ほむら「夢で会ったのよ」 (108)

ガチャッ

ほむら「…ただいま」

改編後、庭園で踊ったり落っこちたりしていたら、帰りがずいぶん遅くなってしまった。

ほむら「…23時…47分…」

我ながら、はしゃぎすぎだわ。

ほむら「…おなか空いたわね…」

悪魔でもおなか空くんだー…などと考えながら冷蔵庫を開ける。空だった。

ほむら「………」

まどかを引き裂くのに熱中する余り、自分の身の回りの改編がテキトーである。

ほむら「………」グゥ…

さすがにキツい。

こちとら自分の結界内でお弁当を食べたっきり、ぶっ通しで動いていたのだ。

ほむら「…というか、アレは食べたウチに入るのかしら…」

いわゆる、夢の中での話、だし。




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「…なにか買いに行こうかしら…」

悪魔といえどもコンビニのお世話にはなりたい。

しかし、

ほむら「…先に着替えよう…」

制服で補導でもされようものなら格好がつかない。

自分がしょっ引かれる様を想像したら、なんだか美樹さやかに笑われた気がした。

ほむら「…学校で会ったら…まあいいわ…」

そんな気力も湧かない。


ほむら「…えー…」

クローゼット。制服3着。体操着2着。学校指定のコート1着。下着、ナイショ。

要するに、私服がない。全く無い。

ほむら「…なんでよー…」

どうしたものか。というかなんでよ。眼鏡時代の地味な服があったでしょうが。

ほむら「…なんでこんなところが融通効かないのかしら…」

改編し忘れちゃったみたい。


ほむら「………」

ほむら「………!」

えいっ。



バサァッ!!

悪魔ほむら「………」

かーらーのー。えいっ。



ゴスほむ「………よし」

これにストッキングでも履けばいいでしょ。我ながら名案だわ。よしよし。





ほむら「………」

靴も学校指定のしかないのね…。


ティロティロティローン

「しゃーせー」

深夜のコンビニは偉大だわ。

ほむら「えー…っと…」

カップラーメン…。いや…この時間に油っこいものはキツい。太…マミる。

でもこんな時間、パンや惣菜はなにもないし…。

ほむら「…あ…」

サッポ○一番塩ラーメン。袋麺か…これにしよう。

料理できない私でもこれぐらいはできるわ。

…私は基本的にロースペックなの。悪い?



「ありあとっしたー」

ティロティロティローン…


ほむら「…ただいま…」

べつに返事があるわけでもないが。

さー作ろう。さっさと作りましょう。

ほむら「~♪」

ようやくテンションが上がってくる。

お鍋が無いってオチだと思った?

あるのよねぇこれが。

ほむら「…お湯沸かすのが面倒ね…」

えいっ、て出来たらいいのだけど、

…巴マミなら出来そうな気がする…。

あ、お箸お箸。

ほむら「…あるのよねぇこれが」

たった一膳だけどね。



できたわ。さすが私。

食器棚。平皿1枚。お茶碗一つ。お鍋から直接食べるしかないわね。

ほむら つ鍋「………」

鍋敷きがない。そうくるのね…。


ほむら つ鍋「なにか代わりになるものは…」

…とても綺麗な部屋ね。

ほむら つ鍋「何もない…そうだわ!」

盾の中に何かしらあるはず!



悪魔ほむら つ鍋「………」バサァ…

…私、悪魔なのを忘れていたわぁ…。

…いいえ。まだよ。

空いてるほうの手で、さっと空間を切り裂く。

…ふふっ、盾が無くても収納出来そうじゃない。

悪魔ほむら つ鍋「さすが私…っと」ゴソゴソ

眼鏡。

悪魔ほむら つ鍋「………」ゴソゴソ

カ○リーメイト。今さら…。

悪魔ほむら つ鍋「………」ゴソゴソ

少年ジャ○プ。…これでいいわね。



ほむら「………」モッキュモッキュ

…それにしてもいろいろな物がないわね…。

ほむら「………」ズズッ…

明日、お買い物に行きましょう。

ほむら「………」ズズッ…

まどかのことばかり考えていたけれど、

ほむら「………」モッキュモッキュ

私も、久しぶりに普通の生活が出来るのね…。

ほむら「…いつまで続けられるのやら」ズズッ

がんばりましょう。



ほむら「………」…ゴクッ…プハァ

飲み物は水道水で済ます。明日なにか買ってきましょう。

このまま寝てもいいけれど、

ほむら「…シャワーだけでも浴びましょう…」

あくまでも乙女。ふふっ。





QB「見せられないよ!」



ほむら「…歯磨き粉もないじゃない…」ブオォー…

髪が長いとドライヤーが面倒。

…巴マミは魔法で乾かしてたわね…。

…あのドリルは魔法だったのか…。

…どうりで硬いわけだわ…。


ほむら「………」カチッ…フオォン…

さて、寝ましょうか。

…パジャマも買わなきゃならないのね…。

仕方ない。上は体操服、下は、

ほむら「…ナイショ」

おやすみなさい。



ほむら「………」

ほむら「…ま…どか………んぁ?」

…?ぅん…アレ…?

ほむら「………」

今…何時…?

ほむら「……ん」

…4時…?

ほむら「………寝よ」

おやすみなさい。


チュンチュン

ほむら「………」

………きょう…は…。

ほむら「………」ムクッ

ほむら「………朝?」

土曜日。

ほむら「………」ベフッ

おやすみなさい。

ほむら「………」

カーナーターヘーキーミーノーテーヲートーリー
コーコーローダケーガーシーッーテールーバーショヘー

ほむら「!?………」

目覚ましコレぇ?

…おはよう。


ほむら「…あぁー…ん、よし」

よーく寝れたわ。疲れもナシ。

ほむら「…ふぅ」

ようやく調子を取り戻せそうね。

昨日は、長かったから。

ほむら「…顔洗って…あー歯磨き粉が無いんだったわ…」

ピンクの歯ブラシはあるんだけどね?



