勇者「女勇者ってのがいるらしい」(160)

勇者「というわけで今から会いに行こう」

魔法使い「突然なにを言ってるわけ?」

戦士「今すぐといっても・・・、俺らはともかく女性二人を血なまぐさい姿のまま連れ歩くわけにはいかんだろう」

僧侶「そうです、たったいま四天王の二人目を倒したばかりじゃないですか」

四天王の二人目「」

勇者「いやいや、女勇者ですよみなさん」

僧侶「それが・・・?」

勇者「勇者の使命を胸に秘め、女性でありながらも勇敢に魔物に立ち向かう姿!」

勇者「これを崇拝せずして何を崇拝する!?」

魔法使い「こいつ・・・」

戦士「まぁ、なんにしてもまずは街にもどって報告だ」

勇者「ッ! そうだなまずは街にもどって褒美をもらわないとな!カワイイ子と遊ばないとな!」

魔法使い「こいつ・・・!」

僧侶「そうとは限りませんよ!ご苦労様ではさようなら、となるかもしれません」

勇者「・・・それはいくら勇者とはいえ悲しい」

―街の王宮―

王「ご苦労であった勇者よ!」

勇者「これも平和のため、当然でございます」

王「そう謙遜するでない、お前たちのおかげでこの街は救われた」

王「たいしたことはできんがこの王宮でお前たちをもてなそう」

王「戦いの疲れを存分に癒してほしい」

勇魔戦僧「ありがとうございます」

勇者「よっしゃー!女の子はべらすぞ!」

王者「おい、ちょっとまて、勇者」

勇者「その瞬間を見切ってオレは剣で敵の魔法ごと魔物の体を両断したんだよ!ズバッってね」

 スゴーイ! ユウシャサマッテツヨイノネ! カッコイイワ!

魔法使い「またあいつは・・・」

僧侶「勇者様は本当に・・・」

魔僧「ハァ・・・」

戦士「すまないが、酒はもうないのか?」

コック「は、はい!今お持ちします!」

センシサマノオハナシモキカセテー!

戦士「わるいが故郷に戻るまでは酒と剣が恋人なんだ、おしゃべりは勇者としてくれ」

エーッ! ソンナー!

僧侶「ゆうしゃさまの・・・ばらー!」フラフラ

魔法使い「ちょっと!大きな声ださないでよ、宿に着くまで黙ってて!」

戦士「お前も声がでかい、気をつけろ、もう夜も更けた」

魔法使い「そ、そうね・・・、ちょっと私も酔ってるのかも」

戦士「お前まで酔うのはめずらしいな・・・」

魔法使い「あの節操のない勇者のせいよ、見ててイラつくんだから、その上今度は女勇者だとか」

戦士「勇者はまた・・・?」

魔法使い「どうせどっかの女と乳繰り合ってんでしょ、案外お姫様とかに手ぇだしてたりしてね」

戦士「それはさすがにないだろう・・・」

魔法使い「もう、なんで私がイラつかなきゃいけないのよ!」

僧侶「そうらー、ゆうしゃさまのばらー!」

魔法使い「うるっ!・・・うるさいからしずかに」

勇者「君は本当に美しい・・・」

「そんな・・・恥ずかしいです勇者様・・・」

勇者「オレは君と出会うために世界を救おうとおもったのかもしれない・・・」

「そんな///」

勇者「そんな君とめぐり合えた証を・・・いいかな?」

「あっ///いけません勇者様・・・ダメ・・・アッ」

―翌朝―

勇者「よう、おはようみんな!」

魔法使い「そんなこんなで一番に支度を整えてるのが不思議で仕方ないわ・・・」

僧侶「アタマが・・・おはようございます・・・ゆうしゃさま・・・」

戦士「おい・・・大丈夫か?」

勇者「あぁ大丈夫だ、ちゃんと姫には置手紙をしてきた」

魔僧戦「」

魔法使い「で?この前言っていたのはなんのこと?」

勇者「?」

魔法使い「女勇者がどうとか」

勇者「あぁ、何でも西のほうで四天王の一人を倒したらしい」

僧侶「ほんとですか!?私たちのほかにもそんな方が・・・」

魔法使い「だからって会いに行く必要もないんじゃない?」

勇者「薄情だな、同じ志を持つもの、同志だ、協力してもいいじゃないか」

魔法使い「本音は?」

勇者「女勇者ちゃんのわきペロペロしたい」

魔法使い「おぉ・・・予想を上回ったわ」

戦士「ちなみにそれはいつごろのことだ?」

勇者「話をきいたのは10日ほど前で、だから・・・ちょうど1月前くらいのことだと思う」

勇者「だからオレたちが倒したのは四天王の三人目だった、てことだな」

戦士「そうか、西のほうなら先を越されたかも知れんな」

僧侶「それはどういう・・・?」

戦士「四天王の最後の一人、だ」

四天王の最後の一人「グゥゥゥゥ!オノレ!ニンゲンイッピキゴトキニ!」

女勇者「私は勇者です、 四天王の最後の一人 よ、人間如きと侮るべきではなかったですね」

盗賊「女勇者ちゃん!つかまってた街のひとはみんな逃がしたよ!」

武闘家「賢者の詠唱も終わる! 四天王の最後の一人 の近くは危険だ!女勇者、下がれ!」

賢者『贖罪の杯は熱き涙で満ちた、今こそその体に浴びせるとき』

女勇者「それでは、地獄で後悔してください」バッ!

賢者『灼熱の涙!』ピカッ!

四天王の最後の一人「オノレェ・・・オノレェェェェェェェェッ!   」

―近隣の街―

長「本当に、 四天王の最後の一人 を倒していただき、みなさんありがとうございました!」

女勇者「これも平和のため、当然のことです」

長「そんな! 謙遜はおよしください、女勇者様のおかげです」

長「ぜひともお礼をさせてください」

女勇者「いえ礼には及びません、先を急ぐ旅です。一晩宿をお貸しください、それで結構」

長「そんな! 四天王の最後の一人 を倒し、みなを救ってくださったのに!」

女勇者「 四天王の最後の一人 を倒すのも私の使命です、ですから・・・」

武闘家「本当にいいのかよ、 四天王の最後の一人 をたおしたんだぞ?」

賢者「武闘家さん、 四天王の最後の」

盗賊「ちょっと、なんでみんなそれ言いたがってるの?」

―宿屋―

賢者「盗賊さん・・・わたし、ちゃんといえなかったじゃないですか」

盗賊「しらないよ! みんなどこが気に入ったの!?」

武闘家「そんなことより、もてなしもないならもう寝るぞ」

女勇者「はい、明日の早朝にでましょう」

盗賊「ところで女勇者ちゃん、もう一人の勇者のことだけど・・・」

女勇者「えぇ、聞けばわれわれより先に四天王の一人を倒していたと・・・」

女勇者「やはり一度会って話をする必要がありそうですね」

盗賊「だよね。それで 四天王の最後の一人 を倒したってことになったんだし」

賢者「あっ! ずるいです!」

盗賊「あれ?」

―港町―

勇者「海がきれいで良い町だ」

僧侶「えぇ、この海の向こうに魔物が大量に住み着いているとは思えません」

戦士「海・・・か。船は苦手なんだがな」

魔法使い「へぇ、戦士にも弱点はあるのね」

戦士「ん、意外か? 弱点なんか誰にでもわりとあるもんだ」

勇者「オレは船平気だよ魔法使い! 弱点ないよ!」

魔法使い「弱点は無くても欠点がひどいわ、あんたは」

勇者「」

僧侶「とりあえず船着き場にいきましょう、勇者様」

女勇者「海がきれいで良い町ですね」

盗賊「女勇者ちゃんのほうがきれいだよ!」

女勇者「ちょ、ちょっとやめてください盗賊さん」アセアセ

盗賊「照れてる、カワイー!」キャッキャッ

武闘家「海くらいではしゃぎやがって、なぁ賢者?」

賢者「イヤッホーイ! 水着美女がいますよ! 武闘家さん!」

武闘家「お前本当に賢者かよ!」

賢者「極めれば極めるほど物事は原始的になるのです」

武闘家「さ、悟りってやつか・・・捨ててしまえそんなもの」

女勇者「ま、まぁとにかく! まずは船に乗らなければいけません、いきましょう」

―船着き場―

勇者(ここが船着き場か、でも・・・)

女勇者(船はあるが・・・なにかトラブルか・・・?)

「おい、船を出せないたぁどういうことだ!」

船乗り「すまないが魔物が暴れているようでな、とても危険で船は出せん」

船乗り「乗船予定のみなさんに腕に覚えがあるものでもいれば話は別だが」

「・・・ッチ」 「困ったな・・・」 「魔物が相手じゃな・・・」

勇者(・・・仕方ないな)ズイッ

女勇者(これも勇者のつとめか・・・)ズイッ

船乗り「・・・そこのお二人さん、前にでてきてどうしたんだい」

女勇者「腕に覚えがあるもので」

勇者(やべぇ、超きれいな人)「おなじく、しかし女性を危険にさらすこともありません」

女勇者「それは・・・、私では頼りないということでしょうか」

勇者「いえ、お仲間のみなさんも大変よい腕前をお持ちのようです」

女勇者(! へぇ・・・)「ありがとうございます、あなた方もそのようですね」

勇者「まぁ、これでも勇者をやっているので」

女勇盗武賢「「「「えっ!?」」」」

船乗り「へぇ! 勇者様かい、こりゃ頼もしい。なら船は出しても安全だよな」

勇者「保障しましょう、必ずや皆さんを守り抜きます」

「おぉ、兄ちゃんかっこいいぞ!」 「勇者様なら安心だな!」

魔法使い「また面倒なことになりそうね・・・」

勇者「いいだろー? 勇者ってそういうもんだ」

イカリヲアゲロー! ホヲハレー! シュッコウダー! 

