人きりのときは…」

「わ、分かってるわよ…ことり…ちゃん」

そう、これは私たちの決めたことで…二人でいる時は、ことりちゃんと呼ぶことになっている
ことりに頼まれて、そういうことになったんだけど…やっぱ恥ずかしいわね

「えへへっ、真姫ちゃんカワイイッ!」

出た!ことりの「カワイイ」
恐らく、恥ずかしがる私の姿を見て言ったのだろう

ことりの可愛いモノをカワイイと素直に言える所を、私は羨ましく思う
私はそう思っても、キャラじゃないとか…皆は可愛いと思っているのか…とか色々考えて、言えない

「真姫ちゃんの髪飾りのリボン、カワイイねっ!」

「えっ、あ…ありがとう…お気に入りなの」

ことりが褒めてくれた髪飾りに触れる…あぁ、今日もダメだったか

今日はカッコイイ系の服を選んで、ことりに『カワイイ』を言わせまいとしたけど…結局言われた

最近は、いかにしてことりに『カワイイ』を言わせないかに挑戦しているんだけど…
ことりはどこかしらに『カワイイ』ポイントを見つけて、言って来る

私も、同じように『カワイイ』って言いたいけど…

「ことりちゃんも、今日の服…似合ってるわよ」

「えへへ~、ありがとっ!」

『カワイイ』と言うことに抵抗し、いつもこんな感じで済ませてしまう
ことりは間違いなくカワイイから、言えない自分に対して情けなく感じてしまう

「それじゃあ、行こっか!」

「えぇ」

ことりが差し出した手を握り、手を繋いで歩き出す

こうして、私とことりの休日デートが始まった

私たちが最初に向かったのはゲームセンター

「さてと…どれから行こうかしら」

「あっ、あれカワイイ~」

そう言ってことりが向かったのは、今流行りのゆるキャラのマスコットだった
私は、あれをカワイイとは思わないけど…

「あれも、これも、それも、みーんなカワイイ~」

テレビで見るキャラクターや、何かよく分からないモノまで『カワイイ』を連発することり
私には、そんな『カワイイ』を言うことりが一番『カワイイ』んだけど…

って、そんなこと…恥ずかしくて言えるわけないじゃない!

それから、ことりは目に付いた『カワイイ』モノを乱獲した
その横で、私はお菓子を一つ取るのがやっとだった

「ふ~、今日も一杯とれたー」

「今日は私も取れたわよ」

両手いっぱいにぬいぐるみやキーホルダーを抱え満足顔のことりに、一つ取れて安心する私

「わーっ、真姫ちゃんも取れたんだね~、すごーい」

「えぇっ、確実に腕は上がってるはずよ」

ことりに褒められ満足げな私…でも、お菓子日一つとるのにいくら使ってるのよ…
それは、考えないようにしよ

「あれ、何か向こう人が多いね」

「そうね…何やってるのかしら」

人だかりが出来てる方って確か…シューティングゲームの方ね

「ちょっと見てみる?」

「えぇ…」

上手い人がプレイしているのかしら…見れるか分からないけど、人だかりの近くに行ってみたら…

「そっちよ、ウミーチカ!」

「はい、こっちはまかせてください!エリーチカ」

「えぇっ、そろそろフィニッシュよ!」

「くらいなさい!ラブ・ガンズ・ショット!」

「…ハラショー!ハイスコア更新よ!」

「ふっ…私とエリーチカに、倒せない敵はありませんよ」

「同感ね、同士ウミーチカ!」

「「ふっふっふっふ…」」

姿は見えないけど、人だかりの中心にいるのは間違いなく…知り合いだった
ここで気付かれて、こっとまで注目を浴びたら恥ずかしい…

とにかく、今は早くここを離れないと

「ねぇ真姫ちゃん…向こうにいるのって…」

「ことり、行きましょうか」

「えっ、でも…」

「いいから、お腹すいたのよっ!」

「わわっ、ちょっと待って~。とりあえず袋に入れさせて~」

急いでこの場を離れようとことりの腕をつかんだけど、その腕からことりの取ったモノが落ちそうになる

「あっ、ごめんなさい」

「いいよ!…うん、これで大丈夫」

「じゃあ、行きましょうか」

再び手を繋いで、ゲームセンターを離れる

後ろからは、二人の高笑いが響いていた

私たちは、近くのカフェで軽く昼食をとり
その後、ショップを回ってお互いに何が似合うかをコーディネートし合った

ことりは相変わらず『カワイイ』を連発して…そんな中、私はある疑問が浮かんだ
それは、ことりが『カワイイ』と言わないモノって何だ?…ということ

そして私は、ことりに『カワイイ』以外のことを言わせたい衝動にかられた

ことりは一体…何になら、何をしたら『カワイイ』以外を言うのか…

そんなことを考えながら寄った雑貨屋で、私はあるモノを見つけた!
これなら…ことりも『カワイイ』以外のことを言うに違いない

私はことりに見つからない様こっそりと会計を済まし、鞄にしまった

「ふぅー、いっぱい買っちゃった」

「えぇ、私もつい買い過ぎたわ」

「真姫ちゃん、センスいいから全部欲しかったけど…」

「ことりちゃんからそう言ってもらえると、嬉しいわね」

「ホント?真姫ちゃんの選ぶ服って大人っぽいから、着ててドキドキしちゃった」

「私も、こういう感じのは普段着ないから新鮮だわ」

「そうなんだ…ん~…真姫ちゃんはゴスロリとか似合いそ~」

「ゴスロリ…ちょっと恥ずかしいわね」

「でもでも、真姫ちゃんも着てみたいと思わない?」

「まぁ、着てみるなら」

「やった!じゃあ、今度お出かけした時に行こうね」

「え、えぇ…」

一通り買い物も終えた私たちは、お互いのファッションセンスについて褒め合っていた
そんな会話の最中、私は先程買ったモノを見せるタイミングを窺っていた

ことり、あなたから『カワイイ』以外の言葉を引き出してあげるんだから!
ふふふ…覚悟してなさい、真姫ちゃんの本気を見せて上げる!

