ひまわり「お兄ちゃん、あたし結婚するんだ」(31)

「お兄ちゃん、」
「おー、どうした。ひまわり」
「あたし、風間さんと結婚するんだ」
「・・・そうか」


お兄ちゃんは、私に向かって、いつものように、幼い頃と変わらない顔で笑った。



「風間くんは、幸せ者だゾ」



結婚式。
ウェディングベール。
どれも、どれも。
幼い頃から、夢見てたものばかり。


でも、
・・・なんでかな?
なんだか、嬉しくない。
鏡の中にいる、着飾った誰かは、私じゃないみたい。


「綺麗だよ、ひまわりちゃん」
「・・・風間さん、」



風間さんは、照れたように「その呼び方も、今日で聞き納めだね」と微笑む。優しい人。幼い頃から、彼はずっと私を大切にしてくれた。


・・・ロリコンだったのかもしれないけれど。
それでも構わないくらい、あたしも風間さんを大好きになった。


幸せ?
幸せ。
でも・・・何かが足りないの。


何が?


「ひまわりちゃん?緊張してる?」
「あ、大丈夫です・・・緊張、してるのかな」
「してるみたいだね。大丈夫だよ、


僕がいるから」



優しい人。
両手で、あたしの掌を包みこんでくれる。
大丈夫。あたしの選択は、間違ってなんかいない。



そうよ、大丈夫よ。

ウェディングロード
お父さんとお母さんが泣いている。ボロボロ涙を溢して。


あぁ、あたし…結婚、するんだ。
でも、あたし…涙が出ないの。



一歩。
また、一歩。
神父さんと、風間さんが微笑んで待っている。

その時だった。
目の前が黒で、いっぱいになる。


「父ちゃん、交代」


え?


「お兄、ちゃん…?」
「オラだって、ひまの父ちゃんだからな」


スーツを着た、お兄ちゃんの姿。


パリッとしたスーツを着こなしているけれども、いつもと変わらない行動に、かすかべ防衛隊のみんなも、お父さんもお母さんも
お兄ちゃんらしい行動に笑っていた。

あと少し。
あたしは、彼のお嫁さんになる。
風間さんの手と、あたしの手、そして、お兄ちゃんの手が、重なる。



「ひま、」
「ん?」
「まだ、言ってなかったよな。結婚、おめでとう。
風間くんは、良い男だゾ」
「しんのすけ…」


お兄ちゃんは、風間さんとあたしの手を力一杯に握りしめる。


「ひま、お前は、いつまでも野原一家の一員だゾ

そして、オラのたった一人の妹だゾ」

あれ……あれあれれ?
熱い。目も鼻も、呼吸が、しにくい。苦しい。



「ひまわりちゃん…」



あたし、寂しかったんだ。お兄ちゃんが、何も言ってくれなかったことや。



もう、パパやママ、お兄ちゃんと家族じゃなくなるかもしれないって、思ってたんだ。


「…、お兄…ちゃん…」
「もぉ~母ちゃんに似て、泣き方が豪快だゾ!ひま。
風間くん、ひまは母ちゃんに似て素直じゃないから大変だけど、宜しくだゾ」
「お兄ちゃんのバカ!」

何かが、塞がった。
あたし、風間さんと生きていっていいんだね。



あたし。
新しい家族を作って、いいんだよね。



みんな、家族だから。
みんな、あたしの大切な人たちだから。




「お兄ちゃん、」
「お?」
「お兄ちゃん、あたし、お兄ちゃんの妹で幸せだよ」


お兄ちゃんが、ニッと笑った。


「当たり前だゾ」



あたしは、歩いていく。
この道を、ずっと。
彼と共に。
家族と、一緒に。




ー完ー

1です。
感想ありがとうございます!初ssだったのと、即興ssだったので文章がつたなくて申し訳ないです。

大人ひまわり大好きなので、このssを書きました。
まとめサイトで、クレしんは鬱ssだろと言う声を見ましたので
このssのプチ鬱verを投下します。このssと触りは同じです。

