穂乃果「私だけを見て」 (55)


※最初に

ラブライブ! 穂乃果×ことりssです

穂乃果視点で進めていきます

この穂乃果は、若干病ん病んなので、そういうのが平気な方はお進みください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1406132360


「んあ~…ふぁ~…いつの間にか寝てたよ~」

授業終了を告げるチャイムで目を覚まし、体を思い切り伸ばす
数学の授業が、いつの間にか終わってたよ

私、数字と文字が一緒になった数式を見ると…眠くなるんだ
掛け算とか割り算は大丈夫なんだけど…
うん!社会で生きて行く為には、それだけできれば大丈夫だよね!

今日の内容は、後でことりちゃんに教えてもらおっと!
あっ、いいや!試験前に出そうな所だけまとめて教えてもらえればいいや
どうせ、赤点回避できれば問題ないもんね!

それに先生の説明より、お菓子食べながらことりちゃんに教えてもらった方が捗るもんね!
とりあえず今は勉強の事は後回しにして…今度のお休みどこ遊びに行くか相談しよっと!
そうと決まれば、まず行動!ことりちゃんはっと…あれ、席にいないや

「う~み~ちゃん!」

「きゃあっ!…って、ことり!驚かさないでください」

別の方向からことりちゃんの声が!
声のする方を向くと…海未ちゃんの席にいたんだ

「えへへ、ごめんね~…海未ちゃんが驚くのカワイイからつい、ね」

「そんなの言い訳になりません!」

「それでね~、海未ちゃんにお願いがあるの」

「んなっ!私は無視ですか!」

「いつものことでしょ~」

「うぐっ…そ、それはそう…ですが」

ふふっ、海未ちゃん相変わらずことりちゃんに弱いな~
でも、ことりちゃんのお願いって…何だろう

「実はね、次の衣装の試着をお願いしたくて」

「それは構いませんが…露出は少なめにお願いします」

「う~ん…私は少ないと思うけど~…こんな感じ」

「…こっ、こんな布が少ない服…着れませんっ!」

「でも、海未ちゃんにすっごく似合うと思うんだけどな~」

「うぐっ…で、ですが…これを着て人前に…は、破廉恥ですっ!」

「とりあえず着てみてよ…ねっ海未ちゃん、お願いっ!」

「…!…う、うぅ…ことりはずるいです…」

「あっ、チャイム鳴っちゃった…それじゃあ海未ちゃん、よろしくね~」

「こっ、ことり!…はぁ、仕方ないですね…」

くすくす…ことりちゃん、昔っから海未ちゃんが困った様子を見るのが好きだもんね
私も、横から見てておもしろいし!

あっ、結局ことりちゃんとお話できなかったや…
まぁいっか、お昼休憩にすれば!

大丈夫だよね…うん、大丈夫

「ん~…ふわぁ~あ…また寝てた」

今度は英語の授業で寝てしまいました
だって、ナントカ形とか言われったて良く分かんないんだもん
ハローとサンキューが言えれば、なんとかなるよね!
まぁ英語も、試験前に出そうな所だけことりちゃんに教えてもらえばいいしっ

