YOUJO (115)

この地球上で最も最強と呼ばれる存在。

YOUJO。

彼女は、何の為に生まれたのか?
なぜ人は、幼女を育むのか?

今、君の戦いが始まる。


※自由にコメントをください。
返事は心で返します。
だから前もって言います、感謝の言葉を。
ありがとう。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1406046988

ー日本のとある島、幼町

とてとて……。

君「あれが……」

とてとて……。

幼女「がおー」

YOUJO

君「こちらナンバーゼロ。幼女の姿を視認した」

幼女「がおー」トテトテ

君「現在も西に向かって、進行中」

隊長「攻撃を許可しますわ」

君「アニメイト」カチャリ

幼女「がおー」

男の銃口は、幼女のオミアシに定められる。

君「まずは、動きを封じる」

放たれる水滴。速度、角度、全て申し分ない。

ぴちゃ。

幼女「ふぇ!?」ビクッ

君「水滴弾、幼女の右オミアシに命中」

幼女「がおー」トテトテ

君「幼女、進行を再開しました!」

隊長「何をしているの!」ドンッ!

君「すみません!追跡します!」タタッ

相棒「何やってんだよ相棒!そんなんじゃあ、エスカルゴにさえ負けちまうぜ!」カチャリ

君「だったら、幼女を止めてみろ」

相棒「おうけぇい。よく見てな」

放たれる水滴。
目指すは、幼女の鼻。

幼女「ふぇ!?」

相棒「いぇす!」

ヒット。続けて、総攻撃を仕掛ける。

君「何としても……ここで止める!」

幼女「いやぁー!」トテトテ!

君「しまった!幼女激走!!繰り返す、幼女激走!!」タタッ!

隊長「これは……私達の負けね」

相棒「全身びちょびちょになるのが嫌で、走りだしたってわけか!すぃっと!」タタッ!

君「駄目だ、間に合わない!」

相棒「幼女、駄菓子屋に到着しました!」

幼女「がおー」モムモム

君「お菓子を貪っています……」

隊長「もういいわ。二人とも、戻って来なさい」

二人「アニメイト」

ー秘密基地

隊長「これで三軒目よ」タメイキ

相棒「このポンコツがいけないんですよ!」

博士「ワシの水滴速射銃がポンコツじゃと?」

相棒「あぁ、そうだよ!ジジイ、お前の発明は、いつもいつもポンコツだ!」

博士「なんじゃと!」

隊長「お止め!」

しーん……。

君「博士。確かにあなたの水滴速射銃は、幼女に対して効果的だ。しかし、リスクが大きすぎる」

博士「では、これはどうじゃ?」スッ

君「何です?それは」

相棒「どうせまたポンコツだよ!」

博士「なんじゃとこらー!」

隊長「お止めな、さい!」

博士「……これぞ新兵器、ひっつき虫速射銃じゃ」

君「博士。それも結果的に、幼女の激走に繋がるんじゃないか?」

博士「このひっつき虫を、正面より撃たれたら、どう思う?」

相棒「そりゃあ、ウザイに決まってんだろ」

君「それと、チクチクもするだろうな」

博士「ほうじゃ。前方より射撃する事により、後退を誘うことができるのじゃ」

隊長「しかしそれでは、あまりにも危険すぎる」

博士「ふっ」スッ

相棒「それは?」

博士「ビーチボールじゃ」

君「それで幼女の気を反らし、我々が撤退する時間を、稼ぐという訳ですね」

博士「うむ」

隊長「では、このまま作戦会議に入る」

ー数日後

えーあい「幼女のお出掛けを確認。幼女のお出掛けを確認。ポイント、C-5」

隊長「直ちに出撃よ!」

君、相棒「アニメイト!」ケイレイ!

ー公園

幼女「ぴゅー!」スルーン

君「目標は依然、滑り台より動きません」

隊長「そのまま監視を続けて。もしも動きがあれば、その時は」

幼女「よいしょ」

隊長「撃ってよし」

幼女「がおー」トテトテ

相棒「撃てえええ!!」

君「うおおお!!」

放たれる、無数のひっつき虫。
ひっつき虫は、容赦なく、幼女の体に張り付く。

幼女「んやぁ!」ペッペッ

君「ひっつき虫を剥がし始めたぞ!」

相棒「だったら、これはどうだ!」

背後。
幼女のお手手は届かない。

幼女「ふぇ?ふぇ?」ウルウル

前後による挟み撃ち。
幼女の体は、ひっつき虫によって埋め尽くされていく。

君「勝てる!」

幼女の足は、目標地点より逸れた。

幼女「がおー!」

しかし、新たな目標は、相棒。

相棒「わっとぅ!?」

君「ビーチボールを使うんだ!」

相棒「ふー!ふー!」

膨らみが間に合わない。

幼女「うがー!」

相棒「う、うあああああ!!」

君「相棒ーーー!!」

茂みに隠れ、二人の姿は見えないが、茂みは激しく揺れている。

君「隊長……」

隊長「聞こえていたわ。撤退よ」

君「…………」

やがて、茂みは静止した。

君「相棒……!」タタッ!

隊長「お止めっ!ナンバーゼロ!撤退よ!これは命令ですよ!」

君「相棒!!」

そこに幼女の姿はなく、お口にひっつき虫を詰め込まれた、相棒の無惨な姿だけがあった。

ー秘密基地、病室

君「博士!」

博士「何とか一命は取り留めたぞ」

君「そう……ですか」

隊長「ナンバーゼロ」

君「はい」

ー秘密基地、オペレイションルーム

隊長「あの時、どうして命令を聞かなかったの?」

君「すみません」

隊長「最悪。二人ともキュン死にしていたわよ」

君「返す言葉もありません」

隊長「これで戦力はあなた一人。命令を聞かないとなれば、出撃は認められないわ」

ぴんぽーん。ぴんぽーん。

えーあい「幼女のお出掛けを確認。幼女のお出掛けを確認。三分後、タバコ屋の角へ到達します」

隊長「早いわね」

君「きっと、お着替えしたのでしょう」

隊長「それはつまり、完全治癒したってこと?」

君「はい」

隊長「困ったわね」

君「出撃させて下さい」

隊長「あなた一人じゃ、キュン死にするのが落ちよ」

相棒「それは、そいつを甘く見すぎだぜ」フラ

君「相棒!」

博士「やれやれじゃ……」

相棒「隊長。彼を行かせてやって下さい」

隊長「それは無理な相談ね」

相棒「全く、美人にはトゲがあるって言うけど、トゲがカチカチだなんて聞いてないぜ」

隊長「無礼者!口を慎め!」

相棒「これを見てください」

巨大ホログラムモニターに、ひとつの記録が映し出される。

隊長「これは……!」

相棒「一年前、幼女の砂のお城を破壊し、見事生還した男の記録です。そしてそれを成し遂げた男の名は」

隊長「……わかった」

相棒「っざす!」

隊長「ただし!……生きて帰る事が条件よ」

君「アニメイトッ!!」ケイレイ

隊長「出撃!!」

ー八百屋前

君「一年ぶりに、決着をつけようか」

幼女「がおー」トテトテ

君「なんだとぅっ!?」

隊長「どうしたの?」

君「幼女が……水滴速射銃を所持しています!」

博士「そんなまさか……!」

えーあい「映像、拡大します」

隊長「博士!これは一体どういうこと!」

博士「実はあれは……百均で仕入れた物で、元々、研究用に購入したものじゃ」

隊長「然るべき、処罰は受けてもらいますよ」

博士「アニメイト……」

君「おへそを狙うか……」

放たれる水滴。

幼女「やっ!」

水滴は見事、おへそに命中した。

君「さらに、これをくれてやる!」

ひっつき虫が、濡れたおへそに張り付く。

幼女「んっ!」

博士「なるほど!濡れた衣服にひっつき虫を張り付かせることにより、チクチク感を増幅させたのか!」

幼女は、次々と放たれる水滴とひっつき虫に抵抗しながらも、君を見つけた。

君「気づかれたか」

幼女は八百屋に侵入する。

君「まさか……!」

隊長「どうしたの!?」

君「幼女は八百屋のおじさんを利用し、ひっつき虫の撤去を開始しました。これ以上のひっつき虫による攻撃は、無意味と思われます」

隊長「残された策としては、あれしかないわね」

君「はい」

隊長「…………」

君「僕に任せて下さい」

隊長「あなたにやれるの?」

君「ええ。必ず、幼女をびしょびしょにしてやりますよ」

隊長「わかったわ。ここから先、全てをあなたに一任します」

君「アニメイト!」

八百屋より、幼女がひょっこりと顔を見せた。
幼女は、ミカンを貪っている。

ー決戦。虹の彼方

君「うおおお!!」

ただただ、撃ち続ける。

幼女「や!」サッ

幼女は、水滴の小雨に身を怯ませ、八百屋の奥へと隠れた。

君「すっーはっー……」

駆ける。

隊長「まさか捨て身!?」

相棒「いや、あいつも八百屋を利用するつもりだ」

君「はっ!」

転がり込むように、店頭の棚へ、身を滑らせる。

君(レジまでの遮蔽物は、棚が四つ。どれだ?)

幼女「ばぁ!」ヒョコ

君「何!?」トキッ

幼女は、君の隠れた棚の向こう側に隠れていた。

君(カボチャで見えなかった……くそ!)

博士「あの距離では、キュン死にしちまうぞ!!」

君は瞬時に地を蹴り、背後へと跳ぶ。
その間、君は引き金を、何度も引いた。

幼女「えい!」

幼女は水滴を浴びながらも、水滴を君に放ち続けた。
そしてその内の一滴が、偶然にも、君の右目を捉える。

君「目があああああ!!」

相棒「相棒ーーー!!」

しかし、君の左目だけが、確かに見た。
誰の目視も許されない、純白の布を。

君「罪を背負ってでも、僕は……俺は!正義に生きる!!」

引き金を引く。

君「イェス、ロリータ。ノゥ、タッチ」

水滴は見事、純白の布に、染みを一つ作った。

幼女「ふぇ……」ウルウル

君「さ、お家へお帰り」フフッ

幼女「うえええええん!!」トテトテ!

微笑み、空を見上げる君の瞳には、綺麗な虹が揺らいでいた。

ー秘密基地

隊長「よくやってくれたわ!」

ぱちぱちぱちぱち!!

相棒「さすが、俺の相棒だぜ」

君「誰が相棒だ」ツン

相棒「あいたたた!」

君「おっと、すまない」

隊長「お止め!」

しーーーん。

隊長「今戦いにおいて、八百屋のおじさん一名がキュン死にしたわ」

君「…………」

隊長「そしてこれから先、幼女との戦いは、激しさを増していくことでしょう」

相棒「…………」

隊長「その意味、よく考えておきなさい」スタスタ

アニメイト!!


戦いはまだ続く。

次回、幼女VS幼婆

ー秘密基地

隊長「確かに、それは妙ね」

博士「相手が幼女であれば、男女年齢問わず、キュン死にするはずじゃからな」

隊長「しかし、今回上がった報告によると」

博士「男性のみ。それも、キュン死にではなく、意識の錯乱。完全に妄想にとり憑かれておる」

隊長「一体、あの神社で何が起きているの……?」

博士「ロリババア」

隊長「え?」

博士「被害者達が、うわ言の様に口にしている言葉じゃ」

隊長「ロリババア……」

カタカタッターン!
モニターに、一枚の絵が映し出される。

博士「ロリババアは、日本古来より伝わる、萌ゆる神話に登場する、伝説の生物じゃ」

隊長「伝説の生物」

博士「うむ」

隊長「伝説の生物なら、実在するはずがないわよね?」

博士「早急に、調査が必要じゃな」

隊長「博士は、ロリババアについて、もっと詳しく調べて」

博士「アニメイト」

ー医療室

君「具合はどうだ?」

相棒「まだ少し、胸がドキドキするよ」

君「そうか……お前はあの時、一体何を見たんだ?」

相棒「天使の微笑み……」

君「天使の微笑み?」

相棒「ああ。あれはまさに、天使の微笑みだった。あんなに汚れない、純真な笑顔を見たのは、俺が産まれた時の、マザーの笑顔以来だ」

君「ばっか。そんなの覚えてる訳ないだろ」

相棒「はははっ!」

君「ま、元気ならそれでいい。それじゃあ、俺はそろそろ行くよ」

相棒「おう、ありがとな!」

どきどききゅんきゅ~ん♪

隊長「ナンバーゼロ、至急、オペレイションルームへ」

どきどききゅんきゅ~ん♪

君「何だろう?」

ー萌希神社

君「ロリババアか……人の気配すらないぞ」

隊長「オタクが一人、そちらへ向かったわ」

君「アニメイト」

守山「ロリババア様!芋羊羮をお持ちしました!」タタッ

ロリババア「お前さんは、わしをババアじゃと思うとるのか?」

守山「いえ、そんな!ロリババア様は、ロリババア様でございます」

ロリババア「では、良く聞け」

守山「んぶひ」

ロリババア「わしの好物は、エクレアじゃ。今すぐ買い直して来い!」

守山「ぶひぃ!」タタッ!

隊長「彼は一体、誰と話をしているの?」

君「わかりません。しかし、被害は無いようです」

ロリババア「人間」

君「!」ゾクッ

ロリババア「わしに何か用か?」

君「まずは、正体を見せてもらおうか。話はそれからだ」

ロリババア「思い上がるでないぞ、若僧」

君「っ!」トキトキ

ロリババア「今すぐにでも、キュン死にさせてやろうか?」

君「す……すみませんでした」トキトキ!

ロリババア「それでよい。もう、勘違いはするなよ?」

君「はぁ……はぁ……!」トキトキ

ロリババア「わしの方が歳上で偉いことを、よーく覚えておくんじゃな」

君「ぐはぁ!」ズシャア!

ロリババア「ふふっ」クスクス

隊長「ナンバーゼロ!応答して!ナンバーゼロ!!」

君「…………」トキトキ

ー医療施設

君「んん……」

相棒「目が覚めたか?」

君「俺は……」

博士「わしが、命がけで救出したんじゃよ」

君「そうでしたか。ありが……う!」

相棒「大丈夫か?もう少し寝ていろ」

君「ドキドキする……」

博士「ロリババア。データ以上に手強い相手みたいじゃな」

君「一体、ロリババアって何ですか?」

博士「色々と調べてみた結果。見た目は幼いが、中身は成熟している。そん生物じゃと判明した」

君「そう言えば……」

ロリババア「わしの方が歳上で偉いことを、よーく覚えておくんじゃな」

君「て、言ってたな」

博士「実はロリババアは、その定義上、現実にも存在する生物である。しかしじゃ。真にロリババアと言えるのは、相手をキュン死にさせるほどの、卓越した魅力を持つ生物のこと。つまり」

相棒「あー!訳わかんないぜ!」

博士「つまり端的に言えば、現在、この世界に存在するはずのない生物。と言うことじゃ」

君「それは、世界各地でも、確認されていないってことか?」

博士「うむ」

君「俺達は、目視できない、得体の知れない相手と戦わなければいけないのか……」

博士「安心せい。オタクの犠牲のお陰で、写真撮影に成功した」

君「あのオタクが犠牲に……くっ!すまない!」

博士「それがこれじゃ」

博士は、一枚の写真を提示する。

相棒「膝枕されてやがる!何て羨ましいんだ!」

君「ぐぅ……!」トキトキ!

相棒「大丈夫か相棒!」

君「あの妖艶な声が、俺の頭を駆け巡り、心臓を締め付けてくる……!!」トキトキ!

