海未「そんな!穂乃果が絡んで来ないなんて!」 (44)


なんのことはないただの海未の日SSですw

みんな書いてる気もしますがまぁ僕流の海未の日を書こうかと。

短く終わると思います。


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七月二十一日、夜

「ふ……ふふ……ついに来ました!この時が!」

その日、私は我ながら気持ち悪いくらいに上機嫌でした。

明日は海の日。国民の祝日です。本来ならこんな日は、μ'sの皆で何処かに遊びに行くのですが……


それは今日の昼過ぎのこと。
突然、学校から電話が来たんです。

「はいもしもし園田……って、先生?何かあったんですか?」

内容はこうでした。
連休中にこなして欲しい仕事ができたから明日学校に来て欲しい。
休み中だし断っても構わない、と。
私は即答しました。

「やります!やらせてください!」

それはもう、先生も逆に狼狽えるほどの剣幕で。
ふふ、思い出すと恥ずかしいです。


電話を切ってすぐ、穂乃果に連絡を入れました。

「穂乃果、明日は生徒会の仕事ですよ。」

「えぇー!?明日はμ'sの皆で遊ぶんじゃなかったの!?」

すっかり忘れていました。穂乃果が関わるとだめですね、私。

「絵里に私の方から伝えておきます。では、また明日。」

「うぅ、先生の鬼……」

思った通りの反応です。でも、少し残念。
μ'sの皆と遊べないとはいえ、少しくらい反応して欲しかったです。

付き合ってるんですから。


次の日。
私は楽しみすぎて眠れませんでした。

「あ……穂乃果……」

例年、穂乃果はこの日必ず私の家の前にいます。
そして笑顔で「海未ちゃん!今日は海未の日だよ!」なんて言って抱きついて来るんです。
今年はいつもと違う……去年の穂乃果の誕生日、私たちは恋人の関係になりました…
きっとこの扉を開けたら、あの愛おしい笑顔の穂乃果が……
なんて、一人ではしゃいでたんですが。

「行ってまいります。……穂乃果!おは……」

あれ……いない?
待ち合わせの三十分前ですし…少し早すぎたのでしょうか。
部屋に戻って待ちます。
待ち合わせの十分過ぎ。もういいでしょう!

「穂乃果!あれ……?」

いません。まさか事故!?
血の気の引いた私は考えるより先に穂乃果に電話しました。



「ん、あ!海未ちゃん!?」

「穂乃果!何があったんですか!!」

「それはこっちのセリフだよ!どれだけ待たせるの!?」

「え?」

だんだん正気になってきました。
そうでした。いつもの場所で待ち合わせたんでした……


「もう!もしかしていま起きたとか!?」

「は、はい!すみません!すぐに向かいます!」

まさか待ち合わせに遅刻して穂乃果に起こられる日が来ようとは……
人生、何が起こるかわかりませんね。
それにしても、珍しいですね。あの穂乃果がこの時間にどれだけ待たせるの?だなんて。

「お待たせしました!」

「もう!遅いよ!」

「す、すみません……」

「まったくぅ……行こ!」

「あ……」

手、繋いでくれないんですね……


なんだか穂乃果との距離がいつもより遠い気がします。
もっと絡んできてくれると思っていたのですが…
もう穂乃果も子供じゃない、ということなんでしょうか…
少し、いや、すごく寂しい気分です…

「そういえば、ことりちゃん。なんでこれないんだっけ?」

「ことりは理事長と出掛ける用事があるとかで…」

「ふーん…ってあれ?ことりちゃん、今日μ'sのみんなで遊ぶのに参加してたよね?」

「はい、そうなんですが昨日……」


昨日、穂乃果に生徒会の仕事を伝えた後、言葉通り絵里に報告しました。

「あら、そう……大変ね。私も手伝いましょうか?」

「あ!いえ!も、問題ありません!穂乃果と二人で!」

「へ?穂乃果と……?」

「な、何か?」

「ことりは?」

「はっ!」

私としたことが、迂闊でした。生徒会は穂乃果と二人きりじゃない、ことりもいたんでした。

「ま、まぁ、他の皆には私から伝えておくわね。」

「はい、ありがとうございます……」

ことりに、連絡しないと……
『遅くにすみません。明日、急に生徒会の仕事ができたので来ていただけるとありがたいです。』と。
穂乃果と二人きりじゃない……その事実に少しショックを受けていると、間もなくことりから返信が来ました。