女勇者「驚きました。まさかあなたが勇者だなんて・・・」

勇者「あはは、あまりそうは見えませんかね?」

女勇者「いえ、そういうわけではなく・・・」

盗賊「まぁちょっと頼りなさそうかなぁ、顔はいいけど」

女勇者「と、盗賊さん。どうもすみません・・・」

勇者「いえ、いいんです。それに私も驚かされたことがあります」

女勇盗賊「?」

勇者「あなた方の、美しさに・・・です」

女勇盗賊「」

武闘家「なんだこいつ・・・」

戦士「いや・・・すまん。病気みたいなもんだ」

魔法使い「陸でも海でも変わらないのね・・・」

賢者(海きれー・・・あ、いるかだ! はじめて見た!)

賢者かわいい






性別どっちか分からんがかわいい

勇者「ここでお会いできたのも何かのご縁」

勇者「ながい船旅です、お酒でも飲みながら少しお話しませんか?」

盗賊「いや、魔物も出るって言ったし、お酒はちょっと・・・」

勇者「お二人とお話をすることのほうが重要です!」

武闘家「言い切ったな」

僧侶「勇者様・・・」

勇者「どうです? 見たところ皆さん冒険者のようですね。お話をぜひともお聞きしたい」

武闘家「俺らはいらないだろ」

勇者「何をいってるんです、あなたもお美しい、もしよろしかったらご一緒願えますか?」

武闘家「なっ!」

戦士「女性だったのか、毎度毎度よく分かるな」

魔法使い「それは失礼よ、でも私もちょっと気づかなかったわ」

賢者(ゆれるなー、船って。あ、やばい、なんか気持ち悪くなってきた)

女勇者「・・・そうですね、少し話をする必要がありそうです」

勇者(キタコレ!)「ありがとうございます、では船室のほ・・・」

女勇者「私は、女勇者といいます。魔王討伐を目指し、旅をしています」

勇者「・・・女・・・勇者?」

女勇者「私以外にも勇者がいるとは聞いていましたが・・・」

女勇者「思っていたような人ではなかったようです、お酒はお一人でお飲みください。では」

盗賊「あ、女勇者ちゃん!」

勇者「なん・・・だと・・・」

勇者「あぁ、女勇者が・・・夢の女勇者が・・・」

魔法使い「ざまぁみなさい」フフン

武闘家「まぁ、同情するよ、相手が悪かったな。いくぞ賢者」

賢者「オロロロロロロロロロロロロロ!」

僧侶「だ、大丈夫ですか!?」

女勇者「」ツカツカツカ

盗賊「女勇者ちゃん、もう少し話を聞けばよかったんじゃない? せっかく勇者と会えたのに」

女勇者「ウッ・・・ですが・・・」

盗賊「やっぱ、期待してたの? 勇者に」

女勇者「いえ、そういうわけでは・・・」

盗賊「期待しちゃだめだよ? 勇者は世界に一人なんだから。女勇者ちゃんがいるからあっちは偽者」

女勇者「ですが・・・二人いる、ということもあるのかもしれません」

盗賊「まぁね、でもわからないなら信用はしないほうがいいよ。悪人ってわけじゃないと思うけど」

女勇者「・・・そうですね」

武闘家「おい、こいつなんとかしてくれ」

賢者「」

勇者「女勇者ちゃん・・・女勇者ちゃんが・・・」

魔法使い「あんたまだ言ってんの? ま、日ごろの行いってやつね」

勇者「うぅ」

僧侶「戦士さん、大丈夫ですか?」

戦士「少しな・・・だが魔物との戦いは足手まといになるかもしれん」

勇者「まぁそんときゃいいさ、オレ一人でなんとかする」

魔法使い「向こうに女勇者ってのもいるしね」

僧侶「ですが、本当にいらっしゃるとは・・・勇者は一人では無かったのですね」

魔法使い「まぁ怪しくない、ってことはないわね」

勇者「向こうがそう名乗ってんだ。きっとそうなんだろ」

魔法使い(でも、原則として女神様の祝福を受けられるのは一人のはず・・・)

魔法使い(ただし、昔の知識だし確信はない、島についたら確認を取りたいわね・・・)

船乗り「おい、勇者様。そろそろ魔物が目撃された地点だ!頼りにしてるぞ!」

勇者「来るか・・・」

戦士「おい・・・なんか船の揺れが大きくなってないか?」

僧侶「準備をしましょう、一応女勇者様にも伝えてきますね!」

魔法使い「気をつけて!できれば協力をお願いして、戦士のカバーも必要だし」

僧侶「はい! では・・・ナッ!?」 ザパーン!!!

勇者「でかいな・・・」

大王イカ「」ヌメヌメ

勇者「おい!悪いがここを通してもらえないか!?」

大王イカ「」ヌメヌメヌメ

船乗り「あんたなにやってんだ!?魔物に言葉なんか通じるか!」

女勇者「勇者!」

勇者「あぁ女勇者ちゃん! 戻ってきてくれたんだね!?」

盗賊「いつまでふざけてんの!? こんな大きな魔物気づかないわけ無いでしょ!」

魔法使い「ふざけてるわけじゃないのが問題なのよね・・・」

女勇者「こちらは賢者が船酔いで戦えません、協力してもらえませんか?」

勇者「そうか・・・こっちも戦士が万全じゃない、協力しよう。僧侶は防御魔法を頼む。船がやられるとまずい」

僧侶「はい!」『小鳥が鳴く、巣の中、木漏れ日、木立ちの影』

僧侶『一時の休息』パァ!

女勇者「敵は海上です、私が時間を稼ぐので攻撃魔法を使える方は詠唱をお願いします」

盗賊「あたしはみんなを避難させるね、あなたは魔法得意っぽいね?えーと」

魔法使い「魔法使いでいいわ、でも・・・」

勇者「いや、頼むぞ魔法使い」

魔法使い「! いいのね。じゃあカバーよろしく」

勇者「いくぞ、イカ! 無理やりにでも通してもらう!」

大王イカ「」ヌメヌメヌメヌメヌメヌメヌメヌメメ!!!!

武闘家「くるぞ!」

大王イカ「」ブォン!

船乗り「うわぁぁ!」

戦士「クッ、このくらい!」ズバッ!

勇者「あんま無理すんなよ、今魔法唱えるから」

戦士「だが魔法使いが魔法を唱え終えるまで攻撃手段がな・・・」

女勇者『ボルト・スピア!』

大王イカ「!!!」ヌメヌメーン!!!

勇者「おー。雷の槍かー、かっこいいな・・・よし!」

勇者『魂を燃やす!』

女勇者(! 体が軽く・・・これはありがたい!)

盗賊「戦わない人はこっちに避難してー!魔物を刺激しないようにー!」

武闘家「あんたは俺がカバーするから安心して・・・聞いてないな」

魔法使い『・・・手の届く先へ、腕を伸ばす。目の端で地平線が曲がる・・・』ブツブツ

大王イカ「」ブォォォ!

女勇者「ふんっ!」スッ

女勇者「はぁ!」ズバァ!

大王イカ「!」ヌメヌメヌメヌメ!

僧侶「女勇者様、踊ってるみたい・・・」

勇者「たしかにな、じゃあ僧侶はけが人の手当てを・・・っ!」ダッ!

大王イカ「」ブォォォウゥゥゥゥ!

女勇者(?どこをねらって・・・船の反対側に子供!?)

幼女「ふぇ?」

大王イカ「」ヌメヌメヌメッッッッ!

女勇者「あぶない!」

勇者「はぁ!」ズバン!

幼女「わっ!」ドタッ!

女勇者(勇者・・・)ホッ

勇者「間に合ったか・・・大丈夫?お嬢ちゃん」

幼女「」ジュン!

魔法使い『・・・夜明けが終わる、照らす光に伸びる影。手の届かぬ先・・・のっ!』ダッ!

武闘家「あ! おい、あんた!」

勇者「! 女勇者、下がれ!」バッ!

幼女(きゃっ///)

女勇者「っ!」バッ!

大王イカ「」ブオオオオオ!?

僧侶「みなさん! 伏せて!」

魔法使い『地平を溶かす!!!』カァァァッ!

       ゴオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!

大王イカ「」グギャァァァァァァァァァァァァァァ・・・!!!

とりあえず今日はここまでです。途中寝てしまったのでこんな時間になってしまいました。

ss初なんでなんか気になることがあればご指摘ください。

>>17
賢者は一応男性ですが、もしかしたらちんこもげるかも。どっちでもいいので。

―海の向こうの船着場―

船乗り「いやー助かったよ!!! あんたらすごいなほんと!」

勇者「まぁね!」

魔法使い「調子乗るな」

女勇者「たいした怪我人もなく、本当によかったです」

船乗り「いや、ほんとに! おまけにイカ焼きも大量に手に入ったし」

盗賊「あれ食べるの・・・・・・?」ウェッ

賢者「あら? 気分が優れないようですね、船酔いですか? 情けないですね!」ケロッ

武闘家(つっこまねーぞ・・・・・・ぜったいつっこまない・・・・・・!)

