侍「…困った」(8)


見渡す限りの草原を1人着物姿の男が歩いていた

身長は180・ほどで、長い黒髪を後ろ手に縛り、身の丈ほどの野太刀を腰に携え引きずりながら正面に向かってひたすらに歩く

侍「そろそろ町の一つでもねえかなぁ…」

この大陸に漂着してからすでに三日目なので、さすがに寝床で朝を迎えたいところだ


さらに数時間歩き続け、四つ持ってきている瓢箪は一つを残して底をついてしまった

侍「あー…だりぃ………おっ!やっと町が見えてきたな」

丘を越えた先に周囲を10メートルほどの城壁に囲まれた石造りの大きな町が現れた

初めて見る他国の町への期待が侍の足を自然と急がせた


一番近くの入口らしき扉の前近づくと、銀色の甲冑を着て剣を腰に下げた男が二人侍の前に立った

門番「おい、貴様どこから来た」

侍「倭」

門番「わ?なんだそれは?」

侍「俺の国の名だ」

門番「おい、お前倭って聞いたことあるか?」

門番2「さぁ?知らね」

侍の国は元々島国であった上にほとんど他国との交流が無いため、一般人は知らないのは仕方のないことである

門番「…まあいい。ここら辺の国の者でないことは服装から分かる。通っていいぞ」

侍「…ありがとう」

侍は門番の言葉に少し引っ掛かるものがあったが考えるだけ無駄と町へ入っていった


侍「なんだここは」

町の大通りには多くの露店が並び、見たことのない武器、防具、食材などが並んでいる

自分の国から出たことのない侍にはあまりに衝撃的だ

侍「すげぇ…あの肉とかうまそうだな」







侍「おっちゃん、この肉いくらだ?」

そう話しかけると、店の主人は笑顔で返事をした

肉屋「いらっしゃいお客さん!この肉は200gだよ!他のところよりずっと安いよ!」

侍「g?なんだそれ」

肉屋「なんだお客さん、どこの田舎から来たんだい?gって言ったらほとんどの国の通貨じゃねぇか」

侍「へー、んなもん持ってねぇな」


肉屋「じゃあこのまま真っ直ぐ行った先の右手側に大きい建物があるからそこで仕事でももらいな」

侍「あぁ、ありがとう。世話かけたな」

肉屋「いいってことよ!金が入ったらまた来な!」

侍「くくっ、わかった」

侍は肉屋の主人に軽く会釈をして再び歩き出した


しばらく歩くと、[クエスト依頼所]と書かれた巨大な看板を構えた大きな建物にたどり着いた

侍(ここか?くえすとの意味は分からねぇが取り敢えず入ってみるか)

彼は木でできた扉をゆっくりと押し開いた




扉の先はたくさんのテーブル、椅子が置いてあり、正面の一番奥には大きな掲示板と受付がある

侍は真っ直ぐ受付にいる女の所まで歩き、こう切り出した

侍「滅茶苦茶稼げる仕事ない?」


受付「まずどういった依頼をお求めでしょうか?」

侍「えーと、どんなものがある?」

受付「討伐、護衛、採集です」

侍「じゃあ討伐で」

受付「ランクはどういたしますか?」

侍「らんく?」

受付「はい、上からa~fまでございます」

侍「んじゃびーで」

受付「お客様はギルドやパーティーにはご加入されていますか?」

侍「え?いや…」

受付「人数は多い方が依頼も容易になりますので気が向いたらパーティーにでもご参加下さい」

侍「はい、どーも」

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