タチコマB「僕はタチコマ!よろしくね?まどかちゃん!」(258)

1

タチコマa「ひゃー!ここは経験値がかせげそうだねー!」キョロキョロ

タチコマb「ねー?僕達ついてたよねー」

バトー「あんまり、はしゃぐなよ……」

バトー「しっかし、なんだって俺が一人で群馬くんだりまで…」

『バトー、そっちの様子はどう?』

頭に上司の声が響く。

バトー「あー、報告の通りだ…新聞、ニュース、ネットメディア…何を確認しても義体の情報は書かれてねぇよ」

『やはり、かなりのレベルで情報統制がとられているようね…』

『お、旦那?見滝原とやらには着いたみたいだな…』

上司とは別…緊張感の無い声が頭に響いた……トグサのやろうだ…

バトー「こーいう地味な仕事はお前の役目だろうが…」

『文句言わないの…タチコマも2体回してるんだから』

タチコマa「そーですよーバトーさん!楽しくやりましょーよー!」

バトー「おいバカ!迷彩解くんじゃねぇよ!ここじゃオーバーテクノロジー扱いだと教えたろぉが」

タチコマb「はーい…」ビビビ

バトー「…」

バトー『おい…』

『何?ダイレクト回線なんか使って?』

バトー『良いのかよ?タチコマは解体まで倉庫じゃ無かったのか?』

『人手が足りないのよ…』

バトー『俺に気ぃ使うんじゃねぇぞ?』

『あら?…私が気を回す上司だと思う?』

バトー「けっ…」

そう思わなきゃ聞かねぇよ…

タチコマa「?」

バトー「…」

バトー「さて、早いとこ終わらすか…」

……


※少し前※

トグサ「連続失踪事件?」

素子「えぇ、個人的に頼まれた事だったから一人で処理するつもりだったんだけど…課長?」

荒巻「うむ、まずこれを見てもらいたい…」

トグサ「衛星写真?なんだこれ?」

バトー「なんだこりゃ、いつの時代の未来予想図だよ…」

素子「昨日、撮影された画像よ…見滝原と言う町の…」

トグサ「ロボットが一体も居ないのか…」

イシカワ「それどころか、どの写真にも義体化した人間が居ないのさ…富裕層と思われる家庭や病院でさえ、な」

素子「地理的に管理の甘いエリアだから、どこかの組織の私有区だと踏んだのだけど…」

イシカワ「俺が洗っても何も出なかった…ネットワーク上に見滝原を含めた周辺地区の情報だけがすっぽりと抜けている印象でな…」

トグサ「んで、情報統制と連続失踪の関係は?」

素子「それを調べたいのよ」

荒巻「しかしながら、間の悪い事に総理官邸の警護依頼が緊急で来ていてな…人を割くにも限界がある」

荒巻「そこでバトー」

バトー「おれぇ?」

荒巻「見滝原に入り、連続失踪事件の情報を集めて貰いたい」

バトー「…ま、良いけどよ」

素子「助っ人も付けるから、頼むわね」


……
………

バトー「…」

助っ人ねぇ…

タチコマb「わー、ほんとにロボットがいないんですねー?」キュイキュイ

タチコマa「建造物の資材なんかは同じ物みたい…一部の情報だけが制限されてるのかな?」

バトー「うっし、行くぞお前ら」

タチコマa「はーい!」

タチコマa「ん?…どーしたの?」

バトー「?」

タチコマb「…」

タチコマb「バトーさん、あの娘…」

タチコマが示した方を向く。

確かに高台に背丈の低い影が見えた。

?「…」スッ

タチコマb「あ、行っちゃった…」

バトー「何だ?」

タチコマb「こっち見てた気が…」

バトー「まぁ迷彩も100%透過って訳じゃ無いしな……念の為、画像を寄越してくれ」

タチコマb「はーい」

タチコマa「…おぉー!……あれ?後ろ姿だけ?」

タチコマb「そーだよー?」

顔は見えず記録もできず…少佐には伝えんでもいいか…



男「いやー、特に思い詰めた様な話は無かったんだがねぇ…」

バトー「あぁそうかい、時間とらせたな」

バトー『タチコマ…周囲の人間の会話内容はどうだ?』

タチコマa『変わらずでーす!食べ物とかの話ばっかり』

タチコマb『事件に関する話はしてないねー…』

バトー「…」

男「やっぱり、何か事件だったの?」

バトー「そいつを調べてんのさ…」



『そうか…』

バトー『あぁ、年齢、職業、性格、宗教どれも共通点は無しだ』モグモグ

バトー『…そんな連中が、失踪前日に同じ場所で目撃されてる、一応そこにも行ってはみたがな』

『何も無し、でしょうね…』

バトー『あぁ、ただな過去の少人数の失踪も会わせると、被害地域が移動してるみたいでな』

バトー「タチコマ、さっきの送れ」

タチコマa「はいはーい!よっ?はっ!」ピッ

『…確認したぞ。なるほどな、それで次に失踪が予想される複合施設で呑気にランチって訳だ…』

皮肉とも軽口ともつかない声が流れてきた…イシカワだな。

バトー『うるせーなぁ、こっちは義体用の食事にありつけんで泣きそうなんだよ』モグモグ

バトー『ったく、ともかくこっちは進展無しだ…どーにm

『どうした?バトー?』

バトー「話は後だ…また報告する」

この反応…ごく微量だが…

バトー『タチコマ!』

タチコマa『うわー!この曲、耳に残るなー』サールティー…

タチコマb『どーしました?』

バトー『建物内の気体の成分を調べろ!』

タチコマb『はーい!…あれ?』

タチコマa『バトーさん!バトーさん!…脳への伝達信号を阻害する薬物かな?…それに似たモノが撒かれてます!』

タチコマb『ごく微量なんで、生身の人間くらいしか効果は無いけど、データ送りますね』

バトー「ここはそいつらしか居ねぇだろぅが…」

!…なんだこりゃ?…こいつぁ非武装地区制圧用の化学兵器に似ちゃいるが…

なんでこんな物が検出されてんだ?

タチコマa「発生源も建物内部ですね」

バトー「そこに向かうぞ…一体は残れ」

タチコマa「じゃあ、僕が着いてくー!なんたってバトーさん専y…

タチコマb「あぁもー、解った解った…でも、入って大丈夫?…狭いし流石にばれません?」

バトー「恐らく、もうばれねぇよ……」

自分の腕がふっ飛びでもしない限りな。



まどか「さやかちゃん…ここどこかな…」

さやか「私ら、あの建物に居たはずだよね?」

ワサワサ

まどか「ひっ!な、何か居る!」ギュ

さやか「なんだこいつら…」

ワサワサワサワサ

まどか「ひっ!」

さやか「ーーっ!…?」

パァァァ

まどか「?…な、何?」

さやか「あいつらがぶっ飛んでく…」

スタッ

マミ「危ない所だったわね…」

さやか「だ、誰?」

マミ「あら、キュウベィを助けてくれたのね…ありがとう」ニコ

マミ「お礼をしたいのだけど…その前に…」

マミ「お仕事、済ませちゃうわね?」

パァァァ…

バトー「…」クイクイ

タチコマa『記録してまーす』コソコソ

タチコマa『なんかすごいですねー!』

気楽なもんだ……しかしなんだ?

変身…したのか?



マミ「ふぅ」

まどか「凄い…」

さやか「まじかっけー…」キラキラ

バトー「…」

タチコマa『あの金髪の娘は凄かったですねー…少佐と良い勝負かも』

バトー『あの運動能力…義体としか考えられんが…それにしちゃあ意味のないオプションが付きまくりだしなぁ』

仮に義体だとしても、あれだけの性能は軍の特務クラスだぞ?

マミ「さて、と」

マミ「解ってるわよ?出てきなさい」

…やべっ、バレてやがったか?

マミ「魔女はまだ遠くには行ってないわ、急いで追うことね」

ほむら「…」スタッ

まどか「ほむらちゃん…」

バトー「…?」

俺達…じゃねぇのか?

しかも、あの姿。

ほむら「…」ギリ

マミ「…物分かりが悪いわね、見逃してあげるって言ってるの」

ほむら「っ…」タタッ

タチコマa『バトーさん!あの子!こないだの娘ですー!』

バトー『だな…見りゃ解る』

なんだ…今の表情?



マミ「初めて見る魔法少女だったわね…」

さやか「今日、ウチのクラスに来た、転校生っすよ!あんにゃろーまどかに何の恨みが有るってのさ!?」

まどか「え?あ、違うの…えっと…」

qb「彼女の狙いは僕だよ、さやか」

さやか「へ?」

さやか「しゃ、喋った…?」

qb「ん?さやかで合ってるよね?」

さやか「いや、合ってるけど…え?腹話術?」

マミ「まさか!…ふふ、この子はキュウベェよ」

qb「よろしくね!まどか!さやか!」

まどか「あ、うん…よろしくね」

さやか「それよりさっきの話、どういう意味さ?」

qb「説明は構わないけど、少し長くなるよ?…場所を移動する事を勧めるね!」

マミ「じゃあ、私の部屋に来ない?お礼もしたいし!」

ゾロゾロ…

バトー「…」

バトー「行ったか…」スッ

タチコマa「空気中の成分は安定しましたねー…何だったんだろ?」

バトー「まずは、この状況の関係者だ…リストを作って少佐に送れ…」

タチコマa「はーい!ほむらちゃんにマミちゃんに謎の白い生物…」キュイキュイ

タチコマa「あれ?」

バトー「どーした?」

タチコマa「入り口待機のタチコマにデータを共有したんですけど、その後すぐに自閉モードに切り替えたみたいです」

バトー「自閉モードだぁ?」

バトー『おい、タチコマ!応答しろ!』

………無反応。

タチコマa「ね?」

バトー「すぐに戻るぞ!何かあったのかもしれん…」タッ

タチコマa「とりあえず、少佐達にもデータ送りますねー!」キュルル



見てる人いたら、ありがとう

おやすみなさいまた明日

皆、機能を知らないのでまずいことは無いけど、違和感はあります。

にしても、tvまどまぎの似非近未来都市も大概なので、そこまでは…って感じです。

2

私はなんて学習しないんだ。

ほむら「…っ」タッタッ

まただ…

また、巴マミと敵対してしまった。

ほむら「焦らないようにしないと…」

でも、このループ…何処かおかしい気がする。

キュルル…

ほむら「…」ピタ

ピタ…

?「…」コソコソ

ほむら「出てきなさい…」クル

半透明の塊がそろそろと死角に消える。

ほむら「貴方よ、そこのデカブツ」

タチコマb「バレた!?」

タチコマb「…凄いねー、目が良いのかな?」ジジジ

姿を表したのは……何?

蜘蛛みたいな、ヤドカリみたいな機械。

ほむら「貴方、一体…」

タチコマb「僕はタチコマだよ…えっとー、宜しくね…ほむらちゃん」キュイ

子供みたいな無邪気な声だ。

ほむら「…」

ほむら「私の名前…どうして…」

タチコマb「ん?…ほむらちゃんの知り合いが、名を呼んだのを聞いたんだ…違った?」

さっきのやり取りを見てたのか。

ほむら「いえ、合ってるわ」

タチコマb「だよねー」ガチャガチャ

調子の狂うテンション…敵意は無さそうだけど…

タチコマb「…」ビクッ

ほむら「…」ビクッ

一瞬、何か慌てた?

ほむら「えっと…タチコマ、だったかしら?…聞きたい事があるのだけど…」

タチコマb「…」

ほむら「?……タチコマ?」

タチコマb「え?あ、うん……何でも聞いて?」

ほむら「…?」

ほむら「何の目的で、この町に?」

タチコマb「連続失踪事件を調べに来たんだよ!」

ほむら「何故?」

タチコマb「何故って、警察だからねー」

ほむら「貴方が?」

タチコマb「そーだよ、あとバトーさんも」

バトー、さん?

…昨日の男がそうなのかしら?

ほむら「…でも残念ね、これは貴方達では解決出来ないわ…」

タチコマb「そーなの?」

ほむら「そうよ」

タチコマb「そうなんだー、うーん…」

何か悩んでる。

タチコマb「あ、ほむらちゃんは解決出来るの?」

ほむら「…」

ほむら「どう、かしらね……ある程度なら…」

タチコマb「そっかー、じゃあ」

ほむら「?」

タチコマb「僕もほむらちゃんに付いてって良い?」

ほむら「貴方が?」

タチコマb「うん、役に立つと思うけどなー?」

ほむら「…」

役に立つかはわからないけど…

明らかなイレギュラーであることは間違いない。

ほむら「良いわ、ついてきなさい」

タチコマb「やったー、ありがとーほむらちゃん」ガチャ

ほむら「昨日の男の人には断らなくて良いの?」

タチコマb「バトーさんの事?…問題ないよ?」

タチコマb「ふっふふーん。これで僕も専用機だぞー」

ほむら「専用機?」

タチコマb「あ、こっちの話」フフーン

ほむら「?」

大丈夫かしら……?



ほむら「そう…貴方、戦車なのね…」

タチコマb「乗ってみる?」

ほむら「…」

ほむら「…ちょっとだけ」ソワソワ

タチコマb「どーぞどーぞ」ガチャコ

ほむら「なるほど、コンテナに人が入れるんだ…」

よくわからない機械類とモニター……ちょっと楽しい。

触らない方が良いだろうけど…ウズウズ

このいかにもな赤いボタンとか…

ブゥン…

ほむら「ひゃっ!?違っ!」ビクーン

『気に入ったか?…乗り心地は良いとは言えんがな…』

ほむら「!……っと、誰?」

突然、モニターに人影が映る。

タチコマb「あ、バトーさんだよ?」

『バトーだ。何やら、タチコマが世話になってるみたいだな…』

ほむら「警察、なんですか?」

『一応な…』

ほむら「その…宜しくお願いします」

なんか目にポリキャップみたいなのが埋まってるけど…

何かしらあれ?

『まぁなんだ、そう畏まるな…それよりほむらと言ったか?……少し俺からも聞きたい事があるんだが…』

ほむら「聞きたい事?」



『なるほど、魔女と魔法少女ね…信じがたい話だな』

ほむら「そうですね…そうでしょうね」

『この町以外で、そんな話ねぇしな…だろ?』

ほむら「同業者は世界中にいるはずだけど…」

『見たことはあんのか?』

たしかに…言われてみればそうだ。

ほむら「隣町の風見野に一人、魔法少女は居るけど…それくらいかしら」

『隣町?…おい、タチコマ』

タチコマb「風見野?……風見野…この周辺に風見野なんて地区は無いよ?ほむらちゃん?」

…え?

ほむら「風見野が…無い?」

『情報の礼だ、ある程度この町の状況を教えるぞ?』

ほむら「ど、どういう意味?」

『ほむらにゃきつい話かも知れんがな…』



『ってな話だ…』

嘘でしょ?

…まさか、そんな…隔離?情報統制?

ほむら「…見滝原周辺に町は無いのね?」

とんだループだわ。

『あぁ、間違いねぇよ。これが衛星写真だ…』

写真が写し出された。

言葉通りの森に囲まれた見滝原。

『隣町のそいつとは、会った事があんのか?』

ほむら「え、えぇ…」

杏子……とりあえず、探しに行ってみようかしら?

ワルプルギス相手に杏子無しはやはりきつい。

でも、まどかの契約を阻止出来なかったら意味無いし…

タチコマb「…」キュイキュイ

ほむら「あ…」

タチコマb「?…どしたの?」

ほむら「タチコマはここ一帯の地図はわかるのよね?」

タチコマb「知ってるよ?」

ほむら「頼みがあるわ」

隣町が無いのなら…彼女が長居しそうな場所はおそらく…

ほむら「届けてほしい物があるの」



3

『なるほど、そうか…魔法、か…』

意外にも真面目なトーンで返したな…

バトー「お?何だよ、信じてみるか?」ニヤ

『彼女から得られた情報はそれだけ?』

バトー「一応な…まぁ、まだ隠してることも多そうだが…」

『しかし、化学兵器か…物騒な話になってきたもんだ…なぁ?』

バトー「イシカワか……成分が解ったのか?」

『まだだ…解析に手間取っていてな…』

バトー「おっせぇなぁ」

『いやなに、魔法を科学的に調べた事なんざ無いんでな、ハッハッハ』

後ろで笑ってんのは、トグサのヤローだな……

バトー「けっ…とりあえずほむらと暫く情報のやり取りをしてみるさ…」

『貴方はどう説明したの?』

バトー「どうもこうもねぇよ…不審な事件に首突っ込んでる警察ってだけだ…あとは町の現状だな…義体に関しては言ってねぇ」

『そう、何やら変な話になってきたわね…』

バトー「そういや、ほむらもいつもと勝手が違うとか何とか言ってたな…」

年のわりに冷静で手慣れてたしな、魔女専門の駆除業者ってとこかね。

バトー「昨日の映像はノイズで記録出来なかった…タチコマだけならまだしも、俺の目でもだ…」

『通信障害も出ていたしな…』

あのガスのジャミング性能と考えるのが妥当だが……まぁ結果まちだな。

バトー「ほむらの話だと、昨日の魔女と巴マミが今日接触するだろうから見に行けとさ…」

タチコマa「わくわくしますねー」

『そんな予測も出来るのね…彼女』

バトー「ありゃ、中々の手合いだ。まぁ、記録は試すが期待はするなよ?」



少し出遅れたな、もう戦闘が始まってやがる……たしか巴マミ…だったな。

ガイン…ガキン…シュルルル

しかし大丈夫かね?…劣勢にしか見えんが…

さやか「あぁっ!?マミさんが!」

まどか「つ、捕まっちゃったよ!?」

魔女とやらの蔦に辛めとられたな…状況だけ見ると不味い感じだが…

加勢…するか?