それよりも、お昼だー!
さぁ、今度のお休みどこ行くか決めなきゃねっ!あといっぱいお話しするぞー

「ことりちゃん、海未ちゃん!行こうっ!」

「あっ、ごめんねー…今日は約束があるんだ」

「そうですか、それは仕方ありませんね」

えっ…約束?そんなの、聞いてないよ…

「穂乃果ちゃん、明日は…大丈夫だから」

「…あっ、うん!いいよいいよ、先に約束があるんなんら仕方ないよね」

「ごめんね、それじゃあ…行くね」

そう言って、お弁当の入った袋を持ってことりちゃんは教室から出て行きました
あ~あ、またお話する機会がなくなっちゃった…

「穂乃果、どうします?外で食べますか」

「ううん…ここでいい…」

「そうですか…」

だって、ことりちゃんもいないと…





う~…なんか、いつもはおいしく感じるパンも、味気ないな~

「どうしたのですか穂乃果?食が進んでないみたいですが」

「えっ?!あっ…そ、そうかな…」

「はい…いつもならすぐに食べるのに…ことりが気になるのですか?」

「あっ…う~ん…そう、かな…」

流石海未ちゃんだね、私のことなんか全てお見通しだね
というか…私、そんなに分かりやすかったのかな…

「穂乃果が元気ないと、こちらまで調子が狂いますよ」

「…なら、海未ちゃんが膝枕してくれたら…元気が出るかも」

「…!なっ、何を言ってるんですか!そういうことはことりに頼んでください!」

「ことりちゃんがいないから頼んでるんだよ~」

ふふっ、顔を真っ赤にして…カワイイなぁ~

「残念ですが…今日はその願いを私も叶えることはできません」

「えっ、海未ちゃんもどこか行くの?…というか、何もなければやってくれたの?」

「いえ、元からする気はありませんが…」

「やっぱりそうなんじゃ~ん」

「私は絵里の所に行ってきますね…生徒会運営で聞きたいことがあるので」

「う、うん…分かった」

「ことりが帰ってくるまでに、元気を出しといてくださいね…そんな調子だとことりが心配しますよ」

「えへへ…ありがとう、海未ちゃん…」

今度は海未ちゃんもいなくなって…一人教室に残されちゃいました

まぁ、こういう日もあるよね…あ~あ、いつもなら中庭のベンチで3人お昼を食べて…
ことりちゃんのもってきたおやつを食べて…
おなかいっぱいで眠くなったら、ことりちゃんの膝枕で寝て…
海未ちゃんに呆れられて…ことりちゃんが『海未ちゃんもどお?』って聞いて…
そしたら海未ちゃんが顔を真っ赤にして恥ずかしがって…それを見て私とことりちゃんが笑って…

なんてことを考えながら、教室からいつものベンチをふと見ると…

えっ、嘘…

いつもなら私たち3人で座るベンチにことりちゃんが…いる…あともう一人

相手は…花陽ちゃんか…
二人ともお弁当広げて、花陽ちゃんが作ってきたであろうおにぎりを…仲良く食べてる

ことりちゃんのお弁当には…マフィンにマドレーヌ、マカロン…デザートに食べるのかな?
でも…なんで私を誘ってくれなかったんだろ…


う~ん…花陽ちゃんならμ'sの仲間だし、別にみんなでたべてもいいのに…

あぁ、分かったよ…ことりちゃんは、静かにお昼を食べたかったんだね
私がいたら…がっついて食べるし、ずっとおしゃべりしてるし…落ち着いて食べれないよね
それに、ご飯を食べてる時の花陽ちゃんってすっごく幸せそうで…見てるこっちも幸せな気分になれるんだよね

もしかしたらことりちゃん…私と賑やかにお昼食べるより、ああやって静かに落ち着いて食べたいのかな…
さっき、明日は一緒に食べててくれるって言ってたけど…
また私が賑やかにしてたら、どうしよう…花陽ちゃんと食べたいって言われたら…

静かにしてるから一緒に食べてってお願いしたら…大丈夫かな?
ことりちゃんは優しいから多分、お願いを聞いてくれるだろうけど…

私が、その静かな雰囲気に我慢できるかな…
いつも通りにことりちゃんに甘えたら…静かな時間を壊したら、もう…

って、そんな先の事を考えても、しょうがないよね!

…あっ!ことりちゃんが花陽ちゃんに抱きついた!

珍しいね、ことりちゃんの方から抱きつくなんて…
やっぱりことりちゃんは、花陽ちゃんみたいにおっとりしててカワイイ子の方が…いいのかな?

私とは、全く逆のタイプだよね…

そういえばことりちゃん、前花陽ちゃんみたいな妹がいたらな~って言ってた!
姉視点で一緒にいたいって考えていたら、大丈夫だよね!

うんうん、そうだ!そうだよねっ!

安心したら、眠くなってきたよ~

今日はことりちゃんの膝枕がないけど…机に伏せて寝ればいっか!
よ~し、ひと眠りして午後の授業も頑張るぞ~
で、今度の休憩でお話しするんだ!


