安部菜々「できない私が」 (21)

モバマスSSです。
鬱ではない……こともないかもしれない。
あとステマ気味。


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瑞樹「菜々ちゃん。突然だけどこれをあげるわ」

菜々「? なんですかこれ。キレイな懐中時計ですけど」

瑞樹「時間を巻き戻す時計よ」

菜々「はい? えーと、時間を巻き戻すっていうのは……」

瑞樹「そのままの意味よ。分かるわね?」

菜々「いえさっぱり……あの、詳細な説明をお願いします」

瑞樹「それを使えば、過去に戻ることができるの」

菜々「過去に戻る……?」

菜々「そ、それはつまりナナが正真正銘のリアルJKに戻ることも可能という……!」

瑞樹「それは無理ね。時計が巻き戻せる限界は、それを所持した時点まで」

瑞樹「いくら頑張っても、私からそれを受け取った瞬間までしか戻れないわ」

菜々「そうですか……期待して損しました」

???「そん(損)なに落ち込まないで……ふふっ」

菜々「誰ですか今の。いや分かってますけど」

瑞樹「ともかく、それは確かに渡したからね」

菜々「は、はあ。でも――」

瑞樹「それをどう使うのかは菜々ちゃんの自由よ」

瑞樹「ただし……未来を変えることはできないわ」

菜々「はい?」

瑞樹「たとえば、突然この場にあやめちゃんが出てきて、菜々ちゃんを暗殺しようとするでしょ?」

菜々「あんまり想像したくないですっていうかあやめちゃんがそんなことするはずないじゃないですか!」

瑞樹「あくまでたとえ話よ」

瑞樹「当然殺されるのが嫌な菜々ちゃんは、その未来を変えるため殺される前に時間を巻き戻す。そしてあやめちゃんが来るより、ここから逃げようとする」

瑞樹「でも、どれだけ場所を変えようと、あやめちゃんとは運命的に鉢合わせて、殺されてしまう」

菜々「ああ、そういうことなんですね。未来は変わらないっていうのは」

瑞樹「そうね。割れる運命にあるお皿は、どれだけ時間を巻き戻して防ごうとしても必ず割れる」

瑞樹「近い将来死ぬ人は、どんな大手術をしても必ず死んじゃう。そんな感じよ」

菜々「……あれ? でも、それじゃあ意味ないじゃないですか、この時計」

瑞樹「そうね。それに意味を見出そうとして、私も今まで何度も未来を変えようとした。でも、できなかったわ」

菜々「そんなものを、どうしてナナに……」

瑞樹「さあ、引き継ぎの儀式はこれでおしまい」

瑞樹「菜々ちゃん。未来、変えられるように……頑張ってみて」

菜々「いや、あの、だからなんでナナに……」


……………………

…………

……

菜々(ということで、理由も分からず、ナナは不思議な時計をもらいました)

菜々(学生時代に戻ることができるわけでもありません。戻れるのは、時計をもらったその瞬間まで)

菜々(非常に使いどころに困りました)

菜々(でも、使わないのももったいないので……ナナはこれを、同じ事務所の子たちを助けるために使うことにしました)

菜々「おはようございまーすっ……って、もうお昼ですけど」

ちひろ「おはようございます、菜々さん」

杏「おはよー」ゴロゴロ

菜々「相変わらずダラダラですねー杏ちゃん……2人だけですか?」

ちひろ「あと、かな子ちゃんもいますよ。今は給湯室ですけど。あとプロデューサーさんは営業です」

菜々「……そ、そうですか」

杏「残念だったねー菜々さん。プロデューサーいなくて」ニヤニヤ

菜々「べ、別に残念なんかじゃないですよ!?」

杏「代わりにかな子を抱きしめて我慢したまえ」

菜々「なんでそうなるんですか……代わりっていうのもかな子ちゃんに失礼ですし」

かな子「はあ……」トボトボ

杏「でも抱き心地良さそうじゃない? かな子って。ほら、戻ってきたし試してみなよ」

菜々「しませんってば……って、なんかずいぶん元気ないですね」

菜々「かな子ちゃん、どうしたんですか?」

かな子「あの……お昼ご飯にカップ焼きそばを作ろうと思ったんですけど」

杏「分かった。湯切りの時に全部落としたんだ」

かな子「正解……」

ちひろ「あー……私も昔したことあるわ」

杏「しょうがないね。別の食べないと」

かな子「今日、他に何も持ってきてないの……あと財布も忘れて……」

杏「あらら」

かな子「で、でも、落としちゃったからしょうがないよね。大丈夫だよ、一食くらい抜いても――」グゥ

杏「あ」

菜々「杏ちゃん、反応しちゃダメですよ!」

かな子「///」

かな子「で、でも……ガマンします!」

ちひろ「ダメよ、かな子ちゃん。ちゃーんと三食食べないと」

菜々「…………」

菜々(こういう時こそ、この時計の出番です!)

