姫「あぁ、理想の勇者様!」(22)

~魔王城~

姫「オーホッホッホ!」

ガーゴイル「姫様、お食事の準備ができあがりました」

姫「遅いですわ、ディナーの時間は10分も過ぎていてよ」

ガーゴイル「すいません!どうか許してください!」

姫「ふん、まぁいいですわどれどれ...スープからいただきますわ」ズズ...

姫「まずっ!!」ブーーーー

ガーゴイル「ひ、姫様、お口に合わなかったでしょうか!?」

姫「不味すぎますわよ!一体何をいれたのです!」ゲホッゲホッ

ガーゴイル「スライムの体液と沼から汲んできた水を煮詰めあわ....」

姫「そら不味いわ!」バキッ

ガーゴイル「ぐえっ!」

姫「まったくガーゴイル、あなたまともな料理は作れないの?」

ガーゴイル「はぁ、そう言われましてもこれが私たちの常食なもので....」

姫「作り直してきて、こんなもの食えたものじゃありませんわ」

ガーゴイル「そんなぁ....」

姫「さぁ早く!」

ガーゴイル「ひー!わかりました!」

姫「本当、食事は不味いし景色は暗いしロクな所じゃありませんわね」

姫「でも理想のためなら...」

スライム「ひ、姫様ー!」

姫「騒々しいわね、一体何ですの?」

スライム「魔王様がお呼びで、是非謁見の間まで来てほしいとの事で...」

姫「ふーん、この私を態々呼び出し...そして挙句足を運ばさせると....」

スライム「えーっと.....」

姫「無礼者!魔王をここに連れてきなさい!!」

スライム「ひえー!わ、わかりました!」

魔王「おぉ、人間界の姫よ、すまんが話があってなぁ...」

姫「もしかして、私に人間界へ帰れと?」

魔王「あぁ、部下からの話を聞くと君にはこの環境は住みにくいんじゃないかと思うて」

姫「お断りしますわ、私は勇者が来るまで帰らなくてよ」

魔王「しかしなぁ、戦争になっても困るんじゃ、ワシ等は平和に暮らしたいだけなんじゃよ」

魔王「君に自分を攫えと言われたからとはいえ、実行してしまったのは事実」

魔王「宣戦布告をしてしまったのも同然じゃよ....はぁ」

姫「余計な心配はいらなくてよ魔界の王よ」

姫「私は自分の理想のシナリオを現実にしたいだけ...」

魔王「ここに来る前も行ってたが、それとは一体」

姫「私は、恰好よく、強くて、勇敢で優しい勇者の名にふさわしいような」

姫「そんな殿方にこの魔王城から連れ出してほしい」

姫「そして無事戦いから生還できた勇者と私は、教会で国民に祝福されながら口づけを交わす...」

姫「そう、婚約するのよ!完璧なシナリオですわ!」

魔王「そんなうまい話が.....」

姫「馬鹿ね、それを意地でも現実にするのですわ」

魔王「しかし、それだとワシ等に被害が...」

姫「だから心配はご無用、被害は最小限にするよう心がけますわ」

姫「ですので魔界の者達には少し付き合ってほしいのです」

魔王「ふーむ、といわれても....」

姫「言っておきますが、拒否権はあなた方にはありません....」

姫「逆らえば、この魔界を滅ぼさせてもらいます」

魔王「ひぃっ!」

姫「大丈夫です、何も不要な事をしなければ危害は加えません」

ゴブリン「なぁ、あの女何言ってんだ?どうやって魔界を滅ぼすってんだよ」

スライム「お前知らねーのか?あの姫は魔法のエキスパートなんだぜ?」

ゴブリン「はぁ?」

スライム「すべての属性の呪文はおろか、世界を滅ぼしてしまう禁術まで知ってるとか....」

ゴブリン「何だそりゃ...、魔王よりおっかねぇじゃねぇかよ」

姫「ですので、少しばかりお世話になりますわ」

姫「オーホッホッホッホ!!」

ガーゴイル「魔王様ーー!勇者が、勇者が見えました!!」

魔王「何っ!」

姫「あら、思ったより早かったわね」

姫「その双眼鏡を貸してごらんなさい」

ガーゴイル「ははっ!」

姫「どれどれ....」

魔王「(少し焦ったが、これで事が早く終わるかと思えば.....)」

姫「何、あの筋肉ダルマ、チェンジ」

魔王「」

魔王「どういう事だ!話が違うじゃないか!」

姫「だって、あんな老け顔でしかも筋肉モリモリの殿方など私の理想とかけ離れていますもの」

姫「そして集団で迎え撃たれるのは分かっているのに単独でしかも斧一本で攻めてくるなんて」

姫「腕に自信があるのか、それとも頭の中まで筋肉でできているのか....」

魔王「そんな....、ではどうするのだ」

姫「迎撃します!!」

魔族一同「えーーーーー!!」

筋肉勇者「ふふふ、ここが魔王城か」

筋肉勇者「サクっと魔物を殲滅して、姫様を助ければ....」

筋肉勇者「確実に俺に惚れて、そして無事生還した俺と姫は教会で結婚式を挙げる」

筋肉勇者「完璧だぜ!」

ゴブリン「(考えが姫と同レベル!)」

姫「あなたと婚約なんてごめんですわ!夢を見すぎでは?」

筋肉勇者「おお!姫様!この私が今あなたを救済に来ました」

筋肉勇者「む?何故剣と盾など持っているのです?」

姫「あなたを追い払うためですが?」

筋肉勇者「え?」

姫「さぁ行きなさいオーク!」

オーク「うおぉ!」

筋肉勇者「待ってくれ!これは一体どういうことなんだ!」

姫「その質問は鏡がきちんと返答してくれることでしょう」

筋肉勇者「???」

ゴブリン「(なんかすげぇ理不尽....)」

オーク「よそ見してんなよ!」ブンッ

筋肉勇者「よくわからんが、とりあえずやるしかない!」

筋肉勇者「うおぉぉ!」

カン!バキドコグシャ!