…うん、大丈夫…だよね…ことりちゃんは、私の傍に…いてくれるよ…ね

今日はここまでにします。

5時間目の授業が終わると同時に、ことりちゃんは教室から出て行っちゃった
どこに行くか気になった私は、こっそり着いて行くことに…

そしてたどり着いたのは1年生の教室…
で…真姫ちゃんと凛ちゃんと、授業が始まるギリギリまで何かお話しをしていて…
真姫ちゃんから授業が始まることを指摘され、急いで戻ってきました

私もばれない様に、隠れて帰って…

そういえばことりちゃん、次の衣装はみんなの意見も取り入れたいってはりきってたもんね
だから、どんなのがいいか聞きに行ったのかな?

それなら、仕方ないよね!μ'sの為なんだもんっ
みんなの為に頑張ってることりちゃんを、私が独り占めしちゃだめだよね!

…でも、聞くだけなら部活中でもいいと思うんだけど…

もしかして…休憩時間になると、他の子の所に行くのは…私といたく…ないから?

…そんなはずないよね…うん、ことりちゃんを…信じてるもん


ふぅ、退屈な授業も終わりやっと放課後だ!
思いっきり体を動かすぞー!

今度こそお休みの予定を決めるんだ
あっ、そうだ!帰りにクレープ屋によって、ことりちゃんと食べさせ合いっこしよっと!

そうと決まれば、早く部室に行かなきゃ!

「よーっし、ことりちゃん、海未ちゃん早く行こーっ!」

「穂乃果はダメです!」

えっ、海未ちゃん?!…何で…

「えーっ、何でダメなのー?」

「穂乃果…今日中に出さなければならない書類…忘れてませんか」

「…あーっ!!」

「はぁ…忘れてたんですね」

そうだったー、今日やればいいやって残してた仕事があったー
わーん、昨日の私のバカーッ!

「だったら、私もお手伝いを…」

あっ、そうか…ことりちゃんとやれば、一緒にいれる!

「それには及びません」

えっ…何で?

「ことりは、皆から衣装についての意見を聞いているんでしょう?だからそっちを優先してください」

「で、でも…私も生徒会だし」

「あれくらいなら、私と穂乃果で大丈夫です…よね、穂乃果?」

「あっ…う~ん…そうだねっ!ことりちゃんは、衣装作りに専念してよ!」

「穂乃果ちゃんがそう言うなら…分かった、先に行くね!」

「うん、また後でね~」

ことりちゃんが先に行っちゃった…まぁ、仕方ないよね…みんなの為だもの
よしっ、早く終わらせてことりちゃんと練習するんだ!





「よーっし、おーわりっ!」

「はい、問題ないですね…全く、こんなに早く終わるなら昨日済ませれば良かったのに…」

「うぅっ…昨日はやる元気が残って無かったんだよ~」

「ふふっ、そうですか…穂乃果らしいですね」

にっこりと笑う海未ちゃん…いつも怒ってることが多い海未ちゃんだけど、やっぱり笑顔のほうがいいね

海未ちゃんって、ホント凄いよね!
勉強も運動もできて、決断力もあってみんなをまとめることもできるし…
ホント、自慢の幼馴染だよ!あっ、ことりちゃんもねっ!

海未ちゃんがずっと一緒にいてくれるのって、私がダメダメだからなのかな…
そうだとしたら、ことりちゃんも…隣にいてくれてたのって…

ううん、そんなこと…ないよね
ちっちゃな頃から一緒にいるんだもの、これからもずっと一緒だよね!

ことりちゃんと一緒にいれば、そんな悩みも吹き飛んじゃうよねっ!
早くことりちゃんが待つ部室に行こっと!