菜々(時間を戻して、かな子ちゃんが焼きそばをダメにしてしまわないようにします!)

菜々(使い方がしょぼい? 言わないでください!)

杏「あれ? どしたの菜々さん。さっきから黙って」

菜々「……………………」

菜々(さあ、時間戻しますよー!)


ミミミンミミミン……

――ウッサミーン!

菜々(はい! 時間戻しました! 今時間戻りましたよ!)

菜々(ナナが事務所に入って、おはようございますと言った直後です!)

ちひろ「おはようございます、菜々さん」

杏「おはよー」ゴロゴロ

菜々「あの、かな子ちゃんいます?」

ちひろ「かな子ちゃん? 給湯室ですよ?」

杏「焼きそばの湯切りに行ったよー」

菜々「ありがとうございますっ」ダッ

ちひろ「……走って行っちゃいましたね」

杏「なんでだろ?」

給湯室

菜々「かな子ちゃん!」

かな子「あ、菜々さん。おはようございますっ」

かな子「どうしたんですか? そんなに慌てて」

菜々「湯切りです!」

かな子「はい?」

菜々「湯切りに気をつけてください! 中身全部出ちゃわないように!」

かな子「は、はあ」

かな子「……まさか、それを言うためだけに慌てて来たわけじゃないですよね?」

菜々「え? えーと……そ、そんなに慌ててました?」

かな子「そう見えましたよ?」

菜々「そ、そうですか」

菜々(冷静に考えてみたら、ナナどうしてこんなことで慌ててたんでしょう?)

菜々(かな子ちゃんが悲しまないように、ではありますけど、なんだかすごい間抜けなことをしてるような)

かな子「ともかく、大丈夫ですよ。せっかくのお昼ご飯を無駄にするようなことしませんっ」

杏「あ、戻ってきた」

ちひろ「どうしたんですか菜々さん。いきなり給湯室に駆け込んでいって」

菜々「いやー、いきなりかな子ちゃんの顔が見たくなっちゃってですね」

杏「キマシタワー的な?」

かな子「?」

菜々「そ、そういうのじゃありませんからねっ?」

菜々(変に思われるのも当然ですよねえ。おかしな行動したんですから)

菜々(まあいいです! これでかな子ちゃんが焼きそばを食べれないという未来は変わりそうですから!)

菜々(川島さんが言ってた「未来は変わらない」っていうのは、嘘だったんですね!)

かな子「さてと、それじゃあさっそくお昼を――あっ!」ズルッ



ドンガラガッシャーン!

ちひろ「か、かな子ちゃん!?」

かな子「い、たたた……うう、何か踏んで、転んじゃいました……」

菜々「あ、あれ?」

菜々(な、なんでこんなところにスタドリの瓶が転がって……?)

ちひろ「あ! それ、新しいスタドリのサンプル……机から落ちちゃってたのね……」

ちひろ「ごめんなさいかな子ちゃん。私のせいだわ」

かな子「いえ、ちひろさんのせいじゃ……こっちも注意して歩けば良かったんですから」

杏「だいじょーぶ?」

かな子「うん、痛いけど大丈夫。ケガはないよ」

杏「それは良かった。焼きそばは大丈夫じゃないみたいだけどね」

かな子「え? ……あ!」

菜々「床に焼きそばが全部こぼれちゃいましたね……」

かな子「うう、焼きそば……じゃなくて、掃除しないと!」

菜々「ナナも手伝いますよ!」

杏「杏は見ているよ!」ドヤッ

菜々「ブレないですね……というかドヤ顔する意味が分からないです」

片付け後

菜々(なんだかんだ言って、杏ちゃんも手伝ってくれました)

菜々(……で、時間を巻き戻す前とほとんど同じ会話の流れです)


