侍「エルフ嫁に貰って帰ってきた」(272)

一応簡単に人物紹介

・侍 武者修行のため旅をしていた武士。今回帰国。

・エルフ エルフ族の女性。侍の嫁。新妻。美人系。

・メイドエルフ エルフのメイドで友人。かわいい系。





ワイワイ ガヤガヤ

侍「……おお。懐かしいな」

エルフ「ここが」

メイドエルフ「極東の島国、ですか」

侍「ああ。ようこそ、俺の故郷へ」

エルフ「やっぱり、みんなあなたと同じような服装なのね」

メイドエルフ「履物も靴やブーツではないんですね」

侍「物珍しいのはわかるが、ひとまず宿行くぞ。見学は一息ついてからな」

エルフ「あなたの実家じゃなく?」

侍「俺の家に着くのに数日はかかる。もう日も高いし、まずはここで船旅の疲れを取らなくちゃな」

メイドエルフ「確かお侍様のご実家は、もっと内陸にあるということでしたっけ?」

侍「ああ。山越えするから体調は万全にしておきたい。それと」チラッ

町娘(見て見て! 異人さんだよ異人さん!)ヒソヒソ

商人(は~。なっげぇ耳してんな~)ヒソヒソ

浪人(べっぴんでござる! べっぴんでござる!)ヒソヒソ

侍「こういう奇異の視線にも早めに慣れておきたいだろ」

エルフ「そ、そうね……。敵意や悪意が無い分、まだマシだけど」

メイドエルフ「そういった息苦しさがないのはありがたいです」

侍「そうか。なら、すぐに慣れるだろ。ともあれまずは宿だ」

侍「道に迷ったらエルフに~」の後日談です。
なんかまたちょっと長くなりそうなんで新しく立てました。
さすがに前ほど長くはなりませんが。
今日はさわりだけ。
週一ペースでゆっくり投下していこうと思います。

前作から見てた!

っ④

おかえり④

前作完結したのか。ちょっと見て来る

まさかの続編

支援

期待してる支援

おかえり!
そして④

続編・・・だと!?

これは期待せざるをえない


( ゚ー゚)ノ)"④

楽しみにしてました。続き、期待してます。 支援!

ひゃっほい♪今回も期待してるよー

前作なかなか面白かったよ
今回も期待

支援

支援

支援



宿

女将「はーい、いらっしゃい……あらまぁ、異人さんが二人も」

侍「部屋は空いてるか」

女将「一部屋だけでしたら。二部屋ご希望でしたら、申し訳ありませんが他のお宿に」

侍「ああ、一部屋でいい。まだこの国に来たばかりだから、一緒の方が落ち着くだろう。いいか?」

エルフ「わたくしは別に」

メイドエルフ「同じくです」

侍「そういうわけだ。頼む」

女将「承知いたしました。どうぞこちらへ」

部屋

女将「――では、ごゆっくり」パタン

エルフ「……なんというか、本当に大陸と違って独特なのね」

メイドエルフ「靴は脱ぎますし、床に直に座りますし、ベッドはありませんし。どうやって寝るんです?」

侍「布団を敷いて寝る。夜に教えるさ。さて」

エルフ「どこか行くの?」

侍「ちょいと買い出しにな。お前たちは休んでいるといい」

スタスタ パタンッ

エルフ「自分だって疲れているでしょうに」

メイドエルフ「疲労感を、故郷に帰ったという安心感が上回ってるんじゃないかしら」

エルフ「なるほどね。確かに船から降りるとき、一瞬だけ笑ってたし。あんな顔これまで一度も――あ」

メイドエルフ「?」

エルフ「……一度だけあった。見たこと」セキメン

メイドエルフ「ははーん。察するに、あなたが彼のプロポーズにオッケー出したときね?」

エルフ「うん///」

メイドエルフ「あら、意外に素直」

エルフ「ここまで着いてきてくれたあなただもの。本当に嫌じゃなければ隠し事をする気はないわ」

メイドエルフ「なかなか嬉しいこと言ってくれるじゃないの。このこの♪」

エルフ「やめ、ほっぺたつっつかないでよ!」

メイドエルフ「ふふ。ほら、せっかくなんだし後追いかけなさいな。婚約したのに、まだデートもしてないでしょ」

エルフ「デー……!///」

メイドエルフ「うわー。これまでの人生のせいか、ここまでウブになっちゃったか」

エルフ「わ、悪かったわねウブで。言われなくたって行くわよ。私だって人並みに、デ、デートとかしたかったんだから!」

メイドエルフ「よく言えましたー。じゃ、ごゆっくりー」

エルフ「もう……」

港町

侍「ふーむ。やはり新しいのを何枚か買うべきか……」

商人「今ならお安くしておきますぜお侍さん」

エルフ「――侍さん! こちらにいましたのね」

侍「ん? どうした、何かあったか?」

エルフ「いえ、別に。ただ少し外の様子を見たかっただけですわ」

侍(人前だから口調がお嬢様に……)