博士「これは、一大事じゃな」

ぴんぽーん。ぴんぽーん。

えーあい「幼女のお出掛けを確認。幼女のお出掛けを確認。V-4ポイントを目指し、進行を開始しました」

君「萌希神社?なぜそこへ」

博士「捧げ物のお菓子の匂いに、誘われたんじゃろな」

相棒「ちっ!こんな時に……!」

君「いや、これは逆に、チャンスかも知れないぞ」

ー萌希神社

とてとて……。

ロリババア「ん?」

とてとて……。

ロリババア「幼女?」

幼女「お菓子だー!」キラキラ

ロリババア「な!これはわしのお菓子じゃ!」

幼女「わっ!おばけさん!?」ビクッ

隊長「ロリババア、姿を現したわね!」

ロリババア「ほうじゃ。わしはお化けさんじゃ。うらめしや~」

ロリババアは体を揺らしながら、ゆっくりと幼女に迫る。

幼女「ひゃあ……!」プルプル

君「幼女が怯えている!」

博士「これは、意外な弱点を見つけたの」

幼女「やー!」トテトテ

隊長「幼女が退散したわ!」

君「あの幼女が……!ロリババア、なんと手強い」トキトキ

隊長「大丈夫か?ナンバーゼロ」

君「ロリババア、くんかくんかしたい」

隊長「ナンバーゼロ、もう少し休め」

君「アニメイト……」

えーあい「幼女、進路を変更しました」

隊長「何!?どこへ向かっている」

えーあい「駄菓子屋です」

隊長「結局か!」

君「俺が行きます!」タタッ!

隊長「待て!ナンバーゼロ!」

君「今度こそ、守ってみせる!」タタッ!

隊長「全くあいつは……」

博士「今止められるのは、あいつしかおらん」

隊長「…………」

ー駄菓子屋前

幼女「がおー」トテトテ

君「ナンバーゼロ。到着しました」

隊長「ネズミラジコン、セットアップ」

君「セットアップ完了」

幼女は間もなく、駄菓子屋に到着する。

隊長「今よ!発進!!」

モーターを唸らせ、ネズミを模したラジコンは走り出した。

幼女「なになに!?」

幼女は興味を示す。

幼女「まてまてー!」トテトテ

そして食いついた。

君「このままポイントAKTに誘導する」

隊長「決してしくじるな」

君「アニメイト!」

幼女を引き連れ、ネズミラジコンは、とある空き地へと到着する。

君「いい子だ」

ラジコンを、一つの土管の中へ走らせた。

幼女「ふふっ。かくれんぼは終わりだよー」トテトテ

君「何て恐ろしい台詞を……」

幼女は、土管の中へ頭を入れたその時、ある物を発見する。

幼女「ピーマン!!」ビクッ

君「ふっ」

幼女「やー!」トテトテ!

幼女は、急いで空き地を後にした。

君「任務完了。我々の勝利です」

隊長「よくやってくれたわ!直ちに帰還なさい!」

君「アニメイト!」

ー秘密基地

隊長「今回得た情報を、整理するわよ」

幼女はロリババアが恐い。
お化けが恐い。
ピーマン嫌い。

隊長「そこで、作戦を考えたわ」

まず、幼女を神社に誘導する。
ロリババアが姿を現したら、水滴速射銃でびしょびしょにする。
幼女からロリババアへの恐怖心を無くし、ロリババアとの相討ちを狙う。

隊長「さて、詳しく説明するから、よく聞いてね」

…………。

君「いけるか?」

相棒「あぁ。今の俺は、エイリアンとだって戦えるぜ!」

隊長「二人共。この作戦は、非常に危険な作戦です」

君「…………」ゴクリ

隊長「いい?生きて帰ることを優先なさい」

君、相棒「アニメイト!」

博士「二人とも、これを」

相棒「またポンコツか?」

博士「なんじゃと?」

隊長「お止め!」

しーん……。

君「で、それは?」

博士「水流速射銃じゃ」

君「水流?」

博士「うむ。水滴ではなく、水流を放出するんじゃが、短時間しかもたん。じゃから、止めを刺すときに使うと良いじゃろう」

君「ありがとう」

博士「うむ!」


そして……翌日。


えーあい「幼女のお出掛けを確認。幼女のお出掛けを確認」

隊長「総員出撃!!」

君、相棒「アニメイト!!」ケイレイ

ー路地

まずは、ラジコンヘリよりシュークリームをつるし、幼女を誘導する。

相棒「予想以上に速い……!」

幼女「シュークリームー!」トテトテ!

君「あともう少しだ!」

幼女「えい!」ピョン

幼女は、小さく跳ねた。

相棒「高度を上げ……うあああ!!」

ヘリは撃墜され、シュークリームは奪われる。

君「この階段を上らせれば、神社だったのに……くそ!」

幼女「んふふ!おいしいー!」モムモム

相棒「ほっぺたのクリーム……ペロペロ」トキトキ

君「しっかりしろ!相棒!」

相棒「あ……危ねぇ!助かったぜ!」

隊長「作戦は失敗ね」

博士「いや、まだじゃ」

なんと。幼女は階段を上り始めた。

博士「これを見てくれ」

モニターに、神社が映し出される。

隊長「これは……!捧げ物にホールケーキ!?」

君「それは幼女も誘われる訳だ」

相棒「急いで先回りしよう!」

君「ああ!」

幼女「ふんふんふーん♪」ルンルン

ー神社

ロリババア「やれ。騒がしいと思えば、お前さん達か」

君「ロリババア……」トキトキ

相棒「相棒!」

君「ああ!」

二人は、赤と青の3D眼鏡を装着した。

相棒「視界は悪いが、俺達の腕はいい」

君「そして何より、これで、キュン死にを免れる事ができる」

ロリババア「それでは甘いの」スルリ

君「着物をはだけさせた!?」トキトキ!

相棒「肩が……!鎖骨が……!」トキトキ!

隊長「二人共!目を逸らしなさい!」

相棒「男として!それは出来ません!!」

隊長「命令違反よ!こら!3D眼鏡を外していけません!」

ロリババアは、少しずつ着物を下げていく。

相棒「もう少しで……ふふ」パタリ

君「相棒ーーー!!」

そこへ、幼女が到着した。

ロリババア「む?」

幼女「あ!お化けさん!」ビクッ

君「助かった。今だけ共闘するぞ」

君はロリババアに向けて、水流を放つ。

博士「あの馬鹿……!」

隊長「いや、これでいいのかも知れない」

ロリババアは、全身濡れ濡れになった。

ロリババア「おや」

幼女「ふふふ!お化けさんびしょびしょー!」クスクス

君「えってぃ……!」トキトキ!

隊長「ナンバーゼロ、それ以上は危険よ!相棒を回収し、身を潜めなさい」

君「ア、アニメイト……!」トキトキ!

いよいよ、幼女と幼婆の一騎討ち。

幼女「がおー!」トテトテ

ロリババア「わしとやる気か?」

幼女「ケーキ食べちゃうぞー!」トテトテ

ロリババアは、ふわりと一回転する。

ロリババア「容赦はせぬぞ」

幼女がケーキに手を伸ばしたその時、ロリババアは幼女のお手手を、ちゃいした。

幼女「もぅ!痛いのやっ!」

幼女は、続けて迫るロリババアの左手を弾く。
偶然にも、幼女の右手の甲が、ぺちっと、ロリババアの頬を叩いた。

ロリババア「やりおったな?小娘」

ロリババアは素早く、幼女の背後を取る。

幼女「ふぇっ……!」ピクン

こちょこちょ。

ロリババア「お前さんに、耐えられるか?」

ロリババアは容赦なく、幼女の脇下をこちょこちょする。

幼女「あはははは!やめてー!」ケラケラ

ロリババア「くちゅん!」

ここで、濡れ濡れの効果が現れた。
そしてそれは同時に、幼女に隙を与える。

幼女「お返し!」

こちょこちょ。

ロリババア「くくくっ……!」クスクス

ロリババアは、幼女のこちょこちょに耐えながらも、幼女をこちょこちょする。

幼女「いひひひ!」クスクス

ロリババア「くくくっ!」ケラケラ

お互い、一歩も引かぬ攻防が続いた。

隊長「こんなに激しい戦い……見たことないわ」

博士「素晴らしい……」トキトキ

隊長「え?」

と、ここで。
ついに決着がつく。

幼女「んふふ……!」クスクス

ロリババア「わ、わかった!降参じゃ!」ケラケラ

やはり幼女は強かった。

ロリババア「よし。ケーキを、一緒に食べることを許そう」

幼女「やったー!!」

ロリババア「ふふっ」なでなで

幼女「いただきまーす!」

幼女は、両手でケーキをむしり取り、むしゃむしゃと頂く。

ロリババア(常識的に考えて、食べ方は汚いが、その子供らしさが逆に、母性をくすぐってくる……!)

幼女「んふふ!美味しいよ!」にこっ!

ロリババア「んあっ!」トキトキ!

ロリババアの全身を、電流が駆け巡った。

ロリババア(わしは、わしは……!!)トキトキ!

ロリババアは幼女を、ぎゅっと抱き締める。

ロリババア「お前さんの、母親になりたい……!」ぎゅう!

そして、笑顔で光となって消えた。

博士「ロリババアの完全消滅を確認」

隊長「勝ったのね……幼女が」

相棒「隊長、どうします?」

隊長「あなた、生きていたの!?」

相棒「俺は、幼女を抱っこしてから死ぬって、決めてるんです。へへっ」

隊長「馬鹿者が……。しかし、本当に良かった」

君「それで隊長、幼女、どうしますか?」

隊長「帰還なさい。あなた達は、ダメージを受けすぎた。これ以上の戦闘は無理よ」

君「いいんですか?」

隊長「あなたにあの笑顔、撃てる?」

君「……わかりました。帰還します」

こうして新たな戦いも、また、幼女の勝利で幕を閉じた。

幼女「あむ!んふふ!」モムモム


次回。幼女VSコスプレイヤ

ー肉屋内

幼女「えとね!牛肉三キロ!」

店長「アイヨォ!!」

君「どうやらおつかいの様ですね」

隊長「店長の様子はどうだ?」

店長「ンヒヒィ!」ニコニコ

君「大興奮、と言ったところでしょうか」

幼女「ありがとうございました!」ペコ

君「お釣りを手渡して三秒後、店長が倒れました!」

隊長「救急隊員の皆様!幼女が立ち去り次第、警戒を怠らず、速やかに店長を救助して下さい!」

君「待って下さい!」

隊長「どうしたの?」

幼女「あれ?十円おおいぞ」フラフラ

君「お釣りが……お釣りが十円多かった模様です!幼女が引き返します!!」

隊長「追い討ちをかけるつもり!?」

君「俺が……俺が受け取ります!」

隊長「お止め!無茶よ!」

君「今、店長を奥に寝かせました。まだ息はありますが、長くはもたないでしょう。ここは……俺がやるしかありません!!」

隊長「策はあるの?」

君「ゴム手袋を三枚重ね、帽子を深く被り、限界まで視界を遮ります」

隊長「そう……つまり、やれるのね?」

君「当然ですよ」ニヤリ

幼女が、店頭に到着した。

幼女「おじさん!おつり多かったよ!はい!」

君「ん……んんっ!」トキッ!

幼女「どうしたの?」

君は首を、横に降る。

幼女「じゃ、またね!ばいばい!」オテテフリフリ

君「ん」オテテフリフリ

隊長「大丈夫……?」

君「ぷはぁ!はっ!はっ!はっ!はぁ……はぁ……なんとか」

隊長「良かっ……大変よ!」

君「どうしました?」

隊長「緊急事態よ!急いで戻って来て!!」

君「アニメイト!」

ー医療施設

相棒は、酸素マスクをつけ、ベットに寝かされている。

君「相棒……」

博士「意識が戻るかどうかは、信じるしかない」

君「隊長!一体何があったんですか!?」

隊長「一時間前のことよ。春花広場で、コスプレ大会が行われていたの」

君「コスプレ大会……。あぁ、日本の伝統行事の一つですね」

隊長「ええ、それでね。その会場で、突然人々が倒れる、大事件があったの」

君「大事件……?まさか、キュン死にですか?」

隊長「そのまさかよ。そこで、彼を調査に行かせたの。すると」

博士が、一枚の写真を取り出す。

君「よ……幼女?いや、え?」

博士「新種の幼女じゃ」

君「まさかそんな!国に、この島で幼女と認められた女の子は、あの子だけですよ!」

隊長「家族旅行」

君「!」

隊長「つまり、新種の幼女は、外部から持ち込まれたの。さっき連絡があったわ」

君「なぜ、今連絡が来たんですか?本来、連絡は第一優先事項として、真っ先にくるはずでしょう?」

隊長「アルバイトがね、ばっくれてたの」

君「バックラーの仕業か……!」

隊長「あなたも此処に来る前は、バックラーの一人だったでしょ」

君「う……そうでした」

隊長「はぁ……ま、それはさておき。彼はその幼女に、やられたのよ」

君「仇は必ず取ります」

隊長「彼女は、多くの武器を所持しているとの噂よ」

君「武器を……」

隊長「おいで」スタスタ

君と隊長は、医療室を後にする。

ーおぺれいしょんるーむ

モニターに、新種の幼女のデータが撮し出されている。

隊長「新種の幼女。じゃ面倒くさいから、何かお名前を考えてくれる?」

君「お名前か……。コスプレをする人は、コスプレイヤー……。破壊をする人は、デストロイヤー……。よし!」

命名。コスプレイヤ。

隊長「センスあるじゃない」

君「ありがとうございます」

隊長「それじゃあ、コスプレイヤについて説明を始めるわね」

君「お願いします」

隊長「まず初めに、コスプレイヤの装備から説明します」

君は、メモ帳とペンを取り出した。

隊長「コスプレイヤは、魔法少女の衣装を身に纏っています」

君「はい。プリキュウリではないんですか?」

隊長「恐らく、親の影響ね。きっと御両親は、まじか・ワキガが好きなのよ」

君「なるほど」メモメモ

隊長「そして、メイン武器として、安全を考慮して作られたであろう、新聞紙でできた、精巧なハリセンを所持しています」

君「はい。魔法少女なのにハリセンと言うのは、どういう事なのでしょうか?」

隊長「まじかの魔法は輪ゴムで放たれるのですが、消費魔力が多く、威力が強すぎる為、主に止めにしか使われません。そこで。主にはメイン武器であるハリセンを利用し、敵と戦う訳です」

君「お詳しいですね」メモメモ

隊長「ちなみに、魔法少女まだか・ワキガはね。ワキプルガスの昼を」ペラペラ

君「隊長。話が逸れています」

隊長「こほん。これは失礼。本題に戻るわよ」

君「どうぞ」

隊長「サブ武器として、大きめの輪ゴム、そして、角を丸く切ってガムテープを貼った、新聞紙手裏剣を持っているとの情報です」

君「近距離、中距離、遠距離、オールオッケイか」メモメモ

隊長「では次に、コスプレイヤの攻撃方法について、お話します」

君「これは大事だぞ」

隊長「えいえい!と、必死に攻撃します」

君「?」メモ

隊長「そう。これで最後になりますが、コスプレイヤは、とても臆病なのです」

君「ではなぜ、相棒や街の人達は、コスプレイヤにキュンキュンしたのでしょうか?」

隊長「写真撮影」

君「そういうことですか」パタム

ぴんぽーん。ぴんぽーん。

えーあい「コスプレイヤ。マックより進行を再開しました」

君「どうやら、おやつタイムを終えたようですね」

隊長「コスプレイヤの目的地は?」

えーあい「恐らく、M-6ポイントと思われます」

ー花畑海岸

コスプレイヤ「ここが、砂浜が花畑になっているという、花畑海岸ですね」トテトテ!

君「コスプレイヤ。花畑海岸に到着しました」

コスプレイヤ「綺麗……」フフッ

君「眩しい……!」

君は、思わずサングラスをかける。

隊長「攻撃許可が降りたわ。コスプレイヤを攻撃し、速やかにお家に帰しなさい」

君「アニメイト」

君は、三角に折られた新聞紙を取りだすと、勢いよく縦に降った。
すると、乾いた音が一つ、花畑を小さく揺らした。

コスプレイヤ「まさか、魔女さん?」ビクビク

君「コスプレイヤは完全に畏縮しました。そうこうげ……」

とてとて……。

隊長「こんな時に……!」

とてとて……。

君「…………」

幼女「がおー!」トテトテ

コスプレイヤ「あなななたですしゅか?!」ビクビク

幼女は、不思議そうな顔で首をかしげると、コスプレイヤに近付いていく。

コスプレイヤ「来ないでぇ!」ヒュ!