マミ「…」

マミ「大丈夫よ?」クス

パッ…ジャコン…

マミ「ティロ・フィナーレ!」

カッ…

…魔女が消し飛んだ……変なギミック使いやがる。

おっかねぇマスケット銃だな。



マミ「…」スタッ

さやか「やっぱ、マミさんは格好いいなー!」

マミ「…」

まどか「マミさん?」

マミ「……あげるわ」ヒュッ

パシッ

ほむら「…」

さやか「転校生…」

んだよ、ほむらも来てたのか。

マミ「あと一度くらいは使えるわよ?……それとも、私と分け合うじゃ不服かしら?」

ほむら「魔女を倒したのは貴女よ、貴女だけのモノにしたらいい…」ヒュッ

マミ「…」パシッ

バトー「なんでぇ、勿体ねぇな…貰えるもんは貰っとけよ……巴マミは親切だっつってたろ?」

マミ「!?」

さやか「?」

ほむら「…来てたのね」

バトー「お前が誘ったんだろが」

マミ「…」サッ…チャキ

バトー「ほれ見ろ、警戒されてるじゃねぇか…」

ほむら「あなたがね…」

俺?…何だ俺か。

バトー『タチコマ、さっきの戦闘は記録出来たか?』

タチコマa『ばっーちりでーす!…あれ?やっぱり駄目です…ノイズだらけ』

バトー『だよな…』

マミ「…貴方は何者?そっちの仲間?」

ほむら「そんな事より、聞きたいのだけど…」

マミ「そんな事!?」

ほむら「貴女、他の銃はどうしたの?」

マミ「?…何の話か知らないけど、私の相棒はマスケット銃だけよ…」

ほむら「あ、いえ…種類の話じゃ無くて…」

バトー「随分またアナクロな銃だな…効率悪くねぇか?」

せっかく、あれだけの威力を出せんのに…勿体ねぇ…

マミ「なっ!?」

ほむら「…ちょっ……巴マミはあれで変な拘りを持ってるんだから余計な事は言わないでって昨日…はっ!?」

マミ「変…」プルプル

ほむら「…」ファサッ

ほむら「失礼するわ……ほら!帰るわよ!」グイッ

バトー「何だよ、何だよ?…あいつらにも話が…」ズルズル

マミ「変…変?…」

マミ「…」

マミ「マスケット銃って……変かしら?」

まどか「か、格好良いと思いますよ!」

さやか「あいつらのセンスがおかしいだけですよ!マミさん!」

バトー「…」ズルズル



『彼女とは相容れないわね…』

『マミさん…えっと、でも……その…』

『何てね…冗談よ?…鹿目さんの言う通り、悪い子じゃ無いのかもね…気を使ってる様に見てとれたし』

『マミさん…』

『そんな甘い考えは捨てるべきだと思うね。マミの悪い癖だ』

『あっ!きゅうべぇ!あんた今までどこ行ってたのさ?』

『やはり見間違いじゃ無かったようだ…』

『マミ、もう一度言うよ?…あの二人との接触は避けるべきだ。あくまで予測でしか無いけれど、君の敵である可能性が極めて高い…』

『……そう…キュウベェがそう言うなら、気をつけておくわ…』

『助かるよ』

『…』

『…だ、そうですよバトーさん?』

バトー『よくやったぞタチコマ、そのまま居なくなるまで盗聴してろ』

『りょーかーい!』



バトー「戻ったか」

タチコマa「ただいまー、やっぱり記録は出来ませんでしたねー?」

ま、予想の範疇だぁな。

タチコマa「…ごめんね、ほむらちゃん」

ほむら「良いのよ…もともと期待はしてなかったわ」

タチコマa「ガーン!?」

タチコマa「僕…期待されて無かったんだ…ね」キュイキュイ

ほむら「あ、いえ…あなた達だけに限った事じゃ…その…気にしないでって意味で言っただけで…」アタフタ

バトー「はは、ほむらこそ気にすんな…タチコマは言葉を額面通りに受け取るからなぁ」

タチコマa「どゆこと?」

バトー「そう言や、あいつの武器に色々言ってたが何かあったのか…」

ほむら「えぇ、少しね」

ほむら「…別の問題が起きなければ良いけど…心配だわ」

バトー「ほぅ…」

ほむら「貴方の存在も含めて、ね」

バトー「そりゃ過大評価だな…」

バトー「そうだ、ほむら…タチコマはどうした?…見当たらねぇようだが?」

ほむら「あぁ、あの子なら、お使いに行かせてるの」

バトー「?」

お使い?なんだそりゃ?



バトー「さて、ほむらに魔女…それから、魔法少女と俺を避けてやがった異物が一つ」

バトー「なるほど」

自然に口角が上がる。

タチコマa「キュウベィって呼ばれてましたよ?…小動物みたいな外見でしたねー」

バトー「奴が何かは知らんが、ありゃほむらじゃなく俺達を避けてた…」

知ってるって事か?

警戒心が強いだけか?

タチコマa「データバンクには無い、外見的特徴ですねー…これ耳毛かな?」

バトー「アナクロなこの町にある違和感って奴が、見えてきたな…」

『それは何よりだわ…』

バトー「思ったより、退屈せずに済みそうだぞ?」ハッハッハ

『じゃあ、さらに面白い話を聞かせてあげるわ』

バトー「…気になるね」ニヤ

『暁美ほむら…についてよ』

バトー「ん?」

『……彼女はその町の人間じゃ無い…外界、即ち私達側の人間よ?』

バトー「は?…おいおいマジか?」

『あぁそうだ…俺も驚いたがな。奴さん心臓病で義体整形の総合病院に入院してたんだ』

バトー「義体整形の、だぁ!?」

『あぁ…しかも、学校も同じ外資で管理元のミッションスクールだな…』

バトー「管理元…そうか…そう言う事かよ…」

ってことは何か?

ほむらも目的を持って、この町に入ったって事だ。

『さらに、だ』

バトー「まだあんのか…」チッ

『義体化手術の失敗で2週間前に死んでる…記録上な』

バトー「…」

バトー「……そうかよ」

バトー「おい、タチコマ?」

タチコマa「はーい?」

バトー「オメーじゃねぇよ…ちっ、また自閉モードにしてやがる…」

それが本当なら、大したタマだ。

演技であの顔が出来るかね…

バトー「…」

バトー「急に嫌な仕事になっちまった」ケッ

ほむらの表情は……必死に感情を殺してるだけだと見てたが…

バトー「…」

少し、ほむらの動きも追うとするか…



『おそらく、無理でしょうね…彼女の場合、魔法少女の真実の他に信頼していた者に裏切られたってショックもあるから…』

『そっか…くっそー!キュウベィの奴ー!』

『…あ!休み時間終わっちゃうよ!』

『…』

『……ふぅ』

『厄介だね、暁美ほむら…別に手をうったほうが良さそうだ…』

バトー「…」

バトー「タチコマ、もう良いぞ」

『向かいの建物からバッチリでーす!ほむらちゃん達は気付かなかったみたいだけど…』

タチコマをほむらに付けて正解だったな。

バトー「三人の話を聞く限りは、あの生物、キュウベェが根っこみてぇだな…」

キュウベェとほむらは協力関係には無いのか?

しかし、義体を知った上で二人に伝えなかった……いや、あの感じは…

『聞かれてた事、ほむらちゃんに教えますかー?』

バトー「…んや、止めとけ。まだほむらの立ち位置も解らんしな、それまでしっかり守れよ」

『はーい』

バトー「しかし、あの獣が魔法少女を作るのか…まさに人体改造だな」

『彼女が義体ならあまり参考には出来ないけど、嘘を言っている様子では無かったね…』

バトー「あぁ、少佐もそう思うか?」

タチコマa「ほむらちゃんの目的は、契約の阻止と魔女の打倒?」

バトー「今の所な…とりあえず魔女を倒してから失踪事件も発生しなくなった」

『このまま、終れば良いけど…』

だな。

バトー「おいタチコマ」

『はいはーい?』

バトー「…そういや、使いに行ってたらしいが何頼まれたんだ?」

『うんとねー、佐倉杏子って女の子に手紙を渡しに行ってましたー』

佐倉杏子?

また新しいのが増えたな…同業者か?

バトー「何て手紙だ?」

『さぁ?今時珍しい紙媒体でしたし…とりあえず、その時の記録を送りますー』

タチコマa「おおお!…何と!何という経験値!…これは教会かな?そっちは楽しそうだなー」

廃れた教会と赤い髪の少女…

バトー「また子供か…嫌んなるぜ」

手紙を見て顔色を変えた?

『例の風見野の同業者みたいです』

バトー「なんだよ、見滝原に居るんじゃねぇか」

『ふーん、この少女も魔法使いってわけね…』

バトー「らしいな…とりあえず今日調べた限りじゃ、この町の地図には、確かに風見野が存在している…駅にもそれらしい駅名があった」

『架空の都市……』

バトー「少佐のデータをみる限りじゃ、風見野の地形図はすっぽり森林地帯になってるが…何かあると思うか?」

『そうね…念のため調べるべきかしら……こちらの件の対象者、組織の洗い出しが済み次第、トグサを向かわせる予定だから…ついでに寄ってもらうわ』

バトー「頼む」

つーか、トグサ来んのか……まぁ警護そのものには向いてねぇしな。



読んでくれてる方、ありがとう

寝ます、また明日

4

ガチャ

ほむら「…ふぅ」

タチコマb「お帰りなさーい」

ほむら「……ただいま」

帰ってきてたのか……嬉しそうな声に少し安心する。

ほむら「どうだった?」

タチコマb「居たよー」

ほむら「そう…風見野が存在しないなら、と思ったけど居てくれて何よりだわ」

タチコマb「でも、手紙は渡したけどどっか行っちゃった…」

巴マミの所かしら?

ほむら「ありがとう、居ると解っただけでも良しとするわ」

少なくとも、これで見滝原にはいつものメンバーと彼ら。

病院でなく、この自室から目覚めた時はどうなるかと心配したけど……

ほむら「今日は遅いし休みましょう?おやすみ、タチコマ」

タチコマb「おやすみ、ほむらちゃん……あ、まだ自閉モードのままだった」

タチコマb「…ま、良いか」クルクル

上手く協力関係まで持っていきたいわね。



キーンコーンカーンコーン…

まどか「ほ、ほむらちゃん」

ほむら「何かしら?」

まどか「さやかちゃんがね…その、聞きたい事があるって…」

ほむら「美樹さやかが?」

珍しいわね?

彼女から接触してくるなんて…あまり良い予感はしないわ。

さやか「おっす」

口に出そうとしたら、後ろに居た。

さやか「…ちょっとね。マミさんも呼ぶとキュウベェが付いて来ちゃうだろうし…」

ほむら「……?…聞きたい事って?」

さやか「転校生はさ、キュウベェだけを狙ってたんだよね?」キョロキョロ

辺りを伺いながら小声で話す。

あいつには余り意味ないだろうけど…それを言うのは野暮かしら?

ほむら「…そうよ」

さやか「何で?」

ほむら「魔法少女を増やさない為、よ」

ほむら「あと、個人的な恨み」

まどか「そ、そうなんだ…」

ほむら「何故、そんな事を気にするの?」

さやか「私達やマミさんが居る時はあんた、キュウベェ襲わないじゃん?」

ほむら「だから一緒に居たんでしょ?狙わせない為に……面倒事は避けたいのよ」

さやか「あの後さ、あいつは急にあんたが敵だって言い始めたんだよ…」

ほむら「なっ!?」

さやか「それまでは、どっちかって言うとあいつ自身もあんたに興味あったっぽいのにさ」

ほむら「…そう…それで?」

さやか「なんか引っ掛かっちゃってさ」

ほむら「なるほど、貴女はそこに違和感を感じたのね…」

さやか「まぁね、マミさんはキュウベェを信頼してるから無理かもだけどさ、あたし達には聞かせてくれないかな?…あんたの…ほむらの知ってる事」

このさやかは冷静…なのかしら?

ほむら「…」

ほむら「解ったわ…」



さやか「魔法少女が…魔女に…アレになるの?」

まどか「酷い…そんなの酷いよ…」

ほむら「くれぐれもマミには言わないでね?…彼女の精神だと、その事実を知って魔女化しかねないから」

さやか「う、うん……それは良いけど…あんた…ほむらは平気なの?」

ほむら「別に今さら気にしないわ」

まどか「だって、それじゃあほむらちゃんは…」

さやか「だいたい、ほむらは…何でそんな事知ってんのさ?」

ほむら「…」

さっきの説明もそうだけど…

このさやかは冷静だ…それは間違いない。

ほむら「ごめんなさい、それは言えないの」

さやか「…」

ほむら「貴方達は冷静だと思うから正直に言うわ。私はまだ隠してる事がある。…でもそれを話すことは出来ない…」

魔女の真実を伝えた今、さやかやまどかに必要以上の情報は与えるべきでない。

まどかは優しすぎるし、さやかは真っ直ぐすぎる。

さやか「…」

まどか「…」

ほむら「…」

さやか「そっか、解ったよ…ありがと、話してくれて」

ほむら「ごめんなさい…」

さやか「謝ること無いって、知られたくない事なんて私だってあるしさ…それより、こっちこそごめん。私、ほむらの事誤解してた」ペコ

まどか「さやかちゃん…」

まさか…上手くいってる?

ほむら「構わないわ…契約をしないでくれれば、それで良いから」

まどか「う、うん…でもほむらちゃんとマミさんは…」

ほむら「私は自業自得だし…マミは選択が限られていた…気に病む必要は無いわ」

さやか「ねぇほむら?…それ、どうにかマミさんに伝えられないかな?」

ほむら「…」

ほむら「おそらく、無理でしょうね…彼女の場合、魔女化の他に信頼していた者に裏切られたってショックもあるから…」

今まで、一度だって耐えたことないし…

さやか「そっか…くっそー!キュウベィの奴ー!」

まどか「…あ!休み時間終わっちゃうよ!」

ほむら「…」フゥ

上手く……いってる?



キーンコーンカーンコーン…

まどか「ほむらちゃん、一緒に帰ろ?」

ほむら「んう?」

さやか「なんじゃその返事…驚いてないで帰ろうよ」

仁美「ご一緒しませんか?」

ほむら「え、えぇ」

仁美「うふふ、賑やかなのは素敵ですわ」

帰りに誘われるなんていつ以来だろ…



仁美「では私はここで」ペコリ

まどか「また明日」フリフリ

さやか「とりあえず、さ?マミさんに話さないとしても協力しなよ?」

ほむら「…」

ほむら「そうね…そうしたいわね」

たいがい亀裂の原因を作るのは貴女なんだけど?

今回はさやかが冷静なかわりに、qbが露骨な敵意を見せてるみたいだし…

まどか「とにかく、マミさんに会ってみない?話せばきっと解ってくれるよ!」

ほむら「そう、よね…」



ピンポーン

マミ「…」カチャ

まどか「こんにちはマミさん」

マミ「…」

さやか「マミさん?」

マミ「こんにちは、暁美さん」チラ

ほむら「こんにちは」

マミ「キュウベェの助言通りね…先ずは二人を懐柔してって所かしら?」

ほむら「なっ!?」

予想外の言葉が浴びせられる。

マミ「残念だけど、貴女の考えは解ってるの…消えてちょうだい」

さやか「ちょっ、マミさん!」

マミ「二人にも忠告しておくわ、私に関わらなくても構わないけど…その娘にも関わるべきでは無いわね」

まどか「そ、そんな…話くらい…」

マミ「ごめんなさい鹿目さん、今そんな気分じゃないの」バタン

さやか「マミさん…」

おかしい、何かがおかしい…

第一、キュウベェがあれから私の前に現れていない…調べる気配すらない。

ましてや、マミを扇動するような真似なんて…

まどか「ご、ごめんね…ほむらちゃん」

ほむら「気にしないで…これはマミと私の問題だわ」ファサッ

ほむら「それに貴女達が、私に関わるべきで無いと言うのは私も賛成よ…今のマミの台詞で信頼も揺らいでいるでしょう?」

さやか「…うん、まぁ正直こんがらがってるよ」

まどか「わ、私はほむらちゃんを信じるよ!」

ほむら「ありがとうまどか…でも、さやかのそれが正しいと思う…私も二人と距離を取るべきだと解ったわ」

まどか「そんな!」

ほむら「じゃあ、誘ってくれてありがとう」スタスタ

qbの考えがわからない以上、迂闊に巻き込めない…結局、良いように引っ掻き回されてるわね。

癪だけど、次の魔女狩りまでは大人しくしておくべき…かしらね。



タチコマの背中……モニターの向こうにはバトーがいる。

ほむら「明日、新しい魔女が現れるわ…」

『間違いないのか?』

ほむら「えぇ」

『…』

『わかった、俺も現場に向かおう』

ほむら「助かります」

『なぁ…』

ほむら「?」

『ほむら、お前の目的は…何だ?』

ほむら「魔女の打倒と彼女達を守る事…」

『そうか…』

バトー…この人は気付いてる。

私が全てを話していない事に……そして恐らく、私は疑われてる…

ほむら「ごめんなさい」

『ぃや…じゃあ、まぁ明日な…』プッ

ばつの悪そうな声で通信は終わった。

ほむら「…」ハァ

タチコマb「ほむらちゃん?……えっと、今の会話に…幾つか不可解な点があるのだけどー…」チラ

ほむら「人間の会話なんてそんなものよ…」ボスッ

タチコマb「うわー…今の口調、まるで少佐だったよー…」クルクル

誰よ…それ…

ほむら「…」

明日は…マミを助けて…

タチコマb「…」

タチコマb「怖いとこまで似ないでね?」

誤解も…出来れば…

後は…それと…



ほむら「…」パチ

…ん?