商人「ほー」ジロジロ

エルフ「な、なにか?」

商人「や、こりゃ失敬。最近は異人さんもよく見るようになりやしたが、お客さんほどのべっぴんさんは滅多にお目にかかれないもんで」

エルフ「べっぴん?」

侍「綺麗な女性だってことさ」

エルフ「あ、ありがとうございます……」

商人「やー、しかし本当にお美しいですねー」ジロジロ

侍「……これをくれ」

商人「へい、毎度! 五文になりやす――ちょうどいただきやした。またお願いしやす!」

侍「さ、行こう」

エルフ「ええ」

商人「ありがとうございやしたー!」

商人(……)ニヤッ

鬱は勘弁

夜 宿

エルフ「こ、この国は料理も独特なのね……まさか生でお魚を食べるなんて」

メイドエルフ「さすがのわたしもびっくりしましたね、あれは」

侍「だが、意外といけただろ?」

エルフ「ま、まあ」

メイドエルフ「わたしあれ好きです! えっと、おさしみ?でしたっけ」

侍「ああ。気に入ってくれたのなら何よりだ。俺が食事作ったわけじゃないが」

エルフ「私はフォークも持ってきてくれたのが嬉しかったかな。あなたが使ってた――おはし? あれはうまく使える自信がないから」

メイドエルフ「あー、それわかりますー。よくあんな器用におかず掴めますよね」

侍「ここは港町だからか、たまに異じ……外国人が泊まることもあるそうでな。フォークも最近用意しだしたそうだ。ま、箸の使い方も含めて、これから色々教えていくよ」

エルフ「ふぁ……」

侍「……うん。船旅でさすがに疲れたな。そろそろ寝よう」

メイドエルフ「あ、わたしお布団敷きますよ。さっきオカミさんから色々聞きましたんで」

侍「さすがメイド。家事に関することは情報収集早いな」

メイドエルフ「それがわたしの仕事ですので。ちょっと待っててくださいねー」

侍「朝一で起きる必要はないから、ゆっくり休め」

エルフ「はい」

深夜 外

賊1「ここでいいのか?」

男「ああ。確認したところ、二階の部屋だ。いつも通りに頼むぞ」

賊1「おう。よし、おめえら行け」

賊2「へい!」ササッ

男「相変わらず見事なものだ。物音一つ立てやがらない」

賊1「ったりめーよ。俺が徹底的に仕込んだんだからな。どんな腕利きだって、寝入っちまえば気付きやしねーさ」

男「特に今回は極上の獲物だ。抜かるわけにはいかんぞ」

賊1「そのための俺たちだ。さて、そろそろ獲物を素巻きにしたところか」

男「手際の良さも相変わらずか」

賊1「こちとらこれで飯にありついてんだ。それくらい出来ねーでどうす――」

――スー

賊2「……」

賊1「おう、戻ったか――っておい。手ぶらじゃねーか。獲物はどうした」

賊3「……つよ……い……」

賊1「あ?」

賊2「ぐふっ……」ドサッ

男「え?」

賊1「な!?」

侍「まったく。余計な手間をかけさせてくれる」

男「あ、あいつは!?」

賊1「なんだてめーは」

侍「こっちの台詞だ盗人。人の妻に汚い手で触ろうとしやがって」

賊1「妻だぁ? 異人の女が?」

侍「祝言を挙げるのはこれからだがな。それはさておき」ジロ

男「ひっ!」ビクッ

侍「なるほど。やはりお前がそいつらの雇い主か。昼間の商人」

商人「き、気付いていたのか!?」

侍「世界を見てきた経験上、お前があいつを見る目は美人を見る目じゃなく、商品を見る目だとなんとなくだがわかったからな」

侍「察するに、人身売買が目的か」

賊1「おうよ。最近は異人だと高値がつくんだぜ。美人ならなおさらな」

侍「そうか」

賊1「そうだ。だから侍さんよー……おとなしく死んでく――」

ゴンッ

賊1「がげっ!?」ドサッ

商人「なっ、上からちゃぶ台が!?」

声「よっと」バッ スタッ

商人「ひっ!」

侍「なんだ。お前も気付いてたのか」

メイドエルフ「まー、これでも向こうじゃご主人様の護衛でしたんで。気配察知はお嬢様より得意なんですよ」

メイドエルフ「で、この人たちは一体何ですか?」

侍「盗人だ。しかも人身売買を目的とした、な」

メイドエルフ「うわ、外道なんですね」

商人「……」コソコソ

侍「しかも、狙われたのはエルフだ」

メイドエルフ「……へぇ」シュッ

シュンッ

商人「ひっ! な、何か今首の横を!」

メイドエルフ「おとなしくしないと、次は当てますよ。痛いところに」ニコ

商人「……!」コクコク

メイドエルフ「お侍様。この人たちはどうします?」

侍「とりあえず縛って捨て置く。人身売買に手を出していたとなれば、たぶん手配されているはずだから明日確認して、役人につき出せばいい」

メイドエルフ「かしこまりました。では」スルスルスル

侍「……その縄は今どこから出した?」

メイドエルフ「メイド服の中は神秘の次元なんですよ」

侍「意味がわからん」

メイドエルフ「そんなことより、お侍様」

侍「ん?」

メイドエルフ「この人たちから狙われたということは、お嬢様には黙っていてもらえます?」

侍「元より言うつもりはなかったが、どうしてまた」

メイドエルフ「向こうで散々狙われましたから。せっかく何のしがらみもない所に来たんですし」

侍「……なるほど。わかったよ」

メイドエルフ「ありがとうございます」

侍「こっちこそありがとう。あいつのこと心配してくれて」ポン

メイドエルフ「あ……」

侍「俺よりずっと付き合い長い君に言えることじゃないが、頼む。これからもあいつのこと、支えてやってくれ」ナデナデ

メイドエルフ「お、お安い、ごようです……」セキメン

商人「……」コソコソ

メイドエルフ「逃げんな」チャキッ

商人「はひ!」ビタッ

久しぶりだから三人の個性ちょっと忘れてる(;´д`)

短めですけど今回ここまで。
また来週投下します。

乙乙




これで一週間頑張れる…

プリキュア<<<サムライ

④④④④

④④④④

数日後 山道の茶屋

エルフ「なんて素朴な甘味……だけどそれが、癖になる!」カッ

侍「いや団子食っただけでそんなに目ぇ見開かんでも」

エルフ「――こほん。さておき、確かあなたの実家がある城下町は」

侍「この分なら、もう半日もかかるまい。二人ともさすがの体力だな」

エルフ「エルフ族は自然の民。この程度の山なら、子供でも踏破できるわね。それに」

侍「それに?」

エルフ「こちらの精霊は向こうとはまるで違うの。見ていて楽しい」

モグモグ

侍「ああ、そういえばずっと聞こうと思ってたんだ。精霊ってのはどんな見た目なんだ?」

エルフ「そうねー……小人、と言えばイメージしやすいかしら」

侍「文字通り小さな人か」

エルフ「ええ。そして、みんな背中に羽を生やしているの」

モグモグ

侍「飛べるのか」

エルフ「うん」

侍「なんか、別の国のおとぎ話に出てきた妖精みたいだな」

エルフ「ああ。お母様の話だと、その妖精というのは精霊をモデルにして考え出されたキャラクターみたいね」

モグモグ

侍「考え出されたというか、まんまな気がする」

エルフ「で、この国の精霊なんだけど。向こうと違ってアグレッシブというか」

侍「ん?」

エルフ「向こうは積極的に人と関わることはあまりなかったけど、こっちは逆」

モグモグ

エルフ「いえ、というか、その……関わるというより、悪戯してる」

侍「悪戯?」

エルフ「風を吹かせて、あの頭に被るやつを吹き飛ばしたりとか」

侍「編み笠だな。そんなことしてんのか……俺のも食べるか?」

エルフ「食べる食べる! まあ、子供の悪戯の範囲で済んでるけどね」

モグモグ

侍「済んでなかったらオチオチ旅も出来ん……そんなに気に入ったか団子」

エルフ「だっておいしいんだもの。この素朴な甘味とモチモチとした食感がなんとも」

メイドエルフ「――お待たせしましたー! お嬢様、しかと聞いてきましたよ!」

エルフ「ホント!? どう? 出来そう?」

メイドエルフ「ばっちりです! お団子の材料から作り方まで余すことなくここのご主人が教えてくださいました」

侍「姿が見えないと思ったら……」

メイドエルフ「自分で作れるものは全て作る。メイドたるもの、いつでも主人の要望に答えられるようにしておくのは当然です」

侍「ほう」

メイドエルフ「というのは建前で、ぶっちゃけただ作り方知りたかっただけです。おいしいから」

侍「ああ、そう……」

エルフ「落ち着いたら私にも教えてね。一緒に作りましょう」

メイドエルフ「喜んで!」
侍「食い終わったら行くぞ」

エルフ「あ、はい!」

メイドエルフ「はーい!」

山道

侍「――待った」

エルフ「え?」

メイドエルフ「どうかしました?」

侍「あいつだ」

エルフ「あいつって」

武士?「…………」

メイドエルフ「……なんか不気味な人ですね。道の真ん中でじーっと下向いてばっかりで」

侍「……」

エルフ「侍さん?」

侍「ここにいてくれ」ザッ


ザッ ザッ ザッ

侍「……」

武士?「……」

ザッ ザッ ザッ――

侍「――!」

――キィンッ

エルフ「!?」

メイドエルフ「ふ、二人とも抜刀を!?」

武士?「……ぐふ」ドサッ

侍「やはりか」キン

エルフ「侍さん! 今のは一体……!」

侍「辻斬りだ」

メイドエルフ「辻斬りって――つまり通り魔ですか!?」

侍「ああ。峰打ちにしたから気絶してるだけだが」

メイドエルフ「そこらの木にでも縛っておきますか?」

侍「頼む」

メイドエルフ「かしこまりました」スルスルスル

エルフ「それで、怪我は?」

侍「かすり傷一つないよ」

エルフ「そう……」ホッ

侍(しかし、先日の賊といい今の辻斬りといい……少し治安が乱れていないか?)

侍「急ごう。城下町まであと少しだ」

夕刻 城下町

ガヤガヤ

エルフ「ここが、侍さんが生まれた……」

侍「ああ。俺の町だ」

メイドエルフ「夕方なのに、まだ活気がありますね」

侍「それなりに大きな町だからな。市場は夜まで賑わっていたのを覚えている」

エルフ「……」

侍「どうした?」

エルフ「今日からこの町で暮らすんだなって思って」

侍「……後悔してるか?」

エルフ「まさか。不安が無いわけじゃないけど、今はもう期待の方が大きいもの」

メイドエルフ「それにわたしも一緒ですから!」

侍「それはなにより。じゃあまずは――」

モ武士「――失礼。侍、とはあなたのことで?」

侍「そうだが?」

モ武士「おお、安心した。某、殿の命により侍殿を迎えに参った次第にござる」

侍「殿の?」

モ武士「如何にも。侍殿の文が届いた日数からして、おそらく今日中に到着されるであろうと」

侍「なるほど。今すぐ向かった方がいいか?」

モ武士「はっ。お疲れではありましょうが、そうしていただけると」

侍「承知した」

モ武士「ところで、ずっと気になっていたのですが……」

侍「ん? ああ、そうだな。この際だから、二人も一緒に来てくれ」

エルフ「え?」

メイドエルフ「どちらに?」

侍「城だ。俺の主君である殿に紹介したい」



モ武士「殿のおなーりー」

ス― パタンッ

殿「……」サッ サッ サッ

侍「……」

エルフ「……」

メイドエルフ「……」

殿「面を上げよ」ドッコイセ

侍「はっ(二人ともいいぞ)」

エルフ「……」ソー

殿「……」ジロッ

エルフ(うわー。眼光が鋭い。あと眉間の皺もすごいわね)

メイドエルフ(ちょっと、いや、かなり恐そうな人だわこれは)

殿「侍よ……」ゴゴゴゴゴ

侍「はっ」

エルフ「……」ゴクッ

メイドエルフ「……」ゴクッ

殿「――おかえりなさーい♪」ニパァー

エルフ「へ?」

メイドエルフ「は?」

殿「ちょっとちょっと。ずいぶん久しぶりじゃないのん侍ちゃんったらん! 見ないうちに顔付きもしっかり一人前になっちゃって」

侍「ひとえに、長年の旅の賜物です」

殿「あらまー! 受け答えまで落ち着いちゃってんのねぇ。殿様嬉しくって涙出ちゃう!」

侍「恐縮です」

エルフ(……え? あれ? まさか、侍さんの主って……)

メイドエルフ(容貌や服装こそまともだけどもしや……)

エ・メ(――オネエ!?)