コスプレイヤは怯えながらも、見事なフォームで手裏剣を放った。

幼女「あいた!」コツン

手裏剣は、幼女の弁慶に命中する。

幼女「何するの?」トテトテ

幼女は、瞳に涙を浮かべながら、ついにコスプレイヤと対峙した。

コスプレイヤ「やぁ!やぁ!」

ハリセンの応酬。
幼女は、思わず身を丸めた。

君「隊長!幼女が押されています!」

隊長「コスプレイヤ。我々にとっても、恐ろしい敵になりそうね」

君「しかし、この一方的な状況……とても耐えられません」

隊長「何を言ってるの?幼女は私達の宿敵よ!」

君「しかし……ん!?」

なんと。いつの間にか、幼女はハリセンを掴んでいた。

コスプレイヤ「ふぇ……」ウルウル

ハリセンは、くしゃくしゃになっている。

幼女「もぅ知らない!」プン!

幼女はコスプレイヤに背を向けると、いつもよりも力強く地を蹴り、去って行った。

君「終わっ……たのか?」

コスプレイヤ「うわあああん!」ポロポロ

君「すまない……」
君は無慈悲にも、その場を無言で去る。
一方、コスプレイヤは、しばらくその場で一人、泣いていた。

ー秘密基地、自室

隊長「失礼」

君の部屋に、お風呂上がりの隊長が入って来た。

君「隊長……」

隊長「あなた。今日の戦いで、幼女との戦いに疑問を持ったわね」

君「人はなぜ、幼女と戦うのでしょうか……」

隊長「幼女と戦うのが、嫌になったの?」

君「俺はロリコンです!元々、幼女を傷つけたり……泣かしたりしたくありません!」

隊長「この世界には、幼女にキュン死にされた人達がいるのよ。もちろん。中には、家族を持っていた人もいた事でしょう。……あなたの両親の様にね」

君「!」

隊長「あなた、この世界で初めての幼女と戦った人の、息子よね?」

君「はい。隊長の言う通り、俺の両親は、初幼女との戦いでキュン死にしました。ですが、俺は決して、幼女を恨んではいません」

隊長「それはなぜ?」

君「可愛いは正義だからです」

隊長「その正義が、あなたの両親を初め、今も多くの人達の命を奪っているのよ」

君「その死には意味があり、愛があると、俺にはそう思えてなりません!」

隊長「まさか、幼女に魅いられたの?」

君「さぁ、どうでしょう……。ただ、これだけは言えます」

隊長「なに?」

君「俺は自分の意に反して、幼女を傷つけ、泣かすことになろうと、これからも、キュン死にから人々を守っていくことでしょう。だから、安心して下さい」

君は立ち上がる。

隊長「トイレ?」

君「いえ。喉が乾いたので」

そして、部屋を後にした。

隊長「あなた、もしかして……」

隊長は、君のベットに倒れ込む。

隊長「このまま寝ちゃおうかな?」

今夜は満月だ。

ー翌日、ゲームセンター前

隊長「今回は、時間制限がある」

君「時間制限?」

隊長「作戦開始後。三分以内に、ゲームセンターから引き離すのよ」

君「三分以内にか……」

隊長「にぃ……いち……作戦開始!」

君「アニメイト!」

コスプレイヤは、UFOキャッチャーの景品に、夢中になっている。

君「狙いは……まじか☆ワキガのニュウベエのぬいぐるみか」

残り、二分半。

君「悪く思わないでくれ」

君は、勢いよくホラ貝を吹いた。

コスプレイヤ「開戦?」ビクビク

ホラ貝の雄叫びに、UFOキャッチャーの壁が揺れる。

君「君!はやくこっちに避難するんだ!」

君の声に誘導され、コスプレイヤは急いで移動を開始した。
一方君は、コスプレイヤに見つからないよう、うまく回り込む。

君「ゲームスタート」

そして、ニュウベエのある機械に、金を飲ませた。

隊長「気を付けて。コスプレイヤはあなたに気付き、ジッと様子を伺っているわ!」

君「くそっ!ハサミが緩い!」ドンッ!

残り一分。

君(落ち着け、俺。ニュウベエの特徴である耳のワッカに、ハサミを引っかければいいだけだ)

位置を調整し、ハサミを下ろす。

君「こいっ!こいっ……!」

捕獲。しかし、まだ獲得ではない。

君「届けっ……!」

見事。景品の獲得に成功した。

隊長「十秒切ったわよ!」

君「これは、君にあげよう」

君は、コスプレイヤの顔を見ることなく、ぬいぐるみを見せつける。

君「奇跡も魔法もあるんだよっ!!」

そして投げた。

コスプレイヤ「えー!」トテトテ

隊長「タイムアウト」

コスプレイヤは、ゲームセンターの外で、ぬいぐるみを抱きしめ、満面の笑みを浮かべている。

コスプレイヤ「おにいちゃん、ありがとう!」にこっ!

しかし、そこに君はない。

君「任務完了。ただいまより帰還します」スタスタ

ーさらに翌日、秘密基地

隊長「現在。幼女が船着き場に接近中よ」

えーあい「まもなく目的地です。ナビを終了します」

隊長「幼女は武器を持って、コスプレイヤに接近しているわ」

君「考えられる答えは……」

隊長「そう。リベンジ」

君「とにかく、直ちに出撃します」

隊長「何が起こるかわからないわ。充分、気を付けてね」

君「アニメイト」タタッ!

ー船着き場

とてとて……。

コスプレイヤ「お魚さん、いないなー……」

とてとて……。

コスプレイヤ「!」

気配に気付き、コスプレイヤは振り向く。

幼女「こんにちは!」トテトテ

コスプレイヤ「や……あなたは!」ビクビク

宙を舞う手裏剣達。
幼女はそれを、手に持っていたハリセンで、全て落としてみせた。

幼女「もぅー!」

ほっぺを膨らまし、怒り顔の幼女。
幼女は、落とした手裏剣を拾い始める。

君「到着しました」サッ

コスプレイヤは、手裏剣を拾う幼女に、照準を定めた。
そして。

コスプレイヤ「ぺろ、ふぃにゃーれ!」

大きめの輪ゴムが、ふわりと放たれる。

幼女「?」

しかし輪ゴムは、するすると幼女の服を、滑り落ちた。

君「さすが幼女。何て防御力だ」

隊長「攻撃力、防御力、治癒能力。全てが規格外だなんて……」

幼女は輪ゴムも拾い、再びコスプレイヤに近づく。

コスプレイヤ「わたし……がんばれ!」

コスプレイヤは、震えた足で、ゆっくりと立ち上がった。

君「コスプレイヤがハリセンを握り、立ち上がりました!」

隊長「近接戦闘に入るつもりね」

コスプレイヤ「やー!」トテトテ!

コスプレイヤが駆ける。
一瞬、怯む幼女。

コスプレイヤ「えい!」

幼女はコスプレイヤの攻撃を、紙一重でかわした。

幼女「何するの!」

幼女が反撃にでる。

コスプレイヤ「んにゅ!」

幼女の降りかざしたハリセンは、見事、コスプレイヤの脳天を優しく叩いた。

コスプレイヤ「ふえぇぇぇ!」ポロポロ

コスプレイヤは、泣きながらもハリセンを降り続ける。

幼女「なんでぇ!」ポロポロ

幼女も泣きながら、それに対抗した。

君「これは、歴史に残るぞ」

隊長「ナンバーゼロ」

君「はっ」

隊長「攻撃よ。今なら、同時に撃退できるわ」

ぺちん……。ぺちん……。

君「俺に……俺に卑怯者になれと?」

隊長「あなた、それでも変人?ちょっとは大人になりなさい!」

ぺちん……。ぺちん……。

君「……アニメイト!」カッ

水流速射銃の銃口が、二人に向けられる。

君「すまない。濡れてくれ……!」

君が引き金を引こうとした、その時だった。

幼女「わたしはね!ごめんなさいしにきたの!」

幼女の大きな声。

コスプレイヤ「ふぇ?」グスッ

それに、コスプレイヤの涙が止まる。

幼女「はい!これ、どうぞ!」

幼女は、自分が持っていたハリセンを、コスプレイヤに渡した。

コスプレイヤ「これ、わたしに?」グスッ

幼女「うん!わたし、あなたのくしゃくしゃー!て、しちゃったから。ごめんなさい!」ペコリ

コスプレイヤ「ううん。ありがとう!」

二人の髪が、潮風と遊ぶ。

コスプレイヤ「あの……!」

幼女「あ!あとこれも!」

幼女は、コスプレイヤのサブ武器を差し出した。

コスプレイヤ「それ、あげる」

幼女「え?いいの?」

コスプレイヤ「うん。だから……私とお友達になって下さい!」ペコリ

幼女の口角が、ゆっくりと上がる。

幼女「はい!よろこんで!」にこっ!

コスプレイヤ「やった!」

コスプレイヤは嬉しさのあまり、大きく跳ねました。

幼女「また、遊びに来てね!」

コスプレイヤ「うん!」

小さな小指が交わり、約束の歌は波に乗る。

君「きっと、世界の平和はこうして、紡がれていったんだろうな……」

隊長「なにたそがれてるの?」

君「てへぺろ」

隊長「能天気ね……。コスプレイヤが再びこの島を訪れた時、必ず、二人は揃って町を歩くわよ。そうなれば、大勢の犠牲者が出るわ」

君「しかし、博士の研究によって、えーあいの性能が向上し、避難速度は早くなってきています。それに、キュン死にした人を蘇生させる施術も、もう間もなく完成するそうじゃないですか。最近は救急隊員の到着も迅速ですし」

隊長「あなた、人の命を何だと思っているの?」

君「すみません……。口が過ぎました」

隊長「はぁ……はやく帰還なさい」

君「アニメイト」

幼女「ばいばーい!!」オテテフリフリ

コスプレイヤ「ばいばーい!!」オテテフリフリ

隊長「…………」


次回。のっとられる秘密基地。

幼女VSケモナ

ー秘密基地

隊長「つまり、密室キュン死に事件よ」

君「チェーンメールを利用し、幼女の画像を送ることでキュン死にさせる。なんて恐ろしい手口だ……」

相棒「そもそも。画像でキュン死にするなんて、現実に有り得る話なのか?」

博士「今現実に起こっておるじゃろ。よっぽど、幼女に精通した人間の仕業じゃろうな」

君「犯人は悪魔か何かか!幼女を殺人に利用するなんて、俺は絶対に許さない!!」ドンッ!

隊長「でも残念な事に。博士の腕をもってしても、犯人はおろか、犯人に繋がる情報さえも掴めていないのが現状よ」

君「では一体、どうするんですか?」

隊長「我々には、どうにも出来ないわ」

君「手掛かりも何もないんですか?!」

隊長「手掛かり……これだけよ」

モニターに、目に黒い線の引かれた、獣娘幼女が映し出される。

隊長「あなた達がキュン死にしないよう、目に黒線を引いているわ」

相棒「アンビリィバボゥ……。虹幼女だと?しかもけもっ娘だって?おいおい、これは一体何の冗談ですかい?」トキトキ

隊長「冗談ではない。その証に、あなた達は今、心ときめいてるはずよ」

君「確かに……」トキトキ

隊長「そして我々はこの娘を、ケモナと命名したわ」

相棒「ケモナ……それはグッネェイムだな」

ぴんぽーん。ぴんぽーん。

えーあい「幼女のお出掛けを確認。幼女のお出掛けを確認。目標地点は、T-12ポイントと思われます」

君「病み上がりのお前は休んでろ」カタポン

相棒「何度も……ソーリィ」

君「隊長。出撃命令を」

隊長「ナンバーゼロ。直ちに出撃!」ザッ!

君「アニメイトッ!」ケイレイ!

ー図書館

隊長「様子はどう?」

君は双眼鏡を覗く。

君「幼女は現在、楽しげに絵本を読んでいます」

隊長「幼女は、すでにひらがなが読めると言うの?」

君「それだけでは済みませんよ……」

隊長「モニター、拡大して」

映像は、幼女の絵本へとズームされた。

隊長「ぴーまんさんとにんじんさん……まさか!」

君「そうです。幼女は弱点を克服する為に、ピーマンについて学習しているのです!」

隊長「なんてこと……」フラ…

相棒「隊長!お気を確かに!」ガシッ

幼女「がおー」トテトテ

君「絵本を読み終えた模様です。追跡します」

幼女は絵本をしまうと、図鑑に手を伸ばす。

君「あれは……幼児用の野菜図鑑!」

幼女「んふふ!」トテトテ

隊長「さらに詳しく学習する気!?」

相棒「わぉ!何ておりこうさんなんだ!」

幼女「ぴーまん♪ぴーまん♪」ルンルン

君「これは……ピーマンの歌!?」

博士「もはや幼女に、ピーマンは通用せぬことだろう」

君「この短期間の間に、一体何があったんだ」

博士「憶測じゃが、弱点を克服する事に、何か、楽しみを見出だしてしまったのじゃろう。そうじゃな……」

相棒「……御褒美!!」ポンッ

博士「それじゃ!御褒美を貰う為に、幼女なりに努力をしておるのじゃろう」

隊長「三日幼女で終わることを祈りましょう」タメイキ

博士「それはないの。お手伝いスタンプは、本日をもって、五つ目に到達したらしいぞ」

隊長「日本最強の幼女……。ふふっ。その名に負けない、完璧なスペックね」

相棒「隊長、諦める気で」

突然。無線が途絶えた。

君「ん?どうした?本部、本部応答せよ!」

応答はない。

君「通信障害にしてはおかしい。何かあったのか?」

幼女「……」ウトウト

君「一時帰還するか……」

ー本部

君「隊長!」タタッ

隊長「ナンバーゼロ」

君「すみません!幼女はおねむの様でしたので、本部を優先し、帰還しました!」ケイレイ

隊長「構わないわ。それよりも、厄介な事が起こったの」

君「厄介な事?」

隊長「ええ。ご覧の通り、当本部は乗っとられました」

君「えぇ!?」ビックリ

相棒「しかも相手は……なんとケモナたんだ!!」

君「ん?どういう事だ?ケモナは絵だろ」

相棒「ノゥノゥ」チッチッ

博士「ケモナは人工知能そのもの。つまり、この施設のプログラムと同じ、エーアイだったのじゃ」

君「なぁんだってぇ!?」

博士「誰かが送り込んで来たのか、はたまた、自分でやってきたのか。そこまでは掴めんかったがの」

君「それで、どうするんです?」

隊長「博士が罠をはったわ」

モニターに、ゲーム画面が映し出される。
そこには、ドット絵のケモナがいた。

隊長「ケモナは現在、博士の作ったゲーム。迷路を抜けて、クッキーゲット!に、挑戦しているの」

相棒「ケモナがクッキーをゲットした、その瞬間!捕獲してやろうって訳さ!」

君「そんなことが可能なんですか?」

博士「まぁ、見ておれ」

ケモナは道に迷っている!
右かな?左かな?
ケモナは右を選んだ!正解だよ!

隊長「もう間も無くだ」

ケモナ「くんくん!こっちから、クッキーのにおいがするわん!」トテトテ

隊長「捕獲用意!」

博士「アニメイト」

やった!おめでとう!ゴールだよ!
ケモナ「おいちいわん!」サクサク

博士「捕獲!!」カタカタッターン!

小さな木の棒に結ばれた紐が引かれ、支えを失ったザルは、上から覆い被さるように、ケモナを捕獲した。

隊長「よくやってくれたわ」パチパチ

相棒「それで、そいつはどうするんだ?消去するのか?」

博士「いや、利用する」

相棒「利用?何に?はっ、まさか。変態な事に使うつもりか?ははっ!情けねぇ老いぼれだ!」

博士「幼稚な妄言じゃな。ま、馬鹿には一生かかっても解らんことじゃ」

相棒「あ?何だと、この腐れジジイ!!」

隊長「お止め!」

君「はぁ……」ヤレヤレ

隊長「ケモナは、幼女のおつむ調査に利用するのよ」

君「なるほど。幼女の知能がどれほどか解れば、対策をしやすくなる。そういう訳ですね!」

隊長「そういうこと。博士、頼んだわよ」

博士「アニメイト」

それから、博士のゲーム開発が始まり、数日後の雨の日の事。

ー公園

幼女「…………」グスッ

君「これより。ミッション、ひよこの雨合羽、を開始します」

相棒「サポォウトは任せてくれ」

相棒がまず、傘に特殊技術で描かれた絵を、幼女に見せ、気を引く。
特殊な絵は、クルクルと傘を回すと、ウサギさんが跳ねるように描かれているのだ。

幼女「わぁ!うさぎさんだ!」

幼女の顔に、笑顔が戻った。

君「今だ!」

君は幼女の背後より、音を立てないよう、慎重に近づいて行く。

幼女「かあいい!かあいい!」パチパチ!

