白羽衣つむぎ「谷風さん日記」科戸瀬イザナ「1週間分だね」 (37)

アニメ2期のネタバレあり
時系列は原作10巻48~49話の間

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1406961331

~谷風家~

つむぎ「私思ったんですよ」

纈「…何を?つむぎ」

つむぎ「そういえばこの家、誰も日記をつけている人がいないなあ…なんて」

纈「そういえばそう・・・いやあ、だけど」

纈(日記とプラモどっちにかける時間が大事かって言われたら…プラモだし)

つむぎ「というわけでです、私が日記を書こうと思うんですよ」

纈「おー、いいんじゃないかなそれ」

つむぎ「谷風さんの日記を!」

纈「え゛?」

シドニアSSとは珍しい
期待

纈「え、ちょ、それってどういう…?」

つむぎ「谷風さんの行動ってけっこう謎に包まれてないですか?」

纈(そういえば休みにはけっこうふらっとどこかに消えていたりする…)

纈(私たちに呼ばれなければ、の話ではあるけど、確かにどこに行ってるんだろう)

つむぎ「だからですね、谷風さんのその日ごとの行動をまとめた日記を私が書こうと思うんです!」ウネウネ

纈(それってストーカーまがいじゃ!?いやでも、谷風さんのプライベートか…)

纈(…知りたい!!)

纈「あなたに一任するわ、つむぎ」キリッ

つむぎ「はいっ!まかされました!」

つむぎ「…でもわたし、ここから基本的には出ちゃダメでした」

纈「許可するわ、これは最重要の極秘任務なのだから」キリッ

つむぎ(ええ…)

イザナ(な…なんだってえ!)

イザナ(黙って聞いていればそんな…そんなすごいこと、いいの!?)

イザナ(こうなれば僕だって混ざりに…)スッ

長道「イザナ?何してるの」

イザナ「いやいやいやなななんでもないよ」

長道(変なイザナ…)バコッ…パキ、ズズーッ

長道(んまいなあ、重力麺)ズルズル

イザナ(ダメだあ!やっぱり真っ向から僕も混ぜろなんて言いにいけないよ!)

イザナ(…隠し場所をこっそり聞いて盗み見てみよう、申し訳ないんだけどそうしよう)

~1週間後の夜~

イザナ(話じゃこの箱だったはず…うわ、電子ロックまでされてる!)

イザナ(しょうがない、侵入してちょちょっといじって…どうだ)シュルル…ピッ、ピペッ

イザナ(開いたあ、これがそうなんだ!)パカ…ガサッ

イザナ(ごめんね纈とつむぎ、どれどれ…)ペラッ

~1日目~

つむぎ「今日は谷風さんが一番早起きでした」


纈「谷風さん!朝からそんなもの食べて、よくないですから」

長道「えっ、よくないの!」ズルズル

纈「そういうものです、重力麺って!おにぎり作りますから、そっちにしましょうよ」

イザナ「もうできてるよ、ほら」コト

纈「あっ、いただきますね」スッ

長道「ありがとイザナ」スッ…モグモグ

長道(・・・あんなにおいしいのに?信じられないなあ)