殿「まあとにかく、よく帰ってきたわね。無事で良かったわ」

侍「はっ」

殿「詳しいことは後日報告してもらうから、今夜はゆっくり休みなさいね」

侍「そうさせていただきます」

殿「結構よ。ところで」チラッ

エ・メ「」ビクッ

侍「はっ。右側の彼女はエルフ。我が妻になっていただく女性にございます」

エルフ「よ、よろしくお願いいたします」フカブカ

殿「あらま!? まあまあ、色恋になんてまったく無関心だったあなたが、こんな綺麗な子を口説いたなんて」

エルフ「あ、ありがとうございます」

侍「左側の彼女はメイドエルフ。エルフの付き添いとして同行した、彼女の女中にして友です」

メイドエルフ「よろしくお願いいたします。お殿様」フカブカ

殿「この子もかなりのものじゃないの。本当、今回の旅で色々成長したみたいねぇ。今宵はお赤飯炊かなくっちゃ」

侍「い、いや、祝言もまだですので」

殿「あら? じゃあまだ抱いてないの?」

エルフ「だ……!?」カァッ

殿「あらまあ、真っ赤になっちゃって♪ いいわー。ウブだわー」

侍「殿。このような場でそういった発言は……」

殿「いいじゃない別に。今は他藩と政争してるわけじゃないんだから」

殿「そんなことより、あんた据膳があるんだから、さっさと食べちゃいなさいよ」

エルフ「食べ……!?///」パクパクッ

殿「なかなかいい反応してくれるわね。こういうウブな子は、慣れてくると案外積極的になるかもしれないわよ?」

メイドエルフ(あ、あけすけ過ぎる……)

侍「殿。我らだけならまだしも、他の者もいるこの場ではエルフを辱めるだけです」

モ武士ズ「……」ポッ

殿「それもそうね。ごめんなさいねエルフちゃん。あたし嬉しくなるとつい下品な方向に話が脱線しちゃうのよ」

エルフ「は、はあ」

殿「さて。侍ちゃんの顔は見られたし、今日はもう下がっていいわよ。家に帰って休みなさいな。数日は休みあげるから」

侍「はっ」

殿「ま、布団の中でエルフちゃんとよろしくしちゃってもいいんだけどね!」

侍「殿……」

エルフ「///」カァッ

モ武士ズ「……」ポッ

殿「あははは! じゃ、またねん♪」



夜 侍家

メイドエルフ「なんというか、すごい方でしたね。色々と」

エルフ「どっと疲れたわ……」

侍「済まん。人をからかうのがお好きな方でな。悪い方ではないんだが」

メイドエルフ「まあいい人そうではありましたけど」

エルフ「でも、最初の眼光の鋭さはさすがに一国の主というものだったわね」

侍「まあな。あれは俺が旅立つ前から変わらない」

メイドエルフ「その後のオネエっぷりが台無しにしてましたけどね」

侍「それは諦めた。あれはもう直らんよ」

メイドエルフ「ですねぇ。大勢の部下を前にしてあれですから」

エルフ「……あの」

侍「ん?」

エルフ「ずっと気になっていたんですけど。侍さんのご家族は?」

メイドエルフ「あ、それわたしも気になってました。お侍様何も仰らないので尋ねませんでしたけど」

侍「あれ、話してなかったか?」

エルフ「何も」

侍「そうか。俺の家族、全員死んでるんだ。病でな」

おぉタイムリーに更新キター♪

エルフ「あ……」

メイドエルフ「も、申し訳ありません……」

侍「気にするな。十年以上前のことだ」

エルフ「……お墓は、どこにあるの?」

侍「郊外の墓地にあるよ。ああ、今度掃除に行かないと」

エルフ「私も行く。ご挨拶したいから」

侍「ああ。そうしてくれれば両親も喜ぶ」

エルフ「うん」

メイドエルフ「――ふぁ」

侍「もう遅い時間だ。疲れも貯まってるだろうし、休もう」

メイドエルフ「そうですね。では、わたしはお先に失礼しちゃいます。あ、お嬢様」

エルフ「なに?」

メイドエルフ「頑張ってね」ボソッ

エルフ「――!///」ボッ

メイドエルフ「それでは、お休みなさいませー」パタンッ

侍「……」

エルフ「……」モジモジ

侍(参ったな……殿があんなこと言うから変に意識してしまう)

エルフ「……」チラチラ

侍(そりゃ俺だって男だ。でも今日は疲れているだろうし、そもそもそういうことはきちんと祝言を――)

エルフ「あの」

侍「――おお!? ど、どうした?」

エルフ「えっと……」モジモジ

侍(な、何で顔赤くして下向きながらモジモジしてるんだ!?)ドキドキ

エルフ「その……」チラチラ

侍(待てやめろ。その上目使いは反則だ)

エルフ「……」スクッ

侍「ど、どうした? 立ち上がって」

エルフ「……て……さい」ボソッ

侍「え?」

エルフ「灯りを……消してください……」

侍「灯り? あ、ああ」フー

――フッ

侍「消したぞ」

エルフ「……」

侍「エルフ?」

ゴソゴソ

侍「エ、エル――」

――パサッ パサッ

エルフ「……」ハダカ

侍「」

今回はここまでです。

相変わらず期待させる止めかたを!

オネエ殿は予想外で吹いた

続き来てた!今読む!

生殺しってやつか…

サムライ・・・・・ごくっ


一週間オナ禁か…

支援

そろそろか…

もうそろそろ寒いんですが・・・

この時期に寒く感じるようなら病気や

昨日今日と涼しくない?

涼しいってか寒いくらいだな

侍「エ、エルフ……?」

エルフ「……」

侍(は……裸に!?)

エルフ「二回目、ね」

侍「え?」

エルフ「あなたに素肌を見せるのは」

侍「……そういえばあったなそんなこと」

侍(とりあえず後ろ向いておこう落ち着いて話せん!)クルッ

エルフ「……」ピトッ

侍「!?」

侍(ぅおい! ちょ、背中に何かフクヨカナモノガ当たってる!)

エルフ「……」ギュッ ムニュ

侍「!?!?」

侍(さらにヤワラカイモノガ押し付けられている!?)

エルフ「……あなた」

侍「お、おうっ?!」

エルフ「あたしたち、これから正式な夫婦になるのよね」

侍「あ、ああ。そうだな」

エルフ「なら、その証をください」

侍「証……?」

エルフ「……抱いて……ください」

侍「――」

エルフ「婚前交渉なんてはしたないかもしれない。でも」

エルフ「……不安なの」

侍「え?」

エルフ「右も左もわからないこの国で、これからあなたをきちんと支えていけるのか」

侍「いや、それは――」

エルフ「だから……自信を、ください」

侍「……」

エルフ「あなたの隣に立つに足る女だという、その証を」

侍「……」

エルフ「……」

侍(ああ、そうか)クル

侍「すまない」

エルフ「……え?」

侍「あ、いや、誤解するなよ? 拒否したわけじゃないぞ」

エルフ「?」

侍「一つ確認するが、さっき殿に言われたことを気にして、というわけじゃないな?」

エルフ「違います。きっかけにはなった……かもしれないけど」

侍「だよな……。すまない。せっかくここまで来てくれたのに、不安にさせてしまって」

侍「お前には色々と最大限に配慮したつもりだった。けど、一番大切なことを後回しにしてしまっていた」

エルフ「一番大切なこと?」

侍「ああ。エルフ」

エルフ「はい」

侍「愛している」

エルフ「――っ!」

侍「本来なら、真っ先に言うべき言葉だった。今更になってしまったが、俺の偽らざる気持ちだ」

エルフ「……」

侍「エルフ?」

エルフ「……」ポロ ポロ

侍「は!? え、ちょっ、何で泣いて!?」

エルフ「え? あ、あれ……?」ポロ ポロ

エルフ「……あははは。そっか」ポロポロポロ

侍「エ、エルフ?」

エルフ「船旅の途中から漠然と不安だったの。理由はわからなかったけど」

エルフ「この国に着いてからしばらくして、それはどんどん強くなっていった」

エルフ「二人に心配かけたくなかったから、態度には出さないよう必死で繕っていたけど」

侍(そうだったのか……まったく気が付かなかった)

エルフ「そして、ふと思ったの。もしかしたら、あなたが手を出してこないことが原因なんじゃないかと」

エルフ「その……夫婦になるということは、当然そういうこともするんだし」

エルフ「だけど、あなたはそんな素振り一切見せないから、もしかしてあたしには魅力が無いんじゃないかと思った」

侍「いやそんなことは――」

エルフ「でも、違った」

エルフ「今はっきりわかったの。あなたの一言で」

エルフ「不安だったのは、その言葉をこれまで聞いたことがなかったから」

侍「……」

エルフ「あなたの気持ちをはっきり聞いたことが無かったから、本当に愛してもらっているのか不安だったの」

侍「すまない」

エルフ「ううん。謝らないで。今、凄く嬉しいから」

エルフ「あなたからその言葉をもらえて……凄く、嬉しいから……!」ポロ ポロ

侍「何度だって言うさ。俺はお前を愛している。だから、もう泣かないでくれ」ギュッ

エルフ「うん……うん……!」ギュッ

エルフ「あたしも――あなたを、愛しています……!」

侍「もしかしたらこれから先、また不安な気持ちにさせてしまうかもしれない」

侍「それでも、一緒にいてくれるか?」

エルフ「はい!」

侍「ありがとう……」クイッ

エルフ「あ……ん……」

侍「ん……」

エルフ「ん……ちゅ……」

侍「……ここじゃあれだな。俺の部屋に行こう」

エルフ「……」コクン

翌朝

――チュンチュン

侍「……ん」

侍(朝か……起き――あれ、腕が痺れて)

エルフ「」スヤスヤ

侍「……あー」

侍(そうだった。昨夜エルフと……)