「ほら海未ちゃ~ん、早くーっ!」

「早く練習したい気持ちは分かりますが…廊下を走ってはダメですよ」

「分かってるよー、これは早歩きだよっ!」

「あぁ、そうですか…」

部室が近づくにつれて、気持ちが高揚するのが分かる
練習中はことりちゃんとストレッチやって、一緒に振り付けの確認をやって、歌のトレーニングをやって…

とにかく、ずっとペアで練習できるから嬉しいんだよね~

『ねぇ~、ちょっとだけだから~』

『え~、別に触らなくてもいいじゃない』

「おや、部室が賑やかですね」

ホントだ…まぁこの時間だもんね、みんな揃ってるかな~

『いいでしょー、サイズ測らせてよ~』

『ならメジャー使えばイイでしょ』

「な、何やら如何わしい会話ですね…」

「う、うん…」

あれ…部室から聞こえてくる声は、2人だけ…
ことりちゃんは先に行ってるはずだから…あと一人は

『もう、触っちゃおっ!わしわししちゃうっ!』

『ちょ、ちょっと!希みたいなこと言わないのっ!』

多分…絵里ちゃんだ!
会話の感じからすると…何だろう、見たくない気がする…

「穂乃果…ドアの前に立ってどうしたのですか?」

「えっ、あっ…うん、ボーっとしてたよ!開けるね」

そうだよね…ドアを開けなきゃ、先に進めない
そして私は、意を決してドアノブを回した

「あっ!」

「ほ、穂乃果…ちゃんっ!」

部室には、背後から胸を触ろうと手を回すことりちゃんに…
触られないように胸を両腕でガードする絵里ちゃん…

「えっとね…これは、そう!絵里ちゃんの胸のサイズが変わってないか測ってたの!…ねっ、絵里ちゃん!」

「そう、だけど…ことりが、触って測るって聞かないから…こういう形に」

焦った様子のことりちゃんに、冷静に説明する絵里ちゃん…
うん、これは絵里ちゃんの言い分が正しいね

…でも、何で触りたいって言ったんだろ…私にはそんなこと言ったことないのに…
少なくとも、ことりちゃんって前まではそういうことを言わない子だったよね

希ちゃんがワシワシするって言って、触ってるのを見て…やりたくなったの?
それとも、絵里ちゃんのスタイルが良いから?

やっぱりことりちゃん…μ'sのみんなに出会ってから、変わったね…

今までは私の隣にいて、いつもニコニコしていて、私の言うことを全部肯定してくれて、失敗したら助けてくれて、次も頑張ろうって笑ってくれて…

だけど今は…違う
例えるならそう…私という鳥かごから、μ'sという大きな空間に放たれて自由に飛び回る鳥の様…

新しい出会いが増え、違うタイプの子達と一緒に過ごす内に、ことりちゃんの中で私の存在が…薄くなっていって…

もちろんそれは、イイことだと思うよ…
だけど、頭では分かってても…ココロがそれを、拒否する…

だって…私の中でのことりちゃんは…今も昔も…変わらないんだもん

だから、このままじゃ…イケナイ、よね…

なら、ドウする…?