『海未ちゃん、ごめん!ことり、明日はお母さんと出掛けなくちゃいけなくなったの。だから明日は、穂乃果と二人きりで頑張ってください!』

ことりには少し悪いですが、正直嬉しかったです。
穂乃果と二人きり…… 考えただけで胸が踊ります。

それにしても急用が入るなんて、ことりもついてませんね。


「と言うわけなんです」

「そっかぁ、はあぁ……」

穂乃果、なんだか元気がありません。上の空というか……

「やっぱり、皆と遊びたかったですか?」

「も、もち、ろんだよ!きゅ、休日に急に生徒会の仕事だなんて!」

「そうですか……」

やっぱり、わかってはいましたがショックです。
私と二人きり……嫌なのでしょうか……


それから、ろくに穂乃果と話せないまま学校につきました。

「悪いな、休みなのに」

「いえ、そんな……穂乃果?」

ぼーっとしてます。

「穂乃果!」

「うわぁ! 」

そんなに皆と遊べなかったのがショックですか……
まぁ、仕方ないですよね。今の穂乃果にとって、μ'sはとっても……



ペラ……ペラ……ペラ……
仕事の殆どは委員会のための書類整理でした。
ですが、数が多く、二人がかりでは結構大変でした。
何より……

「ほ、穂乃果!」

「……」

「あれ……穂乃果?」

「……はぁ…」

「ほのか!」

「わわっ!、ご、ごめん…」

穂乃果はずっとこの調子です。
折角海の日、なのに……
もしかして調子が悪いのでしょうか?

「穂乃果、体調が優れませんか?」

「そ!そんなことないよ!気にしないで、あはは…」

「穂乃果……」


結局、その後も何度か穂乃果に話しかけてみましたが相変わらず……
いっつもいやというほどくっついてくる穂乃果がこんなにも素っ気ないと変な気分です。
私は、くっついてほしいのに…

夕方、やっとのことで仕事が片付きました。
でも、今現在まで穂乃果は変化なし……
このままなにもなく終わってしまうんでしょうか……

「ふぅ、終わったぁー」

いや……そんなのは嫌です!

「ほ……穂乃果!よ、よかったら、今から穂乃果の家に行っても……」

ヘタレな私の、精一杯の言葉でした。
でも……

「ご、ごめん!このあと、店番あるから!!」

ーーそう言って、穂乃果は走っていってしまいました。

「穂乃果……」

ズキンーーなんだか、胸が苦しくて。
このままだと、涙が出てしまいそうで。

「帰りましょう……」

私も、帰路につきました。


帰り道、何となく私は公園に寄って、ベンチに座っていました。

「はぁ……穂乃果……」

久しぶりに、二人きりだったのに。
海の日で、穂乃果がいつもよりくっついてくれてた日だったのに。
全然、何も起こりませんでした。
何かを期待してた自分が馬鹿みたい……恥ずかしいです…