侍「朝に思い出すことじゃないな……。起こさないようにそーっと腕を」ソー

侍「これでよし」

エルフ「……んー」フマンガオ

侍「寝たまま感情を露にするとは」ナデナデ

エルフ「ん……」

侍「お、うっすら笑顔に。かわいいやつめ」

居間

メイドエルフ「――あ、おはようございます! お台所借りてますねー」トントントン

侍「おはよう。ずいぶん早いな」

メイドエルフ「メイドが主人より遅く起きるわけにはいきませんから」

侍「働き者だな相変わらず。向こうのキッチンとは使い勝手が違うだろう?」

メイドエルフ「昨夜初めて使ったときはさすがに戸惑いましたねー。ところでお嬢様の性癖は」

侍「あー、そういややたらと接吻を待てコラ」

メイドエルフ「お嬢様は(お侍様限定の)キス魔、と」

侍「待てというに。つーか何を記録してるんだお前は」

メイドエルフ「ゆうべ は おたのしみ でしたね」

侍「悪いか。ここは俺の家であいつは俺の嫁だ」

メイドエルフ「あら男らしい」

侍「はぁ。下らんこと言ってないで、朝食の準備続けてくれ」

メイドエルフ「かしこまりましたご主人様」

侍「ん?」

メイドエルフ「今の私の主人はお嬢様で、お侍様はその旦那様。なれば必然的にお侍様も私のご主人様ということになります」

侍「あ、ああ。そう、なのか?」

メイドエルフ「そうなんですよ。なので、今後はそういった形で一つ」

侍「まあ、お前がそれでいいのなら」

メイドエルフ「じゃんじゃんこき使ってください。あ、シモはお嬢様にコキ使ってあげてくださいね」

侍「……朝から飛ばすね」

メイドエルフ「私そっちの話もイケる口なもんで。さすがに時と場所はわきまえますが」

侍「ああ、そう」

昼間 城下町

ワイワイ ガヤガヤ

侍「……ふむ」

侍(さすがに城下町なら、治安は維持されているか)

侍(だが城下町から少し離れた場所で辻斬りが出た。人の往来の少なくない場所で)

侍(港町にいたっては、人身売買の組織が出来ていた始末)

侍「休暇が終わったら、殿にその辺りの話を聴いてみるか」

侍「だがまあ、それはさておき」

侍(何がいいかな)

声「あら! 侍ちゃんじゃないか!」

侍「ん? おお、呉服屋の女主人」

女主人「まあまあ、ずいぶんと久しぶりじゃないか! いつ帰ってきてたんだい?」

侍「昨日の夕方到着したばかりで」

女主人「そうかいそうかい。見ないうちにすっかり立派になっちゃってまあ」

侍(ん? 呉服?)

侍「ちょうどいい。女主人、一つ頼みが」

女主人「おや、何だい?」




夕方 侍家

エルフ「ふぅ。こっちの片付けは終わったわよ」

メイドエルフ「こっちも終わったわ」

エルフ「長いこと空けていただけあって、そこかしこで埃がすごかったわね」

メイドエルフ「クモの巣もね。久しぶりに掃除のしがいがあったわー」

エルフ「すっかり日も暮れてきたわね。ご飯の準備始めちゃいましょ」

メイドエルフ「あ、そっちはわたしがやっておくから休んでて」

エルフ「え? でも」

メイドエルフ「歩き方、まだちょっとぎこちないわよ?」

エルフ「!!」カァッ

メイドエルフ「わたしはゆっくり休めたからね。そのくらいは任せなさいな」

エルフ「う、うん……」

――タダイマー

エルフ「あ! 帰ってきた!」パァー

メイドエルフ(な、なんていい笑顔……!)

侍「ただいま」

エルフ「お帰りなさい!」ニッコリ

メイドエルフ「お帰りなさいませご主人様(一夜の睦事でここまでの笑顔を引き出すとは……)」

侍「おー。綺麗になったなー」

エルフ「朝から始めて、終わったのがついさっきだった」

メイドエルフ「最近ゴタゴタしてましたから、広いお屋敷のお掃除は久しぶりでした」

侍「そうか。二人ともご苦労様」ナデナデ

エルフ「えへへ♪」デレデレ

メイドエルフ(あ……)

――これからもあいつのこと、支えてやってくれ ナデナデ

メイドエルフ「……」ジー

侍「ん? どうした?」

メイドエルフ「――え? あ、な、なんでもありません!」

侍「?」

メイドエルフ(今わたし、なんで……)

メイドエルフ「さ、お二人は休んでいてください。すぐ食事の準備をしますので」

メイドエルフ(お嬢様が、羨ましいと思ったんだろ……)

侍「あ、ちょっと待ってくれ。その前に」ドサ

エルフ「それは?」

侍「土産だ。ほら」

エルフ「あ、これ……」

侍「着物だ。知り合いの呉服屋に見繕ってもらった」

エルフ「うわー……綺麗」

侍「せっかく来たんだ。衣服も『らしい』ものをあげたかった」

エルフ「ありがとうあなた!」

メイドエルフ「……よかったですね。お嬢様」

エルフ「? なに他人事みたいに言ってるの。あなたの分もあるわよ」

メイドエルフ「え?」

エルフ「だって、二人分あるもの。柄は違うけど」

侍「ああ。桜の柄がエルフので、牡丹の柄がメイドエルフの分だ」

メイドエルフ「わ、わたしのもですか?」

侍「ああ。世話になってる礼さ。エルフのついで、なんてわけじゃないよ」

エルフ「はい。あなたの」

メイドエルフ「あ……」

侍「さすがに着付けは出来ないだろうから、明日か明後日にその呉服屋の主人に来てもらうことになってる。汚すなよ?」

エルフ「わかった。ありがとう!」

メイドエルフ「あ、ありがとう……ございます」ギュッ

エルフ「皺になるわよ?」

メイドエルフ「え? あ、すみませんつい」

エルフ「?」

――ゴメン ダレゾオラレルカ

侍「ん?」

エルフ「お客様?」

侍「あー、いい。俺が出る。お前たちはそれしまってこい」





モ武士「侍殿。よかった、居られたか」

侍「どうかしたのか。こんな時分に」

モ武士「はっ。殿様より至急のお呼び立てにございますれば」

侍「殿から?」

モ武士「なんでも――」ゴニョゴニョ

侍「――。それはまことか?」

モ武士「おそらくは」

侍「わかった。殿にはすぐに行くとお伝えしてくれ」

モ武士「はっ」

侍「……結局、休みは一日だけだったか」

居間

エルフ「あら? またお出掛け?」

侍「ああ。たぶん遅くなる。飯はいらないから二人で食べてくれ」

メイドエルフ「いらないって、何かあったんですか?」

侍「殿からの呼び出しでな。急だがさっそく仕事が入った」

エルフ「数日はお休みだって言ってたのに?」

侍「それを破ってでもなんとかしなきゃならん案件でな」

メイドエルフ「その案件って何です?」

侍「詳しいことは城で聴いてくるが――賊の討伐だ」

今回はここまでです。





エロ無くて申し訳なくorz

…おや?フラグ?フラグですか?侍、mо☆ge☆rо!支援!

うむ、やっぱり良い

支援でござる

某も支援するで御座るよ

ふむ、まだかね

('・ω・`)

④④④④

前スレのサムライとの違和感を感じるのは俺だけか?

お前だけだよ異端異端

どうした?coolになろうぜ?

やっと追いついた、、、
まさに俺得!!
支援!!!