簡単…だよネ


引き離せば…イインダ

「はぁ…そんなことですか」

「そんなことでもないよっ!サイズが違うと、手直しが必要だから確認しないと!」

「それは構わないけど…別に触らなくてもいいでしょ」

「大丈夫だよ!私、触ればサイズが分かるから!」

「ふふっ、何よそれ」

「くすくす…やはり、ことりは変わりましたね」

「えっ、そ…そうかな?」

「はい…少なくとも、そのような冗談は今までなら言いませんでしたよ」

「冗談じゃないのにー」

「はいはい、分かりました…穂乃果もそう思いますよね…」

ことりちゃん達が何かお話しをしてるけど…内容が全く入ってこないよ

「…穂乃果、どうしたのですか?ボーっと立ったままで」

「…どこか調子悪いの?」

「えっ?!穂乃果ちゃんどっか悪いの?保健室…行く?」

「ことりちゃん…ちょっと、いいかな」

気持ちを落ち着かせ、言葉を発する

「う、うん…」

私の言葉にことりちゃんが反応し、私に近づいてくる

「穂乃果ちゃん…どうしたの」

心配そうな顔で私の様子を窺うことりちゃん…
あぁ…今ことりちゃんの中は、私で一杯なのかな…それなら、ウレシイ

でも、それだけじゃ…満足できない…

「あの…穂乃果、ちゃん」

「ことりちゃん…ごめんね」

「えっ、何か言った…きゃっ!」

聞こえるか聞けないか分からないくらいの声で謝ってから、ことりちゃんの手首をつかんで…

「ちょ、ちょっと穂乃果!」

「何処行くんですか!」

ことりちゃんを引っ張って、部室から出た

「え、えっと…穂乃果ちゃん?」

「…」

「ど、どこ行くのかな~…部活、始まっちゃうよ」

「…」

部室を出た私たちは、『あるトコロ』に向かっている
ことりちゃんが不安そうな声で聞いてくるけど、今は答えられない

ごめんね…でも、こうでもしないと…

「あれ、穂乃果とことりちゃんやん」

「ちょっとあんた達、どこに行くのよー」

「あはは、また後でねー」

「…」


「あっ、穂乃果ちゃんとことりちゃんだっ!おーい、どこ行くのー?」

「…あれ、聞こえてないのかな」

「何か急いでるみたいね…生徒会で何かあったんじゃないの」

「え~っと…」

「…」

道中他のコに会ったけど、今は相手できない
だって…またことりちゃんを、取られちゃうから

そして目的地に着いた私たちは、足を止める

「えっ…ここって…」

私たちがやってきたのは、校舎の端にある空き教室
放課後の見回り用に持っていた空き教室の鍵を取り出し、戸をあける

この時、初めて生徒会長になって良かったって…思ったよ

「入って…」

静かに、感情を押し殺した声で話しかける

「でも…」

「…いいからっ!」

「きゃっ!」

戸の前で躊躇することりちゃんの手首を再び掴み、引っ張って教室の中に入る
そして、内側から鍵をかける

ゴメンね、乱暴なことして…

だけどこれで…私とことりちゃん、ふたりっきりダヨ

「ほ、穂乃果ちゃん…どうしたの?」

「ことりちゃんはさ…変わったよね」

「えっ…さっき、海未ちゃんが言ってたこと?」

ゴメン、さっき何話してたか聞いてないから…分かんないや
それより、何で今海未ちゃんが出てくるの?
今は、私とことりちゃんしかいないのに!

「私以外のコと、よくいるようになったよね…」

「それは…μ'sのみんなと仲良くなりたいし…」

「うん、それは正しいと思うよ…ただ…」

「ただ…?」

ここまできて、言葉を詰まらす

私の思いを全部ことりちゃんにぶつけて、大丈夫かな?
ことりちゃん、引かないかな?
多分、引く…よね

でも、言わないと…ことりちゃんは、私から離れて行く…

せっかく留学を止めて、これからも隣にいてくれるって思ったのに…
このままじゃ、近くにいるのに離れ離れのようで…

そっちのほうが…辛いよ

だからね、私のオモイ…受け止めてね?

「私ね、ことりちゃんが…他のコと仲良くする所を見てると、不安だったんだ…」

「えっ…」

驚いた顔を見せることりちゃん

「ことりちゃんはさ、カワイクって…優しくて、何でも出来て…」

「そ、そんなこと…ないよ」

「μ'sのみんなも、それぞれ魅力的なイイ子ばっかで…」

「それは、そう…だね」

「そんなことりちゃんと、みんなが仲良くなればなるほど…ことりちゃんが私から、離れて行く気がして…」

「えっ…そんなことは…」

「今はまだ、私ともいてくれてるけど…私って、みんなみたいに何かできるわけじゃないし…私じゃ、勝てっこないって思って…」

「そんなこと…ないよ、穂乃果ちゃんも…」

やっぱり、ことりちゃんは…優しいね
私のフォローをしてくれようとしている

「それでね…今日、休憩時間の度にことりちゃんが他のコといるのを見て…笑っているのを見て…不安がおっきくなって…」

「このままじゃ、いけないって…ことりちゃんが、私の隣にいてくれなくなるって思うようになって…」

体の奥から…感情の波が押し寄せてくる

「だからね…ことりちゃん…私だけを…見て…私だけに…笑顔を…見せてよ」

「そうしないと…そうじゃないと…私が…おかしくなっちゃう…から」

感情が溢れるとともに…涙が止まらない…

こんなこと言われても…困るよね、迷惑…だよね
それでも…私のキモチを…伝えなきゃ

ことりちゃんは…どんな顔、してるんだろう

確認したいけど…見るのが、怖い

私は視線を下に向けたままで、上げることができなかった

「…へぇ、そっか~」

ことりちゃんが言葉を発する
続く言葉は…聞くのが怖いけど…聞きたい

「穂乃果ちゃん、不安だったんだ~」

「うん…そう…なんだ」

下を向いたまま答える
私の足元は、落ちた涙が溜まり小さな水たまりができていた

「穂乃果ちゃんは気付いてないかもしれないけど…」

「うん…」

何?私が気付いていないことって…
もしかして、もうとっくに気持ちが私から…離れてるって、こと?