以下、ほんのり鬱ssです。

ひまわり「お兄ちゃん、あたし結婚するんだ」
しんのすけ「・・・」
ひまわり「お兄ちゃん、あたし結婚するんだ」






「お兄ちゃん、」
「あたし、風間さんと結婚するんだ」

「・・・・・」

「お兄ちゃん、あたし結婚するんだ」
「お兄ちゃん、あたし結婚するんだ」
「お兄ちゃん、あたし結婚するんだ」

結婚式。
ウェディングベール。
どれも、どれも。
幼い頃から、夢見てたものばかり。





でも、
・・・なんでかな?
なんだか、嬉しくない。
鏡の中にいる、着飾った誰かは、私じゃないみたい。


「綺麗だよ、ひまわりちゃん」
「・・・風間さん、」



風間さんは、照れたように「その呼び方も、今日で聞き納めだね」と微笑んでいるように見える。優しい人。幼い頃から、彼はずっと私を大切にしてくれた。
・・・ロリコンだったかもしれない。


それでも構わないくらい、あたしも風間さんを大好きになった。

幸せ?
幸せ。
でも・・・何かが足りないの。


何が?


「ひまわりちゃん?緊張してる?」
「あ、大丈夫です・・・緊張、してるのかな」
「してるみたいだね。大丈夫だよ、


僕がいるから」



優しい人。
あたしは、彼の手をぎゅっと握り締める。
ヒヤっとした冷たくて、心地良い温度があたしの心を和ませてくれる。



大丈夫。
あたしの選択は、間違ってなんかいない。


そうよ、大丈夫よ。

ウェディングロード
あたし…結婚、するんだ。ずっと、夢見てた結婚指輪。でも、あたし…涙が出ないの。




一歩。
また、一歩。
神父さんと、風間さんが微笑んで待っている。
あと少し。
あたしは、彼のお嫁さんになる。
風間さんの手と、あたしの手が重なる。ひんやりとして、心地よい。



そのときだった。

「ひま!!」
「・・・おにいちゃん?」


息を切らしたお兄ちゃんは、駆け寄ってきて
風間さんとあたしの手を力一杯に握りしめる。



「ひま、お前は、いつまでも野原一家の一員だゾ
何があっても・・・オラのたった一人の妹だゾ!!


だから、ダメだゾ!!風間くん! 
ひまを、連れて行かないで!!」



あれ……あれあれれ?
熱い。目も鼻も、呼吸が、しにくい。苦しい。
酸素を、うまく吸えない。
・・なんで?



「ひまわりちゃん…」
「ごめんなさい・・・風間さん・・・
あたし、あなたとは結婚できない」


あたし、寂しかったんだ。
風間さんが、死んでしまったこと。
あたしをおいて行ってしまったこと。



「…、しんのすけ…
ひまわりちゃんを、頼むよ」
「当たり前だゾ。ひまわりは、オラの妹だ」
「風間さん・・・・!」



何かが、塞がった。
あたし、生きていっていいんだね。


あたし。
生きていいんだよね。
みんな、家族だから。
みんな、あたしの大切な人たちだから。
風間さんの傍に、ずっと、いたかったの。
あなたは、あたしの心の中で生きていってくれるのね


「風間さん、」
「なんだい?」
「あたし、あなたに会えて幸せだったわ・・・」



風間さんの顔が、崩れていく。



「ありがとう。美味しかったわ、風間さん」



あたしは、歩いていく。
この道を、ずっと。
彼と共に。
永遠に。

「お兄ちゃん、あたし結婚するんだ」
「お兄ちゃん、あたし結婚するんだ」
「お兄ちゃん、あたし結婚するんだ」
「お兄ちゃん、あたし結婚するんだ」
「・・・」
「ねえ、お兄ちゃん・・・」
「お兄ちゃん、風間さんと、結婚、するんだぁあたし」
「ね?幸せでしょお兄ちゃん」
「お兄ちゃん」
「お兄ちゃん、あたし結婚するんだ」
「ひま・・・」
「あたし、結婚するんだもん」
「お前は・・・結婚できないんだよ」
「? 意味が分からないよ」
「もう・・・風間くんは、死んでるんだゾ」
「? 意味が分からないよ、お兄ちゃん。
だって、あたし結婚するんだもん。


ほら。風間さんなら、ここにいるじゃない。
ここに・・・」



「ね?」




ー完ー

たくさんの感想ありがとうございました。
次回は、ねねちゃんでスレを立てさせて頂こうと思います。

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