船乗り「もう日も落ちそうだし、あんたらもこの町で休むといいぞ、戦いの後だ、疲れてるだろ」

戦士「そうするかな、世話になった。帰りも気をつけてな」

幼女「うぅぅ、お兄ちゃん!」グスグス

勇者「お、どうした幼女?」

幼女「大きくなったらお嫁さんにして!」

武闘家「へぇ、モテモテだね」

勇者「そんな! オレは今すぐでもかまわな」ハァハァ

魔法使い「」スッ

勇者「あぁ、大きくなったらまた会おうな! バイバイ」キラキラ

盗賊「なんてさわやかな笑顔」

戦士「若干引きつっているけどな」

女勇者「・・・・・・」

僧侶「とりあえず宿をとってご飯にしましょう!」

賢者「賛成!」

―港町の酒場―

女勇者「申し訳ありませんでした、勇者さん」

勇者「え!? なにが?」

女勇者「船では、失礼なことを言ってしまいました」

魔法使い「気にすることないわよ、こいつが悪いし」

僧侶「そうですよ! 勇者様がいけないのです」

勇者「そんな! 匂い嗅いだりわきなめたりしてないのに!」

盗賊「気持ち悪い・・・・・・」

賢者「武闘家さんはいいわきしてますよ」

武闘家「え/// いや、おい、お前なに言ってんだ」

戦士(賢者め、なかなかいい目をしている)

女勇者「それに、あなたはあの少女を救いました」

勇者「それこそ、気にすること無い。勇者ってそんなものだし」

女勇者「・・・・・・」

女勇者「やはり勇者さんは、私が思っていたような方ではありませんでしたね」

勇者「え」

女勇者「思っていた以上にすばらしい勇者です」

勇者「あ・・・・・・あー、いや、そんなことないっつーか」アセアセ

勇者「ちょ、ちょっと情報収集でもしてくるかな! みんなゆっくりしといて」ガタッ タッタッタッタ

女勇者「あっ」

店員「お料理お持ちしましたー」

盗賊「・・・・・・どうしたの? あれ」

魔法使い「ストレートに褒められ慣れてないのがもろに出たのかもね」

僧侶「魔法使いさんがいつもきつく当たるからですよー」クィ

戦士「まだまだ、ガキだな」グビグビ

賢者「まぁ、仕方ないですよ。女勇者さんは美人ですし」モグモグ

武闘家「意外とかわいいところがあるな」

僧侶「そうなんですよー! そこがまたいいんですよねー、ゆうしゃさまはー」フラフラ

魔法使い「ちょっと、僧侶早いわ。まだ半分よ、はいもう水で我慢して」ヒョイ

盗賊(・・・・・・)

盗賊「みんなはさ、どこから旅してきたの? 私たちは西のほうからなんだけど」

女勇者(盗賊さん・・・・・・探りを入れてる?)

僧侶「私たちはですねー、みんなはじめはバラバラだったんですよー」

魔法使い(当たり障りないけど・・・・・・向こうもこっちを疑ってるのかしら、それなら)

魔法使い「ちょっと、失礼なこと聞くわ」

武闘家「お?」

魔法使い「あなたって本当に勇者?」

女勇者「!」

盗賊「へぇ・・・・・・」

僧侶「ま、魔法使いさんなんてことを! ごめんなさい、この人酔ってるんですよ!」

戦士「そりゃお前だ」グビグビ

賢者「」モグモグ パクパク

盗賊「あなたたちも疑問には思ってたんだ」

魔法使い「まぁね、勇者は世界に一人だと聞いていたし」

僧侶「それは、そうですが・・・・・・ふ、二人でもいいじゃないですか」

戦士「そもそも勇者ってのは女神の祝福を受けるものなんだろ」

女勇者「えぇ、私も太陽と光の女神様に祝福をいただいています」

女勇者「そして、勇者さんも同じだと私は考えています」

盗賊「え、そうなの?」

女勇者「勇者さんは、先ほどの戦いで魔法を私にかけてくださいました」

盗賊「あ」

女勇者「一般的に魔法は、敬虔に神に仕え、信仰を確立した僧侶か、もしくは・・・」

賢者「万物を極めようとする賢者、自然との調和を図り、真理を追究する魔法使いにしか使えない」モグモグ

僧侶「自然との調和、真理の追求ですかー、そんなことしてるんですか?」

魔法使い「・・・・・・別に」

武闘家「つか万物を極めるってほうが疑問だ」

賢者「」モグモグ パクパク

女勇者「勇者さんの魔法は、既存の魔法とは少し違うもののようにも感じました」

女勇者「ですから、勇者さんは女神様の祝福を受けていると思われます」

盗賊「でも、太陽と光の女神様は女勇者ちゃんに・・・・・・」

女勇者「えぇ、ですから別の女神様、世界ではなく土地や地域単位の女神様であるかもしれませんが」

魔法使い「祝福は受けていると、なるほどね」

女勇者「みなさんの旅の話を聞かせていただければ、それに繋がるかもしれませんが」

女勇者「それとは関係なく、旅のお話を聞かせていただけませんか?」

武闘家「女勇者は人の話が好きだよなー」

女勇者「冒険が好きなのです、こんな話の後ですがお話いただけますか?」

戦士「じゃぁ、そうだな、最近だと四天王を倒したり、それでもてなしを受けたりしたな」グビグビ

武闘家「おぉ! やっぱな、ちゃんともてなしうけないと失礼だよな!」

賢者「私は別にいいと思いますけどね、辞退するのも勇者って感じ」パクパク

僧侶「それでですねーそのとき勇者様がー」

・・・・・・・・・・・・
・・・・・・

―とある村―

戦士「あんたは・・・・・・この村のもんじゃないな?」

勇者「衛兵さんか? オレは勇者をしてるんだ」

戦士「へぇ、勇者様か、一人旅か?」

勇者「あぁ、まぁな」

戦士「期待されてないのか?」

勇者「ちゃ、ちゃうわ! 優秀なだけじゃい」

勇者「あんたそんなこと言うなら仲間になってくれよ、剣はつかえるんだろ?」

戦士「悪いが、いま村を離れる気はないな、だが、宿と酒場くらいは案内しよう」

勇者「四天王が・・・・・・?」

戦士「あぁ、その一人がこの村の近くに根城を作ってな」

戦士「いつ襲われるかと、村のみんなも心配している」

戦士「できれば何とかしたいが、村で戦える者は少ない、攻め入るのは無理だ」

勇者「・・・・・・じゃあオレがなんとかしよう」

戦士「? どうするつもりだ?」

勇者「オレが行ってぶっ倒してきてやる!」

戦士「馬鹿! 一人では無理だ!」

勇者「だいじょぶだいじょぶ! 勇者だからな」

―翌日―

戦士(あの男は・・・・・・宿にも泊まらなかったのか)

戦士(本当に勇者か怪しいものだが、まぁあの城を見れば逃げ出すだろう)

村娘「ねぇ、戦士どうかした?」

戦士「いや、なんでもない」

村娘「あらそう、今お父様が探していたわ」

戦士「村長が? あぁ、たぶん作物のことだな。行ってくる」

村娘「行ってらっしゃい、さて洗濯でも・・・・・・っ! あなた、どうしたんですか!?」

勇者「ハァハァ・・・・・・もう、安心してください」

村娘「え?」

勇者「四天王は、ハァハァ・・・・・・倒しました・・・・・・ッ」バタッ

村娘「しっかりしてください! ちょっと!?」

村娘「戦士! 来て、大変なの!」

勇者「・・・・・・」

戦士(こんなに早く・・・・・・まったく、無茶なやつだな)

戦士(勇者か・・・・・・)

勇者「・・・・・・ッ、ン」ムクリ

戦士「起きたか、大丈夫か?」

勇者「ここは・・・・・・?」

戦士「俺の家だ。四天王を倒したらしいな、礼を言う。」

勇者「四天王・・・・・・? あぁ、そうか」

戦士「何人かに根城を確認してきてもらったが、魔物達は指揮を失いちりぢりになったようだ」

戦士「本当にありがとう、そしてすまなかった」

勇者「な、なんで謝るのさ」

戦士「俺は、はじめからお前は逃げ出すだろうと思っていた、勇者っていうのも信じちゃいなかった」

戦士「だからすまなかった、お前はたしかに勇者だ」

勇者「・・・・・・」

戦士「なぁ」

勇者「ん?」

戦士「俺もついていってもいいか? 魔王討伐に」

勇者「仲間になってくれるのか!?」

戦士「あぁ、この先魔物は強くなる、一人で四天王を倒すなんて無茶は通用しないだろう」

勇者「だよなー、オレも城をこそこそ進んで、トイレしてる最中の四天王を倒すのはなんか違うと思ってたんだ!」

戦士「・・・・・・村のみんなには黙っていてくれ、お前を英雄視してるからな」

勇者「村のみんなから英雄視かぁ・・・・・・」

勇者「あ! オレがはじめに会った女性は? あの人がお前を呼んでくれたんじゃないのか?」

戦士「あぁ、村娘か、あいつも感謝していたよお前に」

勇者「カワイかったなぁ」

戦士「そうだな、変な物言いだが自慢の許嫁だ」

勇者「なんだ、戦士の嫁さんなのか」チッ

戦士(え? 舌打ち?)

ドア「ガチャ」

村娘「戦士・・・・・・あ、勇者様! お気づきになられたんですね!」

勇者(この家は、ドアが話すのか・・・・・・?)

勇者「あなたがオレを助けてくれたそうですね・・・・・・ありがとうございます」

村娘「とんでもありません! 勇者様には感謝してもし足りません」

戦士「村娘、突然だけど俺はこの勇者の旅についていくことにした」

村娘「え・・・・・・」

村娘「うん、そっか」

戦士「すまないな・・・・・・」

勇者(・・・・・・)

―翌日 出発の朝―

勇者「やっぱり村に残ったほうがいいんじゃないか? オレは一人でもいい、仲間も今後見つかるかもしれない」

戦士「・・・・・・」

村娘「いえ、いいのです。勇者様」

戦士「お前・・・・・・来てたのか」

村娘「見送り、させないつもりだった?」

戦士「いや・・・・・・」

村娘「勇者様お一人の旅は危険ですし、何より・・・・・・戦士はあなたと旅をしたいと思ったのでしょう」

戦士「お、おい」

勇者「そうですか・・・・・・」

勇者「分かりました。必ず、魔王を打ち倒し、戦士をこの村につれて帰ります」

勇者「そしてあなたもひとつ約束してください」

村娘戦士「?」

勇者「戦士が戻るまできっと無事でいること、です。いいですね?」

村娘「・・・・・・はい」グスッ

戦士「・・・・・・いくぞ、勇者」

勇者「・・・・・・」グスッ

勇者「ん、あぁ、行こう」グスッ

戦士「何でお前が泣いてんだよ」

勇者「あ、いやぁ、いい話だなぁと思って」

・・・・・・
・・・・・・・・・・・・

短いですが今日はここまでです。

この後ほかの勇者達の仲間になった話を入れます。

スレタイの女勇者が空気ですが次々回の更新で活躍する。はず、きっと、たぶん。

あと見直しして3点リーダーを修正しました。
どうでもいいかもですが気になる人は気になるかなと。

船上の厨2展開が好きなひとはしばらくお預けかもです。
僧侶編がそんな感じの予定。

戦士「今思えば、あいつははじめから四天王を狙って村に来たのかもしれないな」

賢者「一人で旅をしていたというのはすごいですね」

僧侶「みあさんはー、どんなふーにー、しりあっらんれすか?」

魔法使い「もうだめね、これは」

武闘家「こういうのはつぶしたほうがいいぞ、手間がない」

女勇者「私達は、はじめから一緒でしたね」

盗賊「まぁ、私はちょっと違うかもだけど」

魔法使い「どういうこと?」

賢者「簡単に言えば女勇者さんを中心に王国で組まれた部隊ですね」

賢者「そこに盗賊さんが加わった形です」

盗賊「あの節はどうもお世話になりました」

戦士(何があったんだ……?)

