P「どうした冬馬、眠れないのか?」 (43)

冬馬「ああ、起こしちまったか?」

P「いや、自然に目が覚めただけだよ」

冬馬「それならいいけどよ」

P「……疲れてるのか」

冬馬「心配するほどじゃねえよ」

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P「待ってろ、確か、睡眠薬がまだ少し残ってたはずだから」ムクッ

冬馬「いや、いい」

P「……そうか?」

冬馬「……今何時だ?」

P「5時ちょっと過ぎだな」

冬馬「そんなら、寝られなくても1日くらい持つさ」

P「そうか」

冬馬「それより、水一杯もらえるか?」

P「ああ」ガチャ

P「ほら」

冬馬「ああ、サンキュ」

冬馬「……」ゴク

冬馬「……飲むか?」

P「もらおうかな」

P「……」

冬馬「……」

P「……」

冬馬「……」

P「なあ、やっぱり珍しいじゃないか」

冬馬「何がだよ」

P「お前がこんな時間に起きてるなんて」

冬馬「……」

冬馬「あんまり詮索するんじゃねえよ」

冬馬「そういう約束だろ?」

P「でもさ」

冬馬「……話せることなら話してるって」

P「……」

冬馬「俺なんかより、アンタこそ大丈夫なのか?」

P「え?」

冬馬「アンタだってあんまり寝れてないみてえじゃねえか」

P「……」

P「……俺も、別に」

冬馬「な?言えないもんだろ?」

冬馬「それに、言葉で言えなくたって何となくは分かってるはずだ」

冬馬「お互い、似たようなことに悩んでるんだってな」

P「……」

冬馬「さ、ほら、時間も時間だ」

冬馬「寝るのか起きるのか、さっさと決めちまおうぜ」

P「……」

P「……なあ冬馬」

冬馬「何だよ」

P「……やっぱり俺、もう少しお前と話をするべきだと思う」

冬馬「……今か?」

P「そう、今だ」

冬馬「何の話だよ」

P「だから、これから俺とお前がどうして行くべきなのかって話をだよ」

冬馬「そんなもん、前にも……」

P「そりゃ、気持ちの確認はしたさ!」

P「でも、それだけじゃやっていけないだろ?」

冬馬「……」

P「なあ、冬馬」

冬馬「……ああ、そうだな

冬馬「……で?」

P「え?」

冬馬「それで、何の話をしたいんだ?」

P「……まず、俺が何を不安に思ってるか」

P「そこから話そうと思う」

冬馬「……ああ」

P「……俺、実はさ」

P「春香に好かれてるかもしれない」

冬馬「……天海に?」

P「ああ」

P「なんて言うか、分かるんだよ」

P「あの子の目、本当に俺のことを好きでいてくれてる目なんだ」

冬馬「……」

P「俺もあの事務所で結構長いことやってきたからさ」

P「だから、そういうこともあるだろうし」

P「それに、他の子たちだって心底俺のことを信頼してくれてる」

P「あの事務所は、俺にとって本当に大切な場所になってる」

冬馬「……」

P「だから、余計に怖いんだ」

P「もしお前との関係があの子たちに知れたら、あの子たちにどう思われるだろうってな」

冬馬「軽蔑されるかもってか?」

P「ああ」

P「今の関係が崩れたらって思うと、本当に恐ろしいんだ」

冬馬「でもよ、アンタの事務所はそんな浅い絆じゃ……」

P「浅い絆じゃないからなんだよ!」

冬馬「」ビクッ

P「それこそ俺とあの子たちの絆は、そんな安い物じゃない」

P「でも、その絆をあの子たちと育んだのは」

P「……本当の俺じゃないじゃないか」

P「あの子たちは全力でぶつかってきてくれたのに」

P「俺にはずっと隠してたことがあった」

P「……それを今更暴露しようだなんて」

冬馬「……」

P「どれくらいあの子たちを傷つけるか」

P「まして、俺を特別想ってくれてる子なんて……」

冬馬「……」

P「……」

P「なあ、冬馬、やっぱり俺……!」

冬馬「……」

ギュ

P「!」

冬馬「……」

P「……」