ほむら「………」

服を買いに行く服がないってこういうことね。

ほむら「………」

昨日脱ぎ散らかしたままのゴス服でいいかしら。

ほむら「…春先にコレはちょっとないわね…」

元地味子の私でもそのぐらいはわかるわよ。



ヴー、ヴー、ヴー、

ほむら「!?…あ、…ケータイか…」

ヴー、ヴー、ヴー、ヴ…

ほむら「…お母さん…か…」

どうしよう。何年ぶりってレベルじゃない。

親の顔を忘れる程に愚かな娘ではないけれど、

ほむら「………」スゥ…ハァ

緊張はする。

ほむら「………」ピッ…

ほむら「………あ、」

ほむら「お母さん?どうしたの?」

ほむら「…あぁ、うん。ありがとう」

ほむら「…いいえ?大丈夫よ?経過も問題ないし…」

ほむら「…えっ!?あーうん、大丈夫。上手くやってる」

ほむら「うーん…どうなんだろ?ついていけないってことはないと思う。そんなに難しくないし」

ほむら「…うん…ありがとう…お父さんにもよろしく…えーまたぁ?夏休みに帰るから我慢しってって言っておいてよー」

ほむら「うん…うん…わかってる…はーい気をつけまーす」

ほむら「それじゃあね…うん…はーい」

ほむら「………」プッ…

ミッションコンプリート。

意外にいけるじゃない、私。

っというか、あちらにとっては前に会ってからまだ半月ぐらいの話だものね。

ほむら「なんだ…全然…平気じゃない…」

………。

ダメだ。顔洗ってきましょう。



11時13分。寝すぎね。

ほむら「…えーと」

とりあえず買ってくるものを決めないと。

服と、下着も数が心許ないし。お皿は要らないわね。誰が来るわけでもないし。

ほむら「…多いわね」

洗顔に歯磨き粉、食器用洗剤と洗濯用…柔軟剤も…もう一度改編したほうが早そう。

ほむら「…朝ご飯は昨日のカロリーメ○トでいいわね」

歴戦の友よ。さて、じゃあコレを水道水で流し込んだら、

ほむら「…とりあえず、外に出ましょう」

ゴス服もストッキングも昨日のままだけど、別にいいわよね?

ほむら「…バレなきゃいいのよ、バレなきゃ」



ほむら「………」カツ コツ カツ コツ

目的地は見滝原ナントカショッピングモール。

イ○ンではなかったと思う…。

ほむら「………」カツ コツ カツ コツ

せっかくなので歩いていく。いい天気なのよ。

ほむら「………」カツ コツ カツ コツ

たまにチラ見されたり、すれ違った奴が振り返ったりしてくる。

ほむら「………」カツ コツ カツ コツ

ふふん、目つきが悪くても美少女だものね。仕方ないわね。

ほむら「………」カツ コツ カツ コツ

…ゴス服がシワになってるとかじゃないわよね?

ほむら「………」カツ コツ カツ コツ

…そういえば…靴も学校のローファーのままね…。


──ショッピングモール

ほむら「……んー」

相変わらず大きいわね…。

ほむら「…どこから行こうかしら」

生活用品そっちのけで服と靴が欲しい辺り、私もまだ女の子だ。

ほむら「…まだってなによ…」

自分で思ったのにイラっとしてしまった。

ほむら「…あ、……」

いつか、まどかと一緒に入った喫茶店だ。

ほむら「……まどか」

あの時もアレはアレで雰囲気が良かったわけじゃないけれど、

ほむら「………」

…下着から見ていきましょう。



──ランジェリーショップ

「ありがとうございましたー」

ほむら「………」

いちいち試着なんてしないわよ。

ほむら「………」

改めて…サイズを測る必要なんて…無いのよ…。



──靴屋

ほむら「…んー…」

靴は服を買ってからでしょう。たぶん。



──服屋

ほむら「………コレと、コレと…」

部屋着と、軽い外出に耐えられる服を選ぶ。あ、ついでにストッキングも。試着してかわいいのを選ぶ、なんて毎回やるわけないでしょ。男子は夢見過ぎなのよ。

ほむら「………あ、」

でも…アレ…いいわね。

あの、ディスプレイのセットのコーデ。

深い赤のフリルシャツにリボン、膝丈の黒地に赤チェックのフレアスカート、それに黒のボレロ…。

まだ寒いかしら…というか秋っぽい?…悪魔っぽい。よし、これだわ。

センスに自信が無ければマネキンを引っぺがせ。鉄則。さーてお財布には、

諭吉98人「うぃーっす」

ほむら「………」

いつかの戦利品。シノギ、とも言う。

ほむら「…すみません、これ試着したいです」

今さら悪魔がなに気にしてるのよ。



──靴屋(二度目)

ほむら「………」

靴売り場ってあんまり馴染みがないのよね…。

ほむら「………」

こういう、何か買うって決めてる時に限って、店員って寄って来ないのよね…。

ほむら「…コレ…かしら」

エンジのエナメル…珍しいわね。ヒールが高いけど…値段は…、

セールで7万9千8百円…か。高いのを買っておけば間違いないわよね。よし、試着試着。

ほむら「…すみませーん」

「はい、なんでしょうか?」

ほむら「コレ、色違いで黒もありますか?ふたつ欲しいんですけど」

「!?」



──トイレ

ほむら「…こんなものかしら」

買った服と靴。鏡で見ても、うん、大丈夫、小悪魔美少女よ。たぶん。大丈夫よね?

ほむら「…よし」

脱いだ服と靴と、ついでに買った下着も異空間に放り込む。コレいいわね、便利だわ。

ほむら「…あ、本屋」

行きましょう。

値札が付きっぱなしとかいうオチはないわよね?よし、大丈夫。



──本屋

ほむら「………」ペラッ

ほむら「………」

ほむら「………」ペラッ

ほむら「………」

ジー…

ほむら「………」ペラッ

ほむら「………」

ほむら「………」ペラッ

ほむら「………」

ジーーー…

ほむら「………」ペラッ

ほむら「………」

ほむら「……ハァ…」

なんであの子が…ここにいるのかしら…。





まどか「…」ジーーー


ほむら「………」

なんでちょっとずつ近づいて来てるのかしら…貴女…そこの棚、起業&経営スペースよ?



まどか「…」ジーーー

ほむら「………」ペラッ

集中できないわね…。というかどうしろっていうのよ…。…今貴女が読んでるフリしてる雑誌、カーセ○サーよ?車買うの?



まどか「………!?」アタフタッ

だから貴女が今居る棚は18禁コーナー…!?