―港町の路地―

勇者(なんでオレは逃げちまったんだ)

勇者(情報収集とは言ったものの・・・・・・)

勇者(なんか、女勇者の顔見てられなくなって・・・・・・)

勇者(何で)

  「なんか思ってたような人じゃないな、君は」

勇者(昔も言われたな・・・・・・そんなこと)

勇者(だからだろうか?)

娼婦「そこのかっこいいお兄さーん、パフパフしてく?」パフパフ

勇者(・・・・・・いつものオレなら飛びつくのだろうが)

勇者「・・・・・・いや、結構だ」

勇者「これではいけないな……」

…………
……

―はずれの森―

「う、うわぁぁぁ」 「こいつら、強いぞ!」 「魔女の手下だ! 逃げろ!」タッタッタッタッ

勇者「なんだ? たいしたこと無かったな」

戦士「あんた大丈夫か?」

魔女「・・・・・・何で助けたの?」

勇者「美しい女性が襲われていたので」

魔女「う!?」

戦士「まぁ、襲われているのを見てしまったらな」

戦士「ほっとけば、夢見も悪くなる」

魔女(美しいって……)「あ、あなたたち、私が誰だか知らないの?」

勇者「君こそ、オレを誰だか知らないのか?」

魔女「だれ?」

戦士「さぁな、俺もしらん」

勇者「ちょっと!?」

勇者「勇者ですわたし勇者! そしてきみ仲間!」

戦士「言動がな、とてもとても・・・・・・」

魔女「勇者・・・・・・」

勇者「そう! にじみ出てるでしょ、勇者オーラ」

魔女「そう、ね」(品性の無さが)

勇者「ほら! 戦士、どうだ!?」

戦士「で、君は何者だ? どうしてこんな森に?」ムシ

勇者(ムシって出ちゃってるし、なんだよムシって)

魔女「本当になにも知らないの? 勇者なら私を殺しに来たんじゃないの?」

勇者「殺しにって・・・・・・」

魔女「ほんとに違うのね」

魔女「……あ、あー」

勇者「?」

魔女「ま、まぁ、い、一応助けてく、くれたみたいだし」

魔女「良かったら、うちで一休みしない?」

戦士「……君がなぜ襲われたのかも聞いていないのだが」

魔女「そ、その話もするからどうかしら? お茶菓子もあるわ!」

戦士「まぁ、いいか。 どうだ、勇者?」

勇者「なら……朝まで寝かせないよ?」

魔女「え、何で?」

―魔女の家―

魔女「いいいい、いらっしゃい……」

勇者「なんでどもってんだ、さっきから」

魔女「う、うるさい!」

魔女「あ、でも、えと、と、とりあえずお茶でも」

勇者(なんかおもしろいぞこいつ)