侍「して、殿。賊というのは」

殿「……久しぶりに帰ってきて、どう思った?」

侍「は?」

殿「……」

侍「……いささか、治安に乱れがあると」

殿「その通り。帰ってきて、早々に捕えてくれた連中がいたでしょ?」

侍「ええ」

殿「ああいう連中が、ここ数年増えつつあるのよ」

侍「原因は」

殿「同心の質の低下ね」

侍「何故です」

殿「あんたみたいな優秀な人材が、ことごとく外に出ちゃうからよ」

侍「俺が優秀かはともかく、そうなのですか?」

殿「そうなの。中にはそのまま帰ってこない者までいる始末」

殿「まあほとんどはちゃんと帰ってくるんだけど。ただ、そういった人間がたくさん世界に出ているから」

侍「役人を勤める人間の質が低下してきた、と?」

殿「そーなのよ。いくら注意していても、末端は酷い有り様みたいでね」

殿「袖の下に何か隠す連中が増えて増えて。中でも辻斬りからの賄賂が一番多いみたいね」

侍「俺も帰り道に遭遇しましたが……」

殿「あらま。街道にまで出始めたのね」

侍「そういった同心の処罰はどのように?」

殿「軽くて免職、重くて投獄ね」

侍「全て投獄させましょう。場合によっては切腹、打ち首も念頭に」

殿「ずいぶんと思い切るわね」

侍「それほど重い罪であるとわからせなければ、腐敗は進むばかりです」

殿「牢が同心の罪人で埋まらなければいいけど」

侍「役人の試験内容も改めて検討する必要がありましょうな」

殿「そうね。逸れちゃったけど、ここからが本題よ」

殿「さっきも話した、侍ちゃんが帰って早々に捕えてくれた連中なんだけど」

侍「もしや、まだ仲間がいると?」

殿「そゆこと。というより、あいつらはトカゲの尻尾ね」

侍「……なるほど。確かに、人身売買などという大罪を犯すには、あの程度では規模が小さすぎますな」

殿「しかも、最近は異人が狙われやすい。うちの国はまだ異人に対して馴染みが薄いから、国内で売られているとは考えにくいのよね」

侍「とすると、その賊は国を跨いだ組織である可能性が?」

殿「大いにあるわね」

侍「ふむ……」

殿「でね。その連中からの証言で、その組織の隠れ家の一つが、うちの領内にあるそうなのよ」

侍「まことにございますか。では、賊の討伐というのは」

殿「そ。その隠れ家を制圧してほしいのよね」

侍「規模は如何ほどで」

殿「連中の話を信じるのなら、そこは大したことないわね。うちの武士十人も連れていけば制圧可能よ」

殿「ただ、さすがに鵜呑みには出来ないから倍の二十人は連れて、かつ侍ちゃんに指揮してほしいのよ」

侍「指揮、ですか」

殿「ここいらで隊を率いる経験もしておいてもらいたいからね。今後のためにも」

侍「……承りました」

殿「お願いするわね。出発は明後日。明日の昼間に準備を済ませて、また夕方に来てちょうだい。詳細を説明するから」

侍「はっ」

殿「じゃ、今日は帰っていいわよ。本当なら酒でも飲みながら旅の話を聞きたいところだけど」

侍「俺なら問題ありませんが」

殿「ダメよ。侍ちゃんの家、今あの子たちしかいないでしょ」

侍「あ」

殿「この件が片付いたら、たっぷり聞かせてもらうからね」




侍家

エルフ「ふんふんふふーん♪」グツグツ

メイドエルフ「はー、さっぱり――あら? 何してるの?」

エルフ「みそすーぷを温め直してるの。そろそろ帰ってくる頃だろうし」

メイドエルフ「もうだいぶ経つもんね。じゃ、わたしも準備しよ」

エルフ「何を?」

メイドエルフ「お夜食」

エルフ「大丈夫よ? 私がやっておくから」

メイドエルフ「残念。実はもう調理済みだったり」スチャ

エルフ「な! いつの間に……」

メイドエルフ「メイドたるもの、主人の身の回りのことは常に頭に入れて行動するものなのよん」

エルフ「はー。やっぱり家事に関しては敵わないわね。ところで」

メイドエルフ「うん?」

エルフ「昼間、庭も掃除しておいたわよね」

メイドエルフ「ええ。それはもうしっかりと」

エルフ「そうよね。私も確認したけど、昨日見たときよりずっと綺麗になってた」

メイドエルフ「でしょ?」

エルフ「うん。なのに何で」チョイチョイ

メイドエルフ「そうねー。わたしも気になってたのよねー」スッ

エルフ「ホントにねー」チャキッ

エ・メ「何でまた散らかってるのかしら」



男1「ここか」ヒソヒソ

男2「間違いない。新しい獲物が住む屋敷だ」ヒソヒソ

男3「わかった。まず俺が行く」タタタタタッ

男3「……」ピトッ

男1「どうだ?」ヒソヒソ

男2「――お。中の灯りが消えたようだ」ヒソヒソ

男3「声も聞こえない。どうやら寝たようだ」ヒソヒソ

男1「主の帰りを待たずに就寝か。これだから異人は」ヒソヒソ

男2「まあそう言うな。おかげで今宵の仕事は楽に済みそうなんだ」ヒソヒソ

男3「よし。しばしの後に潜入――」

エルフ「そんなこと言わず、すぐにでもご案内いたしますわよ!」ガラッ ダンッ!

男たち「!?」

エルフ「はっ!」ビュンッ

ザンッ

男3「ぬあっ!」ドサ

男1「ばかな! 我らの存在をこうも早く――」

シュッ ドスッ

男1「がっ!?」ドサッ

男2「短刀!?」

メイドエルフ「そりゃあんなに殺気やら何やら漏らしまくっていれば嫌でも気付きますよ」

男2「そんなバカな! 話が違うぞ!」

エルフ「話?」

メイドエルフ「……どうやら、この人は生け捕りにした方がよさそうですね」

エルフ「そのようですわね」

男2「冗談じゃない! 異人なんかに捕まってたまる――」ダッ

侍「なら俺に捕まってもらおうか!」バキッ

男「おぎえ!?」ドサッ

エルフ「あなた!」

侍「殿の言う通り、急いで帰って正解だったな。二人ともけがはないか?」

エルフ「大丈夫です」

メイドエルフ「おバカさん相手に不覚なんか取りませんよ」

侍「それもそうか。じゃあ」グイッ

男2「ひぃっ!」

侍「まずは、目的を聴いておこうか」

男2「だ、だだだ誰がは、はな話すか!?」ガクガク

エルフ(震えまくってるわね……)

侍「ほう?」チャキ

男2「ひぃっ! わかった話す! 話すから斬らないで!」

メイドエルフ(涙目に。すっかり脅えちゃって。そこまで恐くもないと思うけどなぁ)

侍「で、目的は?」

男2「そ、そこの異人二人を拐ってこいって言われたんだ。仲間を捕まえたのはあんた一人で、異人の方は女だから簡単だって」

エルフ「お生憎さま。私、これでも騎士だったんですからね」

メイドエルフ「わたしはこの通りですけど、まあそれなりに訓練しましたからねー」

男2「だから話が違うんだよ……」

侍(嘘はついてなさそうだな……ふむ)

侍「お前たちに、この二人を拐うよう命じたのは誰だ」

男2「出所は知らねえ。俺らみたいな下っ端には頭のことなんか教えてもらえないんだ」

侍「つまり、ある程度の規模の集団か。先に捕まえた連中と同じで」

エルフ「え?」

メイドエルフ「あ、そういえば秘密にしてたわ。後で話してあげる」

男2「そうだ。最近は異人の値が上がってきたから……だが」

侍「ん?」

男2「どうもそれだけじゃないらしい。仲間の話だが、うちの頭は異人をひどく毛嫌いしているそうでな」

侍「なに?」

男2「い、いや、本当かどうかは知らないからな!」

侍「わかっているから騒ぐな」

男2「……」

侍(まだ聴きたいことはあるが……明後日になれば直接確認できるだろう)

侍「メイドエルフ。縄頼む」

メイドエルフ「かしこまりましたー」スルスルスル

侍(思った以上に動きが早い上に、この場所まであっさり知られた……賄賂で役人から情報を得たか)

エルフ「あなた?」

侍「ん、ああ、なんでも。二人ともけが、は無いんだったな」

エルフ「ええ。それは平気。でも……」

侍「どうした?」

エルフ「ごめんなさい。庭で……」チラッ

侍「ん――ああ」

男1&3「」チーン

侍「気にするな。お前たちが無事ならそれでいいんだから」ナデナデ

エルフ「う、うん///」

メイドエルフ「……」

メイドエルフ(まただ)

メイドエルフ(またわたし、あの子のこと、羨ましいって思ってる……)

男2(……ん? こいつ、何か知らんが呆けている?)

メイドエルフ(どうしてだろう……これじゃあまるでわたしが――)

男(しめた! この隙に!)チャキ

侍「メイドエルフ離れろ!」

メイドエルフ「――え?」

男2「うらあっ!」

ブシュッ

メイドエルフ「きゃあっ!」

エルフ「メイドエルフ!」

男2「うおおおお!」ダッ

侍「逃がさん!」ダダダダッ

男2「ひっ! は、はや――」

侍「はっ!」ゴスッ

男2「ぐえ!?」ドサッ

侍「……峰打ちにしてやった。しばらく寝てろ」

メイドエルフ「つっ……」

エルフ「どこを斬られたの!?」

メイドエルフ「左腕を……」

侍「メイドエルフ!」

エルフ「あなた! この子、腕を!」

侍「とにかく中に。灯りを点けて、薬と包帯を持ってきてくれ」

エルフ「はい!」タッ

侍「立てるか?」

メイドエルフ「はい……」スクッ

居間

侍「傷を見る。すまんが破くぞ」ビリッ

侍「……うん。大丈夫だ、浅い。これなら縫合しなくても平気だろう」

メイドエルフ「……」

侍「どうした? 痛むのか?」

メイドエルフ「あ、いえ。その……すみません。ちょっと自己嫌悪といいますか」

侍「?」

メイドエルフ「あの程度の人に油断してしまったこととか」

メイドエルフ(それに……もやもやした気持ちとか)

メイドエルフ「来て早々にこんな失態でご迷惑を……申し訳ございません」

侍「まあ、たしかにらしくない失敗だが、別に気にすることでもないぞ」

メイドエルフ「ですが……」

侍「うーん。何か悩みでもあるのか?」

メイドエルフ「え?」

侍「いや、いつもならちょっとした失敗しても笑ってごまかすだろ」

侍「その余裕が無くなってるみたいだからな」

メイドエルフ「悩みと言いますか、何と言いますか……」

侍「ああ、いや。無理に言う必要はないよ」ポン

メイドエルフ「!」カァッ

侍「水汲んでくるから、まずは傷口を洗おう。少し待ってろ」スタスタスタ パタンッ

メイドエルフ「……」

メイドエルフ「ダメなのに」

メイドエルフ「これまで、そんな風に想ったことなかったのに」

メイドエルフ「何で、こんなにいきなり」

メイドエルフ「彼のこと、気になってるんだろう……」

遅くなりましたすみませんorz

とんでもねぇ。待ってたんだ


熱中症に気を付けてな
そう言う俺は冷えたお茶飲み過ぎて下痢気味

うるさいはよ書け!

はやく書くんだ!!

お願いします!!!

このとおり!!!!

落ち着けよ



待たせやがって馬鹿野郎!
体には気を付けるんだぞ馬鹿野郎!