だが、その時。

君「!」

君は、泥に足をすくわれてしまった。

隊長「ナンバーゼロ!」ガタッ!

続けて君の体は、容赦なく地面に叩き付けられる。

君「んあっ!」ヌルシャア!

幼女「ふぇ!?」ビクッ

驚き振り向く幼女。
視線の先には、君。

君「ふあぁ……!」トキトキ

幼女の濡れた髪が、君の心のときめきを加速させた。

君「こ……この雨合羽をどうぞ……」トキトキ!

その言葉に、幼女は、ゆっくりと君に近づいて行く。

幼女「大丈夫ですか?」

そう言って、幼女は腰を下ろし、君を心配そうに見つめた。
間近で見る、雨に濡れる幼女。
あぁ、雅なり。

君「うん、平気だよ。だから、これを着て、君は早くお家に帰りなさい」トキトキ!

微かに鼻をくすぐる、雨の匂いが混じった甘い香りが、君の心のときめきを爆発させる。

幼女「ありがとうございます!」

そして、幼女の笑顔を見届け、君のまぶたはついに閉じられた。

くちゅん!

ー医療施設

相棒「オゥホホ……。こりゃ奇跡だ……」

君は、ゆっくりとまぶたを開けた。

君「俺は……俺は生きているのか?」トキトキ

隊長「あの距離でもキュン死にしないなんて……。あなた、変人として誇りを持っていいわよ」

君「ありがとうございます」トキトキ

相棒「お前、あれから二日も眠っていたんだぜ」

君「二日も……」トキトキ

相棒「その体じゃあ、戦えないな。今回の作戦は、俺に任せとけ」

君「もしかしてだけど、完成したのか?」トキトキ

博士「うむ」

博士は君に、一枚のメダルを手渡す。

君「これが、そうなんですか?」

君はメダルを天に向け、マジマジと見た。

博士「それは幼女メダル。そのメダルから、立体ホログラムとして、ケモナを召喚できるのじゃ」

隊長「そして、様々な問題を問いかけ、幼女の知能を図る」

君「へぇ」

突然。ケモナが現れた。

ケモナ「こんにちわん!」ヒョコ

君「ぐあああ!!」トキトキトキトキ!

博士「こら、ケモナ!ハウス!」トキトキ!

ケモナ「はーい」

ケモナは消える。

相棒「こ……この腐れジジイ!俺達を皆殺しにするつもりか!?」トキトキ!

博士「す、すまん。もう一度調整が必要じゃな」トキトキ

隊長「と、とにかく……。もふもふしたいのよ」トキトキ

君「隊長……!」トキトキ!

隊長「失礼……。とにもかくにもよ。作戦は、明日実行します。博士、しっかり頼むわよ」

博士「アニメイト」

相棒「てな、わけで、俺は明日に控えて寝るわ。またな」スタスタ

君「相棒!」トキトキ

相棒「ん?」

君「無茶だけはするなよ」トキトキ

君「ラージャ」ウィンク

相棒は、部屋を後にした。

君「おっぱいだ……」トキトキ

隊長「心配なのはわかるけど、あなたはもう少し、ゆっくりお休みなさい」

君「はい……」トキトキ

隊長「大丈夫よ。彼も度重なるときめきで、ちゃんと成長しているわ。そう簡単に、キュン死にはしないでしょう」

君「そうですか……」トキトキ

一安心したのか、君はまた、まぶたを閉じる。

訂正。

相棒「ラージャ」ウィンク

彼、洋画が大好きなんすよ

ー路地

とてとて……。とてとて……。

えーあい「二十三秒後、幼女が角を曲がります」

隊長「用意はいい?」

相棒「スタンディンッバァイ」

隊長「レディ」

とてとて……。とてとて……。

えーあい「さん……に……来ます」

相棒「ゴウッ!!」

路地に置かれたメダルより、ケモナが投影される。

幼女「がおー……がお?」トテッ

ケモナ「こんにちわん!」

幼女「わんわん?!」キラキラ

ケモナ「ケモナだわん!」

相棒「幼女、ケモナに興味を示しました!」

隊長「作戦開始」

ケモナ「ねぇねぇ、公園に行くの?」

幼女「うん!」

ケモナ「へっへっへっ。公園に行きたくば」

幼女「お手!」

ケモナ「わん!」ポフ

相棒「!?」

隊長「落ち着きなさい。予想はしていたわ。博士!」

かたかたったーん。
ケモナは、首をふるふるする。

ケモナ「この先に行きたかったら、クイズに答えるわん!」

幼女「クイズ?!」ワクワク

ケモナ「なぞなぞとか、色々あるわん!」

幼女「やるやる!」パチパチ

相棒「演出の用意、オゥケイ!」

ケモナ「第一問!次のうち、反対から読んでも一緒なのは、どれでしょうわん?」

幼女「ん?」

幼女は首をかしげた。

相棒「しんぶんし、反対から読んでも、しんぶんし」

幼女「なるほど!」ポン

ケモナ「いち、みかん!に、めろん!さん、とまと!さぁ、どれかわん?」

相棒「ゆっくり考えていいよ!」

幼女「うーん……。みかん……めろん……とまと……あ!とまと!」

相棒は、幼女の左隣に位置する塀の裏から、幼女の頭上に向け、クラッカーを放った。

幼女「わ!」

ケモナ「おめでとう!正解だわん!」パチパチ

ケモナの尻尾が、強く左右に揺れる。

幼女「やったー!」

ケモナ「続いて第二門!パンはパンでも、食べられないパンは」

幼女「フライパン!」

隊長「学習済み!?」ガタッ

博士「ほぅ……」

放たれるクラッカー。

ケモナ「正解だわん!」シッポフリフリ

幼女「ふふっ!」クスクス

ケモナ「第三問!いちたすいちわん?」

隊長「算数?博士、どういうこと?」

相棒「おいおい。こぉれは無理だろー」ヤレヤレ

博士「幼女はひらがなを学習していたじゃろ」

隊長「だからって」

相棒「幼女が小さな指を折って、一生懸命計算しています!」

隊長「ありえないわ!」

博士「お前さん達は、勉強が足りんようじゃな」ニヤリ

幼女「にっ!」

可愛らしい八重歯が、太陽さんに挨拶する。

ケモナ「正解だわん!」パチパチ!

放たれるクラッカー、揺れるしっぽ。

幼女「えへへ」テレ

ケモナ「第四問!お歌問題だわん!」

幼女「お歌?!」ウキウキ

ケモナ「ケモナに続けて歌ってね!」

幼女「続けて?」

相棒「さーいーた、さーいーた♪」

幼女「ちゅーりっぷーの、はーなーが♪」

相棒「そういうことだよ」フフッ

幼女「はい!わかりました!」

相棒は機械を操作し、音楽を流す。
心踊る、アンコール湧かす音楽だ。

ケモナ「迷子の迷子の♪」

幼女「子猫ちゃん♪」

ケモナ「あなたのお家は♪」

幼女「どこですか♪」

ケモナ「なまえーをきいてもわからない♪おうちーをきいてもわからない♪」

幼女「にゃんにゃんにゃにゃーん♪にゃんにゃんにゃにゃーん♪」

ケモナ「なーいてばかりいる♪」

幼女「子猫ちゃん♪」

ケモナ「いっぬーのー、おまわりさん♪」

幼女「こまってしまって♪」

ケモナ「わんわんわわーん♪わんわんわおーん♪」

隊長「まるで、天国へと誘う子守唄ね」トキトキ

博士「リズム感も言うことなしじゃ」トキトキ

相棒「…………」トキトキ

隊長「ちょっと、大丈夫?」

相棒「はっ……!だ、大丈夫です!」トキトキ

隊長「家主に許可は得ているわ。家の中に避難なさい」

相棒「ノープログレンッ!平気です!続けさせて下さい!」

隊長「やれるの?」

相棒「アニメイッ!!」ケイレイ

幼女「?」

ケモナ「いよいよ、最後だわん!」

幼女「はーい!」

ケモナ「画面に出てくるちょうちょさんを、タッチしてほしいわん!」

幼女「はい!」

ケモナは右下に移動し、デフォルメ化した。
続けて、可愛らしい音楽が流れ始める。

ケモナ「つかまえて!ちょうちょさん!よーい?」

幼女「ふふっ」ワクワク

ケモナ「どんぐりわっしょい!」

その言葉と同時に、画面内を、ちょうちょさんが舞い踊り始めた。

幼女「えい!」

一歩踏み出し、タッチ。

ぺきゃ。

その音と共に、路地には静寂が戻った。

幼女「あれ?ちょうちょさんは?」キョロキョロ

相棒「ケモナ……沈黙しました」

隊長「…………」


次回。幼女VS機械幼女

ー秘密基地

隊長「今回の任務は、全国D級グルメ祭の防衛よ」

君「んー!久々の任務だ」ノビー

相棒「また転んで、次はハートブレイクするんじゃねーだろうな」ツン

君「ばっか。大丈夫だよ」

隊長「二人共。いい?中止にする訳にも行かないから、今回だけ特別に、一時間貸し切りにしたわ」

相棒「戦場は幼女のパーティ会場。と、言ったところか」

君「なら、シンデレラは早くお家に帰さないとな」

隊長「店員の皆様には、対キュン死に装備として、キャラクターのお面を被って頂いてるんだけど、確実な安全が保証されている訳ではありません。つまり、あなたが言うように、シンデレラを早くお家に帰してちょうだい」

二人「アニメイト!」ケイレイ

えーあい「幼女。わたあめを補食しました」

隊長「さ、行ってらっしゃい。もちろん気をつけてね」

えーあい「緊急事態発生。緊急事態発生」

君「緊急事態?」

隊長「映像回して」

モニターに映し出されたのは、まるで、双子かと見間違う程、幼女に酷似した幼女の後ろ姿であった。

隊長「新種の幼女!?一体どこから紛れ込んだの!」

えーあい「侵入経路不明」

相棒「しかし、なぜヘアーがホワイトなんだ?」

君「隊長。幼女は確か、一人っ子でしたよね」

隊長「ええ……。これは一体、どういう事?」

ー祭会場

幼女「誰?」

ヨウジョ「ワタシハアナタヨ」

幼女「がおー!」

幼女が警戒体制に入った。

ヨウジョ「ガオー!」

ヨウジョも構える。

幼女「がおがおー!」

威嚇する幼女。
しかし、ヨウジョは怯むことなく、幼女に接近した。

幼女「あ!」

そして一瞬。幼女のわたあめが食いちぎられる。

ヨウジョ「オイチイ」ペロリ

幼女「ふぇ……」ウルウル

ヨウジョ「モットチョーダイ」トテトテ

幼女「お母さーん!」トテトテ!

幼女は撤退した。

ー秘密基地

君「幼女を、あんなにも早く撤退させるなんて……」

隊長「…………」

相棒「どうしました?隊長」

隊長「声に、少しエコーがかかっていなかった?」

相棒「アーハン?」

隊長「音声を再生して」

えーあい「再生します」

ヨウジョ「ワタシハアナタヨ」

君「確かに。幼女の肉声に、エコーがかかっている様にも聞こえる」

隊長「でしょ?」

相棒「ロボットじゃね?」

君「は?」

相棒「アンドロイドだよ、アンドロイド!」

君「うーん。夢はあるけどさ、画面見てみ?」

相棒「ハートがドキドキ」トキトキ

君「そう。間違いなく幼女だ」

相棒「アンドロイドじゃないと?」

君「だって、仮にアンドロイドだとしても、精巧過ぎるだろ。今の技術じゃ、無理無理」

相棒「だが、いっ歩も動かないんだぞ」

隊長「あれはきっと、待っているのよ」

相棒「何を?」

隊長「幼女を」

君「幼女は、ハッキリ言って、逃げたんですよ。まさか、こんな強敵相手にもど」

えーあい「幼女。三輪車に搭乗しました」

君「三輪車だって!?」ダン!

隊長「少し、面白くなってきたわね」

相棒「水滴速射銃だけじゃねえ。御手玉まで装備しているぞ」

君「食べ物の恨みは恐ろしいな。完全に幼女を怒らせた」

隊長「下手をしたら、島が滅ぶわね」

相棒「大丈夫大丈夫。そん時は、俺達が護ってみせますよ。な?相棒」

君「ああ。もちろんだ」

隊長「ふふ……。二人共、頼もしくなってきたわね」

二人「えへへ」テレ

えーあい「間もなく、幼女が到着します」

相棒「ヨウジョがムービンなう!」

隊長「幼女が接近しているのが、まるで分かっているみたいね」

君「益々、疑問は深まるばかりですね」

ー祭会場

きこきこ……。きこきこ……。

ヨウジョ「…………」

きこきこ……。きこきこ……。

幼女「がーおー!」

ヨウジョ「ロックオン」

幼女は三輪車に乗ったまま、ヨウジョの周りを回りだす。

ヨウジョ「タイミングノケイサン、デキマシタ」

ヨウジョの両手が、幼女に向けられた。
警戒した幼女は三輪車を止め、水滴速射銃を構える。

ヨウジョ「ハッシャ」

ヨウジョの指、全てから、緑色の液体が放たれた。
それはやがて、幼女の頭から爪先まで、点々と緑色に染め上げる。

幼女「くちゃい……」

異臭に顔をしかめる幼女。
一方液体は、少し粘着性を持っており、幼女の全身から放れない。

幼女「とれないー……」ウルウル

幼女は一生懸命、ぬぐぬぐする。

ヨウジョ「ソレハゴーヤペースト。オフロニハイラナイトトレナイヨ」

幼女「ばかっ!」ポイッ

幼女は御手玉をヨウジョの腹部に投げつけ、またしても撤退した。

ー秘密基地

君「強すぎる……」ゴクリ

相棒「しかしこれで、あの幼女がアンドロイドだと判明したな」

隊長「誰が何の目的で、あの幼女を作ったのかしら」

博士「作ったのはわしじゃよ」

君「博士!?」

博士「あの子は、○○ロイドのメカヨウジョ」

相棒「まんまのネーミングだな」

博士「正式名称は機械幼女、兎組じゃ」

隊長「博士、あなたは今どこにいるの?詳しく話を聞きたいから、戻ってきてちょうだい」

博士「やだね。ばいびー」

えーあい「通信、途絶えました」

隊長「発信源は?」

えーあい「ロストしました」

君「あ!メカヨウジョがいないぞ!」

相棒「スィット!あの腐れジジイ!何考えてやがんだ!!」ドン!