つむぎ「谷風さんはとにかくよく食べます、その中でも最近は重力麺がお気に入りみたいです・・・朝から買いに行くぐらい」

あの作者か
期待

つむぎ「朝ごはんが終わって少し暇な時間は自分のベッドの上で本を読んでます」

つむぎ「私も見たことない本だったので詳しく聞いてみました」


つむぎ「谷風さん、そのクワガタの表紙の本って?」

長道「これ?昆虫図鑑だよ、ボロボロだけどさ」

つむぎ「そんなにどうしてボロボロに…けっこう古いみたいですし新しいものを買えばいいんじゃないですか?」

長道「いいんだ、これがいいんだって」

長道「ずっと大事に持っていたものだから、これでいいんだよ、つむぎ」

長道「こういうのは思い出って言うんだ」

つむぎ「なるほど…」


つむぎ「詳しくは聞けませんでしたけど、谷風さんにとってはとても大事なものみたいです」

つむぎ「お許しが出るならわたしも読んでみたいなあ」

つむぎ「お昼の船体修復作業が終わって、夕方に帰るとイザナさんと纈さんで晩ごはんを作りはじめます」

つむぎ「私もあんな風に料理できるようになりたいな…それはそうと、谷風さんは」


薫「あれ?谷風さん昨日も買ってったじゃないですか」

長道「うん、まあね」

薫「毎日食べるぐらいなら箱買いしたらいいじゃないんですか?ちょうどそこらへんなら安く…」

長道「できるの!?場所を教えてくれないか!」

薫「え、いやいいんですけど…」


つむぎ「また重力麺でした、ほんとに好きみたいですね」

つむぎ「その後は特に変わったこともなく、晩ごはんを食べてお風呂に入って、電気を消してすぐに寝ました」

つむぎ「おやすみ、谷風さん」


イザナ(その本僕もちょっと読んでみたい)ペラッ

~2日目~

つむぎ「今日は朝から船体修復のお仕事でした」

つむぎ「早く上がって昼からはどうやら谷風さんはサマリさんたちにお呼ばれしたらしく…」


ピンポーン

長道(?サマリさんたちだ)ガタ

つむぎ「はーい」スルスル

イザナ「つむぎはダメだって!」ガシッ!

つむぎ「いたたたたたたた!」ギリギリギリ

イザナ「あっごめん!」

長道「俺が出るよ、奥に行ってて」ガチャ

つむぎ(融合個体でも痛いものは痛いんです!)ヒソヒソ

イザナ(ごめん、つむぎ…)ヒソヒソ

長道「はい」キィ…

弦打「よお!引っ越したって聞いたがマジだったのか」

勢威(外周壁とはいいところに引っ越したものだ…)キョロキョロ

長道「それで、今日はどうしたんですか?」

サマリ「作業の時間帯が一緒だったからだ、私たちもヒマでな」

弦打「それでなんだが、俺たちとうまいもんでも食いに行こうぜって話なんだが…」

長道「行きます!今準備するので待っててください」バタン

勢威「即答…食うとなると相変わらずだな」

弦打「まあまあ、それが谷風の操縦の原動力ってヤツじゃねえの?」

弦打「そういやあいつ光合成しないんだってな、どおりでよく食うはずだぜ」

サマリ(じゃあそもそも光合成に誘っても意味がないのか…)ガク

長道「――というわけなんだけど、行ってきていいかな」

纈「いいも何もないですよ、谷風さんの事情ですから」

長道「ありがとう!それじゃあ」タタタタ

纈「しかしここの家、だいぶ認知されてきましたね…」

イザナ「前に仄たちが来てからだよね、僕たち以外に人が来るようになったの」

纈(つむぎ、しっかり頼むわよ)ヒソヒソ

つむぎ(まかせてください)ヒソヒソ

イザナ「………」ムッ


つむぎ「というわけで、2日目にして谷風さんのプライベートを本格的に覗き始めることになりました


つむぎ「はじめは心太というものを食べにいったようです、前に食べそびれたと言って喜んでいました」

つむぎ「その後焼き鳥、そばなどと色々行きましたが…やっぱりというか一番食べているのは」


弦打(どれだけ食うんだよ谷風…)

長道「…!…!!」ズルズルゴクゴク

サマリ「…何を飲んでいる」

長道「つゆです!」

勢威(普通そばつゆは飲むものではない)