こっちも待っているあいだ冷えた牛乳大量に飲んでたんだから

気にするな。腹がやばいのは気のせいだ。

何やら、きな臭くなってきたな。先が楽しみだ。

はよはよ

④④④④

支援

④④④④

はよーーーん

お盆だからね、しかたないね

お盆とか甘えだろ、さっさとお墓参りしてご先祖様に挨拶してたっぷり親孝行して薄皮饅頭買って戻ってこいよ

なにげに酷いこと言ってるようで優しいな~w



夏風邪かね?養生してまた戻ってきてくれ

④④④④

早く

>>1が来るまで出来ればsageておいてくれないか?つい期待しちまうんだ

でも数日たったらスレ落ちるしなー

>>1です。
長らくお待たせしてしまってすみません。
今ちょっとこの話の続きを練り直しているのと、これとは別に暇潰しなフリゲ創りしてまして、投下が遅れております。

申し訳ありませんか、もう少しだけお待ちくださいませm(__)m

>>145
ここそんなすぐには落ちんぞ?

すげ。フリゲ作れんのか。まあ気長に待ってるよ。

続き、気になります!!

保守

保守

>>147
どの位だっけ?

保守

>>152
三ヶ月までならほったらかしでも大丈夫だったはず

>>154
そんな長くないだろ

…埋めますか?

>>156
454 名前:以下、名無しが深夜にお送りします [sage] :2012/09/04(火) 04:36:32
…ますか?

大活躍だな

ジャパネット たかた

>>1です。

お待たせしております。
ようやっと続きを練り直せましたので、ぼちぼち書き溜めしてまた投下していこうと思います。

もう少々お待ちくださいませ。

>>159
いつまでも待つ!

待ってる間に埋められるかもな。

下手人はどうせヘタ絵の魔法どうのだの、性同一性障害の英国王だの、熟語にカタカナでルピ振ってるのが気に入ってるヒッキーあたりだろ。

暇しか持て余してねーから、いつでもヤリはじめるだろうよ。・・・なぁ荒巻?

>>161
キモすぎワロタ氏ねよ

支援

>>162
よう、埋め屋!黙ってられなくなったか?

>>164
お前もちょっと黙れ

あんまり挑発してホントに埋められたら>>1が迷惑すんだろ

そもそも>>162が本人かどうかすらわからんというのに…

謎の改行もキモいから氏ね

とりあえずさげといて

>>166
sageろゴミ

>>168
おまえもだよクズ

なんだよこのやりとりw

…やはり埋めますか?

おまえ他にすることないのか?

>>171
はい

>>171,173
死ね

埋めって

あと830レスもやるのか? 頑張れ(苦笑)

>>175
荒らしを応援するとかお前も荒らしとかわらんぞ氏ねよ

実際にこいつ別スレで埋めてんだぞ
養護すんなまとめて死ね

>>177
どこのスレだよ

ここだろ

剣士「女エルフを手に入れた」
剣士「女エルフを手に入れた」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1331386312/)

他は知らん


>>179
500以上書き込みか。
どんな理由か分からんが面白い奴がいるもんだなww
漢字の書き取り宿題のバイ卜で食っていけるんじゃないのか

翌朝

エルフ「お城に避難?」

侍「ああ。ここがばれている以上、残していくのは正直心配だからな」

メイドエルフ「まあ確かに、一度撃退したとはいえ、簡単に諦めてくれるとは思わない方がいいでしょうね」

侍「そういうことだ。殿には俺から話しておく」

エルフ「あ、でも」

侍「ん?」

エルフ「確か、今日か明日に服屋の方が着付けに来てくれるんじゃ」

メイドエルフ「そう言えばそんな話ありましたね」

侍「あー。さすがにこうなったら無理だな。しばらく待ってもらうよう言っておくさ」

エルフ「ちょっと残念ね……」

メイドエルフ「まあまあ。お侍様でしたら、きっとすぐに解決なさってくださいますから」

侍「簡単に言ってくれるなおい」ドッコイショ

エルフ「あ、もう行くの?」

侍「ああ。さすがに日の高いうちは安全だろうが、こういうのは早いに越したことはない」

メイドエルフ「じゃ、ちゃちゃっと準備しちゃいますねー」



城下町

ワイワイ ガヤガヤ

エルフ「朝から賑やかね」

侍「ちょうど朝市の時間だからな」

メイドエルフ「あれ? でも、こっちってお城とは逆方向では?」

エルフ「あ、そう言えば」

侍「わかってる。城に行く前に、着付けの件を断っておこうと思ってな」

メイドエルフ「なるほど」

エルフ「ここから近いの?」

侍「ああ。もう目と鼻の先に――」

声「あ、侍ちゃん!」カランコロンカランコロン

侍「ん――おお、女主人。ちょうどいいところに。これから伺おうと思って……」

女主人「はぁ、はぁ、ぜぇ……」

侍「……何があった?」

女主人「あ、あったと、いうか……あんた、うちの娘見なかった!?」

侍「娘……いたのか?」

女主人「あ、ああ、そうか。侍ちゃんには話したことなかったね」

侍「二人ともすまん。少し待ってくれ」

メイドエルフ「え、ええ」

エルフ「構いませんわ」

メイドエルフ(あ、お嬢様モード。この国なら素でも大丈夫なのに)

侍「女主人。順を追って説明してくれ」

女主人「あ、ああ。侍ちゃんには話したことなかったけど、あたしにゃ娘が一人いるんだ」

女主人「あんた結構長いこと旅してたから、話したくても話せなかっただけなんだけど」

女主人「まあそれはいいさね。娘もすっかり大人になったから、最近うちの店を手伝ってくれるようになったんだ」

女主人「それで、昨日の夕刻にちょっとお使いを頼んだんだけど……」

侍「まだ帰っていない?」

女主人「そうなんだよ! お使いと言っても、店からいくらも離れちゃいない場所だったんだ。なのにいつまで経っても帰ってこなくて!」

エルフ(それって……)

メイドエルフ(まさか……)

侍「……そのことを役人には?」

女主人「とっくに話したさ! でも以前にもこんなことあったから、もう心配で心配で!」

侍「以前にも?」

女主人「何年か前、娘は一度人拐いに会ってるんだよ。異国に拐われたんだ」

エルフ「え!?」

女主人「幸い、拐われた先で偶然旅の武士に助けられて帰ってこられたけどね」

侍(……ん?)

女主人「とにかく、前にもそんなことがあったんだ。もしかしたらまたそんな目にあってるんじゃないかと思うと……!」

侍「わかった。これから城に行くから、そのことは報告しておく。たぶん、俺の仕事にも関係ありそうだ」

女主人「そうなのかい!? なら頼むよ! どうか娘を見つけだしておくれ!」

侍「わかった。女主人は店で待っていてくれ。何かわかり次第連絡するから」

女主人「わかったよ。お願いね」カランコロンカランコロン

侍「……」

エルフ「あなた?」

侍「……城に行こう。殿にもお伝えしなきゃならん」





殿「そう、そんなことがね」

侍「まだ確証はありませんが、この国の今の状況を考えますと」

殿「そうよねー。最近は異人がよく狙われてたから、警備も異人が比較的多い場所に集中させてたのがまずかったかしら」

侍「例の賊共の仕業だとしても、件の娘がいなくなったのは昨夜です」

殿「探し出すなら今のうち、ね」

侍「はい」

殿「そうね。侍ちゃんは、ひとまず予定通りに賊と拠点と思われる屋敷を攻めてちょうだい。もしかしたら、その娘が捕われているかもしれない」

侍「はっ」

殿「こっちでも捜してみるわね。たぶん本命はそっちだと思うけど」

侍「昨夜うちを襲った賊は何と」

殿「目新しい情報は無いみたいねー。侍ちゃんが聞いたこと以外はなんにも知らないみたい」

侍「左様ですか」

殿「あとは虎の巣穴に飛び込むしかなさそうよ」

侍「虎の子が得られればいいのですがね」

殿「足りないわよ。親虎捕まえちゃいなさい」

侍「全力を尽します。それで、俺が虎の一家を捕えに行っている間なのですが」

殿「あの二人をここに置いてほしい?」

侍「お解りで」

殿「一国一城の主舐めんじゃないわよ。家臣の考えそうなことぐらいわかるって」

殿「それに、短期間で二回も狙われたんでしょ? 目を付けられてると考えた方が自然だしね」

侍「では」

殿「もちろんいいわよ。解決するまで、責任持って守ってあげる。だからしっかり働きなさいな」

侍「御意」

殿「ところで」

侍「はっ?」

殿「お嫁さん、ちゃんと食べたの?」ニヤ

侍「」

夕刻 城 客間

侍「じゃあ、行ってくる」

エルフ「行ってらっしゃい。気を付けてね」

メイドエルフ「行ってらっしゃいませ。ご武運を」

侍「ああ。ここなら安全だと思うが、お前たちも一応気を付けろ」

エルフ「ええ」

メイドエルフ「ご安心を。お嬢様に近づく不届き者は、わたしがナイフで穴をクチュクチュしてやりますから♪」ニヤリ

侍(穴って何だ!?)ゾクッ

エルフ(クチュクチュってなに!?)ゾクッ

侍「ほ、程々にな……? じゃあ、改めて行ってくる」

エルフ「うん」

書き溜め途中でしたが、ちょっと流れを修正した方がいいと思い、急遽投下いたしました。

あと一つご連絡なのですが、前作で別の場所のコメントに「戦闘がわかりづらい」というご意見をいただいたので、次の戦闘の場面で試しに地の文を用いてみようと思います。
その後で、地の文があった方がいいか否か皆さんにご意見たまわりたく思いますので、よろしければご協力お願いいたしますm(__)m

…乙かれ様です

乙です。書きたい様に書いてください。更新、待ってます。

乙かれ様

荒れててゴメンネ



また楽しみにしてる!

