雪女「あ~暑い…」(34)

夏っ 山道

雪女「こう暑くちゃ溶けちゃうわ」

雪女「いや蕩けちゃうわ」

雪女「何なの日本の夏って…」

雪女「山に帰って寝たいけどなぁ」

雪女「山にはクーラーなんてないし」

雪女「夏だけは誰か人間の家に泊めさせて貰わないと」

ミーンミンミンミンミン……

雪女「セミとかマジでうざいわ」

雪女「何なのよあの鳴き声」

雪女「あの声が聞こえるだけで夏到来って分かるじゃない」

雪女「セミマジで滅んでくれないかな」

●彡←セミ

雪女「うわあっ!!」

雪女「びっくりしたー目の前に落ちてくんなよ…」

ピクッ…ピクッ…パタン…

雪女「…」

雪女「あら死んじゃった?」

雪女「やーい!バーカバーカ!!」




セミ「ミーンミンミンミンミンwwwwwwwww」ババババババババ

雪女「きゃああああああああああ」

雪女「くそー死んだふりしやがって!!」

ミーンミンミンミンミン……

雪女「…あー暑い…」



しばらくして

雪女「やっと町に着いたわ」

雪女「今年こそはイケメンリア充の家をゲットよ♪」ルンルン

商店街

雪女「いつもこの時期になると屋台でかき氷が売ってるから助かるわ」シャリシャリ

おっちゃん「よぉ!雪女ちゃん!」

雪女「うぃーっす」

おっちゃん「今年も宿探しかい?」

雪女「まーね」

雪女「イケメンでクールな家に住んでる人とかこの町にはいないわよね」ハァー

雪女(毎年来るから町の人も全員覚えたし)