…あぁ、あのまま寝たのね

タチコマb「おはよー」

ほむら「おはよう」ムクリ

お腹にタオルが掛けてある。

タチコマb「今日も学校?」

ほむら「えぇ…そうね」

タチコマb「…付いてって良い?」

ほむら「駄目よ」

タチコマb「はぁー、やっぱり?」ガクッ

ほむら「帰ったら、忙しくなるわ…今日は家で留守番よろしくね?」

タチコマb「はーい」

タチコマb「…」

タチコマb「ほむらちゃん?」

ほむら「?」

タチコマb「留守番をする、と言う事はもしや…その…お土産を要求する権利が発生するのでは、ないかな…とか思ったり?」

ほむら「…お土産?」

タチコマb「お土産」

何故に?

タチコマb「駄目?」

ほむら「……解ったわ、何か買ってくる」

タチコマb「本当?わーい」ガチャンガチャン

うんまい棒で良いかしら?



タチコマb「よーし、異常無ーし」

ほむら「…」ガチャ

タチコマb「…」

タチコマb「そろそろほむらちゃん、帰ってくるはずなんだけどな…」

ほむら「……ただいま」コツコツ

開けっ放しの戸を叩く。

タチコマb「あ、お帰りー」

ほむら「さ、病院に向かうわよ?」

タチコマb「アイアイサー、魔女退治だー」

ほむら「あ、それと…」

タチコマb「…」ピク

ほむら「はい」

タチコマb「こ、これはー!」

ほむら「お土産よ…砂時計」

うんまい棒はさすがに…ね。

タチコマb「お土産だー!僕の!僕のお土産だー!」キュイキュイ

タチコマb「しかも物資による提供だから並列化しても僕の所有権と優位性は変わらないし!…ありがとーほむらちゃん!」

ほむら「…喜んでくれて何よりだわ」

ほむら「あ、紐も買ったから砲身に結わえるわね?」シュルシュル

タチコマb「うひょー!素晴らしい!砂時計という時代遅れな町に相応しいレトロな品物!…ほむらちゃんのセンスは抜群だね!」

ほむら「…」キュ

誉めてくれてるみたいだけど……何か嬉しくない誉めかたね。

タチコマb「それにしてもキラキラしてるね?」

ほむら「……なんか特殊な砂らしいわ…光を乱反射させてるんですって、陽の下だと結構目立って綺麗よ?」

あ…

タチコマの迷彩意味無くなるんじゃ…?

タチコマb「ひょー、これは自慢出来るぞー」ワキョワキョ

まぁ、喜んでくれてるし良いか。



ほむら「少し先の駐輪場よ…」タッタッタ

タチコマb「あれ?バトーさんが先に着いてるはずなのに…あ!」

ほむら「どうしたの?」

タチコマb「わわわ、大変だー!」

ほむら「え?何?」

タチコマがスピードを上げる。

…何かあったのかしら?

ほむら「ちょっとタチコ…マ…」

タチコマa「あ!遅いよー!」

もう一体のタチコマが近づいてきた。

背後には…

……バトーが倒れていた。

ほむら「バトー!?…ちょっと、何で!?」

ほむら「何があったの!?」

タチコマb「わー!バトーさーん!?」

タチコマa「端末にアクセスしたら攻性防壁にやられちゃって……」

タチコマb「え?バトーさんが?」

タチコマa「とっさに僕とのリンクは切ってくれたけどバトーさんが…」

タチコマb「ゴーストは平気かな?損傷してなきゃ良いけど…」

…攻性防壁?端末?

タチコマa「とりあえずここまでバトーさんは運んだんだけど…その後、マミって女の子が来て魔女を追って行っちゃった」

…マミ?…しまった!

ほむら「すぐに追うわ!」ダッ

タチコマb「あ、えっと…」

急がないと…

取り返しのつかない事になる。



マミ…どうか…

居た!良かったまだ戦ってない!

マミ「あら…追って来たのね」

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「…今回の…魔女は…私が狩るわ」ハァハァ

マミ「そうもいかないの…美樹さんもqbも待ってるし」

ほむら「だったら一緒に…

マミ「悪いんだけど…貴女を近くに置けるほど信用していないのよ?」パッ

シュルルル…

リボン…しまった!?

ほむら「ば…バカ…こんな事してる場合じゃ…」

まどか「マミさん!ほむらちゃんは…

マミ「ごめんなさい、鹿目さん…安心して、美樹さん達を助けたら必ず解放するから」

まどか「…っでも」

マミ「行きましょ?」

ほむら「まっ…くぅっ」ギリギリ

まどか「…」

まどか「…ほ、ほむらちゃん!…少しだけ待ってて、ね?」

タッタッタ

駄目なのよ…

…まどか達に今日の事を話すべきだったの?

ほむら「マミさっ…」ギリギリ

リボンが肺を締め付ける。

駄目だ、またマミが殺されてしまう…

キュルキュルキュルキュル…

…?…機械音?

ホムラチャーン…キュルキュルキュルキュル…

この声!助かった!

タチコマb「お待たせー…何してるの?」

ほむら「ほ…どぃ…て…」

タチコマb「わかったー」ガシャン

ダカダカダカダカ…

ほむら「ふっ…」ハラ

ほむら「…」スタッ

タチコマb「大丈夫?」

ほむら「大丈夫よ…急いでマミの元に向かうわよ…」タッ

タチコマb「え!?…ま、待ってよー」キュルキュル…



マミ「これで、終わりよ!…ティロ・フィナーレ!」バンッ

ボスッ…

さやか「やったぁ!」

…ズルッ…グバァ

マミ「え?」

間に合った!

ほむら「タチコマ!」

タチコマb「はーい!」ダカダカダカ…

銃撃で魔女の軌道をずらす

ほむら「良かった…間一髪ね…」

マミは無事だ。

マミ「ひっ!?…え?…あれ?」

タチコマb「やっほー、大丈夫?」キキッ

まどか「わわ……な、何?」

マミ「あ…あれ?…今……私…」

ほむら「まどか、マミを見ててあげてね?」

まどか「へ?……あ、うん」

マミ「そう……だ…私………た…食べられて…」ガクガク

ほむら「…」チラ

キュウベェは……いない…

ほむら「とにかく今は…こいつを狩る」



5

バトー「はぁ」

あれから随分と…穏やかなもんだな。

トグサはこっちに向かってるらしいが…

『バトーさーん』

バトー「あん?」

『ほむらちゃんが話があるんだって』

バトー「そうか…」

さて、どう来る?暁美ほむら。

『バ、バトー?』

バトー「おう、どうした?」

『少し…話したい事が…』

バトー「聞きたいね」



バトー「本当に病院か?ここ?」

タチコマa「バトーさーん?いってた時間より随分早いですよ?」

バトー「ほむらと違って、こっちは土地勘も無いからな…下見ついでだ…地形と経路を叩き込んでおけよ」

タチコマa「アイアイサー!」キュルキュル

結局、昨日の話は魔女の情報だけだった……あの感じだと俺をどうこうってのは無さそうだが…

タチコマa「ひゃー!」クルクル

バトー「タチコマの奴、張り切ってんな……久々の外出じゃ無理もねぇが」

それにしても…

旧世代の医療器具…見た目は現代風に繕っちゃいるが……タイムスリップした気分だな。

『バトーさーん!』

バトー「なんだぁ?なにか見付けたのか?」

『あの女の子!美樹さやかがキュウベェと一緒にいますー!』

バトー「?」



さやか「…ほむらの言ってた事…本当なんだよね?」

qb「まだ怒ってるのかい?…そりゃあ、そういった仮定や結末を説明しなかったのは認めるけど…」

さやか「怒るに決まってるでしょ!マミさんが可哀想だ!」

qb「うーん…精神状態が著しく不安定な時に起きる変調を気にしても仕方がないとおもうけどなぁ」

さやか「あんた、それマミさんに伝える気は無いの?」

qb「まさか!そんな事をしたらそれこs…ん?……」

さやか「ちょっとどうしたのさ?…話を……!?」

バトー「…?」コソコソ

感付かれたか?

『バトーさーん!壁のオブジェクトに不規則な熱量反応がありますー!』

バトー『んん?……壁だぁ?……』ジジ…

さやか「ちょ…ちょっと、これって!?」

qb「間違いない…グリーフシードだよ!」

…なんだ?…壁に何か刺さって……!

バトー『…ありゃ装飾で誤魔化しちゃいるが……qrs端末じゃねぇか?』

なんで見滝原にあんなもんが?

『!…大変です!あの壁から例のガスが発生してます!』

バトー「んだと!?……くそっ!」バッ

qb「まずい…もうすぐ羽化しそうだ…結界がつくられるよ!」

さやか「くっ…マミさんかほむら呼ばないと…連絡先は……あーっもう!とりあえずまどか……に………?」

ダダダ…

バトー「どけぇっ!」

さやか「わ!…ちょっ、何さ!?」

qb「……」サッ

やはりアクセス可能な端末だ。

ガスの発生が突発じゃあない所を見れば…

バトー「遠隔操作してやがるのか!?」シュルル…

さやか「バカっ…それに触ったら!」

バトー「こっちからハッキングを仕掛けてやる!」ザク

ブゥゥン…

何だ…こりゃ…

…魔法少女…?…対象…実験データ……

被験体が……なn

バチッ

キャハハハハハ…

バトー「っ…攻性防壁かっ!?……タチコマ!俺とのリンクをk…

…しまっ

さやか「ちょっ…ねえ!…ねェ…ダイジョ…

ザザザ…

ブツン…



ザ…ザザザ…

サーン…

バトーサーン…

バトーさーん…

タチコマa「バトーさーん!」

バトー「…ん…んあぁ…タチコマか…」

タチコマa「大丈夫ですかー?」

バトー「あぁ…身代わり防壁を用意しとくんだった…」チッ

俺が防壁に焼かれるたぁ…

くそっ、少佐に笑われちまうな。

『油断しすぎよ…バトー』

バトー『けっ…んだよ、見てたんなら言えよ…趣味悪ぃな…』

バトー「…」キョロキョロ

タチコマb「あ、バトーさーん」

ほむら「起きたのね…無事で良かった…」

バトー「魔女とやらは…どうした?」

ほむら「…」コクリ

流石…だな。

バトー「そう、か…他の連中は?」

ほむら「マミの付き添いで帰らせたわ」

はぁ……俺が足を引っ張ってどうする…

バトー『タチコマ…どうだった…』

タチコマb『ノイズだらけで記録は…』

だろうな。

バトー「まぁ、何だ…助かった」

ほむら「何もしてないわ…」ヒョイ

バトー「!…おい!そりゃあ…」

ほむら「?…これ?…これはグリーフシードよ、説明しなかったかしら?」

バトー「形状までは聞いてねぇな…」

あの先端…壁のモノと同じタイプの端末だな。

バトー「なぁほむら…それ貸して貰えねぇか?」

ほむら「?…何するの?……構わないけど」ヒュッ

バトー「助かる…」パシッ

バトー「…タチコマ、回線を独立させてお前が開け…防壁迷路に触れるなよ?」

タチコマa「アイアイサー!」シュルル

バトー「…」カチッ

やはりか…

ほむら「なっ…何よこれ!?」

バトー『少佐、イシカワ…これから転送するデータの解析を頼む』

『わかった…解析班を集める』

『ふぅ、ついにマジックアイテムとご対面か?』

んな、良いもんじゃ無さそうだがな。

ほむら「データ?…何で…こんな…」

バトー「…」

バトー「なぁほむら……お前はこの町の人間か?」

ほむら「…」

ほむら「…違うわ」

バトー「…」

バトー「なら……何故義体を知らない?qrsもだ……」

ほむら「…」

ほむら「解った、わ……私の事を話す」

バトー「…」

ほむら「ただし…信じるかどうかは貴方の判断…」

バトー「聞かせな」

少しの無言の後。

ほむらはトツトツと話し始めた。



『…で、貴方も情報を渡したのね』

バトー「だってよ…不公平だろぅが」

病院の事を話したら、何やら考え込んでたが…

『未来から来た少女…昔、そんなお伽噺を読んだ覚えがあるわ』

バトー「いつの時代にだってあるだろ…ありふれた空想だ」

『しかし、もう一つの情報…彼女達が魔女になるって話はあながち間違いでも無さそうだぞ?』

バトー「イシカワか?どういう事だ?」

『さっき送ってきた情報…グリーフシード…だったか?…あれの中身が解ったんだがな』

バトー「?」

『ありゃ、データ化されたゴーストの情報だ…』

バトー「ゴーストだぁ?」

んなもん、完全なデータ化なんざ…

『正確に言えば、ゴーストの一部…データ干渉出来る脳核の一部を、無理矢理データ化…抽出した代物だな』

バトー「はぁ?んなことして何の意味がある?」

『大部分は実験でしょうね…飽くなきゴーストへの探究ってやつかしら』

バトー「残りの部分は?」

『戦事利用…だろうな…解析データ送るか?今のお前にはきついかも知れんぞ?』

バトー「あ?拷問された記録でも入ってたか?」

『記録化された[幸せな記憶]だ…』

バトー「…」

バトー「あのガスは?」

『あっちはまだだ…どうも、信号伝達の阻害だけじゃあ無い気がしてな…』

バトー「だけじゃない?」

『何か紛れてるみたいでな…お前の時の攻性防壁と言い、こりゃそうとうなレベルで組まれてるぞ?』

『こっちは関連のありそうな国内の財団、企業を洗っておくわ…』

バトー「…例の外資じゃねぇのか?」

『いくら巨大と言っても、海外企業の一存で町一つ隔離なんて出来ないわよ…』

バトー「ま、そうかもな…にしても、繋がりのある人物ねぇ…」

バトー「んで、トグサはいつ来るんだ?」

『例の風見野には着いたみたいよ?…私も明日には動ける…暁美ほむら、彼女が入院していた病院に向かうわ』

バトー「頼む……そういや、ほむらの記憶では、俺達の世界にも電脳技術の革新は来なかったらしいぞ?」

『彼女はどう動くかしら?』

バトー「タチコマも付いてる…無茶はせんだろうさ、年のわりに冷静だしな…いずれ少佐よりおっかなくなるかもしれんが……」

『はっはっは、嬉しくない報告だな…ゴリラは一匹で……あ』

ブツ…

バトー「…」

一応、タチコマに監視を強めるよう言っとくか。



おせぇな…

タチコマからの定時報告がこねぇ。

『あのー、そのー…ば、バトーさーん』

バトー「…ん?おせぇぞ、どうした?ほむらに何かあったのか?」

『ほむらちゃんが…い、居なくなっちゃいました』

…は?

バトー「目を離すなと言ったばかりだぞ…」ハァ

『ご、ごめんなさーい』

バトー「ったく」

何処に行ったか……っても…ま、病院だろうな。

けじめってヤツかね、そういう感覚は理解できんことも無いが…

バトー「何か伝言は?」

『紙媒体の資料とメッセージがありましたー、僕へのお願いが書かれてます』

バトー「?」

『鹿目まどかを契約させないでって…資料はこの一月の魔女の出現情報みたいです、スキャンして送りますねー』

未来の魔女の情報か…

バトー「…」

バトー「これ全部資料か?」

『そーみたいです…あと半分以上ありますけど…』

半分?…なんだこの膨大な量は?

ほむらが一人でこれを?

『ここまで正確な出現予測を立てられるものかしらね』

バトー「本当に未来から来た…か?」

『トグサだけど、何やら通信傷害が起きてるみたいなの…何かあったのかもしれないわね』

バトー「…大丈夫なのか?」

『この後も連絡が無ければ私が向かう……彼女の失踪も病院が目的なら、こちらと接触するはずだから…今は、気にしなくていい』

『……貴方に資料を委ねた彼女の意図…解るでしょう?』



タチコマa「この情報を信じるなら今夜、魔女が現れるみたいですね…ほむらちゃん凄いなー」

バトー「あぁ、行くか…」スタスタ

『旦那?…聞こえるか?』

バトー「トグサか?…おせぇぞ!」

『そう言うなって…例の風見野で妙な事がおきてな…』

バトー「通信傷害が起きてたみたいだが」

『はぁ…少佐にも、どやされちまったよ』

ざまぁみろ。

バトー「で?無事なんだな?」

『あぁ、30分で合流出来る…その時説明するさ』

バトー「なら後でな」

『土産にサイボーグ食もあるぜ?』

バトー「おぉ、そりゃ気が利くじゃねぇか!」

トグサが来る…か。

こうなるとキュウベェと接触した方が早いな。

バトー「大人しく捕まって……は、くれねぇよなぁ」ハァ

タチコマa「?」



見てくれてる方がいるなら、ありがとう

寝ます、また明日

6

[風見野は存在しない]

[見滝原は隔離されている]

手紙の一文。

杏子「…ったく、やんなっちゃうよねぇ」

メカガニが言うには、暁美ほむらっつったっけ?