ほむら「……もぅ」

昨日の今日で。まったく、なんという忙しない巡り合わせなのかしらね…。



ほむら「…まどか、奇遇ね?どうしたの?」

まどか「わ!?ひゃっ!?暁美さん!?ちっ!ちがうの!これはね!えっとね!?」

暁美さん…がとてもショックだけれど、その前に、違う?ああ、そういうことね。

ほむら「…貴女が少しずつ近づいてきてるのは知っていたわよ」

まどか「ふぇ!?あっ、えーっと…ティヒヒヒ…」

今すぐ抱きしめたいわぁ。


まどか「えーっとね?本屋さんに入ったら、暁美さんが本読んでるのを見つけてね?何読んでるのかなぁって気になって

ほむら「………」

目の前であーだこーだ言い訳に奮闘する私の愛しいまどか。でも、

ほむら「…そう。買おうかどうか迷っていてただけ。もう行くわ」

多くは関わらない。そう決めたの。私は貴女の世界を守るだけ。幸せになってほしいだけ。

貴女に、私は必要無い。

ほむら「昼には遅いけど、食事に行きたいの。それjy」

まどか「あっ!暁美さんもお昼まだなの!?わたしもまだなんだ、一緒にどうかな!?」

私一発KOじゃないのーもーなんなのよーこんなの絶対勝てないじゃないのよー。


まどか「ここでいいかな?」

ほむら「私はどこでもかまわないわ」

いつしかまどかと来た喫茶店。神様もなかなか意地悪というか、あ、神様ってこの子ね。

まどか「あ、注文が先なんだ。ほむ…暁美さんは何にする?」

スルーする。

ほむら「私はこのBセットを。まどかは?」

まどか「わたしは…じゃあこれ!Zセット!」

26種類もあるの?あ、そういう名前のイベント商品か。紛らわしいわね。

まどか「おまたせ、ほむらちゃん!窓際の席行こう!」

まどまどしてるわね。もちろんスルーよ。


ほむら「どう?学校は。昨日一日、何か変わったことがあった?」

例えば、あの青魚が接触してきたとか。

まどか「変わったもなにもまだ一日目だし…みんな良くしてくれてたよ?さやかちゃんも、杏子ちゃんも仲良くしてくれそうだし」ティヒヒ

遅かったか、青魚。まあ、アレには何も出来ないでしょう。

ほむら「そう…それならいいの。よかったわね、まどか」

まどか「うん!あ、それでね…暁美さんのことも、ほむらちゃんって呼んでいいかな?」

ほむら「ゴフッ」

スルー不可。直球じゃない…。アメリカナイズされたまどかはぐいぐい来るわね…誰よアメリカ設定した奴……私よ…。

まどか「あっごめんね!?大丈夫?ごめんね急にわたしなんかが馴れ馴れしく名前で呼んじゃって…」

ほむら「いえ…いいのよ。ありがとう。私も名前で呼ばれるのは嬉しいわ」

貴女限定だけれど、ね。


まどか「本当?よかったぁ…わたし、ほむらちゃんには名前で呼んでもらってるのに、わたしが苗字で呼ぶのはなんか変かなぁって」

ほむら「無理に合わせる必要はないのよ?貴女が1番呼びやすいようにしてくれればいいわ」

まどか「うん!それにね、ほむらちゃんの名前!かっこいいんだもん!」

それここで来るのねー。

まどか「あ!あとね、その服すっごいかわいいね!モデルさんみたい!初め見たとき2度見しちゃったよー」

総額30万超えてるからかしらねー。

「えっと…それでね?今日わたしのお家の引っ越しが終わった記念でパパがちょっとしたパーティーというか、お食事が豪華なんだ。ママのお仕事がようやく落ち着いて…。ほむらちゃん一人暮らしでしょ?よかったらでいいんだけど来てもらえないかなぁって」

もうやめて。もう私のライフは0よ。

まどか「廊下でね…?あの…抱きしめられた…ときからまた会いたいなぁってずっと思ってたの。そしたら今日偶然ほむらちゃんを見つけてね!それでわたし

死ぬ。死ぬ。まじで。やばい。マジで死ぬ。



ほむら「…どうしてこうなった」

とりあえず、私が日用品を買いに行くという名目で一旦解散になったものの、

夕方頃にまどかの家の近くの公園で待ち合わせ、だそうだ。

私がまどかの家を知ってるわけにはいかないものね。

ほむら「………はぁ」

図らずとも今日のおめかしは完璧よ。ありがとうヤクザさん。

ほむら「…私、悪魔なんだけどなぁ」

まどかを引き裂いてからたった1日でこの有様よ…。

ほむら「…とりあえず日用品を買いに行きましょう…一階かしら…」



ほむら「…ただいま」

16時21分。か…。

ほむら「………」ドサッ

空間シュバッ(名前はまだ無い)すれば、別に日用品を家に持って帰る必要も無かったのでしょうけれど、

ほむら「………」

歯を、磨いておきたくて。

ほむら「……はぁ」

あぁ、お風呂入りたい。



仮眠をとって寝坊する、などという愚行を犯さないためにも、

さっさと身支度を整えて外に出る。ストッキングも、ちゃんと新しいのを履いたわよ?

ほむら「時間までテキトーにぶらぶらしてましょう…」

約束の時間、18時。

スマホで確認。ああ、腕時計も買えばよかった。

ほむら「…時間…結構あるわね…」

夕食だものね。

その辺をウロウロしてましょう。

ほむら「…~♪」

決して、新しいお洋服をお披露目したいわけじゃないのよ?


ほむら「~♪………」

北北西に約3km、数、20から30。

ほむら「…面倒ね」

あの三色馬鹿に投げてもいいけれど、

ほむら「…進路上に、まどかの家」

使い魔共に任せてもいいけれど、

ほむら「…私に、喧嘩売ってるのね?」

魔獣共。いい度胸ね。

私が、直々に殺してあげるわ。



ほむら「………」ヴンッ!

不可視フィールド的なナニか。一回やってみたかったのよ。それに悪魔がUMA扱いされたらたまらないものね。

悪魔ほむら「………」バサッ!

そういえば…この格好で戦うのは初めてね。

悪魔ほむら「………」フワァッ…

ま、なんとかなるでしょう。

悪魔ほむら「…いくわよ」

夕飯までには帰るわ。なんてね。

ゴウッ!!!!



悪魔ほむら「~♪」ズシャァッ!!

あら、私強いじゃない。

悪魔ほむら「~♪」バサァッ!! ヒュッ!!

翼を振るうだけで魔獣が崩れ落ちるわ。

悪魔ほむら「~♪」ガガガガガガッ!!