おっちゃん「そういや今年の春に1人来たよ」

雪女「え!!マジかよ!」

おっちゃん「隣の県に医大が出来たって話したろ?」

おっちゃん「ほんでこの町から通う事にした若いお兄ちゃんが越してきたんだ」

雪女「ちょ~知りたいんですけどその話!」

おっちゃん「ウチのかき氷贔屓してくれたら教えてやるよ」

雪女「いつも買ってるじゃない」

おっちゃん「あそこに新しい家があるだろ」

雪女「あら去年はなかったのに」

おっちゃん「まだ基礎工事しかやってなかったからな」

おっちゃん「あそこに住んでるんだ」

おっちゃん「まぁあまり家からで…

雪女「ありがとおっちゃん!明日も来るわ!」タタタッ

おっちゃん「おう!まぁ大丈夫か」

男の家 玄関

ピンポーン

雪女「早く顔が見たいわ♪」

雪女「…」

雪女「…」ポチッ

ピンポーン ピンポピンポーン

雪女「…」

雪女「…ちょっとレディを待たせ過ぎよ」

1時間後…

雪女「ちょっと…いくらなんでも出てこ無さすぎよ…」

雪女「出掛けてるのかしら」

雪女「…」

雪女「倉庫があるわ」

雪女「ちょっとそぅこに隠れましょなんつって」ササッ

ガチャ

男「…」キョロキョロ

雪女「どりゃああああああ!!」ガシッ

男「!!」

雪女「イケメン捕まえたわ!!」

おっちゃん「アンタが大将だ!」

男「…ださ…」

雪女「え?何?」

男「…やめてください」ボソボソ

雪女「声が小さい!」

雪女「もっと腹から出しなさいよ!」

男「…」ビクッ

男「め、迷惑です…」ブルブル

雪女「あぁん?」

男「その、帰ってください!!」

雪女「ふざけないでよ!!」

男「!!」ビクッ

雪女「私がどれだけ苦労してここまで来たか分かる?」

男「あの…その」

雪女「見て!もう私の服溶けてきてるでしょ!!」

雪女「雪女よ!ゆ・き・お・ん・な!!」

雪女「あなたがなかなか家から出てこないから服がもうないじゃない!」

雪女「こんな可愛い美少女があなたの家に来たのだから」

雪女「冷たいお茶でも出すのが礼儀ってもんじゃないかしら!!」フンスッ

男「あ、はい…ごめんなさい」

おっちゃん「雪女ちゃん全裸だよ」

男の家

男「…あのぉ」

雪女「なにかしら?」

男「ちょっと寒すぎないですか…」ブルブル

雪女「かぁ~っこれだから最近の男は」

雪女「いい?あなたの家のクーラーがたった16℃までしかないから」

雪女「仕方なく我慢しているのよ?」

男「でも…」ブルブル

雪女「でも?」ギロッ

男「ヒッ…ごごごごめんなさい」

雪女「まったくもう...」

男「その...雪女さんはなぜ僕のところに?」

雪女「夏になるとわたし達の一族は生きていけないの」

雪女「だから毎年それぞれ勝手に町に降りてきて」

雪女「涼しくなるまで誰かの家に泊めて貰うのよ」

男「はぁ...それで新築の僕の家にしたんですか」

雪女「あなたがイケメンだと聞いたからよ」

男「えー...」

雪女「まぁ思ったより端整な顔してるわね」

雪女「合格よ♪しばらく泊めて頂戴」

男「休んで貰うのは構わないですけど...」

男「やっぱり女の子と2人で暮らすのはちょっと…」

雪女「はぁ!?」

男「ごごごごめんなさい…」

雪女「私に魅力がないっていうの!!」

男「違うんです!!」

雪女「そうよね~150cm巨乳の黒髪色白美人と住みたくないなんて」

男「ひひ人と関わるのが苦手なんです…」

雪女「なにそれ」

男「…特に女の人とは」

雪女「そりゃ私は妖怪だけど別に悪さする訳じゃないわよ」

男「…そうじゃないです」

男「もう帰ってください」

雪女「…」

雪女「うがああああああ!!!」

男「!!」ビクッ

雪女「何なのアンタ!もしかして童貞?」

男「ち、ちが」

雪女「絶対そうよ面倒くさいもん」

雪女「まぁ見てなさい!すぐに私と住んで良かったぁって言わせてやるわ」

男「もう泊まるのは確定なんですか…」



男「うぅ…寒い」ガタガタ

男「僕の家なのにどうして勝手に住み着くんだろう…」

男「妖怪って自分勝手だなぁ」チラッ

雪女「あははははwwww」ゲラゲラ

男「…怒り新党見て笑ってるよ」

男「最近は三大○○も面白くないのに…」

男「…服もいつになったら着るんだろう」

男「一度溶けたらつくれないのかな…」



雪女「おっはよー!!」

男「…おはようございます」

雪女「見て綺麗な朝日よ」

男「…まだ4時じゃないですか」

雪女「いやぁ夏しかテレビ見れないから夜更かししちゃってさ」

男「…今日こそ出て行ってください」

雪女「いーやー」ベーッ

男「…」

雪女「昨日も説明したでしょ!」

雪女「秋になるぐらいまで泊めてちょうだい」

男「…とにかく服をきてください」

雪女「あら忘れてたわ」

雪女「ほいっと!」シュビビン!!