冬馬「……」

P「……ゴメンな」

冬馬「別に、これくらい大したことねーよ」

P「はは、言っちゃいけないことを言うところだった」

冬馬「ああ」

P「……分かってるよ、ちゃんと向き合わなきゃって」

冬馬「……ああ」

P「なあ、冬馬」

冬馬「何だ?」

P「冬馬はさ、不安じゃないのか?」

冬馬「不安じゃないわけねーよ」

冬馬「俺たちのことが秘密なのは、アンタの為だけじゃない」

冬馬「俺だっていつも怖くてしょうがねーよ」

P「……そうだよな」

P「俺さ、お前って本当にすごいと思うよ」

冬馬「え?」

P「その年で、もう自分と向き合おうって頑張ってるんだもんな」

P「俺なんて、しばらくは酒に逃げたりしてたのにさ」

冬馬「……」

冬馬「……そりゃ、まあ」

冬馬「……それは、アンタがいたからっていうか……」

P「俺?」

冬馬「俺だって、アンタにあってなけりゃ、気づくのはもっと遅かったさ」

冬馬「でも、アンタにあって、まあ色々あるうちに」

冬馬「自然と思えてたんだよ」

冬馬「俺にとって、これからの人生、何を選ぶべきなのかってな」

P「……冬馬」

P「はは、それじゃあ、言葉を換えれば俺のせいってことかもな」

冬馬「へへ、まあな」

P「……冬馬」ゴソ

冬馬「あ、おいこら」

P「……」ゴソゴソ

冬馬「待てよ、もう朝だぜ?」

冬馬「汚れちまうだろうがよ」

P「……大丈夫、全部飲んでやるよ」

冬馬「う……」

P「ほら、遠慮するなよ」

冬馬「ま、待てって」

P「嫌か?」

冬馬「……気分じゃねえな」

P「でも、俺は」

チュ

P「!」

冬馬「……楽しみは、今度の休みにとっとこうぜ?」

P「はは、照れちゃうな」

冬馬「やめろよ、俺も恥ずかしくなっちまう」

P「あ、あのさ、冬馬」

冬馬「何だよ?」

P「……もう一回」

冬馬「なんだ、しょうがねえな」

冬馬「ほら、目瞑れよ」

P「……」スッ

冬馬「ったく」

チュ

P「……んっ」

冬馬「……へへっ」

P「ははっ」

冬馬「……」

P「……」

PiPiPiPiPiPiPi!

冬馬「」ビクッ

P「あ、アラーム……」

冬馬「……もうそんな時間か」

P「しょうがない、起きようか」

冬馬「だな」

冬馬「朝飯、出来たぞー!」

P「ああ、今行く!」

冬馬「遅かったな」

P「バスタオルが見当たらなくてな」

冬馬「ああ、そういやストックがそろそろ無かったな」

P「買っておくよ」

冬馬「ああ、頼む」

P「……うまい」モグモグ

冬馬「……なあ」

P「ん、なんだ?」

冬馬「さっき言いそびれたんだけど」

P「うん」

冬馬「俺はさ、アンタが最高のパートナーだと思ってるからな」

P「!」

冬馬「ちょっと恥ずかしいけどよ、あんまりいう機会もないからな」

P「うん、俺もそう思ってる」

冬馬「へへ、知ってる」

P「はは」

P「……そのうちさ、表で堂々とデートでも出来るようになればいいな」

冬馬「……そうだな」

冬馬「ま、そのためにはお互い色々あるけどよ」

冬馬「きっと大丈夫だ」

P「ああ」

冬馬「それじゃ、俺は先に出るぜ」

P「うん、いってらっしゃい」

冬馬「戸締り忘れんなよ」

P「分かってるよ」

冬馬「そんじゃな」

バタン

P「……」

P「……はは、パートナーか」

P「俺も、お前となら大丈夫だって思ってるよ」

P「何せ、お前といると退屈しないからな」

P「……」

P「……冬馬」

           完

はい、ありがとうございました

ついでに

P「昨日さ、夜中に突然目が覚めてさ」

P「雪歩、今日の夕飯は俺が作るよ」

P「美希に愛してるって言ってみる」

P「貴音のことを考えると時々不安になるよ」


この辺りと併せて読んでくれると嬉しいです

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