魔獣「abbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbb」
魔獣「abbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbb」
魔獣「abbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbb」
魔獣「abbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbb」
魔獣「abbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbb」

それにしても、なんでハゲてんのかしらこいつら。

悪魔ほむら「…よっと」ザシュッ!!

魔獣「abbbbgga                                    」

ストレス社会だから仕方ないわね。


──────………

悪魔ほむら「…呆気なかったわね」

もうちょっと粘ってよ。だからそんなにハゲなのよ。

悪魔ほむら「…んーっ」

のびーっ。さて、そろそろ愛しいまどかのところに向かいましょうか。…あら?

マミ「…こんばんわ。暁美さん」

杏子「…よぉ」

さやか「………」


悪魔ほむら「あら、こんばんは御三方。魔獣ならもう片付けてしまったわよ?」

広い見滝原といっても、同じ縄張りにいる以上、顔見知り程度にはなるものね。

悪魔ほむら「私は用事があるから帰るけれど、何か用かしら?」

マミ「…いいえ。貴女と無闇に戦り合うつもりは無いわ」

警戒されてるわね…。すぐにドンパチな発想をする辺り、貴女けっこう脳筋ね?

悪魔ほむら「そう、それじゃ」シュゥン…

ほむら「失礼するわね」

さやか「!?」

マミ「…随分可愛らしい格好をしているのね」

ほむら「ありがとう。これからパーティーなの」ファサァ

ホントはお食事会。この程度なら、見栄張ってもいいでしょ?

杏子「…セレブかよ」

そういう顔を見ると、つい自慢したくなっちゃう。

ほむら「この服さっき買ったの。30万よ」

杏子「マジ!?」

あ、そうだ。腕時計と、新しいカチューシャも欲しいわね。


ほむら「それじゃ、私はそろそろ向かわないと…」スマホチラッ

18時12分。

ほむら「  」

悪魔ほむら「  」バサァッ!!

マミさやあん「!?」ビクッ!?


遅刻っ!!!


悪魔ほむら「まどかぁーーー!!!」バサゴッ!!!

マミさやあん「  」



マミ「…あの格好、コスプレかなにかなのかしら?」

杏子「…若干、服に着られてる感あるよな」

マミ「背伸びしちゃってる感じね…マネキンそのまま剥がしてきたのかしら」

杏子「…案外…ああ、そうかもな。悪魔っつっても結構馬鹿そうだな、アイツ」

さやか「  」



まどか「ほむらちゃん…遅いなぁ…」

まどか「ケータイのアドレス、聞いておけばよかったなぁ…」

はしゃいじゃって、忘れてました。わたしってホントおバカ…。

まどか「…やっぱり…迷惑だったかな………あ!」



ほむら「遅れてごめんなさい、まどか。少し用事が入ってしまって」

電柱の影で息を整えたのはナイショだ。

まどか「ううん!こちらこそごめんね?急に誘っちゃって。用事、だいじょうぶなの?」

ほむら「ええ。もう終わったし、大した用事じゃなかったの。無視すればよかったわ…ごめんなさいね」

何のための使い魔なのかしら、まったく。

まどか「そっか、よかったぁ…あ!そうだ、ほむらちゃんのメールアドレス教えて欲しいな?さっき聞いておけばよかったね…」ティヒヒ

ほむら「あぁ…そうね。私から送るから、まどかのを教えてちょうだい?」

そういえばこのスマホ、いつから持っているのかしら?連絡先、お父さんとお母さんと病院しか入ってないじゃない。

まどか「ウェヒヒ…ありがとうほむらちゃん。メールしてもいい?まだメアド交換してもらったの、ほむらちゃんで2人目なんだぁ」

ほむら「ええ、もちろんよ」

まどかとメール!まどかとメール!

まどか「あ、さやかちゃんからメールだ」

あの青魚、今度会ったら塩焼きにしてあげましょう。



ほむら「………」ドキドキ

大丈夫。大丈夫よ暁美ほむら。娘さんを下さいってするわけじゃないのよ。お食事よ。食べて帰る。こんばんわ。いただきます。ごちそうさまでした。これだけよ。何も問題ないわ。もう何も怖くな

まどか「ママにね、すっごい可愛い子が来るって言ったらね、タっくんのお嫁さんにどうかなぁって、あっごめんね!ママの冗談だからね?あ、タっくんっていうのはわたしの弟で

お母様ぁー!そっちじゃないです!お姉さんの方を頂けるとありがたいんですけどー!



詢子「やーっと来たかぁ…おーいらっしゃい!………まどかぁ、またすげぇの連れてきたなぁ?」

まどか「ウェヒヒ…。ほむらちゃん!入って入って!」

ほむら「今晩は。暁美ほむらと申します。今夜はお招き頂いてありがとうございます。とても楽しみにしていました」

スカートの裾を摘み、深々とお辞儀する!カーテシーっていうのよ!覚えておきなさい!

ほむら「手土産を用意する時間も無くて恐縮ですが…よろしくお願い致します」

完璧!完璧なはずよ!ちょっとテンパってるけど!さぁ!どうですかお母様!!

詢子「…なぁ…まどか。タツヤと11歳差だけど、別にいいよな?」

まどか「ママぁ…ほむらちゃんに失礼だってばー…」

姉の方なら同年齢ですわ、お義母様。



まどか「ほむらちゃんは座ってて。ごめんね?パパがお料理作ってるのを手伝わなくちゃいけないの。ちょっと待っててね」

ほむら「わかったわ、まどか。………」

鹿目家リビング。まどかの家に入るのは久しぶりね…。まああの時はベランダに入っただけで家に入ったかどうかと言われると微妙だし、というか不法侵入「ほむらちゃん、お茶」

ほむら「はい!?ありがとうございますっ!?」

しまった…油断したわ…。

詢子「あっはっは!そんなに固くならなくてもいいさ。アタシは鹿目詢子。こんなのでもまどかの親やってる。よろしくな」

ほむら「ええっと…よろしくお願いします」

詢子「んー?ああ、緊張してんのか。最初すっげーお嬢様が来たもんだと思ったが…案外普通?なのか?」

庶民ですが、昨日から魔なる者って名乗っております。



ほむら「病院生活が長かったもので…友達の家に呼ばれるというのが初めてでしたから…失礼の無いようにと思いまして…」

実際にまともに入院していたのなんて、もう何年前の話になるかしら。

詢子「あぁそれは大変だったなぁ…ありがとな?」

ほむら「…えっ?」

詢子「まどかのことを普通に友達って言ってくれて。会ってからまだ二日目だろ?」

…あ。

詢子「たった三年とはいえ…アタシの都合でアメリカまで引っ張っちまったからさ?やっぱり心配だったさ。久しぶりの日本で友達ができるか、ね」

全面的に私の都合です。ごめんなさい。

詢子「昨日の夜…ってか今日の日付になってからだな、アタシが帰ってきたらまどかが深妙な顔して『相談があるの…』とか言い始めるからよぉ…転校初日からイジメられでもしたかと思ったよ」