乙乙
まったり待ってるぜ

ここの>>1は出来る子


夜 郊外の竹林

モ武士「侍殿、あれにございます」

侍「あの屋敷か。この場所といい、如何にもだな」

モ武士「灯りはついていないようですが……如何しましょう」

侍「二手に別れよう。俺は正面から行く。壱番隊は着いてこい。残りは裏に回る。俺たちの突入に合わせて突っ込め」

モ武士「承知!」

侍(さて。鬼が出るか蛇が出るか、はたまた……)

屋敷前

侍「準備は?」

モ武士「いつでも行けます。が、この無駄に大きな門は如何しましょう?」

侍「問題ない」チャキ

――ヒュンヒュンヒュンヒュン

侍「……」シャー キンッ

バラバラバラバラ

モ武士ズ「おー!」

モ武士「お見事。綺麗に斬り抜かれましたな。二人くらいなら同時に通れそうだ」

侍「万が一ということもある。退路は広い方がいい」

モ武士「なるほど」

侍「とはいえ、その心配は無さそうだがな」

モ武士「確かに。人の気配がありません」

侍「中を調べる。行くぞ」

モ武士「はっ」

屋敷内

侍「……やはりもぬけの殻か」

モ武士「そのようです。ただ」

侍「ああ、わかってる。そこらに散らばってる拘束具を見ればな」

モ武士「ここが賊の拠点であったことは間違いなさそうですな」

侍「賊の痕跡が残っているかもしれない。隅々まで調べるぞ」

侍「壱番隊から参番隊はこの階、肆番隊は上の階だ」

モ武士ズ「おう!」

しばし後

侍「何か見つかったか」

モ武士「ありませんね。拘束具やら悔い散らかした食糧やらばかりで、賊の足取りがわかりそうな物は何も」

侍「そうか」

モ武士「ただ、ごく最近までここが使われていた形跡が」

侍「なに?」

モ武士「これを。台所にあった釜です」

侍「炊いた白米……なるほど、まだ腐っていない」

モ武士「しかも、さほど乾いてもいないようです」

侍「ということは、昼頃までここは使われていたようだな」

モ武士「おそらく」

侍(とすると、女主人の娘はまだそう遠くへは行っていない、か?)

モ武士「この階には、これ以上のものはもう出てこないでしょう」

侍「そうだな。この様子じゃ、上の方も大した成果は――」

モ武士2「さ、侍殿ー!!」ダダダダダ

侍「どうした?」

モ武士2「う、上の階を調べていた肆番隊の連中が……」

侍「何か見つけたのか?」

モ武士2「し、死んでました!!」

侍「!?」



二階

侍「全員、首を一突きか……」

モ武士「し、信じられません……肆番隊の者は、みな手練のはず……」

侍(この傷痕、刀剣の類ではない。もっと鋭く、厚い何か……)

モ武士2「自分が発見した時には、既にこの状態で……」

侍(この傷痕、どこかで見覚えが――っ!)

モ武士3「やられたってことは、賊はまだここに潜んで!?」

侍「……そういうことか」

モ武士「は? や、侍殿、窓の外に何か?」

侍「全員、この場で待機していろ」トン

モ武士2「侍殿?」

侍「――!」ダンッ

モ武士「え!?」

モ武士3「飛び降りた!? 何故!?」

モ武士2「お、おい! あれを見ろ!」

モ武士「なんだ……正面の門手前に、誰かいる?」

門手前

侍「まさか、またお前の顔を見ることになるとは思わなかった」

???「俺は待ち望んでいたぞ。もう一度貴様の面を拝む時を」

門前に佇む黒衣の男の顔を、侍は知っていた。そして、その逆も同じ。

侍「お前の仕業か」

???「……」

男が右腕を小さく挙げる。手に装着されていた鋭い鋼の爪から、鮮血が滴り落ちていた。

侍「何故お前がこの国にいる」

???「知れたこと」

頭を左右に揺らしながら、男の口の端が歪につり上がった。見た者を本能的に畏怖させる笑み。侍の記憶に残るそれと完全に一致する。

???「貴様への借りを――返すためさぁ!」

上体を低くし、男が侍目指して駆けた。鋼の爪を振りかぶり、脳天めがけて振り下ろす。


侍「っ!」

侍が瞬時に抜いた刀と男の爪が交錯し、宵闇を飛び散る火花が照らす。すぐさま侍の首を狙った突きが放たれ、それを低くしゃがんで回避。返す刀で斬り上げるが、男は大きく跳び退いた。

???「はっ! 前よりいい反応じゃないか。それでこそ、引き裂くかいがあるってもんだ!」

更に歪めた笑みのまま、再び男が突っ込んでくる。刀と爪がぶつかり、直後に放たれた男の蹴り。予想通りの攻撃。

侍「くっ!?」

にも関わらず、侍の顔に焦りが浮かんだ。攻撃そのものは予想通り。だが、速さが記憶にあるそれとは段違い。顎を狙ったその一撃を辛くもかわすが、瞬間的な隙が生まれた。

???「シャアアアッ!」

不気味な気合の叫びと共に放たれた回し蹴りが、侍の左肩を直撃した。
蹴り飛ばされ、体が背中から地面に叩きつけられる。

侍「ぐっ……!」

???「もらった!」

地面を滑る侍にとどめを刺すべく、男が大きく跳び上がった。無防備なその腹を狙い、男の爪が真っ直ぐ飛んでくる。

侍「――まだだ!」

侍の眼が見開いた。両手を頭の横につき、滑る勢いを利用して一気に脚を振り上げ、跳躍。

???「!?」

さすがに予想していなかったか、男の笑みが驚愕に変わった。標的を失った爪はただの地面に突き刺さり、わずかな時間男の動きを封じる。

侍「!」

侍が跳躍した先にあったのは、屋敷を囲む高い塀。そこを両足で強く蹴り、更に高く跳び上がる。下には、侍を見上げる男の姿。

侍「おおおおお!」

屋敷の二階相当からの高さから落下しつつ、刀を振り上げる。

???「シャアアア!」

対する男は避けるのではなく、真っ向勝負を仕掛けてきた。その場で跳躍し、侍めがけて爪を突き出す。
一瞬の後、白刃と白爪が空中で交錯した。
侍が着地し、すぐその後に背後で男も着地する。

侍「……」

右腕に感じる熱。ちらと見やると、着物が血で薄く染まっていっていた。

???「ちっ」

男の舌打ち。振り向いた男の頬に、一筋の傷が見てとれた。





???「やっぱり前より強くなってやがる」

侍「……お互い様だ。お前も以前より格段に厄介になっている」

???「なっていなければ困るんだよ。貴様を殺すために、休業してまで鍛え直したんだからな」

侍「はぐれ用心棒だったか。ご苦労なことだな」

はぐれ「ふん……そろそろ時間だ。この勝負、次に預けるぞ」

侍「まだ来るのかよ」

はぐれ「違う。来るのは貴様だ」

侍「なに?」

はぐれ「すぐにわかるさ。貴様が城に戻ればな」ニヤッ

侍「どういう意味だ」

はぐれ「じゃあな」ダッ

侍「! 待て!」

モ武士「侍殿ー!」

侍「……ちっ」

侍(さすがにあいつらを置いてはいけないか……)

モ武士「侍殿、さっきの奴は一体……肆番隊の皆は、やはりあの男が?」

侍「ああ。だが今は追うな。返り討ちに遭うのが関の山だ」

モ武士「は、はっ!」

侍「ひとまず城に戻って人手を借りる……肆番隊の連中を連れ帰って、弔ってやらねば」

モ武士「そう、ですな」

明け方 城前

侍「戻れたな。俺はまず殿に報告する。皆は必要な準備をしておいてくれ」

モ武士「はっ――おや?」

侍「どうした?」

モ武士「いや、何やら城の方が騒がしいような。人だかりもできて」

侍「本当だ。何かあ――」

――すぐにわかるさ。貴様が城に戻ればな

侍「っ!」ダッ

モ武士「あ、侍殿!」

城 前庭

エルフ「――あ! あなた!」

侍「エルフ! この騒ぎは……ってお前、なんで頭に包帯なんか!? どうしたそのケガ!?」

エルフ「それが……」

殿「やられたわよ、まったく」

侍「殿!? 殿までお怪我を!?」

殿「大丈夫よ。かすり傷だから」

侍「一体何があったのですか?」

殿「夕べ。侍ちゃんが出た後なんだけど。ちょうどいい機会だから、エルフちゃんたちの部屋にお邪魔して飲んでたのよ」

エルフ「そうしてたら、いきなり黒い服の男が襲ってきて……」

侍「なっ!?」

殿「何せ城を襲撃なんて初めてだからね。酒が入ってたせいもあって、ろくな対応できなかったのよ」

エルフ「剣を取っても、狭い室内じゃ身動きがうまく取れなくて……」

侍「メイドエルフはどうしたんだ? あいつの得物なら、場所を選ばず戦えるはず」

エルフ「……」ジワッ

侍「……エルフ?」

殿「……拐われたわ」

侍「え?」

殿「連れ去られたの。エルフちゃんをかばって」

侍「!」

ちと短いですが、今回はここまでで。

試しに戦闘だけ地の文にしてみましたが、どんなもんでしょうか?
何かご意見ございましたらお聞かせ願いますm(__)m

あれ。自分で読み返して気付いた。地の文、文頭がほとんど一文字分何故か空いてないorz

おつおつ

侍が瞬時に抜いた刀と男の爪が交錯し、宵闇を飛び散る火花が照らす。すぐさま侍の首を狙った突きが放たれ、それを低くしゃがんで回避。返す刀で斬り上げるが、男は大きく跳び退いた。

↑という風に一行で書くよりも

 侍が瞬時に抜いた刀と男の爪が交錯し、宵闇を飛び散る火花が照らす。
すぐさま侍の首を狙った突きが放たれ、それを低くしゃがんで回避。
返す刀で斬り上げるが、男は大きく跳び退いた。

↑って改行してくれた方が、自分としては読みやすいかな。
人それぞれだとは 思うけど……。長々とスマソ。
更新、乙!