杏子「まさか、本当に森が広がってる何てさ…」

ある境から町の遠景が消えて森になったけど……妙な仕掛けをするもんだ。

杏子「…」

杏子「あーっ!駄目だこんがらがってきた……」ワシャワシャ

杏子「とりあえず戻って、暁美ほむらって奴に会うとしよーかね」

パキパキバキバキ…

杏子「?」バッ

木がへし折れる音が響く……近い。

ドシーン…ウィーン…バババババ…

杏子「機械音?…森で?……!?…なんだありゃ?」バッ

幾つかの閃光と煙……あれは間違いない……戦闘だ。



?「おいおいまじかよ!?身元確認くらいしろよな!」バッ

動哨「こちら北b、侵入者が逃走…追跡すr

スタッ

金属の塊に着地する。

杏子「すげぇ、ロボットだ」

動哨「な!?増えた!?」

?「おっ…と?何だ?」

動哨「こいつの仲間か!?…はっ!?」クル

?「…」チャキ

ダンッ…ダンダンダンダンッ…

?「っ…駄目か」タタッ

あっちは生身みたいだな…

動哨「拳銃に槍だと!?くそっ、そんなモノでどうこう出来るか!…貴様も邪魔だ!野蛮人どもが!」ブン

野蛮人ねぇ?

杏子「うぜぇ」パキィン

突き立てた槍は、あっさりと沈んでいく。

動哨「なっ、アームスーツの装甲に!?…貴様!なn

ザンッ

動哨「あ」ズルッ

ズシーン…

杏子「…中身は……死んじゃあいないね」

動哨「」

ガサッ

杏子「出てきなよ」

?「……あ、あぁ…」ガサガサ

?「…助かったよ…えっと…」

杏子「杏子…」チャ

トグサ「トグサだ…敵…じゃあ無いよな?」

杏子「さぁね…こいつの味方じゃ無いのは確かさ」ゲシッ

見滝原の人間…だよな?

なんかヒョロいな…たより無さそうだし。

トグサ「…杏子ちゃん、君はここに住んでるの…かい?」

杏子「は?…いや、いつもは見滝原だね」

トグサ「…だよな」キョロキョロ

警戒してるねぇ……そういや、増援の気配はなしか。

トグサ「杏子ちゃん、この辺りで施設を見なかった?」

杏子「ちゃん付けは止しなよ……心当たりは無いよ」

トグサ「……そうか、ならこいつに聞くか」シュル

なんか首から出た!?

動哨「」カチ

こいつの首にも穴が!?

杏子「…」

杏子「……」サスサス

杏子「無い……」ホッ

無いよな?普通穴なんて無いよな?



なんか呟いて歩き出したけど…

見滝原の人間じゃ無いらしいし…

杏子「あんた、さぁ」スタスタ

トグサ「?」スタスタ

杏子「ほむら…とか言うやつの知り合い?」

トグサ「ほむら…暁美ほむら?」

杏子「やっぱりそっか…このタイミングでよそ者に出くわすから、関係あるとは思ったけどさぁ…」ハァ

トグサ「直接はまだ話して無いけどな…君の同業者だろ?」

杏子「…そうらしいね、私もよくは知らないけど」

トグサ「?」

なんだ?

こいつも私と似たような状況なのか?

杏子「私も、そいつとは会ってないんだ…そいつの使いのメカガニに手紙を渡されただけでね」ガサガサ

トグサ「蟹?…あぁタチコマか」スタスタ

杏子「……変な名前だな、あいつ……あ、ここかい?」

なるほど、上手く隠されてる。

しかし、肉眼じゃこの施設を見つけるのは無理だろ…

トグサ「さて、何があるか」ピッ

杏子「しかし、どうやったのさ?…あいつは気絶してたし……その首のコードで頭でも覗いたのかい?」

トグサ「まぁそんな所だよ……鋭いね」チャキ

何かバカにされてる感じだ…

トグサが、表示パネルに何かを差し込むと扉がゆっくりと開いた。

白い廊下がゆっくり下ってる。

杏子「…しかし、キュウベェの野郎……後で絞めてやる」

トグサ「キュウベェ…ってのは白い獣だよな?」カツカツ

杏子「あぁ…あいつに風見野が激戦区だと聞かされたから私は見滝原を離れなかったんだ…妙に説得力があってさ…」

トグサ「そうか…」ピピッ…ガチャン

杏子「ここは何だい?」

トグサ「さぁ、それを調べに来たんだよ……人影は無し…」

ヴォーーー…

機械音だけが響いてる…

杏子「随分、大仰な機械だね…何だこりゃ?」ブチ

杏子「…」プラン

……なんか抜けたよ?

トグサ「おいおい、妙な事しないでくれよ?…爆発とか勘弁だぜ?」

カタッ

杏子「!?」バッ

トグサ「!?」チャキ

杏子「…誰だ?」チラ

明らかな異音と気配。

トグサ「…」キョロキョロ

道幅は狭い。

トグサ「…」クイクイ

杏子「…」コク

あんたが追い立てるのが正解だな…

トグサ「…」チラ

カタッ…タッタッタ…

トグサ「!…動くな!」ジャキ

トグサ「……?」キョロキョロ

いなくなったのか?道は一本だぞ?

カタッ…

トグサ「ちっ、上か!?」

ババッ…タッタッタ…

トグサ「くそっ…すまない!行った!」タッタッ

パイプを伝って向かって来てるけど。

あれは…

杏子「よしっ、さぁ来な…って……やっぱりあんたかよ…」

qb「…」タタッ

杏子「……そうだ!…てめぇ風見野の事、何で黙ってた!?」

qb「…ア」カタン

qb「ア…アア……」カタ…カタカタカタ

杏子「?」

何だ?いつもと様子が?

qb「…」カクン

トグサ「…はぁ…はぁ…何だよ、諦めたのか?」

qb「…やぁ、何してるんだい佐倉杏子?」

杏子「お前…今…」

qb「…折角、風見野は危険だから…僕が嘘までついて君を見滝原に留めておいたのに…まったく困るなぁ」チラ

トグサ「…」ビクッ

杏子「ここは…何だよ?…何の施設だ?」

qb「…」

qb「ここは、僕の拠点さ」

トグサ「工場?」

qb「僕のボディを生成して、僕の記憶を集約、共有する為の言うなれば工場みたいな場所だね!」

杏子「あんたはここで生まれたのか…」

だから近付けたく無かったのか?

qb「あくまでボディだけだけどね?…ここで常時、生成され、スペアが豊富だからこそ…君達魔法少女と共に行動できるんだよ!」

杏子「……聞きたいことが幾つかあんだけど?」チャキ

qb「…なんだい?」

杏子「…暁美ほむらって奴の手紙に書いてた事についてだ」

[魔法少女の心臓はソウルジェム…魔力の浪費と絶望がソウルジェムを黒く染める]

[魔女は魔法少女の成の果て…ソウルジェムはやがてグリーフシードに成る]

トグサ「…」

qb「魔法少女の真実…かい?」

杏子「あぁ、そうさ」

qb「はぁ、訂正するほど間違いでは無いね」

杏子「てめぇ…」ギリ

qb「…なんてね」

トグサ「…?」

qb「暁美ほむらの推測は間違いだ…残念だけどね…君達は絶望やソウルジェムの濁りで魔女になったりはしない…」

qb「それが事実だよ、佐倉杏子」キュップイ

杏子「……本当だな?」

ほむらって野郎の話が違う?

どうなってる?

風見野の情報が正しいから、こっちの情報も…って気にはならねぇが。

qb「そればかりは信用して貰うしか無いけどね、真実は真実だ…それと、出来ればここは壊さないで欲しいね」

私にゃどっちも信用できないしな。

杏子「…」

qb「僕だってスペアが無くなるのは避けたいし、何より君達にそんな猶予は無いだろうから」

トグサ「猶予………っ!?」タッタッタ

トグサが入口に走る。

杏子「お、おい!?」タッタッタ

トグサ「…」バッ

バルバルバル…

微かに聴こえる音。

トグサ「大型の輸送ヘリか…杏子ちゃん!増援が来る!とりあえず見滝原まで引こう!」

qb「それが良いね」

杏子「……」

qb「じゃ、また見滝原で会おうね!杏子!」キュップイ

……ほむら…キュウベェ…くそ、何だってんだ!?



7

トグサ「てな訳だ…」

バトー「あの生物と接触してたのか…」モムモム

やっぱ、義体食うめぇな。

トグサ「あぁ」

バトー「しかし…アームスーツは米軍の旧式に似ているな…払い下げを加工したか…」

旧式とは言え、民間が持つには過ぎた代物だが…

バトー「で?…その佐倉杏子はどこに行ったんだ?」

トグサ「報告にあった巴マミと会うらしい」

バトー「…そうか」

トグサ「そういや旦那、タチコマは?」

バトー「qbの監視に回してる…その話を聞く限りじゃ一匹に張り付いても意味は無さそうだがな」

巴マミと接触するなら、そいつはタチコマに任せりゃいいな。

バトー「もう一機はほむらに頼まれた仕事をするんだと…」

トグサ「なんだそりゃ?」

バトー「なんか入れ込んでてな、鹿目まどかの護衛だそうだ」

『暁美ほむらは何故彼女に固執しているのかしら?』

バトー「お、少佐か?そっちはどうだ?」

『じき、病院に着く…彼女の記録が残ってれば良いけど』

トグサ「キュウベェって野郎の対応の速さからして、病院にも何らかの対策はしてくるかと思いますよ…」

バトー「とにかくだ、そっちでほむらに会う様なら……頼む」

『ふふ、えぇ』

ん?何で笑った?

……まぁ…良いか。

バトー「そろそろ、俺達は廃工場に向かうぞ」



バトー「おーおー、人がウジャウジャ集まってんな……」

トグサ「また例のガスの影響、か?」

ここいらの連中が集まってんのか、随分広範囲だな……ん?

バトー「ありゃあ…」

まどか「…仁美ちゃん、それって本当なの?」

仁美「えぇ、さやかさんにもお話いたしましたわ」

まどか「そっか…だったらさやかちゃんも……あ、そうだ仁美ちゃん」

仁美「…」

まどか「……仁美ちゃん?」

仁美「まどかさん……私……ふふふ、何だか素晴らしい気分、ですわ」ユラ

まどか「え?」

『あれ?バトーさん達も来てたんですね』

バトー「タチコマか?どこだ?」

『こーこでーす、まどかちゃんから12m後方のフォークリフトの脇ですー』

トグサ「…本当だ」

『そっちに合流しますねー』

『あー、ずっるいなー!僕もそっち行きたい…バトーさん?』

バトー「お前はキュウベェの監視だ」

『…はーい』

トグサ「お、そういや…そっちに佐倉杏子は行ったか?」

『来てまーす!…二人と一匹で話し込んでる見たいですよ?……シルエットだけなんで、何て言ってるかはわかりませんけど』

ここの魔女をどうこうする気は無しか?

いや、情報を知らんだけか。

タチコマb「あー、トグサ君お久しぶりだね?」キュイ

トグサ「お前、少しは緊張感を持てよ」

タチコマb「精神面に左右されることなく、力を発揮できると考えて欲しいなー」

バトー「民間人は、工場に入ったな…ん?あの二人も入ってくぞ?」

タチコマb「まどかちゃんは引っ張られてたように見えたけど…」

バトー「あの二人は何の話をしてたんだ?」

タチコマb「友達の話みたいです、腕を治す医者がどうとか…」

怪我か?

この町を出りゃ、義体化の選択もあるだろうにな…

タチコマb「……!…始まりました!ガスの濃度が上昇してまーす!」

バトー「よし、俺達も入る…タチコマは入り口で待機、いいな?」バッ

タチコマb「はーい」

パリン

微かにガラスの割れた音がした。

あの感じは外からだ……トグサに任せるか。

トグサ「っと?」

バトー「確認して、裏に回れ!」バンッ

入り口を蹴り開ける。

バトー「警察だ!」

民間人「あー…あー…」フラフラ

なんだ?

…このガスの影響か?

バトー「ちっ、魔女はどこだ!?」

『旦那、俺達以外にも侵入してる奴がいる…』

バトー『お前は、こっちに合流しろ…警戒は怠るなよ』

民間人「おー…おー…」ワラワラ

バトー「おぃっ…ったく、まとわりつくな!」

…トグサが裏から合流すれば、残すはこの奥の扉か。

民間人「うー…うー…」グイグイ

トグサ「旦那大丈b……旦那…モテモテだな」

うるせぇよ。

バトー『タチコマ!入ってこい!こいつら押さえとけ』

『あっ、はーい』



バトー「…」クイ

トグサ「…」コクリ

トグサが銃を構える。

さっきまで扉の向こうからも異音が聴こえていたが、今は静かなもんだ。

バトー『開けるぞ』

ガチャ

バトー「……!?」

トグサ「!?」ジャキ

バトー「……何だこりゃ」

分厚いモニターの残骸と…

まどか「あ……」

さやか「…」

さやか「ふふ…」

バトー「?」

さやか「仁美がいる…まどかも…」

さやか「…」

さやか「……仁美がいるのは知ってたんだ?」

さやか「ははは……」

まどか「さ、さやかちゃん?」

何だ?誰と話してる?

トグサ「旦那、タチコマがガスはもう出てないとさ…」

タチコマb「皆、気絶したんで援護にきましたよ?まどかちゃんは無事?」

バトー「あぁ」

さやか「…」クル…スタスタ

バトー「おぅ、美樹…さやか…だったか」

こいつも魔法少女だったのか?

いや、ほむらはこの娘にも忠告していた…

まどか「…待って!さやかちゃん!」

さやか「…」

まどか「ど、どうして?どうして魔法少女に?……だって仁美ちゃんが…上条君は大丈夫だって」

さやか「…」チラ

まどか「……さ、やか…ちゃん?」

バトー「俺も気になるね、なんで魔法少女になった?」

さやか「…」

バトー「ほむらに止められてたろ?」

さやか「…っ」ギリ

バトー「?」

怒り?後悔?…何があった?

さやか「…」

さやか「…仁美も…無事?」

タチコマb「気絶はしてるけど、無事だよー」

バトー「…だ、そうだ」

さやか「良かった…」ホッ

さやか「仁美とまどか……お願いね…」

消え入るような声を投げる。

バトー「……あぁ」

まどか「…さ、さやかちゃ」

さやか「…」タタッ

バトー『……タチコマ…巴マミの部屋からキュウベェは動いたか?』

『動いてませんよ?』

バトー『…そうか』

トグサ「なんかあったのか?」

バトー「キュウベェは複数いるんだったな?」

トグサ「あぁ、そうらしい」

バトー「同時に動ける数は?」

トグサ「さぁな?魔法少女の誰かに聞きゃあ分かるんじゃないか?」

その魔法少女が把握して無いから聞いてんだよ…

まどか「……さやかちゃん…どうして…」

バトー「無事か?」

まどか「…あ…はい……ほむらちゃんと一緒に居た方ですよね…」

バトー「バトーだ、そっちはトグサ」

トグサ「よろしくな」

タチコマb「僕はタチコマ!よろしくね?まどかちゃん!」

まどか「…よ、よろしくお願いします」

バトー「さっきの……美樹さやかの事で聞きたいんだが……彼女もほむらに止められてたんじゃ無いのか?」

まどか「は、はい……さやかちゃんには叶えたい願いがあったから……でも」

トグサ「…でも?」

まどか「必要無くなった筈なんです……もう契約する意味なんて…」

バトー「…」

あの顔は覚悟の顔じゃない…

自ら選択した人間の顔じゃなかったぞ。

まどか「あ、仁美ちゃん…他の人達は?」

バトー「あっちで気絶してる…被害はねぇよ」

トグサ「深い昏睡状態だから、全員警察で処理するよ」

まどか「……良かった」

……?…

ん?……なんでこいつは…

バトー「帰れるか?」

まどか「…はい」

バトー「うし、タチコマ送ってやれ!」

タチコマb「はーい」ギュルル

まどか「よ、よろしく」

タチコマb「しっかり守るから安心してね?」

『バトー?トグサ?』

バトー『?…少佐か?どうした?』

『病院のデータ…イシカワの解析が終わったのだけど…』

トグサ『何だよ、相当な量だな…』

バトー『これ全部、暁美ほむら個人の記録だってのか……ん?…!』

な…

トグサ『少佐これ……て事は、暁美ほむらは…』

…んだよ…こりゃ…

『私もすぐにそっちにm

バトー「何だよ!こりゃあ!…これがほむらの記録だってのか!?」

まどか「…え?」ビクッ

まどか「…ほむら、ちゃん?…記録?」



見てくれた方ありがとう

おやすみなさい、また明日

8

ほむら「嘘でしょ?…これ…」

私の知らない世界。

私の知らない病院。

思考が追い付かない…ただ場所と名前が共通しているだけ…

ほむら「ここで私が…死んだ?」

たちの悪い冗談にしか聞こえない。

本当に嫌になるループだ…

?「正確には、死んだ事にされた…よね?」

ほむら「!?…」ザッ

ほむら「…誰?」

?「初めまして、暁美ほむらさん」

エントランスを越え、女性が現れる。

素子「私は草薙素子…バトーの上司と言えば分かるかしら?」

ほむら「バトー…さんの?…警察?」

随分、何と言うか……際どい格好の人だ。

素子「まぁそうね」

ここに居る…と言うことは…

ほむら「私の調査…ですか?」

素子「ご明察」

ほむら「…私も、私もそれを調べに来ました…幾つか、記憶と食い違いがあって…」

素子「でしょうね…」

ほむら「これから調べに?」

素子「…もう終わったわ」

ほむら「そう、でしたか…」

素子「貴女…自分の事を知りたい?」

ほむら「ええ」

この世界の私がどうなったのか…

私はそれを知るために来た。

素子「後悔するかも知れないわよ?」

ほむら「問題無い…です」

この世界の私がどうであっても、私の目的が揺らぐことはない…

ただ、気になってしまっただけだ…

こんな事は一度だってなかったのだから。

素子「じゃあ」ヒュッ

ほむら「…」パシ

素子「そのメモリーを、病院内の公衆端末に挿しなさい…視覚化された情報を見ることが出来る」

ほむら「あ、ありがとうございます」

素子「…」

素子「私は、これから見滝原に向かうわ…そこでまた会えるよう祈ってる」

ほむら「…」

素子「バトーが言ってたわ、貴女は芯が強いと…彼、中々誉めないのよ?」スタスタ

ほむら「…」ペコリ



公衆端末…これよね…?