隊長「博士、あなたは味方なの?それとも……」

○○ロイド⇒ガイノイド


ガイノイドとは、女性型ヒューマノイド(アンドロイド)の事を指す。
アンドロイドのアンドロが男性という意味を持つことから、差別化する為に用いられる場合がある。
※youjopedoaより抜粋。


ちなみにアンドロイドとは、人と変わりない見た目で、人工知能(AI)を持ったロボットの事。
見た目がロボロボしいものは、通称、ロボッ娘(例:どろっせる・じゅのー・ふぃあつぇーんてす・はいつれぎすた・ふゅるすてぃん・ふぉん・ふりゅーげる御嬢様)と呼ばれる。
メカヨウジョは言うまでもないが、アンドロイド娘である。


Gynoid no.zero
Meka Youjo - Usagigumi

CY-PLOJECT

ー翌日

君「配置に着きました」

相棒「ミートゥー」

隊長「我々は本日のみ。幼女に加勢します」

君「アニメイト」

隊長「昨夜届いた予告通りなら、もう間もなく、メカヨウジョが現れるはずよ」

相棒「いい匂いだな……腹減ってきたぜ」

隊長「油断しないで。来たわよ」

メカヨウジョ「ガオー」トテトテ

君「か、可愛い……」

えーあい「幼女、到着します」

きこきこ……。きこきこ……きっ。

メカヨウジョ「コンニチワ」

とてとて……。とてとて……。

幼女「こんにちは……」

君「両者、対峙しました」

隊長「まずは様子を見て、幼女が劣勢になり次第、援護射撃を行うわ」

君「アニメイト」

相棒「あひめひと」モグモグ

隊長「そのホットドッグ、経費で落ちないからね」

相棒「あいさ」モグモグ

えーあい「怪電波を感知」

隊長「博士ね。逆探知を直ぐに行って」

君「幼女前進!繰り返す!幼女前進!」

幼女「がおー!」トテトテ

ヨウジョ「ゴーヤペースト、ハッシャヨウイ」

幼女は、ぽっけから何かを取り出した。

君「あれは……ラップ!?」

隊長「バリア素材!なるほど……。きちんと、作戦はこねてきたみたいね」

幼女「えい!」

ヨウジョの指は、くしゃくしゃのラップに覆われた。

ヨウジョ「シャボン、プー」

ヨウジョの口から、シャボン玉が放たれる。

幼女「わー!しゃぼんだまー!」パチパチ

一瞬の隙をつき、ラップを剥がすメカヨウジョ。

ヨウジョ「ラップノテッキョ♪カンリョウシタヨウ♪」ノリノリ

幼女「あ!」

ヨウジョ「ゴーヤペー」

幼女「えい!」

幼女はメカヨウジョの手先を、メカヨウジョ自信に向けさせた。

ヨウジョ「エラーイコッチャ」

続けて幼女は、一旦距離を取り、前回コスプレイヤよりプレゼントされた手裏剣を、一生懸命に投げつける。

メカヨウジョ「?」クビカシゲ

しかし効かない。

隊長「援護射撃、用意」

相棒「セタップ!」チャキ

えーあい「探知完了。発信源は、現場付近にあるローソンの駐車場です」

隊長「ナンバーゼロ、博士をお願い!」

君「アニメイト!」タタッ!

相棒「メカヨウジョちゃんのお守りは」

銃口より放たれる、水風船。

メカヨウジョ「!」

水風船が破裂して、メカヨウジョはびしょびしょになった。

相棒「俺に任せな」ニヤリ

幼女「だいじょうぶ?」

幼女は心配そうな趣で、ハンカチーフを取り出す。

相棒「優しすぎる。まさにエンジェルだ!」

だが、メカヨウジョはそれを受け取らない。それどころか。

メカヨウジョ「ビックリウサギサン」

メカヨウジョの鼻が左右に開き、ぴよん、と、安全を考慮した柔らかいうさぎさんが飛び出した。

幼女「あいた!」

幼女のおでこにこつん。

幼女「…………」サスサス

おでこをサスサスする幼女。

隊長「しまった!幼女に泣かれて、撤退されたらおしまいよ!はやく援護」

相棒「ウェイット!」

幼女は笑っている。それも、キラキラした瞳で。

幼女「おもしろーい!」キラキラ

隊長「戦いを楽しんでいる……!」ゾゾッ

幼女「もういっかいして!」

メカヨウジョは、再度うさぎさんを放った。

幼女「すごーい!」キャッキヤッ!

相棒「幼女は流れを完全に変えた……。メカヨウジョを、自分のペースにはめやがった……」

隊長「これも、幼女の魅力なのでしょうね……」ゴクリ

メカヨウジョは、しゃぼん玉とうさぎさんのコラボで、幼女を心から楽しませる。

幼女「しゅごいしゅごーい!」パチパチ!

メカヨウジョ「アリガトウ」

そう言って、メカヨウジョは微笑んだ。

ーローソンの駐車場

君「博士!」ザッ!

君は博士に向け、水滴速射銃を構えた。

博士「おや、ナンバーゼロ」

君「今すぐ、メカヨウジョを撤退させて下さい」

博士「いや」

君「博士っ!!」

速射銃を持つ手に、力が入る。

博士「これはとても大切な研究であり、実験なのじゃ」

君「研究?実験?幼女のですか?」

博士「うむ」

博士は、豪快にクリームパンをむしり食った。

君「では……あなたはまさか、ペドフィリアなんですか?」

乱暴にコーヒー牛乳を流し込み、ニヤリと笑う。
不気味な笑顔に、歯が汚く光る。

博士「じゃとしたら?」

君「博士!あなたと言う人はあああ!!」

博士「どうした?撃たぬのか?」

君「くっ……!」

博士「このクリームパンの様に、甘い人間じゃのう。あむゅ」ムシャムシャ

君「いい加減、ふざけるのは止せ!」

博士「……ペドフィリアとは、リアル幼女に対して、えっちな事をしたい犯罪者の事」

君「ああ、そうだ」

博士「ないない。んくっ……んぐんぐ」

君「だったら何故、あなたは幼女を研究し、作ったんですか?」

博士「その答えは、いずれ分かることじゃろう。そしてそれは、お前さんにとっても、とても大事なことなんじゃよ」

君「俺にとっても大事なこと?」

博士「うむ」

博士がキーボードに手を伸ばしたその時、君は引き金を何度か引き、ノーパソを破壊した。

博士「馬鹿者!何をする!」

君「それで、メカヨウジョを操っているんだろ?」

博士「しかしお前さんが今、破壊した!」

君「それがなんだ?」

博士「暴走するぞい……!!」

君「暴走?」

博士「内蔵エネルギーを失うまでの三十分間……。わしにも止められん」

君「マジで!?それヤバくね!?」

隊長「ナンバーゼロ!緊急事態が発生したわ!博士が何かしたの?!」

君「いえ。俺のミスです。すみません」

隊長「はぁ…………まずいことになったわよ」

君「あわわ……」ガクブルガクブル

ー会場

メカヨウジョ「ウゥ……」

メカヨウジョは、唸り声を上げている。

幼女「どうしたの?どこかいたいの?」

メカヨウジョ「わおーーーーーん!!」

その遠吠えは、会場に存在する全ての人を振り向かせた。

メカヨウジョ「こんにちわん!」

幼女「わん?」

隊長「まさか……」

メカヨウジョ「ケモナだわん!ほら、前にクイズしたよね!」

幼女「わんわんさんなの?!」

ケモナ「そうだわん!」

相棒「ケモナは生きていたのか!」

隊長「いえ。それよりも、博士」

博士「…………」

隊長「ナンバーゼロ。博士を直ちに、ここへ連行なさい」

君「アニメイト!」

メカヨウジョは懐より、昨日幼女が投げた御手玉を取り出し、幼女のちっちゃなお手手に渡す。

メカヨウジョ「はい!」

幼女「ありがとう!」

メカヨウジョ「是非!これを投げて欲しいわん!」

幼女「いいよ!」

幼女は、メカヨウジョと楽しく遊び始めた。

ー本部

隊長「説明になっていないわ」

博士「これは、本部の最重要機密。わしが全て話せば、お前さん達も捕まる事になるぞ」

相棒「とりあえず、ケモナは博士が作ったって事で、間違いないんだよな?」

博士「認めよう」

隊長「博士。あなたは理由は何であれ、大勢の人間をキュン死にさせ、幼女を傷つけました。よって、自室に監禁させて頂きます」

博士「アニメイト」

君「メカヨウジョ、帰還命令許諾。幼女どバイバイしました」

隊長「そう……」

君「どうしました?」

隊長「いえ、何でもないわ」

君「そうですか。では、メカヨウジョの回収に行って参ります」

隊長「気を付けてね」

君「アニメイト!」ケイレイ

隊長「あなたは博士をお願い」

相棒「へいへーい。ほら行くぞ、変態ジジイ」グイッ

博士「逃げんから触るな!」

えーあい「幼女、三輪車に乗り帰宅開始」

隊長「今回は何とかなったけど……。これから先が不安になったわね」

幼女「がおー」キコキコ

隊長「あなたはどうして、そんなに可愛いの?」

幼女「がおーーー!!」キコキコ


次回予告。

この島に、やって来る。
ブロンドの髪をなびかせ、蒼き瞳をきらめかせて。
外国から、幼女がやって来る。

タマランテ「ぎゃおー!」

そして、あの幼女もやって来る。
桃色のウィッグをなびかせ、素敵な衣装を踊らせて。
コスプレした、幼女がやって来る。

コスプレイヤ「わけがわからないよぅ……」


幼女VSタマランテVSコスプレイヤ

幼女が征するか。
大人が征するか。

戦いは既に、終わりへと歩き出している。

ー秘密基地

隊長「明日、この島に外国から、幼女が一人来訪します」

君「外来幼女ですか。なぜ、誰も止めなかったんだ……?」

隊長「金と権力よ」

君「これまたストレートですね」

隊長「明日来訪する外来幼女は、大手飲食企業タマランチのオーナー、タマランチ会長の一人娘なの」

君「あの、五つ星レストランのオーナーのご令嬢ですと!」

隊長「そうよ。だから来訪理由も、おりょうり対決という事になっているわ」

君「おりょうり対決!?」

隊長「幼女邸には既に通達済み。返事もオッケイ牧場。しかし」

君「まさか……幼女には、おりょうり経験がない?」

隊長「ザッツライ。その通りよ」

君「隊長。相棒の変な癖、うつってますよ」

隊長「やだ。私とした事が……て、そう言えば彼はどうしたの?」

君「休暇は絶対休む。と」

隊長「今日は大事な日なのに……困ったわね」

君「今日?外来幼女の来訪は、明日だと、今、隊長が仰いましたよ」

隊長「ええ。外来幼女は……ね」

君「それは……」

ぴんぽーん。ぴんぽーん。

えーあい「コスプレイヤ。ポイントY-2に到着しました」

君「コスプレイヤ!?え?コスプレイヤ!?」

隊長「お引っ越しよ」

君「まさか!前回の一件で、この島に居住する事を決めたと言うのですか!」

隊長「そうよ。コスプレイヤは幼女の住む、幼女隔離居住区域にある、幼女邸のお隣さんになるの」

君「どうして許可が降りたんだ!明日には……明日にはこの島は滅ぶかも知れないぞ!」ドンッ!

隊長「そうならないよう、我々がいるのよ」

君「しかし、幼女が二人ですよ?」

隊長「大丈夫。活発な幼女と違って、コスプレイヤは大人しいから」

君「そういう問題か!」ボソッ

隊長「何か言った?」

君「いえ」

ぴんぽーん。ぴんぽーん。

えーあい「幼女、公園に襲来」

隊長「さっそくお仕事よ」

君「アニメイト!」タタッ!

ー公園

隊長「間もなく、そちらにコスプレイヤが到着します」

君「え」

隊長「安心して。今回の任務は、観察よ」

君「幼女の観察」

隊長「二人の関係を観察することは、今後にも役立つ、とても大切な任務よ」

君「アニメイッ」

幼女「~~♪」セッセセッセ

君「幼女は現在、お歌を歌いながら、お砂の山を作っています。コーヒーを購入次第、このまま観察を続けます」

コーヒーを買いに行く君。そこへ。

コスプレイヤ「んふふ!」ルンルン

とてとて!とてとて!

コスプレイヤ「あ!おーい!」テヲフリフリ

とてとて!とてとて!

幼女「あ!」

コスプレイヤは、幼女に飛び付いた。

コスプレイヤ「ひさしぶり!」ぎゅ!

幼女「ひさしぶり!」ぎゅ!

コスプレイヤ「わたしね!きょう、このまちにおひっこしなの!」

幼女「ほんと!?」キラキラ

コスプレイヤ「うん!しかもおとなりさんだよ!」にこっ!

幼女「わぁ!」パチパチ!

君「あ、間違えてホット押しちゃった。くそ!」

コスプレイヤ「なにしてゆの?」

幼女「おやまつくってるの!」

コスプレイヤ「わたしもつくる!」

幼女「おようふくよごれるよ?」

コスプレイヤ「だいじょうぶ!」

君「一緒にお山作りを開始。っつつ。やっぱこれ熱いわ。何で春夏秋冬、冷たいも熱いもあるかな……ったく」ブツブツ

コスプレイヤ「とんねるつくろ!」

幼女「いいよ!」

君「さすが幼女。トンネル作りに水分が必要な事は、心得ているようです。お水を汲みに行きました」

隊長「私は、相棒とお付き合いすることになったわ」

君「ぶふっー!ごほっ!けほっ!」

隊長「あなたが……鈍感だからよ!」プツン

君「え!?ちょま、隊長!?えーーー……無線切られたし急すぎるし羨ましいし……くそっ!今日は何て日だ!」

幼女「おもいよぅ……」フラフラ

コスプレイヤ「いれすぎだよ。ふふっ、おてつだいするね」ヨイショ

幼女「ありがとう!」

ー一時間後

幼女「つぎはおままごとしよ!」

コスプレイヤ「うん!」

隊長「起きなさい!」

君「ア、アニメディア!」ガバッ

隊長「全く。任務中に寝るなんて……何考えてるの?」

君「隊長が相棒と付き合うから、ふて寝したんですよ!」プンプン

隊長「あれ、間違いメールだったわ」

君「相棒、罪な男だぜ!」

隊長「私……あなたのこと」

君「ごめんなさい。俺、やっぱりロリコンなんで」

隊長「ふぇぇ……」

君「泣かないで下さい!三十五歳の隊長!」

幼女「ただいま!」

コスプレイヤ「おかえりなさい!」

君「幼女は木の実を集め、妻の元へと帰還しました」

隊長「…………」スヤ

君「ふて寝!?……俺も、録画回して寝よ」

幼女「きょうのよるごはんは?」

コスプレイヤ「きのみのすーぷですよ」

コスプレイヤは、お水の入ったバケツに木の実を入れ、木の枝でまぜまぜしている。

幼女「わたしもおてつだいする!」

幼女は、平べったい石の上に木の実を置き、少し尖った石で、木の実をとんとんしはじめた。

幼女「んー。きれない」

コスプレイヤ「いしがおおきいからだよ」

幼女「じゃあ……わたしもまぜまぜする!」

コスプレイヤ「いいよ!」

いっしょにまぜまぜ。

幼女「これ、はーぶなの」

葉っぱをバケツに入れる。

コスプレイヤ「これは、おにくよ」

続けて、根っこを入れた。

幼女「ほそいおにくー」

コスプレイヤ「でも、こーきゅーなんですよ」

幼女「そうなんだ!」

コスプレイヤ「ふふふ!」クスクス

幼女「いひひ!たのしいね!」にこっ!

まぜまぜ……。まぜまぜ……。

ー翌朝

隊長「はい?」

君「お腹壊したんですよ。嘘ではなく」

隊長「薬は?」

君「服用しました」

隊長「わかったわ……ゆっくりお休み」

君「メロンブッあああ!お腹があああ!!」

隊長「切るわよ。はい、切りました」

いぇーい!めっーちゃ、ほーり♪

隊長「もしもし?」

相棒「すいません隊長。二日酔いにやられました」

隊長「嘘は駄目よ。女が隣で寝てるんでしょ?」

相棒「それが、女と思ったら、なんと……男だったんですよ!」

隊長「そ」

相棒「うわはあああああん!!」シクシク

隊長「はい、切った」

しーーーん…………。

隊長「寂しくなんかないもん……」

しーーーん。

隊長「私。仕事よ仕事!」

しーーーん。

隊長「本日は幼女のお料理対決のお手伝いが任務となります!」

隊長「え!それはとても危険じゃないんですか!?」

隊長「相棒の言う通りだぜ。なんせ、お手伝いとあっちゃ、急接近することになるんだからな!」

隊長「そこで、これを着用します」

隊長「ぱーどぅん?着ぐるみですって?」

隊長「大根の妖精さん。おろしちゃんよ」

隊長「なるほど。胴体は適度に細く、手足は三重の層になっており、安全に安心して、幼女のお手伝いが出来るという訳ですね」

隊長「へぇい。次に、外来幼女のラングウィッツィ対策は?」

隊長「もちろんあるわ。博士に作らせた、翻訳機器、その名も。とらんすぽーたー、ぱーとつーよ」

隊長「色々とギリギリですね」

隊長「いつものことよ。さ、時間もないわ。お喋りはここまでにして、さっそく行ってらっしゃい」

隊長「アニメイト!!」ケイレイ

しーーーん。

ー児童館

隊長「こんにちわ!おろしちゃんよ!」

幼女「こんにちわ!」ぺこり

外来幼女「こにちんは!」おててふりふり

幼女「こにちんは!」おててふりふり

おろしちゃん「こんにち……こにちんは!」

来たわね。さっきアダ名を考えた、タマランテちゃん!