ほむら「…イジメ?」

誰だ。殺す。


詢子「…あぁ違う違う、アタシが早とちりしたってだけだ。そんでよ?『えっとね、いきなり抱き締められて』とか言い始めるからさ、お?ウチのまどかに手ぇ出す奴ぁどこのどいつだ?って顔でも拝みに行こうと思ったのよ」

ほむら「  」

詢子「そしたらよぉー、なーんか違うんだよな?よーく聞いたらまずそいつは女の子だっていうし、昔の友達かって聞いたら、夢で会ったようなとか言い始めるし、これはいよいよウチの娘にも電波属性が付いたかって、夢でも見たんじゃねーかってバカにしたら、

ほむら「  」

詢子「『夢じゃないもん!連れてくるもん!』って顔真っ赤にしてさ?アレ?おかしくね?満更でもないどころか彼氏紹介されるノリじゃね?」

ほむら「  」

詢子が「そんでアタシが、そんな可愛いならタツヤの嫁にするかー、って冗談で言ったら『ダメ!!』って言うしさ?いやいや、それ横取りするわ、って言われた時のノリだろ?アタシが変なのか?」

ほむら「  」

詢子「かーらーのー」

ほむら「  」

詢子「今日。」

ほむら「すみませんでした」

すみませんでした。



詢子「あっははははは!!まさか即日連れてくるたぁ流石のアタシも思わないよ!すげぇ!すげぇわまどか!」

ほむら「  」

詢子「いやーすげぇわ。我が娘ながらおもしれーことするわ…んで、なんのハナシだっけ?そうそう、どんな理由でなんでそんな事になってんのかは知らねぇが、ほむらちゃんが来てくれてさ、まどかがすごい喜んでんだ。だから親としては、ありがとう、なんだよ」

ほむら「……恐縮です」

詢子「まどかをよろしくな?アレ、大人しいかと思えばたまーにすっごく強情だからさ、何かと世話が焼けるだろうが…転校から二日目で急な頼みにも関わらず来てくれたんだ。アンタなら大丈夫だろうよ。これからもまどかと仲良くしてやってくれ」

ほむら「…はい、もちろんです」

親公認、なのかしらね、これ。



詢子「…ところでほむらちゃん、一人暮らしなんだって?」

ほむら「あ、はい」

詢子「その年で大変だねぇ…親御さんは?」

ほむら「両親は東京に残りました…仕事があるので。私は心臓病の治療でこちらの病院で療養するために、ここで暮らすことになりました。心臓病の治療で割と有名な名医がいる、というので見滝原に…」

…だったような。よね。うん。昔の事過ぎてイマイチ…。

詢子「そうか…身体は、大丈夫なのかい?」

ほむら「今はもう。全然問題なんか無いです。体育もフツウに出来ます」

県内記録を普通と言うのかどうかは知らないけれど。

詢子「おーそうかそうか…そいつはよかった。…時にほむらちゃん。今日は時間は大丈夫かい?」

ほむら「へ?あ、はい。明日も学校は休みですし、特にこれといって用事もないですから…、帰って寝るだけです」

…インキュベーターでも虐めようかしら。



詢子「そーかそーか…まーどかー!!」

ほむら「!?」バッ

ナァーニーママー!?

詢子「ほむらちゃん泊まっていくってー!!」

ほむら「!?」

…ダダダダダダダダ!!

まどか「本当!?ほむらちゃん!!」

ほむら「  」

詢子「おーほんとーだぞー。客間空いてただろー?布団敷いておいてくれー」

まどか「はーい!」

マドカー! イマテヲハナシタラマズイヨー!!

まどか「あ!ごめんパパー!」

パタパタパタパタ…

ほむら「…あの、お母様?」

詢子「………その目」

ほむら「!?……」



詢子「緊張こそしていたが…その立ち振る舞い、一挙一動、雰囲気」

詢子「並の中学生…いや、並の人生を送ってきた奴とは明らかに違う。これでもバカみたいな数の部下抱えてんだ。人を見る目くらいあるつもりだ」

ほむら「………」

詢子「その年齢で一体何を見てきたらそんな目になるんだ?新卒の使えねぇ坊っちゃんとは比べものにならねぇ…」

ほむら「………」

詢子「それに…その服。と靴もか。ブランド物、しかも今春の新作だろう?先月の雑誌に載ってるヤツだぜ?とても一介の中学生が手を出せるシロモノじゃない。…ご両親、治療費で大変なんだろう?普通、母親だけでも一緒に来るもんだ」

ほむら「………」

詢子「最初…それこそとんでもない名家か極道のお嬢様かと思ったが…どうも違う。アタシと話してると多少礼儀正しい只の中学生、だしな」

ほむら「………」

詢子「………」



ほむら「…なんで」

詢子「うん?」

ほむら「………では何故、泊まっていけと?私のような者、警戒して当然でしょう?」

詢子「…まどかだ」

ほむら「……え?」

詢子「ここに歩いてきた時、まどかの右前を歩いてただろう?初めはちゃんとエスコートされてんなぁまどか、ぐらいにしか思わなかったけどさ」

ほむら「………」

詢子「アンタ、まどかをずーっと見てるんだ。靴を脱ぐ時とか、上着を掛けるとか、些細な動きまで全部。いやそれだけだとただの変態に聞こえるが、

詢子「まどかがパパの手伝いに行った方向をジッと見てたしさ、アタシがまどかを呼んだらまどかが現れる前にまどかが居る方向を向いたしさ。常にまどかの居場所を把握してんのかなーって」