杏「しょうがないね。別の食べないと」

かな子「今日、他に何も持ってきてないの……あと財布も忘れて……」

杏「あらら」

かな子「で、でも、落としちゃったからしょうがないよね。大丈夫だよ、一食くらい抜いても――」グゥ

杏「あ」

菜々「杏ちゃん、反応しちゃダメですよ!」

かな子「///」

ちひろ「……私が瓶を落とさなきゃ、こんなことにはならなかったのよね」

かな子「いえ、ちひろさんが気にすることじゃ……」

ちひろ「よし! それじゃあ今日は私が、お詫びにご馳走しちゃいます!」

杏「ウソぉ!?」

ちひろ「なんでそんな反応なのっ?」

杏「鬼や悪魔も恐れる金の支配者ちひろ様が、他人に奢るなどとは……!」

ちひろ「さ、行きましょうかな子ちゃん。菜々さんも一緒にどうですか?」

菜々「ナナもいいんですか?」

ちひろ「もちろん!」

杏「杏は?」

ちひろ「留守番しててね。鬼悪魔以上の女と食事は嫌だものね?」

杏「天使のようなちひろ様。杏にも施しをくださいませ」

ちひろ「今さら遅いわよ。さ、かな子ちゃん菜々さん、いきましょう?」

かな子「ほ、本当に置いてっちゃうんですか?」

杏「ちひろ様~見捨てないでよ~(棒)」

ちひろ「動くの面倒でしょう? これは悪魔よりもひどいちひろが見せる天使のような優しさです」

杏「鬼~悪魔~」

菜々「も、もう言わない方が……」




菜々(この後、ちゃんと4人でご飯を食べに行きました。ちひろさんご馳走様でした)

菜々(かな子ちゃんが焼きそばを食べれない、という結末は変えられませんでしたけど……)

数時間後 事務所


 >ウッターオガサワラサヨナラタイムリー!!

友紀「あああああああああ!!」ジタバタ

菜々「ど、どうしたんですかっ?」

友紀「キャッツ! キャッツが負けちゃったよ! ガッツ改めカッツがタイムリー打っちゃったよ!」

友紀「これで首位陥落だよ! やばいよー! 誰か試合前に戻してよー!!」

菜々(まだ優勝決定したわけじゃないから、別に問題はないと思うんですが……)

菜々「まあ、試してみてもいいかもしれませんね」

友紀「へ? なになに?」

菜々「いえ、ちょっと友紀さんの問題を解決しようかと」

友紀「?」

菜々(というわけで、時計使いますよ!)

ミミミンミミミン……

ウッサミーン!

菜々(キャッツが負ける前に戻ってきましたよ!)

友紀「げ! ここで代打かあ……でも大丈夫! 負けるわけがない!」

菜々(友紀ちゃんは何も知らずにビール片手で応援しています。さあ、後はキャッツが頑張るだけ――)


 >ウッターオガサワラサヨナラタイムリー!!


友紀「あああああああああ!!」ジタバタ

友紀「キャッツ! キャッツが負けちゃったよ! ガッツ改めカッツがタイムリー打っちゃったよ!」

菜々(よく考えたら、単に時間戻しても干渉できなきゃ結果変えられるわけないですよねー)

菜々「まあまあ、次は勝てますよ友紀さん。っていうかこの試合で優勝決まるわけじゃないんですから、いいじゃないですか」

友紀「そうだけどさあ」

菜々「明日に希望を持ちましょう! 負けた試合を振り返っていても、なんにもなりません!」

友紀「……………………」

友紀「……うん、そうだね菜々さん! いいこと言ったよ! さすが年長者!」

菜々「え?」

友紀「今日は負けても明日は勝つ! 1日で首位奪還だー!」

菜々「あの、今年長者って言いました?」

友紀「レッツゴーキャッツ!」

菜々「ひょっとしてごまかそうとしてません?」

菜々(こんな感じで、時計を使って時間の巻き戻しを始めました)

菜々(困っている子がいたら、その子の力になれるように……って、全然なれてませんけど)

菜々(……いったいなんなんですかねえ、この時計……)

菜々(こんなもの、川島さんはどうしてナナに……)

数日後

菜々「おはようございまーす」

ちひろ「あ、菜々さん!」

菜々「? どうしたんですか? そんな慌てて」

ちひろ「ぷ、プロデューサーさんが……!」

菜々「Pさん? な、何かあったんですか?」

ちひろ「落ち着いて聞いてくださいね? 実は――」



ちひろ「Pさん、倒れて――入院しました」

菜々「……え?」

内容忘れた
体験版もう1回してくる

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