つむぎ「また途中の居酒屋ではこんなことにも…」


弦打「お前もたまには一杯いけって、ほら」グイグイ

勢威「しかし緊急時には…」

弦打「カタいんだよお前は!そら」グイッ

勢威「あ!やめっ、ゲホッ」ゴクゴク

勢威「んぐ…くっ!」ガシッ・・・ゴクゴクゴク

弦打「ちょ、ちょい待て!飲みすぎだ」

サマリ「弦打!勢威に酒を飲ますとどうなるか覚えてないのか!?」

弦打「あ」

長道「え?」

勢威「くそ!俺だってなあ、気にしていないわけないだろう!」

勢威「奇居子が出現してから艦長に無理無茶を押し付けられるし、谷風!」

長道「はいっ!?」

勢威「お前はたびたび命令違反をするし!あげくの果てには仕方ないとはいえ司令補を降ろされ…」

勢威「いい子だとはわかってる!しかし、あんな年の娘にとってかわられるなどと!」ガンガン

長道(纈のことだ…)

勢威「くそ…」グスグス

弦打「な、泣くなよ…お前衛人操縦士の中じゃトップクラスだろ?」

勢威「くそおおおお」ブワッ

サマリ(苦労してるんだな…)

つむぎ「谷風さんもさすがにまいったようで元気のないようすで帰ってきました」

つむぎ「勢威さん、これからも頑張ってください…」


イザナ(そんなに苦労してたんだ…)ペラッ

書き貯めが尽きました
装填してくるので待ってください

はえーよ

薫っで誰だっけ
あの中性疑惑の金髪カールだったかな

中性から男の子になったやつだな

~3日目~

つむぎ「今日は1日目と変わらないような普通の日でした」

つむぎ「…そして日記を書くうちに気付いたんです」

つむぎ「こういう日が続いてしまうと、書くことがなくなっていくんですね」


イザナ(あ、これありがちなやつだ)

つむぎ「代わりに今日はすこし気づいたことでも書き連ねていくことにします」

つむぎ「実はこの3日間で私は谷風さんには法則性が存在する行動が1つあることに気付きました」

つむぎ「注意深く見ているとお昼ご飯のときにはいつも1度は端末をいじっているのです」

つむぎ「そっと近づいて下から見ていると…どうやら外生研との通信履歴を確認しているようでした」


イザナ(それってもしかして…)

イザナ(長道、あのエナがいたころのことを無意識に?)

つむぎ「谷風さんが外生研に何か用事があるとは思えません、どちらかというと技術班の人達に呼び出されますし」

つむぎ「過去に何かあったのでしょうか…」


イザナ(あのエナ標本はつむぎの母体になって…)

イザナ(長道、つむぎ…こんなに変な縁ってないよ)

イザナ(つむぎはよく知らないみたいだけど、そのことを知ったら…)

イザナ(…ただ日記を覗くはずなのになんでこんなにしんみりしてるんだ、次だよ次)ペラッ

~4日目~

つむぎ「今日は朝から纈さんが大騒ぎです」

つむぎ「プラモデル用のパーツをなくしたと言っていました」


纈「谷風さん!らしきもの、ほんとにどこにもないんですか!?」

長道「ない…いったいどこにあるんだろ」

イザナ「そもそもそれでなきゃダメなの?新しく買いなおせば…」

纈「ダメに決まっているでしょう!フルスクラッチなんですよあれは」

イザナ「何それ?」

纈「完全自作ってことです、あああなんで組み上げ前に全部作ったのか…私がこんなミスするなんて!」

つむぎ(…あれ?管の中に何かひっかかってる)ゴソゴソ・・・ニョロン

つむぎ「コレですか?」スッ

纈「それ…!やったああああつむぎーっ!」ダキッ

つむぎ「ええっ!?」

長道「よかったね纈」

イザナ「じゃあご飯にしようよ、なんだか朝からどっと疲れた…」ハァ

纈「つむぎ!お礼と言ってはなんだけど…」

纈「…壊さないんであれば、また私の部屋に来てもいいからね」

つむぎ「え…はいっ!」

つむぎ(やった、許してもらえたんだ…♪)

つむぎ「谷風さんとは関係ないですが、嬉しかったので書いちゃいました♪」


イザナ(かわいいなあつむぎ)ペラッ

~5日目~

つむぎ「とうとう来ました、谷風さんとスケジュールの合う休みの日です」

イザナ(来た…!)