「う……穂乃、果ぁ…」

泣いてしまいそうになって。
でも、人前で泣くまいと我慢して。
そんなときーーー

「うーみちゃんっ!」

後ろから抱きつかれて。
この声、聞き間違える筈もない、私の大好きな……

「穂乃果っ……!」

「あ!こ、こっち見ちゃダメ!」

恥ずかしいんでしょうか。いつもやってるくせに。


私は、泣いていたのを気付かれないように、あくまで平静に

「店番は、どうしたんですか」

「もぅ……意地悪言わないでよ…」

やっぱり、嘘だったんですね。

「あ、あの、穂乃果?」

「何?」

「穂乃果は……私のこと、好きですか?」

思いきって、聞いてみました。

「そ、そんなの……決まってるでしょ……大好きだよ///」

よかった。

「わ、私も…大好き、です……」


「ど、どうして急にそんなこと?」

全部、話してしまいましょうか……とても恥ずかしいですが。

「穂乃果はいつもこの日、海の日になると、いつも以上にくっついてくれてましたよね。」

「あ……う……うん…//」

「だから正直、今日は期待していたんです。今年はいつもと違う、付き合ってから初めて迎える海の日だったから…だから……少しだけ……」

なんでか、涙がこぼれそうでした。

「う……海未ちゃん!!」

突然、無理矢理穂乃果の方を向かされて。

「え……穂乃……んっ…」

私の生まれて初めてのキスは……
突然で、止めようもなくて。このまま食べられてしまうんじゃないかってくらい強くて、でも、とても暖かくて、安心する。

本当に、穂乃果のようなキスで……



長いようで短くて、ともすれば永遠のようにも感じる…
どちらからともなく、唇が離れて。

「………ぷはっ」

「穂乃果……今……//」

「は、恥ずかしいからこっち見ないで!」

もちろんです。見られるはずもありません。
私も死ぬほど恥ずかしいんですから……

「海未ちゃん。あのね……」

「は…はいっ!」

「穂乃果ね、海未ちゃんの言う通り、海未ちゃんに何しようかずっとかんがえてたんだ……」

「……」

「けど、μ'sのみんなで遊ぶことになっちゃったし、今年は何もできないかなって……」

「そんなとき、生徒会の仕事って連絡が来て……あんなこと言ったけど、嬉しかったんだよ?」

「穂乃果…」

「でも、いざ二人きりのなれると思ったら、なにも思い付かなくて……えへへ」

「ふふ、穂乃果らしいです」

「それでね、絵里ちゃんに相談したの。そしたら絵里ちゃん、キスしかないわ!なんて言って……」

絵里……まったく、今度遇ったらお仕置きですね。

「海未ちゃん見たら、その事しか考えられなくなって……」


「それで、なんか恥ずかしくて……ちゃんと話せなくて…ごめんね…」

言葉にできない感情。嬉しくて、恥ずかしくて、いとおしくて……ごちゃごちゃで訳がわからなくなりながら、穂乃果を抱きしめました。

「穂乃果の……ばかっ……寂しかったんですよ……っ!!」

「海未ちゃん……ごめん……」

「バカ……」

「海未ちゃ……んっ……」

今度は、私から。

「寂しい思いをさせた、罰です……」

鏡を見るまでもなく、顔が真っ赤だとわかって

「海未ちゃん、顔真っ赤……」

「ほ、穂乃果だって……」

『ぷっ……あはははは』

私たちはそれから暫く抱き合っていました。


「ねぇ、海未ちゃん……」

「なんですか、穂乃果。」

「今日……海未ちゃん家に泊まってもいいかな?」

「もう、しょうがないですね」

「やったー!海未ちゃん大好き!」

「ふふ、穂乃果ってば…」

穂乃果を家に泊めるのなんて、実は久しぶりですね。
穂乃果を、独占……いやいやいや!破廉恥なことを考えてはいけません!

………………………

「ふわぁ……そろそろ寝よっか、海未ちゃん。」

「ん、そうですね…」

「海未ちゃん!」

「なんですか?」

「大好きっ!」

三回目、ですねーーー



おわり


おまけ

「んん……」

眠れません……
いや、そもそも……あんなことがあって、穂乃果が横にいて眠れるはずありません!
何故穂乃果は眠れるんですか!

「ほ、穂乃果……起きてますか……?」

「んー……」

ゴロン。ダメです、完全に寝てます。

「穂乃果…今日はありがとうございました。」

つん。ほっぺをつついたりしてみます。
穂乃果のぽっぺって、柔らかいんですよ?

「ん……ふぁ……」

「すみません、起こしちゃいましたか?」

「んん……海未ちゃん……」

寝ぼけてるみたいです。

「海未ちゃぁん……大好き……」

だ、抱き締められてしまいました!
どうしましょう!動けません!……けど……幸せ、です……

ああ、穂乃果に抱きしめられてると……すごく、安心して…眠く……


「んん……」

目が覚めちゃった。

「ふぁ……海未ちゃん……ってええ!?」

う、う、う、海未ちゃんに抱きしめられてる!
というより穂乃果も抱きしめてる!?
うぅ…は、恥ずかしい……

海未ちゃん……近くで見るとやっぱり綺麗だなぁ…
キスとかしたら、ビックリするかな?
だめだめだめ!寝てる海未ちゃん起こすと大変だもんね!

「んん…穂乃果…」

わ、私の名前呼んでる!

「海未ちゃーーん」

小声で言って、強く抱きしめた。

少しだけなら……いいよね…?

海未ちゃんを起こさないよう、静かに、ゆっくり近付いて…

「ん……」

唇が触れました。四回目、かな。あはは、毎回数えてたらキリがないや。

海未ちゃんの唇は、とっても柔らかくて。それになんだか懐かしい感じがして……とっても安心するんだ。

なんて、考えてたら

「穂乃果? 」

やばっ!起きちゃった!


ど、どうしよう……
合宿の恐怖が甦りました

「まったく、穂乃果は……」

「あわわわわ……」

ど、どうしよう…自業自得だよね……

「可愛すぎます……」

「へ?」

予想外の言葉に驚く暇もなく、海未ちゃんにキスされました。
今度のキスは、いつもの海未ちゃんより強くて……激しかったな。

「ぷはっ……海未ちゃん、落ち着いて!」

「ふふ……ほのかぁ…」

「あわわわわ、まっ……んんっ…」

何度も、何度も。意識が飛んじゃいそうでした。

「んぁ……海未、ちゃん」

「穂乃果……」

「ん……ちゅ……ん……」

暫くすると、海未ちゃんはまた眠っちゃって…
穂乃果はドキドキして……朝まで眠れませんでした。

おまけもおわり


ひとまずこれで終わりです!

見てくださった方、レスくれた方、ありがとうございました!

次は穂乃果聖誕祭に書くと思います

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