タマランテ「わたしのことば、わかりますは?」

幼女「うん!」

おろしちゃん「え!?」

タマランテ「にほんご、いっぱいおべんとうしましは!」にこっ!

幼女「おべんとう?」

日本語しゃべれるのね!意味なかったわ!

おろしちゃん「君は、本当に一人でお料理できるのかな?」

タマランテ「もちのろんですは!あなたは、ハンデとしてきょかしますは!」

英語の発音だけ、聞き取りにくいわね。
あれ、ハンデって英語だっけ?

タマランテ「さっしょく、しょうぶですは!」

どうして、語尾に は をつけたがるのかしら。……ちょっと可愛いじゃない。

幼女「わかりましは!」

うつってるわよ!

タマランテ「では!」

発音は でわ よ。

幼女「でゅわ!」

ちょっーと違うな。

ークッキンバトゥ……ファイ!!

おろしちゃん「私たちは、日本の名物!おにぎりで勝負よ!」

幼女「はーい!」はーい

隊長「ぐふぅ……!」トキトキ

だめよ~、だめだめ。可愛いさに負けちゃだめよ、私!

幼女「ごはんは?」

隊長「ほら。前もって炊いて、いい感じに冷ましておいたから、安心して」

幼女「ほんとだ!ありがとう!」

隊長「まずはね。お手手を濡らしてね」

幼女「はーい!」

さてと、タマランテちゃんの様子は?

隊長になってる……かーらーの、おろしちゃんに訂正。

おろしちゃん「フランベ!?」

よい子は真似しないでね!

幼女「すごーい!」ぱちぱち!

凄すぎるわよ!今度、是非教えてほしいわ。

タマランテ「こんなものですは」

ハーブを用意しておいて、こんなものですって?私を泣かせる気?

幼女「おろしちゃん!つぎは?」

おろしちゃん「次は、にぎにぎしてね!」

幼女「おしおは?」

おろしちゃん「まぜてあるわ」

幼女「ありがとう!」にこっ!

やめて!抱き締めたくなるから!

幼女「にぎにぎ、おにぎりさん♪」

おろしちゃん「ぐふっごほっ……!」トキトキ

幼女「だいじょうぶ?かぜひいたの?」

おろしちゃん「ありがとう。大丈夫よ」トキトキ

私の部下達は文字通り、命懸けで任務をこなしてくれていたのね。

おろしちゃん「それじゃあ、そろそろここに穴を開けて」

幼女「うん!」

おろしちゃん「次に、具を入れるの」

幼女「どれにしようかな……」う~ん

おろしちゃん「あなたの、一番好きな具を入れていいよ」

幼女「うーん……おろしちゃんは、どれが好き?」

あなたよ!!

おろしちゃん「そ……そうね。シーチキンマヨかな」トキトキ

幼女「じゃあ、それにする!」

おろしちゃん「ぐはぁっ!!」ガクッ

幼女「だいじょうぶ!?」

おろしちゃん「気にしないで。最後に包み込んで、海苔を貼って完成よ」

タマランテ「できましは!」

ステーキ……しかも、ソースは前日に作って、一日寝かせたものらしいじゃない。ガチね。

タマランテ「あなたは、できましたは?」

は の発音が好きなのね、あなた。

タマランテ「なんですは?それ」

幼女「これはね!おにぎりさんだよ!」

タマランテ「おににに?」

幼女「おーにーぎーり!はい、めしあがれ!」

タマランテ「ありがほ!……にゃむ」

幼女「…………」どきどき

タマランテ「…………」モムモム

幼女「おいしい?」

タマランテ「おいしいですは!なかのこれは、ツナですは?」

幼女「シーチキンマヨだよ!」

タマランテ「うめーーー!!」もむもむ!

おろしちゃん「さて。ここで審査をして来れる人の入場です!」

コスプレイヤ「おいしい!」もむもむ

いつの間に!!……なるほど。美味しそうな誘惑に負けたのね。

タマランテ「あなたも、いっちょにどうほ!」

幼女「わーい!」とてとて

タマランテ「にほんのおにににに、すごくおいしいですは……」ぺろり

か、完食……!これは、認められたってことよね!

タマランテ「どーですは?」とてとて

幼女「おいしいよ!」にこっ!

コスプレイヤ「おにくもやらわかいし!」

タマランテ「たべてくれるひとのことを、かんがえるのは、コックとして、あたりですから!」えへん

二人「コックさんすごーい!」ぱちぱち!

しかし、もはやこの勝負。

タマランテ「あの!おにににににのちゅくりかた、おしえてくだは!」ぺこり!

幼女「いいよ!みんなでおにぎりつくろ!」

コスプレイヤ「うん!」

ひきわけ、ってとこね。ふふっ。

幼女「おろしちゃん!おにぎりのつくりかたおしえて!」ぎゅ!

コスプレイヤ「わたしも!」ぎゅ!

タマランテ「ミーも!」ぎゅ!

おろしちゃん「かわわあああああ!!」ドキドキ!

幼女「おろしちゃん!?」

天使と女神と姫様……もうむり。

コスプレイヤ「おろしちゃんがたおれた!」

タマランテ「だいじょぶですは!?」

おろしちゃん「おにぎりは、あなた達の好きなように作りなさい。夢を愛で包んでね……ふふふ」ガクッ

幼女「はーい!」

コスプレイヤ「あの……」もじもじ

タマランテ「どしましーは?」

コスプレイヤ「お、おお、おともだちに……」もじもじ

タマランテ「もちです!あなたも、マイベストフレンド、ですは!」ぎゅ!

幼女「わたしもですは!」ぎゅ!

おろしちゃん「…………」チーン

ー翌朝

隊長「てな具合よ」

君「隊長が女性でなければ、間違いなくキュン死にでしたね」

相棒「タマランテちゃん……たまらんです」トキトキ

隊長「さすが変人ね」

相棒「我々はエブリデイ、変人としての誇りを胸に、任務についていますから!」ケイレイ

隊長「くだらない利用で休んでおいて、よく言えるわね」

君「ははははは!」ケラケラ

隊長「あなたも、ほぼ同罪よ」

君「すみません……」

隊長「では。そろそろ今日の任務について話すわよ」

君「どうぞ」

隊長「今日の夕刻、四時、公園にて三大幼女の撃退。以上」

相棒「アーハン?三大幼女ですって?」

君「いくらなんでも無理ですよ!」

隊長「あなた達なら、必ず出来る。私はそう信じてるわ」

君「いやしかし」

隊長「行くの?行かないの?」ギロリ

君「アニメイト!」タタッ!

相棒「ま、待ってくれ相棒!」タタッ!

隊長「私も、頼りない部下を持ったものね」

君「あれ?武器なくね?」ピタッ

相棒「それマジヤバくね?」ピタッ

隊長「ま、嫌いじゃないけど」フフッ

君「隊長!武器も装備もありません!」タタッ

相棒「デッド、オア、ダイですよ!」

隊長「頑張ってにゃん!」にゃんっ!

君「行ってきます」クルリ

相棒「俺も」クルリ

隊長「ちょっと何よその態度!少しはときめきなさいよ!!」ガタッ

君(ちょっと可愛いかったー!)タタタ!

相棒(ロリコンとして悔しいー!)タタタ!

隊長「はぁーあ……気をつけて、いってらっしゃい」シュン

ー公園

君「どうする?」

相棒「んー……」

幼女「がおー!」とてとて

タマランテ「きましはね!ジャパニーズようかい!この、にんじゃがあいてですは!」

コスプレイヤ「ここがまじょのけっかいね!」とてとて

タマランテ「む!ジャパニーズアニメイションマジシャンガール!!」

コスプレイヤ「あなたは……!いますぐ、わたしとけいやくして、まほうじょになりなさい!」

タマランテ「それは!有名なジャパニーズサギ!おことわりですは!」

コスプレイヤ「では、あなたはてきです!」

タマランテ「ワットゥ!?」

幼女「がおー!」とてとて

コスプレイヤ「まじょさん!?」

君「コスプレイヤちゃんの衣装、パワーアップしてね?」

相棒「まるで女神みたい。隊長の報告通りだな」

君「それと、何だかややこしいな」

相棒「いぇす。でも、楽しそう……」トキトキ

君「気を確かに持て!!」

幼女「がおー!」

まず、幼女がタマランテに襲いかかった。

タマランテ「ぎゃー!ようかいつおいです!」

コスプレイヤ「わたしは、どっちをねらえば」おろおろ

次にタマランテが、コスプレイヤにもらった手裏剣を、コスプレイヤに投げつける。

タマランテ「しゅしゅしゅ!」

コスプレイヤ「くっ!てごわい!」

幼女「がおー!」とてとて

コスプレイヤ「こーなったら!二人まとめて!」

最後に。コスプレイヤは、新聞紙で作った弓に輪ゴムをセットし、二人の間に向けて放った。

コスプレイヤ「しゅーてぃんぐすたー!!」

幼女「がおー……」ふらふら

幼女はふらついたが、タマランテは微動だにしない。

タマランテ「にんぽう、みかんわりのじゅつです!」

君「身代わりだと!?」

相棒「オーマイゴッ!三人とも、魅力が桁違いすぎる!」

君「武器も装備もない俺達は、一体どうすれば……!」

タマランテ「にんぽう!へんしん!」

コスプレイヤ「へんしん!?」

幼女「がおー!」

ここで幼女の逆襲。

コスプレイヤ「きゃ!」

ふらつくコスプレイヤ。

タマランテ「ぎゃおー!」とてとて

コスプレイヤ「こーなったらわたしも!」

タマランテの一撃を、コスプレイヤは受け止める。

タマランテ「ぎゃおー!」

幼女はタマランテの一撃を、ひらりとかわした。

幼女「がおー!」

コスプレイヤ「みゃおー!」

タマランテ「ぎゃおー!」

三大幼女による、大決戦。
それは、観る者の心を高ぶらせた。

君「こんなに興奮したのは、初任務以来かもしれん……」ドキドキ!

相棒「一瞬でも気を抜けば、果ててしまいそうなこの感覚。懐かしいぜ……」ドキドキ!

三大幼女の戦場は、滑り台、ブランコ、鉄棒、様々な遊具へと、目まぐるしく移っていく。
その後に残されたのは、彼女達の、僅かな残り香だけであった。

君「このままでは、俺達の心臓がもたない!」

相棒「バットゥ!俺達には何もない!」

君「ふふっ。実は、一つだけ方法があったりして」

君はポケットから取り出したものを、相棒へと渡す。

相棒「ディ、ディスイズペン……!」

君「これもっ!」バサァ!

幼女「つかれたー……」

タマランテ「いちじじゅっぷんですはー……」

コスプレイヤ「……?」

と、三人の元へ。白い何かが近づいてきた。

幼女「あれは!」ビクッ

コスプレイヤ「きゃー!」とてとて!

タマランテ「ジャパニーズユウレイ!?」ビックラポン!

ユウレイ「カエレ……カエレ……」ズズ…ズズ…

幼女「やー!」とてとて!

タマランテ「おいてかないでくだはー!」とてとて!

幼女帰宅。

相棒「そう言えば、幼女の弱点はゴーストだったな」トキトキ

君「だから、白い布に穴を開けて、口を描いたのさ」トキトキ

相棒「最初から、そーすりゃ良かったじゃねーか!この!」ドン!

君「いてっ!ばっか、お前は感じないのか?」トキトキ

相棒「あん?」トキトキ

君「この胸の高鳴りを!」トキトキ!

相棒「なるほ、そういうこと……。すまなかった相棒、みぞおちに肘いれて」トキトキ

君「謝ってくれたから許す」

相棒「相棒……!」

君「そう。俺達は相棒だ」

相棒「ふっ……」

二人が見上げた空には、懐かしい夕日が浮かんでいた。


次回。

二人が相棒となった、幼女撃退、その初任務の物語。

YOUJ

YOUJ0(ゼロに斜線入れたかったなぁ。みつを)

ー一年前のお話

隊長「はじめまして。私が隊長よ」

相棒「年はいくつですか?」

隊長「さっそく勉強会を始めるわよ。ついてきなさい」

君「はーい」

ー映画館

君「貸しきり!?」

隊長「特別ね。さ、お座り」

相棒「年はいくつですか?」

隊長「三十四よ」

相棒「映画楽しみだなー」

♪幼女の成長日記♪

隊長「言い忘れてたけど、これも、立派な訓練よ。キュン死にしないよう、耐えて耐えなさい」

君(キュン死にとかないない、ははは)

♪幼女、生誕♪

君(BGMが泣けてくるんですけどー)

♪幼女一才♪

君(ふーん……)

♪幼女二才♪

君(…………)

♪幼女三才♪

君(かわ……)

♪幼女四才♪

君「…………」ガタガタ

♪幼女五才♪

君「水着キターーー!!」ガタッ!

隊長「始まったわね……」

相棒「んあああああ!!」ドキドキ!

隊長「この子が、これからあなた達が相手をすることになる、日本最強の幼女よ」

君「あ……ああ……」ドキドキ!

隊長「こんな事でときめいていたら、実戦で、命を落とすことになるわよ!」

相棒「んん……!」ドキドキ!

隊長「いい?戦場の幼女は、容赦なく、あなた達に笑顔を向けてくるわ」

スクリーンに、幼女の笑顔が映し出される。

君「うおおおおお!!」ジタバタ!