戦士「何度も聞いて悪いが、君は何者なんだ? 何故襲われていたんだ?」

魔女「私は……」

魔女「魔女」

魔女「らしいわ」

勇者「らしいって?」

魔女「知らないわ、生まれてからずっと一人でここで暮らしてきて」

魔女「魔法は使えるしそんなに困りはしなかったわ」

魔女「子供のころに森に魔女が住み着いているって聞いて」

魔女「そんなの住んでたんだって思ったら人が襲ってくるようになって」

魔女「最近は遠くの町から魔女狩りの衛兵がやってくるようになったわ」

魔女「だからあなたも私を殺しに来たのかと思って」

戦士「なにか人に危害を加えたことでもあるのか・・・・・・?」

魔女「……別に、襲ってきたのを追い返すくらいはしたけど」

魔女「この森を出るまでは魔物から守ったりもしたこともあったっけ」

勇者「それで何で・・・・・・」

魔女「知らない。人間ってそういうものなんじゃない?」

戦士「だが、さっきは君が抵抗してるようには見えなかったな」

魔女「・・・・・・」

魔女「あ、あぁ見えて防護魔法張ってたの、切りかかってきたら血まみれよ」

勇者「・・・・・・」

魔女「だからあなた達は何もしなくて良かったのよ」

戦士「そうだったのか……」

魔女「そ、そうよ」

魔女「……えと、引き止めて悪かったわ」

魔女「魔女に関わってるとか言われたらあなた達も困るでしょうし」

魔女「えと、私自身、あんまり人は好きじゃないし」

魔女「旅を続けるんでしょ?」

戦士「・・・・・・なら、行くか? 勇者」

勇者「なぁ」

魔女「?」

勇者「嘘だろ、防護魔法張ってたなんて」

魔女「! な、なんで」

戦士「おい」

勇者「ついでに人が好きじゃないってのも本心じゃない」

魔女「!!!」

勇者「防護魔法っていうのが張ってあるようには見えなかったし」

勇者「なにより、君は死にたがってるように見えた」

魔女「で、でも……!」

勇者「人が嫌いなのはほんとだって? ならなんでオレ達を家に招いたんだよ」

魔女「う」

勇者「君は人に危害は加えないし、森から出るまでは守ることまでしている」

勇者「君の話はめちゃくちゃだ、いろんなことが矛盾してる」

勇者「きっと君は人に歩み寄ろうとしていた、オレ達に話したよりももっと」

魔女「ッ!」

勇者「でも、うまくはいかない。やった覚えの無いことで命を狙われる」

勇者「だからもうあきらめようと思った、ここで死のうって」

魔女「分かった! もう黙って!」

勇者「なら・・・・・・君が話してくれないか?」

魔女「・・・・・・」

魔女「・・・・・・生まれたころから一人だったわ、だから名前もない」

魔女「言葉は知っていたから、もしかしたら誰かと暮らしてたのかも、でも覚えてない」

魔女「本だけはたくさんある家で、親っていうのを知ったのは物語の中の話からだったし」

魔女「友達も鳥とかリスとか、だから話をすることもできなかった」

魔女「でも一度だけ妖精と話したこともあった」

魔女「言葉は本を使っていっぱいいっぱいだったけど、お話するのはとても楽しかった」

魔女「だから、話をしてみたいと思った、人と」

魔女「でも話しかけても怖がられた、みんなすぐ逃げてったわ」

魔女「そのころにはもう魔女だって呼ばれてたから」

勇者「・・・・・・」

戦士「・・・・・・」

魔女「ねぇ」

勇者「なんだ?」

魔女「もうひとつ嘘をついてたわ」

勇者「?」

魔女「人に危害を加えたこと無いっていうの」

勇者「そう・・・・・・なのか」

魔女「初めて襲われたときは六人全員……殺したわ、無我夢中で」

戦士「子供に・・・・・・六人もか」

魔女「魔女だもの、怖かったんでしょ。現に全員殺した」

魔女「そのあとはなんとか殺すのだけは避けるようにして、追い返してた」

魔女「結局、あと一人、すごい必死で向かってくる人がいて、殺してしまった」

魔女「その人が有名な騎士さんだったみたい」

魔女「すごい勢いで話が膨れ上がったわ」

魔女「子供をさらう、人を食べる、悪魔と契約してる・・・・・・」

魔女「魔王の手先だとも言われたわね」

勇者「・・・・・・」

魔女「だからてっきり殺しにきたのだと思ったけど」

勇者「ちがうよ」

魔女「みたいね、残念」

魔女「私の使う魔法って、普通とは違うみたい」

戦士「?」

魔女「私が使う魔法って、ほかの人が私に向けてきたのよりもずっと強くって」

魔女「この間、変装して初めて街に行ってみて、それでちょっと調べて気づいた」

魔女「詳しくわかんないけどなんか違うみたい・・・・・・」

魔女「質というか・・・・・・概念というか」

魔女「でもそんなのどうだっていい、問題は私は違うんだってこと」

魔女「私は普通の人とは違うんだ」

魔女「魔女なんだって分かった」

勇者「・・・・・・」

魔女「だから、もういいかなってさ」

魔女「・・・・・・これで、満足した?」

魔女「助けてくれたのは、まぁ感謝するわ」

魔女「自分のこと話したことも、なんか不思議とすっきりした気がする」

魔女「でも無駄だったかもね、きっと次は死ぬわ」

魔女「先を急ぐ旅でしょ? 早く出てったら?」

戦士「どうする? 勇者」

勇者「・・・・・・んなもん、決まってる」

勇者「なぁ」

魔女「?」

勇者「オレたちの仲間にならないか?」

魔女「え!?」

勇者「いやーじつはさー、オレたち魔法得意じゃないんだよねー」

戦士「おれはともかく、こいつも勇者のくせにたいした魔法使えないんだよな」

勇者「うるせー、この間のゴブリンのとき魔法かけてやったじゃん」

戦士「ドカンと火の玉で一掃くらいしてくれよ」

勇者「できりゃ便所してる四天王狙ったりしねぇよ」

戦士「あはは、そりゃたしかにな」

魔女「ちょ、ちょっと」

勇者「?」

魔女「わかってんの? 私魔女なのよ?」

勇者「? オレは勇者だけど」

魔女「そうじゃなくて!」

魔女「なによ、同情でもしたの!? 余計なお世話よ!」

勇者「まぁ、してないわけでもない、かな」

魔女「! だったら」

勇者「でもさ」

魔女「?」

勇者「人間も魔物も、生まれ方って選べないんだ」

勇者「だけど生き方は選べる」

勇者「だからどうかな?」

魔女「どうかなって・・・・・・なによ意味わかんないわ」

勇者「勇者の仲間になって、一緒になって馬鹿なことしながら旅して」

勇者「戦いの中でお互い支えあって、人に感謝されたり、ときには裏切られることもあるかも」

勇者「でも、最後には裏切られた数よりずっとずっとたくさんの笑顔をみて」

勇者「その後は……そうだな、魔法教室を開いたり、その本棚の中の薬草学とか使えばお店を開けるかも」

勇者「そこでまたいろんな人を育てたり救ったり」

勇者「そんな生き方ってどうかなって」

魔女「そんな・・・・・・の、う、うまくいくわけないわ!」

勇者「なら、オレがそうする」

魔女「!」

勇者「絶対うまくいく、いかせるさ。勇者ってそんなもんだ」

魔女「で、でも、私の魔法普通じゃないし」

勇者「じゃあ、オレがいいって言ったときだけ使えばいいさ」

魔女「ひ、人を、こ、殺したこともあるわ」

勇者「オレだってある、よかったとも思ってない、でも勇者になった」

魔女「ウ、お、おしゃべり、とか上手じゃないから、お店とか開けない」グスッ

勇者「一緒に旅してればすぐに上達する」

魔女「わ、私ぃ、名前も無いし、魔女だしッ」グスッッ

勇者「ところが、オレの仲間になれば世界を救う魔法使い様だ」

魔女「でも、でもぉ」

勇者「人が怖いと思う、信じられないと思う。でも、いや、だから」

勇者「まずはオレの仲間に、友達になってくれないか?」

魔女「う、ううぅぅぅ!」ポロポロ

―夜 魔女の家―

魔女「・・・・・・ンン」

魔女(私・・・・・・寝てた? そっか、泣き疲れて)

魔女(なんか枕、やわらかいようなかたいような)

勇者「」スースー

魔女「」

魔女(膝・・・・・・枕・・・・・・?)

魔女「ッッッッッッ///」

魔女(……フゥ)

魔女(なんともない、なんとも思ってない、そうだなんでもないこんなこと)

魔女(こいつよく眠れるわね。重くないのかしら)

魔女(でも)

魔女(……あったかいな)

―翌日 出立の朝―

勇者「さて、いくか」

戦士「だな」

魔女「……」

勇者「どうした? こないのか?」

魔女「わ、私は」

戦士「そりゃ、来ないさ、昨日泣くほど嫌がったんだ」

魔女「ち、違う!」

勇者戦士「違うんだな?」ニヤリ

魔女「あっ!///」

魔女「もういいわよ! 仲間になるわ! 魔法、必要なんでしょ!」

戦士(そういや、そんなこと言ったな。どうでもいいから忘れてた)

魔女「その代わり! 昨日の約束忘れないでよ!」

勇者「もちろん! まずはコミュニケーションの基本、ボケと突っ込みを教えよう」

勇者「ちなみにこのパーティのボケは戦士だ」

戦士「どの口がいってやがる! どう考えてもお前だ!」

勇者「これが突っ込みだ。分かったな」

魔女「そ、そうじゃなくて」

勇者「……分かってる。オレがお前を魔法使いにする、絶対にな」

魔女「!」

勇者「じゃあいくぞ、魔法使い!」

魔法使い「……うん!」

・・・・・・
・・・・・・・・・・・・

まずはじめにごめんなさい。
いろいろと多忙重なって2ヶ月近くたちそうになってしまいました。
遅筆な駄文を楽しんでいてくださった方がもし居たら本当にごめんなさい。

内容に関しては魔法使い編ですね、ある意味厨二。香ばしいですね。
私の魔法使い大好きが滲み出ています。同士が増えたら幸いです。
次回は僧侶編、8割がた書けているのですぐに更新できると思います。

盗賊「それで魔法使いさんはどうして仲間になったの?」

魔法使い「さぁ?」

武闘家「さぁって……」

僧侶「まほーつかーさんの話はですねー、いー話なんですー」ヒック

魔法使い「僧侶これ飲みなさい、イッキよ」

僧侶「ハーイ! ンック……」バタッ

賢者(口封じ……)

武闘家(口封じだ……)

戦士「あれはなぁ」

魔法使い「戦士!」

戦士「わかったよ、ただ知り合って気が合ったってだけだ」

女勇者「秘密というわけですか……では僧侶さんは?」

…………
……

―???―

僧侶(まずいです!)パァ!

「……」 「!」 「!!!」

僧侶(でも、そろそろ夜が明けるはず……)

「」グシャ! 「」グシャ! 「」グシャ!

僧侶「……ふぅ」

僧侶「いつまでしのげるでしょうか……」

僧侶「……」

僧侶「無理だったのでしょうか、やっぱり」

僧侶(ごめんなさい、町の皆さん……)

―とある町―

魔法使い「はじめてこんな遠くの町まで来たわ……」

勇者「なんか活気の無い町だな」

魔法使い「失礼なこと言うわね」

町人「あ、あのすみません! もしかして、あなた方は冒険者ですか?」

魔法使い「!」

戦士「ん? あぁ今この町に着いたとこだが」

勇者「何驚いてんだよ」

魔法使い「き、急に話しかけられたから」

町人「いきなり、声をかけてしまってすみません」

町人「ですが彼女を助けてほしいのです!」

勇者「何かあったのですか?」

町人「実は、この町の近くに洞窟あるのですが」

町人「そこへ行った僧侶様が帰ってこないのです」

魔法使い「そ、それはどれくらい帰ってきてないの?」

町人「洞窟には一日かからないほどなのですが」

町人「もうかれこれ一週間ほどたっています……」

戦士「一週間か……」

勇者「行こう」

町人「え!?」

魔法使い「……言うと思った」

町人「ほ、本当に引き受けてくださるのですか?」

勇者「あぁ、まかせとけ」

戦士「また勝手なことを……とも思ったが」

戦士「幸い前回補給した町から随分早くこの町に着いたしな」

魔法使い「すぐ出発するの?」

勇者「こういうのは早いほうがいい」

戦士「たしかにそうだ」

戦士「しかし何故その僧侶さんは洞窟へ?」

町人「えぇと、その……」

町人「その洞窟には実は財宝が眠っているという噂がありまして」

戦士(まさか、それを探して?)

魔法使い(意外と俗っぽいのね、僧侶って)

町人「それを狙った若者が洞窟から戻らないことを話すと僧侶様が」

勇者「すばらしい……!」

勇者「そんなすばらしく、麗しい僧侶さんを助けずに何が勇者だろうか!?」

魔法使い「麗しいとか……会ってもないのに」

戦士「うすうす気づいてたろうがこんな奴だ」

―洞窟奥 幻の廃墟―

魔法使い「すごい……洞窟の奥にこんな……」

勇者「廃墟だよ廃墟!」

戦士「……」

魔法使い「戦士、どうかした?」

戦士「いや、洞窟の奥にこんなところがあると思わなくてな……」

魔法使い「確かに……なにか、おかしい気も……」

戦士「そしてなぜか、見覚えが……」

勇者「そんなことは重要じゃない! 問題は僧侶さんだ!」

戦士「そうだな、間違いなく何かしらトラブルがあったんだろう、急いだほうがいい」

魔法使い「……まぁね、でも勇者はその女僧侶に会いたいだけでしょ」

勇者「でもも、かかしも、初めから問題は僧侶さんだって言ってる」

魔法使い「」ムッ

戦士「痴話喧嘩はいいから静かにしろ、何が出てくるか分からん」

勇者「しばらく歩いたけど……」

戦士「生き物の気配がしない、少し妙だな」

勇者「というと?」

戦士「俺はてっきり魔物か何かに襲われたんだと思ったんだ、だが魔物どころか生き物の気配がしない」

戦士「となると、単純に迷子か、落盤かなにかに巻き込まれたか……」

魔法使い(この廃墟……やっぱりちょっと変かも、この様子だと前者かな、私たち含めて)

勇者「なにか気づいたのか? 魔法使い」

魔法使い「別に」

勇者「……怒ってる?」

魔法使い「べつに」

戦士「……そろそろ夜になるころか」

勇者「歩き疲れた」

戦士「そうだな、少し休憩しよう。 見通しのよさそうな所を探すか」

魔法使い「……待って」

勇者「? どうした魔法使い?」

魔法使い「気配がするわ」

戦士「俺にはわからないが……例の僧侶さんか?」

魔法使い「複数の気配、というか魔力を感じる」

勇者「敵か!?」

魔法使い「そこまでは……」

戦士「とりあえず身を隠すぞ」

魔法使い「もう遅かったかも……」

「」カシャ 「!」カシャ 「!!!」カシャ

勇者「なんだこいつら!?」

魔法使い「骸骨……?」

戦士「魔物か!? 気配がないとはな!」ブンッ

「”#%&」グシャ 「’<>」ゴシャ 「?!”」ドシャ

「」カシャ 「」カシャ 「」カシャ

勇者「この数……キリがない」

戦士「なら退くか……? だがそれも意味が……」

魔法使い「! 勇者、戦士! あそこに誰か居る!」

戦士「手招き……してるのか? どうする!?」

勇者「とりあえず行ってみよう! 状況が分からないわけじゃないだろ、手助けしてくれるのかもしれない!」

戦士「そうと決まれば……食らえ!」

「!’&”」グシャ 「*‘”」グシャ 「+‘*=」グシャ

勇者「行くぞ!」

魔法使い「さっきのひと、この辺にいたはず!」

戦士「人か分からんけどな」

勇者「怖いこと言うなよ! 戦士!」

『いきをひそめて、あなたは空なの、見つかってはいけない、だから今は、息を潜めて』

『窮鼠の隠れ家』ホワッ!