男「新しく作れるんだ良かった…」ホッ

男「さぁ、これで外も出歩けますね」

雪女「なんだかあなたムカつくわ」

商店街

男「…なんで着いてくるんですか」

雪女「あなたの家全っ然アイスとかないじゃない」

雪女「だから買い出しについてきたの」

男「…せめて離れて歩いてください」

雪女「あなた大学は?」

男「夏休みですので」

雪女「あら医大生でも休みとかあるのね」

男「まだ一回生だから実習もないので…」

雪女「ふうん」

雪女「ねぇあなたって」

男「男です」

男「僕にはちゃんと親から授かった名前があります」

男「あなたではなく男と呼んでください」

雪女「…面倒くさいのね」

コンビニ

雪女「はぁー生き返るわぁ!!」

男「えーとカップ麺と…」

雪女「あなた料理はしないの?」

男「…もういいです」

男「一人暮らしですからね」

男「無駄な事に労力を使いたくないのです」

雪女「なら私が料理してあげるわ♪」

男「結構です」

雪女「もう人の好意ぐらい素直に受けとりなさい」

おっちゃん「そうだぜ少年!!」

男「どこから湧いてくるんですか…」

雪女「やっぱりアイスと言えばガリガリ君ね♪」ポイッ

男「…店のガリガリ君全ては流石に買えないですよ」

雪女「お金ぐらい払うわよ!はい!」

男「…確かにこれなら買えますけど」

雪女「バイトでお金貯めてるから私の生活費は気にしなくていいわよ」

男「…お金の心配はいらなそうですね」

雪女「今年は何本当たりが出るかしら」ワクワク

店員「シャッセ」

男「…」

店員「スベテアワセテ4800円ッス」

男「…」サッ

店員「ゴセンエオアウカリシアッス」

店員「オハシツケマスカ」

男「!!」ビクッ

男「…」コクコク

店員「ナンホンゴイリヨウッスカ」

男「…」パー

店員「5ホンスネアリャリャッシタ」



男「…ふぅ」

雪女「何であのお兄さんとは喋らないのよ」

男「言ったでしょ…人が苦手なんです」

雪女「ふぅん」

雪女「でも私とは普通に喋るじゃない」

男「…それは雪女さんが大きな声ではっきり喋れって言うから」

雪女「言われないと出来ないのね」

男「…そ、そんなことは」

雪女「私もさっきの店員さんもあなたの事嫌ってる訳じゃないのよ」

雪女「愛想悪いと幸せなんて寄り付かないんだから」

雪女「シャキッとしなさいな!!」

男「…善処します」

雪女「まるであなたが人を嫌ってるようね」

男「…」

夜 男の家

雪女「ご飯作ったわよ!」

雪女「あなた不健康そうだから野菜もちゃんと摂りなさい」

男「ひ、冷やし中華…」ブルブル

雪女「きゅうりにトマト、錦糸卵とハムのスライス入りよ♪」

男「…い、いただきます」アムッ

男「!!」

男「美味しい…」モグモグ

雪女「私の雪で冷やしたから当たり前でしょ」

男「…」モグモグ

男「…うっ」ジワァ

雪女「ちょ、ちょっとお」

雪女「いくら美味しいからって何も泣かなくても」

男「…違うんです」

男「誰かの手料理を食べたのが久しぶりだから…」

男「なんだか懐かしくて…」グスッ

雪女「女々っちぃわね」

雪女「…まぁこれぐらいならいつでも作ってあげていいけど」

男「雪女さんは…もう寝たか」

男「…テレビでも見よう」ピッ

男「…何も面白くない」

テレビ「まるで奇跡のようです!!」

テレビ「もう助からないと思われた癌患者は」

テレビ「強い意思の元に我慢を重ね」

テレビ「遂に癌を克服したのです」

男「…何が克服だよ」

男「ただの骨髄性白血病じゃないか」

男「抗がん剤を打って5年程何もなければ」

男「治癒できたとみなされるんだぞ…」

男「…くそぉ」



雪女「おっはよー!!」ペロペロ

男「…朝からアイスですか」

雪女「あなたも食べる?」

男「結構です」

雪女「ねぇなんで人が怖いの?」

男「…その話はやめてください」

雪女「え~知ーりーたーいー」クネクネ

男「気持ち悪いですよ」

雪女「失礼ね!」

雪女「うっ…!!」グギュルルルル…

男「どうしました?」

雪女「お、お腹が…」

男「雪女なのにお腹冷やしたら下痢になるんですか(笑)」

雪女「ねぇねぇ今日は何するの?」

男「何って勉強ですよ…」

男「邪魔しないでくださいね」

雪女「はいはーい」

男「…絶対邪魔するでしょ」

雪女「もう!いいからしなさい!」

雪女「家事ぐらいやっといてあげるから」

男「雪女さんってがさつなイメージしかなかったんですけど」

雪女「もうやらなーい」ゴロゴロゴロー

男「はぁ…勉強してきます」

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