つむぎ「朝ごはんを終えた谷風さんは何やら大きめのバッグや釣竿などいろいろなモノを用意し始めました」

つむぎ「まるでキャンプにでも行くみたいです…」

つむぎ「そうして私以外の目が離れたころに谷風さんはこっそり家を出て行きました」

つむぎ「どこへ行くのかといろんな旧管を通って追いかけていくと…」

つむぎ「なんとあの誰も入り込んでいかないはずの、あの旧転換炉管の間に入っていったんです!」

イザナ(そんな所に入って行ったら絶対に帰ってこれないはずなのに…!)

イザナ(…いやでも、長道って地下育ちじゃないか)

イザナ(もしかして)ペラッ

つむぎ「普通の人ならどこともわからず迷ってしまうような場所と聞いていたんですが」

つむぎ「谷風さんはまるで全部知っているかのように迷いなく奥へ奥へと歩きます」

つむぎ「暗闇のなかでもなぜか配電盤の位置がわかっているみたいで、すぐに灯りを付けてまた奥へと進んで」

つむぎ「気づけばどんどん下へ下へと進んでいきます」

イザナ(やっぱり、長道は地下の事はなんでもわかるんだ)ペラッ

つむぎ「お昼時になると釣竿を構えました、辺りは水のある場所で」

つむぎ「しばらくして白い大うなぎを釣り上げると、そのまま火を起こして食べてしまいました」

つむぎ「釣竿は昼ごはんのためだったみたいです…」

イザナ(あれおいしいの?)ペラッ

つむぎ「そうしてようやく谷風さんは少し広い空間に出ました」

つむぎ「そこで私が見たものは…」


長道「ただいま」ガチャ

「」

長道「………」

長道「この日のために上からここに来れる道をちゃんと調べておいたんだ」

長道「いろいろ持って帰りたいものもあるし」

長道「ちゃんと報告もしておきたかったからさ」



長道「じいさん」

「」

長道「最近少しだけ落ち着いてきたんだ」

長道「じいさんがもし生きてて上に行ったら変わりようにびっくりすると思う」

「」

長道「俺、衛人操縦士になれたよ」

長道「仲間もたくさんできた、たくさん勉強して、うまいものもたくさん知った」

長道「好きな人も…できた」

長道「………」ググッ

長道「俺、がんばってると思う」

長道「じいさんの斎藤ヒロキって名前も調べた」

長道「昔のシドニアの英雄だったんだってね…すごいな」

長道「俺も今はそう呼ばれるよ」

「」

長道「ありがとう、じいさん」

長道「俺、一人で戦える」

長道「…持ってきたいもの持って、帰るよ」スタスタ


つむぎ「…何も言えません」

つむぎ「私がこうして覗いていいものではなかったんです」


イザナ「長道…」

つむぎ「纈さんには悪いのですが、日記は今日でおしまいにします」

つむぎ「もともと人をつけてまわるのはいいこととは言えないものでしたし」

つむぎ「…触れちゃいけない部分があることもわかりました」

つむぎ「最後に斎藤ヒロキさんに」

つむぎ「谷風さんは強い人です、きっと大丈夫です」

つむぎ「私たちも一生懸命守ります、だから…安らかに眠っていてください」


イザナ(………)パタン

イザナ(見なかったことに、するべきだよね)スッ…ガチャガチャ



―――

―――――


長道「仮象訓練装置も久々だな」

長道(じいさん、俺、シドニアを守り抜きます)

長道(今の俺は、シドニアの騎士ですから)グッ



タ ビ ハ
ツ ヅ ク

終わりです
長道はこんなこと言わないと思いましたがそのまま書きました
HTML化してきます


シドニアSSは初めてだがうまくまとまってたよ
1週間(大嘘)だったけど

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