ほむら「………」

完全に、無意識。

詢子「まあー決め手はアタシがイジメって単語を出した時かなー。ちょっとビビったわ。殺気ってあーいうのを言うんかねー」

ほむら「………」

…無意識。



詢子「…まどかが、大切なんだろ?」

ほむら「!……はい」

私に、その資格は無い。

詢子「…よろしく、頼むよ」

ほむら「………はい」

…知ったことでは無いわ。

詢子「…ホント、アンタらが出会ったのが昨日って、なんかの間違いだろ?」

ほむら「…夢で会いましたから」

詢子「!!あはっ!ほむらちゃんも電波系かぁ~!!」

なんて言ったって私、悪魔ですから。



知久「お待たせほむらちゃん。挨拶も出来ずにごめんね。さ、まどか。タツヤを連れてきてくれないか」

まどか「はーい」

詢子「ああ、配膳手伝うよ」

ほむら「あ………」

お母様に手で制されてしまったので、大人しく座っていましょう。

ほむら「………」

他人の手料理なんて、何時以来かしら。

ほむら「………」

暖かい、料理。

ほむら「………」

この世界は、なんでこんなに優しいの。

ほむら「………」

ダメ。しっかりしなさい、私。



まどか 「いっただっきまーす」

ほむら「…頂きます」

タツヤ「だー!」

詢子「…流石に作りすぎじゃないか?パパ」

知久「あはは…張り切りすぎちゃったね。ほむらちゃん、ムリしないでいいからね?」

ほむら「はい、大丈夫です」

…一日三食、というのも久しぶりだわ。

詢子「まどかはいつも沢山食べるもんなー?」

まどか「ママぁー…ほむらちゃんの前でそういうこと言わないでよぅ…」

ほむら「…おいしいです」

暖かいです。

知久「本当かい?よかった…まどかからほむらちゃんが来るって聞いたのが四時過ぎでね。急ごしらえだけど、形になってよかったよ」

まどか「うー…あ、ごめんね?ほむらちゃんは悪くないからね?」

詢子「悪りぃのははしゃぎ過ぎなまどかだからなー?」

まどか「むぅー…」

むくれるまどかも愛らしいわ。



ほむら「………」

割と感極まって、今にも泣き出しそうな私だけど、

ほむら「…おいしい」

諦めなくて、よかった。

ほむら「…ふふっ」

導かれなくて、よかった。

タツヤ「だー!」

ほむら「…そうね、タっくん」ナデナデ

タっくんも、そう思うわよね?



ほむら「…ご馳走様でした」

…ミッションコンプリート(二度目)

詢子「あー食ったわぁ…まどか、風呂入る前にほむらちゃんの布団敷いとけ」

まどか「あ、そうだった。パパー、お布団どこに仕舞ったー?」

知久「あぁえーっと…ん?ほむらちゃん、どこで寝るんだい?」

詢子「客間」

知久「あー…あそこは今、引越しに使ったダンボールで埋まっているんだ…」

ほむら「あ、あの、無理に泊めて頂かなくても」

というか、別に私が泊まりたいと言った訳じゃ



詢子「…」ガシッ

ほむら「!?」

まどか「…」ガシッ

ほむら「!!?」

詢子「そいつぁ…良い事を聞いたなぁ…そりゃあ仕方ねぇよなぁ…」

まどか「ねぇほむらちゃん…もしほむらちゃんが良かったらなんだけど…」

詢子「まどかの部屋で」

まどか「わたしと一緒に」

まど詢「「寝てくれないかな?」」

ほむら「  」

何か根本的に改編を間違えたかしら。

ほむら「  」

全然私の思い通りにならないわぁ。



知久「じゃあ、僕が布団を敷いておくから、二人はお風呂行っておいで」

ほむら「          …!?」

おもいどーりにならないわー…はい!?

詢子「…まどか」

まどか「…なぁにママ」

詢子「やっちまえ」

まどか「はーーい!!」

ほむら「いやちょっ、私達知り合ったばっかっ、えっ、ちょっ、まどかぁ!?」

まどか「1名様ご案内しまーす♪」

あれ?悪魔?あれ?秩序?あれ?





QB「見せられな   タァンッ!!



カポーン

ほむら「  」

どうしてこうなった(二度目)

まどか「わーほむらちゃん背中キレー」

ほむら「  」

まどかが、まどかの、まどかに、

まどか「触ってもいい?わースベスベー」

ほむら「  」

まどかとお風呂。一緒にお風呂。in お風呂。

まどか「いいなぁ羨ましいなぁ…」

あれ?ひょっとしてコレ、私すでに導かれてる?ここはヘヴン?

まどか「…ほむらちゃん」

ここが円環の理かーヴァルハラはここにあったのかー…

ほむら「…まどか?」

まどか「………」ギュゥッ

ほむら「!?」

後ろから!?いいのね!?ふたりでルミナスしてコネクトするのね!?よーし悪魔さん頑張っちゃうわよー………?



まどか「………ほむらちゃん」

ほむら「………なぁにまどか?」

まどか「…どうして、嫌がらないの?」

ほむら「…どうして?」

まどか「…わたしたち、昨日会ったばかりだよ?」

ほむら「…そうね」

まどか「…本当に?」

ほむら「…え?」

まどか「本当に、昨日、初めて会ったの?」

ほむら 「…ええ、そうよ」



まどか「…ちがう」

ほむら「………」

まどか「…そんなはずない」

ほむら「………」

まどか「…ごめんね」

ほむら「………?」

まどか「わけわかんないよね…気持ち悪いよね…」

ほむら「!………」

まどか「…でも…ダメなの」

ほむら「………」

まどか「絶対…ほむらちゃんを離しちゃ…ダメなの…」

まどか「敵なんて…そんなの…絶対ダメなの…」…キ…イイイイン…

ほむら「………」

あぁ、私は、

まどか「ほむらちゃん、わたしは「まどか」

ほむら「………」ギュッ

私達は、

まどか「…ほむら、ちゃん…?」

ほむら「………まどか、私達はね」

ほむら「…夢で、会ったのよ」



まどか「…夢?」

ほむら「そうよ…」

認めない。

ほむら「…夢を、見ていたのよ」

あの世界が、正しいなんて

ほむら「…それも、もう終わったの」

まどかがいない世界なんて

まどか「…終わっちゃったの?」

ほむら「…ええ、もう夢から醒めていいの」

この世界が、現実だ。

まどか「…そっか」

貴女は、私が守る。

ほむら「…これからは、ずっと一緒よ」

まどか「…うん」

この世界は、圧倒的に正しい。



詢子「あいつら大丈夫かなー」

知久「うん?女の子同士だろう?」

詢子「アンタなんの心配をして…そうじゃなくてさぁ」

知久「…ほむらちゃんなら大丈夫だよ」

詢子「…へぇ?」

知久「いい子だよ、あの子は。泣きそうになりながらご飯食べてたし、きっと何かしらの事情を抱えているんだろうけれど。タツヤにも優しかったし。それに、僕らの娘が連れてきたんだ。信じてあげようよ」