相棒「マザー……」シクシク

隊長「これぐらい耐えなさい!あなた達、男でしょ!」

君「ふぅー……」トキトキ

隊長(あら。順応速度、中々に早いじゃない)

相棒「ファザー……」シクシク

隊長(こっちは、まだまだ訓練が必要そうね)

ー夜、洒落乙なJAZZ BAR

君「幼女の」

相棒「くりくりお目目に」

二人「乾杯」カラン

相棒「んぐんぐ……ぷはっーーー!」

君「ふー……」

相棒「今日の訓練、キツかったな」

君「ああ。しかも罰として、携帯の待ち受けを幼女に強制とか、とんだ鬼ババだぜ」

相棒「しかも明日からは、朝から晩まで幼女祭ときた」

君「マジないわー」

相棒「俺達をペドにする気かっつーの!な?相棒」

君「誰が相棒だ」

相棒「あんただよ!」

君「肩を組むな!」

相棒「わかったわかった。な?喧嘩はよそうぜ」

君「やれやれ……」ゴク

相棒「なあ、あんたって記憶がないんだよな?」

君「いきなり突っ込むねー」

相棒「男だからな!」

君「下ネタは止してくれ。酒が不味くなる」

相棒「ソーリィ」ゴク

君「僕はずっと、眠ってたみたいなんだ」

相棒「眠ってた?」

君「ああ。それで気が付いたら、僕はロリコンで、変人としての訓練を行っていた」ゴク

相棒「それは辛いな」

君「つい、一昨日の話だ」

相棒「へー」ゴク

君「あなたは、どういう人なんだ?」

相棒「俺?幼女の画像収集してたら警察が来て、ここに連行された。虹なのに連行だぜ?」

君「それはひどい話だな」ゴク

相棒「つい一昨日の話だ」

君「ふーん。奇遇だな」ゴク

相棒「な?相棒」

君「相棒は止めろ」

相棒「相棒は嫌いか?」

君「ホモっぽくて、受け入れがたい。俺は、ロリコンだからな」

相棒「変な心配すんなって。相棒は、相棒だよ」

君「マジ意味不」ゴク

相棒「ははははは!」

店員「お客様、ビークワイエッ」シッー

相棒「ソーリィ」ウィンク

ー秘密基地

ぴんぽーん。ぴんぽーん。

君「どうしたんですか?」

えーあい「幼女のお出掛けを確認。幼女のお出掛けを確認。目標地点、不明」

隊長「という訳で、二人に幼女の観察を命じます」

相棒「観察?撃退任務の間違いだろ?」

隊長「いいえ、まずは観察よ。これは、あなた達が幼女に慣れる、実務訓練なのです。それと実は、武器の完成がまだなの」

君「とりあえず、アニメイト」

隊長「次に適当な態度をとったら、着信音を幼女のお声にします。いいわね?」

君「失礼しました!」ケイレイ

隊長「では、自分の命を一番に考えて、安全第一でいってらっしゃい」

二人「アニメイト!」ケイレイ

ー路地

君「町の住人の避難が遅れています!キュン死にした人の数、両手じゃ足りません!」

幼女「がおー!」とてとて

相棒「はぁん……」トキトキ

君「しっかりしろ!」トキトキ

相棒「すまねぇ……相棒」トキトキ

君「幼女、駄菓子屋を襲撃!」

幼女「わぁ!あたりだ!」

君「あ、ああ!あたりがでました!」

隊長「さすがの強運ね」

幼女「がおふふ!」とてとて

相棒「はやい……!飴ちゃんを受けとると同時に、瞬時に移動を開始した!」

隊長「それは幼女の最終目標地点が、魚屋だからよ」

君「魚屋!?」

隊長「今入った情報によると、おつかいらしいわ」

相棒「おつかい……!」

隊長「しかも、はじめてのおつかいよ」

君「はじめてのおつかいですって!?まさか……まさかその為に僕達を!」

隊長「…………」

相棒「おい!幼女が角を曲がるぞ!」

君「見失ったらまずい!急ごう!」タタッ

相棒「ラジャ!」タタッ

ー秘密基地

君「…………」グデー

相棒「…………」グデー

隊長「幼女を初めて見た感想は?」

君「ぎゅってしたかったです」

相棒「抱っこしたかったです」

隊長「甘い感想ね」

君「甘い……ですか。僕は、今日初めて現場に立って、幼女の魅力を思い知らされました。しかし。しかしです……」

隊長「……」

君「ぎゅってしたいと思ったのは、その時初めて、僕の心から沸き上がった、純粋で素直な気持ちなんです。だから、甘い感想だなんて言われるのは心外です」

隊長「それが、甘い、と言っているのよ」

君「は?」

隊長「いずれ、わかることでしょう。さ、今日はもう休みなさい」

君「アニメイト……」

ー相棒の部屋

相棒「お、来たか」

君「何だよ、急に呼び出して」

相棒「隊長に頼んで、今日の録画を借りてきた」

君「反省会、かーらーの、勉強会という訳か」

相棒「ザッツラァ~イ」

♪はじめてのおつかい♪

君「……やっぱり、避難も救護も間に合ってないな」トキトキ

相棒「いぇす」トキトキ

君「…………かわい」トキトキ

相棒「この角で、俺達は幼女に見つかって、撤退したんだよな」トキトキ

君「あれだけシュミレートしたのに、我ながら情けない」トキトキ

相棒「ミートゥー」トキトキ

♪おしまい♪

君「幼女はどうやら、警戒心だけは低いようだ」トキトキ

相棒「こちらが焦らなければ、見つかる事なく、充分、幼女と戦えそうだな」トキトキ

君「ああ。それと、幼女へのときめきを少しでも抑える事が出来れば、それだけ、長く戦え、撤退もはやく済むだろう」トキトキ

相棒「幼女の最大の武器は、魅力。まずは、ときめき対策だな」

君「そうだな……」

相棒「ん?どうした?」

君「何か、大事なものを見失っているような……」

相棒「何だそれは?」

君「忘れてはいけないような……うーーーん…………わからん」

相棒「な……なーんだそりゃ」

君「よし。明日からさっそく。幼女の魅力対策特訓だ!」

相棒「おっけー!」

翌日から、より厳しい特訓が始まった。

ーおは幼女

腹筋で頭を上げたとき、目の前に幼女の写真が貼られている、厳しい特訓だ。

君「よう!」オイッ

相棒「じょ!」チニ

君「よう!」オイッ

相棒「もえ……」トキトキ

君「しっかりしろ!」トキトキ

ーとびだす幼女

幼女の映像を、最高画質の3Dで観ることによって、ときめきをコントロールする、厳しい特訓だ。

君「そ!それ以上近づいたら……!」トキトキ

相棒「ほっぺにキスされたあああ!」トキトキ!

君「それは残像だ!しっかりしろ!」トキトキ

ーかぐわしき幼女

現代科学によって忠実に再現した幼女の香りを、くんかくんかする事を我慢する、厳しい特訓だ。

君「今日はパジャマか……」トキトキ

相棒「すー……はー……」トキトキ

君「耐えろ!耐えるんだ!」トキトキ

相棒「くん……くんくん……」トキトキ

君「中止だ!中止ー!」トキトキ

ーとてとて幼女

統計データを元に再現した、幼女の歩行速度がインプットされたルームランナーを歩くことにより、幼女の歩行速度を体に覚えさせる、厳しい特訓だ。

君「繊細だけど、大胆な歩行……」トテトテ

相棒「まるで、幼女とお散歩しているようだ……」トテトテ

君「ぐあああああ!!」トキトキ!

相棒「すまなぐあああああ!!」トキトキ!

ー幼女のごはん

極秘に手に入れた情報を元に再現した、幼女のごはんを食す事により、幼女の事を、より詳しく知ることができる、厳しい特訓だ。

君「ちっちゃい……」トキトキ

相棒「あの小さなお口で、これを……」トキトキ

シェフ「幼女様は、この小さなおにぎりを、両手で持って、半分ずつ食すようです」トキトキ

君「一気に一口ではなく、半分ずつ!?」トキトキ!

相棒「なんて奥ゆかしい……!!」トキトキ!

シェフ「ふぅ…………これは、秘密ですよ」ヒソ

君「はい」トキトキ

シェフ「おにぎりを食した後、よく、指を舐めるそうです」トキトキトキトキ!

相棒「ぶふううう!!」トキトキトキトキ!

君「あああああ!!」トキトキトキトキ!

シェフ「ぐはぁ……!!」パタリ

こんな感じで、厳しい特訓を乗り越えてきた僕達が、ついに、幼女と対決する日がやって来る。

ー秘密基地

隊長「私は明日から一週間、東京本部に出張に行ってきます」

君「て言って、四日」

ぴんぽーん。ぴんぽーん。

相棒「幼女がまたお出掛けだ」

君「どうせ、派遣社員が片付けてくれるよ」

相棒「あー!特訓の成果を試したいぜ!」

君「様子、見に行く?」

相棒「怒られるぞ」

君「じゃあ、寝るか……ふぁ」コロリ

えーあい「緊急事態発生。緊急事態発生」

相棒「何?おもらししちゃった?」

えーあい「派遣社員。全滅しました」

君「は!?原因は!?」ガバッ!

えーあい「幼女がブランコに搭乗した際、パンチラ現象が発生した模様です」

相棒「うらや……それはご愁傷様だな」

君(偶然とは言え……もしかしたら、僕達が死んでいたかも知れない)ゴクリ

相棒「てか、これチャンスじゃね?」

君「は?」

相棒「俺達の初任務だ!」

君「怒られるぞ!」

相棒「内緒にすればいい」

君「武器もないんだぞ。マジ死ぬぞ」

博士「武器なら、ここにあるぞい」

相棒「エイリアンか!」クルリ!

博士「博士じゃ」

相棒「なんだ博士か。ナイストゥーミーチュー」

博士「長さ三メートルの、巨大ようじょじゃらしじゃ」

君「おぉ……!て、僕は行かないからな」

相棒「このまま、幼女を放っておいていいのか?暗くなるまで遊ぶぞ!!」

君「それでも、僕は変人だ。規則を第一に守る。少し考えなおすんだな」

相棒「馬っ鹿野郎!!」

熱い拳。

君「ぐはぁ!」ズシャア!

相棒「俺達が、本当に一番に考えなくてはいけないのは、幼女だ!そこから、人々の命、街の平和へと繋がっていくそうだろ!」

君「!」

相棒「多分……」クルリ

君「わかった…………戦おうじゃないか」スクッ

相棒「相棒!」

君「相棒は止せっての」

相棒「へへっ」

君「もちろん」

相棒「隊長には内緒で!」

君「ふっ。博士」

博士「うむ。遠慮せず持っていけ」

相棒「サンキュ」ウィンク

君「さぁ……!行こう!公園に!」

ー茜色の公園

とてとて……。とてとて……。

君「久しぶり」

とてとて……。とてとて……。

相棒「幼女ちゃん」

とてとて……。とてとて……。

幼女「がおー」

君「どうやら幼女は、砂のお城を作っているようだ」

相棒「見りゃわかるよ。しかし、なんてクオリティだ」

君「父性をくすぐられる一作品だな」

相棒「よし。次に幼女が水汲みからお帰りしたら、作戦開始だ」

君「アニメイト」

幼女は、お水をお山にかけると、よいしょと座り込んだ。

相棒「あれが……パンチラ現象!」トキトキ

ほんの少し、顔を覗かせた純白。

君「直視するな!死ぬぞ!」

相棒「わかって……」ズシャア

君「ばっ……!しっかりしろ!」

相棒「平気だ、まだやれる……」フラァ

君「ふぃー……」

それからしばらく、幼女のお城作りが行われた。
幼女の頬に付いた泥から、その一生懸命さが伺える。

君「これ、水汲みに行かないんじゃないか?」

相棒「そうだな……」

幼女「んふふ♪」ペタペタ

君「ふふ……」トキトキ

相棒「おい」

君「す、すまん。ついにやけてしまった」トキトキ

相棒「それで、どうする?」

君「えーい。作戦開始だ」

相棒「アニメイト」

茂みから突然現れたようじょじゃらしに、怪しむことなく、幼女は目を奪われた。

幼女「ふわふわ!」キラキラ

おもむろに揺らす。

幼女「わぁ!」

ようじょじゃらしの動きに合わせ、幼女も、ゆらゆらと揺れはじめた。

君「食いついた!」

相棒「しかし、今さらながら。これでどうやって、撤退させる気だ?」

君「…………」

相棒「オゥノゥ……」

刹那。幼女が飛び付く。
君「しまった!油断した!」

幼女「ふわふわぁ!」もふもふ

幼女の小さなお手手は、決して、獲物を離さない。

相棒「俺に任せろ!」

相棒のようじゃらしが、幼女の脇をくすぐる。

幼女「んふふ!」くすくす

よし。幼女の手が離れる。

君「助かった!」

が、安堵したのも束の間。

幼女「えい!」

幼女はなんと、二つ同時に掴みかかった。

君「仕方ない……!手を離すぞ!」

相棒「おい、冗談だろ!?」

君「このままだと、二人まとめて昇天だぞ!」

相棒「ちっ!」

突然手を離された為、幼女は、ぺたん、と尻餅をついた。

君「目を伏せろ!パンモロだ!」

相棒「アニメイト!」

とっさに目を伏せた二人を、更なる恐怖が襲う。

幼女「だれかいるの?」

気づかれた。
それを理解した君の足は、乱暴に駆け出す。

幼女「わ!」

相棒も、続けて茂みを飛び出した。
しかし、二人共に、恐怖で足がまともに動かない。

君「うあああああ!!」タタタ!

相棒「ママアアアアア!!」タタタ!

と、ここで。

幼女「まてー!」とてとて!

幼女が、無邪気に追いかけて来た。

君「!」

リアル鬼ごっこ。
幼女に捕まると言うことは、死神に捕まる事に等しい。

相棒「くそ……!くそ……!」

相棒はその恐怖のあまり、あろうことか、滑り台に登ってしまった。

幼女「ふふっ!」

前か後ろか。幼女の笑顔が、相棒の思考を追い詰める。

相棒「うわあああああ!!」

相棒はあろうことか、滑り台を滑ってしまった。
その先に待ち構えているのは。

幼女「きゃ!」

しかし、奇跡的にも幼女は、滑り台から離れて行く。
チャンスとばかりに、相棒は全力で公園を去っていた。

幼女「……」

--幼女が振り向いたその先

君「はは……」

ゲームはまだ、終わってはいない--

幼女は不敵な笑みを浮かべ、僕の動向を伺っている。
一方僕は、猫に睨まれたハムスター状態。

君「…………」

幼女「…………」

沈黙。

幼女「…………」

君「…………」

動。

君「がおー!」

逆転の発想。
幼女を追いかけることで、幼女は逃げだすのではないか?
僕はそう考え、勇気を出し、足を進めることにした。

幼女「きゃー!」とてとて

正解。幼女は逃げ出す。

君「たーべーちゃーうーぞー!」タタタ

しかし……しかしだ。
幼女には度胸があった。

幼女「がおー!」くるり

君「!?」

その瞬間。僕は幼女の策にはまる。
何故なら、幼女の行動に、一瞬、戸惑いを見せてしまったからだ。

幼女「がおー!」とてとて

僕は幼女に怯えている。
その確信を与えてしまった。

君「くっ……そぅ……!」トキトキ

もちろん、言うまでもないが。幼女自身にその考えはなく、全て本能だと言うことを、一応記述しておこう。

幼女「がおー!」とてとて

幼女が迫る。鼓動が高鳴る。
これは、父性の仕業だろうか?
僕は、夕日に問いかけた。

夕日「それは違う。君の命は、生きる為に戦う事を、決意したのだ」

僕の足は、また、動きだす。
明日を目指し、走り出した。

君「うおおおおお!!」タタタ!

風を切り、砂を巻き上げ、絶望を崩す。

幼女「ふぇ……」

崩れ散った幼城は、幼女の瞳に、雨を誘った。

幼女「わたしのおしろが……」ポロポロ

悲しい涙は見たくない。
僕は、背中越しに語りかけた。

君は「さ、お家にお帰り」

小刻みに遠ざかる足音。

君「ごめんな……」

姫の嘆きが、僕の心を傷付けた。

ー洒落乙なJAZZ BAR

相棒「逃げ出したりして、すまなかった……」

君「僕があなたと同じ立場なら、きっと、同じことをしてたさ」

相棒「相棒……」

君「そう。あなたが言うように、僕達は相棒だ」

相棒「!」

君「お互いの弱点を補ったり、悪いところを指摘したり、切磋琢磨しながら、共に強くなっていこう」

相棒「お前を置いて逃げ出した、この!俺を!お前は……許してくれると言うのか?」

君「ちゃんと、謝ってくれたからな」

相棒「サンキュー……!」グスッ

君「これからこの先、多くを失い、多くを学ぶ事になると思う」

相棒「そうだな……」

君「それでも」

相棒「逃げ出さず、真摯に幼女と向き合って行こう!」

君「ああ!」

相棒「最高の相棒と!」

君「この世に生きる幼女達に!」

二人「乾杯!!」

ー数日後、秘密基地

隊長「大事件があったみたいね」

君「派遣社員の皆様が、己の命を持って、幼女を撃退してくれました」

隊長「そう……」

相棒「…………」

隊長「まぁ、仕方ないことよ。彼らも変人だもの。あなた達が気負うことはないわ」

ぴんぽーん。ぴんぽーん。

えーあい「幼女のお出掛けを確認。幼女のお出掛けを確認」

隊長「さてと。初任務よ」

君「アニメイト」

隊長「あら、驚いたり、喜んだりしないのね」

相棒「いやっふー!」ピョイン

隊長「はぁ……」タメイキ

それから一年後、僕達と幼女の最終決戦は、幕を開けることになる。

人はなぜ、幼女を育むのか?
人はなぜ、幼女と戦うのか?

