義足姉「お姉ちゃんのせいでいじめられてるの?」 (72)

弟「お前のねーちゃん足なしオバケって言われたぁー!」

義足姉「そうなの、ごめんね」

弟「おねーちゃんのばか!死んじゃえ!!!」

義足姉「ごめんね、本当にごめんね」

いじめっ子「犬のうんこ食えよーwwwお前人間じゃないんだから食えるだろー?」

弟「そっ、そんな……」

義足姉「こらー、何やってんの!」ヒョッコヒョッコ

いじめっ子「うわー!!!からかさおばけが出たぞー!!!」

いじめっ子達「逃げろーwwwww」

義足姉「はぁ……はぁ……あ、あの子達足速いね……私じゃ追いつけない……」

弟「……でだよ」

義足姉「え?」

弟「なんでお前みたいなのがねーちゃんなんだ!」グイッ

義足姉「きゃっ!」ドテッ

弟「こんな……こんな偽物の足ー!」ガチャッ ポーイ

ドボーン

片足姉「あっ、ああっ!私の足がっ!」

弟「ふんっ!」スタスタスタ

片足姉「ち、ちょっと待ってよ弟!歩けな……待ってぇ!」

弟「……」モグモグ

母「ねえ、義足姉どこに居るか知らない?」

弟「知らないよっ!」

母「あらあら……連絡ぐらいすればいいのに」

弟「ふん……」モグモグ

ガラッ ザーザー

母「まさかこんな大雨の中で外で遊んでる訳はないだろうし、友達の所かしら……」

弟「zzz……」


母「……はい、え?病院?」

母「す、すぐに行きます!」

母「弟!起きなさい!」

弟「えっ!?な、なに!?」ビクッ

母「着替えなくていいから今すぐ病院に行くわよ!」

弟「えっ……病院……?」

母「義足姉の様子はどうなってるんです!?」

医者「非常に危ないです……雨に打たれ続けて……」

母「そんな……あの子、体が弱いのに……」

弟「……」

医者「それから……非常に言いにくいのですが、複数人に……その、乱暴された後があって……」

母「なっ!? なんで……あの子がそんな目に……」ボロボロ

弟「……?」

医者「とにかく、声をかけてあげてください……」

片足姉「はぁ……はぁ……」

母「あ、あんた……どうしてこんな……義足はどうしたの!?」

片足姉「はぁ……はぁ……」チラッ

弟「……」ビクビク

片足姉「……生きるのに疲れちゃって……それで」

弟「!」

母「な、あ、あんた……!」

片足姉「やけになって、義足は川に流しちゃった……えへへ……」

母「あんたって子はぁ……!」

弟「……」ホッ

弟「おっ、レアアイテムゲット!」ピコピコ

母「……」ガチャン

弟「あ、お母さんお帰り! ねえ、おねーちゃんいつ帰ってくるの?」

母「……弟、そこに座りなさい」

弟「!」

母「……」

弟「……あ、あの、ボク、何かした……?」

母「……」グスッ

弟「……もしかして、おねーちゃんのこと……?」

母「! ……そうよ」

弟「ひっ……あ、あの、ボク……」

母「義足姉が死んだわ」

弟「……え?」

母「……弟!」ギュッ

弟「え?」

母「ううっ……なんであんないい子が死んじゃったのよぉ……」ギューッ






弟「え?」

―十年後

弟「おぉ?レアアイテムゲットォ!へへへ、これで今週のランキングも一位だぁ!」カチカチ

母「……あんた」

弟「あぁ!?なんだババア!入ってくんじゃねーよ!!」

母「……今日、何の日か覚えてないの?」

弟「はー?何の日でちゅかー?あ、それより金もっとよこせよな!たった三万円じゃ足りねーよ!!」

母「……今日は、義足姉の命日よ」

弟「えっ?ふ、ふーん?だから?」

母「……はぁ」

母「あんたが死ねば良かったのに」

バタン

弟「……は?」