あの人…草薙さんから受け取ったモノ…

ほむら「あ……ここに挿すのか」カチッ

カタカタカタ…ブヴゥゥン…

文字の羅列…映像…写真…

あまりに膨大な報告書。

ほむら「これは…」

ほむら「…これが、私についての報告書?」

[…にて、死亡認定。護衛対象の情報を上書き……護衛対象、鹿目まどか…]

ほむら「…」

…え?

[…作戦での混乱を避けるため、過去の記憶との誤差を修正、改変……最終試験終了後に鹿目まどかを製品化一号として……どかに被検体同様の抗体を……]

ほむら「な…なに…?」

[…護衛対象、鹿目まどかへの執着を強化……過去接点があるよう改変。契約を時間遡行とし…]

ーー私、鹿目まどか!まどかって呼んで?ーー

ほむら「う、嘘よね…何なの……こんな…」

[…護衛対象との接触時、記憶の改竄を感知しないよう一方的な過去として調整……架空の記憶を追加…]

ーーほむらちゃんも格好よくなっちゃえば良いんだよ!ーー

嘘だ…嘘だ…

[…平行世界の記憶、それによって護衛対象との認識の相違を自己完結させ…第3実験体巴マミ及び第16実験体佐倉杏子に対し…]

ーーいきなり秘密がバレちゃったね…クラスの皆には…内緒だよ?ーー

嘘だ…嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ…

[…なお、次点追加の実験体には美樹さやか……各実験体の試験実施場所と時刻を追加記憶…]パキ

ーーだから、魔法少女になって…本当に良かったって…そう思うんだ…ーー

……ブツッ…

嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ…

ーー…さっきのは嘘…一個だけ取っておいたんだ…ーー

嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ…

ーー私じゃ出来なくて…ほむらちゃんにしか出来ない事…お願いしたいから…ーー

嘘だ嘘…だ…嘘…

ほむら「ぁ…」ポロ

qb「…」スタ

まどかとの記憶が…偽物?

ーーキュウベェに騙される前のバカな私を…助けてあげてくれないかな?ーー

ほむら「嘘だ…嘘よ…」

qb「嘘じゃあ無いよ?」

ほむら「きゅ…べぇ…あなた…」

qb「君は、君の使命はここで造られた…」

ほむら「嘘よ……」ギュ

qb「言葉で否定するのは簡単だよね?…でも君が…君だけしか知り得ない情報…」

qb「君だけしか知り得ないと思い込んでいた情報が、その報告書にどれだけあったか分かるかい?」

ほむら「私は…私の祈りで…」ポロポロ

qb「キュップイ!僕が君に驚いた理由は、感知していない人間が現れたからじゃあ無いよ?」

qb「なんで、廃棄されたはずの失敗作が今になって現れたのか?…それだけさ」

ほむら「…違う…違う…」ポロポロ

qb「厄介な事に、君の見滝原への転入手続きは失効されていないままだったしね……」

ほむら「違う……私は…」ポロ

qb「君は鹿目まどかを守るためだけに造られたのに……その試験途中に廃棄されたんだ……」

qb「君の脆いゴーストが度重なる脳核の矯正に耐えられずにね……だいたい時間遡行なんて本気で信じてたのかい?」

やめて…やめてよ……

qb「まぁ、もっとも今の君を見れば…それほど警戒の必要は無かったけど……おかしな記憶にもあてられてるみたいだし……未来からって設定が悪かったかな?」キュップイ

だったら…

ほむら「ぁあ…あああ…」ポロポロ

だったら…お前達は…

ーーもう1つ…お願いしてもいい?ーー

あんな記憶を、感触を…私に…

ーー私…魔女には成りたくない…ーー

ほむら「……ぅぷ」ゴポ

ビチャビチャビチャ…

qb「…」

qb?「これで解ったろ?……よく思い出すといいよ、暁美ほむら…君の記憶を…」

qb「…君は、君の大切なまどかを利用する為に産まれたのさ」



>>140

×qb「…君は、君の大切なまどかを利用する為に産ま

○qb「…君は、君の大切な鹿目まどかを利用する為に産ま

9

杏子「おい!こりゃどういう事だ!?」

qb「見ての通りさ」

杏子「…ちっ」

マミ「…ひっく…ひっく…」ポロポロ

私の袖を掴んだまま離さない。

杏子「ほら、一緒に居てやるから泣くなよ…な?」ナデナデ

マミ「…ほんと?」グシグシ

qb「退行現象…と言うやつだね」

杏子「……さっきの話…本当だろうな?」

qb「前にも似たような事を言ったけど…別に信じないならそれで構わないよ?……ただ僕も困ってるんだ…」

qb「まさか、暁美ほむらがマミを囮に使うなんてね…」

杏子「…」ギリッ

おかげでマミは魔女に殺されかけて……そのショックでこの様か。

qb「共闘すれば、負けない相手だったのに…君達、魔法少女の縄張り争いにも困ったものだよ…」

杏子「くそが…」ボソッ

マミ「ひっ」ビクッ

杏子「あ…マミの事じゃ無いよ?」ナデナデ

マミ「…ぅん」グス

マミ「お姉ちゃんも…魔法少女だよね?」

杏子「ん?あぁ」

マミ「えへへ…同じだ…」ギュッ

杏子「…」

マミの奴、こんな精神状態の歳から一人で戦ってたのかよ…ったく…

にしても暁美ほむら……qbも信用ならねぇが…

杏子「手紙の件といい…一度会ってみないとね」ギュッ



杏子「いない…いないか…」ゴソゴソ

マミ「ち、散らかしちゃ駄目だよ…」

マミと同じ学校だったのは助かったな…

学校の連絡名簿から辿る事が出来た。

杏子「しかし、何だこの資料…」

糞真面目に纏めてやがる。

この情報を見る限りは私に伝えたことに虚偽は無いみたいだが…

杏子「ん?…ワルプr……おいおい、何だよ…マジか?」

マミ「?」

こんな馬鹿でかい魔女が来るってのか?

qb「さぁね…このデータを見る限りは事実っぽいけど…」

杏子「っ…居たのか」

マミ「キュウベェ!」ギュ

qb「ま、警戒しておくに越したことは無いんじゃ無いかな?」

杏子「暁美ほむらは何処に行った?」

qb「…」

qb「この町にはいないみたいだね」

杏子「…そうかい」

こいつは何を隠してやがる?

マミが怯えるから厳しく追求できねぇし。

杏子「…」

杏子「マミ」

マミ「ん?なぁに?」

杏子「私は、しばらく用事が出来ちゃったから…キュウベェと家に戻っててくれるかい?」ニコ

マミ「えっ…でも…」ウル

杏子「必ず戻るから、な?」ナデナデ

マミ「…ぅん」

渋々頷く。

あいつ…トグサっつったか…

この町に来てるんだよな?

杏子「キュウベェ!マミを頼んだぞ?」

qb「…任せてよ」キュップイ

探してみるか…

qb「…」

仁美「あら?」

杏子「?」

杏子「……えっと、あんた…暁美ほむら?」

仁美「私が?…違いますわ……その、私も暁美さんに用があって参りましたの」

杏子「残念だけど留守みたいだよ?」

仁美「その様ですわね…」

少しでも情報を集めるか…

杏子「何かあったのかい?」

仁美「いえ、昨日から学校をお休みしておりましたので……」

なんだ、クラスメイトって奴ね。

仁美「それでは、失礼致します。別に寄る所もありますので」ペコリ

杏子「ほーん、じゃ」ヒラヒラ

杏子「あ、そうだ!あんたほむらの知り合いならトグサっての知ってる?」

仁美「?……存じ上げませんわ」

杏子「そっか、警察らしいんだけど……」

仁美「昨日、警察の方にはお世話になりましたけど……二人とも私が気付いた時には、既に何処かに行っておりましたので」

杏子「そっか、悪いね……私も行くわ」スタスタ

杏子「…」



杏子「いないね…」

まぁ、すぐ見つかるとも考えちゃいないが…

杏子「手がかりの一つもあればねぇ…」

キュルルル…

杏子「ん?……この音は…」

キュルルル…

どこだ?……おそらく透明に……

杏子「いた!…おい!メカガニ!」

キュルルル…

ちっ、止まりゃしない…急いでんのか?

えっと、たしか名前は…

杏子「た………あ、タチコマ!」

タチコマb「うん?」シュルルー…キュ

杏子「ふう、やっと止まったか!走らせんなよなぁ」

タチコマb「あ、杏子ちゃんだ…久しぶりー」

杏子「あぁ、ちょっとあんたに聞きたい事g

タチコマb「あ、揺れなかった?……杏子ちゃんごめん……ちょっと僕ら急いでるんだ」キュル…キュルルルルル…

僕ら?……!?…おいおい、もう行くのかよ?

杏子「トグサってやつが、何処にいるか知りたいんだ!」タッタッタ

タチコマb「バトーさんと一緒にいるよー」キュルルル…

杏子「おう!サンキューな!」

よし、じゃあバトーって奴に会って…

あれ?

杏子「…」

杏子「……だから、そいつが何処にいるんだよ」

杏子「…」クルッ

行っちまったよなぁ…私の……バカ…



杏子「…ここも違う」

もう夕方か…今日も駄目、いったい何処に居るんだよ?

調査っつうから、ホテル暮らしだと踏んだが違ったのかねぇ?

杏子「あと、探してないのは…」ポリポリ

バトー「ほれほれ、急ぐぞ…この周辺のデータは今日中に取っとかんとな」

トグサ「…ったく、人使いの荒さなら旦那も少佐と良い勝負だz…

杏子「…あ」

トグサ「あ、杏子…ちゃん?」

いた。

杏子「…やっと見つけた」ハァ

トグサ「え?何?俺を探してたの?」

バトー「何やっt…!……おぅ」

杏子「そっちは初めましてだね」

ゴツい男がトグサに目配せする。

つーか、何だあの目?

バトー「…あー、まぁなんだ…話は聞いてる…俺はバトーだ」

杏子「よろしく」

バトー「よろしくな、佐倉杏子」

トグサ「で?何かあったのかい?」

杏子「あぁ、あんたなら全体の状況を把握してるかと思ってね」



何だよ…何だよそりゃ…

杏子「じゃあさ、そのほむらって奴は…」

バトー「記憶を作られてる…恐らくな」

ちっ、キュウベェのやろう…

いよいよ、あいつを信用出来なくなってきたな。

バトー「んで、キュウベェってのを取っ捕まえたいんだが…」

トグサ「俺達の前には現れなくなってね…森に向かうにも増援のアームスーツが彷徨いてて簡単には、ね」

杏子「今、マミの家に居るよ…案内する」

バトー「助かる、あの生物から聞けるだけ聞きたいね…で、とっとと終わらすぞ」

トグサ「ま、そうだな」

杏子「私も手伝うよ…マミも心配だしね」

バトー「しかし、お前さんは冷静だな…自分が義体でも問題ないってか?」

杏子「いやまぁ、驚いたけどさ…人じゃないのはほむらの手紙で知ってたし…それが魔法でも機械でもどっちでも良いさ…」

タチコマa「ほむらちゃんはショックが大きかったみたいだけど?」キュイ

トグサ「元々はターゲットの護衛と監視のための義体少女…ありもしない記憶だけにすがって…こんな真相だったんだ、そりゃなぁ」

バトー「早いとこ解決しねぇと、おっかねぇ女上司が何するかわからんぞ?」

杏子「他にも仲間が?」

タチコマa「いるよー!少佐でしょー、イシカワさんにーサイトーさんにー…ボーマ君とー……」

?…あれ?待てよ?

バトー「しかし、腑に落ちんのは…何で義体化させた人間なのか…だな…んなのぁサイボーグにでも任せりゃ良い…わざわざ金のかかる方法でなんざ……」

トグサ「まぁ、その辺は少佐達も調べてるしいずれ解るだろ?」

だったら、何で…

[貴女にはマミと渡りをつけてほしい、彼女は、私に心を許さないから]

杏子「…なぁ、トグサ」

トグサ「ん?」

杏子「その…暁美ほむらに記憶された情報は知ってるのか?」

トグサ「あぁ…一応ね…」

杏子「そこにさ…」

杏子「私の過去は記録されてたかい?」



10

バトー「ったく…」

何処行きやがった…タチコマの奴め。

あいつ、自閉モードに抵抗無くなってきてないか……

トグサ「ここら一帯は終わったぞ?…どしたの?イライラして…?」

バトー「うるせぇ、あと三区画ある…次だ次」

トグサ「うへぇ…あ、そうだ、美樹さやかの件……例の病院の監視カメラの記録も全部貰ってきた……流石に病室は写ってないけどな」

バトー「おぅ」

トグサ「…んだよ、こえぇな」

バトー「ほれほれ、急ぐぞ…この周辺のデータは今日中に取っとかんとな」

トグサ「…ったく、人使いの荒さなら旦那も少佐と良い勝負だz…

はぁっ、たく…何やってんだ俺ぁ…

鹿目まどかの監視を受けて、タチコマが居なくなってんだから、行き先は一つだ。

連れ戻して来るのを期待してるみてぇじゃねぇか…

バトー「おし、出すぞ?…ん?」ガチャ

あのバカ…まだ乗り込んでやがらねぇ。

バタン

バトー「何やっt…!……おぅ」

杏子「そっちは初めましてだね」

バトー『おい、報告にあった魔法少女じゃねぇか…どうした?』

トグサ『何か話があるんだと』

…話?

バトー「…あー、まぁなんだ…話は聞いてる…俺はバトーだ」

杏子「よろしく」

バトー「よろしくな、佐倉杏子」

トグサ「で?何かあったのかい?」

杏子「あぁ、あんたなら全体の状況を把握してるかと思ってね」



…なるほどな、ほむらの手紙の内容からするに…

杏子「じゃあさ、そのほむらって奴は…」

バトー「記憶を作られてる…恐らくな」

少佐から送られたデータと同じ情報…記憶上の設定ってやつか。

杏子「…」ギリ

バトー「んで、キュウベェってのを取っ捕まえたいんだが…」

始めのコンタクトで捕獲すべきだったな…

トグサ「俺達の前には現れなくなってね…森に向かうにも増援のアームスーツが彷徨いてて簡単には、ね」

杏子「今、マミの家に居るよ…案内する」

バトー「助かる、あの生物から聞けるだけ聞きたいね…で、とっとと終わらすぞ」

トグサ「ま、そうだな」

杏子「私も手伝うよ…マミも心配だしね」

バトー「しかし、お前さんは冷静だな…自分が義体でも問題ないってか?」

杏子「いやまぁ、驚いたけどさ…人じゃないのはほむらの手紙で知ってたし…それが魔法でも機械でもどっちでも良いさ…」

なんつーか、あれだな……魔法少女ってのは…

タチコマa「ほむらちゃんはショックが大きかったみたいだけど?」キュイ

トグサ「元々はターゲットの護衛と監視のための義体少女…ありもしない記憶だけにすがって…こんな真相だったんだ、そりゃなぁ」

……ほむら…

バトー「早いとこ解決しねぇと、おっかねぇ女上司が何するかわからんぞ?」

杏子「他にも仲間が?」

タチコマa「いるよー!少佐でしょー、イシカワさんにーサイトーさんにー…ボーマ君とー……」

バトー『余計な事話すな、タチコマ』

タチコマa『…はーい』

杏子「…」

バトー「しかし、腑に落ちんのは…何で義体化させた人間なのか…だな…んなのぁサイボーグにでも任せりゃ良い…わざわざ金のかかる方法でなんざ……」

一つ、思い付くのが……とびきり胸糞の悪い理由ときてるしな。

バトー『少佐?聞いてるか?』

『聞いている…そちらに向かっているが、キュウベェとの接触には間に合いそうにない…頼んだぞ』

バトー『了解』

……っと、トグサはまだ佐倉杏子と会話中か…

今のうちに病院の映像でも洗うかね。

カチッ…ピピ…

予想はしてたが、ひでぇ画質だな。

ピピ…ピ…

お?……いたいた……屋上でキュウベェと二人きりか…なに話してやがる?