この時の僕達はまだ、その疑問すら知らなかった。

次回。

YOUJO
FINAL WARS

始まりと終わりの幼女、襲来。

―クリスマス・イヴ

隊長「揃ったわね」

相棒「メリクリ!」

隊長「残念。今日が世界の終りよ」

君「またまたー。今日はパーティのお誘いなんでしょ」

隊長「本当に緊急事態なの」

君「……一体、どうしたんですか?」

隊長「世界中で、幼女達が暴走しているの」

相棒「!?」

隊長「世界規模で、壊滅的なキュン死にが発生しているわ」

君「原因は?」

隊長「原因は恐らく、始まりの幼女」

君「始まりの幼女?」

隊長「東京にある本部で、保護されていた幼女よ」

相棒「保護されていた……ということは、今」

隊長「お出かけ中。馬車をジャックしてね」

君「目的地は?」

隊長「間違いなく、ここよ」

君「ふむ……」

隊長「それから、始まりの幼女の何らかの力が、幼女達のDNAに共鳴し、幼女達を暴走させていると思われ」

ぴんぽーん。ぴんぽーん。

えーあい「コスプレイヤ、タマランテのお出かけをかかかかか」

君「どうした!」

えーあいが、突然爆発した。

隊長「まさか、これも始まりの幼女の力なの?」

君「…………俺、ロリババアに会いに行ってきます」

隊長「どうしてロリババアに?」

君「永い時を生きてきたであろうロリババアなら、きっと、何か知っているはずです」

隊長「そうね……じゃあ、頼める?」

君「アニメイト」

相棒「俺も行かせてもらう!」

隊長「二人とも。きっと、コスプレイヤ達も暴走しているはずよ」

君「……」

隊長「充分、気をつけてね」

相棒「メリークリスマス!」ケイレイ

―神社

ロリババア「おや、珍しい。初詣にはまだ、ちと早いぞ」

そう言って、ほっぺについたクリームを、ペロリと舐めとるロリババア。

君「今日は」トキトキ

ロリババア「ふふ、わかっておる。始まりの幼女について、尋ねに来たのじゃろ」

残りのシュークリームを、あむっとたいらげる。

相棒「ひゅう……さっすがぁ」トキトキ

ロリババア「まずは、幼女について話そうか」ペロリ

相棒「日本最強の幼女のこと?」モグモグ

ロリババア「これ!わしのお菓子に、手を出すな!」

相棒「さっせん」モグモグ

ロリババア「ったく……。なぜ幼女と呼ばれておるか、という話じゃ」

君「幼い女児のことですよね」

ロリババア「んにゃ。元は、幻ノ女を指す言葉じゃ」

君「?」

ロリババア「そして幻ノ女とは、永遠のロリのこと」

相棒「なんだ、伝説の話か」

ロリババア「伝説などではない。永遠のロリは、確かに実在した」

君「まさか、そんな……」

ロリババア「かつて、わしがそうじゃった」

君、相棒「!!!」

コスプレイヤ「おかしのにおいだー」

タマランテ「わがし、たべたいは!」

相棒「このカタコト日本語は!」

ロリババア「お前さん達、中に隠れていろ!」

君「俺達も戦う!」

ロリババア「お前には、生きてもらわねば困る」

君「え……」

ロリババア「神棚に、幼女について書かれた、秘伝の巻物がある。さ、急げ!」

君達は、急いで本殿の中へと避難した。

相棒「お。あれが神棚だな」

君「大丈夫かな……」

ロリババア「わしゃあ、幸せじゃあ……!」

君「くっ……!」

相棒「で、これだなー」ヨイショ

君「なになに」

幼女に萌時。
それは、幼女とのお食事。

幼女を護りたいと想ふ時。
それは、幼女の寝顔を見たとき。

幼女を愛おしく想ふ時。
それは、幼女の笑顔。

幼女を大切に想ふ時。
それは、幼女をぎゅっと抱きしめたとき。

幼女に萌人。
すなわち、人也。



相棒「う~ん」

君「いや、深イイだろう」

ロリババア「おーい……」

君達は、恐る恐る外に出る。

君「大丈夫ですか!?」トキトキ

君は、ぐったりしたロリババアを、優しく抱きかかえた。
あったかいなり。

ロリババア「わし、立派なお母さんになれたかの……」フフッ

君「何を」ドキドキ

ロリババア「幼女たちは、お前さん達の秘密基地に向かった」

相棒「おいおい、冗談じゃねえぞ!」トキトキ

ロリババア「さぁ、時間がない。ゆけ」

君「しかし!」ドキドキ

ロリババア「わしは……満足した。また、お正月に会おう」

君「必ず……必ず初詣に来ます!」ドキドキ

二人は背を向け、秘密基地へと歩き出す。

ロリババア「答えは!答えは運命が、いや、お前さん自身が教えてくれるじゃろう!」

君「俺自身が……?」

消えかかるロリババアは、二人に投げっちゅした。

ロリババア「これは…………サービスじゃ!!」にこっ!

君「ロリババアアアアアア!!」ドキドキ

相棒「あざっす……!」ドキドキ

―秘密基地

君「隊長!」

そこには、機械にもたれかかって座る、俯いた隊長の姿があった。

隊長「あ、あなた達……」

相棒「ワッツハップン」

隊長「コスプレイヤとタマランテ、そして……赤ずきんちゃんが」

相棒「赤ずきんちゃん?」

君「モニターを見てみろ」

ST・X

相棒「何のことだ?」

君「きっと、赤ずきんちゃん。つまり、始まりの幼女の呼称だ……」ゴクリ

隊長「正解よ……うぅ!」

君「隊長!しっかり!」

隊長「私は間もなく、キュン死にするわ」

相棒「諦めちゃ駄目だ!」

隊長「いい?なんらかの方法で、幼女と赤ずきんちゃんを戦わせるのよ」

君「隊長……」グスッ

隊長「あなた達ならやれる、きっとよ」

相棒「おぅんおぅん……」シクシク

隊長は、君達の頭を優しく撫でる。

隊長「…………」ガクッ

相棒「隊長?た……たいちょおおおおお!!」


―博士の自室

君「はか……!博士!?」

博士は逆立ちをしている。

博士「こうする事で、キュン死にを遅らせておるのじゃ……」プルプル

相棒「博士、実は」

博士「機械幼女と、幼女メダル改(ケモナ)を連れて行け」

相棒「ありがとう」

ヨウジョ「ハカセ……」

博士「そいつらの言うことを、ちゃんと聞くのじゃぞ」

ヨウジョ「ハイ!」

博士は力尽きた。

相棒「行こう」

君「ああ」

―公園

君「俺は戦場を作り、幼女を迎えに行って来る」

相棒「暴走している可能性は否めないぞ」

君「あの子なら大丈夫さ、必ず」

相棒「自身があるんだな」

君「二年の付き合いだからな。お前だってそうだろ?」

相棒「ああ、そうだな」

ヨウジョ「コスプレイヤ、タマランテヲミツケマシタ」

君「場所は?」

ヨウジョ「デパートダヨ」

相棒「うし、じゃあ俺は二人の足止めをする」

君「任せたぞ、相棒!」

相棒「おう!」

君「じゃ、作戦開始だ!」

相棒「アニメイッ!」ケイレイ

君「オペレーション・ファイナルウォーズ!!」

―デパート、屋上

コスプレイヤ「ふふふ!」

コスプレイヤは、たくさんのおもちゃに囲まれている。

タマランテ「おもちおいしいですはー!」

タマランテは、たくさんのおもちに囲まれている。

相棒「ケモナたんはコスプレイヤたんを、メカヨウジョちゃんは、タマランテちゃんを頼む」

ケモナ「わかったわん!」

相棒「俺は隙を見て、援護する。さぁ、行って来い!」

今、戦いの火蓋が、切って落された。

ケモナ「わおーん!」

コスプレイヤ「わんわんだ!」きらきら

ヨウジョ「コンニチハ」

タマランテ「こんにちは!」

最初にヨウジョが仕掛ける。
まずは、シャボン玉によるけん制だ。

タマランテ「わぁ!きれい!もしかしてあなたは!」

ヨウジョ「ロボダヨ」

タマランテ「これは!ジャパニーズロボット!」きらきら

ヨウジョ「ターゲット、ロックオン」

続けてゴーヤペーストを、開いたお口に放つ。

タマランテ「んぐ!」ごっくん

相棒「よし!ごっくんした!」

タマランテ「むぐむぐ……んー!そざいをいかした、いいソースだは!」

相棒「何……だと?」

タマランテ「このおもちにかけて!」

ヨウジョ「イイヨ」

タマランテ「あむ!んー!いいかんじだは!」

ヨウジョ「ソウナノ?」

首を傾げる機械幼女に、タマランテはおもちをあーんした。

ヨウジョ「アム。アンコトゴーヤノ、ジャズセッション」

タマランテ「ね!」

相棒「メカヨウジョちゃんを、あんなにあっさり倒すとは。さすが……金髪幼女!!」

続いて、ケモナの様子を伺う。

相棒「イェア!完全にケモナのペースだ!」

コスプレイヤは、ケモナの音楽に合わせ、共に歌い踊っている。

ケモナ「おじょうずだわん!」ぱちぱち

コスプレイヤ「ふふ」てれ

ケモナ「つぎは、すこしむずかしいわん!」

コスプレイヤ「いいよ!」

流れる音楽。

ケモナ「さ!ケモナにつづいておどるわん!」

ケモナは、軽快に、激しい踊りを始めた。

相棒「こんな踊り、コスプレイヤちゃんには無理だな」ニヤリ

コスプレイヤは、負けず劣らず、可愛い踊りを披露する。

相棒「アンビリィバブゥ……!」

ケモナ「なかなかやるわん!」

コスプレイヤ「あたしね、まいにち、いっぱいおどってるの!」

相棒「さすが……というべきか」

コスプレイヤ「んふふ♪」くるくる

ケモナ「わんわん♪」くるくる

相棒「俺としたことが、対戦カードをミスっちまったようだな……」

タマランテ「ミーもダンシン♪」

コスプレイヤ「ふふ、たのしいね!」

ヨウジョ「ウン!」

音楽は、楽しいメロディーへと変化した。

タマランテ「みんな!いっくよ!」

ケモナ「いっせーわんっ!」

みんな「じゃーっんぷ!!」

みんなでじゃんぷ。

相棒「……!」トクン…

その瞬間。相棒の心に、今までにない感情がわき上がる。

コスプレイヤ「もういっかいしよ!」

タマランテ「いっせーの!」

みんな「じゃーっんぷ!!」

―公園

君「雪……。ふっ、ありがたい」

とてとて……。とてとて……。

君「来てくれたか」

とてとて……。とてとて……。

幼女「あ!おにいちゃん!」

君「こんにちは」

幼女「あそぼー!」とてとて

君「待て!くるなあああ!!」タタタ!

幼女「まてまてー!」とてとて

君「うおおお!!」タタタ!

そこへ。

幼女「?」

とてとて……。とてとて……。

君「あの子が……」

とてとて……。とてとて……。

赤ずきん「こんにちは!」にこっ

幼女「こんにちは!」

赤ずきんは、頭巾を脱ぎ、素顔を見せた。

君「ぐぅ……!なんて魅力だ!!」トキトキ

しかし。

君「いつもと、何かが違う……」トキトキ

赤ずきん「ふふっ」

君「君は、何をしにこの公園に来たのかな?」

赤ずきん「わかんない」

君「わかんない?」

赤ずきん「うん」

君(理由もなく、無差別にキュン死にさせる事を、楽しんでいるとでもいうのか。それとも、他に何か理由があるのか?)

赤ずきん「あーそびーましょ!」

君(理由は何であれ、彼女は遊ぶ気満々だ。必ず幼女に勝利してもらい、お帰り頂く!)

幼女「いーいーよ!」

君「じゃあ、雪合戦でもしようか!」

幼女「ゆきがっせん?!」きらきら

君「うん!お兄ちゃんがさっき作っておいた、壁に隠れながらね!」

幼女「ゆきがっせんしよ!」わくわく

赤ずきん「いいよ!」

赤ずきんは、頭巾を被りなおす。

君(名付けて。雪合戦によって、服が濡れて寒くなる作戦だ!!)

幼女と赤ずきんは、さっそく、雪を集め始めた。

君「はぁ……」

白い吐息が、灰色の空に、霞んで消える。

幼女「いくよ!」

さぁ、最終決戦だ。

赤ずきん「えい!」

赤ずきんの雪玉は、幼女の顔に、見事命中した。

幼女「やったなー!」

幼女の雪玉は、壁に命中。

赤ずきん「あたらないよう!」

君はかまくらから、様子を伺うことにした。

君「赤ずきんちゃん、強いな。壁をうまく利用している」

幼女「こうなったら!」

幼女が駆ける。

君「捨て身の戦法!」

さらに幼女は、雪玉を二つ手にしていた。

赤ずきん「ふーん」

対して、余裕の表情を見せる赤ずきん。
君は見てしまった。

赤ずきん「ふふ」

赤ずきんちゃんの足元にある、たくさんの雪玉を。

幼女「えい!」

幼女の雪玉を、あえて受ける赤ずきん。

赤ずきん「じゃーん!」

幼女「!」

赤ずきんの、容赦ない反撃が始まった。

幼女「やー!」

たくさんの雪玉を背に受けながら、幼女は、なんとか壁に隠れる。

君「劣勢……。しかし、まだだ」

舞う雪。歌う風。

赤ずきん「…………」

赤ずきんはまた、雪玉を作っている。

幼女「…………」

一方で幼女の行動は、君につい、こう叫ばせた。

君「やっぱり幼女は最高だぜ!!」

なぜなら。

幼女「んふふ!」どやぁ

幼女は、大きな雪玉を作り上げたからである。

赤ずきん「ふぇ!?」

思わず、赤ずきんもびっくり。

幼女「んしょ」

迫る。

赤ずきん「えい!やぁ!」ぽいぽい

とて……。とて……。

赤ずきん「……!」ぽい…

とて……。とて……。

赤ずきん「んゆ!」

逃げ出そうとした赤ずきんは、足を滑らせた。

幼女「えい!」

雪に伏せる赤ずきんに、雪の塊が落される。

赤ずきん「つめたーい!」

赤ずきんは、びしょびしょになった。

幼女「だいじょうぶ?」

と、そこへ。

君「さ、こっちへ」

君は赤ずきんを抱え、かまくらに戻った。

君(なんだろう、この気持ちは……)

ぎゅっと、赤ずきんを抱きしめる。

赤ずきん「おにいちゃん?」

その一言が、奇跡を起こした。

君「!」

巡る記憶。

赤ずきん「!」

走る衝撃。

君「君は僕の……妹?」

そして、全て理解した。

赤ずきん「おにいちゅあああああん!!」

ぽかぽかする光が二人を包んだ、そんな気がしたと。
後に、幼女は語った。

―八日後

相棒「おーい!」タタタ!

君「おかえり」

相棒「冷蔵庫の両親が、息を吹き返したそうだぞ!」

君「本当か!?」

相棒「ああ!これでキュン死にした人達も、みんな、生き返る!!」

ロリババア「良かったのう」なでなで

君「えへへ」トキトキ

相棒「俺もなでなでしてくれー!!」

ロリババア「甘えん坊さんじゃなー」やれやれ

君は、かまくらでお菓パをする幼女達を。

幼女「これも、おいしいよ!」

赤ずきん「ありがとう!」

タマランテ「もぅ。おくちにいれすぎは!」

コスプレイヤ「いひひ!」

ケモナ「みんなこっち向いて!いっぱいお写真、撮ってあげるわん!」

ヨウジョ「ワタシガネ」

優しい眼差しで見守る。

君「俺、わかった気がする」

相棒「俺もだ」

君「おいおい」

相棒「人はなぜ、幼女を育むのか?人はなぜ、幼女と戦うのか?その、答えだろ?」ウィンク

君「なんだ、お前もわかったのか」

相棒「ああ。答えは、愛。ラァブ」

君「その通り」


愛する幼女を、夢溢れる未来へと、導いてあげること。


君「それが、俺達大人の為すべき事」

相棒「護り、育む為の戦い……て、ことだな」

君は頷く。

相棒「俺達の本当の戦いは、これからだ!!」

幼女「あにめいと!!」ケイレイ

君、相棒「ぐあああああ!!」ドキドキ


おしまい。

手抜きじゃないよ、楽しく考察してね。


そして、幼女SSを、みんなも、たっくさん書いてね。


最期に、幼女を愛するなら、幼女を護りましょう!

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