詢子「疑ってるわけじゃ無いけどさぁ…」

知久「…男の子じゃないし」

詢子「本音はそこかー」



まどか「かゆいところはありませんかー?」ワシャワシャ

ほむら「…ないわ」

もしかして、この世界。

まどか「流しますねー」ザバー

ほむら「………」ダバー

私の心の奥底の望み通りの世界になっているのね。

まどか「背中洗うねー」

ほむら「…ええ、お願い」

でなければ、こんな都合のいい世界はあり得ないわ。



まどか「~♪~♪」

ほむら「…ふふっ」

…私、頑張ったものね。

まどか「~♪~♪」

ほむら「…あー…」

幸せだわぁ。頑張った自分へのご褒美ってヤツかしらね。

ほむら「…あ、まどか。前は自分で

まどか「それでは!前洗いまーす!」ワキワキ

ほむら「その手はなに!?」

あれ、私に優しい世界はどうしたの?






詢子「おーまどか。風呂長かったな。どうだった?」

まどか「やわらかかった!」

ほむら「私の…望んだ…世界…?」ビクンビクン



ほむら「………ハッ!?」

まどか「あ、ほむらちゃん気がついた?」

ここは…まどかの部屋…?

まどか「ごめんね?はしゃぎすぎちゃったね」ティヒヒ

ほむら「…あれ…私…?
膝枕されてる。髪とかされてる。パジャマ着てる。あれ?下着は?

まどか「ほむらちゃんが気絶してる間にパジャマ着せちゃった。勝手にごめんね?パンツはわたしのだけど我慢してね。あ!ちゃんと洗ってあるから心配しないで

ほむら「  」

まどか「あ。ほむらちゃーん?」



ほむら「………ぅん?」

…1時6分。

ほむら「………あぁー…」

まどか「すぅ…すぅ…えへへ…ほむらちゃん…」

当然のように私に抱きついて寝ているまどかの頭を撫でながら、考える。

ほむら「………」

まどかの暴走は、

私の改編の影響だろう。

ほむら「………」

まどかを変えてしまったこと。

ほむら「………」

悪いことなのだろうか。



ほむら「………」

悪魔。

ほむら「………」

…自称、ね。

ほむら「…まどか」

罪悪感…という奴なのかしらね。

ほむら「………」

いいえ。

ほむら「………」

この世界は正しいのよ。

ほむら「………」

何のために、この子を引き裂いたと思ってるの。

ほむら「………そうよ」



頬を撫でる。

まどか「………えへへ」

幸せそうに笑うまどか。まどかが幸せなら、

ほむら「………これでいいのよ」

何一つ、間違ってなどいない。

ほむら「………そうよね?まどか」



終わり。

終わり。

もうこの世界には何も起こらない。

ほむら「………ダメ…よ」

誰にも理解されなくても、

万人が歓迎する結末でなくても、

ほむら「………まだ」

いつか私が斃れるその日まで、

ほむら「……まだ…ダメよ」

この世界は、悪魔のモノよ。





ほむら「…おやすみなさい」



終わり





おまけ






杏子「あー…あちぃ…」

あたし、お天道様に何かやらかしたか?

っつーぐらい暑い、夏。

仁美と殴り合いしてるさやかを置いて、学校から帰る途中。

杏子「あー …あれが青春ってんなら…あたしは勘弁願いてーな…」

燃え上がれー、るのにも限度ってものがだな。

杏子「あぁ…ハラも減ったなぁ…」

食欲がない、とはならないあたり、魔法少女の賜物か。



土曜日。午前中で授業は終わり、

さっさと何処か涼しい場所で(といってもマミの部屋ぐらいしかない)

毎度おなじみのメンバーで(最近さらに鬱陶しくなったバカップルが居るが)

なにか冷たいモノにでもありつこうと思ったのだが、

なにが原因かは知らんけど(どうせまたあの坊ちゃんだろ)

さやかと仁美がキャットファイトを始めた。

魔法少女がパンピー相手にマジになったらヤベーんじゃねーのと一瞬思ったが、

どう見ても仁美が優勢だったので、面倒だったから置いてきた。



そのままマミの家までノコノコ歩いてったのだが、

杏子「…留守かよ…」

珍しいこともあるものだ。あたしら以外に友達でも出来たか?

杏子「それは…ねーな…」

あたしら以外の人間と話している時のマミは…うん、まあ、なんだ、誰にでも不得意の一つや二つや三つや四つ、あるさ、うん。

ドアの前でしばらく呆けていようかとも思ったが、

如何せん、暑い。

ケータイはさっき死んだ。あたしを置いて逝くんじゃねぇ。

ので、

杏子「…帰るか…」



杏子「…お?」

見滝原に越して来てから、ちょくちょく来ているラーメン屋。

美味いと言えるかは…安い、早い、いつも空いてる、がココに通っている主な理由だ。

こんのクソ暑いのにラーメンか、とも思ったが、

杏子「…ハラ…へったなぁ…」

冷たい水でも一杯飲めば、気分も変わるだろうよ。



杏子「…っちーっす」

どーもこーもない、ただのラーメン屋。

こっちの挨拶がテキトーなのは認めるが、おい、オヤジ、野球中継から目を離せ、客だコラ。

杏子「…塩大。ネギ。かしわ天二つ」

オヤジがゆっくり動き出す。アレで料理が出てくるのが早ぇーんだから不思議だ。

あぁ、それと何故か天ぷらが無駄に美味い。他はそうでもない。



杏子「…ふぅ」

冷たい水…おい、ヌルいな…仕方ないのでちょっと離れたところからピッチャーを手繰り寄せる。冷えた水ぐらい出せよ…。

杏子「…あぁー生き返るぅー…」

寂れた店内をぐるっと見回す。これで商売成り立ってんのか?といつも思う。

…人徳でもってる、とはお世辞にも言えねぇな。

っていうか、季節のメニューとか新商品とか、もっとこう、あるだろ?一応商売ってんだから企業努力っていうか「へい、お待ち」

杏子「………」

魔法少女って、野郎でもなれんのかな。



杏子「…お?」

エビ天を二つ追加したところで、珍しく他の客が入って来た。

「…らっしゃい」

おいコラ、オヤジの野郎、あたしには挨拶無かったよな?あぁ?