イヤだ、そんなの!

もしそうなら…私、ここで何スるか…分かんないよ?


「私ね…穂乃果ちゃんと、他の子に見せる笑顔って…違うんだよ?」

「えっ…どういう、こと?」

思わず顔を上げてしまった…

私の目に映ることりちゃんは笑顔だけど…何かが、違う

「これは、他の子に見せる笑顔…で、これが…穂乃果ちゃんに見せる、笑顔」

そう言って再び笑顔を見せることりちゃん…
傍から見たら分からないけど、私には分かる…

うん、いつも見てる笑顔だ…そうか、ことりちゃんも…

「ごめんね…穂乃果ちゃんを不安にさせてたんだね…でも、安心して…心からの笑顔を見せるのは、穂乃果ちゃんだけ…だから」

私に笑顔を見せたままのことりちゃん

あぁ、良かった…私の、取り越し苦労だったんだね…

さっきまでの不安が全て洗い流されていく…

体の力も抜けて…ことりちゃんの手首を掴んだ力も緩み、手から離れた

「…!」

さっきまで私が掴んでいた手首を見て、一気に血の気が引いた

ことりちゃんの片方の手首は、くっきりと私の手の跡が着いていて…
無意識に爪を立てていた所は、変色していて…

私は…何て事を…無意識といえど、ことりちゃんを傷つけて…しまった

「ことりちゃん…ごめん、ごめんね…」

赤く染まった手首を両手で持ち、優しくさする

「あぁ…いいよ、気にしないで!」

特に気に留める様子もなく、ことりちゃんが言い放つ

「でも…これは私が…」

「うん、分かってるよ…だってこれって…」

ことりちゃんがそっともう片方の手を、私の両手に重ねて…

「穂乃果ちゃんが、私の事を思ってつけてくれた…傷でしょ」

笑顔で、そう言った

「だけど…ことりちゃん、痛かったでしょ?」

「うん…でもね、私…穂乃果ちゃんから受ける痛みなら…どんなモノでも、受け入れられるんだ」

「えっ…何で?」

そんな…痛いモノは、痛い…よね

「だって…全部、穂乃果ちゃんが私のコトを思ってくれてるんだって思ったら…痛みだって…愛しさに変わるんだ」

笑顔で言うことりちゃん…

そんな姿を見て…私の奥底から、ナニかどす黒い感情が…湧き上がってくる

「だからね…穂乃果ちゃんになら…どれだけ傷つけられても、どれだけ痛みを与えられても…イイんだよ」

やめて…そんなこと、言わないで…イヤだ、ことりちゃんを…傷つけたくない

「だって…私の、ことりの…ココロも、カラダも…穂乃果ちゃんのモノ…なんだよ」

やめて、やめてやめてヤメテ…嫌だ、いやだイヤダイヤダ…もうこれ以上言わないで

「ホノカちゃんになら私…コワサレたって…いいイイんだよ」

「っ…!」


ことりちゃんが、今日一番の笑顔を私に向けそう言った時…私の中で、ナニかが…弾けた

今日はここまでです

この時、私が一番に考えたことは…
ことりちゃんを私の…私だけのモノだと、みんなに知らしめる為には…どうすればイイか…だった

足りない頭で考えた結果…一つ思いついた
だけどそれは、ことりちゃんを傷つけることに…

だけど、さっきことりちゃん…私になら、傷つけられてもイイって…言ってくれたよね
うん、大丈夫…ことりちゃんも、分かってくれるよね

意を決した私は…ことりちゃんの両手首を掴み、目を合わせる

「ことりちゃん…痛いかもしれないけど…」

「うん、いいよ…キテ」

笑顔のまま、嬉しそうな声で答えることりちゃん

私は、なんて幸せなのだろう…
こんなにカワイイことりちゃんから、これだけ思ってもらえるなんて…

でも私は…こんなことでしか、思いを伝えられなくて…

「ごめんね…」

そう呟き、ことりちゃんの首元へ視線を移し…顔を近づけ…透き通るように白く、綺麗な肌に…吸いつく

「うっ…」

ことりちゃんが声を漏らす…その普段とは違う、艶のある声に興奮し、吸う力が強くなる

時折歯を立て、軽く噛みつく…跡がつき易いように

「あっ…やっ…うぅっ…」

声を出す度に、体がビクビクと小刻みに揺れる