勇者「これは!」

魔法使い「ッ! 魔法!?」

僧侶「みなさん、大丈夫ですか!?」

戦士「! あんたがさっきの?」

僧侶「はい! あ、すみません急に魔法をかけてしまって! この魔法は」

魔法使い「私達を隠す魔法ね、見えづらくするというか」

僧侶「あ……、はい。 そのとおりです!」

僧侶「えーと、私は僧侶といいます。 皆さんは冒険者の方でしょうか?」

勇者「いえ、違います」

僧侶「え?」

勇者「あなたを救うために、いや、あなたに出会うためにここへ来た、騎士(ナイト)です」

魔法使い「……サムイ」ブルッ

僧侶「え? あ、いや、その///」カァ

戦士「まんざらでもないのか、珍しいタイプだな」

魔法使い「……ふーん」

僧侶「あの/// あ、そうです! お名前を」クゥ……

戦士「腹の虫……だな」

魔法使い「あなたも割りとデリカシーないわね」

勇者「あはは、可愛らしい虫を飼ってらっしゃるようですね。 先ほどのお礼もかねて、休憩にしましょう」

僧侶「!///」

僧侶「ご、ごちそうさまでした……」

戦士「健啖だな」

僧侶「え、えぇと、三日ぶりくらいの食事だったので……」

魔法使い「まぁ一週間は用意が良くなければね、骸骨にも襲われるし」

僧侶「ど、どうして一週間ここにいるって」

勇者「もともとあなたを助けてほしいと、町人さんに頼まれてきたんですよ」

僧侶「町人さんに……?」

僧侶「……そうですか」

勇者「えぇ、まぁ私は勇者ですし、いつものことです」

僧侶「え?」

僧侶「ゆ、勇者様? あなたは勇者様なのですか?」

勇者「え、えぇ、まぁそうですね」

僧侶「申し訳ございません!!」

勇者「え」

僧侶「私などのために……世界を救うという使命を負った勇者様の手を煩わせるなんて」

戦士「これは、新しい反応だな」

勇者「新しくねぇよ! 当然とまでは言わないけどあってほしい反応だよ!」

魔法使い「どの口が……」

勇者「ひでぇ! 魔法使いさん初対面に比べてノってきた感じあるね!」

僧侶「え、えぇと」

勇者「いいんですよ」

僧侶「え」

勇者「世界ももちろん救いますが、目の前の人一人救えないのでは勇者の名折れです」

勇者「あなたの存在が私を勇者で在らせてくれるのです、ですから」

勇者「私を、あなたを救う勇者にさせてくれませんか?」キザァ

僧侶「あ///」

魔法使い「ッ、き、気持ち悪いことを」

戦士「ないわー、これはないわー、魔法使い顔赤いけどないわー」

魔法使い「あ、赤くない!」

僧侶「え、えぇとですね、あのですね」アタフタ

戦士「あの骸骨どもはなんだ? 知ってることがあれば聞かせてほしい」

僧侶「そ、そうですね! とりあえずは私の魔法で奴らからは見つからないようになっています」

僧侶「どうやら夜になると活動するみたいですね、朝になれば消えてしまいます」

魔法使い「数が多かったし、親玉みたいなのがいるはずね」

勇者「なら居場所はわかるか?」

僧侶「あ、はい! どうやら廃墟の中心部のようですね、ここからそう遠くありません」

勇者「そうか、すごいな僧侶!」

僧侶「あ、いえ、そんな///」

魔法使い「わ、私だって魔法使えばそれくらいすぐ分かるし、それに……」ブツブツ

勇者「どうした? 魔法使い?」

魔法使い「べつに!」

戦士「なら、さっさといくか、ほかに何かあるか?」

僧侶「そうですね、実は……」

僧侶「この廃墟からは出ることができないようなんです」

戦士「なに?」

僧侶「私の思い違いかもしれませんが、来たはずの道に戻れないのです」

僧侶「それで仕方なく骸骨の群れをしのぎ続けていたのですが」

勇者「そこにオレたちが来たと」

僧侶「……クス、はい、勇者様」

勇者「?」

僧侶「勇者様、普段はそのような口調なのですね」クスクス

勇者「あー、しまったな。 ちょっとはずかしい」

魔法使い「ふん、恥ずかしい話し方してるからよ」

勇者「まぁ、ばれたら仕方ないか、僧侶」

僧侶「はい?」

勇者「ちょっと手を貸してくれないか、何とかしてここから出よう」

僧侶「そんな! 勇者様方が私を助けに来てくださったのに、こちらからお願い致します!」

戦士「決まりだな、俺は戦士だ、よろしくな」

魔法使い「あ、えと、魔法使いよ」

僧侶「戦士さんに、魔法使いさん、はい、よろしくお願い致します!」

勇者「じゃあいくぞ、僧侶、案内頼む」

僧侶「はい、奴らの気配もありません、いきましょう!」

僧侶「……そろそろですね」

戦士「本当に近いな、広いと思ったのは錯覚か……魔法の類か?」

勇者「魔法といえば、この魔法すごいな。 敵にバレない」

僧侶「いえ、これは相手が知覚の乏しい骸骨だからですね、一般的な生物には少し使いづらいです」

魔法使い「つまり、あんたが考えてるみたいに覗きには使えないのよ」

勇者「マジで!?」

僧侶「え」

戦士「馬鹿だな」

勇者「あ、いやこれは」

僧侶「……敵は近いです、気を引き締めましょう」

魔法使い「ふん、ざまぁないわ」

勇者「ぐぬぬ」

―廃墟の中心―

           「止  ま  れ  !」

勇者「! 誰だ!?」

魔法使い「この魔法を見破るのなら……」

戦士「ただの雑魚ではなさそうだな!」

骸骨王「無論だ、まさかそのような術を持っていたとはなぁ」

骸骨王「道理で、なかなか見つからんわけだ、そこの女ぁ!」

僧侶「!」

骸骨王「しかし、隠れていればいいものを……わざわざ出てくるとは、数が増えて強気になったか?」

僧侶「そ、そうです! この方達と一緒なら!」

骸骨王「笑止!」

骸骨王「数など、我々のもっとも得意とするところ! 骸の数がわしの力だ!」

骸骨王「さぁ、起きろ! 取り逃がした獲物が、向こうからやってきてくれおったぞ!」

「」カシャ 「」カシャ 「」カシャ 「」カシャ 「」カシャ 「」カシャ 「」カシャ 「」カシャ 「」カシャ

戦士「この数は、ッチ!」

勇者「怯むな!」『魂を燃やす!』ッパァ!

戦士「誰が怯むか! オラァ!」ズバッ!

「$”&%」「?*+‘=」「=!”$」「?+*‘」グシャシャシャ

骸骨王「無駄だ! すぐに貴様らも我々の仲間にしてくれるわ!」ォォォォ

「」「」「」「」カランコロン

魔法使い「く、組み合わさっていく」

骸骨王「どこを見てる! わしもいるぞぉ!」ゴォォォ!

勇者「危ない! ッグハァ!」ドシャ!

魔法使い「勇者!」

勇者「だい、じょうぶだ」ッザ

骸骨王「丈夫な奴め、だがそれだけ……」

骸骨王「いい骸になりそうだなぁ!」ゴォォォ!

僧侶「勇者様!」 『肌を撫ぜる、緑の息吹、大地の呼吸』

僧侶『癒しの風!』パァァ!

勇者「ありがとう、助かった! こいつを引き付けとくから、援護を頼む!」

戦士「なら俺は雑魚の相手、この数を一人でか」

勇者「むりだってか?」

戦士「ほざけ、んなわけあるかぁ!」ブン!

「!*$」「”#‘」「%&$+」「*‘=’」「?+‘”$」ドシャシャシャ!

骸骨王「ほぉ、やるな貴様らぁ」

骸骨王「だが無駄だ!」ォォォォ

「」「」「」「」「」カランコロン

勇者「くそっ! やめろ!」ズバッ!

骸骨王「グゥ! どけ!」 『剥死肉骸!』ドバッ!

勇者「危な! っと、くそ!」スタッ

戦士「どうにか雑魚を一掃したいな……」

勇者「魔法使い! お前ならできるか!?」

魔法使い「あ、えと、でも」

僧侶『小鳥が鳴く、巣の中、木漏れ日、木立ちの影』

僧侶『一時の休息!』パァ!

骸骨王「防護魔法か、こざかしい! 時間稼ぎにしかならんわ!」ゴォ!

勇者「魔法使い? どうした?」

魔法使い「えと、いいの?」

魔法使い「魔法使ってもいいの?」

勇者「お前……!」

勇者「あぁ、頼む! ドカンといってくれ」

魔法使い「!」

魔法使い「うん! ……」スゥー

魔法使い『動きが無くなる、爪の先から心の臓まで、それはまるで彫像のように』

骸骨王「こざかしい! どんな魔法だろうが、骸の王たるわしに効くものか!」ゴォォォ!

勇者「おっと! 通すか!」ガキィィン!

魔法使い『視界が無くなる、見下ろす大地から空の果てまで、それはまるで宵闇のように』

戦士「どけぇ!」バキィ!

「?‘+*」「!”*+」「”#*?$」「?*&%」ドシャシャシャ

魔法使い『雑音が無くなる、恨みの呟きから愛の囁きまで、それはまるで深海のように』

僧侶「もう……限界! ッ」シュウ

骸骨王「防護魔法が消えたか! もう終わりだなぁ!」

魔法使い『意識が無くなる、目映い思い出から未来への期待まで、それはまるで』

魔法使い『凍てつく死のように』パキパキパキパキ!

骸骨王「こ、これは!?」パキパキ!

勇者「凍ってる……!?」

戦士「俺たちを避けて……」

僧侶「すごい……なんて魔法」

魔法使い「ッフゥ……骸骨でも氷付けにされたらたまらないでしょ?」

骸骨王「グゥゥ! し、死ぬのか……? わしが?」パキパキ

骸骨王「イヤだ、まだ死にたくない、わしは、我らはまだ」パキパキパキ

骸骨王「あ、ぁぁぁぁぁあああぁぁ」パキパキパキパキ

骸骨王「あ」パキ

戦士「……終わったか、見事なもんだ」

僧侶「はい! すごいです、魔法使いさん! こんな魔法はじめて見ました!」

魔法使い「……別に、たいしたこと無いわ」

勇者「いや、雑魚どころか親玉もまとめて倒すとは思わなかっ……!?」

骸骨王「アァァァアァァァ!」パキパキ

魔法使い「……しぶといやつね」

勇者「よほど死にたくないみたいだな、その体になっても」

勇者「だが、オレたちをここから出してもらう!」ブォン!

