赤城「提督、司令部からこんなものが」 提督「ん」 (46)

提督「小包だな。なんだこれ?」

赤城「ボーキサイトでしょうか」

提督「この量じゃお前を満足はさせられないだろ」

赤城「別に食べたいわけではありませんよ!」

提督「それは失礼。さて……」ガサゴソ

赤城「……あら?」

提督「これは……」


提督・赤城「指輪……?」

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提督「……ふむ」パサッ

提督「この要綱によると」

提督「その指輪は高練度の艦娘の潜在能力を引き出すために試作された新たな艤装らしい」

赤城「艤装……ですか? なぜ指輪など」

提督「さあな。ちなみに指輪を装備することをケッコンカッコカリというんだと」

赤城「結婚ですか。意味深ですね」

提督「だな」

赤城「それで……するんですか? 結婚」

提督「ケッコンカッコカリだ」

赤城「響きは同じですよ」

提督「……」

赤城「我が鎮守府の艦娘全員はこの指輪を左薬指に嵌めるための条件を満たしていますね」

提督「おい何で薬指なんだ」

赤城「結婚ですよね?」

提督「ケッコンカッコカリだって……」

赤城「指輪というのはそれだけで女性にとって特別な物ですから」

赤城「そこには人間も艦娘もありませんよ」

提督「お前がそんな風に考えているとは思ってなかったよ」

赤城「結構失礼ですよね、提督」

提督「食い気と敵の殲滅に傾注してると思ってた」

赤城「本当に失礼ですね、提督」

提督「じゃあつけるか? 指輪」

赤城「嫌です」

提督「なんなんだ」

赤城「ムードも何も無いじゃないですか。落第ですよ落第」

提督「落第……うっ、士官学校時代の記憶が……」

赤城「……それに、他の娘たちにも一応指輪のことは伝えておくべきだと思いますよ」

提督「まあ、新装備の件だしな……」

赤城「結婚のことですから、全員にきちんと話さないとダメですよ」

提督「だからその結婚というのをやめなさい。あいつらに話したらどんな顔されるか」

赤城「みんな意外と乗り気かも知れませんよ」

提督「大井に、満潮、霞に曙……あいつらが乗り気になると思うか?」

赤城「足柄さんを忘れていませんか?」

提督「……まあ、うん」

提督「――さて、全員に集まって貰ったわけだが」

大井「提督」

提督「ん? どうした大井」

大井「北上さんの配属はまだでしょうか」

提督「上から許可が下りん。というか何度目の質問だこれ」

赤城「一年は言い続けてますね」

満潮「いい加減上を説得なさいな」

霞「だらしないわね」

曙「これだからクソ提督は……」

提督「酷い信頼感をありがとう」

提督「で、集まって貰ったのは他でもない。今朝これが司令部から届いた」

曙「指輪?」

満潮「それが何か?」

足柄「結婚指輪かしら? いいわね、憧れるわ」

霞「指輪がどうかしたわけ?」

赤城「みなさんそう慌てないで。これは艤装の一種なのですが」

赤城「この新装備は試作のため一つしかなく、加えて装備することを『結婚』と呼称するそうですよ」

一同「!?」

提督「カッコカリな」

赤城「誤差の範囲内です」

提督「お前索敵でも同じ事言えるのか?」

不勉強でごめんだよ

曙「結婚……って、何考えてんのよクソ提督! バッカじゃないの!」

大井「結婚……私たちに命令を下す間にそういうことを考えていたんですか?」

満潮「バカね」

霞「真面目にやりなさいって言ってるじゃない」

提督「この信頼感……胸が熱くなるな」

赤城「照れ隠しですよ」



足柄「結婚が! 入籍が! 私を呼んでいるわ!」



提督「あれは?」

赤城「いつもの発作です」

提督「お前も大概酷いな」

足柄「……少しくらい突っ込んでくれても良いんじゃない? 人がボケてるのに」

曙(割と本気に)

霞(見えたことは)

満潮(黙っておくわ)

大井「それで提督、それを誰に装備するかは決めているんですか?」

提督「全員つけて効果があるだけの技量には達してるんだが……大井、つけるか?」

赤城「……」グリッ

提督「いってえ!」

赤城「提督?」

提督「はい……すいません。大井、忘れて」

大井「は、はぁ……」


足柄「はい駆逐艦ズ、お姉さんと作戦タイムよ」

曙「作戦?」

霞「何よ?」

足柄「赤城さんの今の行動について」

満潮「……嫉妬でしょ」

足柄「やっぱりそう思う?」


赤城「あの、聞こえているんですが」

提督「ええいわかったわかった」

提督「試作兵装といえ小包で送ってきたんだ、そう大事な物でもないだろ」

提督「工廠の妖精に管理してもらうことにする」

提督「それでいいか?」

曙「別に私はどうでも良いんだけど……」

満潮「好きにしたら?」

霞「別に止めないわ」

足柄「え、しまっちゃうの?」

大井「はい足柄さんは空気を読みましょうね~」

赤城「少し勿体なく感じますが」

提督「お前が余計な事言うからだよ……それじゃ片付けてくる」

【夜・執務室】

赤城「……」コックリコックリ

提督「おい、赤城。眠いなら眠いと言えよ……」

赤城「はっ! ね、寝ていませんよ! 寝ていません!」

提督「船漕いでたから。……空母が船を漕ぐ……下らないな」

提督「こんなんだからクソ提督だのクズだの舌打ちだのが収まらないのか……」

赤城「勝手にネガティブになるのは結構ですが……そろそろ提督もお休みになった方が良いのでは?」

提督「ん? ああ、もうこんな時間か……」

提督「よし……今日はおしまいだ。赤城もご苦労だったな、戻って良いぞ」

赤城「はい。それではまた明日」

提督「ん」

赤城(口では何のかんの言うけど……素直な気持ちは言えないんですよねえ……)

赤城(好意をありのままに伝えられたら、どれだけ楽なことか……)

赤城(はぁ……)

赤城(……指輪、本当に誰にも渡さないんでしょうか)

赤城(…………)

赤城(気になる……)

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年10月06日 (月) 22:44:05   ID: qOl6jtxX

更新まだっすか(*´∀`)♪

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