体が揺れる度に、手首を握る手に力が入る…

今度は意識して、爪を肌に食い込ませる
その度、声が若干高くなり余計に興奮を誘う

これで、イイんだよね…ことりちゃんも、望んでるんだから

「はぁっ…あぁっ…やんっ…」

甘く、艶っぽい声に脳が蕩けるような感じを受け…頭がおかしくなりかける

だけど、声と一緒に漏れる生温かい息が耳にかかり刺激を受けることで、何とか意識を保てていた


それから私は…噛みついてもことりちゃんが声を出さず、息を吐くだけになるのを確認し、唇を離した

さっきまで私が吸いついていた場所を確認すると…歪な赤い円を形作っていた
歪なのは、私が歯を立てたからだろう

視線を上げ、焦点をことりちゃんの顔に合わせると…

「はぁ…はぁ…」

弱々しく息を吐き、うつろな目で…立っているのがやっとという状態だった

そんな姿を見て私は…

「ことりちゃん…」

首に手を回し、体を引き寄せ抱きしめた

その細く、柔らかい体をへし折らんばかりに強く抱きしめる

「あっ…はっ…ほのか…ちゃん」

力を込めて抱きしめたからか、ことりちゃんが再び言葉を発する
だけどそれはとても弱く…蚊の鳴くような声だった

そんな状態で…残された力で…私の肩を、ギュッと握ることりちゃんがあまりにも可愛く、愛おしく感じた

「ことりちゃん…ありがとう、ありがとう…」

私が今できる、精一杯の感謝の気持ちを…『ありがとう』の言葉に込める

「こんな私を…好きでいてくれて…ありがとう」

「私も…穂乃果ちゃんに…好きでいてもらえて…嬉しいよ」

そしてお互いの思いを確認した私たちは、向かい合い…

「ことり…ちゃん」

「穂乃果…ちゃん」

唇を…近づけた


…だけど、室内に鳴り響く音で…動きが、止まる

音の発生源は、私たちの携帯だった
その時、部室でみんなを待たせていたことを思い出した

「…ぷっ、あははは!」

「ふっ、ふふっ…あはははっ!」

一気に現実に引き戻され、おかしくなった私たちは笑いが止まらなくなる

「あははは…はー…戻ろっか!」

「ふふっ…うん、そうだねっ!」

思い切り笑い、気分はすっかり部活モードに切り替わっていた

「あっ!ねぇねぇ、穂乃果ちゃんっ!」

床に置いたカバンを持とうとしていると、明るい声でことりちゃんが呼びかける

「みて、こうやって手首を合わせると…手錠みたい!」

両方の手首に付いた赤い跡を合わせ、無邪気に言うことりちゃん
そんな姿を見て…

「うん、そうだね!」

私にとっての、最高の笑顔で答える

「えへへ~…私、穂乃果ちゃんに捕まっちゃた」

「うん、もう離さないからねっ!」

「…ことりを、置いてかないでね」

「もちろん!これが、その証拠だよっ」

ことりちゃんの首元についた跡をなぞる

「そうだね…これが、ことりが穂乃果ちゃんのモノだっていう…証拠」

「うん…それじゃあ、いこっか!」

手を差し出す

「分かった!」

ことりちゃんが、私の手を握る

ここに来た時は、私が引っ張ってきたけど…
戻る時は手を繋ぎ、二人で…同じ速度で…

握った手からことりちゃんの温かな体温が体中に広がっていく

ことりちゃんの温かさに包まれ、幸せな気持ちになる
人を愛し、愛されるって…こんなにも暖かく、気持ちいいんだね…

ついさっきまで…不安で、恐怖で…すごく冷たかったけど…


何があっても、誰といても…どんなに離れていても…大丈夫


だって、私たちは…見えないクサリで、ココロもカラダも…繋がってるんだから…

以上です。

アニメ1期終盤の展開から、穂乃果にもヤンデレの気があるんじゃないかと思って作りました。

うまく表現しきれていないかもしれませんが、少しでもヤンほのの可能性を感じて頂けたら幸いです。

最後に、読んでいただいた全ての皆さまありがとうございました。

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