骸骨王「」バリィン!

僧侶「……これでやっと」

戦士「外に出れるな」

僧侶「そうですね、長居はッ!?」

            ゴゴゴゴゴゴゴ

勇者「お、おいこれは……」

魔法使い「崩れる!」

僧侶「急ぎましょう! 生き埋めになってしまいます」

勇者「あ!」

戦士「なんだ! どうした!?」

勇者「財宝……」

魔法使い「え!? あぁ、町人さんが言ってたあれ」

戦士「んなもん知るか! 命あってこそだろ」

勇者「だよな……。 よし! 僧侶も行こう」

僧侶「え、でも、財宝……」ゴクリ

戦士「あんたそれでも僧侶か!」

僧侶「僧侶だって、お金大好きですよ!」

魔法使い「意外と俗っぽいのね、僧侶って」

勇者「いいから逃げるぞ! こんなんで死んでたまるか!」

―とある町―

町人「僧侶様! よくぞご無事で」

僧侶「ごめんなさい、ご心配をおかけしました」

町人「いえいえ、そして、あなた方には感謝しても仕切れません!」

勇者「いいえ、当然のことをしただけですよ」

魔法使い「法外な報酬を要求したりしないのね」ヒソヒソ

戦士「本音では貧相な町からはもらえる物もないだろうと推測してるからだろうな」ヒソヒソ

勇者「そこ! うるさい!」

町人「ですが」

勇者「ん?」

町人「私達はあなた方に詫びなければならないことがございます」

魔法使い「?」

戦士「なんだ?」

町人「僧侶様はご存知であることなのですが……」

僧侶「町人様、それはかまわないことです」

勇者「?」

町人「僧侶様、ですが……」

僧侶「いいのです、この方達は分かってくれます、それよりも、」

僧侶「皆様のところへ」

町人「僧侶様……」

町人「ありがとうございます」スゥ

勇者「き、消えた!?」

魔法使い「勇者! ま、町も消えていく……!」

戦士「どうなってんだ!?」

僧侶「私が、説明いたします」

―とある町 改め、廃墟の町―

僧侶「この町ははるか昔に滅びていたのです」

僧侶「ですが滅びを認められぬ大勢の民とその町の長は」

僧侶「死した骸となってもこの世にとどまり、その眷属を増やしていきました」

僧侶「私は、その町で高名な魔法使いであり、彼らを正そうしていた方に出会いました」

僧侶「正確には、彼の魔力の残滓、のようなものでしょうか」

僧侶「彼は、変わり果てた町を、かつての町にみせて人びとの足を止め」

僧侶「腕のたちそうな冒険者の方々をあの廃墟へ導いていたのです」

僧侶「私はその頼みを聞き、足を踏み入れたのですが力及ばず」

僧侶「……ある意味では、彼も亡霊、悪霊に近い存在だったのかもしれませんね」

僧侶「そこへ、あなた方がやってきたのです」

勇者「」ポカーン

戦士「あの町は、魔法でみせた幻だったってことか……」

魔法使い「信じられない……全然気づかなかった」

僧侶「私も、生きてらっしゃらないことには、気づきましたが町が魔法だとは思いもしませんでした」

勇者「でも」

僧侶「?」

勇者「あの人は悪霊とかじゃないよ、僧侶のこと心配してたからさ」

僧侶「勇者様……」

勇者「僧侶は何で手助けしようと」

勇者「あの人の望みをかなえようと思ったんだ?」

僧侶「それは……」

僧侶「」クス

僧侶「当然のことをしただけですよ」

僧侶「生きていても死んでいても、心安らかでいたいじゃないですか」

僧侶「僧侶として、当然のことをしただけです」

戦士「へぇ」

魔法使い「勇者とは、重みが違うわ」

勇者「お前は、オレを貶めなきゃ気がすまないのか!?」

僧侶「」クスクス

勇者「そういうならさ、僧侶」

僧侶「?」

勇者「オレたちと一緒に旅してくれないか?」

勇者「世界中の人の心を安らかにするために!」

勇者「オレたちの仲間になってくれ!」

……
…………

女勇者「……いいなぁ」

魔法使い「な、なにが?」

女勇者「こう、みなさんが仲間になっていく過程が、なんというか」

盗賊「劇的」

武闘家「まぁ、俺たちはあっけなかったもんなぁ」

賢者「」モグモグ

戦士「部隊を編成ってやつか?」グビグビ

女勇者「えぇ、とはいっても私たちが寄せ集めで、劣っているとはもちろん思いませんが」

戦士「ためしてみるか?」

魔法使い「やめて。 もういい時間だし、寝ましょうよ」

盗賊「え? でも……」

魔法使い「勇者はほっといても平気よ」

女勇者「そうですか……、では明日に備えましょう」

女勇者「お話面白かったです、ありがとうございました」

戦士「あぁ」

武闘家「てめぇはくいすぎなんだよ! いい加減にしろ!」

賢者「」ングッ!

魔法使い「じゃ、おやすみなさい、また明日」

僧侶「」スースー

―翌朝 港町―

勇者「さぁ、みんな! 準備できたか?」

女勇者「ゆ、勇者!?」

僧侶「やっぱり、一番乗り……」

武闘家「どういうことなんだ?」

戦士「どういうことなんだろうな……」

盗賊「どこで寝てたの?」

勇者「え///そ、それは///」

魔法使い(きもい……)

戦士(きもい……)

僧侶(きもい……)

賢者「きもい」

勇者「死角からっ!?」

武闘家「んで、次の行き先は決まってるのか?」

女勇者「はい、なんでも最も魔王城に近い村があるのだとか」

勇者「!」

女勇者「話によれば、魔物によって人びとは奴隷のような扱いをされ」

女勇者「そこへ向かった人が戻って来たことはないそうです」

盗賊「なるほどね、話が本当ならそこの人たちを助けると」

賢者「では、私達はそれで……、勇者さんたちはどうするんですか?」

勇者「……」

魔法使い「勇者?」

勇者「あ、あぁ一緒にいくよ、かまわないか?」

女勇者「えぇ、もちろん! 大変心強いです」

―村への道中―

魔物「」ドシャ

女勇者「ふぅー」キンッ

戦士「やはり、少々手ごわい魔物が多いな」

盗賊「ま、こっちはいつもの倍いるから苦戦はしないね」

武闘家「でもすこし変な気もするな……」

賢者「質は上がってますが量が減っていますね、納得できなくもないのですが……」

僧侶「気にしないでいいですよ、ですよね勇者様」

勇者「あぁ」

魔法使い(やっぱり、なにかおかしいわね。 村の話を聞いたあたりから?)

武闘家「だいぶ歩いたが……」

賢者「魔物の気配が……ない?」

戦士「いや、違う」

盗賊「あるにはあるけど、敵意がない感じかな?」

女勇者「脅威に値しないと見られているのでしょうか」

勇者「……ロカ」ボソッ

僧侶「え、勇者様?」

勇者「なんでもない」

魔法使い(? そろそろ?)

―最も魔王城に近い村―

女勇者「着きましたね、ここが……」

盗賊「最も魔王城に近い村?」

村人「ん、おぉ! ひさしぶりの冒険者さんかな?」

武闘家「でも、これは……」

賢者「……」

戦士「……どういうことだ?」

魔物「ほんとだな! 俺が、村長を呼んでこよう。 あんたたち、ちょっと待っていてくれ!」

僧侶「魔物と人が共存している?」

勇者「やっぱりか、変わらないな、この村は……」

魔法使い「え? ゆ、勇者、それって」

―改め、勇者の故郷―

はい、次はすぐだと書いておきながら時間がたってしまいました、僧侶編+αでした。

次は女勇者にスポットをあてて、
勇者もちょいちょいつまむかんじで考えているのですが……

明日の朝からちょっと家を離れなければいけません。大体2週間。
もし楽しみにしている方がいたら、お待たせすることになります。
遅筆かつ計画性がないですが、完結だけはさせようと思ってます。