音は…辛うじて拾えるか…

ノイズひでぇな…



ザーー…

さやか『恭介が治る……か…えへへ』

qb『随分、楽…そうだね』

さやか『あんたか…何か用?』

qb『冷たいね…この短期……に随分と信頼を失ったもんだ…』

さやか『あんた…マミさんに何…たのさ?』

qb『何も…ていないよ?』

さやか『病院の魔……のあと…私達、マミさんに会って…んだよ?』

qb『……そうかい…マミを見たんだね…』

さやか『…ま、いずれほむらも交えてちゃんと説明し……らうから…残念だけど私があんたを頼ること……くなったよ』

qb『どうしてだい?…今日こそ契約出来ると思っ……ら来たんだけど?』

さやか『どう考えれば、私が契約するのさ…仁美の紹介で新しい治療……を試せるか……恭介も治るってのに…』

qb『だからさ』

さやか『…?』

qb『上……恭介達を乗せた飛行機が落ちたり、車が事……遇わないよう願うべきだと思うな?』

さやか『……は?』

qb『…ってるかい?マミは交通事故で両親を失っ……だよ?』

さやか『だからって…』

qb『そんな事故でも無いと、彼女は幸せな生活から、契……なんて望まなかっただろうからね』

さやか『………あんた…』

qb『例えば、珍しい動物を追い……て子供が車道に飛……したり…暗がりで何かを轢いてしまった……撃で運転を過ったり…事故の原因なんて些細な事さ…』

qb『…君の親友も付き添いで乗って……もね…』

さやか『…っ』

qb『そん…恐ろしい未来を防ぐために願い事をする…そんなに不思議な事じゃ……んじゃないかな?』

さやか『あんたっ…よくも、よく……んな事!…マミさんは!だったらマ…さんは!』

qb『だって、勿体無いじゃないか……折角の才能を生か…ないなんて……』

qb『とは言っても…強制なんてで……いから、マミが事…に遇うなんて偶然があって助かったよ』

さやか『…あ、あんた!』

qb『別に構わな…よ?…事故に遇わないかも知れないし……でも、そうだなぁ…同じ話を…どかにしたら…きっ……約してくれるよね!』

さやか『あ、あああ!』ガシッ…

qb『さやか…首を絞め……んて酷いよ…』

さやか『そんな真似したらっ…あんたをっ…!』ギリギリ

qb『暁……むらから聞いて無いのかい?…僕のスペ………て幾らだってあるんだよ?』

qb『さぁ……どうする…美樹さやか?』

さやか『…』

さやか『…………る』

さやか『…契約……すr…ブツッ

バトー「…」ギリ

『落ち着きなさいバトー』

落ち着いてるだろうが…



杏子「マミー帰ったぞー」ドンドン

杏子「…」

…ん?

バトー「開いてるみたいだぞ…鍵」

杏子「…本当だ」ガチャ

杏子「ったく、戸締まりはしとけって言っといたのに…おーい、マミー」

バトー『おい、タチコマ…ベランダから逃走するかもしれん…逃がすなよ』

『アイアイサー!』

トグサ「…旦那」ジャキ

qb「…」

奴はリビングのテーブルの上に鎮座している。

鬼ごっこをするつもりは無いのか?

杏子「…ただいま」

qb「おかえり」

マミ「…スゥ…スゥ」zz

杏子「…」チラ

qb「マミならぐっすり眠ってるよ」

バトー「よぅ、キュウベェ…てめぇに聞きたい事がある」

qb「まったく…余計な者まで連れてきて…君といい、暁美ほむらといい、どうしてこうも掻き乱すんだい?」

杏子「キュウベェ…あんた、何企んでんだ?」

qb「そう言うのは9課の連中に聞くといいよ…君達が大好きな倫理観たっぷりに今回の顛末を説明してくれるはずさ」

バトー「てめぇふざけんn…ジャキ

『おい、バトー!』

バトー『あぁ!?んだよ!?』

『気を付けろ、そいつぁとんでもない野郎だぞ』

バトー『あぁ?だから今…』

杏子「てめぇの口から聞かせな」チャキ

qb「穏やかじゃあないね…なら、教えてあげるよ…」

『そいつら、以前米軍が開発した兵器の経過実験をそこでやってやがったんだ…米帝が大戦時に廃棄した研究…』

qb「魔法少女の計画について…ね」



qb「技術革新以来、義体研究と共に多額の予算をつぎ込んだ研究に再生技術研究という物があったんだ……君達は知ってるよね?」

杏子「再生技術?」

qb「そう!機械化せずに切れた腕を生やしたり、臓器を蘇生させる技術さ!」

qb「…まぁ…結局はコストの問題で義体化治療が主流になったんだけど」キュップイ

『…大戦中に開発された再生医療技術の中に、初期のナノマシンプログラムがあった』

qb「その一つ、ナノマシン技術は最も研究が進んでいたジャンルでね…実用化も間近だった」

qb「しかし、問題が発生…計画は頓挫してしまったんだ」

『本来ナノマシンは細胞の複製、蘇生を促し、再生を終えるまでの擬似組織として機能するはずだった』

『だが、このナノマシンは細胞と結び付き、再生後も体外排出されることなく…体内組織に影響を与え続けたのさ』

qb「その問題を改善しようと研究を重ねるも一向に成果は得られなかった…でもね?」

『その影響そのものを兵器化しようと考えた部門があったのさ』

バトー「なるほどな…」

糞みてぇな思考回路してやがる。

qb「……ナノマシンは強く脳核に干渉し、自律神経系に多大な影響を及ぼした…」

qb「意思を残したままでも、体は躊躇いを持たない特殊な人間の出来上がりと言うわけさ!」

『米軍は人道的見地から、大戦の終結をもって計画を破棄…それをこいつらが掘り起こしやがったんだ』

バトー「その最終実験場がここか」

杏子「…だったら…私らは…」

qb「実験は滞りなく進んだよ!元々ほぼ完成していたモノだしね…しかし、また厄介事が起きてしまった」

バトー「暁美ほむらだな…」

バトー『しかし、その情報はどっからだ?…軍事記録なんぞ』

『お久しぶりです…バトー君』

聞き覚えのある嫌な声だ。

なるほどciaか…合点がいった…

qb「…彼女は、実験終了後に正式採用される一号兵器の護衛が任務だった」

『覚えていますか?ワタナベ・タナカです……あ、今は所用でいませんがサトウも来てますよ?』

…忘れるかよ…

qb「ところが、記憶回路の調整で少々問題が起きてね…彼女ごと廃棄したんだ」

『課長がciaに渡りをつけてな…今回の件に関しては、早々に情報開示を許可してくれたのさ…』

『前回の借りと、まぁこの件はこちらの落ち度でもありますし……いや、申し訳無い』

ありがたいねぇ…頼もしい限りだよ。

『バトー、そいつを捕獲しろ……遠隔操作されてるはずだ…』

qb「確実に破棄したはずだったんだけど…生きてたみたいだ……残念な事にね」キュップイ

バトー「うるせぇ、てめぇらの頭は誰だ?……てめぇは誰だ!?」ガッ

qb「残念だけど僕の口からは言えないよ?…それにね?」サッ

トグサ「…?…なんだ?」クラ

qb「僕は、お伽噺の悪役じゃあ無いんだ…何もかも終わる前に真相をペラペラ話すと思うのかい?」

微震…何だ?

杏子「何もかも?」

qb「杏子、君は以前僕に聞いたよね?…魔法少女の真実について…絶望が魔女を生むのかって……僕はこう答えた」

マミ「…スゥ…スゥ」zz

qb「そんな事はないよ…ってね?」

杏子「!……てめぇまさか!」

qb「当然だよね?…君達の魔女化なんて…」

『バトーさーん!建物内から例のガスが発生してますー!』

…?……何だと!?まさか!?

ピシ…

杏子「やめやがれ!起きろマミッ!」



qb「僕の意思一つなんだから」

マミ「」メキメキメキメキメキメキ……

杏子「…マミーーーーッ!!」



11

ゴゴゴゴ…

なんだよこいつは…なんで魔女が表れた?

なんでマミは動かないんだ?

杏子「嘘だろ…マミ…」ユサユサ

マミ「」ユサユサ

バトー「おい!よそ見すんじゃねぇ!」

qb「…じゃあね」タタッ

キュウ…ベェ……キュウベェ…

杏子「……て、めぇ」

杏子「てめぇ待ちやがれっ!ぶっ殺してやるっ!!」タタッ

トグサ「ちょっ、おい!」

バトー「トグサ!あいつらを追え!こいつぁお前じゃどうにもならん!」



杏子「待ちやがれっ!」ザクッ

qb「マミも役には立ってくれたけど精神の成長はあまり見られなかったね…魔女に宿るゴーストさえいつまで持つやら…」ヒョイ

杏子「あの細工を、私ら全員にしやがったのか!?」

qb「当たり前じゃないか、この事態を想定していなかった訳ではないし…マミの魔女が置いてある自宅で待ち伏せていただけさ」

杏子「くそがっ!」ビュン

qb「とてもじゃ無いけど、あの男に魔女を止められるとは思えないね…今からでも加勢に行ったらどうだい?」ヒラリ

トグサ「はぁっ、はぁっ…お前を捕らえてからそうさせてもらう!」ダッ

qb「やれやれ」ピョン

杏子「もらった!!」ビュアッ

ガキィッ…

qb「……!…おっと」

杏子「なっ!?」グググ

トグサ「!?」

私の槍が遮られる。

こいつは…

さやか「…」グググ

qb「いいタイミングだよ、さやか」スタ

さやか「…」

qb「あの二人を足止めして貰えるかい?」

さやか「…」

トグサ「待てっ!そいつに近付いちゃ危険だ!君の知り合いも!…巴マミも魔女にされた!…そいつにだぞ!」

杏子「てめぇっ!邪魔すんじゃねぇ!」

さやか「っ…」グググ

何だよこいつ…

こいつの怒りはキュウベェに向いてるじゃねぇか……なのに何で…

qb「なんて顔をするんだい?君の契約に巴マミの名は入って無かったろ?」

さやか「…」ギリ

qb「…」

qb「だったら、こうしよう…あの二人を止めてくれさえすれば…マミの魂をマミの体に戻してあげるよ!」

杏子「なっ!?」バッ

この期に及んでなに言い出しやがる!?

そんな話に誰が…

さやか「…」

qb「どうだい?」

さやか「…みは?」ボソ

さやか「まどかと仁美は?どうしたのさ?」

…知り合いの話か?

qb「え?」

さやか「二人が居なくなったって…あんた…何処にやったのさ?」

qb「…」

qb「紫築仁美は上條恭介の病院に向かったみたいだね…まどかは、知らないよ?」

さやか「…へぇ」

qb「…まぁ好きに想像すれば良いんじゃないかな?」

どうする…この状況…

さやか「まぁ、良いわよ……私に拒否権なんて無いんだし…逃げれば?」スチャ

トグサ「くっ」

qb「ありがとうさやか!」タッタッタ

トグサ「待ちやがr…

さやか「…」ビュッ

杏子「…ち」ガキッ

トグサ「!?」

さやか「抵抗しないでよ…悪いけどさ」

強行するか?

トグサ「落ち着くんだ二人とも……君は美樹さやか…だね?」

さやか「…」

トグサ「病院の屋上の事は知っている……我々は君の味方だ」

さやか「っ!?」

病院?味方?

あーっ、もうわかんねぇ…キュウベェは逃げちまったし……くそっ!



さやか「二人は無事なんだね……ありがと」

さやか「…」チラ

さやか「じゃ、行くから…」タッタッタ

トグサ「……行っちまった」

杏子「私も行くよ?あいつ……さやかの話は、気の毒だと思うが、私もキュウベェをとっちめないと気が済まないんでね……」

トグサ「俺もだ、俺も行く」

杏子「戻んなくて良いのかい?」

トグサ「あぁ、向こうも終わったらしい」

……終わった、か。

ブロロ…

トグサ「ん?」

ブロロロロ…

杏子「…マミ……ん?」

何か車が突っ込んでくる。

え?マジ?……いやいやアブねぇ!?

キキィィィィィ…バタン

杏子「っ……止まった?」

トグサ「…っぶねぇ……って少佐!?」

素子「乗れ!行くぞ!」ガチャ

トグサ「行くって、どこへ?」

素子「あの生物の逃走先だ」ブゥン

…キュウベェのか!?

素子「貴女も…乗りなさい、案内するわ」

杏子「…」

杏子「…頼む」



ブロロロロ…

トグサ「あんな生物に移流先なんてのがあるんですか?」

素子「移流先では無いわよ…あれは遠隔操作されてるだけのサイボーグだし」

トグサ「だったら?」

素子「言ってたでしょ?実験は終了…だったら後は…」

杏子「口封じかい?」

素子「…暁美ほむらの作った資料から考えれば答えは一つ」

トグサ「ワルプルギスの夜…出現ポイント…」

素子「その通りよ」

あの大型の魔女か。

素子「これまでの出現と同様…考えてみれば単純な仕掛けね…特定のポイントに実験用アームスーツ、即ち魔女を設置、魔法少女との戦闘データを取っていた…」

トグサ「だから規則性が……」

杏子「あいつらはほっといて良いのかよ?」

素子「バトー達も向かっているわ…実験の最終作戦に当たるワルプルギス…侵食されたゴーストを脳核ごと巨大アームスーツに搭載させる…」

素子「今度は、仕掛けのポイントやその周囲だけの話じゃあない…町まるごと戦場になるわ」

杏子「なっ、そんなにでかいのかよ!?」

トグサ「証拠隠滅も兼ねてるんだ…町まるごと無かった事にってね」

素子「十数時間前からネットに不確定ながら、複数の発生源でスーパーセル発生予測の情報が飛び交ってる…」

トグサ「ご丁寧な事で……」

おいおい、随分まずい話じゃねぇか…

ほむらの資料より大分早ぇぞ?

素子「これまでが実験…当初の計画ならこの大災害で一人だけが、奇跡的に生存するはずだった……」

トグサ「鹿目まどか…ですか」

素子「えぇ…でも暁美ほむらは失敗…にも関わらず、彼らは計画そのものを変更はしてない」

トグサ「まさか、彼女達の代役が?」

素子「そう…でも鹿目まどかの代役はともかく……暁美ほむらの破棄から、短時間で同じような護衛を準備できる筈がない」

杏子「…なるほどね」

杏子「その護衛は予め、記憶改竄の必要のない奴……そういう事かい?」

素子「ご明察……まぁそっちは課長達が行ってるから、上手くやるでしょ?」ブロロ…

トグサ「結局、総動員ですか」

素子「ところでさっきの話だけど、美樹さやかは何処に?」

トグサ「…向かった先までは……」

素子「そう、もうじきだから…近くに居てくれれば良いけど」

杏子「?」



キィィ…

海か…まぁそんなにでかいなら、水の中くらいにしか隠せないもんな。

素子「…ここね」バタン

qb「…」

トグサ「っ」チャキ

qb「…やぁ、よく来たね」

杏子「ちっ」ジャキ

素子「観念したわけじゃ無さそうね」

qb「まぁね、この体は防壁も何もない…一度リンクした体が捕まると色々露呈してしてしまうのでね」

トグサ「…」

素子「想像力の足りない証拠ね…口調が安定しなくなったわよ?」クス

qb「いやはや…いやはや、まいりましたよ」フルフル

qb「上手くいっていたのですが……夢見る少女とは実に扱いやすかった…」

素子「あら?語りでも始めるの?」

qb「止めておきます、らしくないのでね…しかし9課もやってくれる…随分掻き乱されたものです…」キュップイ

素子「口調を改めるつもりは無いのね…動揺してるのかしら?」

qb「……慣れないものですよ…子供達が警戒しないよう言葉には気を付けてましたが…」

qb「こう……ま…で……ズルッ

杏子「!?」

キュウベェが崩れ落ちる。

qb「…れ?」グチャ

後ろに立っていたのは……さやかだ。

さやか「…」

さやか『あと、どれくらい居るんです?』

テレパシー?この声、さやかの声か?

素子『あと数匹かしら、いてもこの辺りで即時リンクは出来ないわ…ありがとう、美樹さやかさん』

杏子「あれ?…なんであんたの声まで?」

トグサ「少佐?いったいどうなって…?」

素子『あなた達も義体だと知って、使っていた暗号通信を解析したのよ…こっちの状況とさっきの会話…彼女に全てを伝えるためにね?』

なるほど…

さやか「…」スタ

素子「風見野で確認したキュウベェ制御施設は、先程サイトーが処分したわ」

トグサ「…そう、でしたか」

杏子「なんだよ……通信出来たなら、聴かせてくれたって…」

素子「ごめんなさいね?…ハッキングの恐れもあったからダイレクト回線のみでやり取りしてただけよ?」

さやか「まどか……無事なんですよね?」

素子「勿論、状況はこちらで把握してるわ……信じてくれてありがとう」

杏子「よう、美樹さやかだっけ?…ははっ、随分苦労したみたいだねぇ」

さやか「……あんた…」

杏子「私は杏子、佐倉杏子だ…あんたと同じ改造人間さ」ケラケラ

さやか「……そう」

素子「トグサ、キュウベェの死体を回収しろ」

杏子「また、その……脳ミソを覗くのかい?」

トグサ「ん?…あぁ、そうだな」タッタッタ

素子「あれだけ逃げた所を見ると…防壁やデータ抹消の対策をしていないようだし…確実な情報は獲られるでしょう?」

杏子「ふぅ、良かったなぁ?これで終わりだぞ、あんたも……?……どうした?」

さやか「あ……岸のボートに……あれは……」

……?