でも面白い

支援

>>1です。
お待たせしてしまってすみません。
ちょっと樹海の地図書きつつ
モビルスーツ開発しながら
地球を防衛していて
こっちが滞ってました。
一応少しずつ書いてはいますので、もう少々お待ちを。


>>215
ご意見ありがとうございます。
早速次からそのようにしてみようと思います。

俺も初代の樹海の地図を書きつつモビルスーツを開発しつつまってました

保守

>>213
半角スペースを文頭に入れると表示に反映されないよ
全角なら反映されるはずだけど

侍はh×hののノブナガで脳内再生してる

また、ボクちんが考えた最強声優配役か
誰もオマエの脳内妄想の話なんか求めてねーよ
半年romってろ

保守あげ

のののぶなが?
なんじゃそりゃ。
ラリってんのかシンナー吸ってんのか知らんが、せめてまともな人間にわかるように書けよな

もちつけ、埋め屋が来るぞ
     /\⌒ヽペタン
   /  /⌒)ノ ペタン
  ∧_∧ \ (( ∧_∧
 (; ´д`))' ))(・∀・ ;)
 /  ⌒ノ ( ⌒ヽ⊂⌒ヽ
.(o   ノ ) ̄ ̄ ̄()__   )
 )_)_) (;;;;;;;;;;;;;;;;;;;)(_(


どうでもいいが>>1はまだかい?

前回から1ヶ月経ってるけど保守

正座しながら待っております。

hayo

首を長くして待っとります

夕方 城 客間

エルフ「び、びっくりしました……」

メイドエルフ「失礼ながら、わたしもちょっとだけ……」

殿「あら。そりゃそうよねー、いきなりお部屋におしかけちゃったんだし。ごめんねー」

エルフ「あ、いえ、そこではございませんわ」

メイドエルフ「わたしたちが驚いちゃったのは……その……」チラ

女性「?」ニコニコ

殿「うん? どうかしたの、うちの奥さんの顔に何かついてる?」

エ・メ「「そこです!」」

殿「いやーねもう。そりゃ仮にも大名なんだから、嫁さんくらいいるわよ。ねー?」

奥方「ねー」ニコニコ

エルフ「それはわかるのですが」

メイドエルフ「お殿様の言動のせいか、てっきり……(ソッチなのかと)」ボソッ

エルフ「(ちょっと!?)」ボソッ

殿「うふふ。いいのよ別に。こんな言葉遣いじゃ、そう思ってもおかしくないしね」

奥方「むしろ自然です~」ホワホワ~

エルフ(な、なんというホンワカ系……しかもどう見てもまだ十代……)

メイドエルフ(しかしげに恐ろしきは)

奥方「フワフワ~」オッパイプルーンプルン

メイドエルフ(……なんてご立派なものを)

エルフ(背はそんな高くないのに……何をどう食べればそんなになるのかしら)

奥方「?」ポヤーン

殿「はいはい。人の嫁さん鑑賞はそのくらいで」

エルフ「し、失礼いたしましたわ」

メイドエルフ「申し訳ございません」

殿「せっかくなんだし、どう?」クイッ

メイドエルフ「お酒、でございますか?」

殿「そ。あなたたちのことはもちろん、外国のことや、侍ちゃんとのなれそめだって聞きたいしね」

エルフ「はあ。つまらない話でもよろしければ、お付き合いさせていただきます」

殿「決まりね。ちょっと待ってて。すぐ支度させるから」



殿「あー。そう言えばエルフの国から書簡届いたわねー。あのときは驚いたわ」

エルフ「その節はご迷惑を」

殿「あん、気にしてないわよ。それに、それが侍ちゃんとの出逢いだったんでしょ?」

メイドエルフ「その~出逢いが運命だったろは~、まだ~誰も知らなかったのら~」ヘベレケ

エルフ「あなた飲みすぎですわ! 弱いんだから配分を考えなさいといつも言ってるのに」

メイドエルフ「なんろこれしきれすよ~♪」

エルフ「まったく……」

奥方「あらあら~」ウフフ

殿「すっかり出来上がったわねー。お布団の準備をさせときましょ」

エルフ「すみません。またもご迷惑を」

殿「だから気にしないの。誘ったのはこっちなんだし」

エルフ「ですが、お邪魔させていただいている立場ですし……」

奥方「生真面目さんですねー。この人相手にそれは疲れるだけですよー」

殿「そういうこと。もっとこう、あれよ。ふらんく?にいきましょ」

メイドエルフ「ふらんくふらんく~あはは~」

エルフ「まったくこの子は……」

メイドエルフ「あははははー……はー……」バタンッ

エルフ「あ! ち、ちょっと!」

メイドエルフ「むにゃ~ん」zzz

奥方「寝ちゃいましたねー」

殿「あら、かわいらしい寝顔だこと」

奥方「」ピクッ

エルフ「はぁ。まったくもう……」

殿「普段はきっちりしてるみたいだけど、こうしてるとただの女の子なのねー」

エルフ「まあ、わたくしと同い年ですし」

殿「そうなの。そういえば、今おいくつなのかしら?」

エルフ「22ですわ」

殿「あら? 本当に若いのね。エルフ族は長命で、百年以上は軽く生きるから――」

エルフ「見た目と年齢が一致しないことがほとんど……過去に、娯楽読物にそう書いた人間がいることは存じておりますわ」

殿「読んだことあるわその書物。でも、その口ぶりだと」

エルフ「創作ですわ。昔は今以上に人間と交流が無かったせいか、あり得ない印象を抱いていたみたいですね」

エルフ「ただ、表面上は老いることがないので、勘違いされても致し方なかったとも思いますが」

殿「へぇ~。でもそういうことなら、メイドエルフちゃんももう結婚適齢期なのね」

エルフ「そ、そうですわね……」

殿「侍ちゃん、いっそメイドエルフちゃんも面倒みてあげればいいのに」

エルフ「……はい?」

殿「うち、一夫多妻ありなのよ」

エルフ「(゚д゚)」

殿「まあ、実際に二人以上の嫁さん貰った人なんていないんだけど。でも令の上では可能なのよ」

エルフ「そ、そうなんですの?」

殿「ええ。あたしも本当ならもう一人くらい欲し――」

奥方「との~?」ユラリ

殿「σ(・ω・;)」ビクンッ

奥方「妻の目の前で浮気欲求とは感心しませんね~」ゴゴゴゴゴ

エルフ(な、なにこの威圧感!?)

奥方「もし浮気したら不能にしますよ?」ニコッ

エルフ(不能!?)

殿「(`・ω・´;)」コクコク

奥方「わかればよろしいです~」

殿「(‐ω‐;)」フー

エルフ(い、意外と恐妻家なのね……)

お久しぶりです>>1です。

前にちょっと触れたフリゲ制作に集中していたため、
こっちがおろそかになってました。
たぶん完成するまでは、今後もこのくらいの極遅ペースかつ小刻での投下になると思います。

乙乙
気長に待つから大丈夫さー
あまりに書き込みしなさすぎて落ちるとかじゃない限りだけど

キテター
お疲れさま続きもたのしみにしてますん

時系列前後してる?

保守

のんびり待つわ~(●^o^●)

のんびり待つけど~あんまり待たせんなよ~次き読みて~んだから~よ~(*^_^*)

わたしま~つ~わ~

支援

保守

保守

保守

前作読んだよ~。

うおおおお続きが気になるうう

wktk

保守

  /||ミ
 /::||__
/::::||wc|
|:::::|| ̄ ̄|
|:::::|| ガチャッ
|:::::||  |
|:::::||∧_∧
|:::::||・ω・`)
|:::::||o o旦~
\::::||―u|
 \::||
  \||彡
皆さん、
お茶が入りましたよ…

すいません
すぐ片付けます…
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄
    ∧_∧
   (´д`)。

・=≡/   ヽ゚。
   /| | | |ショボーン
  / \ヽ/、∧_∧

-=/  (⌒)(´・ω・)
  | /⌒`・(つ旦○
-=| /  ・と__))

`//   |二二二二|
し"    (_)) ̄(_))


そのお茶まってええええええ

>>258
お前じゃ病院へ行きなさい
支援

そろそろこないかなー

まだ―?

保守

こねーかなー

みんな侍とエルフの顔、どのキャラで脳内補完してる?
俺は侍は三船敏郎、エルフはディードリットだ

続ききたのかと思ったじゃねーかクソ

ほしゅ

深夜って>>1が半年来なくても落ちないの?
どうせ完結しないんだから落としてくれればいいのに

>>267そう言うなって・・・

追いついた
俺も待とう

「侍 ss」検索したら丁度前作にぶち当たったw 面白かったから続き頼むぞ。

はよはよはよ



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