盗賊「いま……なんて?」

勇者「……」

女勇者「では、ここが、勇者さんの故郷……?」

戦士「初耳だぞ」

勇者「まぁ、わざわざいうことじゃないかなって」

戦士「だが、だとしたらどうしてお前は……」

賢者「あ! あれが村長さんじゃないですか?」

村長「客人はあんたらか! いやー、この村に旅人が来たのは久しぶりだ!」

僧侶「あなたが村長様ですか?」

村長「ええ! こんな村なんでね、なかなか大変ですが何とかやらしてもらってますよ!」

村長「ここまで旅も大変だったでしょう、なんせこのあたりには村はないですからね」

村長「とりあえず私の家に……、……お前、勇者か?」

勇者「……あぁ、ひさしぶり、元気だったか?」

村長「そりゃあ……」

村長「こっちのセリフだよ! 元気そうだな!」

村長「ほんとに、ひさしぶりだなぁ……」

村長「おっと、驚いて忘れるとこだった、お待たせしてすいません。」

村長「ひとまず、俺の家に案内しますよ、みなさんついてきてください」

―村長の家―

村長「いらっしゃいませ、旅の皆さん、好きにおくつろぎくださいよ」

村長「この村は変わっててちょっと気疲れしたろ?」

盗賊「でも、聞いていた話と違ってよかったよ」

村長「?」

女勇者「実は、我々が通った港町では……」カクカクシカジカ

村長「あっはっは!」

武闘家「そんなにおかしいか?」

村長「いやいや、外からはやっぱりおかしく見えてるんだな、と」

村長「んじゃ、あんたらはこの村の人たちを助けようと思ってきてくれたのか、ありがとうな」

女勇者「えぇ、でも……」

魔法使い「どうして魔物と共存しているの?」

村長「どうしてって……」

村長「どうしてだろうな?」

戦士「なんだそりゃ……」

村長「子供のころから当たり前だったからなぁ、自分にとっては」

女勇者「……」

村長「ま、勇者はそうでもなかったかもしれないな」

僧侶「? それって」

勇者「オレの昔話をするのか?」

村長「あはは、まぁお仲間のみんなが気になるならしようか、どうだ?」

勇者「……」ガタッ

村長「なんだどっか行くのか?」

勇者「挨拶してくる、せっかくだしな」

村長「……ああ、そうだな行ってこい、大丈夫、たいした話はしないさ」

女勇者「?」

村長「ま、あいつがいない手前たいした話はできないか」

村長「さっき言ったのは単にあいつがここで生まれたわけじゃないってだけさ」

僧侶「と、いうことは……」

村長「ま、捨て子だな」

魔法使い「……そう、なんだ」

村長「はじめはびくついてたけどすぐに馴染んでったよ」

村長「恩を感じていたのかしらないが、この村に居たころはずいぶん真面目なやつでな」

村長「勇者になってからの評判を聞いたら驚いた」

盗賊「それは……」

村長「はめを外してるみたいだな、まぁ村にいたときのくそ真面目なよりはマシな気もする」

女勇者「……すいません」

女勇者「勇者さんがさっき言っていた挨拶っていうのは……?」

村長「……言葉通りの意味だな」

村長「墓参り、さ」

武闘家「墓?」

村長「あぁ」

村長「俺にとってもふるーい友人だな」

村長「村の誰からも好かれてた、それこそ人から魔物までみんな」

村長「だけど、どっかのごろつきに、人間に殺されちまった」

魔法使い「……」

村長「……ちょっと辛気臭くなったな、まぁ昔の、そしてよくある話さ」

村長「あいつの昔話はこれくらいにしよう、あんたらはこれからどうするんだ?」

―村の墓地―

勇者「……」パサッ

勇者「花なんか添えたけれど」

勇者「今頃、とっくに天界にいるのかな」

勇者「かっこ悪いけど、まだ終わってないんだ」

勇者「でも、もうすこしだ」

勇者「きみのためにはならないけれど」

勇者「やり遂げると誓った」

女勇者「……勇者さん」

勇者「女勇者か」

―村の墓地―

勇者「……」パサッ

勇者「花なんか添えたけれど」

勇者「今頃、とっくに天界にいるのかな」

勇者「かっこ悪いけど、まだ終わってないんだ」

勇者「でも、もうすこしだ」

勇者「きみのためにはならないけれど」

勇者「やり遂げると誓った」

女勇者「……勇者さん」

勇者「女勇者か」

勇者「……なにか聞きたそうだ」

女勇者「! ……はい」

女勇者「おかしな質問なのですが」

女勇者「あなたはなぜ勇者になったのですか?」

勇者「なぜ……か」

勇者「オレは自分から勇者になろうとおもったんじゃないんだ」

女勇者「え」

勇者「勇者やってくれって頼まれたからさ」

女勇者(もしかして……、だからこのお墓に……)

女勇者「そう、ですか」

勇者「女勇者はどうしてなんだ?」

女勇者「私は……」

…………
……

少女「……」

少女「あなただれ?」

太陽と光の女神「わたしは、えと、女神です」

少女「女神様かー」

女神「じつはですね、あなたには勇者としての力を得る才があるのです」

少女「?」

女神「つまりですね、世界を救う力がですね」

少女「えー、そんなの別にいらない」

女神「そんな! どうして!?」

少女「だってわたしにはおとうさんがいるもん。 せかいいちつよいんだ!」

少女「おとーさーん!」

男性「おお、ただいま! いい子にしていたか?」

少女「うん! いい子にしてた! だから……」

男性「あはは、だめだ。 村の外に行くのは危ないからな、もっと大きくなったら、だ」

少女「ぶー」

女性「お父さんを困らせちゃダメよ。 村の外はこわーい魔物がたーくさんいるんだから!」

少女「おとーさんと一緒ならへいきー!」

女性「この子ったら、もう」

少女「それに、きっと女神様も私を守ってくれるもん!」

男性「?」

女性「女神様?」

少女「おとうさん、またでかけるの?」

男性「あぁ、お友達がね、ご飯足りなくて困ってるみたいでね」

少女「それやだね! 急いで持っていってあげて!」

男性「あぁ、もちろんだ」

女性「気をつけてね」

男性「行ってくる」

少女「だばだ~♪ しゅびでゅびでゅば~♪」

少女「らったたら~♪ お~いえすっ♪」

村人「あぁ! 少女ちゃん!」

少女「? はい!」

村人「お手伝いしてるとこ悪いんだけどね、お母さんはどこかな!?」

少女「おかあさんなら……」

女性「どうかしましたか?」

村人「あぁ! 奥さん! 落ち着いてくださいね! ご主人が旅先で!」

女性「……」

少女「おとうさん……?」

少女「おとうさん!」

女性「だめっ!」

少女「離して! おとうさんが!」

ザー

少女「……」ポタポタ

少女「……ねぇ」

少女「女神様、いる?」

女神「はい、わたしはいつでもあなたのそばにいます、たとえこんな雨空のしたでも」

少女「……そっか」

少女「おとうさんね、魔物に殺されちゃったんだって」

少女「おとうさん、悪いことしたのかな」

少女「お父さんみたいな人いっぱいいるかな」

少女「魔物に殺されちゃう人いるのかな」

女神「……そうですね、たくさん、たくさんいると思います」

少女「……そっか」

ザー

少女「……ねぇ」

女神「……力を欲しますか?」

少女「」コクリ

女神「あなたには才があります、どのような力が良いでしょうか……」

少女「どのような?」

女神「えぇ、そうですね、例えば……」モジモジ

少女「?」

女神「わ、わたし、ほら太陽の女神ですし、世界を照らす太陽の力とかどうかなーとか」

少女「太陽……世界を照らす……」

女神「太陽ってあったかいですし、やさしさというか、あとほら、わたし太陽の女神ですし」

少女「あったかい……」

少女「だめ」

女神「え」

ザー

少女「あったかいだけじゃだめ」

少女「もうだれも殺される人がいないように」

少女「太陽じゃなくてもっと」

少女「もっと強くて、もっと速い、そんな」

少女「そんな……」

ピシャッ! ゴロゴロゴロ!

少女「っ!」

少女「雷みたいな!」

…………
……

―宿の一室―

女勇者「!」ガバッ

女勇者(……夢?)

女勇者(昔の夢を見るなんて)

女神「夢見が悪かったのですか?」

女勇者「女神様……また突然……お久しぶりです」

女勇者「昔の夢を……わたしが勇者になったときのことを夢に見ました」

女神「あぁ」

女神「わたしの提案を突っぱねた時の」

女勇者「……意外と根にもつんですね」

女勇者「……女神様」

女神「?」

女勇者「女神様は魔物が悪であると、世界からいなくなるべき存在だと思いますか?」

女神「……はい」

女勇者「それは、何故ですか?」

女神「……」

女神「では、あなたが何を思っているのかは、一切考えずにお答えします」

女神「わたしはこの世界の女神、太陽と光の女神です」

女神「そしてこの世界はあなた達、人の治める世界、人界なのです」

女神「魔物は魔界からこの世界にやってきた、いわば異物であるとわたしは感じます」

女神「だから、先ほどの回答は正確ではなかったかもしれません」

女神「魔物が悪である、とは言いません、ですがこの世界にいるべきものではないと思います」

女神「人が天界で新たな輪廻を待つように、魔物も魔界へといくのでしょう」

女神「人の手によって、この人界が成されていく、これが正しい形だと思います」

女勇者「……そうなのでしょうか」

女神「わたしはそのように感じます」

女勇者(だとしたら、この村は……)

女勇者(私は魔物を、魔王を倒すことが世界の、人びとのためだと)

女勇者(そう、思っていた……けれど)

女勇者(なにが、正しいのだろう)

―翌朝の村―

 ……! ……!? ……!!

女勇者「……ン」

女勇者「……寝すぎたかも」

女勇者(話し声……? なにかあったの?)

盗賊「あ、女勇者ちゃん!」

武闘家「おそいよ、ねぼすけが」

女勇者「あはは……、おはようございます」

賢者「女勇者さん、勇者さんをみてませんか?」

女勇者「え、いえ私も今起きてきたところですので」

賢者「一緒に寝ていたりとかは……」

女勇者「いやいやいや!」

武闘家「はずれか」

盗賊「夜中に話し声してたと思うけど気のせいかな」

女勇者(それは女神様との……急にでてくるもんなぁ)

女勇者「勇者さんがどうかしたのですか?」

武闘家「見つからないんだと」

賢者「いつも一番に起きているらしいですからね」

盗賊「戦士さんたちが探しているみたい」

女勇者「そうですか……」

女勇者「では、私たちは準備をしておきましょう。 いよいよ魔王城です」

武闘家「一番最後に起きてきたくせに」

女勇者「……」

賢者「ゆうべはおたのしみでしたね」

女勇者「」ガスッ

賢者「いたい!」

盗賊「あ、戦士さんたち帰ってきた!」

戦士「……」

僧侶「あ、女勇者さん! おはようございます!」

魔法使い「挨拶もそこそこでいいわ、さっさと行きましょう」

女勇者「行くって……、まさか魔王城へ!?」

魔法使い「当然!」

盗賊「でも勇者さんは見つかったの? みたところそんな感じじゃないけど」

女勇者「まさか……」

戦士「……あぁ、村長に言伝してあってな」

戦士「あの野郎、俺らおいて先に出発したらしい」

女勇者「そんな……どうして!」

大変お待たせいたしました。

内容は女勇者編、になってるような、いないような。
四天王倒して最初からクライマックスだったこのお話もそろそろ終わりです。
とはいってもあと3、4回の予定なので更新回数的には折り返しくらい。

なんとか思い描いていた終わりにたどり着けるようがんばります。

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