「あーっ!あそこにいるネコちゃん、キャワイィッ!」

塀の上を歩く猫に視線を奪われることり
今だ!私は鞄の中の『それ』を取り出し、急いで身に付ける

「ねねっ、真姫ちゃんもそう思うよ…ね」

こちらを振り向いたことりが固まった、どうやら第一ステップとしては成功したようね
後は、ことりが何と言うか…

「えっと…真姫…ちゃん?」

困惑した表情でことりが話しかけてくる

今私は、パーティーとかで使う髭の付いたメガネ…いわゆる、『鼻メガネ』ね

こういったものをつけるのは、私の美意識に反するのだけれど…
ことりから『カワイイ』以外を引きだす為だもの、これくらいしなきゃ

さぁ、早く次の言葉を言いなさい!

「ま、真姫ちゃん…カ…」

えっ…か、かっ…

「カ…カワイィッ!」

へっ…って、えっ…

「えぇぇぇっ!カワイイ?これがぁっ?!」

思わず声が上ずってしまった…でも普通、『おかしい』とか『変なの』とかが先に出ない?

「どこにカワイイ要素があるのよ?」

「え~、だって…普段真面目な真姫ちゃんが、そういうの付けてるのが可愛く思えちゃって…」

はぁ…そういうこと…どうやらことりの辞書には、『カワイイ』以外の言葉って…ないのね

「えへへ~、真姫ちゃんカーワイイッ♡」

目論見が外れ、失意の私を見ながら嬉しそうに『カワイイ』を連発することり
そんなことりを見て、私はあることを思った…

それは、『カワイイ』と言っていることりが、一番カワイイんじゃないかってことを…
うん、それは間違いないわね…まぁ、本人は自覚してないでしょうけど…

「全く…敵わないわね」

「敵わないって…何が?」

「カワイイって言ってることりちゃんが、一番カワイイってことよ」

「へっ?!ま、真姫ちゃん…今、カワイイって…」

「えっ、あっ…」

無意識のうちに、考えてたことを口にしてた?!
あれだけ言うことに抵抗していた、『カワイイ』をあっさりと…
でも、しょうがないじゃない

「だって、ことりちゃんがカワイイから」

「そ、そそそんなっ!私なんて…真姫ちゃんの方が、カワイイよ」

顔を真っ赤にして反論することり

「いいえ、ことりの方がカワイイわよっ!」

それに対して、私もムキになって言い返す

「もーっ、何で急にそんなこと言うのー」

珍しく語気を強めることり…何でこんなに反抗するの?こんなことり初めて

あれ、もしかしてことりって…『カワイイ』を言うことに慣れてるけど、言われるのは…慣れていない?

「真姫ちゃん、年上に対してカワイイなんて言っちゃいけません!」

あらら、顔を真っ赤にして…ふふっ、年上って
怒ってるつもりかもしれないけど…全然怖くないし、余計カワイイわよ

「やっぱり、ことりちゃんの方がカワイイわよ」

「…ん~っ!」

今度は唸りながら両手をバタバタしてる…もしかして、私の事叩いてる?
でも残念ながら全然痛くないわ

「真姫ちゃんのバカ~」

一応ことりの拳が私の肩には当たるのだけど…何か、『ポコポコ』という擬音が似合うわね

「はいはい、分かったわ…もういいから」

振り上げられた腕を掴んで下に下ろす

「ごめんなさい、ちょっとからかい過ぎたかも」

「ホントだよ~」

うっすら涙目になりながら、こちらを睨みつけることり

ヤバ、すっごいカワイイ…
でも…また言葉にするとさっきと同じようになると思い、グッと堪える

「それじゃあ、暗くなる前に帰りましょ」

腕を掴んでいた手を下に滑らせ、ことりの手を握る

「う、うん…」

それからことりは、おとなしくなって…黙って私に手を引かれるだけだった

「それじゃあ、ここで」

「うん…」

あっという間に、お互いの家へ向かう分かれ道

今日は、ことりの違う一面を見ることができた
せっかくだから、別れる前にもう一度…

「それじゃあ、また明日ね…カワイイことりちゃん」

そう言い残し、ことりの元から離れた

「…ま、真姫ちゃーんっ!」

後ろでことりが叫んでる
多分、さっきと同じように顔を真っ赤にしているだろう

明日からも、期を見て『カワイイ』って言おうかしら
でも、皆の前であのことりを見せるのは何か癪ね

あのことりは、私だけのモノにしたい…やっぱり、二人きりの時だけにしようかしら

ふふっ、明日からの楽しみができたわ

覚悟しててね、『カワイイ』ことりちゃん♪

以上です

今まであまりない組み合わせだったので、可能性を感じ作ってみました

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