確かに何か……あれ人間じゃねぇか!?

さやか「ひ、仁美だ……仁美!」バッ

素子「仁美?紫筑仁美だと?」

『……少佐…キュウベェの死体が何処にも無いんですが』

素子『!?……美樹さやか!…戻りなさい!それは…

タッタッタ…

トグサ「少佐!…そっちに!」タッタッタ

qb「…」モグモグ…ゴクン

素子「っ、やはり二匹動けたか…」

qb「そう、互いに処理していくのが一番でね……さて…」キュップイ



ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

トグサ「なっ!?地震?」

杏子「おい、あんた!おい!戻れ!」

さやか「仁美!……仁美!」ガシッ

グラ……ゴトリ

さやかの手をすり抜けて、バラバラと体がこぼれて行く。

さやか「な…人形?…どうしt

ズンッ

さやか「…か…はっ」

杏子「…あ、さや……か…」

一瞬の出来事だった……何が…起きた?

美樹さやかの背中を、金属の塊が貫いてる…

…巨大な……指?…こいつは……

ブチッ

杏子「ちっ…」ガシッ…ボチャン

さやか「…ぁ…ぁ……ご、ごめ……」コヒュー…コヒュー…

謝んなよ。

さやか「ぁたし……ば……だぁ…」コヒュー…

あんた下半身なくなってんだぞ…

杏子「……わりぃ、下半分は掴み損ねちまった……」

下腹部から血とワイヤー状の何かが見える。

杏子「……ははは、本当に私ら機械なんだな…」

さやか「………わらっ…ちゃ……よね」コヒュー…コヒュー…

ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

qb「さて…」

qb「予定より少し早いが……っと、いかんいかん……キュップイ…少し早いけど、ワルプルギスの夜を始めさせてもらうね!」

ザバァ…キンキンキンキンキンキンキンキンキン…

素子「来るぞトグサ!」

『キャハハハハハハ!』

トグサ「んなっ!?」

頭の中に笑い声?

さやか「っ…」コヒュー…コヒュー…

なんだよこりゃ!?頭にノイズみたいなのが…

素子「トグサ!自閉モードにしろ!」

自閉…なんだそりゃ?

トグサ「っ、了解」

qb「ジャマーも良好だ」

ザバァァアアア…

『キャハハハハハハハハハ!』ズズズ…

トグサ「こ…」

トグサ「こんなにでかいのか…」

qb「さあどうする?日本の警察は優秀なんだろう?」

素子「まともには相手出来ないわね…」

杏子「……悪いんだけど、こいつ頼めるかい?」スタッ

さやか「…」コヒュー…

トグサ「…あぁ、俺じゃあ足手纏いにしかならんだろうしな」

『キャハハハハハハハハハ!!!』

素子「いや、我々もバトー達と合流する……一旦引くわよ」

qb「愚かだね、逃がすわけないだろ?」

ズズズズ…ガガガガガガガガガガ

杏子「いっ!?」

嘘だろ、あのまま体当たりしてくる気かよ!?

『キャハハハハハハハハハ!!!』

トグサ「くっ」

少佐「っ」

駄目だ…間に…

『キャハハハハハハハハハ!!!』

ズズ…ズズゥゥゥン



……

………?

杏子「?」

なんだ?

トグサ「?…どうなったんだ?」

ワルプルギスの夜が少し離れた場所に見える。

少佐「…」キョロキョロ

少佐「……移動したのは、私達のようね…」

杏子「さっきまで海岸にいた……よな?」

バトー「おう、間に合ったな」

少佐「…バトー、何をしたの?」

バトー「ん?俺ぁ何もしてねぇよ」

まどか「さやかちゃん!?」ダッ

さやか「…ま、ど……よかっ……」コヒュー…

まどか「…」ギュ

タチコマa「少佐だー!お疲れ様でーす!」

タチコマb「もう大丈夫だよ?安心しててね?」

バトー「……こっちにゃ、プロが居るからな」ニヤ

思い出した。

ああ、そうだった……この魔女に関して誰よりもベテランが居たんだったな。

『キャハハハハハハハハハ!!!』

さんざん私をかき回しやがって……おせぇんだよ…ったく…



ほむら「私に……任せなさい」スタッ



12

まどか「…え?」ビクッ

まどか「…ほむら、ちゃん?…記録?」

バトー「…っ」

まどか「あの…」

バトー「…戻るぞ、トグサ…向こうのタチコマと合流する」タッタッ

タチコマb「じゃあ行こうか?」

まどか「あの…タチコマ、さん?」

さん?

タチコマb「なーに?」

まどか「ほむらちゃんに…何かあったの?」

タチコマb「うーんとねー、ほむらちゃんの記憶が全て偽物だったんだって」

まどか「偽物?」

タチコマb「うん、そうみたい」

言っちゃって良かったかな?…まぁ、止められてないしね…

あれ?ほむらちゃんの記憶が嘘?

…って事は、僕まどかちゃんの監視してなくても良いのかな?

まどか「ねぇ…」

タチコマb「んー?」キュイ

まどか「今、ほむらちゃんはどこに居るのかな?」

タチコマb「病院だよ?」

まどか「…」

まどか「…タチコマさん!お願いがあるの!」ギュッ



キュルル…

タチコマb「揺れるからねー」

まどか「うん、連れていってくれてありがとう」

タチコマb「お礼?何で?…僕もほむらちゃんに会いたかったよ?」

まどか「それでも、ありがとう…タチコマさん」

タチコマb「そう言えば、何処に電話してたの?」

まどか「うん…ちょっと気になっちゃって……」

?…何だろ?

杏子「た………あ、タチコマ!」

タチコマb「うん?」シュルルー…キュ

まどか「わ、ひゃ…!?」ゴチン

コンテナに衝撃が…大丈夫かな?

杏子「ふう、やっと止まったか!走らせんなよなぁ」

タチコマb「あ、杏子ちゃんだ…久しぶりー」

杏子「あぁ、ちょっとあんたに聞きたい事g

まどか「……何かあったの?」

タチコマb「あ、揺れなかった?……杏子ちゃんごめん……ちょっと僕ら急いでるんだ」キュル…キュルルルルル…

まどか「わ、わわ」

杏子「トグサってやつが、何処にいるか知りたいんだ!」タッタッタ

タチコマb「バトーさんと一緒にいるよー」キュルルル…

杏子「おう!サンキューな!」



タチコマb「もう少しでつくはずだから」キュルルルル…

まどか「うん……ほむらちゃん…大丈夫かな?」

タチコマb「……まどかちゃんは不思議だね?…本来、信頼関係の確立には時間の経過も必要だと思っていたけど?」

まどか「??…え?」

タチコマb「あ、えーと……ほむらちゃんと出会って一月も立っていないのに、彼女の気持ちを理解出来るんだと思って」

まどか「分からないけど…でも思い出が嘘だったら誰だって悲しいし……」

タチコマb「そーなんだ?よく解んないなー?」

あ…でも今までの経験が全てバーチャルだったら……

でも、また知識欲を満たせるわけだから…うーん……

まどか「それにね?」

まどか「ほむらちゃんはとても優しい娘だって…とても大切な娘だって………何でかなんて知らないけど、解るんだ…」

タチコマb「ふーん」

まどか「ほむらちゃんは良い娘だよ?」

タチコマb「うん、知ってるよー…撫でてくれたし」

あ……

今、僕の中の…バトーさんやほむらちゃんが居なくなったら……

タチコマb「うーん…確かにバトーさんやほむらちゃんは、本物であって欲しいかなぁ…」キュルル…

まどか「……てぃひひ」クス



病院には着いたけど…

少佐の言った通り、人は引き払ってるんだね。

タチコマb「ここのはずなんだけど…」キョロキョロ

まどか「なに…この町…」

タチコマb「そっか、まどかちゃんは見滝原以外を知らないんだもんね」

まどか「私達の町って…何なの?」

タチコマb「実験用の隔離施s…あ!…ほむらちゃん発見!」

まどか「え?……あ!…ほむらちゃん!」

タチコマb「公衆端末の近くにいたのかー、まだ病院で良かったー…あれ?ほむらちゃん?」

ほむら「…」

目の充血、唇の乾燥。

随分たくさん泣いたみたいだけど…

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「ま…どか…」

まどか「大丈夫!?」

ほむら「…私……ね…貴女を守るはずだった…守らなきゃ…助けなきゃ…って…」

まどか「…ほむらちゃん」

ほむら「でも、その記憶の……何もかも……」

ほむら「私は…私は何の為に…」ホロホロ…

ほむら「…」ヒック…ヒック…

まどか「…」ギュ

ほむら「…まど…か……?」ギュウ

まどか「ほむらちゃん……」

まどか「…ほむらちゃんは私を守ってくれた…さやかちゃんも、マミさんも…守ってくれたんだよ?」

ほむら「…それ…が…」

まどか「私ね…信じて貰えないかもしれないけど…ほむらちゃんが転校してきた日に…夢を見たんだ」

…夢?

まどか「ほむらちゃんの夢…私を守って、怪物と戦ってくれてた…」

ほむら「…」

まどか「ほむらちゃんが転校してきたあの日から…ほむらちゃんは私にとって特別なんだ」ギュッ

ほむら「…まd…」

まどか「…ヒック……」ギュウ

ほむら「……?…まどか?」

まどか「マミさんがね…おかしいの…私達の事なんて覚えてなくて…」ポロ…

まどか「さやかちゃんも…ヒック……魔法少女になったのに…上条君の腕も治ってない…」ポロポロ…

ほむら「…ぇ…」

まどか「ほむらちゃんが大変な時なのに…こんな事話しちゃってごめんね…でも、私は…」ポロポロ…

ほむら「…」

タチコマb「うーん、確かにこの記録は本物だと思うんだけど…」ピピ…

タチコマb「ほむらちゃんの記憶が偽物だと示す証拠たりえるモノも無いよ?」

ほむら「…そぅ…ね…」

タチコマb「未来から来た…それを証明出来ないのと同じじゃない?…だったら僕はほむらちゃんの記憶を信じたいけどな?」

ほむら「…」

タチコマb「…ねぇほむらちゃん?」

ほむら「…ん」

タチコマb「目の前に居るまどかちゃんは本物だよ?…記憶でも記録でもない…ゴーストの宿った本物…」

タチコマb「これだけは間違いないと、断言できるんだけど……あ、僕も本物だよ?」ガチャコ

ほむら「ぁ…」

まどか「お願いほむらちゃん…」ギュッ

まどか「皆を………守って…」

ほむら「…わ、たし……私は…」

タチコマb「マミちゃんは銃の撃ち方すら忘れた様子だったし、ほむらちゃんの助けが必要だと思うなー」

ほむら「マミ…銃………あ…」

ほむら「そう……銃だ………そうか…」フラッ

まどか「…え?」

ほむら「この記録のマミは…マスケット銃は………やっぱり」ピピ

ほむら「……一挺」ピ

タチコマb「?」

ほむら「一挺だわ」

まどか「?」

ほむら「一挺しか無い……」



ほむら「…」

ほむらちゃんが何か調べた後、いつもの調子に戻ったけど…

何かわかったのかな?

ほむら「タチコマ?もう少し急げる?」ペチペチ

タチコマb「りょーかーい!」

少し気になるけど…

ほむら「ありがとう、まどか…タチコマ…」ナデ

ま、いっか!



タチコマb「ん?あれ?」

ほむら「どうしたの?」

タチコマb「バトーさん達交戦中みたい…場所は…」キュイ

ほむら「…!?…マミの部屋じゃない!」

まどか「…!」

タチコマb『バトーさーん』

『おせぇぞ、タチコマ!』

タチコマb『ひぃー!…すいませーん』

『すぐにこい!巴マミが魔女化した!』

まどか「マミさんが!?」

『ん?ほむらか!?』

まどか「あ、まどかです…ほむらちゃんはコンテナの上に…」

ほむら「なに?どうしたの!?」

まどか「マミさんが…魔女に…なったって…」

ほむら「っ」

タチコマb「少し速度あげるね?」キュルルルル…



ほむら「見えてきた…まどかはここで待ってて!」

まどか「あ…うん」

タチコマb「じゃーねー」

まどか「うん…二人とも気を付けて……」

ドゥン…

ほむら「爆発っ!?…急ぐわよ!」ダッ

『げほっ、来たかタチコマ!壁を空けろ!』

タチコマb「りょーかい!ほむらちゃん、カバー外してくれない?」

ほむら「これね」カコン

タチコマb「ありがとー」ガチャコン

『ぶちかませ!』

タチコマb「いっけー!」ボシュ

ヒュルルル…バコォォ

命中、命中!さすがだね!

タチコマb「大破ー!…ん?バトーさんと…」

バキャ…

タチコマb「何か出てきた!?」

奇怪な形のアームスーツだなー…あれがマミちゃんの魔女?

ほむら「……マミ…」

バトー「おぅ、ほむら…無事だったか」

タチコマa「バトーさーん!…ワイヤー切られそうですー!ギャー!?」ギギギ

タチコマb「援護するよー」ガコン…パシュ

タチコマa「はやくはやくー、おっそいよー!」ギギ…

バトー「もう少し踏ん張ってろ!…ほれ」ドサ

ほむら「?…巴マミの死体…」

バトー「今となっちゃあな……救う方法はあるのか?」

ほむら「…私が知る限り……無いわ」

バトー「そうか……なんにせよ、あの強化外骨格を破壊できるほどの銃器もねぇしな…」

ほむら「銃器ならあるけど?」

バトー「小銃程度じゃあ穴すら空かn…at-4!?」

タチコマb「うわー!僕らごと持っていかれちゃう!……バトーs!?」ギギギ…

ほむらちゃん、あんな重火器所持して無かったような?

タチコマa「おーい、引っ張ってよー!」グググ

タチコマb「あ、ごめんごめん」キリキリ

いつ、どこからあんなものを?…??

バトー「こんなもんどっから……まぁいい…使わせてもらうぞ」ジャコン

ほむら「狙うなら首の後ろよ…恐らくそこが一番脆い」

バトー「んな事まで解るのか?」

ほむら「えぇ、グリーフシードが出てきた場所……つまり貴方達の言う、脳核が格納されている場所のはずだから」



タチコマa「ふぅー、コンテナ千切れるかと思ったよー!」

タチコマb「ドキドキしたよねー」

バトー「しかし、ほむらの言った通りだったな」ガコン

ほむら「…それは何?」

バトー「脳核だ、巴マミのな…もっとも散々弄られてたみたいだし、義体にうつしても回復の見込みはないが…」

ほむら「……そう」

タチコマa「そうだ!…少佐がトグサくんと合流したって!……キュウベェを追跡してるみたいだけど…」

バトー「早いとこ合流しないとな…追い詰められた奴の行動は一つだ」

タチコマb「?」

ほむら「ワルプルギスの夜…私の統計よりも明らかに早いけど」

バトー「スーパーセルの情報がネットに拡散されてる…奴も本気なんだろ…行くぞタチコマ!」

タチコマa「ハイハーイ!」

ほむら「行くわよタチコマ…途中でまどかも拾ってかなきゃ」

タチコマb「うん!」



遠くに何か見える…あれも魔女?

バトー「あれか?…でけぇな」

勝てなくない?

ほむら「私が知っているモノより若干小型だわ…」

まどか「そ、そうなんだ…」

…?

記憶の食い違い?

…護衛を目的とした記憶なら魔女の情報に虚偽を含めるメリットはないはずだけど…

タチコマb「うーん、むずかしいなー」

ほむら「あら?どうしたの?」

タチコマb「!…ううん、ないでもないよ?……それにしてもおっきいねー」

バトー「あれが戦略兵器ってんだから笑えねぇな」

『キャハハハハハハハハハ!!!』

タチコマb「わーー!?」

タチコマa「ひー!?」

バトー「うおっ!?…タチコマ、回線を切れ!」

…あー、五月蝿かった……これほど広域のジャミングなんて凄いなー…

ほむら「大丈夫?タチコマ」

タチコマb「うん、大丈夫だよー…ビックリしただけ」

ほむら「ワルプルギスの夜を倒すまで……もうしばらく付き合ってね」ナデ

タチコマb「うん!何たって、ほむらちゃん専用機だからね!」

まどか「ね、ねぇ…あの魔女の動きがおかしいよ?」

…?