弟「は?は?は?は?何それ?それが親の言う事かよ!?」

弟「全部自業自得だろうがぁ!?俺がいじめられてたから、こうなって……!」

弟「姉ちゃんが死んでからは死人の弟だって……俺はずっとあいつに苦しめられて……」

弟「……それで、遠くの中学に上がってからは……性格や見た目のことで虐められて……」

弟「俺、俺……」

弟「結局、虐められてたのは姉ちゃんのせいじゃなかったんだよな」

弟「全部自分のせい……姉ちゃんの事はただの都合の良い口実だったんだ……」

弟「なのに、俺は……死ぬ間際まで俺を気にかけてくれてた姉ちゃんを、憎み続けて……」

弟「……よし、準備出来た」ギュッギュッ

弟「俺は、姉ちゃんのいる天国には絶対行けないけど」

弟「バカな俺にはこれしか、姉ちゃんへの謝り方がわからないから……」

弟「……ふーっ、ふーっ、ふーっふーっふーっ」

弟「っ……!」ガタン

弟「っっ……! げっ……!! がっ…!! ……っ……!!」ギシッ……ギシッ……

ブラ……ブラ……

弟「……」ブラ…ブラ…

―――

弟「おねーちゃーん!見てー!どろ団子ー!」

キキキキィィー!!!!

弟「あ……」

姉「弟っ!!危ない!!!!!」ドンッ

ズシャアアアア


弟「いたた……おねーちゃん?」

片足姉「……お、とうと……?」

弟「お、おねーちゃん?片足が……片足がぁ!うわーん!!!」

ピーポーピーポーピーポー

片足姉「大丈夫……大丈夫だからね……救急車来たから……」

―――

弟「……………」

おわり

義足姉「お姉ちゃんのせいでいじめられてるの?」

最強弟「お前のねーちゃん足なしオバケって言われたぁー!」

義足姉「そうなの、ごめんね」

最強弟「おねーちゃんのばか!死んじゃえ!!!」

義足姉「ごめんね、本当にごめんね」

義足姉「私のせいで弟がいじめられてるなんて……」ヒョコ……ヒョコ……

義足姉「……転校、させてもらおっかな……通学は大変になるけど……ん? あれは……」


いじめっ子「犬のうんこ食えよーwwwお前人間じゃないんだから食えるだろー?」

最強弟「……」

いじめっ子「おいおい何だその目は?オバケの弟のくせに!!」

最強弟「……ねーちゃんは、ねーちゃんはオバケなんかじゃない!!!」

いじめっ子「わっ!な、なんだ!?逆らう気か!?」

最強弟「うわぁーーっ!!ねーちゃんをバカにするなぁー!!!」

最強弟「ねーちゃんは、周りの人とはちょっと違うけど、優しくて頭が良くて、とってもいいねーちゃんなんだぁーっ!!」

いじめっ子「な、なんだこいつ……おい、もう良いから行こうぜ!」

最強弟「はぁっ……はぁっ……バカにするな……ねーちゃんを……バカに……」


義足姉「……弟っ」ジーン

最強弟「ただいま……」

義足姉「あっ、弟!うふふ、ホットケーキ焼いたよ?食べる?」

最強弟「……ふんっ、ねーちゃんの焼いたホットケーキなんかいらない!」

義足姉「へぇ……いらないのー?」ニコニコ

最強弟「……どうしてもって言うなら、食べる」

義足姉「うふふ……うん、お姉ちゃん、弟にどーしても食べてほしいなぁ」

最強弟「じゃあ、食べる……」パクッ

義足姉「どう?おいしい?」ニコニコ

最強弟「……ふつう」

義足姉「普通かぁ……おねーちゃん、弟に美味しいおやつ、作れるように頑張るねぇ」

最強弟「……」モグモグ

義足姉「うふふ……」ニコニコ

だがそれは死にゆく弟が頭の中で思い描いた幻想だったのだ

おわり

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