筋肉勇者「ぐあぁぁ!」

オーク「ふん、口ほどにもねぇぜ」

筋肉勇者「この長い年月をかけて鍛え上げた肉体が...まったくの無力だと?」

姫「たしかにあなたのそれはオークに勝るものがあります」

姫「しかし、強化魔法を使えばあなたの力を勝ることなど容易い事」

姫「オーーーホッホッホッホッホ!!」

筋肉勇者「何か、打開策はないのか....!」

筋肉勇者「そうだ!」

姫「?」

筋肉勇者「」スタタタタタ

オーク「姫さん、あいつ踊り場の方向へ逃げやしたぜ?」

姫「(何か策でもあるのかしら....)」

筋肉勇者「姫様が俺に刃向ってくるということは魔王に操られてると考えるのが妥当」

筋肉勇者「そして魔法で操られながらも心の底では勇者である俺の救済を願っている」

筋肉勇者「結果、一瞬本性の言葉が出てしまった」

筋肉勇者「鏡が質問に答えてくれると...」

筋肉勇者「つまり鏡に何かしら魔法でメッセージを残してあるってことか!」

筋肉勇者「俺って頭脳明晰だぜ!」ガハハハ

筋肉勇者「さて、鏡の前まで来たわけだが....」

筋肉勇者「....よう鏡!」

鏡「」

筋肉勇者「(む、何も言わない?おかしいぞ)」

筋肉勇者「ははーん、お前恥ずかしがり屋だな?」

鏡「」

筋肉勇者「図星で何も言えねー...ってか?お前面白い奴だな!」

鏡「」

筋肉勇者「まぁまぁ、仲良くしようぜ、酒でも一緒に飲もうや」

筋肉勇者「俺よー、姫様を助けにはるばるこの魔王城まで来たんだ....」

筋肉勇者「それで...この戦いが終わったらよ、俺結婚するんだよ」

鏡「」

筋肉勇者「ははっ、先越されて悔しくて何も言えねーってか?そう怒るな」

筋肉勇者「式には絶対お前も呼んでやるからよ」

筋肉勇者「そのためにも、この戦いは終わらせなくちゃならねぇ....」

鏡「」

筋肉勇者「だから力を貸してくれ!そうすりゃ絶対この戦いは勝てるからよ!」

鏡「」

筋肉勇者「....」

鏡「」

筋肉勇者「(もしかして.....)」

筋肉勇者「(これただの鏡じゃね?)」

オーク「なんだあいつ、友達いねーのかよ」

姫「あーーー!あーーーーー!!」

オーク「どうしたんだ姫さん!」

姫「私男の欠点を5個以上見つけると目が腐って激痛が走るのぉ!!」

オーク「そりゃやべぇ!!!よくわかんねぇけどやべぇ!」

姫「というわけでやっておしまい」

オーク「わかったぜ」タタタタタ

ボコッバキッドゴッグシャ

ギャー!

姫「全く、ひどいのが来たわね...あー目が痛い」

姫「(次こそは理想の勇者様を.....)」

姫「そのためにも.....」

~翌日~

姫「魔王よ、例の手紙は送ってました?」

魔王「あぁ...送ったが」

姫「ふふ、これで次に来る勇者様は私の理想の殿方に.....」

姫「オーーーーホッホッホッホッホッホッホ!!!」

魔王「あぁ...あんな手紙送ってしまって....今度こそ本当にヤバいぞぉ....」

魔王「戦いなんて本当はしたくないのにぃ!」

ゴブリン「一体どんな手紙送らせたんだろ」

スライム「さぁ?」

~王宮~

王「姫が攫われてもう3日か....」

側近「王よ、貴方様宛に手紙が来ておりますぞ」

王「む、なんだ読み上げてみろ」

側近「ええ、拝啓人間界の王へ」コホン

側近「先日送ってきた刺客は申し訳ないですが八つ裂きにさせてもらいました」

側近「やはり勇者は力だけではダメだと思うのです」

側近「強さも兼ねて、さらに良い顔立ちで、性格も心優しい勇者を送るべきだと思います」

側近「そうすれば絶対魔王を倒し、姫も救出することができると思いますよ」

側近「このアドバイスを参考にしてください、次の勇者さんを待ってます」

側近「はぁと」

王「貴様ふざけているのか!何がはぁとだ!!」

側近「いえいえ!一字一句間違えずに書いてある通り読み上げました!」

王「くそぅ、舐めおって....敵にアドバイスだと?ふざけるな!」

王「次だ、次の勇者を送り込むぞ!!側近、呼んで来い!」

側近「はっ」

側近「(なんか変な手紙だなぁ...、魔王って女とか?)」

側近「まぁいいや」

王「何が何でも姫を取り返して見せる!」

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