タチコマb「本当だ」

タチコマa「地面を薙ぐように動いてるね?」

ほむら「……!」ハッ

バトー「タチコマ急げ!…少佐達が真下にいるんだ!」

でもあの動きだと…

ほむら「間に合わない……バトー!…手を!」

バトー「あぁ!?」

ほむら「早く!」

バトー「っ!」ガシッ

カチッ



寝ます、読んでくれた方ありがとうございます

明日終わる予定です

13

『キャハハハハハハハハハ!!!』

魔女が動き出す。

町に移動を始めたか…

上手く少佐達を始末したと勘違いしてりゃ良いんだが。

バトー「あとは、避難所を教われる前にあいつを止めるだけだ」

素子「ただどうやって止めるの?」

バトー「脳核を焼くか取り外しゃあ、あいつは止まるだろ…魔女ならな」

素子「あの巨体からどう探す?…手間取れば脳核発見前に避難所に到達するわよ?」

バトー「場所はほむらが知ってるさ……そうだろう?」

ほむら「ええ…この魔女のグリーフシードは腰の部分から出てきた、きっとそこに脳核があるはず」

杏子「なるほど……まぁそれが解っても一苦労だろうけどさ……」

まぁ…見つけて、こじ開けて、破壊しなねぇとなぁ…

杏子「腰なんだよね、んじゃとっとと終わらせようぜ?」

素子「えぇ、これは身体能力の高い二人にかかってるわね……装甲の薄い位置の特定が出来れば狙撃システムで脳核ごと撃ち抜くことも出来るけど…」

ほむら「…けど?」

素子「ジャミングがかけられてる以上指示は送れないし……トグサから状況を聞いても目印の一つも無ければ長距離狙撃は難しいでしょうね」

ま、猶予もそれほど無いしな。

バトー「うし!俺とタチコマは撹乱に徹するさ……ほむら、使えそうな武器はあるか?」

ほむら「…色々あったせいで、余り補充できて無いのよね……」

素子「トグサ、お前は美樹さやかと鹿目まどかを連れて待避……サイトー、イシカワのヘリを待って合流しろ」

トグサ「了解」



さて、俺の仕事をするか。

魔女を抜き去り進路を塞ぐ、ここからが正念場だ。

バトー「うっし、いくぞ…タチコマ」カチャ

タチコマa「アイアイサー!」

ほむら「…」ジャコン

タチコマb「まかせてよ!」

qb『そうだ、まだ君達が残っていたね』

キュウベェの声が頭に響く。

『キャハハハハハハハハハハ!』

お構い無しにありったけの武器を撃つ…効こうが効くまいが関係ない…

頼んだぞ、少佐…佐倉杏子…

バトー「おらおら!どぉしたぁっ!」バシュ…

俺とほむらで足を止め、脳核を壊すまでの時間を稼ぐ…

それだけだ。

ほむら「…っ!?……タチコマ!下がって!」

タチコマb「うひゃー」キュルルル

ほむら達が魔女の薙いだ腕を避ける。

qb『本当に、君達は厄介だよね』

バトー「うるせぇよ!」ダカダカダカ…

qb『妙な謀ばかりだ……本当に邪魔をするのが好きらしい』

ほむら「……?」

何だ?

魔女の様子がおかしい……佐倉杏子が何かやったのか?

qb『まぁだからこそ…僕の備えが生きてくるんだけど』キュップイ

『キャハハ、キャハハハハハハハハハハ!』

キィィーーーーーーーーーィィン

バトー「…!?」ピクン

…ちっ、今度は……何だ?



キィィーーーーーーーーーィィン

バトー「っ………ぐぅ!?」

ほむら「バトー!?」

なんだぁ…こりゃあ……義体が痙攣してやがる…

……何だっ…てんだ?

qb『死んでないとは思ってたよ……実に愚かだね、佐倉杏子…』

バトー「…っ…ばれてたか…」ピリ

qb『君らにそんな馬鹿げた性能の義体を与えておいて…その対策をしていないとでも思ったのかい?』

タチコマa「バトーさーん!何かピリピリしてまーす!」

タチコマb「うわー!ひゃー!」

バトー「さわ……ぐな!…動けるなら弾幕だ!……少しでも足を…止める……」

タチコマa「りょーかーい!」

バトー「あぁ……なるほどそうか…あのガスかよ…」

イシカワがただのガスじゃあねぇ、とは言ってたが…

…擬態制御目的のウイルスを紛れ込ませてたのか。

やべぇな…動けん…

タチコマa「止まりませーん!」ダカダカダカダカ…

情けねぇ声出すんじゃねぇよ……っく、駄目だ…狙いもまともにつけられん…

少佐は影響を受けてないはず…だが…

佐倉杏子は…

バトー「くそっ」

『キャハハハハ!キャハハハハ!』バキィ

ビルを崩しやがった!?

メキメキメキメキ…ズズゥゥゥン…

白煙が巻き起こる。

バトー「…っ」

タチコマa「ふー、間一髪…大丈夫です?バトーさん?」

出鱈目だな…辺り一面砂煙とは……

バトー「ぺっ……くそっ…タチコマ!ほむら連れて俺達も…」

バトー「……ほむら?」

ほむら「…バトー」

ほむら「私は、引かない……そっちのタチコマはバトーを乗せて待避しなさい」

なんだよ…

バトー「やっぱり……ほむらには影響ないのか…」ピリピリ

ほむら「えぇ」

ほむら「……杏子達を助けないとね」



14

ほむら「タチコマ、魔女の裏側に回ってくれる?」

タチコマb「飛ばすよー!」

バトー「……」

ほむら「…」

バトー「…はぁ………頼む」

静かに頷く。

きっと心配をしてくれたのだろう…

震える手を上げ、バトーが砂煙の中に逃れて行った。

ほむら「ありがとう……」

砂を、瓦礫を巻き上げて…ワルプルギスの夜は進んで行く。

ほむら「…急ぎましょう!」



杏子「…す、まない……ね」

素子「どうやら、ガスの影響だな……恐らくバトーも…」

キュルルル………ズザザァ

ほむら「怪我は?」

素子「あら、バトーは無事?」

ふう……二人共生きていた。

ほむら「えぇ、後退させたわ」

素子「私達も下がりましょう……トグサ達のヘリがそろそろ来る…長距離狙撃でどこまでやれるかは解らないけど、あとはそれに託す」

ほむら「…」

ほむら「タチコマ」

タチコマb「はーい?」

ほむら「佐倉杏子を乗せて、貴方も下がりなさい……ここは私一人で良いわ」

タチコマb「ええっ!?」

このまま、狙撃で止まらなければ…

避難所が襲われるのは明白だ。

>>231>>232

名前バトー→ほむら

素子「手はあるの?」

無い…

ほむら「大丈夫です……必ず…止めます」

素子「…」

素子「わかった」

タチコマb「…」ヒョイ

タチコマも渋々、杏子を担ぐ。

タチコマb「そのー、無理……しないでね?」

えぇ、きっとね。



『キャハハハハハハハハハハ!』

脳核の場所まで行けるのは、もう私一人だ。

だがどうやって隔壁を壊すか…

火薬の類いは底をついてる…元々補充できなかった事もあり、使いきってしまった。

ほむら「悩んでる時間も余り無い…か」

ライフルを至近距離で撃って、それから…

ラチャーン

手持ちの武器で穴の一つも空けば良いのだけど…

ホムラチャーン!

ほむら「ん?」

キュルルル…キッ

タチコマb「よかったー!まだいたー!」

ほむら「え?……え?なんで?」

タチコマb「少佐が、行ってあげなさいってー!」

得意気に言う。

ほむら「そう…」

タチコマb「それでね?僕に作戦があるんだけど…」

私の焦りを感じたか、タチコマが捲し立てる。

タチコマb「僕を魔女の腰の所まで連れてって欲しいんだ」

ほむら「それで、どうするの?」

タチコマb「ふふん、まかせてよ!…ほら、早くしないと!」

ほむら「…?」

ほむら「……じゃあ、捕まって?」

タチコマb「はーい」ギュ

ほむら「…大丈夫なの?」

タチコマb「もちろん!」



qb「いやはや、いやはや……一時はどうなるかと案じましたが…」

カチリ

ほむら「…」

ほむら「ここにいたのね……脳核の番兵って所かしら?」

qb「……!?…な、な!?」

タチコマb「…あ」

qb「何故だ!?…何故お前だけ動けている!?……明美ほむら!貴様はいっt…

タンッ

qb「……ぁ」グラ

ほむら「始めから言ってるじゃない…」

qb「」パタリ

ほむら「私は魔法少女よ」

タチコマb「あのー…」

ほむら「?」

タチコマb「生け捕りにすべきだったのでは?」

ほむら「あ……」

忘れてた。

ほむら「コホン……で、着いたわよ?どうするの?急がないと!」

避難所に到達する。

タチコマb「ここがそう?」

ほむら「えぇ、ここだけ装甲が薄いし、キュウベェもいた所を見れば…間違いないでしょう?」コツンコツン

タチコマb「よーし、正確な位置が分かれば大丈夫!ほむらちゃんは避難しててね?」

……避難?

ほむら「え?ちょっと、何するつもり?」

タチコマb「えへへー」ガチン

楽しそうにアームを固定する。

タチコマb「西日の方角にヘリが見えるよね?」

ほむら「え……えぇ」

巻き上げられた砂と日の光でよく見えないが…

タチコマb「あれにトグサ君が乗ってるなら…こっちが目印を送れば狙撃してくれるはずなんだ」

ほむら「目印なんて、火薬も尽きてるし……」

この風と砂塵では発煙筒も使えないし…

タチコマb「うん、でももう一つ爆発させられるものがあるんだなー」

ほむら「……タチコマ…あなたまさか…」

タチコマb「そ、僕の燃料電池をね?オイルタンクとラジエーターを貫通させて撃てば…

ほむら「まって!まちなさい!貴方はそれで助かるの?」

タチコマb「…?……壊れちゃうよ?」

ほむら「え?……いや、だったら駄目よ!他に何か方法が!」

何かを目印にさえすれば…

私の持っている物はあと何がある?

タチコマb「あまり時間も無いし……あ!それにね?僕も死を体験出来るわけだから、そんなに悪い提案じゃ無いんだ」

強い日の光に目を細めてヘリとの距離を考える…

タチコマb「だから、ね?」

相変わらずの無邪気な声。

ほむら「…」ナデ

タチコマb「ほむらちゃん……さ、ほら早く離れないと……」

ほむら「タチコマ…」



ほむら「……ごめんなさい」



15

恭介「…どうにも、不思議な病院だな…明日が手術らしいけど…」

コンコン

恭介「…はい?」

仁美「上條くん?お加減はいかがですか?」

恭介「あれ?紫筑さん…?……わざわざお見舞いに?」

仁美「ええ、出荷も近いので」

恭介「出荷?」

仁美「はい」プシュー

恭介「っ!?……し…づき…さ…n…」パタ

仁美「…」フフ

仁美「おやすみなさい、上條恭介くん」

仁美「……これで…少なくとも……

荒巻「先方との契約は果たされますかな?」

仁美「!?」ガタッ

荒巻「紫筑仁美さん…ですな?……貴女に対し逮捕状がでております……ご同行を」

ボーマ「抵抗はするなよ?」チャキ

荒巻「よもや、紫築グループの当主がその様な姿とは……思いもよりませんでした」

仁美「な…」

仁美「……どうして」

荒巻「私から言わせていただくとすれば、どうにも敵を作りすぎましたな……ciaも、あっさりと情報を寄越してくれました」

荒巻「年齢に削ぐわぬ若い義体と、周到に用意したであろう計画から生じる油断…ですかな…?」

仁美「……」

仁美「…かもしれませんわね…でしたらっ……ぐぅっ!?」ガタッ

ボキッ

仁美「…っぅ」

パズ「仕込み銃か……妙な真似すんな」ジジジ…

仁美「光学迷彩……もう一人…くっ……」

荒巻「終わりましたよ?」

ワタナベ「どうも…どうも、御手数お掛けしました…それでは、その…」

荒巻「えぇ、そちらの情報漏洩の経緯も含め…彼女の身柄は、一度、貴方方ciaに預けます」

ワタナベ「どうも、どうもありがとうございます」ペコ

仁美「…」

仁美「…荒巻さん…だったかしら?」

荒巻「何か?」

仁美「敵が多いのは認めますわ…しかしながら……私には味方も大勢いますのよ?」

荒巻「そうですか、では…」

仁美「……えぇ…ごきげんよう」

荒巻「…」



トグサ「さやかちゃんは無事……ではないけど、一命は取り止めたよ」

まどか「そうですか」ホッ

杏子「なーまどかー?ほむらの奴は?」

まどか「……ほむらちゃんは行っちゃった」

杏子「?…何処へ?」

まどか「なんかね……自分が死んでない場所に行くんだって…」

杏子「……なんだそりゃ?」

杏子「礼くらいさせろよな……ったく」

まどか「…ね」

杏子「まぁこれで一件落着…かねぇ」

バトー「お前らが大変なのはこっからだぞ?」

まどか「……復興とか、ですか?」

バトー「それもあるが、これからは制限なく技術が流れ込んでくる……生活も一変するだろうさ」

杏子「……」

まどか「…うん」

バトー「国の支援もあるだろうが、急な環境の変化はしんどいぞ?」

まどか「……頑張ります」

まどか「頑張ります、でないと守ってくれたほむらちゃんに顔向け出来ませんから」ティヒヒ



素子「ふう」

バトー「…おぅ、どした?」

素子「課長の方も終わったようね」

バトー「なんでぇ、早えじゃねぇか……少しは抵抗するかと踏んだが…」

素子「ciaで身柄を預かるそうよ」

バトー「おいおい、良いのかよ?」

素子「課長は満更でも無さそうね…米政府に借しを作ったと思いましょう?」

バトー「何だかなぁ……お?…そういやタチコマぁどうした?」

素子「そうね…」

素子「……跡形も無く、壊れたわ」

バトー「……そっかよ」

素子「…」

バトー「…」ニヤ

バトー「……しかし、良いのか?」

素子「どうせ、解体を待つだけでしょ?一機くらいどうとでもするわよ」

バトー「しっかし、少佐が魔法少女を信じるとはなぁ」

素子「あら意外?…私だって、子供の頃は魔法使いに憧れもしたわ」

バトー「似合わねぇなぁ」ハハハ

素子「…」

素子「魔法使いの伝承なんてそこらじゅうに溢れているじゃない…一人くらい、本物が居たって不思議ではないでしょう?」

バトー「揃って手玉に取られたかもな?」

素子「…ふふ、そうかもね」

バトー「…はっはっは……どっちにしろ、大したタマだ」



サトウ「…さて」チラ

ワタナベ「……えぇ、そろそろ空港ですね」

仁美「ふふ……まったく、国外への手引きは感謝致しますが…私の情報といっても限られてますわよ?」

仁美「……まぁ、私とコンタクトしてきた人間の会話内容と声紋データくらいは渡せますけど…それも条件次第でs…プスッ

サトウ「…失礼」パシュ

ワタナベ「あ、いえ…貴女から得られる情報など……既に把握しておりますので…」

仁美「……ぁ…え?……」

ワタナベ「……問題は、貴女から足が付くことなのですよ」

仁美「…ぁ!…?…あぁ……ぁな………なn…クラッ

ドサッ

ワタナベ「ご安心ください…痛みはありませんし、嫌な記憶も残りません……病院で幸せな余生を過ごしていただくだけです」

サトウ「…ふぅこれで本当に終わり、か」

ワタナベ「…いやはや、まったく…こんな仕事ばかりで嫌になりますよ…いやはや、いやはや…」

………
……




カチッ


………
……


タスケテ…

まどか「?」

タスケテ…マドカ…

まどか「…だ、誰なの?」カチャ

まどか「誰かいるn…あれ、先に行けない?……道が塞がれてる…」

タス…アーッ…

まどか「この機械の先…みたいだけど……」オロオロ

ガチャコ

まどか「わ!?へ?……さ、触ってないのに!?」

ガチョンガチョン…

まどか「えぇ、な、ななにこれ?」

ガシャンガシャンガシャンガシャン

まどか「…ロ……ロボット?……こ、これって……」ペタン

「ふぅ…盾の中はもう懲り懲りだよねー……」

まどか「ふぇっ!?……しゃ、喋った……」

「あ、まどかちゃんだー」

まどか「わわ、名前……なんで?」

「あ、そうか…えーと……ほむらちゃんから聞いたんだよ?」

まどか「ほむら…ちゃんから?……え?…貴方一体…?」

「僕はタチコマ!よろしくね?まどかちゃん!」



終わり?

………
……


タチコマb「ほむらちゃん……さ、ほら早く離れないと……」

ほむら「タチコマ…」

ほむら「……ごめんなさい」

タチコマb「え?何?」

ほむら「えい!」ブチン

タチコマb「わー!?僕の砂時計がー!?お土産がー!?」ガチャコガチャコ

ほむら「ちょっと暴れないで!西日があれだけ強いならコレを目印にできるはずだから!」

タチコマb「ダメー!僕の褒賞がー!優位性がー!」ガチャコガチャコ

ほむら「新しいの今度買ってあげるから!」

タチコマb「…!」ピタ

タチコマb「……その言葉を発する人間の90%以上が約束を果たさないままうやむやにすると言う統計がね?あるんだけども?」

ほむら「買!う!か!ら!」

タチコマb「えーでもなー」

ほむら「……私の専用機なら従いなさいよ」

タチコマb「あ…僕?」

ほむら「そうよ、専用機なんでしょ?…だったらまだまだ付き合って貰うんだから、こんな所で壊れないで頂戴」

タチコマb「うん………うん!」

タチコマb「そーだよねー!そーだもんね!」

ほむら「そうよ」ナデ

タチコマb「まったく仕方ないなー…壊れるのはもう少し後にするよ!」

ほむら「えぇ」クス



タチコマb「なんたって、ほむらちゃん専用機だからね!」

終わり

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