唯「純ちゃんにドーナツを食べさせてみた」(13)

>純の家

純「もしもし、憂?」

憂「純ちゃん、起きてた?」

純「うん。まだ起きてたよ」

憂「今度の土曜日…つまり明日なんだけど、家にこれる?」

純「急だねー。別にいいけど」

憂「そう。良かった。じゃあ明日の――」

純「――」


ピッ♪


純(そういや用件を聞いてなかった…)

純(まぁいっか)

>唯の家前

ピンポーン♪

唯「いらっしゃい純ちゃん!」

純「唯先輩? 帰ってきてたんですか?」

唯「うん。昨日の夜の電車帰って来たんだよ」

純「憂いますか?」

唯「ううん。憂はお出かけ中」

純「私、憂に呼ばれて来たんですが…」

唯「うんうん。私が純ちゃんに用があったから呼んでもらったんだよー」

純「えっ、唯先輩が?」

唯「うん。どうぞ中に入って」

純「おじゃましまーす」

唯「3・2・1・じゃーん」

純「ど、どーなつ……」ジュルリ

唯「今日はね、純ちゃんのためにドーナツを用意したんだ」

純「えっと……理由を聞いてもいいですか?」

唯「理由なんてないよ」

純「えっ」

唯「理由がいるなら、日頃の感謝の気持ちを込めてかな」

純「私、唯先輩に感謝されるようなことしましたっけ?」

唯「してるよ。はい、座って座ってー」

純「えーっと。まぁいっか」

純(私唯先輩になにかしたっけ?)

唯「とりあえず食べよう」モグモグ

純(もう食べ始めてる…ええぃ、こうなったら私も)パク

純「こ、これあ」モグモグ

唯「おいひーでひょ」モグモグ

純「おいひしゅぎます」モグモグ

唯「むひちゃんにねー、おいひーみしぇおしえてもらったの」ゴクン

純「な、なるひょど」モグモグ

唯「あっ、こっちの抹茶のおすすめ」パク

純「わ、私も食べます」ゴクン パク

唯「じゅんしゃん。慌てなくてもまだまだありゅから」モグモグ

純「そういってゆひせんぱいも食べてりゅじゃないでしゅか」モグモグ

唯「ほんとうにおいひいね」モグモグ

純「たかかったんしゃ」モグモグ

唯「一つ80円」モグモグ

純「や、やしゅっ……げ、げほげほ」

唯「じゅ、じゅn……げ、げほげほ」

純「げほげほ」

唯「げほげほ」


憂「ただいまー。…ってお姉ちゃん純ちゃん! 大変!!」

―――

純「いやー、助かったよ、憂。危うくドーナツを喉に詰まらせて死ぬところだった」

唯「憂は命の恩人だね」

憂「笑い事じゃないよ…」

唯「ごめんごめん」

純「あのー、今日は本当に私がドーナツ食べるためだけに呼ばれたんですか?」

唯「うん。そうだよ」

純「でも、どうして?」

唯「それはね、いつも憂とあずにゃんがお世話になってるからだよ」

純「憂と梓が? 梓はともかく、憂は逆じゃないですか」

憂「そんなことないよー。純ちゃんが傍にいると楽しいから」

純「う、憂//」

唯「うんうん。いつも憂の傍にいてくれてありがとう、純ちゃん」

純「そ、そんな」

唯「それにね、あずにゃんの友達でいてくれてありがとう」

純「えっ」

唯「私達…あっ、りっちゃんと澪ちゃんとムギちゃんと私ね」

純「はあ?」

唯「ずっと気にしてたんだ。あずにゃん一人だけ軽音部に残してしまうこと」

唯「でも純ちゃんがずっと友達でいてくれたから、大丈夫だろって思えたんだよ」

純「私はただ、梓の友達でいただけです」

唯「うんうん。純ちゃんはそれでいいんだよ。はい、あーん」

純「ゆ、唯先輩//」

唯「もうドーナツいらないの?」

純「う、憂。助けてよ」

憂「純ちゃん、あーん」

純「憂までっ!」

―――

唯「もう食べられないよ‥」

純「あっ、いらないなら貰います」モグモグ

憂「純ちゃんよく食べるねー」

純「だってドーナツだよドーナツ。それもこんなに美味しい」

唯「純ちゃんは本当にドーナツが好きなんだね」

純「はい」

憂「そういえば純ちゃんはどうしてドーナツが好きなの?」

純「うーんと」

唯「うん?」

純「特に理由なんてない…かな」

憂「そうなの?」

純「もしかしたら、穴が空いてるからかもしれません」

唯「穴?」

純「なんか面白いですし」

唯「そっかぁ。ね、純ちゃん。ちょっといい」

純「なんですか?」

唯「ちょっと私の足を掴んでくれる?」

純「こうですか?」ヒョイ

唯「そして私が純ちゃんの足をつかむ」ヒョイ

純「こ、これは」

唯「人間ドーナツ!」

憂「わー」パチパチパチパチ

唯「さ、憂。この間をくぐって」

憂「う、うん」

純(なんだこれ…)

憂「くぐればいいんだよね?」グイグイ

唯「今だ!」

純・憂「えっ」

憂「きゃっ」

唯「えへへー。憂をドーナツサンドだよ」

純「は、はぁ…」

憂「は、はうぅ//お姉ちゃんっ///」

純(なんだか憂が色っぽい)

憂「じゅ、純ちゃん。そろそろどいて…//」

純「うーん。もうちょっとこのままでいようか」

憂「純ちゃん//」

純「なんだろう、いけないことしてるような」

唯「えへへー。ねぇ、純ちゃん。ドーナツって素敵だね」

純「はい。ドーナツは最高です」

憂「//」



おしまい。

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