杏子「んっとによ…あん?」

ほむら「…あら?」

バカップル1号じゃねーか。

杏子「バカップル2号はどうした?」

ほむら「まどかなら、さやかと仁美と上條君と中沢君をお説教してるわ」

一人多いな。もうしばらく見とけばよかった。

杏子「動画ねぇの?」

ほむら「怒ったまどかもかわいいけど、XXXなまどかで容量いっぱいよ」

杏子「ぶほっ」

人が飯食ってんのに…。

ほむら「大抵録られてるのは私だけどね」

こいつ死なねえかなぁ。



「お嬢さん、メニューこちら」

ほむら「あら、ありがとう」

さーべーつーだー。

杏子「…けっこう来んのか、ココ」

ほむら「先週も来たわね。何曜日だっけ?」

「日曜ですよ、お嬢さん」

誰だおまえ。キャラ忘れてんぞ。

杏子「…おまえもラーメン屋とか来るんだな」

ほむら「私だってラーメンくらい、あ…、あぁ…」

杏子「あん?なんだ?」

ほむら「昨日の夜、サッ○ロ一番の味噌だったのをスッカリ忘れていたわ…」

庶民以下じゃねーか。

ほむら「○ッポロ一番を馬鹿にしたわね?」

バカはテメーだ。



「お嬢さん、今日はこちらがオススメですよ」

ほむら「あら、気が効くわね。ありがとう」

まだ頼んでもねぇのに…冷やし中華…メニューにねぇぞ…

ほむら「うん…美味しいわ、重蔵」

「おう!ありがとよ」

うわぁ…いい笑顔だなぁ…シゲゾウ…



杏子「そういえば、おまえがまどかと別行動なんて珍しいな」

ほむら「まどかが『先に帰ってて』って。結構マジな感じで。仁美がリアルに凹んでたわ」

杏子「それも珍しいな…でも普段のおまえなら影から覗いてそうなもんだけど」

ほむら「なによそれ…。助けを求めてくるさやかと中沢君の視線が鬱陶しくてね」

杏子「それは見捨てるしかねぇよな」

ほむら「もう『中沢』って響きだけで笑えてくるわ」

杏子「喧嘩の原因よりも存在感あるもんな」



ほむら「…貴女、今幸せ?」

杏子「いきなりなんだよ。宗教なら懲りてんぞ」

ほむら「いえ…そのままの意味よ」

杏子「………」

杏子「…今この瞬間のさやかよりはマシ」

ほむら「お説教終わったかしら…」

「ほい、サービス」

ほむら「あら、ありがとう重蔵」

「いいってことよ」

キャラが…チョコパフェ…あたしには…ツッコミが追いつかねぇ…

「ほらよ」

杏子「…なんだこれ?」

「いつも来てくれてる礼だ」

…だからってなんでオムライス…いつのまに…もうハラきついし…ドヤ顔やめろ…ツッコミがぁ…



杏子「  」

オムライスは半分でギブ。ラーメン大に天ぷら四つの後だぞ。偏食なだけで別に大食いキャラってわけじゃねーんだ…あたしだってJCだぞJC。

ほむら「はいはい。残り貰うわよ…ほら、行儀悪いってば」

机に突っ伏す。授業中だってやってんだから別にいいだろ。

あー、ハラいっぱいだわ……やべぇ…眠くなってきた…



杏子「………ほむらぁ」

ほむら「…なによ」

杏子「…くだらねぇことばっかだけど…

杏子「悪くねぇんじゃねぇの…こういうの…」

幸せっていうんじゃねぇの。たぶん。

ほむら「…そうね」

ほむら「………」

ほむら「…ありがとう、杏子」



杏子「Zz…」

ほむら「………」

ほむら「…。お勘定。こっちの分も」

「あいよ」

ほむら「この子はこのまま寝かせておいて。また来るわ」

「待ってるぜ、お嬢さん」



杏子「Zz…んが?」

…寝ちまってたのか?あれ、ほむらは…帰ったのか。

杏子「あぁ…悪ぃおやじ。勘定」

「もう済んでる」

ん?ああ、ほむらか…後で礼言っとかねぇと…。

杏子「…んーっ」

あぁー首痛い。よーし帰るか。

杏子「んじゃ、ごっそさん。…オムライスありがとよ、シゲゾウ」

「…三郎だ」

どういうことだオイ…。



杏子「…っと、あぁ…」

相変わらず暑い。

まだまだ昼下がりって時間だが、風呂入って一眠りするか。

杏子「どーせ夜は魔獣狩りだし…お?」

あれは…青いヤツだ。しなびてやがる。フラフラ歩いてるが…結構キツかったのか。

杏子「よーお疲れーさやか。もうまどかの説教は済んだ…のか…

さやか「………」ズーーン

杏子「…まあ、その、なんだ」



杏子「そのうち、いいことあるさ」

たぶん。






終わり



ありがとうございました。


このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年07月25日 (金) 14:20:48   ID: JN3ChfuW

凄い現代ラノベくせぇ
痛い部分も多いが普通に読めた

2 :  SS好きの774さん   2014年08月06日 (水) 15:05:53   ID: WS3Yl8zS

まどかかわええ

3 :  SS好きの774さん   2014年12月02日 (火) 23:37:53   ID: xz8usIES

めっちゃ面白かった

どういうことだオイ‥。ww

4 :  SS好きの774さん   2015年01月07日 (水) 02:10:11   ID: FO4BfeX0

面白いぞ!

5 :  SS好きの774さん   2015年02月07日 (土) 04:10:29   ID: nk8n9o4O

ドツボっすwww

なんで?こーゆーのシンクロっていうの??とにk

ありがとー!!!!!!!!

6 :  SS好きの774さん   2015年02月07日 (土) 05:56:17   ID: nk8n9o4O

>>1から読み返してきた。
なんかさ、この子らには幸せになって欲しいわけよ、割とマジで。


あー、飲んだくれのたわごとだ、ウザくてすまん
…が!!マジでねぇ…、畜生…、この世は改変すべきなんだよ、ラブコメってるくらいがちょうどいいんだよ、ったく…


あぁ、すまん、欄怪我してすまん
1ありがt

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